本発明の一実施形態に係る純水製造装置1について、図面を参照しながら説明する。図1は、一実施形態に係る純水製造装置1の全体構成図である。本実施形態に係る純水製造装置1は、例えば、原水(例えば、水道水)から脱塩水を製造する純水製造装置に適用される。純水製造装置で製造された脱塩水は、純水として、需要箇所等に送出される。なお、本実施形態の純水製造装置において、需要箇所等へ純水を供給することを「採水」ともいう。
図1に示すように、本実施形態に係る純水製造装置1は、活性炭濾過器2と、プレフィルタ3と、原水タンク4と、加圧ポンプ5と、インバータ6と、逆浸透膜モジュールとしての第1RO膜モジュール11及び第2RO膜モジュール12と、電気脱イオンスタックとしてのEDIスタック20と、制御部30と、報知手段としての報知部31と、入力操作部32と、直流電源装置33と、を備える。
また、純水製造装置1は、原水補給弁61と、第1流路切換弁62と、送出手段としての第2流路切換弁63と、第3流路切換弁64と、脱塩水リターン弁65と、第1RO弁101〜第4RO弁104と、第1EDI弁201〜第6EDI弁206と、水位センサ41と、タンク内電気伝導率センサ42と、タンク内温度センサ43と、第1電気伝導率センサ51と、圧力測定手段としての圧力センサ52と、第1流量センサ53と、第2流量センサ54と、第2電気伝導率センサ55と、第3流量センサ56と、第4流量センサ57と、を備える。
図1では、電気的な接続の経路を省略するが、制御部30は、原水補給弁61、第1流路切換弁62、第2流路切換弁63、水位センサ41、タンク内電気伝導率センサ42、タンク内温度センサ43、第1電気伝導率センサ51、第2電気伝導率センサ55、圧力センサ52、第1流量センサ53、第2流量センサ54、第3流量センサ56及び第4流量センサ57と電気的に接続される。また、本実施形態においては、第3流路切換弁64、脱塩水リターン弁65、第1RO弁101〜第4RO弁104、及び第1EDI弁201〜第6EDI弁206は、手動により開閉状態を切り換えたり、弁開度を調整したりすることが可能な弁である。
また、純水製造装置1は、供給水ラインとしての原水ラインL1と、透過水ラインとしての第1透過水ラインL2及び第2透過水ラインL3と、第1RO濃縮水リターンラインL5と、第1RO濃縮水排出ラインL41と、第2RO濃縮水リターンラインL6と、第1循環水ラインとしての第2RO透過水リターンラインL7と、第2RO透過水排出ラインL42と、脱塩水ラインL8と、第2循環水ラインとしての脱塩水リターンラインL9と、EDI濃縮水リターンラインL10と、EDI濃縮水排出ラインL43と、EDI電極水排出ラインL44と、を備える。なお、本明細書における「ライン」とは、流路、径路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
原水ラインL1には、原水W1(供給水)が流通する。原水ラインL1は、原水W1を、第1RO膜モジュール11へ流通させるラインである。原水ラインL1は、第1原水ラインL11と、第2原水ラインL12と、を有する。
第1原水ラインL11は、原水W1の供給源(不図示)と原水タンク4とをつなぐラインである。第1原水ラインL11の上流側の端部は、原水W1の供給源(不図示)に接続されている。また、第1原水ラインL11の下流側の端部は、原水タンク4に接続されている。
第1原水ラインL11には、上流側から順に、原水補給弁61、活性炭濾過器2、プレフィルタ3、及び原水タンク4が設けられている。原水補給弁61は、第1原水ラインL11を開閉可能な弁である。原水補給弁61は、制御部30と電気的に接続されている。原水補給弁61の開閉動作は、制御部30からの流路開閉信号により制御される。
活性炭濾過器2は、原水W1に含まれる塩素成分(主として遊離塩素)を除去する機器である。活性炭濾過器2は、圧力タンク内に活性炭からなる濾材床を有している。活性炭濾過器2は、原水W1に含まれる塩素成分を分解除去するほか、有機成分を吸着除去したり、懸濁物質を捕捉したりして原水W1を浄化する。
プレフィルタ3は、活性炭濾過器2により濾過された原水W1に含まれる微粒子を除去するフィルタである。プレフィルタ3は、ハウジング内にフィルタエレメントが収容されて構成される。フィルタエレメントとしては、例えば、濾過精度が1〜50μmの不織布フィルタエレメントや糸巻きフィルタエレメント等が用いられる。原水タンク4は、活性炭濾過器2及びプレフィルタ3を経て浄化された原水W1を供給水として貯留するタンクである。
第2原水ラインL12は、原水タンク4と第1RO膜モジュール11とをつなぐラインである。第2原水ラインL12の上流側の端部は、原水タンク4に接続されている。また、第2原水ラインL12の下流側の端部は、第1RO膜モジュール11の一次側入口ポート(原水W1の入口)に接続されている。
第2原水ラインL12には、上流側から順に、加圧ポンプ5、第1RO弁101、及び第1RO膜モジュール11が設けられている。第1RO弁101は、第2原水ラインL12における加圧ポンプ5と第1RO膜モジュール11との間に設けられている。第1RO弁101は、第2原水ラインL12を流通する原水W1の流量を調整可能な弁である。
加圧ポンプ5は、第2原水ラインL12を流通する原水W1を吸入し、第1RO膜モジュール11へ向けて圧送(吐出)する装置である。加圧ポンプ5には、インバータ6から周波数が変換された駆動電力が供給される。加圧ポンプ5は、供給された駆動電力の周波数(以下、「駆動周波数」ともいう)に応じた回転速度で駆動される。
インバータ6は、加圧ポンプ5に、周波数が変換された駆動電力を供給する電気回路(又はその回路を持つ装置)である。インバータ6は、制御部30と電気的に接続されている。インバータ6には、制御部30から指令信号が入力される。インバータ6は、制御部30により入力された指令信号(電流値信号又は電圧値信号)に対応する駆動周波数の駆動電力を加圧ポンプ5に出力する。
第1RO膜モジュール11は、加圧ポンプ5により圧送された原水W1を、溶存塩類が除去された第1透過水W2と、溶存塩類が濃縮された濃縮水W3と、に分離する。第1RO膜モジュール11は、単一又は複数のスパイラル型RO膜エレメントを圧力容器(ベッセル)に収容して構成される。当該RO膜エレメントに使用されるRO膜としては、架橋芳香族ポリアミド系複合膜などが例示される。架橋芳香族ポリアミド系複合膜からなるRO膜エレメントとしては、東レ社製:型式名「TMG20−400」、ウンジン・ケミカル社製:型式名「RE8040−BLF」、日東電工社製:型式名「ESPA1」等が市販されており、これらのエレメントを好適に用いることができる。
第1RO濃縮水リターンラインL5は、第1RO膜モジュール11で分離された濃縮水W3の一部を原水タンク4へ返送するラインである。第1RO濃縮水リターンラインL5は、上流側第1RO濃縮水リターンラインL51と、下流側第1RO濃縮水リターンラインL52と、を有する。
上流側第1RO濃縮水リターンラインL51の上流側の端部は、第1RO膜モジュール11の一次側出口ポート(濃縮水W3の出口)に接続されている。上流側第1RO濃縮水リターンラインL51の下流側の端部は、分岐部J11において、下流側第1RO濃縮水リターンラインL52及び第1RO濃縮水排出ラインL41に分岐されている。
下流側第1RO濃縮水リターンラインL52の上流側の端部は、分岐部J11に接続されている。下流側第1RO濃縮水リターンラインL52の下流側の端部は、原水タンク4に接続されている。下流側第1RO濃縮水リターンラインL52には、第2RO弁102が設けられている。第2RO弁102は、下流側第1RO濃縮水リターンラインL52を流通する濃縮水W3の流量を調整可能な弁である。
第1RO濃縮水排出ラインL41は、第1RO膜モジュール11で分離された濃縮水W3の残部を、第1RO濃縮水リターンラインL5の途中から装置の外へ排出するように流通させるラインである。第1RO濃縮水排出ラインL41の上流側の端部は、分岐部J11に接続されている。第1RO濃縮水排出ラインL41の下流側は、例えば、排水ピット(不図示)に接続又は開口している。第1RO濃縮水排出ラインL41には、第3RO弁103が設けられている。第3RO弁103は、第1RO濃縮水排出ラインL41を介して装置の外へ排出される濃縮水W3の排水流量を調整可能な弁である。
第1透過水ラインL2は、第1RO膜モジュール11で分離された第1透過水W2を第2RO膜モジュール12に流通させるラインである。第1透過水ラインL2の上流側の端部は、第1RO膜モジュール11の二次側ポート(第1透過水W2の出口)に接続されている。第1透過水ラインL2の下流側の端部は、第2RO膜モジュール12の一次側入口ポート(第1透過水W2の入口)に接続されている。
第2RO膜モジュール12は、第1RO膜モジュール11で分離されて加圧ポンプ5により圧送された第1透過水W2を、第1透過水W2よりも溶存塩類が除去された第2透過水W4と、溶存塩類が濃縮された濃縮水W5と、に分離する。第2RO膜モジュール12は、単一又は複数のスパイラル型RO膜エレメントを圧力容器(ベッセル)に収容して構成される。第1RO膜モジュール11においても、第2RO膜モジュール12と同様のRO膜エレメントを使用することができる。
第2RO濃縮水リターンラインL6は、第2RO膜モジュール12で分離された濃縮水W5を原水タンク4へ返送するラインである。第2RO濃縮水リターンラインL6の上流側の端部は、第2RO膜モジュール12の一次側出口ポート(濃縮水の出口)に接続されている。第2RO濃縮水リターンラインL6の下流側の端部は、原水タンク4に接続されている。第2RO濃縮水リターンラインL6には、第4RO弁104が設けられている。第4RO弁104は、第2RO濃縮水リターンラインL6を流通する濃縮水W3の流量を調整可能な弁である。
第2透過水ラインL3は、第2RO膜モジュール12で分離された第2透過水W4をEDIスタック20に流通させるラインである。第2透過水ラインL3は、前段側透過水ラインL31と、中段側透過水ラインL32と、脱塩室流入ラインL321と、濃縮室流入ラインL322と、電極室流入ラインL323と、を有する。
前段側透過水ラインL31の上流側の端部は、第2RO膜モジュール12の二次側ポート(第2透過水W4の出口)に接続されている。前段側透過水ラインL31の下流側の端部は、第1流路切換弁62を介して、中段側透過水ラインL32及び第2RO透過水リターンラインL7に接続されている。
第1流路切換弁62は、第2RO膜モジュール12で分離された第2透過水W4を、中段側透過水ラインL32を介してEDIスタック20へ向けて流通させる流路(採水側流路)、又は、第2RO透過水リターンラインL7を介して第3流路切換弁64へ向けて流通させる流路(循環側流路及び排水側流路)に切り換え可能な弁である。第1流路切換弁62は、例えば、電動式や電磁式の三方弁により構成される。第1流路切換弁62は、制御部30と電気的に接続されている。第1流路切換弁62における流路の切り換えは、制御部30からの流路切換信号により制御される。
第2RO透過水リターンラインL7は、第2RO膜モジュール12で分離された第2透過水W4を、第1RO膜モジュール11の上流側の原水タンク4へ返送するラインである。第2RO透過水リターンラインL7は、上流側第2RO透過水リターンラインL71と、下流側第2RO透過水リターンラインL72と、を有する。
上流側第2RO透過水リターンラインL71の上流側の端部は、第1流路切換弁62に接続されている。上流側第2RO透過水リターンラインL71の下流側の端部は、第3流路切換弁64に接続されている。
第3流路切換弁64は、上流側第2RO透過水リターンラインL71を流通される第2透過水W4を、下流側第2RO透過水リターンラインL72を介して原水タンク4へ向けて流通させる流路(循環側流路)、又は、第2RO透過水排出ラインL42を介して装置の外へ向けて排出させるように流通させる流路(排水側流路)に切り換え可能な弁である。第3流路切換弁64は、手動により開閉状態を切り換え可能な弁である。
下流側第2RO透過水リターンラインL72の上流側の端部は、第3流路切換弁64に接続されている。下流側第2RO透過水リターンラインL72の下流側の端部は、原水タンク4に接続されている。
第2RO透過水排出ラインL42は、第2RO膜モジュール12で分離された第2透過水W4を、第2RO透過水リターンラインL7に合流させて装置の外へ排出するように流通させるラインである。第2RO透過水排出ラインL42の上流側の端部は、第3流路切換弁64に接続されている。第3流路切換弁64の下流側は、例えば、排水ピット(不図示)に接続又は開口している。
第2RO透過水排出ラインL42は、接続部J12において、第1RO濃縮水排出ラインL41に合流されている。接続部J12は、第1RO濃縮水排出ラインL41における第3RO弁103よりも下流側に配置されている。第2RO透過水排出ラインL42における接続部J12よりも下流側の部分は、第1RO濃縮水排出ラインL41における接続部J12よりも下流側の部分と共通する。
中段側透過水ラインL32の上流側の端部は、第1流路切換弁62に接続されている。中段側透過水ラインL32の下流側の端部は、分岐部J4において、脱塩室流入ラインL321、濃縮室流入ラインL322及び電極室流入ラインL323に分岐されている。
脱塩室流入ラインL321、濃縮室流入ラインL322及び電極室流入ラインL323の下流側の端部は、EDIスタック20の一次側ポート(脱塩室21、濃縮室22及び電極室23の各入口側)に接続されている。
EDIスタック20は、第2RO膜モジュール12で第1透過水W2から分離された第2透過水W4を脱塩処理して、脱塩水W6と濃縮水W7と電極水W8とを得る水処理機器である。EDIスタック20は、直流電源装置33と電気的に接続されている。EDIスタック20には、直流電源装置33から直流電圧が入力される。EDIスタック20は、直流電源装置33から入力された直流電圧により、通電され、動作される。
直流電源装置33は、直流電圧をEDIスタック20の一対の電極間に印加する。直流電源装置33は、制御部30と電気的に接続されている。直流電源装置33は、制御部30により入力された指令信号に応答して、直流電圧をEDIスタック20に出力する。
EDIスタック20は、一対の電極間に、陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜(不図示)が交互に配置される。EDIスタック20の内部は、これらイオン交換膜により、脱塩室21、濃縮室22及び電極室23に区画される。脱塩室21には、イオン交換体(不図示)が充填される。脱塩室21に充填されるイオン交換体としては、例えば、イオン交換樹脂やイオン交換繊維等が用いられる。なお、図1では、EDIスタック20の内部に区画された複数の脱塩室21、濃縮室22、及び電極室23を模式的に示す。
脱塩室21の入口側には、第2透過水W4を流入させる脱塩室流入ラインL321が接続されている。脱塩室21の出口側には、脱塩室21においてイオンが除去されて排出された脱塩水W6を流通させる脱塩水ラインL8が接続されている。濃縮室22の入口側には、第2透過水W4を流入させる濃縮室流入ラインL322が接続されている。濃縮室22の出口側には、イオンが濃縮されて排出された濃縮水W7を流通させるEDI濃縮水リターンラインL10が接続されている。電極室23の入口側には、第2透過水W4を流入させる電極室流入ラインL323が接続されている。電極室23の出口側には、電極水W8を流通させる電極水排出ラインL44が接続されている。
脱塩室流入ラインL321には、第1EDI弁201が設けられている。濃縮室流入ラインL322には、第2EDI弁202が設けられている。電極室流入ラインL323には、第3EDI弁202が設けられている。第1EDI弁201は、脱塩室流入ラインL321を流通する第2透過水W4の流量(即ち、脱塩室21を流通する脱塩水W6の流量)を調整可能な弁である。第2EDI弁202は、濃縮室流入ラインL322を流通する第2透過水W4の流量(即ち、濃縮室22を流通する濃縮水W7の流量)を調整可能な弁である。第3EDI弁203は、電極室流入ラインL323を流通する第2透過水W4の流量(即ち、電極室23を流通する電極水W8の流量)を調整可能な弁である。
脱塩室21、濃縮室22及び電極室23それぞれには、第2透過水ラインL3を流通する第2透過水W4が流入される。第2透過水W4に含まれる残留イオンは、脱塩室21内に充填されたイオン交換体(不図示)により捕捉され、脱塩水W6となる。脱塩水W6は、脱塩水ラインL8(後述)を介して需要箇所へ送出される。また、脱塩室21内のイオン交換体に捕捉された残留イオンは、付与された電気エネルギーにより濃縮室22に移動する。そして、残留イオンを含む水は、濃縮室22からEDI濃縮水リターンラインL10及びEDI濃縮水排出ラインL43(後述)を介して濃縮水W7として排出される。また、電極室23に流入された第2透過水W4は、電極室23からEDI電極水排出ラインL44を介して電極水W8として装置の外へ排出される。
脱塩水ラインL8は、EDIスタック20で得られた脱塩水W6を純水として需要箇所に向けて送出するラインである。脱塩水ラインL8は、上流側脱塩水ラインL81と、下流側脱塩水ラインL82と、を有する。
上流側脱塩水ラインL81の上流側の端部は、EDIスタック20の二次側ポート(脱塩室21の出口側)に接続されている。上流側脱塩水ラインL81の下流側の端部は、第2流路切換弁63を介して、下流側脱塩水ラインL82及び脱塩水リターンラインL9(後述)に接続されている。
第2流路切換弁63は、EDIスタック20の脱塩室21で得られた脱塩水W6を、下流側脱塩水ラインL82を介して需要箇所に向けて送出させる流路(採水側流路)、又は、脱塩水リターンラインL9を介して原水タンク4に向けて流通させる流路(循環側流路)に切り換え可能な弁である。第2流路切換弁63は、例えば、電動式や電磁式の三方弁により構成される。第2流路切換弁63は、制御部30と電気的に接続されている。第2流路切換弁63における流路の切り換えは、制御部30からの流路切換信号により制御される。
第2流路切換弁63は、制御部30により採水側流路に切り換えられることにより、EDIスタック20で得られた脱塩水W6を脱塩水ラインL8から需要箇所に供給するように送り出す処理を実行可能な送出手段として機能する。
下流側脱塩水ラインL82の上流側の端部は、第2流路切換弁63に接続されている。下流側脱塩水ラインL82の下流側の端部は、需要箇所の装置等(不図示)に接続されている。
脱塩水リターンラインL9は、EDIスタック20の脱塩室21で得られた脱塩水W6を、脱塩水ラインL8の途中から、第1RO膜モジュール11の上流側の原水タンク4へ返送するラインである。本実施形態においては、脱塩水リターンラインL9の上流側の端部は、第2流路切換弁63に接続されている。脱塩水リターンラインL9の下流側の端部は、原水タンク4に接続されている。脱塩水リターンラインL9は、EDIスタック20の脱塩室21で得られた脱塩水W6を原水タンク4へ返送する。脱塩水リターンラインL9には、脱塩水リターン弁65が設けられている。
EDI濃縮水リターンラインL10は、EDIスタック20の濃縮室22から排出された濃縮水W7を、脱塩水リターンラインL9に合流させて原水タンク4に返送するラインである。EDI濃縮水リターンラインL10の上流側の端部は、EDIスタック20の二次側ポート(濃縮室22の出口側)に接続されている。EDI濃縮水リターンラインL10の下流側の端部は、原水タンク4に接続されている。
EDI濃縮水リターンラインL10は、接続部J13において、脱塩水リターンラインL9に合流されている。接続部J13は、脱塩水リターンラインL9における原水タンク4と脱塩水リターン弁65との間に配置されている。EDI濃縮水リターンラインL10における接続部J13よりも下流側の部分は、脱塩水リターンラインL9における接続部J13から原水タンク4までの部分と共通する。EDI濃縮水リターンラインL10における接続部J13よりも上流側には、第5EDI弁205が設けられている。
EDI濃縮水排出ラインL43は、EDIスタック20の濃縮室22から排出された濃縮水W7を、EDI濃縮水リターンラインL10の途中から装置の外に排出するように流通させるラインである。EDI濃縮水排出ラインL43の上流側の端部は、接続部J9に接続されている。接続部J9は、EDI濃縮水リターンラインL10における濃縮室22と第5EDI弁205と間に配置されている。EDI濃縮水排出ラインL43の下流側は、例えば、排水ピット(不図示)に接続又は開口している。EDI濃縮水排出ラインL43には、第6EDI弁206が設けられている。
電極水排出ラインL44は、EDIスタック20の電極室23から排出された電極水W8を装置の外に排出するように流通させるラインである。電極水排出ラインL44の上流側の端部は、EDIスタック20の電極室23に接続されている。電極水排出ラインL44は、接続部J10において、EDI濃縮水排出ラインL43に合流されている。接続部J10は、EDI濃縮水排出ラインL43における第6EDI弁206よりも下流側に配置されている。電極水排出ラインL44における接続部J10よりも下流側の部分は、EDI濃縮水排出ラインL43における接続部J10よりも下流側の部分と共通する。
水位センサ41は、原水タンク4に貯留される原水W1の水位を測定する機器である。水位センサ41は、原水タンク4の内部の下方側に配置されている。また、水位センサ41は、制御部30と電気的に接続されている。水位センサ41で測定された原水タンク4の水位は、制御部30へ検出信号として送信される。本実施形態においては、水位センサ41は、連続式レベルセンサであり、例えば、静電容量式センサ、圧力式センサ、超音波式センサ等が用いられる。図1では、水位センサ41として、原水タンク4の底部に近い外壁面に圧力式センサを設けた例を示す。なお、水位センサ41は、連続式レベルセンサには制限されず、例えば、レベルスイッチであってもよい。レベルスイッチは、予め設定された液面位置の検出器であり、例えば、複数の液面位置を検出するように構成されている。レベルスイッチとしては、例えば、フロート式や電極式のものが用いられる。
タンク内電気伝導率センサ42は、原水タンク4に貯留される原水W1の電気伝導率を測定する機器である。タンク内電気伝導率センサ42は、原水タンク4の内部の下方側に配置されている。
第1電気伝導率センサ51は、第2透過水ラインL3を流通する第2透過水W4の電気伝導率を測定する機器である。第1電気伝導率センサ51は、接続部J1において、第2透過水ラインL3に接続されている。接続部J1は、第2透過水ラインL3における第2RO膜モジュール12と第1流路切換弁62との間に配置されている。第2電気伝導率センサ55は、脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の電気伝導率を測定する機器である。第2電気伝導率センサ55は、接続部J6において、脱塩水ラインL8に接続されている。接続部J6は、脱塩水ラインL8におけるEDIスタック20と第4EDI弁204との間に配置されている。
タンク内電気伝導率センサ42、第1電気伝導率センサ51及び第2電気伝導率センサ55は、制御部30と電気的に接続されている。タンク内電気伝導率センサ42で測定された原水W1の電気伝導率、第1電気伝導率センサ51で測定された第2透過水W4の電気伝導率及び第2電気伝導率センサ55で測定された脱塩水W6の電気伝導率は、制御部30へ検出信号として送信される。
タンク内温度センサ43は、原水タンク4に貯留された原水W1の温度を測定する機器である。タンク内温度センサ43は、原水タンク4の下方側に配置されている。タンク内温度センサ43は、制御部30と電気的に接続されている。タンク内温度センサ43で測定された原水W1の温度は、制御部30へ検出信号として送信される。
第1流量センサ53は、第2透過水ラインL3を流通する第2透過水W4の流量を測定する機器である。第1流量センサ53は、接続部J3において、第2透過水ラインL3に接続されている。接続部J3は、第2透過水ラインL3における第2RO膜モジュール12と第1流路切換弁62との間に配置されている。第2流量センサ54は、脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の流量を測定する機器である。第2流量センサ54は、脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の流量を測定することにより、脱塩室21を流通する水の流量を測定する。第2流量センサ54は、接続部J5において、脱塩水ラインL8に接続されている。接続部J5は、脱塩水ラインL8におけるEDIスタック20と第4EDI弁204との間に配置されている。
第3流量センサ56は、濃縮室流入ラインL322を流通する第2透過水W4の流量を測定する機器である。第3流量センサ56は、濃縮室流入ラインL322を流通する第2透過水W4の流量を測定することにより、濃縮室22を流通する水の流量を測定する。第3流量センサ56は、接続部J7において、濃縮室流入ラインL322に接続されている。接続部J7は、濃縮室流入ラインL322におけるEDIスタック20と第2EDI弁202との間に配置されている。第4流量センサ57は、電極室流入ラインL323を流通する第2透過水W4の流量を測定する機器である。第4流量センサ57は、電極室流入ラインL323を流通する第2透過水W4の流量を測定することにより、電極室23を流通する水の流量を測定する。第4流量センサ57は、接続部J8において、電極室流入ラインL323に接続されている。接続部J8は、電極室流入ラインL323におけるEDIスタック20の電極室23と第3EDI弁203との間に配置されている。
第1流量センサ53、第2流量センサ54、第3流量センサ56及び第4流量センサ57は、制御部30と電気的に接続されている。第1流量センサ53で測定された第2透過水W4の流量、第2流量センサ54で測定された脱塩水W6の流量、第3流量センサ56で測定された第2透過水W4の流量、及び、第4流量センサ57で測定された第2透過水W4の流量は、制御部30へ検出信号として送信される。
圧力センサ52は、第2透過水ラインL3を流通する第2透過水W4の圧力を測定する機器である。圧力センサ52は、接続部J2において、第2透過水ラインL3に接続されている。圧力センサ52は、制御部30と電気的に接続されている。接続部J2は、第2RO膜モジュール12と第1流路切換弁62との間に配置されている。圧力センサ52で測定された第2透過水W4の圧力は、制御部30へ検出信号として送信される。
報知部31は、所定の警報を報知する。報知部31は、制御部30と電気的に接続されている。報知は、例えば、表示、音声、発光などのうちの一つ以上である。つまり、報知部31は、表示器(液晶ディスプレイ等)、ブザーやスピーカー、ランプなどのうちの一つ以上から構成される。
入力操作部32は、装置の運転モードに係る選択(例えば、運転/停止の選択、警報の解除など)や、装置の運転条件に係る各種設定について、ユーザーや管理者の入力操作を受け付ける入力インターフェースである。この入力操作部32は、ディスプレイとボタンスイッチを組み合わせた操作パネルや、ディスプレイ上で直接操作するタッチパネル等により構成される。入力操作部32は、制御部30と電気的に接続されている。入力操作部32から入力された情報は、制御部30に送信される。
次に、制御部30について説明する。制御部30は、CPU及びメモリを含むマイクロプロセッサ(不図示)により構成される。制御部30において、マイクロプロセッサのメモリには、純水製造装置1を制御するための各種プログラムが記憶される。また、マイクロプロセッサのメモリには、例えば、第2透過水W4及び脱塩水W6の電気伝導率の閾値や、EDIスタック20から排出される脱塩水W6、濃縮水W7及び電極水W8の流量の閾値に関するデータ等が記憶される。
制御部30において、マイクロプロセッサのCPUは、メモリから読み出した所定のプログラムに従って後述する各種の制御を実行する。また、制御部30において、マイクロプロセッサには、時間の計時等を管理するインテグレーテッドタイマユニットが組み込まれている。
制御部30は、第1工程及び第2工程を実行するように制御する。制御部30により実行される第1工程とは、第1RO膜モジュール11及び第2RO膜モジュール12で分離された第2透過水W4を、第2RO透過水リターンラインL7(第1循環水ライン)を介して第1RO膜モジュール11の上流側へ返送する工程である。具体的には、第1工程においては、第3流路切換弁64が循環側流路に設定された状態下で、第1流路切換弁62を循環側流路に切り換えて、加圧ポンプ5を駆動することにより、第1RO膜モジュール11及び第2RO膜モジュール12で分離された第2透過水W4を原水タンク4へ返送する。
制御部30により実行される第2工程とは、EDIスタック20で得られた脱塩水W6を、脱塩水リターンラインL9(第2循環水ライン)を介して第1RO膜モジュール11の上流側へ返送する工程である。具体的には、第2工程においては、第1流路切換弁62を採水側流路に切り換えると共に、第2流路切換弁63を循環側流路に切り換えて、加圧ポンプ5を駆動することにより、EDIスタック20で得られた脱塩水W6を原水タンク4へ返送する。
制御部30は、装置の起動時において、第1工程を実行し、第1工程の実行後更に、第2工程を実行した後に、需要箇所への脱塩水W6の供給(採水)を開始するように第2流路切換弁63を制御する。
また、制御部30は、第1工程の実行を開始してから第1時間経過後に、第2工程に移行するように制御する。制御部30は、第1時間経過した時点において、第2透過水ラインL3を流通する第2透過水W4の電気伝導率が所定の第1伝導率閾値を上回る場合には報知部31による報知を実行するように制御する。所定の第1伝導率閾値としては、例えば、劣化や閉塞のないRO膜モジュールを用いて標準的な水質の原水を所定の運転条件(運転圧力,回収率,水温等)で逆浸透膜処理したときに得られる透過水の電気伝導率値が設定される。
また、制御部30は、第2工程の開始時点において、EDIスタック20の脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する水の流量がそれぞれ所定の第1設定値を上回る時間が第2時間継続した場合にはEDIスタック20の動作(すなわち、通電)を開始するように制御する。また、制御部30は、EDIスタック20の脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する水の流量のうちのいずれかが所定の第2設定値を下回る時間が第2時間よりも長い第3時間継続した場合には報知部31による報知を実行するように制御する。なお、流量の所定の第1設定値は、通常、各室(脱塩室21、濃縮室22及び電極室23)毎に異なる流量値に設定される。流量の所定の第2設定値についても、同様である。
EDIスタック20の脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する水の流量の所定の設定値を、EDIスタック20の動作を開始するための条件とした理由は、脱塩水W6、濃縮水W7及び電極水W8における所定値以上の流通流量がない場合には、イオン交換膜や電極の表面において、スケール発生等のリスクが高まるためである。
流量の所定の第1設定値としては、例えば、脱塩室21、濃縮室22及び電極室23が正常に機能して、スケール発生等のリスクが生じない下限の流量値が設定される。流量の所定の第2設定値としては、例えば、脱塩室21、濃縮室22及び電極室23が正常に機能して、スケール発生等のリスクが生じる上限の流量値が設定される。なお、脱塩室21に対して設定される流量の所定の第1設定値及び所定の第2設定値は、同じ値であってもよい。濃縮室22及び電極室23に対してそれぞれ設定される流量の所定の第1設定値及び所定の第2設定値についても、同様である。
また、制御部30は、EDIスタック20の動作を開始してから第4時間経過した時点において、脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の電気伝導率が所定の第2伝導率閾値を下回る場合には、第2流路切換弁63による需要箇所への脱塩水W6の供給を開始するように第2流路切換弁63を制御する。制御部30は、脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の電気伝導率が所定の第3伝導率閾値を上回る場合には、報知部31による報知を実行するように制御する。
所定の第2伝導率閾値としては、例えば、需要箇所で継続して要求される純水の電気伝導率値が設定される。所定の第3伝導率閾値としては、例えば、需要箇所で一時的に許容される純水の上限の電気伝導率値が設定される。
なお、所定の第2伝導率閾値及び所定の第3伝導率閾値は、異なる値であってもよいし、同じ値であってもよい。本実施形態においては、所定の第2伝導率閾値及び所定の第3伝導率閾値が同じ値である場合について説明し、以降の説明においては、所定の第2伝導率閾値及び所定の第3伝導率閾値を、所定の第2伝導率閾値として説明する。
ここで、制御部30は、報知部31による報知に関して、第2工程からなる循環工程の強制的な実行、需要箇所への脱塩水W6の供給の強制的な開始又は需要箇所への脱塩水W6の供給の強制的な停止についてユーザーに選択させるように、報知部31による報知を実行する。これにより、ユーザーは、採水(需要箇所への脱塩水の供給の強制的な開始)、循環(第2工程からなる循環工程の強制的な実行)、待機(需要箇所への脱塩水の供給の強制的な停止)について、入力操作部32を操作することにより、選択して実行させることができる。
また、制御部30は、待機状態中に需要箇所から純水の送水要求がある場合には、第1工程を実行する。制御部30は、採水中に需要箇所から純水の送水要求がある場合には、純水製造装置1が採水を継続するように制御し、採水中に需要箇所から純水の送水要求がない場合には、純水製造装置1が待機状態に移行するように制御する。更に、制御部30は、採水中に純水製造装置1の運転スイッチがOFF(停止)である場合には、純水製造装置1の運転を停止させる。
また、制御部30は、報知部31又は入力操作部32に表示された採水、循環又は待機を選択する選択画面において、採水が選択された場合には採水動作に移行するように制御し、循環が選択された場合には循環動作に移行するように制御し、又は、待機が選択された場合には待機状態に移行するように制御する。
制御部30は、加圧ポンプ5の駆動後において第2透過水ラインL3を流通する第2透過水W4の圧力値が所定の圧力閾値を上回る場合には需要箇所へ脱塩水W6を供給する採水状態から需要箇所へ脱塩水W6を供給しない待機状態に移行するように制御し、報知部31による報知を実行するように制御する。
また、制御部30は、加圧ポンプ5の駆動後において第2透過水ラインL3を流通する第2透過水W4の圧力値が所定の圧力閾値を下回る場合には、第1工程を実行し、第1工程の実行後更に、第2工程を実行する。所定の圧力閾値としては、例えば、第2RO膜モジュール12の許容背圧(RO膜が破損する可能性のない二次側圧力の上限値)が設定される。
制御部30は、報知部31による報知を実行した後において、報知部31による報知がリセットされ、且つ脱塩水W6(純水)の送水要求がある場合には待機状態から採水状態に移行するように制御する。
次に、本実施形態に係る純水製造装置1の動作について説明する。図2及び図3は、純水製造装置1の動作の処理手順を示すフローチャートである。純水製造装置1は、運転スイッチがON(運転)にされることで、動作が開始される。図2及び図3に示すフローチャートの処理は、純水製造装置1の運転中において、繰り返し実行される。
図2に示すステップST110において、純水製造装置1は、電源が投入されて、運転スイッチがONにされることで、待機状態となる。
ステップST111において、制御部30は、報知部31による報知がリセットされているか否かを判定する。例えば、純水製造装置1の運転中において、報知部31により報知がなされて、報知部31による報知がリセットされずに、純水製造装置1が待機状態になる場合がある。この場合に、報知部31による報知がユーザーによりリセットされ、且つ純水の送水要求がある場合には、制御部30は、装置を待機状態から採水状態に移行するように制御する。例えば、第2RO膜モジュール12の背圧異常(第2透過水W4の圧力値が高い異常)が報知されている場合には、この報知をユーザーがリセットする操作を行うことで、加圧ポンプ5を停止状態から駆動状態に移行させることができる。報知部31による報知がリセットされたと判定された場合(YES)には、処理は、ステップST120に進む。報知部31による報知がリセットされていないと判定された場合(NO)には、処理は、ステップST111に戻り、ステップST111を繰り返す。
ステップST120において、制御部30は、待機状態中に需要箇所から純水の送水要求があるか否かを判定する。待機状態中に需要箇所から純水の送水要求があると判定された場合(YES)には、処理は、ステップST130へ移行する。待機状態中に需要箇所から純水の送水要求がないと判定された場合(NO)には、処理は、ステップST120を繰り返す。
ステップST121において、制御部30は、加圧ポンプ5の駆動を開始する。具体的には、制御部30が電流値信号(周波数の指令信号)をインバータ6へ出力すると、インバータ6は、入力された電流値信号で指定された周波数に変換された駆動電力を加圧ポンプ5に供給する。その結果、加圧ポンプ5は、インバータ6から入力された駆動周波数に応じた回転速度で駆動される。
ステップST122において、制御部30は、加圧ポンプ5の駆動後において、第2透過水ラインL3を流通する第2透過水W4の圧力値が所定の圧力閾値(例えば、0.5MPa)を下回るか否かを判定する。第2透過水W4の圧力値が圧力閾値を下回ると判定された場合(YES)には、処理は、ステップST130に進む。第2透過水W4の圧力値が圧力閾値を上回ると判定された場合(NO)には、処理は、ステップST123に進み、背圧異常の警報を報知した後に、ステップST110に移行する。背圧異常とは、第2RO膜モジュール12の二次側圧力がRO膜を破損させるほど圧力閾値を上回っている状態をいう。これにより、ユーザーは、第2RO膜モジュール12の二次側でEDIスタックの詰まり等の異常が発生していることを認識することができる。
ステップST130において、制御部30は、第1工程の実行を開始する。具体的には、第3流路切換弁64が循環側流路に設定された状態下で、制御部30は、第2透過水W4を原水タンク4に返送するように第1流路切換弁62を循環側流路に切り換える。この状態で、制御部30は、加圧ポンプ5を駆動する。これにより、第2RO膜モジュール12で分離された第2透過水W4を、第2RO透過水リターンラインL7を介して、原水タンク4に返送する。
ステップST140において、制御部30は、第1工程の実行を開始してから第1時間(例えば、60秒)経過したか否かを判定する。第1工程の実行を開始してから第1時間経過したと判定された場合(YES)には、処理は、ステップST150に進む。第1工程の実行を開始してから第1時間経過していないと判定された場合(NO)には、処理は、ステップST140に戻り、第1工程を継続する。
ステップST150において、制御部30は、第1工程の実行を開始してから第1時間経過した時点において、第2透過水W4の電気伝導率値(EC値)が所定の第1伝導率閾値(例えば、15μS/cm)を下回るかを判定する。第2透過水W4の電気伝導率値が第1伝導率閾値を上回ると判定された場合(NO)には、処理は、ステップST151に進み、警報を報知した後に、ステップST160に進む。第2透過水W4の電気伝導率値が第1伝導率閾値を下回ると判定された場合(YES)には、処理は、そのままステップST160に進む。
ステップST160において、制御部30は、第2工程の実行を開始する。具体的には、制御部30は、第1流路切換弁62を採水側流路に切り換えると共に、脱塩水W6を原水タンク4に返送するように第2流路切換弁63を循環側流路に切り換える。この状態で、制御部30は、加圧ポンプ5を駆動する。これにより、EDIスタック20で得られた脱塩水W6を、脱塩水リターンラインL9を介して、原水タンク4に返送する。
以上のように、装置の起動時において、第1工程及び第2工程を実行することにより、水質の悪い第2透過水W4を第1RO膜モジュール11の上流側に返送することができると共に、水質の悪い脱塩水W6を第1RO膜モジュール11の上流側に返送することができる。ステップST160の後に、処理は、ステップST210に進む。
図3に示すステップST210において、制御部30は、第2工程の開始時点において、EDIスタック20の脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する水それぞれの流量がそれぞれ所定の第1設定値を上回るか否かを判定する。EDIスタック20の脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する水それぞれの流量がそれぞれ所定の第1設定値を上回ると判定された場合(YES)には、処理は、ステップST220へ移行する。EDIスタック20の脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する水それぞれの流量がそれぞれ所定の第1設定値を上回らないと判定された場合(NO)には、処理は、ステップST211へ移行する。
ステップST220において、制御部30は、EDIスタック20の脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する水それぞれの流量がそれぞれ所定の第1設定値を上回る時間が第2時間(例えば、5秒)継続したか否かを判定する。EDIスタック20の脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する水の流量がそれぞれ所定の第1設定値を上回る時間が第2時間継続した場合(YES)には、処理は、ステップST230に進む。EDIスタック20の脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する水の流量がそれぞれ所定の第1設定値を上回る時間が第2時間継続しない場合(NO)には、処理は、ステップST210に戻る。
ステップST230において、制御部30は、直流電源装置33に対し、EDIスタック20へ直流電圧を出力させる指令信号を送信する。これにより、EDIスタック20へ通電がなされ、EDIスタック20の動作が開始される。
ステップST210において、EDIスタック20の脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する水それぞれの流量がそれぞれ所定の第1設定値を上回らないと判定された場合(NO)には、ステップST211において、制御部30は、EDIスタック20の脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する水それぞれの流量のうちのいずれかが所定の第2設定値を下回るか否かを判定する。EDIスタック20の脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する水それぞれの流量のうちのいずれかが所定の第2設定値を下回ると判定された場合(YES)には、処理は、ステップST212へ移行する。EDIスタック20の脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する水それぞれの流量のうちいずれかが所定の第2設定値を下回らないと判定された場合(NO)には、処理は、ステップST210へ戻る。
ステップST212において、制御部30は、EDIスタック20の脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する水それぞれの流量がそれぞれ所定の第2設定値を下回る時間が第3時間(例えば、10秒)継続したか否かを判定する。EDIスタック20の脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する水それぞれの流量がそれぞれ所定の第2設定値を下回る時間が第3時間継続した場合(YES)には、処理は、ステップST213に進む。EDIスタック20の脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する水それぞれの流量がそれぞれ所定の第2設定値を下回る時間が第3時間継続しない場合(NO)には、処理は、ステップST211へ戻る。
ステップST213において、制御部30は、流量異常の警報を報知部31により報知する。その後、処理は、ステップST210に戻る。
ステップST240において、制御部30は、EDIスタック20の動作を開始してから第4時間(例えば、60秒)経過したか否かを判定する。EDIスタック20の動作を開始してから第4時間経過したと判定された場合(YES)には、処理は、ステップST250へ移行する。EDIスタック20の動作を開始してから第4時間経過していない判定された場合(NO)には、処理は、ステップST240を繰り返す。
ステップST250において、制御部30は、EDIスタック20の動作を開始してから第4時間経過した時点において、脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の電気伝導率(EC値)が所定の第2伝導率閾値(例えば、1μS/cm)を下回るか否かを判定する。脱塩水ラインL8を流通する脱塩水の電気伝導率が所定の第2伝導率閾値を下回る場合(YES)には、処理は、ステップST260に進む。脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の電気伝導率が所定の第2伝導率閾値を上回る場合(NO)には、処理は、ステップST251に進む。
ステップST260において、制御部30は、純水の採水を開始して、需要箇所等へ脱塩水W6を供給する。具体的には、制御部30は、脱塩水W6を需要箇所へ供給するように第2流路切換弁63を採水側流路に切り換える。これにより、EDIスタック20で得られた脱塩水W6を、脱塩水ラインL8を介して、需要箇所へ供給するように送り出す。これにより、需要箇所へ向けて純水の採水が実行される。
ステップST270において、制御部30は、採水中に需要箇所から純水の送水要求がないか否かを判定する。採水中に需要箇所から純水の送水要求がないと判定された場合(YES)には、処理は、ステップST110に移行して、純水製造装置1は、待機状態(即ち、採水を終了)となる。採水中に需要箇所から純水の送水要求があると判定された場合(NO)には、処理は、ステップST280へ移行する。
ステップST280において、制御部30は、純水製造装置1の運転スイッチがOFF(停止)であるか否かを判定する。純水製造装置1の運転スイッチがOFF(停止)である場合(YES)には、純水製造装置1の運転が停止されて、処理は、終了する。純水製造装置1の運転スイッチがON(運転)である場合(NO)には、処理は、ステップST270へ戻り、純水の採水を継続する。
ステップST250における脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の電気伝導率が所定の第2伝導率閾値を上回る場合(NO)には、ステップST251において、制御部30は、水質異常の警報を報知部31により報知する。
ステップST252において、制御部30は、採水(需要箇所への脱塩水の供給の強制的な開始)、循環(第2工程からなる循環工程の強制的な実行)、待機(需要箇所への脱塩水の供給の強制的な停止)についてユーザーに選択させるための選択画面を報知部31又は入力操作部32に表示し、入力操作部32により入力可能な状態になるように制御する。これにより、脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の電気伝導率が所定の第2伝導率閾値を上回る場合において、ユーザーは、採水、循環、待機のいずれかを選択して、純水製造装置1を運転させることができる。
ステップST253において、制御部30は、報知部31又は入力操作部32に表示された選択画面において、採水が選択されたか否かを判定する。採水が選択された場合(YES)には、処理は、ステップST260へ移行して、採水を開始する。採水が選択されない場合(NO)には、処理は、ステップST254へ移行する。
ステップST254において、制御部30は、報知部31又は入力操作部32に表示された選択画面において、循環が選択されたか否かを判定する。循環が選択された場合(YES)には、処理は、ステップST230へ移行して、EDIスタック20に対して通電を行う。循環が選択されない場合(NO)には、処理は、ステップST110へ移行して、純水製造装置1は、待機状態となる。
上述した本実施形態に係る純水製造装置1によれば、例えば、以下のような効果が奏される。
本実施形態に係る純水製造装置1は、第1RO膜モジュール11及び第2RO膜モジュール12と、EDIスタック20と、第1RO膜モジュール11及び第2RO膜モジュール12で分離された第2透過水W4をEDIスタック20に流通させる第2透過水ラインL3と、脱塩水ラインL8と、原水W1を下流側に向けて吐出する加圧ポンプ5と、第2透過水ラインL3を流通する第2透過水W4の圧力を測定する圧力センサ52と、警報を報知する報知部31と、加圧ポンプ5の駆動後において第2透過水ラインL3を流通する第2透過水W4の圧力値が所定の圧力閾値を上回る場合には需要箇所へ脱塩水W6を供給する採水状態から需要箇所へ脱塩水W6を供給しない待機状態に移行するように制御し、報知部31による報知を実行するように制御する制御部30と、を備える。
そのため、第2透過水ラインL3を流通する第2透過水W4の圧力値が所定の圧力閾値を上回る場合に、採水状態から待機状態に移行させることができる。これにより、第2RO膜モジュール12の背圧が高い場合に、待機状態に移行させて、第2RO膜モジュール12の膜の破損を防止することができる。また、第2RO膜モジュール12の背圧の上昇に伴って第2透過水W4の流量が減少したとしても、EDIスタック20におけるスケールの発生を防止することができる。更に、第2RO膜モジュール12の背圧が高い場合に、EDIスタック20の詰まり等の異常が発生していることをユーザーに認識させることができる。これにより、ユーザーにEDIスタック20の洗浄や交換等のメンテナンスを促すことができる。
また、本実施形態においては、制御部30は、加圧ポンプ5の駆動後において第2透過水ラインL3を流通する第2透過水W4の圧力値が所定の圧力閾値を下回る場合には、第2RO膜モジュールで分離された第2透過水W4を第2RO透過水リターンラインL7(第1循環水ライン)を介して第1RO膜モジュール11の上流側へ返送する第1工程を実行し、第1工程の実行後更に、EDIスタック20で得られた脱塩水W6を脱塩水リターンラインL9(第2循環水ライン)を介して第1RO膜モジュール11の上流側へ返送する第2工程を実行する。
そのため、第2透過水ラインL3を流通する第2透過水W4の圧力値が所定の圧力閾値を下回る場合に、第1工程及び第2工程を実行することにより、第2RO膜モジュール12からの第2透過水W4を第1RO膜モジュール11の上流側に返送しつつ、第2透過水W4の水質を回復させることができると共に、EDIスタック20から脱塩水W6を第1RO膜モジュール11の上流側に返送しつつ、脱塩水W6の水質を回復させることができる。これにより、第2RO膜モジュール12の背圧が正常な場合に、水質が回復された脱塩水W6を需要箇所へ供給することができる。
また、本実施形態においては、制御部30は、報知部31による報知を実行した後において、報知部31による報知がリセットされ、且つ脱塩水W6の送水要求がある場合には待機状態から採水状態に移行するように制御する。
そのため、第2RO膜モジュール12の背圧異常(第2透過水W4の圧力値が高い異常)が報知されている場合には、この報知をユーザーがリセットする操作を行うことで、加圧ポンプ5を停止状態から駆動状態に移行させて、採水を速やかに実行することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。例えば、前記実施形態においては、逆浸透膜モジュールを、第1RO膜モジュール11及び第2RO膜モジュール12を直列に2段で配置した構成としたが、これに制限されない。逆浸透膜モジュールを、第1RO膜モジュール11のみの1段により構成してもよい。
また、前記実施形態においては、純水製造装置1の動作の処理手順において、制御部30は、ステップST122において第2透過水W4の圧力値が圧力閾値を上回ると判定された場合(NO)に、背圧異常の警報を報知(ステップST123)した後に、待機状態(ステップST110)に移行するように制御したが、これに制限されない。制御部30は、ステップST122において第2透過水W4の圧力値が圧力閾値を上回ると判定された場合(NO)に、待機状態へ移行した後に背圧異常の警報を報知するように制御してもよいし、待機状態への移行と背圧異常の警報の報知とを同時に行うように制御してもよい。