以下、本発明に係る水処理装置を純水製造装置に適用した場合の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係る純水製造装置1について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る純水製造装置1の全体概略図である。図2Aは、第1実施形態に係る純水製造装置1の全体構成図の前段部分である。図2Bは、第1実施形態に係る純水製造装置1の全体構成図の第1中段部分である。図2Cは、第1実施形態に係る純水製造装置1の全体構成図の第2中段部分である。図2Dは、第1実施形態に係る純水製造装置1の全体構成図の後段部分である。本実施形態に係る純水製造装置1は、例えば、原水(例えば、水道水)から脱塩水(脱イオン水)を製造する純水製造装置に適用される。純水製造装置1で製造された脱塩水は、純水として、需要箇所等に送出される。なお、本実施形態に係る純水製造装置1において、需要箇所等へ純水を供給することを「採水」ともいう。
図1に示すように、第1実施形態に係る純水製造装置1は、第1オプション機器OP1と、プレフィルタ4と、第2オプション機器OP2と、第1ポンプとしての前段加圧ポンプ8と、第1インバータとしての前段インバータ9と、第1膜分離ユニット(前処理ユニット)としての前段RO膜モジュール10と、中間タンク11と、第2ポンプとしての後段加圧ポンプ12と、第2インバータとしての後段インバータ13と、第2膜分離ユニットとしての後段RO膜モジュール14と、第1流路切換弁V71と、精製ユニットとしての電気脱イオンスタック16(以下、「EDIスタック」ともいう)と、第2流路切換弁V72と、第3オプション機器OP3と、制御ユニット30と、入力操作部40と、直流電源装置50と、表示部60と、を備える。
第1オプション機器OP1〜第3オプション機器OP3は、純水製造装置1に着脱可能なオプション機器として、純水製造装置1に装備される機器である。第1オプション機器OP1は、軟水器2及び活性炭濾過器3を含む。第2オプション機器OP2は、硬度センサS1及び残留塩素センサS2を含む。第3オプション機器OP3は、第2比抵抗センサRS2、全有機炭素センサTOC及び第3温度センサTE3を含む。
また、図1に示すように、純水製造装置1は、供給水ラインL1と、前段RO透過水ラインL22と、前段RO透過水リターンラインL43と、前段RO濃縮水リターンラインL53と、後段RO透過水ラインL23と、後段RO透過水リターンラインL44と、後段RO濃縮水リターンラインL54と、脱塩水ラインL3と、脱塩水リターンラインL45と、を備える。なお、本明細書における「ライン」とは、流路、径路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
また、純水製造装置1は、図2A〜図2Dに示すように、図1に示す構成に加えて、第1開閉弁V11〜第7開閉弁V17と、真空破壊弁V41と、減圧弁V42と、供給水補給弁V31と、第1排水弁V32〜第3排水弁V34と、第1定流量弁V51〜第6定流量弁V56と、第1逆止弁V61〜第6逆止弁V66と、第1圧力計P1〜第6圧力計P6と、第1圧力センサPS1〜第4圧力センサPS4と、圧力スイッチPSWと、第1温度センサTE1〜第5温度センサTE5と、第1流量センサFM1〜第3流量センサFM3と、第1電気伝導率センサEC1及び第2電気伝導率センサEC2と、第1比抵抗センサRS1及び第2比抵抗センサRS2と、水位検出手段としての水位センサ111と、を備える。
図1、図2A〜図2Cでは、電気的な接続の経路を省略するが、制御ユニット30は、供給水補給弁V31、第1流路切換弁V71、第2流路切換弁V72、第1排水弁V32〜第3排水弁V34、圧力スイッチPSW、第1温度センサTE1〜第5温度センサTE5、第1圧力センサPS1〜第4圧力センサPS4、第1流量センサFM1〜第3流量センサFM3、第1電気伝導率センサEC1及び第2電気伝導率センサEC2、第1比抵抗センサRS1及び第2比抵抗センサRS2、全有機炭素センサTOC、硬度センサS1、残留塩素センサS2、水位センサ111等と電気的に接続される。
まず、純水製造装置1における全体構成図の前段部分について説明する。
図1及び図2Aに示すように、供給水ラインL1には、供給水W1が流通する。供給水ラインL1は、供給水W1を、前段RO膜モジュール10へ流通させるラインである。供給水ラインL1は、第1供給水ラインL11と、第2供給水ラインL12と、を有する。
第1供給水ラインL11には、原水W11(供給水W1)が流通する。第1供給水ラインL11は、原水W11の供給源(不図示)と軟水器2とをつなぐラインである。第1供給水ラインL11の上流側の端部は、原水W11の供給源(不図示)に接続されている。また、第1供給水ラインL11の下流側の端部は、軟水器2に接続されている。
第1供給水ラインL11には、図2Aに示すように、上流側から順に、接続部J1、第1開閉弁V11、及び軟水器2が設けられている。第1開閉弁V11は、第1供給水ラインL11の開閉を操作可能な手動弁である。
軟水器2は、原水W11中に含まれる硬度成分をナトリウムイオンに置換して軟水W12(供給水W1)を製造する機器である。軟水器2は、圧力タンク内に陽イオン交換樹脂床を収容したイオン交換塔を有する。
第2供給水ラインL12には、軟水W12(供給水W1)が流通する。第2供給水ラインL12は、軟水W12を、前段RO膜モジュール10へ流通させるラインである。第2供給水ラインL12は、軟水器2と前段RO膜モジュール10とをつなぐラインである。図2Aに示すように、第2供給水ラインL12の上流側の端部は、軟水器2に接続されている。また、図2Bに示すように、第2供給水ラインL12の下流側の端部は、前段RO膜モジュール10の一次側入口ポート(供給水W1の入口)に接続されている。
第2供給水ラインL12には、上流側から順に、図2Aに示すように、第2開閉弁V12、接続部J2、第3開閉弁V13、活性炭濾過器3、第4開閉弁V14、接続部J3、プレフィルタ4、接続部J4、及び接続部J5が設けられている。また、接続部J5以降には、図2Bに示すように、第5開閉弁V15、接続部J6、減圧弁V42、供給水補給弁V31、接続部J51、接続部J7、接続部J8、前段加圧ポンプ8、接続部J9、及び前段RO膜モジュール10が設けられている。第2開閉弁V12〜第5開閉弁V15は、第2供給水ラインL12の開閉を操作可能な手動弁である。供給水補給弁V31は、第2供給水ラインL12の開閉を制御可能な自動弁である。供給水補給弁V31は、制御ユニット30と電気的に接続されている。供給水補給弁V31の開閉は、制御ユニット30の第1制御部31(後述)から送信される流路開閉信号により制御される。
活性炭濾過器3は、軟水W12(供給水W1)に含まれる塩素成分(主として遊離残留塩素)を除去する機器である。活性炭濾過器3は、圧力タンク内に活性炭からなる濾材床を収容した濾過塔を有する。活性炭濾過器3は、軟水W12に含まれる塩素成分を分解除去する他、有機成分を吸着除去したり、懸濁物質を捕捉したりして軟水W12(供給水W1)を浄化する。
プレフィルタ4は、活性炭濾過器3により浄化された軟水W12(供給水W1)に含まれる微粒子を除去するフィルタである。プレフィルタ4は、のハウジング内にフィルタエレメントが収容されて構成される。フィルタエレメントとしては、例えば、濾過精度が1〜50μmの不織布フィルタエレメント又は糸巻きフィルタエレメント等が用いられる。
硬度センサS1は、供給水ラインL1を流通する供給水W1の全硬度(すなわち、硬度リーク量)を測定する機器である。残留塩素センサS2は、供給水ラインL1を流通する供給水W1の遊離残留塩素濃度(すなわち、塩素リーク量)を測定する機器である。硬度センサS1及び残留塩素センサS2は、図2Aに示すように、測定ラインL110を介して、接続部J5において供給水ラインL1に接続されている。接続部J5は、供給水ラインL1におけるプレフィルタ4と第5開閉弁V15との間に配置されている。硬度センサS1及び残留塩素センサS2は、制御ユニット30と電気的に接続されている。硬度センサS1で測定された硬度リーク量、及び残留塩素センサS2で測定された塩素リーク量は、それぞれ制御ユニット30の第1制御部31へ検出信号として送信される。
次に、純水製造装置1における全体構成図の中段部分について説明する。
図2Bに示すように、接続部J6には、真空破壊弁V41が接続されている。真空破壊弁V41は、常閉式の圧力作動弁であり、供給水ラインL1の管内圧力が大気圧力よりも低くなった場合に弁が開いて大気を吸入する。真空破壊弁V41を設けることにより、原水W11(供給水W1)が断水となって供給水ラインL1が負圧になったとしても、RO膜モジュール7の膜の破損等の不具合を防止することができる。
減圧弁V42は、軟水器2、活性炭濾過器3及びプレフィルタ4を通過した軟水W12の圧力を、前段RO膜モジュール10から流出する濃縮水W3の圧力よりも低い圧力に調整する機器である。減圧弁V42は、軟水W12の圧力よりも濃縮水W3の圧力が大きく(軟水W12の圧力<濃縮水W3の圧力)なるように、軟水W12の圧力を調整する。これにより、濃縮水W3の一部が軟水W12に循環され、軟水W12に濃縮水W3が混合された供給水は、前段RO膜モジュール10に供給される。すなわち、前段RO膜モジュール10においては、前段加圧ポンプ8により供給水を循環させながら、透過水を生産するクロスフロー方式の分離操作が行われる。
接続部J51には、後述する前段RO透過水リターンラインL43の下流側の端部及び前段RO濃縮水リターンラインL53の下流側の端部が接続されている。
前段加圧ポンプ8は、供給水ラインL1を流通する供給水W1を吸入し、前段RO膜モジュール10へ向けて圧送(吐出)する装置である。前段RO膜モジュール10には、前段インバータ9から周波数が変換された駆動電力が供給される。前段RO膜モジュール10は、供給された駆動電力の周波数(以下、「駆動周波数」ともいう)に応じた回転速度で駆動される。
前段インバータ9は、前段加圧ポンプ8に、周波数が変換された駆動電力を供給する電気回路(又はその回路を持つ装置)である。前段インバータ9は、制御ユニット30と電気的に接続されている。前段インバータ9には、制御ユニット30の第1制御部31から指令信号が入力される。前段インバータ9は、第1制御部31により入力された指令信号(電流値信号又は電圧値信号)に対応する駆動周波数の駆動電力を前段加圧ポンプ8に出力する。
前段RO膜モジュール10は、前段加圧ポンプ8により圧送された供給水W1を、溶存塩類が除去された前処理水としての前段透過水W2と、溶存塩類が濃縮された濃縮水W3と、に分離する。前段RO膜モジュール10は、単一又は複数のスパイラル型RO膜エレメントを圧力容器(ベッセル)に収容して構成される。当該RO膜エレメントに使用されるRO膜としては、架橋芳香族ポリアミド系複合膜等が例示される。架橋芳香族ポリアミド系複合膜からなるRO膜エレメントとしては、東レ社製:型式名「TMG20−400」、ウンジン・ケミカル社製:型式名「RE8040−BLF」、日東電工社製:型式名「ESPA1」等が市販されており、これらのエレメントを好適に用いることができる。
前段RO濃縮水リターンラインL53は、前段RO膜モジュール10で分離された濃縮水W3の一部W31を供給水ラインL1へ返送するラインである。前段RO濃縮水リターンラインL53の上流側の端部は、前段RO膜モジュール10の一次側出口ポート(濃縮水W3の出口)に接続されている。前段RO濃縮水リターンラインL53の下流側の端部は、接続部J51において供給水ラインL1に接続されている。前段RO濃縮水リターンラインL53には、第1逆止弁V61及び第1定流量弁V51が設けられている。
RO濃縮水排出ラインL61は、前段RO膜モジュール10で分離された濃縮水W3の残部W32を、前段RO濃縮水リターンラインL53の途中から装置の外へ排出するラインである。RO濃縮水排出ラインL61の上流側の端部は、接続部J53に接続されている。接続部J53は、前段RO濃縮水リターンラインL53における前段RO膜モジュール10と接続部J52との間に配置されている。第1濃縮水排水ラインL611、第2濃縮水排水ラインL612及び第3濃縮水排水ラインL613の上流側の端部は、接続部J55及びJ56において、RO濃縮水排出ラインL61に接続されている。
第1濃縮水排水ラインL611〜第3濃縮水排水ラインL613には、それぞれ、第1排水弁V32〜第3排水弁V34、及び第2定流量弁V52〜第4定流量弁V54が設けられている。第2定流量弁V52〜第4定流量弁V54は、それぞれ異なる流量値に設定されている。第1排水弁V32〜第3排水弁V34により、第1濃縮水排水ラインL611〜第3濃縮水排水ラインL613を個別に開閉することができる。第1排水弁V32〜第3排水弁V34の開放数を適宜に選択することにより、装置外へ排出する濃縮水W3の排水流量を調節することができる。この調節により、前段透過水W2の回収率を予め設定された値に保つことができる。なお、前段透過水W2の回収率とは、前段RO膜モジュール10に供給される軟水W12(濃縮水W3の一部W31が混合される前の供給水W1)の流量に対する前段透過水W2の割合(%)をいう。
第1排水弁V32〜第3排水弁V34は、それぞれ制御ユニット30と電気的に接続されている。第1排水弁V32〜第3排水弁V34の開閉は、制御ユニット30の第1制御部31から送信される駆動信号により制御される。
第1濃縮水排水ラインL611、第2濃縮水排水ラインL612及び第3濃縮水排水ラインL613の下流側の端部は、接続部J57及びJ58において、合流排水ラインL62の上流側の端部に接続されている。合流排水ラインL62の下流側は、例えば、排水ピット(不図示)に接続又は開口している。合流排水ラインL62の途中には、第2逆止弁V62が設けられている。
前段RO透過水ラインL22は、前段RO膜モジュール10で分離された前段透過水W2を後段RO膜モジュール14に流通させるラインである。前段RO透過水ラインL22の上流側の端部は、図2Bに示すように、前段RO膜モジュール10の二次側ポート(前段透過水W2の出口)に接続されている。前段RO透過水ラインL22の下流側の端部は、図2Cに示すように、中間タンク11等を介して、後段RO膜モジュール14の一次側入口ポート(前段透過水W2の入口)に接続されている。
前段RO透過水ラインL22には、上流側から順に、図2Bに示すように、接続部J54、前段透過水補給弁V35、第3逆止弁V63、接続部J10、接続部J12、接続部J13、第6開閉弁V16が設けられている。また、第6開閉弁V16以降には、図2Cに示すように、中間タンク11、第7開閉弁V17、接続部J61、接続部J21、後段加圧ポンプ12、接続部J22、後段RO膜モジュール14が設けられている。図2Bに示すように、接続部J54には、前段RO透過水リターンラインL43の上流側の端部が接続されている。また、図2Cに示すように、接続部J61には、後段RO濃縮水リターンラインL54の下流側の端部が接続されている。
前段透過水補給弁V35は、前段RO透過水ラインL22の開閉を制御可能な弁である。前段透過水補給弁V35は、制御ユニット30と電気的に接続されている。前段透過水補給弁V35における弁の開閉は、制御ユニット30の第1制御部31から送信される流路開閉信号により制御される。
前段RO透過水リターンラインL43は、図2Bに示すように、前段RO膜モジュール10で分離された前段透過水W2を、前段RO膜モジュール10の上流側の供給水ラインL1へ返送するラインである。前段RO透過水リターンラインL43の上流側の端部は、接続部J54に接続されている。前段RO透過水リターンラインL43の下流側の端部は、接続部J52において、前段RO濃縮水リターンラインL53に接続されている。接続部J52は、前段RO濃縮水リターンラインL53における接続部J53と接続部J51との間に配置されている。前段RO透過水リターンラインL43における接続部J52から接続部J51までの部分は、前段RO濃縮水リターンラインL53における接続部J52から接続部J51までの部分と共通する。
前段RO透過水リターンラインL43には、図2Bに示すように、リリーフ弁V43が設けられている。リリーフ弁V43は、常閉式の圧力作動弁であって、一次側の圧力が二次側の圧力よりも一定の圧力以上高い場合に開放される調整弁である。詳細には、リリーフ弁V43は、前段RO透過水リターンラインL43の管内圧力が予め設定された圧力以上になったときに開状態となり、前段RO透過水ラインL22を流通される前段透過水W2を、接続部J54を介して前段RO透過水リターンラインL43に流通させるための弁である。
リリーフ弁V43における二次側の圧力(接続部J51での供給水W1の圧力)は、減圧弁V42により前段加圧ポンプ8の運転圧力未満に調整される。前段透過水補給弁V35が閉状態に制御された状態で前段加圧ポンプ8を駆動させると、リリーフ弁V43における一次側の圧力(接続部J54での前段透過水W2の圧力)は、二次側の圧力よりも高くなる。これにより、リリーフ弁V43が開放されて、前段RO透過水ラインL22を流通する前段透過水W2を、前段RO透過水リターンラインL43に流通させることができる。
図2Cに示すように、中間タンク11は、前段RO透過水ラインL22における前段RO膜モジュール10と後段RO膜モジュール14との間に設けられている。中間タンク11は、前段RO膜モジュール10で分離された前段透過水W2を貯留するタンクである。
中間タンク11には、図2Cに示すように、水位センサ111が設けられている。水位センサ111は、中間タンク11に貯留された前段透過水W2の水位を検出する機器である。水位センサ111は、制御ユニット30と電気的に接続されている。水位センサ111で測定された中間タンク11の水位(以下、「検出水位値」ともいう)は、制御ユニット30の第1制御部31へ検出信号として送信される。
本実施形態において、水位センサ111は、例えば、レベルスイッチである。レベルスイッチは、予め設定された液面位置の検出器であり、例えば、複数の液面位置(例えば、4位置)を検出するように構成されている。図2Cでは、水位センサ111として、フロート式のレベルスイッチを設けた例を示す。なお、水位センサ111は、レベルスイッチには制限されず、例えば、連続式レベルセンサであってもよい。連続式レベルセンサとしては、例えば、静電容量式センサ、圧力式センサ、超音波式センサ等が用いられる。
後段加圧ポンプ12は、前段RO透過水ラインL22を流通する前段透過水W2を吸入し、後段RO膜モジュール14へ向けて圧送する装置である。後段加圧ポンプ12には、後段インバータ13から周波数が変換された駆動電力が供給される。後段加圧ポンプ12は、供給された駆動電力の周波数(以下、「駆動周波数」ともいう)に応じた回転速度で駆動される。
後段インバータ13は、後段加圧ポンプ12に、周波数が変換された駆動電力を供給する電気回路(又はその回路を持つ装置)である。後段インバータ13は、制御ユニット30と電気的に接続されている。後段インバータ13には、制御ユニット30の第1制御部31から指令信号が入力される。後段インバータ13は、第1制御部31から入力された指令信号(電流値信号又は電圧値信号)に対応する駆動周波数の駆動電力を後段加圧ポンプ12に出力する。
後段RO膜モジュール14は、前段RO膜モジュール10で分離されて後段加圧ポンプ12により圧送された前段透過水W2を、前段透過水W2よりも溶存塩類が除去された後段透過水W4と、溶存塩類が濃縮された濃縮水W5と、に分離する。後段RO膜モジュール14は、単一又は複数のスパイラル型RO膜エレメントを圧力容器(ベッセル)に収容して構成される。
後段RO濃縮水リターンラインL54は、図2Cに示すように、後段RO膜モジュール14で分離された濃縮水W5の一部W51を、前段RO透過水ラインL22へ返送するラインである。後段RO濃縮水リターンラインL54の上流側の端部は、後段RO膜モジュール14の一次側出口ポート(濃縮水の出口)に接続されている。後段RO濃縮水リターンラインL54の下流側の端部は、接続部J61に接続されている。接続部J61は、前段RO透過水ラインL22における中間タンク11と後段加圧ポンプ12との間に配置されている。
後段RO濃縮水リターンラインL54には、図2Cに示すように、上流側から順に、接続部J63、接続部J62、第5逆止弁V65、第6定流量弁V56、及び接続部J61が設けられている。接続部J62には、第1後段RO濃縮水ラインL63の上流側の端部が接続されている。接続部J63には、第2後段RO濃縮水ラインL64の上流側の端部が接続されている。
第1後段RO濃縮水ラインL63及び第2後段RO濃縮水ラインL64は、後段RO膜モジュール14で分離された濃縮水W5の残部W52を、後段RO濃縮水リターンラインL54の途中から装置の外に排出するラインである。第1後段RO濃縮水ラインL63の下流側の端部及び第2後段RO濃縮水ラインL64の下流側の端部は、接続部J64において、後段RO濃縮水送出ラインL65の上流側の端部に接続されている。後段RO濃縮水送出ラインL65の下流側は、例えば、排水ピット(不図示)に接続又は開口している。第1後段RO濃縮水ラインL63及び第2後段RO濃縮水ラインL64には、それぞれ、第1調整弁V36及び第2調整弁V37、並びに第7定流量弁V57及び第8定流量弁V58が設けられている。
第1調整弁V36及び第2調整弁V37により、第1後段RO濃縮水ラインL63及び第2後段RO濃縮水ラインL64を個別に開閉することにより、濃縮水W5の送出流量を調節することができる。第1調整弁V36及び第2調整弁V37は、それぞれ制御ユニット30と電気的に接続されている。第1調整弁V36及び第2調整弁V37の開閉は、制御ユニット30の第2制御部32から送信される駆動信号により制御される。
後段RO濃縮水送出ラインL65には、第8開閉弁V18が設けられている。第8開閉弁V18は、後段RO濃縮水送出ラインL65の開閉を操作可能な手動弁である。
後段RO透過水ラインL23は、後段RO膜モジュール14で分離された後段透過水W4をEDIスタック16に流通させるラインである。後段RO透過水ラインL23の上流側の端部は、図2Cに示すように、後段RO膜モジュール14の二次側ポート(後段透過水W4の出口)に接続されている。後段RO透過水ラインL23の下流側の端部は、図2Dに示すように、第1流路切換弁V71を介して、EDIスタック16に接続されている。
次に、純水製造装置1における全体構成図の後段部分について説明する。
後段RO透過水ラインL23は、前段側透過水ラインL231と、中段側透過水ラインL232と、脱塩室流入ラインL233と、濃縮室流入ラインL234と、を有する。前段側透過水ラインL231には、上流側から順に、図2Cに示すように、第4逆止弁V64、接続部J23、及び第9開閉弁V19が設けられている。また、第9開閉弁V19以降には、図2Dに示すように、接続部J31、接続部J32、及び第1流路切換弁V71が設けられている。
第1流路切換弁V71は、後段RO膜モジュール14で分離された後段透過水W4を、中段側透過水ラインL232を介してEDIスタック16へ向けて流通させる流路(採水側流路)、又は、後段RO透過水リターンラインL44を介して中間タンク11へ向けて流通させる流路(循環側流路)に切り換え可能な自動弁である。第1流路切換弁V71は、例えば、電動式又は電磁式の三方弁により構成される。第1流路切換弁V71は、制御ユニット30と電気的に接続されている。第1流路切換弁V71における流路の切り換えは、制御ユニット30の第2制御部32から送信される流路切換信号により制御される。
後段RO透過水リターンラインL44は、後段RO膜モジュール14で分離された後段透過水W4を、前段RO膜モジュール10と後段RO膜モジュール14との間に設けられた中間タンク11へ返送するラインである。後段RO透過水リターンラインL44の上流側の端部は、図2Dに示すように、第1流路切換弁V71に接続されている。後段RO透過水リターンラインL44の下流側は、図2Cに示すように、中間タンク11に接続されている。
前段側透過水ラインL231の上流側の端部は、図2Cに示すように、後段RO膜モジュール14の二次側ポート(後段透過水W4の出口)に接続されている。前段側透過水ラインL231の下流側の端部は、第1流路切換弁V71に接続されている。中段側透過水ラインL232の上流側の端部は、第1流路切換弁V71に接続されている。中段側透過水ラインL232の下流側の端部は、分岐部J71において、脱塩室流入ラインL233の上流側の端部及び濃縮室流入ラインL234の上流側の端部に接続されている。
脱塩室流入ラインL233の下流側の端部は、EDIスタック16の一次側ポート(脱塩室161の入口側)に接続されている。脱塩室流入ラインL233には、接続部J33が配置されている。濃縮室流入ラインL234の下流側の端部は、EDIスタック16の一次側ポート(濃縮室162の各入口側)に接続されている。濃縮室流入ラインL234には、上流側から順に、第5定流量弁V55、及び接続部J34が設けられている。
EDIスタック16は、後段RO膜モジュール14で分離された後段透過水W4を脱塩処理(脱イオン処理)して、脱塩水W6と濃縮水W7とを得る水処理機器である。EDIスタック16は、直流電源装置50(図1参照)と電気的に接続されている。EDIスタック16には、直流電源装置50から直流電圧が印加される。EDIスタック16は、直流電源装置50から印加された直流電圧により通電され、動作する。
直流電源装置50は、直流電圧をEDIスタック16の一対の電極間に印加する。直流電源装置50は、制御ユニット30と電気的に接続されている。直流電源装置50は、制御ユニット30の第2制御部32により入力された指令信号に応答して、直流電圧をEDIスタック16に出力する。
EDIスタック16は、一対の電極間に、陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜(不図示)が交互に配置される。EDIスタック16の内部は、これらイオン交換膜により、脱塩室161及び濃縮室162(陽極室及び陰極室を含む)に区画される。脱塩室161には、イオン交換体(不図示)が充填される。脱塩室161に充填されるイオン交換体としては、例えば、イオン交換樹脂又はイオン交換繊維等が用いられる。なお、図2Dでは、EDIスタック16の内部に区画された複数の脱塩室161及び濃縮室162を模式的に示す。
脱塩室161の入口側には、後段透過水W4を流入させる脱塩室流入ラインL233が接続されている。脱塩室161の出口側には、脱塩室161においてイオンが除去されて排出された脱塩水W6を流通させる脱塩水ラインL3が接続されている。濃縮室162の入口側には、後段透過水W4を流入させる濃縮室流入ラインL234が接続されている。濃縮室162の出口側には、イオンが濃縮されて排出された濃縮水W7を、装置の外に排出するEDI濃縮水排出ラインL4が接続されている。EDI濃縮水排出ラインL4の上流側の端部は、EDIスタック16の二次側ポート(濃縮室162の出口側)に接続されている。EDI濃縮水排出ラインL4の下流側は、例えば、排水ピット(不図示)に接続又は開口している。
脱塩室161及び濃縮室162それぞれには、後段RO透過水ラインL23を流通する後段透過水W4が流入される。後段透過水W4に含まれる残留イオンは、脱塩室161内に充填されたイオン交換体(不図示)により捕捉され、脱塩水W6となる。脱塩水W6は、脱塩水ラインL3(後述)を介して需要箇所へ送出される。また、脱塩室161内のイオン交換体に捕捉された残留イオンは、印加された直流電圧の電気エネルギーにより濃縮室162に移動する。そして、残留イオンを含む水は、濃縮水W7として、濃縮室162からEDI濃縮水排出ラインL4を介して装置の外に排出される。
脱塩水ラインL3は、EDIスタック16で得られた脱塩水W6を純水として需要箇所に向けて送出するラインである。脱塩水ラインL3は、上流側脱塩水ラインL31と、下流側脱塩水ラインL32と、を有する。
上流側脱塩水ラインL31の上流側の端部は、EDIスタック16の二次側ポート(脱塩室161の出口側)に接続されている。上流側脱塩水ラインL31の下流側の端部は、第2流路切換弁V72を介して、下流側脱塩水ラインL32及び脱塩水リターンラインL45(後述)に接続されている。上流側脱塩水ラインL31には、上流側から順に、接続部J36、接続部J37、接続部J38、第7開閉弁V17、及び第2流路切換弁V72が設けられている。第7開閉弁V17は、上流側脱塩水ラインL31の開閉を操作可能な手動弁である。
第2流路切換弁V72は、EDIスタック16の脱塩室161で得られた脱塩水W6を、下流側脱塩水ラインL32を介して需要箇所に向けて送出させる流路(採水側流路)、又は、脱塩水リターンラインL45を介して中間タンク11に向けて流通させる流路(循環側流路)に切り換え可能な自動弁である。第2流路切換弁V72は、例えば、電動式又は電磁式の三方弁により構成される。第2流路切換弁V72は、制御ユニット30と電気的に接続されている。第2流路切換弁V72における流路の切り換えは、制御ユニット30の第2制御部32から送信される流路切換信号により制御される。
第2流路切換弁V72は、第2制御部32により採水側流路に切り換えられることにより、EDIスタック16で得られた脱塩水W6を脱塩水ラインL3から需要箇所に供給するように送り出す処理を実行可能な送出手段として機能する。
下流側脱塩水ラインL32の上流側の端部は、第2流路切換弁V72に接続されている。下流側脱塩水ラインL32の下流側の端部は、需要箇所の装置等(不図示)に接続されている。
脱塩水リターンラインL45は、EDIスタック16の脱塩室161で得られた脱塩水W6を、脱塩水ラインL3の途中から、前段RO膜モジュール10と後段RO膜モジュール14との間に設けられた中間タンク11へ返送するラインである。本実施形態において、脱塩水リターンラインL45の上流側の端部は、第2流路切換弁V72に接続されている。脱塩水リターンラインL45の下流側の端部は、中間タンク11に接続されている。
第1圧力計P1〜第6圧力計P6は、接続された各ラインを流通する水の圧力を計測する機器である。図2Aに示すように、第1圧力計P1〜第4圧力計P4は、接続部J1〜J4において、それぞれ、供給水ラインL1に接続されている。図2Dに示すように、第5圧力計P5は、接続部J35において、EDI濃縮水排出ラインL4に接続されている。第6圧力計P6は、接続部J36において、脱塩水ラインL3に接続されている。
第1圧力センサPS1〜第4圧力センサPS4は、接続された各ラインを流通する水の圧力を計測する機器である。図2B〜図2Dに示すように、第1圧力センサPS1は、接続部J9において、供給水ラインL1に接続されている。接続部J9は、供給水ラインL1における前段加圧ポンプ8と前段RO膜モジュール10との間に配置されている。第2圧力センサPS2は、接続部J22において、前段RO透過水ラインL22に接続されている。接続部J22は、前段RO透過水ラインL22における後段加圧ポンプ12と後段RO膜モジュール14との間に配置されている。第3圧力センサPS3は、接続部J33において、脱塩室流入ラインL233に接続されている。接続部J33は、脱塩室流入ラインL233の途中に配置されている。第4圧力センサPS4は、接続部J34において、濃縮室流入ラインL234に接続されている。接続部J34は、濃縮室流入ラインL234における第5定流量弁V55とEDIスタック16との間に配置されている。
第1圧力センサPS1〜第4圧力センサPS4は、制御ユニット30と電気的に接続されている。第1圧力センサPS1〜第4圧力センサPS4で測定された供給水W1、前段透過水W2又は後段透過水W4の圧力は、制御ユニット30へ検出信号として送信される。
圧力スイッチPSWは、供給水ラインL1を流通する供給水W1の圧力が第1設定圧力値以下又は第2設定圧力値以上であることを検出する機器である。図2Bに示すように、圧力スイッチPSWは、接続部J7において、供給水ラインL1に接続されている。接続部J7は、供給水ラインL1における接続部J51と前段加圧ポンプ8との間に配置されている。圧力スイッチPSWで検出された供給水W1の圧力の検出信号は、制御ユニット30へ送信される。
第1温度センサTE1〜第5温度センサTE5は、接続された各ラインを流通する水の温度を測定する機器である。第1温度センサTE1は、接続部J8において、供給水ラインL1に接続されている。接続部J8は、供給水ラインL1における接続部J51と前段加圧ポンプ8との間に配置されている。第2温度センサTE2は、接続部J31において、後段RO透過水ラインL23に接続されている。接続部J31は、後段RO透過水ラインL23における後段RO膜モジュール14と第1流路切換弁V71との間に配置されている。第3温度センサTE3は、接続部J43において、脱塩水ラインL3に接続されている。接続部J43は、脱塩水ラインL3における第2流路切換弁V72よりも下流側の下流側脱塩水ラインL32に配置されている。
第4温度センサTE4は、図2Bに示すように、接続部J12において、前段RO透過水ラインL22に接続されている。接続部J12は、前段RO透過水ラインL22における前段RO膜モジュール10と中間タンク11との間に配置されている。第5温度センサTE5は、図2Cに示すように、接続部J21において、前段RO透過水ラインL22に接続されている。接続部J21は、前段RO透過水ラインL22における中間タンク11と後段加圧ポンプ12との間に配置されている。
第1温度センサTE1〜第5温度センサTE5は、制御ユニット30と電気的に接続されている。第1温度センサTE1〜第5温度センサTE5で測定された供給水W1、前段透過水W2、後段透過水W4又は脱塩水W6の温度(検出水温値)は、制御ユニット30へ検出信号として送信される。
第1流量センサFM1〜第3流量センサFM3は、接続された各ラインを流通する水の流量を測定する機器である。第1流量センサFM1は、接続部J10において、前段RO透過水ラインL22に接続されている。接続部J10は、前段RO透過水ラインL22における前段RO膜モジュール10と中間タンク11との間に配置されている。流量検出手段としての第2流量センサFM2は、接続部J38において、脱塩水ラインL3に接続されている。接続部J38は、脱塩水ラインL3におけるEDIスタック16と第2流路切換弁V72との間に配置されている。第3流量センサFM3は、図2Cに示すように、接続部J23において、後段RO透過水ラインL23に接続されている。接続部J23は、後段RO透過水ラインL23における後段RO膜モジュール14と第1流路切換弁V71との間に配置されている。
第1流量センサFM1〜第3流量センサFM3は、制御ユニット30と電気的に接続されている。第1流量センサFM1〜第3流量センサFM3で測定された前段透過水W2、後段透過水W4又は脱塩水W6の流量(検出流量値)は、制御ユニット30へ検出信号として送信される。
第1電気伝導率センサEC1及び第2電気伝導率センサEC2は、接続された各ラインを流通する水の電気伝導率(電気的特性値)を測定する機器である。第1電気伝導率センサEC1は、接続部J32において、後段RO透過水ラインL23に接続されている。接続部J32は、後段RO透過水ラインL23における後段RO膜モジュール14と第1流路切換弁V71との間に配置されている。第2電気伝導率センサEC2は、図2Bに示すように、接続部J13において、前段RO透過水ラインL22に接続されている。接続部J13は、前段RO透過水ラインL22における前段RO膜モジュール10と中間タンク11との間に配置されている。第1電気伝導率センサEC1及び第2電気伝導率センサEC2は、制御ユニット30と電気的に接続されている。第1電気伝導率センサEC1及び第2電気伝導率センサEC2で測定された前段透過水W2又は後段透過水W4の電気伝導率は、制御ユニット30へ検出信号として送信される。
第1比抵抗センサRS1及び第2比抵抗センサRS2は、脱塩水ラインL3を流通する脱塩水W6の比抵抗(電気的特性値)を測定する機器である。第1比抵抗センサRS1は、接続部J37において、脱塩水ラインL3に接続されている。接続部J37は、脱塩水ラインL3におけるEDIスタック16と第2流路切換弁V72との間に配置されている。第2比抵抗センサRS2は、接続部J41において、脱塩水ラインL3に接続されている。接続部J41は、脱塩水ラインL3における第2流路切換弁V72よりも下流側の下流側脱塩水ラインL32に配置されている。なお、第1比抵抗センサRS1及び第2比抵抗センサRS2は、測定された比抵抗値の温度補償のため、温度センサを内蔵している。そのため、第1比抵抗センサRS1及び第2比抵抗センサRS2は、脱塩水W6の水温を測定することができる。第1比抵抗センサRS1及び第2比抵抗センサRS2は、制御ユニット30と電気的に接続されている。第1比抵抗センサRS1で測定された脱塩水W6の比抵抗(及び温度)、及び第2比抵抗センサRS2で測定された脱塩水W6の比抵抗(及び温度)は、それぞれ、制御ユニット30へ検出信号として送信される。
全有機炭素センサTOCは、脱塩水ラインL3を流通する脱塩水W6の有機体炭素量を検出する機器である。有機体炭素とは、水中に存在する有機物中の炭素である。全有機炭素センサTOCは、接続部J42において、脱塩水ラインL3に接続されている。接続部J42は、脱塩水ラインL3における第2流路切換弁V72よりも下流側の下流側脱塩水ラインL32に配置されている。
全有機炭素センサTOCは、制御ユニット30と電気的に接続されている。全有機炭素センサTOCで検出された脱塩水W6の全有機炭素量は、制御ユニット30へ検出信号として送信される。
入力操作部40は、装置の運転状態に係る選択(例えば、運転/停止の選択、警報の解除等)、装置の運転条件に係る各種設定について、ユーザー又は管理者の入力操作を受け付ける入力インターフェースである。この入力操作部40は、ディスプレイとボタンスイッチを組み合わせた操作パネル、ディスプレイ上で直接操作するタッチパネル等により構成される。入力操作部40は、制御ユニット30と電気的に接続されている。入力操作部40から入力された情報は、制御ユニット30に送信される。
表示部60は、所望の情報を表示する。表示部60は、制御ユニット30と電気的に接続されている。
次に、制御ユニット30について説明する。制御ユニット30は、第1制御部31と、第2制御部32と、を備える。第1制御部31及び第2制御部32は、CPU及びメモリを含むマイクロプロセッサ(不図示)により構成される。マイクロプロセッサのCPUは、メモリから読み出した所定のプログラムに従って、後述する各種の制御を実行する。マイクロプロセッサのメモリには、純水製造装置1を制御するためのデータや各種プログラムが記憶される。また、マイクロプロセッサには、時間の計時等を管理するインテグレーテッドタイマユニット(以下、「ITU」ともいう)が組み込まれている。
以下、制御ユニット30を構成する第1制御部31及び第2制御部32について説明する。
第1制御部31は、前段RO膜モジュール10で製造される前段透過水W2の流量を制御する。第1制御部31は、需要箇所おいて純水の消費水量が減少して、水位センサ111(中間タンク11)の検出水位値Wが目標水位値M以上となった場合には、前段加圧ポンプ8の回転速度を遅くして、中間タンク11への給水流量を減らすことにより、水位センサ111の検出水位値Wが目標水位値Mとなるように調節する。また、第1制御部31は、需要箇所において純水の消費水量が増加して、水位センサ111の検出水位値Wが目標水位値M未満(後述の警戒水位値L未満を含む)となった場合には、前段加圧ポンプ8の回転速度を速くして中間タンク11への給水流量を増やすことにより、水位センサ111の検出水位値Wが目標水位値Mとなるように調節する。
本実施形態の中間タンク11には、図2Cに示すように、目標水位値M及びこの目標水位値Mよりも低い警戒水位値Lが設定されている。目標水位値Mは、中間タンク11に貯留される前段透過水W2の基準水位である。純水製造装置1の運転中において、中間タンク11の水位は、需要箇所に純水を安定して供給できるように、目標水位値Mとなるように制御される。警戒水位値Lは、需要箇所へ純水を安定して供給可能な限界水位である。中間タンク11の水位が警戒水位値L未満となった場合には、中間タンク11に可能な限り速やかに前段透過水W2を補給する必要がある。そのため、中間タンク11が警戒水位値L未満となった場合には、補給される前段透過水W2の流量が最大となるように、前段加圧ポンプ8が最大出力で駆動される。
第1制御部31は、前段RO膜モジュール10に対する水位フィードバック水量制御として、水位センサ111の検出水位値が予め設定された目標水位値となるように、フィードバック制御アルゴリズム、例えば速度形デジタルPIDアルゴリズムにより前段加圧ポンプ8の第1駆動周波数を演算し、当該第1駆動周波数の演算値に対応する指令信号を前段インバータ9に出力する。
具体的には、第1制御部31は、水位センサ111における検出水位値Wが警戒水位値L以上の場合には、設定した目標水位値M及び水位センサ111の検出水位値Wを用いて前段加圧ポンプ8に供給する第1駆動周波数を演算し、当該第1駆動周波数に対応する電流値信号(指令信号)を前段インバータ9に出力する。
また、第1制御部31は、水位センサ111における検出水位値Wが警戒水位値L未満の場合には、前段加圧ポンプ8の第1駆動周波数を、水位フィードバック水量制御における第1駆動周波数よりも高い規定駆動周波数に固定し、当該規定駆動周波数に対応する電流値信号を前段インバータ9に出力する。本実施形態において、規定駆動周波数は、前段加圧ポンプ8の最大駆動周波数である。
なお、規定駆動周波数は、水位センサ111の検出水位値Wが警戒水位値L以上の場合に出力される第1駆動周波数の範囲よりも高い周波数であればよい。従って、規定駆動周波数を、水位フィードバック水量制御における駆動周波数の範囲の最大値(例えば、最大駆動周波数若しくはその近傍値)としてもよい。なお、第1制御部31による水位フィードバック水量制御の具体的な処理手順については後述する。
第2制御部32は、後段RO膜モジュール14に対する流量フィードバック水量制御として、第3流量センサFM3の検出流量値が予め設定された目標流量値となるように、フィードバック制御アルゴリズム、例えば速度形デジタルPIDアルゴリズムにより後段加圧ポンプ12を駆動するための第2駆動周波数を演算し、当該第2駆動周波数の演算値に対応する電流値信号(指令信号)を後段インバータ13に出力する。なお、第2制御部32による流量フィードバック水量制御の具体的な処理手順については後述する。
次に、第1制御部31(制御ユニット30)による水位フィードバック水量制御について説明する。図3は、第1制御部31において水位フィードバック水量制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。図3に示すフローチャートの処理は、純水製造装置1の運転中において、繰り返し実行される。
図3に示すステップST101において、第1制御部31は、中間タンク11の目標水位値Mを取得する。この目標水位値Mは、例えば、装置管理者が入力操作部40を介して制御ユニット30のメモリ(不図示)に入力した設定値である。
ステップST102において、第1制御部31は、ITUによる計時tが制御周期(Δt)である100msに達したか否かを判定する。このステップST102において、第1制御部31により、ITUによる計時tが100msに達した(YES)と判定された場合に、処理はステップST103へ移行する。また、ステップST102において、第1制御部31により、ITUによる計時tが100msに達していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST102へ戻る。
ステップST103において、第1制御部31は、水位センサ111の検出水位値Wをフィードバック値として取得する。
ステップST104において、第1制御部31は、検出水位値Wが警戒水位値L以上か否かを判定する。このステップST104において、第1制御部31により、検出水位値W≧警戒水位値Lである(YES)と判定された場合に、処理はステップST105へ移行する。また、ステップST104において、第1制御部31により、検出水位値W<警戒水位値Lである(NO)と判定された場合に、処理はステップST108へ移行する。
ステップST105において、第1制御部31は、ステップST103で取得した検出水位値(フィードバック値)Wと、ステップST101で取得した目標水位値Mとの偏差がゼロとなるように、速度形デジタルPIDアルゴリズムにより操作量Unを演算する。なお、速度形デジタルPIDアルゴリズムでは、制御周期Δt(100ms)毎に操作量の変化分ΔUnを演算し、これを前回の制御周期時点の操作量Un−1に加算することで現時点の操作量Unを決定する。
水位フィードバック水量制御における速度形デジタルPIDアルゴリズムに用いられる演算式は、下記の式(1a)及び式(1b)により表される。
ΔUn=Kp{(en−en−1)+(Δt/Ti)×en+(Td/Δt)×(en−2en−1+en−2)} (1a)
Un=Un−1+ΔUn (1b)
式(1a)及び式(1b)において、Δt:制御周期、Un:現時点の操作量、Un−1:前回の制御周期時点の操作量、ΔUn:前回から今回までの操作量の変化分、en:現時点の偏差の大きさ、en−1:前回の制御周期時点の偏差の大きさ、en−2:前々回の制御周期時点の偏差の大きさ、Kp:比例ゲイン、Ti:積分時間、Td:微分時間である。なお、現時点の偏差の大きさenは、下記の式(2)により求められる。
en=M−W (2)
ステップST106において、第1制御部31は、現時点の操作量Un、及び前段加圧ポンプ8の最大駆動周波数Fmax(50Hz又は60Hzの設定値)を使用して、所定の演算式により、前段加圧ポンプ8の駆動周波数F[Hz]を演算する。
ステップST107において、第1制御部31は、駆動周波数Fの演算値を、対応する電流値信号(指令信号:4〜20mA)に変換し、この電流値信号を前段インバータ9に出力する。これにより本フローチャートの処理は終了する(ステップST101へリターンする)。なお、ステップST107において、第1制御部31が電流値信号を前段インバータ9へ出力すると、前段インバータ9は、入力された電流値信号で指定された周波数に変換された駆動電力を前段加圧ポンプ8に供給する。その結果、前段加圧ポンプ8は、前段インバータ9から入力された駆動周波数に応じた回転速度で駆動される。
一方、ステップST108(ステップST104:NO判定)において、第1制御部31は、前段加圧ポンプ8の駆動周波数Fとして、予め設定された最大駆動周波数Fmaxを設定する。すなわち、水位センサ111の検出水位値Wが警戒水位値L未満の場合には、中間タンク11に補給される前段透過水W2の流量が最大となるように、前段加圧ポンプ8を最大出力で駆動する。このため、中間タンク11の貯水量が少なくなった場合には、速度形デジタルPIDアルゴリズムにより現時点の操作量Unを演算することなく、予め設定された最大駆動周波数Fmaxを駆動周波数Fに設定する。これにより、駆動周波数Fは、規定駆動周波数に固定される。ステップST108の終了後、処理はステップST107へ移行する。ステップST107以降においては、設定された最大駆動周波数Fmaxに対応する電流値信号(指令信号)に変換され、前段インバータ9に出力される。これにより、前段加圧ポンプ8が最大出力で駆動される。
次に、第2制御部32(制御ユニット30)による流量フィードバック水量制御について説明する。図4は、第2制御部32において流量フィードバック水量制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。図4に示すフローチャートの処理は、純水製造装置1の運転中において、繰り返し実行される。
図4に示すステップST201において、第2制御部32は、透過水W2の目標流量値Qp´を取得する。この目標流量値Qp´は、例えば、装置管理者が入力操作部40を介して制御ユニット30のメモリ(不図示)に入力した設定値である。
ステップST202において、第2制御部32は、ITUによる計時tが制御周期(Δt)である100msに達したか否かを判定する。このステップST202において、第2制御部32により、ITUによる計時tが100msに達した(YES)と判定された場合に、処理はステップST203へ移行する。また、ステップST202において、第2制御部32により、ITUによる計時tが100msに達していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST202へ戻る。
ステップST203(ステップST202:YES判定)において、第2制御部32は、第2流量センサFM2の検出流量値Qpをフィードバック値として取得する。
ステップST204において、第2制御部32は、ステップST203で取得した検出流量値(フィードバック値)Qpと、ステップST201で取得した目標流量値Qp´との偏差がゼロとなるように、速度形デジタルPIDアルゴリズムにより操作量Unを演算する。なお、速度形デジタルPIDアルゴリズムでは、制御周期Δt(100ms)毎に操作量の変化分ΔUnを演算し、これを前回の制御周期時点の操作量Un−1に加算することで現時点の操作量Unを決定する。
流量フィードバック水量制御における速度形デジタルPIDアルゴリズムに用いられる演算式は、上記の式(1a)及び式(1b)により表される。また、現時点の偏差の大きさenは、下記の式(3)により求められる。
en=Qp´−Qp (3)
ステップST205において、第2制御部32は、現時点の操作量Un、目標流量値Qp´及び後段加圧ポンプ12の最大駆動周波数Fmax(50Hz又は60Hzの設定値)を使用して、所定の演算式により、加圧ポンプ5の駆動周波数F[Hz]を演算する。
ステップST206において、第2制御部32は、駆動周波数Fの演算値を、対応する電流値信号(指令信号:4〜20mA)に変換し、この電流値信号を後段インバータ13に出力する。これにより本フローチャートの処理は終了する(ステップST201へリターンする)。なお、ステップST206において、第2制御部32が電流値信号を後段インバータ13へ出力すると、後段インバータ13は、入力された電流値信号で指定された周波数に変換された駆動電力を後段加圧ポンプ12に供給する。その結果、後段加圧ポンプ12は、後段インバータ13から入力された駆動周波数に応じた回転速度で駆動される。
上述した第1実施形態に係る純水製造装置1によれば、例えば、以下のような効果が奏される。
第1実施形態に係る純水製造装置1において、第1制御部31は、水位センサ111において測定された中間タンク11の検出水位値が予め設定された目標水位値となるように、フィードバック制御アルゴリズムにより前段加圧ポンプ8の第1駆動周波数を演算し、当該第1駆動周波数の演算値に対応する指令信号を前段インバータ9に出力する。
これによれば、前段加圧ポンプ8は、前段透過水W2の消費水量に見合った駆動周波数により連続的に駆動される。そのため、中間タンク11の検出水位値を目標水位値に収束させた場合でも、前段加圧ポンプ8を停止させることなく、前段加圧ポンプ8をアイドリング駆動周波数で駆動させることができるので、目標水位値を基準にして加圧ポンプを単純にオンオフ制御する場合に比べて、前段加圧ポンプ8の発停頻度を少なくすることができる。前段加圧ポンプ8の発停頻度が少なくなると、前段RO膜モジュール10で製造される前段透過水W2の水質も低下しにくくなるため、純水製造装置1で製造される純水の水質の悪化を抑制することができる。
また、第1実施形態に係る純水製造装置1によれば、需要箇所の使用水量に応じて中間タンク11の水位を常に一定のレベルに保つことができるため、中間タンク11の容量を必要以上に大きくする必要がない。そのため、従来よりも中間タンク11の容量を小さくすることができる。
また、第1制御部31は、水位センサ111における検出水位値Wが警戒水位値L未満の場合には、前段加圧ポンプ8の第1駆動周波数を、水位フィードバック水量制御における第1駆動周波数よりも高い規定駆動周波数に固定し、当該規定駆動周波数に対応する電流値信号を前段インバータ9に出力する。これによれば、需要箇所において純水の消費水量が急激に増えた場合に、前段加圧ポンプ8の回転速度を高めた状態に駆動周波数が固定されるため、消費水量の急激な変化に速やかに対応することができる。とくに、規定駆動周波数を前段加圧ポンプ8の最大駆動周波数に設定した場合には、消費水量の急激な変化により速やかに対応することができる。
また、第1実施形態に係る純水製造装置1によれば、後段RO膜モジュール14の前段に、前処理ユニットとして前段RO膜モジュール10を設けたので、後段RO膜モジュール14で製造される後段透過水W4の純度を更に高めることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る純水製造装置1Aについて、図5、図6A及び図6Bを参照しながら説明する。図5は、第2実施形態に係る純水製造装置1Aの全体概略図である。図6Aは、第2実施形態に係る純水製造装置1Aの全体構成図の第2中段部分である。図6Bは、第2実施形態に係る純水製造装置1Aの全体構成図の後段部分である。なお、第2実施形態に係る純水製造装置1Aの前段部分及び第1中段部分は、図2A及び図2B(第1実施形態)と同じであるため図示と説明を省略する。
第2実施形態では、主に第1実施形態との相違点について説明する。このため、第1実施形態と同一(又は同等)の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第2実施形態において特に説明しない点については、第1実施形態の説明が適宜に適用される。また、第2実施形態において、供給水ラインL1の上流側から供給水補給弁V31までの構成は、第1実施形態と同様である。そのため、第2実施形態においては、第1実施形態における供給水ラインL1の上流側から供給水補給弁V31までの構成についての主な図面(図2Aに対応する図面)及びその説明を省略する。また、本実施形態に係る純水製造装置1Aの全体構成図として援用される図において、「脱塩水W6」は、「脱イオン水W9」と読み替える。また、脱塩水W6の流通するラインは、同じ符号のまま、脱イオン水W9の流通するラインとして読み替える。例えば、「脱塩水ラインL3」は、「脱イオン水ラインL3」と読み替える。
第2実施形態に係る純水製造装置1Aは、第1実施形態に係る純水製造装置1が後段RO膜モジュール14の下流側にEDIスタック16を備えているのに対して、EDIスタック16の代わりに脱炭酸装置15及びイオン交換器17を備えている点、及びこれらの周辺の構成において、第1実施形態に係る純水製造装置1と主に異なる。
図5に示すように、第2実施形態に係る純水製造装置1Aは、第1オプション機器OP1と、プレフィルタ4と、第2オプション機器OP2と、前段加圧ポンプ8と、前段インバータ9と、前段RO膜モジュール10と、中間タンク11と、後段加圧ポンプ12と、後段インバータ13と、脱炭酸ユニットとしての脱炭酸装置15と、第1流路切換弁V71と、精製ユニットとしてのイオン交換器17と、第2流路切換弁V72と、第3オプション機器OP3と、制御ユニット30Aと、入力操作部40と、表示部60と、を備える。
第2実施形態において、後段RO濃縮水送出ラインL65の下流側の端部は、図6Bに示すように、脱炭酸装置15に接続されている。後段RO膜モジュール14で分離された濃縮水W5のうち、前段RO透過水ラインL22へ返送されなかった残部W52は、後段RO濃縮水送出ラインL65を介して脱炭酸装置15に送出される。脱炭酸装置15に送出された濃縮水W5は、真空ポンプ152(後述)の封水W8として利用され、その後、封水排出ラインL75(後述)を介して装置の外に排出される。
第2実施形態において、後段RO透過水ラインL23の上流側の端部は、図6Aに示すように、後段RO膜モジュール14の二次側ポート(後段透過水W4の出口)に接続されている。また、後段RO透過水ラインL23の下流側の端部は、図6Bに示すように、脱炭酸装置15を介して、第1流路切換弁V71に接続されている。本実施形態の後段RO透過水ラインL23は、前段側透過水ラインL231と、中段側透過水ラインL232と、を有する。
前段側透過水ラインL231には、上流側から順に、図6Aに示すように、第4逆止弁V64、接続部J23、及び第9開閉弁V19が設けられている。また、第9開閉弁V19以降には、図6Bに示すように、脱炭酸装置15、接続部J31、接続部J32、及び第1流路切換弁V71が設けられている。本実施形態の前段側透過水ラインL231において、脱炭酸装置15を除いた構成は、第1実施形態と同じである。
本実施形態において、中段側透過水ラインL232の上流側の端部は、第1流路切換弁V71に接続されている。また、中段側透過水ラインL232の下流側の端部は、イオン交換器17に接続されている。
脱炭酸装置15は、後段透過水W4に含まれる遊離炭酸(溶存炭酸ガス)を、脱炭酸膜モジュール(後述)により脱気処理して、精製水としての脱炭酸水を製造する設備である。後段RO膜モジュール14の下流側に脱炭酸装置15を設けることにより、RO膜を透過しやすい遊離炭酸を後段透過水W4から除去することができる。従って、より純度の高い後段透過水W4を得ることができる。なお、本実施形態では、脱炭酸装置15で製造された脱炭酸水を、便宜上、「後段透過水W4」ともいう。
本実施形態の脱炭酸装置15では、中空糸膜からなる外部灌流式の脱炭酸膜モジュールを用い、中空糸膜の内側を真空ポンプ152(後述)で吸引しながら、空気等の掃引ガスを導入し、膜壁を介して遊離炭酸を掃引ガス中に移行させつつ排気する。このような用途に適した脱炭酸膜モジュールとしては、例えば、セルガード社製:製品名「Liqui−Cel G−521R」等が挙げられる。
ここで、脱炭酸装置15の構成について説明する。図6Bに示すように、脱炭酸装置15は、脱炭酸膜モジュール151と、真空ポンプ152と、インバータ153と、封水タンク154と、エアフィルタ155と、を備える。また、脱炭酸装置15は、エア流量センサFM4と、逆止弁V67と、真空センサVS1と、温度センサTE6と、定流量弁V60と、空気吸引ラインL71と、空気排出ラインL72と、封水導入ラインL73と、混合空気回収ラインL74と、封水排出ラインL75と、を備える。
脱炭酸膜モジュール151は、後段透過水W4に含まれる遊離炭酸を脱気処理して、精製水としての脱炭酸水を製造する。脱炭酸膜モジュール151は、掃引ガスとしての空気が流入する空気流入口、炭酸ガスを含む空気が排出される空気排出口、炭酸ガスを含む透過水W2が流入する水流入口、及び炭酸ガスが除去された透過水W2が排出される透過水排出口を備える(いずれも不図示)。外部灌流式の脱炭酸膜モジュールの場合、空気流入口及び空気排出口は、中空糸膜の内側と連通する。一方、水流入口及び透過水排出口は、中空糸膜の外側と連通する。脱炭酸膜モジュール151の水流入口には、後段RO透過水ラインL23の一方の端部が接続され、脱炭酸膜モジュール151の透過水排出口には、後段RO透過水ラインL23の他方の端部が接続されている。すなわち、脱炭酸膜モジュール151は、後段透過水W4の流路として、後段RO透過水ラインL23の一部を構成する。
空気吸引ラインL71は、脱炭酸膜モジュール151に空気(掃引ガス)を導入するラインである。空気吸引ラインL71の上流側の端部は、大気に解放されている。空気吸引ラインL71の下流側の端部は、脱炭酸膜モジュール151の空気流入口に接続されている。また、空気吸引ラインL71には、上流側から順に、エアフィルタ155及びエア流量センサFM4が設けられている。エアフィルタ155は、導入される空気から異物を除去するための部品である。エア流量センサFM4は、吸引する空気の流量を測定して検出流量値として出力する機器である。エア流量センサFM4は、制御ユニット30Aと電気的に接続されている。エア流量センサFM4で測定された空気の流量は、制御ユニット30Aへ検出信号として送信される。制御ユニット30Aにおいて、脱炭酸膜モジュール151に導入される空気の流量をモニタすることにより、掃引ガスの供給流量が適正か否かを判定することができる。
空気排出ラインL72は、脱炭酸膜モジュール151から排出された、炭酸ガスを含む空気(以下、「混合空気」ともいう)を真空ポンプ152に導入するラインである。空気排出ラインL72の上流側の端部は、脱炭酸膜モジュール151の空気排出口に接続されている。空気排出ラインL72の下流側の端部は、真空ポンプ152の空気吸引口(不図示)に接続されている。空気排出ラインL72には、上流側から順に、逆止弁V67及び接続部J44が設けられている。
真空センサVS1は、脱炭酸膜モジュール151内の真空度を測定する機器である。真空センサVS1は、接続部J44において、空気排出ラインL72に接続されている。真空センサVS1は、制御ユニット30Aと電気的に接続されている。真空センサVS1で測定された真空度は、制御ユニット30Aへ検出信号として送信される。制御ユニット30Aにおいて、脱炭酸膜モジュール151の真空度をモニタすることにより、エアフィルタ155における異物の詰まり具合を判定することができる。
真空ポンプ152は、脱炭酸膜モジュール151に空気を流入させると共に、脱炭酸膜モジュール151から炭酸ガスを含む空気を排出させる装置である。本実施形態の真空ポンプ152は、水封式の真空ポンプである。真空ポンプ152は、脱炭酸膜モジュール151から炭酸ガスを含む空気を吸引すると共に、この空気と封水タンク154から導入された封水W8とを混合した流体(以下、「混合流体」ともいう)を排出する。また、真空ポンプ152には、インバータ153から周波数が変換された駆動電力が供給される。真空ポンプ152は、インバータ153から供給された駆動電力の周波数(以下、「駆動周波数」ともいう)に応じた回転速度で駆動される。
インバータ153は、真空ポンプ152に、周波数が変換された駆動電力を供給する電気回路(又はその回路を持つ装置)である。インバータ153は、制御ユニット30と電気的に接続されている。インバータ153には、制御ユニット30の第2制御部32Aから指令信号が入力される。インバータ153は、第2制御部32Aにより入力された指令信号(電流値信号又は電圧値信号)に対応する駆動周波数の駆動電力を真空ポンプ152に出力する。
封水導入ラインL73は、封水タンク154に貯留された封水W8を真空ポンプ152に導入するラインである。封水導入ラインL73の上流側の端部は、封水タンク154の液相部(底部)に接続されている。封水導入ラインL73の下流側の端部は、真空ポンプ152の封水導入口(不図示)に接続されている。封水導入ラインL73には、上流側から順に、定流量弁V60及び接続部J45が設けられている。封水W8は、水封式の真空ポンプ152において、内部の気密性を保つために導入される。
温度センサTE6は、到達真空度に影響する封水W8の温度を測定する機器である。温度センサTE6は、接続部J45において、封水導入ラインL73に接続されている。温度センサTE6は、制御ユニット30Aと電気的に接続されている。温度センサTE6で測定された封水W8の温度は、制御ユニット30Aへ検出信号として送信される。
混合空気回収ラインL74は、真空ポンプ152から排出された混合流体を封水タンク154に回収するラインである。混合空気回収ラインL74の上流側の端部は、真空ポンプ152の混合空気排出口(不図示)に接続されている。混合空気回収ラインL74の下流側の端部は、封水タンク154の気相部(上部)に接続されている。
封水排出ラインL75は、封水タンク154においてオーバーフローした封水W8を、脱炭酸装置15の外に排出するラインである。封水排出ラインL75の上流側の端部は、封水タンク154の気相部(側面のオーバーフロー設定位置)に接続されている。封水排出ラインL75の下流側は、例えば、排水ピット(不図示)に接続又は開口している。
封水タンク154は、封水W8を貯留するタンクである。封水タンク154の液相部(底部)には、封水導入ラインL73の上流側の端部が接続されている。封水タンク154の気相部(上部)には、後段RO濃縮水送出ラインL65及び混合空気回収ラインL74の下流側の端部がそれぞれ接続されている。後段RO膜モジュール14で分離された濃縮水W5の一部(残部W52)が後段RO濃縮水送出ラインL65を介して封水タンク154に供給される、封水タンク154は所定の水量に保たれる。
図6Bに示す脱炭酸装置15において、真空ポンプ152が駆動されると、空気吸引ラインL71から吸引された空気が、エアフィルタ155及びエア流量センサFM4を経て脱炭酸膜モジュール151へ導入される。この空気は、脱炭酸膜モジュール151の内部において中空糸膜の内側を流通し、空気排出口から空気排出ラインL72に排出される。これにより、脱炭酸膜モジュール151の外部が減圧され、中空糸膜の内側は真空状態に保たれつつ、空気が連続的に流通する。
一方、後段RO膜モジュール14で分離された後段透過水W4は、後段RO透過水ラインL23を介して、脱炭酸膜モジュール151の水流入口に流入する。後段透過水W4が中空糸膜の外側を通過する際に、後段透過水W4に含まれる遊離炭酸(溶存炭酸ガス)は、中空糸膜の外側から分圧の低い中空糸膜の内側に向かって膜壁を透過する。そして、炭酸ガスの除去された後段透過水W4は、水排出口から後段RO透過水ラインL23に向けて排出される。また、中空糸膜の内側に排出された炭酸ガスは、導入された空気と共に脱炭酸膜モジュール151の空気排出口から空気排出ラインL72に排出される。炭酸ガスを含む空気は、真空ポンプ152において、封水タンク154から導入された封水W8と混合され、混合空気回収ラインL74を介して封水タンク154内に放出される。
再び、第2実施形態に係る純水製造装置1Aの全体構成図の後段部分における他の構成について説明する。
イオン交換器17は、透過水W2に残留するカチオンをH型の陽イオン交換樹脂で除去すると共に、透過水W2に残留するアニオンをOH型の陰イオン交換樹脂で除去して脱イオン水W9を製造する非再生型の混床式イオン交換塔である。イオン交換器17は、図8に示すように、圧力タンク171と、一次側開閉弁V21と、二次側開閉弁V22と、を備える。
圧力タンク171は、内部にイオン交換樹脂床及びその支持床(いずれも不図示)が収容された容器である。圧力タンク171の一次側ポートには、中段側透過水ラインL232の下流側の端部が接続されている。中段側透過水ラインL232において、圧力タンク171における一次側ポートの近傍には、一次側開閉弁V21が設けられている。一次側開閉弁V21は、中段側透過水ラインL232の開閉を操作可能な手動弁である。
脱イオン水ラインL3は、イオン交換器17で製造された脱イオン水W9を純水として需要箇所に向けて送出するラインである。脱イオン水ラインL3は、上流側脱イオン水ラインL31と、下流側脱イオン水ラインL32と、を有する。
上流側脱イオン水ラインL31の上流側の端部は、圧力タンク171の二次側ポート(脱イオン水W9の出口側)に接続されている。上流側脱イオン水ラインL31の下流側の端部は、第2流路切換弁V72を介して、下流側脱イオン水ラインL32及び脱イオン水リターンラインL45に接続されている。上流側脱イオン水ラインL31において、圧力タンク171における二次側ポートの近傍には、二次側開閉弁V22が設けられている。二次側開閉弁V22は、中段側透過水ラインL212の開閉を操作可能な手動弁である。また、本実施形態の上流側脱イオン水ラインL31には、接続部J37において、第1比抵抗センサRS1が接続されている。また、上流側脱イオン水ラインL31には、第1比抵抗センサRS1の下流側に、第11開閉弁V23が接続されている。第11開閉弁V23は、上流側脱イオン水ラインL31の開閉を操作可能な手動弁である。
第2実施形態に係る純水製造装置1Aにおいて、制御ユニット30Aによる前段RO膜モジュール10に対する水位フィードバック水量制御、及び後段RO膜モジュール14に対する流量フィードバック水量制御は、第1実施形態の制御ユニット30と実質的に同じであるため説明を省略する。
上述した第2実施形態に係る純水製造装置1Aにおいても、第1制御部31Aは、水位センサ111において測定された中間タンク11の検出水位値が予め設定された目標水位値となるように、フィードバック制御アルゴリズムにより演算された第1駆動周波数の演算値に対応する指令信号を前段インバータ9に出力する。そのため、第1実施形態と同様に、前段加圧ポンプ8の発停頻度が少なくなるため、純水製造装置1Aで製造される純水の水質の悪化を抑制することができる。また、第2実施形態に係る純水製造装置1Aにおいても、中間タンク11の容量を必要以上に大きくする必要がないため、従来よりも中間タンク11の容量を小さくすることができる。その他、第2実施形態に係る純水製造装置1Aは、前述した第1実施形態に係る純水製造装置1と同じ効果を奏する。
また、第2実施形態に係る純水製造装置1Aは、後段RO膜モジュール14の下流側に脱炭酸装置15を備えるため、後段RO膜モジュール14で除去することのできない遊離炭酸の除去された純度の高い後段透過水W4を得ることができる。
更に、第2実施形態に係る純水製造装置1Aは、脱炭酸装置15の下流側にイオン交換器17を備えるため、後段透過水W4に含まれる残留イオンの除去された脱イオン水W9を得ることができる。
このように、第2実施形態に係る純水製造装置1Aは、後段RO膜モジュール14の下流側に脱炭酸装置15及びイオン交換器17を備えるため、より純度の高い純水を製造することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
第1実施形態においては、精製ユニットとしてEDIスタック16を設けた例について説明した。これに限らず、精製ユニットとして第2実施形態に示すイオン交換器17(図6B参照)を設けてもよい。また、第2実施形態では、精製ユニットとしてイオン交換器17を設けた例について説明した。これに限らず、精製ユニットとして第1実施形態に示すEDIスタック16(図2D参照)を設けた構成としてもよい。
上記実施形態においては、後段RO膜モジュール14に対する前処理ユニットとして前段RO膜モジュール10を設けた例について説明した。これに限らず、前処理ユニットとして、除鉄除マンガン装置、砂濾過装置、精密濾過膜装置、限外濾過膜装置等の各種濾過装置を設けた構成としてもよいし、これら濾過装置とRO膜モジュールとの組み合わせた構成としてもよい。
上記実施形態においては、加圧ポンプ(5,8,12)の駆動周波数を、速度形PIDアルゴリズムにより演算する例について説明した。これに限らず、これら加圧ポンプの駆動周波数を位置形PIDアルゴリズムにより演算してもよい。また、PIDアルゴリズムに限らず、Pアルゴリズム又はPIアルゴリズム等により駆動周波数を演算してもよい。
上記実施形態においては、制御ユニット(30,30A)からインバータ(6,9,13)への指令信号として電流値信号を出力する例について説明した。これに限らず、制御ユニットからこれらインバータへの指令信号として電圧値信号(例えば、0〜10V)を出力するように構成してもよい。
上記実施形態では、第1排水弁V32〜第3排水弁V34の開放数を選択することにより、濃縮水W3の排水流量を段階的に調節する例について説明した。これに限らず、例えば、RO濃縮水排出ラインL61を分岐させずに、当該RO濃縮水排出ラインL61に比例制御弁を設けた構成としてもよい。この場合、制御ユニット(30,30A)から指令信号を比例制御弁に送信して弁開度を制御することにより、濃縮水W3の排水流量を調節することができる。
また、RO濃縮水排出ラインL61に比例制御弁を設けた構成において、RO濃縮水排出ラインL61に流量センサを設けた構成としてもよい。この場合は、流量センサで測定された流量値を、制御ユニット(30,30A)にフィードバック値として入力することにより、濃縮水W3の実際の排水流量をより正確に制御することができる。