JP5696199B2 - 船舶 - Google Patents

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Description

本発明は、低速の2サイクル機関(例えば、2サイクルディーゼル機関)を主機として搭載した船舶に関する。
近年、環境保全に対する観点から、船舶における主機から排出される排気ガスに含まれる窒素酸化物(以下、「NOx」と表記する。)を、特定の排気ガス規制海域内においてさらに削減しようとする動きが強まっている。NOx削減を図るためには、ディーゼル機関の排気ガスを脱硝触媒に通す方法が一般的に知られている(例えば、特許文献1および2参照。)。
ここで、脱硝触媒としては、アンモニア等を還元剤として窒素に還元する選択的還元法(SCR法)に基づく触媒が一般的に用いられている。
特公平7−6380号公報 特開平5−288040号公報
しかしながら、上述のような低速の2サイクルディーゼル機関であって、排気タービン過給機を備えたものの場合には、排気タービン過給機から排出された排気ガスの温度は300℃以下となる。
一般に、脱硝触媒におけるNOxの還元反応は、300℃から320℃よりも高い温度で行われることが好ましく、これよりも低温の排気ガスを脱硝触媒に通すと、脱硝触媒が短時間で劣化したり、NOx低減効果が低くなったりするという問題があった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、近い将来、特定の排気ガス規制海域内において予定されている排気ガスの規制強化に対応可能な船舶を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明に係る船舶は、発電機を駆動する4サイクル機関と、推進用のプロペラが取り付けられたプロペラ軸を駆動する2サイクル機関と、前記4サイクル機関で生成された排気ガスのみが通される脱硝装置と、前記発電機から電力の供給を受けて前記プロペラ軸を回転させる電動機としての機能を備えた軸モータまたは軸発電機モータとを備え、特定の排気ガス規制海域内では、前記2サイクル機関での前記プロペラ軸の駆動は行わず、前記発電機からの電力の供給のみで前記軸モータまたは前記軸発電機モータにより前記プロペラ軸を駆動し、前記特定の排気ガス規制海域外では、前記2サイクル機関の出力または回転数が所定値に達した場合に前記2サイクル機関の出力または回転数を前記所定値に保ち、前記4サイクル機関の出力のみを増減させる。
この構成によれば、特定の排気ガス規制海域外における航行時において、2サイクル機関と4サイクル機関とを併用して運転する場合、2サイクル機関は、4サイクル機関が供給する出力分だけ、出力および気筒数の少ないエンジンを搭載でき、船速が遅い領域でも2サイクル機関を効率のよい負荷で運転することができる。
本発明に係る船舶は、発電機を駆動する4サイクル機関(C重油等の液体燃料を燃料とする4サイクルディーゼル機関)と、一端部に推進用のプロペラが取り付けられたプロペラ軸を駆動する2サイクル機関と、前記4サイクル機関で生成された排気ガスのみが通される脱硝装置と、前記発電機、あるいは別途用意された発電装置から電力の供給を受けて前記プロペラおよび前記プロペラ軸を回転させる電動機としての機能を備えた軸モータあるいは軸発電機モータとを備えている。
本発明に係る船舶は、発電機を駆動する4サイクル機関と、一端部に推進用のプロペラが取り付けられたプロペラ軸を駆動する2サイクル機関と、前記4サイクル機関で生成された排気ガスのみが通される脱硝装置と、前記発電機から電力の供給を受けてポッドプロペラを駆動するプロペラ駆動機構を内蔵したポッド推進器とを備えている。
本発明に係る船舶は、減速機を介して、一端部に推進用のプロペラが取り付けられたプロペラ軸を駆動する4サイクル機関と、前記減速機を介して、前記プロペラおよび前記プロペラ軸を駆動する2サイクル機関と、前記4サイクル機関で生成された排気ガスのみが通される脱硝装置とを備えている。
上記船舶において、前記4サイクル機関で生成された排気ガス、または前記4サイクル機関で生成された排気ガスおよび前記2サイクル機関で生成された排気ガスとの熱交換により生成された蒸気により駆動される蒸気タービンと、前記蒸気タービンにより駆動される第2の発電機とを備えているとさらに好適である。
上記船舶において、前記4サイクル機関で生成された排気ガスおよび/または前記2サイクル機関で生成された排気ガスにより駆動されるパワータービンと、前記パワータービンにより駆動される第2の発電機とを備えているとさらに好適である。
上記船舶において、前記2サイクル機関で生成された排気ガスにより駆動される第1のハイブリッド排気タービン過給機および/または前記4サイクル機関で生成された排気ガスにより駆動される第2のハイブリッド排気タービン過給機を備えているとさらに好適である。
本発明に係る船舶は、発電機を駆動する4サイクルガス機関と、一端部に推進用のプロペラが取り付けられたプロペラ軸を駆動する2サイクル機関と、前記発電機、あるいは別途用意された発電装置から電力の供給を受けて前記プロペラおよび前記プロペラ軸を回転させる電動機としての機能を備えた軸モータあるいは軸発電機モータとを備えている。
本発明に係る船舶は、発電機を駆動する4サイクルガス機関と、一端部に推進用のプロペラが取り付けられたプロペラ軸を駆動する2サイクル機関と、前記発電機から電力の供給を受けてポッドプロペラを駆動するプロペラ駆動機構を内蔵したポッド推進器とを備えている。
本発明に係る船舶は、減速機を介して、一端部に推進用のプロペラが取り付けられたプロペラ軸を駆動する4サイクルガス機関と、前記減速機を介して、前記プロペラおよび前記プロペラ軸を駆動する2サイクル機関とを備えている。
上記船舶において、前記4サイクルガス機関で生成された排気ガス、または前記4サイクルガス機関で生成された排気ガスおよび前記2サイクル機関で生成された排気ガスとの熱交換により生成された蒸気により駆動される蒸気タービンと、前記蒸気タービンにより駆動される第2の発電機とを備えているとさらに好適である。
上記船舶において、前記4サイクルガス機関で生成された排気ガスおよび/または前記2サイクル機関で生成された排気ガスにより駆動されるパワータービンと、前記パワータービンにより駆動される第2の発電機とを備えているとさらに好適である。
上記船舶において、前記2サイクル機関で生成された排気ガスにより駆動される第1のハイブリッド排気タービン過給機および/または前記4サイクルガス機関で生成された排気ガスにより駆動される第2のハイブリッド排気タービン過給機を備えているとさらに好適である。
本発明に係る船舶の運用方法は、発電機を駆動する4サイクル機関と、一端部に推進用のプロペラが取り付けられたプロペラ軸を駆動する2サイクル機関と、前記4サイクル機関で生成された排気ガスのみが通される脱硝装置と、前記発電機、あるいは別途用意された発電装置から電力の供給を受けて前記プロペラおよび前記プロペラ軸を回転させる電動機としての機能を備えた軸モータあるいは軸発電機モータとを備えた船舶の運用方法であって、特定の海域内においては、前記4サイクル機関のみを運転し、特定の海域外においては、前記2サイクル機関のみを運転するか、あるいは前記2サイクル機関と前記4サイクル機関とを併用して運転するようにした。
本発明に係る船舶の運用方法は、発電機を駆動する4サイクル機関と、一端部に推進用のプロペラが取り付けられたプロペラ軸を駆動する2サイクル機関と、前記4サイクル機関で生成された排気ガスのみが通される脱硝装置と、前記発電機から電力の供給を受けてポッドプロペラを駆動するプロペラ駆動機構を内蔵したポッド推進器とを備えた船舶の運用方法であって、特定の海域内においては、前記4サイクル機関のみを運転し、特定の海域外においては、前記2サイクル機関のみを運転するか、あるいは前記2サイクル機関と前記4サイクル機関とを併用して運転するようにした。
本発明に係る船舶の運用方法は、減速機を介して、一端部に推進用のプロペラが取り付けられたプロペラ軸を駆動する4サイクル機関と、前記減速機を介して、前記プロペラおよび前記プロペラ軸を駆動する2サイクル機関と、前記4サイクル機関で生成された排気ガスのみが通される脱硝装置とを備えた船舶の運用方法であって、特定の海域内においては、前記4サイクル機関のみを運転し、特定の海域外においては、前記2サイクル機関のみを運転するか、あるいは前記2サイクル機関と前記4サイクル機関とを併用して運転するようにした。
本発明に係る船舶の運用方法は、発電機を駆動する4サイクルガス機関と、一端部に推進用のプロペラが取り付けられたプロペラ軸を駆動する2サイクル機関と、前記発電機、あるいは別途用意された発電装置から電力の供給を受けて前記プロペラおよび前記プロペラ軸を回転させる電動機としての機能を備えた軸モータあるいは軸発電機モータとを備えた船舶の運用方法であって、特定の海域内においては、前記4サイクルガス機関のみを運転し、特定の海域外においては、前記2サイクル機関のみを運転するか、あるいは前記2サイクル機関と前記4サイクルガス機関とを併用して運転するようにした。
本発明に係る船舶の運用方法は、発電機を駆動する4サイクルガス機関と、一端部に推進用のプロペラが取り付けられたプロペラ軸を駆動する2サイクル機関と、前記発電機から電力の供給を受けてポッドプロペラを駆動するプロペラ駆動機構を内蔵したポッド推進器とを備えた船舶の運用方法であって、特定の海域内においては、前記4サイクルガス機関のみを運転し、特定の海域外においては、前記2サイクル機関のみを運転するか、あるいは前記2サイクル機関と前記4サイクルガス機関とを併用して運転するようにした。
本発明に係る船舶の運用方法は、減速機を介して、一端部に推進用のプロペラが取り付けられたプロペラ軸を駆動する4サイクルガス機関と、前記減速機を介して、前記プロペラおよび前記プロペラ軸を駆動する2サイクル機関とを備えた船舶の運用方法であって、特定の海域内においては、前記4サイクルガス機関のみを運転し、特定の海域外においては、前記2サイクル機関のみを運転するか、あるいは前記2サイクル機関と前記4サイクルガス機関とを併用して運転するようにした。
本発明に係る船舶によれば、近い将来、特定の排気ガス規制海域内において予定されている排気ガスの規制強化に対応可能な船舶を提供することができるという効果を奏する。
本発明の第1実施形態に係る船舶の要部を示す概略構成図である。 本発明に係る船舶の運用方法を説明するための図表である。 本発明の第2実施形態に係る船舶の要部を示す概略構成図である。 本発明の第3実施形態に係る船舶の要部を示す概略構成図である。 本発明の第4実施形態に係る船舶の要部を示す概略構成図である。 本発明の第4実施形態に係る船舶および船舶の運用方法の作用効果を説明するための図表である。 本発明の第5実施形態に係る船舶の要部を示す概略構成図である。
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態に係る船舶および船舶の運用方法について、図1および図2を参照しながら説明する。
図1は本実施形態に係る船舶の要部を示す概略構成図、図2は本発明に係る船舶の運用方法を説明するための図表である。
図1に示すように、本実施形態に係る船舶1は、2サイクル機関(本実施形態では、C重油等の液体燃料を燃料とする2サイクルディーゼル機関)2と、4サイクル機関(本実施形態では、C重油等の液体燃料を燃料とする4サイクルディーゼル機関)3と、脱硝装置4とを主たる要素として構成されている。
2サイクル機関2を構成するクランク軸5は、中間軸(図示せず)、スラスト軸(図示せず)、クラッチ(図示せず)を介してプロペラ軸6に接続(結合)されている。プロペラ軸6の一端部には、プロペラ7が取り付けられており、クランク軸5が回転すると、その回転は中間軸、スラスト軸、プロペラ軸6、プロペラ7に伝達され、船舶1を推進させることになる。また、プロペラ軸6の他端部には、軸モータあるいは軸発電機モータ(Shaft Generator Motor:SGM)8が取り付けられている。
軸発電機モータ8は、プロペラ軸6が回転させられることによって発電する発電機としての機能と、別途用意された発電装置(本実施形態では、船内(例えば、機関室内)に設置されたディーゼル発電機(D/G)9や、上述した4サイクル機関3によって駆動される発電機(Generator)10)から電力(船内電力)の供給を受けてプロペラ軸6を回転させる電動機(加勢モータ)としての機能とを備えた装置である。この装置は別途用意された発電装置(本実施形態では、船内(例えば、機関室内)に設置されたディーゼル発電機(D/G)9や、上述した4サイクル機関3によって駆動される発電機(Generator)10)から電力(船内電力)の供給を受けてプロペラ軸6を回転させる電動機(加勢モータ)としての機能に限定することも可能である。また、主配電盤11から軸発電機モータ8に、あるいは軸発電機モータ8から主配電盤11に送電する電線12の途中には、周波数変換装置13が設けられている。
2サイクル機関2には、シリンダライナ(図示せず)、シリンダカバー(図示せず)等からなるシリンダ部(図示せず)が設けられており、各シリンダ部内には、クランク軸5と連結されたピストン(図示せず)が配置されている。また、各シリンダ部の排気ポート(図示せず)は、排気静圧管(排気マニホールド)14と接続されている。排気静圧管14は、(第1の)排気管L1を介して(第1の)排気タービン過給機15のタービン部15aの入口側と接続されており、排気タービン過給機15のタービン部15aの出口側には、(第2の)排気管L2が接続されている。そして、排気タービン過給機15のタービン部15aを通過した排気ガスは、排気管L2を介してファンネル(図示せず)に導かれた後、船外に排出されるようになっている。
一方、各シリンダ部の掃気ポート(図示せず)は、図示しない掃気トランクと接続されており、掃気トランクは、(第1の)掃気管(図示せず)を介して排気タービン過給機15のコンプレッサ部15bの出口側と接続されている。(第1の)掃気管の途中には、図示しない空気冷却器(インタークーラ)等が接続されており、コンプレッサ部15bを通過した外気は、これら空気冷却器等を通過した後、2サイクル機関2の掃気トランクに供給されるようになっている。また、排気タービン過給機15のコンプレッサ部15bの入口側には、図示しないフィルタが配置されており、これら消音器およびフィルタを通過した外気が、コンプレッサ部15bに導かれるようになっている。
排気タービン過給機15は、排気管L1を介して2サイクル機関2から導かれた排気ガス(燃焼ガス)によって駆動されるタービン部15aと、このタービン部15aにより駆動されて2サイクル機関2に外気を圧送するコンプレッサ部15bと、これらタービン部15aとコンプレッサ部15bとの間に設けられてこれらを支持するケーシング(図示せず)とを主たる要素として構成されたものである。
ケーシングには、一端部をタービン部15a側に突出させ、他端部をコンプレッサ部15bに突出させた回転軸15cが挿通されている。回転軸15cの一端部は、タービン部15aを構成するタービン・ロータ(図示せず)のタービン・ディスク(図示せず)に取り付けられており、回転軸15cの他端部は、コンプレッサ部15bを構成するコンプレッサ羽根車(図示せず)のハブ(図示せず)に取り付けられている。
4サイクル機関3を構成するクランク軸16は、発電機10の回転軸10aに接続(結合)されており、クランク軸16が回転すると、その回転は発電機10の回転軸10aに伝達され、発電機10が電力を発生させることになる。また、発電機10は、電線17を介して船内に別途設置された配電盤11と電気的に接続されており、発電機10が発生した電力を船内電力として使用(利用)することができるようになっている。
4サイクル機関3には、シリンダライナ(図示せず)、シリンダカバー(図示せず)等からなるシリンダ部(図示せず)が設けられており、各シリンダ部内には、クランク軸16と連結されたピストン(図示せず)が配置されている。また、各シリンダ部の排気ポート(図示せず)は、図示しない排気管(排気マニホールド)と接続されている。排気管は、(第3の)排気管(図示せず)を介して(第2の)排気タービン過給機18のタービン部18aの入口側と接続されており、排気タービン過給機18のタービン部18aの出口側には、(第4の)排気管L4が接続されている。そして、排気タービン過給機18のタービン部18aを通過した排気ガスは、排気管L4を介して脱硝装置4に導かれて脱硝され、(第5の)排気管L5を介してファンネル(図示せず)に導かれた後、船外に排出されるようになっている。
脱硝装置4は、排気ガスに含まれるNOxを還元するものであり、内部にNOxを還元する触媒を有するものである。
一方、各シリンダ部の給気ポート(図示せず)は、図示しない給気静圧管(給気マニホールド)と接続されており、給気静圧管は、(第2の)給気管(図示せず)を介して排気タービン過給機18のコンプレッサ部18bの出口側と接続されている。(第2の)給気管の途中には、図示しない空気冷却器(インタークーラ)等が接続されており、コンプレッサ部18bを通過した外気は、これら空気冷却器等を通過した後、4サイクル機関3の給気静圧管に供給されるようになっている。また、排気タービン過給機18のコンプレッサ部18bの入口側には、図示しないフィルタが配置されており、フィルタを通過した外気が、コンプレッサ部18bに導かれるようになっている。
排気タービン過給機18は、(第3の)排気管を介して4サイクル機関3から導かれた排気ガス(燃焼ガス)によって駆動されるタービン部18aと、このタービン部18aにより駆動されて4サイクル機関3に外気を圧送するコンプレッサ部18bと、これらタービン部18aとコンプレッサ部18bとの間に設けられてこれらを支持するケーシング(図示せず)とを主たる要素として構成されたものである。
ケーシングには、一端部をタービン部18a側に突出させ、他端部をコンプレッサ部18bに突出させた回転軸18cが挿通されている。回転軸18cの一端部は、タービン部18aを構成するタービン・ロータ(図示せず)のタービン・ディスク(図示せず)に取り付けられており、回転軸18cの他端部は、コンプレッサ部18bを構成するコンプレッサ羽根車(図示せず)のハブ(図示せず)に取り付けられている。
なお、図1中の符号19は、ディーゼル発電機9から主配電盤11に送電する電線を示している。
つぎに、本実施形態に係る船舶1の運用方法について説明する。
まず、特定の排気ガス規制海域内においては、排気ガス温度が2サイクル機関2の排気ガス温度よりも高く、かつ、排気タービン過給機18を通過した後でも脱硝装置4を作動させる(運転する)のに適した排気ガスを生成する4サイクル機関3のみを運転し、特定の排気ガス規制海域外においては、従来通り効率の高い2サイクル機関2のみを運転するか、あるいは2サイクル機関2と4サイクル機関3とを併用して運転する。
すなわち、特定の排気ガス規制海域内においては、4サイクル機関3のみが運転されて発電機10が回され、発電機10(およびディーゼル発電機9等)から軸発電機モータ8に電力が供給されて、プロペラ軸6およびプロペラ7が回転させられることになる。このとき、クランク軸5とプロペラ軸6との間に配置されたクラッチの縁は断たれていることが望ましい。
一方、特定の排気ガス規制海域外において、2サイクル機関2のみが運転される場合には、クランク軸5が回転して、プロペラ軸6およびプロペラ7が回転させられることになる。このとき、クランク軸5とプロペラ軸6との間に配置されたクラッチの縁は繋がっている。また、別途用意された発電装置(本実施形態では、船内(例えば、機関室内)に設置されたディーゼル発電機(D/G)9)から軸発電機モータ8に電力を供給し、軸発電機モータ8を電動機(加勢モータ)として機能させることもできるし、プロペラ軸6の回転を取り出して、発電機として機能させることもできる。
他方、特定の排気ガス規制海域外において、2サイクル機関2と4サイクル機関3とが併用して運転される場合には、2サイクル機関2によりクランク軸5が回転させられ、これによりプロペラ軸6およびプロペラ7が回転させられることになる。これと同時に、4サイクル機関3によりクランク軸16が回転させられ、これにより発電機10が回され、発電機10から軸発電機モータ8に電力が供給されて、軸発電機モータ8が電動機(加勢モータ)として機能させられる。
なお、4サイクル機関3のみの運転から2サイクル機関2のみの運転への移行(図2において「I」で示す区間)、および2サイクル機関2のみの運転から4サイクル機関3のみの運転への移行(図2において「III」で示す区間)は、例えば、プロペラ軸6の回転数を検知して、プロペラ軸6の回転数が一定に保たれるようにして、2サイクル機関2の出力および4サイクル機関3の出力をそれぞれ増減させることが望ましい。
また、2サイクル機関2と4サイクル機関3との併用(図2において「II」で示す区間)は、2サイクル機関2の出力を検知して、2サイクル機関2の出力が所定値(例えば、常用出力)に達した場合、2サイクル機関2の出力は所定値(例えば、常用出力)に保たれるようにして、4サイクル機関3の出力のみを増減させること、あるいはクランク軸5とプロペラ軸6との間に配置された中間軸(図示せず)の回転数を検知して、2サイクル機関2の回転数が所定値(例えば、常用回転数)に達した場合、2サイクル機関2の回転数は所定値(例えば、常用回転数)に保たれるようにして、4サイクル機関3の出力のみを増減させることが望ましい。
本実施形態に係る船舶1および船舶1の運用方法によれば、特定の排気ガス規制海域内においては、4サイクル機関3のみが運転され、4サイクル機関3で生成された排気ガスは脱硝装置4で脱硝された後、船外に排出されることになるので、近い将来、特定の排気ガス規制海域内において予定されている排気ガスの規制強化に十分対応可能なまでNOxを低減させることができる。
また、特定の排気ガス規制海域外における航行時において2サイクル機関2と4サイクル機関3とを併用して運転することを前提にすると、2サイクル機関2は、4サイクル機関3が供給する出力分だけ、出力および気筒数の少ないエンジンを搭載でき(例えば、7気筒の機関を5気筒の機関にできる、)船速が遅い領域でも2サイクル機関2を効率のよい負荷(例えば、85%負荷)で運転することができるので、燃料消費量を低減させることができる。
さらに、4サイクル機関3により発電機10が回され、発電機10が電力を発生させることになるので、発電機10が発生した電力を船内電力として使用(利用)することができる。
〔第2実施形態〕
本発明の第2実施形態に係る船舶および船舶の運用方法について、図2および図3を参照しながら説明する。図3は本実施形態に係る船舶の要部を示す概略構成図である。
なお、上述した第1実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
図3に示すように、本実施形態に係る船舶21は、2サイクル機関(本実施形態では、C重油等の液体燃料を燃料とする2サイクルディーゼル機関)2と、4サイクル機関(本実施形態では、C重油等の液体燃料を燃料とする4サイクルディーゼル機関)3と、脱硝装置4と、ポッド(POD)推進器22とを主たる要素として構成されている。
2サイクル機関2を構成するクランク軸5は、中間軸(図示せず)、スラスト軸(図示せず)、クラッチ(図示せず)を介してプロペラ軸6に接続(結合)されている。プロペラ軸6の一端部には、プロペラ7が取り付けられており、クランク軸5が回転すると、その回転は中間軸、スラスト軸、プロペラ軸6、プロペラ7に伝達され、船舶21を推進させることになる。
ポッド推進器22は、ポッドプロペラ23を回転させる電動機(プロペラ駆動機構)24と、電動機24を内蔵したケーシング(図示せず)と、ケーシングの前方または後方(本実施形態では前方)に配置されて推進力を発揮するポッドプロペラ23と、ケーシングの上部に一体に固着され、翼形断面を有するストラット(図示せず)とを備えている。
電動機24には、電線25を介して発電機10から電力が供給されるようになっており、電線25の途中には、周波数変換装置26が設けられている。
つぎに、本実施形態に係る船舶21の運用方法について説明する。
まず、特定の排気ガス規制海域内においては、排気ガス温度が2サイクル機関2の排気ガス温度よりも高く、かつ、排気タービン過給機18を通過した後でも脱硝装置4を作動させる(運転する)のに適した排気ガスを生成する4サイクル機関3のみを運転し、特定の排気ガス規制海域外においては、従来通り効率の高い2サイクル機関2のみを運転するか、あるいは2サイクル機関2と4サイクル機関3とを併用して運転する。
すなわち、特定の排気ガス規制海域内においては、4サイクル機関3のみが運転されて発電機10が回され、発電機10からポッド推進器22の電動機24に電力が供給されて、ポッドプロペラ23が回転させられることになる。このとき、クランク軸5とプロペラ軸6との間に配置されたクラッチの縁は断たれていることが望ましい。
一方、特定の排気ガス規制海域外において、2サイクル機関2のみが運転される場合には、クランク軸5が回転して、プロペラ軸6およびプロペラ7が回転させられることになる。このとき、クランク軸5とプロペラ軸6との間に配置されたクラッチの縁は繋がっている。
他方、特定の排気ガス規制海域外において、2サイクル機関2と4サイクル機関3とが併用して運転される場合には、2サイクル機関2によりクランク軸5が回転させられ、これによりプロペラ軸6およびプロペラ7が回転させられることになる。これと同時に、4サイクル機関3によりクランク軸16が回転させられ、これにより発電機10が回され、発電機10からポッド推進器22の電動機24に電力が供給されて、ポッドプロペラ23が回転させられることになる。
なお、4サイクル機関3のみの運転から2サイクル機関2のみの運転への移行(図2において「I」で示す区間)、および2サイクル機関2のみの運転から4サイクル機関3のみの運転への移行(図2において「III」で示す区間)は、例えば、ポッドプロペラ23の回転数を検知して、予め用意しておいたポッドプロペラ23の回転数と4サイクル機関3の出力との関係を示すマップに基づいて4サイクル機関3の出力を把握し、予め用意しておいたポッドプロペラ23の回転数と4サイクル機関3の出力との関係を示すマップ、およびプロペラ軸6の回転数と2サイクル機関2の出力との関係を示すマップに基づいて、4サイクル機関3の出力と2サイクル機関2の出力との合計出力が一定に保たれるようにして、2サイクル機関2の出力を増減させることが望ましい。
また、2サイクル機関2と4サイクル機関3との併用(図2において「II」で示す区間)は、2サイクル機関2の出力を検知して、2サイクル機関2の出力が所定値(例えば、常用出力)に達した場合、2サイクル機関2の出力は所定値(例えば、常用出力)に保たれるようにして、4サイクル機関3の出力のみを増減させること、あるいはクランク軸5とプロペラ軸6との間に配置された中間軸(図示せず)の回転数を検知して、2サイクル機関2の回転数が所定値(例えば、常用回転数)に達した場合、2サイクル機関2の回転数は所定値(例えば、常用回転数)に保たれるようにして、4サイクル機関3の出力のみを増減させることが望ましい。
本実施形態に係る船舶21および船舶21の運用方法によれば、特定の排気ガス規制海域内においては、4サイクル機関3のみが運転され、4サイクル機関3で生成された排気ガスは脱硝装置4で脱硝された後、船外に排出されることになるので、近い将来、特定の排気ガス規制海域内において予定されている排気ガスの規制強化に十分対応可能なまでNOxを低減させることができる。
また、特定の排気ガス規制海域外における航行時において2サイクル機関2と4サイクル機関3とを併用して運転することを前提にすると、2サイクル機関2は、4サイクル機関3が供給する出力分だけ、出力および気筒数の少ないエンジンを搭載でき(例えば、7気筒の機関を5気筒の機関にできる)、船速が遅い領域でも2サイクル機関2を効率のよい負荷(例えば、85%負荷)で運転することができるので、燃料消費量を低減させることができる。
さらに、4サイクル機関3により発電機10が回され、発電機10が電力を発生させることになるので、発電機10が発生した電力を船内電力としても使用(利用)することができる。
さらにまた、プロペラ7の回転方向とポッドプロペラ23の回転方向とが反対になるようにプロペラ7の翼形およびポッドプロペラ23の翼形を設定することにより、プロペラ7とポッドプロペラ23とで二重反転プロペラが形成されることになるので、推進効率を改善することができて、燃料消費量をさらに低減させることができる。
さらにまた、ポッド推進器22をスターンスラスターや舵としても利用(使用)することにより、従来のスターンスラスターや舵を不要とすることができる。
〔第3実施形態〕
本発明の第3実施形態に係る船舶および船舶の運用方法について、図2および図4を参照しながら説明する。図4は本実施形態に係る船舶の要部を示す概略構成図である。
なお、上述した第1実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
図4に示すように、本実施形態に係る船舶31は、2サイクル機関(本実施形態では、C重油等の液体燃料を燃料とする2サイクルディーゼル機関)2と、4サイクル機関(本実施形態では、C重油等の液体燃料を燃料とする4サイクルディーゼル機関)3と、脱硝装置4と、減速機32とを主たる要素として構成されている。
2サイクル機関2を構成するクランク軸5は、中間軸33、スラスト軸(図示せず)、クラッチ34、減速機32を介してプロペラ軸6に接続(結合)されている。プロペラ軸6の一端部には、プロペラ7が取り付けられており、クランク軸5が回転すると、その回転は中間軸33、スラスト軸、減速機32、プロペラ軸6、プロペラ7に伝達され、船舶31を推進させることになる。
一方、発電機10の回転軸10aは、クラッチ35、減速機32を介してプロペラ軸6に接続(結合)されており、発電機10の回転軸10a(すなわち、クランク軸16)が回転すると、その回転はクラッチ35、減速機32、プロペラ軸6、プロペラ7に伝達され、船舶31を推進させることになる。
また、減速機32を構成する小歯車(図示せず)の一つは、図示しないカップリングあるいは継手を介して軸発電機モータ(Shaft Generator Motor:SGM)36の回転軸36aに連結されており、これら小歯車および回転軸36aは、同一方向に一体的に回転するようになっている。軸発電機モータ36は、小歯車が回転させられることによって発電する発電機としての機能と、別途用意された発電装置(本実施形態では、船内(例えば、機関室内)に設置されたディーゼル発電機(D/G)9や、上述した4サイクル機関3によって駆動される発電機(Generator)10)から電力(船内電力)の供給を受けて小歯車およびプロペラ軸6を回転させる電動機(加勢モータ)としての機能とを備えた装置である。また、主配電盤11から軸発電機モータ36に、あるいは軸発電機モータ36から主配電盤11に送電する電線37の途中には、周波数変換装置38が設けられている。
つぎに、本実施形態に係る船舶31の運用方法について説明する。
まず、特定の排気ガス規制海域内においては、排気ガス温度が2サイクル機関2の排気ガス温度よりも高く、かつ、排気タービン過給機18を通過した後でも脱硝装置4を作動させる(運転する)のに適した排気ガスを生成する4サイクル機関3のみを運転し、特定の排気ガス規制海域外においては、従来通り効率の高い2サイクル機関2のみを運転するか、あるいは2サイクル機関2と4サイクル機関3とを併用して運転する。
すなわち、特定の排気ガス規制海域内においては、4サイクル機関3のみが運転され、クラッチ35および減速機32を介して、あるいは発電機10(およびディーゼル発電機9等)から軸発電機モータ36に電力が供給されて、プロペラ軸6およびプロペラ7が回転させられることになる。このとき、クランク軸5とプロペラ軸6との間に配置されたクラッチ34の縁は断たれていることが望ましい。
一方、特定の排気ガス規制海域外において、2サイクル機関2のみが運転される場合には、クランク軸5が回転して、プロペラ軸6およびプロペラ7が回転させられることになる。このとき、クランク軸5とプロペラ軸6との間に配置されたクラッチ34の縁は繋がっている。また、別途用意された発電装置(本実施形態では、船内(例えば、機関室内)に設置されたディーゼル発電機(D/G)9)から軸発電機モータ36に電力を供給し、軸発電機モータ36を電動機(加勢モータ)として機能させることもできるし、減速機32の回転を取り出して、発電機として機能させることもできる。
他方、特定の排気ガス規制海域外において、2サイクル機関2と4サイクル機関3とが併用して運転される場合には、2サイクル機関2によりクランク軸5が回転させられ、これによりプロペラ軸6およびプロペラ7が回転させられることになる。これと同時に、4サイクル機関3によりクランク軸16が回転させられ、これにより発電機10が回され、発電機10から(およびディーゼル発電機9等)から軸発電機モータ36に電力を供給して、プロペラ軸6およびプロペラ7が回転させる。
なお、4サイクル機関3のみの運転から2サイクル機関2のみの運転への移行(図2において「I」で示す区間)、および2サイクル機関2のみの運転から4サイクル機関3のみの運転への移行(図2において「III」で示す区間)は、例えば、プロペラ軸6の回転数を検知して、プロペラ軸6の回転数が一定に保たれるようにして、2サイクル機関2の出力および4サイクル機関3の出力をそれぞれ増減させることが望ましい。
また、2サイクル機関2と4サイクル機関3との併用(図2において「II」で示す区間)は、2サイクル機関2の出力を検知して、2サイクル機関2の出力が所定値(例えば、常用出力)に達した場合、2サイクル機関2の出力は所定値(例えば、常用出力)に保たれるようにして、4サイクル機関3の出力のみを増減させること、あるいはクランク軸5とプロペラ軸6との間に配置された中間軸(図示せず)の回転数を検知して、2サイクル機関2の回転数が所定値(例えば、常用回転数)に達した場合、2サイクル機関2の回転数は所定値(例えば、常用回転数)に保たれるようにして、4サイクル機関3の出力のみを増減させることが望ましい。
本実施形態に係る船舶31および船舶31の運用方法によれば、特定の排気ガス規制海域内においては、4サイクル機関3のみが運転され、4サイクル機関3で生成された排気ガスは脱硝装置4で脱硝された後、船外に排出されることになるので、近い将来、特定の排気ガス規制海域内において予定されている排気ガスの規制強化に十分対応可能なまでNOxを低減させることができる。
また、特定の排気ガス規制海域外における航行時において2サイクル機関2と4サイクル機関3とを併用して運転することを前提にすると、2サイクル機関2は、4サイクル機関3が供給する出力分だけ、出力および気筒数の少ないエンジンを搭載でき(例えば、7気筒の機関を5気筒の機関にできる)、船速が遅い領域でも2サイクル機関2を効率のよい負荷(例えば、85%負荷)で運転することができるので、燃料消費量を低減させることができる。
さらに、4サイクル機関3により発電機10が回され、発電機10が電力を発生させることになるので、発電機10が発生した電力を船内電力として使用(利用)することができる。
さらにまた、4サイクル機関3のクランク軸16の回転が、クラッチ35および減速機32を介して(機械的な損失だけで)効率よくプロペラ軸6およびプロペラ7に伝達されることになるので、エネルギー損失を低減させることができて、燃料消費量をさらに低減させることができる。
〔第4実施形態〕
本発明の第4実施形態に係る船舶および船舶の運用方法について、図2、図5および図6を参照しながら説明する。図5は本実施形態に係る船舶の要部を示す概略構成図、図6は本実施形態に係る船舶および船舶の運用方法の作用効果を説明するための図表である。
なお、上述した実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
図5に示すように、本実施形態に係る船舶41は、2サイクル機関(本実施形態では、C重油等の液体燃料を燃料とする2サイクルディーゼル機関)2と、4サイクル機関(本実施形態では、C重油等の液体燃料を燃料とする4サイクルディーゼル機関)3と、脱硝装置4と、ポッド推進器22と、蒸気タービン42とを主たる要素として構成されている。
蒸気タービン42には、ファンネル内に設置された(第1の)排ガスエコノマイザー(排ガスボイラ)43および(第2の)排ガスエコノマイザー(排ガスボイラ)44を通過した蒸気が蒸気管45を介して流入するようになっている。蒸気タービン42に流入した蒸気は、ノズル(図示せず)内を流動中に、その保有する熱エネルギーが運動エネルギーに変換され、高速流動の蒸気となる。この高速流動の蒸気は、タービン・ブレード(図示せず)に作用してタービン・ロータ46を回す。タービン・ロータ46の回転は、小歯車47と大歯車48とを有する減速機49において減速され、発電機(Generator)50に伝達されるようになっている。また、発電機50は、電線51を介して船内に別途設置された配電盤11と電気的に接続されており、発電機50が発生した電力を船内電力として使用(利用)することができるようになっている。
蒸気タービン42を通過した蒸気は、配管52を介してコンデンサ(復水器)53に導かれ、コンデンサ53内で復元される。コンデンサ53から流出した水は、(第1の)給水管54を介して排ガスエコノマイザー43に導かれ、排気管L2を介して導かれた排気ガスと熱交換された後、(第2の)給水管55を介して排ガスエコノマイザー44に導かれ、排気管L5を介して導かれた排気ガスと熱交換されて蒸気になる。
つぎに、本実施形態に係る船舶41の運用方法について説明する。
まず、特定の排気ガス規制海域内においては、排気ガス温度が2サイクル機関2の排気ガス温度よりも高く、かつ、排気タービン過給機18を通過した後でも脱硝装置4を作動させる(運転する)のに適した排気ガスを生成する4サイクル機関3のみを運転し、特定の排気ガス規制海域外においては、従来通り効率の高い2サイクル機関2のみを運転するか、あるいは2サイクル機関2と4サイクル機関3とを併用して運転する。
すなわち、特定の排気ガス規制海域内においては、4サイクル機関3のみが運転されて発電機10が回され、発電機10からポッド推進器22の電動機24に電力が供給されて、ポッドプロペラ23が回転させられることになる。このとき、クランク軸5とプロペラ軸6との間に配置されたクラッチの縁は断たれていることが望ましい。
一方、特定の排気ガス規制海域外において、2サイクル機関2のみが運転される場合には、クランク軸5が回転して、プロペラ軸6およびプロペラ7が回転させられることになる。このとき、クランク軸5とプロペラ軸6との間に配置されたクラッチの縁は繋がっている。
他方、特定の排気ガス規制海域外において、2サイクル機関2と4サイクル機関3とが併用して運転される場合には、2サイクル機関2によりクランク軸5が回転させられ、これによりプロペラ軸6およびプロペラ7が回転させられることになる。これと同時に、4サイクル機関3によりクランク軸16が回転させられ、これにより発電機10が回され、発電機10からポッド推進器22の電動機24に電力が供給されて、ポッドプロペラ23が回転させられることになる。
なお、4サイクル機関3のみの運転から2サイクル機関2のみの運転への移行(図2において「I」で示す区間)、および2サイクル機関2のみの運転から4サイクル機関3のみの運転への移行(図2において「III」で示す区間)は、例えば、ポッドプロペラ23の回転数を検知して、予め用意しておいたポッドプロペラ23の回転数と4サイクル機関3の出力との関係を示すマップに基づいて4サイクル機関3の出力を把握し、予め用意しておいたポッドプロペラ23の回転数と4サイクル機関3の出力との関係を示すマップ、およびプロペラ軸6の回転数と2サイクル機関2の出力との関係を示すマップに基づいて、4サイクル機関3の出力と2サイクル機関2の出力との合計出力が一定に保たれるようにして、2サイクル機関2の出力を増減させることが望ましい。
また、2サイクル機関2と4サイクル機関3との併用(図2において「II」で示す区間)は、2サイクル機関2の出力を検知して、2サイクル機関2の出力が所定値(例えば、常用出力)に達した場合、2サイクル機関2の出力は所定値(例えば、常用出力)に保たれるようにして、4サイクル機関3の出力のみを増減させること、あるいはクランク軸5とプロペラ軸6との間に配置された中間軸(図示せず)の回転数を検知して、2サイクル機関2の回転数が所定値(例えば、常用回転数)に達した場合、2サイクル機関2の回転数は所定値(例えば、常用回転数)に保たれるようにして、4サイクル機関3の出力のみを増減させることが望ましい。
本実施形態に係る船舶41および船舶41の運用方法によれば、特定の排気ガス規制海域内においては、4サイクル機関3のみが運転され、4サイクル機関3で生成された排気ガスは脱硝装置4で脱硝された後、船外に排出されることになるので、近い将来、特定の排気ガス規制海域内において予定されている排気ガスの規制強化に十分対応可能なまでNOxを低減させることができる。
また、特定の排気ガス規制海域外における航行時において2サイクル機関2と4サイクル機関3とを併用して運転することを前提にすると、2サイクル機関2は、4サイクル機関3が供給する出力分だけ、出力および気筒数の少ないエンジンを搭載でき(例えば、7気筒の機関を5気筒の機関にできる)、船速が遅い領域でも2サイクル機関2を効率のよい負荷(例えば、85%負荷)で運転することができるので、燃料消費量を低減させることができる。
さらに、4サイクル機関3により発電機10が回され、発電機10が電力を発生させることになるので、発電機10が発生した電力を船内電力としても使用(利用)することができる。
さらにまた、プロペラ7の回転方向とポッドプロペラ23の回転方向とが反対になるようにプロペラ7の翼形およびポッドプロペラ23の翼形を設定することにより、プロペラ7とポッドプロペラ23とで二重反転プロペラが形成されることになるので、推進効率を改善することができて、燃料消費量をさらに低減させることができる。
さらにまた、ポッド推進器22をスターンスラスターや舵としても利用(使用)することにより、従来のスターンスラスターや舵を不要とすることができる。
さらにまた、特定の排気ガス規制海域外における航行時において2サイクル機関2と4サイクル機関3とを併用して運転する場合には、排気管L2を介して排ガスエコノマイザー43に導かれた排気ガスの熱エネルギー、および排気管L5を介して排ガスエコノマイザー44に導かれた排気ガスの熱エネルギーが回収され、図6に示すように、従来よりも幅広い船速域において高い効率が維持されることになるので、燃料消費量をさらに低減させることができる。
さらにまた、蒸気タービン42により発電機50が回され、発電機50が電力を発生させることになるので、発電機50が発生した電力を船内電力としても使用(利用)することができる。
〔第5実施形態〕
本発明の第5実施形態に係る船舶および船舶の運用方法について、図2および図7を参照しながら説明する。図7は本実施形態に係る船舶の要部を示す概略構成図である。
本実施形態に係る船舶61は、パワータービン62をさらに備えているという点で上述した第4実施形態のものと異なる。
なお、上述した第4実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
パワータービン62には、(第6の)排気管L6を介して排気静圧管14から導かれた排気ガスが流入するようになっている。パワータービン62に流入した排気ガスは、ノズル(図示せず)内を流動中に、その保有する熱エネルギーが運動エネルギーに変換され、高速流動の排気ガスとなる。この高速流動の排気ガスは、タービン・ブレード(図示せず)に作用してタービン・ロータ63を回す。タービン・ロータ63の回転は、小歯車65と中間歯車66を介して、小歯車65と同じ歯数を有する小歯車67に伝達される。小歯車67は、クラッチ68を介して蒸気タービン42のタービン・ロータ46と接続されており、クラッチ68が入った状態で小歯車67の回転がタービン・ロータ46に伝達されるようになっている。小歯車67の回転がタービン・ロータ46に伝達されると、タービン・ロータ46が回り、タービン・ロータ46の回転は、小歯車47と大歯車48とを有する減速機49において減速され、発電機(Generator)50に伝達されるようになっている。また、発電機50は、電線51を介して船内に別途設置された配電盤11と電気的に接続されており、発電機50が発生した電力を船内電力として使用(利用)することができるようになっている。
パワータービン62を通過した排気ガスは、(第7の)排気管L7を介して(第2の)排気管L2の途中に戻され、排気タービン過給機15のタービン部15aを通過した排気ガスと合流して、(第1の)排ガスエコノマイザー(排ガスボイラ)43に導かれる。
つぎに、本実施形態に係る船舶51の運用方法について説明する。
まず、特定の排気ガス規制海域内においては、排気ガス温度が2サイクル機関2の排気ガス温度よりも高く、かつ、排気タービン過給機18を通過した後でも脱硝装置4を作動させる(運転する)のに適した排気ガスを生成する4サイクル機関3のみを運転し、特定の排気ガス規制海域外においては、従来通り効率の高い2サイクル機関2のみを運転するか、あるいは2サイクル機関2と4サイクル機関3とを併用して運転する。
すなわち、特定の排気ガス規制海域内においては、4サイクル機関3のみが運転されて発電機10が回され、発電機10からポッド推進器22の電動機24に電力が供給されて、ポッドプロペラ23が回転させられることになる。このとき、クランク軸5とプロペラ軸6との間に配置されたクラッチの縁は断たれていることが望ましい。
一方、特定の排気ガス規制海域外において、2サイクル機関2のみが運転される場合には、クランク軸5が回転して、プロペラ軸6およびプロペラ7が回転させられることになる。このとき、クランク軸5とプロペラ軸6との間に配置されたクラッチの縁は繋がっている。
他方、特定の排気ガス規制海域外において、2サイクル機関2と4サイクル機関3とが併用して運転される場合には、2サイクル機関2によりクランク軸5が回転させられ、これによりプロペラ軸6およびプロペラ7が回転させられることになる。これと同時に、4サイクル機関3によりクランク軸16が回転させられ、これにより発電機10が回され、発電機10からポッド推進器22の電動機24に電力が供給されて、ポッドプロペラ23が回転させられることになる。
なお、4サイクル機関3のみの運転から2サイクル機関2のみの運転への移行(図2において「I」で示す区間)、および2サイクル機関2のみの運転から4サイクル機関3のみの運転への移行(図2において「III」で示す区間)は、例えば、ポッドプロペラ23の回転数を検知して、予め用意しておいたポッドプロペラ23の回転数と4サイクル機関3の出力との関係を示すマップに基づいて4サイクル機関3の出力を把握し、予め用意しておいたポッドプロペラ23の回転数と4サイクル機関3の出力との関係を示すマップ、およびプロペラ軸6の回転数と2サイクル機関2の出力との関係を示すマップに基づいて、4サイクル機関3の出力と2サイクル機関2の出力との合計出力が一定に保たれるようにして、2サイクル機関2の出力を増減させることが望ましい。
また、2サイクル機関2と4サイクル機関3との併用(図2において「II」で示す区間)は、2サイクル機関2の出力を検知して、2サイクル機関2の出力が所定値(例えば、常用出力)に達した場合、2サイクル機関2の出力は所定値(例えば、常用出力)に保たれるようにして、4サイクル機関3の出力のみを増減させること、あるいはクランク軸5とプロペラ軸6との間に配置された中間軸(図示せず)の回転数を検知して、2サイクル機関2の回転数が所定値(例えば、常用回転数)に達した場合、2サイクル機関2の回転数は所定値(例えば、常用回転数)に保たれるようにして、4サイクル機関3の出力のみを増減させることが望ましい。
本実施形態に係る船舶51および船舶51の運用方法によれば、特定の排気ガス規制海域内においては、4サイクル機関3のみが運転され、4サイクル機関3で生成された排気ガスは脱硝装置4で脱硝された後、船外に排出されることになるので、近い将来、特定の排気ガス規制海域内において予定されている排気ガスの規制強化に十分対応可能なまでNOxを低減させることができる。
また、特定の排気ガス規制海域外における航行時において2サイクル機関2と4サイクル機関3とを併用して運転することを前提にすると、2サイクル機関2は、4サイクル機関3が供給する出力分だけ、出力および気筒数の少ないエンジンを搭載でき(例えば、7気筒の機関を5気筒の機関にできる)船速が遅い領域でも2サイクル機関2を効率のよい負荷(例えば、85%負荷)で運転することができるので、燃料消費量を低減させることができる。
さらに、4サイクル機関3により発電機10が回され、発電機10が電力を発生させることになるので、発電機10が発生した電力を船内電力としても使用(利用)することができる。
さらにまた、プロペラ7の回転方向とポッドプロペラ23の回転方向とが反対になるようにプロペラ7の翼形およびポッドプロペラ23の翼形を設定することにより、プロペラ7とポッドプロペラ23とで二重反転プロペラが形成されることになるので、推進効率を改善することができて、燃料消費量をさらに低減させることができる。
さらにまた、ポッド推進器22をスターンスラスターや舵としても利用(使用)することにより、従来のスターンスラスターや舵を不要とすることができる。
さらにまた、特定の排気ガス規制海域外における航行時において2サイクル機関2と4サイクル機関3とを併用して運転する場合には、排気管L2を介して排ガスエコノマイザー43に導かれた排気ガスの熱エネルギー、および排気管L5を介して排ガスエコノマイザー44に導かれた排気ガスの熱エネルギーが回収され、図6に示すように、従来よりも幅広い船速域において高い効率が維持されることになるので、燃料消費量をさらに低減させることができる。
さらにまた、蒸気タービン42により発電機50が回され、発電機50が電力を発生させることになるので、発電機50が発生した電力を船内電力としても使用(利用)することができる。
さらにまた、排気管L6を介してパワータービン62に導かれた排気ガスの熱エネルギーがさらに回収され、図6に示すものよりも幅広い船速域において高い効率が維持されることになるので、燃料消費量をさらに低減させることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜必要に応じて変形・変更実施可能である。
例えば、上述した実施形態では、2サイクル機関2として、重油等の液体燃料を燃料とする2サイクルディーゼル機関を採用し、4サイクル機関3として、C重油等の液体燃料を燃料とする4サイクルディーゼル機関を採用したが、2サイクル機関2として、LNG等のボイルオフガスを燃料とする2サイクルガス機関を採用し、4サイクル機関3として、LNG等のボイルオフガスを燃料とする4サイクルガス機関を採用することもできるし、2サイクル機関2として、重油等の液体燃料およびLNG等のボイルオフガスを燃料とする二元燃料焚き2サイクル機関を採用し、4サイクル機関3として、C重油等の液体燃料およびLNG等のボイルオフガスを燃料とする二元燃料焚き4サイクル機関等を採用することもできる。
4サイクル機関3として4サイクルガス機関を採用した場合、脱硝装置4を不要とすることができる。
また、第1実施形態のところで説明したクラッチ、ディーゼル発電機9、排気タービン過給機15,18、第2実施形態のところで説明したクラッチ、排気タービン過給機15,18、第3実施形態のところで説明したクラッチ34,35、ディーゼル発電機9、排気タービン過給機15,18、軸発電機モータ36、電線37、周波数変換装置38、第4実施形態のところで説明したクラッチ、ディーゼル発電機9、排気タービン過給機15,18、第5実施形態のところで説明したクラッチ、ディーゼル発電機9、排気タービン過給機15,18、蒸気タービン42、クラッチ68は、必須の構成要素ではない。
さらに、第4実施形態および第5実施形態のところで説明した排ガスエコノマイザー43は必須の構成要素ではなく、排ガスエコノマイザー43および給水管55をなくして、給水管54を介してコンデンサ53から排ガスエコノマイザー44に直接給水するように構成してもよい。
さらにまた、第5実施形態のところで説明したパワータービン62には、排気管L6を介して2サイクル機関2の側からのみ排気ガスが供給されるようになっているが、図示しない排気管を介して4サイクル機関3の側からのみ排気ガスが供給されるように構成してもよいし、排気管L6を介して2サイクル機関2の側から、および図示しない排気管を介して4サイクル機関3の側から排気ガスが供給されるように構成してもよい。
さらにまた、上述した実施形態では、排気タービン過給機15,18として、発電機能を備えていないごく一般的な排気タービン過給機を採用したが、排気タービン過給機15,18として、発電機能を備えたハイブリッド排気タービン過給機(例えば、特開2009−191794号公報に開示されたハイブリッド排気タービン過給機)を採用することができる。
これにより、ハイブリッド排気タービン過給機により発電機が回され、発電機が電力を発生させることになるので、発電機が発生した電力を船内電力としても使用(利用)することができる。
1 船舶
2 2サイクル機関
3 4サイクル機関
4 脱硝装置
6 プロペラ軸
7 プロペラ
8 軸発電機モータ
10 発電機
15 (第1のハイブリッド)排気タービン過給機
18 (第2のハイブリッド)排気タービン過給機
21 船舶
22 ポッド推進器
23 ポッドプロペラ
24 電動機(プロペラ駆動機構)
31 船舶
32 減速機
41 船舶
42 蒸気タービン
50 (第2の)発電機
61 船舶
62 パワータービン

Claims (1)

  1. 発電機を駆動する4サイクル機関と、
    進用のプロペラが取り付けられたプロペラ軸を駆動する2サイクル機関と、
    前記4サイクル機関で生成された排気ガスのみが通される脱硝装置と、
    前記発電機から電力の供給を受けて前記プロペラ軸を回転させる電動機としての機能を備えた軸モータまたは軸発電機モータとを備え、
    特定の排気ガス規制海域内では、前記2サイクル機関での前記プロペラ軸の駆動は行わず、前記発電機からの電力の供給のみで前記軸モータまたは前記軸発電機モータにより前記プロペラ軸を駆動し、
    前記特定の排気ガス規制海域外では、前記2サイクル機関の出力または回転数が所定値に達した場合に前記2サイクル機関の出力または回転数を前記所定値に保ち、前記4サイクル機関の出力のみを増減させることを特徴とする船舶。
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