本発明の一実施形態に係る純水製造装置1について、図面を参照しながら説明する。図1Aは、一実施形態に係る純水製造装置1の全体構成図の前段部分である。図1Bは、一実施形態に係る純水製造装置1の全体構成図の後段部分である。本実施形態に係る純水製造装置1は、例えば、原水(例えば、水道水)から脱塩水を製造する純水製造装置に適用される。純水製造装置で製造された脱塩水は、純水として、需要箇所等に送出される。なお、本実施形態の純水製造装置において、需要箇所等へ純水を供給することを「採水」ともいう。
図1A及び図1Bに示すように、本実施形態に係る純水製造装置1は、活性炭濾過器2と、プレフィルタ3と、第1加圧ポンプ5と、第1インバータ6と、第1逆浸透膜モジュールとしての第1RO膜モジュール11と、中間タンク7と、第2加圧ポンプ8と、第2インバータ9と、第2逆浸透膜モジュールとしての第2RO膜モジュール12と、電気脱イオンスタックとしてのEDIスタック20と、制御部30と、報知手段としての報知部31と、入力操作部32と、直流電源装置33と、を備える。
また、純水製造装置1は、原水補給弁61と、第1流路切換弁62と、送出手段としての第2流路切換弁63と、調整弁としてのリリーフ弁64と、減圧弁65と、第1流通弁101と、第2流通弁102と、第1排水弁111〜第3排水弁113と、圧力スイッチ211と、第1温度センサ221〜第4温度センサ224と、第1圧力センサ231〜第5圧力センサ235と、第1流量センサ241と、第2流量センサ242と、流量測定手段としての第3流量センサ243と、第1電気伝導率センサ251と、第2電気伝導率センサ252と、電気的特性検出手段としての比抵抗センサ261と、を備える。
図1A及び図1Bでは、電気的な接続の経路を省略するが、制御部30は、第1流路切換弁62、第2流路切換弁63、第1流通弁101、第2流通弁102、第1排水弁111〜第3排水弁113、圧力スイッチ211、第1温度センサ221〜第4温度センサ224、第1圧力センサ231〜第5圧力センサ235、第1流量センサ241〜第3流量センサ243、第1電気伝導率センサ251、第2電気伝導率センサ252及び比抵抗センサ261と電気的に接続される。
また、純水製造装置1は、供給水ラインとしての原水ラインL1と、第1透過水ラインL2と、第2透過水ラインL3と、第1RO濃縮水リターンラインL4と、第1循環水ラインとしての第1RO透過水リターンラインL5と、第1RO濃縮水排出ラインL11と、第2RO濃縮水リターンラインL6と、第2循環水ラインとしての第2RO透過水リターンラインL7と、脱塩水ラインL8と、第3循環水ラインとしての脱塩水リターンラインL9と、EDI濃縮水排出ラインL10と、を備える。なお、本明細書における「ライン」とは、流路、径路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
原水ラインL1には、原水W1(供給水)が流通する。原水ラインL1は、原水W1を、第1RO膜モジュール11へ流通させるラインである。原水ラインL1は、原水W1の供給源(不図示)と第1RO膜モジュール11とをつなぐラインである。原水ラインL1の上流側の端部は、原水W1の供給源(不図示)に接続されている。また、原水ラインL1の下流側の端部は、第1RO膜モジュール11の一次側入力ポート(原水W1の入口)に接続されている。なお、図1A及び図1Bにおいて図示を省略しているが、各ラインの所定位置には、逆止弁や定流量弁や手動により開放状態を切換可能な二方弁等が適宜設けられている。
原水ラインL1には、上流側から順に、原水補給弁61、活性炭濾過器2、プレフィルタ3、減圧弁65、第1流通弁101、接続部J21、第1加圧ポンプ5、第1RO膜モジュール11が設けられている。原水補給弁61は、原水ラインL1を開閉可能な手動弁である。
活性炭濾過器2は、原水W1に含まれる塩素成分(主として残留塩素)を除去する機器である。活性炭濾過器2は、圧力タンク内に活性炭からなる濾材床を有している。活性炭濾過器2は、原水W1に含まれる塩素成分を分解除去するほか、有機成分を吸着除去したり、懸濁物質を捕捉したりして原水W1を浄化する。
プレフィルタ3は、活性炭濾過器2により濾過された原水W1に含まれる微粒子を除去するフィルタである。プレフィルタ3は、ハウジング内にフィルタエレメントが収容されて構成される。フィルタエレメントとしては、例えば、濾過精度が1〜50μmの不織布フィルタエレメントや糸巻きフィルタエレメント等が用いられる。
減圧弁65は、活性炭濾過器2及びプレフィルタ3を通過した原水W1の圧力を、第1RO膜モジュール11より流出する濃縮水W3の圧力よりも低い圧力に調整する機器である。原水W1の圧力<濃縮水W3の圧力となるように、減圧弁65より原水W1の圧力が調整されることで、濃縮水W3の一部が原水W1に循環され、原水W1に濃縮水W3が混合された供給水が第1RO膜モジュール11に供給される。即ち、第1RO膜モジュール11においては、加圧ポンプ5により供給水を循環させながら、透過水を生産するクロスフロー方式の分離操作が行われるようになっている。
接続部J21には、後述する第1RO濃縮水リターンラインL4の下流側の端部及び第1RO透過水リターンラインL5の下流側の端部が接続されている。なお、プレフィルタ3と減圧弁65の間には、真空破壊弁(不図示)を設けてもよい。原水ラインL1に真空破壊弁を設けておくと、原水W1が断水となって原水ラインL1が負圧になったとしても、RO膜モジュール11の膜の破損等の不具合を防止することができる。
第1加圧ポンプ5は、原水ラインL1を流通する原水W1を吸入し、第1RO膜モジュール11へ向けて圧送する装置である。第1加圧ポンプ5には、第1インバータ6から周波数が変換された駆動電力が供給される。第1加圧ポンプ5は、供給された駆動電力の周波数(以下、「駆動周波数」ともいう)に応じた回転速度で駆動される。
第1インバータ6は、第1加圧ポンプ5に、周波数が変換された駆動電力を供給する電気回路(又はその回路を持つ装置)である。第1インバータ6は、制御部30と電気的に接続されている。第1インバータ6には、制御部30から指令信号が入力される。第1インバータ6は、制御部30により入力された指令信号(電流値信号又は電圧値信号)に対応する駆動周波数の駆動電力を第1加圧ポンプ5に出力する。
第1RO膜モジュール11は、第1加圧ポンプ5により圧送された原水W1を、溶存塩類が除去された第1透過水W2と、溶存塩類が濃縮された濃縮水W3と、に分離する。第1RO膜モジュール11は、単一又は複数のスパイラル型RO膜エレメントを圧力容器(ベッセル)に収容して構成される。当該RO膜エレメントに使用されるRO膜としては、架橋芳香族ポリアミド系複合膜などが例示される。架橋芳香族ポリアミド系複合膜からなるRO膜エレメントとしては、東レ社製:型式名「TMG20−400」、ウンジン・ケミカル社製:型式名「RE8040−BLF」、日東電工社製:型式名「ESPA1」等が市販されており、これらのエレメントを好適に用いることができる。
第1RO濃縮水リターンラインL4は、第1RO膜モジュール11で分離された濃縮水W3の一部を原水ラインL1へ返送するラインである。第1RO濃縮水リターンラインL4の上流側の端部は、第1RO膜モジュール11の一次側出口ポート(濃縮水W3の出口)に接続されている。第1RO濃縮水リターンラインL4の下流側の端部は、接続部J21において原水ラインL1に接続されている。
第1RO濃縮水排出ラインL11は、第1RO膜モジュール11で分離された濃縮水W3の残部を、第1RO濃縮水リターンラインL4の途中から装置の外へ排出するように流通させるラインである。第1RO濃縮水排出ラインL11の上流側の端部は、接続部J23に接続されている。接続部J23は、第1RO濃縮水リターンラインL4と接続部J22との間に配置されている。第1RO濃縮水排出ラインL11の下流側は、分岐部J24において、第1排水ラインL12、第2排水ラインL13及び第3排水ラインL14に分岐されている。
第1排水ラインL12には、第1排水弁111が設けられている。第2排水ラインL13には、第2排水弁112が設けられている。第3排水ラインL14には、第3排水弁113が設けられている。第1排水弁111〜第3排水弁113は、第1RO濃縮水排出ラインL11から第1排水ラインL12、第2排水ラインL13及び第3排水ラインL14に流通されて、装置の外へ排出される濃縮水W3の排水流量を調節する弁である。
第1排水弁111は、第1排水ラインL12を開閉することができる。第2排水弁112は、第2排水ラインL13を開閉することができる。第3排水弁113は、第3排水ラインL113を開閉することができる。
第1排水ラインL12、第2排水ラインL13及び第3排水ラインL14の下流側の端部は、接続部J25において、合流排水ラインL15の上流側の端部に接続されている。合流排水ラインL15の下流側の端部は、例えば、排水ピット(不図示)に接続又は開口している。
第1透過水ラインL2は、第1RO膜モジュール11で分離された第1透過水W2を第2RO膜モジュール12に流通させるラインである。第1透過水ラインL2の上流側の端部は、図1Aに示すように、第1RO膜モジュール11の二次側ポート(第1透過水W2の出口)に接続されている。第1透過水ラインL2の下流側の端部は、図1Bに示すように、第2RO膜モジュール12の一次側入口ポート(第1透過水W2の入口)に接続されている。
第1透過水ラインL2には、上流側から順に、図1Aに示すように、接続部J26、第2流通弁102が設けられ、更に、図1Bに示すように、中間タンク7、接続部J31、第2加圧ポンプ8、及び第2RO膜モジュール12が設けられている。接続部J26には、第1RO透過水リターンラインL5の上流側の端部が接続されている。
第1RO透過水リターンラインL5は、第1RO膜モジュール11で分離された第1透過水W2を第1RO膜モジュール11の上流側の原水ラインL1へ返送するラインである。第1RO透過水リターンラインL5の下流側は、接続部J22において、第1RO濃縮水リターンラインL4に合流されている。接続部J22は、第1RO濃縮水リターンラインL4における接続部J23と接続部J21との間に配置されている。第1RO透過水リターンラインL5における接続部J22から接続部J21までの部分は、第1RO濃縮水リターンラインL4における接続部J22から接続部J21までの部分と共通する。
第1RO透過水リターンラインL5には、リリーフ弁64が設けられている。リリーフ弁64は、常閉式の圧力作動弁であって、一次側の圧力が二次側の圧力よりも一定の圧力以上高い場合に開放される調整弁である。詳細には、第1RO透過水リターンラインL5の管内圧力が予め設定された圧力以上になったときに開状態となり、第1透過水ラインL2を流通される第1透過水W2を、接続部J21を介して第1RO透過水リターンラインL5に流通させるための弁である。
リリーフ弁64における二次側の圧力(接続部J21での原水W1の圧力)は、減圧弁65により第1加圧ポンプ5の運転圧力未満に調整される。第2流通弁102が閉状態に制御された状態で第1加圧ポンプ5を駆動させると、リリーフ弁64における一次側の圧力(接続部J26での第1透過水W2の圧力)は、二次側の圧力よりも高くなる。これにより、リリーフ弁64が開放されて、第1透過水ラインL2を流通する第1透過水W2を、第1RO透過水リターンラインL5に流通させることができる。
中間タンク7は、第1透過水ラインL2における第1RO膜モジュール11と第2RO膜モジュール12との間に設けられている。中間タンク7は、第1RO膜モジュール11で分離された第1透過水W2を貯留するタンクである。接続部J31には、後述する第2RO濃縮水リターンラインL6の下流側の端部及び後述する第2RO透過水リターンラインL7の下流側の端部が接続されている。
第2加圧ポンプ8は、第1透過水ラインL2を流通する第1透過水W2を吸入し、第2RO膜モジュール12へ向けて圧送する装置である。第2加圧ポンプ8には、第2インバータ9から周波数が変換された駆動電力が供給される。第2加圧ポンプ8は、供給された駆動電力の周波数(以下、「駆動周波数」ともいう)に応じた回転速度で駆動される。
第2インバータ9は、第2加圧ポンプ8に、周波数が変換された駆動電力を供給する電気回路(又はその回路を持つ装置)である。第2インバータ9は、制御部30と電気的に接続されている。第2インバータ9には、制御部30から指令信号が入力される。第2インバータ9は、制御部30により入力された指令信号(電流値信号又は電圧値信号)に対応する駆動周波数の駆動電力を第2加圧ポンプ8に出力する。
第2RO膜モジュール12は、第1RO膜モジュール11で分離されて第2加圧ポンプ8により圧送された第1透過水W2を、第1透過水W2よりも溶存塩類が除去された第2透過水W4と、溶存塩類が濃縮された濃縮水W5と、に分離する。第2RO膜モジュール12は、単一又は複数のスパイラル型RO膜エレメントを圧力容器(ベッセル)に収容して構成される。第1RO膜モジュール11においても、第2RO膜モジュール12と同様のRO膜エレメントを使用することができる。
第2RO濃縮水リターンラインL6は、第2RO膜モジュール12で分離された濃縮水W5を第1透過水ラインL2へ返送するラインである。第2RO濃縮水リターンラインL6の上流側の端部は、第2RO膜モジュール12の一次側出口ポート(濃縮水の出口)に接続されている。第2RO濃縮水リターンラインL6の下流側の端部は、接続部J31に接続されている。接続部J31は、第1透過水ラインL2における中間タンク7と第2加圧ポンプ8との間に配置されている。
第2透過水ラインL3は、第2RO膜モジュール12で分離された第2透過水W4をEDIスタック20に流通させるラインである。第2透過水ラインL3は、前段側透過水ラインL31と、中段側透過水ラインL32と、脱塩室流入ラインL321と、濃縮室流入ラインL322と、を有する。
前段側透過水ラインL31の上流側の端部は、第2RO膜モジュール12の二次側ポート(第2透過水W4の出口)に接続されている。前段側透過水ラインL31の下流側の端部は、第1流路切換弁62を介して、中段側透過水ラインL32及び第2RO透過水リターンラインL7に接続されている。
第1流路切換弁62は、第2RO膜モジュール12で分離された第2透過水W4を、中段側透過水ラインL32を介してEDIスタック20へ向けて流通させる流路(採水側流路)、又は、第2RO透過水リターンラインL7を介して第1透過水ラインL2へ向けて流通させる流路(循環側流路)に切り換え可能な弁である。第1流路切換弁62は、例えば、電動式や電磁式の三方弁により構成される。第1流路切換弁62は、制御部30と電気的に接続されている。第1流路切換弁62における流路の切り換えは、制御部30からの流路切換信号により制御される。
第2RO透過水リターンラインL7は、第2RO膜モジュール12で分離された第2透過水W4を、第1RO膜モジュール11と第2RO膜モジュール12との間の第1透過水ラインL2へ返送するラインである。第2RO透過水リターンラインL7の上流側の端部は、第1流路切換弁62に接続されている。第2RO透過水リターンラインL7の下流側は、接続部J32において、第2RO濃縮水リターンラインL6に合流されている。接続部J32は、第2RO濃縮水リターンラインL6における第2RO膜モジュール12と接続部J31との間に配置されている。第2RO透過水リターンラインL7における接続部J32から接続部J31までの部分は、第2RO濃縮水リターンラインL6における接続部J32から接続部J31までの部分と共通する。
中段側透過水ラインL32の上流側の端部は、第1流路切換弁62に接続されている。中段側透過水ラインL32の下流側の端部は、分岐部J33において、脱塩室流入ラインL321及び濃縮室流入ラインL322に分岐されている。
脱塩室流入ラインL321及び濃縮室流入ラインL322の下流側の端部は、EDIスタック20の一次側ポート(脱塩室21及び濃縮室22の各入口側)に接続されている。
EDIスタック20は、第2RO膜モジュール12で第1透過水W2から分離された第2透過水W4を脱塩処理して、脱塩水W6と濃縮水W7とを得る水処理機器である。EDIスタック20は、直流電源装置33と電気的に接続されている。EDIスタック20には、直流電源装置33から直流電圧が入力される。EDIスタック20は、直流電源装置33から入力された直流電圧により、通電され、動作される。
直流電源装置33は、直流電圧をEDIスタック20の一対の電極間に印加する。直流電源装置33は、制御部30と電気的に接続されている。直流電源装置33は、制御部30により入力された指令信号に応答して、直流電圧をEDIスタック20に出力する。
EDIスタック20は、一対の電極間に、陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜(不図示)が交互に配置される。EDIスタック20の内部は、これらイオン交換膜により、脱塩室21及び濃縮室22(陽極室及び陰極室を含む)に区画される。脱塩室21には、イオン交換体(不図示)が充填される。脱塩室21に充填されるイオン交換体としては、例えば、イオン交換樹脂やイオン交換繊維等が用いられる。なお、図1Bでは、EDIスタック20の内部に区画された複数の脱塩室21及び濃縮室22を模式的に示す。
脱塩室21の入口側には、第2透過水W4を流入させる脱塩室流入ラインL321が接続されている。脱塩室21の出口側には、脱塩室21においてイオンが除去されて排出された脱塩水W6を流通させる脱塩水ラインL8が接続されている。濃縮室22の入口側には、第2透過水W4を流入させる濃縮室流入ラインL322が接続されている。濃縮室22の出口側には、イオンが濃縮されて排出された濃縮水W7を流通させるEDI濃縮水排出ラインL10が接続されている。
脱塩室21及び濃縮室22それぞれには、第2透過水ラインL3を流通する第2透過水W4が流入される。第2透過水W4に含まれる残留イオンは、脱塩室21内に充填されたイオン交換体(不図示)により捕捉され、脱塩水W6となる。脱塩水W6は、脱塩水ラインL8(後述)を介して需要箇所へ送出される。また、脱塩室21内のイオン交換体に捕捉された残留イオンは、付与された電気エネルギーにより濃縮室22に移動する。そして、残留イオンを含む水は、濃縮室22からEDI濃縮水排出ラインL10(後述)を介して濃縮水W7として排出される。
脱塩水ラインL8は、EDIスタック20で得られた脱塩水W6を純水として需要箇所に向けて送出するラインである。脱塩水ラインL8は、上流側脱塩水ラインL81と、下流側脱塩水ラインL82と、を有する。
上流側脱塩水ラインL81の上流側の端部は、EDIスタック20の二次側ポート(脱塩室21の出口側)に接続されている。上流側脱塩水ラインL81の下流側の端部は、第2流路切換弁63を介して、下流側脱塩水ラインL82及び脱塩水リターンラインL9(後述)に接続されている。
第2流路切換弁63は、EDIスタック20の脱塩室21で得られた脱塩水W6を、下流側脱塩水ラインL82を介して需要箇所に向けて送出させる流路(採水側流路)、又は、脱塩水リターンラインL9を介して中間タンク7に向けて流通させる流路(循環側流路)に切り換え可能な弁である。第2流路切換弁63は、例えば、電動式や電磁式の三方弁により構成される。第2流路切換弁63は、制御部30と電気的に接続されている。第2流路切換弁63における流路の切り換えは、制御部30からの流路切換信号により制御される。
第2流路切換弁63は、制御部30により採水側流路に切り換えられることにより、EDIスタック20で得られた脱塩水W6を脱塩水ラインL8から需要箇所に供給するように送り出す処理を実行可能な送出手段として機能する。
下流側脱塩水ラインL82の上流側の端部は、第2流路切換弁63に接続されている。下流側脱塩水ラインL82の下流側の端部は、需要箇所の装置等(不図示)に接続されている。
脱塩水リターンラインL9は、EDIスタック20の脱塩室21で得られた脱塩水W6を、脱塩水ラインL8の途中から、第1RO膜モジュール11と第2RO膜モジュール12との間の中間タンク7へ返送するラインである。本実施形態においては、脱塩水リターンラインL9の上流側の端部は、第2流路切換弁63に接続されている。脱塩水リターンラインL9の下流側の端部は、中間タンク7に接続されている。脱塩水リターンラインL9は、EDIスタック20の脱塩室21で得られた脱塩水W6を中間タンク7へ返送する。
EDI濃縮水排出ラインL10は、EDIスタック20の濃縮室22から排出された濃縮水W7を、装置の外に排出するように流通させるラインである。EDI濃縮水排出ラインL10の上流側の端部は、EDIスタック20の二次側ポート(濃縮室22の出口側)に接続されている。EDI濃縮水排出ラインL43の下流側は、例えば、排水ピット(不図示)に接続又は開口している。
水位センサ41は、中間タンク7に貯留される第1透過水W2の水位を測定する機器である。水位センサ41は、中間タンク7の内部に配置されている。また、水位センサ41は、制御部30と電気的に接続されている。水位センサ41で測定された中間タンク7の水位は、制御部30へ検出信号として送信される。本実施形態においては、水位センサ41は、レベルスイッチであり、例えば、フロート式や電極式のものが用いられる。レベルスイッチは、予め設定された液面位置の検出器であり、例えば、複数の液面位置(例えば、4位置)を検出するように構成されている。図1Bでは、水位センサ41として、フロート式のものを設けた例を示す。なお、水位センサ41は、レベルスイッチには制限されず、例えば、連続式レベルセンサであってもよい。連続式レベルセンサとしては、例えば、静電容量式センサ、圧力式センサ、超音波式センサ等が用いられる。
圧力スイッチ211は、原水ラインL1を流通する原水W1の圧力が第1設定圧力値以下又は第2設定圧力値以上であることを検出する機器である。圧力スイッチ211は、接続部J1において、原水ラインL1に接続されている。接続部J1は、原水ラインL1における接続部J21と第1加圧ポンプ5との間に配置されている。圧力スイッチ211で検出された原水W1の圧力の検出信号は制御部30へ送信される。
第1温度センサ221は、原水ラインL1を流通する原水W1の温度を測定する機器である。第1温度センサ221は、接続部J2において、原水ラインL1に接続されている。接続部J2は、原水ラインL1における接続部J21と第1加圧ポンプ5との間に配置されている。第2温度センサ222は、第1透過水ラインL2の中間タンク7よりも上流側を流通する第1透過水W2の温度を測定する機器である。第2温度センサ222は、接続部J5において、第1透過水ラインL2に接続されている。接続部J5は、第1透過水ラインL2における第2流通弁102と中間タンク7との間に配置されている。
第3温度センサ223は、第1透過水ラインL2の中間タンク7よりも下流側を流通する第1透過水W2の温度を測定する機器である。第3温度センサ223は、接続部J7において、第1透過水ラインL2に接続されている。接続部J7は、第1透過水ラインL2における接続部J31と第2加圧ポンプ8との間に配置されている。第4温度センサ224は、第2透過水ラインL3を流通する第2透過水W4の温度を測定する機器である。第4温度センサ224は、接続部J11において、第2透過水ラインL3に接続されている。接続部J11は、第2透過水ラインL3における第2RO膜モジュール12と第1流路切換弁62との間に配置されている。
第1温度センサ221〜第4温度センサ224は、制御部30と電気的に接続されている。第1温度センサ221〜第4温度センサ224で測定された原水W1、第1透過水W2又は第2透過水W4の温度は、制御部30へ検出信号として送信される。
第1圧力センサ231は、原水ラインL1を流通する原水W1の圧力を測定する機器である。第1圧力センサ231は、接続部J3において、原水ラインL1に接続されている。接続部J3は、原水ラインL1における第1加圧ポンプ5と第1RO膜モジュール11との間に配置されている。第2圧力センサ232は、第1透過水ラインL2の中間タンク7よりも下流側を流通する第1透過水W2の圧力を測定する機器である。第2圧力センサ232は、接続部J8において、第1透過水ラインL2に接続されている。接続部J8は、第1透過水ラインL2における第2加圧ポンプ8と第2RO膜モジュール12との間に配置されている。第3圧力センサ233は、第2透過水ラインL3を流通する第2透過水W4の圧力を測定する機器である。第3圧力センサ233は、接続部J10において、第2透過水ラインL3に接続されている。接続部J10は、第2透過水ラインL3における第2RO膜モジュール12と第1流路切換弁62との間に配置されている。
第4圧力センサ234は、脱塩室流入ラインL321を流通する第2透過水W4の圧力を測定する機器である。第4圧力センサ234は、接続部J13において、脱塩室流入ラインL321に接続されている。接続部J13は、脱塩室流入ラインL321に設けられている。第5圧力センサ235は、濃縮室流入ラインL322を流通する第2透過水W4の圧力を測定する機器である。第5圧力センサ235は、接続部J14において、濃縮室流入ラインL322に接続されている。接続部J14は、濃縮室流入ラインL322に設けられている。
第1圧力センサ231〜第5圧力センサ235は、制御部30と電気的に接続されている。第1圧力センサ231〜第5圧力センサ235で測定された原水W1、第1透過水W2又は第2透過水W4の圧力は、制御部30へ検出信号として送信される。
第1流量センサ241は、第1透過水ラインL2の中間タンク7よりも上流側を流通する第1透過水W2の流量を測定する機器である。第1流量センサ241は、接続部J4において、第1透過水ラインL2に接続されている。接続部J4は、第1透過水ラインL2における第2流通弁102と中間タンク7との間に配置されている。第2流量センサ242は、第2透過水ラインL3を流通する第2透過水W4の流量を測定する機器である。第2流量センサ242は、接続部J9において、第2透過水ラインL3に接続されている。接続部J9は、第2透過水ラインL3における第2RO膜モジュール12と第1流路切換弁62との間に配置されている。第3流量センサ243は、脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の流量を測定する機器である。第3流量センサ243は、接続部J16において、脱塩水ラインL8に接続されている。接続部J16は、脱塩水ラインL8におけるEDIスタック20と第2流路切換弁63との間に配置されている。
第1流量センサ241〜第3流量センサ243は、制御部30と電気的に接続されている。第1流量センサ241〜第3流量センサ243で測定された第1透過水W2、第2透過水W4又は脱塩水W6の流量は、制御部30へ検出信号として送信される。
第1電気伝導率センサ251は、第1透過水ラインL2の中間タンク7よりも上流側を流通する第1透過水W2の電気伝導率を測定する機器である。第1電気伝導率センサ251は、接続部J6において、第1透過水ラインL2に接続されている。接続部J6は、第1透過水ラインL2における第2流通弁102と中間タンク7との間に配置されている。第2電気伝導率センサ252は、第2透過水ラインL3を流通する第2透過水W4の電気伝導率を測定する機器である。第2電気伝導率センサ252は、接続部J12において、第2透過水ラインL3に接続されている。接続部J12は、第2透過水ラインL3における第2RO膜モジュール12と第1流路切換弁62との間に配置されている。
比抵抗センサ261は、脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の比抵抗を測定する機器である。比抵抗センサ261は、接続部J15において、脱塩水ラインL8に接続されている。接続部J15は、脱塩水ラインL8におけるEDIスタック20と第2流路切換弁63との間に配置されている。
第1電気伝導率センサ251、第2電気伝導率センサ252及び比抵抗センサ261は、制御部30と電気的に接続されている。第1電気伝導率センサ251で測定された第1透過水W2の電気伝導率、第2電気伝導率センサ252で測定された第2透過水W4の電気伝導率、及び比抵抗センサ261で測定された脱塩水W6の比抵抗は、制御部30へ検出信号として送信される。
報知部31は、所定の警報を報知する。報知部31は、制御部30と電気的に接続されている。報知は、例えば、表示、音声、発光などのうちの一つ以上である。つまり、報知部31は、表示器(液晶ディスプレイ等)、ブザーやスピーカー、ランプなどのうちの一つ以上から構成される。
入力操作部32は、装置の運転モードに係る選択(例えば、運転/停止の選択、警報の解除など)や、装置の運転条件に係る各種設定について、ユーザーや管理者の入力操作を受け付ける入力インターフェースである。この入力操作部32は、ディスプレイとボタンスイッチを組み合わせた操作パネルや、ディスプレイ上で直接操作するタッチパネル等により構成される。入力操作部32は、制御部30と電気的に接続されている。入力操作部32から入力された情報は、制御部30に送信される。
次に、制御部30について説明する。制御部30は、CPU及びメモリを含むマイクロプロセッサ(不図示)により構成される。制御部30において、マイクロプロセッサのメモリには、純水製造装置1を制御するための各種プログラムが記憶される。また、マイクロプロセッサのメモリには、例えば、脱塩水W6の比抵抗の閾値や、EDIスタック20から排出される脱塩水W6の流量の閾値に関するデータ等が記憶される。
制御部30において、マイクロプロセッサのCPUは、メモリから読み出した所定のプログラムに従って後述する各種の制御を実行する。また、制御部30において、マイクロプロセッサには、時間の計時等を管理するインテグレーテッドタイマユニットが組み込まれている。
制御部30は、第1工程、第2工程及び第3工程を実行するように制御する。制御部30により実行される第1工程とは、第1RO膜モジュール11で分離された第1透過水W2を、第1RO透過水リターンラインL5(第1循環水ライン)を介して第1RO膜モジュール11の上流側へ返送する工程である。具体的には、第1工程においては、第1流通弁101を開状態、第2流通弁102を閉状態に制御して第1加圧ポンプ5を駆動することにより、リリーフ弁64の一次側の圧力を高めて開弁させ、第1RO膜モジュール11で分離された第1透過水W2を接続部J21を介して原水ラインL1へ返送する。
制御部30により実行される第2工程とは、第2RO膜モジュール12で分離された第2透過水W4を、第2RO透過水リターンラインL7(第2循環水ライン)を介して第1RO膜モジュール11と第2RO膜モジュール12との間へ返送する工程である。具体的には、第2工程においては、第1流路切換弁62を循環側流路に切り換えて、第2加圧ポンプ8を駆動することにより、第2RO膜モジュール12で分離された第2透過水W4を接続部J31を介して第1透過水ラインL2へ返送する。
制御部30により実行される第3工程とは、EDIスタック20で得られた脱塩水W6を、脱塩水リターンラインL9(第3循環水ライン)を介して第1RO膜モジュール11と第2RO膜モジュール12との間へ返送する工程である。具体的には、第3工程においては、第1流路切換弁62を採水側流路に切り換えると共に、第2流路切換弁63を循環側流路に切り換えて、第2加圧ポンプ8を駆動することにより、EDIスタック20で得られた脱塩水W6を中間タンク7へ返送する。
制御部30は、装置の起動時において、第1工程及び第2工程を実行し、第1工程及び第2工程の実行後に、第3工程を実行した後に、需要箇所への脱塩水W6の供給(採水)を開始するように第2流路切換弁63を制御する。具体的には、制御部30は、第1工程の実行を開始してから第1時間経過後に第2工程に移行するように制御し、第2工程の実行を開始してから第2時間経過後に前記第3工程に移行するように制御する。なお、制御部30は、第1工程と第2工程とを同期させて実行することもできる。
また、制御部30は、第3工程において、脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の流量が所定の流量閾値を上回る時間が第3時間継続した場合には、EDIスタック20の動作を開始するように制御する。続けて、制御部30は、EDIスタック20の動作を開始してから第4時間経過した時点において、脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の比抵抗が所定の比抵抗閾値を上回る場合には、需要箇所への脱塩水W6の供給を開始するように第2流路切換弁63を制御する。
EDIスタック20から流出される脱塩水W6の流量の所定の設定値を、EDIスタック20の動作を開始するための条件とした理由は、脱塩水W6の所定値以上の流通流量がない場合には、イオン交換膜や電極の表面において、スケール発生等のリスクが高まるためである。
流量の所定の設定値としては、例えば、脱塩室21が正常に機能して、スケール発生等のリスクが生じない下限の流量値が設定される。また、所定の比抵抗閾値としては、例えば、劣化や閉塞のない電気脱イオンスタックを用いて標準的な水質の透過水を所定の運転条件(電流値,流量,水温等)で脱塩処理したときに得られる脱塩水の比抵抗値が設定される。
また、制御部30は、待機状態中に需要箇所から純水の送水要求がある場合には、第1工程を実行する。制御部30は、採水中に需要箇所から純水の送水要求がある場合には、純水製造装置1が採水を継続するように制御し、採水中に需要箇所から純水の送水要求がない場合には、純水製造装置1が待機状態に移行するように制御する。更に、制御部30は、採水中に純水製造装置1の運転スイッチがOFF(停止)である場合には、純水製造装置1の運転を停止させる。
次に、本実施形態に係る純水製造装置1の動作について説明する。図2及び図3は、純水製造装置1の動作の処理手順を示すフローチャートである。純水製造装置1は、運転スイッチがON(運転)にされることで、動作が開始される。図2及び図3に示すフローチャートの処理は、純水製造装置1の運転中において、繰り返し実行される。
図2に示すステップST110において、純水製造装置1は、電源が投入されて、運転スイッチがONにされることで、待機状態となる。
ステップST120において、制御部30は、待機状態中に需要箇所から純水の送水要求があるか否かを判定する。待機状態中に需要箇所から純水の送水要求があると判定された場合(YES)には、処理は、ステップST130へ移行する。待機状態中に需要箇所から純水の送水要求がないと判定された場合(NO)には、処理は、ステップST120を繰り返す。
待機状態中に需要箇所からの送水要求を受けると、ステップST130において、制御部30は、装置を起動させて第1工程の実行を開始する。具体的には、制御部30は、第1流通弁101を開状態、第2流通弁102を閉状態に制御する。この状態で、制御部30は、第1加圧ポンプ5を駆動することにより、リリーフ弁64の一次側の圧力を高めて開弁させ、第1RO膜モジュール11で分離された第1透過水W2を接続部J21を介して原水ラインL1へ返送する。
ステップST140において、制御部30は、第1工程の実行を開始してから第1時間(例えば、60秒)経過したか否かを判定する。第1工程の実行を開始してから第1時間経過したと判定された場合(YES)には、処理は、ステップST150に進む。第1工程の実行を開始してから第1時間経過していないと判定された場合(NO)には、処理は、ステップST140に戻り、第1工程を継続する。
ステップST150において、制御部30は、第2工程の実行を開始する。具体的には、制御部30は、第2透過水W4を第1透過水ラインL2に返送するように第1流路切換弁62を循環側流路に切り換える。この状態で、制御部30は、第2加圧ポンプ8を駆動する。これにより、第2RO膜モジュール12で分離された第2透過水W4を、第2RO透過水リターンラインL7を介して、第1透過水ラインL2に返送する。なお、ステップST150の処理開始以降、中間タンク7の減水を検知した場合には、制御部30は、第2流通弁102を開状態に制御して、第1透過水W2を中間タンク7に供給する。また、中間タンク7の満水を検知した場合には、制御部30は、第2流通弁102を閉状態に制御して、第1透過水W2を原水ラインL1へ返送する。
ステップST160において、制御部30は、第2工程の実行を開始してから第2時間(例えば、60秒)経過したか否かを判定する。第2工程の実行を開始してから第2時間経過したと判定された場合(YES)には、処理は、ステップST170に進む。第2工程の実行を開始してから第2時間経過していないと判定された場合(NO)には、処理は、ステップST160に戻り、第2工程を継続する。
ステップST170において、制御部30は、第3工程の実行を開始する。具体的には、制御部30は、第1流路切換弁62を採水側流路に切り換えると共に、脱塩水W6を中間タンク7に返送するように第2流路切換弁63を循環側流路に切り換える。この状態で、制御部30は、第2加圧ポンプ8を駆動する。これにより、EDIスタック20で得られた脱塩水W6を、脱塩水リターンラインL9を介して、中間タンク7に返送する。
以上のように、装置の起動時において、第1工程、第2工程及び第3工程を実行することにより、水質の悪い第1透過水W2を第1RO膜モジュール11の上流側に返送することができると共に、水質の悪い第2透過水W4及び脱塩水W6を第2RO膜モジュール12の上流側に返送することができる。ステップST170の後に、処理は、ステップST210に進む。
図3に示すステップST210において、制御部30は、第3工程の開始時点において、脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の流量が所定の流量閾値を上回るか否かを判定する。脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の流量が所定の流量閾値を上回ると判定された場合(YES)には、処理は、ステップST220へ移行する。脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の流量が所定の流量閾値を上回らないと判定された場合(NO)には、処理は、ステップST211へ移行する。
ステップST210において、脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の流量が所定の流量閾値を上回らないと判定された場合(NO)には、ステップST211において、制御部30は、流量異常の警報を報知部31により報知する。その後、処理は、ステップST110へ移行して、純水製造装置1は、待機状態となる。
ステップST220において、制御部30は、脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の流量が所定の流量閾値を上回る時間が第3時間(例えば、5秒)継続したか否かを判定する。脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の流量が所定の流量閾値を上回る時間が第3時間継続した場合(YES)には、処理は、ステップST230に進む。脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の流量が所定の流量閾値を上回る時間が第3時間継続しない場合(NO)には、処理は、ステップST210に戻る。
ステップST230において、制御部30は、直流電源装置33に対し、EDIスタック20へ直流電圧を出力させる指令信号を送信する。これにより、EDIスタック20へ通電がなされ、EDIスタック20の動作が開始される。
ステップST240において、制御部30は、EDIスタック20の動作を開始してから第4時間経過(例えば、60秒)したか否かを判定する。EDIスタック20の動作を開始してから第4時間経過したと判定された場合(YES)には、処理は、ステップST250へ移行する。EDIスタック20の動作を開始してから第4時間経過していない判定された場合(NO)には、処理は、ステップST240を繰り返す。
ステップST250において、制御部30は、EDIスタック20の動作を開始してから第4時間経過した時点において、脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の比抵抗が所定の比抵抗閾値(例えば、1MΩ・cm)を上回るか否かを判定する。脱塩水ラインL8を流通する脱塩水の比抵抗が所定の比抵抗閾値を上回る場合(YES)には、処理は、ステップST260に進む。脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の比抵抗が所定の比抵抗閾値を下回る場合(NO)には、処理は、ステップST251に進む。
ステップST250における脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の比抵抗が所定の比抵抗閾値を下回る場合(NO)には、ステップST251において、制御部30は、水質異常の警報を報知部31により報知する。その後、処理は、ステップST110へ移行して、純水製造装置1は、待機状態となる。
ステップST260において、制御部30は、純水の採水を開始して、需要箇所等へ脱塩水W6を供給する。具体的には、制御部30は、脱塩水W6を需要箇所へ供給するように第2流路切換弁63を採水側流路に切り換える。これにより、EDIスタック20で得られた脱塩水W6を、脱塩水ラインL8を介して、需要箇所へ供給するように送り出す。これにより、需要箇所へ向けて純水の採水が実行される。
ステップST270において、制御部30は、採水中に需要箇所から純水の送水要求がないか否かを判定する。採水中に需要箇所から純水の送水要求がないと判定された場合(YES)には、処理は、ステップST110に移行して、純水製造装置1は、待機状態(即ち、採水を終了)となる。採水中に需要箇所から純水の送水要求があると判定された場合(NO)には、処理は、ステップST280へ移行する。
ステップST280において、制御部30は、純水製造装置1の運転スイッチがOFF(停止)であるか否かを判定する。純水製造装置1の運転スイッチがOFF(停止)である場合(YES)には、純水製造装置1の運転が停止されて、処理は、終了する。純水製造装置1の運転スイッチがON(運転)である場合(NO)には、処理は、ステップST270へ戻り、純水の採水を継続する。
上述した本実施形態に係る純水製造装置1によれば、例えば、以下のような効果が奏される。
本実施形態に係る純水製造装置1は、第1RO膜モジュール11と、第2RO膜モジュール12と、EDIスタック20と、第1透過水ラインL2と、第2透過水ラインL3と、脱塩水W6を需要箇所に向けて送出する脱塩水ラインL8と、脱塩水W6を送り出す処理を実行可能な第2流路切換弁63と、装置の起動時において、第1RO膜モジュール11で分離された第1透過水W2を第1RO透過水リターンラインL5を介して第1RO膜モジュール11の上流側へ返送する第1工程を実行し、第2RO膜モジュール12で分離された第2透過水W4を第2RO透過水リターンラインL7を介して第1透過水ラインL2へ返送する第2工程を実行し、第1工程及び第2工程の後に、EDIスタック20で得られた脱塩水W6を脱塩水リターンラインL9を介して第1透過水ラインL2へ返送する第3工程を実行した後に、需要箇所への脱塩水W6の供給を開始するように第2流路切換弁63を制御する制御部30と、を備える。
そのため、装置の起動時において、第1工程、第2工程及び第3工程を実行することにより、第1RO膜モジュール11からの第1透過水W2を第1RO膜モジュール11の上流側に返送しつつ、第1透過水W2の水質を回復させ、第2RO膜モジュール12からの第2透過水W4を第2RO膜モジュール12の上流側に返送しつつ、第2透過水W4の水質を回復させ、EDIスタック20からの脱塩水W6を第2RO膜モジュール12の上流側に返送しつつ、脱塩水W6の水質を回復させることができる。これにより、装置の運転開始直後において、水質が回復された脱塩水W6を需要箇所へ供給することができる。この結果、需要箇所へ供給される純水の水質を回復させることができる。
また、本実施形態においては、脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の流量を測定する第2流量センサ54と、脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の比抵抗を測定する比抵抗センサ261と、を更に備え、制御部30は、第3工程において、脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の流量が所定の設定値を上回る時間が第3時間継続した場合にはEDIスタック20の動作を開始するように制御し、続けて、EDIスタック20の動作を開始してから第4時間経過した時点において、脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の比抵抗が所定の比抵抗閾値を上回る場合には需要箇所への脱塩水W6の供給を開始するように第2流路切換弁63を制御する。
そのため、脱塩水W6の流量に基づいて、スケール発生等のリスクが低減された状態で、EDIスタック20を動作させることができる。また、脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の比抵抗に基づいて、脱塩水W6の水質が需要箇所での要求を満足する場合に、採水を開始することができる。
また、本実施形態においては、第1RO透過水リターンラインL5に設けられ、一次側の圧力が二次側の圧力よりも一定の圧力以上高い場合に開放されるリリーフ弁64を備える。そのため、第1透過水ラインL2を第2流通弁102で閉止する簡易な構成で、第1透過水W2を第1RO透過水リターンラインL5に流通させて、第1RO膜モジュール11の上流側へ返送することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。例えば、前記実施形態においては、比抵抗センサ261により測定される比抵抗に基づいて、採水を実行するように構成したが、これに制限されない。例えば、電気伝導率測定手段により測定される電気伝導率に基づいて、採水を実行するように構成してもよい。例えば、脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の電気伝導率を測定する電気伝導率測定手段(第3電気伝導率センサ)を備える場合には、第3工程において、EDIスタック20の動作を開始してから第4時間経過した時点において、脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の電気伝導率が所定の電気伝導率閾値(例えば、1μS/cm)を下回る場合には需要箇所への脱塩水W6の供給を開始するように第2流路切換弁63を制御することができる。
また、前記実施形態においては、第2RO透過水リターンラインL7は、第2RO膜モジュール12で分離された第2透過水W4を、第1流路切換弁62を介して第1透過水ラインL2へ返送するように構成されているが、これに制限されない。例えば、第2RO透過水リターンラインL7は、第2RO膜モジュール12で分離された第2透過水W4を、第1流路切換弁62を介して中間タンク7へ返送するように構成されていてもよい。
また、前記実施形態においては、脱塩水リターンラインL9は、EDIスタック20で得られた脱塩水W6を、第2流路切換弁63を介して中間タンク7へ返送するように構成されているが、これに制限されない。例えば、脱塩水リターンラインL9は、EDIスタック20で得られた脱塩水W6を、第2流路切換弁63を介して第1透過水ラインL2へ返送するように構成されていてもよい。
また、前記実施形態においては、制御部30は、装置の起動時おいて、第1工程、第2工程、第3工程を順に実行するように制御しているが、これに制限されない。例えば、制御部30は、第1工程と第2工程とを同期させて実行することもできる。この場合には、採水開始までの時間を短縮することができる。
また、前記実施形態においては、第1排水弁111〜第3排水弁113を開閉することにより濃縮水W3の排水流量を調節しているが、これに制限されない。例えば、第1排水ラインL12〜第3排水ラインL14を1本とし、この排水ラインに設けた比例制御弁の開度を調整することにより、濃縮水W3の排水流量を調節するようにしてもよい。