JP6156518B2 - 垂直磁気記録媒体 - Google Patents

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Description

本明細書に記載の発明は、垂直磁気記録媒体に関する。特に、固定磁気記録装置(HDD)において用いられる垂直磁気記録媒体に関する。より詳細には、本明細書に記載の発明は、エネルギーアシスト磁気記録方式で使用される垂直磁気記録媒体に関する。
磁気記録の高密度化を実現する技術として、垂直磁気記録方式が採用されている。垂直磁気記録媒体は、非磁性基板と、硬質磁性材料から形成される磁気記録層を少なくとも含む。垂直磁気記録媒体は、任意選択的に、軟磁性材料から形成されて、磁気ヘッドが発生する磁束を磁気記録層に集中させる役割を担う軟磁性裏打ち層、磁気記録層の硬質磁性材料を目的の方向に配向させるための下地層、磁気記録層の表面を保護する保護膜などをさらに含んでもよい。
特開2001−291230号公報は、垂直磁気記録媒体の磁気記録層を形成するための材料として、グラニュラー磁性材料を記載している(特許文献1参照)。グラニュラー磁性材料は、磁性結晶粒と、磁性結晶粒の周囲を取り囲むように偏析した非磁性体を含む。グラニュラー磁性材料中の個々の磁性結晶粒は、非磁性体によって磁気的に分離されている。
近年、垂直磁気記録媒体の記録密度のさらなる向上を目的として、グラニュラー磁性材料中の磁性結晶粒の粒径を縮小させる必要に迫られている。一方で、磁性結晶粒の粒径の縮小は、記録された磁化(信号)の熱安定性を低下させる。そのため、磁性結晶粒の粒径の縮小による熱安定性の低下を補償するために、グラニュラー磁性材料中の磁性結晶粒を、より高い結晶磁気異方性を有する材料を用いて形成することが求められている。
求められる高い結晶磁気異方性を有する材料として、L1系規則合金が提案されている。特開2004−178753号公報は、Fe、CoおよびNiからなる群から選択される少なくとも一種の元素と、Pt、Pd、AuおよびIrからなる群から選択される少なくとも一種の元素とを含むL1系規則合金およびその製造方法を記載している(特許文献2参照)。代表的なL1系規則合金は、FePt、CoPt、FePd、CoPdなどを含む。
磁性材料として規則合金を使用する提案は種々の分野で行われてきている。特開2003−296901号公報は、下地層、Co基合金または規則合金を用いた磁気記録層、中間層、および高偏極スピンコントロール層を含むスピンメモリー型磁気記録媒体を記載している(特許文献3参照)。ここで、規則合金は、Fe50Pt50、Fe50Pd50、CoPtを含んでもよい。また、磁気記録層を形成するCo基合金または規則合金にCu、Cr、Tiなどの添加元素を加えて、磁気特性を向上させてもよいことが記載されている。Co基合金または規則合金からなる磁性結晶粒の間隙を、Cr、Ta、B、酸化物または窒化物からなる非磁性体で充填してもよいことを記載している。さらに、FePtからなる磁気記録層の下地層として、Pt膜が使用できることを記載している。しかしながら、特開2003−296901号公報は、スピンメモリー型磁気記録を対象としたものであるため、HDDに適用する際に要請される諸課題の解決を提案するものではない。また、規則合金からなる磁性結晶粒の間隙に充填する非磁性体としてTiを用いることを記載も示唆もしていない。
一方、基本的に磁気記録層の膜厚は媒体面内方向に一様であるため、磁性結晶粒を小さくしていくことは、一定の高さを有する磁性結晶粒の断面積を小さくすることを意味する。その結果、磁性結晶粒自身に作用する反磁界が小さくなり、磁性結晶粒の磁化を反転させるために必要な磁界(反転磁界)は大きくなる。このように、磁性結晶粒の形状で考えた場合、記録密度の向上は、信号の記録の際により大きな磁界が必要となることを意味する。
記録のために必要な磁界強度の増加の課題に対して、磁壁移動を利用して低磁場で磁化反転を行う方法が提案されている。特開2005−285207号公報は、表面温度が650〜850℃の基板上にスパッタ法によりFePt磁性薄膜を形成することを含む、40kOe(3200A/mm)以上の保磁力を有しながら、4〜10kOe(320〜800A/mm)の磁界で磁化反転する磁性薄膜の製造方法を記載している(特許文献4参照)。ここで、基板としてガラスを用いる場合に、MgO、ZnO、CrまたはPtからなる下地層を設けてもよいことを記載している。磁壁移動を利用するために、この方法の磁性薄膜は、孤立した島状のFePt粒子からなる不連続層とすることを必要としている。即ち、FePt粒子の間隙に非磁性体が充填されたグラニュラー構造を有するものではない。
記録のために必要な磁界強度の増加の課題に対する他の手段として、熱アシスト記録方式、マイクロ波アシスト記録方式などのエネルギーアシスト磁気記録方式が提案されている(非特許文献1参照)。熱アシスト記録方式は、磁性材料における磁気異方性定数(Ku)の温度依存性、すなわち高温ほどKuが小さいという特性を利用したものである。この方式では、磁気記録層の加熱機能を有するヘッドを用いる。すなわち、磁気記録層を昇温させて一時的にKuを低下させることにより反転磁界を低減させ、その間に書き込みを行う。降温後はKuが元の高い値に戻るため、安定して記録信号(磁化)を保持できる。熱アシスト記録方式を適用する場合には、従来の設計指針に加え、温度特性を考慮して磁気記録層を設計する必要がある。
特開2001−291230号公報 特開2004−178753号公報 特開2003−296901号公報 特開2005−285207号公報
稲葉他、「新しい高密度記録技術−エネルギーアシスト磁気記録媒体−」、富士時報、富士電機ホールディングス株式会社 技術開発本部、2010年7月10日、第83巻第4号、257−260
本明細書に記載の発明が解決しようとする課題は、大きな保磁力と、磁性結晶粒が良好に分離されたグラニュラー構造とを有する磁気記録層を含む磁気記録媒体を提供することである。
本明細書に記載の磁気記録媒体の1つの例は、非磁性基板と、第1シード層と、前記第1シード層上に形成された第1磁気記録層とを含み、第1シード層はPtを含み、第1磁気記録層は1つまたは複数の磁性層を有し、第1シード層と接触する磁性層はFe、PtおよびTiを含み、かつ、FeおよびPtを含むL1型規則合金を有する磁性結晶粒とTiを含む非磁性結晶粒界とからなるグラニュラー構造を有することを特徴とする。ここで、第1シード層と接触する磁性層は、全原子数を基準として4at%以上12at%以下のTiを含んでもよい。また、L1型規則合金は、Ni、Mn、Ag、AuおよびCrからなる群から選択される少なくとも1種の元素をさらに含んでもよい。第1磁気記録層は、1つの磁性層から構成されていてもよい。さらに、非磁性基板と第1シード層との間に、ヒートシンク層、密着層、軟磁性裏打ち層、および下地層からなる群から選択される1つまたは複数の層をさらに含んでもよい。また、非磁性基板と第1シード層との間に、第2シード層および第2磁気記録層をさらに含んでもよい。この場合、第2磁気記録層は第1シード層と接触している。
上記の構成を採用することにより、Ptを含む第1シード層によって、L1型FePt磁性結晶粒がTiを含む非磁性結晶粒界によって良好に分離されており、かつ大きな保磁力を有する第1磁気記録層を得ることができる。このようにして得られた第1磁気記録層を含む磁気記録媒体は、エネルギーアシスト記録方式での使用に好適である。
第1の実施形態の磁気記録媒体の構成例を示す断面図である。 第2の実施形態の磁気記録媒体の構成例を示す断面図である。 Pt第1シード層を有する実施例1の磁気記録媒体における第1磁気記録層のTi含有量と保磁力との関係を示すグラフである。 Pt第1シード層を持たない比較例1の磁気記録媒体における第1磁気記録層のTi含有量と保磁力との関係を示すグラフである。 実施例1の磁気記録媒体の第1磁気記録層(Ti=8at%)のEELS分析の結果を示す図であり、(a)はFeの分布を示す図であり、(b)はPtの分布を示す図であり、(c)はTiの分布を示す図である。 FePt−Ti第1磁気記録層を有する実施例1の磁気記録媒体のM−Hヒステリシスループを示すグラフである。 FePt第1磁気記録層を有する比較例2の磁気記録媒体のM−Hヒステリシスループを示すグラフである。 Pt第1シード層を持たない比較例1の磁気記録媒体の第1磁気記録層(Ti=4at%)のEELS分析の結果を示す図であり、(a)はFeの分布を示す図であり、(b)はPtの分布を示す図であり、(c)はTiの分布を示す図である。 Pt第1シード層を持たず、FePtTi第1磁気記録層を有する比較例1の磁気記録媒体のM−Hヒステリシスループを示すグラフである。 Pt第1シード層を持たず、FePt第1磁気記録層を有する比較例3の磁気記録媒体のM−Hヒステリシスループを示すグラフである。 Pt第1シード層の上にFePtCu第1磁気記録層を形成した比較例4の磁気記録媒体における第1磁気記録層のCu含有量と保磁力との関係を示すグラフである。
第1の実施形態の磁気記録媒体の1つの構成例は、非磁性基板と、第1シード層と、前記第1シード層上に形成された第1磁気記録層とを含み、第1シード層はPtを含み、第1磁気記録層は1つまたは複数の磁性層を有し、第1シード層と接触する磁性層はFe、PtおよびTiを含み、かつ、FeおよびPtを含むL1型規則合金を有する磁性結晶粒とTiを含む非磁性結晶粒界とからなるグラニュラー構造を有することを特徴とする。
図1に、第1磁気記録層50が単一の磁性層で構成された第1の実施形態の磁気記録媒体の構成例を示した。この構成例において、磁気記録媒体は、非磁性基板10、密着層20、下地層30、第1シード層40、第1磁気記録層50、および保護層60を有する。図1の構成例に示した密着層20、下地層30、および保護層60は、任意選択的に設けてもよい層である。さらに、本明細書に記載の磁気記録媒体は、非磁性基板10と第1磁気記録層50との間に、ヒートシンク層、軟磁性裏打ち層、中間層などをさらに含んでもよい。
非磁性基板10は、表面が平滑である様々な基板であってもよい。たとえば、磁気記録媒体に一般的に用いられる材料を用いて、非磁性基板10を形成することができる。用いることができる材料は、NiPメッキを施したAl合金、MgO単結晶、MgAl、SrTiO、強化ガラス、結晶化ガラス等を含む。
任意選択的に設けてもよい密着層20は、密着層20の上に形成される層と密着層20の下に形成される層との密着性を高めるために用いられる。密着層20の下に形成される層としては非磁性基板10を含む。密着層20を形成するための材料はNi、W、Ta、Cr、Ruなどの金属、前述の金属を含む合金を含む。密着層20は、単一の層であってもよいし、複数の層の積層構造を有してもよい。
任意選択的に設けてもよい軟磁性裏打ち層(不図示)は、磁気ヘッドからの磁束を制御して、磁気記録媒体の記録・再生特性を向上させる。軟磁性裏打ち層を形成するための材料は、NiFe合金、センダスト(FeSiAl)合金、CoFe合金などの結晶質材料、FeTaC,CoFeNi,CoNiPなどの微結晶質材料、CoZrNb、CoTaZrなどのCo合金を含む非晶質材料を含む。軟磁性裏打ち層の膜厚の最適値は、磁気記録に用いる磁気ヘッドの構造および特性に依存する。他の層と連続成膜で軟磁性裏打ち層を形成する場合、生産性との兼ね合いから、軟磁性裏打ち層が10nm〜500nmの範囲内(両端を含む)の膜厚を有することが好ましい。
磁気記録媒体を熱アシスト磁気記録方式において使用する場合、ヒートシンク層(不図示)を設けてもよい。ヒートシンク層は、熱アシスト磁気記録時に発生する第1磁気記録層50の余分な熱を効果的に吸収するための層である。ヒートシンク層は、熱伝導率および比熱容量が高い材料を用いて形成することができる。そのような材料は、Cu単体、Ag単体、Au単体、またはそれらを主体とする合金材料を含む。ここで、「主体とする」とは、当該材料の含有量が50wt%以上であることを示す。また、強度などの観点から、Al−Si合金、Cu−B合金などを用いて、ヒートシンク層を形成することができる。さらに、センダスト(FeSiAl)合金、軟磁性のCoFe合金などを用いてヒートシンク層を形成し、ヒートシンク層に軟磁性裏打ち層の機能であるヘッドの発生する垂直方向磁界を第1磁気記録層50に集中させる機能を付与することもできる。ヒートシンク層の膜厚の最適値は、熱アシスト磁気記録時の熱量および熱分布、ならびに磁気記録媒体の層構成および各構成層の厚さによって変化する。他の構成層との連続成膜で形成する場合などは、生産性との兼ね合いから、ヒートシンク層の膜厚は10nm以上100nm以下であることが好ましい。ヒートシンク層は、スパッタ法(DCマグネトロンスパッタリング法などを含む)、真空蒸着法などの当該技術において知られている任意の方法を用いて形成することができる。通常の場合、ヒートシンク層は、スパッタ法を用いて形成される。ヒートシンク層は、磁気記録媒体に求められる特性を考慮して、非磁性基板10と密着層20との間、密着層20と下地層30との間などに設けることができる。
下地層30は、その下に形成される層の結晶構造が第1磁気記録層50の結晶配向性および磁性結晶粒のサイズなどに及ぼす影響を遮断するために設けられる層である。また、軟磁性裏打ち層を設ける場合、軟磁性裏打ち層に対する磁気的影響を抑制するために、下地層30は非磁性であることが要求される。下地層30を形成するための材料は、MgO、SrTiOなどの酸化物、あるいはTiNなどの窒化物、CrおよびTaなどの金属、NiW合金、およびCrTi、CrZr、CrTa、およびCrWなどのCrをベースとする合金を含む。下地層30は、スパッタ法などの当該技術において知られている任意の方法を用いて形成することができる。
第1シード層40は、下地層30と第1磁気記録層50との間の密着性を確保すると同時に、第1シード層40と接触する磁性層の磁性結晶粒の粒径および結晶配向を制御するための層である。具体的には、第1シード層40は、その上に形成される磁性層中で、L1型規則合金を含む磁性結晶粒と、Tiを含む非磁性結晶粒界との分離を促進して、当該磁性層を含む第1磁気記録層50の保磁力Hcを増大させる機能を有する。第1シード層40は、Ptを含み、好ましくはPtで構成される。第1シード層40は、スパッタ法(RFマグネトロンスパッタリング法を含む)、真空蒸着法などの当該技術において知られている任意の方法を用いて形成することができる。第1シード層40は、250〜700℃の範囲内の温度に非磁性基板10を加熱した状態で、形成することができる。第1シード層40は、0.1nm以上、好ましくは0.5nm〜50nm、より好ましくは1nm〜20nmの膜厚を有する。
保護層60は、磁気記録媒体の分野で慣用的に使用されている材料を用いて形成することができる。具体的には、Ptなどの非磁性金属、ダイアモンドライクカーボンなどのカーボン系材料、あるいは窒化シリコンなどのシリコン系材料を用いて、保護層60を形成することができる。また、保護層60は、単層であってもよく、積層構造を有してもよい。積層構造の保護層60は、たとえば、特性の異なる2種のカーボン系材料の積層構造、金属とカーボン系材料との積層構造、または金属酸化物膜とカーボン系材料との積層構造であってもよい。保護層60は、スパッタ法(DCマグネトロンスパッタリング法などを含む)、真空蒸着法などの当該技術において知られている任意の方法を用いて形成することができる。
また、任意選択的に、磁気記録媒体は、保護層60の上に設けられる液体潤滑剤層(不図示)をさらに含んでもよい。液体潤滑剤層は、磁気記録媒体の分野で慣用的に使用されている材料(たとえば、パーフルオロポリエーテル系の潤滑剤など)を用いて形成することができる。液体潤滑剤層は、たとえば、ディップコート法、スピンコート法などの塗布法を用いて形成することができる。
第1磁気記録層50は、1つまたは複数の磁性層を含む。以下、第1シード層40と接触する磁性層を第1磁性層と呼ぶ。第1磁性層は、Fe、PtおよびTiを含む。第1磁性層は、FeおよびPtを含むL1型規則合金を有する磁性結晶粒と、Tiを含む非磁性結晶粒界とからなるグラニュラー構造を有する。
磁性結晶粒を構成するL1型規則合金は、磁性結晶粒の特性変調を目的として、Ni、Mn、Ag、AuおよびCrからなる群から選択される少なくとも1種の元素をさらに含んでもよい。望ましい特性変調は、L1型規則合金の規則化に必要な温度の低減を含む。
磁性結晶粒は必ずしもすべての原子が規則構造を有していなくてもよい。規則構造の程度を表わす規則度Sが所定の値以上であれば良い。規則度Sは、磁気記録媒体をXRDにより測定し、測定値と完全に規則化した際の理論値との比により算出される。L1型規則合金の場合は、規則合金由来の(001)および(002)ピークの積分強度を用いて算出する。測定された(002)ピーク積分強度に対する(001)ピーク積分強度の比の値を、完全に規則化した際に理論的に算出される(002)ピーク積分強度に対する(001)ピーク積分強度の比で除算し、その平方根を採ることで規則度Sを得ることができる。このようにして得られた規則度Sが0.5以上であれば、磁気記録媒体として実用的な磁気異方性定数Kuを有する。
非磁性結晶粒界は、Tiを含み、好ましくはTiで構成される。第1磁性層は、当該磁性層の全原子数を基準として、4at%以上12at%以下、好ましくは5at%以上10at%以下のTiを含む。本明細書において、「at%」は原子%を意味する。前述の範囲内のTiを含むことによって、磁性結晶粒と非磁性結晶粒界との分離を促進して、当該磁性層の保磁力Hcを急激に増大させることができる。
第1磁気記録層50の他の実施形態は、前述の第1磁性層に付加して、第2磁性層をさらに配置する構成である。第2磁性層を配置することで磁気記録媒体の性能をさらに向上させることができる。
構成例の1つは、第1磁性層とは異なるキュリー温度Tcを有し、Tc制御を目的とした第2磁性層(以下、Tc制御磁性層と呼ぶ。)をさらに配置した構成である。両者のTcに合わせた記録温度を設定することで、記録時に必要とされる磁気記録媒体全体としての反転磁界を低減することができる。例えば、Tc制御磁性層のキュリー温度を第1磁性層のキュリー温度より低く設定する。記録温度を両者のキュリー温度の中間に設定すれば、記録時にTc制御磁性層の磁化は消失して記録を反転するために必要な磁界は低減する。このようにして磁気記録ヘッドに要請される記録時の発生磁界を低減して良好な磁気記録性能を発揮することができる。
Tc制御磁性層はグラニュラー構造を有することが好ましい。第1磁性層およびTc制御磁性層の磁性結晶粒を概ね同じ位置に配置することが特に好ましく、概ね同じ位置とすることで信号対雑音比(SNR)等の性能を向上することができる。
Tc制御磁性層を構成する磁性結晶粒はCoおよびFeのうちのいずれか1つを少なくとも含む材料とすることが好ましく、さらにPt、Pd、Ni、Mn、Cr、Cu、Ag、Auのうちの少なくともいずれか1つを含むことが好ましい。例えば、CoCr系合金、CoCrPt系合金、FePt系合金、FePd系合金等を用いることができる。磁性結晶粒の結晶構造は、L1型、L1型、L1型などの規則構造、hcp構造(六方最密充填構造)、fcc構造(面心立方構造)などであってもよい。Tc制御磁性層を構成する非磁性部の材料としては、ZnO、SiO、TiOなどの酸化物、SiN、TiNなどの窒化物、C、Bなどを用いることができる。
Tc制御磁性層として、第1磁性層と同様の材料を用いて、異なる組成とした層を用いてもよい。Tc制御磁性層は、例えば、第1磁性層中のTiの比率を変更した層、規則合金に添加するNiなどの元素を変更した層などであってもよい。
第1磁性層とTc制御磁性層との間の磁気的な交換結合を調整するために、第1磁性層とTc制御磁性層との間に交換結合制御層を配置することが好ましい。記録温度における磁気的な交換結合を調整することにより、反転磁界を調整することができる。交換結合制御層は、所望する交換結合に応じて磁性を有する層、非磁性の層を選択することができる。記録温度における反転磁界の低減効果を高めるためには非磁性層を用いることが好ましい。
第1磁性層の上に形成される第2磁性層として、キャップ層を配置してもよい。キャップ層は、磁性層の層内で磁気的には連続な層であることができる。この連続磁性層を配置することにより、磁気記録媒体としての磁化反転を調整することができる。
連続磁性層を構成する材料はCo,Feのうちのいずれかひとつを少なくとも含む材料とすることが好ましく、さらにPt、Pd、Ni、Mn、Cr、Cu、Ag、Au、希土類元素のうちの少なくともいずれかひとつを含むことが好ましい。例えば、CoCr系合金、CoCrPt系合金、FePt系合金、FePd系合金、CoSm系合金等を用いることができる。連続磁性層は多結晶あるいは非晶質のいずれで構成してもよい。多結晶で構成する場合の結晶構造は、L1型、L1型、L1型等の規則構造、hcp構造(六方最密充填構造)、fcc構造(面心立方構造)等とすることができる。
第2磁性層は、記録を保存する温度において第1磁性層と協働して記録したい情報(例えば、0、1の情報。)に対応する磁化を保持する作用、および/または、記録する温度において第1磁性層と協働して記録を容易にする作用を有する。この目的に資するために、上述したTc制御磁性層、連続磁性層に替えて、もしくはTc制御磁性層、連続磁性層に加えて、他の第2磁性層を付加することができる。例えば、磁気特性を制御する第2磁性層、マイクロ波アシスト磁気記録に向けた強磁性共鳴周波数を制御する第2磁性層等を付加してもよい。ここで、制御される磁気特性は、磁気異方性定数(Ku)、反転磁界、保磁力Hc、飽和磁化Msなどを含む。また、付加する第2磁性層は、単層でもよく、あるいは異なる組成を有するなどの異なる層を積層した構成であってもよい。また、異なる構成を有する複数の第2磁性層を付加してもよい。
第2磁性層、交換結合制御層などは、スパッタ法、蒸着法などを用いて形成することができる。また、任意選択的に、第2磁性層、交換結合制御層などの形成時に、基板の加熱を行ってもよい。
第1の実施形態のさらに他の構成例としては、第1シード層40と第1磁気記録層50の積層体を繰り返し積層した構成を含んでもよい。
第2の実施形態の磁気記録媒体の1つの構成例は、第1の実施形態の磁気記録媒体における非磁性基板と第1シード層との間に、第2シード層および第2磁気記録層をさらに含み、第2磁気記録層と第1シード層とが接触していることを特徴とする。
図2に、第1磁気記録層50が単一の磁性層で構成された第2の実施形態の磁気記録媒体の構成例を示した。この構成例において、磁気記録媒体は、非磁性基板10、密着層20、下地層30、第2シード層70、第2磁気記録層80、第1シード層40、第1磁気記録層50、および保護層60を有する。図2の構成例に示した密着層20、下地層30、および保護層60は、任意選択的に設けてもよい層である。さらに、磁気記録媒体は、非磁性基板10と第2磁気記録層80との間に、ヒートシンク層、軟磁性裏打ち層、中間層などをさらに含んでもよい。非磁性基板10、密着層20、下地層30、第1シード層40、第1磁気記録層50、保護層60、ヒートシンク層、軟磁性裏打ち層、および中間層は、第1の実施形態と同様の構成であってもよい。
第2シード層70は、下地層30と第2磁気記録層80との間の密着性を確保すると同時に、第2シード層70と接触する磁性層の磁性結晶粒の粒径および結晶配向を制御するための層である。具体的には、第2シード層70は、その上に形成される磁性層中で、磁性結晶粒と非磁性結晶粒界との分離を促進して、当該磁性層を含む第2磁気記録層80の保磁力Hcを増大させる機能を有する。第2シード層70は、MgO、SrTiOなどの酸化物、あるいはTiNなどの窒化物を用いて形成することが好ましい。特に好ましくは、NaCl型の化合物を用いる。第2シード層70は、スパッタ法(RFマグネトロンスパッタリング法を含む)、真空蒸着法などの当該技術において知られている任意の方法を用いて形成することができる。第2シード層70は、250〜700℃の範囲内の温度に非磁性基板10を加熱した状態で形成することができる。第2シード層70は、0.1nm以上、好ましくは0.5nm〜50nm、より好ましくは1nm〜20nmの膜厚を有する。
第2磁気記録層80はグラニュラー構造を有する。第2磁気記録層80は、単一の磁性層から構成されてもよいし、複数の磁性層から構成されていてもよい。複数の磁性層から構成される場合、それぞれの磁性層がグラニュラー構造を有する。また、複数の磁性層から構成される場合、隣接する磁性層の間の磁気的な交換結合を調整するために、隣接する磁性層の間に交換結合制御層を配置することが好ましい。記録温度における磁気的な交換結合を調整することにより、反転磁界を調整することができる。交換結合制御層は、所望する交換結合に応じて磁性を有する層、非磁性の層を選択することができる。記録温度における反転磁界の低減効果を高めるためには非磁性層を用いることが好ましい。
第2磁気記録層80を構成する磁性層の磁性結晶粒は、CoおよびFeのうちのいずれか1つを少なくとも含む材料であることが好ましく、さらにPt、Pd、Ni、Mn、Cr、Cu、Ag、Auのうちの少なくともいずれか1つを含むことが好ましい。例えば、CoCr系合金、CoCrPt系合金、FePt系合金、FePd系合金等を用いることができる。磁性結晶粒の結晶構造は、L1型、L1型、L1型などの規則構造、hcp構造(六方最密充填構造)、fcc構造(面心立方構造)などであってもよい。第2磁気記録層80を構成する磁性層の非磁性部の材料としては、ZnO、SiO、TiOなどの酸化物、SiN、TiNなどの窒化物、C、Bなどを用いることができる。
好ましい第2磁気記録層80は、FePt−C磁性層からなる単一層、FePt−C磁性層とFePt−BC磁性層との積層構造を含むが、それらに限定されるものではない。
第2磁気記録層80は、第1磁気記録層50とは異なるキュリー温度Tcを有し、Tc制御を目的とする層であってもよい。両者のTcに合わせた記録温度を設定することで、記録時に必要とされる磁気記録媒体全体としての反転磁界を低減することができる。例えば、第2磁気記録層80のキュリー温度Tcを第1磁気記録層50のキュリー温度Tcより低く設定する。記録温度を両者のキュリー温度の中間に設定すれば、記録時に第2磁気記録層80の磁化は消失して記録を反転するために必要な磁界は低減する。このようにして磁気記録ヘッドに要請される記録時の発生磁界を低減して良好な磁気記録性能を発揮することができる。
あるいはまた、第2磁気記録層80は、記録を保存する温度において第1磁気記録層50と協働して記録したい情報(例えば、0、1の情報。)に対応する磁化を保持する作用、および/または、記録する温度において第1磁性層と協働して記録を容易にする作用を有する。この目的に資するために、第2磁気記録層80は、例えば、磁気特性を制御する機能、マイクロ波アシスト磁気記録に向けた強磁性共鳴周波数を制御する機能などを有してもよい。ここで、制御される磁気特性は、磁気異方性定数(Ku)、反転磁界、保磁力Hc、飽和磁化Msなどを含む。
第2磁気記録層80を構成する磁性層、交換結合制御層などは、スパッタ法、蒸着法などを用いて形成することができる。また、任意選択的に、磁性層、交換結合制御層などの形成時に、基板の加熱を行ってもよい。
(実施例1) FePt−Ti/Pt/MgO
平滑な表面を有し、(100)の結晶面方位を有するMgO単結晶基板(タテホ化学工業株式会社製)を洗浄し、非磁性基板10を準備した。洗浄後の非磁性基板10を、スパッタ装置内に導入した。非磁性基板10を350℃に加熱し、圧力0.4PaのArガス中で純Ptターゲットを用いたRFマグネトロンスパッタ法により、膜厚20nmのPt第1シード層40を形成した。
次に、第1シード層40を形成した積層体を350℃に加熱し、圧力0.6PaのArガス中で、Fe45Pt55合金ターゲットおよび純Tiターゲットを用いるRFマグネトロンスパッタ法により、膜厚10nmのFePt−Ti第1磁気記録層50を形成した。ここで、「Fe45Pt55合金ターゲット」は、45at%のFeおよび55at%のPtからなる合金で形成されたターゲットを意味する。また、Fe45Pt55合金ターゲットに印加する電力を300Wに固定し、純Tiターゲットに印加する電力を100〜550Wの範囲内で変化させることによって、FePt−Ti第1磁気記録層50の組成を変化させた。得られたFePt−Ti第1磁気記録層50の組成を、ラザフォード後方散乱分光法(RBS)により分析した。得られた磁気記録媒体は、(100)MgO非磁性基板10、Pt第1シード層40、およびFePt−Ti第1磁気記録層50をこの順に有した。なお、本願明細書において、「FePt−Ti」という記載は、Tiの大部分がFePtの結晶粒界に偏在する材料を意味し、「FePtTi」という記載は、FePtの結晶粒界におけるTiの顕著な偏在が認められない材料を意味する。
形成されたFePt−Ti第1磁気記録層50をX線回折法(XRD)により分析して、L1型規則合金からなる磁性結晶粒の存在を確認した。また、Ti含有量が8at%であるFePt−Ti第1磁気記録層50のFe、PtおよびTiの分布を、電子エネルギー損失分光法(EELS)により分析した。その結果を図4に示した。図4中、(a)はFeの分布を示す図であり、(b)はPtの分布を示す図であり、(c)はTiの分布を示す図である。なお、Ti含有量が8at%であるFePt−Ti第1磁気記録層50は、Feが42at%、Ptが50at%、Tiが8at%の組成を有した。さらに、得られた磁気記録媒体のM−Hヒステリシスループを、室温において振動試料型磁力計(VSM)により測定し、保磁力Hcを求めた。FePt−Ti第1磁気記録層50中のTi含有量と保磁力Hcとの関係を図3Aに示した。また、FePt−Ti第1磁気記録層50中のTi含有量が8at%である磁気記録媒体のM−Hヒステリシスループを図5Aに示した。
(比較例1) FePtTi/MgO
Pt第1シード層40を形成しなかったことを除いて実施例1の手順を繰り返して、磁気記録媒体を得た。
XRD分析により、L1型規則合金からなる磁性結晶粒の存在を確認した。Ti含有量が4at%であるFePtTi第1磁気記録層のFe、PtおよびTiの分布を、図6に示した。図6中、(a)はFeの分布を示す図であり、(b)はPtの分布を示す図であり、(c)はTiの分布を示す図である。なお、Ti含有量が4at%であるFePt−Ti第1磁気記録層は、Fe43Pt53Tiの組成を有した。FePtTi第1磁気記録層中のTi含有量と得られた磁気記録媒体の保磁力Hcとの関係を図3Bに示した。Ti含有量は純Tiターゲットに印加する電力によって制御していることから、図3Bは、純Tiターゲットに印加する電力を横軸にしている。Tiターゲットスパッタ電力が200Wの場合に、Ti含有量は4at%である。また、FePtTi第1磁気記録層中のTi含有量が4at%である磁気記録媒体のM−Hヒステリシスループを図7Aに示した。
(比較例2) FePt/Pt/MgO
Fe45Pt55合金ターゲットのみを用いるRFマグネトロンスパッタ法によりFePt第1磁気記録層を形成したことを除いて実施例1の手順を繰り返して、磁気記録媒体を得た。
XRD分析により、L1型規則合金からなる磁性結晶粒の存在を確認した。得られた磁気記録媒体のM−Hヒステリシスループを図5Bに示した。
(比較例3) FePt/MgO
Pt第1シード層40を形成しなかったこと、およびFe45Pt55合金ターゲットのみを用いるDCマグネトロンスパッタ法によりFePt第1磁気記録層を形成したことを除いて実施例1の手順を繰り返して、磁気記録媒体を得た。
XRD分析により、L1型規則合金からなる磁性結晶粒の存在を確認した。得られた磁気記録媒体のM−Hヒステリシスループを図7Bに示した。
(比較例4) FePtCu/Pt/MgO
Fe45Pt55合金ターゲットおよび純Cuターゲットを用いるDCマグネトロンスパッタ法によりFePtCu第1磁気記録層を形成したことを除いて実施例1の手順を繰り返して、磁気記録媒体を得た。
XRD分析により、L1型規則合金からなる磁性結晶粒の存在を確認した。FePtCu第1磁気記録層中のCu含有量と保磁力Hcとの関係を図8に示した。
(評価)
図3Aから分かるように、Pt第1シード層40の上にFePt−Ti第1磁気記録層50を形成した実施例1の磁気記録媒体において、第1磁気記録層中のTi含有量が4at%以上12at%以下の場合に急激な保磁力Hcの増大が確認された。特に、Ti含有量が8at%の場合に、保磁力Hcが14.6kOe(1160A/mm)の最大値を示した。一方、図3Bから分かるように、(100)MgO単結晶非磁性基板10の上にFePtTi第1磁気記録層50を形成した比較例1の磁気記録媒体においては、Ti含有量の増加に伴う保磁力Hcの増大は認められるものの、その変化は実施例1の磁気記録媒体に比較して極めて緩やかであった。以上の結果から、Pt第1シード層40とFePt−Ti第1磁気記録層50との相互作用によって、著しく大きな保磁力Hcが得られることが分かる。
また、図4の(a)〜(c)の比較から、Pt第1シード層40の上にFePt−Ti第1磁気記録層50を形成した実施例1の磁気記録媒体において、FeとTiとが良好に相分離していることが確認された。なお、図4および図6に示すEELS分析結果において、明るく見える部分は分析対象元素の存在を示し、暗く見える部分は分析対象元素の不在を示す。一方、図6の(a)〜(c)から分かるように、(100)MgO単結晶非磁性基板10の上にFePtTi第1磁気記録層を形成した比較例1の磁気記録媒体においては、FeとTiとの明瞭な相分離が認められていない。このことから、Pt第1シード層40がFePt−Ti第1磁気記録層50の磁性結晶粒と非磁性結晶粒界との相分離に大きな影響を及ぼしていることが分かる。何らの理論に拘束されることを意図するものではないが、第1磁気記録層50中のFePt磁性結晶粒とTi非磁性結晶粒界との相分離の差異は、その下にあるPt第1シード層40および(100)MgO単結晶非磁性基板10の表面エネルギーの相違に影響されていると推測している。ここで、MgO単結晶の表面エネルギーは1.5J/cmであり、Ptの表面エネルギーは2.7J/cmである。
さらに、図5Aと図5Bとの比較から、Pt第1シード層40の上にFePt−Ti第1磁気記録層50を形成した実施例1の磁気記録媒体の残留磁化(H=0における磁化M)は、Pt第1シード層40の上にFe45Pt55第1磁気記録層を形成した比較例2の磁気記録媒体の残留磁化と同等であることが分かる。一方、図5BのM−Hヒステリシスループから分かるように、比較例2の磁気記録媒体は、3.9kOe(310A/mm)の保磁力Hcを有した。このことからも、Pt第1シード層上にTi非磁性粒界を有する第1磁気記録層を設けることによって、保磁力Hcの増大が確認された。また、比較例2の磁気記録媒体と比較して、実施例1の磁気記録媒体は、より大きなヒステリシス面積を有し、より硬質な磁気特性を有していることが分かる。
また、図7Aおよび図7Bに示すM−Hヒステリシスループの比較から分かるように、FePtTi第1磁気記録層50を有する比較例1の磁気記録媒体は、FePt第1磁気記録層を有する比較例3の磁気記録媒体よりも大きな保磁力Hcを有するものの、残留磁化の若干の低下が認められた。図6の(a)〜(c)、図7Aおよび図7Bの結果を併せて考慮すれば、第1磁気記録層中の非磁性結晶粒界の相分離に関して、(100)MgO単結晶が大きな影響を及ぼさないことが分かる。
さらに、図8から分かるように、FePtにCuを添加した第1磁気記録層を有する比較例4の磁気記録媒体においては、Cuの添加量の増大に伴って保磁力Hcが減少した。これは、Pt第1シード層による相分離の促進効果は、Cuの添加では発現されないことを示す。
10 非磁性基板
20 密着層
30 下地層
40 第1シード層
50 第1磁気記録層
60 保護層
70 第2シード層
80 第2磁気記録層

Claims (5)

  1. 非磁性基板と、第1シード層と、前記第1シード層上に形成された第1磁気記録層とを含み、
    前記第1シード層は、Ptを含み、
    前記第1磁気記録層は、1つまたは複数の磁性層を有し、
    前記第1シード層と接触する磁性層は、Fe、PtおよびTiを含み、
    前記第1シード層と接触する磁性層は、FeおよびPtを含むL10型規則合金を有する磁性結晶粒と、Tiを含む非磁性結晶粒界とからなるグラニュラー構造を有し、
    前記第1シード層と接触する磁性層は、全原子数を基準として4at%以上12at%以下のTiを含む
    ことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 非磁性基板と、第1シード層と、前記第1シード層上に形成された第1磁気記録層とを含み、
    前記第1シード層は、Ptを含み、
    前記第1磁気記録層は、1つまたは複数の磁性層を有し、
    前記第1シード層と接触する磁性層は、Fe、PtおよびTiを含み、
    前記第1シード層と接触する磁性層は、FeおよびPtを含むL1 0 型規則合金を有する磁性結晶粒と、Tiを含む非磁性結晶粒界とからなるグラニュラー構造を有し、
    前記非磁性基板と前記第1シード層との間に、第2シード層および第2磁気記録層をさらに含み、前記第2磁気記録層は前記第1シード層と接触していることを特徴とする磁気記録媒体
  3. 前記L10型規則合金は、Ni、Mn、Ag、AuおよびCrからなる群から選択される少なくとも1種の元素をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
  4. 前記第1磁気記録層は、1つの磁性層からなることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
  5. 前記非磁性基板と前記第1シード層との間に、ヒートシンク層、密着層、軟磁性裏打ち層、および下地層からなる群から選択される1つまたは複数の層をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
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