以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
〔1 発明の概要〕
逆浸透膜装置を含む排水再利用装置において、逆浸透膜に膜劣化が発生した場合、処理水における電気伝導率が上昇する前に、逆浸透膜を通して処理水に対し微量のシリカがリークされる。この特性を利用して、処理水におけるシリカの濃度が閾値を超えた場合に、警報を発報し、逆浸透膜装置での回収率を下げる処理を実行する。更に、この排水再利用装置を含むボイラシステムにおいて、処理水におけるシリカの濃度が閾値を超えた場合に、ボイラのブロー率を挙げたり、処理水がボイラを迂回するよう流路を切り替えたりする処理を実行する。
〔2 発明の構成〕
〔2.1 全体構成〕
図1は、本発明の実施形態に係るボイラシステム1の全体構成図である。図1に示すように、ボイラシステム1は、排水再利用装置2とボイラ装置3を備え、排水再利用装置2は、排水処理設備4と回収ろ過ユニット5を備える。
排水処理設備4は、工場等で生じる有機性排水(原水W0)を生物処理して、1次処理水W1を得る設備である。排水処理設備4は、ボイラシステム1を備える工場等に既に設置された既存の設備として設けられる。
回収ろ過ユニット5は、排水処理設備4で得られた1次処理水W1を回収してろ過し、ろ過した2次処理水W2を逆浸透膜装置で膜分離することにより3次処理水である透過水W3aを生成し、透過水W3aをボイラ装置3へ供給水として供給するユニットである。回収ろ過ユニット5は、既存の排水処理設備4及びボイラ装置3に対して付加的に接続されている。
ボイラシステム1においては、水道用水や工業用水から逆浸透膜装置のみを用いて、ボイラ装置3への供給水を生成するのではなく、排水から供給水を生成することにより、外部に放流される排水の量を減らすことが可能となる。
〔2.2 排水処理設備の構成〕
図2は、排水処理設備4の構成例を示す図である。排水処理設備4は、原水槽41と、流量調整槽42と、曝気槽43と、沈降槽44と、通水ラインL1〜L6と、ポンプP1〜P3と、ブロワB1,B2とを備える。
通水ラインL1は、工場等で生じた排水である原水W0を原水槽41に通水するラインである。原水槽41は、通水ラインL1から供給される原水W0を貯留する槽である。ポンプP1は、原水槽41に貯留されている原水W0を吸引して、通水ラインL2を通じて流量調整槽42に送るポンプである。
流量調整槽42は、原水槽41の後段に設置され、原水槽41から通水ラインL2を通じて供給される原水W0を貯留する槽である。流量調整槽42は、原水W0を貯留することで、後述する曝気槽43へ供給する原水W0の流量を調整する機能を有する。このような流量調整機能を有する流量調整槽42は、曝気槽43における原水W0の使用量の変動を吸収するように構成される。ブロワB1は、流量調整槽42に貯留されている原水W0を曝気するブロワである。流量調整槽42へ流入する原水W0の水質は変動するため、流量調整槽42内の原水W0が腐敗しないようにブロワB1の曝気により攪拌するものである。ポンプP2は、流量調整槽42に貯留されている原水W0を吸引して、通水ラインL3を通じて曝気槽43に送るポンプである。
曝気槽43は、流量調整槽42の後段に設置され、流量調整槽42から供給される原水W0を生物処理するための槽である。本実施形態の曝気槽43は、生物処理の中でも特に活性汚泥(図示せず)を用いた活性汚泥処理を行う槽として設けられる。ブロワB2は、曝気槽43に貯留されている原水W0を曝気するブロワである。曝気槽43では、ブロワB2による曝気と活性汚泥を組み合わせた処理を行うことにより、原水W0の活性汚泥処理が行われる。活性汚泥処理された原水W0は、有機物等が除去されて、1次処理水W1となる。通水ラインL4は、曝気槽43で得られた1次処理水W1を沈降槽44に通水するラインである。
沈降槽44は、曝気槽43の後段に設置され、曝気槽43から供給される1次処理水W1を貯留して不純物を沈降させる槽である。沈降槽44では、時間経過により不純物を沈降させて、不純物とそれを除く上澄み液への分離が行われる。沈降槽44で得られた上澄み液は、通水ラインL5を通じて下水放流される。
曝気槽43には、通水ラインL4とは別に、1次処理水W1を通水する通水ラインL6が接続されている。通水ラインL6は、曝気槽43内の1次処理水W1を排水処理設備4外部の回収ろ過ユニット5に通水するラインである。曝気槽43内に設けられたポンプP3は、曝気槽43内の1次処理水W1を吸引することにより、通水ラインL6を通じて、回収ろ過ユニット3に1次処理水W1を供給するポンプである。
排水処理設備4は、上記の構成により、工場等で生じる排水の原水W0を生物処理(本実施形態では活性汚泥処理)して1次処理水W1を得ると共に、得られた1次処理水W1を下水放流又は回収ろ過ユニット5へ提供するように構成される。排水としては、例えば、クリーニング工場において、衣類等の洗浄に用いられた排水等が挙げられる。このような排水には、有機物として、タンパク質や界面活性剤等が含まれることがある。
なお、上述した排水処理設備4内のポンプP1,P2及びブロワB1,B2の運転は、図示しない排水処理設備4に設けられた制御装置により制御及び管理される。一方、ポンプP3は、回収ろ過ユニット5が1次処理水W1を取り込むための機器であるので、ポンプP3の運転は、回収ろ過ユニット5に設けられた制御部56(後述)により制御及び管理される。
なお、上記の排水処理設備4の構成はあくまで一例であって、これには限定されない。
〔2.3 回収ろ過ユニットの構成〕
図3は、回収ろ過ユニット5の構成例を示す図である。回収ろ過ユニット5は、既存の排水処理設備4に付加的に接続されると共に、排水処理設備4から1次処理水W1の供給を受けることにより、排水処理設備4から1次処理水W1を回収するユニットである。回収ろ過ユニット5は、ろ過膜装置51と、タンク52と、逆浸透膜装置53と、シリカ濃度測定装置54と、電気伝導度測定装置55と、制御部56と、通水ラインL7〜L13と、ポンプP4,P5と、バルブV1−V3と、排水流量調整弁F1を備える。
ろ過膜装置51は、排水処理設備4から回収した1次処理水W1をろ過膜により膜ろ過分離して、2次処理水W2を得る装置である。本実施形態のろ過膜装置51は、膜分離槽57と、ろ過膜モジュール58と、ブロワB3とを備えて構成される。膜分離槽57は、排水処理設備4から回収した1次処理水W1を貯留する槽である。膜分離槽57内には、浸漬型のろ過膜モジュール58が備えられている。ろ過膜モジュール58は、膜分離槽57内の1次処理水W1を膜ろ過する膜である。本実施形態のろ過膜モジュール58としては、精密ろ過膜(MF膜)モジュール又は限外ろ過膜(UF膜)モジュールが用いられる。ブロワB3は、膜分離槽57に貯留されている1次処理水W1を曝気するブロワである。ポンプP4は、ろ過膜モジュール58を透過した2次処理水W2を吸引するポンプである。
上記の構成を有するろ過膜装置51では、ブロワB3による曝気とポンプP4による吸引を行うことで、膜分離槽57内において1次処理水W1の膜分離活性汚泥処理が行われる。膜分離活性汚泥処理された1次処理水W1は、生物分解されて、2次処理水W2となる。ポンプP4は、ろ過膜装置51で得られた2次処理水W2を吸引すると共に、通水ラインL7を通じて、吸引した2次処理水W2をタンク52に送る。
タンク52は、ろ過膜装置51の後段に接続され、ろ過膜装置51から通水ラインL7を通じて供給される2次処理水W2を貯留するタンクである。タンク52は、2次処理水W2を貯留することで、後述する逆浸透膜装置53へ供給する2次処理水W2の流量を調整する機能を有する。このような流量調整機能を有するタンク52は、逆浸透膜装置53における2次処理水W2の使用量の変動を吸収するように構成される。タンク52には、貯留されている2次処理水W2に通水するラインとして、通水ラインL7に加えて、2つの通水ラインL8,L9が接続されている。
通水ラインL8は、タンク52に貯留されている2次処理水W2に対して上水を供給するラインである。上水とは、飲料水等として供給されるように浄化処理が行われた水のことである。通水ラインL8を設ける目的は、後述するように、回収ろ過ユニット5から排水される水の水質を調整するためである。なお、後述する逆浸透膜モジュール53Aは、酸化剤により逆浸透膜が劣化するおそれがあるため、上水中の残留塩素は、活性炭等で除去しておくことが望ましい。
通水ラインL9は、回収ろ過ユニット5から排水される水をタンク52へ返送する返送ラインである。通水ラインL9を設ける目的は、後述するように、回収ろ過ユニット5からボイラ装置3へ提供する水の塩分濃度を調整するためである。
タンク52には更に、通水ラインL10が接続されている。通水ラインL10は、タンク52に貯留されている2次処理水W2を後段の逆浸透膜装置53に通水するラインである。通水ラインL10の途中に設けられたポンプP5は、タンク52に貯留されている2次処理水W2を吸引して、通水ラインL10を通じて逆浸透膜装置53に送るポンプである。ポンプP5は更に、下流側の逆浸透膜装置53における処理に必要な圧力を提供するように、2次処理水W2を逆浸透膜装置53側に対して加圧する機能を有する。
2次処理水W2が供給される逆浸透膜装置53は、逆浸透膜モジュール53Aにより2次処理水W2を膜分離し、3次処理水としての透過水W3a及び濃縮水W3bを得る装置である。逆浸透膜モジュール53Aでの膜分離に必要となる圧力は、上流側のポンプP5による加圧によって提供される。
逆浸透膜装置53には、通水ラインL11と通水ラインL12が接続されている。
通水ラインL11は、逆浸透膜装置53で得られた透過水W3a(3次処理水)をボイラ装置3へ通水するラインであり、ボイラ装置3に接続されている。通水ラインL11の途中には、シリカ濃度測定装置54、電気伝導度測定装置55、及び当該通水ラインL1の開閉を行うバルブV1が設けられている。
シリカ濃度測定装置54は、透過水W3aのシリカ濃度を測定する装置である。図4は、シリカ濃度測定装置54の構成例を示す図である。なお、出願人は、図4に記載のシリカ濃度測定装置を特願2013−222579号にて既に出願済みであるため、以下ではその概略について説明する。
シリカ濃度測定装置54は、モリブデンイエロー法(モリブデン黄吸光光度法)により透過水W3aのシリカ濃度を測定する装置である。図4に示すように、シリカ濃度測定装置54は、測定セル520と、試薬注入部530と、吸光度測定部の一部を構成する光学検出部540と、攪拌部550と、表示部560と、制御部510と、検査水導入ラインL111と、検査水排出ラインL112と、を備える。本明細書における「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
測定セル520は、シリカ濃度を測定する透過水W3aを収容する容器である。測定セル520は、不透明の樹脂材料により形成されている。測定セル520は、その側壁に一対の光透過窓521,522が形成されている。光透過窓521,522には、透明な板材571,572が嵌め込まれている。
検査水導入ラインL111は、測定セル520への透過水W3aの導入を行うラインである。検査水導入ラインL111は、図4に示すように、測定セル520の光透過窓521,522よりも下方の側壁に接続されている。検査水導入ラインL111は、測定セル520へ透過水W3aを導入する流路である。検査水導入ラインL111には、電磁弁523が設けられている。電磁弁523は、透過水W3aを採取する際に用いられる弁である。電磁弁523の開閉は、制御部510から出力される駆動信号により制御される。
検査水排出ラインL112は、測定セル520からの透過水W3a(試薬R1を含む)の排出を行うラインである。検査水排出ラインL112は、図4に示すように、測定セル520の光透過窓521,522よりも上方の側壁に接続されている。検査水排出ラインL112は、測定セル520から透過水W3aを排出する流路である。
試薬注入部530は、測定セル520の内部へ試薬R1を注入する設備である。試薬注入部530は、試薬R1を内部に保持しており、所望の量の試薬R1を測定セル520の内部に吐出して供給する。試薬R1には、透過水W3aに含まれるシリカと反応して、発色する呈色物質が配合されている。本実施形態では、モリブデンイエロー法によりシリカ濃度を測定しており、試薬としては、七モリブデン酸六アンモニウム及び無機酸を含む水溶液を用いる。本実施形態に好適な一液型の試薬水溶液の組成は、本願の出願人による特許第5169809号公報に詳細に開示されているため、当該特許文献を引用して詳細な説明を省略する。
試薬注入部530は、試薬カートリッジ531と、ローラポンプ機構532と、を備える。試薬カートリッジ531は、試薬R1が充填された試薬パック(不図示)と、試薬パックに一端側が接続され且つ他端にノズルを有する弾性チューブとからなる注入体(不図示)とが収納された容器である。
ローラポンプ機構532は、図4に示すように、測定セル520の上方に設けられている。ローラポンプ機構532の上部には、カートリッジ差込口533が設けられている。試薬カートリッジ531は、カートリッジ差込口533に着脱自在に装着される。
ローラポンプ機構532は、ローラポンプ534を備える。ローラポンプ534を駆動して、試薬カートリッジ531に収納された注入体の弾性チューブをしごくことにより、試薬パック内の試薬R1をノズルから測定セル520に向けて注入することができる。ローラポンプ534の駆動は、制御部510から出力される駆動信号により制御される。
光学検出部540は、試薬R1と共に攪拌された透過水W3aの吸光度を測定する設備である。光学検出部540は、図4に示すように、第1発光素子541と、第2発光素子542と、発光基板543と、第1受光素子544と、第2受光素子545と、受光基板546と、を備える。
第1発光素子541及び第2発光素子542は、発光基板543に実装されている。第1発光素子541及び第2発光素子542は、測定セル520の光透過窓521に向けて光を照射する素子である。第1発光素子541及び第2発光素子542は、それぞれ発光波長の異なるLED(発光ダイオード)により構成される。本実施形態においては、第1発光素子541は、低濃度のシリカ濃度を測定するために、375nmの波長(低濃度測定波長)の光を発光可能な発光素子である。第2発光素子542は、高濃度のシリカ濃度を測定するために、450nmの波長(高濃度測定波長)の光を発光可能な発光素子である。第1発光素子541及び第2発光素子542の点灯/消灯は、制御部510から出力される駆動信号により制御される。
第1受光素子544及び第2受光素子545は、受光基板546に実装されている。第1受光素子544及び第2受光素子545は、測定セル520の光透過窓522を通過した透過光を受光する素子である。第1受光素子544及び第2受光素子545は、フォトトランジスタにより構成される。第1受光素子544及び第2受光素子545は、受光した透過光量に対応した検出値信号を制御部510に出力する。
攪拌部550は、測定セル520の内部に収容された透過水W3a及び試薬R1を攪拌する設備である。図4に示すように、攪拌部550は、測定セル520の底部に設けられている。攪拌部550は、攪拌子551と、ステータコイル552と、を備える。攪拌子551は、測定セル520の底部に、回転可能に配置されている。ステータコイル552は、測定セル520の周囲を囲むようにリング状に形成された電磁誘導コイルである。ステータコイル552に駆動電流を供給すると、電磁誘導の作用により、測定セル520の底部に配置された攪拌子551が非接触で回転する。ステータコイル552の動作は、制御部510から供給される駆動電流により制御される。
表示部560は、測定した透過水W3aのシリカ濃度の測定値やシリカ濃度測定装置54の動作状況等を表示する装置である。表示部560は、液晶表示パネルにより構成される。
制御部510は、シリカ濃度測定装置54の動作を制御する装置である。制御部510は、第1発光素子541、第2発光素子542を制御する。制御部510は、第1受光素子544及び第2受光素子545からの出力を受信する。制御部510は、光学検出部540により検出された吸光度に基づいて、透過水W3aに含まれるシリカ成分の濃度を測定する。制御部510は、測定した透過水W3aのシリカ濃度の測定値を表示部560に表示させる。制御部510は、後述する検量線を、測定波長毎に内部のメモリに格納している。
制御部510は、低濃度のシリカ濃度を測定するために、吸光度測定部の一部を構成する吸光度算出部511と、変化量算出部512と、計時部513と、シリカ濃度検出部514と、を有する。
吸光度算出部511は、光学検出部540により検出された透過光量の検出値に基づいて、第1時間T1及び第2時間T2において、透過水W3aの吸光度を算出する。これにより、本実施形態においては、光学検出部540及び吸光度算出部511は、試薬R1が添加された透過水W3aにおける375nmの吸光度を測定する。
第1時間T1は、試薬R1が添加された直後の時間である。第1時間T1は、好ましくは、透過水W3aに試薬R1が添加されてから3分以内である。なお、第1時間T1は、規定量の試薬R1の添加を実行可能な範囲で、規定量の試薬R1の添加が完了された直後に近い時間が採用される。本実施形態においては、第1時間T1は、2分程度である。また、試薬R1の添加操作に要する時間がごく短時間の場合には、第1時間T1は、透過水W3aに試薬R1が添加された時間と同時である0分であってもよい。
第2時間T2は、透過水W3aと試薬R1との反応が終了した試薬反応終了時間である。第2時間T2は、透過水W3aと試薬R1との呈色反応がほぼ完結し、透過水W3aの発色が安定する時間であり、予め試験等により求められた時間であって、予め制御部510のメモリ(不図示)に記憶されている。本実施形態においては、第2時間T2は、試薬R1の添加が開始されてから、20分程度である。
計時部513は、第2時間T2を計時する。計時部513により計時された第2時間T2において、吸光度算出部511は、透過水W3aの吸光度を算出する。
変化量算出部512は、光学検出部540及び吸光度算出部511により測定される試薬R1が添加された透過水W3aの吸光度について、試薬R1が添加されてから第1時間T1経過後の透過水W3aの吸光度A1と、試薬R1が添加されてから第1時間T1よりも長い第2時間T2経過後の透過水W3aの吸光度A2との変化量、すなわち差分A2−A1を算出する。
シリカ濃度検出部514は、変化量算出部512により算出された吸光度の変化量(差分)に基づいて、シリカ濃度を検出する。具体的には、シリカ濃度検出部514は、算出された吸光度の変化量(差分)を透過水W3aの吸光度と見做し、この吸光度に対してシリカ濃度と吸光度との検量線を用いて透過水W3a中のシリカ濃度を求める。検量線は、予めシリカ標準液を用いてシリカ濃度と吸光度との関係線として作成されており、制御部510のメモリ(不図示)に記憶されている。本実施形態においては、メモリ(不図示)には、透過水W3aの吸光度とシリカ濃度との検量線として、透過水W3aと試薬R1との呈色反応が完結された状態で作成された検量線が記憶されている。
シリカ濃度測定装置54は、上記の構成を有することにより、透過水W3aのシリカ濃度を測定することが可能となる。シリカ濃度測定装置54によって測定される、透過水W3aのシリカ濃度が閾値を超えたことを検知することにより、後述のように電気伝導度を用いる場合に比較して、より早期に逆浸透膜装置53における膜劣化を検知することが可能となる。
なお、上記のシリカ濃度測定装置54の構成はあくまで一例であって、これには限定されない。
図3において、電気伝導度測定装置55は、透過水W3aの電気伝導度を測定する装置である。測定された電気伝導度に基づいて、逆浸透膜装置53におけるEC除去率(電気伝導度除去率)を算出することが可能であるが、このEC除去率(電気伝導度除去率)が低いほど、逆浸透膜装置53における膜劣化の度合いが高いと判定することが可能である。すなわち、電気伝導度測定装置55によって測定される電気伝導度を閾値と比較することにより、逆浸透膜装置53における膜劣化の度合いを判定することが可能である。
バルブV1は、通水ラインL11の開閉を行うバルブである。バルブV1は、後述の制御部56と通信し、制御部56から制御されることにより、通水ラインL11の開閉を行う。
通水ラインL12は、逆浸透膜装置53で得られた濃縮水W3bを通水(排水)するラインである。通水ラインL12は、濃縮水W3bの一部を排水するように回収ろ過ユニット5の外部に接続される。通水ラインL12の途中には、接続点J1にて分岐する通水ラインL13が接続されている。通水ラインL13は、前述したタンク52とポンプP5の間における通水ラインL10の途中に接続されており、濃縮水W3bの残部を通水ラインL10中の2次処理水W2に供給可能に構成される。これにより、通水ラインL13は、濃縮水W3bの残部を逆浸透膜装置53へ還流する還流ラインとして機能する。通水ラインL13の途中には、通水ラインL10の上流側に還流させる濃縮水W3bの流量を調節するバルブV2が設けられている。
上述した通水ラインL10−L13、ポンプP5及び逆浸透膜モジュール53Aを備える装置として、逆浸透膜装置53が構成されている。
接続点J1よりも下流側の通水ラインL12の途中には、外部に排水させる濃縮水W3bの流量を調節する排水流量調整弁F1が設けられている。排水流量調整弁F1は、後述の制御部56によって弁開度が制御されることにより、外部に排水させる濃縮水W3bの流量を調整する。
排水流量調整弁F1よりも下流側の通水ラインL12の途中には、接続点J2にて分岐する前述した通水ラインL9が接続されている。通水ラインL9は、濃縮水W3bをタンク52内の2次処理水W2へ戻すように通水するラインである。塩分濃度の高い濃縮水W3bを2次処理水W2に返送可能とすることで、通水ラインL9は、3次処理水の塩分濃度を調整する機能を有する。通水ラインL9の途中には、当該ラインの開閉を行うバルブV3が設けられている。
最終的に、通水ラインL12は、通水ラインL9との接続箇所よりも下流側にて濃縮水W3bを排水するように設けられている。
図5は、制御部56の機能を示す機能ブロック図である。制御部56は、CPU、ROM、RAM、CMOSメモリ等を有し、これらはバスを介して相互に通信可能に構成される、当業者にとって公知のものである。
CPUは回収ろ過ユニット5を全体的に制御するプロセッサである。該CPUは、ROMに格納された各種プログラムを、バスを介して読み出し、該各種プログラムに従って逆回収ろ過ユニット5の全体を制御すると共に、警報部561、逆浸透膜装置制御部562、及び動作停止部563としての機能を実現するように構成される。RAMには一時的な計算データや表示データ等の各種データが格納される。CMOSメモリは図示しないバッテリでバックアップされ、回収ろ過ユニット5の電源がオフされても記憶状態が保持される不揮発性メモリとして構成される。
警報部561は、シリカ濃度測定装置54によって測定された透過水W3aのシリカ濃度が第1の閾値を超えたとき、警報装置(不図示)を用いて警報を発報する。これにより、従来技術よりも早期に逆浸透膜の劣化を検知し、排水再利用装置2の管理者に注意を喚起することが可能となる。この第1の閾値としては、1次処理水W1から抜き取った被処理水中のシリカ濃度と逆浸透膜装置53で運転する濃縮倍率によって決まる濃縮水W3b中のシリカ濃度の大小によっても変化するが、たとえば濃縮水W3b中のシリカ濃度が100ppm程度である場合には、シリカ濃度測定装置54の検出限界である0.5ppmから、2ppmまでの値を用いるとよい。
逆浸透膜装置制御部562は、シリカ濃度測定装置54によって測定された透過水W3aのシリカ濃度が第1の閾値を超えたとき、逆浸透膜装置53での回収率を下げる制御を実行する。より具体的には、逆浸透膜装置制御部562は、例えば、排水流量調整弁F1の開度を高め、排水としての濃縮水W3bの排水量を高めることにより、逆浸透膜装置53での回収率を下げることが可能である。これにより、透過水W3aの水量を減らして、逆浸透膜に掛る負担を減らすと共に、透過水W3aの利用先での安全性を高めることが可能となる。
動作停止部563は、シリカ濃度測定装置54によって測定された透過水W3aのシリカ濃度が第1の閾値を超えた後、電気伝導度測定装置55によって測定された透過水W3aの電気伝導度が第2の閾値を超えたとき、排水再利用装置2の動作を停止する。電気伝導度に基づいた逆浸透膜の劣化、延いては起泡性有機物や界面活性剤のリークの可能性の検知は、シリカ濃度に基づいて検知した場合よりも遅く検知される分、逆浸透膜の劣化や起泡性有機物や界面活性剤のリークの可能性がより高いことが推察されるが、この場合に排水再利用装置の動作を停止することにより、より安全に排水再利用装置を使用することが可能となる。
この第2の閾値としては、1次処理水W1から抜き取った被処理水中のシリカ濃度と逆浸透膜装置53で運転する濃縮倍率によって決まる濃縮水W3b中の電気伝導率の大小によっても変化するが、たとえば濃縮水W3b中の電気伝導率が1000μS/cm程度である場合には、電気伝導度測定装置55の測定値として10−20μS/cmの値を用いるとよい。
回収ろ過ユニット5は、上述した構成により、排水処理設備4で得られた1次処理水W1を回収してろ過し、ろ過した水(3次処理水としての透過水W3a)をボイラ装置3への供給水として供給するように構成される。
なお、上記の回収ろ過ユニット5のポンプP4,P5、バルブV1〜V3、排水流量調整弁F1、ブロワB3、シリカ濃度測定装置54と、電気伝導度測定装置55の運転は、制御部56により制御及び管理される。
回収ろ過ユニット5は、上述した構成により、排水処理設備4で得られた1次処理水W1を回収してろ過し、ろ過した水(3次処理水としての透過水W3a)をボイラ装置3への供給水として供給するように構成される。
なお、上記の回収ろ過ユニット5の構成はあくまで一例であって、これには限定されない。
〔2.4 ボイラ装置の構成〕
図6は、ボイラ装置3の構成例を示す図である。ボイラ装置3は、図6に示すように、缶体320と、蒸気圧測定部330と、水位検知部331と、コントロールバルブ33と、給水ポンプ34と、気水分離部35と、排水部36と、制御部37と、を備える。
缶体320は、図6に示すように、ボイラ筐体321と、複数の水管322と、下部ヘッダ323と、上部ヘッダ324と、燃焼室325と、燃焼部326と、を備える。
ボイラ筐体321は、缶体320の外形を構成する。
複数の水管322は、ボイラ筐体321の内部に上下方向に延びて配置される。
下部ヘッダ323は、ボイラ筐体321の下部に配置される。下部ヘッダ323には、複数の水管322の下端部が接続される。
上部ヘッダ324は、ボイラ筐体321の上部に配置される。上部ヘッダ324には、複数の水管322の上端部が接続される。
燃焼室325は、複数の水管322に囲まれた空間により構成される。燃焼室325は、これら水管322と燃焼部326からの燃焼ガス(炎及び排気ガス)とを熱交換させる。
燃焼部326は、燃焼室325の上方に配置され、段階的な複数の燃焼位置で燃焼することにより缶体320の内部を加熱する。燃焼部326は、燃料噴射ノズル及び空気供給ノズル(いずれも図示せず)を含んで構成される。燃焼部326は、燃料噴射ノズルから燃料を缶体320の燃焼室325に向けて噴射すると共に、空気供給ノズルから空気を缶体320の燃焼室325に供給して、燃料を燃焼させる。
本実施形態では、各燃焼位置における燃焼部326の燃焼量は、高燃焼位置における燃焼を100%とした場合、中燃焼位置における燃焼が50%、低燃焼位置における燃焼が20%となるように設定されている。
蒸気圧測定部330は、ボイラ装置3の上部ヘッダ324の内部の蒸気圧(「ヘッダ蒸気圧」という)を測定する。蒸気圧測定部330で測定されたヘッダ蒸気圧は、制御部37へ測定信号として送信される。
水位検知部331は、水管322に貯留される缶水W32の水位を検出する。水位検知部331で検出された缶水W32の水位は、制御部37へ検出信号として送信される。
コントロールバルブ33は、通水ラインL11から流れてくる透過水W3aの流路を、給水ラインL21と迂回ラインL22との間で切り替える流路切替手段である。なお、流路切替手段として、コントロールバルブ33の代わりに複数のバルブを用いてもよい。
給水ポンプ34は、通水ラインL11を介して水を吸入し、給水ラインL21を流通する透過水W3aをボイラ筐体321に向けて送出する。給水ポンプ34にはインバータ(不図示)が設けられ、透過水W3aの水量を調整可能としている。また、給水ポンプ34が透過水W3aをボイラ筐体321に送り出すタイミングとその給水量は、制御部37から送信される制御信号により制御される。
気水分離部35は、上部ヘッダ324から蒸気取出ラインL34を介して導入された蒸気SM1を、乾き蒸気SM2と水分(以下「分離水W34」ともいう)とに分離する装置である。なお、気水分離部35により分離される分離水W34は、缶水W32の一部でもある。
排水部36は排水量を調整することで、ブロー率の設定を行う。排水部36は、例えば、ブローラインL33に並列に設けられた複数のブロー弁360(360A及び360B)を備えるように構成することができる。ブロー弁360A、ブロー弁360Bは、制御部37により、それぞれ個別に制御される。
制御部37は、蒸気圧測定部330から受信するヘッダ蒸気圧に基づいて、燃焼部326の燃焼位置を制御する。また、制御部37は、燃焼部326の燃焼位置及び水位検知部331から受信する缶水W32の水位等に基づいて、給水ポンプ34の給水量を調整する。また、制御部37は、排水部36のブロー弁360の開閉を制御することによって濃縮ブロー量を調整する。
また、ボイラ装置3は、給水ラインL21と、迂回ラインL22と、燃料供給ラインL32と、ブローラインL33と、蒸気取出ラインL34と、蒸気送出ラインL35と、降水ラインL36と、を備える。本明細書における「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
給水ラインL21は、ボイラ装置3への給水としての透過水W3aをボイラ筐体321に供給するラインである。給水ラインL21には、給水ポンプ34が設けられている。
迂回ラインL22は、通水ラインL11からの透過水W3aをボイラ筐体321に供給せず、ボイラ筐体321を回避するように、透過水W3aを迂回させるラインである。
燃料供給ラインL32は、燃焼部326により燃焼される燃料Fを燃焼部326に供給するラインである。燃料供給ラインL32には、燃料供給弁392が設けられている。燃料供給弁392における弁体の開閉は、制御部37からの制御信号により制御される。
ブローラインL33は、降水ラインL36を流通する分離水W34を、接続部J31を介して、缶体320の外部に排出するラインである。ブローラインL33には、ブロー弁360(360A及び360B)が設けられている。ブロー弁360における弁体の開閉は、制御部37からの制御信号により制御される。
蒸気取出ラインL34は、生成された蒸気SM1を、ボイラ筐体321から取り出して、気水分離部35に導入させるラインである。
蒸気送出ラインL35は、気水分離部35により分離された乾き蒸気SM2を、蒸気ヘッダ350に向けて送り出すラインである。蒸気送出ラインL35には、蒸気弁395が設けられている。
蒸気ヘッダ350は、ボイラ装置3からの蒸気を集合させて、集合した蒸気SM3を負荷機器(不図示)に供給する設備である。
降水ラインL36は、気水分離部35により分離された分離水W34を、ボイラ筐体321の下部ヘッダ323に向けて流下させるラインである。接続部J31には、ブローラインL33の上流側の端部が接続されている。
図7は、制御部37の機能を示す機能ブロック図である。制御部37は、CPU、ROM、RAM、CMOSメモリ等を有し、これらはバスを介して相互に通信可能に構成される、当業者にとって公知のものである。
CPUはボイラ装置3を全体的に制御するプロセッサである。該CPUは、ROMに格納された各種プログラムを、バスを介して読み出し、該各種プログラムに従ってボイラ装置3の全体を制御すると共に、ブロー率調整部371、及び流路制御部372としての機能を実現するように構成される。RAMには一時的な計算データや表示データ等の各種データが格納される。CMOSメモリは図示しないバッテリでバックアップされ、ボイラ装置3の電源がオフされても記憶状態が保持される不揮発性メモリとして構成される。
なお、制御部37は、回収ろ過ユニット5の制御部56と通信することにより、シリカ濃度測定装置54によって測定された透過水W3aのシリカ濃度、及び、電気伝導度測定装置55によって測定された透過水W3aの電気伝導度を取得することが可能である。
ブロー率調整部371は、シリカ濃度測定装置54によって測定された透過水W3aのシリカ濃度が第1の閾値を超えた場合に、排水部36を制御することにより、ボイラ装置3からの排水の流量を高め、ボイラ装置3のブロー率を上昇させる。これにより、透過水W3aへの起泡性有機物や界面活性剤のリークが懸念される場合、ボイラ装置3のブロー率を上げて、ボイラ装置3への給水に対するボイラ装置3からの排水の度合いを高め、ボイラ装置3から起泡性有機物や界面活性剤の含有が懸念される処理水を排出することにより、より安全にボイラ装置3を使用することが可能となる。
流路制御部372は、シリカ濃度測定装置54によって測定された透過水W3aのシリカ濃度が第1の閾値よりも高い第3の閾値を超えた場合に、コントロールバルブ33を制御することにより、透過水W3aがボイラ筐体321を回避するように、透過水W3aを迂回させる。これにより、透過水W3aへの起泡性有機物や界面活性剤のリークの可能性がより高まった場合、透過水W3aをボイラに流通させないことにより、より安全にボイラを使用することが可能となる。
この第3の閾値は、ボイラ蒸気の用途、排水中に含まれる界面活性剤成分等によって適宜設定され、例えば、あらかじめボイラ蒸気中に界面活性物質等の不純物が混入する不適となる場合のシリカ濃度を把握しておき、その濃度を持って第3の閾値とする。また、第3の閾値は第1の閾値より大きく設定されるため、例えば第1の閾値が0.5−2ppmの場合、第3の閾値は1−5ppm程度に設定される。
なお、透過水W3aのシリカ濃度が第3の閾値を超えたため、透過水W3aがボイラ筐体321を回避するように迂回させた場合、迂回させた透過水W3aは、例えば工場内の清掃水(トイレや床などの洗浄水)など別用途に用いるものとする。
ボイラ装置3は、上記の構成により、回収ろ過ユニット5から供給される透過水W3aをボイラ装置3への給水として安全に利用する。
なお、上記のボイラ装置3の構成はあくまで一例であって、これには限定されない。
〔3 実施形態の動作〕
〔3.1 第1の動作〕
本実施形態に係る排水再利用装置2、及び排水再利用装置2を備えるボイラシステム1の動作について、図8及び図9を参照することにより説明する。
図8は、排水再利用装置2の動作であって、主として回収ろ過ユニット5の制御部56の制御に基づく第1の動作を示すフローチャートである。
ステップS11において、シリカ濃度測定装置54が透過水W3aのシリカ濃度を測定する。
ステップS12において、測定したシリカ濃度が第1の閾値を越える場合(S12:YES)には、処理はステップS13に移行する。測定したシリカ濃度が第1の閾値以下の場合(S12:NO)には、処理はステップS11に移行する。
ステップS13において、警報部561は、警報装置(不図示)を用いて警報を発報する。
ステップS14において、逆浸透膜装置制御部562は、逆浸透膜装置53における回収率を下げるよう、例えば排水流量調整弁F1の開度を大きくする。
なお、ステップS13及びステップS14の処理は、双方の処理を実行しても、いずれか一方の処理のみを実行してもよい。
ステップS15において、電気伝導度測定装置55は、透過水W3aの電気伝導度を測定する。
ステップS16において、測定された電気伝導度が第2の閾値を越える場合(S16:YES)には、処理はステップS17に移行する。測定された電気伝導度が第2の閾値以下の場合(S16:NO)には、処理はステップS11に移行する。
ステップS17において、動作停止部563は、排水再利用装置2の動作を停止する。
〔3.2 第2の動作〕
図9は、ボイラシステム1の動作であって、主としてボイラ装置3の制御部37の制御に基づく第2の動作を示すフローチャートである。
ステップS21において、シリカ濃度測定装置54が透過水W3aのシリカ濃度を測定する。
ステップS22において、測定されたシリカ濃度が第1の閾値を超える場合には、処理はステップS23に移行する。測定されたシリカ濃度が第1の閾値以下の場合には、処理はステップS21に移行する。
ステップS23において、測定されたシリカ濃度が第1の閾値よりも高い第3の閾値を超える場合には、処理はステップS24に移行する。測定されたシリカ濃度が第3の閾値以下の場合には、処理はステップS25に移行する。
ステップS24において、流路制御部372は、通水ラインL11からの透過水W3aがボイラ装置3を迂回するように、流路切替手段であるコントロールバルブ33を制御する。
ステップS25において、ブロー率調整部371は、ボイラ装置3のブロー率を上げるように、排水部36を制御する。
〔4 実施形態が奏する効果〕
上記の実施形態に係る排水再利用装置2、及び排水再利用装置2を備えるボイラシステム1によれば例えば以下の効果が得られる。
排水再利用装置2は、排水処理設備4から回収される1次処理水から、ろ過膜によって懸濁物質を除去することにより2次処理水を生成するろ過膜装置51と、2次処理水を逆浸透膜で膜分離することにより3次処理水を生成する逆浸透膜装置53と、逆浸透膜装置53の出口で、3次処理水のシリカ濃度を測定するシリカ濃度測定装置54と、シリカ濃度が第1の閾値を超えた場合に、警報を発報する警報装置とを備える。
従来技術においては、逆浸透膜の劣化を電気伝導度によって検知していた。しかし、逆浸透膜でのリークがある場合、処理水中のシリカ濃度の変化を電気伝導度の変化に先んじて検知することが可能であるため、従来技術よりも早期に逆浸透膜の劣化を検知することが可能となる。
また、排水再利用装置2は、シリカ濃度が第1の閾値を超えた場合に、逆浸透膜装置53での回収率を下げる逆浸透膜装置制御部562を更に備える。
シリカ濃度が第1の閾値を超えたために逆浸透膜の劣化が検知された場合に、逆浸透膜装置での回収率を下げて透過水(3次処理水)の水量を減らすことにより、逆浸透膜に掛る負担を減らすと共に、透過水(3次処理水)の利用先での安全性を高めることが可能となる。
また、排水再利用装置2は、3次処理水の電気伝導度を測定する電気伝導度測定装置55と、電気伝導度が第2の閾値を超えた場合に排水再利用装置2の動作を停止する動作停止部563とを更に備える。
電気伝導度に基づいた逆浸透膜の劣化、延いては起泡性有機物や界面活性剤のリークの可能性の検知は、シリカ濃度に基づいて検知した場合よりも遅く検知される分、逆浸透膜の劣化や起泡性有機物や界面活性剤のリークの可能性がより高いことが推察されるが、この場合に排水再利用装置の動作を停止することにより、より安全に排水再利用装置を使用することが可能となる。
また、ボイラシステム1は、排水再利用装置2と、3次処理水を給水として利用するボイラ装置3と、シリカ濃度が第1の閾値を超えた場合に、ボイラ装置3のブロー率を上げるブロー率調整部371とを備える。
シリカ濃度が第1の閾値を超えたために逆浸透膜の劣化が検知され、透過水W3a(3次処理水)への起泡性有機物や界面活性剤のリークが懸念される場合、ボイラ装置3のブロー率を上げて、ボイラ装置3への給水に対するボイラ装置3からの排水の度合いを高め、ボイラ装置3から起泡性有機物や界面活性剤の含有が懸念される処理水を排出することにより、より安全にボイラ装置3を使用することが可能となる。
また、ボイラシステム1は、シリカ濃度が第1の閾値よりも高い第3の閾値を超えた場合に、3次処理水がボイラ装置3を回避するように3次処理水の流路を制御する流路制御部372を更に備える。
シリカ濃度が第1の閾値よりも高い第3の閾値を超えたために、透過水(3次処理水)への起泡性有機物や界面活性剤のリークの可能性がより高まった場合、透過水(3次処理水)をボイラに流通させないことにより、より安全にボイラを使用することが可能となる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
〔5 変形例〕
例えば、回収ろ過ユニット5は、通水ラインL9及び/又は通水ラインL13を備えず、通水ラインL12を流通する濃縮水W3bは、通水ラインL10やタンク52に返送されなくてもよい。