以下、本発明に係る水処理装置を純水製造装置に適用した場合の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係る純水製造装置1について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る純水製造装置1の全体概略図である。図2Aは、第1実施形態に係る純水製造装置1の全体構成図の前段部分である。図2Bは、第1実施形態に係る純水製造装置1の全体構成図の中段部分である。図2Cは、第1実施形態に係る純水製造装置1の全体構成図の後段部分である。本実施形態に係る純水製造装置1は、例えば、原水(例えば、水道水)から脱イオン水を製造する純水製造装置に適用される。純水製造装置1で製造された脱イオン水は、純水として、需要箇所等に送出される。なお、本実施形態に係る純水製造装置1において、需要箇所等へ純水を供給することを「採水」ともいう。
図1に示すように、第1実施形態に係る純水製造装置1は、第1オプション機器OP1と、プレフィルタ4と、第2オプション機器OP2と、加圧ポンプ5と、インバータ6と、逆浸透膜モジュールとしてのRO膜モジュール7と、脱炭酸装置15と、第1流路切換弁V71と、第3オプション機器OP3と、制御部30と、入力操作部40と、表示部60と、を備える。
第1オプション機器OP1〜第3オプション機器OP3は、純水製造装置1に着脱可能なオプション機器として、純水製造装置1に装備される機器である。第1オプション機器OP1は、軟水器2及び活性炭濾過器3を含む。第2オプション機器OP2は、硬度センサS1及び残留塩素センサS2を含む。第3オプション機器OP3は、第2比抵抗センサRS2、全有機炭素検出センサTOC及び第3温度センサTE3を含む。
また、図1に示すように、純水製造装置1は、供給水ラインL1と、透過水ラインL21と、RO透過水リターンラインL41と、RO濃縮水リターンラインL51と、を備える。なお、本明細書における「ライン」とは、流路、径路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
また、純水製造装置1は、図2A〜図2Cに示すように、図1に示す構成に加えて、第1開閉弁V11〜第6開閉弁V16と、真空破壊弁V41と、減圧弁V42と、供給水補給弁V31と、比例制御弁V32と、と、第1逆止弁V61〜第4逆止弁V64と、第1圧力計P1〜第3圧力計P3と、第1圧力センサPS1及び第2圧力センサPS2と、圧力スイッチPSWと、第1温度センサTE1〜第3温度センサTE3と、第1流量センサFM1と、アルカリ度センサS3と、pHセンサS4と、第1電気伝導率センサEC1と、第2比抵抗センサRS2と、を備える。
図1、図2A〜図2Cでは、電気的な接続の経路を省略するが、制御部30は、供給水補給弁V31、第1流路切換弁V71、圧力スイッチPSW、第1温度センサTE1〜第3温度センサTE3、第1圧力センサPS1及び第2圧力センサPS2、第1流量センサFM1、第1電気伝導率センサEC1、第2比抵抗センサRS2、全有機炭素センサTOC、硬度センサS1、残留塩素センサS2、アルカリ度センサS3、pHセンサS4等と電気的に接続される。
まず、純水製造装置1における全体構成図の前段部分について説明する。
図1及び図2Aに示すように、供給水ラインL1には、供給水W1が流通する。供給水ラインL1は、供給水W1を、RO膜モジュール7へ流通させるラインである。供給水ラインL1は、第1供給水ラインL11と、第2供給水ラインL12と、を有する。
第1供給水ラインL11には、原水W11(供給水W1)が流通する。第1供給水ラインL11は、原水W11の供給源(不図示)と軟水器2とをつなぐラインである。第1供給水ラインL11の上流側の端部は、原水W11の供給源(不図示)に接続されている。また、第1供給水ラインL11の下流側の端部は、軟水器2に接続されている。
第1供給水ラインL11には、図2Aに示すように、上流側から順に、接続部J1、第1開閉弁V11、及び軟水器2が設けられている。第1開閉弁V11は、第1供給水ラインL11の開閉を操作可能な手動弁である。
軟水器2は、原水W11中に含まれる硬度成分をナトリウムイオンに置換して軟水W12(供給水W1)を製造する機器である。軟水器2は、圧力タンク内に陽イオン交換樹脂床を収容したイオン交換塔を有する。
第2供給水ラインL12には、軟水W12(供給水W1)が流通する。第2供給水ラインL12は、軟水W12を、RO膜モジュール7へ流通させるラインである。第2供給水ラインL12は、軟水器2とRO膜モジュール7とをつなぐラインである。図2Aに示すように、第2供給水ラインL12の上流側の端部は、軟水器2に接続されている。また、図2Bに示すように、第2供給水ラインL12の下流側の端部は、RO膜モジュール7の一次側入口ポート(供給水W1の入口)に接続されている。
第2供給水ラインL12には、上流側から順に、図2Aに示すように、第2開閉弁V12、接続部J2、第3開閉弁V13、活性炭濾過器3、第4開閉弁V14、接続部J3、プレフィルタ4、接続部J4、及び接続部J5が設けられている。また、接続部J5以降には、図2Bに示すように、第5開閉弁V15、接続部J6、減圧弁V42、供給水補給弁V31、接続部J51、接続部J7、接続部J8、加圧ポンプ5、接続部J9、及びRO膜モジュール7が設けられている。第2開閉弁V12〜第5開閉弁V15は、第2供給水ラインL12の開閉を操作可能な手動弁である。供給水補給弁V31は、第2供給水ラインL12の開閉を制御可能な自動弁である。供給水補給弁V31は、制御部30と電気的に接続されている。供給水補給弁V31の開閉は、制御部30から送信される流路開閉信号により制御される。
活性炭濾過器3は、軟水W12(供給水W1)に含まれる塩素成分(主として遊離残留塩素)を除去する機器である。活性炭濾過器3は、圧力タンク内に活性炭からなる濾材床を収容した濾過塔を有する。活性炭濾過器3は、軟水W12に含まれる塩素成分を分解除去する他、有機成分を吸着除去したり、懸濁物質を捕捉したりして軟水W12(供給水W1)を浄化する。
プレフィルタ4は、活性炭濾過器3により浄化された軟水W12(供給水W1)に含まれる微粒子を除去するフィルタである。プレフィルタ4は、ハウジング内にフィルタエレメントが収容されて構成される。フィルタエレメントとしては、例えば、濾過精度が1〜50μmの不織布フィルタエレメント又は糸巻きフィルタエレメント等が用いられる。
硬度センサS1は、供給水ラインL1を流通する供給水W1の全硬度(すなわち、硬度リーク量)を測定する機器である。残留塩素センサS2は、供給水ラインL1を流通する供給水W1の遊離残留塩素濃度(すなわち、塩素リーク量)を測定する機器である。硬度センサS1及び残留塩素センサS2は、図2Aに示すように、測定ラインL110を介して、接続部J5において供給水ラインL1に接続されている。接続部J5は、供給水ラインL1におけるプレフィルタ4と第5開閉弁V15との間に配置されている。硬度センサS1及び残留塩素センサS2は、制御部30と電気的に接続されている。硬度センサS1で測定された硬度リーク量、及び残留塩素センサS2で測定された塩素リーク量は、それぞれ制御部30へ検出信号として送信される。なお、接続部J5には、後述する軟水供給ラインL24の上流側の端部が接続されている。
次に、純水製造装置1における全体構成図の中段部分について説明する。
図2Bに示すように、接続部J6には、真空破壊弁V41が接続されている。真空破壊弁V41は、常閉式の圧力作動弁であり、供給水ラインL1の管内圧力が大気圧力よりも低くなった場合に弁が開いて大気を吸入する。真空破壊弁V41を設けることにより、原水W11(供給水W1)が断水となって供給水ラインL1が負圧になったとしても、RO膜モジュール7の膜の破損等の不具合を防止することができる。
減圧弁V42は、軟水器2、活性炭濾過器3及びプレフィルタ4を通過した軟水W12の圧力を、RO膜モジュール7から流出する濃縮水W3の圧力よりも低い圧力に調整する機器である。減圧弁V42は、軟水W12の圧力よりも濃縮水W3の圧力が大きく(軟水W12の圧力<濃縮水W3の圧力)なるように、軟水W12の圧力を調整する。これにより、濃縮水W3の一部が軟水W12に循環され、軟水W12に濃縮水W3が混合された供給水は、RO膜モジュール7に供給される。すなわち、RO膜モジュール7においては、加圧ポンプ5により供給水を循環させながら、透過水を生産するクロスフロー方式の分離操作が行われる。
加圧ポンプ5は、供給水ラインL1を流通する供給水W1を吸入し、RO膜モジュール7へ向けて圧送(吐出)する装置である。加圧ポンプ5には、インバータ6から周波数が変換された駆動電力が供給される。加圧ポンプ5は、供給された駆動電力の周波数(以下、「駆動周波数」ともいう)に応じた回転速度で駆動される。
インバータ6は、加圧ポンプ5に、周波数が変換された駆動電力を供給する電気回路(又はその回路を持つ装置)である。インバータ6は、制御部30と電気的に接続されている。インバータ6には、制御部30から指令信号が入力される。インバータ6は、制御部30により入力された指令信号(電流値信号又は電圧値信号)に対応する駆動周波数の駆動電力を加圧ポンプ5に出力する。
RO膜モジュール7は、加圧ポンプ5により圧送された供給水W1を、溶存塩類が除去された透過水W2と、溶存塩類が濃縮された濃縮水W3と、に分離する。RO膜モジュール7は、単一又は複数のスパイラル型RO膜エレメントを圧力容器(ベッセル)に収容して構成される。当該RO膜エレメントに使用されるRO膜としては、架橋芳香族ポリアミド系複合膜等が例示される。架橋芳香族ポリアミド系複合膜からなるRO膜エレメントとしては、東レ社製:型式名「TMG20−400」、ウンジン・ケミカル社製:型式名「RE8040−BLF」、日東電工社製:型式名「ESPA1」等が市販されており、これらのエレメントを好適に用いることができる。
RO濃縮水リターンラインL51は、RO膜モジュール7で分離された濃縮水W3の一部W31を供給水ラインL1へ返送するラインである。RO濃縮水リターンラインL51の上流側の端部は、RO膜モジュール7の一次側出口ポート(濃縮水W3の出口)に接続されている。RO濃縮水リターンラインL51の下流側の端部は、接続部J51において供給水ラインL1に接続されている。RO濃縮水リターンラインL51には、第1逆止弁V61及び第1定流量弁V51が設けられている。
RO濃縮水排出ラインL61は、RO膜モジュール7で分離された濃縮水W3の残部W32を、RO濃縮水リターンラインL51の途中から装置の外へ排出するラインである。RO濃縮水排出ラインL61の上流側の端部は、接続部J53に接続されている。接続部J53は、RO濃縮水リターンラインL51におけるRO膜モジュール7と接続部J52との間に配置されている。
RO濃縮水排出ラインL61には、比例制御弁V32が設けられている。比例制御弁V32は、RO濃縮水排出ラインL61から排出される濃縮水W3の排水流量を調節する弁である。比例制御弁V32は、制御部30と電気的に接続されている。比例制御弁V32の弁開度は、制御部30から送信される駆動信号により制御される。制御部30から駆動信号として電流値信号(例えば、4〜20mA)を比例制御弁V32に送信して、弁開度を制御することにより、濃縮水W3の排水流量を調節することができる。この調節により、透過水W2の回収率を予め設定された値に保つことができる。なお、透過水W2の回収率とは、RO膜モジュール7に供給される軟水W12(濃縮水W3の一部W31が混合される前の供給水W1)の流量に対する透過水W2の割合(%)をいう。
RO濃縮水排出ラインL61の下流側の端部は、例えば、排水ピット(不図示)に接続又は開口している。RO濃縮水排出ラインL61の途中には、第2逆止弁V62が設けられている。
透過水ラインL21は、RO膜モジュール7で分離された透過水W2を脱炭酸装置15に流通させるラインである。透過水ラインL21は、図2B及び図2Cに示すように、前段側透過水ラインL211と、中段側透過水ラインL212と、を有する。
前段側透過水ラインL211の上流側の端部は、図2Bに示すように、RO膜モジュール7の二次側ポート(透過水W2の出口)に接続されている。前段側透過水ラインL211の下流側の端部は、図2Cに示すように、第1流路切換弁V71を介して、中段側透過水ラインL212及びRO透過水リターンラインL41に接続されている。
前段側透過水ラインL211には、上流側から順に、図2Bに示すように、第3逆止弁V63、接続部J10、接続部J11、及び第6開閉弁V16が設けられている。また、第6開閉弁V16以降には、図2Cに示すように、脱炭酸装置15、接続部J31、接続部J32、及び第1流路切換弁V71が設けられている。第6開閉弁V16は、透過水ラインL21の開閉を操作可能な手動弁である。
次に、純水製造装置1における全体構成図の後段部分について説明する。
図2Cにおいて、脱炭酸装置15は、透過水W2に含まれる遊離炭酸(溶存炭酸ガス)を、気体分離膜モジュールにより脱気処理して、精製水としての脱炭酸水を製造する設備である。RO膜モジュール7の下流側に脱炭酸装置15を設けることにより、RO膜を透過しやすい遊離炭酸を透過水W2から除去することができる。従って、より純度の高い透過水W2を得ることができる。なお、本実施形態では、脱炭酸装置15で製造された脱炭酸水を、便宜上、透過水W2ともいう。
本実施形態の脱炭酸装置15では、中空糸膜からなる外部灌流式の気体分離膜モジュールを用い、中空糸膜の内側を真空ポンプ(後述)で吸引しながら、空気等の掃引ガスを導入し、膜壁を介して遊離炭酸を掃引ガス中に移行させつつ排気する。このような用途に適した気体分離膜モジュールとしては、例えば、セルガード社製:製品名「Liqui−Cel G−521R」等が挙げられる。
ここで、脱炭酸装置15の構成について説明する。図2Cに示すように、脱炭酸装置15は、脱炭酸膜モジュール151と、真空ポンプ152と、インバータ153と、封水タンク154と、エアフィルタ155と、を備える。また、脱炭酸装置15は、エア流量センサFM4と、逆止弁V67と、真空センサVS1と、温度センサTE6と、定流量弁V60と、空気吸引ラインL71と、空気排出ラインL72と、封水導入ラインL73と、混合空気回収ラインL74と、封水排出ラインL75と、を備える。
脱炭酸膜モジュール151は、透過水W2に含まれる遊離炭酸を脱気処理して、精製水としての脱炭酸水(透過水W2)を製造する。脱炭酸膜モジュール151は、掃引ガスとしての空気が流入する空気流入口、炭酸ガスを含む空気が排出される空気排出口、炭酸ガスを含む透過水W2が流入する水流入口、及び炭酸ガスが除去された透過水W2が排出される透過水排出口を備える(いずれも不図示)。外部灌流式の気体分離膜モジュールの場合、空気流入口及び空気排出口は、中空糸膜の内側と連通する。一方、水流入口及び透過水排出口は、中空糸膜の外側と連通する。脱炭酸膜モジュール151の水流入口には、透過水ラインL21の一方の端部が接続され、脱炭酸膜モジュール151の透過水排出口には、透過水ラインL21の他方の端部が接続されている。すなわち、脱炭酸膜モジュール151は、透過水W2の流路として、透過水ラインL21の一部を構成する。
空気吸引ラインL71は、脱炭酸膜モジュール151に空気(掃引ガス)を導入するラインである。空気吸引ラインL71の上流側の端部は、大気に解放されている。空気吸引ラインL71の下流側の端部は、脱炭酸膜モジュール151の空気流入口に接続されている。また、空気吸引ラインL71には、上流側から順に、エアフィルタ155及びエア流量センサFM4が設けられている。エアフィルタ155は、導入される空気から異物を除去するための部品である。エア流量センサFM4は、吸引する空気の流量を測定して検出流量値として出力する機器である。エア流量センサFM4は、制御部と電気的に接続されている。エア流量センサFM4で測定された空気の流量は、制御部30へ検出信号として送信される。制御部30において、脱炭酸膜モジュール151に導入される空気の流量をモニタすることにより、掃引ガスの供給流量が適正か否かを判定することができる。
空気排出ラインL72は、脱炭酸膜モジュール151から排出された、炭酸ガスを含む空気(以下、「混合空気」ともいう)を真空ポンプ152に導入するラインである。空気排出ラインL72の上流側の端部は、脱炭酸膜モジュール151の空気排出口に接続されている。空気排出ラインL72の下流側の端部は、真空ポンプ152の空気吸引口(不図示)に接続されている。空気排出ラインL72には、上流側から順に、逆止弁V67及び接続部J44が設けられている。
真空センサVS1は、脱炭酸膜モジュール151内の真空度を測定する機器である。真空センサVS1は、接続部J44において、空気排出ラインL72に接続されている。真空センサVS1は、制御部30と電気的に接続されている。真空センサVS1で測定された真空度は、制御部30へ検出信号として送信される。制御部30において、脱炭酸膜モジュール151の真空度をモニタすることにより、エアフィルタ155における異物の詰まり具合を判定することができる。
真空ポンプ152は、脱炭酸膜モジュール151に空気を流入させると共に、脱炭酸膜モジュール151から炭酸ガスを含む空気を排出させる装置である。本実施形態の真空ポンプ152は、水封式の真空ポンプである。真空ポンプ152は、脱炭酸膜モジュール151から炭酸ガスを含む空気を吸引すると共に、この空気と封水タンク154から導入された封水W8とを混合した流体(以下、「混合流体」ともいう)を排出する。また、真空ポンプ152には、インバータ153から周波数が変換された駆動電力が供給される。真空ポンプ152は、インバータ153から供給された駆動電力の周波数(以下、「駆動周波数」ともいう)に応じた回転速度で駆動される。
インバータ153は、真空ポンプ152に、周波数が変換された駆動電力を供給する電気回路(又はその回路を持つ装置)である。インバータ153は、制御部30と電気的に接続されている。インバータ153には、制御部30から指令信号が入力される。インバータ153は、制御部30により入力された指令信号(電流値信号又は電圧値信号)に対応する駆動周波数の駆動電力を真空ポンプ152に出力する。
封水導入ラインL73は、封水タンク154に貯留された封水W8を真空ポンプ152に導入するラインである。封水導入ラインL73の上流側の端部は、封水タンク154の液相部(底部)に接続されている。封水導入ラインL73の下流側の端部は、真空ポンプ152の封水導入口(不図示)に接続されている。封水導入ラインL73には、上流側から順に、定流量弁V60及び接続部J45が設けられている。封水W8は、水封式の真空ポンプ152において、内部の気密性を保つために導入される。
温度センサTE6は、到達真空度に影響する封水W8の温度を測定する機器である。温度センサTE6は、接続部J45において、封水導入ラインL73に接続されている。温度センサTE6は、制御部30と電気的に接続されている。温度センサTE6で測定された封水W8の温度は、制御部30へ検出信号として送信される。
混合空気回収ラインL74は、真空ポンプ152から排出された混合流体を封水タンク154に回収するラインである。混合空気回収ラインL74の上流側の端部は、真空ポンプ152の混合空気排出口(不図示)に接続されている。混合空気回収ラインL74の下流側の端部は、封水タンク154の気相部(上部)に接続されている。
封水排出ラインL75は、封水タンク154においてオーバーフローした封水W8を、脱炭酸装置15の外に排出するラインである。封水排出ラインL75の上流側の端部は、封水タンク154の気相部(側面のオーバーフロー設定位置)に接続されている。封水排出ラインL75の下流側は、例えば、排水ピット(不図示)に接続又は開口している。
封水タンク154は、封水W8を貯留するタンクである。封水タンク154の液相部(底部)には、封水導入ラインL73の上流側の端部が接続されている。封水タンク154の気相部(上部)には、混合空気回収ラインL74、封水排出ラインL75、及び軟水供給ラインL24の下流側の端部がそれぞれ接続されている。
軟水供給ラインL24は、第2供給水ラインL12(図2A参照)を流通する軟水W12(供給水W1)の一部を、脱炭酸装置15(封水タンク154)へ供給するラインである。軟水供給ラインL24の上流側の端部は、第2供給水ラインL12の接続部J5(図2A参照)に接続されている。軟水供給ラインL24の下流側の端部は、封水タンク154の気相部(上部)に接続されている。軟水供給ラインL24には、上流側から順に、第10開閉弁V20及び第9定流量弁V59が設けられている。第2供給水ラインL12を流通する軟水W12(供給水W1)の一部が軟水供給ラインL24を介して封水タンク154に供給されることにより、封水タンク154は所定の水量に保たれる。
図2Cに示す脱炭酸装置15において、真空ポンプ152が駆動されると、空気吸引ラインL71から吸引された空気が、エアフィルタ155及びエア流量センサFM4を経て脱炭酸膜モジュール151へ導入される。この空気は、脱炭酸膜モジュール151の内部において中空糸膜の内側を流通し、空気排出口から空気排出ラインL72に排出される。これにより、脱炭酸膜モジュール151の外部が減圧され、中空糸膜の内側は真空状態に保たれつつ、空気が連続的に流通する。
一方、RO膜モジュール7で分離された透過水W2は、透過水ラインL21を介して、脱炭酸膜モジュール151の水流入口に流入する。透過水W2が中空糸膜の外側を通過する際に、透過水W2に含まれる遊離炭酸(溶存炭酸ガス)は、中空糸膜の外側から分圧の低い中空糸膜の内側に向かって膜壁を透過する。そして、炭酸ガスの除去された透過水W2は、水排出口から透過水ラインL21に向けて排出される。また、中空糸膜の内側に排出された炭酸ガスは、導入された空気と共に脱炭酸膜モジュール151の空気排出口から空気排出ラインL72に排出される。炭酸ガスを含む空気は、真空ポンプ152において、封水タンク154から導入された封水W8と混合され、混合空気回収ラインL74を介して封水タンク154内に放出される。
脱炭酸装置15において、真空ポンプ152の回転速度を増加させると、脱炭酸膜モジュール151を流通する新鮮な空気の量が多くなるため、中空糸膜の内側では炭酸ガスの分圧がより低くなる。従って、真空ポンプ152の回転速度が増加するように(入力される駆動周波数がより高くなるように)、インバータ153から真空ポンプ152に指令信号を出力することにより、透過水W2から遊離炭酸をより多く除去することができる。
再び、純水製造装置1の全体構成図の後段部分における他の構成について説明する。
第1流路切換弁V71は、図2Cに示すように、RO膜モジュール7で分離された透過水W2を、中段側透過水ラインL212を介して流通させる流路(採水側流路)、又は、RO透過水リターンラインL41を介してRO膜モジュール7の上流側の供給水ラインL1へ向けて流通させる流路(循環側流路)に切り換え可能な自動弁である。第1流路切換弁V71は、例えば、電動式又は電磁式の三方弁により構成される。第1流路切換弁V71は、制御部30と電気的に接続されている。第1流路切換弁V71における流路の切り換えは、制御部30から送信される流路切換信号により制御される。
RO透過水リターンラインL41は、RO膜モジュール7で分離された透過水W2を、RO膜モジュール7よりも上流側の供給水ラインL1へ返送するラインである。RO透過水リターンラインL41の上流側の端部は、第1流路切換弁V71に接続されている。RO透過水リターンラインL41の下流側の端部は、図2Bに示すように、接続部J52において、RO濃縮水リターンラインL51に接続されている。接続部J52は、RO濃縮水リターンラインL51における接続部J53と接続部J51との間に配置されている。RO透過水リターンラインL41における接続部J52から接続部J51までの部分は、RO濃縮水リターンラインL51における接続部J52から接続部J51までの部分と共通する。RO透過水リターンラインL41の上流側には、図2Cに示すように、第4逆止弁V64が設けられている。
中段側透過水ラインL212は、RO膜モジュール7で分離された透過水W2を、純水として需要箇所に向けて送出するラインである。中段側透過水ラインL212の上流側の端部は、第1流路切換弁V71に接続されている。中段側透過水ラインL212の下流側の端部は、需要箇所の装置等(不図示)に接続されている。
第1圧力計P1〜第4圧力計P4は、接続された各ラインを流通する水の圧力を計測する機器である。図2Aに示すように、第1圧力計P1〜第4圧力計P4は、接続部J1〜J4において、それぞれ、供給水ラインL1に接続されている。
第1圧力センサPS1及び第2圧力センサPS2は、接続された各ラインを流通する水の圧力を計測する機器である。図2Bに示すように、第1圧力センサPS1は、接続部J9において、供給水ラインL1に接続されている。接続部J9は、供給水ラインL1における加圧ポンプ5とRO膜モジュール7との間に配置されている。第2圧力センサPS2は、接続部J11において、透過水ラインL21に接続されている。接続部J11は、透過水ラインL21におけるRO膜モジュール7と脱炭酸装置15との間に配置されている。
第1圧力センサPS1及び第2圧力センサPS2は、制御部30と電気的に接続されている。第1圧力センサPS1及び第2圧力センサPS2で測定された供給水W1又は透過水W2の圧力は、制御部30へ検出信号として送信される。
アルカリ度センサS3は、透過水ラインL21を流通する透過水W2のMアルカリ度を測定する機器である。Mアルカリ度は、JIS K0101に記載の酸消費量(pH4.8)に相当する。アルカリ度センサS3は、接続部J24において、透過水ラインL21に接続されている。接続部J24は、透過水ラインL21においてRO膜モジュール7と脱炭酸装置15との間に配置されている。
pHセンサS4は、透過水ラインL21を流通する透過水W2のpH値を測定する機器である。pHセンサS4は、接続部J25において、透過水ラインL21に接続されている。接続部J25は、透過水ラインL21においてRO膜モジュール7と脱炭酸装置15との間に配置されている。
アルカリ度センサS3及びpHセンサS4は、制御部30と電気的に接続されている。アルカリ度センサS3及びpHセンサS4で測定された透過水W2のMアルカリ度及びpH値は、制御部30へ検出信号として送信される。
圧力スイッチPSWは、供給水ラインL1を流通する供給水W1の圧力が第1設定圧力値以下又は第2設定圧力値以上であることを検出する機器である。図2Bに示すように、圧力スイッチPSWは、接続部J7において、供給水ラインL1に接続されている。接続部J7は、供給水ラインL1における接続部J51と加圧ポンプ5との間に配置されている。圧力スイッチPSWで検出された供給水W1の圧力の検出信号は、制御部30へ送信される。
第1温度センサTE1〜第3温度センサTE3は、接続された各ラインを流通する水の温度を測定する機器である。第1温度センサTE1は、接続部J8において、供給水ラインL1に接続されている。接続部J8は、供給水ラインL1における接続部J51と加圧ポンプ5との間に配置されている。水温検出手段としての第2温度センサTE2は、接続部J31において、透過水ラインL21に接続されている。接続部J31は、透過水ラインL21における脱炭酸装置15と第1流路切換弁V71との間に配置されている。第3温度センサTE3は、接続部J43において、脱塩水ラインL3に接続されている。接続部J43は、中段側透過水ラインL212に配置されている。
第1温度センサTE1〜第3温度センサTE3は、制御部30と電気的に接続されている。第1温度センサTE1〜第3温度センサTE3で測定された供給水W1、透過水W2(後述する他の実施形態では脱塩水W6)の温度(検出水温値)は、制御部30へ検出信号として送信される。
第1流量センサFM1は、接続された透過水ラインL21を流通する透過水W2の流量を測定する機器である。第1流量センサFM1は、接続部J10において、透過水ラインL21に接続されている。接続部J10は、透過水ラインL21におけるRO膜モジュール7と脱炭酸装置15との間に配置されている。
第1流量センサFM1は、制御部30と電気的に接続されている。第1流量センサFM1で測定された透過水W2の流量(検出流量値)は、制御部30へ検出信号として送信される。
第1電気伝導率センサEC1は、透過水ラインL21を流通する透過水W2の電気伝導率(電気的特性値)を測定する機器である。第1電気伝導率センサEC1は、接続部J32において、透過水ラインL21に接続されている。接続部J32は、透過水ラインL21における脱炭酸装置15と第1流路切換弁V71との間に配置されている。
第2比抵抗センサRS2は、中段側透過水ラインL212を流通する透過水W2の比抵抗(電気的特性値)を測定する機器である。第2比抵抗センサRS2は、接続部J41において、中段側透過水ラインL212に接続されている。接続部J41は、中段側透過水ラインL212において、第1流路切換弁V71よりも下流側に配置されている。なお、第2比抵抗センサRS2は、測定された比抵抗値の温度補償のため、温度センサを内蔵している。そのため、第2比抵抗センサRS2は、透過水W2の水温を測定することができる。
第1電気伝導率センサEC1、及び第2比抵抗センサRS2は、制御部30と電気的に接続されている。第1電気伝導率センサEC1で測定された透過水W2の電気伝導率、及び第2比抵抗センサRS2で測定された透過水W2の比抵抗(及び温度)は、それぞれ、制御部30へ検出信号として送信される。
全有機炭素センサTOCは、中段側透過水ラインL212を流通する透過水W2の有機体炭素量を検出する機器である。有機体炭素とは、水中に存在する有機物中の炭素である。全有機炭素センサTOCは、接続部J42において、中段側透過水ラインL212に接続されている。接続部J42は、中段側透過水ラインL212において、第1流路切換弁V71よりも下流側に配置されている。
全有機炭素センサTOCは、制御部30と電気的に接続されている。全有機炭素センサTOCで検出された透過水W2の全有機炭素量は、制御部30へ検出信号として送信される。
入力操作部40は、装置の運転状態に係る選択(例えば、運転/停止の選択、警報の解除等)、装置の運転条件に係る各種設定について、ユーザー又は管理者の入力操作を受け付ける入力インターフェースである。この入力操作部40は、ディスプレイとボタンスイッチを組み合わせた操作パネル、ディスプレイ上で直接操作するタッチパネル等により構成される。入力操作部40は、制御部30と電気的に接続されている。入力操作部40から入力された情報は、制御部30に送信される。
表示部60は、所望の情報を表示する。表示部60は、制御部30と電気的に接続されている。
次に、制御部30について説明する。制御部30は、CPU及びメモリを含むマイクロプロセッサ(不図示)により構成される。制御部30において、マイクロプロセッサのCPUは、メモリから読み出した所定のプログラムに従って、後述する各種の制御を実行する。制御部30において、マイクロプロセッサのメモリには、純水製造装置1を制御するためのデータや各種プログラムが記憶される。また、制御部30のマイクロプロセッサには、時間の計時等を管理するインテグレーテッドタイマユニット(以下、「ITU」ともいう)が組み込まれている。
制御部30は、RO膜モジュール7における透過水W2の流量フィードバック水量制御として、第1流量センサFM1の検出流量値が予め設定された目標流量値となるように、速度形デジタルPIDアルゴリズムにより加圧ポンプ5の駆動周波数を演算し、当該駆動周波数の演算値に対応する指令信号(電流値信号又は電圧値信号)をインバータ6に出力する。制御部30において、流量フィードバック水量制御を実行することにより、RO膜モジュール7で製造される透過水W2の流量を、予め設定された目標流量値に安定させることができる。
また、制御部30は、脱炭酸装置15に対する制御として、予め設定された駆動周波数に対応する指令信号をインバータ153に出力する。その際に、制御部30は、第2温度センサTE2で測定された透過水W2の検出水温値が予め設定された規定水温値以下の場合には、水温が低くなるほど真空ポンプ152(脱炭酸装置15)の回転速度を増加させるように駆動周波数を設定する。また、制御部30は、第2温度センサTE2で測定された透過水W2の検出水温値が予め設定された規定水温値超過の場合には、インバータ153への指令信号の出力を停止する。この場合、真空ポンプ152の駆動は停止される。なお、規定水温値は、脱炭酸装置15に導入される透過水W2の水質(炭酸ガス濃度)が需要箇所で要求する水質を満足する水温値に設定される。
制御部30において、マイクロプロセッサのメモリには、透過水W2の検出水温値が予め設定された規定水温値以下の場合に、透過水W2の水温値が低くなるほど真空ポンプ152の回転速度が増加するように駆動周波数を演算する関数式(プログラム)が記憶されている。制御部30は、透過水W2の検出水温値及び上記関数式に基づいて、真空ポンプ152の回転速度を増加させる駆動周波数を演算し、真空ポンプ152の駆動周波数としてメモリ(不図示)に設定する。そして、制御部30は、設定した駆動周波数に対応する指令信号をインバータ153に出力する。なお、制御部30において、マイクロプロセッサのメモリに、透過水W2の水温値と駆動周波数とを対応付けるデータテーブルを記憶しておき、このデータテーブルに基づいて真空ポンプ152の駆動周波数を設定してもよい。
また、炭酸ガス濃度算出手段としての制御部30は、透過水W2のMアルカリ度及びpH値に基づいて透過水W2の炭酸ガス濃度を算出する。制御部30は、算出した炭酸ガス濃度が予め設定された第1規定濃度値未満の場合には、透過水W2の検出水温値に基づいて設定した駆動周波数を、予め設定された減少率に基づいて減少側に補正する。透過水W2の炭酸ガス濃度は、例えば、下記の式(1)により算出することができる。
[炭酸ガス濃度]=[Mアルカリ度]/10pH×K ・・・ (1)
ここで、Mアルカリ度は、アルカリ度センサS3で測定された値である。pH値は、pHセンサS4で測定された値である。平衡定数K(=1.0×106.35)は、炭酸の酸解離定数(pK=6.35)に基づく値である。
次に、制御部30において真空ポンプ152の駆動周波数を設定する場合の動作について説明する。図3は、制御部30において真空ポンプ152の駆動周波数を設定する場合の処理手順を示すフローチャートである。図3に示すフローチャートの処理は、純水製造装置1の運転中において、繰り返し実行される。
図3に示すステップST101において、制御部30は、第2温度センサTE2の検出水温値Tを取得する。
ステップST102において、制御部30は、検出水温値Tが予め設定された規定水温値Ts以下か否かを判定する。このステップST102において、制御部30により、検出水温値T≦規定水温値Tsである(YES)と判定された場合に、処理はステップST103へ移行する。また、ステップST102において、制御部30により、検出水温値T>規定水温値Tsである(NO)と判定された場合に、処理はステップST110へ移行する。
ステップST103(ステップST102:YES)において、制御部30は、検出水温値Tを所定の関数式に代入して真空ポンプ152の駆動周波数を演算し、その情報をメモリに設定する。
ステップST104において、制御部30は、アルカリ度センサS3で測定されたMアルカリ度、及びpHセンサS4で測定されたpH値を取得する。
ステップST105において、制御部30は、ステップST104で取得したMアルカリ度及びpH値を、透過水W2の炭酸ガス濃度を算出する式(1)に代入して、透過水W2の炭酸ガス濃度Cを算出する。
ステップST106において、制御部30は、ステップST105で算出した炭酸ガス濃度Cが予め設定された第1規定濃度値C1未満か否かを判定する。このステップST106において、制御部30により、炭酸ガス濃度C<第1規定濃度値C1である(YES)と判定された場合に、処理はステップST109へ移行する。また、ステップST106において、制御部30により、炭酸ガス濃度C≧第1規定濃度値C1である(NO)と判定された場合に、処理はステップST107へ移行する。
ステップST107(ステップST106:NO又はステップST109の終了)において、制御部30は、メモリに設定された駆動周波数の演算値を、対応する電流値信号(指令信号:4〜20mA)に変換する。
ステップST108において、制御部30は、変換した電流値信号を、脱炭酸装置15のインバータ153に出力する。これにより、本フローチャートの処理は終了する(ステップST101へリターンする)。
また、ステップST109(ステップST106:YES)において、制御部30は、メモリに設定された駆動周波数を、予め設定された減少率に基づいて減少側に補正する。ステップST109において、駆動周波数が減少側に補正された場合、ステップST107では、減少側に補正された駆動周波数の演算値が電流値信号に変換される。なお、ステップST106からステップST107へ処理が移行した場合には、ステップST107において、補正されていない駆動周波数の演算値が電流値信号に変換される。
一方、ステップST110(ステップST102:NO)において、制御部30は、インバータ153への指令信号の出力を停止する。これにより、本フローチャートの処理は終了する(ステップST101へリターンする)。
上述した第1実施形態に係る純水製造装置1によれば、例えば、以下のような効果が奏される。
第1実施形態に係る純水製造装置1において、制御部30は、透過水W2の検出水温値が予め設定された規定水温値超過の場合には、真空ポンプ152の駆動が停止するようにインバータ153への指令信号の出力を停止する。本実施形態において、規定水温値は、脱炭酸装置15に導入される透過水W2の水質(炭酸ガス濃度)が需要箇所で要求する水質を満足する水温値に設定されている。そのため、真空ポンプ152の駆動を停止しても、脱炭酸装置15において高純度の純水を製造することができる。従って、本実施形態に係る純水製造装置1によれば、脱炭酸膜モジュール151における炭酸ガスの除去性能を損なうことなしに、真空ポンプ152の消費電力を削減することができる。更に、本実施形態に係る純水製造装置1においては、真空ポンプ152の駆動を停止することにより、エアフィルタ155の目詰まりが起こりにくくなるため、エアフィルタ155の寿命を延ばすことができる。
また、制御部30は、透過水W2の検出水温値が予め設定された規定水温値以下の場合には、水温が低くなるほど真空ポンプ152の回転速度を増加させるように駆動周波数を設定する。脱炭酸装置15において、真空ポンプ152の回転速度を増加させると、脱炭酸膜モジュール151に導入される掃引ガスの量が増える結果、炭酸ガスの除去性能が向上する。そのため、水温が低下して透過水W2の水質が悪化した場合でも、脱炭酸膜モジュール151において、透過水W2から遊離炭酸をより多く除去することができる。従って、本実施形態に係る純水製造装置1は、水温が低下して透過水W2の水質が悪化した場合でも、脱炭酸装置15において高純度の純水を製造することができる。
また、制御部30は、透過水W2のMアルカリ度及びpH値に基づいて透過水W2の炭酸ガス濃度を算出し、当該炭酸ガス濃度が予め設定された第1規定濃度値未満の場合には、透過水W2の検出水温値に基づいて設定した駆動周波数を減少側に補正する。一般に、RO膜モジュール7では、供給水W1に含まれる炭酸ガスのほとんどがRO膜を透過する。しかし、RO膜の一次側における炭酸水素塩等の濃縮により、濃縮水W3が僅かにアルカリ性となることでイオン化し、炭酸ガスの一部がRO膜により除去される可能性がある。そのため、透過水W2の炭酸ガス濃度が予め設定された第1規定濃度値未満の場合には、真空ポンプ152の駆動周波数を減少させることにより、真空ポンプ152の消費電力を更に削減することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る純水製造装置1Aについて、図4及び図5A〜図5Cを参照しながら説明する。図4は、第2実施形態に係る純水製造装置1Aの全体概略図である。図5Aは、第2実施形態に係る純水製造装置1Aの全体構成図の前段部分である。図5Bは、第2実施形態に係る純水製造装置1Aの全体構成図の中段部分である。図5Cは、第2実施形態に係る純水製造装置1Aの全体構成図の後段部分である。
第2実施形態では、主に第1実施形態との相違点について説明する。このため、第1実施形態と同一(又は同等)の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第2実施形態において特に説明しない点については、第1実施形態の説明が適宜に適用される。
第2実施形態に係る純水製造装置1Aは、第1実施形態に係る純水製造装置1がRO膜モジュール7の下流側に脱炭酸装置15を備えているのに対して、脱炭酸装置15の下流側に、更に脱イオンユニットとしての電気脱イオンスタック(以下、「EDIスタック」ともいう)16を備えている点、及びこれらの周辺の構成において、第1実施形態に係る純水製造装置1と主に異なる。
また、第2実施形態に係る純水製造装置1Aは、第1実施形態に係る純水製造装置1が透過水ラインL21にアルカリ度センサS3及びpHセンサS4を備えているのに対して、脱塩水ラインL3(後述)に備えている点で、第1実施形態に係る純水製造装置1と相違する。
図4に示すように、第2実施形態に係る純水製造装置1Aは、第1オプション機器OP1と、プレフィルタ4と、第2オプション機器OP2と、加圧ポンプ5と、インバータ6と、RO膜モジュール7と、脱炭酸装置15と、第1流路切換弁V71と、EDIスタック16と、第2流路切換弁V72と、第3オプション機器OP3と、制御部30Aと、入力操作部40と、直流電源装置50と、表示部60と、を備える。
図5Aに示すように、第2実施形態に係る純水製造装置1Aは、第2供給水ラインL12の接続部J5に、第2オプション機器OP2が接続され、軟水供給ラインL24は接続されていない。第2実施形態に係る純水製造装置1Aにおいて、脱炭酸装置15の封水タンク154には、EDIスタック16(濃縮室162)から排出された濃縮水W7が供給され、封水W8として利用される。
本実施形態の透過水ラインL21は、図5B及び図5Cに示すように、前段側透過水ラインL211と、中段側透過水ラインL212と、脱塩室流入ラインL213と、濃縮室流入ラインL214と、を有する。
本実施形態において、前段側透過水ラインL211の下流側の端部は、図5Cに示すように、第1流路切換弁V71を介して、中段側透過水ラインL212及びRO透過水リターンラインL41に接続されている。
図5Bに示すように、第2実施形態に係る純水製造装置1Aは、第2供給水ラインL12において、供給水補給弁V31と接続部J51との間に接続部J59が設けられている。接続部J59には、後述する脱塩水リターンラインL42の下流側の端部が接続されている。
図5Cに示すように、本実施形態の第1流路切換弁V71は、RO膜モジュール7で分離された透過水W2を、中段側透過水ラインL212を介してEDIスタック16へ向けて流通させる流路(採水側流路)、又は、RO透過水リターンラインL41を介してRO膜モジュール7の上流側の供給水ラインL1へ向けて流通させる流路(循環側流路)に切り換え可能な弁である。
本実施形態において、中段側透過水ラインL212の下流側の端部は、分岐部J71において、脱塩室流入ラインL213の上流側の端部及び濃縮室流入ラインL214の上流側の端部に接続されている。
中段側透過水ラインL212の上流側の端部は、第1流路切換弁V71に接続されている。中段側透過水ラインL212の下流側の端部は、分岐部J71において、脱塩室流入ラインL213の上流側の端部及び濃縮室流入ラインL214の上流側の端部に接続されている。
脱塩室流入ラインL213の下流側の端部は、EDIスタック16の一次側ポート(脱塩室161の入口側)に接続されている。脱塩室流入ラインL213には、接続部J33が配置されている。濃縮室流入ラインL214の下流側の端部は、EDIスタック16の一次側ポート(濃縮室162の各入口側)に接続されている。濃縮室流入ラインL214には、上流側から順に、第5定流量弁V55、接続部J34が設けられている。
EDIスタック16は、RO膜モジュール7で供給水W1から分離された透過水W2を脱塩処理(脱イオン処理)して、脱イオン水としての脱塩水W6と濃縮水W7とを得る水処理機器である。EDIスタック16は、直流電源装置50(図4参照)と電気的に接続されている。EDIスタック16には、直流電源装置50から直流電圧が印加される。EDIスタック16は、直流電源装置50から印加された直流電圧により通電され、動作する。
直流電源装置50は、直流電圧をEDIスタック16の一対の電極間に印加する。直流電源装置50は、制御部30Aと電気的に接続されている。直流電源装置50は、制御部30Aにより入力された指令信号に応答して、直流電圧をEDIスタック16に印加する。
EDIスタック16は、一対の電極間に、陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜(不図示)が交互に配置される。EDIスタック16の内部は、これらイオン交換膜により、脱塩室161及び濃縮室162(陽極室及び陰極室を含む)に区画される。脱塩室161には、イオン交換体(不図示)が充填される。脱塩室161に充填されるイオン交換体としては、例えば、イオン交換樹脂又はイオン交換繊維等が用いられる。なお、図5Cでは、EDIスタック16の内部に区画された複数の脱塩室161及び濃縮室162を模式的に示す。
脱塩室161の入口側には、透過水W2を流入させる脱塩室流入ラインL213が接続されている。脱塩室161の出口側には、脱塩室161においてイオンが除去されて排出された脱塩水W6を流通させる脱塩水ラインL3が接続されている。濃縮室162の入口側には、透過水W2を流入させる濃縮室流入ラインL214が接続されている。濃縮室162の出口側には、イオンが濃縮されて排出された濃縮水W7を流通させるEDI濃縮水ラインL52が接続されている。
脱塩室161及び濃縮室162それぞれには、透過水ラインL21を流通する透過水W2が流入される。透過水W2に含まれる残留イオンは、脱塩室161内に充填されたイオン交換体(不図示)により捕捉され、脱塩水W6となる。脱塩水W6は、脱塩水ラインL3(後述)を介して需要箇所へ送出される。また、脱塩室161内のイオン交換体に捕捉された残留イオンは、印加された直流電圧の電気エネルギーにより濃縮室162に移動する。そして、残留イオンを含む水は、濃縮水W7として、濃縮室162からEDI濃縮水ラインL52(後述)を介して脱炭酸装置15に向けて送出される。脱炭酸装置15に送出された濃縮水W7は、封水W8として利用され、その後、封水排出ラインL75を介して装置の外に排出される。
脱塩水ラインL3は、EDIスタック16で得られた脱塩水W6を純水として需要箇所に向けて送出するラインである。脱塩水ラインL3は、上流側脱塩水ラインL31と、下流側脱塩水ラインL32と、を有する。
上流側脱塩水ラインL31の上流側の端部は、EDIスタック16の二次側ポート(脱塩室161の出口側)に接続されている。上流側脱塩水ラインL31の下流側の端部は、第2流路切換弁V72を介して、下流側脱塩水ラインL32及び脱塩水リターンラインL42に接続されている。上流側脱塩水ラインL31には、上流側から順に、接続部J36、接続部J37、接続部J38、接続部J24、接続部J25、第7開閉弁V17、及び第2流路切換弁V72が設けられている。第7開閉弁V17は、上流側脱塩水ラインL31の開閉を操作可能な手動弁である。
第2流路切換弁V72は、EDIスタック16の脱塩室161で得られた脱塩水W6を、下流側脱塩水ラインL32を介して需要箇所に向けて送出させる流路(採水側流路)、又は、脱塩水リターンラインL42を介してRO膜モジュール7の上流側の供給水ラインL1に向けて流通させる流路(循環側流路)に切り換え可能な自動弁である。第2流路切換弁V72は、例えば、電動式又は電磁式の三方弁により構成される。第2流路切換弁V72は、制御部30Aと電気的に接続されている。第2流路切換弁V72における流路の切り換えは、制御部30Aから送信される流路切換信号により制御される。
第2流路切換弁V72は、制御部30により採水側流路に切り換えられることにより、EDIスタック16で得られた脱塩水W6を脱塩水ラインL3から需要箇所に供給するように送り出す処理を実行可能な送出手段として機能する。
下流側脱塩水ラインL32の上流側の端部は、第2流路切換弁V72に接続されている。下流側脱塩水ラインL32の下流側の端部は、需要箇所の装置等(不図示)に接続されている。
脱塩水リターンラインL42は、EDIスタック16の脱塩室161で得られた脱塩水W6を、脱塩水ラインL3の途中から、RO膜モジュール7の上流側へ返送するラインである。本実施形態において、脱塩水リターンラインL42の上流側の端部は、第2流路切換弁V72に接続されている。脱塩水リターンラインL42の下流側の端部は、接続部J59に接続されている。脱塩水リターンラインL42は、EDIスタック16の脱塩室161で得られた脱塩水W6をRO膜モジュール7の上流側(供給水ラインL1)へ返送するラインである。脱塩水リターンラインL42の上流側には、第5逆止弁V65が設けられている。
EDI濃縮水ラインL52は、EDIスタック16の濃縮室162から排出された濃縮水W7を、脱炭酸装置15に送出するラインである。EDI濃縮水ラインL52の上流側の端部は、EDIスタック16の二次側ポート(濃縮室162の出口側)に接続されている。EDI濃縮水ラインL52の下流側の端部は、脱炭酸装置15(封水タンク154)に接続されている。
本実施形態に係る純水製造装置1Aは、第1圧力計P1〜第4圧力計P4に加えて、第5圧力計P5及び第6圧力計P6を有する。図5Cに示すように、第5圧力計P5は、接続部J35において、EDI濃縮水ラインL52に接続されている。第6圧力計P6は、接続部J36において、脱塩水ラインL3に接続されている。
本実施形態に係る純水製造装置1Aは、第1圧力センサPS1及び第2圧力センサPS2に加えて、第3圧力センサPS3及び第4圧力センサPS4を有する。第3圧力センサPS3は、接続部J33において、脱塩室流入ラインL213に接続されている。接続部J33は、脱塩室流入ラインL213の途中に配置されている。第4圧力センサPS4は、接続部J34において、濃縮室流入ラインL214に接続されている。接続部J34は、濃縮室流入ラインL214における第5定流量弁V55とEDIスタック16との間に配置されている。
本実施形態に係る純水製造装置1Aは、第2比抵抗センサRS2に加えて、第1比抵抗センサRS1を備える。第1比抵抗センサRS1は、接続部J37において、脱塩水ラインL3に接続されている。接続部J37は、脱塩水ラインL3におけるEDIスタック16と第2流路切換弁V72との間に配置されている。第1比抵抗センサRS1は、第2比抵抗センサRS2と同様に、測定された比抵抗値の温度補償のため、温度センサを内蔵している。そのため、第2比抵抗センサRS2は、脱塩水W6の水温を測定することができる。
第1比抵抗センサRS1は、第2比抵抗センサRS2と同様に、制御部30Aと電気的に接続されている。第1比抵抗センサRS1で測定された脱塩水W6の比抵抗(及び温度)は、制御部30Aへ検出信号として送信される。
本実施形態に係る純水製造装置1Aは、第1流量センサFM1に加えて、第2流量センサFM2を有する。第2流量センサFM2は、接続部J38において、脱塩水ラインL3に接続されている。接続部J38は、脱塩水ラインL3におけるEDIスタック16と接続部J24(後述)との間に配置されている。
本実施形態に係るアルカリ度センサS3は、接続部J24において、脱塩水ラインL3に接続されている。接続部J24は、脱塩水ラインL3における接続部J38と接続部J25(後述)との間に配置されている。また、本実施形態に係るpHセンサS4は、接続部J25において、脱塩水ラインL3に接続されている。接続部J25は、脱塩水ラインL3における接続部J24と第2流路切換弁V72との間に配置されている。すなわち、第2実施形態に係る純水製造装置1Aでは、脱イオン水としての脱塩水W6のMアルカリ度とpH値を測定するように構成されている。
次に、第2実施形態の制御部30Aについて説明する。制御部30Aは、CPU及びメモリを含むマイクロプロセッサ(不図示)により構成される。制御部30Aにおいて、マイクロプロセッサのCPUは、メモリから読み出した所定のプログラムに従って、後述する各種の制御を実行する。制御部30Aにおいて、マイクロプロセッサのメモリには、純水製造装置1Aを制御するためのデータや各種プログラムが記憶される。また、制御部30Aのマイクロプロセッサには、時間の計時等を管理するインテグレーテッドタイマユニット(以下、「ITU」ともいう)が組み込まれている。
本実施形態の制御部30AにおけるRO膜モジュール7における透過水W2の流量フィードバック水量制御、及び脱炭酸装置15に対する制御は、基本的に第1実施形態の制御部30と同じである。本実施形態の制御部30Aは、脱塩水W6(脱イオン水)のMアルカリ度及びpH値に基づいて脱塩水W6(脱イオン水)の炭酸ガス濃度を算出し、当該炭酸ガス濃度が予め設定された第2規定濃度値超過の場合には、透過水W2の検出水温値に基づいて設定した駆動周波数を、予め設定された増加率に基づいて増加側に補正する点が異なる。
次に、制御部30Aにおいて真空ポンプ152の駆動周波数を設定する場合の動作について説明する。図6は、制御部30Aにおいて真空ポンプ152の駆動周波数を設定する場合の処理手順を示すフローチャートである。図6に示すフローチャートの処理は、純水製造装置1Aの運転中において、繰り返し実行される。
図6に示すステップST201において、制御部30Aは、第2温度センサTE2の検出水温値Tを取得する。
ステップST202において、制御部30Aは、検出水温値Tが予め設定された規定水温値Ts以下か否かを判定する。このステップST202において、制御部30Aにより、検出水温値T≦規定水温値Tsである(YES)と判定された場合に、処理はステップST203へ移行する。また、ステップST202において、制御部30Aにより、検出水温値T>規定水温値Tsである(NO)と判定された場合に、処理はステップST210へ移行する。
ステップST203(ステップST202:YES)において、制御部30Aは、検出水温値Tを所定の関数式に代入して真空ポンプ152の駆動周波数を演算し、その情報をメモリに設定する。
ステップST204において、制御部30Aは、アルカリ度センサS3で測定されたMアルカリ度、及びpHセンサS4で測定されたpH値を取得する。
ステップST205において、制御部30Aは、ステップST204で取得したMアルカリ度及びpH値を、上述の炭酸ガス濃度を算出する式(1)に代入して、脱塩水W6(脱イオン水)の炭酸ガス濃度Cを算出する。
ステップST206において、制御部30Aは、ステップST205で算出した炭酸ガス濃度Cが予め設定された第2規定濃度値C2超過か否かを判定する。このステップST206において、制御部30Aにより、炭酸ガス濃度C>第2規定濃度値C2である(YES)と判定された場合に、処理はステップST209へ移行する。また、ステップST206において、制御部30Aにより、炭酸ガス濃度C≦第2規定濃度値C2である(NO)と判定された場合に、処理はステップST207へ移行する。
ステップST207(ステップST206:NO又はステップST209の終了)において、制御部30Aは、メモリに設定された駆動周波数の演算値を、対応する電流値信号(指令信号:4〜20mA)に変換する。
ステップST208において、制御部30Aは、変換した電流値信号を、脱炭酸装置15のインバータ153に出力する。これにより、本フローチャートの処理は終了する(ステップST201へリターンする)。
また、ステップST209(ステップST206:YES)において、制御部30Aは、メモリに設定された駆動周波数を、予め設定された増加率に基づいて増加側に補正する。ステップST209において、駆動周波数が増加側に補正された場合、ステップST207では、増加側に補正された駆動周波数の演算値が電流値信号に変換される。また、ステップST206からステップST207へ処理が移行した場合には、ステップST207において、補正されていない駆動周波数の演算値が電流値信号に変換される。
一方、ステップST210(ステップST202:NO)において、制御部30Aは、インバータ153への指令信号の出力を停止する。これにより、本フローチャートの処理は終了する(ステップST201へリターンする)。
上述した第2実施形態に係る純水製造装置1Aにおいて、制御部30Aは、透過水W2の検出水温値が予め設定された規定水温値超過の場合には、インバータ153への指令信号の出力を停止する。そのため、本実施形態に係る純水製造装置1Aによれば、第1実施形態と同様に、脱炭酸膜モジュール151における炭酸ガスの除去性能を損なうことなしに、真空ポンプ152の消費電力を削減することができる。また、本実施形態に係る純水製造装置1Aにおいても、エアフィルタ155の目詰まりが起こりにくくなるため、エアフィルタ155の寿命を延ばすことができる。
また、制御部30Aは、透過水W2の検出水温値が予め設定された規定水温値以下の場合には、水温が低くなるほど真空ポンプ152の回転速度を増加させるように駆動周波数を設定する。そのため、本実施形態に係る純水製造装置1Aは、第1実施形態と同様に、水温が低下して透過水W2の水質が悪化した場合でも、脱炭酸装置15において高純度の純水を製造することができる。
また、制御部30Aは、脱塩水W6(脱イオン水)のMアルカリ度及びpH値に基づいて脱塩水W6(脱イオン水)の炭酸ガス濃度を算出し、当該炭酸ガス濃度が予め設定された第2規定濃度値超過の場合には、透過水W2の検出水温値に基づいて設定した駆動周波数を増加側に補正する。これによれば、脱塩水W6に残留する炭酸ガス濃度が需要箇所での要求水質を満足しない場合に、真空ポンプ152の回転速度がより増加するように駆動周波数が補正されるため、脱炭酸膜モジュール151において炭酸ガスの除去率を向上させることができる。そのため、本実施形態に係る純水製造装置1Aは、透過水W2に含まれる炭酸ガス濃度が多くなった場合でも、脱炭酸装置15において高純度の純水を製造することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る純水製造装置1Bについて、図7及び図8を参照しながら説明する。図7は、第3実施形態に係る純水製造装置1Bの全体概略図である。図8は、第3実施形態に係る純水製造装置1Bの全体構成図の後段部分である。なお、第3実施形態に係る純水製造装置1Bの全体構成図の前段部分は、図2A(第1実施形態)と同じであるため図示と説明を省略する。また、第3実施形態に係る純水製造装置1Bの全体構成図の中段部分は、図5B(第2実施形態)と同じであるため図示と説明を省略する。
第3実施形態では、主に第2実施形態との相違点について説明する。このため、第2実施形態と同一(又は同等)の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第3実施形態において特に説明しない点については、第2実施形態の説明が適宜に適用される。本実施形態に係る純水製造装置1Bの全体構成図として援用される図において、「脱塩水W6」は、「脱イオン水W9」と読み替える。また、脱塩水W6の流通するラインは、同じ符号のまま、脱イオン水W9の流通するラインとして読み替える。例えば、「脱塩水ラインL3」は、「脱イオン水ラインL3」と読み替える。
第3実施形態に係る純水製造装置1Bは、第2実施形態に係る純水製造装置1が脱炭酸装置15の下流側にEDIスタック16を備えているのに対して、脱炭酸装置15の下流側にイオン交換器17を備えている点、及びこれらの周辺の構成において、第2実施形態に係る純水製造装置1Aと主に異なる。
また、第3実施形態に係る純水製造装置1Bは、第2実施形態に係る純水製造装置1と同様に、脱塩水ラインL3(前段脱塩水ラインL31)にアルカリ度センサS3及びpHセンサS4を備えている。
図7に示すように、第3実施形態に係る純水製造装置1Bは、第1オプション機器OP1と、プレフィルタ4と、第2オプション機器OP2と、加圧ポンプ5と、インバータ6と、RO膜モジュール7と、脱炭酸装置15と、第1流路切換弁V71と、脱イオンユニットとしてのイオン交換器17と、第2流路切換弁V72と、第3オプション機器OP3と、制御部30Bと、入力操作部40と、表示部60と、を備える。
本実施形態の透過水ラインL21は、図8に示すように、前段側透過水ラインL211と、中段側透過水ラインL212と、を有する。
イオン交換器17は、透過水W2に残留するカチオンをH型の陽イオン交換樹脂で除去すると共に、透過水W2に残留するアニオンをOH型の陰イオン交換樹脂で除去して脱イオン水W9を製造する非再生型の混床式イオン交換塔である。イオン交換樹器17は、図8に示すように、圧力タンク171と、一次側開閉弁V21と、二次側開閉弁V22と、を備える。
圧力タンク171は、内部にイオン交換樹脂床及びその支持床(いずれも不図示)が収容された容器である。圧力タンク171の一次側ポートには、中段側透過水ラインL212の下流側の端部が接続されている。中段側透過水ラインL212において、圧力タンク171における一次側ポートの近傍には、一次側開閉弁V21が設けられている。一次側開閉弁V21は、中段側透過水ラインL212の開閉を操作可能な手動弁である。
脱イオン水ラインL3は、イオン交換器17で製造された脱イオン水W9を純水として需要箇所に向けて送出するラインである。脱イオン水ラインL3は、上流側脱イオン水ラインL31と、下流側脱イオン水ラインL32と、を有する。
上流側脱イオン水ラインL31の上流側の端部は、圧力タンク171の二次側ポート(脱イオン水W9の出口側)に接続されている。上流側脱イオン水ラインL31の下流側の端部は、第2流路切換弁V72を介して、下流側脱イオン水ラインL32及び脱イオン水リターンラインL42に接続されている。上流側脱イオン水ラインL31において、圧力タンク171における二次側ポートの近傍には、二次側開閉弁V22が設けられている。二次側開閉弁V22は、中段側透過水ラインL212の開閉を操作可能な手動弁である。また、本実施形態の上流側脱イオン水ラインL31には、接続部J37において、第1比抵抗センサRS1が接続されている。
本実施形態に係るアルカリ度センサS3は、接続部J24において、脱塩水ラインL3に接続されている。接続部J24は、脱塩水ラインL3における接続部J37と接続部J25(後述)との間に配置されている。また、本実施形態に係るpHセンサS4は、接続部J25において、脱塩水ラインL3に接続されている。接続部J25は、脱塩水ラインL3における接続部J24と第2流路切換弁V72との間に配置されている。すなわち、第2実施形態に係る純水製造装置1Bでは、脱イオン水W9のMアルカリ度とpH値を測定するように構成されている。
本実施形態に係る純水製造装置1Bにおいては、RO膜モジュール7(及び脱炭酸装置15)の下流側にイオン交換器17が設けられているため、RO膜モジュール7において除去しきれなかった透過水W2に含まれる残留イオンを更に除去することができる。従って、より純度の高い脱イオン水W9(純水)を製造することができる。
第3実施形態の制御部30Bにおいて、RO膜モジュール7における透過水W2の流量フィードバック水量制御、及び脱炭酸装置15に対する制御は、第2実施形態の制御部30Aと実質的に同じであるため説明を省略する。
上述した第3実施形態に係る純水製造装置1Bにおいても、透過水W2の検出水温値が予め設定された規定水温値超過の場合には、脱炭酸装置15のインバータ153への指令信号の出力が停止されるため、第1及び第2実施形態と同様に、脱炭酸膜モジュール151における炭酸ガスの除去性能を損なうことなしに、真空ポンプ152の消費電力を削減することができる。また、本実施形態に係る純水製造装置1Bにおいても、エアフィルタ155の目詰まりが起こりにくくなるため、エアフィルタ155の寿命を延ばすことができる。
また、本実施形態に係る純水製造装置1Bにおいても、透過水W2の検出水温値が予め設定された規定水温値以下の場合には、水温が低くなるほど真空ポンプ152の回転速度を増加させるように駆動周波数が設定される。そのため、第1及び第2実施形態と同様に、水温が低下して透過水W2の水質が悪化した場合でも、脱炭酸装置15において高純度の純水を製造することができる。
また、本実施形態に係る純水製造装置1Bにおいても、脱イオン水W9のMアルカリ度及びpH値に基づいて脱イオン水W9の炭酸ガス濃度を算出し、当該炭酸ガス濃度が予め設定された第2規定濃度値超過の場合には、透過水W2の検出水温値に基づいて設定した駆動周波数が増加側に補正される。そのため、第2実施形態と同様に、透過水W2に含まれる炭酸ガス濃度が多くなった場合でも、脱炭酸装置15において高純度の純水を製造することができる。
また、本実施形態に係る純水製造装置1Bは、RO膜モジュール7の下流側に、透過水W2の精製処理に電力を使用しないイオン交換器17(イオン交換樹脂床)を設けているため、RO膜モジュール7の下流側にEDIスタック16を設けた構成(第2実施形態)に比べて、純水製造時のランニングコストを抑制することができる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係る純水製造装置1Cについて、図9及び図10A〜図10Cを参照しながら説明する。図9は、第4実施形態に係る純水製造装置1Cの全体概略図である。図10Aは、第4実施形態に係る純水製造装置1Cの全体構成図の第1中段部分である。図10Bは、第4実施形態に係る純水製造装置1Cの全体構成図の第2中段部分である。図10Cは、第4実施形態に係る純水製造装置1Cの全体構成図の後段部分である。
なお、第4実施形態では、主に第1実施形態との相違点について説明する。このため、第1実施形態と同一(又は同等)の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第4実施形態において特に説明しない点については、第1実施形態の説明が適宜に適用される。また、第4実施形態において、供給水ラインL1の上流側から供給水補給弁V31までの構成は、第1実施形態と同様である。そのため、第4実施形態においては、第1実施形態における供給水ラインL1の上流側から供給水補給弁V31までの構成についての主な図面(図2Aに対応する図面)及びその説明を省略する。
第4実施形態に係る純水製造装置1Cは、第1実施形態における純水製造装置1が1段のRO膜モジュール7を備えているのに対して、直列に並べられた2段のRO膜モジュール10,14を備えている点、2段のRO膜モジュール10,14の間に中間タンク11が設けられている点、及びこれらの周辺の構成において、第1実施形態における純水製造装置1と主に異なる。
なお、第4実施形態においては、第1実施形態における「RO膜モジュール7」を第4実施形態における1段目のRO膜モジュールとして「前段RO膜モジュール10」とし、更に、2段目のRO膜モジュールとして「後段RO膜モジュール14」を備える。そのため、第4実施形態では、第1実施形態における「透過水ラインL21」を「前段RO透過水ラインL22」とし、前段RO膜モジュール10で分離された透過水を「前段透過水W2」とする。
また、第4実施形態では、第1実施形態における「RO透過水リターンラインL41」を「前段RO透過水リターンラインL43」とし、第1実施形態における「RO濃縮水リターンラインL51」を「前段RO濃縮水リターンラインL53」とする。また、第4実施形態では、第1実施形態における「加圧ポンプ5」を「前段加圧ポンプ8」とし、「インバータ6」を「前段インバータ9」とする。
図9に示すように、第4実施形態に係る純水製造装置1Cは、第1オプション機器OP1と、プレフィルタ4と、第2オプション機器OP2と、前段加圧ポンプ8と、前段インバータ9と、前段RO膜モジュール10と、中間タンク11と、後段加圧ポンプ12と、後段インバータ13と、後段RO膜モジュール14と、脱炭酸装置15と、第1流路切換弁V71と、第3オプション機器OP3と、制御部30Cと、入力操作部40と、表示部60と、を備える。
また、図9に示すように、第4実施形態に係る純水製造装置1Cは、供給水ラインL1と、前段RO透過水ラインL22と、前段RO透過水リターンラインL43と、前段RO濃縮水リターンラインL53と、後段RO透過水ラインL23と、後段RO透過水リターンラインL44と、前段RO濃縮水リターンラインL54と、を備える。
図9に示すように、第4実施形態に係る純水製造装置1Cは、第1実施形態におけるRO透過水リターンラインL41に代えて、前段RO透過水リターンラインL43を備える。また、第4実施形態に係る純水製造装置1Cは、後段RO透過水リターンラインL44を備える。
また、図10A〜図10Cに示すように、第4実施形態に係る純水製造装置1Cは、第1実施形態における第2圧力センサPS2を備えておらず、一方、第5圧力センサPS5、第4温度センサTE4、第5温度センサTE5、第3流量センサFM3、及び第2電気伝導率センサEC2を更に備える。
前段RO膜モジュール10は、前段加圧ポンプ8により圧送された供給水W1を、溶存塩類が除去された前段透過水W2と、溶存塩類が濃縮された濃縮水W3と、に分離する。
前段RO透過水ラインL22は、前段RO膜モジュール10で分離された前段透過水W2を後段RO膜モジュール14に流通させるラインである。前段RO透過水ラインL22の上流側の端部は、図10Aに示すように、前段RO膜モジュール10の二次側ポート(前段透過水W2の出口)に接続されている。前段RO透過水ラインL22の下流側の端部は、図10Bに示すように、後段RO膜モジュール14の一次側入口ポート(前段透過水W2の入口)に接続されている。
前段RO透過水ラインL22には、上流側から順に、図10Aに示すように、接続部J54、前段透過水補給弁V35、第3逆止弁V63、接続部J10、接続部J12、接続部J13、及び第6開閉弁V16が設けられている。また、第6開閉弁V16以降には、図10Bに示すように、中間タンク11、第7開閉弁V17、接続部J61、接続部J21、後段加圧ポンプ12、接続部J22、及び後段RO膜モジュール14が設けられている。図10Aに示すように、接続部J54には、前段RO透過水リターンラインL43の上流側の端部が接続されている。また、図10Bに示すように、接続部J61には、後段RO濃縮水リターンラインL54の下流側の端部が接続されている。
前段透過水補給弁V35は、前段RO透過水ラインL22の開閉を制御可能な自動弁である。前段透過水補給弁V35は、制御部30Cと電気的に接続されている。前段透過水補給弁V35における弁の開閉は、制御部30Cから送信される流路開閉信号により制御される。
第4温度センサTE4及び第5温度センサTE5は、前段RO透過水ラインL22を流通する前段透過水W2の温度を測定する機器である。第4温度センサTE4は、図10Aに示すように、接続部J12において、前段RO透過水ラインL22に接続されている。接続部J12は、前段RO透過水ラインL22における前段RO膜モジュール10と中間タンク11との間に配置されている。第5温度センサTE5は、図10Bに示すように、接続部J21において、前段RO透過水ラインL22に接続されている。接続部J21は、前段RO透過水ラインL22における中間タンク11と後段加圧ポンプ12との間に配置されている。第4温度センサTE4及び第5温度センサTE5は、制御部30Cと電気的に接続されている。第4温度センサTE4及び第5温度センサTE5で測定された前段透過水W2の温度は、制御部30Cへ検出信号として送信される。
第2電気伝導率センサEC2は、前段RO透過水ラインL22を流通する前段透過水W2の電気伝導率を測定する機器である。第2電気伝導率センサEC2は、図10Aに示すように、接続部J13において、前段RO透過水ラインL22に接続されている。接続部J13は、前段RO透過水ラインL22における前段RO膜モジュール10と中間タンク11との間に配置されている。第2電気伝導率センサEC2は、制御部30Cと電気的に接続されている。第2電気伝導率センサEC2で測定された前段透過水W2の電気伝導率は、制御部30Cへ検出信号として送信される。
図9に示すように、中間タンク11は、前段RO透過水ラインL22における前段RO膜モジュール10と後段RO膜モジュール14との間に設けられている。中間タンク11は、前段RO膜モジュール10で分離された前段透過水W2を貯留するタンクである。
中間タンク11には、図10Bに示すように、水位センサ111が設けられている。水位センサ111は、中間タンク11に貯留された前段透過水W2の水位を検出する機器である。水位センサ111は、制御部30Cと電気的に接続されている。水位センサ111で測定された中間タンク11の水位(検出水位値)は、制御部30Cへ検出信号として送信される。
本実施形態において、水位センサ111は、例えば、レベルスイッチである。レベルスイッチは、予め設定された液面位置の検出器であり、例えば、複数の液面位置(例えば、4位置)を検出するように構成されている。図10Bでは、水位センサ111として、フロート式のレベルスイッチを設けた例を示す。なお、水位センサ111は、レベルスイッチには制限されず、例えば、連続式レベルセンサであってもよい。連続式レベルセンサとしては、例えば、静電容量式センサ、圧力式センサ、超音波式センサ等が用いられる。
後段加圧ポンプ12は、前段RO透過水ラインL22を流通する前段透過水W2を吸入し、後段RO膜モジュール14へ向けて圧送する装置である。後段加圧ポンプ12には、後段インバータ13から周波数が変換された駆動電力が供給される。後段加圧ポンプ12は、供給された駆動電力の周波数(以下、「駆動周波数」ともいう)に応じた回転速度で駆動される。
後段インバータ13は、後段加圧ポンプ12に、周波数が変換された駆動電力を供給する電気回路(又はその回路を持つ装置)である。後段インバータ13は、制御部30Cと電気的に接続されている。後段インバータ13には、制御部30Cから指令信号が入力される。後段インバータ13は、制御部30Cにより入力された指令信号(電流値信号又は電圧値信号)に対応する駆動周波数の駆動電力を後段加圧ポンプ12に出力する。
後段RO膜モジュール14は、前段RO膜モジュール10で分離されて後段加圧ポンプ12により圧送された前段透過水W2を、前段透過水W2よりも溶存塩類が除去された後段透過水W4と、溶存塩類が濃縮された濃縮水W5と、に分離する。後段RO膜モジュール14は、単一又は複数のスパイラル型RO膜エレメントを圧力容器(ベッセル)に収容して構成される。なお、本実施形態では、後段RO膜モジュール14の下流側に設けられた脱炭酸装置15において製造された脱炭酸水を、便宜上、後段透過水W4ともいう。
前段RO透過水リターンラインL43は、図10Aに示すように、前段RO膜モジュール10で分離された前段透過水W2を、前段RO膜モジュール10の上流側の供給水ラインL1へ返送するラインである。前段RO透過水リターンラインL43の上流側の端部は、接続部J54に接続されている。前段RO透過水リターンラインL43の下流側の端部は、接続部J52において、前段RO濃縮水リターンラインL53に接続されている。接続部J52は、前段RO濃縮水リターンラインL53における接続部J53と接続部J51との間に配置されている。前段RO透過水リターンラインL43における接続部J52から接続部J51までの部分は、前段RO濃縮水リターンラインL53における接続部J52から接続部J51までの部分と共通する。
前段RO透過水リターンラインL43には、図10Aに示すように、リリーフ弁V43が設けられている。リリーフ弁V43は、常閉式の圧力作動弁であって、一次側の圧力が二次側の圧力よりも一定の圧力以上高い場合に開放される調整弁である。詳細には、リリーフ弁V43は、前段RO透過水リターンラインL43の管内圧力が予め設定された圧力以上になったときに開状態となり、前段RO透過水ラインL22を流通される前段透過水W2を、接続部J54を介して前段RO透過水リターンラインL43に流通させるための弁である。
リリーフ弁V43における二次側の圧力(接続部J51での供給水W1の圧力)は、減圧弁V42により前段加圧ポンプ8の運転圧力未満に調整される。前段透過水補給弁V35が閉状態に制御された状態で前段加圧ポンプ8を駆動させると、リリーフ弁V43における一次側の圧力(接続部J54での前段透過水W2の圧力)は、二次側の圧力よりも高くなる。これにより、リリーフ弁V43が開放されて、前段RO透過水ラインL22を流通する前段透過水W2を、前段RO透過水リターンラインL43に流通させることができる。
後段RO濃縮水リターンラインL54は、図10Bに示すように、後段RO膜モジュール14で分離された濃縮水W5の一部W51を、前段RO透過水ラインL22へ返送するラインである。後段RO濃縮水リターンラインL54の上流側の端部は、後段RO膜モジュール14の一次側出口ポート(濃縮水の出口)に接続されている。後段RO濃縮水リターンラインL54の下流側の端部は、接続部J61に接続されている。接続部J61は、前段RO透過水ラインL22における中間タンク11と後段加圧ポンプ12との間に配置されている。
後段RO濃縮水リターンラインL54は、図10Bに示すように、上流側から順に、接続部J63、接続部J62、第6逆止弁V66、第6定流量弁V56、及び接続部J61が設けられている。接続部J62には、第1後段RO濃縮水ラインL63の上流側の端部が接続されている。接続部J63には、第2後段RO濃縮水ラインL64の上流側の端部が接続されている。
第1後段RO濃縮水ラインL63及び第2後段RO濃縮水ラインL64は、後段RO膜モジュール14で分離された濃縮水W5の残部W52を、後段RO濃縮水リターンラインL54の途中から脱炭酸装置15に送出するラインである。第1後段RO濃縮水ラインL63の下流側の端部及び第2後段RO濃縮水ラインL64の下流側の端部は、接続部J64において、後段RO濃縮水送出ラインL65の上流側の端部に接続されている。後段RO濃縮水送出ラインL65の下流側の端部は、図10Cに示すように、脱炭酸装置15に接続されている。第1後段RO濃縮水ラインL63及び第2後段RO濃縮水ラインL64には、それぞれ、第1調整弁V36及び第2調整弁V37、並びに第7定流量弁V57及び第8定流量弁V58が設けられている。
第1調整弁V36及び第2調整弁V37により、第1後段RO濃縮水ラインL63及び第2後段RO濃縮水ラインL64を個別に開閉することにより、濃縮水W5の送出流量を調節することができる。第1調整弁V36及び第2調整弁V37は、それぞれ制御部30Aと電気的に接続されている。第1調整弁V36及び第2調整弁V37の開閉は、制御部30Cから送信される駆動信号により制御される。
後段RO濃縮水送出ラインL65には、第8開閉弁V18が設けられている。第8開閉弁V18は、後段RO濃縮水送出ラインL65の開閉を操作可能な手動弁である。
後段RO透過水ラインL23は、後段RO膜モジュール14で分離された後段透過水W4を脱炭酸装置15に流通させるラインである。後段RO透過水ラインL23の上流側の端部は、図10Bに示すように、後段RO膜モジュール14の二次側ポート(後段透過水W4の出口)に接続されている。後段RO透過水ラインL23の下流側の端部は、図10Cに示すように、第1流路切換弁V71を介して、中段側透過水ラインL232及び後段RO透過水リターンラインL44に接続されている。
後段RO透過水ラインL23は、前段側透過水ラインL231と、中段側透過水ラインL232と、を有する。前段側透過水ラインL231には、上流側から順に、図10Bに示すように、第4逆止弁V64、接続部J23、及び第9開閉弁V19が設けられている。また、第9開閉弁V19以降には、図10Cに示すように、脱炭酸装置15、接続部J31、接続部J32、及び第1流路切換弁V71が設けられている。
第1流路切換弁V71は、後段RO膜モジュール14で分離された後段透過水W4を、中段側透過水ラインL232を介して需要箇所に向けて送出させる流路(採水側流路)、又は、後段RO透過水リターンラインL44を介して中間タンク11へ向けて流通させる流路(循環側流路)に切り換え可能な弁である。第1流路切換弁V71は、例えば、電動式又は電磁式の三方弁により構成される。第1流路切換弁V71は、制御部30Cと電気的に接続されている。第1流路切換弁V71における流路の切り換えは、制御部30Cから送信される流路切換信号により制御される。
後段RO透過水リターンラインL44は、後段RO膜モジュール14で分離された後段透過水W4を、前段RO膜モジュール10と後段RO膜モジュール14との間に設けられた中間タンク11へ返送するラインである。後段RO透過水リターンラインL44の上流側の端部は、図10Cに示すように、第1流路切換弁V71に接続されている。後段RO透過水リターンラインL44の下流側は、図10Bに示すように、中間タンク11に接続されている。
なお、図10Cに示す第4実施形態において、第1流路切換弁V71よりも下流側の部分の構成は、第1実施形態における「中段側透過水ラインL212」及び「透過水W2」を、それぞれ、「中段側透過水ラインL232」及び「後段透過水W4」としている。また、第4実施形態において、第3オプション機器OP3は、第1実施形態と同様の構成である。そのため、これらの部分に関しては、第1実施形態の説明を援用して、第2実施形態の説明を省略する。
第3流量センサFM3は、図10Bに示すように、後段RO透過水ラインL23を流通する後段透過水W4の流量を測定する機器である。第3流量センサFM3は、図10Bに示すように、接続部J23において、後段RO透過水ラインL23に接続されている。接続部J23は、後段RO透過水ラインL23における後段RO膜モジュール14と脱炭酸装置15との間に配置されている。第3流量センサFM3は、制御部30Cと電気的に接続されている。第3流量センサFM3で測定された後段透過水W4の流量は、制御部30Cへ検出信号として送信される。
第2電気伝導率センサEC2は、前段RO透過水ラインL22を流通する前段透過水W2の電気伝導率を測定する機器である。第2電気伝導率センサEC2は、図10Aに示すように、接続部J13において、前段RO透過水ラインL22に接続されている。接続部J13は、前段RO透過水ラインL22における前段RO膜モジュール10と中間タンク11との間に配置されている。第2電気伝導率センサEC2は、制御部30Cと電気的に接続されている。第2電気伝導率センサEC2で測定された前段透過水W2の電気伝導率は、制御部30Cへ検出信号として送信される。
第4実施形態の制御部30Cにおいて、前段RO膜モジュール10及び後段RO膜モジュール14における前段透過水W2及び後段透過水W4の流量フィードバック水量制御、及び脱炭酸装置15に対する制御は、第1実施形態の制御部30と実質的に同じであるため説明を省略する。
上述した第4実施形態に係る純水製造装置1Cにおいても、透過水W2の検出水温値が予め設定された規定水温値超過の場合には、脱炭酸装置15のインバータ153への指令信号の出力を停止するため、第1実施形態と同様に、脱炭酸膜モジュール151における炭酸ガスの除去性能を損なうことなしに、真空ポンプ152の消費電力を削減することができる。また、本実施形態に係る純水製造装置1Cにおいても、エアフィルタ155の目詰まりが起こりにくくなるため、エアフィルタ155の寿命を延ばすことができる。
また、本実施形態に係る純水製造装置1Cにおいても、後段透過水W4の検出水温値が予め設定された規定水温値以下の場合には、水温が低くなるほど真空ポンプ152の回転速度を増加させるように駆動周波数が設定される。そのため、第1実施形態と同様に、水温が低下して後段透過水W4の水質が悪化した場合でも、脱炭酸装置15において高純度の純水を製造することができる。
また、本実施形態に係る純水製造装置1Cにおいても、後段透過水W4のMアルカリ度及びpH値に基づいて後段透過水W4の炭酸ガス濃度を算出し、当該炭酸ガス濃度が予め設定された第1規定濃度値未満の場合には、後段透過水W4の検出水温値に基づいて設定した駆動周波数が減少側に補正される。そのため、後段透過水W4の炭酸ガス濃度が予め設定された第1規定濃度値未満の場合には、真空ポンプ152の駆動周波数が減少することにより、真空ポンプ152の消費電力を更に削減することができる。
その他、第4実施形態に係る純水製造装置1Cにおいては、供給水W1に対する脱塩率を高めるために、2段のRO膜処理により透過水W2を製造する。この場合、単一の加圧ポンプで2段のRO膜モジュールに圧送しようとすると、加圧ポンプのモータ容量が大きくなることを避けられない。しかしながら、RO膜モジュール間に中間タンク11を設置し、且つRO膜モジュール10,14毎に加圧ポンプ8,12を装備することにより、加圧ポンプのモータ容量を減らすことができる。その結果、純水製造装置1を稼動させる際のポンプ電力が最小化される。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態に係る純水製造装置1Dについて、図11、図12A及び図12Bを参照しながら説明する。図11は、第5実施形態に係る純水製造装置1Dの全体概略図である。図12Aは、第5実施形態に係る純水製造装置1Dの全体構成図の第2中段部分である。図12Bは、第5実施形態に係る純水製造装置1Dの全体構成図の後段部分である。なお、第5実施形態に係る純水製造装置1Dの全体構成図の第1中段部分は、図10A(第4実施形態)と同じであるため図示と説明を省略する。
第5実施形態では、主に第2及び第4実施形態との相違点について説明する。このため、第2及び第4実施形態と同一(又は同等)の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第5実施形態において特に説明しない点については、第2及び第4実施形態の説明が適宜に適用される。また、第5実施形態において、供給水ラインL1の上流側から供給水補給弁V31までの構成は、第1実施形態と同様である。そのため、第5実施形態においては、第1実施形態における供給水ラインL1の上流側から供給水補給弁V31までの構成についての主な図面(図2Aに対応する図面)及びその説明を省略する。
第5実施形態に係る純水製造装置1Dは、第2実施形態に係る純水製造装置1Aが1段のRO膜モジュール7を備えているのに対して、直列に並べられた2段のRO膜モジュール10、14を備えている点、2段のRO膜モジュール10,14の間に中間タンク11が設けられている点、及びこれらの周辺の構成において、第2実施形態に係る純水製造装置1Aと主に異なる。
また、第5実施形態では、第2実施形態における「RO透過水リターンラインL41」を「前段RO透過水リターンラインL43」とし、第2実施形態における「RO濃縮水リターンラインL51」を「前段RO濃縮水リターンラインL53」とする。また、第5実施形態では、第2実施形態における「加圧ポンプ5」を「前段加圧ポンプ8」とし、「インバータ6」を「前段インバータ9」とする。
図11に示すように、純水製造装置1Dは、第1オプション機器OP1と、プレフィルタ4と、第2オプション機器OP2と、前段加圧ポンプ8と、前段インバータ9と、前段RO膜モジュール10と、中間タンク11と、後段加圧ポンプ12と、後段インバータ13と、後段RO膜モジュール14と、脱炭酸装置15と、第1流路切換弁V71と、EDIスタック16と、第2流路切換弁V72と、第3オプション機器OP3と、制御部30Dと、入力操作部40と、直流電源装置50と、表示部60と、を備える。
また、図11に示すように、純水製造装置1Dは、後段RO透過水リターンラインL44に加えて、脱塩水リターンラインL45を備える。また、図12Bに示すように、純水製造装置1Dは、第2実施形態におけるEDI濃縮水ラインL52に代えて、EDI濃縮水排出ラインL76を備える。
EDI濃縮水排出ラインL76は、EDIスタック16の濃縮室162から排出された濃縮水W7を、装置の外に排出するラインである。EDI濃縮水排出ラインL76の上流側の端部は、EDIスタック16の二次側ポート(濃縮室162の出口側)に接続されている。EDI濃縮水排出ラインL76の下流側は、例えば、排水ピット(不図示)に接続又は開口している。EDI濃縮水排出ラインL76には、上流側から順に、接続部J35及び第7逆止弁V68が設けられている。
第2流路切換弁V72は、EDIスタック16の脱塩室161で得られた脱塩水W6を、下流側脱塩水ラインL32を介して需要箇所に向けて送出させる流路(採水側流路)、又は、脱塩水リターンラインL45を介して中間タンク11に向けて流通させる流路(循環側流路)に切り換え可能な弁である。
脱塩水リターンラインL45は、EDIスタック16の脱塩室161で得られた脱塩水W6を、脱塩水ラインL3の途中から、前段RO膜モジュール10と後段RO膜モジュール14との間に設けられた中間タンク11へ返送するラインである。本実施形態において、脱塩水リターンラインL45の上流側の端部は、第2流路切換弁V72に接続されている。脱塩水リターンラインL45の下流側の端部は、中間タンク11に接続されている。
なお、脱塩水ラインL3において、接続部J24にはアルカリ度センサS3が接続され、接続部J25にはpHセンサS4が接続されている。
第5実施形態の制御部30Dにおいて、前段RO膜モジュール10及び後段RO膜モジュール14における前段透過水W2及び後段透過水W4の流量フィードバック水量制御、及び脱炭酸装置15に対する制御は、第2実施形態の制御部30Aと実質的に同じであるため説明を省略する。
上述した第5実施形態に係る純水製造装置1Dにおいても、後段透過水W4の検出水温値が予め設定された規定水温値超過の場合には、脱炭酸装置15のインバータ153への指令信号の出力を停止するため、第2実施形態と同様に、脱炭酸膜モジュール151における炭酸ガスの除去性能を損なうことなしに、真空ポンプ152の消費電力を削減することができる。また、本実施形態に係る純水製造装置1Dにおいても、エアフィルタ155の目詰まりが起こりにくくなるため、エアフィルタ155の寿命を延ばすことができる。
また、本実施形態に係る純水製造装置1Dにおいても、後段透過水W4の検出水温値が予め設定された規定水温値以下の場合には、水温が低くなるほど真空ポンプ152の回転速度を増加させるように駆動周波数が設定される。そのため、第2実施形態と同様に、水温が低下して後段透過水W4の水質が悪化した場合でも、脱炭酸装置15において高純度の純水を製造することができる。
また、本実施形態に係る純水製造装置1Dにおいても、脱塩水W6(脱イオン水)のMアルカリ度及びpH値に基づいて脱塩水W6(脱イオン水)の炭酸ガス濃度を算出し、当該炭酸ガス濃度が予め設定された第2規定濃度値超過の場合には、後段透過水W4の検出水温値に基づいて設定した駆動周波数を増加側に補正する。これによれば、脱塩水W6に残留する炭酸ガス濃度が需要箇所での要求水質を満足しない場合に、真空ポンプ152の回転速度がより増加するように駆動周波数が補正されるため、脱炭酸膜モジュール151において炭酸ガスの除去率を向上させることができる。そのため、本実施形態に係る純水製造装置1Dは、後段透過水W4に含まれる炭酸ガス濃度が多くなった場合でも、脱炭酸装置15において高純度の純水を製造することができる。
その他、第5実施形態に係る純水製造装置1Dにおいては、供給水W1に対する脱塩率を高めるために、2段のRO膜処理により透過水W2を製造する。この場合、単一の加圧ポンプで2段のRO膜モジュールに圧送しようとすると、加圧ポンプのモータ容量が大きくなることを避けられない。しかしながら、RO膜モジュール間に中間タンク11を設置し、且つRO膜モジュール10,14毎に加圧ポンプ8,12を装備することにより、加圧ポンプのモータ容量を減らすことができる。その結果、純水製造装置1を稼動させる際のポンプ電力が最小化される。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態に係る純水製造装置1Eについて、図13及び図14を参照しながら説明する。図13は、第6実施形態に係る純水製造装置1Eの全体概略図である。図14は、第5実施形態に係る純水製造装置1Eの全体構成図の後段部分である。なお、第6実施形態に係る純水製造装置1Eの全体構成図の第1中段部分は、図10A(第4実施形態)と同じであるため図示と説明を省略する。第6実施形態に係る純水製造装置1Eの全体構成図の第2中段部分は、図12A(第5実施形態)と同じであるため図示と説明を省略する。
第6実施形態では、主に第3及実施形態との相違点について説明する。このため、第3実施形態と同一(又は同等)の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第6実施形態において特に説明しない点については、第3実施形態の説明が適宜に適用される。また、第6実施形態において、供給水ラインL1の上流側から供給水補給弁V31までの構成は、第1実施形態と同様である。そのため、第6実施形態においては、第1実施形態における供給水ラインL1の上流側から供給水補給弁V31までの構成についての主な図面(図2Aに対応する図面)及びその説明を省略する。
第6実施形態に係る純水製造装置1Eは、第3実施形態に係る純水製造装置1Cが1つのRO膜モジュール7を備えているのに対して、直列に並べられた2段のRO膜モジュール10、14を備えている点、2つのRO膜モジュール10、14の間に中間タンク11が設けられている点、及びこれらの周辺の構成において、第3実施形態に係る純水製造装置1Cと主に異なる。
また、第6実施形態では、第3実施形態における「RO透過水リターンラインL41」を「前段RO透過水リターンラインL43」とし、第3実施形態における「RO濃縮水リターンラインL51」を「前段RO濃縮水リターンラインL53」とする。また、第6実施形態では、第3実施形態における「加圧ポンプ5」を「前段加圧ポンプ8」とし、「インバータ6」を「前段インバータ9」とする。
図13に示すように、純水製造装置1Eは、第1オプション機器OP1と、プレフィルタ4と、第2オプション機器OP2と、前段加圧ポンプ8と、前段インバータ9と、前段RO膜モジュール10と、中間タンク11と、後段加圧ポンプ12と、後段インバータ13と、後段RO膜モジュール14と、脱炭酸装置15と、第1流路切換弁V71と、脱イオンユニットとしてのイオン交換樹脂装置17と、第2流路切換弁V72と、第3オプション機器OP3と、制御部30Dと、入力操作部40と、表示部60と、を備える。
また、図13に示すように、純水製造装置1Eは、後段RO透過水リターンラインL44に加えて、脱塩水リターンラインL45を備える。
また、図14に示すように、本実施形態の上流側脱イオン水ラインL31には、第1比抵抗センサRS1の下流側に、第11開閉弁V23が接続されている。第11開閉弁V23は、上流側脱イオン水ラインL31の開閉を操作可能な手動弁である。
なお、脱塩水ラインL3において、接続部J24にはアルカリ度センサS3が接続され、接続部J25にはpHセンサS4が接続されている。
第6実施形態の制御部30Eにおいて、前段RO膜モジュール10及び後段RO膜モジュール14における前段透過水W2及び後段透過水W4の流量フィードバック水量制御、及び脱炭酸装置15に対する制御は、第3実施形態の制御部30Bと実質的に同じであるため説明を省略する。
上述した第6実施形態に係る純水製造装置1Eにおいても、後段透過水W4の検出水温値が予め設定された規定水温値超過の場合には、脱炭酸装置15のインバータ153への指令信号の出力を停止するため、第3実施形態と同様に、脱炭酸膜モジュール151における炭酸ガスの除去性能を損なうことなしに、真空ポンプ152の消費電力を削減することができる。また、本実施形態に係る純水製造装置1Eにおいても、エアフィルタ155の目詰まりが起こりにくくなるため、エアフィルタ155の寿命を延ばすことができる。
また、本実施形態に係る純水製造装置1Eにおいても、後段透過水W4の検出水温値が予め設定された規定水温値以下の場合には、水温が低くなるほど真空ポンプ152の回転速度を増加させるように駆動周波数が設定される。そのため、第3実施形態と同様に、水温が低下して後段透過水W4の水質が悪化した場合でも、脱炭酸装置15において高純度の純水を製造することができる。
また、本実施形態に係る純水製造装置1Eにおいても、脱イオン水W9のMアルカリ度及びpH値に基づいて脱イオン水W9の炭酸ガス濃度を算出し、当該炭酸ガス濃度が予め設定された第2規定濃度値超過の場合には、後段透過水W4の検出水温値に基づいて設定した駆動周波数を増加側に補正する。これによれば、脱塩水W6に残留する炭酸ガス濃度が需要箇所での要求水質を満足しない場合に、真空ポンプ152の回転速度がより増加するように駆動周波数が補正されるため、脱炭酸膜モジュール151において炭酸ガスの除去率を向上させることができる。そのため、本実施形態に係る純水製造装置1Eは、後段透過水W4に含まれる炭酸ガス濃度が多くなった場合でも、脱炭酸装置15において高純度の純水を製造することができる。
また、本実施形態に係る純水製造装置1Eは、後段RO膜モジュール14の下流側に、透過水W2の精製処理に電力を使用しないイオン交換器17(イオン交換樹脂床)を設けているため、後段RO膜モジュール14の下流側にEDIスタック16を設けた構成(第5実施形態)に比べて、純水製造時のランニングコストを抑制することができる。
その他、第6実施形態に係る純水製造装置1Eにおいては、供給水W1に対する脱塩率を高めるために、2段のRO膜処理により透過水W2を製造する。この場合、単一の加圧ポンプで2段のRO膜モジュールに圧送しようとすると、加圧ポンプのモータ容量が大きくなることを避けられない。しかしながら、RO膜モジュール間に中間タンク11を設置し、且つRO膜モジュール10,14毎に加圧ポンプ8,12を装備することにより、加圧ポンプのモータ容量を減らすことができる。その結果、純水製造装置1を稼動させる際のポンプ電力が最小化される。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
上記実施形態においては、透過水W2(後段透過水W4)の検出水温値が予め設定された規定水温値以下の場合には、その水温が低くなるほど真空ポンプ152の回転速度を増加させるように駆動周波数を設定し、透過水W2の検出水温値が予め設定された規定水温値超過の場合には、真空ポンプ152の駆動を停止する例について説明した。これに限らず、透過水W2の検出水温値が予め設定された規定水温値以下の場合には、真空ポンプ152の回転速度を変化させることなく所定の回転速度で駆動させ、透過水W2の検出水温値が予め設定された規定水温値超過の場合にのみ、真空ポンプ152の駆動を停止させてもよい。このような制御であっても、真空ポンプ152の消費電力を削減することができると共に、エアフィルタ155の寿命を延ばすことができるという効果が奏される。
上記実施形態においては、透過水W2(又は脱塩水W6若しくは脱イオン水W9)のMアルカリ度及びpH値に基づいて透過水W2(又は脱塩水W6若しくは脱イオン水W9)の炭酸ガス濃度を算出する例について説明した。これに限らず、炭酸ガス濃度を、透過水W2の全炭酸濃度(すなわち、遊離炭酸、炭酸水素イオン、及び炭酸イオンの合計濃度)とpH値とに基づいて算出してもよい。
上記実施形態においては、透過水W2のMアルカリ度を、アルカリ度センサS3により直接に測定する例について説明した。これに限らず、透過水W2のMアルカリ度を、透過水W2の電気伝導率に基づいて推定してもよい。
上記実施形態においては、加圧ポンプ(5,8,12)の駆動周波数を、速度形PIDアルゴリズムにより演算する例について説明した。これに限らず、これら加圧ポンプの駆動周波数を位置形PIDアルゴリズムにより演算してもよい。また、PIDアルゴリズムに限らず、Pアルゴリズム又はPIアルゴリズム等により駆動周波数を演算してもよい。
上記実施形態においては、制御部(30〜30E)からインバータ(6,9,13)への指令信号として電流値信号を出力する例について説明した。これに限らず、制御部からこれらインバータへの指令信号として電圧値信号(例えば、0〜10V)を出力するように構成してもよい。
上記実施形態では、RO濃縮水排出ラインL61に比例制御弁V32を設けた構成について説明した(図2B、図5B参照)。このように、RO濃縮水排出ラインL61に比例制御弁V32を設けた構成において、RO濃縮水排出ラインL61に流量センサを設けた構成としてもよい。この場合は、流量センサで測定された流量値を、制御部(30〜30E)にフィードバック値として入力することにより、濃縮水W3(W32)の実際の排水流量をより正確に制御することができる。
上記実施形態においては、掃引ガスとして空気を用いる例について説明したが、これに限らず、例えば、窒素ガスを用いてもよい。
上記実施形態においては、装置内を流通する水の水温として、第2温度センサTE2で測定された透過水W2の水温を例にして説明した。しかし、水温の検出対象は、透過水W2に限らず、供給水W1、濃縮水W3(W5,W7)、後段透過水W4、脱塩水W6、脱イオン水W9のいずれであってもよい。
上記実施形態においては、原水W11中に含まれる硬度成分を除去した軟水W12を供給水W1とする例について説明した。これに限らず、原水W11を除鉄除マンガン装置、砂濾過装置、精密濾過膜装置、限外濾過膜装置等により前処理した水を供給水W1としてもよい。なお、原水W11としては、例えば、地下水や水道水等を用いることができる。