まず、本発明の第一実施形態に係るコーヒーメーカー100について、図1から図4を用いて説明する。
図1はコーヒーメーカー100の構成を示す断面図、図2はコーヒーメーカー100の構成を示す簡略図、図3はコーヒーメーカー100の蓋部23を開放した状態を示す断面図、図4は図3におけるA−A線矢視図である。
コーヒーメーカー100は、図1に示す如く、その内部に着脱されるドリッパーD内に予めフィルターF及び所定量のコーヒー粉末Cをセットし、このコーヒー粉末Cに湯を滴下してコーヒーを作成するものである。即ち、図1はコーヒー粉末Cに湯を吐出してコーヒーを抽出する場合について示している。また、本実施形態に係るコーヒーメーカー100は、図8及び図9に示す如く、その内部に着脱されるアダプターA1(A2)内に、予め所定量のコーヒー粉末が不織布等のフィルターでパックされたコーヒーポッドCP1(CP2)をセットし、このコーヒーポッドCP1(CP2)に湯を吐出してコーヒーを作成することもできる。即ち、図8及び図9はコーヒーポッドCP1(CP2)に湯を吐出してコーヒーを抽出する場合について示している。
コーヒーメーカー100は、主にタンク1と、ポンプ2と、加熱手段としてのボイラー3と、吐出口4と、流量計8と、ポンプ2及びボイラー3の作動制御を行う制御手段ECUと、で構成されている。
タンク1は、水を貯溜するものである。図1に示す如く、タンク1はコーヒーメーカー100の上段部に着脱可能に設置されている。そして、タンク1の内部に貯溜される水は、配管11を介して、タンク1の下方に設置されている流量計8へ供給される。
流量計8は配管11から流入する水量を計測するものである。流量計8で流量を計測された水は、流量計8の下方に設置されているポンプ2へ、配管12を介して供給される。図2に示す如く、流量計8は制御手段ECUと電気的に接続されており、流量計8を流れる水量を制御手段ECUに信号として送信可能に構成されている。
ポンプ2は、タンク1内の水を、配管11、流量計8、及び配管12を経由して吸引し、配管13を介してボイラー3へと圧送するものである。ポンプ2は、コーヒーメーカー100の下段部に設置され、該ポンプ2の上方に設置されているボイラー3へ水を圧送する。本実施形態に係るコーヒーメーカー100においては、ポンプ2としてソレノイドポンプが用いられ、その印加電圧は一定とされている。即ち、ポンプ2で圧送する単位時間あたりの水量は一定になるように構成されている(本実施形態においては、後述する如く4mL/秒としている)。
ボイラー3は、ポンプ2から配管13を介して圧送された水を加熱して湯又は蒸気にする加熱手段である。ボイラー3は、ポンプ2の上方でコーヒーメーカー100の中段部に設置され、ボイラー3にて生成された湯又は蒸気が、配管14及び配管15を介して吐出口4へ送られる。図2に示す如く、ポンプ2及びボイラー3は制御手段ECUと電気的に接続されている。そして、制御手段ECUがポンプ2及びボイラー3の作動制御を行うことにより、コーヒーメーカー100が後述するコーヒーの抽出を行うように構成されている。
本実施形態に係る配管14は熱伝導性の高いアルミニウムで形成されている。そして、配管14をボイラー3の直上に設ける構成とすることにより、ボイラー3で発生した熱が配管14に伝わりやすくしている。これにより、ボイラー3から吐出口4までの経路途中で湯温が低下することを抑制しているのである。
吐出口4は、ボイラー3によって加熱され、配管14及び配管15を介して送られた湯又は蒸気を吐出する。具体的には、吐出口4には逆止弁4aが配設されており、湯又は蒸気が配管15から送られて圧力が加わった場合に、逆止弁4aが開放されて吐出口4から湯又は蒸気が吐出されるのである。吐出口4は、コーヒーメーカー100の上段部に設置されており、吐出口4からの湯又は蒸気が吐出されるドリッパーDがその下方に着脱可能に構成されている。詳細には、吐出口4の下方には、下側に向かうにしたがって縮径し、上下両側に向かって開口する漏斗状の抽出部17が形成されている。そして、図1に示す如く抽出部17に、抽出部17の内周面と略同一形状の外周面を有するドリッパーDを挿入することにより、ドリッパーDをコーヒーメーカー100に着脱するのである。本実施形態においては、ドリッパーDの上部に、その厚さ方向に貫通する複数の孔が開口された散水板Pを配置することにより、抽出時の湯を散水板Pの孔を通してコーヒー粉末Cの上面に満遍なく吐出する構成としている。
上記の如く、本一実施形態に係るコーヒーメーカー100においては、タンク1から配管11、流量計8、配管12、ポンプ2、配管13、ボイラー3、配管14、及び配管15を経由して吐出口4に至る抽出経路が形成されている。そして、ボイラー3と吐出口4との間における抽出経路の途中において、配管15の中途部には、排水経路15aが配管15から分岐して設けられている。
コーヒーメーカー100は、吐出口4の周囲が蓋部23として形成されている。そして、図3に示す如く、蓋部23は吐出口4とともに、回動軸24を中心にして上下に回動可能に構成されている。換言すれば、吐出口4は開閉可能に構成された蓋部23に設けられているのである。コーヒーメーカー100の使用者は、開放レバー23aを操作することにより、図3に示す如く蓋部23を開放することができる。コーヒーメーカー100の使用者は、図3に示す如く蓋部23を開放した状態で、前記の如くドリッパーD、散水板P、及び、アダプターA1(A2)等を着脱するのである。
蓋部23の下面における吐出口4の周囲には図1に示す如く、蓋部23が閉じた状態で散水板Pの上面と当接するようにパッキン25が配設されている。これにより、吐出口4から湯を吐出してコーヒーを抽出する際に蒸気が漏れることを防止している。また、図7及び図8に示す如く、パッキン25は蓋部23を閉じた状態でアダプターA1・A2の上側開口部とも当接する形状に形成されている。即ち、パッキン25はドリッパーD及び散水板Pを用いる場合でも、アダプターA1・A2を用いる場合でも、蓋部23を閉じた状態でコーヒー抽出時の蒸気をシールすることができるように形成されているのである。
本実施形態に係るコーヒーメーカー100において、配管15は可撓性のあるシリコンゴムで形成されている。そして、蓋部23の開放時には配管15が伸長し、蓋部23の閉塞時には、蓋部23の開放時における回動軸24の周囲の長さ分だけ配管15の長さが余分になるため配管15が蛇行するように構成されている。換言すれば、図1における配管15は、紙面に垂直な方向に蛇行した状態で蓋部23に収容されているのである。これにより、蓋部23を開閉する際に、図1における閉塞状態と図3における開放状態との間を円滑に移行できるように構成しているのである。
コーヒーメーカー100は、その前面(図1における左側)に操作手段21を備えている。図2に示す如く操作手段21は制御手段ECUと電気的に接続されており、後述する抽出パターン(本実施形態においては、「通常モード」「ポッド1モード」及び「ポッド2モード」等)を選択可能に構成されている。そして、コーヒーメーカー100の使用者がこの操作手段21を操作して抽出パターンを入力し、制御手段ECUによる作動制御を実行させることができるように構成されている。
本実施形態に係るコーヒーメーカー100では図2に示す如く、配管14の中途部に圧力バルブPVが取り付けられている。圧力バルブPVは、例えば吐出口4が詰まって水路内の圧力が高くなった場合に、ヒートシンク5を介して水を排水トレイ6へ送り出す。
また、本実施形態に係るコーヒーメーカー100において、排水経路15aは、蓋部23が開いた場合に開放され、蓋部23が閉じた場合に閉塞される開閉弁40を備えている。
具体的には図5(a)及び(b)に示す如く、排水経路15aは開閉弁40を介して蓋部23の外部に連通されており、開閉弁40が開放された際には排水経路15aから蓋部23の外側に排水可能とされている。
開閉弁40は、本体部41、固定筒42、ロッド43、ばね44等で構成されている。固定筒42は蓋部23の下側部材23bに挿入され、蓋部23の内側と外側とを連通している。本体部41は排水経路15aと連通される筒状部材であり、その一端は固定筒42に挿入されている。本体部41の他端はピンで下側部材23bに固定されている。ロッド43はその一端を蓋部23の外側に延出させた状態で本体部41及び固定筒42に挿通され、その内部を進退可能とされている。ロッド43と本体部41との間にはばね44が介挿されており、ロッド43を蓋部23の外側に付勢している。
図5(a)に示す如く蓋部23が閉じた場合、ロッド43は抽出部17を支持する内壁26から力を受けて、蓋部23の内側に押し込められ、ロッド43の先端部が本体部41の連通孔41aを閉塞する。そして、図5(b)に示す如く蓋部23が開いた場合、ロッド43には外側からの力が加わらないため、ロッド43はばねによる付勢力によって蓋部23の外側に延出される。これにより、本体部41の連通孔41aは開放される。つまり、開閉弁40は、蓋部23が開いた場合に開放され、蓋部23が閉じた場合に閉塞されるのである。
本実施形態に係るコーヒーメーカー100においては上記の如く、抽出経路の途中における配管15の中途部に、排水経路15aを配管15から分岐して設ける構成としている。これにより、コーヒーの抽出中に蓋部23が開放されても、排水経路15aを介して湯を排出することができるため、吐出口4から湯が吐出することが防止できるのである。
また、本実施形態に係るコーヒーメーカー100において、排水経路15aは、蓋部23が開いた場合に開放され、蓋部23が閉じた場合に閉塞される開閉弁40を備えている。これにより、蓋部23が閉じているときは吐出口4に湯を流通させ、蓋部23が開いたときに排水経路15aを介して湯を排出することができる。つまり、コーヒーの抽出中に蓋部23が開放された際に、吐出口4から湯が吐出することを着実に防止できるのである。
また、本実施形態に係るコーヒーメーカー100において、吐出口4は、湯又は蒸気が配管15から送られて圧力が加わった際に開放される逆止弁4aを備えている。これにより、コーヒーの抽出中に蓋部23が開放された際に、湯は優先的に排水経路15aを流れるため、吐出口4から湯が吐出することをより着実に防止できるのである。
また、本実施形態に係るコーヒーメーカー100において、排水経路15aは蓋部23の内部に配設される。これにより、コーヒーメーカー100の構成をコンパクトにすることができる。
次に、上記の如く構成されたコーヒーメーカー100で、コーヒー粉末Cに湯を吐出してコーヒーを抽出する手順について、図6及び図7(a)を用いて説明する。なお、以下の実施形態においては、コーヒー粉末Cに湯を吐出してコーヒーを抽出する構成としているが、コーヒー抽出の前にコーヒー粉末Cに湯や蒸気を吐出して、コーヒー粉末Cを蒸らす工程を適宜設けることも可能である。
コーヒーメーカー100の使用者は予め、図1に示す如く、吐出口4の下方に位置する抽出部17に、フィルターF及び、フィルターFの内部にコーヒーの抽出量に応じた所定量のコーヒー粉末CをセットしたドリッパーDを装着する。また、使用者はコーヒーの抽出量に応じた所定量の水をタンク1に貯溜させ、タンク1を装着する。そして、ドリッパーDの下方でコーヒーメーカー100の本体における下部に形成された載置台100aに、抽出されたコーヒーを溜める図示しないサーバーを配置する。本実施形態においては、1杯分の一例として、120mLのコーヒーを抽出する場合について説明する。なお、コーヒーの抽出量は限定されるものではなく、1杯分として130mL〜150mLを抽出する構成とすることもできる。また、必要に応じて、2杯分以上のコーヒーを抽出する構成とすることも可能である。
そして、使用者が操作手段21を操作することにより、図6中のステップS01に示す如く抽出パターンが入力され、制御手段ECUによるポンプ2及びボイラー3の作動制御が開始される。本実施形態においては、コーヒー粉末Cに湯を吐出してコーヒーを抽出する抽出パターンとして、「通常モード」が入力操作されるものとする。
次に、制御手段ECUは図6中のステップS02に示す如く、入力された抽出パターン(本実施形態においては「通常モード」)に基づいて、ポンプ2を駆動させるための抽出速度を設定する。本抽出パターンにおいては、図7(a)に示す如く、コーヒー粉末Cに湯を吐出してコーヒーを抽出する場合に適した抽出速度が設定される。即ち、断続的に(本実施形態においてはONを6秒、OFFを7.5秒ごとに)ポンプ2への通電のON/OFFを切り替えて5回の抽出を行い、120mLを60秒間で抽出するように設定されるのである。この場合、抽出速度は120/60=2mL/秒となる。即ち、本明細書における「抽出速度」とは、「コーヒーの抽出量」を「抽出始めから抽出終わりまでの合計時間」で割った値、換言すれば、「単位時間あたりの抽出量(抽出始めから抽出終わりまでの時間平均抽出量)」を意味する。
さらに、図6中のステップS03に示す、コーヒー抽出工程では、制御手段ECUによってポンプ2及びボイラー3が作動される。これにより、タンク1内における所定量の水が配管11から配管13を経由してボイラー3の内部に注水され、ボイラー3内に流入した水は所定温度まで昇温されて湯となる。その後、図7(a)に示す如く、タンク1内の水がなくなるまで、さらにポンプ2が設定した抽出速度(2mL/秒)に基づいて断続的に作動される。そして、ボイラー3内の湯が断続的に配管14及び配管15を経由して吐出口4に送られ、ドリッパーD内に吐出される。これにより、載置台100aの上面に配置された図示しないサーバーに、設定された抽出速度でコーヒーが抽出されるのである。本実施形態に係るコーヒーメーカー100においてはこのように、制御手段ECUがポンプ2への通電時間を変更することにより、ポンプ2によるコーヒーの抽出速度を設定する構成としている。
本実施形態に係るコーヒーメーカー100は上記の如く、ポンプ2への通電のON/OFFを数秒(本実施形態においては6秒及び7.5秒)ごとに切り替える構成としている。即ち、ボイラー3内の水が蒸発して蒸気となる、いわゆる「空焚き」状態が数十秒にわたって継続しないようにしているのである。これにより、湯が蒸気とともに吐出口4から吐出された際に湯が跳ね跳ぶ、「スプラッシュ現象」を防止することができる。なお、ポンプ2の通電周期(通電回数)は限定されるものではなく、数秒間隔であれば良い。例えば、ボイラー3のON/OFF周期(約5〜10秒間隔)と同期させたり、ボイラー3のON/OFF周期よりも短くしたりする構成でも差し支えない。
本実施形態に係るコーヒーメーカー100においては、ステップS01で抽出パターンが入力されてから、ステップS03でボイラー3が加熱(本予熱)されるまでの間に数秒程度の待機時間を設けている。そして、この待機時間の間に使用者が再度操作手段21を操作した場合には、先の入力操作がキャンセルされて後の入力操作が実行される。つまり、使用者が操作ミスをした場合に、待機時間の数秒間で操作を修正することができるように構成されている。また、この待機時間を用いて、ボイラー3の仮予熱が行われる。これにより、待機時間が経過して抽出パターンが確定してボイラー3の加熱(本予熱)が行われる際に要する時間を短縮する構成としている。換言すれば、ステップS01で抽出パターンが入力されてから、ステップS03でボイラー3が加熱されるまでの間に設けられる待機時間を用いてボイラー3の予熱を行うことにより、ボイラー3における水の加熱効果を高め、短時間で水温を上昇させることができるのである。
次に、コーヒーメーカー100で、コーヒーポッドCP1に湯を吐出してコーヒーを抽出する手順について、図7(b)及び図8を用いて説明する。
コーヒーメーカー100の使用者は予め、図8に示す如く、吐出口4の下方に位置する抽出部17に、コーヒーポッドCP1に対応するアダプターA1を装着し、アダプターA1にコーヒーポッドCP1を配置する。また、使用者はコーヒーの抽出量に応じた所定量の水をタンク1に貯溜させ、タンク1を装着する。本実施形態においても、1杯分として、120mLのコーヒーを抽出する場合について説明する。そして、アダプターA1の下方でコーヒーメーカー100の本体における下部に形成された載置台100bに、抽出されたコーヒーを溜める紙コップCuを配置する。
本実施形態に係るコーヒーメーカー100は図8に示す如く、抽出部17の下方における内側面部に、内側に突出して水平方向に延びるレール101・101・・・が上下方向に並んで複数形成されている。そして、このレール101・101・・・の間に載置台100bを挿入して固定することができるように構成されている。図8に示す如く、紙コップCu等にコーヒーを抽出する場合は、吐出口4と載置台100bとの距離が紙コップCuの高さより少し大きくなるように(紙コップCuを配置する高さが適切になるように)、載置台100bをレール101・101・・・の間に挿入する。これにより、抽出されたコーヒーが紙コップCuで飛び散ることを防止できるのである。
また、本実施形態に係るコーヒーメーカー100における載置台100bは図8に示す如く、上面の中央部に、下方に窪んだ凹部が形成されている。これにより、載置台100bに紙コップCuを載置した場合でも、ポンプ2等の振動によって紙コップCuが移動しないように構成されている。
そして、使用者が操作手段21を操作することにより、図6中のステップS01に示す如く抽出パターンが入力され、制御手段ECUによるポンプ2及びボイラー3の作動制御が開始される。本抽出パターンにおいては、コーヒーポッドCP1に湯を吐出してコーヒーを抽出するパターンとして、「ポッド1モード」が入力操作されるものとする。
次に、制御手段ECUは図7中のステップS02に示す如く、入力された抽出パターン(本実施形態においては「ポッド1モード」)に基づいて、ポンプ2を駆動させるための抽出速度を設定する。本実施形態においては、図7(b)に示す如く、コーヒーポッドCP1に湯を吐出してコーヒーを抽出する場合に適した抽出速度が設定される。即ち、連続的にポンプ2への通電がなされて抽出を行い、120mLを30秒間で抽出するように設定されるのである。この場合、抽出速度は120/30=4mL/秒となる。
さらに、図6中のステップS03に示す、コーヒー抽出工程では、制御手段ECUによってポンプ2及びボイラー3が作動される。これにより、タンク1内における所定量の水が配管11から配管13を経由してボイラー3の内部に注水され、ボイラー3内に流入した水は所定温度まで昇温されて湯となる。その後、図7(b)に示す如く、タンク1内の水がなくなるまで、さらにポンプ2が設定した抽出速度(4mL/秒)に基づいて継続的に作動される。そして、ボイラー3内の湯が継続的に配管14及び配管15を経由して吐出口4に送られ、コーヒーポッドCP1に吐出される。これにより、載置台100bの上面に配置された紙コップCuに、設定された抽出速度でコーヒーが抽出されるのである。
さらに、コーヒーメーカー100で、コーヒーポッドCP1と大きさ・形状・抽出速度等、規格の異なるコーヒーポッドCP2に湯を吐出してコーヒーを抽出する手順について、図7(c)及び図9を用いて説明する。
コーヒーメーカー100の使用者は予め、図9に示す如く、吐出口4の下方に位置する抽出部17に、コーヒーポッドCP2に対応するアダプターA2を装着し、アダプターA2にコーヒーポッドCP2を配置する。また、使用者はコーヒーの抽出量に応じた所定量の水をタンク1に貯溜させ、タンク1を装着する。本実施形態においても、1杯分として、120mLのコーヒーを抽出する場合について説明する。そして、アダプターA2の下方でコーヒーメーカー100の本体における下部に形成された載置台100cに、抽出されたコーヒーを溜める紙コップCuを配置する。
また、本実施形態に係るコーヒーメーカー100における載置台100cは図9に示す如く、上面の中央部に向かって高さが徐々に低くなる凹形状に形成されている。これにより、載置台100cに紙コップCuを載置した場合でも、ポンプ2等の振動によって紙コップCuが移動しないように構成されている。
そして、使用者が操作手段21を操作することにより、図6中のステップS01に示す如く抽出パターンが入力され、制御手段ECUによるポンプ2及びボイラー3の作動制御が開始される。本実施形態においては、コーヒーポッドCP2に湯を吐出してコーヒーを抽出するパターンとして、「ポッド2モード」が入力操作されるものとする。
次に、制御手段ECUは図6中のステップS02に示す如く、入力された抽出パターン(本実施形態においては「ポッド2モード」)に基づいて、ポンプ2を駆動させるための抽出速度を設定する。本抽出パターンにおいては、図7(c)に示す如く、コーヒーポッドCP2に湯を吐出してコーヒーを抽出する場合に適した抽出速度が設定される。即ち、断続的に(本実施形態においては10秒ごとに)ポンプ2への通電のON/OFFを切り替えて3回の抽出を行い、120mLを50秒間で抽出するように設定されるのである。この場合、抽出速度は120/50=2.4mL/秒となる。
さらに、図6中のステップS03に示す、コーヒー抽出工程では、制御手段ECUによってポンプ2及びボイラー3が作動される。これにより、タンク1内における所定量の水が配管11から配管13を経由してボイラー3の内部に注水され、ボイラー3内に流入した水は所定温度まで昇温されて湯となる。その後、図7(c)に示す如く、タンク1内の水がなくなるまで、さらにポンプ2が設定した抽出速度(2.4mL/秒)に基づいて断続的に作動される。そして、ボイラー3内の湯が断続的に配管14及び配管15を経由して吐出口4に送られ、コーヒーポッドCP2に吐出される。これにより、載置台100cの上面に配置された紙コップCuに、設定された抽出速度でコーヒーが抽出されるのである。
上記の如く、本実施形態に係るコーヒーメーカー100によれば、制御手段ECUは、コーヒー粉末Cに湯を吐出してコーヒーを抽出する「通常モード」と、コーヒーポッドCP1(CP2)に湯を吐出してコーヒーを抽出する「ポッド1(ポッド2)モード」と、のそれぞれに対応して、ポンプ2によるコーヒーの抽出速度を設定するのである。
本実施形態に係るコーヒーメーカー100は上記の如く構成することにより、コーヒー粉末Cに湯を吐出してコーヒーを抽出する場合と、コーヒーポッドCP1(CP2)に湯を吐出してコーヒーを抽出する場合との何れであっても、それぞれに適正なコーヒーの抽出速度(湯の吐出速度)でコーヒーを抽出することができる。
また、本実施形態に係るコーヒーメーカー100によれば、制御手段ECUは、コーヒー粉末に湯を吐出してコーヒーを抽出する「通常モード」においては、抽出速度を2mL/秒に設定している。一方、コーヒーポッドCP1(CP2)に湯を吐出してコーヒーを抽出する「ポッド1(ポッド2)モード」においては、抽出速度を4mL/秒(2.4mL/秒)に設定している。即ち、「通常モード」は「ポッド1(ポッド2)モード」と比較して、ポンプ2によるコーヒーの抽出速度を遅く設定しているのである。これにより、コーヒー粉末Cに湯を吐出してコーヒーを抽出する場合のコーヒーの抽出速度(湯の吐出速度)を適正にしてコーヒーを抽出することができる。
また、本実施形態に係るコーヒーメーカー100によれば、「通常モード」では、コーヒー粉末Cが投入されたフィルターFを載置するドリッパーDが抽出部17に配置される構成としている。一方、「ポッド1(ポッド2)モード」ではコーヒーポッドCP1(CP2)を載置するアダプターA1(A2)が抽出部17に配置される構成としている。これにより、コーヒー粉末Cに湯を吐出してコーヒーを抽出する場合と、コーヒーポッドCP1(CP2)に湯を吐出してコーヒーを抽出する場合との何れであっても、それぞれに対応してコーヒーを抽出することができる。
また、本実施形態に係るコーヒーメーカー100によれば、2種類のコーヒーポッドCP1・CP2に対応してコーヒーを抽出するとともに、制御手段ECUは、コーヒーポッドCP1・CP2の種類に対応して、ポンプ2によるコーヒーの抽出速度を設定している。これにより、それぞれのコーヒーポッドCP1・CP2に適正なコーヒーの抽出速度(湯の吐出速度、それぞれ4mL/秒・2.4mL/秒)でコーヒーを抽出することができる。
また、本実施形態に係るコーヒーメーカー100によれば、2種類のコーヒーポッドCP1・CP2を載置するために、コーヒーポッドCP1・CP2のそれぞれに対応する2種類のアダプターA1・A2が抽出部17に配置される。これにより、2種類のコーヒーポッドCP1・CP2の大きさや形状等の規格が異なっても、それぞれに対応してコーヒーを抽出することができる。
なお、本実施形態に係るコーヒーメーカー100は、2種類のコーヒーポッドCP1・CP2を用いてコーヒーを抽出する構成としたが、コーヒーメーカーで抽出できるコーヒーポッド、及びコーヒーポッドに対応するアダプターの種類は上記に限定されるものではなく、3種類以上とすることも可能である。
また、本実施形態に係るコーヒーメーカー100は、ポンプ2により圧送される水の流量を測定する流量計8を備えるとともに、制御手段ECUは、ポンプ2の印加電圧を一定として、ポンプ2への通電時間を変更することにより、ポンプ2によるコーヒーの抽出速度を設定している。これにより、ポンプ2で圧送する単位時間あたり水量を一定とすることができ(本実施形態においては、何れの抽出パターンを選択した場合でも、「コーヒーの抽出量」である120mLを「実際の抽出時間」である30秒で割った値は4mL/秒となる)、流量計8に流れる水の流速が変化しないため、流量計8よる流量の測定精度を安定させることができる。
さらに、本発明の第二実施形態に係るコーヒーメーカー200について、図10から図12を用いて説明する。本実施形態に係るコーヒーメーカー200においては、前記第一実施形態に係るコーヒーメーカー100と構成が異なる部分を中心に説明し、構成が共通である部分は同符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態に係るコーヒーメーカー200においては図10に示す如く、抽出部17を支持する内壁26に、蓋部23の開閉を検知するマイクロスイッチである蓋スイッチ51が配設されている。そして、図11に示す如く、蓋スイッチ51はポンプ2及びボイラー3の作動制御を行う制御手段ECUと電気的に接続されている。
本実施形態に係るコーヒーメーカー200においては、コーヒーの抽出中に蓋部23が開放された場合、蓋スイッチ51は蓋部23が開放されたことを検知し、蓋スイッチ51が「OFF」となる。そして、図12(a)に示す如く、制御手段ECUによってポンプ2が数秒間(本実施形態においては3秒間)作動され、ボイラー3の作動が停止される。これにより、タンク1内の水がボイラー3の内部に注水され、ボイラー3内の温度が低下する。このため、ボイラー3の内部に充満する水蒸気が冷やされて液化し、ボイラー3の内部圧力を低下させることができるため、吐出口4から湯が吐出することを防止できるのである。
また、本実施形態に係るコーヒーメーカー200は、コーヒーポッドCP1(CP2)に湯を吐出してコーヒーを作成する場合には、図12(b)に示す如く、予熱を開始する数秒前(本実施形態においては3秒前)に制御手段ECUによってポンプ2が作動され、ボイラー3の作動が停止される構成としている。そして、予熱終了後の数秒間(本実施形態においては3秒間)にも制御手段ECUによってポンプ2が作動され、ボイラー3の作動が停止される構成としている。これにより、タンク1内の水がボイラー3の内部に注水され、ボイラー3内の温度が低下する。このため、ボイラー3の内部で一気に熱された湯がコーヒーポッドCP1(CP2)に吐出されることを防ぎ、笛のような音が鳴ること(音鳴き)を防止することができるのである。