JP6159548B2 - エポキシ樹脂組成物、樹脂シート及びエポキシ樹脂硬化物 - Google Patents
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Description
(a)25℃における粘度が1000mPa・s以下である液状エポキシ樹脂、
(b)示差走査熱量分析(DSC)において、70℃以上200℃以下の範囲内に結晶融解に起因する吸熱ピークが観測される結晶性エポキシ樹脂、
及び、
(c)エポキシ樹脂硬化剤、
を含有する。
(d)下記の構造式(1)で示される高分子量エポキシ樹脂、
を含有してもよい。
(a)25℃における粘度が1000mPa・s以下である液状エポキシ樹脂、
(b)示差走査熱量分析(DSC)において、70℃以上200℃以下の範囲内に結晶融解に起因する吸熱ピークが観測される結晶性エポキシ樹脂、
及び、
(c)エポキシ樹脂硬化剤、
を含有する。
(a)成分の液状エポキシ樹脂は、25℃における粘度が1000mPa・s以下、好ましくは、500mPa・s以下、より好ましくは100mPa・s以下、更に好ましくは50mPa・s以下の低粘度のエポキシ樹脂である。25℃における粘度が1000mPa・sを超えるエポキシ樹脂は、粘性が高くなるため、硬化反応時に(b)成分の分子の配向を促す作用が小さく、硬化物の熱伝導性を向上させる効果が十分に得られない。(a)成分の液状エポキシ樹脂としては、硬化時に三次元架橋構造を形成させるために、1分子中に平均で2個以上のエポキシ基を有するものが好ましい。
(b)成分の結晶性エポキシ樹脂としては、分子中にメソゲン骨格を有し、かつエポキシ樹脂モノマーが結晶性を有するエポキシ樹脂を意味する。ここで、「メソゲン骨格」とは、液晶性を発現する可能性がある官能基、もしくは硬化の際に配向構造を形成しうる官能基と定義することができる。また、「結晶性」とは、DSC(示差走査熱量分析)において、融点に基づく吸熱ピーク温度が確認できることを意味し、本実施の形態で用いる(b)成分の結晶性エポキシ樹脂は、DSCにおいて10℃/分で昇温した場合に、70℃以上200℃以下の範囲内に結晶融解に起因する吸熱ピークが観測されるエポキシ樹脂である。
(c)成分のエポキシ樹脂硬化剤については、エポキシ基と反応しうる活性水素基を有するエポキシ樹脂硬化剤であれば良いが、エポキシ樹脂が最大限配向できる構造をとることが好ましく、具体的にはイミダゾール化合物がよい。
本実施の形態のエポキシ樹脂組成物は、上記必須成分に加え、必要に応じて、例えば高分子量エポキシ樹脂、フィラー(無機フィラー、有機フィラー)、溶剤、ゴム成分、フッ素系、シリコーン系等の消泡剤、レベリング剤等を添加することができる。また、本実施の形態のエポキシ樹脂組成物には、金属基板、銅配線等の部材との密着性向上の観点から、例えば、シランカップリング剤、熱可塑性オリゴマー等の密着性付与剤を添加することができる。以下、代表的な任意成分として、高分子量エポキシ樹脂、フィラー、シランカップリング剤、溶剤について説明する。
(d)成分の高分子量エポキシ樹脂は、結晶性エポキシ樹脂を溶解させ、再結晶を抑制する作用、およびシート化を促す助剤としての機能を有する。(d)成分の高分子量エポキシ樹脂としては、例えば構造式(1)で表されるものを挙げることができる。
本実施の形態のエポキシ樹脂組成物は、放熱性を高めるために、フィラーを用いることができる。フィラーには公知慣用のものを使用することができる。また、絶縁性を必要としない用途の場合には金属粉末や炭素繊維などを用いることができる。フィラーを高充填した場合、放熱性を高めることができるが、一般的には得られる組成物や硬化物は硬く、もろい性質となる。フィラーの高充填化や粒度分布に関する知見についてはこれまでにも数多く報告されており、公知慣用の手法によりおこなうことができる。
本実施の形態のエポキシ樹脂組成物にフィラーを使用する場合、フィラーと樹脂の界面における密着性向上を目的にシランカップリング剤を併用することができる。シランカップリング剤としては、例えば、サイラーエースS−510(商品名;JNC株式会社製)などを用いることができる。
本実施の形態のエポキシ樹脂組成物において、溶剤は、適宜使用することができる。溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等のアミド系溶剤、1−メトキシ−2−プロパノ−ル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤等の1種又は2種以上を混合したものを例示できる。
本実施の形態のエポキシ樹脂組成物は、上記の必須成分および任意成分を混合することにより調製できる。この場合、溶剤を含むワニスの形態とすることが好ましい。すなわち、本実施の形態のエポキシ樹脂組成物は、所定の溶剤に溶解又は分散させてワニスを形成するようにしてもよい。
本実施の形態においては、上記ワニスを支持材としてのベースフィルム上に塗布し、乾燥させることでBステージ状態の樹脂シートを形成することができる。また、上記ワニスを銅箔上に塗布し、乾燥させることによって樹脂シート付き銅箔を形成することもできる。
本実施の形態の硬化物は、例えば、エポキシ樹脂組成物から上記Bステージ状態の樹脂シート(又は樹脂シート付き銅箔)を調製した後、例えば150℃〜250℃の範囲内の温度に加熱して硬化させることによって製造できる。このようにして得られる硬化物は、後記実施例に示すように、優れた熱伝導性を有している。高熱伝導が要求される用途においては、硬化物の熱伝導率は、例えば15W/m・K以上であることが好ましい。硬化物の熱伝導率が15W/m・K以上であることにより、放熱特性が優れたものとなり、高温環境で使用される回路基板等への適用が可能になる。また、高熱伝導性フィラーを多く配合することにより放熱特性を向上させることが可能となるが、ハンドリング性や加工性、耐電圧性を低下させないように、使用目的によって高熱伝導性フィラーの種類や配合量を適宜選択することが好ましい。
次に、本実施の形態のエポキシ樹脂組成物を用いて金属ベース回路基板を製造する方法の一例について説明する。ここでは、アルミニウム基板を用いたアルミニウムベース回路基板を例示する。まず、エポキシ樹脂組成物から上記の樹脂シート付き銅箔を得た後、この樹脂シート付き銅箔を、アルミニウム基板の上にバッチ式真空プレスを用いて、例えば、温度150〜250℃、圧力1.0〜30MPaの条件で接着する。この際、アルミニウム基板面に樹脂シート面を接触させ、支持材としての銅箔を上面とした状態で加熱、加圧して、エポキシ樹脂を硬化させることにより、アルミニウム基板に貼り付ける。このようにして、樹脂シートを絶縁性の接着剤層として、銅箔層とアルミニウム基板との間に介在させた積層体を得ることができる。次に、エッチングによって所定箇所の銅箔を除去することにより回路配線を形成し、最終的にアルミニウムベース回路基板を得ることができる。なお、アルミニウム基板の厚さについては、特に制限はないが、一般的には例えば0.5〜3.0mmの範囲内とすることができる。
本実施の形態に係るエポキシ樹脂組成物を、織布や不織布などの繊維基材に含浸させ、加熱乾燥させてエポキシ樹脂を半硬化状態とすることによって、プリプレグを製造できる。繊維基材としては、例えばガラスクロス、有機繊維などを用いることができる。このように製造したプリプレグは加熱加圧成形して絶縁層とすることによって、プリント配線板の構成部材とすることができる。
上記特許文献2の段落0003では、メソゲン構造を有する結晶性エポキシ樹脂がワニス中で結晶として析出することを抑制するために、溶解性の第3成分を配合すると硬化物の熱伝導率が低下する問題があると指摘されている。結晶性エポキシ樹脂の持つ配向性が熱伝導性の向上に寄与していることを考えると、非結晶性のエポキシ樹脂などの他の樹脂成分の添加は、熱伝導性の向上に対してマイナスの要因となることは容易に推測される。このことは、上記特許文献3の実施例1と実施例2の熱伝導率を比較すると、汎用の液状エポキシ樹脂を配合した実施例2に熱伝導率の低下が認められることにも裏付けられる。しかしながら、かかる知見に反し、本発明のエポキシ樹脂組成物においては、低粘度の液状エポキシ樹脂を結晶性エポキシ樹脂と組み合わせることによって、硬化物が高い熱伝導性を発現し、結晶性エポキシ樹脂の含有率を低下させても、優れた熱伝導性が得られている。
液状エポキシ樹脂、結晶性エポキシ樹脂および高分子量エポキシ樹脂のエポキシ当量はJIS K−7236に従って測定した。
液状エポキシ樹脂の粘度は、E型粘度計を用いて測定した。装置は東機産業株式会社製RE−80Hを用いた。
結晶性エポキシ樹脂の融点は、DSC(示差走査熱量分析)により測定した。DSCはセイコーインスツルメント株式会社製DSC6200を用いた。温度プログラムは室温より10℃/minの速度で300℃まで昇温し、融点の測定は昇温の過程でおこなった。また、ここでいう融点とは結晶の融解に伴う吸熱ピークの最下点における温度である。
まず、4,4’−ジグリシドキシビフェニルを含むエポキシ樹脂から、公知慣用の手法により再結晶をおこない、純度99%以上の4,4’−ジグリシドキシビフェニルを得た。結晶性エポキシ樹脂中の4,4’−ジグリシドキシビフェニルの定量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィを用いて分析した。具体的には東ソー株式会社製HLC−8120本体に、東ソー株式会社製のカラム、TSK−gel G4000HXL,TSK−gel G3000HXL、TSK−gel G2000HXLを直列に備えたものを使用した。また、溶離液にはテトラヒドロフランを用い、流速は1ml/minとした。カラム室の温度は40度とした。検出にはRI検出器を使用し、測定をおこなった。得られたクロマトグラムから、4,4’−ジグリシドキシビフェニルと同じ溶出時間のピークの面積%を求めた。より精密に分析する例として、高速液体クロマトグラフィーを用いた絶対検量線法が一般的に知られており、こちらの手法を用いても良い。
高分子量エポキシ樹脂の平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィを用いて分析した。具体的には東ソー株式会社製HLC−8320本体に、東ソー株式会社製のカラム、TSK−gel GMHXL,TSK−gel GMHXL、TSK−gel G2000Hを直列に備えたものを使用した。また、溶離液にはテトラヒドロフランを用い、流速は1ml/minとした。カラム室の温度は40度とした。検出にはRI検出器を使用し、測定をおこなった。平均分子量は、標準ポリスチレン検量線を用いて求めた。
高分子量エポキシ樹脂溶液の不揮発分は、アルミカップに試料約1gをはかりとり、200℃の熱風循環式オーブン中で1時間乾燥させ、乾燥前の重量と、揮発せずに残った重量をもとに計算により求めた。
所定量のBステージの樹脂シートを用いて、圧縮プレス成形機にて180℃で10分加熱し、プレスから取り出した後、さらに乾燥機中にて180℃で50分加熱することにより、直径50mm、厚さ5mmの円盤状試験片を得た。この試験片を、英弘精機製熱伝導率測定装置HC−110を用いて、定常法により25℃での熱伝導率[W/m・K]を測定した。
エポキシ樹脂a−1(パラキシリレングリコール型エポキシ樹脂):
攪拌機、窒素吹きこみ口、減圧装置と冷却器と油水分離槽を備えた還流口、アルカリ金属水酸化物水溶液滴下口を備えたセパラブルフラスコにパラキシレングリコール220重量部、エピクロルヒドリンを1000重量部仕込み、窒素パージの後55℃まで昇温、ブチルトリエチルアンモニウムクロリド水溶液を3.3重量部、発熱に注意しながら仕込み、1時間反応させた。63℃にて、固形の水酸化ナトリウム240重量部を30分おきに、10回に分割して投入した。そのまま3時間撹拌を続けたのち、トルエンを350重量部、水を250重量部加えて油水分離をおこなった。水相およびゲル化物を取り除いたのち減圧下で昇温し、水、トルエンおよびエピクロルヒドリンを系内から取り除いた。得られた樹脂にトルエン600重量部と水100重量部を加えて油水分離により水相を取り除いた。さらに2度の水洗処理を加えて洗浄した。得られた樹脂溶液を加熱して脱水したのち、珪藻土濾過をおこない、さらに加熱・減圧により脱トルエンをおこなってパラキシレングリコールのジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を得た。これをさらに多段蒸留することにより、無色透明の液状エポキシ樹脂を得た。この樹脂のエポキシ当量は128g/eqであり、また25℃における粘度は25mPa.sであった。
エポキシ樹脂a−2には新日鉄住金化学株式会社製ZX−1658GSを用いた。この樹脂のエポキシ当量は134g/eqであり、また25℃における粘度は37mPa・sであった。
パラキシレングリコール220重量部の代わりに4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル300重量部を用いたほかはエポキシ樹脂a−1と同じ条件で合成したのち多段蒸留をおこない、無色透明の液状エポキシ樹脂を得た。この樹脂のエポキシ当量は171g/eqであり、また25℃における粘度は157mPa.sであった。
エポキシ樹脂a−4には、新日鉄住金化学株式会社製ZX−1542を用いた。この樹脂のエポキシ当量は120g/eqであり、また25℃における粘度は80mPa・sであった。
エポキシ樹脂a−5には、新日鉄住金化学株式会社製PG−207GSを用いた。この樹脂のエポキシ当量は320g/eqであり、また25℃における粘度は43mPa・sであった。
エポキシ樹脂a−6には、ハンツマン・コーポレーション社製MY−0510を用いた。この樹脂のエポキシ当量は97g/eqであり、また25℃における粘度は700mPa・sであった。
エポキシ樹脂a−7には、新日鉄住金化学株式会社製YDF−8170を用いた。この樹脂のエポキシ当量は158g/eqであり、また25℃における粘度は1300mPa・sであった。
エポキシ樹脂a−8には、新日鉄住金化学株式会社製YD−128を用いた。この樹脂のエポキシ当量は188g/eqであり、また25℃における粘度は13000mPa・sであった。
エポキシ樹脂b−1(ビフェノールアラルキル型エポキシ樹脂)
2000mlの4口フラスコに、4,4’−ジヒドロキシビフェニル186.0重量部、ジエチレングリコールジメチルエーテル600重量部を仕込み、窒素気流下、攪拌しながら150℃まで昇温させ、ジエチレングリコールジメチルエーテル260重量部に1,4−ビスクロロメチルベンゼン52.5重量部を溶解させた溶液を滴下した後、170℃まで昇温して2時間反応させた。反応後、大量の純水に滴下して再沈殿により回収し、淡黄色で結晶性の樹脂202重量部を得た。
4,4’−ジヒドロキシビフェニル46.5重量部と3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル60.5重量部をエピクロルヒドリン473重量部、ジエチレングリコールジメチルエーテル82重量部に溶解し、減圧下(約130Torr)62℃にて48%水酸化ナトリウム水溶液155重量部を4時間かけて滴下した。以下はエポキシ樹脂b−1と同様の処理をおこない、エポキシ樹脂を得た。エポキシ当量は172g/eq、融点は125℃であった。
高分子量エポキシ樹脂c−1(ビフェニル型高分子量エポキシ樹脂):
攪拌機、窒素吹き込み口、熱電対、冷却機を備えた還流口を供えたセパラブルフラスコに、3,3’,5,5’−テトラメチルビフェノールのジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、商品名;YX−4000、エポキシ当量186、固形)を67.43重量部、4,4’−ビフェノールを32.56重量部、シクロヘキサノンを25重量部仕込み、145℃まで昇温、溶解して1時間撹拌した。その後、反応触媒としてトリス−(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィンを0.1重量部仕込み、165℃まで昇温した。反応の経過とともに粘度が上昇するが、適宜シクロヘキサノンを加えて一定のトルクとなるよう撹拌を継続した。反応はゲルパーミエーションクロマトグラフィにて追跡し、所定の重量平均分子量となったところでシクロヘキサノンを加えて冷却し、反応を停止した。得られた溶液は均一であり、固形分が30.1重量%であった。得られた高分子量エポキシ樹脂は、下記の式(7)で示され、淡黄色液状であり、そのエポキシ当量は12,900g/eq(固形分換算)、数平均分子量は15,500、重量平均分子量は42,200であった。
攪拌機、窒素吹き込み口、熱電対、冷却機を備えた還流口を供えたセパラブルフラスコに、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社製、商品名;YDF−8170、エポキシ当量158、液状)を63.65重量部、4,4’−ビフェノールを36.35重量部、それぞれ仕込んだほかは高分子量エポキシ樹脂c−1と同様の方法にて高分子量フェノキシ樹脂溶液を得た。得られた溶液は均一であり、固形分が34.5重量%であった。得られたフェノキシ樹脂は、下記の式(8)に示されるように、淡黄色液状であり、そのエポキシ当量は10,400g/eq(固形分換算)、数平均分子量は11,300、重量平均分子量は61,800であった。
シランカップリング剤:チッソ株式会社製、商品名;サイラーエースS−510
アルミナ粉末B:マイクロン社製、商品名;AL10−75R、球状、結晶性、最大粒子径;75μm、平均粒子径D50;10μm、Na+;3.9ppm
アルミナ粉末C:アドマテックス社製、商品名;AO−802、球状、結晶性、最大粒子径;10μm、平均粒子径D50;0.7μm、Na+;1.3ppm
表1〜4に示す組成で、液状エポキシ樹脂、高分子量エポキシ樹脂、シクロペンタノンを加えて撹拌し、均一の樹脂溶液を得た。次に、結晶性エポキシ樹脂を加えて加温し、これを溶解した。そこに、フィラー、シランカップリング剤を加えて混練した。さらに、硬化剤を配合し、樹脂スラリーを得た。得られた樹脂スラリーをPET基材(三菱化学株式会社製MRX−50)の離型面に塗工し、120℃で12分間乾燥し、厚み150μmの樹脂シートを得た。得られた樹脂シートを各種試験に供した。その結果を表1〜4に示した。なお、表中、エポキシ樹脂、硬化剤、フェノキシ樹脂、アルミナ粉末、シランカップリング剤、及び溶剤(シクロヘキサノン及びシクロペンタノン)の配合量は重量部で示した。
表5に示す組成で、フィラーを配合しない以外は、実施例1等と同様にして樹脂硬化物を作成し、偏光顕微鏡観察をおこなった。観察はクロスニコル状態としたステージ上に試料を置き、その透過光写真を撮影することにより行った。実施例14の結果を図3、実施例15の結果を図4、比較例11の結果を図5に示す。
Claims (12)
- 下記の成分(a)〜(d):
(a)25℃における粘度が1000mPa・s以下である液状エポキシ樹脂、
(b)示差走査熱量分析(DSC)において、70℃以上200℃以下の範囲内に結晶融解に起因する吸熱ピークが観測される結晶性エポキシ樹脂、
(c)エポキシ樹脂硬化剤、及び、
(d)前記成分(a)及び前記成分(b)とは異なるエポキシ樹脂であって、下記の構造式(1)で示される、エポキシ当量が2,500g/eq以上であり、重量平均分子量が20,000〜100,000の範囲内の高分子量エポキシ樹脂、
を含有するとともに、前記式(1)において、Xの構造のうち45%以上が、前記式(2)で示される構造であり、
エポキシ当量が500g/eq以下のエポキシ樹脂成分の合計100重量部に対して、前記成分(a)の液状エポキシ樹脂の配合量が10〜70重量部の範囲内であり、前記成分(b)の結晶性エポキシ樹脂の配合量が30〜90重量部の範囲内であるとともに、
前記成分(a)と前記成分(b)の合計量100重量部に対して、前記成分(d)の配合量が100重量部以下であるエポキシ樹脂組成物。 - 前記成分(b)が、4,4’−ジグリシドキシビフェニルを20質量%以上含有するものである請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記成分(a)を構成するエポキシ化合物が、分子中に芳香環を有する請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記成分(a)が、単一構造のエポキシ化合物から構成される請求項1から3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記成分(a)と前記成分(b)の混合物が、150℃において液状であり、かつそのときの粘度が100mPa・s以下である請求項1から4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記成分(a)と前記成分(b)の混合物に占める前記成分(b)の割合[重量%]を、150℃における溶融粘度[mPa・s]で除して得られた値が1.1以上である請求項1から5のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記成分(c)が、イミダゾール化合物を含有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
- さらに、熱伝導率が3W/m・K以上の金属、金属酸化物及び金属窒化物からなる群より選ばれる1種又は2種以上を、エポキシ樹脂組成物中の樹脂成分100重量部に対して、1〜2000重量部の範囲内で含有する請求項1から7のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1から8のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を溶剤に溶解し、基材に塗工・乾燥してなる樹脂シート。
- 前記基材が、離型剤を塗布したPETフィルムである請求項9に記載の樹脂シート。
- 前記基材が、金属箔である請求項9に記載の樹脂シート。
- 請求項1から8のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなるエポキシ樹脂硬化物。
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