JP6161733B2 - 歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラー及びその製造方法 - Google Patents

歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラー及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、歯科用グラスアイオノマーセメントに適したフィラー及びその製造方法に関する。
歯科用グラスアイオノマーセメントは、ポリカルボン酸等のα−β不飽和カルボン酸重合体と、フルオロアルミノシリケートガラス粉末とを水の存在下で反応させ硬化させて使用する。この歯科用グラスアイオノマーセメントは、生体に対する親和性が極めて良好であることや硬化体が半透明であり審美性に優れていること、エナメル質や象牙質等の歯質に対して優れた接着力を有していること、さらにはガラス中に含まれるフッ素による抗齲蝕作用があること等優れた特長を有しているため歯科分野で広く使用されている。
一般的な歯科用グラスアイオノマーセメントは粉成分と液成分とで構成されており、計量や練和等の操作の煩雑さが短所の一つになっていた。本出願人はα−β不飽和カルボン酸重合体と水と該α−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材とを主成分とする第1ペースト及びフルオロアルミノシリケートガラス粉末と酸基を持たない重合性モノマーとを主成分とする第2ペーストから成り、両ペーストの少なくとも一方に重合性モノマーの重合方法に応じて重合触媒を配合したペースト状のグラスアイオノマーセメント組成物を以前に開発した(例えば、特許文献1参照。)。
しかしこの歯科用グラスアイオノマーセメント組成物は、α−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材と、セメントの母体成分(α−β不飽和カルボン酸重合体及びフルオロアルミノシリケートガラス)との相互作用が弱いために硬化体の強度が不十分であった。
これに対し、長石または長石誘導体の粒子を、反応性基を含有するケイ素化合物によってコーティングし、さらに該反応性基と反応することができる重合性樹脂を含有する歯科材料用充填材が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、この充填材は、セメントの母体成分との相互作用が弱いために硬化体の強度が不十分であった。さらに、長石は天然物であり組成が不均一であることに加え、水の存在下で含まれる金属が溶出しやすいことから、グラスアイオノマーセメントに適した充填材ではなかった。
この問題を解決するためにアクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、メタクリル酸、及びこれらの組み合わせのホモポリマー及びコポリマーから成る群から選択されるポリ酸で充填材をアミノアルキルトリアルコキシシランを連結基として表面処理した充填材が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしこの表面処理は煩雑でコストがかかる傾向があり、表面処理は不均一となりやすく安定した効果が得られ難いという問題があった。
特開平11−228327号公報 特開2013−531019号公報 特開2009−503002号公報
そこで本発明は、一般的な無機粉末を原料として簡便に製造することができ、且つ歯科用グラスアイオノマーセメント組成物に配合したときに、強度の高いセメント硬化体が得られる歯科用グラスアイオノマーセメントに適したフィラー及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、表面に、ケイ素原子を介してカルボキシル基を有する化合物が結合した歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラーであれば、簡便に製造することができ、且つ一般的な無機粉末の表面にケイ素原子を介してカルボキシル基を有する化合物が結合していることから、歯科用グラスアイオノマーセメント組成物に配合したときに、該カルボキシル基が金属イオンを介してセメント母体と相互作用することによりフィラーが組成物中で安定するため、強度の高いセメント硬化体が得られることを見出して本発明を完成させた。
即ち、本発明は、
表面に、ケイ素原子を介してカルボキシル基を有する化合物が結合した歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラーである。
また、本発明の別の形態は、
不飽和二重結合を有するシラン処理材によって表面処理された無機粉末に、(メタ)アクリレート化合物を除く不飽和二重結合を有するカルボン酸を結合させる、歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラーの製造方法である。
あるいは、
不飽和二重結合を有するシラン処理材によって表面処理された無機粉末に、(メタ)アクリレート化合物を除く不飽和二重結合を有するカルボン酸を結合させる、歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラーの製造方法によって製造され得る歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラーである。
本発明に係る歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラーは、無機粉末と(メタ)アクリレート化合物を除く不飽和二重結合を有するカルボン酸を原料として簡便に製造することができ、且つ歯科用グラスアイオノマーセメント組成物に配合したときに、強度の高いセメント硬化体が得られるフィラーである。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明に係る歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラーは、表面に、ケイ素原子を介してカルボキシル基を有する化合物が結合した歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラーである。
この歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラーは、表面にケイ素原子を介してカルボキシル基を有する化合物が結合していることから、該カルボキシル基が金属イオンを介してセメント母体と相互作用することによりフィラーが組成物中で安定するため、セメント硬化体の強度が高くなる等、歯科用グラスアイオノマーセメントに適したフィラーである。
前記歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラーは、
(a)不飽和二重結合を有するシラン処理材によって表面処理された無機粉末、及び、
(b)(メタ)アクリレート化合物を除く不飽和二重結合を有するカルボン酸
とを結合させることによって製造される。
(a)を構成する無機粉末としては、水の存在下で酸と反応しないコロイダルシリカ、結晶性シリカなどのシリカ粉末、鉱物である硅砂、石英、金属イオンを放出しない結晶性ガラスである例えばストロンチウムガラス、バリウムガラス、ホウケイ酸ガラス等や、水の存在下で酸との反応性を有するフルオロアルミノシリケートガラス、その他にもアルミナ粉末、酸化チタン粉末、硫酸バリウム等を挙げることができる。分散媒に水を使用しない場合は、これらを2種以上混合して使用しても差し支えない。分散媒に水を使用する場合には、水との反応性が同じ無機粉末同士を2種以上混合して使用してもよい。中でも、シリカ粉末、石英、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、フルオロアルミノシリケートガラスから選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。
また、(a)を構成する無機粉末の平均粒径は0.02〜10μmであることが好ましく、平均粒径が10μmを超える場合はセメントの硬化後の表面の平滑性が得られないので、口腔内での接触感が悪くなる傾向がある。一方、平均粒径が0.02μm未満の微粉を用いた場合は、組成物に配合して使用する際に、絶対量として無機粉末を組成物中に混合し難く、セメント硬化体の物性が低下してしまう虞がある。
(a)を構成する無機粉末は、不飽和二重結合を有するシラン処理材によって表面処理されていることが必要である。この表面処理に使用される不飽和二重結合を有するシラン処理材としては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ―メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ―メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン等のビニル系シランカップリング剤が例示される。この処理により、無機粉末の表面に不飽和二重結合を有するシラン処理材が化学的に固定される。この不飽和二重結合上の炭素原子は、後述する(メタ)アクリレート化合物を除く不飽和二重結合を有するカルボン酸の不飽和二重結合上の炭素原子と結合する。
前記シラン処理材の使用量は、無機粉末100質量部に対して0.01〜20質量部であることが好ましく、0.01質量部未満では十分な強度が得られない傾向があり、20質量部を超えると均一な処理粉が得られない傾向がある。
(a)不飽和二重結合を有するシラン処理材によって表面処理された無機粉末の配合量は、(a)〜(c)の合計量に対して、20〜80質量%であることが好ましい。20質量%未満では効果が得られ難く、80質量%を超えると反応液の調製自体が困難となってしまう傾向がある。
(b)(メタ)アクリレート化合物を除く不飽和二重結合を有するカルボン酸は、その不飽和二重結合上の炭素原子が、前述の無機粉末の表面に結合したシラン処理材の不飽和二重結合上の炭素原子と結合する。これにより、歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラーの表面にケイ素原子を介して最終的にカルボキシル基が導入され、且つ歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラー自体の強度が向上する。(メタ)アクリレート化合物を除く不飽和二重結合を有するカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、アコニット酸、アンゲリカ酸、シトラコン酸、クロトン酸、グルタコン酸、メタコン酸、メサコン酸、ムコン酸、チグリン酸、桂皮酸、アリルマロン酸、ブテン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、オクテン酸、ノネン酸、デセン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が例示される。また、これらの酸無水物、構造異性体、シス−トランス異性体を含む。これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。これらの中でも特に、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸がセメント硬化体の強度を向上させる効果に優れるため好ましい。なお、「(メタ)アクリレート化合物を除く」とは、下記化学式で示される部分構造を持たないという意味である(但し、Xは水素原子またはメチル基であり、破線より先の構造は任意である。)。
Figure 0006161733
本発明に係る歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラーは、(a)不飽和二重結合を有するシラン処理材によって表面処理された無機粉末に(b)(メタ)アクリレート化合物を除く不飽和二重結合を有するカルボン酸を、両者が有する不飽和二重結合上の炭素原子同士で結合させることで、歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラーが製造される。
本発明においては、上記の(a)の無機粉末と(b)のカルボン酸とを結合させる工程は、液相重合または乳化重合によって行われる。即ち、(a)の無機粉末、(b)のカルボン酸、及び適当な重合触媒を、適当な分散媒中で反応させる。この方法によれば、(a)の無機粉末は分散媒中に分散されているので、均一かつ高密度に(b)のカルボン酸を結合させることができ、均質で効果の高い歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラーが得られる。また、重合後は分散媒を除去するのみで精製可能であるため、製造が非常に簡便である利点がある。
これに対し、従来の一般的な有機無機複合フィラーの作製方法である固相重合は上記の利点が無く、均質で効果の高い歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラーを得るのは難しい。また、重合後に粉砕及び粒度調整をする必要があり、製造コストがかかるため、本発明では用いない。
(b)(メタ)アクリレート化合物を除く不飽和二重結合を有するカルボン酸の配合量は、(a)〜(c)の合計量に対して、20〜80質量%であることが好ましい。20質量%未満では効果が得られ難く、80質量%を超えると反応液の調製自体が困難となってしまう傾向がある。
(c)重合触媒は、前述の(a)不飽和二重結合を有するシラン処理材によって処理された無機粉末に(b)(メタ)アクリレート化合物を除く不飽和二重結合を有するカルボン酸を、両者の不飽和二重結合間で結合させ、炭素−炭素単結合を介して、結合させる作用を持つ。重合触媒としては従来の歯科材料で用いられている重合触媒を特に制限なく使用することが可能であり、重合反応系は重合触媒の種類や組み合わせに応じて適宜有効な方法を選択できる。特に確実に重合させることを目的として熱重合触媒が好ましい。熱重合触媒としては、アゾ化合物としてアゾビスイソブチロニトリル、トリブチルホウ素等のような有機金属化合物が好ましく、芳香族を有するジアシルパーオキシド類や過安息香酸のエステルとみなされるようなパーオキシエステル類、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロルベンゾイルパーオキシド、m−トリルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ[(o−ベンゾイル)ベンゾイルパーオキシ]ヘキサン等も使用可能である。また,水溶性重合触媒として、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、ペルオキソ二リン酸カリウムペルオキソ二硫酸カリウム等の過硫酸塩も好適である。これらの熱重合触媒は1種または2種以上を組み合わせて使用することも可能である。なお、ペルオキソ二硫酸カリウム等のアルコールに不溶な重合触媒を用いる場合には、これが溶解する分散媒を用いる必要がある。
(c)重合触媒の配合量は、(a)〜(c)の合計量に対して、0.1〜3質量%であることが好ましい。0.1質量%未満であると充分な重合効果を得難く、一方、使用する不飽和カルボン酸の種類や配合割合によって異なるが3質量%を超えて配合すると得られる高分子鎖長が短くなりセメントの物性向上に充分な効果が得られない傾向がある。
(d)分散媒は、不飽和二重結合を有するシラン処理材によって処理された無機粉末が充分に分散し、かつ(b)(メタ)アクリレート化合物を除く不飽和二重結合を有するカルボン酸、(c)重合触媒各々が充分に溶解するものを使用することが好ましく、特に水とアルコールの混合溶媒を使用することが好ましい。特に混合溶媒中におけるアルコール濃度が30〜80%が好適である。アルコール濃度が30%未満では水溶性重合触媒の溶解性が低下して反応効率が低下する傾向があり、80%を超えると(a)不飽和二重結合を有するシラン処理材によって処理された無機粉末の分散効率が低下する傾向がある。
また、(a)を構成する無機粉末に酸との反応性を有する無機粉末を使用する場合は、(d)の分散媒は、重合反応中の酸-塩基反応の進行を避けるため、非水系の分散媒を選択する必要がある。(b)(メタ)アクリレート化合物を除く不飽和二重結合を有するカルボン酸の溶解性を考慮すると低級アルコールを使用することが好ましく、特にエタノールが好適である。また、使用する前にモレキュラーシーブスを用いて脱水処理を行っておくことが好ましい。
上記(a)〜(c)を含む混合物を重合反応させることにより、(a)不飽和二重結合を有するシラン処理材によって処理された無機粉末に、(b)不飽和二重結合を有するカルボン酸がケイ素原子を介して化学結合する。即ち、(a)不飽和二重結合を有するシラン処理材によって処理された無機粉末のケイ素原子延長上の不飽和二重結合上の炭素原子と、(b)不飽和二重結合を有するカルボン酸の不飽和二重結合上の炭素原子とが、化学結合する。これにより、無機粉末の表面にケイ素原子を介してカルボキシル基を有する化合物が結合した歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラーが得られる。重合反応系は重合触媒の種類や組み合わせに応じて適宜有効な方法を選択できる。
本発明に係る歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラーの製造方法によれば、(a)不飽和二重結合を有するシラン処理材によって処理された無機粉末、(b)(メタ)アクリレート化合物を除く不飽和二重結合を有するカルボン酸、(c)重合触媒を(d)分散媒に混合し重合すれば、歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラーを作製できるので、非常に簡便である。また、(b)(メタ)アクリレート化合物を除く不飽和二重結合を有するカルボン酸は多種類から選択できるので、様々な特性のフィラーを製造可能である。
なお、本発明に係る歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラーには必要に応じて通常用いられる光重合触媒、抗菌剤、顔料、安定剤等を適宜配合することもできるのは勿論である。
以下に具体的に例を挙げて本発明に係る歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラー及びその製造方法について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<<歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラーの調製>>
<実施例1>
平均粒径1.8μmの石英粉末100質量部にエタノールにて50質量%に希釈したγ―メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを20質量部添加し、自動乳鉢にて混合した。得られた無機粉末を110℃にて2時間加熱処理した。これにより得られた処理粉を、石英粉末10%シラン処理無機粉末とした。
次に、水:エタノール=2:1混合液を調製し、これを(d)分散媒とした。(a)〜(c)の合計量に対して、シラン処理無機粉末45.3質量%、イタコン酸53.5質量%を反応容器に投入後、水:エタノール混合液で100mLになるようメスアップした。
60℃にて約30分間撹拌した後、ペルオキソ二硫酸カリウムを1.2質量%を投入し、1時間重合反応を行った。遠心分離し上清を除去した後、水への再縣濁を行った。この操作を4回繰り返し、未反応のイタコン酸、重合触媒の除去を行い、さらに凍結乾燥機にて水分の除去を行って嵩高い白色粉末状の歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラーを得た。
<実施例2〜5>
実施例1と同様の方法で歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラーを調製した。
<実施例6〜8>
実施例1と同様の方法でフィラーを調製したが、(c)重合触媒としてアゾビスイソブチロニトリルを用い、(d)分散媒としてモレキュラーシーブにて脱水処理を施したエタノールを用いた。
<比較例>
比較例1は石英粉末10%シラン処理粉をそのまま用いた。
<比較例2>
実施例1と同様の方法でフィラーを調製したが、(c)重合触媒は入れなかった。
<比較例3>
実施例1と同様の方法でフィラーを調製したが、(c)重合触媒としてペルオキソ二硫酸カリウムを用い、(d)分散媒としてモレキュラーシーブにて脱水処理を施したエタノールを用いた。以上の各配合及び得られた歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラーの平均粒径を表1に纏めて示した。
Figure 0006161733
<<フルオロアルミノシリケートガラス粉末の調製>>
<フルオロアルミノシリケートガラス粉末A>
酸化アルミニウム22g、無水珪酸23g、フッ化カルシウム12g、リン酸カルシウム15g及びフッ化ストロンチウム28gを乳鉢にて充分に混合撹拌して得たバッチを磁器るつぼに入れ、電気炉にて約7℃/分の昇温速度にて1200℃の温度に昇温し3時間係留した後、融液を水中に流し出して得た急冷ガラスを粉砕して、フルオロアルミノシリケートガラス粉末Aとした。この無機粉末の平均粒径は2.5μmであった。
<フルオロアルミノシリケートガラス粉末B>
酸化アルミニウム23g、無水珪酸31g、フッ化カルシウム1g、クライオライト9g、リン酸アルミニウム2g及びフッ化ストロンチウム34gを乳鉢にて充分に混合撹拌して得たバッチを磁器るつぼに入れ、電気炉にて約7℃/分の昇温速度にて1200℃の温度に昇温し3時間係留した後、融液を水中に流し出して得た急冷ガラスを粉砕して、フルオロアルミノシリケートガラス粉末Bとした。この無機粉末の平均粒径は2.5μmであった。
<<ゼータ電位計によるフィラーの評価>>
得られたフィラーを0.1質量%となるように10mM塩化ナトリウム、0.01%TritonX−100水溶液に縣濁し、10分間超音波を照射して、充分分散させた。これを測定試料とし、ゼータ電位計(ELS−Z、大塚電子)を用いて表面の電荷の変化を測定した。ゼータ電位の値が負で絶対値が大きいほどカルボキシル基の結合量が相対的に多いことを示す。結果を表1に纏めて示した。
<<粉液型の歯科用グラスアイオノマーセメント組成物の作製>>
表2に示した配合にて各成分を混合し、粉液型の歯科用グラスアイオノマーセメント組成物の粉末成分及び液体成分を調製した。
<<曲げ強度試験>>
上記で調製した各粉末成分及び液体成分を表2に示した粉液比で計り取り、練和紙上でスパチュラを用いて30秒間練和した。得られた練和物を幅2mm、高さ2mm、長さ25mmの金属製割型内に填入し、金属板にて上下を塞ぎクランプで圧接・固定した。これを温度37℃,湿度100%の雰囲気中に1時間後放置して硬化させて金属製割型より外し、得られた棒状の試料を温度37℃の蒸留水に24時間浸漬した。その後、その試験片を万能試験機(商品名:オートグラフ、株式会社島津製作所製)にてクロスヘッドスピード1mm/分の条件にて圧縮試験を行った。なお、組成物1〜8には実施例1〜6に係る歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラーの何れかが配合されており、組成物9〜11には比較例1〜3に係るフィラーの何れかが配合されている。結果を表2に纏めて示した。
Figure 0006161733
<<ペースト系歯科用グラスアイオノマーセメント組成物の作製>>
表3に示した配合にて各成分を混合し、ペースト系歯科用グラスアイオノマーセメント組成物の第1ペースト及び第2ペーストを調製した。
<<耐圧強度試験>>
上記で調製した第1ペースト及び第2ペーストを表3に示したペースト比で計り取り、練和紙上でスパチュラを用いて10秒間練和した。得られた練和物を直径4mm、高さ6mm、の金属製割型内に填入し、金属板にて上下を塞ぎクランプで圧接・固定した。これを温度37℃、湿度100%の雰囲気中に1時間後放置して硬化させて金属製割型より外し、得られた円筒状のセメント硬化体を温度37℃の水中に24時間浸漬した。その後、その試験片を万能試験機(商品名:オートグラフ,株式会社島津製作所製)にてクロスヘッドスピード1mm/分の条件にて圧縮試験を行った。なお、組成物12〜19には実施例2〜5、7、8に係る歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラーの何れかが配合されており、組成物20〜23には比較例1〜3に係るフィラーの何れかが配合されている。その結果を表3に纏めて示した。
Figure 0006161733
表2及び3に示した結果より、本発明に係る歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラーは、粉液型、ペースト系の何れの組成物に配合した場合であっても、比較例のフィラーを配合した場合と比較してセメント硬化体の強度が高いことが分かる。

Claims (5)

  1. 不飽和二重結合を有するシラン処理材によって表面処理された無機粉末に、(メタ)アクリレート化合物を除く不飽和二重結合を有するカルボン酸を結合させる、歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラーの製造方法。
  2. 前記(メタ)アクリレート化合物を除く不飽和二重結合を有するカルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、アコニット酸、アンゲリカ酸、シトラコン酸、クロトン酸、グルタコン酸、メタコン酸、メサコン酸、ムコン酸、チグリン酸、桂皮酸、アリルマロン酸、ブテン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、オクテン酸、ノネン酸、デセン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸から成る群から選ばれる1種または2種以上である請求項に記載の歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラーの製造方法。
  3. 前記結合は分散媒中で行われる請求項またはに記載の歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラーの製造方法。
  4. 前記無機粉末は、水の存在下で酸と反応しない無機粉末である請求項の何れか1項に記載の歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラーの製造方法。
  5. 前記無機粉末は、水の存在下で酸と反応する無機粉末であり、前記分散媒には水を含まない請求項に記載の歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラーの製造方法。
JP2015560034A 2014-01-31 2015-01-30 歯科用グラスアイオノマーセメント用フィラー及びその製造方法 Active JP6161733B2 (ja)

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