JP6164902B2 - 画像加熱装置 - Google Patents

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Description

本発明は、弾性層を有する加熱部材と搬送部材のニップ部で記録材を加熱処理する画像加熱装置、詳しくは記録材の加熱処理能力を損なうことなく加熱部材の表面温度の温度調整の目標温度を低下させ得る加熱部材の層構成に完成する。
像担持体に担持させたトナー像を記録材に転写し、トナー像が転写された記録材を画像加熱装置の一例である定着装置のニップ部で加熱加圧して記録材に画像を定着させる画像形成装置が広く用いられている。画像加熱装置は、加熱部材(ローラ部材又はベルト部材)に搬送部材(ローラ部材又はベルト部材)を当接させて記録材のニップ部を形成する。加熱部材は、加熱部材の強度を担う基層(円筒部材又はベルト部材)の上にゴム弾性を有する弾性層を配置して記録材表面の凹凸への追従性を高めている(特許文献1、2)。
特許文献1では、弾性層のシリコンゴム材料にアルミナ、シリカ等の酸化金属系熱伝導性充填材を混合して定着ベルトの厚み方向の熱伝導率を高めている。特許文献2では、弾性層の上に、溶融したトナーに対する離型性が高いフッ素樹脂系の離型層を配置している。離型層のフッ素樹脂材料に金、ニッケルなどの金属系熱伝導性充填材を混合して離型層の熱伝導率を高めている。
特開2007−219371号公報 特開2005−302691号公報
伝熱工学 相原利雄著 裳華房 31〜35ページ 電子写真技術の基礎と応用 1988年 コロナ社 192〜210ページ
画像加熱装置において、加熱処理された画像の品質と加熱処理速度が同じであれば、加熱部材の表面温度は低いほど望ましい。加熱部材の表面温度が低いほど、表面全体の放射熱が減るので、加熱部材の表面温度を維持するために必要な電力を節約できる。加熱部材の表面温度が低いほど、加熱部材の表面の離型層の摩耗速度が低下するので、加熱部材の交換寿命が伸びる。
特許文献2に示されるように、離型層の熱伝導率を大きくした場合、温度調整の目標温度を下げて加熱部材の表面温度を下げ得ることが確認された。しかし、特許文献2に示される離型層の厚みでは、その効果が十分とは言えず、加熱処理された画像の品質と加熱処理速度を確保するためには、温度調整の目標温度にある程度の上積みが必要になって、加熱部材の表面温度を十分に低下させることができない。
本発明は、離型層自体から記録材へ効率的な熱供給を行って、ニップ部を通過する際の弾性層からの非効率的な熱供給の割合を減らすことにより、加熱部材全体の表面温度を十分に低下させることができる画像加熱装置を提供することを目的としている。
本発明の画像加熱装置は、加熱源と、前記加熱源に加熱される加熱部材と、前記加熱部材に当接して記録材を搬送するニップ部を形成する搬送部材と、を備え、前記加熱部材は、前記加熱源に加熱される基層と、前記基層上に配置される弾性層と、前記弾性層上に配置される離型層と、を有するものである。そして、
前記弾性層の熱伝導率をλ [W/(m・K)]とし、
前記弾性層の熱容量をC [J/(m ・K)]とし、
前記弾性層の熱浸透率をb [J/(m ・K・s 0.5 )](=(λ 0.5 )とし、
前記弾性層の厚みをd [m]とし、
前記離型層の熱伝導率をλ [W/(m・K)]とし、
前記離型層の熱容量をC [J/(m ・K)]とし、
前記離型層の熱浸透率をb [J/(m ・K・s 0.5 )](=(λ 0.5 )とし、
前記離型層の厚みをd [m]とし、
前記離型層の熱拡散率をα [m /s]とし、
前記ニップ部の記録材滞在時間をt[s]としたとき、
>b かつ (α ・t) 0.5 ≦d
の関係が成り立つと共に、
前記加熱部材は円筒状であり、
前記基層の内径をr [m]とし、
前記弾性層の内径をr [m]とし、
前記離型層の内径をr [m]とし、
前記基層の熱伝導率をλ [W/(m・K)]とし、
前記加熱部材の回転軸線方向の長さをLa[m]とし、
前記加熱部材の回転軸線方向の単位長さ当たりの前記加熱源への投入電力をQ[W/m]とし、
前記加熱部材の表面平均温度をT 3ave [℃]とし、
前記加熱部材の内面平均温度をT 0ave [℃]としたとき、
次式の関係が成り立つことを特徴とする。
Figure 0006164902
別の本発明の画像加熱装置は、加熱源と、前記加熱源に加熱される加熱部材と、前記加熱部材に当接して記録材を搬送するニップ部を形成する搬送部材と、を備え、前記加熱部材は、前記加熱源側から記録材に接する表面まで1から順に層番号を付した合計n層の多層構成を有するものである。そして、
j番目(j=1〜n)の層の熱伝導率をλ [W/(m・K)]とし、
j番目(j=1〜n)の層の熱容量をC [J/(m ・K)]とし、
j番目(j=1〜n)の層の熱浸透率をb [J/(m ・K・s 0.5 )](=(λ 0.5 )とし、
j番目(j=1〜n)の層の厚みをd [m]とし、
n番目の層の厚みをd [m]とし、
n番目の層の熱拡散率をα [m /s]とし、
前記ニップ部の記録材滞在時間をt[s]としたとき、
>b nー1 かつ (α ・t) 0.5 ≦d
の関係が成り立つと共に、
円筒状に形成された前記加熱部材のj番目の層の内径をr [m]とし、
前記加熱部材の回転軸線方向の長さをLa[m]とし、
前記加熱部材の回転軸線方向の単位長さ当たりの前記加熱源への投入電力をQ[W/m]とし、
前記加熱部材の表面平均温度をT nave [℃]とし、
前記加熱部材の内面平均温度をT 0ave [℃]としたとき、
次式の関係が成り立つことを特徴とする。
Figure 0006164902
本発明の画像加熱装置では、加熱部材の周面の一部分がニップ部を通過する際に、単位体積当たり熱容量の大きな離型層にほぼ限定されて熱移動が発生するため、単位体積当たり熱容量の小さな弾性層からの非効率的な熱移動に頼らなくて済む。
加熱部材がニップ部を通過する際に、離型層自体から記録材へ効率的な熱供給を行って、離型層に対する弾性層からの非効率的な熱供給に頼る割合を減らすので、加熱部材全体の表面温度を十分に低く設定できる。
本発明の画像加熱装置では、弾性層の耐熱温度以下で運転できるように離型層厚みを設定するため、加熱部材の耐久寿命を損なうことがない。
画像形成装置の構成の説明図である。 定着装置の構成の説明図である。 ニップ部における直径方向の温度分布の変化の説明図である。 離型層の厚みの検討の説明図である。 離型層の熱拡散長の検討の説明図である。 離型層の厚みが30μmの場合の深さ方向の温度分布の説明図である。 離型層の厚みと最低定着温度の関係の説明図である。 定着ローラの各層のパラメータの説明図である。 定着ローラの一周回転における表面温度の変化の説明図である。 離型層の厚みの上限値の説明図である。 供給電力と離型層の最大許容厚みの関係の説明図である。 実施例2の定着装置の構成の説明図である。 定着ベルトの一周回転における表面温度の変化の説明図である。 定着ベルトの一周回転における内面温度の変化の説明図である。 離型層の厚みの上限値の説明図である。 供給電力と離型層の最大許容厚みの関係の説明図である。 実施例3の定着装置の構成の説明図である。 実施例4の定着装置の構成の説明図である。 実施例5の定着装置の構成の説明図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
(画像形成装置)
図1は画像形成装置の構成の説明図である。図1に示すように、画像形成装置100は、中間転写ベルト21に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成部12Y、12M、12C、12Kを配列したタンデム型中間転写方式のフルカラープリンタである。
画像形成部12Yでは、感光ドラム13(Y)にイエロートナー像が形成されて中間転写ベルト21に転写される。画像形成部12Mでは、感光ドラム13(M)にマゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト21に転写される。画像形成部12C、12Kでは、感光ドラム13(C)、13(K)にそれぞれシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて中間転写ベルト21に転写される。
中間転写ベルト21に担持された四色のトナー像は、二次転写部T2へ搬送されて記録材Pへ一括二次転写される。記録材カセット11Aから取り出された記録材は、分離ローラ11Bで1枚ずつに分離されてレジストローラ11Cへ搬送される。レジストローラ11Cは、中間転写ベルト21のトナー像にタイミングを合わせて記録材Pを二次転写部T2へ給送する。
二次転写ローラ23は、二次転写内ローラを兼ねる駆動ローラ19上の中間転写ベルト21に当接して二次転写部T2を形成する。定着装置10は、記録材Pを加熱加圧して記録材Pに画像を定着させる。二次転写部T2を通過してトナー像を二次転写された記録材Pは、中間転写ベルト21から曲率分離して定着装置10へ送り込まれ、定着装置10で画像が定着された記録材Pが機体外へ排出される。
(画像形成部)
画像形成部12Y、12M、12C、12Kは、それぞれの現像装置で用いるトナーの色がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと異なる以外は、実質的に同一に構成される。以下では、ブラックの画像形成部12Kについてトナー像の形成プロセスを説明し、他の画像形成部12Y、12M、1Cに関する重複した説明を省略する。
画像形成部12Kは、感光ドラム13の周囲に、帯電ローラ14、露光装置15、現像装置16、一次転写ローラ18d、及びドラムクリーニング装置17を配置している。感光ドラム13は、感光層を表面に有して所定のプロセススピードで回転する。帯電ローラ14は、感光ドラム13の表面を一様な電位に帯電させる。露光装置15は、レーザービームを回転ミラーで走査して、感光ドラム13の表面に画像の静電像を書き込む。
現像装置16は、感光ドラム13にトナーを移転させて静電像をトナー像に現像する。一次転写ローラ18dは、電圧を印加されて、感光ドラム13に担持されたトナー像を中間転写ベルト21へ転写する。ドラムクリーニング装置17は、クリーニングブレードを感光ドラム13に摺擦させて感光ドラム13に残った転写残トナーを回収する。
中間転写ベルト21は、駆動ローラ19とテンションローラ20と一次転写ローラ18a、18b、18c、18dに掛け渡して支持され、駆動ローラ19に駆動されて矢印方向に回転する。ベルトクリーニング装置22は、二次転写部T2を通過した中間転写ベルト21上の転写残トナーを回収する。二次転写ローラ23は、中間転写ベルト21に従動回転する。
<実施例1>
図2に示すように、加熱部材の一例である定着ローラ1は、加熱源の一例であるハロゲンランプ3に加熱される。搬送部材の一例である加圧ローラ2は、定着ローラ1に当接して記録材を搬送するニップ部Nを形成する。基層1cは、ハロゲンランプ3に加熱される。弾性層1bは、基層上に配置される。離型層1aは、弾性層上に配置される。離型層1aの熱浸透率は、弾性層1bの熱浸透率よりも大きい。
離型層1aの熱拡散率をαとし、ニップ部Nの記録材滞在時間をtとしたとき、離型層1aの厚さdは、次式である。数式は後で説明する。
Figure 0006164902
トナーが定着ローラ1へ移転するトナーオフセットを防止するために、同一温度において、離型層1aには該離型層の表面の溶融トナーに対する接触角が、弾性層1bの表面の溶融トナーに対する接触角よりも大きい層を設ける。
(定着装置)
図2は定着装置の構成の説明図である。図2に示すように、定着装置10は、定着ローラ1に加圧ローラ2を当接させたニップ部Nで、トナー像を転写された記録Pを加熱加圧して、記録材Pに画像を定着させる。
定着ローラ1は、長さが300mm、直径が30mmである。定着ローラ1は、厚さ1mmの鋼管の基層1cの上にシリコンゴムの弾性層1bを形成している。弾性層1bは、定着ローラ1の表面に柔軟性を持たせて、記録材表面の凹凸に倣わせる。弾性層1bの厚みや硬度を調整することで、ニップ部Nの回転方向長さ(ニップ幅)や定着画像の画質調整を行うことができる。弾性層1bの表面は、溶融したトナーに対する接触角度がシリコンゴムよりも大きいフッ素樹脂系のゴム材料を用いた離型層1aに覆われている。離型層1aは、溶融したトナーに対する離型性を発揮する。
加圧ローラ2は、長さが300mm、直径が30mmである。加圧ローラ2は、厚さ1mmの鋼管の基層2cの上に厚さ200μmのシリコンゴムの弾性層2bを形成している。弾性層2bは、加圧ローラ2の表面に柔軟性を持たせて、定着ローラ1と記録材表面の接触状態を改善する。弾性層2bの表面は、厚み50μmのフッ素樹脂(PFA)の離型層2aに覆われている。離型層2aは、記録材Pの分離を容易にする。
定着ローラ1は、駆動モータ130に駆動されて矢印R1方向に回転する。加圧ローラ2は、接離機構140によって定着ローラ1に対して当接及び離間が可能である。加圧ローラ2は、接離機構140によって定着ローラ1に向かって加圧されて、定着ローラ1に圧接してニップ部を形成する。
加圧ローラ2は、定着ローラ1から離間しているときは、駆動モータ130に駆動されて矢印R2方向に回転する。加圧ローラ2は、定着ローラ1に圧接しているときは、不図示のワンウエイクラッチによって駆動モータ130の駆動から分離されて、定着ローラ1の回転に従動して回転する。
ハロゲンランプ3は、定着ローラ1の中心軸上に配置されて定着ローラ1の基層1cを内側から加熱する。ハロゲンランプ3の発光部長は324mmである。温度制御部120は、不図示の交流電源回路を制御して、ハロゲンランプ3に通電して、輻射熱を発生させる。ハロゲンランプ3の輻射熱は、定着ローラ1の基層1cを加熱して定着ローラ1を昇温させる。
温度センサ121は、ニップ部Nの直前位置で定着ローラ1の表面温度を検知する。温度センサ121から出力される温度に関する電気的な情報が温度制御部120へ入力する。温度制御部120は、温度センサ121の検知温度が温度調整の目標温度(定着温度)に維持されるように、交流電源回路の出力を制御して、ハロゲンランプ3に対する供給電力を調整する。このようにして、定着ローラ1の表面が予め設定されている定着温度に立ち上がって定着温度に維持される。
(加熱ローラのパラメータの説明)
図3はニップ部における直径方向の温度分布の変化の説明図である。ここでは、非特許文献1に示される伝熱工学の関係式を用いて、加熱部材と搬送部材のニップ部における伝熱現象を記述し、使用する各種パラメータを説明する。
図2に示すように、定着ローラ1上の点p1がニップ部Nへ突入して通過する過程における点p1の定着ローラ1直径方向の温度分布の変化を考える。定着ローラ1上の点p1は、ニップ部Nを通過して温度低下した後、ほぼ一周回転にわたってハロゲンランプ3からの熱供給を受けて温度調整の目標温度まで温度を回復して、再びニップ部Nへ突入して記録材Pに熱を奪い取られる。
図3の(a)に示すように、定着ローラ1上の点p1が時刻t=0でニップ部Nへ突入して記録材Pに接触した瞬間、点p1の温度はTbに低下する。その後、ニップ部N内を移動して時間がt1、t2、t3と進むにつれて、記録材Pと定着ローラ1の温度分布が次第になだらかになる。ここでは、記録材Pと定着ローラ1が半無限固体と想定している。記録材Pと定着ローラ1は、半無限固体ではないが、定着ローラ1の点p1がニップ部Nに滞在する時間は短く、滞在中に熱影響が及ぶ範囲は表層部分の領域に限られるため、半無限固体とみなして差支えない。
図3の(b)に示すように、定着ローラ1内部には非定常熱伝導が生じ温度は時々刻々と変化する。点p1における定着ローラ1と記録材Pの界面温度は、温度Tbで一定であるが、温度分布がなだらかになるに連れて、定着ローラ1側の平均温度が次第に低下するため、定着ローラ1から記録材Pへの熱流量が減少する。平均温度が低くなり過ぎると、定着ローラ1の記録材Pに対する加熱能力が不足して、トナー像の溶融、定着が不十分になる可能性が出てくる。
定着ローラ1内部の温度分布は、接触してからの時間tと深さ方向の位置xとの関数になる。位置xは、定着ローラ1とトナー画像との接触界面を原点に取った座標系である。初期温度がThであった定着ローラ1の界面温度がTbに固定された状況を境界条件として非定常熱伝導方程式を解けば、定着ローラ1内部での温度の非定常な変化を次式により求めることができる。
Figure 0006164902
Figure 0006164902
ここで、式(4)における「erfc」は相補誤差関数を、α[m/sec]は定着ローラ1の表面層の熱拡散率を示す。式(5)のxは、接触時間tにおいて定着ローラ1の温度Tが境界温度Tに対して16%変化する接触界面からの深さを表す。この温度分布変化の浸透深さを熱拡散長Lと呼ぶ。次式で定義される熱拡散長Lは、伝熱工学において非定常熱伝導が生じる際の温度影響の及ぶ範囲の指標として一般的に用いられている。
Figure 0006164902
式(4)の非定常熱伝導によって定着ローラ1から記録材Pへ流入する熱流束q[J/m]は、次式のように求められる。
Figure 0006164902
式(7)から明らかなように、bが大きい定着ローラ1ほど記録材Pへ熱エネルギーを与え易く、その結果、効率的にトナーを溶融、定着できる。また、記録材Pへ与える熱量とトナーの定着性との間には正の相関があるため、bの大きな材料を定着ローラ1の表層に用いれば、トナーの定着性を維持しつつ定着ローラ1の温度を低温化することができる。
以上のように、熱拡散長Lは、非定常熱伝導時の温度影響の及ぶ範囲を、また熱浸透率bは、物質のエネルギー授受能力の大きさを表す指標となる。
(厚みの影響の検討)
図4は離型層の厚みの検討の説明図である。
表1に示すように、定着ローラ1の離型層1aの厚みdと熱浸透率b (ここでは熱伝導率λ)を振って、トナーの定着性の検討を行って、トナーの最低定着温度に対する熱浸透率bの影響を調べた。定着ローラ1の温度調整の目標温度の低温化に有効な定着条件を調べた。
Figure 0006164902
トナーの最低定着温度は、定着後の画像に所定量の折り曲げと摩擦を加えて行う破壊試験において、試験後の記録材上のトナー残存率が9割を超えるために最低限必要な、ニップ直前での定着ローラ1の表面温度である。
非特許文献2に示されるように、トナー定着性は、加圧力、ニップ部の通過時間、ニップ部でのトナー粘度の関数として表される定着強度と相関関係がある。このような相関関係に基づいて、定着条件を反映した熱伝導シミュレーションからニップ部Nでのトナー温度(粘度)を見積もってトナーの定着性を評価し、各定着条件における最低定着温度を求めた。
図4に示すように、離型層の熱浸透率bが大きくなるほど最低定着温度が低くて済む。図4の横軸は定着ローラ1の離型層1aの熱浸透率b、縦軸はトナーの最低定着温度である。これは、熱浸透率bが大きいほど、トナーへの熱エネルギーの付与が効率的になるためである。
また、離型層の厚みdに関して比較すると、弾性層の熱浸透率b (図4中の破線)を境にして、最低定着温度の低温化に有利な離型層の厚みdの傾向が入れ替わっており、明確な閾値が存在する。つまり、弾性層の熱浸透率bが離型層の熱浸透率bよりも大きい範囲では離型層の厚みdが薄い方が最低定着温度の低温化に有利である。逆に、弾性層の熱浸透率bが離型層の熱浸透率bよりも小さい範囲では離型層の厚みdが厚い方が最低定着温度の低温化に有利である。
(熱拡散長の影響の検討)
図5は離型層の熱拡散長の検討の説明図である。図6は離型層の厚みが30μmの場合の深さ方向の温度分布の説明図である。
表2に示すように、離型層1aの厚みが30μmと200μmとの場合について、定着ローラ1の離型層1aの熱伝導率λと熱容量ρを振ってトナーの定着性の検討を行い、トナーの最低定着温度に対する熱拡散長Lの影響を調べた。定着ローラ1の温度調整の目標温度の低温化に有効な定着条件を調べた。
Figure 0006164902
図5の(b)に示すように、離型層1aの厚みdが200μmの場合、最低定着温度は、離型層の熱浸透率bが大きいほど低くなる。離型層の熱浸透率bを大きくするために熱伝導率λを大きくした場合でも、熱容量ρを大きくした場合でも、最低定着温度は等しくなる。離型層1aが厚い場合、熱伝導率λを大きくしても、弾性層1bの熱浸透率bまで影響が及ばないため、離型層1aの熱浸透率bを大きくした効果が大きく現れて、最低定着温度を十分に低下できる。
図5の(a)に示すように、離型層1aの厚みdが30μmの場合、最低定着温度は、離型層の熱浸透率bが大きいほど低くなる。離型層1aの熱浸透率bを大きくするために熱伝導率λを大きくした場合、熱容量ρを大きくした場合よりも最低定着温度は高くなる。離型層1aが薄い場合、熱伝導率λを大きくすると、弾性層1bの熱浸透率bの影響が大きくなるので、離型層の熱浸透率bを大きくした効果が薄れて最低定着温度を十分に低下させることができない。
図6に示すように、離型層1aの厚みdが30μm、熱浸透率bが1400[J/(m・K・sec0.5)]として、熱伝導率λを大きくした場合の温度分布は実線のようになり、熱容量ρを大きくした場合の温度分布は破線のようになる。ニップ部Nの通過時間tは10msecであるため、ニップ部Nで定着ローラ1の表面が10msecの冷却を受けた時点における深さx方向の温度分布を比較している。熱伝導率λを大きくした場合も、熱容量ρを大きくした場合も、記録材側の温度分布は等しくなるので、トナー画像の定着性は等しくなる。
しかし、定着ローラ1側では、熱容量ρを大きくした場合(破線)と熱伝導率λを大きくした場合(実線)とで温度分布が大きく異なる。熱容量ρを大きくした場合、熱拡散長Lが30μmであるため、ニップ部Nを通過する10msecの間に冷却の及ぶ深さはほぼ離型層1aの厚み30μm内に収まる。しかし、熱伝導率λを大きくした場合、熱拡散長Lが150μmであるため、ニップ部Nを通過する10msecの間に冷却の及ぶ深さは離型層1aを超えて弾性層1bにまで及ぶ。
(電力消費の課題)
図6に示すように、同じ定着性を得るために必要な定着ローラ1の温度調整の目標温度は、熱伝導率λを大きくした場合、176℃となって、熱容量ρを大きくした場合及び離型層1aの厚みが200μmの場合の167℃よりも高くなる。つまり、同じ出力画像の定着性を等しく確保するために、離型層1aの厚みが30μmの場合は、離型層1aの厚みが200μmの場合よりも定着ローラ1の表面温度をより高温に維持しておく必要がある。定着ローラ1の表面温度を高温に維持すると、定着ローラ1の放熱が激しくなるため、電力消費が高まる。定着ローラ1の表面温度を高温に維持すると、定着ローラ1の各層の熱劣化が促進される。
(離型層の厚みの下限値)
図7は離型層の厚みと最低定着温度の関係の説明図である。
表3に示すように、ニップ部の通過時間tと離型層1aの厚みとを振って、上述したように出力画像の定着性を評価して、それぞれ最低定着温度を調べた。実験結果に基づいて最低定着温度、熱拡散長L、離型層1aの厚みd、ニップ部Nの通過時間tとの関係を一般化した。
Figure 0006164902
図7の(a)に示すように、いずれのニップ部の通過時間tにおいても、離型層1aの厚みが熱拡散長Lを超えたあたりから最低定着温度が所定の温度に飽和している。そこで、それぞれのニップ部の通過時間10〜100msecに関して最低定着温度のデータから飽和した所定の温度を差し引いて規格化し、すべてのニップ部の通過時間tのデータを1つのグラフにした。
図7の(b)に示すように、ニップ部の通過時間tが異なる場合においても熱拡散長Lによって最低定着温度の傾向が整理できる。また、実際には、離型層1aの厚みが熱拡散長Lの50%を超えたあたりから最低定着温度が飽和温度に達している。このため、離型層1aの熱拡散率をα[m/sec]とし、ニップ部Nの記録材滞在時間をt[sec]として、離型層1aの厚みdを熱拡散長Lの50%以上である次式で示す厚みにすることで、離型層1aの伝熱特性を最大限に生かすことができる。
Figure 0006164902
ここで、定着ローラ1がn層構成である場合について一般化して表す。定着ローラ1は、加熱源側から記録材に接する表面まで1から順に層番号を付した合計n層の多層構成を有するとする。j番目(j=1〜n)の層の熱浸透率をb、熱拡散率をα、厚みをd、ニップ部Nの記録材滞在時間をtとし、b>bn−1においてn番目の層の厚さdを次式で表す厚みにする。
Figure 0006164902
加熱部材の層数が何層あろうとも、ニップ部Nでの加熱部材と記録材の熱量の授受は、基本的には式(4)に従い、n層構成に一般化しても式(9)のような同様の関係で離型層厚みを規定することができる。
ただし、層と層の間には接着層としてのプライマー層が存在する場合があるが、通常プライマー層は弾性層や離型層に対して十分に薄いため、層としては無視する。つまり、各層での熱量の授受量が視点の中心となる本発明においては、プライマー層の熱的寄与は小さく、層番号としては勘定しないこととする。また、以降においても同様に、プライマー層は層として勘定しない。
また、弾性層の成形過程によっては、弾性層の表面や界面に弾性層のバルク中とはフィラー分散量の異なるスキン層が形成される場合があるが、スキン層は弾性層厚みに対して十分薄いため、層としては無視する。つまり、各層での熱量の授受量が視点の中心となる本発明においては、スキン層の熱的寄与は小さく、層番号としては勘定しないこととする。また、以降においても同様に、スキン層は層として勘定しない。
(離型層の厚みの上限値)
図8は定着ローラの各層のパラメータの説明図である。図9は定着ローラの一周回転における表面温度の変化の説明図である。図10は離型層の厚みの上限値の説明図である。図11は供給電力と離型層の最大許容厚みの関係の説明図である。
図8に示すように、離型層1aの伝熱特性を最大限生かすためには、式(6)の関係に基づき厚みdを設計すればよい。しかし、離型層1aの厚みが増すと定着ローラ1の総熱抵抗が増大して、弾性層1bの温度が耐熱温度を超える可能性がある。そこで、ハロゲンランプ3による加熱量が最も大きい運転状態でも、定着ローラ1の各層がそれぞれの耐熱温度を超えないように、離型層1aの厚みdの上限値を規定する必要がある。定着ローラ1の内周面と外周面とで最も温度差が大きく、かつ内周面の温度が高温になるのは、画像間隔を0にして連続画像形成を続けている場合である。このような連続画像形成において定着ローラ1の各層が耐熱温度以下になるように離型層1aの厚みdを設定すれば、その他の定着条件において問題は生じないと考えられる。
図8に示すように、定着ローラ1の中心から投入されたハロゲンランプ3の放射エネルギーは、定着ローラ1の各層を内側から外側へ向かって放射状に伝わる。定着ローラ1の内側から基層1c、弾性層1b、離型層1aと構成される。各層を加熱源側から記録材と接する表面側へ向けて番号jを付す(j=1:基層1c、j=2:弾性層1b、j=3:離型層1a)。各層の内径をr(j:1〜3)、厚みをd(j:1〜3)、熱伝導率をλ(j:1〜3)とする。また、各層の外周面の温度をT(j:1〜3)とし、最も内側の層の内周面の温度をTとする。定着ローラ1の紙面奥行き方向の長さをLa[m]とする。ハロゲンランプ3から放射される単位長さ当たりの電力(以降「電力」と称す)をQ[W/m]とする。この状態は、円筒状物質の定常熱伝導現象としてモデル化することができる。
円筒状の定着ローラ1中心から電力Q[W/m]を与えた場合、最も内側の層の内周面の温度Tと記録材Pに接する外周面の温度Tとの間には式(10)の関係が成立する。式(10)を離型層1aの厚みdについて解くと、式(11)が得られる。
Figure 0006164902
Figure 0006164902
定着ローラ1において最も温度が高くなるのは、加熱源であるハロゲンランプ3に最も近い一番内側の内周面の温度Tである。このため、式(11)に基づいて、定着ローラ1の内周面温度Tが耐熱限界温度以下になる離型層1aの厚み以下に設計すれば、定着ローラ1の耐熱性問題は解消できる。
ところで、1層目が金属製の基層1cの場合、耐熱性が問題になるのは2層目の弾性層1bであるため、弾性層1bの温度Tが弾性層1bの耐熱限界温度以下になるように離型層1aの厚みを設計する必要がある。しかし、金属の熱伝導率は非常に大きいので金属層内での温度分布はほとんどなく、実質T≒Tとなるため、Tが弾性層の耐熱限界温度以下になる離型層1aの厚みを設計すればよい。
また、層構成が変わる場合においても、式(11)を応用して層を追加することで、同様の設計が可能である。
ここで、定着ローラ1がn層構成である場合について一般化して表す。定着ローラ1は加熱源側から記録材に接する表面まで1から順に層番号を付した合計n層の多層構成を有するとする。j番目(j=1〜n)の層の内径をr、厚みをd、熱伝導率をλ、j
層目の外周面温度をT,1層目の内周面温度をTとし、n層目の厚みを次式で表す厚みにする。
Figure 0006164902
表4に示すように、図2の定着装置10について定着ローラ1の各層の厚みおよび熱物性値を設定して、定着ローラ1を二次元断面でモデル化した熱伝導シミュレーションを行って、定着ローラ1の内周面温度Tを評価した。定着ローラ1の離型層1aの厚みを振って、定着ローラ1の各層の厚みd、d、dと定着ローラ1の内周面温度Tとの関係を調べた。
Figure 0006164902
図9に示すように、電力Q=2778[W/m]、離型層1aの厚さd=50μmにおいて、通常状態の定着ローラ1の一周回転の表面温度変化をシミュレーションした。定常状態は、定着ローラ1の一周回転の表面温度変化が一定に繰り返されるまで、連続紙(画像間隔=0)を定着処理した状態である。横軸にニップ部Nへ突入開始位置からの回転角を、縦軸に定着ローラ1表面上の一点の温度を取っている。
図8に示すように、上述した式(11)は、厳密には円筒系において回転方向に等方的な定常熱伝導現象が生じている状態を記述しているが、実際の定着ローラ1では図9に示すように、表面温度が冷却と再加熱のサイクルを繰り返す。そこで、ここでは、表面温度Tを表面温度の平均値に取った。尚、表面温度T の平均値は、T 3ave [℃]とも表し、定着ローラ1の内面温度の平均値は、T 0ave [℃]とも表す。
Figure 0006164902
ここで、ハロゲンランプ3は、定着ローラ1の回転方向の全体を均一に加熱する。定着ローラ1の内周面の平均温度が定着ローラ1のn−1番目の層の耐熱温度未満となるように運転条件を設定している。このとき、定着ローラ1内面の温度Tは、金属の熱伝導率が大きいため、一周にわたってほぼ一定値の220℃であり、定着ローラ1内面の温度Tの平均値とほぼ等しくなる。図10に示すように、この状態で、離型層1aの厚さdを50〜600μmに振って、定着ローラ1の内面と表面の平均温度の熱伝導シミュレーションを行った。
図10に示すように、定着ローラ1の内面と表面の平均温度は、いずれも離型層1aの厚みd(d)に対して線形関係を有する。したがって、弾性層1bのゴムの耐熱温度を230℃と想定すると、離型層1aの厚みd(d)は、252μm以下にする必要がある。
続いて、同様の熱伝導シミュレーションによる検討を他の一般的な電力Qにおいて行い、図11に示すように、それぞれの電力において定着ローラ1の内周面温度Tを230℃以下にするための離型層1aの最大許容厚み(×印)を求めた。
図11に示すように、熱伝導シミュレーションによる結果(×印)は、上記の式(6)に基づく解析解と非常によく一致していることがわかった。したがって、定着ローラ1の表面温度が不均一であっても、その平均値を代表値として用いることで、式(11)により離型層1aの厚みを見積もることができる。
以上より、式(8)と式(11)を合わせた次式(14)のように定着ローラ1の離型層1aの厚さdを規定することで、離型層1aの伝熱特性を最大限に生かしつつ、定着ローラ1の耐熱限界温度以下に内周面温度を抑えることができる。
Figure 0006164902
また、定着ローラ1がn層構成である場合について一般化すると、式(9)と式(12)を合わせて次式(15)のようになる。次式(15)のように、定着ローラ1のn番目の層の厚さdnを規定することで、n番目の層の伝熱特性を生かしつつ、定着ローラ1の2番目の層の耐熱限界温度以下に内周面温度を抑えることができる。
Figure 0006164902
(実施例1の具体的構成)
図2に示すように、定着ローラ1は、長さが300mm、直径が30mmである。定着ローラ1は、厚み1mmの鉄製の基層1cの上に厚み200μmのシリコンゴム製の弾性層1bを形成している。弾性層1bは、定着ローラ1に柔軟性を持たせるためのものであり、厚みや硬度を調整することで、ニップ部Nの搬送方向の幅や出力画像の画質調整を行う。定着ローラ1の離型層1aの直下に配置された弾性層1bの弾性係数は、離型層1aの弾性係数よりも小さく、同一温度において、離型層1aの表面の溶融トナーに対する接触角は、弾性層1bの表面の溶融トナーに対する接触角よりも大きい。n−1番目の層の弾性係数は、n番目の層の弾性係数よりも小さく、同一温度において、n番目の層の表面の溶融トナーに対する接触角は、n−1番目の層の表面の溶融トナーに対する接触角よりも大きい。
弾性層1bの表面は、厚み100μmのフッ素ゴム製の離型層1aに覆われている。離型層1aには高熱伝導性の無機フィラーを添加しているため、フッ素ゴム材料の熱伝導率が高められている。定着ローラ1の離型層1aには、高熱伝導性の無機系充填材(無機フィラー)を混合して、離型層1aの単位体積当たり熱容量と熱伝導率とを共に高めている。
加圧ローラ2は、長さが300mm、直径が30mmである。加圧ローラ2は、厚み1mmの鉄製の基層2cの上に厚み200μmのシリコンゴム製の弾性層2bを形成している。弾性層2bは、厚み50μmのフッ素樹脂(PFA)の離型層2aに覆われている。定着ローラ1および加圧ローラ2の各層の熱物性値を表5に示す。
各層の密度は、液浸法による密度測定装置を用いて測定した。また比熱は示差走査熱量計DSCを用い測定し、密度と比熱の積から熱容量を求めた。熱伝導率はai−Phase Mobile2(株式会社アイフェイズ)を用いて測定した。
Figure 0006164902
定着装置10は、ニップ部Nの圧力が0.4MPa、ニップ部Nの回転方向の幅が4mm、定着ローラ1の周速度は400mm/sec、ニップ部Nの通過時間は0.004÷0.4=10msecである。ハロゲンランプ3から定着ローラ1へ与えられる電力はQ=2534[W/m]である。連続紙の加熱処理において定着ローラ1の表面温度が定常状態になると、定着ローラ1の表面のニップ部Nの直前温度が約180℃になる。
図7の(a)に示すように、ニップ部Nの通過時間10msecにて、離型層1aの厚みd=100μmのとき、最低定着温度は176℃であるため、実施例1のパラメータ設定により、連続紙上のトナーは十分に定着されている。このときの定着ローラ内面の温度は205℃であるため、一般的なシリコンゴムの耐熱温度である230℃と比べて十分低く、弾性層1bは十分な耐久寿命を発揮できる。
(実施例1の効果)
記録材に効率よく未定着トナー画像を定着させるには、定着ローラ1の内部に配置されたハロゲンランプ3からの熱をトナー像と接する定着ローラ1の表面に向けて効率よく導く必要がある。つまり、定着ローラ1の内部から表面に向けての熱抵抗を小さくすることが重要である。弾性層1bの伝熱特性を向上させるためには、弾性層1bそれ自体に高熱伝導性のフィラーを添加すればよい(特許文献1)。高熱伝導性のフィラーによって弾性層1bの熱伝導率が向上して、記録材上のトナーが効率的に加熱される。
弾性層1bの外側に離型層1aが積層されている場合、離型層1aが熱抵抗層として働くため、離型層1aの厚みによっては弾性層1bの高熱伝導率化の効果を十分に生かすことができない。そこで、離型層1aに高熱伝導性フィラーを添加して、離型層1aの熱伝導率を高めることが考えられる(特許文献2)。これにより、離型層1aによるトナーのオフセット性能を良好に保ちつつ、記録材への加熱効率を高めて、定着ローラ1の温度調整の目標温度を引き下げることができる。
しかし、離型層1aの熱伝導率が高くなると、離型層1aの厚みに関して新たな課題が生じる。定着ローラ1が内側から基層1c/弾性層1b/離型層1aで構成され、弾性層1bよりも離型層1aの熱浸透率が高い場合、離型層1aの厚みを離型層1aの熱拡散長Lの50%以上にしなければ、離型層1aの伝熱特性を十分に生かせない。そこで、実施例1では、弾性層1bよりも離型層1aの熱浸透率を大きく設定するとともに、離型層1aの厚みdを熱拡散長Lの50%以上に設定している。これにより、効率的なトナー定着条件を実現して、定着ローラ1の温度調整の目標温度を低温化している。
ところで、離型層1aの厚みdを熱拡散長Lの50%を超えて闇雲に厚くすると、弾性層1bの熱抵抗を加算した定着ローラ1の総熱抵抗が増大する。その結果、トナー溶融に必要な温度まで定着ローラ1の表面温度を上げると、弾性層1bが耐熱温度の230℃を超えてしまう可能性が出てくる。そこで、実施例1の定着装置10は、離型層1aの熱浸透率を大きく設定するとともに、厚みの上限値を適正に設定することで、定着ローラ1の離型層1bを耐熱温度の230℃以下で利用して、過熱による寿命低下を阻止している。
<比較例1>
図10に示すように、離型層1aの厚みdを変えても、定常状態では、定着ローラ1の表面温度はほぼ一定である。比較例1は、離型層1aの厚みd=20μmである。図6、図7に示すように、比較例1では、質量が不足して離型層1aが十分な蓄熱性能を発揮できないため、定着ローラ1の表面からトナーへの熱流量が不足して、トナーの溶融が不十分となって、出力画像の定着性が不足する結果となった。
<比較例2>
図10に示すように、離型層1aの厚みdを変えても、定常状態では、定着ローラ1の表面温度はほぼ一定である。比較例2は、離型層1aの厚みd=600μmである。比較例2では、離型層1aの表面温度は実施例1とほぼ同じであるが、基層1cおよび弾性層2bの内周面の温度が230℃を超えて、定着ローラ1の耐久寿命が著しく低下した。
<実施例2>
実施例2では、図1に示す画像形成装置100において、図1に示すローラ定着装置の定着装置10を図12に示す定着装置10Bに置き換えている。定着装置10Bは、定着ベルトに加圧ローラを当接して記録材のニップ部を形成するベルト定着装置である。
(定着装置)
図12は実施例2の定着装置の構成の説明図である。図1に示すように、定着装置10Bは、二次転写部T2にてトナー像を転写された記録材Pを加熱加圧して画像を記録材Pに定着させる。
図12に示すように、定着装置10Bは、定着ベルト93と加圧ローラ94の間に形成されるニップ部Nにて記録材Pを加圧加熱して、記録材Pに出力画像を定着させる。
定着ベルト93は、回転方向に直角な幅方向の長さが300mm、直径が30mmである。定着ベルト93は、金属製の基層93c、ゴム材料の弾性層93b、フッ素系ゴム材料による離型層93aにより構成される。定着ベルト93は、厚み0.05mmのニッケル製の基層93cの外側に厚み200μmのシリコンゴム製の弾性層93bを形成している。弾性層93bは、定着ローラ1に柔軟性を持たせる。弾性層93bの厚みや硬度を調整することで、ニップ部Nの回転方向の長さや、出力画像の画質調整を行うことができる。
加圧ローラ94は、駆動モータ130に駆動されて矢印R2方向に回転する。定着ベルト93は、加圧ローラ94の回転に伴って従動して矢印R1方向に回転する。加圧ローラ94は、回転方向に直角な幅方向の長さが300mm、直径が30mmである。加圧ローラ94は、厚み1mmの鉄製の基層94cの上に厚み200μmのシリコンゴム製の弾性層94bを形成している。弾性層94bの表面は、厚み50μmのフッ素樹脂(PFA)製の離型層94aに覆われている。
定着ベルト93の内部空間には、加圧ステー93dと加圧パッド93eが非回転に配置される。加圧ステー93dに荷重をかけることで加圧パッド93eを加圧ローラ94に対して加圧し、定着ベルト93と加圧ローラ94との間にニップ部Nを形成する。加圧パッド93eは、長さ324mmである。加圧ステー93dは、両端部を不図示の加圧機構に付勢されて、加圧ローラ94に向かう荷重をかけられて、加圧パッド93eを定着ベルト93に向かって押圧する。加圧パッド93eに押圧された定着ベルト93と加圧ローラ94との間に記録材Pのニップ部Nが形成される。加圧パッド93eは、定着ベルト93の内周面を摺擦する。定着ベルト93の内面にシリコングリスを塗布して、加圧パッド93eと定着ベルト93の内周面との間の摺動性を確保している。
誘導加熱ユニット92は、定着ベルト93の外側に配置される。誘導加熱ユニット92は、コイル92bに電流を流して磁束を発生させる。温度制御部120は、不図示の励磁回路を制御してコイル92bに通電する。
磁束磁性体コア92aは、コイル92bが発生した磁束を所望の方向へ導いて、定着ベルト93に入射させる。コイル92bは、励磁回路から供給される交流電流によって交番磁束を発生する。コイル92bが発生した交番磁束の磁界は、磁性体コア92aに導かれて、定着ベルト93の基層93cに作用して、定着ベルト93の基層93に渦電流を発生させる。
渦電流は、基層93cの固有抵抗によってジュール熱を発生させる。コイル92bに対して交流電流を供給することで、発生磁束の電磁誘導作用により定着ベルト93が発熱して、定着ベルト93が誘導加熱され、定着ベルト93の表面温度を上昇させる。
定着ベルト93の表面温度は、温度センサ121によって検知される。温度センサ121は、検知温度に関する電気的な情報を温度制御部120へ入力する。温度制御部120は、温度センサ121からの温度情報に基づいて、定着ベルト93が温度調整の目標温度(定着温度)に維持されるように、コイル92bに供給する交流電流を制御する。温度制御部120は、不図示の励磁回路からコイル92bに供給される電力を制御することで、定着ベルト93が予め設定されている定着温度に立ち上がって温度調整される。
(加熱ベルトのパラメータの説明)
図13は定着ベルトの一周回転における表面温度の変化の説明図である。図14は定着ベルトの一周回転における内面温度の変化の説明図である。図15は離型層の厚みの上限値の説明図である。図16は供給電力と離型層の最大許容厚みの関係の説明図である。
図13に示すように、定着ベルト93の表面温度の変化が定常状態になった状態で定着ベルト93の表面温度の変化パターンを熱伝導シミュレーションした。電力Q=2778[W/m]、離型層93aの厚みd=100μmにおいて、連続紙(画像間隔=0)を加熱処理して定着ベルト93の表面温度の変化が一定に繰り返される状態である。横軸にニップ部Nの先頭位置からの回転角を取り、縦軸に定着ベルト93の表面温度を取っている。破線は、一周回転における表面温度の平均値である。
図14に示すように、定着ベルト93の表面温度の変化が定常状態になった状態で定着ベルト93の内面温度の変化パターンの熱伝導シミュレーションを行った。図13と同一条件とし、横軸にニップ部の先頭位置からの回転角を取り、縦軸に定着ベルト93の内面温度を取っている。破線は、表面温度の場合と同様に、内面温度の平均値である。
図15に示すように、定着ベルト93の離型層93aの厚みdと定着ベルト93の内面温度の関係を調べた。表6は、定着ベルト93及び加圧ローラ94の層構成および熱物性値を示す。表6に示すように、離型層93aの厚みを50〜600μmに振って熱伝導シミュレーションの検討を行った。加圧ローラ94の層構成は表4と同じである。
Figure 0006164902
図15に示すように、定着ベルト93の内面平均温度と表面平均温度は、いずれも離型層93aの厚みdに対して線形関係が成り立つ。しかし、図12に示すように、誘導加熱ユニット92は、定着ベルト93の一周回転における所定の角度範囲で、基層93cを部分的に誘導加熱するため、図14に示すように、定着ベルト93は部分的に内面平均温度よりもかなり高い温度に晒される。そのため、図14に示す内面温度の最高温度についても、熱伝導シミュレーションして、離型層93aの厚みdに対して線形関係が成り立つことを確認した。
したがって、実施例2では、定着ベルト93の内面平均温度の線形関係の代わりに、内面温度の最高温度の線形関数に基づいて定着ベルト93を耐熱限界温度以下にするために必要な離型層の厚みを見積もった。図15に示すように、内面温度の最高温度T0maxがシリコンゴムの耐熱限界温度230℃以下に維持されるためには、離型層93aの厚みd<106μmに設定すればよい。
このような熱伝導シミュレーションを1800〜2800[W/m]の範囲の他の電力においても行って、図16に示すように、それぞれの電力において定着ベルト93の内面温度を230℃以下にするための離型層93aの最大許容厚みを求めた。
図16に示すように、実施例1と同様に、熱伝導シミュレーション結果(図中の×)は、上述の式(11)に基づく解析解(図中の○)と非常によく一致していることが判明した。
したがって、定着ベルト93の表面温度及び内面温度が不均一であっても、式(11)を用いて、離型層93aの最大許容厚みをかなり正確に見積もることができる。定着ベルト93が部分的に加熱される場合、部分的な加熱のエネルギー密度によって内面の最高温度T0maxが変わるので、その時々の加熱源構成に応じてあらかじめ内面平均温度と内面最高温度の関係を調べておけばよい。
加熱部材がn層ある場合について一般化すれば次式のようにまとめることができる。式中、αは離型層の熱拡散率、bは離型層の熱浸透率、bn−1は弾性層の熱浸透率である。
Figure 0006164902
ここで、誘導加熱装置92は、定着ベルト93の回転方向の一部分のみを偏って加熱する。定着ベルト93の内周面の最大温度が定着ベルト93のn−1番目の層の耐熱温度未満となるように運転条件を設定している。
以上より、実施例2では、ベルト定着装置において、離型層の伝熱特性を最大限に生かしつつ、内面最高温度を230℃以下に抑えるため、定着ベルトの内面温度をシリコンゴム材料の耐熱限界温度以下に抑えることができる。
(実施例2の具体的構成)
図12に示すように、定着装置10Bは、ニップ部Nの加圧力が0.4MPa、ニップ部Nの回転方向の幅が4mm、ニップ部Nの回転速度は400mm/sec、ニップ部Nの通過時間tは、10msecである。
弾性層93bの表面は、厚み100μmのフッ素ゴム製の離型層93aに覆われている。離型層93aには高熱伝導の無機フィラーを添加して、フッ素ゴムの熱伝導率を上げている。表7に、定着ベルト93および加圧ローラ94の各層の熱物性値を示す。
各層の密度は、液浸法による密度測定装置を用いて測定した。また比熱は示差走査熱量計DSCを用い測定し、密度と比熱の積から熱容量を求めた。熱伝導率はai−Phase Mobile2(株式会社アイフェイズ)を用いて測定した。
Figure 0006164902
誘導加熱ユニット92から定着ベルト93へ与えられる電力はQ=2534[W/m]である。連続紙の加熱処理を行って定着ベルト93の温度が定常状態になると、ニップ部Nの直前位置における定着ベルト93の表面温度が約179℃になる。
図7の(a)に示すように、ニップ部Nの通過時間10msecにおいて、離型層93aの厚みが100μmのとき最低定着温度は176℃であり、本設定によりトナー像は十分に定着される。
一方、定着ベルト93は誘導加熱ユニット92の対向部が部分的に加熱されるため、内面温度には図14と同じような分布ができる。このときの定着ベルト93の内面平均温度は203℃、内面最高温度は209℃であり、一般的なシリコンゴムの耐熱温度である230℃と比べて十分低く維持される。
<比較例3>
図15に示すように、定常状態では、離型層93a厚みdを変えても定着ベルト93の表面温度が変わらない。そこで、比較例3では、離型層93aの厚みdを20μmまで薄くした。すると、図6、図7に示すように、定着ベルト93の熱供給余力が低下して
トナー像への供給熱量が不足し、出力画像の定着性が不十分になった。
<比較例4>
比較例4では、定着ベルト93の熱供給余力を増すために、離型層93aの厚みdを560μmにした。比較例4では、離型層93aの表面温度は実施例2とほぼ同じであるが、基層93cおよび弾性層93bの最高温度が230℃を超えてしまい、定着ベルト93の耐久寿命が著しく低下した。
<実施例3〜5>
図17は実施例3の定着装置の構成の説明図である。図18は実施例4の定着装置の構成の説明図である。図19は実施例5の定着装置の構成の説明図である。
実施例2では加熱部材の一周回転の一部分の加熱源として誘導加熱装置を用いた。しかし、加熱部材の一周回転の一部分を加熱する加熱源は、誘導加熱装置には限らない。
図17に示すように、実施例3の定着装置10Cでは、セラミックヒータ30を定着ベルト93の内面に押し当ててニップ部Nの定着ベルト93のみを局所的に加熱する。
図18に示すように、実施例4の定着装置10Dでは、定着ローラ1の内部にハロゲンランプ3Dと輻射熱反射部材4Dを備えて、ニップ部Nの定着ローラ1のみを局所的に加熱する。
図19に示すように、実施例5の定着装置10Eでは、定着ローラ1の内部のハロゲンランプ3Eの配置位置を定着ローラ1の中心位置からずらして、ニップ部Nの定着ローラ1のみを局所的に加熱する。
このような加熱部材の内面を部分的に加熱する方式の定着装置では、実施例2と同様の数式に基づいて加熱部材の温度を低下させることができる。
本発明は、加熱部材の表面に蓄熱層を設けて加熱部材の1回転において蓄熱層の除熱と加熱が繰り返される限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。従って、加熱部材が弾性層と離型層とを有する画像加熱装置であれば、ローラ/ローラ定着装置、ベルト/ベルト定着装置、ベルト/ローラ定着装置、ローラ/ベルト定着装置のいずれでも実施可能である。画像加熱装置は、定着装置には限らず、定着済画像又は半定着画像を加熱処理する画像表面処理装置でも実施できる。
画像加熱装置は、画像形成装置に搭載される形態に限らず、単独の処理ユニット、他の処理ユニットに連結するコンポーネントとして実施してもよい。本実施形態では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
1 定着ローラ、1a、2a、93a、94a 離型層
1b、2b、93b、94b 弾性層
1c、2c、93c、94c 基層
2 加圧ローラ、3 ハロゲンランプ、11 中間転写ユニット
12Y、12M、12C、12K 画像形成部
13 感光ドラム、14 帯電ローラ、15 露光装置
16 現像装置、17 ドラムクリーニング装置
18a、18b、18c、18d 一次転写ローラ
19 駆動ローラ、20 テンションローラ、21 中間転写ベルト
23 転写ローラ、91 定着装置、92 誘導加熱装置
92a 磁性体コア、92b コイル、93 定着ベルト
93d 加圧ステー、93e 加圧パッド、94 加圧ローラ
P 記録材

Claims (6)

  1. 加熱源と、前記加熱源に加熱される加熱部材と、前記加熱部材に当接して記録材を搬送するニップ部を形成する搬送部材と、を備え、
    前記加熱部材は、前記加熱源に加熱される基層と、前記基層上に配置される弾性層と、前記弾性層上に配置される離型層と、を有し、
    前記弾性層の熱伝導率をλ [W/(m・K)]とし、
    前記弾性層の熱容量をC [J/(m ・K)]とし、
    前記弾性層の熱浸透率をb [J/(m ・K・s 0.5 )](=(λ 0.5 )とし、
    前記弾性層の厚みをd [m]とし、
    前記離型層の熱伝導率をλ [W/(m・K)]とし、
    前記離型層の熱容量をC [J/(m ・K)]とし、
    前記離型層の熱浸透率をb [J/(m ・K・s 0.5 )](=(λ 0.5 )とし、
    前記離型層の厚みをd [m]とし、
    前記離型層の熱拡散率をα [m /s]とし、
    前記ニップ部の記録材滞在時間をt[s]としたとき、
    >b かつ (α ・t) 0.5 ≦d
    の関係が成り立つと共に、
    前記加熱部材は円筒状であり、
    前記基層の内径をr [m]とし、
    前記弾性層の内径をr [m]とし、
    前記離型層の内径をr [m]とし、
    前記基層の熱伝導率をλ [W/(m・K)]とし、
    前記加熱部材の回転軸線方向の長さをLa[m]とし、
    前記加熱部材の回転軸線方向の単位長さ当たりの前記加熱源への投入電力をQ[W/m]とし、
    前記加熱部材の表面平均温度をT 3ave [℃]とし、
    前記加熱部材の内面平均温度をT 0ave [℃]としたとき、
    の関係が成り立つことを特徴とする画像加熱装置。
    Figure 0006164902
  2. 前記離型層の直下に配置された弾性層の弾性係数は、前記離型層の弾性係数よりも小さく、
    同一温度において、該離型層の表面の溶融トナーに対する接触角は、該弾性層の表面の溶融トナーに対する接触角よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の画像加熱装置。
  3. 加熱源と、前記加熱源に加熱される加熱部材と、前記加熱部材に当接して記録材を搬送するニップ部を形成する搬送部材と、を備え、
    前記加熱部材は、前記加熱源側から記録材に接する表面まで1から順に層番号を付した合計n層の多層構成を有し、
    j番目(j=1〜n)の層の熱伝導率をλ [W/(m・K)]とし、
    j番目(j=1〜n)の層の熱容量をC [J/(m ・K)]とし、
    j番目(j=1〜n)の層の熱浸透率をb [J/(m ・K・s 0.5 )](=(λ 0.5 )とし、
    j番目(j=1〜n)の層の厚みをd [m]とし、
    n番目の層の厚みをd [m]とし、
    n番目の層の熱拡散率をα [m /s]とし、
    前記ニップ部の記録材滞在時間をt[s]としたとき、
    >b nー1 かつ (α ・t) 0.5 ≦d
    の関係が成り立つと共に、
    円筒状に形成された前記加熱部材のj番目の層の内径をr [m]とし、
    前記加熱部材の回転軸線方向の長さをLa[m]とし、
    前記加熱部材の回転軸線方向の単位長さ当たりの前記加熱源への投入電力をQ[W/m]とし、
    前記加熱部材の表面平均温度をT nave [℃]とし、
    前記加熱部材の内面平均温度をT 0ave [℃]としたとき、
    次式の関係が成り立つことを特徴とする画像加熱装置。
    Figure 0006164902
  4. 前記n−1番目の層の弾性係数は、前記n番目の層の弾性係数よりも小さく、
    同一温度において、該n番目の層の表面の溶融トナーに対する接触角は、該n−1番目の層の表面の溶融トナーに対する接触角よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の画像加熱装置。
  5. 前記加熱源は、前記加熱部材の回転方向の全体を均一に加熱し、
    請求項1又は3に記載の数式に規定される運転状態において、前記加熱部材の内周面の平均温度が前記加熱部材の内側から2番目の層の耐熱温度未満であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
  6. 前記加熱源は、前記加熱部材の回転方向の一部分のみを加熱し、
    請求項1又は3に記載の数式に規定される運転状態において、前記加熱部材の内周面の最大温度が前記加熱部材の内側から2番目の層の耐熱温度未満であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
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