JP6164447B2 - 吊り天井構造及び吊り天井構造の耐震改修方法 - Google Patents

吊り天井構造及び吊り天井構造の耐震改修方法 Download PDF

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Description

本発明は、吊り天井の構造及び吊り天井構造の耐震改修方法に関する。
従来、例えば学校、病院、生産施設、体育館、プール、空港ターミナルビル、オフィスビル、劇場、シネコン等の建物の天井として、吊り天井が多用されている。そして、吊り天井(吊り天井構造)Aは、例えば図22に示すように、水平の一方向T1に所定の間隔をあけて並設される複数の野縁1と、野縁1に直交し、水平の他方向T2に所定の間隔をあけて並設され、複数の野縁1に一体に接続して設けられる複数の野縁受け2と、下端を野縁受け2に接続し、上端を上階の床材等の上部構造3(建物躯体)に固着して配設される複数の吊りボルト(吊り部材)4と、野縁1の下面にビス留めなどによって一体に取り付けられ、下階の天井面(天井部5)を形成する天井パネル(天井材)6とを備えて構成されている。
一方、このように野縁1及び野縁受け2の天井下地7と天井パネル6を吊りボルト4で吊り下げ支持してなる吊り天井Aは、その構造上、地震時に作用する水平力によって横揺れしやすい。そして、地震時に横揺れして、天井部5の端部5aが壁や柱、梁などの建物構成部材(建物躯体)8に衝突し、天井パネル6に破損が生じたり、脱落が生じるおそれがあった。
このため、近年、この種の吊り天井Aを耐震改修することが求められ、天井部5の下方にネットを張って天井パネル6の落下を防止するようにしたり、天井下地7や天井下地7の接合部を補強したり、全面的に最新の耐震技術を備えた吊り天井に替えるなどの対策が提案、実施されている。
しかしながら、天井部5の下方にネットを張る耐震改修方法は、ネットによって吊り天井Aの意匠性が低下し、また、ネットが照明やスプリンクラー、エアコンなどの付帯設備のメンテナンスに支障をきたし、さらにネットの設置時に大掛かりな作業足場等が必要になって耐震改修コストが嵩むなどの問題がある。
また、天井下地7や接合部を補強する耐震改修方法においては、天井裏空間Hに配設された付帯設備などによって、補強できる範囲に制限が生じ、十分に対応できなかったり、野縁1や野縁受け2の天井下地7などにJIS材ではない一般材が使用され、低強度の場合があり、補強後の性能が不安定で十分な改修精度を確保できなかったり、点付け溶接部などがあって対応できない場合がある。
全面やり替えによる耐震改修方法では、最新の知見で耐震化することが可能であるが、天井下の室の使用禁止期間が長くなり、また、大量の廃棄物が発生するなどの不都合がある。
これに対し、本願の出願人は、天井材の下方に、端部が建物構成部材に固定されたワイヤーを緊張した状態で水平に伸張し、このワイヤーと天井下地とを連結してなる天井振動低減構造(吊り天井構造)についての出願を行なっている(特許文献1参照)。また、この吊り天井では、ワイヤーにクランプを外装して取り付け、クランプにボルトからなる連結部材を取り付けるとともに天井材を貫通させ、この連結部材をナットで野縁受けに連結することによって、ワイヤーと天井下地を連結固定するようにしている。
そして、このように構成した吊り天井においては、緊張したワイヤーを介して天井下地と建物構成部材とが繋げられることで、地震によって振動が生じたとき、天井部と建物構成部材とが一体に挙動することになり、振動発生時における天井部の揺れを抑制することができる。
特開2008−121371号公報
しかしながら、上記の引張材のワイヤーと天井下地とを連結してなる吊り天井においては、ワイヤーに外装したクランプをボルトの連結部材とナットを用いて野縁受けに連結するようにしているため、天井部の下方と天井裏空間内の両側からの作業が必要になり、やはり、施工性の点で改善の余地が残されていた。
特に、既設の吊り天井にワイヤーを取り付けて耐震改修を行う場合には、天井裏空間内での危険作業が伴う上、天井裏空間内のエアコンや配管などの付帯設備や建物の上部構造などとのクリアランスがなく、ボルト、ナットによる連結作業ができないおそれもあり、このような場合には、施工できない範囲が生じることになる。
本発明は、上記事情に鑑み、施工性、経済性を確保しつつ、地震時に天井材(天井パネル)の破損や脱落が生じることを防止でき、優れた耐震性能を有する吊り天井構造及び吊り天井構造の耐震改修方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明の吊り天井構造は、吊り部材を介して建物躯体の上部構造に吊り下げ支持される野縁受けと、前記野縁受けに取り付けられる野縁と、前記野縁に取り付けられて天井部を形成する天井材とを備える吊り天井構造において、前記天井部の下方に且つ前記天井部に沿って横方向に配設された略棒状の引張材を備え、前記引張材が、両端部をそれぞれ、建物躯体に接続して配設されるとともに、前記両端部の間の中間部を、前記天井部の下方から前記天井材及び/又は前記野縁に接続固定手段で接続固定して配設されており、前記引張材が格子状に配設されるとともに、前記横方向の一方向に配設された一方の引張材が上端から下方に凹む上側切欠部を備え、前記一方向に直交する他方向に配設された他方の引張材が下端から上方に凹む下側切欠部を備えて形成され、前記一方の引張材と前記他方の引張材の交差部で、前記上側切欠部に前記他方の引張材を、前記下側切欠部に前記一方の引張材をそれぞれ嵌め合わせるように構成されていることを特徴とする。
また、本発明の吊り天井構造の耐震改修方法は、吊り部材を介して建物躯体の上部構造に吊り下げ支持される野縁受けと、前記野縁受けに取り付けられる野縁と、前記野縁に取り付けられて天井部を形成する天井材とを備える吊り天井構造を耐震改修する方法であって、両端部をそれぞれ、建物躯体に接続するとともに、前記両端部の間の中間部を、前記天井部の下方から前記天井材及び/又は前記野縁に接続固定して、略棒状の引張材を前記天井部の下方に且つ前記天井部に沿って横方向に配設する引張材設置工程を備え、建物の階層毎に吊り天井構造に作用する想定外力を設定する想定外力設定工程と、隣り合う引張材の間隔を設定する引張材間隔設定工程と、前記引張材の端部を接合する支持体を選定する支持体選定工程と、引張材の想定取付ピッチ×天井部の単位重量×天井長さによって設計外力を算出する第一の設計外力設定方法、及び前記天井部の単位重量、引張材の取付間隔、引張材の基準強度、引張材の有効断面積をパラメータとして引張材の発生軸力を求め、設計外力を算出する第二の設計外力設定方法によって設計外力を算出し、大きい方の値を設計外力として設定する設計外力設定工程と、前記設計外力設定工程で設定した設計外力に基づいて引張材の接合部の仕様を設定する引張材接合部設定工程と、前記設計外力設定工程で設定した設計外力に基づいて前記支持体の仕様を設定する支持体設定工程とを備えていることを特徴とする。
これらの発明においては、例えばアルミ押出形鋼、スチール部材などの略棒状の引張材を天井部の下方に且つ天井部に沿って横方向に配設し、両端部をそれぞれ建物躯体(建物躯体である支持体に直接的に、あるいは別途設けた支持体を介して建物躯体に間接的に)接続するとともに、中間部をビスなどの接続固定手段を用いて天井部の下方から天井材及び/又は野縁に固定することによって、地震時に、引張材によって天井部(吊り天井構造)を建物躯体と一体に挙動させることができ、天井部の揺れを抑制することが可能になる。
また、引張材の中間部をビスなどの接続固定手段を用い、天井部の下方から天井材及び/又は野縁に固定するようにしたことで、従来の引張材のワイヤーと天井下地をボルト・ナットによって接合する吊り天井構造と比較し、引張材の設置時に天井裏空間内での作業が不要になり、施工性を大幅に向上させることが可能になる。
このため、既設の吊り天井構造に引張材を取り付けて耐震性能の向上を図る耐震改修を行う場合であっても、天井裏空間内での危険作業が不要で、天井裏空間内に設けられている付帯設備、建物躯体とのクリアランスの関係で施工できない範囲が生じるという不都合を解消することができる。
この発明においては、略棒状の引張材が格子状に配設されていることによって、より確実且つ効果的に天井部の揺れを抑制することが可能になる。また、一方の引張材と他方の引張材の交差部で、上側切欠部に他方の引張材を、下側切欠部に一方の引張材をそれぞれ嵌め合わせ、一方の引張材と他方の引張材を交差部で組み付けるようにすることで、地震時に各引張材で確実に引張力を伝達できるようにしつつ、容易に格子状に配設することが可能になる。
本発明の吊り天井構造及び吊り天井構造の耐震改修方法においては、引張材の中間部をビスなどの接続固定手段を用い、天井部の下方から天井材及び/又は野縁に固定するようにしたことで、従来の引張材のワイヤーと天井下地をボルト・ナットによって接合する吊り天井構造と比較し、引張材の設置時に天井裏空間内での作業が不要になり、施工性を大幅に向上させることが可能になる。
これにより、既設の吊り天井構造に引張材を取り付けて耐震性能の向上を図る耐震改修を行う場合であっても、天井裏空間内での危険作業が不要で、天井裏空間内に設けられている付帯設備、建物躯体とのクリアランスの関係で施工できない範囲が生じるという不都合を解消することができ、必要工期の短縮、コストの低減を図ることが可能になる。
また、耐震改修後もエアコン、照明などの天井部付帯設備のメンテナンスを容易に行なうことができ、さらに棒状の引張材を天井部に配設するため、ネットなどと比較し、意匠性を損なうこともない。さらに、天井下地の野縁、野縁受けにJIS材と一般材のどちらが使用されていても、また、新設、既設の吊り天井構造であっても、さらに天井材がいかなる材質であっても対応可能で、耐震性能の向上を図ることが可能になる。
本発明の第1実施形態に係る吊り天井構造を示す斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る吊り天井構造を示す側断面図である。 本発明の第1実施形態に係る吊り天井構造の側断面図であり、天井部の外周端部側を拡大した図である。 本発明の第1実施形態に係る吊り天井構造の引張材を示す斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る吊り天井構造の変更例を示す側断面図であり、天井部の外周端部側を拡大した図である。 本発明の第1実施形態に係る吊り天井構造に対する耐震性能確認試験で使用した加力フレームを示す側面図である。 図6のX1−X1線矢視図である。 図6のX2−X2線矢視図である。 耐震性能確認試験で使用した本発明に係る吊り天井構造を示す平面図(天井面側からの平面視図)である。 耐震性能確認試験で使用した本発明に係る吊り天井構造の引張材(交差部)を示す平面図(天井面側からの平面視図)である。 図10のX1−X1線矢視図である。 図10のX2−X2線矢視図である。 耐震性能確認試験で使用した本発明に係る吊り天井構造の引張材の溝形鋼同士の接続部を示す平面図(天井面側からの平面視図)である。 耐震性能確認試験で使用した本発明に係る吊り天井構造の引張材の連結材との接合部を示す平面図(天井面側からの平面視図)である。 図14のX1−X1線矢視図である。 耐震性能確認試験における入力波形を示す図である。 耐震性能確認試験における加速度、変位の計測位置を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る吊り天井構造の耐震改修方法の引張材間隔設定工程における隣り合う引張材の間隔の設定状態を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る吊り天井構造の耐震改修方法の引張材接合部設定工程において、引張材の有効断面積が必要断面積を満たしているかの説明に用いた図である。 本発明の第2実施形態に係る吊り天井構造の耐震改修方法の引張材接合部設定工程において、引張材の接合部のボルト又はビスとの縁端距離を求める説明に用いた図である。 本発明の第2実施形態に係る吊り天井構造の耐震改修方法の支持体設定工程において、束材(連結材)の支持体の仕様を設定する説明に用いた図である。 従来の吊り天井構造を示す斜視図である。
以下、図1から図17を参照し、本発明の第1実施形態に係る吊り天井構造及び吊り天井構造の耐震改修方法について説明する。ここで、本実施形態は、例えば学校、病院、生産施設、体育館、プール、空港ターミナルビル、オフィスビル、劇場、シネコン等の建物の天井として用いられる吊り天井の構造及び既設の吊り天井構造の耐震改修方法に関するものである。
本実施形態の吊り天井(吊り天井構造)Bは、図1及び図2に示すように、野縁1と野縁受け2と吊り部材(吊りボルト)4と天井材6とを備えて構成されている。
野縁1は、例えば断面コ字状に形成された溝形鋼であり、水平に延設され、且つ水平の一方向の横方向T1に所定の間隔をあけ、平行に複数配設されている。
野縁受け2は、例えば断面コ字状に形成された溝形鋼であり、水平に延設され、且つ水平の他方向の横方向T2に所定の間隔をあけ、平行に複数配設されている。また、このとき、野縁受け2は、野縁1と交差するように配設されるとともに、複数の野縁1上に載置した状態で配設される。そして、各野縁受け2は、野縁1と交差する部分で、野縁接続用金具(クリップ)10を使用することにより野縁1に接続されている。
吊り部材4は、円柱棒状に形成されるとともに外周面に雄ネジの螺刻を有する吊りボルトであり、上端を上階の床材等の上部構造3(建物躯体)に固着、または鋼製の根太等に緊結して垂下され、下端側を、吊り部材接続用金具(ハンガー)11を用いることにより野縁受け2に接続して複数配設されている。また、複数の吊り部材4は、所定の間隔をあけて分散配置されている。
天井材(天井パネル)6は、2枚のボードを貼り付けて一体に積層形成したものであり、例えば天井付帯設備等の重量と併せて、1mあたり20kg程度の重量で形成されている。そして、この天井材6は、複数の野縁1の下面にビス留めなどして設置されている。なお、天井材6は、1枚および3枚以上のボードで構成されていてもよい。
そして、この吊り天井Bでは、吊り部材4を介して建物の上部構造3に、野縁1と野縁受け2と天井材6とが吊り下げ支持されている。また、野縁1と野縁受け2によって天井下地7が形成され、この天井下地7に取り付けた天井材6によって天井部5、この天井部5によって下階の天井面が形成されている。
一方、本実施形態の吊り天井Bにおいては、図1から図3に示すように、天井部5と建物の上部構造3の間の天井裏空間Hの天井部5の外周端部5a側、すなわち、天井裏空間Hの壁、柱、梁等の建物構成部材8(建物躯体)側に、上端を上部構造3に接続して、束材15が上下方向T3に延設(垂設)されている。また、この束材15は、天井部5の外周端部5aに沿う方向に所定の間隔をあけて複数設けられている。そして、これら複数の束材15の下端に横方向T1、T2に延びる連結材16が接続され、この連結材16を介して複数の束材15が一体に連結されている。なお、本実施形態では、これら束材15や連結材16として、例えばH形鋼、I形鋼、溝形鋼などの形鋼や角鋼管などの管材が使用されている。
また、本実施形態の吊り天井Bにおいては、図1から図4に示すように、天井部5の下方に、且つ天井部5の下面(天井面)に沿って水平に、略棒状の引張材17、18が配設されている。さらに、この引張材17、18は、例えばアルミ押出形鋼、スチール部材などであり、一端部17a、18a及び他端部17b、18bを連結材16に接続し、連結材16を介して束材15に接続して設けられている。すなわち、本実施形態の引張材17、18は、束材15や連結材16の支持体を介して建物躯体に接続されている。さらに、引張材17、18は、その中間部を天井部5の下方からタッピングビスなどの接続固定手段19で天井材6(天井部5)及び野縁1に固定して設けられている。そして、本実施形態では、このような引張材17、18が天井部5の下方で例えば900〜1800mmピッチの格子状に配設されている。なお、引張材17、18は、図5に示すように、一端部17a及び/又は他端部17bを、取付具20を用いて壁や柱、梁などの建物構成部材8に接続するようにしてもよい(建物躯体に直接的に接続するようにしてもよい)。
また、本実施形態の吊り天井Bでは、図3及び図4(図1から図4)に示すように、各引張材17、18が、帯状の平板状に形成され、板面を上下方向T3に向けて配設される固定板部21と、帯状の平板状に形成され、板面を横方向T1、T2に向け、固定板部21の延設方向に沿って配設されるとともに、その上端を固定板部21の下面に繋げて一体に形成された桁板部22とを備えて構成されている。また、この引張材17、18では、2つの桁板部22を備え、これら桁板部22が固定板部21の幅方向中央を境に幅方向両側にそれぞれ所定の間隔をあけて並設されている。
さらに、天井部5の下方に格子状に配設した際に、横方向の一方向T1に配設される一方の引張材17は、上端から下方に凹む上側切欠部23を備え、所定位置の固定板部21を部分的に除去した状態で形成されている。また、一方向T1に直交する他方向T2に配設される他方の引張材18は、下端から上方に凹む下側切欠部24を備え、所定位置の2つの桁板部22を部分的に除去した状態で形成されている。
このように形成した一方の引張材17と他方の引張材18は、これら一方の引張材17と他方の引張材18の交差部25で、上側切欠部23に他方の引張材18を、下側切欠部24に一方の引張材17をそれぞれ嵌め合わせるようにして格子状に配設されている。また、このとき、各引張材17、18は、天井部5の下方からビスなどの接続固定手段19で固定板部21を天井材6に、あるいは天井材6及び野縁1に固定して配設されている。
そして、上記構成からなる本実施形態の吊り天井Bにおいては、天井部5の下方に配設された引張材17、18が、一端部17a、18a及び他端部17b、18bを束材15(取付具20)を介して建物躯体の上部構造3や建物構成部材8に接続し、中間部を天井材6や野縁1に接続して配設されているため、地震時に、この引張材17、18によって天井部5が建物躯体3、8と一体に挙動し、天井部5の揺れが抑制される。
また、このとき、一方の引張材17と他方の引張材18の交差部25で、上側切欠部23に他方の引張材18を、下側切欠部24に一方の引張材17をそれぞれ嵌め合わせ、一方の引張材17と他方の引張材18を交差部25で組み付けて配設するようにしているため、地震時に各引張材17、18で確実に引張力が伝達され、天井部5の揺れが抑制される。
一方、既設の吊り天井Aを本実施形態の吊り天井Bに耐震改修する場合に、一端部17a、18aと他端部17b、18bをそれぞれ、束材15などを介して建物躯体3、8に接続するとともに、中間部をビスなどの接続固定手段19を用いて天井部5の下方から天井材6及び/又は野縁1に固定して引張材17、18の取り付けが行なえる(引張材設置工程)。このため、従来の引張材のワイヤーと天井下地をボルト・ナットによって接合する吊り天井と比較し、引張材17、18の設置時に天井裏空間H内での作業が不要になる。
ここで、本実施形態の吊り天井構造Bの耐震性能を確認した実証実験について説明する。この実証実験は、設計クライテリア2.2Gの水平力に対して引張材17、18と天井材6との接合部(ビス(接続固定手段)19による接合部)、引張材17、18と建物躯体(束材15、連結材16及び/又は建物の上部構造3、建物構成部材8:支持体)との接合部が、継続使用可能であるか否かを確認することを目的としている。
また、この実証実験では、図6から図8に示すように、振動台30上に加力フレーム31を設置し、加力フレーム31の上部から本実施形態の吊り天井構造B(吊り部材4及び天井部5)を試験体として吊り下げ設置するとともに、天井部5の外周端部側に配設した束材15及び連結材16を加力フレーム31に支持させた。また、束材15や連結材16に端部を接続し、天井部5の下方に格子状に引張材17、18を設置した。
また、図9から図12に示すように、引張材17、18はC−40×40×3.2mm、3kg/mの溝形鋼を用い、1820mmピッチで格子状に配置した。図9及び図13に示すように、一部の引張材17は、STI−36.8×33.6×3.2mmの引張材形成用ジョイント鋼32をM12×60の2本ずつのボルトとナットで各溝形鋼(17)に接続し、この引張材形成用ジョイント鋼32を介して溝形鋼(17)同士を接続して1本の引張材17を形成するようにした。
さらに、図9、図14及び図15に示すように、各引張材17、18は、その端部に引張材形成用ジョイント鋼32と同仕様の連結用ジョイント鋼33をM12×60の2本ずつのボルトとナットで接続し、この連結用ジョイント鋼33を100×100×3.2mmの角形鋼の連結材16に、溝形鋼のガセットプレート34を介して緊結した。また、各引張材17、18は、M4×40のビス35を12.5mm厚の2枚のボードをからなる天井材6を貫通させるとともに野縁1に締結させ、天井部5に取り付けた。
本実証実験の吊り天井構造Bの試験体は、面積が5.7×5.0m=28.5mで、引張材17、18の重量が96.3kg(32.1m(延べ長さ)×3.0kg/m(=3.38kg/m))、天井部5の天井材6の重量が18.75kg/m、天井下地7の重量が3.5kg/mとなり、総重量が730.5kg((3.38+3.5+18.75)kg/m×28.5m)となった。(但し、後述の表1、表2のように、加振番号a〜dの試験体の総重量が730.5kgであり、加振番号e〜iでは目標とする天井面加速度(2.6G)を大きく下回ったため、天井面におもりを付加し、総重量を817.8kgとしている。)
そして、本実証実験では、設計クライテリアである2.2Gに対し、安全率を1.5倍とし、3.3Gで加力した際の状態を確認した。なお、想定天井重量20kg/mで、設計震度3.3G(最大)を試験体に付加する場合、必要水平力は、1881kgf(3.3G×20kg/m×28.5m)となる。
また、本実証実験における加振プログラムは、表1に示す通りであり、図16(a)に示すエルセントロNS及び図16(b)に示すエルセントロUDを基準化した地震波を用いている。さらに、地震波の加振方向をY方向の野縁方向(T2方向)と、野縁受け方向(T1方向)に分けて試験を行った。Z方向(上下方向)の最大加速度は水平方向の1/2とした。また、このとき、野縁方向(T2方向)に引張材17、18を固定し、加振方向をこの野縁方向にした試験体(加振番号a〜e)は、懐深さを1500mmとして構築し、野縁受け方向(T1方向)に引張材17、18を固定し、加振方向をこの野縁受け方向にした試験体(加振番号f〜h)は、懐深さを1000mmとして構築した。また、長さ12m相当分の軸力を背負わせるようにして野縁受け方向(T1方向)に引張材17、18を固定し、加振方向をこの野縁受け方向にした試験体(加振番号i)も、懐深さを1000mmとして構築した。
Figure 0006164447
また、計測点は、図17(a)、(b)に示す位置とし、振動台30、加力フレーム31の頂部の加速度、天井面5の加速度及び加力フレーム31からの相対変位を計測した。なお、計測のサンプリングは100Hzである。
ここで、本実証実験では、地震波による加振に先立ち、ホワイトノイズ波の加振を行って試験体の固有振動数の確認を行った。その結果、試験体の水平方向の固有振動数は34.9〜38.3Hzであり、通常の在来工法天井の固有周期に対して非常に高いことが確認された。
そして、本実証実験の結果として表2に加速度と変位量の最大値を示す。この表2の値は、計測波形を20Hzのローパスフィルタ処理している。また、表2において、加速度は図17(a)、(b)に示したF1(加振フレーム頂部)、B1(天井面)の計測点における計測値である。
Figure 0006164447
この表2に示す結果から、本実施形態の吊り天井構造Bは、引張材17、18を備えることで水平力が建物躯体に伝達されて、変位が非常に小さく抑えられることが確認された。
また、野縁方向に引張材17、18(サポート材)を固定した加振番号a、b、cの試験体では全く損傷が確認されなかった。一方、加振番号dの試験体では、引張材17、18や天井面に損傷は確認されず、一部、クリップ10の外れ、ハンガー11の開きが確認されたが、軽微な補修により初期状態に復旧できる程度であった。さらに、おもりを付加した加振番号eの試験体においても、引張材17、18や天井面に損傷は確認されず、一部、引張材17、18と天井の接合ビスにゆるみが認められたが、やはり、軽微な補修により初期状態に復旧できる程度であった。
次に、野縁受け方向に引張材17、18(サポート材)を固定した加振番号f、gの試験体では全く損傷が確認されなかった。また、加振番号hの試験体では、振動台入力加速度1500Galに対して天井面で3049Galの応答加速度となり、一部、クリップ10の外れ、ハンガー11の開きが生じたが、引張材17、18や、引張材17、18同士の接合部、端部接合部等に全く損傷は認められなかった。
次に、長さ12m相当分の軸力を背負わせた引張材17、18(サポート材)の接合部を再現した試験体(加振番号i)では、天井面で目標とする1.7Gを超える最大加速度となったが、接合部等に全く損傷が確認されなかった。
したがって、本実施形態の吊り天井構造B及び吊り天井構造の耐震改修方法においては、略棒状の引張材17、18を天井部5の下方に且つ天井部5に沿って横方向T1、T2に配設し、両端部17a、18a、17b、18bをそれぞれ建物躯体3、8に接続するとともに、中間部をビスなどの接続固定手段19を用いて天井部5の下方から天井材6及び/又は野縁1に固定することによって、地震時に、引張材17、18によって天井部5(吊り天井構造B)を建物躯体3、8と一体に挙動させることができ、天井部5の揺れを抑制することが可能になる。
また、引張材17、18の中間部をビスなどの接続固定手段19を用い、天井部5の下方から天井材6及び/又は野縁1に固定するようにしたことで、従来の引張材のワイヤーと天井下地をボルト・ナットによって接合する吊り天井構造と比較し、引張材17、18の設置時に天井裏空間H内での作業が不要になり、施工性を大幅に向上させることが可能になる。
このため、既設の吊り天井構造Aに引張材17、18を取り付けて耐震性能の向上を図る耐震改修を行う場合であっても、天井裏空間H内での危険作業が不要で、天井裏空間H内に設けられている付帯設備、建物躯体3とのクリアランスの関係で施工できない範囲が生じるという不都合を解消することができ、必要工期の短縮、コストの低減を図ることが可能になる。
また、耐震改修後もエアコン、照明などの天井部付帯設備のメンテナンスを容易に行なうことができ、さらに棒状の引張材17、18を天井部5に配設するため、ネットなどと比較し、意匠性を損なうこともない。さらに、天井下地7の野縁1、野縁受け2にJIS材と一般材のどちらが使用されていても、また、新設、既設の吊り天井構造Bであっても、さらに天井材6がいかなる材質であっても対応可能で、耐震性能の向上を図ることが可能になる。
また、本実施形態の吊り天井構造Bにおいては、略棒状の引張材17、18が格子状に配設されていることによって、より確実且つ効果的に天井部5の揺れを抑制することが可能になる。また、一方の引張材17と他方の引張材18の交差部25で、上側切欠部23に他方の引張材18を、下側切欠部24に一方の引張材17をそれぞれ嵌め合わせ、一方の引張材17と他方の引張材18を交差部25で組み付けるようにすることで、地震時に各引張材17、18で確実に引張力を伝達できるようにしつつ、容易に格子状に配設することが可能になる。
よって、本実施形態の吊り天井構造B及び吊り天井構造の耐震改修方法によれば、施工性、経済性を確保しつつ、地震時に天井部5の端部5aが衝突して破損や脱落が生じることを防止し、耐震性能を向上させることが可能になる。
また、本実施形態の吊り天井構造B及び吊り天井構造の耐震改修方法においては、万一天井鉛直支持力を喪失しても、引張材17、18によって天井面全体の崩落を防止するフェイルセーフ機能を発揮させることが可能である。
以上、本発明に係る吊り天井構造及び吊り天井構造の耐震改修方法の第1実施形態について説明したが、本発明は上記の第1実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
ここで、本実施形態では、引張材17、18が帯状で平板状の固定板部21と固定板部21の下面に一体形成した桁板部22とを備えて略棒状に形成され、このように形成した一方の引張材17と他方の引張材18を格子状に配設して吊り天井構造Bが構成されているものとした。
これに対し、鋼板、炭素繊維シートなどの板状部材(棒状部材)、帯状部材、テープ状部材(シート状部材)を引張材として用いて吊り天井構造を構成するようにしてもよい。また、棒状(板状)の引張材と帯状(テープ状)の引張材を組み合わせるなどして吊り天井構造を構成するようにしてもよい。
次に、図18から図21(図1から図21)を参照し、本発明の第2実施形態としての吊り天井構造の耐震改修方法について説明する。なお、本実施形態の吊り天井構造の耐震改修方法は、耐震改修によって本発明にかかる吊り天井構造を構築する手順に関するものである。このため、本実施形態では、第1実施形態と同様の構成に対して同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
本実施形態の吊り天井構造の耐震改修方法では、まず、設計外力設定工程として、設計外力の設定(水平震度の設定、想定外力の設定)を行う。また、本実施形態の設計外力設定工程では、例えば、建物を上層階、中間階、低層階に区分し、想定外力を上層階で2.2G、中間階で1.3G、低層階で0.5Gとして設定する。
ここで、「上層階」は、N階建ての建物において、最上階から(i<0.3(2N+1))を満たす階iの1つ上の階までとする。なお、N=1のときは「上層階」を適用する。「下層階」は、N階建ての建物において、(i<0.11(2N+1))を満たす階iから下の階とする。「中間階」は、「上層階」又は「下層階」に分類される階以外の階とする。
次に、引張材間隔設定工程として、隣り合う引張材の間隔の設定を行う。このとき、まず、短辺方向を最大12m程度として設定する。また、図18に示すように建物の柱36等が配置されている場合には、これに応じて、基準スパンを7mあるいは8mにすることが望ましい。
次に、支持体選定工程として、引張材17、18の端部を建物躯体に接続するための支持体の選定を行う。この支持体は、柱柱間の付け梁、床組の架台などの建物構成部材8(建物躯体)や、第1実施形態に示した束材15、連結材16から適宜選定される。
次に、設計外力設定工程で設計外力を設定する。この設計外力設定工程では、第一の設計外力設定手法と、第二の設計外力設定手法について検討を行う。
第一の設計外力設定手法では、引張材17、18の想定取付ピッチ×天井部5の単位重量×天井長さによって、設計外力を算出する。このとき、想定取付ピッチは、例えば1800mm程度を標準とし、天井伏せモジュールに合わせて設定する。また、天井部5の単位重量は、ボード2枚貼りで約20kg/m、1枚貼りで10kg/mとなる。なお、詳細が不明な場合には安全側の数値を選択する。また、照明やエアコン等の天井付属物は、天井重量に含めて設定する。
第二の設計外力設定手法では、引張材17、18の発生軸力を計算して設計外力を求める。例えば、天井部5の単位重量、短辺方向のスパン、引張材17、18の取付間隔(負担幅)、引張材17、18のF値(基準強度)、引張材17、18の有効断面積を入力パラメータとして、引張材17の発生軸力を求める。
一例を挙げると、引張材17、18としてSS400材を用い、天井部5の単位重量を20kg/m、短辺スパンを12.5m、引張材17、18の取付間隔を1800mmとし、SS400のF値の235N/mm、引張材17、18として用いるT−3.2の板材の54mmが有効断面幅(有効断面積1.728cm)とした場合には、たわみが257mm発生し、水平方向T1(T2)に4tの軸力が発生することが求められる。
また、他の例を挙げると、引張材17、18としてSPCC材(冷間曲げ材)を用い、天井部5の単位重量を20kg/m、短辺スパンを10.0m、引張材17、18の取付間隔を1800mmとし、SPCCのF値の205N/mm、引張材17として用いるT−3.2の板材の54mmが有効断面幅(有効断面積1.728cm)とした場合には、たわみが191mm発生し、水平方向T1(T2)に3.46tの軸力が発生することが求められる。
次に、引張材接合部設定工程で、引張材17、18の接合部の設定を行う。この引張材接合部設定工程では、設計外力設定工程の第一の設計外力設定手法と第二の設計外力設定手法で求めた引張材17、18の発生軸力の大きい方を設計外力として採用し、この設計外力に基づいて引張材17、18の接合部の設定を行う。
より具体的に、SS400材又はSPCC材を引張材17、18とし、引張材17、18の発生軸力が4tとなって、設計外力として採用された場合を一例として説明する。
まず、基準とする天井部5の単位重量が20kg/m、天井面積が500m(20m×25m)、引張材17、18の取付間隔が1800mm(1.8m)から、1本の引張材17、18が負担する荷重を求めると、20kg/m×1.8m×25m=900kgとなる。
そして、水平加速度に対する引張材17、18の接合部に必要なボルト及びビスの本数を求める。例えば、水平加速度が2.2Gの場合には、負担荷重=20kg/m×1.8m×25m×2.2G=1980kg、水平加速度が3.3Gの場合には、負担荷重=20kg/m×1.8m×25m×3.3G=2970kgとなり、ボルトを用いた場合には表3、ビスを用いた場合には表4のように、必要本数が求まる。
Figure 0006164447
Figure 0006164447
また、SS400材、SPCC材を引張材17、18として使用する場合、必要となる部材断面積を各材質のF値(基準強度)から求める。
すなわち、SS400のF値は235.3N/mm=2400kg/cmであるため、4tの軸力に対する必要断面積は4000kg÷2400kg/cm=166.67mmとなる。
一方、SPCCのF値は205.9N/mm=2100kg/cmであるため、4tの軸力に対する必要断面積は4000kg÷2100kg/cm=190.48mmとなる。
そして、例えば、引張材17、18としてC−40×40×3.2(既製品)を用い、直交する引張材17、18同士の接合部分(交差部25)を図10から図12に示したスナップオン方式とする場合、図19に示すように、一方の引張材18の有効断面積が179.6mm、他方の引張材17の有効断面積が179.52mmとなるため、このC−40×40×3.2(既製品)を引張材17、18として用いる場合には、SS400材を引張材17、18として採用すれば、4tの軸力に対して十分な接合部強度が得られると判断できる。
さらに、図20に示すように、引張材17、18の接合部のボルト又はビスとの縁端距離Rを求める。
例えば、短期許容せん断応力度はfs=F/√3(F:SPCC=205.9N/mm=2100kg/cm)、C−40×40×3.2mmの引張材17、18である場合、短期許容せん断応力度fs=2100/√3=1212.44kg/cmとなる。
そして、引張材17、18の負担荷重が4000kgで、ボルト開口孔37が4ヶ所であると、開口孔37の1ヶ所に係る荷重NがN=4000kg/4=1000kgとなる。
さらに、N/A≦fs=1212.44kg/cmより、断面面積A≧1000/1212.44=0.83cmとなり、断面積AがA≧0.83cm=83mmとなる縁端距離Rとすればよい。よって、本実施形態では、引張材17、18の板厚tがt=3.2mmであるため、必要な縁端距離Rが83/3.2=26mmであると判断できる。
次に、支持体設定工程で、束材15(連結材16)などの支持体の仕様の設定を行う。この支持体設定工程では、設計外力設定工程の第一の設計外力設定手法と第二の設計外力設定手法で求めた引張材17、18の発生軸力の大きい方を設計外力として採用し、この設計外力に基づいて支持体の設定を行う。
すなわち、図21に示すように、引張材17、18の接合部に設計外力が作用したとして短期許容耐力設計を行う。例えば、SS400材を引張材17、18として用いた場合、P=4t、I=8.0mから、支持体15、16(建物躯体3、8)との接合部に作用する曲げモーメントM0はM0=PI/2=160kN・mとなる。これにより、束材15(連結材16)である支持体の必要断面係数reqZyは、reqZy=M0/sfb(短期許容応力度)=160×10/235=681cmとなる。このため、例えば、H−350×350×12×19mm(H形鋼)の断面係数ZyはZy=776、250×250×12mm(角形鋼)の断面係数ZyはZy=820であるから、これらの部材を束材15や連結材16を支持体として採用することが可能であると判断できる。
したがって、本実施形態の吊り天井構造の耐震改修方法においては、上記のように、想定外力設定工程で吊り天井構造(建物)に作用する想定外力の設定(水平震度の設定)を行い、引張材間隔設定工程で隣り合う引張材17、18の間隔の設定を行い、支持体設定工程で引張材17、18の端部を建物躯体に接続する支持体の設定を行う。さらに、設計外力設定工程において、第一の設計外力設定手法と第二の設計外力設定手法で設計外力を求め、設計外力設定工程の第一の設計外力設定手法と第二の設計外力設定手法で求めた引張材17、18の発生軸力の大きい方を設計外力として、引張材接合部設定工程で、引張材17、18の接合部の設定を行い、また、支持体設定工程で、束材15(連結材16)などの支持体の設定を行う。
これにより、本実施形態の吊り天井構造の耐震改修方法においては、第1実施形態に示した作用効果を発揮する吊り天井構造Bを確実に得ることが可能になる。
以上、本発明に係る吊り天井構造の耐震改修方法の第2実施形態について説明したが、本発明は上記の第2実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
1 野縁
2 野縁受け
3 上部構造(建物躯体)
4 吊り部材(吊りボルト)
5 天井部
5a 端部
6 天井材(天井パネル)
7 天井下地
8 建物構成部材(建物躯体)
10 野縁接続用金具(クリップ)
11 吊り部材接続用金具(ハンガー)
15 束材
16 連結材
17 一方の引張材(サポート材)
17a 一端部
17b 他端部
18 他方の引張材(サポート材)
18a 一端部
18b 他端部
19 接続固定手段
20 取付具
21 固定板部
22 桁板部
23 上側切欠部
24 下側切欠部
25 交差部
30 振動台
31 加力フレーム
32 引張材形成用ジョイント鋼
33 連結用ジョイント鋼
34 ガセットプレート
35 ビス
36 柱
37 開口孔
A 従来の吊り天井構造
B 吊り天井構造
H 天井裏空間
R 縁端距離
T1 横方向(一方向)
T2 横方向(他方向)
T3 上下方向

Claims (2)

  1. 吊り部材を介して建物躯体の上部構造に吊り下げ支持される野縁受けと、前記野縁受けに取り付けられる野縁と、前記野縁に取り付けられて天井部を形成する天井材とを備える吊り天井構造において、
    前記天井部の下方に且つ前記天井部に沿って横方向に配設された略棒状の引張材を備え、
    前記引張材が、両端部をそれぞれ、建物躯体に接続して配設されるとともに、前記両端部の間の中間部を、前記天井部の下方から前記天井材及び/又は前記野縁に接続固定手段で接続固定して配設されており、
    前記引張材が格子状に配設されるとともに、前記横方向の一方向に配設された一方の引張材が上端から下方に凹む上側切欠部を備え、前記一方向に直交する他方向に配設された他方の引張材が下端から上方に凹む下側切欠部を備えて形成され、
    前記一方の引張材と前記他方の引張材の交差部で、前記上側切欠部に前記他方の引張材を、前記下側切欠部に前記一方の引張材をそれぞれ嵌め合わせるように構成されていることを特徴とする吊り天井構造。
  2. 吊り部材を介して建物躯体の上部構造に吊り下げ支持される野縁受けと、前記野縁受けに取り付けられる野縁と、前記野縁に取り付けられて天井部を形成する天井材とを備える吊り天井構造を耐震改修する方法であって、
    両端部をそれぞれ、建物躯体に接続するとともに、前記両端部の間の中間部を、前記天井部の下方から前記天井材及び/又は前記野縁に接続固定して、略棒状の引張材を前記天井部の下方に且つ前記天井部に沿って横方向に配設する引張材設置工程を備え
    建物の階層毎に吊り天井構造に作用する想定外力を設定する想定外力設定工程と、
    隣り合う引張材の間隔を設定する引張材間隔設定工程と、
    前記引張材の端部を接合する支持体を選定する支持体選定工程と、
    引張材の想定取付ピッチ×天井部の単位重量×天井長さによって設計外力を算出する第一の設計外力設定方法、及び前記天井部の単位重量、引張材の取付間隔、引張材の基準強度、引張材の有効断面積をパラメータとして引張材の発生軸力を求め、設計外力を算出する第二の設計外力設定方法によって設計外力を算出し、大きい方の値を設計外力として設定する設計外力設定工程と、
    前記設計外力設定工程で設定した設計外力に基づいて引張材の接合部の仕様を設定する引張材接合部設定工程と、
    前記設計外力設定工程で設定した設計外力に基づいて前記支持体の仕様を設定する支持体設定工程とを備えていることを特徴とする吊り天井構造の耐震改修方法。
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