JP6160086B2 - ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶及びその製造方法、電子写真感光体 - Google Patents

ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶及びその製造方法、電子写真感光体 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真用感光材料、光電変換素子用材料、有機半導体素子用材料、光記録用材料として有用なヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶及びその製造方法、電子写真感光体に関する。
フタロシアニン化合物は、塗料や電子材料として広範に用いられている有用な材料であり、近年では、電子写真用感光材料、光記録用材料及び光電変換素子用材料として広く検討されている。
前記電子写真用感光材料としては、半導体レーザーが有する近赤外波長領域に感光性を有するフタロシアニン化合物が数多く提案されており、電子写真感光体の感度向上及び使用経時における安定性向上を両立するため、フタロシアニン化合物の結晶型に関する検討が重点的になされている。
一般に、フタロシアニン化合物は、製造方法及び処理方法の違いにより多数の結晶型を示すことが知られており、この結晶型の違いがフタロシアニン化合物の光電変化効率及び繰り返しの安定性に大きな影響を及ぼすことが知られている。前記フタロシアニン化合物の結晶型としては、例えば、銅フタロシアニンでは、安定系のβ型以外にα、π、χ、ρ、γ、δ等の結晶型があり、これらの結晶型は機械的外力、硫酸処理、有機溶剤処理、熱処理などにより相互に転移が可能であることが知られている。
一方、ガリウムフタロシアニンについても、その結晶型について数多くの報告がなされている(例えば、特許文献1〜4参照)。また、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの合成方法については、アシッドペースト法、即ち、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの前駆体を濃硫酸に溶解し、水等に再沈殿させる工程を含む方法が提案されている(特許文献5及び特許文献6参照)。
しかし、前記アシッドペースト法によるヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造方法においては、酸を用いた加水分解を行う際に分解物が生じ、この分解物が電子写真感光体の電気特性に対して悪影響を与えるおそれがある。また、前記アシッドペースト法は、濃硫酸等の強酸を多量に用いることから製造上の取り扱いに関しても難がある。
更に、アシッドペースト法に用いられているクロロガリウムフタロシアニンはガリウム塩化物を原料に用いて合成されており、フタロシアニン核の塩素化が避けられず、塩素原子を含有するクロロガリウムフタロシアニンが不純物として含まれている。この不純物は無置換のガリウムフタロシアニンと物理的及び化学的特性が類似しており、再結晶や昇華精製によって除去することが困難である。また、不純物を含むクロロガリウムフタロシアニンをアシッドペースト法に用いた場合にもこれを除去することができず、最終目的物であるヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶においてもフタロシアニン核が塩素化された不純物を含有するものとなっている。このような不純物を含む場合には、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶についてではないが、チタニウムフタロシアニン結晶では、電子写真感光体の特性に悪影響を与えることが知られている(特許文献7及び8参照)。
したがって、画像形成装置の電子写真感光体の電荷発生材料として用いた場合、高画質化及び高安定化を実現することができる高純度なヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を効率よく製造できることが望まれている。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、画像形成装置の電子写真感光体の電荷発生材料として用いた場合、高画質化及び高安定化を実現できる高純度なヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を効率よく製造できるヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法は、1,3−ジイミノイソインドリンと、トリスアセチルアセトナートガリウム及びトリスジピバロイルメタナートガリウムから選択される少なくとも1種とを有機溶媒中で反応させることを特徴とする。
本発明によると、前記従来における諸問題を解決でき、前記目的を達成することができ、画像形成装置の電子写真感光体の電荷発生材料として用いた場合、高画質化及び高安定化を実現できる高純度なヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を効率よく製造できるヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の電子写真感光体の層構成の一例を示す図である。 図2は、本発明の電子写真感光体の層構成の他の一例を示す図である。 図3は、本発明の電子写真感光体の層構成の他の一例を示す図である。 図4は、本発明の電子写真感光体の層構成の他の一例を示す図である。 図5は、本発明で用いられるプロセスカートリッジの一例を示す図である。 図6は、本発明で用いられる画像形成装置の一例を示す概略図である。 図7は、帯電ローラにギャップ形成部材を設けた状態の一例を示す概略図である。 図8は、本発明で用いられる画像形成装置の他の一例を示す概略図である。 図9は、実施例1における粉末X線回折スペクトルを示した図である。 図10は、比較例1における粉末X線回折スペクトルを示した図である。 図11は、比較例2における粉末X線回折スペクトルを示した図である。 図12は、実施例の実機評価に用いた文字部とハーフトーン部が混在するA4サイズチャートを示す図である。
(ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法及びヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶)
本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法は、1,3−ジイミノイソインドリンと、トリスアセチルアセトナートガリウム及びトリスジピバロイルメタナートガリウムから選択される少なくとも1種とを有機溶媒中で反応させることを特徴とする。
本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶は、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法により製造される。
以下、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法及びヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶について説明する。
本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶は、下記構造式で表される構造を有し、元素分析による塩素原子含有量が、0.0015質量%以下であり、0.0010質量%以下がより好ましく、塩素原子を含んでいないこと(0質量%)が最も好ましい。
前記元素分析による塩素原子含有量が、0.0015質量%を超えると、画像形成装置の電子写真感光体の電荷発生材料として用いた場合、電子写真特性に悪影響を及ぼし、高画質化及び高安定化が損なわれてしまうことがある。
前記塩素原子含有量は、例えば、試料を直接ボートに0.001mgまで精秤し、分析装置内の燃焼管内で燃焼させ、発生したガスを溶液に吸収後、吸収液の一部をイオンクロマト法により分析することができる。なお、燃焼及び吸収条件、イオンクロマトグラフィー及びアニオン分析条件は以下の通りである。この方法による塩素原子の定量下限は0.0010質量%である。
<燃焼及び吸収条件>
・システム:AQF−100、GA−100(三菱化学アナリテック株式会社製)
・電気炉温度:Inlet 900℃、Outlet 1,000℃
・ガス:Ar/O 200mL/分、O 400mL/分
・吸収液:H 90ppm、内標P 1ppm
・吸収液量:10mL
<イオンクロマトグラフィー及びアニオン分析条件>
・システム:ICS1500(DIONEX株式会社製)
・移動相:2.7mmol/L NaCO/0.3mmol/L NaHCO
・流速:1.50mL/min
・検出器:電気伝導検出器
・注入量:100μL
前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の元素分析による塩素原子含有量を0.0015質量%以下とする手段としては、塩素を含まない合成原料を用いて合成する方法などが挙げられ、具体的には、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法により製造することができる。
本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、CuKα線によるX線回析スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)のうちの7.4°、9.9°、16.2°、18.5°、24.0°、25.1°、28.2°に強い回折ピークを有することが好ましい。
ここで、前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折スペクトルの測定は、CuKα特性X線を用い、以下の条件で行うことができる。
・測定装置:株式会社リガク製 RINT−TTRIII型広角X線回折装置
・X線管球:Cu(波長1.54Å)
・電圧:50kV
・電流:30mA
・走査速度:2deg/min
・走査範囲:2deg〜35deg
・時定数:2sec
従来の一般的に知られているヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の合成方法は、ハロゲン化ガリウムフタロシアニンを加水分解することにより合成するものであり、前記加水分解は酸加水分解でもよいし、アルカリ加水分解でもよい。
前記酸加水分解としては、例えば、「Bull.Soc.Chim.France,23(1962)」に記載のクロロガリウムフタロシアニンを、硫酸を用いて加水分解する方法、などが挙げられる。
前記アルカリ加水分解としては、例えば、「Inrog.Chem.(19),3131,(1980)」に記載のアンモニアを用いて加水分解する方法、などが挙げられる。
前記ハロゲン化ガリウムフタロシアニンとしては、例えば、クロロガリウムフタロシアニン、ブロモガリウムフタロシアニン、ヨウ素ガリウムフタロシアニン、などが挙げられる。
前記クロロガリウムフタロシアニンは、例えば、「D.C.Acad.Sci.,(1965)、242,1026」に記載されている三塩化ガリウムと1,3−ジイミノイソインドリンを反応させる方法により合成することができる。
前記ブロモガリウムフタロシアニンは、例えば、特開昭59−133551号公報に記載されている三臭化ガリウムとフタロニトリルを反応させる方法により合成することができる。
前記ヨウ素ガリウムフタロシアニンは、例えば、特開昭60−59354号公報に記載されている三ヨウ化ガリウムとフタロニトリルを反応させる方法により合成することができる。
しかしながら、前記従来のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法においては、酸やアルカリを用いた加水分解の際に分解物が生じる。生じた分解物は電子写真感光体の電気特性に悪影響を与えるおそれがある。また、合成原料が塩素等のハロゲン原子を含んでいるので、フタロシアニン核がハロゲン化され、電子写真感光体の特性に悪影響を与えることがある。
本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法は、下記反応式に示すように、1,3−ジイミノイソインドリンと、トリスアセチルアセトナートガリウム及びトリスジピバロイルメタナートガリウムから選択される少なくとも1種とを有機溶媒中で反応させるものである。
従来のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法においては加水分解処理による分解物の生成が避けられなかったが、本発明においては分解物の生成がなく、また合成原料が塩素を含んでいないことからフタロシアニン核の塩素化がなく、高純度なヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を効率よく合成することができる。
この場合、前記1,3−ジイミノイソインドリンと、前記トリスジピバロイルメタナートガリウムとを有機溶媒中で反応させることが、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の高純度化及び反応効率向上の点からより好ましい。
ここで、1,3−ジイミノイソインドリンとトリスアセチルアセトナートガリウムとの反応式を以下に示す。
また、1,3−ジイミノイソインドリンとトリスジピバロイルメタナートガリウムとの反応式を以下に示す。
前記トリスアセチルアセトナートガリウムとしては、特に制限はなく、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記トリスジピバロイルメタナートガリウムとしては、特に制限はなく、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記トリスアセチルアセトナートガリウム及び前記トリスジピバロイルメタナートガリウムの少なくともいずれかと、前記1,3−ジイミノイソインドリンとの量比は、前記トリスアセチルアセトナートガリウム及び前記トリスジピバロイルメタナートガリウムの少なくともいずれか1モルに対して、前記1,3−ジイミノイソインドリンを1モル〜10モルが好ましく、3モル〜6モルがより好ましい。
前記トリスアセチルアセトナートガリウム及び前記トリスジピバロイルメタナートガリウムの少なくともいずれか1モルに対して、前記1,3−ジイミノイソインドリンが1モル未満であると、トリスアセチルアセトナートガリウム及びトリスジピバロイルメタナートガリウムに由来する不純物が多くなり、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の純度が低下することがある。このことは、電子写真感光体の電気特性として残留電荷の上昇といった悪影響を与えることがあり、10モルを超えると、生成物に無金属フタロシアニンが含まれる可能性があり、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の割合が低下することから、十分な高安定化が実現できなくなることがある。
前記有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脱水ジメチルスルフォキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、2−ブタノン、シクロヘキサノン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トルエン、キシレン、アニソール、ニトロベンゼン、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ピリジン、ピコリン、キノリン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の収率を高められる点から、脱水ジメチルスルフォキシド、N,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。
反応温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0℃〜200℃が好ましく、20℃〜150℃がより好ましい。
反応時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30分間〜50時間が好ましく、1時間〜20時間がより好ましい。
より具体的な合成方法としては、例えば、脱水ジメチルスルフォキシドに、1,3−ジイミノイソインドリンと、トリスアセチルアセトナートガリウムとを所定のモル比で加え、アルゴン(Ar)気流下にて130℃、12時間反応させた後、生成した結晶を濾別した。得られたウェットケーキをメチルエチルケトン及びN,N−ジメチルホルムアミドで洗浄した後、乾燥することで、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶が得られる。
得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、結晶型調整処理を行うことが好ましい。
前記結晶型調整処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、機械的外力、硫酸処理、有機溶剤処理、熱処理、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法により得られる本発明の前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶は、元素分析による塩素原子含有量が、0.0015質量%以下の高純度であり、光導電体としての機能に優れ、電子写真感光体、太陽電池、センサ、スイッチング素子等の各種分野において好適に使用することができ、中でも、電子写真感光体の電荷発生材料として用いた場合、長波長の光に対して高い感度と、優れた耐久性とを有し、しかも常温常湿度環境、高温高湿度環境、及び低温低湿度環境のいずれにおいても安定に高画質画像を形成できるので、以下に説明する本発明の電子写真感光体に特に好適に用いられる。
(電子写真感光体)
本発明の電子写真感光体は、支持体と、該支持体上に少なくとも感光層を有してなり、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
前記電子写真感光体は、前記感光層が、本発明の前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を含有する。
前記感光層としては、単層構造、並びに電荷発生層及び電荷輸送層からなる積層構造のいずれでもよいが、電荷発生層及び電荷輸送層からなる積層構造の感光層が特に好ましい。
<支持体>
前記支持体としては、体積抵抗値が1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を、蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板及びそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。また、エンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも支持体として用いることができる。
その他、支持体上に導電性粉体を適当なバインダー樹脂に分散して塗工したものについても、前記支持体として用いることができる。
この導電性粉体としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック;アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀等の金属粉;導電性酸化スズ、ITO等の金属酸化物粉体、などが挙げられる。
前記バインダー樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記導電性層は、前記導電性粉体と前記バインダー樹脂を溶剤に分散させた塗布液を塗布することにより形成することができる。前記溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエン、などが挙げられる。
更に、円筒基体上に、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、ポリテトラフロロエチレン系フッ素樹脂などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、前記支持体として良好に用いることができる。
<感光層>
まず、積層構造の感光層について説明する。
前記積層構造の感光層は、電荷発生層、及び電荷輸送層が順次積層されることによって構成されている。
<<電荷発生層>>
前記電荷発生層は、電荷発生材料を少なくとも含有し、バインダー樹脂を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
−電荷発生材料−
前記電荷発生材料としては、元素分析による塩素原子含有量が、0.0015質量%以下である本発明の前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を用いる。
前記電荷発生材料は、本発明の前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶と、従来公知の電荷発生材料を混合して用いてもよい。前記従来公知の電荷発生材料としては、例えば、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、非対称ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料等のアゾ顔料、チタニルフタロシアニン、銅フタロシアニン、バナジルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、インジゴ顔料、ピロロピロール顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクエアリウム顔料、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−バインダー樹脂−
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルベンザール樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、セルロース系樹脂、カゼイン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記バインダー樹脂の含有量は、前記電荷発生材料100質量部に対して、500質量部以下が好ましく、10質量部〜300質量部がより好ましい。
前記電荷発生層は、前記電荷発生材料を、必要に応じて前記バインダー樹脂とともに溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などの分散方法を用いて溶解乃至分散した電荷発生層塗布液を、前記支持体上、もしくは下引き層や中間層上に塗布し、乾燥することにより形成することができる。なお、前記バインダー樹脂の添加は、電荷発生材料の分散前、又は分散後のどちらでも構わない。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒が特に好ましい。
前記電荷発生層塗布液は、前記電荷発生材料を含み、好ましくは溶媒及びバインダー樹脂含有するが、必要に応じて増感剤、分散剤、界面活性剤、シリコーンオイル等のいかなる添加剤が含まれていてもよい。
前記電荷発生層塗布液を用いて電荷発生層を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法、ノズルコート法、スピナーコート法、リングコート法、などが挙げられる。
前記電荷発生層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01μm〜5μmが好ましく、0.1μm〜2μmがより好ましい。塗工後には、オーブン等で加熱乾燥される。前記電荷発生層の乾燥温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃以上160℃以下が好ましい。
<<電荷輸送層>>
前記電荷輸送層は、電荷輸送材料及びバインダー樹脂を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
−電荷輸送層−
前記電荷輸送材料としては、正孔輸送材料と電子輸送材料とがある。
前記正孔輸送材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール又はその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメート又はその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物又はその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジエン誘導体、ピレン誘導体、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電子輸送材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電荷輸送材料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、バインダー樹脂100質量部に対して、20質量部〜300質量部が好ましく、40質量部〜150質量部がより好ましい。
−バインダー樹脂−
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電荷輸送層は、前記電荷輸送材料及び前記バインダー樹脂を溶剤に溶解乃至分散した電荷輸送層塗布液を、電荷発生層上、支持体上、又は下引き層上に塗布し、乾燥することにより形成される。前記電荷輸送層塗布液には、必要に応じて、可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤、滑剤等の添加剤を添加してもよい。
前記溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環境への負荷低減等の意図から、非ハロゲン系溶媒が好ましく、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン等の環状エーテル;トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、又はそれらの誘導体が特に好ましい。
前記塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法、ノズルコート法、スピナーコート法、リングコート法、などが挙げられる。これらの中でも、電荷輸送層はある程度厚みを厚くする必要がある点から、浸漬塗工法が好ましい。
形成後の電荷輸送層は、オーブン等の加熱手段により加熱乾燥される。乾燥温度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、80℃〜200℃が好ましく、110℃〜170℃がより好ましい。乾燥時間は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10分間以上が好ましく、20分間以上がより好ましい。
前記電荷輸送層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、解像度及び応答性の点から、10μm〜50μmが好ましく、15μm〜35μmがより好ましい。
<単層構造の感光層>
前記単層構造の感光層は、電荷発生材料及び電荷輸送材料をバインダー樹脂中に分散乃至溶解させ、電荷発生機能、及び電荷輸送機能を一つの層で実現した感光層である。
前記電荷発生材料としては、元素分析による塩素原子含有量が、0.0015質量%以下である本発明の前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を用いる。
前記単層構造の感光層に用いられる電荷輸送材料、バインダー樹脂、溶剤及び各種添加剤等については、前記電荷発生層及び前記電荷輸送層に含有されるいずれの材料をも使用することが可能である。
前記電荷輸送材料としては、前記正孔輸送物質と前記電子輸送物質の双方が含有されることが好ましい。必要に応じて可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
前記バインダー樹脂としては、前記電荷輸送層で挙げたバインダー樹脂のほかに、前記電荷発生層で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。前記バインダー樹脂100質量部に対する電荷発生材料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5質量部〜40質量部が好ましく、10質量部〜30質量部がより好ましい。前記電荷輸送材料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0質量部〜190質量部が好ましく、50質量部〜150質量部がより好ましい。
前記単層構造の感光層は、前記電荷発生材料、前記電荷輸送材料、及び前記バインダー樹脂をテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン等の溶剤に溶解乃至分散した塗布液を浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法、リングコート法等の方法を用いて塗工することにより形成できる。
前記単層構造の感光層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm〜40μmが好ましく、10μm〜30μmがより好ましい。
<<下引き層>>
本発明の電子写真感光体においては、前記支持体と前記感光層の間に、下引き層を設けることができる。
前記下引き層は、樹脂を主成分とする。前記樹脂としては、前記下引き層上に溶剤を用いて感光層を塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対する耐溶剤性が高い樹脂であることが好ましい。前記樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂;共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂;ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、イソシアネート、エポキシ樹脂等の三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。
前記下引き層は、モアレ防止、残留電位の低減等のために、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物の微粉末顔料を含有してもよい。
前記下引き層は、更に必要に応じて、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を含有してもよい。
前記下引き層は、前記電荷発生層及び前記電荷輸送層と同様に、溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。
<<保護層>>
本発明の電子写真感光体においては、最表面に耐摩耗性向上のために、保護層を設けることができる。前記保護層としては、電荷輸送成分とバインダー成分とを重合させた高分子電荷輸送材料型、フィラーを含有させたフィラー分散型、反応性官能基を有する構成材料を硬化させた硬化型、などがある。
<<中間層>>
本発明の電子写真感光体においては、必要に応じて前記支持体上に、中間層を設けてもよい。前記中間層は樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが好ましい。前記樹脂としては、前記下引き層と同様のものを適宜選択して用いることができる。
前記電子写真感光体においては、耐環境性の改善のため、特に、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、電荷発生層、電荷輸送層、単層構造の感光層、下引き層、保護層等の各層に酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送材料、レベリング剤などを添加することができる。
ここで、前記電子写真感光体の層構成について、図面を参照して説明する。
本発明の電子写真感光体201は、図1に示すように、支持体202上に、電荷発生材料として元素分析による塩素原子含有量が、0.0015質量%以下である本発明の前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を含む電荷発生層203と、電荷輸送材料を含有する電荷輸送層204が積層された構造をなしている。
また、本発明の電子写真感光体201は、図2に示すように、支持体202と、電荷発生層203との間に、下引き層206、あるいは中間層を形成してもよい。
また、本発明の電子写真感光体201は、図3に示すように、電荷輸送層204の上に保護層205を形成してもよい。
更に、本発明の電子写真感光体201は、図4に示すように、支持体202上に、電荷発生材料として元素分析による塩素原子含有量が、0.0015質量%以下である本発明の前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶と、電荷輸送材料を含む単層構造の感光層207を有する層構成であってもよい。
<プロセスカートリッジ>
本発明で用いられるプロセスカートリッジは、電子写真感光体と、該電子写真感光体上に形成した静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段と、帯電手段、クリーニング手段、転写手段、及び除電手段から選択される少なくとも1つの手段とを有し、画像形成装置本体に着脱可能であり、
前記電子写真感光体としては、本発明の前記電子写真感光体が用いられる。
前記プロセスカートリッジとは、本発明の前記電子写真感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、及び除電手段の少なくとも1つの手段を具備し、画像形成装置に着脱可能とした装置(部品)である。
ここで、図5に、本発明で用いられるプロセスカートリッジの一例を示す。
前記プロセスカートリッジは、例えば、図5に示すように、電子写真感光体101を内蔵し、帯電手段112、現像手段114、転写手段118、クリーニング手段123を有している。図5中、113は露光手段からの露光、117は記録媒体をそれぞれ示す。前記電子写真感光体101としては、本発明の前記電子写真感光体が用いられる。
次に、図5に示すプロセスカートリッジによる画像形成プロセスについて示すと、電子写真感光体101は、回転しながら、帯電手段112による帯電、露光手段(不図示)による露光113により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像手段114でトナーにより現像され、得られたトナー像は転写手段118により、記録媒体117に転写され、プリントアウトされる。次いで、転写後の電子写真感光体101表面は、クリーニング手段123によりクリーニングされ、更に除電手段(不図示)により除電されて、再び、以上の操作を繰り返すものである。
<画像形成装置及び画像形成方法>
本発明で用いられる画像形成装置は、電子写真感光体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段を有してなる。
前記電子写真感光体としては、本発明の前記電子写真感光体を用いる。
本発明で用いられる画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程を少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程を含んでなる。
本発明で用いられる画像形成方法は、本発明で用いられる画像形成装置により好適に実施することができ、前記静電潜像形成工程は前記静電潜像形成手段により行うことができ、前記現像工程は前記現像手段により行うことができ、前記転写工程は前記転写手段により行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
<静電潜像形成工程及び静電潜像形成手段>
前記静電潜像形成工程は、電子写真感光体上に静電潜像を形成する工程である。
前記電子写真感光体(「静電潜像担持体」、「感光体」と称することがある)としては、本発明の前記電子写真感光体が用いられる。
前記静電潜像の形成は、例えば前記電子写真感光体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段により行うことができる。
前記静電潜像形成手段は、例えば、前記電子写真感光体の表面を一様に帯電させる帯電器と、前記電子写真感光体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
前記帯電は、例えば、前記帯電器を用いて前記電子写真感光体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のローラ、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、などが挙げられる。
前記帯電手段の形状としてはローラの他にも、磁気ブラシ、ファーブラシ等のどのような形態をとってもよく、画像形成装置の仕様や形態にあわせて選択可能である。磁気ブラシを用いる場合、磁気ブラシは、例えば、Zn−Cuフェライト等、各種フェライト粒子を帯電手段として用い、これを支持させるための非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットロールによって構成される。又はブラシを用いる場合、例えば、ファーブラシの材質としては、カーボン、硫化銅、金属又は金属酸化物により導電処理されたファーを用い、これを金属や他の導電処理された芯金に巻き付けたり張り付けたりすることで帯電器とする。
前記帯電器は、上記のような接触式の帯電器に限定されるものではないが、帯電器から発生するオゾンが低減された画像形成装置が得られるので、接触式の帯電器を用いることが好ましい。
前記露光は、例えば、前記露光器を用いて前記電子写真感光体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記電子写真感光体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記電子写真感光体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
<現像工程及び現像手段>
前記現像工程は、前記静電潜像を、前記トナー乃至現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、前記トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に該トナー乃至該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
前記現像器は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記電子写真感光体近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって前記電子写真感光体の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて前記電子写真感光体の表面に該トナーによる可視像が形成される。
前記現像器に収容させる現像剤は、前記トナーを含む現像剤であるが、該現像剤としては一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。
<転写工程及び転写手段>
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記電子写真感光体を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト、などが好適に挙げられる。
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記電子写真感光体上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、などが挙げられる。
なお、記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベース等も用いることができる。
<その他の工程及びその他の手段>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、定着工程、除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程、などが挙げられる。
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、定着手段、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段、などが挙げられる。
−定着工程及び定着手段−
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着手段を用いて定着させる工程であり、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組み合わせ、などが挙げられる。
前記加熱加圧手段における加熱は、通常、80℃〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
−除電工程及び除電手段−
前記除電工程は、前記電子写真感光体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記電子写真感光体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
−クリーニング工程及びクリーニング手段−
前記クリーニング工程は、前記電子写真感光体上に残留する前記トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記電子写真感光体上に残留する前記トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ、などが挙げられる。
−リサイクル工程及びリサイクル手段−
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段、などが挙げられる。
−制御工程及び制御手段−
前記制御工程は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
次に、図面を用いて本発明で用いられる画像形成方法及び画像形成装置について詳しく説明する。
図6は、本発明で用いられる画像形成装置の一例を示す概略図である。
この図6の画像形成装置において、電子写真感光体1はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。
帯電ローラ12、転写チャージャ18、及び分離チャージャ19としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャ)以外にも、ローラ状の帯電手段、又はブラシ状の帯電手段、などが挙げられる。
帯電手段は、コロナ帯電等の非接触帯電方式、ローラ又はブラシを用いた帯電手段による接触帯電方式が一般的であり、本発明においてはいずれも有効に使用することが可能である。これらの中でも、帯電ローラ12は、コロトロン、スコロトロン等に比べてオゾンの発生量を大幅に低減することが可能であり、感光体の繰り返し使用時における安定性や画質劣化防止に有効である。
しかし、電子写真感光体1と帯電ローラ12とが接触していることにより、繰り返し使用によって帯電ローラが汚染され、それが感光体に影響を及ぼし異常画像の発生や耐摩耗性の低下等を助長する原因となっている。特に、耐摩耗性の高い感光体を用いる場合、表面の摩耗によるリフェイスがしにくいことから、帯電ローラの汚染を軽減させる必要がある。
そこで、図7に示すように、帯電ローラ12の両端部にギャップ形成部材12aを設け、感光体1に対してギャップを介して近接配置させることによって、汚染物質が帯電ローラ12に付着しにくく、あるいは除去しやすくなり、それらの影響を軽減することが可能である。
この場合、電子写真感光体1と帯電ローラ12とのギャップは小さい方が好ましい。前記ギャップは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。
しかし、前記帯電ローラを非接触とすることによって、放電が不均一になり、感光体の帯電が不安定になる場合がある。このような問題は、直流成分に交流成分を重畳させることによって帯電の安定性を維持し、これによりオゾンの影響、帯電ローラの汚染の影響及び帯電性の影響を同時に軽減することが可能となる。
図6に示す露光手段13、除電ランプ11等の光源には、例えば、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)等の発光物全般を用いることができる。これらの中でも、半導体レーザー(LD)、発光ダイオード(LED)が好ましい。
所望の波長域の光のみを照射するために、例えば、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルター等の各種フィルターを用いることもできる。
光源等は、光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、又は前露光工程などの工程を設けることにより、電子写真感光体1に光が照射される。ただし、除電工程における電子写真感光体1への露光は、電子写真感光体1に与える疲労の影響が大きく、特に帯電低下や残留電位の上昇を引き起こす場合がある。したがって、露光による除電ではなく、帯電工程やクリーニング工程において逆バイアスを印加することによっても除電することが可能な場合もあり、感光体の高耐久化の面から有効な場合がある。
電子写真感光体1に正(負)帯電を施し、画像露光を行うと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。前記現像手段には、公知の方法が適用される。また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
転写手段には、一般に前述の帯電器を使用することができるが、図6に示すように、転写チャージャ18と、分離チャージャ19とを併用したものが効果的である。
また、このような転写手段を用いて、電子写真感光体1からトナー像を紙に直接転写するが、本発明においては感光体上のトナー像を一度中間転写体に転写し、その後中間転写体から紙に転写する中間転写方式であることが感光体の高耐久化及び高画質化の点からより好ましい。
感光体表面に付着する汚染物質の中でも帯電によって生成する放電物質やトナー中に含まれる外添剤等は、湿度の影響を拾いやすく異常画像の原因となっている。このような異常画像の原因物質には、紙粉もその一つであり、それらが感光体に付着することによって、異常画像が発生しやすくなるだけでなく、耐摩耗性を低下させたり、偏摩耗を引き起こしたりする傾向が見られる。したがって、上記の理由により感光体と紙とが直接接触しない構成であることが高画質化の点からより好ましい。
また、中間転写方式は、フルカラー印刷が可能な画像形成装置に特に有効であり、複数のトナー像を一度中間転写体上に形成した後に紙に一度に転写することによって、色ズレの防止の制御もしやすく高画質化に対しても有効である。しかし、中間転写方式は、一枚のフルカラー画像を得るのに4回のスキャンが必要となるため、感光体の耐久性が大きな問題となる。感光体は、ドラムヒーターなしでも画像ボケが発生しにくいことから中間転写方式の画像形成装置に組み合わせて用いることが容易であり、特に有効かつ有用である。中間転写体には、ドラム状やベルト状など種々の材質あるいは形状のものがあるが、本発明においては、従来公知である中間転写体のいずれも使用することが可能であり、感光体の高耐久化又は高画質化に対して有効かつ有用である。
図6に示す現像手段14により、電子写真感光体1上に現像されたトナーは、記録媒体17に転写されるが、すべてが転写されるわけではなく、電子写真感光体1上に残存するトナーも生ずる。
このような残存トナーは、クリーニングブラシ22、又はクリーニングブレード23により、電子写真感光体1から除去される。前記クリーニング工程は、クリーニングブラシだけで行われたり、クリーニングブレードと併用して行われることもあり、クリーニングブラシとしては、ファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
前記クリーニング工程は、前述のとおり転写後に電子写真感光体1上に残ったトナー等を除く工程であるが、前記クリーニングブレード23、あるいはクリーニングブラシ22等によって電子写真感光体1が繰り返し擦られることにより、電子写真感光体1の摩耗が促進されたり、傷が入ったりすることによって異常画像が発生することがある。
また、クリーニング不良によって感光体の表面が汚染されると異常画像の発生の原因となるだけでなく、感光体の寿命を大幅に低減させることにつながる。特に、耐摩耗性の向上のために最表面層として保護層を設けた電子写真感光体の場合には、感光体表面に付着した汚染物質が除去されにくいことから、フィルミングや異常画像の発生を助長することになる。したがって、電子写真感光体1のクリーニング性を高めることは感光体の高耐久化及び高画質化に対し非常に有効である。
電子写真感光体1のクリーニング性を高める手段としては、感光体表面の摩擦係数を低減させる方法が知られている。感光体表面の摩擦係数を低減させる方法としては、各種の潤滑性物質を感光体表面に含有させる方法と、外部より感光体表面に潤滑性物質を供給させる方法とに分類される。前者はエンジン廻りのレイアウトの自由度が高いため、小径感光体には有利であるが、繰り返し使用によって摩擦係数は顕著に増加するため、その持続性に課題が残されている。一方、後者は潤滑性物質を供給する部品を備える必要があるが、摩擦係数の安定性は高いことから感光体の高耐久化に対しては有効である。その中で、潤滑性物質を現像剤に含有させることによって現像時に感光体に付着させる方法は、エンジン廻りのレイアウトにも制約を受けずに、感光体表面の摩擦係数低減効果の持続性も高いため、感光体の高耐久化、及び高画質化に対しては非常に有効な手段である。
前記潤滑性物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーンオイル、フッ素オイル等の潤滑性液体;PTFE、PFA、PVDF等の各種フッ素含有樹脂;シリコーン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シリコーングリース、フッ素グリース、パラフィンワックス、脂肪酸エステル類、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩;黒鉛、二硫化モリブデン、などが挙げられる。これらの中でも、粉末状でトナーに含有するのに適し、悪影響もない点から、ステアリン酸亜鉛が特に好ましい。
前記ステアリン酸亜鉛粉末の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナーに対して0.01質量%〜0.5質量%が好ましく、0.1質量%〜0.3質量%がより好ましい。
本発明の電子写真感光体は、高光感度及び高安定化を実現できることから小径感光体に適用できる。前記感光体がより有効に用いられる画像形成装置、又はその方式としては、複数色のトナーに対応した各々の現像部に対して、対応した複数の電子写真感光体を具備し、それによって並列処理を行う、いわゆるタンデム方式の画像形成装置に極めて有効に使用される。前記タンデム方式の画像形成装置は、フルカラー印刷に必要とされるイエロー(C)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の少なくとも4色のトナー及びそれらを保持する現像部を配置し、更にそれらに対応した少なくとも4つの電子写真感光体を具備することによって、従来のフルカラー印刷が可能な画像形成装置に比べて極めて高速なフルカラー印刷を可能としている。
ここで、図8は、本発明で用いられるタンデム方式のフルカラー電子写真装置の一例を示す概略図である。
図8において、感光体1C(シアン)、1M(マゼンタ)、1Y(イエロー)、1K(ブラック)は、ドラム状の感光体であり、これらの感光体1C,1M,1Y,1Kは、図8中の矢印方向に回転し、その周りに少なくとも回転順に帯電手段12C,12M,12Y,12K、現像手段14C,14M,14Y,14K、クリーニング手段15C,15M,15Y,15Kが配置されている。
帯電手段12C,12M,12Y,12Kは、感光体1の表面を均一に帯電するための帯電手段を構成する。これらの帯電手段12C,12M,12Y,12Kと、現像手段14C,14M,14Y,14Kとの間の感光体の裏面側より、図示しない露光手段からのレーザー光13C,13M,13Y,13Kが照射され、感光体1C,1M,1Y,1Kに静電潜像が形成されるようになっている。
そして、このような感光体1C,1M,1Y,1Kを中心とした4つの画像形成要素10C,10M,10Y,10Kが、記録媒体搬送手段である搬送ベルト25に沿って並置されている。搬送ベルト25は、各画像形成ユニット(要素)10C,10M,10Y,10Kの現像手段14C,14M,14Y,14Kと、クリーニング手段15C,15M,15Y,15Kとの間で感光体1C,1M,1Y,1Kに当接しており、搬送ベルト25の感光体側の裏側に当たる面(裏面)には転写バイアスを印加するための転写ブラシ26C,26M,26Y,26Kが配置されている。各画像形成要素10C,10M,10Y,10Kは現像手段内部のトナーの色が異なることであり、その他は全て同様の構成となっている。
図8に示す構成のカラー電子写真方式の画像形成装置において、画像形成動作は次のようにして行われる。まず、各画像形成要素10C,10M,10Y,10Kにおいて、感光体1C,1M,1Y,1Kが、矢印方向(感光体と連れ周り方向)に回転する帯電手段12C,12M,12Y,12Kにより帯電され、次に、感光体の外側に配置された露光手段(不図示)でレーザー光13C,13M,13Y,13Kにより、作成する各色の画像に対応した静電潜像が形成される。
次に、現像手段14C,14M,14Y,14Kにより潜像を現像してトナー像が形成される。現像手段14C,14M,14Y,14Kは、それぞれC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)のトナーで現像を行う現像手段で、4つの感光体1C,1M,1Y,1K上で作られた各色のトナー像は記録媒体上で重ねられる。記録媒体17は給紙コロ24によりトレイから送り出され、一対のレジストローラ16で一旦停止し、前記感光体上への画像形成とタイミングを合わせて転写搬送ベルト25に送られる。搬送ベルト25上に保持された記録媒体17は搬送されて、各感光体1C,1M,1Y,1Kとの当接位置(転写部)で各色トナー像の転写が行われる。
感光体上のトナー像は、転写ブラシ26C,26M,26Y,26Kに印加された転写バイアスと感光体1C,1M,1Y,1Kとの電位差から形成される電界により、記録媒体17上に転写される。そして、4つの転写部を通過して4色のトナー像が重ねられた記録媒体17は、定着手段27に搬送され、トナーが定着されて、図示しない排紙部に排紙される。また、転写手段で転写されずに各感光体1C,1M,1Y,1K上に残った残留トナーは、クリーニング手段15C,15M,15Y,15Kで回収される。
なお、図8では、画像形成要素は記録媒体搬送方向上流側から下流側に向けて、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の色の順で並んでいるが、この順番に限るものではなく、色順は任意に設定されるものである。また、黒色のみの原稿を作成する際には、黒色以外の画像形成要素10C,10M,10Yが停止するような機構を設けることが本発明においては特に有効である。
更に、図8において帯電手段は感光体と当接しているが、図7に示したような帯電機構にすることにより、両者の間に適当なギャップ(10μm〜200μm程度)を設けることができ、両者の摩耗量が低減できると共に、帯電手段へのトナーフィルミングが少なくて済む点から好ましい。
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形態でそれら装置内に組み込まれてもよい。
前記タンデム方式による画像形成装置は、複数のトナー像を一度に転写できるため高速フルカラー印刷が実現される。しかし、感光体が少なくとも4つを必要とすることから、画像形成装置の大型化が避けられず、また使用されるトナー量によっては、各々の感光体の摩耗量に差が生じ、それによって色の再現性が低下したり、異常画像が発生したりするなど多くの課題を有していた。
これに対し、本発明の電子写真感光体は、高光感度及び高安定化が実現できることにより小径の感光体でも適用可能であり、かつ残留電位上昇、感度劣化等の影響が低減されたことから、4つの感光体の使用量が異なっていても、残留電位、感度の繰り返し使用経時における差が小さく、長期間繰り返し使用しても色再現性に優れたフルカラー画像を得ることが可能となる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
脱水ジメチルスルフォキシド100質量部に1,3−ジイミノイソインドリン(東京化成工業株式会社製)1.7質量部(0.012モル)、トリスアセチルアセトナートガリウム(ヤマナカヒューテック株式会社製)1.0質量部(0.0027モル)を加え、アルゴン(Ar)気流下にて130℃、12時間反応させた後、生成した結晶を濾別した。得られたウェットケーキをメチルエチルケトン及びN,N−ジメチルホルムアミドで洗浄した後、乾燥することで0.8質量部(48.3質量%)のガリウムフタロシアニン結晶を得た。
得られたガリウムフタロシアニン結晶について、以下の分析を行った。
ポジティブモードでのレーザー脱離イオン化飛行時間型質量スペクトル(autoflex speed ブルカー・ダルトニクス株式会社製、以下、「LDI−TOF−MS(ポジティブ)」という。)により、m/z:598.07(理論値は599.078:C3217GaNOとして)を認めた。また、ヤナコ分析工業株式会社製 CHNコーダーMT−5型を用いて、元素分析を行った。結果を表1に示した。
また、塩素原子含有量は、試料を直接ボートに0.001mgまで精秤し、分析装置内の燃焼管内で燃焼させ、発生したガスを溶液に吸収後、吸収液の一部をイオンクロマト法により分析した。結果を表1に示した。なお、燃焼及び吸収条件、イオンクロマトグラフィー及びアニオン分析条件は以下の通りであった。この方法による塩素原子の定量下限は0.0010質量%である。
<燃焼及び吸収条件>
・システム:AQF−100、GA−100(三菱化学アナリテック株式会社製)
・電気炉温度:Inlet 900℃、Outlet 1,000℃
・ガス:Ar/O 200mL/分、O 400mL/分
・吸収液:H 90ppm、内標P 1ppm
・吸収液量:10mL
<イオンクロマトグラフィー及びアニオン分析条件>
・システム:ICS1500(DIONEX株式会社製)
・移動相:2.7mmol/L NaCO/0.3mmol/L NaHCO
・流速:1.50mL/min
・検出器:電気伝導検出器
・注入量:100μL
これらの結果より、得られた結晶がヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶であることを確認した。
更に、得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折スペクトルを以下に示す条件で測定した。粉末X線回折スペクトルを図9に示した。
・測定装置:株式会社リガク製 RINT−TTRIII型広角X線回折装置
・X線管球:Cu(波長1.54Å)
・電圧:50kV
・電流:30mA
・走査速度:2deg/min
・走査範囲:2deg〜35deg
・時定数:2sec
得られた図9の粉末X線回折スペクトルから、ブラッグ角(2θ±0.3°)のうちの7.4°、9.9°、16.1°、18.4°、25.0°、28.2°に強い回折ピークを示すヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶が得られたことを確認できた。
(実施例2)
脱水ジメチルスルフォキシド100質量部に1,3−ジイミノイソインドリン(東京化成工業株式会社製)1.7質量部(0.012モル)、及びトリスアセチルアセトナートガリウム(ヤマナカヒューテック株式会社製)1.0質量部(0.0027モル)を加え、アルゴン(Ar)気流下にて150℃、12時間反応させた後、生成した結晶を濾別した。得られたウェットケーキをメチルエチルケトン及びN,N−ジメチルホルムアミドで洗浄した後、乾燥することで1.0質量部(61.3質量%)のガリウムフタロシアニン結晶を得た。
得られたガリウムフタロシアニン結晶について、実施例1と同様にして、LDI−TOFMS(ポジティブ)により、m/z:598.07(理論値は599.078:C3217GaNOとして)を認めた。更に、実施例1と同様にして、元素分析、及び塩素原子含有量の測定を行った。結果を表2に示した。
これらの結果より、得られた結晶がヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶であることを確認した。
更に、このヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折スペクトルを実施例1と同様にして測定したところ、実施例1と同様の回折ピークを示すことが確認できた。
(実施例3)
脱水ジメチルスルフォキシド100質量部に1,3−ジイミノイソインドリン(東京化成工業株式会社製)2.4質量部(0.017モル)、トリスジピバロイルメタナートガリウム(ヤマナカヒューテック株式会社製)2.5質量部(0.0040モル)を加え、アルゴン(Ar)気流下にて130℃、12時間反応させた後、生成した結晶を濾別した。得られたウェットケーキをメチルエチルケトン及びN,N−ジメチルホルムアミドで洗浄した後、乾燥することで1.0質量部(43.4質量%)のガリウムフタロシアニン結晶を得た。
得られたガリウムフタロシアニン結晶について、実施例1と同様にして、LDI−TOFMS(ポジティブ)により、m/z:598.07(理論値は599.078:C3217GaNOとして)を認めた。更に、実施例1と同様にして、元素分析、及び塩素原子含有量の測定を行った。結果を表3に示した。
これらの結果より、得られた結晶がヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶であることを確認した。
更に、このヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折スペクトルを実施例1と同様にして測定したところ、実施例1と同様の回折ピークを示すことが確認できた。
(実施例4)
脱水ジメチルスルフォキシド100質量部に1,3−ジイミノイソインドリン(東京化成工業株式会社製)2.4質量部(0.017モル)、及びトリスジピバロイルメタナートガリウム(ヤマナカヒューテック株式会社製)2.5質量部(0.0040モル)を加え、アルゴン(Ar)気流下にて150℃、12時間反応させた後、生成した結晶を濾別した。得られたウェットケーキをメチルエチルケトン、及びN,N−ジメチルホルムアミドで洗浄した後、乾燥することで1.1質量部(45.9質量%)のガリウムフタロシアニン結晶を得た。
得られたガリウムフタロシアニン結晶について、実施例1と同様にして、LDI−TOFMS(ポジティブ)により、m/z:598.07(理論値は599.078:C3217GaNOとして)を認めた。更に、実施例1と同様にして、元素分析、及び塩素原子含有量の測定を行った。結果を表4に示した。
これらの結果より、得られた結晶がヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶であることを確認した。
更に、このヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折スペクトルを実施例1と同様にして測定したところ、実施例1と同様の回折ピークを示すことが確認できた。
(実施例5)
脱水ジメチルホルムアミド100質量部に1,3−ジイミノイソインドリン(東京化成工業株式会社製)2.4質量部(0.017モル)、トリスジピバロイルメタナートガリウム(ヤマナカヒューテック株式会社製)2.5質量部(0.0040モル)を加え、アルゴン(Ar)気流下にて130℃、12時間反応させた後、生成した結晶を濾別した。得られたウェットケーキをメチルエチルケトン及びN,N−ジメチルホルムアミドで洗浄した後、乾燥することで1.1質量部(45.9質量%)のガリウムフタロシアニン結晶を得た。
得られたガリウムフタロシアニン結晶について、実施例1と同様にして、LDI−TOFMS(ポジティブ)により、m/z:598.07(理論値は599.078:C3217GaNOとして)を認めた。更に、実施例1と同様にして、元素分析、及び塩素原子含有量の測定を行った。結果を表5に示した。
これらの結果より、得られた結晶がヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶であることを確認した。
更に、このヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折スペクトルを実施例1と同様にして測定したところ、実施例1と同様の回折ピークを示すことが確認できた。
(実施例6)
−結晶型調整処理−
実施例1のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶1質量部、直径1mmのガラスビーズ40質量部、及びジメチルホルムアミド20質量部をサンプル瓶に量りいれ、24時間ボールミルで分散させた後、生成した結晶を濾別した。得られたウェットケーキをメチルエチルケトン及びイオン交換水で洗浄した後、乾燥した。以上により、実施例6のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を得た。
得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶について、実施例1と同様にして、塩素原子含有量の測定を行ったところ、<0.0010質量%であった。
更に、このヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折スペクトルを実施例1と同様にして測定したところ、実施例1と同様の回折ピークを示すことが確認できた。
(実施例7)
−結晶型調整処理−
実施例6において、実施例1のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を実施例5のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶に代えた以外は、実施例6と同様にして、実施例7のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を得た。
得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶について、実施例1と同様にして、塩素原子含有量の測定を行ったところ、0.0013質量%であった。
更に、このヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折スペクトルを実施例1と同様にして測定したところ、実施例1と同様の回折ピークを示すことが確認できた。
(比較例1)
<ヒドロキシガリウムフタロシアニンの合成>
(1)クロロガリウムフタロシアニンの合成
脱水ジメチルスルフォキシド200質量部に1,3−ジイミノイソインドリン(東京化成工業株式会社製)30質量部、及び三塩化ガリウム8質量部を加え、アルゴン(Ar)気流下にて150℃、12時間反応させた後、生成したクロロガリウムフタロシアニンを濾別した。得られたウェットケーキをメチルエチルケトン及びN,N−ジメチルホルムアミドで洗浄した後、乾燥することで22質量部(70.3質量%)のクロロガリウムフタロシアニン結晶を得た。
(2)クロロガリウムフタロシアニンのアシッドペースト
次に、得られたクロロガリウムフタロシアニン5質量部を氷冷した濃硫酸150質量部に溶解し、この硫酸溶液を氷冷したイオン交換水500質量部に徐々に滴下することでヒドロキシガリウムフタロシアニンの結晶を析出させた。生成した結晶を濾別した後、得られたウェットケーキを2質量%のアンモニア水500質量部で洗浄し、その後、イオン交換水で十分に洗浄を行った。乾燥することで4.6質量部のガリウムフタロシアニン結晶を得た。
得られたガリウムフタロシアニン結晶について、実施例1と同様にして、LDI−TOFMS(ポジティブ)により、m/z:598.07(理論値は599.078:C3217GaNOとして)を認めた。更に、実施例1と同様にして、元素分析、及び塩素原子含有量の測定を行った。結果を表6に示した。
これらの結果より、得られた結晶は本発明で規定している塩素原子含有量を満たさないヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶であることを確認した。
次に、得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶について、実施例1と同様にして、粉末X線回折スペクトルを測定した。粉末X線回折スペクトルを図10に示した。
図10の粉末X線回折スペクトルより、ブラッグ角(2θ±0.3°)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、及び28.3°に主たる回折ピークを示すヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶が得られたことを確認した。
(比較例2)
比較例2として、Y型チタニルフタロシアニン(東洋インキ製造工業株式会社製、リオフォトン−TOPA)を用意した。
このY型チタニルフタロシアニンについて、実施例1と同様にして、塩素原子含有量の測定を行ったところ、0.0022質量%であった。
次に、得られたY型チタニルフタロシアニンについて、実施例1と同様にして、粉末X線回折スペクトルを測定した。粉末X線回折スペクトルを図11に示した。
図11の粉末X線回折スペクトルより、ブラッグ角(2θ±0.3°)9.5°、及び27.2°に主たる回折ピークを示すことを確認した。
(実施例8)
<電子写真感光体の作製>
支持体として、厚み2mmのアルミニウム板上(電子写真特性評価用)、及び長さ380mm、直径100mmアルミニウムシリンダー上(実機評価用)に、それぞれ、下記組成の中間層塗布液を用いて塗布後、130℃で20分間乾燥を行い、厚み3.5μmの中間層を形成した。
次に、下記組成の電荷発生層塗布液を直径2mmのジルコニアボールとともに振動ミル分散を6時間行い、調製した電荷発生層塗布液を前記中間層上に塗布した後、100℃で30分間乾燥を行い、厚み0.3μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記組成の電荷輸送層塗布液を前記電荷発生層上に塗布した後、130℃で20分間乾燥を行い、厚み35μmの電荷輸送層を形成した。以上により、実施例6の電子写真感光体を作製した。
なお、各塗布液の塗布は、ブレード塗布法(電子写真特性評価用)及び浸漬塗布法(実機評価用)で行った。
〔中間層塗布液の組成〕
・酸化チタン(CR−EL、石原産業株式会社製)・・・50質量部
・アルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50、固形分50質量%、DIC株式会社製)・・・15質量部
・メラミン樹脂(L−145−60、固形分60質量%、DIC株式会社製)・・・8質量部
・2−ブタノン・・・120質量部
〔電荷発生層塗布液の組成〕
・実施例1のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶・・・3質量部
・ポリビニルブチラール(XYHL、UCC社製)・・・2質量部
・メチルエチルケトン・・・150質量部
〔電荷輸送層塗布液の組成〕
・ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成株式会社製、パンライトTS−2050)・・・10質量部
・下記構造式で示される電荷輸送性化合物・・・7質量部
・テトラヒドロフラン・・・80質量部
・シリコーンオイル(KF50−100cs、信越化学工業株式会社製)・・・0.002質量部
(実施例9)
−電子写真感光体の作製−
実施例8において、電荷発生層塗布液中の実施例1のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を、実施例2のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶に代えた以外は、実施例8と同様にして、実施例9の電子写真感光体を作製した。
(実施例10)
−電子写真感光体の作製−
実施例8において、電荷発生層塗布液中の実施例1のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を、実施例3のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶に代えた以外は、実施例8と同様にして、実施例10の電子写真感光体を作製した。
(実施例11)
−電子写真感光体の作製−
実施例8において、電荷発生層塗布液中の実施例1のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を、実施例4のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶に代えた以外は、実施例8と同様にして、実施例11の電子写真感光体を作製した。
(実施例12)
−電子写真感光体の作製−
実施例8において、電荷発生層塗布液中の実施例1のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を、実施例5のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶に代えた以外は、実施例8と同様にして、実施例12の電子写真感光体を作製した。
(実施例13)
−電子写真感光体の作製−
実施例8において、電荷発生層塗布液中の実施例1のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を、実施例6のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶に代えた以外は、実施例8と同様にして、実施例13の電子写真感光体を作製した。
(実施例14)
−電子写真感光体の作製−
実施例8において、電荷発生層塗布液中の実施例1のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を、実施例7のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶に代えた以外は、実施例8と同様にして、実施例14の電子写真感光体を作製した。
(比較例3)
−電子写真感光体の作製−
実施例8において、電荷発生層塗布液中の実施例1のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を、比較例1のアシッドペースト法より得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶に代えた以外は、実施例8と同様にして、比較例3の電子写真感光体を作製した。
(比較例4)
−電子写真感光体の作製−
実施例8において、電荷発生層塗布液中の実施例1のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を、比較例2のY型チタニルフタロシアニン(東洋インキ製造工業株式会社製、リオフォトン−TOPA)に代えた以外は、実施例8と同様にして、比較例4の電子写真感光体を作製した。
次に、作製した実施例8〜14及び比較例3〜4の電子写真感光体について、以下のようにして、電子写真特性評価、及び実機評価を行った。
<電子写真特性の評価>
作製した実施例8〜14及び比較例3〜4の電子写真特性評価用の電子写真感光体を用いて、以下のようにして、電子写真特性を評価した。結果を表7に示した。
市販の静電気帯電試験装置(株式会社川口電機製作所製、EPA8100型)を用いて、暗所で−5kVのコロナ放電を20秒間行って帯電させた後、電子写真感光体の表面電位Vm(−V)を測定した。更に、20秒間暗所に放置した後、電子写真感光体表面での光量が5μW/cmの780nm単色光を30秒間照射した後、電子写真感光体の表面電位V30(−V)を測定した。また、感度としてV0(上記の単色光を照射する直前の電子写真感光体の表面電位)が半減するのに要する露光量をE1/2(μJ/cm)として測定した。なお、Vmは、大きい方が帯電性が良好であることを示す。V30は、小さい方が電子写真感光体特性が良好であることを示す。E1/2は、小さい方が電子写真感光体特性が良好であることを示す。
<実機評価>
作製した実施例8〜14及び比較例3〜4の実機評価用の電子写真感光体を、プロセスカートリッジに装着し、画像形成装置(RICOH Pro C900、株式会社リコー製、プロダクションプリンター)に搭載した。
試験時のプロセス条件としては未露光部の帯電電位が−800Vとなるように帯電手段への印加電圧を設定した。現像バイアスは−500Vに設定した。通紙条件としてはA4サイズ全面に対して、画像面積率が6%相当の文字が平均的に書かれているチャートを40万枚印刷した。
試験環境としては、常温常湿度環境(温度:23℃、相対湿度:55%)、高温高湿度環境(温度:30℃、相対湿度:80%)、及び低温低湿度環境(温度:10℃、相対湿度:15%)の3つの環境条件で、上記同様の印刷試験を行った。
画像評価は40万枚の画像印刷後において、未露光部の帯電電位が−700Vとなるように帯電手段への印加電圧を設定し、転写電流は90μAとなるように転写手段への印加電圧を設定し、図12に示す文字部とハーフトーン部が混在するA4サイズチャートを出力した。各試験環境での出力画像について、ハーフトーン部における残像の程度を以下のようにして評価した。結果を表8に示した。
<<出力画像のハーフトーン部における残像の程度>>
出力画像のハーフトーン部における残像の程度を、下記3段階で目視評価した。
〔評価基準〕
○:良好(出力画像全体において残像が発生していない)
△:やや劣る(出力画像の一部において残像が僅かに発生している)
×:劣る(出力画像全体において残像が発生している)
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 1,3−ジイミノイソインドリンと、トリスアセチルアセトナートガリウム及びトリスジピバロイルメタナートガリウムから選択される少なくとも1種とを有機溶媒中で反応させることを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法である。
<2> 前記1,3−ジイミノイソインドリンと、前記トリスジピバロイルメタナートガリウムとを有機溶媒中で反応させる前記<1>に記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法である。
<3> 前記トリスアセチルアセトナートガリウム及びトリスジピバロイルメタナートガリウムの少なくともいずれか1モルに対して、前記1,3−ジイミノイソインドリンを1モル〜10モル添加する前記<1>から<2>のいずれかに記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法である。
<4> 前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の結晶型調整処理を行うことを含む前記<1>から<3>のいずれかに記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法である。
<5> 酸及び塩基のいずれかを用いた加水分解を行わない前記<1>から<4>のいずれかに記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法である。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法により製造され、元素分析による塩素原子含有量が、0.0015質量%以下であることを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶である。
<7> 元素分析による塩素原子含有量が、0.0015質量%以下であることを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶である。
<8> 元素分析による塩素原子含有量が、0.0010質量%以下である前記<6>から<7>のいずれかに記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶である。
<9> 支持体と、該支持体上に少なくとも感光層を有してなり、前記感光層が前記<6>から<8>のいずれかに記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を含有することを特徴とする電子写真感光体である。
<10> 前記感光層が、電荷発生層及び電荷輸送層を有する積層構造である前記<9>に記載の電子写真感光体である。
1、1C、1M、1Y、1K 電子写真感光体
101 電子写真感光体
201 電子写真感光体
202 支持体
203 電荷発生層
204 電荷輸送層
205 保護層
206 下引き層
207 単層構造の感光層
特開平5−98181号公報 特開平5−263007号公報 特開平7−53892号公報 特開2009−62475号公報 特開2003−201414号公報 特許第4109865号公報 特開2008−174753号公報 特開平3−11358号公報

Claims (6)

  1. 1,3−ジイミノイソインドリンと、トリスアセチルアセトナートガリウム及びトリスジピバロイルメタナートガリウムから選択される少なくとも1種とを有機溶媒中で反応させ、酸及び塩基のいずれかを用いた加水分解を行わない、ことを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法。
  2. 1,3−ジイミノイソインドリンと、トリスジピバロイルメタナートガリウムとを有機溶媒中で反応させ、酸及び塩基のいずれかを用いた加水分解を行わない請求項1に記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法。
  3. 前記トリスアセチルアセトナートガリウム及びトリスジピバロイルメタナートガリウムの少なくともいずれか1モルに対して、前記1,3−ジイミノイソインドリンを1モル〜10モル添加する請求項1から2のいずれかに記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法。
  4. 前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の結晶型調整処理を行うことを含む請求項1から3のいずれかに記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法。
  5. 前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の元素分析による塩素原子含有量が、0.0015質量%以下である請求項1から4のいずれかに記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法。
  6. 前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の元素分析による塩素原子含有量が、0.0010質量%以下である請求項1から5のいずれかに記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法。
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