JP6157432B2 - ディーゼルエンジンの潤滑油供給システム - Google Patents

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Description

本発明は、船舶等を推進するための動力機関や電力を発電するための発電機関など、あらゆる用途に広く用いられるディーゼルエンジンに潤滑油を供給するための潤滑油供給システム及びこれを使用した潤滑油供給方法に関する。
船舶には、船舶を推進するための動力機関として、あるいは、舵、荷役設備、バウスラスター、エンジン等の機械制御や船舶内での生活に用いる電力を発電するための発電機関としてディーゼルエンジンが搭載される。そして、このようなディーゼルエンジンのエンジン内部には、軸受け部分など金属部品が摺動する箇所の摩耗を抑えるとともに、部品間の隙間をなくし、さらに冷却作用を促すために潤滑油が供給される。
通常、4サイクルディーゼルエンジンあるいは2サイクルディーゼルエンジンのクランクケース内で使用される潤滑油はサプライポンプ(供給ポンプ)によりエンジン内部に供給され、ピストンやベアリングなど各部品に行きわたると、自重によりエンジン下部のオイルパンに落下し、移送ポンプ(回収ポンプ)で専用のリザーバタンクに回収された後、サプライポンプによって再びエンジン内部に供給されるが(循環方式によっては、オイルパンに落下した潤滑油はサプライポンプ(供給ポンプ)で直接エンジン内部に供給される場合もある)、このようにエンジン内部を循環する潤滑油には、エンジンの駆動により、エンジン内部から生じた金属摩耗粉や燃料の燃焼残渣物等の不純物が混入する。また、潤滑油自体も燃焼により消失したり、高温による酸化・変性が生じたり、潤滑油に含有される添加剤を喪失するなどして性能が徐々に低下することとなる。
このような潤滑油への不純物の混入や潤滑油自体の変質は、潤滑油の粘度の増加につながり、潤滑油は流動性を損なうため、エンジンへの冷却作用が低下したり、エンジン各部への潤滑油の供給が不十分となりエンジンの寿命を著しく縮めることとなる。また、不純物の混入は、エンジン内部の摩耗をさらに進行させ、構造部品を傷め、エンジンを故障させる原因ともなる。このため従来より、潤滑油が燃焼等により消失した分は、新しい潤滑油を補充しつつも、所定の期間、エンジンを駆動した後は、エンジン内部の潤滑油をすべて廃棄し、新しい潤滑油と入れ替えることが一般的であった。
また、船舶で使用される動力用のクロスヘッド型2サイクルディーゼルエンジンは、クランクケース内の各部の潤滑のために繰り返し使用される潤滑油(システム油)とは別に、シリンダライナとピストンリングとの間の潤滑のためにシリンダ油が供給される。シリンダ油は、シリンダ油を貯蔵する供給タンクから供給され、シリンダライナに設けられた注油ノズルを通りエンジン内に注入される。エンジン内に供給されたシリンダ油は、その全てがエンジン内に残存して潤滑に供されるわけではなく、燃料と共に燃焼したり、ピストンリングの往復運動によりシリンダライナの内壁面から下方に設置されるランタンスペースに掻き落とされる。
掻き落とされたシリンダ油には、エンジン内部の摩耗により生じた金属粉や燃料が燃焼して発生したカーボン等の不純物が多量に含まれており、再利用することは困難であるため、ランタンスペースに連通して設けられた排油管から排出され、ドレン油として廃棄される。したがって、供給タンクには、燃焼やドレン油として廃棄したシリンダ油の減少分として、常に新たなシリンダ油を補充する必要がある。
しかしながら、船舶に用いられるエンジンは推進力を得るために出力が大きく大型であり、また、発電機関として設置する場合にはエンジンを複数台設置することが通常であることから、廃棄する潤滑油の量は膨大であり、コストの高騰を招くばかりでなく、廃棄油の処理においては環境への影響を十分検討する必要性があった。
このため、潤滑油の特性(粘度や酸/塩基価)を安定に維持し、潤滑油の廃棄する量を少なくしながら、4サイクルあるいは2サイクルディーゼルエンジンを長期間に亘り駆動することができる潤滑油供給システムの開発が望まれている。
特開2002−266616号公報
本発明は、潤滑油の特性(粘度や酸/塩基価)を安定に維持しながら、潤滑油を循環供給することにより、船舶等を推進するための動力機関や電力を発電するための発電機関など、あらゆる用途に広く用いられるディーゼルエンジンを長期間に亘り安定して駆動することができる潤滑油供給システム及び潤滑油供給方法を提供するものである。
前記課題を解決するために本発明者らが検討を行った結果、潤滑油を貯蔵する貯蔵タンクからエンジン内部に循環供給する潤滑油の粘度又は酸/塩基価を計測し、計測した潤滑油の粘度又は酸/塩基価に応じて、粘度又は酸/塩基価において循環供給する潤滑油と相対差を有する1又は2以上の補充潤滑油を所定量、貯蔵タンク又はエンジン内部に供給することで、潤滑油の特性を維持し、エンジンを長期間に亘り安定に駆動することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、クロスヘッド型2サイクルディーゼルエンジンのシステム油を4サイクルディーゼルエンジンの潤滑油としても循環供給するためのシステム油の供給システムであって、前記クロスヘッド型2サイクルディーゼルエンジンと前記4サイクルディーゼルエンジンとの間で循環されるシステム油を貯蔵するための貯蔵タンクと、平行に配置された多数の薄い紙の間にシステム油を流過させることでシステム油に含まれる不純物を紙の表面に付着させて除去するフィルタ装置と遠心分離機を連結し前記貯蔵タンク内のシステム油を循環して浄化する浄化手段と、前記貯蔵タンクと前記クロスヘッド型2サイクルエンジン又は前記4サイクルエンジンとの間を循環するシステム油の粘度及び酸/塩基価を計測するための粘度計測手段及び酸/塩基価計測手段と、粘度及び酸/塩基価において循環する前記システム油と相対差を有する1又は2以上の補充システム油と、を備え、前記粘度計測手段及び前記酸/塩基価計測手段で計測した前記システム油の粘度及び酸/塩基価に応じて、所定量の前記補充システム油を前記貯蔵タンクに供給し、前記クロスヘッド型2サイクルディーゼルエンジンのシステム油を前記4サイクルディーゼルエンジンの潤滑油としても循環供給可能としたことを特徴とするディーゼルエンジンのシステム油供給システムである。
さらに本発明は、粘度及び酸/塩基価に相対差を有する前記補充システム油を複数備え、計測した前記システム油の粘度及び酸/塩基価に応じて、複数の前記補充システム油を所定の粘度及び酸/塩基価に混合調整し前記貯蔵タンクに供給可能としたことを特徴とするディーゼルエンジンのシステム供給システムである。
さらに本発明は、複数の前記補充システム油を、これと同数の弁機構を底部に備えた補充タンクにそれぞれ貯蔵し、計測した前記システム油の粘度及び酸/塩基価に応じて、前記補充タンクの弁機構を開閉し所定の粘度及び酸/塩基価に調整した前記補充システム油を前記貯蔵タンクに供給可能としたことを特徴とするディーゼルエンジンのシステム油供給システムである。
さらに本発明は、計測した前記システム油の粘度及び酸/塩基価に応じて前記補充タンクの弁機構を自動的に開閉制御するための弁機構自動開閉手段を備え、所定の粘度及び酸/塩基価に調整した前記補充システム油を前記貯蔵タンクに自動供給可能としたことを特徴とするディーゼルエンジンのシステム油供給システムである。
さらに本発明は、前記浄化手段は、前記システム油中のn−ペンタン不溶解分を0.2%以下に保つことを特徴とするディーゼルエンジンのシステム油供給システムである。
さらに本発明は、共通の前記貯蔵タンクから複数のディーゼルエンジンのエンジン内部に前記システム油を循環供給することを特徴とするのディーゼルエンジンのシステム油供給システムである。
また本発明は、クロスヘッド型2サイクルディーゼルエンジンのシステム油を4サイクルディーゼルエンジンの潤滑油としても循環供給するためのシステム油の供給方法であって、前記クロスヘッド型2サイクルディーゼルエンジンと前記4サイクルディーゼルエンジンとの間で循環されるシステム油を貯蔵するための貯蔵タンクと、平行に配置された多数の薄い紙の間にシステム油を流過させることでシステム油に含まれる不純物を紙の表面に付着させて除去するフィルタ装置と遠心分離機を連結し前記貯蔵タンク内のシステム油を循環して浄化する浄化手段と、前記貯蔵タンクと前記クロスヘッド型2サイクルエンジン又は前記4サイクルエンジンとの間を循環するシステム油の粘度及び酸/塩基価を計測するための粘度計測手段及び酸/塩基価計測手段と、粘度及び酸/塩基価において循環する前記システム油と相対差を有する1又は2以上の補充システム油と、を備え、粘度計測手段及び酸/塩基価計測手段で計測した前記システム油の粘度及び酸/塩基価に応じて、前記補充システム油を所定量、前記貯蔵タンクに供給することを特徴とするディーゼルエンジンのシステム油供給方法である。
さらに本発明は、計測した前記システム油の粘度及び酸/塩基価に応じて、粘度及び酸/塩基価に相対差を有する複数の前記補充システム油を所定の粘度及び酸/塩基価に混合調整し前記貯蔵タンクに供給することを特徴とするディーゼルエンジンのシステム油供給方法である。
さらに本発明は、複数の前記補充システム油を、これと同数の弁機構を底部に備えた補充タンクにそれぞれ貯蔵し、計測した前記システム油の粘度及び酸/塩基価に応じて、前記補充タンクの弁機構を開閉し所定の粘度及び酸/塩基価に調整した前記補充システム油を前記貯蔵タンクに供給することを特徴とするディーゼルエンジンのシステム油供給方法である。
さらに本発明は、計測した前記システム油の粘度及び酸/塩基価に応じて前記補充タンクの弁機構を自動的に開閉制御するための弁機構自動開閉手段を設置し、所定の粘度及び酸/塩基価に調整した前記補充システム油を前記貯蔵タンクに自動供給可能としたことを特徴とするディーゼルエンジンのシステム油供給方法である。
さらに本発明は、共通の前記貯蔵タンクから複数のディーゼルエンジンのエンジン内部に前記システム油を循環供給することを特徴とするディーゼルエンジンのシステム油供給方法である。
本発明のディーゼルエンジンの潤滑油供給システム(潤滑油供給方法)によれば、潤滑油の特性(粘度や酸/塩基価)を一定に保持することができ、船舶等を推進するための動力機関や電力を発電するための発電機関など、あらゆる用途に広く用いられるディーゼルエンジンを長期間に亘り、安定して駆動することができる。
交換する潤滑油を少なくする(あるいは無くす)ことができるため、潤滑油の交換に必要な労力、時間を少なくし(あるいは無くし)てコストを削減することができるとともに、廃棄油を処理するためのコストと環境負荷を削減することができる。
さらに貯蔵タンクに遠心分離機、フィルタ装置等の浄化手段を連結し、貯蔵タンク内の潤滑油を浄化手段を通して循環することにより、エンジン内部の各部品の摩耗を顕著に抑えることができ、部品交換の労力及びコストを削減することができる。
4サイクルディーゼルエンジンを対象とした潤滑油供給システム(第1の実施態様)を示す概念図 4サイクルディーゼルエンジンを対象とした潤滑油供給システム(第2の実施態様)を示す概念図 フィルタ装置の構造を示す概念図 4サイクルディーゼルエンジンを対象とした潤滑油供給システム(第3の実施態様)を示す概念 2サイクルディーゼルエンジンの構造を示す概念図 2サイクルディーゼルエンジンを対象とした潤滑油供給システム(第4の実施態様)を示す概念図 2サイクルディーゼルエンジンを対象とした潤滑油供給システム(第5の実施態様)を示す概念図 補充潤滑油の供給量と潤滑油の粘度の変化を示すグラフ 補充潤滑油の供給量と潤滑油の塩基価の変化を示すグラフ
以下、本発明を実施するための形態を図面にしたがって説明する。
本発明のディーゼルエンジンの潤滑油供給システムは、図1、図2に示すように、ディーゼルエンジン(2)と、当該ディーゼルエンジン(2)のエンジン内部に循環供給する潤滑油(4)を貯蔵するための貯蔵タンク(3)と、当該貯蔵タンク(3)とエンジン内部との間を循環する潤滑油(4)の粘度又は酸/塩基価を計測するための粘度計測手段(5a)又は酸/塩基価計測手段(5b)と、粘度又は酸/塩基価において循環する潤滑油と相対差を有する1又は2以上の補充潤滑油(7)と、を備え、粘度計測手段(5a)又は酸/塩基価計測手段(5b)で計測した潤滑油の粘度又は酸/塩基価に応じて、所定量の補充潤滑油を貯蔵タンク又はエンジン内部に供給可能としたことを特徴とするものであり、船舶等を推進するための動力機関や電力を発電するための発電機関など、あらゆる用途に用いられるディーゼルエンジンに広く利用することができるものである。尚、図1及び図2は、本発明の潤滑油供給システムを4サイクルデーゼルエンジンに適用した態様を示している。
ここで、潤滑油の酸/塩基価とは、精度良く計測できる酸価あるいは塩基価のいずれかの値を潤滑油の特性を示す指標として計測すればよく、潤滑油の特性や計測装置により、少なくとも酸価あるいは塩基価のいずれかを選択して計測し、その数値に応じて補充潤滑油を貯蔵タンク又はエンジン内部に供給すればよい。
また図1、図2に示すように、粘度又は酸/塩基価に相対差を有する複数の補充潤滑油(8a,8b)をそれぞれ貯蔵する補充タンク(7a,7b)を設置すれば、計測した潤滑油の粘度又は酸/塩基価に応じて複数の補充潤滑油を混合し、所定の粘度又は酸/塩基価に調整して貯蔵タンク又はエンジン内部に効率的に供給することができる。
エンジン内部を循環する潤滑油には、エンジンの駆動により、エンジン内部から生じた金属摩耗粉や燃料の燃焼残渣物等の不純物が混入する。また、潤滑油自体も燃焼により消失したり、高温による酸化・変性が生じたり、潤滑油に含有される添加剤を喪失するなどして性能が徐々に低下することとなる。このような潤滑油への不純物の混入や潤滑油の変質は、潤滑油の粘度の増加や塩基価の低下(酸価の上昇)につながり、潤滑油は流動性や清浄分散性を損なうことから、エンジンへの冷却作用が低下したり、軸受け部分など摺動部品間の摩耗が増大する結果、エンジンの寿命を著しく縮めることとなる。
従来は、燃焼等により消失した潤滑油の減少分は、新たな潤滑油を減少分だけ補充し、ある程度粘度を保持しながら継続してエンジンを駆動するが、所定の期間、エンジンを駆動した後は、エンジン内部の潤滑油をすべて廃棄し、新しい潤滑油と入れ替える必要があったが、図1に示すように、貯蔵タンク(3)からエンジン内部に循環供給する潤滑油(4)の粘度又は酸/塩基価を計測するための粘度計測手段(5a)又は酸/塩基価計測手段(5b)と、粘度又は酸/塩基価に相対差を有する複数の補充潤滑油(8a,8b)をそれぞれ貯蔵するための補充タンク(7a,7b)と、を備え、粘度計測手段(5a)又は酸/塩基価計測手段(5b)で計測した潤滑油の粘度又は酸/塩基価に応じて、補充タンク(7)から所定の粘度又は酸/塩基価の補充潤滑油を貯蔵タンク(3)又はエンジン(2)内部に供給することにより、潤滑油の流動性や品質を一定に保持することができ、ディーゼルエンジンを長期間に亘り、安定して駆動することが可能となる。
このようにして潤滑油の特性(粘度や酸/塩基価)を一定に保持することで、交換する潤滑油を少なく(あるいは無くす)ことができ、潤滑油の交換に必要な労力、時間を少なくし(あるいは無くし)てコストを削減することができるとともに、廃棄油を処理するにあたり環境への負担を軽減することができる。
図1では、2種類の補充潤滑油(8a,8b)を、2つの補充タンク(7a,7b)に充填した例を示すが、粘度(あるいは酸/塩基価)に相対差を有する補充潤滑油をさらに多く設置すれば、あらゆる粘度(酸/塩基価)にも対応することができるため、エンジンの大きさや形式にかかわらず、広くディーゼルエンジンに採用することが可能となる。また、補充タンクは複数の補充潤滑油をそれぞれ貯蔵することができるよう複数設置することができるが、1つの補充タンクの内部を区分けして、複数の補充潤滑油をそれぞれ貯蔵できるような構造としてもよい。
補充潤滑油は、特に限定されるべきものではなく、エンジンの特性に応じて適宜選定すべきものであるが、エンジンを駆動すると潤滑油は、不純物の混入や酸化・変性のために粘度が増加する傾向にあるため、補充潤滑油は、粘度を低く調整できるように準備することが望ましい。例えば、一方の補充潤滑油には、使用する以前の潤滑油と同程度の粘度のものを用意し、他方の補充潤滑油には潤滑油より粘度の低いものを用意し、これらの混合割合を調節して所定の粘度の補充潤滑剤を調整することが好ましい。
また、潤滑油はエンジン内部での燃焼等による酸化や添加剤の喪失により、塩基価は低下(酸価は上昇)する傾向にあるため、補充潤滑油は、塩基価を高く(酸価を低く)調整することができるように準備することが望ましい。例えば、一方の補充潤滑油には、初期の潤滑油と同程度の酸/塩基価のものを用意し、他方の補充潤滑油には塩基価の高いもの(酸価の低いもの)を用意し、これらの混合割合を調節して、所定の酸/塩基価の補充潤滑剤を調整することが好ましい。
所定の粘度又は酸/塩基価に調整された補充潤滑油は、潤滑油が循環する経路のいずれかの箇所で供給され、最終的に貯蔵タンク(3)あるいはエンジン(2)内部に供給される態様であればいずれでもよく、例えば、図1に示すように貯蔵タンク(3)に供給するものや、図2に示すようにエンジン(2)内部に供給するものなど、潤滑油が循環する循環経路の形態に応じて適宜設定すればよい。
また図1、図2は、潤滑油の循環経路を示すものであり、潤滑油はサプライポンプ(供給ポンプ)(10)によりエンジン内部に供給され、ピストンやベアリングなど各部品に行きわたると、自重によりエンジン下部のオイルパン(11)に落下し、移送ポンプ(回収ポンプ)(12)で貯蔵タンク(リザーバタンク)(3)に回収された後、サプライポンプ(10)によって再びエンジン内部に供給されるが、本発明の潤滑油供給システムは、自重で落下したオイルパン内の潤滑油をサプライポンプ(供給ポンプ)で直接エンジン内部に供給するような循環経路であっても、貯蔵タンク(3)に相当するオイルパン又はエンジン内部に所定の粘度又は酸/塩基価の補充潤滑油を供給することで本発明の効果を得ることができる。
潤滑油の粘度を計測するための粘度計測手段としては、所定の容器に満たされた液体を、重力により低い位置に流動させ、流動時間により粘性を測定する細管式測定法、潤滑油中に入れた回転体に一定の回転運動をさせ、この時、回転するのに必要となるトルクから粘度に測定する回転式測定法、及び、潤滑油中に入れた振動子を、変位量一定の条件にて加振し、この時、振動させるのに必要となる力を検出することで、粘性を測定する振動式測定法等があり、潤滑油の循環経路に応じて適宜いずれの測定法を採用することが可能ではあるが、赤外線分光分析装置を用いれば、粘度の計測を精度よく行うことができ、振動体の振幅により流体の粘度を計測する粘度計測器を用いれば、循環経路内を循環する潤滑油の粘度を随時容易に計測することができ、潤滑油の粘度を適切な範囲内に確実に保持することが可能となる。
潤滑油の塩基価を測定するための計測手段としては、日本工業規格(JIS K2501)などで定められるように、一般に、潤滑油をトルエン、イソプロピルアルコールおよび少量の水の混合溶剤に溶かし、塩酸または過塩素酸で滴定し、終点の判定には一般には電位差の変化を求めて行われる。また、塩基性添加剤を含む潤滑油の塩基価を精度よく定量するために、過塩素酸滴定法(逆滴定法も含む)も広く用いられる。塩基価(BN)は、試料1g中に含まれる塩基性成分を中和するのに要する酸と当量の水酸化カリウムの量(mg)を示す指標である。潤滑油の循環経路に応じて適宜いずれの測定法を採用することが可能ではあるが、塩基価計測手段として自動滴定装置や赤外線分光分析装置を用いれば、塩基価の計測を精度よく行うことができ、潤滑油の塩基価を適切な範囲内に確実に保持することが可能となる。
潤滑油の酸価の測定は、日本工業規格(JIS K2501)などで定められるように、潤滑油中にの有機酸、無機酸、エステル、フェノール化合物、ラクトン、レジン、重金属塩、酸化防止剤および清浄剤等による酸価を定量するものである。酸価(AN)の測定法には、大別して指示薬法(p-ナフトールベンゼイン指示薬)(国際規格ISO 6618−1997)と電位差滴定法(国際規格ISO 6619−1988)があるが、その他にも、電位差滴定法による中和価試験法(ASTM D664−1995)や指示薬光度滴定法(自動滴定法)(石油学会規格JPI-58−48−97)等がある。また潤滑油中の酸化物、摩耗粉、炭化物、水分は油の誘電率に影響を及ぼすことから、潤滑油の誘電率の変化を利用して酸価を計測するセンサを用いれば、循環経路内を循環する潤滑油の酸価を随時容易に計測することができ、潤滑油を適切な範囲内に確実に保持することが可能となる。
粘度計測手段(5a)あるいは酸/塩基価計測手段(5b)は、循環する潤滑油の粘度あるいは酸/塩基価を精度よく測定する位置であれば、特に設置する位置を限定されるものではなく、図1に示すような、貯蔵タンク(3)からエンジン(2)内部への経路途中だけでなく、例えば、貯蔵タンク(3)あるいはエンジン(2)下部のオイルパン(11)など、潤滑油の粘度あるいは酸/塩基価を測定できるような適切な位置に設置することができる。
複数の補充潤滑油(8a,8b)は、これと同数の弁機構(9a,9b)を底部に備えた補充タンク(7a,7b)にそれぞれ貯蔵し、計測した潤滑油の粘度(あるいは酸/塩基価)に応じて、各補充タンクの弁機構(9a,9b)を開閉し所定の粘度に調整した補充潤滑油を貯蔵タンク又はエンジン内部に供給してもよい。各々の弁機構は、その開閉時間や開閉度合いを制御することで、高粘度(あるいは高い酸/塩基価)の潤滑油と低粘度(あるいは低い酸/塩基価)の潤滑油との配合割合を調整し、所定の粘度(あるいは酸/塩基価)の補充潤滑剤を得ることができる。補充タンクは複数の補充潤滑油をそれぞれ貯蔵することができるよう、弁機構を底部に備えた補充タンクを複数設置することができるが、1つの補充タンクの内部を区分けして複数の小室を形成し、各小室の底部にそれぞれ弁機構を備えた構造としてもよい。
弁機構(9a,9b)の開閉は、手動あるいは半自動で行うことも可能ではあるが、計測した潤滑油の粘度又は酸/塩基価に応じて弁機構(9a,9b)を自動的に開閉制御するための弁機構自動開閉手段(コントローラ)(6)を備えることにより、所定の粘度又は酸/塩基価に調整した補充潤滑油を貯蔵タンク(3)又はエンジン(2)内部に自動供給することができる。このような弁機構自動開閉手段(コントローラ)(6)を備えれば、エンジンの駆動中にも自動的に補充潤滑油を供給し、潤滑油の特性を一定に保持することができるため、エンジンの性能を確実に維持することができる。
弁機構(9a,9b)を自動的に開閉制御するための方法としては、例えば、計測した潤滑油の粘度又は酸/塩基価を電気的信号に変換し、あらかじめ定めた閾値を越えた際に弁機構に備えたアクチュエータに信号が送られ、アクチュエータの作動により弁が適切に開閉するなどの方法を採用することができる。
粘度又は酸/塩基価に相対差を有する複数の補充潤滑油(8a,8b)を備えることで、エンジン内部の潤滑油の特性を維持することが可能となるが、補充タンク(7a,7b)とは別に、減少した添加剤を補充するための添加剤の補充タンク(図示せず)を適宜設置してもよい。
貯蔵タンク(3)には、図1に示すように、浄化手段(13)として遠心分離機(14)とフィルタ装置(14)を連結し、貯蔵した潤滑油を遠心分離機(14)及びフィルタ装置(15)を通して循環することにより潤滑油(4)を浄化することができる。貯蔵タンク(3)内の潤滑油を遠心分離機(14)とフィルタ装置(15)を通して循環させることにより、潤滑油に含有される金属粉やカーボン等の不純物を効率的に取り除くことができ、潤滑油を浄化することができる。
潤滑油への不純物の混入は、潤滑油の粘度の増加につながり、流動性が損なわれるなどして、エンジンへの冷却作用が低下するばかりでなく、大きい粒径の不純物はエンジン内部の摩耗を促進し、構造部品を傷め、エンジンを故障させる原因となるが、浄化手段(13)により潤滑油(4)から不純物を除去することでエンジン内部の摩耗を防止することができる。
遠心分離機(14)は、潤滑油(4)に含有される10μm以上の比較的大きい不純物を除去することを目的とするものである。また、フィルタ装置(15)は、潤滑油の精密濾過を目的とするものであり、例えば、図3に示すような、薄い紙(16)を多数積層したフィルタエレメント(17)を利用する精密濾過装置を使用して、潤滑油中に混入するエンジンの摩耗による生じた金属粉や燃料の燃焼により発生したカーボン等の微小粒子をブラウン運動を利用して紙の繊維に付着させて除去することが好ましい。かかる精密濾過装置は、特開平11−257038号公報に開示されており、ティッシュペーパーのような薄い紙を多数積層したフィルタエレメントを含み、紙の積層間隙に潤滑油が流過するように潤滑油を液通路(18)に流すことにより、シリンダ油中に含有される金属粉やカーボン等の不純物を微小粒子のブラウン運動により紙の繊維に付着させ除去するようにしたものであり、1μm以上の不純物を効果的に除去することが可能である。
フィルタエレメント(17)は、長尺の紙をトイレットペーパー状に巻回した構造であっても、円板状に切断した紙を多数積層したものであっても良い。かかる精密濾過手段での濾過は、シリンダ油に混入する不純物が、ブラウン運動により油中を移動し、紙の繊維に付着することにより達成される。従って、不純物の濾過を効果的に達成するには、油中において不純物が十分なブラウン運動を発揮できる状態であることが要求される。本発明者の実験と試験の結果、油中において不純物が十分なブラウン運動を発揮するためには、油中に存在する不純物濃度が0.5%以下であることが判明した。これよりも不溶解分の割合が多いと、油中における不純物のブラウン運動が低下し、エンジンの内壁等に付着した不純物の油中への移動が減少するとともに、油中に存在している不純物の移動量も減少し、紙の繊維への付着量が少なくなり、濾過効率が低下する。
このためフィルタ装置(15)で濾過する前には遠心分離機(14)で潤滑油中にある比較的大きい不純物を除去するが、貯蔵タンク(3)内の潤滑油に含まれる不純物の濃度が高い場合には、遠心分離機(14)とフィルタ装置(15)を連結した循環経路とは別に、清浄機(19)を貯蔵タンク(3)に連結することが好ましい。貯蔵タンク(3)内の潤滑油を清浄機(19)を介して循環すれば、水分や10μm以上の大きい不純物をあらかじめ取り除くことができるため、遠心分離機(14)とフィルタ装置(15)による浄化処理において、フィルタ装置(15)のフィルタの目詰まりをより少なくすることができ、不純物の除去効率をさらに向上させることができる。
潤滑油に混入する、摩耗金属粉、カーボン、酸化物等の不純物は、n−ペンタンに溶解しないことから、潤滑油中の不純物量を評価するための指標としてn−ペンタン不溶解分(試験法:JPI-5S-18)が用いられるが、潤滑油に含有されるn−ペンタン不溶解分は、遠心分離機(14)とフィルタ装置(15)を用いた浄化処理を行うことにより、0.2%以下、好ましくは0.1%以下に維持することが望ましい。潤滑油に含有されるn−ペンタン不溶解分を0.2%以下に維持することで、潤滑油中の不純物量によるエンジン部品の摩耗を確実に抑制することができる。
図4は、共通の貯蔵タンク(3)から複数のディーゼルエンジンのエンジン内部に潤滑油を循環供給する態様を示す。発電機を駆動するための発電用原動機(20)には、一般的に4サイクルディーゼル機関が用いられるが、動力機関である4サイクルディーゼルエンジン(2a)に循環する潤滑油(4)を発電用原動機(20)にも供給することができる。このように共通の貯蔵タンクから複数のディーゼルエンジンのエンジン内部に潤滑油を循環供給すれば、複数のデーゼルエンジンに供給する潤滑油の粘度等の管理をまとめて行うことができ、監視に要する労力を大幅に軽減することができる。また、貯蔵タンクを共通にすることで船舶等の限られた空間にも複数のディーゼルエンジンを無理なく設置することができるとともに、使用する潤滑油の量を最小限に抑えることができる。共通の貯蔵タンクから潤滑油が供給される複数のディーゼルエンジンは、4サイクルディーゼルエンジンだけに限らず、4サイクルディーゼルエンジンと2サイクルディーゼルエンジンとを組み合わせて設置することもできる。
図5は、クロスヘッド型2サイクルディーゼルエンジンの構造を示すものである。船舶で使用される動力用のクロスヘッド型2サイクルディーゼルエンジンは、クランクケース(32)内の各部の潤滑のために繰り返し使用されるシステム油とは別に、シリンダライナ(25)とピストンリング(22)との間の潤滑のためにシリンダ油(41)が供給される。シリンダ油(41)は、シリンダ油を貯蔵する供給タンク(42)から供給され、シリンダライナ(25)に設けられた注油ノズル(38)を通りエンジン内に注入される。エンジン内に供給されたシリンダ油は、その全てがエンジン内に残存して潤滑に供されるわけではなく、燃料と共に燃焼したり、ピストンリングの往復運動によりシリンダライナの内壁面から下方に設置されるランタンスペース(35)に掻き落とされる。
掻き落とされたシリンダ油には、エンジン内部の摩耗により生じた金属粉や燃料が燃焼して発生したカーボン等の不純物が多量に含まれており、従来は、再利用することは困難であるため、ランタンスペース(35)に連通して設けられた排油管(40)から排出され、ドレン油として廃棄されていた。したがって、供給タンク(42)には、燃焼やドレン油として廃棄したシリンダ油の減少分として、常に新たなシリンダ油を補充する必要があった。
本発明の潤滑油供給システムは、このような2サイクルディーゼルエンジンに使用されるシステム油(43)、シリンダ油(41)について、それぞれ循環しながら再供給することを可能としている。図6は、本発明の潤滑油供給システムを2サイクルディゼルエンジンに適用した例を示すものである。クランクケース(32)内を潤滑するシステム油(43)は、エンジン内部で繰り返し使用されるものであり、図1に示す4サイクルディーゼルエンジンと同様の経路を経ることで、適正な粘度又は酸/塩基価を維持しながら、クランクケース内に再供給することができる。
所定の粘度又は酸/塩基価に調整された補充潤滑油(8)は、潤滑油が循環する経路のいずれかの箇所で供給され、最終的に貯蔵タンク(3)あるいはクランクケース(32)内部に供給される態様であればいずれでもよく、例えば、図6に示すように貯蔵タンク(3)に供給するほか、直接、クランクケース(32)内部に供給するなど、潤滑油が循環する循環経路の形態に応じて適宜設定すればよい。
2サイクルディーゼルエンジンのシリンダ油(41)は、シリンダライナ(25)の下方に設置されたランタンスペース(35)から回収タンク(45)に回収され、貯蔵タンク(46)に貯蔵される。シリンダ油(41)は貯蔵タンク(46)と遠心分離機(47)あるいはフィルター装置(48)との間で循環させることにより浄化処理され、その後、供給タンク(42)に移送され、注油ノズル(38)からシリンダ部(23)内に再供給される。
貯蔵タンク(46)には遠心分離機(47)を連結し、貯蔵タンクと遠心分離機の間でシリンダ油を循環させる第1の循環回路(A)を形成する。また、第1の循環回路とは別に、貯蔵タンク(46)と前記遠心分離機(47)との間にフィルタ装置(48)を連結し、シリンダ油(41)を貯蔵タンク(46)からフィルタ装置(48)と遠心分離機(47)を経て貯蔵タンク(46)に戻す第2の循環回路(B)を形成する。第1の循環回路(A)と第2の循環回路(B)は、共通の遠心分離機を使用しており、省スペース化により船舶内の限られたスペースにも浄化システムを組み入れることができ、船舶の航行などエンジンの稼働中にも浄化処理を行いながら運航することができる。また、このような循環回路を形成することにより、浄化する程度に応じて第1の循環回路(A)によるシリンダ油の第1の浄化処理と第2の循環回路(B)によるシリンダ油の第2の浄化処理とを同時あるいは連続して行うことができる。
貯蔵タンク(46)内のシリンダ油(41)は、粘度計測手段(49a)又は酸/塩基価計測手段(49b)により、粘度又は酸/塩基価が計測される。そして計測した潤滑油の粘度又は酸/塩基価に応じて、補充タンク(51)から所定の粘度又は酸/塩基価の補充潤滑油を供給タンク(42)に供給することにより、シリンダ油の流動性や品質を一定に保持することができ、2サイクルディーゼルエンジンを長期間に亘り、安定して駆動することができる。
図7は、共通の貯蔵タンク(3)から複数のディーゼルエンジンのエンジン内部に潤滑油を循環供給する態様を示すもので、動力機関である2サイクルディーゼルエンジン(2b)に使用するシステム油(43)を発電用原動機(20)にも供給する例を示している。また図には示さないが、2サイクルディーゼルエンジンのシリンダ油についても、他のディーゼルエンジンに供給することが可能である。このように2サイクルディーゼルエンジンについても潤滑油を他のエンジンと共用することが可能であり、船舶等の限られた空間にも複数のディーゼルエンジンを設置することができるとともに、使用する潤滑油の量を最小限に抑えることができる。
本発明のディーゼルエンジンの潤滑油供給システム(潤滑油供給方法)を、図1のようにして4サイクルデーゼルに適用した場合の効果の確認試験を実施例として記載する。
「確認試験1」
本発明のディーゼルエンジンの潤滑油供給システムを適用した発電機関(4サイクルディーゼルエンジン(ヤンマ株式会社製1768馬力8N21AL-EV型4ストローク機関))を12ヶ月に亘り連続して駆動し、各月ごとに補充した補充潤滑油の補充量と、潤滑油の粘度及び塩基価の変化について計測した。
4サイクルディーゼルエンジンに使用する潤滑油には、トランクピストン型ディーゼル機関油を使用し、補充潤滑剤には、潤滑油と同一の補充潤滑油1(高粘度・高塩基価)と補充潤滑油2(低粘度・低塩基価)の2種類を用意した。補充潤滑油1と補充潤滑油2の特性は、表1に示す通りである。エンジンには、補充タンクから所定粘度に調整した補充潤滑油を供給するとともに、潤滑油の貯蔵タンクには遠心分離機とフィルタ装置を連結し、遠心分離機とフィルタ装置を通して循環することにより潤滑油を浄化した。
Figure 0006157432
図8は、4サイクルディーゼルエンジンの連続駆動にともなう1ヶ月ごとの2種類の補充潤滑油の供給量(補充量)と、補充潤滑油を供給した後の潤滑油の粘度の変化を示すものである。初期(0月)の潤滑油の粘度は比較的高く、約114mm /sであることから、次の月(1月)には、高粘度の補充潤滑油1を約1800Lと低粘度の補充潤滑油2を約200Lを補充し、粘度を約113mm /sとした。また、さらに次の月(2月)には、前月(1月)の粘度約113mm /sから粘度を下げるために、高粘度の補充潤滑油1を約900Lと低粘度の補充潤滑油2を約200Lを補充し、潤滑油の粘度を約111mm /sとした。また3月には、補充潤滑油を供給した後の潤滑油の粘度が若干低く、110.5mm /sであったことから、次月(4月)には高粘度の補充潤滑油(補充潤滑油1)のみを約1000L補充して粘度を約111.7mm /sに回復させている。一般的に、潤滑油の粘度が140mm /sを越えるとエンジンが故障するおそれがあるため、粘度の上限を粘度118mm /sと定めるが、確認試験では図8に示すように12ヶ月の間、潤滑油の粘度を110.5〜114mm /sの範囲で維持することができ、エンジンを安全に連続駆動することができた。
図9は、塩基価(BN)の推移を示すものである。図に示すように12ヶ月の間、潤滑油が酸化することによる塩基価の上昇を抑えつつ、塩基価を22〜24.7mgKOH/gの範囲で維持することができ、エンジンの保証基準である塩基価15〜25mgKOH/gの範囲内でエンジンを連続駆動することができた。
「確認試験2」
本発明のディーゼルエンジンの潤滑油供給システムを用いた動力機関において、4サイクルディーゼルエンジンを約4万8千時間(約10年間の運航に相当)に亘り駆動したときのエンジン内部の摩耗の度合いを計測した。エンジンには、確認試験1と同様、補充タンクから所定粘度の補充潤滑油を供給するとともに、潤滑油の貯蔵タンクには遠心分離機とフィルタ装置を連結し、遠心分離機とフィルタ装置を通して循環することにより潤滑油を浄化した。尚、フィルタ装置の目詰まりを防止するため、遠心分離機とフィルタ装置とは別に、貯蔵タンクに清浄機を連結し、大粒径の不純物をあらかじめ除去した。
Figure 0006157432
表2は、6259時間と48200時間駆動した後のエンジン内部の各部の摩耗量を計測した数値(mm)を示す。エンジンの性能を保証するためのメーカー基準値に対し、計測値からの摩耗量は著しく低い値を示しており、本発明の潤滑油供給システムによりエンジン各部の摩耗が顕著に抑えられていることを確認できた。このように本発明のディーゼルエンジンの潤滑油供給システムによれば、長期間(約4万8千時間(約10年間の運航に相当))に亘り、潤滑油やエンジン部品を交換することなく、4サイクルディーゼルエンジンを安定して連続駆動することが可能となる。
1 ディーゼルエンジンの潤滑油供給システム
2 ディーゼルエンジン
2a 4サイクルディーゼルエンジン
2b 2サイクルディーゼルエンジン
3 貯蔵タンク
4 潤滑油
5 計測手段
5a 粘度計測手段
5b 酸/塩基価計測手段
6 弁機構自動開閉手段(コントローラ)
7 補充タンク
7a 補充タンク
7b 補充タンク
8 補充潤滑油
8a 補充潤滑油
8b 補充潤滑油
9 弁機構
9a 弁機構
9b 弁機構
10 サプライポンプ
11 オイルパン
12 移送ポンプ
13 浄化手段
14 遠心分離機
15 フィルタ装置
16 積層紙
17 フィルタエレメント
18 液通路
19 清浄機
20 発電用原動機
21 ピストン
22 ピストンリング
23 シリンダ部
24 シリンダカバー
25 シリンダライナ
26 シリンダジャケット
27 ピストン棒
28 連結棒
29 クロスヘッド
30 クランク軸
31 アーム部
32 クランクケース
33 排気弁
34 ピストンスタッフィングボックス
35 ランタンスペース
36 吸気口
37 掃気口
38 注油ノズル
39 排気管
40 排油管(送油管)
41 潤滑油(シリンダ油)
42 供給タンク
43 潤滑油(システム油)
44 オイルパン
45 回収タンク
46 貯蔵タンク
47 遠心分離機
48 フィルタ装置
49 計測手段
49a 粘度計測手段
49b 酸/塩基価計測手段
50 弁機構自動開閉手段(コントローラ)
51 補充タンク
51a 補充タンク
51b 補充タンク
52 補充潤滑油
52a 補充潤滑油
52b 補充潤滑油
53 弁機構
53a 弁機構
53b 弁機構
P ポンプ
A 第1の循環回路(第1の浄化処理)
B 第2の循環回路(第2の浄化処理)

Claims (11)

  1. クロスヘッド型2サイクルディーゼルエンジンのシステム油を4サイクルディーゼルエンジンの潤滑油としても循環供給するためのシステム油の供給システムであって、前記クロスヘッド型2サイクルディーゼルエンジンと前記4サイクルディーゼルエンジンとの間で循環されるシステム油を貯蔵するための貯蔵タンクと、平行に配置された多数の薄い紙の間にシステム油を流過させることでシステム油に含まれる不純物を紙の表面に付着させて除去するフィルタ装置と遠心分離機を連結し前記貯蔵タンク内のシステム油を循環して浄化する浄化手段と、前記貯蔵タンクと前記クロスヘッド型2サイクルエンジン又は前記4サイクルエンジンとの間を循環するシステム油の粘度及び酸/塩基価を計測するための粘度計測手段及び酸/塩基価計測手段と、粘度及び酸/塩基価において循環する前記システム油と相対差を有する1又は2以上の補充システム油と、を備え、前記粘度計測手段及び前記酸/塩基価計測手段で計測した前記システム油の粘度及び酸/塩基価に応じて、所定量の前記補充システム油を前記貯蔵タンクに供給し、前記クロスヘッド型2サイクルディーゼルエンジンのシステム油を前記4サイクルディーゼルエンジンの潤滑油としても循環供給可能としたことを特徴とするディーゼルエンジンのシステム油供給システム。
  2. 粘度及び酸/塩基価に相対差を有する前記補充システム油を複数備え、計測した前記システム油の粘度及び酸/塩基価に応じて、複数の前記補充システム油を所定の粘度及び酸/塩基価に混合調整し前記貯蔵タンクに供給可能としたことを特徴とする請求項1記載のディーゼルエンジンのシステム供給システム。
  3. 複数の前記補充システム油を、これと同数の弁機構を底部に備えた補充タンクにそれぞれ貯蔵し、計測した前記システム油の粘度及び酸/塩基価に応じて、前記補充タンクの各弁機構を開閉し所定の粘度及び酸/塩基価に調整した前記補充システム油を前記貯蔵タンクに供給可能としたことを特徴とする請求項2記載のディーゼルエンジンのシステム油供給システム。
  4. 計測した前記システム油の粘度及び酸/塩基価に応じて前記補充タンクの弁機構を自動的に開閉制御するための弁機構自動開閉手段を備え、所定の粘度及び酸/塩基価に調整した前記補充システム油を前記貯蔵タンクに自動供給可能としたことを特徴とする請求項3記載のディーゼルエンジンのシステム油供給システム。
  5. 前記浄化手段は、前記システム油中のn−ペンタン不溶解分を0.2%以下に保つことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のディーゼルエンジンのシステム油供給システム。
  6. 共通の前記貯蔵タンクから複数のディーゼルエンジンのエンジン内部に前記システム油を循環供給することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のディーゼルエンジンのシステム油供給システム。
  7. クロスヘッド型2サイクルディーゼルエンジンのシステム油を4サイクルディーゼルエンジンの潤滑油としても循環供給するためのシステム油の供給方法であって、前記クロスヘッド型2サイクルディーゼルエンジンと前記4サイクルディーゼルエンジンとの間で循環されるシステム油を貯蔵するための貯蔵タンクと、平行に配置された多数の薄い紙の間にシステム油を流過させることでシステム油に含まれる不純物を紙の表面に付着させて除去するフィルタ装置と遠心分離機を連結し前記貯蔵タンク内のシステム油を循環して浄化する浄化手段と、前記貯蔵タンクと前記クロスヘッド型2サイクルエンジン又は前記4サイクルエンジンとの間を循環するシステム油の粘度及び酸/塩基価を計測するための粘度計測手段及び酸/塩基価計測手段と、粘度及び酸/塩基価において循環する前記システム油と相対差を有する1又は2以上の補充システム油と、を備え、粘度計測手段及び酸/塩基価計測手段で計測した前記システム油の粘度及び酸/塩基価に応じて、前記補充システム油を所定量、前記貯蔵タンクに供給することを特徴とするディーゼルエンジンのシステム油供給方法。
  8. 計測した前記システム油の粘度及び酸/塩基価に応じて、粘度及び酸/塩基価に相対差を有する複数の前記補充システム油を所定の粘度及び酸/塩基価に混合調整し前記貯蔵タンクに供給することを特徴とする請求項7記載のディーゼルエンジンのシステム油供給方法。
  9. 複数の前記補充システム油を、これと同数の弁機構を底部に備えた補充タンクにそれぞれ貯蔵し、計測した前記システム油の粘度及び酸/塩基価に応じて、前記補充タンクの各弁機構を開閉し所定の粘度及び酸/塩基価に調整した前記補充システム油を前記貯蔵タンクに供給することを特徴とする請求項8記載のディーゼルエンジンのシステム油供給方法。
  10. 計測した前記システム油の粘度及び酸/塩基価に応じて前記補充タンクの弁機構を自動的に開閉制御するための弁機構自動開閉手段を設置し、所定の粘度及び酸/塩基価に調整した前記補充システム油を前記貯蔵タンクに自動供給可能としたことを特徴とする請求項9記載のディーゼルエンジンのシステム油供給方法。
  11. 共通の前記貯蔵タンクから複数のディーゼルエンジンのエンジン内部に前記システム油を循環供給することを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載のディーゼルエンジンのシステム油供給方法。
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