JP7479091B1 - 水処理システム及び水処理方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1には逆浸透膜式のろ過装置を備えた飲料水の自動販売機が記載されている。
ろ過膜を利用するろ過装置を自動販売機や家庭用浄水器のような水処理の規模が比較的小さいシステムに適用する際は、ろ過装置を常時運転させるのではなく、休止期間を設けて間欠的に運転させるのが消費電力節約等の観点から望ましい。しかしながら、ろ過装置を間欠的に運転させた場合、ろ過開始後に得られるろ過水の不純物濃度は、ろ過装置を常時運転させた場合に得られるろ過水の不純物濃度よりも高くなる場合がある。
そこで本開示は、ろ過装置を間欠的に運転させた場合にも高い再生率で高純度のろ過水が得られる水処理システム及び水処理方法を提供することを課題とする。
<1>原水を透過水と濃縮水とに分離するろ過膜を含むろ過部と、
前記ろ過部に原水を供給する供給部と、
前記ろ過部から取り出される透過水を貯留する貯留部と、
前記ろ過部と前記貯留部との間に設けられ、ろ過部から取り出される透過水の一部を前記供給部に移送する移送ラインと、を備え、
前記移送ラインは、ろ過部の運転開始直後にろ過部から取り出される透過水を供給部に移送する、水処理システム。
<2>前記移送ラインは、ろ過部から取り出される透過水の不純物濃度が基準値以下となり、かつ不純物濃度が一定となるまで透過水の移送を実施する、<1>に記載の水処理システム。
<3>前記ろ過部は、運転開始直後にろ過部から取り出される透過水の不純物濃度が基準値を超えた状態で一定になる場合は運転を停止する、<1>又は<2>に記載の水処理システム。
<4>前記移送ラインにより移送される透過水の量は、ろ過部の容量の25体積%~1000体積%である、<1>~<3>のいずれか1項に記載の水処理システム。
<5>前記ろ過部から取り出される濃縮水を供給部に移送する移送ラインをさらに備える、<1>~<4>のいずれか1項に記載の水処理システム。
<6>ろ過膜を用いて原水を透過水と濃縮水とに分離するろ過工程と、
透過水の一部を原水と混合する混合工程と、を備え、
原水と混合される透過水は、ろ過の開始直後に得られる透過水である、水処理方法。
<7>前記混合工程は、原水と混合される透過水の不純物濃度が基準値以下となり、かつ不純物濃度が一定となるまで実施される、<6>に記載の水処理方法。
<8>前記ろ過工程は、原水と混合される透過水の不純物濃度が基準値を超えた状態で一定になる場合は停止される、<6>又は<7>に記載の水処理方法。
<9>前記原水と混合される透過水の量は、ろ過膜を含むろ過装置の容量の25体積%~1000体積%である、<6>~<8>のいずれか1項に記載の水処理方法。
<10>前記ろ過工程で得られる濃縮水を原水と混合する工程をさらに備える、<6>~<9>のいずれか1項に記載の水処理方法。
本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値または下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値または下限値に置き換えてもよく、また、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示の水処理システムは、
原水を透過水と濃縮水とに分離するろ過膜を含むろ過部と、
前記ろ過部に原水を供給する供給部と、
前記ろ過部から取り出される透過水を貯留する貯留部と、
前記ろ過部と前記貯留部との間に設けられ、ろ過部から取り出される透過水の一部を前記供給部に移送する移送ラインと、を備え、
前記移送ラインは、ろ過部の運転開始直後にろ過部から取り出される透過水を供給部に移送する、水処理システムである。
時間tは、ろ過部の運転開始から時間tが経過した後にろ過部から取り出される透過水の不純物濃度が所定の基準値以下となるように設定することが好ましい。
時間tを設定する際の指標は、水処理システムの処理能力、ろ過膜の使用日数、水処理システムの使用に関するパターンを考慮して設定してもよい。
水処理システムの使用に関するパターンとして具体的には、ユーザーの属性(人数、男女比、年齢等)、生活習慣、生活態様、嗜好、飼育ペットの有無や種類などが挙げられる。
(1)電気伝導度(Electrical Conductivity、EC)、pH、酸化還元電位、アルカリ度、イオン濃度、硬度
(2)濁度、色度、粘度、溶存酸素量
(3)臭気度、アンモニア態窒素、硝酸態窒素、亜硝酸態窒素、全窒素、残留塩素、全リン、全有機炭素、全無機炭素又は全トリハロメタンの量
(4)微生物センサの検知結果、化学的酸素要求量、生物学的酸素要求量
(5)シアン、水銀、油分又は界面活性剤の量
(6)光学センサの検知結果、TDS(Total Dissolved Solids)センサの検知結果
(7)質量分析結果、微粒子の量、ゼータ電位、表面電位
上記指標の中でも、簡便性の観点からは電気伝導度、濁度、色度、臭気度及び粘度が好ましい。
より詳細には、間欠的に運転されるろ過部から取り出される透過水の不純物濃度は、ろ過部の運転開始から時間の経過とともに不純物濃度が上昇する第1段階、不純物濃度が下降する第2段階、及び不純物濃度が一定になる第3段階をこの順に含む変動パターンを示す傾向にある。
図2に示すように第3段階における不純物濃度があらかじめ設定した基準値(この例では電気伝導度100μS/cmとする)以下であると、ろ過部から取り出される透過水を貯留部に移送しても貯留部における不純物濃度が充分に低い状態を維持することができる。したがって、第3段階に移行するろ過水移送終了時(Tt)まで透過水の移送を実施することが好ましい。
一方、図3に示すように第3段階における不純物濃度が基準値(この例では電気伝導度500μS/cmとする)を超えていると、ろ過部から取り出される透過水を貯留部に移送すると貯留部における不純物濃度が高まるおそれがある。したがって、ろ過停止時(Tt)においてろ過部の運転そのものを停止することが好ましい。
以上の観点から、水処理システムは、ろ過部から取り出される透過水の不純物濃度を監視する監視部と、監視部による不純物濃度の監視結果又は監視結果から導かれる不純物濃度の変動パターンに基づいて移送ラインの運転を制御する制御部と、を備えることが好ましい。
ろ過部が上述の場合に運転を停止、または透過水を系外へ排出することで、貯留部に貯留される透過水の不純物濃度をより確実に管理でき、循環型の水処理システムの利用者に安全な水を提供することができる。
以上の観点から、水処理システムは、ろ過部から取り出される透過水の不純物濃度を監視する監視部と、監視部による不純物濃度の監視結果に基づいてろ過部の運転を制御する制御部と、を備えることが好ましい。
具体的には、ろ過水をトイレ用水として使用する場合は、ろ過水の電気伝導度を500μS/cm以下となるように設定してもよい。ろ過水を家庭で一般的に使用される用途(食器洗い、洗濯、入浴、手洗い等)としては、ろ過水の電気伝導度を250μS/cm以下、又はより好ましくは100μS/cm以下になるように設定してもよい。
上記指標の中でも、簡便性の観点からは電気伝導度、濁度、色度、臭気度及び粘度が好ましい。
水処理システムの稼働効率の観点からは、上記戻し率は1000体積%以下であることが好ましく、750体積%以下であることがより好ましく、500体積%以下であることがさらに好ましい。上記戻し率はろ過部の容量の25体積%~1000体積%(すなわち、ろ過部の容量の0.25倍~10倍)、又は100体積%~500体積%(すなわち、ろ過部の容量の1倍~5倍)であってもよい。
透過水の戻し率は、ろ過部から取り出される透過水の不純物濃度の監視結果又は監視結果から導かれる不純物濃度の変動パターンを記録し、当該記録に基づいて設定してもよい。
例えば、水処理システムの利用環境下において学習したろ過部から取り出される透過水の不純物濃度の過去の第1段階~第3段階での変動パターンに基づいて、移送ラインによって移送されるべき透過水の量Qをあらかじめ設定し、ろ過部の運転の開始と同時に移送ラインによる透過水の移送を開始し、移送された透過水の量が設定値Qに達したときに移送ラインによる透過水の移送を停止する方法が挙げられる。
あるいは、移送ラインによって移送されるべき量の透過水の移送に要する時間Tをあらかじめ設定し、ろ過部の運転の開始と同時に移送ラインによる透過水の移送を開始し、移送開始からの経過時間が設定値Tに達したときに移送ラインによる透過水の移送を停止する方法が挙げられる。
移送ラインによる透過水の移送量又は移送時間が設定値に達したか否かを判断するための手段は特に制限されず、積算流量計、流速計、タイマー(ろ過流量が一定の場合等)などを使用できる。
移送ラインの操作の制御は、例えば、コンピュータ等の演算処理機能を持つ装置を用いて行うことができる。
図1に示す水処理システム10は、ろ過膜を含むろ過部1と、ろ過部1に原水を供給する供給部2と、ろ過部から取り出される透過水を貯留する貯留部3と、ろ過部1と貯留部3との間に設けられ、ろ過部1から取り出される透過水の一部を供給部2に移送する移送ラインAと、を備えている。図中の矢印は、水処理システム内の水の移送方向を示す。
ろ過部1に含まれるろ過膜の種類は特に制限されず、逆浸透膜(RO膜)、ナノろ過膜(NF膜)、限外ろ過膜(UF膜)、精密ろ過膜(MF膜)等から選択できる。不純物の除去性能の観点からは、ろ過膜としては逆浸透膜及びナノろ過膜が好ましく、逆浸透膜がより好ましい。
供給部2が排水を原水として回収及び貯留する機能を備えることで、ろ過水の再利用が可能となり、循環式の水処理システムを構築できる。
供給部2が原水の前処理を行う機能を備えることで、原水からの不純物の除去性能をより高めることができ、より効率的に高純度のろ過水を得ることができる。また、ろ過膜の寿命を長くすることができる。
供給部2が生物処理機能を備える場合、生物処理の方式は特に制限されず、活性汚泥法などの公知の方式であってよい。特に、生物処理の対象物が生活排水である場合は、微生物の活動に必要な栄養源(窒素化合物、リンなど)が不足して処理効率が低下しやすい。このため、ろ過部の運転開始直後にろ過部から取り出される透過水を供給部へ移送して、微生物の栄養源として供してもよい。これにより、微生物の活性が良好に維持され、より効率的かつ高度な水再生率が実現する。
副次ろ過の種類は特に制限されず、水処理システムの用途に応じて選択できる。水処理システムによる不純物の除去効率を高める観点からは、副次ろ過部はろ過部におけるろ過とは異なる作用機構(活性炭への吸着、イオン交換等)を利用するものであることが好ましい。
その他の機構としては、利用後の排水を貯留する排水調整槽、生物処理槽、生物処理後ンの原水を貯留する処理水貯留槽、副次ろ過を経た原水を貯留する中間槽等が挙げられる。
例えば、移送ラインAは図1に示すようにろ過部1と貯留部3とを連結するラインから分岐した状態であってもよく、ろ過部1と貯留部3とを連結するラインとは独立した状態であってもよい。
移送ラインBは、ろ過部1でろ過されなかった水(濃縮水)を供給部2に戻す。供給部2に戻された濃縮水は原水と混合され、ろ過部1に移送されて再びろ過される。
移送ラインBを備える水処理システム10は、ろ過部1で生じた濃縮水を単に廃棄する場合に比べて節水能力に優れ、水の再生率向上に寄与している。
原水の処理効率の観点からは、移送ラインBは不純物濃度が相対的に高い原水を含む槽に濃縮水を戻すことが好ましい。水処理システムが生活排水を処理する場合は、移送ラインBは排水調整槽又は生物処理槽に濃縮水を戻すことが好ましい。この場合、濃縮水を生物処理に関わる微生物の活性維持に必要な無機質の供給源として利用できる。
移送ラインCにより移送される透過水は、例えば、ろ過膜を含むろ過部の洗浄用水として利用される。
例えば、本開示の水処理システムは、ろ過部から貯留部に移送される前の透過水の後処理を行う機構を備えてもよい。
透過水の後処理を行う機構の種類は特に制限されない。例えば、上述したようなろ過部におけるろ過とは異なる作用機構(活性炭への吸着、イオン交換等)を利用してもよい。
例えば、本開示の水処理システムの規模は、一日あたりの処理水量が1m3~1000m3であってもよい。
本開示の水処理方法は、
ろ過膜を用いて原水を透過水と濃縮水とに分離するろ過工程と、
透過水の一部を原水と混合する混合工程と、を備え、
原水と混合される透過水は、ろ過の開始直後に得られる透過水である、水処理方法である。
時間tは、ろ過の開始から時間tが経過した後にろ過装置から取り出される透過水の不純物濃度が所定の基準値以下となるように設定することが好ましい。
時間tを設定する際の指標は、水処理方法の処理能力、ろ過膜の使用日数、水処理方法の実施に関するパターンを考慮して設定してもよい。
水処理方法の実施に関するパターンとして具体的には、ユーザーの属性(人数、男女比、年齢等)、生活習慣、生活態様、嗜好、飼育ペットの有無や種類などが挙げられる。
水処理方法は、例えば、ろ過装置から取り出される透過水の不純物濃度を監視する監視工程と、監視工程における不純物濃度の監視結果に基づいて混合工程の実施を制御する制御工程と、を備えることが好ましい。
ろ過工程を上述の場合に運転を停止することで、水処理を経た透過水の不純物濃度をより確実に管理することができる。
水処理方法は、例えば、ろ過装置から取り出される透過水の不純物濃度を監視する監視工程と、監視工程における不純物濃度の監視結果又は監視結果から導かれる不純物濃度の変動パターンに基づいてろ過工程の実施を制御する制御工程と、を備えることが好ましい。
透過水の不純物濃度の基準値は、本開示の水処理システムにおける透過水の不純物濃度の基準値の設定に使用されうる上述した指標のうち1つ又は2つ以上の組み合わせを用いて設定してもよい。
上記指標の中でも、簡便性の観点からは電気伝導度、濁度、色度、臭気度及び粘度が好ましい。
混合工程又はろ過工程の実施の制御は、例えば、コンピュータ等の演算処理機能を持つ装置を用いて行うことができる。
原水の処理効率の観点からは、上記戻し率は1000体積%以下であることが好ましく、750体積%以下であることがより好ましく、500体積%以下であることがさらに好ましい。上記戻し率はろ過装置の容量の25体積%~1000体積%(すなわち、ろ過装置の容量の0.25倍~10倍)、又は100体積%~500体積%(すなわち、ろ過装置の容量の1倍~5倍)であってもよい。
透過水の戻し率は、ろ過工程で得られる透過水の不純物濃度の監視結果又は監視結果から導かれる不純物濃度の変動パターンを記録し、当該記録に基づいて設定してもよい。
例えば、水処理方法の利用環境下において学習したろ過工程で得られる透過水の不純物濃度の過去の変動パターンに基づいて、原水と混合されるべき透過水の量Qをあらかじめ設定し、ろ過の開始と同時に透過水と原水との混合を開始し、原水と混合された透過水の量が設定値Qに達したときに混合を停止する方法が挙げられる。
あるいは、原水と混合されるべき量の透過水を原水と混合するのに要する時間Tをあらかじめ設定し、ろ過の開始と同時に透過水と原水との混合を開始し、混合開始からの経過時間が設定値Tに達したときに混合を停止する方法が挙げられる。
原水と混合されるべき透過水の量、又は原水と混合されるべき量の透過水を原水と混合するのに要する時間が設定値に達したか否かを判断するための手段は特に制限されず、積算流量計、流速計、タイマー(ろ過流量が一定の場合等)などを使用できる。
混合の開始又は停止の制御は、例えば、コンピュータ等の演算処理機能を持つ装置を用いて行うことができる。
例えば、原水を透過水と濃縮水とに分離するろ過工程は、図1に示した水処理システムのろ過部1を用いて行ってもよく、透過水の一部を原水と混合する混合工程は、図1に示した水処理システムの移送ラインAを用いて行ってもよい。
2:供給部
3:貯留部
A、B、C:移送ライン
Claims (10)
- 原水を透過水と濃縮水とに分離するろ過膜を含むろ過部と、
前記ろ過部に原水を供給する供給部と、
前記ろ過部から取り出される透過水を貯留する貯留部と、
前記ろ過部と前記貯留部との間に設けられ、ろ過部から取り出される透過水の一部を前記供給部に移送する移送ラインと、を備え、
前記移送ラインは、ろ過部の運転開始直後にろ過部から取り出される透過水を供給部に移送し、移送される透過水の量は、前記ろ過部から取り出される透過水の不純物濃度の変動パターンの記録に基づいて設定される、水処理システム。 - 前記移送ラインは、ろ過部から取り出される透過水の不純物濃度が基準値以下となり、かつ不純物濃度が一定となるまで透過水の移送を実施する、請求項1に記載の水処理システム。
- 前記ろ過部は、運転開始直後にろ過部から取り出される透過水の不純物濃度が基準値を超えた状態で一定になる場合は運転を停止する、請求項1に記載の水処理システム。
- 前記移送ラインにより移送される透過水の量は、ろ過部の容量の25体積%~1000体積%である、請求項1に記載の水処理システム。
- 前記ろ過部から取り出される濃縮水を供給部に移送する移送ラインをさらに備える、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の水処理システム。
- ろ過膜を用いて原水を透過水と濃縮水とに分離するろ過工程と、
透過水の一部を原水と混合する混合工程と、を備え、
原水と混合される透過水は、ろ過の開始直後に得られる透過水であり、原水と混合される透過水の量は、前記透過水の不純物濃度の変動パターンの記録に基づいて設定される、水処理方法。 - 前記混合工程は、原水と混合される透過水の不純物濃度が基準値以下となり、かつ不純物濃度が一定となるまで実施される、請求項6に記載の水処理方法。
- 前記ろ過工程は、原水と混合される透過水の不純物濃度が基準値を超えた状態で一定になる場合は停止される、請求項6に記載の水処理方法。
- 前記原水と混合される透過水の量は、ろ過膜を含むろ過装置の容量の25体積%~1000体積%である、請求項6に記載の水処理方法。
- 前記ろ過工程で得られる濃縮水を原水と混合する工程をさらに備える、請求項6~請求項9のいずれか1項に記載の水処理方法。
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