JP6167426B1 - 運転解析装置及び運転解析システム - Google Patents
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Abstract
運転解析装置50は、複数の運転者がそれぞれ運転する複数の車両のヨー方向の角速度と当該角速度に対応する車両速度、及び、複数の運転者の事故歴の有無に関する事故歴情報とを取得する通信部51と、角速度及び車両速度と事故歴情報とに基づいて、複数の運転者のハンドル操作に関する運転性向を解析する制御部53とを備える。制御部53は、角速度を事故歴ありの第1グループの角速度と事故歴なしの第2グループの角速度とに分類し、車両速度ごとに、第1グループと第2グループとの境界における角速度に基づいて急ハンドル操作を検知するための第1基準値及び/又はふらつきハンドル操作を検知するための第2基準値を決定する。
Description
本開示は、運転者のハンドル操作に関する運転性向を解析し、急ハンドル操作又はふらつきハンドル操作を検知するための基準値を決定する運転解析装置に関する。
特許文献1は、ドライバの安全運転の診断を行う運転診断方法及び装置を開示する。この運転診断方法及び装置は、カーナビゲーション装置から車両の挙動データを受信し、当該挙動データにおける加速度の時系列情報から加速度分布を求め、当該加速度分布を統計処理して、その結果を診断項目として含む安全運転診断コンテンツ(安全運転の度合いを含む)を生成し、帳票出力する。また、この運転診断方法及び装置は、挙動データにおける急ハンドル情報から車両の遠心力分布を求め、当該遠心力分布を統計処理した結果を診断項目として安全運転診断コンテンツに含める。
本開示は、運転者のハンドル操作に関する運転性向を解析し、急ハンドル操作又はふらつきハンドル操作を検知するための基準値を決定する運転解析装置を提供する。
本開示における運転解析装置は、複数の運転者のハンドル操作に関する運転性向を解析し、複数の運転者それぞれの急ハンドル操作及び/又はふらつきハンドル操作を検知するための基準値を決定する運転解析装置であって、複数の運転者がそれぞれ運転する複数の車両のヨー方向角速度と当該ヨー方向角速度に対応する車両速度、及び、複数の運転者の事故歴の有無に関する事故歴情報とを取得する通信部と、ヨー方向角速度及び車両速度と事故歴情報とに基づいて、複数の運転者のハンドル操作に関する運転性向を解析する解析部とを備える。解析部は、ヨー方向角速度を、事故歴ありの運転者に関する車両のヨー方向角速度を含む第1グループと、事故歴なしの運転者に関する車両のヨー方向角速度を含む第2グループとに分類し、車両速度ごとに、第1グループと第2グループとの境界におけるヨー方向角速度に基づいて急ハンドル操作を検知するための第1基準値及び/又はふらつきハンドル操作を検知するための第2基準値を決定する。
本開示における運転解析装置は、運転者のハンドル操作に関する運転性向を解析し、急ハンドル操作を検知するための第1基準値又はふらつきハンドル操作を検知するための第2基準値を決定することができる。
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
(実施の形態1)
以下、実施の形態1にかかる運転解析システムを図1〜8を用いて説明する。
以下、実施の形態1にかかる運転解析システムを図1〜8を用いて説明する。
[1−1.構成]
[1−1−1.運転解析システム]
図1は、実施の形態1にかかる運転解析システムの構成を示す図である。図1に示す運転解析システム1は、複数の運転者のハンドル操作に関するデータとして、複数の運転者がそれぞれ運転する複数の車両111、112、113のヨー方向角速度を蓄積する。運転解析システム1は、蓄積したデータに基づいて、複数の運転者のハンドル操作に関する運転性向を統計解析し、事故を起こす可能性がある急ハンドル操作を検知するための基準値(第1基準値)及びふらつきハンドル操作を検知するための基準値(第2基準値)を決定する。そして、運転解析システム1は、これらの基準値に基づいて、各運転者のハンドル操作において、事故を起こす可能性がある急ハンドル操作及びふらつきハンドル操作を検知する。
[1−1−1.運転解析システム]
図1は、実施の形態1にかかる運転解析システムの構成を示す図である。図1に示す運転解析システム1は、複数の運転者のハンドル操作に関するデータとして、複数の運転者がそれぞれ運転する複数の車両111、112、113のヨー方向角速度を蓄積する。運転解析システム1は、蓄積したデータに基づいて、複数の運転者のハンドル操作に関する運転性向を統計解析し、事故を起こす可能性がある急ハンドル操作を検知するための基準値(第1基準値)及びふらつきハンドル操作を検知するための基準値(第2基準値)を決定する。そして、運転解析システム1は、これらの基準値に基づいて、各運転者のハンドル操作において、事故を起こす可能性がある急ハンドル操作及びふらつきハンドル操作を検知する。
運転解析システム1は、自己診断機能(On Board Diagnostics:以下「OBD」という)モジュール101、102、103と、端末装置201、202、203と、事故歴情報サーバ40と、運転解析装置50とを備える。なお、端末装置201、202、203は、3G、LTE等の通信規格に準拠した基地局3を介してネットワーク2に接続される。端末装置201、202、203、事故歴情報サーバ40、及び、運転解析装置50は、ネットワーク2を介して通信を行うことができる。
本実施の形態では、説明の便宜上、3台の車両111、112、113を示しているが、車両の数は3台に限定されない。また、本実施の形態では、車両111、112、113それぞれに対応する3つのOBDモジュール101、102、103、3つの端末装置201、202、203を示しているが、OBDモジュールの数及び端末装置の数も3つに限定されない。
OBDモジュール101は、車両111に搭載され、車両111の車両速度を示す情報を端末装置201に送信する。OBDモジュール101の詳細は後述する。なお、OBDモジュール102、103の構成はOBDモジュール101の構成と同一であるので、その説明を省略する。
端末装置201は、車両111の運転者が所有するスマートフォン、タブレット等の携帯端末装置であり、車両111に取り付けられる。端末装置201は、後述するようにジャイロセンサを備え、車両111のヨー方向角速度を検出する。端末装置201は、検出した車両111のヨー方向角速度を示す情報と、その検出時間にOBDモジュール101から受信した車両速度を示す情報とを、基地局3及びネットワーク2を介して運転解析装置50に送信する。
また、端末装置201は、後述する運転解析装置50で解析された急ハンドル操作の検知基準値及びふらつきハンドル操作の検知基準値に基づいて、車両111のヨー方向角速度について、急ハンドル操作及びふらつきハンドル操作を検知する。端末装置201の詳細は後述する。なお、端末装置202、203の構成は端末装置201の構成と同一であるので、その説明を省略する。
事故歴情報サーバ40は、運転者の事故歴の有無の情報を管理する。事故歴情報サーバ40は、運転者の事故歴の有無の情報を、その運転者の名前等の運転者を特定するための情報と関連付けて管理し、リクエストに応じてこれらの情報をネットワーク2を介して運転解析装置50に送信する。
運転解析装置50は、受信した複数の車両111、112、113のヨー方向角速度及び車両速度を示す情報を車両運動情報として、また受信した事故歴の有無の情報を事故歴情報として蓄積する。運転解析装置50は、蓄積した複数の車両111、112、113のヨー方向角速度及び車両速度を示す情報と事故歴の有無の情報とに基づいて、複数の運転者のハンドル操作に関する運転性向を解析し、事故を起こす可能性がある急ハンドル操作の検知基準値、及び、事故を起こす可能性があるふらつきハンドル操作の検知基準値を決定する。運転解析装置50の詳細は後述する。
[1−1−2.OBDモジュール]
図2は、実施の形態1にかかるOBDモジュール101及び端末装置201の構成を示す図である。図2に示すOBDモジュール101は、車両111における複数の電子制御装置(Electronic Control Unit:以下「ECU」という)121、122、123が接続されたコントローラエリアネットワーク(Controller Area Network:以下「CAN」という)131に接続される。OBDモジュール101は、ECU121、122、123からCAN131を介して車両速度を示す情報を取得し、この車両速度を示す情報を端末装置201に送信する。OBDモジュール101は、第1及び第2の通信部11、12と、データ格納部13と、制御部14とを備える。
図2は、実施の形態1にかかるOBDモジュール101及び端末装置201の構成を示す図である。図2に示すOBDモジュール101は、車両111における複数の電子制御装置(Electronic Control Unit:以下「ECU」という)121、122、123が接続されたコントローラエリアネットワーク(Controller Area Network:以下「CAN」という)131に接続される。OBDモジュール101は、ECU121、122、123からCAN131を介して車両速度を示す情報を取得し、この車両速度を示す情報を端末装置201に送信する。OBDモジュール101は、第1及び第2の通信部11、12と、データ格納部13と、制御部14とを備える。
ここで、各ECU121、122、123は、車両のエンジン制御、ブレーキ制御、操舵制御等の動作制御のうちのいずれかの動作制御を行う装置である。CAN131は、ECU121、122、123を接続するための車両内ネットワークである。ECU121、122、123は、CAN131を介して互いに、車両速度、車両加速度、エンジン回転数、車両燃費等を示す車両情報の送受信を行う。
第1の通信部11は、ISO15765、ISO11898、ISO11519等のCANの通信規格、又は、ISO14230等の車両故障診断の通信規格に準拠した無線通信インタフェースである。第1の通信部11は、車両111におけるOBD2端子を介してCAN131に接続され、CAN131を介してECU121、122、123から車両速度を示す情報を取得する。
第2の通信部12は、Wi−Fi、Bluetooth(登録商標)等の通信規格にしたがって端末装置201と近距離無線通信を行う無線通信モジュールである。第2の通信部12は、端末装置201に車両速度を示す情報を送信する。
データ格納部13は、記録媒体であり、例えばフラッシュメモリで構成される。データ格納部13は、第1の通信部11で受信した車両速度を示す情報を一時的に格納する。また、データ格納部13は、制御部14のための各種プログラムを格納する。
制御部14は、CPU、MPU等で構成され、データ格納部13に格納された各種プログラムを実行することにより、OBDモジュール101の全体を制御する。制御部14は、第1の通信部11で受信した車両情報をデータ格納部13に一時的に格納する。そして、制御部14は、データ格納部13に格納された車両速度を示す情報を第2の通信部12に送信する。
[1−1−3.端末装置]
図2に示すように、端末装置201は、第1及び第2の通信部21、23と、ジャイロセンサ22と、データ格納部24と、制御部25と、報知部26とを備える。
図2に示すように、端末装置201は、第1及び第2の通信部21、23と、ジャイロセンサ22と、データ格納部24と、制御部25と、報知部26とを備える。
第1の通信部21は、Wi−Fi、Bluetooth等の通信規格にしたがってOBDモジュール101と近距離無線通信を行う通信インタフェースである。第1の通信部21は、OBDモジュール101から車両速度を示す情報を受信する。
ジャイロセンサ22は、例えばスマートフォン、タブレット等の携帯端末装置に内蔵されている3軸(ヨー軸、ロール軸、ピッチ軸)に対する角速度を検出するセンサである。ジャイロセンサ22は、車両111のヨー方向角速度、ロール方向角速度、ピッチ方向角速度を検出する。
第2の通信部23は、3G、LTE等の通信規格にしたがって基地局3と無線通信を行う通信インタフェースである。第2の通信部23は、ジャイロセンサ22で検出した車両111のヨー方向角速度及びその検出時間を示す情報と、この検出時間における車両速度を示す情報と、端末装置201の所有者情報とを、基地局3及びネットワーク2を介して運転解析装置50に送信する。また、第2の通信部23は、ネットワーク2及び基地局3を介して運転解析装置50から、急ハンドル操作の検知基準値及びふらつきハンドル操作の検知基準値を受信する。
データ格納部24は、記録媒体であり、例えばフラッシュメモリで構成される。データ格納部24は、ジャイロセンサ22で検出した車両111のヨー方向角速度とその検出時間を示す情報、及び、第1の通信部21で受信した車両速度とその受信時間を示す情報を一時的に格納する。また、データ格納部24は、端末装置201の所有者情報を格納する。また、データ格納部24は、第2の通信部23で受信した急ハンドル操作の検知基準値及びふらつきハンドル操作の検知基準値を格納する。また、データ格納部24は、制御部25のための各種プログラムを格納する。
制御部25は、CPU、MPU等で構成され、データ格納部24に格納された各種プログラムを実行することにより、端末装置201の全体を制御する。制御部25は、ジャイロセンサ22で検出した車両111のヨー方向角速度とその検出時間を示す情報、及び、第1の通信部21で受信した車両速度とその受信時間を示す情報をデータ格納部24に一時的に格納する。制御部25は、データ格納部24に格納された車両111のヨー方向角速度及びその検出時間を示す情報とこの検出時間における車両速度を示す情報とを、端末装置201の所有者情報と関連付けて、第2の通信部23に送信する。
また、制御部25は、第2の通信部23で受信した急ハンドル操作の検知基準値及びふらつきハンドル操作の検知基準値をデータ格納部24に格納する。制御部25は、データ格納部24に格納された急ハンドル操作の検知基準値及びふらつきハンドル操作の検知基準値に基づいて、ジャイロセンサ22で検出する車両111のヨー方向角速度について、急ハンドル操作及びふらつきハンドル操作を検知する。
報知部26は、例えばスピーカ等の音声出力部である。報知部26は、制御部25の制御により、報知音を出力する。報知部26は、光を出力するLED等の光出力部であってもよいし、文字や画像等を表示するディスプレイ等の表示部であってもよいし、シートを振動させるバイブレータ等の振動発生部であってもよいし、シートベルトの締め付け力を変動させるシートベルト装置等であってもよい。
[1−1−4.運転解析装置]
図3は、実施の形態1にかかる運転解析装置50の構成を示す図である。運転解析装置50は、例えばコンピュータで構成される。運転解析装置50は、通信部51と、データ格納部52と、制御部(解析部)53とを備える。
図3は、実施の形態1にかかる運転解析装置50の構成を示す図である。運転解析装置50は、例えばコンピュータで構成される。運転解析装置50は、通信部51と、データ格納部52と、制御部(解析部)53とを備える。
通信部51は、IEEE802等の通信規格に準拠した通信インタフェースで構成される。通信部51は、制御部53とネットワーク2とを接続する。
データ格納部52は、記録媒体であり、例えばHDD、SSDで構成される。データ格納部52は、車両運動情報データベース50d1と事故歴情報データベース50d2とを格納する。車両運動情報データベース50d1は、図4(a)に示すように、複数の車両111、112、113のヨー方向角速度と、そのヨー方向角速度検出時の車両速度と、端末装置201の所有者情報に対応する運転者ID情報と、これらの取得日時(例えば、ヨー方向角速度の検出時間)とを関連付けて管理するデータベースである。事故歴情報データベース50d2は、図4(b)に示すように、運転者情報に対応する運転者ID情報と、事故歴の有無と、これらの取得日時とを関連付けて管理するデータベースである。
また、データ格納部52は、急ハンドル操作の検知基準値を与える式として後述の式(1)を格納すると共に、ふらつきハンドル操作の検知基準値を与える式として後述の式(2)式を格納する。また、データ格納部52は、制御部53のための各種プログラムを格納する。
制御部53は、CPU、MPU等で構成され、データ格納部52に格納された各種プログラムを実行することにより、運転解析装置50の全体を制御する。制御部53は、車両運動情報データベース50d1と事故歴情報データベース50d2とを更新する。
なお、端末装置201の制御部25及び運転解析装置50の制御部53で実行されるプログラムは、ネットワーク2を介して提供されてもよいし、CD−ROM等の記録媒体で提供されてもよい。また、端末装置201の制御部25及び運転解析装置50の制御部53、及び、OBDモジュール101の制御部14は、専用に設計された電子回路や再構築可能な電子回路などのハードウェア回路(ASIC、FPGA等)のみで実現されてもよい。
[1−2.動作]
以上のように構成された運転解析システム1について、その動作を以下に説明する。以下、車両111、112、113、OBDモジュール101、102、103、及び、端末装置201、202、203を代表して車両111、OBDモジュール101及び端末装置201の動作について説明するが、車両112、113、OBDモジュール102、103、及び、端末装置202、203の動作についても同様である。
以上のように構成された運転解析システム1について、その動作を以下に説明する。以下、車両111、112、113、OBDモジュール101、102、103、及び、端末装置201、202、203を代表して車両111、OBDモジュール101及び端末装置201の動作について説明するが、車両112、113、OBDモジュール102、103、及び、端末装置202、203の動作についても同様である。
運転者が、端末装置201を車両111にセットし、車両111のエンジンを始動すると、OBDモジュール101は、車両111の車両速度を示す情報を端末装置201に所定時間間隔で繰り返し送信する。端末装置201は、ジャイロセンサで検出した車両111のヨー方向角速度及びその検出時間を示す情報と、その検出時間にOBDモジュール101から受信した車両速度を示す情報と、端末装置201の所有者情報とを、データ格納部24に格納する。端末装置201は、利用者の操作に応じて、格納した情報を基地局3及びネットワーク2を介して運転解析装置50に送信する。なお、端末装置201は、格納した情報を所定時間間隔で送信してもよい。
運転解析装置50は、車両111、112、113のヨー方向角速度と、そのヨー方向角速度検出時の車両速度と、端末装置201、202、203の所有者情報に対応する運転者ID情報と、これらの取得日時(例えば、ヨー方向角速度の検出時間)とを関連付けて、図4(a)に示す車両運動情報データベース50d1に格納する。
事故歴情報サーバ40は、運転解析装置50からのリクエストに応じて、運転者の事故歴の有無の情報をその運転者の情報と関連付けて、ネットワーク2を介して運転解析装置50に送信する。運転解析装置50は、運転者情報に対応する運転者ID情報と、事故歴の有無と、これらの取得日時とを関連付けて、図4(b)に示す事故歴情報データベース50d2に格納する。
[1−2−1.ハンドル操作の運転性向の解析動作]
以下、本実施の形態1にかかる運転解析装置50の制御部53による複数の運転者のハンドル操作に関する運転性向の解析動作について、図5のフローチャート、及び、図6及び図7の統計解析の説明図を参照して説明する。
以下、本実施の形態1にかかる運転解析装置50の制御部53による複数の運転者のハンドル操作に関する運転性向の解析動作について、図5のフローチャート、及び、図6及び図7の統計解析の説明図を参照して説明する。
運転解析装置50の制御部53は、車両運動情報データベース50d1における情報と事故歴情報データベース50d2における情報とに基づいて、急ハンドル操作の検知基準値を求めるための第1の統計解析と、ふらつきハンドル操作の検知基準値を求めるための第2の統計解析とを行う。
ここで、本願発明者は、運転者のハンドル操作と車両のヨー方向角速度とには以下の相関関係があることを見出した。直線道路走行中における運転者の無意識的なハンドル操作(ふらつきハンドル操作)に対応する車両のヨー方向角速度は、比較的小さな値となり、一方、道路の交差点やカーブ等において曲がるために運転者が意識的に行うハンドル操作に対応する車両のヨー方向角速度は、比較的大きな値となる。
そこで、本実施の形態では、運転者の無意識的なふらつきハンドル操作に対応する車両のヨー方向角速度の分布範囲と、運転者の意識的なハンドル操作に対応する車両のヨー方向角速度の分布範囲とを区別する角速度の境界(所定値)を設定した。そして、その境界を与える所定値以上のヨー方向角速度に基づいて第1の統計解析を行い、事故を起こす可能性がある急ハンドル操作の検知基準値を求めた。また、所定値未満のヨー方向角速度に基づいて第2の統計解析を行い、事故を起こす可能性があるふらつきハンドル操作の検知基準値を求めた。
図5のフローチャートを参照し、制御部53は、車両運動情報データベース50d1から、複数の車両111、112、113のヨー方向角速度と、車両速度と、運転者ID情報とを取得する(S10)。また、制御部53は、事故歴情報データベース50d2から、運転者ID情報と事故歴の有無とを取得する(S11)。
次に、制御部53は、取得した各種データに基づいて第1の統計解析を行う。図6は、制御部53による第1の統計解析を説明するためのグラフである。図6は、複数の車両から取得したデータをプロットした車両のヨー方向角速度と車両速度との相関関係を示している。特に、図6は、急ハンドル操作の検知基準を求めるための、ヨー方向角速度が所定値以上となるデータをプロットしている。
第1の統計解析において、図6に示すように、制御部53は、所定値以上のヨー方向角速度のデータを、事故歴ありの運転者ID情報に対応する第1のグループの角速度(図6において×マーク)と、事故歴なしの運転者ID情報に対応する第2のグループの角速度(図6において黒丸マーク)とに分類する(S12)。
そして、制御部53は、車両速度ごとに、第1のグループの角速度と第2のグループの角速度から、事故を起こす可能性がある急ハンドル操作の検知基準値Y1(X)を与える下式(1)を決定する(S13)。
Y1(X)=π400/(180X)[rad/sec]・・・(1)
Xは車両の速度である。
Y1(X)=π400/(180X)[rad/sec]・・・(1)
Xは車両の速度である。
具体的には、制御部53は、第1のグループの角速度と第2のグループの角速度との境界を求める。そして、制御部53は、その境界の角速度を急ハンドル操作の検知基準値とする。例えば、制御部53は、境界の角速度を、第1のグループの95%信頼区間(標準偏差±1.96σ)外で、かつ、第2のグループの95%信頼区間(標準偏差±1.96σ)外となる角速度に決定する。
本実施の形態では、制御部53は、車両速度ごとに求めた第1のグループと第2のグループとの境界の角速度に対して1次近似式で近似することにより、車両速度ごとの急ハンドル操作の検知基準値を図6の実線Y1(X)のように近似して、上式(1)を得る。
図6に示すように、道路の交差点やカーブ等において曲がるために運転者が意識的に行うハンドル操作に対応する車両のヨー方向角速度の分布は、車両速度に依存し、車両速度が速くなるほど小さくなり、車両速度と反比例の関係を有する。そのため、急ハンドル操作の検知基準値Y1(X)は、図6の実線及び上式(1)のように車両速度に反比例する近似式で表される。
この検知基準値Y1(X)(閾値関数)は、車両のヨー方向角速度(ハンドル角速度)の観測値の一定期間(例えば1秒)における最大値に対して与えられ、観測値の最大値が検知基準値Y1(X)以上になった場合には急ハンドル操作があると判定し、観測値の最大値が検知基準値Y1(X)より低い場合は急ハンドル操作がないと判定する。
次に、制御部53は、ステップS10及びS11で取得した各種データに基づいて第2の統計解析を行う。図7は、制御部53による第2の統計解析を説明するためのグラフである。図7は、複数の車両から取得したデータをプロットした車両のヨー方向角速度と車両速度との相関関係を示している。特に、図7は、ふらつきハンドル操作の検知基準を求めるための、ヨー方向角速度が所定値未満となるデータをプロットしている。
第2の統計解析において、図7に示すように、制御部53は、所定値未満のヨー方向角速度のデータを、事故歴ありの運転者ID情報に対応する第1のグループの角速度(図7において×マーク)と、事故歴なしの運転者ID情報に対応する第2のグループの角速度(図7において黒丸マーク)とに分類する(S14)。
そして、制御部53は、第1のグループの角速度と第2のグループの角速度から、事故を起こす可能性があるふらつきハンドル操作の検知基準値Y2を与える下式(2)を決定する(S15)。
Y2=±3[deg/sec]・・・(2)
Y2=±3[deg/sec]・・・(2)
具体的には、制御部53は、第1のグループの角速度と第2のグループの角速度との境界を求める。そして、制御部53は、その境界の角速度をふらつきハンドル操作の検知基準値として図7の実線Y2のように決定し、上式(2)を得る。例えば、制御部53は、境界の角速度を、第1のグループの95%信頼区間(標準偏差±1.96σ)外で、かつ、第2のグループの95%信頼区間(標準偏差±1.96σ)外となる角速度に決定する。本実施の形態では、ふらつきハンドル操作の検知基準値Y2は、図7に示すように、0deg/secを平均値とする第2のグループの角速度の分布の標準偏差に相当する。
図7に示すように、直線道路走行中における運転者の無意識的なふらつきハンドル操作に対応する車両のヨー方向角速度の分布は車両速度に依存しないので、ふらつきハンドル操作の検知基準値Y2は、図7の実線及び上式(2)のように一定値で表される。
この検知基準値Y2(閾値)は、車両のヨー方向角速度(ハンドル角速度)の観測値に対して与えられ、観測値が検知基準値Y2以上になった場合にはふらつきハンドル操作(ハンドル角速度のゆらぎ)があると判定し、観測値が検知基準値Y2より低い場合はふらつきハンドル操作(ハンドル角速度のゆらぎ)がないと判定する。
[1−2−2.急ハンドル操作及びふらつきハンドル操作の検知動作]
本実施の形態の端末装置201、202、203それぞれは、運転解析装置50で求めた急ハンドル操作の検知基準値Y1(X)を与える上式(1)及びふらつきハンドル操作の検知基準値Y2を与える上式(2)に基づいて、事故を起こす可能性がある急ハンドル操作及びふらつきハンドル操作を検知する機能を有する。
本実施の形態の端末装置201、202、203それぞれは、運転解析装置50で求めた急ハンドル操作の検知基準値Y1(X)を与える上式(1)及びふらつきハンドル操作の検知基準値Y2を与える上式(2)に基づいて、事故を起こす可能性がある急ハンドル操作及びふらつきハンドル操作を検知する機能を有する。
以下、本実施の形態1にかかる端末装置201の制御部25による、事故を起こす可能性がある急ハンドル操作及びふらつきハンドル操作の検知動作について、図8のフローチャートを参照して説明する。
端末装置201、202、203のそれぞれは、急ハンドル操作の検知基準値Y1(X)を与える上式(1)の情報、及び、ふらつきハンドル操作の検知基準値Y2を与える上式(2)の情報を運転解析装置50から受信し、データ格納部24に格納している。以下、端末装置201の制御部25の動作について説明するが、端末装置202の制御部及び端末装置203の制御部の動作についても同様である。
制御部25は、データ格納部24から、急ハンドル操作の検知基準値Y1(X)を与える上式(1)の情報、及び、ふらつきハンドル操作の検知基準値Y2を与える上式(2)の情報を取得する(S20)。また、制御部25は、ジャイロセンサ22から車両111のヨー方向角速度を示す情報を取得すると共に、第1の通信部21を介してOBDモジュール101から車両速度を示す情報を取得する(S21)。
次に、制御部25は、取得したヨー方向角速度が所定値以上であるか否かの判断を行う(S22)。取得したヨー方向角速度が所定値以上である場合、運転者の現在のハンドル操作は、道路の交差点やカーブ等において曲がるために運転者が意識的に行ったハンドル操作であると考えられる。よって、この場合、制御部25は、急ハンドル操作か否かの判定を行う。具体的には、制御部25は、取得したヨー方向角速度(一定期間、例えば1秒における最大値)に対応する車両速度Xと上式(1)とから急ハンドル操作の検知基準値Y1(X)を求め、取得したヨー方向角速度(一定期間、例えば1秒における最大値)が急ハンドル操作の検知基準値Y1(X)以上か否かを判断する(S23)。
取得したヨー方向角速度(一定期間、例えば1秒における最大値)が急ハンドル操作の検知基準値Y1(X)以上である場合、運転者の現在のハンドル操作は事故を起こす可能性がある急ハンドル操作であると考えられる。よって、この場合、制御部25は、報知部26を制御し、報知音を出力する(S24)。これにより、運転者に安全運転を促す。その後、制御部25はステップS21に戻り、上記の処理を繰り返す。
一方、取得したヨー方向角速度(一定期間、例えば1秒における最大値)が急ハンドルの検知基準値Y1(X)未満である場合、運転者の現在のハンドル操作は安全であると考えられる。よって、この場合、制御部25はステップS21に戻り、上記の処理を繰り返す。
ステップS22において、取得したヨー方向角速度が所定値未満である場合(S22でNO)、運転者の現在のハンドル操作は、直線道路走行中における運転者の無意識的なふらつきハンドル操作であると考えられる。よって、この場合、制御部25は、ふらつきハンドル操作か否かの判定を行う。具体的には、制御部25は、車両速度によらず、取得したヨー方向角速度の絶対値が上式(2)で与えられるふらつきハンドル操作の検知基準値Y2の絶対値以上か否かを判断する(S25)。
取得したヨー方向角速度の絶対値がふらつきハンドル操作の検知基準値Y2の絶対値以上である場合、運転者の現在のハンドル操作は事故を起こす可能性があるふらつきハンドル操作であると考えられる。よって、この場合、制御部25は、報知部26を制御し、報知音を出力する(S24)。これにより、運転者に安全運転を促す。その後、制御部25はステップS21に戻り、上記の処理を繰り返す。
一方、取得したヨー方向角速度の絶対値がふらつきハンドル操作の検知基準値Y2の絶対値未満である場合、運転者の現在のハンドル操作は安全であると考えられる。よって、この場合、制御部25はステップS21に戻り、上記の処理を繰り返す。
[1−3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、運転解析装置50は、複数の運転者のハンドル操作に関する運転性向を解析し、複数の運転者それぞれの急ハンドル操作及びふらつきハンドル操作を検知するための基準値を決定する運転解析装置であって、通信部51と制御部53とを備える。通信部51は、複数の運転者がそれぞれ運転する複数の車両111、112、113のヨー方向角速度と当該ヨー方向角速度に対応する車両速度、及び、複数の運転者の事故歴の有無に関する事故歴情報とを取得する。制御部53は、ヨー方向角速度及び車両速度と事故歴情報とに基づいて、複数の運転者のハンドル操作に関する運転性向を解析する。制御部53は、ヨー方向角速度を、事故歴ありの運転者に関する車両のヨー方向角速度を含む第1グループと、事故歴なしの運転者に関する車両のヨー方向角速度を含む第2グループとに分類し、車両速度ごとに、第1グループと第2グループとの境界におけるヨー方向角速度に基づいて急ハンドル操作を検知するための基準値及びふらつきハンドル操作を検知するための基準値を決定する。
以上のように、本実施の形態において、運転解析装置50は、複数の運転者のハンドル操作に関する運転性向を解析し、複数の運転者それぞれの急ハンドル操作及びふらつきハンドル操作を検知するための基準値を決定する運転解析装置であって、通信部51と制御部53とを備える。通信部51は、複数の運転者がそれぞれ運転する複数の車両111、112、113のヨー方向角速度と当該ヨー方向角速度に対応する車両速度、及び、複数の運転者の事故歴の有無に関する事故歴情報とを取得する。制御部53は、ヨー方向角速度及び車両速度と事故歴情報とに基づいて、複数の運転者のハンドル操作に関する運転性向を解析する。制御部53は、ヨー方向角速度を、事故歴ありの運転者に関する車両のヨー方向角速度を含む第1グループと、事故歴なしの運転者に関する車両のヨー方向角速度を含む第2グループとに分類し、車両速度ごとに、第1グループと第2グループとの境界におけるヨー方向角速度に基づいて急ハンドル操作を検知するための基準値及びふらつきハンドル操作を検知するための基準値を決定する。
これにより、実際の事故歴ありのデータと事故歴なしのデータとの境界における車両のヨー方向角速度に基づいて、事故を起こす可能性がある急ハンドル操作の検知基準値及びふらつきハンドル操作の検知基準値を求めることができる。そのため、これらの検知基準値を利用すれば、事故を起こす可能性がある急ハンドル操作及びはふらつきハンドル操作を高い精度で検知することができる。
ここで、昨今の車両制御技術の向上やタイヤ性能の向上により、事故を誘発する急ハンドル操作量及びゆらぎハンドル操作量は変化している。この点に関し、本実施の形態では、ハンドル操作量(ハンドル操舵角)ではなく、車両制御技術の向上やタイヤ性能の向上の恩恵も含まれた車両のヨー方向角速度に基づいて急ハンドル操作及びふらつきハンドル操作の検知基準値を求めるので、これらの検知基準値は、車両制御技術やタイヤ性能に依存することなく、様々な車両に対して共通に利用することができる。また、この検知基準値に基づいて車両のヨー方向角速度における急ハンドル操作及びふらつきハンドル操作を検知することにより、様々な車両において、急ハンドル操作及びふらつきハンドル操作を高い精度で検知することができる。
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
実施の形態1では、複数の車両111、112、113のヨー方向角速度を運転者の事故歴情報に基づいて2つのグループに分類する統計解析を行うことにより、事故を起こす可能性がある急ハンドル操作の検知基準値及びふらつきハンドル操作の検知基準値を決定する運転解析装置50を説明した。本開示の思想はこれに限定されず、複数の車両111、112、113のヨー方向角速度をさらに、年齢や性別等の運転者属性、車両形式等の車両属性、季節や周辺温度等の属性(道路凍結情報)等で細分化したグループに分類する統計解析を行い、急ハンドル操作の検知基準値及びふらつきハンドル操作の検知基準値を決定する形態にも適用可能である。
また、実施の形態1では、急ハンドル操作の検知基準値を与える上式(1)のように車両速度を変数とする1次近似式を用い、ふらつきハンドル操作の検知基準値を与える上式(2)のように一定値を用いた。本開示の思想はこれに限定されない。急ハンドル操作の検知基準値を与える式及びふらつきハンドル操作の検知基準値を与える式として、車両速度等を変数とするn次近似式(nは1以上の整数)を用いてもよい。
また、実施の形態1では、運転解析装置50で解析した急ハンドル操作の検知基準値及びふらつきハンドル操作の検知基準値を各端末装置201、202、203にダウンロードし、各端末装置201、202、203において急ハンドル操作及びふらつきハンドル操作の検知を行う運転解析システム1を説明した。本開示の思想はこれに限定されず、運転解析装置50において急ハンドル操作及びふらつきハンドル操作の検知を行い、検知結果を各端末装置201、202、203に通知する態様にも適用可能である。
さらに、本開示の思想は、各OBDモジュール101、102、103や各車両111、112、113において急ハンドル操作及びふらつきハンドル操作の検知を行う態様にも適用可能である。
また、実施の形態1では、各端末装置201、202、203に内蔵されたジャイロセンサを用いて車両のヨー方向角速度を求めた。本開示はこれに限定されず、各車両111、112、113又は各OBDモジュール101、102、103に搭載されたジャイロセンサを用いて車両のヨー方向角速度を求めてもよい。
また、実施の形態1では、急ハンドル操作及びふらつきハンドル操作を検知したときに報知部26によって運転者に報知した。本開示はこれに限定されず、急ハンドル操作及びふらつきハンドル操作の検知回数をカウントし、所定のタイミングで(例えば、所定時間ごとに、又は、パーキングブレーキ設定時に)、事故を起こす可能性がある急ハンドル操作のハンドル操作全体に対する割合、及び、事故を起こす可能性があるふらつきハンドル操作のふらつきハンドル操作全体に対する割合等を、音声情報や視覚情報等で運転者に報知してもよい。
また、実施の形態1では、急ハンドル操作とふらつきハンドル操作との両方の検知基準値を求め、これらの検知基準値に基づいて急ハンドル操作とふらつきハンドル操作との両方を検知した。本開示はこれに限定されず、急ハンドル操作とふらつきハンドル操作とのいずれか一方の検知基準値を求め、その検知基準値に基づいて急ハンドル操作とふらつきハンドル操作とのいずれか一方を検知してもよい。
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
本開示は、複数の運転者のハンドル操作に関する運転性向を解析し、運転者それぞれの急ハンドル操作又はふらつきハンドル操作を検知するための基準値を決定する運転解析装置に適用可能である。
Claims (11)
- 複数の運転者のハンドル操作に関する運転性向を解析し、前記複数の運転者それぞれの急ハンドル操作及び/又はふらつきハンドル操作を検知するための基準値を決定する運転解析装置であって、
前記複数の運転者がそれぞれ運転する複数の車両のヨー方向角速度と当該ヨー方向角速度に対応する車両速度、及び、前記複数の運転者の事故歴の有無に関する事故歴情報とを取得する解析用通信部と、
前記ヨー方向角速度及び前記車両速度と前記事故歴情報とに基づいて、前記複数の運転者のハンドル操作に関する運転性向を解析する解析部と、
を備え、
前記解析部は、前記ヨー方向角速度を、事故歴ありの運転者に関する車両のヨー方向角速度を含む第1グループと、事故歴なしの運転者に関する車両のヨー方向角速度を含む第2グループとに分類し、前記車両速度ごとに、前記第1グループと前記第2グループとの境界におけるヨー方向角速度に基づいて前記急ハンドル操作を検知するための第1基準値及び/又は前記ふらつきハンドル操作を検知するための第2基準値を決定する、
運転解析装置。 - 前記解析部は、前記第1グループの信頼区間外となり、かつ、前記第2グループの信頼区間外となるヨー方向角速度を、前記第1グループと前記第2グループとの境界におけるヨー方向角速度として決める、
請求項1に記載の運転解析装置。 - 前記解析部は、
前記ヨー方向角速度のうちの所定値以上のヨー方向角速度を前記第1グループと前記第2グループとに分類し、
前記車両速度ごとに、前記第1グループと前記第2グループとの境界におけるヨー方向角速度を、前記第1基準値として決定する、
請求項1又は2に記載の運転解析装置。 - 前記第1基準値は、車両速度を変数とするn次近似式で表される、
請求項3に記載の運転解析装置。 - 前記第1基準値Y1(X)は、下記(1)式で表され、
Y1(X)=π400/(180X)[rad/sec]・・(1)
Xは車両速度である、
請求項4に記載の運転解析装置。 - 前記解析部は、
前記ヨー方向角速度のうちの所定値未満のヨー方向角速度を前記第1グループと前記第2グループとに分類し、
前記車両速度ごとに、前記第1グループと前記第2グループとの境界におけるヨー方向角速度を、前記第2基準値として決定する、
請求項1又は2に記載の運転解析装置。 - 前記第2基準値Y2は、下記(2)式で表される、
Y2=±3[deg/sec]・・・(2)
請求項6に記載の運転解析装置。 - 複数の運転者のハンドル操作に関する運転性向を解析し、前記複数の運転者それぞれの急ハンドル操作及び/又はふらつきハンドル操作を検知するための基準値を決定する運転解析システムであって、
前記複数の運転者の各々によって所有され、前記複数の運転者の各々が運転する複数の車両の各々のヨー方向角速度と当該ヨー方向角速度に対応する車両速度とを自身の所有者情報と関連付けて前記運転解析装置に送信する複数の端末装置と、
前記ヨー方向角速度及び前記車両速度と、前記所有者情報に対応する運転者の事故歴情報とに基づいて、前記複数の運転者のハンドル操作に関する運転性向を解析し、急ハンドル操作を検知するための第1基準値及び/又はふらつきハンドル操作を検知するための第2基準値を決定する請求項1に記載の運転解析装置と、
を備える運転解析システム。 - 前記複数の端末装置の各々は、前記複数の車両の各々に取り付けられ、
前記複数の端末装置の各々は、
取り付けられた車両の前記車両速度を示す情報を取得する第1端末用通信部と、
取り付けられた車両の前記ヨー方向角速度を検出するジャイロセンサと、
前記ヨー方向角速度を示す情報と前記車両速度を示す情報とを前記運転解析装置に送信する第2端末用通信部と、
を備える請求項8に記載の運転解析システム。 - 前記第2端末用通信部は、前記運転解析装置から前記第1基準値及び/又は前記第2基準値を受信し、
前記複数の端末装置の各々は、前記第1基準値及び/又は前記第2基準値に基づいて、前記第1端末用通信部で取得したヨー方向角速度において前記急ハンドル操作及び/又は前記ふらつきハンドル操作を検知する検知部を備える、
請求項8に記載の運転解析システム。 - 前記複数の端末装置の各々は、前記検知部によって前記急ハンドル操作及び/又は前記ふらつきハンドル操作が検知されたときに、前記複数の運転者の各々に報知する報知部を備える、
請求項8に記載の運転解析システム。
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