以下、本発明に係る水処理装置を純水製造装置に適用した場合の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係る純水製造装置1について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る純水製造装置1の全体概略図である。図2Aは、第1実施形態に係る純水製造装置1の全体構成図の前段部分である。図2Bは、第1実施形態に係る純水製造装置1の全体構成図の中段部分である。図2Cは、第1実施形態に係る純水製造装置1の全体構成図の後段部分である。本実施形態に係る純水製造装置1は、例えば、原水(例えば、水道水)から脱塩水(脱イオン水)を製造する純水製造装置に適用される。純水製造装置1で製造された脱塩水は、純水として、需要箇所等に送出される。なお、本実施形態に係る純水製造装置1において、需要箇所等へ純水を供給することを「採水」ともいう。
図1に示すように、第1実施形態に係る純水製造装置1は、第1オプション機器OP1と、プレフィルタ4と、第2オプション機器OP2と、加圧ポンプ5と、インバータ6と、透過水製造部としてのRO膜モジュール7と、第3オプション機器OP3と、第1流路切換弁V71と、電気脱イオンスタック(以下、「EDIスタック」ともいう)16と、第2流路切換弁V72と、第4オプション機器OP4と、制御部30と、入力操作部40と、直流電源装置50と、表示部60と、を備える。
第1オプション機器OP1〜第4オプション機器OP4は、純水製造装置1に着脱可能なオプション機器として、純水製造装置1に装備される機器である。第1オプション機器OP1は、軟水器2及び活性炭濾過器3を含む。第2オプション機器OP2は、硬度センサS1及び残留塩素センサS2を含む。第3オプション機器OP3は、脱炭酸装置15を含む。第4オプション機器OP4は、第2比抵抗センサRS2、全有機炭素センサTOC及び第3温度センサTE3を含む。
また、図1に示すように、純水製造装置1は、供給水ラインL1と、透過水ラインL21と、RO透過水リターンラインL41と、RO濃縮水リターンラインL51と、脱塩水ラインL3と、脱塩水リターンラインL42と、EDI濃縮水ラインL52と、給水ラインL4と、を備える。なお、本明細書における「ライン」とは、流路、径路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
また、純水製造装置1は、図2A〜図2Cに示すように、図1に示す構成に加えて、第1開閉弁V11〜第7開閉弁V17と、真空破壊弁V41と、減圧弁V42と、供給水補給弁V31と、第1排水弁V32〜第3排水弁V34と、第1定流量弁V51〜第5定流量弁V55と、第1逆止弁V61〜第5逆止弁V65と、第1圧力計P1〜第6圧力計P6と、第1圧力センサPS1〜第4圧力センサPS4と、圧力スイッチPSWと、第1温度センサTE1及び第2温度センサTE2と、流量検出手段としての第1流量センサFM1及び第2流量センサFM2と、第1電気伝導率センサEC1と、第1比抵抗センサRS1と、を備える。
図1、図2A〜図2Cでは、電気的な接続の経路を省略するが、制御部30は、供給水補給弁V31、第1流路切換弁V71、第2流路切換弁V72、第1排水弁V32〜第3排水弁V34、圧力スイッチPSW、第1温度センサTE1〜第3温度センサTE3、第1圧力センサPS1〜第4圧力センサPS4、第1流量センサFM1及び第2流量センサFM2、第1電気伝導率センサEC1、第1比抵抗センサRS1及び第2比抵抗センサRS2、全有機炭素センサTOC、硬度センサS1、残留塩素センサS2等と電気的に接続される。
まず、純水製造装置1における全体構成図の前段部分について説明する。
図1及び図2Aに示すように、供給水ラインL1には、供給水W1が流通する。供給水ラインL1は、供給水W1を、RO膜モジュール7へ流通させるラインである。供給水ラインL1は、第1供給水ラインL11と、第2供給水ラインL12と、を有する。
第1供給水ラインL11には、原水W11(供給水W1)が流通する。第1供給水ラインL11は、原水W11の供給源(不図示)と軟水器2とをつなぐラインである。第1供給水ラインL11の上流側の端部は、原水W11の供給源(不図示)に接続されている。また、第1供給水ラインL11の下流側の端部は、軟水器2に接続されている。
第1供給水ラインL11には、図2Aに示すように、上流側から順に、接続部J1、第1開閉弁V11、及び軟水器2が設けられている。第1開閉弁V11は、第1供給水ラインL11の開閉を操作可能な手動弁である。
軟水器2は、原水W11中に含まれる硬度成分をナトリウムイオンに置換して軟水W12(供給水W1)を製造する機器である。軟水器2は、圧力タンク内に陽イオン交換樹脂床を収容したイオン交換塔を有する。
第2供給水ラインL12には、軟水W12(供給水W1)が流通する。第2供給水ラインL12は、軟水W12を、RO膜モジュール7へ流通させるラインである。第2供給水ラインL12は、軟水器2とRO膜モジュール7とをつなぐラインである。図2Aに示すように、第2供給水ラインL12の上流側の端部は、軟水器2に接続されている。また、図2Bに示すように、第2供給水ラインL12の下流側の端部は、RO膜モジュール7の一次側入口ポート(供給水W1の入口)に接続されている。
第2供給水ラインL12には、上流側から順に、図2Aに示すように、第2開閉弁V12、接続部J2、第3開閉弁V13、活性炭濾過器3、第4開閉弁V14、接続部J3、プレフィルタ4、接続部J4、及び接続部J5が設けられている。また、接続部J5以降には、図2Bに示すように、第5開閉弁V15、接続部J6、減圧弁V42、供給水補給弁V31、接続部J59、接続部J51、接続部J7、接続部J8、加圧ポンプ5、接続部J9、及びRO膜モジュール7が設けられている。第2開閉弁V12〜第5開閉弁V15は、第2供給水ラインL12の開閉を操作可能な手動弁である。供給水補給弁V31は、第2供給水ラインL12の開閉を制御可能な自動弁である。供給水補給弁V31は、制御部30と電気的に接続されている。供給水補給弁V31の開閉は、制御部30から送信される流路開閉信号により制御される。
活性炭濾過器3は、軟水W12(供給水W1)に含まれる塩素成分(主として遊離残留塩素)を除去する機器である。活性炭濾過器3は、圧力タンク内に活性炭からなる濾材床を収容した濾過塔を有する。活性炭濾過器3は、軟水W12に含まれる塩素成分を分解除去する他、有機成分を吸着除去したり、懸濁物質を捕捉したりして軟水W12(供給水W1)を浄化する。
プレフィルタ4は、活性炭濾過器3により浄化された軟水W12(供給水W1)に含まれる微粒子を除去するフィルタである。プレフィルタ4は、ハウジング内にフィルタエレメントが収容されて構成される。フィルタエレメントとしては、例えば、濾過精度が1〜50μmの不織布フィルタエレメント又は糸巻きフィルタエレメント等が用いられる。
硬度センサS1は、供給水ラインL1を流通する供給水W1の全硬度(すなわち、硬度リーク量)を測定する機器である。残留塩素センサS2は、供給水ラインL1を流通する供給水W1の遊離残留塩素濃度(すなわち、塩素リーク量)を測定する機器である。硬度センサS1及び残留塩素センサS2は、図2Aに示すように、測定ラインL110を介して、接続部J5において供給水ラインL1に接続されている。接続部J5は、供給水ラインL1におけるプレフィルタ4と第5開閉弁V15との間に配置されている。硬度センサS1及び残留塩素センサS2は、制御部30と電気的に接続されている。硬度センサS1で測定された硬度リーク量、及び残留塩素センサS2で測定された塩素リーク量は、それぞれ制御部30へ検出信号として送信される。
次に、純水製造装置1における全体構成図の中段部分について説明する。
図2Bに示すように、接続部J6には、真空破壊弁V41が接続されている。真空破壊弁V41は、常閉式の圧力作動弁であり、供給水ラインL1の管内圧力が大気圧力よりも低くなった場合に弁体が開いて大気を吸入する。真空破壊弁V41を設けることにより、原水W11(供給水W1)が断水となって供給水ラインL1が負圧になったとしても、RO膜モジュール7の膜の破損等の不具合を防止することができる。
減圧弁V42は、軟水器2、活性炭濾過器3及びプレフィルタ4を通過した軟水W12の圧力を、RO膜モジュール7から流出する濃縮水W3の圧力よりも低い圧力に調整する機器である。減圧弁V42は、軟水W12の圧力よりも濃縮水W3の圧力が大きく(軟水W12の圧力<濃縮水W3の圧力)なるように、軟水W12の圧力を調整する。これにより、濃縮水W3の一部が軟水W12に循環され、軟水W12に濃縮水W3が混合された供給水は、RO膜モジュール7に供給される。即ち、RO膜モジュール7においては、加圧ポンプ5により供給水を循環させながら、透過水を生産するクロスフロー方式の分離操作が行われる。
接続部J59には、後述する脱塩水リターンラインL42の下流側の端部が接続されている。接続部J51には、後述するRO透過水リターンラインL41の下流側の端部及びRO濃縮水リターンラインL51の下流側の端部が接続されている。
加圧ポンプ5は、供給水ラインL1を流通する供給水W1を吸入し、RO膜モジュール7へ向けて圧送(吐出)する装置である。加圧ポンプ5には、インバータ6から周波数が変換された駆動電力が供給される。加圧ポンプ5は、供給された駆動電力の周波数(以下、「駆動周波数」ともいう)に応じた回転速度で駆動される。
インバータ6は、加圧ポンプ5に、周波数が変換された駆動電力を供給する電気回路(又はその回路を持つ装置)である。インバータ6は、制御部30と電気的に接続されている。インバータ6には、制御部30から指令信号が入力される。インバータ6は、制御部30により入力された指令信号(電流値信号又は電圧値信号)に対応する駆動周波数の駆動電力を加圧ポンプ5に出力する。
RO膜モジュール7は、加圧ポンプ5により圧送された供給水W1を、溶存塩類が除去された透過水W2と、溶存塩類が濃縮された濃縮水W3と、に分離する。RO膜モジュール7は、単一又は複数のスパイラル型RO膜エレメントを圧力容器(ベッセル)に収容して構成される。当該RO膜エレメントに使用されるRO膜としては、架橋芳香族ポリアミド系複合膜などが例示される。架橋芳香族ポリアミド系複合膜からなるRO膜エレメントとしては、東レ社製:型式名「TMG20−400」、ウンジン・ケミカル社製:型式名「RE8040−BLF」、日東電工社製:型式名「ESPA1」等が市販されており、これらのエレメントを好適に用いることができる。
RO濃縮水リターンラインL51は、RO膜モジュール7で分離された濃縮水W3の一部W31を供給水ラインL1へ返送するラインである。RO濃縮水リターンラインL51の上流側の端部は、RO膜モジュール7の一次側出口ポート(濃縮水W3の出口)に接続されている。RO濃縮水リターンラインL51の下流側の端部は、接続部J51において供給水ラインL1に接続されている。RO濃縮水リターンラインL51には、第1逆止弁V61及び第1定流量弁V51が設けられている。
RO濃縮水排出ラインL61は、RO膜モジュール7で分離された濃縮水W3の残部W32を、RO濃縮水リターンラインL51の途中から装置の外へ排出するラインである。RO濃縮水排出ラインL61の上流側の端部は、接続部J53に接続されている。接続部J53は、RO濃縮水リターンラインL51におけるRO膜モジュール7と接続部J52との間に配置されている。第1濃縮水排水ラインL611、第2濃縮水排水ラインL612及び第3濃縮水排水ラインL613の上流側の端部は、接続部J55及びJ56において、RO濃縮水排出ラインL61に接続されている。
第1濃縮水排水ラインL611〜第3濃縮水排水ラインL613には、それぞれ、第1排水弁V32〜第3排水弁V34、及び第2定流量弁V52〜第4定流量弁V54が設けられている。第2定流量弁V52〜第4定流量弁V54は、それぞれ異なる流量値に設定されている。第1排水弁V32〜第3排水弁V34により、第1濃縮水排水ラインL611〜第3濃縮水排水ラインL613を個別に開閉することができる。第1排水弁V32〜第3排水弁V34の開放数を適宜に選択することにより、装置外へ排出する濃縮水W3の排水流量を調節することができる。この調節により、透過水W2の回収率を予め設定された値に保つことができる。なお、透過水W2の回収率とは、RO膜モジュール7に供給される軟水W12(濃縮水W3の一部W31が混合される前の供給水W1)の流量に対する透過水W2の割合(%)をいう。
第1排水弁V32〜第3排水弁V34は、それぞれ制御部30と電気的に接続されている。第1排水弁V32〜第3排水弁V34の開閉は、制御部30から送信される駆動信号により制御される。
第1濃縮水排水ラインL611、第2濃縮水排水ラインL612及び第3濃縮水排水ラインL613の下流側の端部は、接続部J57及びJ58において、合流排水ラインL62の上流側の端部に接続されている。合流排水ラインL62の下流側の端部は、例えば、排水ピット(不図示)に接続又は開口している。合流排水ラインL62の途中には、第2逆止弁V62が設けられている。
透過水ラインL21は、RO膜モジュール7で分離された透過水W2をEDIスタック16に流通させるラインである。透過水ラインL21は、図2B及び図2Cに示すように、前段側透過水ラインL211と、中段側透過水ラインL212と、脱塩室流入ラインL213と、濃縮室流入ラインL214と、を有する。
前段側透過水ラインL211の上流側の端部は、図2Bに示すように、RO膜モジュール7の二次側ポート(透過水W2の出口)に接続されている。前段側透過水ラインL211の下流側の端部は、図2Cに示すように、第1流路切換弁V71を介して、中段側透過水ラインL212及びRO透過水リターンラインL41に接続されている。
前段側透過水ラインL211には、上流側から順に、図2Bに示すように、第3逆止弁V63、接続部J10、接続部J11、及び第6開閉弁V16が設けられている。また、第6開閉弁V16以降には、図2Cに示すように、脱炭酸装置15、接続部J31、接続部J32、及び第1流路切換弁V71が設けられている。第6開閉弁V16は、前段側透過水ラインL211の開閉を操作可能な手動弁である。
次に、純水製造装置1における全体構成図の後段部分について説明する。
図2Cにおいて、脱炭酸装置15は、透過水W2に含まれる遊離炭酸(溶存炭酸ガス)を、気体分離膜モジュールにより脱気処理して、脱気水(脱気透過水)を得る設備である。RO膜モジュール7の下流側に脱炭酸装置15を設けることにより、RO膜を透過しやすい遊離炭酸を透過水W2から除去することができる。従って、より純度の高い透過水W2を得ることができる。本実施形態の脱炭酸装置15では、中空糸膜からなる外部灌流式の気体分離膜モジュールを用い、中空糸膜の内側を真空ポンプ(不図示)で吸引しながら、空気等の掃引ガスを導入し、膜壁を介して遊離炭酸を掃引ガス中に移行させつつ排気する。このような用途に適した気体分離膜モジュールとしては、例えば、セルガード社製:製品名「Liqui−Cel G−521R」等が挙げられる。気体分離膜モジュールに接続される真空ポンプは、制御部30と電気的に接続されている。
第1流路切換弁V71は、RO膜モジュール7で分離された透過水W2を、中段側透過水ラインL212を介してEDIスタック16へ向けて流通させる流路(採水側流路)、又は、RO透過水リターンラインL41を介してRO膜モジュール7の上流側の供給水ラインL1へ向けて流通させる流路(循環側流路)に切り換え可能な自動弁である。第1流路切換弁V71は、例えば、電動式又は電磁式の三方弁により構成される。第1流路切換弁V71は、制御部30と電気的に接続されている。第1流路切換弁V71における流路の切り換えは、制御部30から送信される流路切換信号により制御される。
RO透過水リターンラインL41は、RO膜モジュール7で分離された透過水W2を、RO膜モジュール7よりも上流側の供給水ラインL1へ返送するラインである。RO透過水リターンラインL41の上流側の端部は、第1流路切換弁V71に接続されている。RO透過水リターンラインL41の下流側の端部は、接続部J52において、RO濃縮水リターンラインL51に接続されている。接続部J52は、RO濃縮水リターンラインL51における接続部J53と接続部J51との間に配置されている。RO透過水リターンラインL41における接続部J52から接続部J51までの部分は、RO濃縮水リターンラインL51における接続部J52から接続部J51までの部分と共通する。RO透過水リターンラインL41の上流側には、第4逆止弁V64が設けられている。
中段側透過水ラインL212の上流側の端部は、第1流路切換弁V71に接続されている。中段側透過水ラインL212の下流側の端部は、分岐部J71において、脱塩室流入ラインL213の上流側の端部及び濃縮室流入ラインL214の上流側の端部に接続されている。
脱塩室流入ラインL213の下流側の端部は、EDIスタック16の一次側ポート(脱塩室161の入口側)に接続されている。脱塩室流入ラインL213には、接続部J33が配置されている。濃縮室流入ラインL214の下流側の端部は、EDIスタック16の一次側ポート(濃縮室162の各入口側)に接続されている。濃縮室流入ラインL214には、上流側から順に、第5定流量弁V55、及び接続部J34が設けられている。
EDIスタック16は、RO膜モジュール7で分離された透過水W2を脱塩処理(脱イオン処理)して、脱塩水W6(脱イオン水)と濃縮水W7とを得る水処理機器である。EDIスタック16は、直流電源装置50(図1参照)と電気的に接続されている。EDIスタック16には、直流電源装置50から直流電圧が印加される。EDIスタック16は、直流電源装置50から印加された直流電圧により通電され、動作する。
直流電源装置50は、直流電圧をEDIスタック16の一対の電極間に印加する。直流電源装置50は、制御部30と電気的に接続されている。直流電源装置50は、制御部30により入力された指令信号に応答して、直流電圧をEDIスタック16に出力する。
EDIスタック16は、一対の電極間に、陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜(不図示)が交互に配置される。EDIスタック16の内部は、これらイオン交換膜により、脱塩室161及び濃縮室162(陽極室及び陰極室を含む)に区画される。脱塩室161には、イオン交換体(不図示)が充填される。脱塩室161に充填されるイオン交換体としては、例えば、イオン交換樹脂又はイオン交換繊維等が用いられる。なお、図2Cでは、EDIスタック16の内部に区画された複数の脱塩室161及び濃縮室162を模式的に示す。
脱塩室161の入口側には、透過水W2を流入させる脱塩室流入ラインL213が接続されている。脱塩室161の出口側には、脱塩室161においてイオンが除去されて排出された脱塩水W6を流通させる脱塩水ラインL3が接続されている。濃縮室162の入口側には、透過水W2を流入させる濃縮室流入ラインL214が接続されている。濃縮室162の出口側には、イオンが濃縮されて排出された濃縮水W7を流通させるEDI濃縮水ラインL52が接続されている。
脱塩室161及び濃縮室162それぞれには、透過水ラインL21を流通する透過水W2が流入される。透過水W2に含まれる残留イオンは、脱塩室161内に充填されたイオン交換体(不図示)により捕捉され、脱塩水W6となる。脱塩水W6は、脱塩水ラインL3(後述)を介して需要箇所へ送出される。また、脱塩室161内のイオン交換体に捕捉された残留イオンは、印加された直流電圧の電気エネルギーにより濃縮室162に移動する。そして、残留イオンを含む水は、濃縮水W7として、濃縮室162からEDI濃縮水ラインL52(後述)を介して脱炭酸装置15に向けて送出される。脱炭酸装置15に送出された濃縮水W7は、真空ポンプの封水として利用され、その後、封水排出ラインL71(後述)を介して装置の外に排出される。
脱塩水ラインL3は、EDIスタック16で得られた脱塩水W6を純水として需要箇所に向けて送出するラインである。脱塩水ラインL3は、上流側脱塩水ラインL31と、下流側脱塩水ラインL32と、を有する。
上流側脱塩水ラインL31の上流側の端部は、EDIスタック16の二次側ポート(脱塩室161の出口側)に接続されている。上流側脱塩水ラインL31の下流側の端部は、第2流路切換弁V72を介して、下流側脱塩水ラインL32及び脱塩水リターンラインL42(後述)に接続されている。上流側脱塩水ラインL31には、上流側から順に、接続部J36、接続部J37、接続部J38、第7開閉弁V17、及び第2流路切換弁V72が設けられている。第7開閉弁V17は、上流側脱塩水ラインL31の開閉を操作可能な手動弁である。
第2流路切換弁V72は、EDIスタック16の脱塩室161で得られた脱塩水W6を、下流側脱塩水ラインL32を介して需要箇所に向けて送出させる流路(採水側流路)、又は、脱塩水リターンラインL42を介してRO膜モジュール7の上流側の供給水ラインL1に向けて流通させる流路(循環側流路)に切り換え可能な自動弁である。第2流路切換弁V72は、例えば、電動式又は電磁式の三方弁により構成される。第2流路切換弁V72は、制御部30と電気的に接続されている。第2流路切換弁V72における流路の切り換えは、制御部30から送信される流路切換信号により制御される。
第2流路切換弁V72は、制御部30により採水側流路に切り換えられることにより、EDIスタック16で得られた脱塩水W6を脱塩水ラインL3から需要箇所に送り出す処理を実行可能な送出手段として機能する。
下流側脱塩水ラインL32の上流側の端部は、第2流路切換弁V72に接続されている。下流側脱塩水ラインL32の下流側の端部は、需要箇所の装置等(不図示)に接続されている。
脱塩水リターンラインL42は、EDIスタック16の脱塩室161で得られた脱塩水W6を、脱塩水ラインL3の途中から、RO膜モジュール7の上流側(供給水ラインL1)へ返送するラインである。本実施形態においては、脱塩水リターンラインL42の上流側の端部は、第2流路切換弁V72に接続されている。脱塩水リターンラインL42の下流側の端部は、接続部J59に接続されている。脱塩水リターンラインL42の上流側には、第5逆止弁V65が設けられている。
EDI濃縮水ラインL52は、EDIスタック16の濃縮室162から排出された濃縮水W7を、脱炭酸装置15に送出するラインである。EDI濃縮水ラインL52の上流側の端部は、EDIスタック16の二次側ポート(濃縮室162の出口側)に接続されている。EDI濃縮水ラインL52の下流側の端部は、脱炭酸装置15に接続されている。
封水排出ラインL71は、脱炭酸装置15から排出される封水排水W8を、装置の外に排出するラインである。封水排出ラインL71の上流側の端部は、脱炭酸装置15に接続されている。封水排出ラインL71の下流側は、例えば、排水ピット(不図示)に接続又は開口している。
第1圧力計P1〜第6圧力計P6は、接続された各ラインを流通する水の圧力を計測する機器である。図2Aに示すように、第1圧力計P1〜第4圧力計P4は、接続部J1〜J4において、それぞれ、供給水ラインL1に接続されている。図2Cに示すように、第5圧力計P5は、接続部J35において、EDI濃縮水ラインL52に接続されている。第6圧力計P6は、接続部J36において、脱塩水ラインL3に接続されている。
第1圧力センサPS1〜第4圧力センサPS4は、接続された各ラインを流通する水の圧力を計測する機器である。図2B及び図2Cに示すように、第1圧力センサPS1は、接続部J9において、供給水ラインL1に接続されている。接続部J9は、供給水ラインL1における加圧ポンプ5とRO膜モジュール7との間に配置されている。第2圧力センサPS2は、接続部J11において、透過水ラインL21に接続されている。接続部J11は、透過水ラインL21におけるRO膜モジュール7と脱炭酸装置15との間に配置されている。第3圧力センサPS3は、接続部J33において、脱塩室流入ラインL213に接続されている。接続部J33は、脱塩室流入ラインL213の途中に配置されている。第4圧力センサPS4は、接続部J34において、濃縮室流入ラインL214に接続されている。接続部J34は、濃縮室流入ラインL214における第5定流量弁V55とEDIスタック16との間に配置されている。
第1圧力センサPS1〜第4圧力センサPS4は、制御部30と電気的に接続されている。第1圧力センサPS1〜第4圧力センサPS4で測定された供給水W1又は透過水W2の圧力は、制御部30へ検出信号として送信される。
圧力スイッチPSWは、供給水ラインL1を流通する供給水W1の圧力が第1設定圧力値以下又は第2設定圧力値以上であることを検出する機器である。図2Bに示すように、圧力スイッチPSWは、接続部J7において、供給水ラインL1に接続されている。接続部J7は、供給水ラインL1における接続部J51と加圧ポンプ5との間に配置されている。圧力スイッチPSWで検出された供給水W1の圧力の検出信号は、制御部30へ送信される。
第1温度センサTE1〜第3温度センサTE3は、接続された各ラインを流通する水の温度を測定する機器である。第1温度センサTE1は、接続部J8において、供給水ラインL1に接続されている。接続部J8は、供給水ラインL1における接続部J51と加圧ポンプ5との間に配置されている。第2温度センサTE2は、接続部J31において、透過水ラインL21に接続されている。接続部J31は、透過水ラインL21における脱炭酸装置15と第1流路切換弁V71との間に配置されている。第3温度センサTE3は、接続部J43において、脱塩水ラインL3に接続されている。接続部J43は、脱塩水ラインL3における第2流路切換弁V72よりも下流側の下流側脱塩水ラインL32に配置されている。
第1温度センサTE1〜第3温度センサTE3は、制御部30と電気的に接続されている。第1温度センサTE1〜第3温度センサTE3で測定された供給水W1、透過水W2又は脱塩水W6の温度(検出水温値)は、制御部30へ検出信号として送信される。
第1流量センサFM1及び第2流量センサFM2は、接続された各ラインを流通する水(透過水W2又は脱塩水W6)の流量を測定する機器である。第1流量センサFM1は、接続部J10において、透過水ラインL21に接続されている。接続部J10は、透過水ラインL21におけるRO膜モジュール7と脱炭酸装置15との間に配置されている。第2流量センサFM2は、接続部J38において、脱塩水ラインL3に接続されている。接続部J38は、脱塩水ラインL3におけるEDIスタック16と第2流路切換弁V72との間に配置されている。
第1流量センサFM1及び第2流量センサFM2は、制御部30と電気的に接続されている。第1流量センサFM1及び第2流量センサFM2で測定された透過水W2又は脱塩水W6の流量(検出流量値)は、制御部30へ検出信号として送信される。
第1電気伝導率センサEC1は、透過水ラインL21を流通する透過水W2の電気伝導率(電気的特性値)を測定する機器である。第1電気伝導率センサEC1は、接続部J32において、透過水ラインL21に接続されている。接続部J32は、透過水ラインL21における脱炭酸装置15と第1流路切換弁V71との間に配置されている。
第1比抵抗センサRS1及び第2比抵抗センサRS2は、脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の比抵抗(電気的特性値)を測定する機器である。第1比抵抗センサRS1は、接続部J37において、脱塩水ラインL3に接続されている。接続部J37は、脱塩水ラインL3におけるEDIスタック16と第2流路切換弁V72との間に配置されている。第2比抵抗センサRS2は、接続部J41において、脱塩水ラインL3に接続されている。接続部J41は、脱塩水ラインL3における第2流路切換弁V72よりも下流側の下流側脱塩水ラインL32に配置されている。なお、第1比抵抗センサRS1及び第2比抵抗センサRS2は、測定された比抵抗値の温度補償のため、温度センサを内蔵している。そのため、第1比抵抗センサRS1及び第2比抵抗センサRS2は、脱塩水W6の水温を測定することができる。
第1電気伝導率センサEC1、第1比抵抗センサRS1及び第2比抵抗センサRS2は、制御部30と電気的に接続されている。第1電気伝導率センサEC1で測定された透過水W2の電気伝導率、第1比抵抗センサRS1で測定された脱塩水W6の比抵抗(及び温度)、及び第2比抵抗センサRS2で測定された脱塩水W6の比抵抗(及び温度)は、それぞれ、制御部30へ検出信号として送信される。
全有機炭素センサTOCは、脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の有機体炭素量を検出する機器である。有機体炭素とは、水中に存在する有機物中の炭素である。全有機炭素センサTOCは、接続部J42において、脱塩水ラインL3に接続されている。接続部J42は、脱塩水ラインL3における第2流路切換弁V72よりも下流側の下流側脱塩水ラインL32に配置されている。
全有機炭素センサTOCは、制御部30と電気的に接続されている。全有機炭素センサTOCで検出された脱塩水W6の全有機炭素量は、制御部30へ検出信号として送信される。
入力操作部40は、装置の運転状態に係る選択(例えば、運転/停止の選択、警報の解除など)、装置の運転条件に係る各種設定について、ユーザー又は管理者の入力操作を受け付ける入力インターフェースである。この入力操作部40は、ディスプレイとボタンスイッチを組み合わせた操作パネル、ディスプレイ上で直接操作するタッチパネル等により構成される。入力操作部40は、制御部30と電気的に接続されている。入力操作部40から入力された情報は、制御部30に送信される。
表示部60は、所望の情報を表示する。表示部60は、制御部30と電気的に接続されている。
次に、制御部30について説明する。制御部30は、CPU及びメモリを含むマイクロプロセッサ(不図示)により構成される。制御部30において、マイクロプロセッサのCPUは、メモリから読み出した所定のプログラムに従って、後述する各種の制御を実行する。制御部30において、マイクロプロセッサのメモリには、純水製造装置1を制御するためのデータや各種プログラムが記憶される。また、制御部30のマイクロプロセッサには、時間の計時等を管理するインテグレーテッドタイマユニット(以下、「ITU」ともいう)が組み込まれている。
制御部30は、純水製造装置1の運転ステージ及び系内の物理量の取得状態に応じて、複数の運転モードのうちのいずれかの運転モードを設定する。本実施形態では、制御部30において、(i)流量フィードバック定流量制御、(ii)バックアップ定流量制御、(iii)規定周波数運転制御のいずれかの運転モードが設定される。以下、各運転モードについて説明する。
<(i)第1運転モード:流量フィードバック定流量制御>
流量フィードバック定流量制御は、第1流量センサFM1において、透過水W2の流量が測定できる場合に、透過水W2の流量を予め設定された目標流量値に保つための運転モードである。流量フィードバック定流量制御において、制御部30は、第1流量センサFM1の検出流量値が予め設定された目標流量値(変更された目標流量値を含む)となるように、速度形デジタルPIDアルゴリズムにより、加圧ポンプ5の駆動周波数を演算し、当該駆動周波数の演算値に対応する電流値信号(指令信号)をインバータ6に出力する。流量フィードバック定流量制御については後述する。
上述した流量フィードバック定流量制御を実行することにより、例えば、目標流量値を定格流量の+5%に設定した場合には、透過水W2の流量を目標流量値のおよそ±5%の範囲で安定させることができ、透過水W2の流量が定格流量以上に維持される。なお、流量フィードバック定流量制御における目標流量値は、RO膜モジュール7の定格流量に基づいて予め設定されるが、需要箇所の使用水量等により変更(増減)される場合がある。
また、制御部30は、流量フィードバック定流量制御を実行する際に、第1定加速制御を実行する。第1定加速制御において、制御部30は、第1流量センサFM1の検出流量値が流量フィードバック定流量制御の規定流量値に達するまでの間、加圧ポンプ5の駆動周波数Fcを一定の時間変化率で変化させる。流量フィードバック定流量制御の規定流量値とは、流量フィードバック定流量制御を実行する際に使用する目標流量値(変更された目標流量値を含む)に基づいて設定され、例えば、目標流量値に所定の係数を乗じた数値である。第1定加速制御は、流量フィードバック定流量制御を実行した際に、加圧ポンプ5の特性や制御量等によって、供給水W1が必要以上に加圧され、RO膜モジュール7で得られる透過水W2の流量がオーバーシュートしてしまうのを抑制するために実行される。
第1定加速制御において、制御部30は、加圧ポンプ5の駆動周波数Fcを、下記の式(1)を用いて演算する。制御部30は、式(1)による演算を、所定の制御周期(例えば、100ms)毎に実行する。
Fc=Fmax/Ta×Te (1)
式(1)において、Fmax[Hz]:加圧ポンプ5の最大駆動周波数、Ta:最大駆動周波数到達までの加速時間[s]、Te:加圧ポンプ5の駆動開始後の経過時間[s]であり、Fmax/Taが時間変化率に相当する。ここで、最大駆動周波数Fmax及び加速時間Taは、例えば、装置の管理者が入力操作部40を介して制御部30のメモリ(不図示)に入力した設定値である。なお、加速時間Taは、加圧ポンプ5の駆動周波数を最小駆動周波数(0Hz)から最大駆動周波数(50Hz又は60Hz)まで変化させる時間(例えば、20s)である。また、経過時間Teは、制御部30のマイクロプロセッサに組み込まれたITUにより計時される時間である。
制御部30は、第1流量センサFM1の検出流量値が流量フィードバック定流量制御の規定流量値に達すると、第1定加速制御を終了して、流量フィーバック定流量制御を実行する。
また、制御部30は、流量フィードバック定流量制御の実行中に、透過水W2の目標流量値が変更(増減)された場合には、流量フィードバック定流量制御を中断して、第2定加速制御を実行する。制御部30は、第2定加速制御において、第1流量センサFM1の検出流量値が変更後の目標流量値に基づいて設定された規定流量値に達するまでの間、加圧ポンプ5の駆動周波数Fcを一定の時間変化率で変化させる。
第2定加速制御において、制御部30は、目標流量値が増量(増加)した場合には、加圧ポンプ5の駆動周波数Fcを、下記の式(2)を用いて演算する。また、制御部30は、目標流量値が減量(減少)した場合には、加圧ポンプ5の駆動周波数Fcを、下記の式(3)を用いて演算する。
Fc=Fs+Fmax/Ta×Te (2)
Fc=Fs−Fmax/Td×Te (3)
式(2),(3)において、Fs:増量又は減量開始時点の駆動周波数[Hz]、Td:最小駆動周波数到達までの減速時間[s]であり、Fmax/Ta又はFmax/Tdが時間変化率に相当する。ここで、減速時間Tdは、例えば、装置の管理者が入力操作部40を介して制御部30のメモリ(不図示)に入力した設定値である。なお、減速時間Tdは、加圧ポンプ5の駆動周波数を最大駆動周波数(50Hz又は60Hz)から最小駆動周波数(0Hz)まで変化させる時間(例えば、15s)である。
制御部30は、第1流量センサFM1の検出流量値が変更後の目標流量値に基づいて設定された規定流量値に達すると、第2定加速制御を終了して、流量フィードバック定流量制御を再開する。
<(ii)第2運転モード:バックアップ定流量制御>
バックアップ定流量制御は、第1流量センサFM1の故障等により、透過水W2の流量が測定できない場合に、透過水W2の流量を予め設定された目標流量値に保つための運転モードである。バックアップ定流量制御において、制御部30は、予め設定された目標流量値(変更された目標流量値を含む)が得られる加圧ポンプ5の運転圧力を演算すると共に、演算により求めた運転圧力に基づいて、加圧ポンプ5の駆動周波数を演算する。
制御部30は、予め設定された目標流量値Qp´[m3・s−1]が得られる加圧ポンプ5の運転圧力Pd[Pa]を、下記の式(4)を用いて演算する。
Pd=Qr/Lp/K+ΔP1/2+P2+Δπ+P0 (4)
式(4)において、Lp:基準温度(25℃)におけるRO膜モジュール7の水透過係数[m3・s−1・Pa−1]、K:温度補正係数[−]、ΔP1:RO膜モジュール7の一次側差圧[Pa]、P2:RO膜モジュール7の二次側背圧[Pa]、Δπ:RO膜モジュール7に生じる浸透圧差[Pa]、P0:加圧ポンプ5吸入側の供給水圧力[Pa]である。水透過係数Lpは、流量フィーバック定流量制御の実行中において、系内の物理量を計測しつつ演算されるRO膜の透水性能に係る数値である。一次側差圧ΔP1、二次側背圧P2、浸透圧差Δπ及び供給水圧力P0は、例えば、装置の管理者が入力操作部40を介して制御部30のメモリ(不図示)に入力した設定値である。
また、制御部30は、水透過係数Lpに対する温度補正係数Kを、下記の式(5)に基づいて演算する。
K=a1×T2+a2×T+a3 (5)
式(5)において、T:温度[℃]、a1〜a3:係数[−]である。ここで、温度Tは、第1温度センサTE1(又は第2温度センサTE2)で測定される供給水W1(又は透過水W2)の検出温度値である。係数a1〜a3は、実験的に求められた数値であり、例えば、装置の管理者が入力操作部40を介して制御部30のメモリ(不図示)に入力した設定値である。
また、制御部30は、加圧ポンプ5の規定駆動周波数Fbを、下記の式(6)を用いて演算する。
Fb=b1×Pd 2+b2×Pd+b3 (6)
式(6)において、加圧ポンプ5の運転圧力Pdは、式(4),(5)を用いて演算された数値である。係数b1〜b3は、実験的に求められた数値であり、例えば、装置の管理者が入力操作部40を介して制御部30のメモリ(不図示)に入力した設定値である。
制御部30は、上記式(4)〜(6)に基づいて規定駆動周波数Fbを演算し、当該規定駆動周波数Fbの演算値に対応する指令信号をインバータ6に出力する。バックアップ定流量制御において、制御部30は、演算で求めた規定駆動周波数Fbにより加圧ポンプ5を駆動する。バックアップ定流量制御を実行することにより、RO膜モジュール7で製造される透過水W2の流量を、概ね定格流量の±20%の範囲で安定させることができる。このバックアップ定流量制御は、第1流量センサFM1において透過水W2の流量が測定できない場合に実行される補助的な制御であるため、透過水W2の流量範囲は、流量フィードバック定流量制御の場合(例えば、定格流量の±5%)よりも広くなる。
また、制御部30は、上述したバックアップ定流量制御を実行する際に、第3定加速制御を実行する。制御部30は、第3定加速制御として、前述した式(6)を用いて規定駆動周波数Fbを演算すると共に、第1定加速制御の式(1)を用いて加圧ポンプ5の駆動周波数Fcを所定の制御周期(例えば、100ms)毎に演算する。そして、制御部30は、当該駆動周波数Fcが第2運転モードの規定駆動周波数Fbに達するまでの間、当該駆動周波数Fcを一定の時間変化率で変化させる。
第3定加速制御は、バックアップ定流量制御を実行した際に、加圧ポンプ5の特性や制御量等によって、供給水W1が必要以上に加圧され、RO膜モジュール7で得られる透過水W2の流量がオーバーシュートしてしまうのを抑制するために実行される。制御部30は、第3定加速制御において、駆動周波数が規定駆動周波数に達すると、第3定加速制御を終了して、バックアップ定流量制御を実行する。
また、制御部30は、バックアップ定流量制御の実行中に、透過水W2の目標流量値が変更(増減)された場合には、バックアップ定流量制御を中断して、第4定加速制御を実行する。制御部30は、第4定加速制御において、加圧ポンプ5の駆動周波数Fcが、変更後の目標流量値に基づいて演算された規定駆動周波数Fbに達するまでの間、当該駆動周波数Fcを一定の時間変化率で変化させる。
第4定加速制御において、制御部30は、目標流量値が増量(増加)した場合には、加圧ポンプ5の駆動周波数Fcを、上記の式(2)を用いて演算する。また、制御部30は、目標流量値が減量(減少)した場合には、加圧ポンプ5の駆動周波数Fcを、上記の式(3)用いて演算する。
制御部30は、加圧ポンプ5の駆動周波数が、変更後の目標流量値に基づいて演算された規定駆動周波数に達すると、第4定加速制御を終了して、バックアップ定流量制御を再開する。
<(iii)第3運転モード:規定周波数運転制御>
規定周波数運転制御は、内部循環、フラッシング等の造水以外の運転を実行する際に、予め設定された規定駆動周波数Fp(例えば、45Hz)により加圧ポンプ5を駆動する運転モードである。内部循環運転では、所定の期間、造水の初期に生産される純度の低い透過水W2をRO膜モジュール7の上流側に返送する。また、フラッシング運転では、所定の期間、RO膜モジュール7内に滞留する濃縮水W3を外部に排出する。規定周波数制御における規定駆動周波数Fpは、例えば、装置の管理者が入力操作部40を介して制御部30のメモリ(不図示)に入力した設定値である。規定周波数運転制御を実行することにより、内部循環運転では、透過水W2をROモジュール7の上流側に効率よく循環し、またフラッシング運転では、RO膜モジュール7内に滞留する濃縮水W3を効率よく排出することができる。
また、制御部30は、規定周波数運転制御を実行する際に、第5定加速制御を実行する。制御部30は、第5定加速制御において、予め設定された規定駆動周波数Fpを取得すると共に、第1定加速制御の式(1)を用いて加圧ポンプ5の駆動周波数Fcを所定の制御周期(例えば、100ms)毎に演算する。そして、制御部30は、当該駆動周波数Fcが第3運転モードの規定駆動周波数Fbに達するまでの間、当該駆動周波数Fcを一定の時間変化率で変化させる。
この第5定加速制御は、規定周波数運転制御を実行した際に、ポンプの特性や制御量等によって、供給水W1が必要以上に加圧され、RO膜モジュール7から排出される透過水W2や濃縮水W3の流量がオーバーシュートしてしまうのを抑制するために実行される。制御部30は、第5定加速制御において、加圧ポンプ5の駆動周波数Fcが規定駆動周波数Fbに達すると、第5定加速制御を終了して、規定周波数運転制御を実行する。
次に、制御部30において、(i)流量フィードバック定流量制御、(ii)バックアップ定流量制御、及び(iii)規定周波数運転制御の各運転モードを変更する条件について説明する。
制御部30は、下記の条件(a)及び(b)が満たされたときに、第1運転モードの流量フィードバック定流量制御を設定する。
(a)純水製造装置1の運転ステージが「給水」又は「強制給水」
(b)第1流量センサFM1において、透過水W2の流量が測定可能
制御部30は、下記の条件(c)及び(d)が満たされたときに、第2運転モードのバックアップ定流量制御を設定する。
(c)純水製造装置1の運転ステージが「給水」又は「強制給水」
(d)第1流量センサFM1において、透過水W2の流量が測定不能
制御部30は、下記の条件(e)が満たされたときに、第3運転モードの規定周波数運転制御を設定する。
(e)純水製造装置1の運転ステージが、「内部循環」、「フラッシング」、「凍結防止」、「手動フラッシング(ユーザー対応)」、「手動フラッシング(メンテナンス対応)」、「強制給水フラッシング」、「水洗浄」のいずれか
次に、制御部30において、運転モードを変更する場合の動作について説明する。図3は、制御部30において運転モードを変更する場合の処理手順を示すフローチャートである。図3に示すフローチャートの処理は、純水製造装置1の運転中において、繰り返し実行される。
図3に示すステップST101において、制御部30は、純水製造装置1の運転モードを変更する条件が成立したか否かを判定する。このステップST101において、制御部30により、運転モードを変更する条件が成立した(YES)と判定された場合に、処理はステップST102へ移行する。また、ステップST101において、制御部30により、運転モードを変更する条件が成立していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST101へ戻る。
ステップST102(ステップST101:YES)において、制御部30は、運転モードを変更する条件が成立したのは流量フィードバック定流量制御か否かを判定する。このステップST102において、制御部30により、運転モードを変更する条件が成立したのは流量フィードバック定流量制御である(YES)と判定された場合に、処理はステップST103へ移行する。また、ステップST102において、制御部30により、運転モードを変更する条件が成立したのは流量フィードバック定流量制御ではない(NO)と判定された場合に、処理はステップST105へ移行する。
ステップST103(ステップST102:YES)において、制御部30は、後述する第1定加速制御(図4参照)を実行する。
ステップST104において、制御部30は、後述する流量フィードバック定流量制御(図5参照)を実行する。これにより、本フローチャートの処理は終了する(ステップST101へリターンする)。
一方、ステップST105(ステップST102:NO)において、制御部30は、運転モードを変更する条件が成立したのはバックアップ定流量制御か否かを判定する。このステップST105において、制御部30により、運転モードを変更する条件が成立したのはバックアップ定流量制御である(YES)と判定された場合に、処理はステップST106へ移行する。また、ステップST105において、制御部30により、運転モードを変更する条件が成立したのはバックアップ定流量制御ではない(NO)と判定された場合に、処理はステップST108へ移行する。
ステップST106(ステップST105:YES)において、制御部30は、後述する第3定加速制御(図7参照)を実行する。
ステップST107において、制御部30は、後述するバックアップ定流量制御(図8参照)を実行する。これにより、本フローチャートの処理は終了する(ステップST101へリターンする)。
また、ステップST108(ステップST105:NO)において、制御部30は、後述する第5定加速制御(図12参照)を実行する。
ステップST109において、制御部30は、後述する規定周波数運転制御(図13参照)を実行する。これにより、本フローチャートの処理は終了する(ステップST101へリターンする)。
上述のように、純水製造装置1の運転ステージ及び系内の物理量の取得状態に応じて、運転モードを変更する条件が成立した場合には、その時点で実行されている運転モードから、条件の成立した運転モードに変更される。その際、流量フィードバック定流量制御へ変更する条件が成立した場合には、第1定加速制御が実行された後に流量フィードバック定流量制御が実行される。また、バックアップ定流量制御へ変更する条件が成立した場合には、第3定加速制御が実行された後にバックアップ定流量制御が実行される。更に、規定周波数運転制御へ変更する条件が成立した場合には、第5定加速制御が実行された後に規定周波数運転制御が実行される。
次に、運転モードを変更する場合のフローチャート(図3参照)において、運転モードを流量フィードバック定流量制御へ変更する条件が成立した場合に実行される第1定加速制御について説明する。図4は、制御部30において、第1定加速制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。
図4に示すステップST201において、制御部30は、透過水W2の目標流量値Qp´を取得する。この目標流量値Qp´は、需要箇所の使用水量等により変更(増減)する場合がある。
ステップST202において、制御部30は、加圧ポンプ5の最大駆動周波数Fmax、及び最大駆動周波数到達までの加速時間Taを取得する。
ステップST203において、制御部30は、ITUによる計時tが制御周期(Δt)である100msに達したか否かを判定する。このステップST203において、制御部30により、ITUによる計時tが100msに達したと(YES)判定された場合に、処理はステップST204へ移行する。また、ステップST202において、制御部30により、ITUによる計時tが100msに達していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST203へ戻る。
ステップST204において、制御部30は、加圧ポンプ5の駆動開始後の経過時間Teを取得する。
ステップST205において、制御部30は、ステップST202及びステップST204で取得した3つのデータを、上記の式(1)に代入して、加圧ポンプ5の駆動周波数Fcを演算する。
ステップST206において、制御部30は、駆動周波数Fcの演算値を、対応する電流値信号(指令信号:4〜20mA)に変換し、この電流値信号をインバータ6に出力する。
ステップST207において、制御部30は、第1流量センサFM1の検出流量値Qpを取得する。
ステップST208において、制御部30は、検出流量値Qpが目標流量値Qp´×0.9(規定流量値)に達したか否かを判定する。このステップST208において、制御部30により、検出流量値Qp≧目標流量値Qp´×0.9である(YES)と判定された場合に、本フローチャートの処理は終了する。
また、ステップST208において、制御部30により、検出流量値Qp<目標流量値Qp´×0.9である(NO)と判定された場合に、処理はステップST203へ戻る。その後、検出流量値Qp≧目標流量値Qp´×0.9(ステップST208:YES)となるまで、加圧ポンプ5の駆動周波数Fcは一定の時間変化率で増加される。そして、この第1定加速制御の処理が終了すると、後述する流量フィードバック定流量制御が実行される。
なお、上述した第1定加速制御は、運転モードが流量フィードバック定流量制御に変更された際の制御であるため、検出流量値Qp≧目標流量値Qp´×0.9となるまで、加圧ポンプ5の駆動周波数Fcを一定の時間変化率で増加させている。後述する第2定加速制御において、流量フィードバック定流量制御の実行中に、目標流量値が増量(増加)するように変更された場合も同様の制御を行うことができる。また、第2定加速制御において、流量フィードバック定流量制御の実行中に、目標流量値が減量(減少)するように変更された場合には、例えば、検出流量値Qpが目標流量値Qp´×1.1(規定流量値)となるまで、加圧ポンプ5の駆動周波数Fcを一定の時間変化率で減少させる。
次に、流量フィードバック定流量制御について説明する。図5は、制御部30において、流量フィードバック定流量制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。図5に示すフローチャートの処理は、純水製造装置1の運転中、他の運転モードに変更されるまでの間、繰り返し実行される。
図5に示すステップST301において、制御部30は、透過水W2の目標流量値Qp´を取得する。この目標流量値Qp´は、例えば、装置の管理者が入力操作部40を介して制御部30のメモリ(不図示)に入力した設定値である。また、目標流量値Qp´は、需要箇所の使用水量等により変更(増減)される場合がある。
ステップST302において、制御部30は、ITUによる計時tが制御周期(Δt)である100msに達したか否かを判定する。このステップST202において、制御部30により、ITUによる計時tが100msに達したと(YES)判定された場合に、処理はステップST303へ移行する。また、ステップST302において、制御部30により、ITUによる計時tが100msに達していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST302へ戻る。
ステップST303(ステップST302:YES判定)において、制御部30は、第1流量センサFM1の検出流量値Qpをフィードバック値として取得する。
ステップST304において、制御部30は、ステップST303で取得した検出流量値(フィードバック値)Qpと、ステップST301で取得した目標流量値Qp´との偏差がゼロとなるように、速度形デジタルPIDアルゴリズムにより操作量Unを演算する。速度形デジタルPIDアルゴリズムでは、制御周期Δt(100ms)毎に操作量の変化分ΔUnを演算し、これを前回の制御周期時点の操作量Un−1に加算することで現時点の操作量Unを決定する。
速度形デジタルPIDアルゴリズムに用いられる演算式は、下記の式(7a)及び式(7b)により表される。
ΔUn=Kp{(en−en−1)+(Δt/Ti)×en+(Td/Δt)×(en−2en−1+en−2)} (7a)
Un=Un−1+ΔUn (7b)
式(7a)及び式(7b)において、Δt:制御周期、Un:現時点の操作量、Un−1:前回の制御周期時点の操作量、ΔUn:前回から今回までの操作量の変化分、en:現時点の偏差の大きさ、en−1:前回の制御周期時点の偏差の大きさ、en−2:前々回の制御周期時点の偏差の大きさ、Kp:比例ゲイン、Ti:積分時間、Td:微分時間である。なお、現時点の偏差の大きさenは、下記の式(8)により求められる。
en=Qp´−Qp (8)
ステップST305において、制御部30は、現時点の操作量Un、目標流量値Qp´及び加圧ポンプ5の最大駆動周波数Fmaxを使用して、所定の演算式により、加圧ポンプ5の駆動周波数Ffを演算する。
ステップST306において、制御部30は、駆動周波数Ffの演算値を、対応する電流値信号(指令信号:4〜20mA)に変換し、この電流値信号をインバータ6に出力する。これにより本フローチャートの処理は終了する(ステップST301へリターンする)。なお、ステップST306において、制御部30が電流値信号をインバータ6へ出力すると、インバータ6は、入力された電流値信号で指定された周波数に変換された駆動電力を加圧ポンプ5に供給する。その結果、加圧ポンプ5は、インバータ6から入力された駆動周波数に応じた回転速度で駆動される。
次に、流量フィードバック定流量制御の実行中に透過水W2の目標流量値が変更(増減)された場合の動作について説明する。図6は、制御部30において、第2定加速制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。図6に示すフローチャートの処理は、流量フィードバック定流量制御の実行中において、繰り返し実行される。
図6に示すステップST401において、制御部30は、目標流量値が変更されたか否かを判定する。このステップST401において、制御部30により、目標流量値が変更された(YES)と判定された場合に、処理はステップ402へ移行する。また、ステップST401において、制御部30により、目標流量値が変更されていない(NO)と判定された場合に、処理はステップ401へ戻る。
ステップST402において、制御部30は、流量フィードバック定流量制御を中断する。
ステップST403において、制御部30は、第2定加速制御として第1定加速制御(図4参照)に準じた処理を実行する。なお、図4のフローチャートにおいて、ステップST201で取得されるデータは、増量又は減量開始時点の駆動周波数Fs、加圧ポンプ5の最大駆動周波数Fmax、最大駆動周波数到達までの加速時間Ta(又は最小駆動周波数到達までの減速時間Td)の3つである。また、ステップST204においては、制御部30は、ステップST201及びステップST203で取得した4つのデータを上記の式(2)又は(3)に代入して、加圧ポンプ5の駆動周波数Fcを演算する。更に、ステップST206で取得される透過水W2の目標流量値Qp´は、変更後の目標流量値Qp´となる。
ステップST404において、制御部30は、流量フィードバック定流量制御を再開する。これにより本フローチャートの処理は終了する(ステップST401へリターンする)。
上述のように、運転モードの変更に伴って流量フィードバック定流量制御を実行する際だけでなく、流量フィードバック定流量制御中に、透過水W2の目標流量値が変更された場合においても、第2定加速制御において第1定加速制御が実行される。
次に、運転モードを変更する場合のフローチャート(図3参照)において、運転モードをバックアップ定流量制御へ変更する条件が成立した場合に実行される第3定加速制御について説明する。図7は、制御部30において、第3定加速制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。
図7に示すステップST501において、制御部30は、目標流量値Qp´、水透過係数Lp、一次側差圧ΔP1、二次側背圧P2、浸透圧差Δπ、供給水圧力P0、係数a1〜a3、及び係数b1〜b3に関するデータを取得する。
ステップST502において、制御部30は、第1温度センサTE1(又は第2温度センサTE2)の検出温度値Tを取得する。
ステップST503において、制御部30は、ステップST501及びステップST502で取得した各データを上記の式(4)及び(5)に代入して、加圧ポンプ5の運転圧力Pdを演算する。
ステップST504において、制御部30は、ステップST501で取得済みの係数及びステップST503で演算した運転圧力Pdを上記の式(6)に代入して、加圧ポンプ5の規定駆動周波数Fbを演算する。
ステップST505において、制御部30は、加圧ポンプ5の最大駆動周波数Fmax、及び最大駆動周波数到達までの加速時間Taを取得する。
ステップST506において、制御部30は、ITUによる計時tが制御周期(Δt)である100msに達したか否かを判定する。このステップST506において、制御部30により、ITUによる計時tが100msに達したと(YES)判定された場合に、処理はステップST507へ移行する。また、ステップST506において、制御部30により、ITUによる計時tが100msに達していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST506へ戻る。
ステップST507において、制御部30は、加圧ポンプ5の駆動開始後の経過時間Teを取得する。
ステップST508において、制御部30は、ステップST505及びステップ507で取得した3つのデータを、上記の式(1)に代入して、加圧ポンプ5の駆動周波数Fcを演算する。
ステップST509において、制御部30は、駆動周波数Fcの演算値を、対応する電流値信号(指令信号:4〜20mA)に変換し、この電流値信号をインバータ6に出力する。
ステップST510において、制御部30は、ステップST508で演算された駆動周波数Fcが、ステップST504で演算された規定駆動周波数Fbに達したか否かを判定する。このステップST510において、制御部30により、駆動周波数Fc≧規定駆動周波数Fbである(YES)と判定された場合に、本フローチャートの処理は終了する。また、ステップST510において、制御部30により、駆動周波数Fc<規定駆動周波数Fbである(NO)と判定された場合に、処理はステップST506へ移行する。その後、「駆動周波数Fc≧規定駆動周波数Fb」の条件を満足するまで、加圧ポンプ5の駆動周波数Fcは一定の時間変化率で増加される。そして、この第3定加速制御の処理が終了すると、後述するバックアップ定流量制御が実行される。
次に、バックアップ定流量制御について説明する。図8は、制御部30において、バックアップ定流量制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。
図8に示すステップST601において、制御部30は、目標流量値Qp´、水透過係数Lp、一次側差圧ΔP1、二次側背圧P2、浸透圧差Δπ、供給水圧力P0、係数a1〜a3、及び係数b1〜b3に関するデータを取得する。
ステップST602において、制御部30は、ITUによる計時tが制御周期(Δt)である100msに達したか否かを判定する。このステップST602において、制御部30により、ITUによる計時tが100msに達したと(YES)判定された場合に、処理はステップST603へ移行する。また、ステップST602において、制御部30により、ITUによる計時tが100msに達していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST602へ戻る。
ステップST603において、制御部30は、第1温度センサTE1(又は第2温度センサTE2)の検出温度値Tを取得する。
ステップST604において、制御部30は、ステップST601及びステップST603で取得した各データを上記の式(4)及び(5)に代入して、加圧ポンプ5の運転圧力Pdを演算する。
ステップST605において、制御部30は、ステップST601で取得済みの係数及びステップST604で演算した運転圧力Pdを上記の式(6)に代入して、加圧ポンプ5の規定駆動周波数Fbを演算する。
ステップST606において、制御部30は、規定駆動周波数Fbの演算値を、対応する電流値信号(指令信号:4〜20mA)に変換し、この電流値信号をインバータ6に出力する。これにより本フローチャートの処理は終了する(ステップST601へリターンする)。なお、第1温度センサTE1(又は第2温度センサTE2)で測定される供給水W1(又は透過水W2)の温度Tに変化がない場合には、規定駆動周波数Fbの演算値に変化はないため、メモリ(不図示)に記憶されている当該演算値を利用し、上記ステップST604及びステップST605の演算処理を省略してもよい。
次に、バックアップ定流量制御の実行中に透過水W2の目標流量値が変更(増減)された場合の動作について説明する。図9は、制御部30において、第4定加速制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。図9に示すフローチャートの処理は、バックアップ定流量制御の実行中において、繰り返し実行される。
図9に示すステップST701において、制御部30は、目標流量値が変更されたか否かを判定する。このステップST701において、制御部30により、目標流量値が変更された(YES)と判定された場合に、処理はステップ702へ移行する。また、ステップST701において、制御部30により、目標流量値が変更されていない(NO)と判定された場合に、処理はステップ701へ戻る。
ステップST702(ステップST701:YES)において、制御部30は、バックアップ定流量制御を中断する。
ステップST703において、制御部30は、第4定加速制御として第3定加速制御(図7参照)に準じた処理を実行する。なお、図7のフローチャートにおいて、ステップST501で取得される透過水W2の目標流量値Qp´は、変更後の目標流量値Qp´となる。また、ステップST505で取得されるデータは、増量又は減量開始時点の駆動周波数Fs、加圧ポンプ5の最大駆動周波数Fmax、及び最大駆動周波数到達までの加速時間Ta(又は最小駆動周波数到達までの減速時間Td)の3つである。ステップST508においては、制御部30は、ステップST505及びステップST507で取得した4つのデータを上記の式(2)又は(3)に代入して、加圧ポンプ5の駆動周波数Fcを演算する。更に、ステップST510においては、目標流量値を増量するときには、「駆動周波数Fc≧規定駆動周波数Fb」の条件を満足した場合に処理を終了し、目標流量値を減量するときには、「駆動周波数Fc≦規定駆動周波数Fb」の条件を満足した場合に処理を終了する。
ステップST704において、制御部30は、バックアップ定流量制御を再開する。これにより本フローチャートの処理は終了する(ステップST701へリターンする)。
次に、運転モードを変更する場合のフローチャート(図3参照)において、運転モードを規定周波数運転制御へ変更する条件が成立した場合に実行される第5定加速制御について説明する。図10は、制御部30において、第5定加速制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。
図10に示すステップST801において、制御部30は、加圧ポンプ5の規定駆動周波数Fpを取得する。
ステップST802において、制御部30は、加圧ポンプ5の最大駆動周波数Fmax、及び最大駆動周波数到達までの加速時間Taを取得する。
ステップST803において、制御部30は、ITUによる計時tが制御周期(Δt)である100msに達したか否かを判定する。このステップST803において、制御部30により、ITUによる計時tが100msに達したと(YES)判定された場合に、処理はステップST804へ移行する。また、ステップST803において、制御部30により、ITUによる計時tが100msに達していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST803へ戻る。
ステップST804において、制御部30は、加圧ポンプ5の駆動開始後の経過時間Teを取得する。
ステップST805において、制御部30は、ステップST802及びステップ804で取得した3つのデータを、上記の式(1)に代入して、加圧ポンプ5の駆動周波数Fcを演算する。
ステップST806において、制御部30は、駆動周波数Fcの演算値を、対応する電流値信号(指令信号:4〜20mA)に変換し、この電流値信号をインバータ6に出力する。
ステップST807において、制御部30は、ステップST805で演算された駆動周波数Fcが、ステップST801で取得された規定駆動周波数Fpに達したか否かを判定する。このステップST807において、制御部30により、駆動周波数Fc≧規定駆動周波数Fpである(YES)と判定された場合に、本フローチャートの処理は終了する。また、ステップST807において、制御部30により、駆動周波数Fc<規定駆動周波数Fpである(NO)と判定された場合に、処理はステップST803へ移行する。その後、「駆動周波数Fc≧規定駆動周波数Fp」の条件を満足するまで、加圧ポンプ5の駆動周波数Fcは一定の時間変化率で増加される。そして、この第5定加速制御の処理が終了すると、後述する規定周波数運転制御が実行される。
次に、規定周波数運転制御について説明する。図11は、制御部30において、規定周波数運転制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。
図11に示すステップST901において、制御部30は、加圧ポンプ5の規定駆動周波数Fpを取得する。
ステップST902において、制御部30は、規定駆動周波数Fpの設定値を、対応する電流値信号(指令信号:4〜20mA)に変換し、この電流値信号をインバータ6に出力する。これにより、本フローチャートの処理は終了する。以後、運転モードが変更されるまで、ステップST901で取得された規定駆動周波数Fpの設定値に対応する電流値信号がインバータ6に出力される。
上述した第1実施形態に係る純水製造装置1によれば、例えば、以下のような効果が奏される。
第1実施形態に係る純水製造装置1において、制御部30は、運転モードを流量フィードバック定流量制御に変更する際に、第1流量センサFM1の検出流量値Qpが目標流量値Qp´に基づいて設定された流量フィードバック定流量制御の規定流量値(すなわち、目標流量値Qp´×0.9)に達するまでの間、加圧ポンプ5の駆動周波数Fcを一定の時間変化率で増加させる第1定加速制御を実行する。そのため、運転モードが流量フィードバック定流量制御に変更された際に、加圧ポンプ5の特性や制御量等によって、供給水W1が必要以上に加圧され、RO膜モジュール7で得られる透過水W2の流量が目標流量値Qp´からオーバーシュートするのを抑制することができる。
また、制御部30は、運転モードをバックアップ定流量制御に変更する際に、加圧ポンプ5の駆動周波数Fcがバックアップ定流量制御の規定駆動周波数Fbに達するまでの間、加圧ポンプ5の駆動周波数Fcを一定の時間変化率で増加させる第3定加速制御を実行する。そのため、運転モードがバックアップ定流量制御に変更された際に、加圧ポンプ5の特性や制御量等によって、供給水W1が必要以上に加圧され、RO膜モジュール7で得られる透過水W2の流量が目標流量値Qp´からオーバーシュートするのを抑制することができる。
更に、制御部30は、運転モードを規定周波数運転制御に変更する際に、加圧ポンプ5の駆動周波数Fcが規定周波数運転制御の規定駆動周波数Fpに達するまでの間、加圧ポンプ5の駆動周波数Fcを一定の時間変化率で増加させる第5定加速制御を実行する。そのため、運転モードが規定周波数運転制御に変更された際に、加圧ポンプ5の特性や制御量等によって、供給水W1が必要以上に加圧され、RO膜モジュール7から排出される透過水W2や濃縮水W3の流量がオーバーシュートしてしまうのを抑制することができる。
従って、第1実施形態の純水製造装置1によれば、加圧ポンプ5の起動時等において、加圧ポンプ5の特性や制御量等によって、供給水W1が必要以上に加圧されることがないため、RO膜モジュール7で得られる透過水W2の流量がオーバーシュートするのを抑制することができる。
また、第1実施形態に係る純水製造装置1において、制御部30は、流量フィードバック定流量制御の実行中に、透過水W2の目標流量値が変更(増減)された場合には、第1流量センサFM1の検出流量値Qpが変更後の目標流量値Qp´に基づいて設定された規定流量値(すなわち、増量時のQp´×0.9、又は減量時のQp´×1.1)に達するまでの間、加圧ポンプ5の駆動周波数Fを一定の時間変化率で増減させる第1定加速制御を実行する。そのため、流量フィードバック定流量制御の実行中に、透過水W2の目標流量値が変更された場合でも、加圧ポンプ5の特性や制御量等によって、供給水W1が必要以上に加圧又は減圧され、RO膜モジュール7で得られる透過水W2の流量がオーバーシュート又はアンダーシュートするのを抑制することができる。
また、第1実施形態に係る純水製造装置1において、制御部30は、バックアップ定流量制御の実行中に、透過水W2の目標流量値が変更(増減)された場合には、加圧ポンプ5の駆動周波数が変更後の目標流量値に基づいて演算された規定駆動周波数に達するまでの間、加圧ポンプ5の駆動周波数を一定の時間変化率で変化させる第5定加速制御を実行する。そのため、バックアップ定流量制御の実行中に、透過水W2の目標流量値が変更された場合でも、加圧ポンプ5の特性や制御量等によって、供給水W1が必要以上に加圧又は減圧され、RO膜モジュール7で得られる透過水W2の流量がオーバーシュート又はアンダーシュートするのを抑制することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る純水製造装置1Aについて、図12及び図13A〜図13Cを参照しながら説明する。図12は、第2実施形態に係る純水製造装置1Aの全体概略図である。図13Aは、第2実施形態に係る純水製造装置1Aの全体構成図の第1中段部分である。図13Bは、第2実施形態に係る純水製造装置1Aの全体構成図の第2中段部分である。図13Cは、第2実施形態に係る純水製造装置1Aの全体構成図の後段部分である。
なお、第2実施形態では、主に第1実施形態との相違点について説明する。このため、第1実施形態と同一(又は同等)の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第2実施形態において特に説明しない点については、第1実施形態の説明が適宜に適用される。また、第2実施形態においては、供給水ラインL1の上流側から供給水補給弁V31までの構成は、第1実施形態と同様である。そのため、第2実施形態においては、第1実施形態における供給水ラインL1の上流側から供給水補給弁V31までの構成についての主な図面(図2Aに対応する図面)及びその説明を省略する。
第2実施形態に係る純水製造装置1Aは、第1実施形態における純水製造装置1が1段のRO膜モジュール7を備えているのに対して、直列に並べられた2段のRO膜モジュール10、14を備えている点、2つのRO膜モジュール10、14の間に中間タンク11が設けられている点、及びこれらの周辺の構成において、第1実施形態における純水製造装置1と主に異なる。
なお、第2実施形態においては、第1実施形態における「RO膜モジュール7」を第2実施形態における1段目のRO膜モジュールとして「前段RO膜モジュール10」とし、更に、2段目のRO膜モジュールとして「後段RO膜モジュール14」を備える。そのため、第2実施形態では、第1実施形態における「透過水ラインL21」を「前段RO透過水ラインL22」とし、前段RO膜モジュール10で分離された透過水を「前段透過水W2」とする。
また、第2実施形態では、第1実施形態における「RO透過水リターンラインL41」を「前段RO透過水リターンラインL43」とし、第1実施形態における「RO濃縮水リターンラインL51」を「前段RO濃縮水リターンラインL53」とする。また、第2実施形態では、第1実施形態における「加圧ポンプ5」を「前段加圧ポンプ8」とし、「インバータ6」を「前段インバータ9」とする。
図12に示すように、第2実施形態に係る純水製造装置1Aは、第1オプション機器OP1と、プレフィルタ4と、第2オプション機器OP2と、前段加圧ポンプ8と、前段インバータ9と、前段RO膜モジュール10と、中間タンク11と、後段加圧ポンプ12と、後段インバータ13と、後段RO膜モジュール14と、第3オプション機器OP3と、第1流路切換弁V71と、EDIスタック16と、第2流路切換弁V72と、第4オプション機器OP4と、制御部30Aと、入力操作部40と、直流電源装置50と、表示部60と、を備える。
また、図12に示すように、第2実施形態の純水製造装置1Aは、供給水ラインL1と、前段RO透過水ラインL22と、前段RO透過水リターンラインL43と、前段RO濃縮水リターンラインL53と、後段RO透過水ラインL23と、後段RO透過水リターンラインL44と、前段RO濃縮水リターンラインL54と、脱塩水ラインL3と、脱塩水リターンラインL45と、を備える。
図12に示すように、第2実施形態における純水製造装置1Aは、第1実施形態におけるRO透過水リターンラインL41及び脱塩水リターンラインL42に代えて、前段RO透過水リターンラインL43、後段RO透過水リターンラインL44、及び脱塩水リターンラインL45を備える。
また、図13A〜図13Cに示すように、第2実施形態の純水製造装置1Aは、第1実施形態における第2圧力センサPS2を備えておらず、一方、第5圧力センサPS5、第4温度センサTE4、第5温度センサTE5、第3流量センサFM3、及び第2電気伝導率センサEC2を更に備える。また、第1実施形態と同様に、第2実施形態の純水製造装置1Aは、第1電気伝導率センサEC1と、第1比抵抗センサRS1と、を備える。
前段RO膜モジュール10は、前段加圧ポンプ8により圧送された供給水W1を、溶存塩類が除去された前段透過水W2と、溶存塩類が濃縮された濃縮水W3と、に分離する。
前段RO透過水ラインL22は、前段RO膜モジュール10で分離された前段透過水W2を後段RO膜モジュール14に流通させるラインである。前段RO透過水ラインL22の上流側の端部は、図13Aに示すように、前段RO膜モジュール10の二次側ポート(前段透過水W2の出口)に接続されている。前段RO透過水ラインL22の下流側の端部は、図13Bに示すように、後段RO膜モジュール14の一次側入口ポート(前段透過水W2の入口)に接続されている。
前段RO透過水ラインL22には、上流側から順に、図13Aに示すように、接続部J54、前段透過水補給弁V35、第3逆止弁V63、接続部J10、接続部J12、接続部J13、及び第6開閉弁V16が設けられている。また、第6開閉弁V16以降には、図13Bに示すように、中間タンク11、第7開閉弁V17、接続部J61、接続部J21、後段加圧ポンプ12、接続部J22、及び後段RO膜モジュール14が設けられている。図13Aに示すように、接続部J54には、前段RO透過水リターンラインL43の上流側の端部が接続されている。また、図13Bに示すように、接続部J61には、後段RO濃縮水リターンラインL54の下流側の端部が接続されている。
前段透過水補給弁V35は、前段RO透過水ラインL22の開閉を制御可能な自動弁である。前段透過水補給弁V35は、制御部30Aと電気的に接続されている。前段透過水補給弁V35の開閉は、制御部30Aから送信される流路開閉信号により制御される。
図12に示すように、中間タンク11は、前段RO透過水ラインL22における前段RO膜モジュール10と後段RO膜モジュール14との間に設けられている。中間タンク11は、前段RO膜モジュール10で分離された前段透過水W2を貯留するタンクである。
中間タンク11には、図13Bに示すように、水位センサ111が設けられている。水位センサ111は、中間タンク11に貯留された前段透過水W2の水位を検出する機器である。水位センサ111は、制御部30Aと電気的に接続されている。水位センサ111で測定された中間タンク11の水位(検出水位値)は、制御部30Aへ検出信号として送信される。
後段加圧ポンプ12は、前段RO透過水ラインL22を流通する前段透過水W2を吸入し、後段RO膜モジュール14へ向けて圧送する装置である。後段加圧ポンプ12には、後段インバータ13から周波数が変換された駆動電力が供給される。後段加圧ポンプ12は、供給された駆動電力の周波数(以下、「駆動周波数」ともいう)に応じた回転速度で駆動される。
後段インバータ13は、後段加圧ポンプ12に、周波数が変換された駆動電力を供給する電気回路(又はその回路を持つ装置)である。後段インバータ13は、制御部30Aと電気的に接続されている。後段インバータ13には、制御部30Aから指令信号が入力される。後段インバータ13は、制御部30Aにより入力された指令信号(電流値信号又は電圧値信号)に対応する駆動周波数の駆動電力を後段加圧ポンプ12に出力する。
後段RO膜モジュール14は、前段RO膜モジュール10で分離されて後段加圧ポンプ12により圧送された前段透過水W2を、前段透過水W2よりも溶存塩類が除去された後段透過水W4と、溶存塩類が濃縮された濃縮水W5と、に分離する。後段RO膜モジュール14は、単一又は複数のスパイラル型RO膜エレメントを圧力容器(ベッセル)に収容して構成される。
前段RO透過水リターンラインL43は、図13Aに示すように、前段RO膜モジュール10で分離された前段透過水W2を、前段RO膜モジュール10の上流側の供給水ラインL1へ返送するラインである。前段RO透過水リターンラインL43の上流側の端部は、接続部J54に接続されている。前段RO透過水リターンラインL43の下流側の端部は、接続部J52において、前段RO濃縮水リターンラインL53に接続されている。接続部J52は、前段RO濃縮水リターンラインL53における接続部J53と接続部J51との間に配置されている。前段RO透過水リターンラインL43における接続部J52から接続部J51までの部分は、前段RO濃縮水リターンラインL53における接続部J52から接続部J51までの部分と共通する。
前段RO透過水リターンラインL43には、図13Aに示すように、リリーフ弁V43が設けられている。リリーフ弁V43は、常閉式の圧力作動弁であって、一次側の圧力が二次側の圧力よりも一定の圧力以上高い場合に開放される調整弁である。詳細には、リリーフ弁V43は、前段RO透過水リターンラインL43の管内圧力が予め設定された圧力以上になったときに開状態となり、前段RO透過水ラインL22を流通される前段透過水W2を、接続部J54を介して前段RO透過水リターンラインL43に流通させるための弁である。
リリーフ弁V43における二次側の圧力(接続部J51での供給水W1の圧力)は、減圧弁V42により前段加圧ポンプ8の運転圧力未満に調整される。前段透過水補給弁V35が閉状態に制御された状態で前段加圧ポンプ8を駆動させると、リリーフ弁V43における一次側の圧力(接続部J54での前段透過水W2の圧力)は、二次側の圧力よりも高くなる。これにより、リリーフ弁V43が開放されて、前段RO透過水ラインL22を流通する前段透過水W2を、前段RO透過水リターンラインL43に流通させることができる。
後段RO濃縮水リターンラインL54は、図13Bに示すように、後段RO膜モジュール14で分離された濃縮水W5の一部W51を、前段RO透過水ラインL22へ返送するラインである。後段RO濃縮水リターンラインL54の上流側の端部は、後段RO膜モジュール14の一次側出口ポート(濃縮水の出口)に接続されている。後段RO濃縮水リターンラインL54の下流側の端部は、接続部J61に接続されている。接続部J61は、前段RO透過水ラインL22における中間タンク11と後段加圧ポンプ12との間に配置されている。
後段RO濃縮水リターンラインL54は、図13Bに示すように、上流側から順に、接続部J63、接続部J62、第6逆止弁V66、第5定流量弁V55、及び接続部J61が設けられている。接続部J62には、第1後段RO濃縮水ラインL63の上流側の端部が接続されている。接続部J63には、第2後段RO濃縮水ラインL64の上流側の端部が接続されている。
第1後段RO濃縮水ラインL63及び第2後段RO濃縮水ラインL64は、後段RO膜モジュール14で分離された濃縮水W5の残部W52を、後段RO濃縮水リターンラインL54の途中から脱炭酸装置15に送出するラインである。第1後段RO濃縮水ラインL63の下流側の端部及び第2後段RO濃縮水ラインL64の下流側の端部は、接続部J64において、後段RO濃縮水送出ラインL65の上流側の端部に接続されている。後段RO濃縮水送出ラインL65の下流側の端部は、図13Cに示すように、脱炭酸装置15に接続されている。第1後段RO濃縮水ラインL63及び第2後段RO濃縮水ラインL64には、それぞれ、第1調整弁V36及び第2調整弁V37、並びに第7定流量弁V57及び第8定流量弁V58が設けられている。
第1調整弁V36及び第2調整弁V37により、第1後段RO濃縮水ラインL63及び第2後段RO濃縮水ラインL64を個別に開閉することにより、濃縮水W5の送出流量を調節することができる。第1調整弁V36及び第2調整弁V37は、それぞれ制御部30Aと電気的に接続されている。第1調整弁V36及び第2調整弁V37の開閉は、制御部30Aから送信される駆動信号により制御される。
後段RO濃縮水送出ラインL65には、第8開閉弁V18が設けられている。第8開閉弁V18は、後段RO濃縮水送出ラインL65の開閉を操作可能な手動弁である。
後段RO透過水ラインL23は、後段RO膜モジュール14で分離された後段透過水W4をEDIスタック16に流通させるラインである。後段RO透過水ラインL23の上流側の端部は、図13Bに示すように、後段RO膜モジュール14の二次側ポート(後段透過水W4の出口)に接続されている。後段RO透過水ラインL23の下流側の端部は、図13Cに示すように、第1流路切換弁V71を介して、EDIスタック16に接続されている。
後段RO透過水ラインL23は、前段側透過水ラインL231と、中段側透過水ラインL232と、脱塩室流入ラインL233と、濃縮室流入ラインL234と、を有する。前段側透過水ラインL231には、上流側から順に、図13Bに示すように、第4逆止弁V64、接続部J23、及び第9開閉弁V19が設けられている。また、第9開閉弁V19以降には、図13Cに示すように、脱炭酸装置15、接続部J31、接続部J32、及び第1流路切換弁V71が設けられている。
第1流路切換弁V71は、後段RO膜モジュール14で分離された後段透過水W4を、中段側透過水ラインL232を介してEDIスタック16へ向けて流通させる流路(採水側流路)、又は、後段RO透過水リターンラインL44を介して中間タンク11へ向けて流通させる流路(循環側流路)に切り換え可能な弁である。第1流路切換弁V71は、例えば、電動式又は電磁式の三方弁により構成される。第1流路切換弁V71は、制御部30Aと電気的に接続されている。第1流路切換弁V71における流路の切り換えは、制御部30Aから送信される流路切換信号により制御される。
後段RO透過水リターンラインL44は、後段RO膜モジュール14で分離された後段透過水W4を、前段RO膜モジュール10と後段RO膜モジュール14との間に設けられた中間タンク11へ返送するラインである。後段RO透過水リターンラインL44の上流側の端部は、図13Cに示すように、第1流路切換弁V71に接続されている。後段RO透過水リターンラインL44の下流側は、図13Bに示すように、中間タンク11に接続されている。
なお、図13Cに示す第2実施形態において、第1流路切換弁V71よりも下流側の部分の構成は、第1実施形態における「中段側透過水ラインL212」、「脱塩室流入ラインL213」、「濃縮室流入ラインL214」及び「透過水W2」を、それぞれ、「中段側透過水ラインL232」、「脱塩室流入ラインL233」、「濃縮室流入ラインL234」及び「後段透過水W4」としている。また、第2実施形態では、後述するEDI濃縮水排出ラインL72及び脱塩水リターンラインL45の構成を除いて、第1実施形態と同様の構成である。そのため、これらの部分に関しては、第1実施形態の説明を援用して、第2実施形態の説明を省略する。
また、図13Cに示すように、第2実施形態における純水製造装置1Aは、第1実施形態におけるEDI濃縮水ラインL52に代えて、EDI濃縮水排出ラインL72を備える。
EDI濃縮水排出ラインL72は、EDIスタック16の濃縮室162から排出された濃縮水W7を、装置の外に排出するラインである。EDI濃縮水排出ラインL72の上流側の端部は、EDIスタック16の二次側ポート(濃縮室162の出口側)に接続されている。EDI濃縮水排出ラインL72の下流側は、例えば、排水ピット(不図示)に接続又は開口している。
第2流路切換弁V72は、EDIスタック16の脱塩室161で得られた脱塩水W6を、下流側脱塩水ラインL32を介して需要箇所に向けて送出させる流路(採水側流路)、又は、脱塩水リターンラインL45を介して中間タンク11に向けて流通させる流路(循環側流路)に切り換え可能な弁である。
脱塩水リターンラインL45は、EDIスタック16の脱塩室161で得られた脱塩水W6を、脱塩水ラインL3の途中から、前段RO膜モジュール10と後段RO膜モジュール14との間に設けられた中間タンク11へ返送するラインである。本実施形態において、脱塩水リターンラインL45の上流側の端部は、第2流路切換弁V72に接続されている。脱塩水リターンラインL45の下流側の端部は、中間タンク11に接続されている。
第5圧力センサPS5は、前段RO透過水ラインL22を流通する前段透過水W2の圧力を計測する機器である。第5圧力センサPS5は、接続部J22において、前段RO透過水ラインL22に接続されている。接続部J22は、前段RO透過水ラインL22における後段加圧ポンプ12と後段RO膜モジュール14との間に配置されている。第5圧力センサPS5は、制御部30Aと電気的に接続されている。第5圧力センサPS5で測定された前段透過水W2の圧力は、制御部30Aへ検出信号として送信される。
第4温度センサTE4及び第5温度センサTE5は、前段RO透過水ラインL22を流通する前段透過水W2の温度を測定する機器である。第4温度センサTE4は、図13Aに示すように、接続部J12において、前段RO透過水ラインL22に接続されている。接続部J12は、前段RO透過水ラインL22における前段RO膜モジュール10と中間タンク11との間に配置されている。第5温度センサTE5は、図13Bに示すように、接続部J21において、前段RO透過水ラインL22に接続されている。接続部J21は、前段RO透過水ラインL22における中間タンク11と後段加圧ポンプ12との間に配置されている。第4温度センサTE4及び第5温度センサTE5は、制御部30Aと電気的に接続されている。第4温度センサTE4及び第4温度センサTE4で測定された前段透過水W2の温度は、制御部30Aへ検出信号として送信される。
第3流量センサFM3は、後段RO透過水ラインL23を流通する後段透過水W4の流量を測定する機器である。第3流量センサFM3は、図13Bに示すように、接続部J23において、後段RO透過水ラインL23に接続されている。接続部J23は、後段RO透過水ラインL23における後段RO膜モジュール14と脱炭酸装置15との間に配置されている。第3流量センサFM3は、制御部30Aと電気的に接続されている。第3流量センサFM3で測定された後段透過水W4の流量は、制御部30Aへ検出信号として送信される。
第2電気伝導率センサEC2は、前段RO透過水ラインL22を流通する前段透過水W2の電気伝導率を測定する機器である。第2電気伝導率センサEC2は、図13Aに示すように、接続部J13において、前段RO透過水ラインL22に接続されている。接続部J13は、前段RO透過水ラインL22における前段RO膜モジュール10と中間タンク11との間に配置されている。第2電気伝導率センサEC2は、制御部30Aと電気的に接続されている。第2電気伝導率センサEC2で測定された前段透過水W2の電気伝導率は、制御部30Aへ検出信号として送信される。
制御部30Aは、純水製造装置1の運転ステージ及び系内の物理量の取得状態に応じて、複数の運転モードのうちのいずれかの運転モードを設定する。本実施形態においては、制御部30Aにより、前段RO膜モジュール10(前段加圧ポンプ8)及び/又は後段RO膜モジュール14(後段加圧ポンプ12)について、第1実施形態で説明した(i)流量フィードバック定流量制御、(ii)バックアップ定流量制御、及び(iii)規定周波数運転制御のいずれかの運転モードが実行される。また、制御部30Aにおいて、前段RO膜モジュール10(前段加圧ポンプ8)及び/又は後段RO膜モジュール14(後段加圧ポンプ12)に対する定加速制御は、第1実施形態のRO膜モジュール7(加圧ポンプ5)に対する制御部30の第1定加速制御〜第5定加速制御と同じであるため説明を省略する。
上述した第2実施形態の純水製造装置1Aにおいても、第1実施形態の純水製造装置1と同じ効果を得ることができる。その他、第2実施形態の純水製造装置1Aにおいては、供給水W1に対する脱塩率を高めるために、2段のRO膜処理により透過水W2を製造する。この場合、単一の加圧ポンプで2段のRO膜モジュールに圧送しようとすると、加圧ポンプのモータ容量が大きくなることを避けられない。しかしながら、RO膜モジュール間に中間タンク11を設置し、且つRO膜モジュール10,14毎に加圧ポンプ8,12を装備することにより、加圧ポンプのモータ容量を減らすことができる。その結果、純水製造装置1を稼動させる際のポンプ電力が最小化される。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
第1及び第2実施形態では、フィードバック制御アルゴリズムとして、加圧ポンプ(5,8)の駆動周波数を速度形デジタルPIDアルゴリズムにより演算する例について説明した。これに限らず、加圧ポンプ(5,8)の駆動周波数を位置形デジタルPIDアルゴリズムにより演算してもよい。また、PIDアルゴリズムに限らず、Pアルゴリズム又はPIアルゴリズム等により駆動周波数を演算してもよい。
第1及び第2実施形態において、EDIスタック(電気脱イオンスタック)16の代わりに、非再生型の混床式イオン交換塔を設けてもよい。この場合には、前段のRO膜モジュールで分離された透過水をイオン交換樹脂床により脱イオン処理して脱イオン水を得ることができる。また、装置の運転開始直後において、水質が回復された脱イオン水を需要箇所へ供給することができる。また、イオン交換塔を用いることにより、透過水から脱イオン水を得るための処理に掛かる電力をほぼゼロにすることができる。
第1及び第2実施形態では、制御部(30,30A)からインバータ(6,13)への指令信号として電流値信号を出力する例について説明した。これに限らず、制御部(30,30A)からインバータ(6,13)への指令信号として電圧値信号(例えば、0〜10V)を出力するように構成してもよい。
第1及び第2実施形態では、第1排水弁V32〜第3排水弁V34の開放数を選択することにより、濃縮水W3の排水流量を段階的に調節する例について説明した。これに限らず、例えば、RO濃縮水排出ラインL61を分岐させずに、当該RO濃縮水排出ラインL61に比例制御弁を設けた構成としてもよい。この場合、制御部(30,30A)から電流値信号を比例制御弁に送信して弁開度を制御することにより、濃縮水W3の排水流量を調節することができる。
また、RO濃縮水排出ラインL61に比例制御弁を設けた構成において、RO濃縮水排出ラインL61に流量センサを設けた構成としてもよい。この場合は、流量センサで測定された流量値を、制御部(30,30A)にフィードバック値として入力することにより、濃縮水W3の実際の排水流量をより正確に制御することができる。
第1及び第2実施形態においては、原水W11中に含まれる硬度成分を除去した軟水W12を供給水W1とする例について説明した。これに限らず、原水W11を除鉄除マンガン装置、砂濾過装置、精密濾過膜装置、限外濾過膜装置等により前処理した水を供給水W1としてもよい。なお、原水W11としては、例えば、地下水や水道水等を用いることができる。