JP5957888B2 - 新規な結晶型を有するガリウムフタロシアニンダイマー結晶及びその製造方法 - Google Patents
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Description
これまで知られている良好な感度を示すフタロシアニン顔料としては、ε型銅フタロシアニン(特許文献6の特公昭51−1662号公報)、X型無金属フタロシアニン(特許文献7の米国特許第3,816,118号明細書)、τ型無金属フタロシアニン(特許文献8の特開昭58−182639号公報)、A(β)型チタニルフタロシアニン、B(α)型チタニルフタロシアニン、Y型チタニルフタロシアニン[非特許文献1のY.Fujimaki,Proc.IS&T’s7th International Congress on Advances in Non−Impact Printing Technologies,1,269]、II型クロロガリウムフタロシアニン(特許文献9の特開平5−98181号公報)、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン[特許文献10の特開平5−263007号公報、非特許文献2のk.Daimon,et al.:J.Imaging Sci.Technol.,40,249]、μ−オキソ−金属(Al、Ga、In)フタロシアニン二量体[非特許文献3の日本化学会誌(化学と工業化学)1997年、No.12、第887〜898頁、YAMASAKI Yasuhiroら]、μ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体(特許文献11の特開平9−217020号公報)、μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体(特許文献12の特許第3227094号公報)、μ−オキソ−アルミニウム/ガリウムフタロシアニン二量体(特許文献13の特許第4450911号公報)などが知られている。
これらのフタロシアニン顔料の分光波長域は近赤外域にまで達しており、前記半導体レーザー等の光源に対して極めて高感度を示すものである。しかしながら、上述のフタロシアニン顔料を電子写真感光体に用いた場合、感度的には充分であるものの、繰り返し疲労による帯電性の低下や、温度、湿度依存性が大きいこと、さらには長期間の繰り返し使用において残像といった異常画像が発生するなど実用上の多くの問題を残している。
我々は既に、特許文献14の特許第3973126号公報及び特許文献15の特開2001−1545382号公報により、μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体を使用する電化発生層について説明、提案しているが、これらの公報記載のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体は、CuKα線によるX線回析スペクトルにおけるBragg角(2θ±0.2°)の7.4°、9.9°、12.5°、12.9°、16.1°、18.5°、21.9°、22.2°、24.0°、25.1°,25.8°に回析ピーク有するものである。
(1)「CuKα線によるX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.3°)6.9°、15.5°に主たる回折ピークを示すガリウムフタロシアニンダイマー結晶」。
(2)「CuKα線によるX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.3°)6.9°、9.8°、15.5°、23.0°、23.8°に主たる回折ピークを示すことを特徴とする前記(1)項記載のガリウムフタロシアニンダイマー結晶」。
(3)「下記一般式(C)で示されるガリウムフタロシアニン化合物を出発原料として製造されたものであることを特徴とする前記(1)項又は(2)項に記載のガリウムフタロシアニンダイマー結晶;
(5)「前記(4)項に記載の電子写真感光体を用いることを特徴とする画像形成方法」。
(6)「前記(4)項に記載の電子写真感光体を搭載したことを特徴とする画像形成装置」。
(7)「前記(4)項に記載の電子写真感光体を有することを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ」。
(8)「ガリウムフタロシアニン結晶の製造方法であって、下記一般式(C)で示されるガリウムフタロシアニン化合物を出発原料とし、CuKα線によるX線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.3°)6.9°、15.5°に主たる回折ピークを示すガリウムフタロシアニンダイマー結晶を製造することを特徴とするガリウムフタロシアニンダイマー結晶の製造方法;
以下、本発明を詳細かつ具体的に説明する。
本発明のガリウムフタロシアニンダイマーは新規結晶型を有する化合物であり、上記したように、CuKα線によるX線回析スペクトルにおいてブラック角(2θ±0.3°)6.9°、15.5°に主たる回析ピークを示す化合物である。本発明のガリウムフタロシアニンダイマー結晶の粉末X線回折スペクトルを図9に示すが、6.9°、15.5°、9.8°、23.1°、23.8°に主たる回折ピークを有している。またV型ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を含む本発明のガリウムフタロシアニンダイマー結晶の粉末X線回折スペクトルを図10に示すが、7.1°、7.6°、8.1°、10.1°、12.7°、13.1°、15.7°、16.4°、18.6°、22.4°、23.2°、24.2°、25.3°、28.4°に主たる回折ピークを有している。図10における7.1°、10.1°、23.2°の回折ピークは本発明のガリウムフタロシアニンダイマー結晶に由来するものであり、7.6°、12.7°、13.1°、16.4°、18.6°、25.3°、28.4°の回折ピークはV型ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶に由来する回折ピークである。本発明のガリウムフタロシアニンダイマー結晶は、特許第3227094号明細書や特許第407791号明細書に記載されたμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体とはX線回折スペクトルにおいて著しく異なっている。
酸加水分解については例えば、非特許文献2のBull.Soc.Chim.France,23(1962)に記載のクロロガリウムフタロシアニンを硫酸を用いて加水分解する方法により得ることができる。またアルカリ加水分解については非特許文献3のInrog.Chem.(19),3131,(1980)に記載のアンモニアを用いて解す分解する方法により得ることができる。
ここで用いられる有機溶剤としては、例えば、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、2−ブタノン、シクロヘキサノン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トルエン、キシレン、アニソール、ニトロベンゼン、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ピリジン、ピコリンまたはキノリン等が挙げられる。
反応温度は0〜200℃、好ましくは20〜150℃で30分〜50時間反応させて合成できる。
適切な有機溶剤は、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ピコリンまたはキノリン等が挙げられる。理由は明確ではないが、本発明のガリウムフタロシアニンダイマー結晶を製造するには、少量の水を含むN,N−ジメチルホルムアミドがとくに適している。
反応温度は、一般式(C)で示されるガリウムフタロシアニン化合物の反応性によって異なるが、20〜300℃、好ましくは50〜250℃であり、加熱時間としては30分〜20時間が望ましい。
吸着処理は一般式(C)のガリウムフタロシアニン化合物を有機溶剤に溶解し、カラムクロマトグラフィー、室温または加熱時にシリカゲル、アルミナ、フロリジル、活性炭素、活性白土、珪藻土、またはパーライトなどの吸着剤を加え濾過する方法がある。
ここで用いる有機溶剤としては、例えば、テトラヒドロフランまたはジオキサン等のエーテル系溶媒、またはエチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤またN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トルエン、キシレン、アニソール、n−ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、ニトロベンゼン、ピリジン、ピコリンまたはキノリン等及びこれらの混合溶剤が挙げられる。
これらの吸着処理や再結晶処理を行うに場合に、ガリウムフタロシアニン化合物が有機溶剤等に溶解する必要がある。この溶解性は一般式(C)のYで制御することが可能であり、パーフルオロアルキル基の場合に有機溶剤に対する溶解性に優れ、吸着処理や再結晶処理を容易に行うことが出来る。パーフルオロアルキル基としてはCF3−(CF2)m−(mは、0から8)、または−(CF2)l−(lは、2から8)が、挙げられる。
特に、mが2から8、lが3から8のガリウムフタロシアニン化合物は溶解性に優れるため高純度の一般式(C)で示されるガリウムフタロシアニン化合物が製造でき、さらに本発明の目的である長期間の繰り返し使用において残像などの異常画像が発生せず、安定した感度特性および帯電特性を実現する新規のガリウムフタロシアニンダイマー結晶の製造に適している。
次に、電子写真感光体の構成については図面を参照して以下に詳しく説明する。本発明の感光体(1)は、図1に示すように、導電性支持体(2)上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層(3)と、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層(4)が積層された構成をなしている。
また、本発明の感光体(1)は、図2に示すように、導電性支持体(2)と、電荷発生層(3)との間に、下引き層(6)、あるいは中間層を形成してもよい。また、本発明の感光体(1)は、図3に示すように、電荷輸送層(4)の上に保護層(5)を形成してもよい。
更に、本発明の感光体(1)は、図4に示すように、導電性支持体(2)上に、電荷発生物質と電荷輸送物質を含む単層の感光層(7)を有した単層型感光体の態様をなしてもよい。
導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板及びそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。また、エンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当なバインダー樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の導電性支持体として用いることができる。
この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。
また、同時に用いられるバインダー樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。
更に、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、ポリテトラフロロエチレン系フッ素樹脂などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体として良好に用いることができる。
次に、感光層について説明する。積層構成の感光層は、少なくとも電荷発生層、及び電荷輸送層が順次積層されることによって構成されている。
前記電荷発生層は、電荷発生物質を含む層である。該電荷発生物質として、本発明で用いられるCuKα線によるX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.3°)6.9°、15.5°に主たる回折ピークを示すガリウムフタロシアニンダイマー結晶を少なくとも含有する。
電荷発生物質は、本発明のCuKα線によるX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.3°)6.9°、15.5°に主たる回折ピークを示すガリウムフタロシアニンダイマー結晶と従来公知の電荷発生物質を混合して用いても良い。従来公知の電荷発生物質としては、例えば、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、非対称ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料等のアゾ顔料、チタニルフタロシアニン、銅フタロシアニン、バナジルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、インジゴ顔料、ピロロピロール顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクエアリウム顔料等が挙げられる。
前記電荷発生層の形成用塗工液は、電荷発生物質、溶媒及びバインダー樹脂を主成分とするが、その中には、増感剤、分散剤、界面活性剤、シリコーンオイル等のいかなる添加剤が含まれていてもよい。
前記電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μmが好ましく、0.1〜2μmがより好ましい。塗工後には、オーブン等で加熱乾燥される。本発明における電荷発生層の乾燥温度としては、50℃以上160℃以下が好ましい。
次に電荷輸送層について説明する。電荷輸送層は、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を溶剤に溶解又は分散した塗工液を、塗布、乾燥することにより形成される。また、電荷輸送層の塗工液には、必要に応じて、単独又は2種以上の可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤、滑剤等の添加剤を添加してもよい。
電荷輸送物質としては、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジエン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独、または2種以上混合して用いられる。
バインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられる。
溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。中でも、環境への負荷低減等の意図から、非ハロゲン系溶媒の使用は望ましいものである。具体的には、テトラヒドロフランやジオキソラン、ジオキサン等の環状エーテルやトルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、及びそれらの誘導体が良好に用いられる。これらは2種以上併用してもよい。
塗工する方法としては、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法、ノズルコート法、スピナーコート法、リングコート法等の公知の方法を用いることができるが、電荷輸送層は膜厚をある程度厚く塗る必要があるため、粘性の高い液で浸漬塗工法に塗工する方法ことが好ましい。
次に、感光層が単層構成の場合について述べる。上述した電荷発生物質、電荷輸送物質をバインダー樹脂中に分散乃至溶解させ、電荷発生機能、及び電荷輸送機能を一つの層で実現した感光体である。
感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質及びバインダー樹脂をテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン等の溶剤に溶解ないし分散し、これを浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコートなどの従来公知の方法を用いて塗工して形成できる。
電荷輸送物質には、前述した正孔輸送物質と電子輸送物質の双方が含有されることが好ましい。また、必要により可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
バインダー樹脂としては、先に電荷輸送層で挙げたバインダー樹脂のほかに、電荷発生層で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。バインダー樹脂100質量部に対する電荷発生物質の量は、5〜40質量部が好ましく、10〜30質量部がより好ましい。
また、電荷輸送物質の量は、0〜190質量部が好ましく、50〜150質量部がより好ましい。また、感光層の膜厚は、5〜40μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。
本発明の感光体においては、導電性支持体と感光層の間に、下引き層を設けることができる。下引き層は、一般に、樹脂を主成分とするが、このような樹脂は、その上に溶剤を用いて感光層を塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対する耐溶剤性が高い樹脂であることが好ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、イソシアネート、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。
また、前述の電荷発生層や電荷輸送層と同様に、溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。さらに、下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。
本発明においては、感光体の最表面に耐摩耗性向上のために、保護層を設けることができる。保護層としては、電荷輸送成分とバインダー成分とを重合させた高分子電荷輸送物質型、フィラーを含有させたフィラー分散型、反応性官能基を有する構成材料を硬化させた硬化型などが知られているが、本発明においては従来公知のいずれの保護層に対しても使用することができる。
次に、図面を用いて本発明の電子写真方法、並びに、画像形成装置を詳しく説明する。
図5は、本発明の電子写真プロセス、及び画像形成装置を説明するための概略図であり、下記のような例も本発明の範疇に属するものである。
図5に示すように、感光体(1)はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。帯電ローラ(12)、転写前チャージャ(15)、転写チャージャ(18)、分離チャージャ(19)、クリーニング前チャージャ(21)には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャ)のほか、ローラ状の帯電部材あるいはブラシ状の帯電部材等が用いられ、公知の手段がすべて使用可能である。
帯電部材は、コロナ帯電等の非接触帯電方式やローラあるいはブラシを用いた帯電部材による接触帯電方式が一般的であり、本発明においてはいずれも有効に使用することが可能である。特に、帯電ローラは、コロトロンやスコロトロン等に比べてオゾンの発生量を大幅に低減することが可能であり、感光体の繰り返し使用時における安定性や画質劣化防止に有効である。
しかし、感光体と帯電ローラとが接触していることにより、繰り返し使用によって帯電ローラが汚染され、それが感光体に影響を及ぼし異常画像の発生や耐摩耗性の低下等を助長する原因となっていた。
特に、耐摩耗性の高い感光体を用いる場合、表面の摩耗によるリフェイスがしにくいことから、帯電ローラの汚染を軽減させる必要があった。
この場合、感光体と帯電ローラとのギャップは小さい方が好ましく、例えば、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。
しかし、前記帯電ローラを非接触とすることによって、放電が不均一になり、感光体の帯電が不安定になる場合がある。このような問題は、直流成分に交流成分を重畳させることによって帯電の安定性を維持し、これによりオゾンの影響、帯電ローラの汚染の影響及び帯電性の影響を同時に軽減することが可能となる。
所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
光源等は、光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体(1)に光が照射される。但し、除電工程における感光体(1)への露光は、感光体1に与える疲労の影響が大きく、特に帯電低下や残留電位の上昇を引き起こす場合がある。したがって、露光による除電ではなく、帯電工程やクリーニング工程において逆バイアスを印可することによっても除電することが可能な場合もあり、感光体の高耐久化の面から有効な場合がある。
また、このような転写手段を用いて、感光体からトナー像を紙に直接転写されるが、本発明においては感光体上のトナー像を一度中間転写体に転写し、その後中間転写体から紙に転写する中間転写方式であることが感光体の高耐久化、あるいは高画質化においてより好ましい。
このようなトナーは、ファーブラシ(22)、あるいはクリーニングブレード(23)により、感光体(1)から除去される。このクリーニング工程は、クリーニングブラシだけで行なわれたり、ブレードと併用して行なわれることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。クリーニングは、前述のとおり転写後に感光体(1)上に残ったトナー等を除く工程であるが、上記のクリーニングブレード(23)、あるいはファーブラシ(22)等によって感光体(1)が繰り返し擦られることにより、感光体(1)の摩耗が促進されたり、傷が入ったりすることによって異常画像が発生することがある。
特に、耐摩耗性の向上のために最表面層に保護層をもうけた感光体の場合には、感光体表面に付着した汚染物質が除去されにくいことから、フィルミングや異常画像の発生を助長することになる。したがって、感光体のクリーニング性を高めることは感光体の高耐久化及び高画質化に対し非常に有効である。
前記プロセスカートリッジとは、本発明の光電変換素子を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段の少なくとも1つを具備し、画像形成装置に着脱可能とした装置(部品)である。
上記のタンデム方式による画像形成装置は、複数のトナー像を一度に転写できるため高速フルカラー印刷が実現される。
しかし、感光体が少なくとも4本を必要とすることから、装置の大型化が避けられず、また使用されるトナー量によっては、各々の感光体の摩耗量に差が生じ、それによって色の再現性が低下したり、異常画像が発生したりするなど多くの課題を有していた。
初めに、本発明のガリウムフタロシアニンダイマー結晶の合成例について詳細かつ具体的に説明する。
本発明のCuKα線によるX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.3°)6.9°、15.5°に主たる回折ピークを示すガリウムフタロシアニンダイマー結晶の合成例を以下に記載する。最初に原料となるクロロガリウムフタロシアニンおよびヒドロキシガリウムフタロシアニンの合成例を示す。なお、以下の記載において「部」は「重量部」を意味する。
脱水ジメチルスルフォキシド200部に1,3−ジイミノイソインドリン30部、三塩化ガリウム8部を加え、Ar気流下にて150℃、12時間反応させた後、生成したクロロガリウムフタロシアニンを濾別した。このウェットケーキをメチルエチルケトンおよびN,N−ジメチルホルムアミドで洗浄した後、乾燥することで22部(70.3%)のクロロガリウムフタロシアニン結晶を得た。
上述のクロロガリウムフタロシアニン5部を氷冷した濃硫酸150部に溶解し、この硫酸溶液を氷冷したイオン交換水500部に徐々に滴下することでヒドロキシガリウムフタロシアニンの結晶を析出させた。結晶を濾別した後、ウェットケーキを2wt%のアンモニア水500部で洗浄し、その後、イオン交換水で十分に洗浄を行った。乾燥することで4.6部のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を得た。
<(i);下記構造式(C−1)で示されるガリウムフタロシアニン化合物の合成例>
得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで3.1部(74%)のガリウムフタロシアニン化合物結晶を得た。この一部をN,N−ジメチルホルムアミドで再結晶を行い下記の分析を行った。
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、C=O伸縮振動に基づく1732cm−1の吸収が認められた。さらにLDI−TOFMS(ネガティブ)により、m/z:1043.89(理論値は1044.04:C41H16F17GaN8O2として)を認めた。さらに元素分析を行った結果を下表に示す。
これらの結果より、上記構造式のガリウムフタロシアニン化合物であることを確認した。
上記で得られたガリウムフタロシアニン化合物0.42部、N,N−ジメチルホルムアミド60部、イオン交換水0.1部を還流下に7時間反応させた。冷却後得られた結晶をN,N−ジメチルホルムアミド60部で2回、メチルエチルケトン60部で1回、およびイオン交換水60部で2回洗浄した後、乾燥することで0.21部(89%)のガリウムフタロシアニンダイマー結晶を得た。
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、C=O伸縮振動に基づく1732cm−1の吸収が消失したことを認めた。さらにLDI−TOFMS(ネガティブ)により、m/z:1178.349(理論値は1178.1456:C64H32Ga2N16Oとして)を認めた。この結果、下記構造式(1)で示されるガリウムフタロシアニンダイマーであることを確認した。
X線管球:Cu(波長1.54Å)
電圧:50kV
電流:30mA
走査速度:2deg/min
走査範囲:2〜35deg
時定数:2sec
このスペクトルより、ブラッグ角(2θ±0.3°)6.9°、9.8°、15.5°、23.0°、23.8°に主たる回折ピークを示すガリウムフタロシアニンダイマー結晶が得られたことを確認した。
<(i);下記構造式(C−2)で示されるガリウムフタロシアニン化合物の合成例>
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、C=O伸縮振動に基づく1732cm−1の吸収が認められた。さらにLDI−TOFMS(ネガティブ)により、m/z:993.829(理論値は994.0412:C40H16F15GaN8O2として)を認めた。さらに元素分析を行った結果を下表に示す。(計算値はC40H16F15GaN8O2として)
これらの結果より、上記構造式(C−2)のガリウムフタロシアニン化合物であることを確認した。
上記で得られたガリウムフタロシアニン化合物0.40部、N,N−ジメチルホルムアミド60部、イオン交換水0.1部を還流下に7時間反応させた。冷却後得られた結晶をN,N−ジメチルホルムアミド60部で2回、メチルエチルケトン60部で1回、およびイオン交換水60部で2回洗浄した後、乾燥することで0.24部(92%)のガリウムフタロシアニンダイマー結晶を得た。
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、C=O伸縮振動に基づく1732cm−1の吸収が消失し、上記実施例1のスペクトルと同じであることを認めた。
この結果より、ガリウムフタロシアニンダイマーであることを確認した。
また、合成例1と同様にガリウムフタロシアニンダイマー結晶の粉末X線回折スペクトルを測定した結果、図9と同様の回折スペクトルを得た。
<(i);下記構造式(C−3)で示されるガリウムフタロシアニン化合物の合成例>
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、OH基に由来する約3480cm−1の吸収が消失し、C=O伸縮振動に基づく1726cm−1の吸収が認められた。さらにLDI−TOFMS(ネガティブ)により、m/z:943.94(理論値は944.04:C39H16F13GaN8O2として)を認めた。さらに元素分析を行った結果を下表に示す。
これらの結果より、上記構造式(C−3)のガリウムフタロシアニン化合物であることを確認した。
上記で得られたガリウムフタロシアニン化合物0.38部、N,N−ジメチルホルムアミド50部、イオン交換水0.05部を還流下に7時間反応させた。冷却後得られた結晶をN,N−ジメチルホルムアミド50mlで2回、メチルエチルケトン50部で1回、およびイオン交換水60部で2回洗浄した後、乾燥することで0.22部(90%)のガリウムフタロシアニンダイマー結晶を得た。
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、C=O伸縮振動に基づく1726cm−1の吸収が消失し、合成例1のスペクトルと同じであることを認めた。この結果より、ガリウムフタロシアニンダイマーであることを確認した。
また、合成例1と同様にガリウムフタロシアニンダイマー結晶の粉末X線回折スペクトルを測定した結果、図9と同様の回折スペクトルを得た。
<(i);下記構造式(C−4)で示されるガリウムフタロシアニン化合物の合成例>
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、C=O伸縮振動に基づく1730cm−1の吸収が認められた。
さらに元素分析を行った結果を下表に示す。(計算値はC37H16F9GaN8O2として)
これらの結果より、上記構造式のガリウムフタロシアニン化合物であることを確認した。
上記で得られたガリウムフタロシアニン化合物0.80部、N,N−ジメチルホルムアミド60部、イオン交換水0.1部を130℃で7時間反応させた。冷却後得られた結晶をN,N−ジメチルホルムアミド60部で3回、メチルエチルケトン60部で1回、およびイオン交換水60部で2回洗浄した後、乾燥することで0.59部のガリウムフタロシアニンダイマー結晶を得た。
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、C=O伸縮振動に基づく1730cm−1の吸収が消失し、合成例1のガリウムフタロシアニンダイマーとヒドロキシガリウムフタロシアニンのスペクトルを足し合わせたものであったことから、これら二つのフタロシアニン結晶の混合物であることを認めた。
また、合成例1と同様にこの混合物の粉末X線回折スペクトルを測定した結果、図10に示すように、ガリウムフタロシアニンダイマー結晶とV型のヒドロキシガリウムフタロシアニンの回折スペクトルを得た。
<(i);下記構造式(C−5)で示されるガリウムフタロシアニン化合物の合成例>
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、OH基に由来する約3480cm−1の吸収が消失し、C=O伸縮振動に基づく1720cm−1の吸収が認められた。さらにLDI−TOFMS(ネガティブ)により、m/z:1399.968(理論値は1400.1208:C69H32F6Ga2N16O4として)を認めた。
さらに元素分析を行った結果を下表に示す。(計算値はC69H32F6Ga2N16O4として)
これらの結果より、上記構造式(C−5)のガリウムフタロシアニン化合物であることを確認した。
上記で得られたガリウムフタロシアニン化合物0.28部、N,N−ジメチルホルムアミド50部、イオン交換水0.1部を還流下に7時間反応させた。冷却後得られた結晶をN,N−ジメチルホルムアミド50部で3回、メチルエチルケトン60部で1回、およびイオン交換水60部で2回洗浄した後、乾燥することで0.21部のガリウムフタロシアニンダイマー結晶を得た。
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、C=O伸縮振動に基づく1720cm−1の吸収が消失し、合成例1のガリウムフタロシアニンダイマーとヒドロキシガリウムフタロシアニンのスペクトルを足し合わせたものであったことから、これら二つのフタロシアニン結晶の混合物であることを認めた。
また、合成例1と同様にこの混合物の粉末X線回折スペクトルを測定した結果、図10に示すように、ガリウムフタロシアニンダイマー結晶とV型のヒドロキシガリウムフタロシアニンの回折スペクトルを得た。
以下、本発明の感光体について実施例を挙げて説明するが本発明はこれら実施例により制約を受けるものではない。なお、部は全て重量部である。
厚さ、2mmのアルミニウム板上(電子写真特性評価用)および長さ380mm、φ100mmアルミニウムシリンダー上(実機評価用)に下記組成の中間層用塗工液を用いて塗布後、130℃/20分間乾燥を行ない、約3.5μmの中間層を形成した。続いて下記組成の電荷発生層用塗工液をφ2mmのジルコニアボールとともに振動ミル分散を6時間行い、この塗工液を用いて塗布後、100℃/30分間乾燥を行ない、約0.3μmの電荷発生層を形成した。さらに、下記組成の電荷輸送層用塗工液を用いて塗布後、130℃/20分間乾燥を行ない、約35μmの電荷輸送層を形成して実施例1の電子写真感光体を作製した。塗布はいずれもブレード塗工法(電子写真特性評価用)および浸漬塗工法(実機評価用)を用いた。
酸化チタンCR−EL(石原産業社製):50部
アルキッド樹脂ベッコライトM6401−50(固形分50重量%、大日本インキ化学工業社製):15部
メラミン樹脂L−145−60(固形分60重量%、大日本インキ化学工業社製):8部
2−ブタノン:120部
前記合成例1で得られたガリウムフタロシアニンダイマー結晶:3.0部
ポリビニルブチラール(「XYHL」UCC製):2部
メチルエチルケトン:150部
ポリカーボネートZポリカ(帝人化成社製;パンライトTS−2050):10部
下記構造式(CTM−1)で示される電荷輸送性化合物:7部
テトラヒドロフラン:80部
シリコーンオイル(KF50−100cs、信越化学工業社製):0.002部
実施例1で用いた電荷発生層用塗工液のガリウムフタロシアニンダイマー結晶を合成例2のものに変更した以外は実施例1と同様に実施例2の電子写真感光体を作製した。
実施例1で用いた電荷発生層用塗工液のガリウムフタロシアニンダイマー結晶を合成例3のものに変更した以外は実施例1と同様に実施例3の電子写真感光体を作製した。
実施例1で用いた電荷発生層用塗工液のガリウムフタロシアニンダイマー結晶を合成例4のものに変更した以外は実施例1と同様に実施例4の電子写真感光体を作製した。
実施例1で用いた電荷発生層用塗工液のガリウムフタロシアニンダイマー結晶を合成例5のものに変更した以外は実施例1と同様に実施例5の電子写真感光体を作製した。
実施例1で用いた電荷発生層用塗工液のガリウムフタロシアニンダイマー結晶を前記アシッドペースト法より得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンに変更した以外は実施例1と同様に比較例1の電子写真感光体を作製した。
実施例1で用いた電荷発生層用塗工液のガリウムフタロシアニンダイマー結晶をY型チタニルフタロシアニン(東洋インキ製造社製;リオフォトン−TOPA)に変えた以外は実施例1と同様に比較例2の電子写真感光体を作製した。
実施例1で用いた電荷発生層用塗工液のガリウムフタロシアニンダイマー結晶を特許第3227094号の実施例8に記載のG型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニンダイマーに変えた以外は実施例1と同様に比較例3の電子写真感光体を作製した。
実施例1で用いた電荷発生層用塗工液のガリウムフタロシアニンダイマー結晶を特許第407791号の実施例1に記載のオクタメチル−μ−オキソ−ガリウムフタロシアニンダイマーに変えた以外は実施例1と同様に比較例4の電子写真感光体を作製した。
実施例1で用いた電荷発生層用塗工液のガリウムフタロシアニンダイマー結晶を特許第3350911号明細書の実施例3に記載のII型μ−オキソ−アルミニウム/ガリウムフタロシアニン二量体に変えた以外は実施例1と同様に比較例5の電子写真感光体を作製した。
実施例1で用いた電荷発生層用塗工液のガリウムフタロシアニンダイマー結晶を特許第3350911号の実施例5に記載のIII型μ−オキソ−アルミニウム/ガリウムフタロシアニン二量体に変えた以外は実施例1と同様に比較例6の電子写真感光体を作製した。
アルミニウム板上に作製した実施例1〜5の感光体および比較例1および2の電子写真感光体について市販の静電気帯電試験装置(川口電機製作所製 EPA8100型)を用いて暗所で−5KVのコロナ放電を20秒間行って帯電させた後、電子写真感光体の表面電位Vm(−V)を測定し、更に20秒間暗所に放置した後、電子写真感光体の表面電位V0(−V)を測定し、暗減衰率V0/Vm求めた。次いで、電子写真感光体表面での光量が5μW/cm2の780nm単色光を30秒間照射した後、電子写真感光体の表面電位V30(−V)を測定した。また感度としてV0が半減するために要する露光量をE1/2(μJ/cm2)として測定した。結果を表6に示す。
このようにして初期特性を求めた後、以下のようにして疲労特性を測定した。静電気帯電試験装置を用い、タングステン光照射とコロナ帯電を同時に行い、感光体の表面電位が−800Vで帯電電流が7μAになるように光量とコロナ放電電圧を調節しながら2時間の帯電露光を行った。このサンプルについて初期特性と同様にVm(−V)、V0(−V)、V0/Vm、V30(−V)、E1/2(μJ/cm2)を測定した。結果を表7に示す。
先に作製した実施例1〜5の感光体および比較例1〜6の電子写真感光体をプロセスカートリッジに装着し、RICOH Pro C900(リコー製プロダクションプリンター)に搭載した。
試験時のプロセス条件としては未露光部の帯電電位が−800Vとなるように帯電部材への印可電圧を設定した。現像バイアスは−500Vに設定した。通紙条件としてはA4全面に対して、画像面積率が6%相当の文字が平均的に書かれているチャートを40万枚印刷した。試験環境としては常温常湿度として温度:23℃、相対湿度:55%、高温高湿度環境として温度:30℃、相対湿度:80%および低温低湿度環境として温度:10℃、相対湿度:15%の3つの環境条件で同様の印刷試験を行なった。
画像評価は40万枚の画像印刷後において、日本画像学会発行テストチャートNo.5−2を出力して、画像濃度、解像度およびカラー色の再現性について評価した。これらの画像評価は4段階にて行ない、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、悪いものを×で表わした。さらに残像の評価として40万枚の画像印刷後、未露光部の帯電電位が−500Vとなるように帯電部材への印加電圧を設定、転写電流は100μAとなるように転写部材への印加電圧を設定し、図11に示す文字部とハーフトーン部が混在するA4チャートを出力した。出力画像のハーフトーン部における残像の程度を4段階で評価し、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、悪いものを×で表わした。結果を表8に示す。
1C、1M、1Y、1K 感光体
2 導電性支持体
3 電荷発生層
4 電荷輸送層
5 保護層
6 下引き層
7 単層型感光層
10C、10M、10Y、10K 画像形成要素
11 除電ランプ
12 帯電ローラ
12a ギャップ形成部材
12C、12M、12Y、12K 帯電部材
13 画像露光部
13C、13M、13Y、13K レーザー光
14 現像ユニット
14C、14M、14Y、14K 現像部材
15 転写前チャージャ
15C、15M、15Y、15K クリーニング部材
16 レジストローラ
17 転写紙
18 転写チャージャ
19 分離チャージャ
20 分離爪
21 クリーニング前チャージャ
22 ファーブラシ
23 クリーニングブレード
24 給紙コロ
25 転写搬送ベルト
26C、26M、26Y、26K 転写ブラシ
27 定着装置
Claims (6)
- CuKα線によるX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.3°)6.9°、9.8°、15.5°、23.0°、23.8°に主たる回折ピークを示すことを特徴とするガリウムフタロシアニンダイマー結晶。
- 下記一般式(C)で示されるガリウムフタロシアニン化合物を出発原料として製造されたものであることを特徴とする請求項1に記載のガリウムフタロシアニンダイマー結晶。
- 導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層を設けた積層型の電子写真感光体において、該電荷発生層に請求項1乃至2のいずれかに記載のガリウムフタロシアニンダイマー結晶を含有することを特徴とする電子写真感光体。
- 請求項3に記載の電子写真感光体を用いることを特徴とする画像形成方法。
- 請求項3に記載の電子写真感光体を搭載したことを特徴とする画像形成装置。
- 請求項3に記載の電子写真感光体を有することを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
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