以下、本発明に係る水処理装置を純水製造装置に適用した場合の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係る純水製造装置1について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る純水製造装置1の全体概略図である。図2Aは、第1実施形態に係る純水製造装置1の全体構成図の前段部分である。図2Bは、第1実施形態に係る純水製造装置1の全体構成図の第1中段部分である。図2Cは、第1実施形態に係る純水製造装置1の全体構成図の第2中段部分である。図2Dは、第1実施形態に係る純水製造装置1の全体構成図の後段部分である。本実施形態に係る純水製造装置1は、例えば、原水(例えば、水道水)から透過水や脱塩水(脱イオン水)を製造する純水製造装置に適用される。純水製造装置1で製造された透過水や脱塩水は、純水として、需要箇所等に送出される。なお、本実施形態に係る純水製造装置1において、需要箇所等へ純水を供給することを「採水」ともいう。
図1に示すように、第1実施形態に係る純水製造装置1は、第1オプション機器OP1と、プレフィルタ4と、第2オプション機器OP2と、前段加圧ポンプ8と、前段インバータ9と、第1処理水製造部としての前段RO膜モジュール10(第1逆浸透膜モジュール)と、後段加圧ポンプ12と、後段インバータ13と、第2処理水製造部としての後段RO膜モジュール14(第2逆浸透膜モジュール)と、第3オプション機器OP3と、第1流路切換弁V71と、第4オプション機器OP4と、制御部30と、入力操作部40と、表示部60と、を備える。
第1オプション機器OP1〜第4オプション機器OP4は、純水製造装置1に着脱可能なオプション機器として、純水製造装置1に装備される機器である。第1オプション機器OP1は、軟水器2及び活性炭濾過器3を含む。第2オプション機器OP2は、硬度センサS1及び残留塩素センサS2を含む。第3オプション機器OP3は、脱炭酸装置15を含む。第4オプション機器OP4は、第2比抵抗センサRS2、全有機炭素センサTOC及び第3温度センサTE3を含む。
また、図1に示すように、純水製造装置1は、供給水ラインL1と、前段RO透過水ラインL22と、前段RO透過水リターンラインL43と、前段RO濃縮水リターンラインL53と、後段RO透過水ラインL23と、後段RO透過水リターンラインL44と、後段RO濃縮水リターンラインL54と、を備える。なお、本明細書における「ライン」とは、流路、径路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
また、純水製造装置1は、図2A〜図2Dに示すように、図1に示す構成に加えて、第1開閉弁V11〜第9開閉弁V19と、真空破壊弁V41と、減圧弁V42と、供給水補給弁V31と、第1排水弁V32〜第3排水弁V34と、第4排水弁V36及び第5排水弁V37と、前段透過水補給弁V35と、第1定流量弁V51〜第4定流量弁V54、及び、第6定流量弁V56〜第8定流量弁V58と、第1逆止弁V61〜第4逆止弁V64、及び第6逆止弁V66と、第1圧力計P1〜第4圧力計P4と、第1圧力センサPS1及び第5圧力センサPS5と、圧力スイッチPSWと、第1温度センサTE1〜第5温度センサTE5と、第1流量検出手段としての第1流量センサFM1、第2流量検出手段としての第3流量センサFM3、及び第3流量検出手段としての第4流量センサFM4と、第1電気伝導率センサEC1及び第2電気伝導率センサEC2と、を備える。
図1、図2A〜図2Dでは、電気的な接続の経路を省略するが、制御部30は、供給水補給弁V31、第1流路切換弁V71、第1排水弁V32〜第3排水弁V34、第4排水弁V36及び第5排水弁V37、前段透過水補給弁V35、圧力スイッチPSW、第1温度センサTE1〜第5温度センサTE5、第1圧力センサPS1及び第5圧力センサPS5、第1流量センサFM1、第3流量センサFM3及び第4流量センサFM4、第1電気伝導率センサEC1及び第2電気伝導率センサEC2、第2比抵抗センサRS2、全有機炭素センサTOC、硬度センサS1、残留塩素センサS2等と電気的に接続される。
まず、純水製造装置1における全体構成図の前段部分について説明する。
図1及び図2Aに示すように、供給水ラインL1には、供給水W1が流通する。供給水ラインL1は、供給水W1を、前段RO膜モジュール10へ流通させるラインである。供給水ラインL1は、第1供給水ラインL11と、第2供給水ラインL12と、を有する。
第1供給水ラインL11には、原水W11(供給水W1)が流通する。第1供給水ラインL11は、原水W11の供給源(不図示)と軟水器2とをつなぐラインである。第1供給水ラインL11の上流側の端部は、原水W11の供給源(不図示)に接続されている。また、第1供給水ラインL11の下流側の端部は、軟水器2に接続されている。
第1供給水ラインL11には、図2Aに示すように、上流側から順に、接続部J1、第1開閉弁V11、及び軟水器2が設けられている。第1開閉弁V11は、第1供給水ラインL11の開閉を操作可能な手動弁である。
軟水器2は、原水W11中に含まれる硬度成分をナトリウムイオンに置換して軟水W12(供給水W1)を製造する機器である。軟水器2は、圧力タンク内に陽イオン交換樹脂床を収容したイオン交換塔を有する。
第2供給水ラインL12には、軟水W12(供給水W1)が流通する。第2供給水ラインL12は、軟水W12を、前段RO膜モジュール10へ流通させるラインである。第2供給水ラインL12は、軟水器2と前段RO膜モジュール10とをつなぐラインである。図2Aに示すように、第2供給水ラインL12の上流側の端部は、軟水器2に接続されている。また、図2Bに示すように、第2供給水ラインL12の下流側の端部は、前段RO膜モジュール10の一次側入口ポート(供給水W1の入口)に接続されている。
第2供給水ラインL12には、上流側から順に、図2Aに示すように、第2開閉弁V12、接続部J2、第3開閉弁V13、活性炭濾過器3、第4開閉弁V14、接続部J3、プレフィルタ4、接続部J4、及び接続部J5が設けられている。また、接続部J5以降には、図2Bに示すように、第5開閉弁V15、接続部J6、減圧弁V42、供給水補給弁V31、接続部J51、接続部J7、接続部J8、前段加圧ポンプ8、接続部J9、及び前段RO膜モジュール10が設けられている。第2開閉弁V12〜第5開閉弁V15は、第2供給水ラインL12の開閉を操作可能な手動弁である。供給水補給弁V31は、第2供給水ラインL12の開閉を制御可能な自動弁である。供給水補給弁V31は、制御部30と電気的に接続されている。供給水補給弁V31の開閉は、制御部30から送信される流路開閉信号により制御される。
活性炭濾過器3は、軟水W12(供給水W1)に含まれる塩素成分(主として遊離残留塩素)を除去する機器である。活性炭濾過器3は、圧力タンク内に活性炭からなる濾材床を収容した濾過塔を有する。活性炭濾過器3は、軟水W12に含まれる塩素成分を分解除去する他、有機成分を吸着除去したり、懸濁物質を捕捉したりして軟水W12(供給水W1)を浄化する。
プレフィルタ4は、活性炭濾過器3により浄化された軟水W12(供給水W1)に含まれる微粒子を除去するフィルタである。プレフィルタ4は、ハウジング内にフィルタエレメントが収容されて構成される。フィルタエレメントとしては、例えば、濾過精度が1〜50μmの不織布フィルタエレメント又は糸巻きフィルタエレメント等が用いられる。
硬度センサS1は、供給水ラインL1を流通する供給水W1の全硬度(すなわち、硬度リーク量)を測定する機器である。残留塩素センサS2は、供給水ラインL1を流通する供給水W1の遊離残留塩素濃度(すなわち、塩素リーク量)を測定する機器である。硬度センサS1及び残留塩素センサS2は、図2Aに示すように、測定ラインL110を介して、接続部J5において供給水ラインL1に接続されている。接続部J5は、供給水ラインL1におけるプレフィルタ4と第5開閉弁V15との間に配置されている。硬度センサS1及び残留塩素センサS2は、制御部30と電気的に接続されている。硬度センサS1で測定された硬度リーク量、及び残留塩素センサS2で測定された塩素リーク量は、それぞれ制御部30へ検出信号として送信される。
次に、純水製造装置1における全体構成図の中段部分について説明する。
図2Bに示すように、接続部J6には、真空破壊弁V41が接続されている。真空破壊弁V41は、常閉式の圧力作動弁であり、供給水ラインL1の管内圧力が大気圧力よりも低くなった場合に弁体が開いて大気を吸入する。真空破壊弁V41を設けることにより、原水W11(供給水W1)が断水となって供給水ラインL1が負圧になったとしても、前段RO膜モジュール10の膜の破損等の不具合を防止することができる。
減圧弁V42は、軟水器2、活性炭濾過器3及びプレフィルタ4を通過した軟水W12の圧力を、前段RO膜モジュール10から流出する前段濃縮水W3の圧力よりも低い圧力に調整する機器である。減圧弁V42は、軟水W12の圧力よりも前段濃縮水W3の圧力が大きく(軟水W12の圧力<前段濃縮水W3の圧力)なるように、軟水W12の圧力を調整する。これにより、前段濃縮水W3の一部が軟水W12に循環され、軟水W12に前段濃縮水W3が混合された供給水は、前段RO膜モジュール10に供給される。即ち、前段RO膜モジュール10においては、前段加圧ポンプ8により供給水を循環させながら、透過水を生産するクロスフロー方式の分離操作が行われる。
接続部J51には、後述する前段RO透過水リターンラインL43の下流側の端部及び前段RO濃縮水リターンラインL53の下流側の端部が接続されている。
前段加圧ポンプ8は、供給水ラインL1を流通する供給水W1を吸入し、前段RO膜モジュール10へ向けて圧送(吐出)する装置である。前段加圧ポンプ8には、前段インバータ9から周波数が変換された駆動電力が供給される。前段加圧ポンプ8は、供給された駆動電力の周波数(以下、「駆動周波数」ともいう)に応じた回転速度で駆動される。
前段インバータ9は、前段加圧ポンプ8に、周波数が変換された駆動電力を供給する電気回路(又はその回路を持つ装置)である。前段インバータ9は、制御部30と電気的に接続されている。前段インバータ9には、制御部30から周波数指定信号が入力される。前段インバータ9は、制御部30により入力された周波数指定信号(電流値信号又は電圧値信号)に対応する駆動周波数の駆動電力を前段加圧ポンプ8に出力する。
前段RO膜モジュール10は、前段加圧ポンプ8により圧送された供給水W1を、溶存塩類が除去された前段透過水W2(第1処理水、第1透過水)と、溶存塩類が濃縮された前段濃縮水W3と、に分離する。すなわち、第1処理水製造部としての前段RO膜モジュール10は、供給水W1から第1処理水W2を製造する。前段RO膜モジュール10は、単一又は複数のスパイラル型RO膜エレメントを圧力容器(ベッセル)に収容して構成される。当該RO膜エレメントに使用されるRO膜としては、架橋芳香族ポリアミド系複合膜などが例示される。架橋芳香族ポリアミド系複合膜からなるRO膜エレメントとしては、東レ社製:型式名「TMG20−400」、ウンジン・ケミカル社製:型式名「RE8040−BLF」、日東電工社製:型式名「ESPA1」等が市販されており、これらのエレメントを好適に用いることができる。
前段RO濃縮水リターンラインL53は、前段RO膜モジュール10で分離された前段濃縮水W3の一部W31を供給水ラインL1へ返送するラインである。前段RO濃縮水リターンラインL53の上流側の端部は、前段RO膜モジュール10の一次側出口ポート(前段濃縮水W3の出口)に接続されている。前段RO濃縮水リターンラインL53の下流側の端部は、接続部J51において供給水ラインL1に接続されている。前段RO濃縮水リターンラインL53には、第1逆止弁V61及び第1定流量弁V51が設けられている。
RO濃縮水排出ラインL61は、前段RO膜モジュール10で分離された前段濃縮水W3の残部W32を、前段RO濃縮水リターンラインL53の途中から装置の外へ排出するラインである。RO濃縮水排出ラインL61の上流側の端部は、接続部J53に接続されている。接続部J53は、前段RO濃縮水リターンラインL53における前段RO膜モジュール10と接続部J52との間に配置されている。第1濃縮水排水ラインL611、第2濃縮水排水ラインL612及び第3濃縮水排水ラインL613の上流側の端部は、接続部J55及びJ56において、RO濃縮水排出ラインL61に接続されている。
第1濃縮水排水ラインL611〜第3濃縮水排水ラインL613には、それぞれ、第1排水弁V32〜第3排水弁V34、及び第2定流量弁V52〜第4定流量弁V54が設けられている。第2定流量弁V52〜第4定流量弁V54は、それぞれ異なる流量値に設定されている。第1排水弁V32〜第3排水弁V34により、第1濃縮水排水ラインL611〜第3濃縮水排水ラインL613を個別に開閉することができる。第1排水弁V32〜第3排水弁V34の開放数を適宜に選択することにより、装置外へ排出する前段濃縮水W3の排水流量を調節することができる。この調節により、前段透過水W2の回収率を予め設定された値に保つことができる。なお、前段透過水W2の回収率とは、前段RO膜モジュール10に供給される軟水W12(前段濃縮水W3の一部W31が混合される前の供給水W1)の流量に対する前段透過水W2の割合(%)をいう。
第1排水弁V32〜第3排水弁V34は、それぞれ制御部30と電気的に接続されている。第1排水弁V32〜第3排水弁V34の開閉は、制御部30から送信される駆動信号により制御される。
第1濃縮水排水ラインL611、第2濃縮水排水ラインL612及び第3濃縮水排水ラインL613の下流側の端部は、接続部J57及びJ58において、合流排水ラインL62の上流側の端部に接続されている。合流排水ラインL62の下流側の端部は、例えば、排水ピット(不図示)に接続又は開口している。合流排水ラインL62の途中には、第2逆止弁V62が設けられている。
前段RO透過水ラインL22は、前段RO膜モジュール10で分離された前段透過水W2を後段RO膜モジュール14に流通させるラインである。前段RO透過水ラインL22の上流側の端部は、図2Bに示すように、前段RO膜モジュール10の二次側ポート(前段透過水W2の出口)に接続されている。前段RO透過水ラインL22の下流側の端部は、図2Cに示すように、後段RO膜モジュール14の一次側入口ポート(前段透過水W2の入口)に接続されている。
前段RO透過水ラインL22には、上流側から順に、図2Bに示すように、接続部J54、前段透過水補給弁V35、第3逆止弁V63、接続部J10、接続部J12、接続部J13、及び第6開閉弁V16が設けられている。また、第6開閉弁V16以降には、図2Cに示すように、接続部J44、第7開閉弁V17、接続部J61、接続部J21、後段加圧ポンプ12、接続部J22、及び後段RO膜モジュール14が設けられている。図2Bに示すように、接続部J54には、前段RO透過水リターンラインL43の上流側の端部が接続されている。また、図2Cに示すように、接続部J44には、後段RO透過水リターンラインL44の下流側の端部が接続されている。接続部J61には、後段RO濃縮水リターンラインL54の下流側の端部が接続されている。
前段透過水補給弁V35は、前段RO透過水ラインL22の開閉を制御可能な自動弁である。前段透過水補給弁V35は、制御部30と電気的に接続されている。前段透過水補給弁V35の開閉は、制御部30から送信される流路開閉信号により制御される。
後段加圧ポンプ12は、前段RO透過水ラインL22を流通する前段透過水W2を吸入し、後段RO膜モジュール14へ向けて圧送する装置である。後段加圧ポンプ12には、後段インバータ13から周波数が変換された駆動電力が供給される。後段加圧ポンプ12は、供給された駆動電力の周波数(以下、「駆動周波数」ともいう)に応じた回転速度で駆動される。
後段インバータ13は、後段加圧ポンプ12に、周波数が変換された駆動電力を供給する電気回路(又はその回路を持つ装置)である。後段インバータ13は、制御部30と電気的に接続されている。後段インバータ13には、制御部30から周波数指定信号が入力される。後段インバータ13は、制御部30により入力された周波数指定信号(電流値信号又は電圧値信号)に対応する駆動周波数の駆動電力を後段加圧ポンプ12に出力する。
後段RO膜モジュール14は、前段RO膜モジュール10で分離されて後段加圧ポンプ12により圧送された前段透過水W2(第1処理水、第1透過水)を、前段透過水W2よりも溶存塩類が除去された後段透過水W4(第2処理水、第2透過水)と、溶存塩類が濃縮された後段濃縮水W5(第3処理水、第1濃縮水)と、に分離する。すなわち、第2処理水製造部としての後段RO膜モジュール14は、第1処理水W1から第2処理水W4と第3処理水W5を製造する。後段RO膜モジュール14は、単一又は複数のスパイラル型RO膜エレメントを圧力容器(ベッセル)に収容して構成される。
前段RO透過水リターンラインL43は、図2Bに示すように、前段RO膜モジュール10で分離された前段透過水W2を、前段RO膜モジュール10の上流側の供給水ラインL1へ返送するラインである。前段RO透過水リターンラインL43の上流側の端部は、接続部J54に接続されている。前段RO透過水リターンラインL43の下流側の端部は、接続部J52において、前段RO濃縮水リターンラインL53に接続されている。接続部J52は、前段RO濃縮水リターンラインL53における接続部J53と接続部J51との間に配置されている。前段RO透過水リターンラインL43における接続部J52から接続部J51までの部分は、前段RO濃縮水リターンラインL53における接続部J52から接続部J51までの部分と共通する。
前段RO透過水リターンラインL43には、図2Bに示すように、リリーフ弁V43が設けられている。リリーフ弁V43は、常閉式の圧力作動弁であって、一次側の圧力が二次側の圧力よりも一定の圧力以上高い場合に開放される調整弁である。詳細には、リリーフ弁V43は、前段RO透過水リターンラインL43の管内圧力が予め設定された圧力以上になったときに開状態となり、前段RO透過水ラインL22を流通される前段透過水W2を、接続部J54を介して前段RO透過水リターンラインL43に流通させるための弁である。
リリーフ弁V43における二次側の圧力(接続部J51での供給水W1の圧力)は、減圧弁V42により前段加圧ポンプ8の運転圧力未満に調整される。前段透過水補給弁V35が閉状態に制御された状態で前段加圧ポンプ8を駆動させると、リリーフ弁V43における一次側の圧力(接続部J54での前段透過水W2の圧力)は、二次側の圧力よりも高くなる。これにより、リリーフ弁V43が開放されて、前段RO透過水ラインL22を流通する前段透過水W2を、前段RO透過水リターンラインL43に流通させることができる。
後段RO濃縮水リターンラインL54は、図2Cに示すように、後段RO膜モジュール14で分離された後段濃縮水W5の一部W51を、前段RO透過水ラインL22へ返送するラインである。後段RO濃縮水リターンラインL54の上流側の端部は、後段RO膜モジュール14の一次側出口ポート(濃縮水の出口)に接続されている。後段RO濃縮水リターンラインL54の下流側の端部は、接続部J61に接続されている。接続部J61は、前段RO透過水ラインL22における前段RO膜モジュール10と後段加圧ポンプ12との間に配置されている。
後段RO濃縮水リターンラインL54は、図2Cに示すように、上流側から順に、接続部J63、接続部J62、第6逆止弁V66、第6定流量弁V56、及び接続部J61が設けられている。接続部J62には、第1後段RO濃縮水ラインL63の上流側の端部が接続されている。接続部J63には、第2後段RO濃縮水ラインL64の上流側の端部が接続されている。
第1後段RO濃縮水ラインL63及び第2後段RO濃縮水ラインL64は、後段RO膜モジュール14で分離された後段濃縮水W5の残部W52を、後段RO濃縮水リターンラインL54の途中から脱炭酸装置15に送出するラインである。第1後段RO濃縮水ラインL63の下流側の端部及び第2後段RO濃縮水ラインL64の下流側の端部は、図2Cに示すように、接続部J64において、後段RO濃縮水送出ラインL65の上流側の端部に接続されている。後段RO濃縮水送出ラインL65の下流側の端部は、図2Dに示すように、脱炭酸装置15に接続されている。脱炭酸装置15に送出された後段濃縮水W5の残部W52は、真空ポンプの封水として利用され、その後、封水排出ラインL71(後述)を介して装置の外に排出される。
第1後段RO濃縮水ラインL63には、図2Cに示すように、上流側から順に、第4排水弁V36(流量調整弁)及び第7定流量弁V57(流量調節弁)が直列に設けられている。第2後段RO濃縮水ラインL64には、図2Cに示すように、上流側から順に、第5排水弁V37(流量調整弁)及び第8定流量弁V58(流量調節弁)が直列に設けられている。
第7定流量弁V57及び第8定流量弁V58は、それぞれ異なる流量値に設定されている。第4排水弁V36及び第5排水弁V37は、第1後段RO濃縮水ラインL63及び第2後段RO濃縮水ラインL64を個別に開閉することができる。第4排水弁V36及び第7定流量弁V57は、流量調節弁として機能し、第1後段RO濃縮水ラインL63を流通する後段濃縮水W5の残部W52の流量を調整可能である。第5排水弁V37及び第8定流量弁V58は、流量調節弁として機能し、第2後段RO濃縮水ラインL64を流通する後段濃縮水W5の残部W52の流量を調整可能である。
第4排水弁V36及び第5排水弁V37の開放数を適宜に選択することにより、脱炭酸装置15に送出された後段濃縮水W5の残部W52の流量を調節可能である。この調節により、後段透過水W4の回収率を予め設定された値に保つことができる。なお、後段透過水W4の回収率とは、後段RO膜モジュール14に供給される前段透過水W2(後段濃縮水W5の一部W51が混合される前の前段透過水W2)の流量に対する後段透過水W4の割合(%)をいう。
第4排水弁V36及び第5排水弁V37は、それぞれ制御部30と電気的に接続されている。第4排水弁V36及び第5排水弁V37の開閉は、制御部30から送信される駆動信号により制御される。
後段RO濃縮水送出ラインL65には、第8開閉弁V18が設けられている。第8開閉弁V18は、後段RO濃縮水送出ラインL65の開閉を操作可能な手動弁である。
後段RO透過水ラインL23は、後段RO膜モジュール14で分離された後段透過水W4を需要箇所へ向けて送出するラインである。後段RO透過水ラインL23の上流側の端部は、図2Cに示すように、後段RO膜モジュール14の二次側ポート(後段透過水W4の出口)に接続されている。後段RO透過水ラインL23の下流側の端部は、図2Dに示すように、第1流路切換弁V71を介して、需要箇所の装置等(不図示)に接続されている。
後段RO透過水ラインL23は、前段側透過水ラインL231と、後段側透過水ラインL235と、を有する。前段側透過水ラインL231には、上流側から順に、図2Cに示すように、第4逆止弁V64、接続部J23、及び第9開閉弁V19が設けられている。また、第9開閉弁V19以降には、図2Dに示すように、脱炭酸装置15、接続部J31、接続部J32、及び第1流路切換弁V71が設けられている。
次に、純水製造装置1における全体構成図の後段部分について説明する。
図2Dにおいて、脱炭酸装置15は、後段透過水W4に含まれる遊離炭酸(溶存炭酸ガス)を、気体分離膜モジュールにより脱気処理して、脱気水(脱気透過水)を得る設備である。後段RO膜モジュール14の下流側に脱炭酸装置15を設けることにより、RO膜を透過しやすい遊離炭酸を後段透過水W4から除去することができる。従って、より純度の高い後段透過水W4を得ることができる。本実施形態の脱炭酸装置15では、中空糸膜からなる外部灌流式の気体分離膜モジュールを用い、中空糸膜の内側を真空ポンプ(不図示)で吸引しながら、空気等の掃引ガスを導入し、膜壁を介して遊離炭酸を掃引ガス中に移行させつつ排気する。このような用途に適した気体分離膜モジュールとしては、例えば、セルガード社製:製品名「Liqui−Cel G−521R」等が挙げられる。気体分離膜モジュールに接続される真空ポンプは、制御部30と電気的に接続されている。
第1流路切換弁V71は、後段RO膜モジュール14で分離された後段透過水W4を、後段側透過水ラインL235を介して需要箇所に向けて送出させる流路(採水側流路)、又は、後段RO透過水リターンラインL44を介して前段RO膜モジュール10と後段RO膜モジュール14との間の前段RO透過水ラインL22へ向けて流通させる流路(循環側流路)に切り換え可能な弁である。第1流路切換弁V71は、例えば、電動式又は電磁式の三方弁により構成される。第1流路切換弁V71は、制御部30と電気的に接続されている。第1流路切換弁V71における流路の切り換えは、制御部30から送信される流路切換信号により制御される。
後段RO透過水リターンラインL44は、後段RO膜モジュール14で分離された後段透過水W4を、前段RO膜モジュール10と後段RO膜モジュール14との間の前段RO透過水ラインL22へ返送するラインである。後段RO透過水リターンラインL44の上流側の端部は、図2Dに示すように、第1流路切換弁V71に接続されている。後段RO透過水リターンラインL44の下流側は、図2Cに示すように、前段RO透過水ラインL22の接続部J44に接続されている。
封水排出ラインL71は、脱炭酸装置15から排出される封水排水W8を、装置の外に排出するラインである。封水排出ラインL71の上流側の端部は、脱炭酸装置15に接続されている。封水排出ラインL71の下流側は、例えば、排水ピット(不図示)に接続又は開口している。
第1圧力計P1〜第4圧力計P4は、接続された各ラインを流通する水の圧力を計測する機器である。図2Aに示すように、第1圧力計P1〜第4圧力計P4は、接続部J1〜J4において、それぞれ、供給水ラインL1に接続されている。
第1圧力センサPS1及び第5圧力センサPS5は、接続された各ラインを流通する水の圧力を計測する機器である。図2B及び図2Cに示すように、第1圧力センサPS1は、接続部J9において、供給水ラインL1に接続されている。接続部J9は、供給水ラインL1における前段加圧ポンプ8と前段RO膜モジュール10との間に配置されている。第5圧力センサPS5は、接続部J22において、前段RO透過水ラインL22に接続されている。接続部J22は、前段RO透過水ラインL22における後段加圧ポンプ12と後段RO膜モジュール14との間に配置されている。
第1圧力センサPS1及び第5圧力センサPS5は、制御部30と電気的に接続されている。第1圧力センサPS1及び第5圧力センサPS5で測定された供給水W1又は前段透過水W2の圧力は、制御部30へ検出信号として送信される。
圧力スイッチPSWは、供給水ラインL1を流通する供給水W1の圧力が第1設定圧力値以下又は第2設定圧力値以上であることを検出する機器である。図2Bに示すように、圧力スイッチPSWは、接続部J7において、供給水ラインL1に接続されている。接続部J7は、供給水ラインL1における接続部J51と前段加圧ポンプ8との間に配置されている。圧力スイッチPSWで検出された供給水W1の圧力の検出信号は、制御部30へ送信される。
第1温度センサTE1〜第5温度センサTE5は、接続された各ラインを流通する水の温度を測定する機器である。第1温度センサTE1は、図2Bに示すように、接続部J8において、供給水ラインL1に接続されている。接続部J8は、供給水ラインL1における接続部J51と前段加圧ポンプ8との間に配置されている。第2温度センサTE2は、図2Dに示すように、接続部J31において、後段RO透過水ラインL23に接続されている。接続部J31は、後段RO透過水ラインL23における脱炭酸装置15と第1流路切換弁V71との間に配置されている。第3温度センサTE3は、図2Dに示すように、接続部J43において、後段RO透過水ラインL23に接続されている。接続部J43は、後段RO透過水ラインL23における第1流路切換弁V71よりも下流側の下流側脱塩水ラインL32に配置されている。
第4温度センサTE4は、図2Bに示すように、接続部J12において、前段RO透過水ラインL22に接続されている。接続部J12は、前段RO透過水ラインL22における前段RO膜モジュール10と第7開閉弁V17との間に配置されている。第5温度センサTE5は、図2Cに示すように、接続部J21において、前段RO透過水ラインL22に接続されている。接続部J21は、前段RO透過水ラインL22における第7開閉弁V17と後段加圧ポンプ12との間に配置されている。
第1温度センサTE1〜第5温度センサTE5は、制御部30と電気的に接続されている。第1温度センサTE1〜第5温度センサTE5で測定された供給水W1、前段透過水W2又は後段透過水W4の温度(検出水温値)は、制御部30へ検出信号として送信される。
第1流量センサFM1、第3流量センサFM3及び第4流量センサFM4は、接続された各ラインを流通する水(前段透過水W2、後段透過水W4又は後段濃縮水W5)の流量を測定(検出)する機器である。第1流量センサFM1は、図2Bに示すように、接続部J10において、前段RO透過水ラインL22に接続されている。接続部J10は、前段RO透過水ラインL22における前段RO膜モジュール10と第7開閉弁V17との間に配置されている。第3流量センサFM3は、図2Cに示すように、接続部J23において、後段RO透過水ラインL23に接続されている。接続部J23は、後段RO透過水ラインL23における後段RO膜モジュール14と脱炭酸装置15との間に配置されている。第4流量センサFM4は、図2Cに示すように、接続部J65において、後段RO濃縮水送出ラインL65に接続されている。接続部J65は、後段RO濃縮水送出ラインL65における接続部J64と第8開閉弁V18との間に配置されている。
第1流量センサFM1、第3流量センサFM3及び第4流量センサFM4は、制御部30と電気的に接続されている。第1流量センサFM1、第3流量センサFM3及び第4流量センサFM4で測定された前段透過水W2、後段透過水W4又は後段濃縮水W5の流量(検出流量値)は、制御部30へ検出信号として送信される。
第1電気伝導率センサEC1は、後段RO透過水ラインL23を流通する後段透過水W4の電気伝導率(電気的特性値)を測定する機器である。第1電気伝導率センサEC1は、図2Dに示すように、接続部J32において、後段RO透過水ラインL23に接続されている。接続部J32は、後段RO透過水ラインL23における脱炭酸装置15と第1流路切換弁V71との間に配置されている。
第2電気伝導率センサEC2は、前段RO透過水ラインL22を流通する前段透過水W2の電気伝導率を測定する機器である。第2電気伝導率センサEC2は、図2Bに示すように、接続部J13において、前段RO透過水ラインL22に接続されている。接続部J13は、前段RO透過水ラインL22における前段RO膜モジュール10と第7開閉弁V17との間に配置されている。
第2比抵抗センサRS2は、後段RO透過水ラインL23を流通する後段透過水W4の比抵抗(電気的特性値)を測定する機器である。第2比抵抗センサRS2は、接続部J41において、後段RO透過水ラインL23に接続されている。接続部J41は、後段RO透過水ラインL23における第1流路切換弁V71よりも下流側の後段側透過水ラインL235に配置されている。なお、第2比抵抗センサRS2は、測定された比抵抗値の温度補償のため、温度センサを内蔵している。そのため、第2比抵抗センサRS2は、後段透過水W4の水温を測定することができる。
第1電気伝導率センサEC1、第2電気伝導率センサEC2及び第2比抵抗センサRS2は、制御部30と電気的に接続されている。第1電気伝導率センサEC1で測定された後段透過水W4の電気伝導率、第2電気伝導率センサEC2で測定された前段透過水W2の電気伝導率、及び第2比抵抗センサRS2で測定された後段透過水W4の比抵抗(及び温度)は、それぞれ、制御部30へ検出信号として送信される。
全有機炭素センサTOCは、後段RO透過水ラインL23を流通する後段透過水W4の有機体炭素量を検出する機器である。有機体炭素とは、水中に存在する有機物中の炭素である。全有機炭素センサTOCは、接続部J42において、後段RO透過水ラインL23に接続されている。接続部J42は、後段RO透過水ラインL23における第1流路切換弁V71よりも下流側の後段側透過水ラインL235に配置されている。
全有機炭素センサTOCは、制御部30と電気的に接続されている。全有機炭素センサTOCで検出された後段透過水W4の全有機炭素量は、制御部30へ検出信号として送信される。
入力操作部40は、装置の運転状態に係る選択(例えば、運転/停止の選択、警報の解除など)、装置の運転条件に係る各種設定について、ユーザー又は管理者の入力操作を受け付ける入力インターフェースである。この入力操作部40は、ディスプレイとボタンスイッチを組み合わせた操作パネル、ディスプレイ上で直接操作するタッチパネル等により構成される。入力操作部40は、制御部30と電気的に接続されている。入力操作部40から入力された情報は、制御部30に送信される。
表示部60は、所望の情報を表示する。表示部60は、制御部30と電気的に接続されている。
次に、制御部30について説明する。制御部30は、CPU及びメモリを含むマイクロプロセッサ(不図示)により構成される。制御部30において、マイクロプロセッサのCPUは、メモリから読み出した所定のプログラムに従って、後述する各種の制御を実行する。制御部30において、マイクロプロセッサのメモリには、純水製造装置1を制御するためのデータや各種プログラムが記憶される。また、制御部30のマイクロプロセッサには、時間の計時等を管理するインテグレーテッドタイマユニット(以下、「ITU」ともいう)が組み込まれている。
制御部30は、装置の起動時及び定常運転時において、前段加圧ポンプ8及び後段加圧ポンプ12を個別に制御する。装置の起動時の制御は、後段加圧ポンプ12に対する後段定加速制御及び前段加圧ポンプ8に対する前段定加速制御からなる。また、装置の定常運転時の制御は、後段加圧ポンプ12に対する後段定流量制御及び前段加圧ポンプ8に対する前段定流量制御からなる。以下、後段加圧ポンプ12に対する制御、並びに前段加圧ポンプ8に対する制御のそれぞれについて順を追って説明する。
<後段定加速制御>
制御部30は、装置の起動時において、後述する後段定流量制御の実行前に後段定加速制御を実行する。後段定加速制御では、制御部30は、第3流量センサFM3の検出流量値Q2が送水目標流量値QT0に対して所定割合未満(例えば、90%未満)の場合に、第3流量センサFM3の検出流量値Q2が送水目標流量値QT0に向かって増加するように後段加圧ポンプ12の駆動周波数Fcを一定の時間変化率で変化させる後段定加速制御を実行する。後段定加速制御は、これに続く後段定流量制御を実行した際に、後段加圧ポンプ12の特性や制御量等によって、前段透過水W2が必要以上に加圧され、後段RO膜モジュール14で得られる後段透過水W4の流量が定格流量値に対してオーバーシュートしてしまうのを抑制するために実行される。
制御部30は、後段透過水W4の目標流量値として送水目標流量値QT0を設定する。送水目標流量値QT0は、後段RO膜モジュール14により製造される後段透過水W4の定格流量値に基づいて予め設定される。後段透過水W4の定格流量値とは、需要箇所での要求水量に応じて決定される流量値である。送水目標流量値QT0は、例えば、装置の管理者が入力操作部40(外部入力手段)を介して制御部30のメモリ(記憶手段)に入力した設定値である。
後段定加速制御において、制御部30は、後段加圧ポンプ12の駆動周波数Fcを、下記の式(1)を用いて演算する。制御部30は、式(1)による演算を、所定の制御周期(例えば、100ms)毎に実行する。
Fc=Fmax/Ta×Te (1)
式(1)において、Fmax[Hz]:加圧ポンプの最大駆動周波数、Ta:最大駆動周波数到達までの加速時間[s]、Te:加圧ポンプの駆動開始後の経過時間[s]であり、Fmax/Taが時間変化率に相当する。ここで、最大駆動周波数Fmax及び加速時間Taは、例えば、装置の管理者が入力操作部40を介して制御部30のメモリ(不図示)に入力した設定値である。なお、加速時間Taは、加圧ポンプの駆動周波数を最小駆動周波数(0Hz)から最大駆動周波数(50Hz又は60Hz)まで変化させる時間(例えば、20s)である。また、経過時間Teは、制御部30のマイクロプロセッサに組み込まれたITUにより計時される時間である。
制御部30は、第3流量センサFM3の検出流量値Q2が送水目標流量値QT0に対して所定割合以上(例えば、90%以上)になった場合に、後段定加速制御を終了して、次に説明する後段定流量制御を実行する。
<後段定流量制御>
制御部30は、装置の定常運転時において、後段加圧ポンプ12に対し、後段定流量制御(流量フィードバック定流量制御)を実行する。この後段定流量制御は、第3流量センサFM3で後段透過水W4の流量が測定できる場合に、後段透過水W4の流量を予め設定された送水目標流量値QT0に保つための運転モードである。後段定流量制御において、制御部30は、第3流量センサFM3の検出流量値Q2が送水目標流量値QT0となるように、速度形デジタルPIDアルゴリズムにより、後段加圧ポンプ12の駆動周波数を演算し、当該駆動周波数の演算値に対応する周波数指定信号(例えば、4〜20mAの電流値信号、又は0〜10Vの電圧値信号)を後段インバータ13に出力する。流量フィードバック定流量制御の詳細な内容については、後にフローチャートを用いて詳細に説明する。
上述した流量フィードバック定流量制御を実行することにより、例えば、送水目標流量値QT0を定格流量値の+5%に設定した場合には、後段透過水W4の流量を送水目標流量値QT0のおよそ±5%の範囲で安定させることができ、後段透過水W4の流量が定格流量値以上(例えば、需要箇所での要求水量以上)に維持される。
<前段定加速制御>
制御部30は、装置の起動時において、後述する前段定流量制御の実行前に前段定加速制御を実行する。前段定加速制御では、制御部30は、第1流量センサFM1の検出流量値Q1が第2目標流量値QT2に対して所定割合未満(例えば、80%未満)の場合に、第1流量センサFM1の検出流量値Q1が第2目標流量値QT2に向かって増加するように前段加圧ポンプ8の駆動周波数を一定の時間変化率で変化させる初期定加速制御を実行する。また、制御部30は、第1流量センサFM1の検出流量値Q1が第2目標流量値QT2に対して所定割合以上(例えば、80%以上)になった場合に、第1流量センサFM1の検出流量値Q1が第1目標流量値QT1に向かって増加するように前段加圧ポンプ8の駆動周波数を一定の時間変化率で変化させる末期定加速制御を実行する。
制御部30は、前段透過水W2の目標流量値として第1目標流量値QT1及び第2目標流量値QT2を設定する。第1目標流量値QT1は、後段加圧ポンプ12が駆動されているときに、第3流量センサFM3によりリアルタイムに検出されている後段透過水W4の検出流量値Q2と、第4流量センサFM4によりリアルタイムに検出されている後段濃縮水W5の検出流量値Q3との和の流量値である。すなわち、第1目標流量値QT1は、後段RO膜モジュール14で製造される水量に応じて変わる変動値となっている。一方、第2目標流量値QT2は、後段透過水W4の定格流量値と後段濃縮水W5の調節流量値との和の流量値である。後段透過水W4の定格流量値とは、需要箇所での要求水量に応じて決定される流量値である。また、後段濃縮水W5の調節流量値とは、第7定流量弁V57及び第8定流量弁V58により調節される流量値をいう。すなわち、第2目標流量値QT2は、後段RO膜モジュール14で製造される予定水量に基づく固定値となっている。第2目標流量値QT2は、例えば、装置の管理者が入力操作部40(外部入力手段)を介して制御部30のメモリ(記憶手段)に入力した設定値である。
初期定加速制御及び末期定加速制御において、制御部30は、前段加圧ポンプ8の駆動周波数Fcを、上記の式(1)を用いて演算する。制御部30は、式(1)による演算を、所定の制御周期(例えば、100ms)毎に実行する。
制御部30は、第1流量センサFM1の検出流量値Q1が第1目標流量値QT1に対して所定割合以上(例えば、90%以上)になった場合に、前段定加速制御を終了して、次に説明する前段定流量制御を実行する。
<前段定流量制御>
制御部30は、装置の定常運転時において、前段加圧ポンプ8に対し、前段定流量制御(流量フィードバック定流量制御)を実行する。この前段定流量制御は、第1流量センサFM1で前段透過水W2の流量が測定できる場合に、前段透過水W2の流量を予め設定された第1目標流量値QT1に保つための運転モードである。前段定流量制御において、制御部30は、第1流量センサFM1の検出流量値Q1が第1目標流量値QT1となるように、速度形デジタルPIDアルゴリズムにより、前段加圧ポンプ8の駆動周波数を演算し、当該駆動周波数の演算値に対応する周波数指定信号(例えば、4〜20mAの電流値信号、又は0〜10Vの電圧値信号)を前段インバータ9に出力する。
<第1目標流量値QT1の設定方法>
前述したように、第1目標流量値QT1は、後段透過水W4の検出流量値Q2と後段濃縮水W5の検出流量値Q3との和の流量値を設定する。その際、制御部30は、第1目標流量値QT1として、第1流量センサFM1、第3流量センサFM3及び第4流量センサFM4の少なくとも一つ以上の流量センサのプラス側の測定誤差を考慮した値を設定する。
ここで、流量センサの測定誤差とは、真値に対して測定値がばらつく度合(例えばパーセンテージ)をいう。流量センサのプラス側の測定誤差に着目しているのは、後段RO膜モジュール14で製造される水量に見合った量の水を、前段RO膜モジュール10から供給できない状態に陥るのを回避するためである。具体例を挙げると、第1流量センサFM1がプラス側に測定誤差を生じている場合には、外形的には測定値(検出流量値Q1)が要求値(第1目標流量値QT1)に達しているとしても、実質的には前段透過水W2の流量が過大に測定されている状態であるため、後段で実際に流れている量の水を供給できないことになる。同様に、第3流量センサFM3がプラス側に測定誤差を生じている場合には、外形的には測定値(検出流量値Q1)が要求値(第1目標流量値QT1)に達しているとしても、実質的には後段透過水W4の流量が過大に測定されている状態であるため、後段で実際に流れている量の水を供給できないことになる。更に、第4流量センサFM4がプラス側に測定誤差を生じている場合には、外形的には測定値(検出流量値Q1)が要求値(第1目標流量値QT1)に達しているとしても、実質的には後段濃縮水W5の流量が過大に測定されている状態であるため、後段で実際に流れている量の水を供給できないことになる。そのため、各流量センサのプラス側の測定誤差を考慮して、第1目標流量値QT1を設定する。例えば、いずれかの流量センサにおいてプラス側に5%の測定誤差がある場合には、第1目標流量値QT1として、このプラス5%の測定誤差を考慮した値を設定する。
具体的には、本実施形態においては、第1流量センサFM1により測定される流量値をQ1とし、第3流量センサFM3により測定される流量値をQ2とし、第4流量センサFM4により測定される流量値をQ3とし、第1流量センサFM1、第3流量センサFM3及び第4流量センサFM4のそれぞれについてプラス側にE1(%)、E2(%)、E3(%)の測定誤差がある場合に、第1目標流量値QT1は、次の計算式により算出される。
QT1=[Q2×(1+E2/100)+Q3×(1+E3/100)]×(1+E1/100) (2)
従って、E1、E2及びE3のそれぞれが5%である場合には、式(2)は次式で表される。
QT1=[Q2×1.05+Q3×1.05]×1.05) (2´)
<第2目標流量値QT2の設定方法>
前述したように、第2目標流量値QT2は、後段透過水W4の定格流量値と後段濃縮水W5の調節流量値との和の流量値を設定する。その際、制御部30は、第2目標流量値QT2として、第4排水弁V36及び第7定流量弁V57からなる流量調整弁、並びに第5排水弁V37及び第8定流量弁V58からなる流量調整弁のプラス側の調節誤差を考慮した値を設定する。なお、後段濃縮水W5の調節流量値とは、第4排水弁V36及び第5排水弁V37の両者が開放され、第7定流量弁V57及び第8定流量弁V58が作動している状態での流量値をいう。
ここで、流量調節弁の調節誤差とは、設計値(狙いとする流量値)に対して実際の調節値がばらつく度合(例えばパーセンテージ)をいう。流量調節弁のプラス側の調節誤差に着目しているのは、後段濃縮水W5が過剰に流れることにより、後段透過水W4が定格流量に対して不足する状態に陥るのを回避するためである。流量調節弁を簡易な水ガバナで構成する場合、水圧に依存して比較的大きな調節誤差が生じる。具体例を挙げると、流量調節弁がプラス側に調節誤差を生じている場合には、外形的には後段濃縮水W5の流量が設計値にコントロールされているとしても、実質的には後段濃縮水W5が過大に製造される状態であるため、需要箇所で要求される水量の後段透過水W4を製造できないことになる。そのため、流量調節弁のプラス側の調節誤差を考慮して、第2目標流量値QT2を設定する。例えば、流量調節弁においてプラス側に最大25%の調節誤差がある場合には、第2目標流量値QT2として、このプラス25%の調節誤差を考慮した値を設定する。
具体的には、本実施形態においては、後段透過水W4の定格流量をQrとし、後段濃縮水W5の調節流量値をQaとし、例えば第7定流量弁V57及び第8定流量弁V58においてプラス側にE4(%)の調節誤差がある場合に、第2目標流量値QT2は、次の計算式により算出される。
QT2=Qr+Qa×(1+E4/100) (3)
従って、E4の最大値が例えば25%である場合には、式(3)は次式で表される。
QT2=Qr+Qa×1.25 (3´)
次に、後段加圧ポンプ12に対する制御の処理手順、並びに前段加圧ポンプ8に対する制御の処理手順の具体的事例について、フローチャートを参照しながら詳細に説明する。
まず、後段加圧ポンプ12に対して実行される制御の処理手順、すなわち装置の起動時に実行される後段定加速制御、及び装置の定常運転時に実行される後段定流量制御の処理手順について説明する。制御部30は、装置の起動時において、後段定流量制御の実行前に後段定加速制御を実行する。図3は、後段定加速制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。
図3に示すステップST101において、制御部30は、後段透過水W4の送水目標流量値QT0を取得する。この送水目標流量値QT0は、例えば、装置の管理者が入力操作部40を介して制御部30のメモリ(不図示)に入力した設定値である。この送水目標流量値QT0は、需要箇所での要求水量等により変更(増減)される場合がある。
ステップST102において、制御部30は、後段加圧ポンプ12の最大駆動周波数Fmax、及び最大駆動周波数到達までの加速時間Taを取得する。
ステップST103において、制御部30は、ITUによる計時tが制御周期(Δt)である100msに達したか否かを判定する。このステップST103において、制御部30により、ITUによる計時tが100msに達したと(YES)判定された場合に、処理はステップST104へ移行する。また、ステップST102において、制御部30により、ITUによる計時tが100msに達していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST103へ戻る。
ステップST104において、制御部30は、後段加圧ポンプ12の駆動開始後の経過時間Teを取得する。
ステップST105において、制御部30は、ステップST102及びステップST104で取得した3つのデータを、上記の式(1)に代入して、後段加圧ポンプ12の駆動周波数Fcを演算する。
ステップST106において、制御部30は、駆動周波数Fcの演算値を、対応する電流値信号(周波数指定信号:4〜20mA)に変換し、この電流値信号を後段インバータ13に出力する。
ステップST107において、制御部30は、第3流量センサFM3の検出流量値Q2を取得する。
ステップST108において、制御部30は、検出流量値Q2が送水目標流量値QT0×0.9(すなわち、送水目標流量値QT0の90%)に達したか否かを判定する。このステップST108において、制御部30により、検出流量値Q2≧送水目標流量値QT0×0.9である(YES)と判定された場合に、本フローチャートの処理は終了する。
また、ステップST108において、制御部30により、検出流量値Q2<送水目標流量値QT0×0.9である(NO)と判定された場合に、処理はステップST103へ戻る。その後、検出流量値Q2≧送水目標流量値QT0×0.9(ステップST108:YES)となるまで、後段加圧ポンプ12の駆動周波数Fcは一定の時間変化率で増加される。そして、この後段定加速制御の処理が終了すると、後段定流量制御が実行される。
図4は、後段定流量制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。図4に示すフローチャートの処理は、純水製造装置1の定常運転中、他の運転モードに変更されるまでの間、繰り返し実行される。
図4に示すステップST201において、制御部30は、後段透過水W4の送水目標流量値QT0を取得する。
ステップST202において、制御部30は、ITUによる計時tが制御周期(Δt)である100msに達したか否かを判定する。このステップST202において、制御部30により、ITUによる計時tが100msに達したと(YES)判定された場合に、処理はステップST203へ移行する。また、ステップST202において、制御部30により、ITUによる計時tが100msに達していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST202へ戻る。
ステップST203(ステップST202:YES判定)において、制御部30は、第3流量センサFM3の検出流量値Q2をフィードバック値として取得する。
ステップST204において、制御部30は、ステップST203で取得した検出流量値(フィードバック値)Q2と、ステップST201で取得した送水目標流量値QT0との偏差がゼロとなるように、速度形デジタルPIDアルゴリズムにより操作量Unを演算する。速度形デジタルPIDアルゴリズムでは、制御周期Δt(100ms)毎に操作量の変化分ΔUnを演算し、これを前回の制御周期時点の操作量Un−1に加算することで現時点の操作量Unを決定する。
速度形デジタルPIDアルゴリズムに用いられる演算式は、下記の式(4a)及び式(4b)により表される。
ΔUn=Kp{(en−en−1)+(Δt/Ti)×en+(Td/Δt)×(en−2en−1+en−2)} (4a)
Un=Un−1+ΔUn (4b)
式(4a)及び式(4b)において、Δt:制御周期、Un:現時点の操作量、Un−1:前回の制御周期時点の操作量、ΔUn:前回から今回までの操作量の変化分、en:現時点の偏差の大きさ、en−1:前回の制御周期時点の偏差の大きさ、en−2:前々回の制御周期時点の偏差の大きさ、Kp:比例ゲイン、Ti:積分時間、Td:微分時間である。なお、現時点の偏差の大きさenは、下記の式(5)により求められる。
en=QT0−Q2 (5)
ステップST205において、制御部30は、現時点の操作量Un、送水目標流量値QT0及び後段加圧ポンプ12の最大駆動周波数Fmaxを使用して、所定の演算式により、後段加圧ポンプ12の駆動周波数Ffを演算する。
ステップST206において、制御部30は、駆動周波数Ffの演算値を、対応する電流値信号(周波数指定信号:4〜20mA)に変換し、この電流値信号を後段インバータ13に出力する。これにより本フローチャートの処理は終了する(ステップST201へリターンする)。なお、ステップST206において、制御部30が電流値信号を後段インバータ13へ出力すると、後段インバータ13は、入力された電流値信号で指定された周波数に変換された駆動電力を後段加圧ポンプ12に供給する。その結果、後段加圧ポンプ12は、後段インバータ13から入力された駆動周波数に応じた回転速度で駆動される。
次に、前段加圧ポンプ8に対して実行される制御の処理手順、すなわち装置の起動時に実行される初期定加速制御及び末期定加速制御からなる前段定加速制御、並びに装置の定常運転時に実行される前段定流量制御の処理手順について説明する。制御部30は、装置の起動時において、前段定流量制御の実行前に前段定加速制御を実行する。図5は、前段定加速制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。
図5に示すステップST301において、制御部30は、第1流量センサFM1の検出流量値Q1、第3流量センサFM3の検出流量値Q2及び第4流量センサFM4の検出流量値Q3を取得する。この取得処理は、装置の起動以降、装置が停止されるまで常時実行され続ける。
ステップST302において、制御部30は、前段透過水W2の第1目標流量値QT1(変動値)を設定する。この第1目標流量値QT1は、前述したように、後段透過水W4の検出流量値Q2と後段濃縮水W5の検出流量値Q3との和の流量値であって、ステップST301で取得した2つのデータ(Q2,Q3)からリアルタイムに算出される設定値である。具体的には、制御部30は、上記の式(2)を用いて第1目標流量値QT1を逐次算出し、その最新値を保持する。
ステップST303において、制御部30は、前段透過水W2の第2目標流量値QT2(固定値)を取得する。この第2目標流量値QT2は、前述したように、後段透過水W4の定格流量値と後段濃縮水W5の調節流量値との和の流量値であって、例えば、装置の管理者が入力操作部40(外部入力手段)を介して制御部30のメモリ(記憶手段)に入力した設定値である。具体的には、予め管理者は、上記の式(3)を用いて第2目標流量値QT2を算出し、その値を制御部30に設定しておく。
ステップST304において、制御部30は、前段加圧ポンプ8の最大駆動周波数Fmax、及び最大駆動周波数到達までの加速時間Taを取得する。
ステップST305において、制御部30は、初期定加速制御を実行する。この初期定加速制御は、ステップST306〜ステップST310の処理からなっており、第1流量センサFM1の検出流量値Q1が第2目標流量値QT2に対して80%未満の場合に、第1流量センサFM1の検出流量値Q1が第2目標流量値QT2に向かって増加するように前段加圧ポンプ8の駆動周波数を一定の時間変化率で変化させる。換言すると、初期定加速制御は、第1流量センサFM1の検出流量値Q1が第2目標流量値QT2の80%に達するまで継続される。
ステップST306において、制御部30は、ITUによる計時tが制御周期(Δt)である100msに達したか否かを判定する。このステップST304において、制御部30により、ITUによる計時tが100msに達したと(YES)判定された場合に、処理はステップST307へ移行する。また、ステップST304において、制御部30により、ITUによる計時tが100msに達していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST305へ戻る。
ステップST307において、制御部30は、前段加圧ポンプ8の駆動開始後の経過時間Teを取得する。
ステップST308において、制御部30は、ステップST304及びステップST307で取得した3つのデータを、上記の式(1)に代入して、前段加圧ポンプ8の駆動周波数Fcを演算する。
ステップST309において、制御部30は、駆動周波数Fcの演算値を、対応する電流値信号(周波数指定信号:4〜20mA)に変換し、この電流値信号を前段インバータ9に出力する。
ステップST310において、制御部30は、検出流量値Q1が第2目標流量値QT2×0.8未満(すなわち、第2目標流量値QT2の80%未満)か否かを判定する。このステップST310において、制御部30により、検出流量値Q1<第2目標流量値QT2×0.8である(YES)と判定された場合に、処理はステップST305へ戻り、初期定加速制御を継続する。一方、ステップST310において、制御部30により、検出流量値Q1<第2目標流量値QT2×0.8である(NO)と判定された場合に、処理はステップST311へ進み、末期定加速制御を実行する。
ステップST311において、制御部30は、末期定加速制御を実行する。この末期定加速制御は、ステップST312〜ステップST316の処理からなっており、第1流量センサFM1の検出流量値Q1が第2目標流量値QT2に対して80%以上になった場合に、第1流量センサFM1の検出流量値Q1が第1目標流量値QT1に向かって増加するように前段加圧ポンプ8の駆動周波数を一定の時間変化率で変化させる。そして、末期定加速制御は、第1流量センサFM1の検出流量値Q1が第1目標流量値QT1の90%に達するまで継続される。
ステップST312において、制御部30は、ITUによる計時tが制御周期(Δt)である100msに達したか否かを判定する。このステップST312において、制御部30により、ITUによる計時tが100msに達したと(YES)判定された場合に、処理はステップST313へ移行する。また、ステップST312において、制御部30により、ITUによる計時tが100msに達していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST311へ戻る。
ステップST313において、制御部30は、前段加圧ポンプ8の駆動開始後の経過時間Teを取得する。
ステップST314において、制御部30は、ステップST304及びステップST313で取得した3つのデータを、上記の式(1)に代入して、前段加圧ポンプ8の駆動周波数Fcを演算する。
ステップST315において、制御部30は、駆動周波数Fcの演算値を、対応する電流値信号(周波数指定信号:4〜20mA)に変換し、この電流値信号を前段インバータ9に出力する。
ステップST316において、制御部30は、検出流量値Q1が第1目標流量値QT1×0.9(すなわち、第1目標流量値QT1の90%)に達したか否かを判定する。このステップST316において、制御部30により、検出流量値Q1≧第1目標流量値QT1×0.9である(YES)と判定された場合に、本フローチャートの処理は終了する。
また、ステップST316において、制御部30により、検出流量値Q1<第1目標流量値QT1×0.9である(NO)と判定された場合に、処理はステップST311へ戻る。その後、検出流量値Q1≧第1目標流量値QT1×0.9(ステップST316:YES)となるまで、前段加圧ポンプ8の駆動周波数Fcは一定の時間変化率で増加される。そして、この前段定加速制御の処理が終了すると、前段定流量制御が実行される。
図6は、前段定流量制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。図6に示すフローチャートの処理は、純水製造装置1の定常運転中、他の運転モードに変更されるまでの間、繰り返し実行される。
図6に示すステップST401において、制御部30は、第3流量センサFM3の検出流量値Q2及び第4流量センサFM4の検出流量値Q3を取得する。この取得処理は、第1流量センサFM1の検出流量値Q1の取得処理(ステップST404)と共に、装置の起動以降、装置が停止されるまで常時実行され続ける。
ステップST402において、制御部30は、前段透過水W2の第1目標流量値QT1(変動値)を設定する。この第2目標流量値QT2は、前述したように、後段透過水W4の検出流量値Q2と後段濃縮水W5の検出流量値Q3との和の流量値であって、ステップST401で取得した2つのデータ(Q2,Q3)からリアルタイムに算出される設定値である。具体的には、制御部30は、上記の式(2)を用いて第1目標流量値QT1を逐次算出し、その最新値を保持する。
ステップST403において、制御部30は、ITUによる計時tが制御周期(Δt)である100msに達したか否かを判定する。このステップST403において、制御部30により、ITUによる計時tが100msに達したと(YES)判定された場合に、処理はステップST404へ移行する。また、ステップST403において、制御部30により、ITUによる計時tが100msに達していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST403へ戻る。
ステップST404(ステップST403:YES判定)において、制御部30は、第1流量センサFM1の検出流量値Q1をフィードバック値として取得する。
ステップST405において、制御部30は、ステップST404で取得した検出流量値(フィードバック値)Q1と、ステップST402で設定した第1目標流量値QT1との偏差がゼロとなるように、速度形デジタルPIDアルゴリズムにより操作量Unを演算する。速度形デジタルPIDアルゴリズムでは、前記した式(4a,4b)を用いて制御周期Δt(100ms)毎に操作量の変化分ΔUnを演算し、これを前回の制御周期時点の操作量Un−1に加算することで現時点の操作量Unを決定する。なお、現時点の偏差の大きさenは、下記の式(6)により求められる。
en=QT1−Q1 (6)
ステップST406において、制御部30は、現時点の操作量Un、第1目標流量値QT1及び前段加圧ポンプ8の最大駆動周波数Fmaxを使用して、所定の演算式により、前段加圧ポンプ8の駆動周波数Ffを演算する。
ステップST407において、制御部30は、駆動周波数Ffの演算値を、対応する電流値信号(周波数指定信号:4〜20mA)に変換し、この電流値信号を前段インバータ9に出力する。これにより本フローチャートの処理は終了する(ステップST401へリターンする)。なお、ステップST407において、制御部30が電流値信号を前段インバータ9へ出力すると、前段インバータ9は、入力された電流値信号で指定された周波数に変換された駆動電力を前段加圧ポンプ8に供給する。その結果、前段加圧ポンプ8は、前段インバータ9から入力された駆動周波数に応じた回転速度で駆動される。
上述した第1実施形態に係る純水製造装置1によれば、例えば、以下のような効果が奏される。
第1実施形態に係る純水製造装置1において、制御部30は、前段透過水W2の製造時において、第1流量センサFM1の検出流量値Q1が、第3流量センサFM3の検出流量値Q2と第4流量センサFM4の検出流量値Q3との和の流量値である第1目標流量値QT1となるように前段加圧ポンプ8の駆動周波数を設定し、当該駆動周波数に対応する周波数指定信号を前段インバータ9に出力し、第1目標流量値QT1として、第1流量センサFM1、第3流量センサFM3及び第4流量センサFM4の少なくとも一つ以上の流量センサのプラス側の測定誤差を考慮した値を設定する。そのため、流量センサが真値を正確に測定できていない場合であっても、後段RO膜モジュール14で製造される水量に見合った量の水を、前段RO膜モジュール10から供給できない状態に陥るのを回避することができる。つまり、第1目標流量値QT1として流量センサの測定誤差を考慮した値を設定することで、前段RO膜モジュール10から後段RO膜モジュール14へ供給される前段透過水W2の供給量の不足を抑制することができる。
また、後段RO膜モジュール14により製造される後段濃縮水W5の流量を調節可能な流量調節弁(第4排水弁V36及び第7定流量弁V57、並びに、第5排水弁V37及び第8定流量弁V58)を備え、制御部30は、後段透過水W4の定格流量値と後段濃縮水W5の調節流量値との和の流量値である第2目標流量値QT2が外部入力手段を介して設定され、設定された第2目標流量値QT2を記憶手段に記憶するものであって、第2目標流量値QT2として、流量調節弁(第4排水弁V36及び第7定流量弁V57、並びに、第5排水弁V37及び第8定流量弁V58)のプラス側の調節誤差を考慮した値を設定する。そのため、後段濃縮水W5が調節流量値よりも過剰に流れた場合であっても、後段透過水W4が定格流量に対して不足する状態に陥るのを回避することができる。
また、制御部30は、装置の起動時において、第1流量センサFM1の検出流量値Q1が第2目標流量値QT2に対して所定割合未満(例えば、80%未満)の場合に、第1流量センサFM1の検出流量値Q1が第2目標流量値QT2に向かって増加するように前段加圧ポンプ8の駆動周波数を一定の時間変化率で変化させる初期定加速制御を実行し、第1流量センサFM1の検出流量値Q1が第2目標流量値QT2に対して所定割合以上(例えば、80%以上)になった場合に、第1流量センサFM1の検出流量値Q1が第1目標流量値QT1に向かって増加するように前段加圧ポンプ8の駆動周波数を一定の時間変化率で変化させる末期定加速制御を実行し、その後、第1流量センサFM1の検出流量値Q1が第1目標流量値QT1に対して所定割合以上(例えば、90%以上)になった場合に、第1流量センサFM1の検出流量値Q1が第1目標流量値QT1となるように、速度形デジタルPIDアルゴリズムにより前段加圧ポンプ8の駆動周波数を演算し、当該駆動周波数の演算値に対応する周波数指定信号を前段インバータ9に出力する定流量制御を実行する。そのため、装置の起動直後には、固定値である第2目標流量値QT2を使用して初期定加速制御を行うため、後段RO膜モジュール14で製造される水量が不安定であっても、この水量を超える前段透過水W2を後段RO膜モジュール14へ供給することができる。また、初期定加速制御に続いて、変動値である第1目標流量値QT1を使用して末期定加速制御を行うため、後段RO膜モジュール14へ流入する水量と、後段RO膜モジュール14から流出する水量とを、速やかにバランスさせることができる。更に、装置の定常運転時には、変動値である第1目標流量値QT1を使用して定流量制御を行うため、複数のRO膜モジュールの間にバッファタンクを介装することなく、直列多段の定流量制御を実現することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る純水製造装置1Aについて、図7、図8A及び図8Bを参照しながら説明する。図7は、第2実施形態に係る純水製造装置1Aの全体概略図である。図8Aは、第2実施形態に係る純水製造装置1Aの全体構成図の中段部分である。図8Bは、第2実施形態に係る純水製造装置1Aの全体構成図の後段部分である。
なお、第2実施形態では、主に第1実施形態との相違点について説明する。このため、第1実施形態と同一(又は同等)の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第2実施形態において特に説明しない点については、第1実施形態の説明が適宜に適用される。また、第2実施形態においては、供給水ラインL1の上流側から供給水補給弁V31までの構成は、第1実施形態と同様である。そのため、第2実施形態においては、第1実施形態における供給水ラインL1の上流側から供給水補給弁V31までの構成についての主な図面(図2Aに対応する図面)及びその説明を省略する。
第2実施形態に係る純水製造装置1Aは、第1実施形態における純水製造装置1が直列に並べられた2段のRO膜モジュール10、14を備えているのに対して、1段のRO膜モジュール7を備えている点、1段のRO膜モジュール7の後段に電気脱イオンスタック(以下、「EDIスタック」ともいう)16を備えている点、及びこれらの周辺の構成において、第1実施形態における純水製造装置1と主に異なる。
また、第2実施形態においては、EDIスタック16における濃縮室流入ラインL214には、流量調節弁としての第5定流量弁V55が設けられている。
なお、第2実施形態においては、第1実施形態における2段目のRO膜モジュールである「後段RO膜モジュール14」を備えていないため、第1実施形態における1段目のRO膜モジュールである「前段RO膜モジュール10」を第2実施形態における1段のRO膜モジュールとして「RO膜モジュール7」とした。更に、RO膜モジュール7の後段に、「EDIスタック16」を備えている。そのため、第2実施形態では、第1実施形態における「前段RO透過水ラインL22」を「RO透過水ラインL21」とし、RO膜モジュール7で分離された透過水を「透過水W2」とする。
また、第2実施形態では、第1実施形態における「前段RO透過水リターンラインL43」を「RO透過水リターンラインL41」とし、第1実施形態における「前段RO濃縮水リターンラインL53」を「RO濃縮水リターンラインL51」とする。また、第2実施形態においては、第1実施形態における「後段RO透過水リターンラインL44」及び「後段RO濃縮水リターンラインL54」を備えておらず、第2流路切換弁V72の下流側の構成が異なる。
図7に示すように、第2実施形態に係る純水製造装置1Aは、第1オプション機器OP1と、プレフィルタ4と、第2オプション機器OP2と、前段加圧ポンプ5と、前段インバータ6と、第1処理水製造部としてのRO膜モジュール7(第1逆浸透膜モジュール)と、第3オプション機器OP3と、第1流路切換弁V71と、第2処理水製造部としての電気脱イオンスタック(以下、「EDIスタック」ともいう)16(脱イオン部)と、第2流路切換弁V72と、第4オプション機器OP4と、制御部30Aと、入力操作部40と、直流電源装置50と、表示部60と、を備える。
また、図7に示すように、第2実施形態の純水製造装置1Aは、供給水ラインL1と、透過水ラインL21と、RO透過水リターンラインL41と、RO濃縮水リターンラインL51と、脱塩水ラインL3と、脱塩水リターンラインL42と、EDI濃縮水ラインL52と、を備える。
また、純水製造装置1は、図2A、図8A及び図8Bに示すように、図7に示す構成に加えて、第1開閉弁V11〜第7開閉弁V17と、真空破壊弁V41と、減圧弁V42と、供給水補給弁V31と、第1排水弁V32〜第3排水弁V34と、第1定流量弁V51〜第5定流量弁V55と、第1逆止弁V61〜第5逆止弁V65と、第1圧力計P1〜第6圧力計P6と、第1圧力センサPS1〜第4圧力センサPS4及び第6圧力センサPS6と、圧力スイッチPSWと、第1温度センサTE1及び第2温度センサTE2と、第1流量センサFM1(第1流量検出手段)、第2流量センサFM2(第2流量検出手段)及び第5流量センサFM5(第3流量検出手段)と、第1電気伝導率センサEC1と、第1比抵抗センサRS1と、を備える。
図7、図8B及び図8Cでは、電気的な接続の経路を省略するが、制御部30Aは、供給水補給弁V31、第1流路切換弁V71、第2流路切換弁V72、第1排水弁V32〜第3排水弁V34、圧力スイッチPSW、第1温度センサTE1及び第2温度センサTE2、第1圧力センサPS1〜第4圧力センサPS4及び第6圧力センサPS6、第1流量センサFM1、第2流量センサFM2及び第5流量センサFM5、第1電気伝導率センサEC1、第1比抵抗センサRS1及び第2比抵抗センサRS2、全有機炭素センサTOC、硬度センサS1、残留塩素センサS2等と電気的に接続される。
純水製造装置1における全体構成図の中段部分について、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図8Aに示すように、接続部J59には、後述する脱塩水リターンラインL42の下流側の端部が接続されている。接続部J51には、後述するRO透過水リターンラインL41の下流側の端部及びRO濃縮水リターンラインL51の下流側の端部が接続されている。
前段加圧ポンプ5は、供給水ラインL1を流通する供給水W1を吸入し、RO膜モジュール7へ向けて圧送(吐出)する装置である。前段加圧ポンプ5には、前段インバータ6から周波数が変換された駆動電力が供給される。前段加圧ポンプ5は、供給された駆動電力の周波数(以下、「駆動周波数」ともいう)に応じた回転速度で駆動される。
前段インバータ6は、前段加圧ポンプ5に、周波数が変換された駆動電力を供給する電気回路(又はその回路を持つ装置)である。前段インバータ6は、制御部30Aと電気的に接続されている。前段インバータ6には、制御部30Aから周波数指定信号が入力される。前段インバータ6は、制御部30Aにより入力された周波数指定信号(電流値信号又は電圧値信号)に対応する駆動周波数の駆動電力を前段加圧ポンプ5に出力する。
RO膜モジュール7は、前段加圧ポンプ5により圧送された供給水W1を、溶存塩類が除去された透過水W2(第1処理水、第1透過水)と、溶存塩類が濃縮された濃縮水W3と、に分離する。すなわち、第1処理水製造部としてのRO膜モジュール7は、供給水W1から第1処理水W2を製造する。RO膜モジュール7は、単一又は複数のスパイラル型RO膜エレメントを圧力容器(ベッセル)に収容して構成される。
RO濃縮水リターンラインL51は、RO膜モジュール7で分離された濃縮水W3の一部W31を供給水ラインL1へ返送するラインである。RO濃縮水リターンラインL51の上流側の端部は、RO膜モジュール7の一次側出口ポート(濃縮水W3の出口)に接続されている。RO濃縮水リターンラインL51の下流側の端部は、接続部J51において供給水ラインL1に接続されている。RO濃縮水リターンラインL51には、第1逆止弁V61及び第1定流量弁V51が設けられている。
RO濃縮水排出ラインL61は、RO膜モジュール7で分離された濃縮水W3の残部W32を、RO濃縮水リターンラインL51の途中から装置の外へ排出するラインである。RO濃縮水排出ラインL61における接続部J53から下流側の構成は第1実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
透過水ラインL21は、RO膜モジュール7で分離された透過水W2をEDIスタック16に流通させるラインである。透過水ラインL21は、図8A及び図8Bに示すように、前段側透過水ラインL211と、中段側透過水ラインL212と、脱塩室流入ラインL213と、濃縮室流入ラインL214と、を有する。
前段側透過水ラインL211の上流側の端部は、図8Aに示すように、RO膜モジュール7の二次側ポート(透過水W2の出口)に接続されている。前段側透過水ラインL211の下流側の端部は、図8Bに示すように、第1流路切換弁V71を介して、中段側透過水ラインL212及びRO透過水リターンラインL41に接続されている。
前段側透過水ラインL211には、上流側から順に、図8Aに示すように、第3逆止弁V63、接続部J10、接続部J11、及び第6開閉弁V16が設けられている。また、第6開閉弁V16以降には、図8Bに示すように、脱炭酸装置15、接続部J31、接続部J32、及び第1流路切換弁V71が設けられている。第6開閉弁V16は、前段側透過水ラインL211の開閉を操作可能な手動弁である。
次に、純水製造装置1における全体構成図の後段部分について説明する。
図8Bにおいて、後段給水ポンプ17は、透過水ラインL21(中段側透過水ラインL212)を流通する透過水W2を吸入し、EDIスタック16へ向けて吐出する装置である。後段給水ポンプ17には、後段インバータ18から周波数が変換された駆動電力が供給される。後段給水ポンプ17は、供給された駆動電力の周波数(以下、「駆動周波数」ともいう)に応じた回転速度で駆動される。
後段インバータ18は、後段給水ポンプ17に、周波数が変換された駆動電力を供給する電気回路(又はその回路を持つ装置)である。後段インバータ18は、制御部30Aと電気的に接続されている。後段インバータ18には、制御部30Aから周波数指定信号が入力される。後段インバータ18は、制御部30Aにより入力された周波数指定信号(電流値信号又は電圧値信号)に対応する駆動周波数の駆動電力を後段給水ポンプ17に出力する。
第1流路切換弁V71は、RO膜モジュール7で分離された透過水W2を、中段側透過水ラインL212を介してEDIスタック16へ向けて流通させる流路(採水側流路)、又は、RO透過水リターンラインL41を介してRO膜モジュール7の上流側の供給水ラインL1へ向けて流通させる流路(循環側流路)に切り換え可能な自動弁である。第1流路切換弁V71は、例えば、電動式又は電磁式の三方弁により構成される。第1流路切換弁V71は、制御部30Aと電気的に接続されている。第1流路切換弁V71における流路の切り換えは、制御部30Aから送信される流路切換信号により制御される。
RO透過水リターンラインL41は、RO膜モジュール7で分離された透過水W2を、RO膜モジュール7よりも上流側の供給水ラインL1へ返送するラインである。RO透過水リターンラインL41の上流側の端部は、第1流路切換弁V71に接続されている。RO透過水リターンラインL41の下流側の端部は、接続部J52において、RO濃縮水リターンラインL51に接続されている。接続部J52は、RO濃縮水リターンラインL51における接続部J53と接続部J51との間に配置されている。RO透過水リターンラインL41における接続部J52から接続部J51までの部分は、RO濃縮水リターンラインL51における接続部J52から接続部J51までの部分と共通する。RO透過水リターンラインL41の上流側には、第4逆止弁V64が設けられている。
中段側透過水ラインL212の上流側の端部は、第1流路切換弁V71に接続されている。中段側透過水ラインL212の下流側の端部は、分岐部J71において、脱塩室流入ラインL213の上流側の端部及び濃縮室流入ラインL214の上流側の端部に接続されている。
脱塩室流入ラインL213の下流側の端部は、EDIスタック16の一次側ポート(脱塩室161の入口側)に接続されている。脱塩室流入ラインL213には、接続部J33が配置されている。濃縮室流入ラインL214の下流側の端部は、EDIスタック16の一次側ポート(濃縮室162の各入口側)に接続されている。濃縮室流入ラインL214には、上流側から順に、流量調節弁としての第5定流量弁V55、及び接続部J34が設けられている。第5定流量弁V55は、EDI濃縮水W7(第3処理水、第2濃縮水)の流量を調節可能な機器である。
EDIスタック16は、RO膜モジュール7で分離された透過水W2を脱塩処理(脱イオン処理)して、脱塩水W6(第2処理水、脱イオン水)とEDI濃縮水W7(第3処理水、第2濃縮水)とを得る水処理機器である。すなわち、第2処理水製造部としてのEDIスタック16は、第1処理水W1から第2処理水W6と第3処理水W7を製造する。EDIスタック16は、直流電源装置50(図7参照)と電気的に接続されている。EDIスタック16には、直流電源装置50から直流電圧が印加される。EDIスタック16は、直流電源装置50から印加された直流電圧により通電され、動作する。
直流電源装置50は、直流電圧をEDIスタック16の一対の電極間に印加する。直流電源装置50は、制御部30Aと電気的に接続されている。直流電源装置50は、制御部30Aにより入力された電圧指定信号(又は、電流指定信号)に応答して、直流電圧をEDIスタック16に出力する。
EDIスタック16は、一対の電極間に、陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜(不図示)が交互に配置される。EDIスタック16の内部は、これらイオン交換膜により、脱塩室161及び濃縮室162(陽極室及び陰極室を含む)に区画される。脱塩室161には、イオン交換体(不図示)が充填される。脱塩室161に充填されるイオン交換体としては、例えば、イオン交換樹脂又はイオン交換繊維等が用いられる。なお、図8Bでは、EDIスタック16の内部に区画された複数の脱塩室161及び濃縮室162を模式的に示す。
脱塩室161の入口側には、透過水W2を流入させる脱塩室流入ラインL213が接続されている。脱塩室161の出口側には、脱塩室161においてイオンが除去されて排出された脱塩水W6を流通させる脱塩水ラインL3が接続されている。濃縮室162の入口側には、透過水W2を流入させる濃縮室流入ラインL214が接続されている。濃縮室162の出口側には、イオンが濃縮されて排出されたEDI濃縮水W7を流通させるEDI濃縮水ラインL52が接続されている。
脱塩室161及び濃縮室162それぞれには、透過水ラインL21を流通する透過水W2が流入される。透過水W2に含まれる残留イオンは、脱塩室161内に充填されたイオン交換体(不図示)により捕捉され、脱塩水W6となる。脱塩水W6は、脱塩水ラインL3(後述)を介して需要箇所へ送出される。また、脱塩室161内のイオン交換体に捕捉された残留イオンは、印加された直流電圧の電気エネルギーにより濃縮室162に移動する。そして、残留イオンを含む水は、EDI濃縮水W7として、濃縮室162からEDI濃縮水ラインL52(後述)を介して脱炭酸装置15に向けて送出される。脱炭酸装置15に送出されたEDI濃縮水W7は、真空ポンプの封水として利用され、その後、封水排出ラインL71(後述)を介して装置の外に排出される。
脱塩水ラインL3は、EDIスタック16で得られた脱塩水W6を純水として需要箇所に向けて送出するラインである。脱塩水ラインL3は、上流側脱塩水ラインL31と、下流側脱塩水ラインL32と、を有する。
上流側脱塩水ラインL31の上流側の端部は、EDIスタック16の二次側ポート(脱塩室161の出口側)に接続されている。上流側脱塩水ラインL31の下流側の端部は、第2流路切換弁V72を介して、下流側脱塩水ラインL32及び脱塩水リターンラインL42(後述)に接続されている。上流側脱塩水ラインL31には、上流側から順に、接続部J36、接続部J37、接続部J38、第7開閉弁V17、及び第2流路切換弁V72が設けられている。第7開閉弁V17は、上流側脱塩水ラインL31の開閉を操作可能な手動弁である。
第2流路切換弁V72は、EDIスタック16の脱塩室161で得られた脱塩水W6を、下流側脱塩水ラインL32を介して需要箇所に向けて送出させる流路(採水側流路)、又は、脱塩水リターンラインL42を介してRO膜モジュール7の上流側の供給水ラインL1に向けて流通させる流路(循環側流路)に切り換え可能な自動弁である。第2流路切換弁V72は、例えば、電動式又は電磁式の三方弁により構成される。第2流路切換弁V72は、制御部30Aと電気的に接続されている。第2流路切換弁V72における流路の切り換えは、制御部30Aから送信される流路切換信号により制御される。
第2流路切換弁V72は、制御部30Aにより採水側流路に切り換えられることにより、EDIスタック16で得られた脱塩水W6を脱塩水ラインL3から需要箇所に送り出す処理を実行可能な送出手段として機能する。
下流側脱塩水ラインL32の上流側の端部は、第2流路切換弁V72に接続されている。下流側脱塩水ラインL32の下流側の端部は、需要箇所の装置等(不図示)に接続されている。
脱塩水リターンラインL42は、EDIスタック16の脱塩室161で得られた脱塩水W6を、脱塩水ラインL3の途中から、RO膜モジュール7の上流側(供給水ラインL1)へ返送するラインである。本実施形態においては、脱塩水リターンラインL42の上流側の端部は、第2流路切換弁V72に接続されている。脱塩水リターンラインL42の下流側の端部は、接続部J59に接続されている。脱塩水リターンラインL42の上流側には、第5逆止弁V65が設けられている。
EDI濃縮水ラインL52は、EDIスタック16の濃縮室162から排出されたEDI濃縮水W7を、脱炭酸装置15に送出するラインである。EDI濃縮水ラインL52の上流側の端部は、EDIスタック16の二次側ポート(濃縮室162の出口側)に接続されている。EDI濃縮水ラインL52の下流側の端部は、脱炭酸装置15に接続されている。
第5圧力計P5及び第6圧力計P6は、接続された各ラインを流通する水の圧力を計測する機器である。図8Bに示すように、第5圧力計P5は、接続部J35において、EDI濃縮水ラインL52に接続されている。第6圧力計P6は、接続部J36において、脱塩水ラインL3に接続されている。
第2圧力センサPS2〜第4圧力センサPS4及び第6圧力センサPS6は、接続された各ラインを流通する水の圧力を計測する機器である。第2圧力センサPS2は、図8Aに示すように、接続部J11において、透過水ラインL21に接続されている。接続部J11は、透過水ラインL21におけるRO膜モジュール7と脱炭酸装置15との間に配置されている。第3圧力センサPS3は、接続部J33において、脱塩室流入ラインL213に接続されている。接続部J33は、脱塩室流入ラインL213の途中に配置されている。第4圧力センサPS4は、図8Bに示すように、接続部J34において、濃縮室流入ラインL214に接続されている。接続部J34は、濃縮室流入ラインL214における第5定流量弁V55とEDIスタック16との間に配置されている。第6圧力センサPS6は、接続部J39において、透過水ラインL21に接続されている。接続部J39は、透過水ラインL21における接続部J32と第1流路切換弁V71との間に配置されている。
第2圧力センサPS2〜第4圧力センサPS4及び第6圧力センサPS6は、制御部30Aと電気的に接続されている。第2圧力センサPS2〜第4圧力センサPS4及び第6圧力センサPS6で測定された透過水W2の圧力は、制御部30Aへ検出信号として送信される。
第2流量センサFM2及び第5流量センサFM5は、接続された各ラインを流通する水(脱塩水W6又はEDI濃縮水W7)の流量を測定(検出)する機器である。第2流量センサFM2は、図8Bに示すように、接続部J38において、脱塩水ラインL3に接続されている。接続部J38は、脱塩水ラインL3におけるEDIスタック16と第2流路切換弁V72との間に配置されている。第5流量センサFM5は、接続部J40において、EDI濃縮水ラインL52に接続されている。接続部J40は、図8Bに示すように、EDI濃縮水ラインL52におけるEDIスタック16と脱炭酸装置15との間に配置されている。
第2流量センサFM2及び第5流量センサFM5は、制御部30Aと電気的に接続されている。第2流量センサFM2で測定された脱塩水W6の流量(検出流量値)及び第5流量センサFM5で測定されたEDI濃縮水W7の流量(検出流量値)は、制御部30Aへ検出信号として送信される。
第1比抵抗センサRS1は、脱塩水ラインL3を流通する脱塩水W6の比抵抗(電気的特性値)を測定する機器である。第1比抵抗センサRS1は、接続部J37において、脱塩水ラインL3に接続されている。接続部J37は、脱塩水ラインL3におけるEDIスタック16と第2流路切換弁V72との間に配置されている。なお、第1比抵抗センサRS1は、測定された比抵抗値の温度補償のため、温度センサを内蔵している。そのため、第1比抵抗センサRS1は、脱塩水W6の水温を測定することができる。
第1比抵抗センサRS1は、制御部30Aと電気的に接続されている。第1比抵抗センサRS1で測定された脱塩水W6の比抵抗(及び温度)は、それぞれ、制御部30Aへ検出信号として送信される。
次に、第2実施形態における制御部30Aについて説明する。第2実施形態においては、制御部30Aは、装置の起動時及び定常運転時において、前段加圧ポンプ5及び後段給水ポンプ17を個別に制御する。装置の起動時の制御は、後段給水ポンプ17に対する後段定加速制御及び前段加圧ポンプ5に対する前段定加速制御からなる。また、装置の定常運転時の制御は、後段給水ポンプ17に対する後段定流量制御及び前段加圧ポンプ5に対する前段定流量制御からなる。後段給水ポンプ17に対する後段定加速制御及び後段定流量制御は、第1実施形態における後段加圧ポンプ12に対する各制御と同様であるため説明を省略する。また、前段加圧ポンプ5に対する後段定加速制御及び後段定流量制御は、第1実施形態における前段加圧ポンプ8に対する各制御と同様であるため説明を省略する。
上述した第2実施形態に係る純水製造装置1Aによれば、以下に列挙する第1実施形態と同質の効果が奏される。
第1実施形態に係る純水製造装置1において、制御部30Aは、透過水W2の製造時において、第1流量センサFM1の検出流量値Q1が、第2流量センサFM2の検出流量値Q2と第5流量センサFM5の検出流量値Q3との和の流量値である第1目標流量値QT1となるように前段加圧ポンプ5の駆動周波数を設定し、当該駆動周波数に対応する周波数指定信号を前段インバータ6に出力し、第1目標流量値QT1として、第1流量センサFM1、第2流量センサFM2及び第5流量センサFM5の少なくとも一つ以上の流量センサのプラス側の測定誤差を考慮した値を設定する。そのため、流量センサが真値を正確に測定できていない場合であっても、後段のEDIスタック16で製造される水量に見合った量の水を、前段のRO膜モジュール7から供給できない状態に陥るのを回避することができる。つまり、第1目標流量値QT1として流量センサの測定誤差を考慮した値を設定することで、前段のRO膜モジュール7から後段のEDIスタック16へ供給される透過水W2の供給量の不足を抑制することができる。
また、後段のEDIスタック16により製造されるEDI濃縮水W7の流量を調節可能な流量調節弁(第5定流量弁V55)を備え、制御部30Aは、脱塩水W6の定格流量値とEDI濃縮水W7の調節流量値との和の流量値である第2目標流量値QT2が外部入力手段を介して設定され、設定された第2目標流量値QT2を記憶手段に記憶するものであって、第2目標流量値QT2として、流量調節弁(第5定流量弁V55)のプラス側の調節誤差を考慮した値を設定する。そのため、EDI濃縮水W7が調節流量値よりも過剰に流れた場合であっても、脱塩水W6が定格流量に対して不足する状態に陥るのを回避することができる。
また、制御部30Aは、装置の起動時において、第1流量センサFM1の検出流量値Q1が第2目標流量値QT2に対して所定割合未満(例えば、80%未満)の場合に、第1流量センサFM1の検出流量値Q1が第2目標流量値QT2に向かって増加するように前段加圧ポンプ5の駆動周波数を一定の時間変化率で変化させる初期定加速制御を実行し、第1流量センサFM1の検出流量値Q1が第2目標流量値QT2に対して所定割合以上(例えば、80%以上)になった場合に、第1流量センサFM1の検出流量値Q1が第1目標流量値QT1に向かって増加するように前段加圧ポンプ5の駆動周波数を一定の時間変化率で変化させる末期定加速制御を実行し、その後、第1流量センサFM1の検出流量値Q1が第1目標流量値QT1に対して所定割合以上(例えば、90%以上)になった場合に、第1流量センサFM1の検出流量値Q1が第1目標流量値QT1となるように、速度形デジタルPIDアルゴリズムにより前段加圧ポンプ5の駆動周波数を演算し、当該駆動周波数の演算値に対応する周波数指定信号を前段インバータ6に出力する定流量制御を実行する。そのため、装置の起動直後には、固定値である第2目標流量値QT2を使用して初期定加速制御を行うため、後段のEDIスタック16で製造される水量が不安定であっても、この水量を超える透過水W2を後段のEDIスタック16へ供給することができる。また、初期定加速制御に続いて、変動値である第1目標流量値QT1を使用して末期定加速制御を行うため、後段のEDIスタック16へ流入する水量と、後段のEDIスタック16から流出する水量とを、速やかにバランスさせることができる。更に、装置の定常運転時には、変動値である第1目標流量値QT1を使用して定流量制御を行うため、RO膜モジュールとEDIスタックとの間にバッファタンクを介装することなく、直列多段の定流量制御を実現することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る純水製造装置1Bについて、図9及び、図10A及び図10Bを参照しながら説明する。図9は、第3実施形態に係る純水製造装置1Bの全体概略図である。図10Aは、第3実施形態に係る純水製造装置1Bの全体構成図の第2中段部分である。図10Bは、第3実施形態に係る純水製造装置1Bの全体構成図の後段部分である。
なお、第3実施形態では、主に、第1実施形態及び第2実施形態との相違点について説明する。このため、第1実施形態及び第2実施形態と同一(又は同等)の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第3実施形態において特に説明しない点については、第1実施形態及び第2実施形態の説明が適宜に適用される。また、第3実施形態においては、供給水ラインL1の上流側から第6開閉弁V16までの構成は、第1実施形態と同様である。そのため、第3実施形態においては、第1実施形態における供給水ラインL1の上流側から第6開閉弁V16までの構成についての主な図面(第1実施形態における図2A、図2Bに対応する図面)及びその説明を省略する。
第3実施形態に係る純水製造装置1Bは、第1実施形態における直列に並べられた2段のRO膜モジュール10、14を備えている点、2段のRO膜モジュール10、14の後段に第2実施形態におけるEDIスタック16を備えている点、及びこれらの周辺の構成を備えている点において、第1実施形態及び第2実施形態の純水製造装置1、1Aと主に共通する。
そのため、第3実施形態の純水製造装置1Bにおける前段RO膜モジュール10、前段加圧ポンプ8、前段インバータ9、後段RO膜モジュール14、後段加圧ポンプ12、第1の後段インバータ13、EDIスタック16、後段給水ポンプ17及び第2の後段インバータ18の構成は、第1実施形態の構成と同様である。従って、第3実施形態においては、第1実施形態と重複する構成については、その説明を省略する。また、第3実施形態の純水製造装置1BにおけるEDIスタック16及び周辺の構成については、第2実施形態と重複する構成については、その説明を省略する。
図9に示すように、第3実施形態に係る純水製造装置1Bは、第1オプション機器OP1と、プレフィルタ4と、第2オプション機器OP2と、前段加圧ポンプ8と、前段インバータ9と、前段RO膜モジュール10と、第1の後段加圧ポンプ12と、後段インバータ13と、後段RO膜モジュール14と、第3オプション機器OP3と、第1流路切換弁V71と、EDIスタック16と、後段給水ポンプ17と、第2の後段インバータ18と、第2流路切換弁V72と、第4オプション機器OP4と、制御部30Bと、入力操作部40と、直流電源装置50と、表示部60と、を備える。
また、図9に示すように、第3実施形態の純水製造装置1Bは、供給水ラインL1と、前段RO透過水ラインL22と、前段RO透過水リターンラインL43と、前段RO濃縮水リターンラインL53と、後段RO透過水ラインL23と、後段RO透過水リターンラインL44と、後段RO濃縮水リターンラインL54と、脱塩水ラインL3と、脱塩水リターンラインL45と、を備える。
第3実施形態の純水製造装置1Bにおける全体構成図の第2中段部分については、図10Aに示すように、前段RO透過水ラインL22の上流側に接続部J45が設けられ、接続部J45に脱塩水リターンラインL45の下流側の端部が接続されている点のみにおいて、図2Cにおいて示す第1実施形態と異なる。
後段RO透過水ラインL23は、前段側透過水ラインL231と、中段側透過水ラインL232と、脱塩室流入ラインL233と、濃縮室流入ラインL234と、を有する。前段側透過水ラインL231には、上流側から順に、図10Aに示すように、第4逆止弁V64、接続部J23、及び第9開閉弁V19が設けられている。また、第9開閉弁V19以降には、図10Bに示すように、脱炭酸装置15、接続部J31、接続部J32、及び第1流路切換弁V71が設けられている。
第1流路切換弁V71は、図10Bに示すように、後段RO膜モジュール14で分離された後段透過水W4を、中段側透過水ラインL232を介してEDIスタック16へ向けて流通させる流路(採水側流路)、又は、後段RO透過水リターンラインL44を介して前段RO透過水ラインL22へ向けて流通させる流路(循環側流路)に切り換え可能な弁である。第1流路切換弁V71は、例えば、電動式又は電磁式の三方弁により構成される。第1流路切換弁V71は、制御部30Bと電気的に接続されている。第1流路切換弁V71における流路の切り換えは、制御部30Bから送信される流路切換信号により制御される。
後段RO透過水リターンラインL44は、後段RO膜モジュール14で分離された後段透過水W4を、前段RO膜モジュール10と後段RO膜モジュール14との間の前段RO透過水ラインL22へ返送するラインである。後段RO透過水リターンラインL44の上流側の端部は、図10Bに示すように、第1流路切換弁V71に接続されている。後段RO透過水リターンラインL44の下流側は、図10Aに示すように、前段RO透過水ラインL22における接続部J44に接続されている。
なお、図10Bに示す第3実施形態において、第1流路切換弁V71よりも下流側の部分の構成は、図8Bに示す第2実施形態における「中段側透過水ラインL212」、「脱塩室流入ラインL213」、「濃縮室流入ラインL214」及び「透過水W2」を、それぞれ、「中段側透過水ラインL232」、「脱塩室流入ラインL233」、「濃縮室流入ラインL234」及び「後段透過水W4」としている。また、第3実施形態では、第1流路切換弁V71よりも下流側の部分において、後述するEDI濃縮水排出ラインL72及び脱塩水リターンラインL45の構成を除いて、第2実施形態と同様の構成である。そのため、これらの部分に関しては、第2実施形態の説明を援用して、第3実施形態の説明を省略する。
また、図10Bに示すように、第3実施形態における純水製造装置1Bは、第2実施形態におけるEDI濃縮水ラインL52に代えて、EDI濃縮水排出ラインL72を備える。
EDI濃縮水排出ラインL72は、EDIスタック16の濃縮室162から排出されたEDI濃縮水W7を、装置の外に排出するラインである。EDI濃縮水排出ラインL72の上流側の端部は、EDIスタック16の二次側ポート(濃縮室162の出口側)に接続されている。EDI濃縮水排出ラインL72の下流側は、例えば、排水ピット(不図示)に接続又は開口している。
第2流路切換弁V72は、EDIスタック16の脱塩室161で得られた脱塩水W6を、下流側脱塩水ラインL32を介して需要箇所に向けて送出させる流路(採水側流路)、又は、脱塩水リターンラインL45を介して前段RO透過水ラインL22に向けて流通させる流路(循環側流路)に切り換え可能な弁である。
脱塩水リターンラインL45は、EDIスタック16の脱塩室161で得られた脱塩水W6を、脱塩水ラインL3の途中から、前段RO膜モジュール10と後段RO膜モジュール14との間の前段RO透過水ラインL22へ返送するラインである。本実施形態において、脱塩水リターンラインL45の上流側の端部は、第2流路切換弁V72に接続されている。脱塩水リターンラインL45の下流側の端部は、前段RO透過水ラインL22に接続されている。
次に、第3実施形態における制御部30Bについて説明する。第3実施形態においては、制御部30Bは、装置の起動時及び定常運転時において、前段加圧ポンプ8、後段加圧ポンプ12及び後段給水ポンプ17を個別に制御する。装置の起動時の制御は、後段給水ポンプ17に対する後段定加速制御、後段加圧ポンプ12に対する後段定加速制御及び前段加圧ポンプ8に対する前段定加速制御からなる。また、装置の定常運転時の制御は、後段給水ポンプ17に対する後段定流量制御、後段加圧ポンプ12に対する後段定流量制御及び前段加圧ポンプ5に対する前段定流量制御からなる。後段給水ポンプ17に対する後段定加速制御及び後段定流量制御は、第1実施形態で説明した後段定加速制御及び後段定流量制御に準じて実行される。後段加圧ポンプ12に対する後段定加速制御及び後段定流量制御は、第1実施形態で説明した前段定加速制御及び前段定流量制御に準じて実行される。前段加圧ポンプ8に対する前段定加速制御及び前段定流量制御は、第1実施形態で説明した前段定加速制御及び前段定流量制御に準じて実行される。
つまり、最終段のポンプ及び処理水製造部では、処理水の検出流量値が送水目標流量値QT0(固定値)に向かって増加するように定加速制御が行われる一方で、最終段以外のポンプ及び処理水製造部では、処理水の検出流量値が第2目標流量値QT2(固定値:起動直後に使用)又は第1目標流量値QT1(変動値:次段で製造される処理水の検出流量値の和)に向かって増加するように定加速制御が行われる。また、最終段のポンプ及び処理水製造部では、処理水の検出流量値が送水目標流量値QT0(固定値)となるように定流量制御が行われる一方で、最終段以外のポンプ及び処理水製造部では、処理水の検出流量値が第1目標流量値QT1(変動値:次段で製造される処理水の検出流量値の和)となるように定流量制御が行われる。
第3実施形態においては、第1処理水製造部及び第2処理水製造部を一つのグループ構成とする2つのグループ構成を備えている。後段側の第1グループ構成として、第2実施形態の「RO膜モジュール7」に対応する「後段RO膜モジュール14」を第1処理水製造部と看做し、第2実施形態と同様の「EDIスタック16」を第2処理水製造部と看做すことができる。また、前段側の第2グループ構成として、第1実施形態と同様の「前段RO膜モジュール10」を第1処理水製造部と看做し、第1実施形態と同様の「後段RO膜モジュール14」を第2処理水製造部と看做すことができる。
そのため、制御部30Bは、後段側の第1グループ構成において、前述の第2実施形態と同様に、後段透過水W4の第1目標流量値QT1として、第2流量センサFM2、第3流量センサFM3及び第5流量センサFM5の少なくとも一つ以上の流量センサのプラス側の測定誤差を考慮した値を設定することができる。また、制御部30Bは、前段側の第2グループ構成において、前段透過水W2の第1目標流量値QT1として、第1流量センサFM1、第3流量センサFM3及び第4流量センサFM4の少なくとも一つ以上の流量センサのプラス側の測定誤差を考慮した値を設定することができる。
また、後段側の第1グループ構成において、前述の第2実施形態と同様に、後段透過水W4の第2目標流量値QT2として、流量調節弁(第5定流量弁V55)のプラス側の調節誤差を考慮した値を設定することができる。更に、前段側の第2グループ構成において、前述の第1実施形態と同様に、前段透過水W2の第2目標流量値QT2として、流量調節弁(第4排水弁V36及び第7定流量弁V57、並びに、第5排水弁V37及び第8定流量弁V58)のプラス側の調節誤差を考慮した値を設定することができる。
上述した第3実施形態の純水製造装置1Bにおいては、後段RO膜モジュール14とEDIスタック16に対して、第2実施形態の純水製造装置1Aと同様の効果を得ることができる。また、第3実施形態の純水製造装置1Bにおいては、前段RO膜モジュール10と後段RO膜モジュール14に対しては、第1実施形態の純水製造装置1と同様の効果を得ることができる。
従って、2段のRO膜モジュール10、14に、EDIスタック16を直列に接続したシステムにおいては、後段RO膜モジュール14からEDIスタック16へ供給される後段透過水W4の供給量の不足を抑制しながら、前段RO膜モジュール10から後段RO膜モジュール14へ供給される前段透過水W2の供給量の不足を抑制することができる。また、後段濃縮水W5やEDI濃縮水W7が調節流量値よりも過剰に流れた場合であっても、後段透過水W4及び脱塩水W6が定格流量に対して不足する状態に陥るのを回避することができる。その結果、システム内で製造される各種処理水の水量バランスが最適状態に保たれ、加圧ポンプ、RO膜モジュール、EDIスタックといった機器の故障や破損が防止される。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
第1及び第2実施形態では、フィードバック制御アルゴリズムとして、加圧・給水ポンプ(5,8,12,17)の駆動周波数を速度形デジタルPIDアルゴリズムにより演算する例について説明した。これに限らず、加圧・給水ポンプ(5,8,12,17)の駆動周波数を位置形デジタルPIDアルゴリズムにより演算してもよい。また、PIDアルゴリズムに限らず、Pアルゴリズム又はPIアルゴリズム等により駆動周波数を演算してもよい。
第2及び第3実施形態において、EDIスタック(電気脱イオンスタック)16の代わりに、非再生型の混床式イオン交換塔を設けてもよい。この場合には、前段のRO膜モジュールで分離された透過水をイオン交換樹脂床により脱イオン処理して脱イオン水を得ることができる。また、装置の運転開始直後において、水質が回復された脱イオン水を需要箇所へ供給することができる。また、イオン交換塔を用いることにより、透過水から脱イオン水を得るための処理に掛かる電力をほぼゼロにすることができる。
第1及び第3実施形態では、第1排水弁V32〜第3排水弁V34、又は、第4排水弁V36及び第5排水弁V37の開放数を選択することにより、濃縮水W3,W5の排水流量を段階的に調節する例について説明した。これに限らず、例えば、RO濃縮水排出ラインL61を分岐させずに、当該RO濃縮水排出ラインL61に比例制御弁を設けた構成としてもよい。また、後段RO濃縮水送出ラインL65を分岐させずに、当該後段RO濃縮水送出ラインL65に比例制御弁を設けた構成としてもよい。この場合、制御部(30,30B)から電流値信号を比例制御弁に送信して弁開度を制御することにより、濃縮水W3,W5の排水流量を調節することができる。
また、当該後段RO濃縮水送出ラインL65に比例制御弁を設けた場合においては、例えばバタフライ式やニードル式の比例制御弁では、開度調節の精度により流量がばらつく可能性がある。そのため、流量調節弁として比例制御弁を設けた場合においても、第2目標流量値QT2としては、当該比例制御弁により調整される後段濃縮水W5の流量のプラス側の調整誤差を考慮した値を設定することができる。
また、RO濃縮水排出ラインL61に比例制御弁を設けた構成において、RO濃縮水排出ラインL61に流量センサを設けた構成としてもよい。この場合は、流量センサで測定された流量値を、制御部(30,30A,30B)にフィードバック値として入力することにより、濃縮水W3の実際の排水流量をより正確に制御することができる。
第1及び第2実施形態においては、原水W11中に含まれる硬度成分を除去した軟水W12を供給水W1とする例について説明した。これに限らず、原水W11を除鉄除マンガン装置、砂濾過装置、精密濾過膜装置、限外濾過膜装置等により前処理した水を供給水W1としてもよい。なお、原水W11としては、例えば、地下水や水道水等を用いることができる。
第2処理水製造部として、後段RO膜モジュール14やEDIスタック16とする例について説明した。しかし、これに限らず、第2処理水製造装置として、例えば、クロスフロー方式の操作が行われる限外濾過膜を有するUF膜モジュールを適用してもよい。