JP6089995B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

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本発明は磁気記録媒体に関する。特に、本発明は、MnOシード層上に形成された(110)配向L1型規則合金を含む磁気記録層を有する磁気記録媒体に関する。
近年、磁気記録装置の記録方式として、磁気記録媒体主平面に対して垂直に磁化する垂直磁気記録方式が用いられている。垂直磁気記録方式に用いられる磁気記録媒体(以下、「垂直磁気記録媒体」と称する)は、非磁性基板と、磁性材料で形成されている磁気記録層とを含む。
記録密度の向上のために、磁気記録媒体の特性の変更および改良が継続的に行われてきた。その主たる試みは、磁気記録層中の磁性結晶粒のサイズの漸進的な縮小である。その結果、今日の磁性結晶粒のサイズは、周囲の熱の影響により磁化(記録情報)を安定に保つことができなくなる超常磁性限界と呼ばれる物性限界に近づきつつある。
磁気記録媒体の熱安定性は、大きな磁気異方性を有する材料を用いて磁気記録層を形成することにより改良することができる。磁気記録媒体の熱安定性指数はKV/kTで表わされる。式中、Kは磁性結晶粒の材料の磁気異方性定数を表わし、Vは磁性結晶粒の体積を表わし、kはボルツマン定数を表わし、およびTは磁気記録媒体を使用する環境温度を表す。環境温度は、通常、280〜300Kである。磁気記録媒体に記録された磁化を10年間安定に保つためには、KV/kTは60以上であることが必要であると見積もられている。このため、たとえば1Tbits/inchの記録密度を有する磁気記録媒体では、Kが1×10erg/cm(1J/cm)を超える大きな値であることが求められる。
上述の超常磁性限界の問題を克服する手段の1つとして、大きな磁気異方性定数Kを有する材料で磁性結晶粒を作成することが検討されてきている。しかしながら、大きな磁気異方性定数Kを有する材料で形成した磁性結晶粒は、大きな保磁力を有し、通常のヘッド磁界だけでは情報の記録に必要な磁化反転が困難になるという問題がある。この課題を克服するため、熱アシスト磁気記録、マイクロ波アシスト磁気記録などのエネルギーアシスト磁気記録方式が検討されている。この点に関して、(100)配向のMnO下地層の上に(001)配向したL1型規則合金を主成分とする磁気記録層を形成した熱アシスト磁気記録用磁気記録媒体が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、エネルギーアシスト磁気記録方式の実現には多くの課題が残されている。
上述の超常磁性限界の問題を克服する別の手段として、磁性結晶粒の磁化容易軸に対して斜めに傾いた方向の書き込み磁界を印加することで、磁化反転を容易にする方法が提案されている。この点に関して、磁化容易軸と書き込み磁界との間の角度を45度としたときに、磁化反転が最も容易に行われることが報告されている(非特許文献1参照)。さらに、ビットパターン媒体において、磁気記録層の磁化容易軸が磁気記録媒体主平面に対して垂直な方向から傾斜している傾斜異方性磁気記録媒体を用いることにより、記録信号特性の向上および記録密度の増大が可能であるとするシミュレーション結果が報告されている(非特許文献2参照)。さらに、傾斜異方性磁気記録媒体の製造を目的として、コリメータスパッタリング法を用いてCo−Cr合金を含む傾斜配向層を形成する方法が提案されている(非特許文献3参照)。別の方法として、(111)配向のfcc材料、(100)配向のhcp材料、またはSiOなどの非晶質材料からなる中間層の上に、(111)配向のL1型規則合金を主成分とする磁気記録層を形成した磁気記録媒体が提案されている(特許文献2参照)。
特開2012−169017号公報 特開2006−19000号公報
Kryder et al., Journal of Magnetism and Magnetic Materials, 287 (2005) pp.449-458 本多ら、信学技報、109(2009)、pp.9−14 本多ら、信学技報、110(2010)、pp.65−72
しかしながら、前述のコリメータスパッタリング法による傾斜配向層の形成では、コリメータ角度を45度としても、得られる層の配向傾斜角(すなわち、基板主平面に対する垂直方向と磁化容易軸とがなす角)は数度程度であり、最も効果的であると考えられる45度には遠く及ばない。また、得られる傾斜配向層は、小さい磁気異方性定数Kuを有するに過ぎず、高密度記録には不十分であった。本発明は、これらの課題を解決することを目的とする。具体的には、本発明の目的は、大きな磁気異方性定数Kuを有し、かつ、磁化容易軸が磁気記録媒体主平面に対する垂直方向から45度傾斜した強磁性材料を含む磁気記録層を有する磁気記録媒体を提供することである。また、本発明の別の目的は、前述の磁気記録媒体を容易に製造するための方法を提供することである。
本発明の磁気記録媒体は、非磁性基板と、シード層と、前記シード層上に形成された磁気記録層を含み、前記シード層はMnOを含み、前記磁気記録層は、1つまたは複数の磁性層からなり、前記シード層と接触する磁性層は、(110)配向したL1型規則合金からなる磁性結晶粒と、前記磁性結晶粒を取り囲み、カーボンを含む非磁性結晶粒界とを有するグラニュラー構造を有することを特徴とする。ここで、L1型規則合金は、FeおよびPtを含んでもよい。また、前記L1型規則合金は、Ni、Mn、Cu、Ag、AuおよびCrからなる群から選択される少なくとも1種の元素をさらに含んでもよい。加えて、前記シード層は(002)配向のMnOを含むことが望ましい。
さらに、本発明の磁気記録媒体は、1つの磁性層からなる磁気記録層を有してもよく、複数の磁性層からなる磁気記録層を有してもよい。複数の磁性層からなる磁気記録層を有する磁気記録媒体において、前記シード層と接触しない磁性層は、(110)配向したL1型規則合金からなる磁性結晶粒と、カーボン、Ta酸化物、Si酸化物、Ge酸化物、Al酸化物およびTi酸化物からなる群から選択される少なくとも1種の材料を含み、前記磁性結晶粒を取り囲む非磁性結晶粒界とを有するグラニュラー構造を有することができる。ここで、複数の磁性層の各層の非磁性結晶粒界は、その直下にある磁性層の非磁性結晶粒界とは異なる材料で形成されている。
また、本発明の磁気記録媒体の製造方法は、非磁性基板を250〜400℃の範囲内の温度に加熱した状態で、非磁性基板の上に、MnOを含むシード層を形成する工程と、非磁性基板を250〜450℃の範囲内の温度に加熱した状態で、前記シード層の上に、1つまたは複数の磁性層からなる磁気記録層を形成する工程とを含み、前記シード層と接触する磁性層は、(110)配向したL1型規則合金からなる磁性結晶粒と、前記磁性結晶粒を取り囲み、カーボンを含む非磁性結晶粒界とを有するグラニュラー構造を有することを特徴とする。
本発明によれば、高い磁気異方性定数Kuを有する磁気記録媒体を提供できる。本発明によれば、磁化容易軸が膜面垂直から45度傾いた磁性粒からなる磁気記録層を有する磁気記録媒体を提供できる。
本発明の磁気記録媒体の第1の実施形態を示す垂直断面の概略図である。 本発明の磁気記録層の水平断面の概略図である。 本発明の磁気記録媒体の第2の実施形態を示す垂直断面の概略図である。 実施例1で得られた磁気記録媒体のX線回折プロファイルを示す図である。 比較例1で得られた磁気記録媒体のX線回折プロファイルを示す図である。
本発明の磁気記録媒体は、非磁性基板と、シード層と、前記シード層上に形成された磁気記録層を含み、前記シード層は、MnOを含み、前記磁気記録層は、1つまたは複数の構成層からなり、前記シード層と接触する構成層は、(110)配向したL1型規則合金からなる磁性結晶粒と、前記磁性結晶粒を取り囲み、カーボンを含む非磁性結晶粒界とを有するグラニュラー構造を有することを特徴とする。本発明の磁気記録媒体の第1の実施形態を図1に示す。図1は、磁気記録媒体100の主平面に垂直な断面(本明細書において「垂直断面」とも称する)における断面図である。図1の磁気記録媒体100は、非磁性基板10、密着層20、下地層30、シード層40、磁気記録層50、および保護層60をこの順に有する。図1に示す磁気記録層50は、単一の磁性層で構成されている。ここで、密着層20、下地層30、および保護層60は任意選択的に形成される層である。
非磁性基板10は、平滑な表面を有し、その上に各構成層が形成される基板である。たとえば、磁気記録媒体に一般的に用いられる材料(NiPメッキを施したAl合金、強化ガラス、結晶化ガラスなど)を用いて、非磁性基板10を形成することができる。なお、以下に示す全ての実施例において、ガラス基板を非磁性基板10として用いているが、以下に示す実施例が本発明の非磁性基板の材料を限定するものではない。
任意選択的に設けることができる密着層20は、非磁性基板10と下地層30またはシード層40との間の密着性を確保するための層である。密着層20を形成するための材料は、Ta、Ni、W、Ta、Cr、Ruなどの金属、前述の金属を含む合金から選択することができる。密着層20は、単一の層から形成されていてもよいし、複数の層の積層構造を有していてもよい。密着層20は、DCマグネトロンスパッタリング法、真空蒸着法などの当該技術において知られている慣用の方法により形成することができる。
任意選択的に設けることができる下地層30は、その上に形成されるシード層40の結晶性および結晶軸方位を制御して、その結果としてシード層40の上に形成される磁気記録層50の磁性結晶粒50aの粒径および結晶配向を制御するための層である。下地層30は、単一の層から形成されていてもよいし、複数の層の積層構造を有していてもよい。下地層30は、Cr、Cr合金またはこれらの混合物から形成される非磁性膜であることが好ましい。本発明において「Cr合金」は、主成分としてCrを含み、Mo、W、Ti、V、およびMnからなる群から選択される少なくとも1種の金属をさらに含む合金を意味する。また、下地層30を構成する材料は、磁気記録層50の結晶格子に近い結晶格子を有することが好ましい。磁気記録層50の組成に応じて下地層30の構成材料を適宜選択することが好ましい。下地層30は、DCマグネトロンスパッタリング法、真空蒸着法などの当該技術において知られている慣用の方法により形成することができる。
シード層40は、下地層30と磁気記録層50との間の密着性を確保すると同時に、上層である磁気記録層50の磁性結晶粒50aの粒径および結晶配向を制御するための層である。シード層40は、MnOを含む。好ましくは、シード層40は、(002)配向のMnOを含む。シード層40は、下地層30の上でのMnOのエピタキシャル成長を可能とする、RFマグネトロンスパッタリング法、真空蒸着法などの当該技術において知られている任意の方法を用いて形成することができる。シード層40は、250〜400℃の範囲内の温度に非磁性基板10を加熱した状態で、形成することができる。
磁気記録層50は、グラニュラー構造を有する。具体的には、磁気記録媒体100の主平面に平行な断面(本明細書において「水平断面」とも称する)における磁気記録層50の概略図である図2に示されるように、磁気記録層50は、磁性結晶粒50aと、磁性結晶粒50aの周囲を取り囲む非磁性結晶粒界50bとから構成される。
磁性結晶粒50aは、強磁性材料から形成される。用いることができる強磁性材料は、Fe、Co、およびNiからなる群から選択される少なくとも1種の元素と、Pt、Pd、Ir、およびNiからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含むL1型規則合金を含む。好ましいL1型規則合金は、FePt、FePd、CoPt、FeNiなどを含む。より好ましいL1型規則合金は、FeおよびPtを含む。磁性結晶粒50aの特性変調を目的として、L1型規則合金に対して、Mn、Cu、Ag、Au、Crなどの金属を添加してもよい。望ましい特性変調は、L1型規則合金の規則化に必要な温度の低減を含む。
磁性結晶粒50a中のL1型規則合金は、(110)配向している。すなわち、磁性結晶粒50aの上表面はL1型規則合金の(110)面であり、L1型規則合金の磁化容易軸([002]軸)は、磁性結晶粒50aの上表面および磁気記録媒体100の主平面に対する垂直方向から傾斜している。当該垂直方向に対する磁化容易軸の傾斜角は、35度〜45度、好ましくは45度である。
非磁性結晶粒界50bは、C(カーボン)、あるいは、Ta酸化物、Si酸化物、Ge酸化物、Al酸化物およびTi酸化物からなる群から選択される少なくとも1種の酸化物材料とCとを含む混合物から形成される。磁気記録層50が単一層である本実施形態において、非磁性結晶粒界50bがCを含むことが必須である。Cが、磁性結晶粒50aの良好な分離を実現するために重要であるためである。磁性結晶粒50aの良好な分離が達成されない場合、磁性結晶粒50aの結晶成長方向(すなわち、磁性結晶粒50aの配向)が期待されるものとならない。
好ましくは、磁気記録層50中の磁性結晶粒50aの体積分率が80〜50体積%の範囲内である。対応して、磁気記録層50中の非磁性結晶粒界50bの体積分率が20〜50体積%の範囲内である。磁性結晶粒50aの体積分率が50体積%以上であることによって、磁気記録層50が高い磁気異方性を有する。また、磁性結晶粒50aの体積分率が80体積%以下であることによって、磁性結晶粒50a間の分離が十分になされる。
磁気記録層50が単一の磁性層で構成される本実施形態において、磁気記録層50は、好ましくは4〜16nm、典型的には10nmの膜厚を有する。磁気記録層50が6nm以上の膜厚を有することによって、信号再生に必要な磁気モーメント量が確保できる。また、磁気記録層50が16nm以下の膜厚を有することによって、磁化の一斉反転がなされる。さらに、本実施形態における単一層の磁気記録層50は、磁性結晶粒50aの連続性が維持されるという利点を有する。
磁気記録層50は、磁性結晶粒50aを構成する強磁性材料のシード層40の上でのエピタキシャル成長を可能とする、スパッタリング法(DCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法などを含む)、真空蒸着法などの当該技術において知られている任意の方法を用いて形成することができる。磁気記録層50は、250〜#450℃、好ましくは350〜450℃の範囲内の温度に非磁性基板10を加熱した状態で、形成することができる。
保護層60は、その下にある磁気記録層50以下の構成層を保護するための層である。保護層60は、単一層であってもよく、複数層の積層構造を有してもよい。単一層で構成される保護層60は、磁気記録媒体の分野で慣用的に使用されているカーボンを主体とする材料で形成することができる。積層構造を有する保護層60は、たとえば、特性の異なる2種のカーボン系材料の積層構造、金属とカーボン系材料との積層構造、または金属酸化物膜とカーボン系材料との積層構造であってもよい。保護層60は、CVD法、スパッタリング法(DCマグネトロンスパッタリング法などを含む)、真空蒸着法などの当該技術において知られている任意の方法を用いて形成することができる。
本発明の磁気記録媒体の第2の実施形態の垂直断面を図3に示す。第2の実施形態の磁気記録媒体200は、磁気記録層50が2つの層(第1磁性層51および第2磁性層52)で構成されている点において、第1の実施形態の磁気記録媒体100と相違するものである。非磁性基板10、密着層20、下地層30、シード層40、および保護層60は、第1の実施形態と同様の材料および構成を有する。
本実施形態において、シード層40と接する第1磁性層51は、グラニュラー構造を有する。具体的には、(110)配向したL1型の規則合金からなる第1磁性結晶粒51aと、第1磁性結晶粒51aの周囲を取り囲む第1非磁性結晶粒界51bとを含む。第1磁性結晶粒51aおよび第1非磁性結晶粒界51bは、それぞれ、第1の実施形態の磁性結晶粒50aおよび非磁性結晶粒界50bと同様の材料および構成を有する。
第1磁性層51は、好ましくは1〜4nm、典型的には2nmの膜厚を有する。第1磁性層51が1nm以上の膜厚を有することによって、第1磁性結晶粒51aの規則化が十分になされる。また、第1磁性層51が4nm以下の膜厚を有することによって、第1磁性結晶粒51aの再成長を抑制することができる。「磁性結晶粒の再成長」とは、磁性結晶粒の上表面に強磁性材料以外の材料(たとえば非磁性結晶粒界の材料)の薄膜が形成され、その薄膜の上に磁性結晶粒が再び成長することを意味する。再成長した磁性結晶粒はランダムな配向を有するため、磁性結晶粒中の規則合金の配向ならびに磁気記録層の磁気異方性を低下させる。第1磁性結晶粒51aの再成長の抑制は、第1磁性層51の上に形成される第2磁性層52中の第2磁性結晶粒52aを、第1磁性結晶粒51aの配向にしたがってエピタキシャル成長させるという点においても好ましい。
第1磁性層51中の第1磁性結晶粒51aおよび第1非磁性結晶粒界51bの体積分率は、第1の実施形態の磁性結晶粒50および非磁性結晶粒界50bの体積分率と同様であることが好ましい。
本実施形態において、第1磁性層51の上に形成される第2磁性層52は、グラニュラー構造を有する。具体的には、(110)配向したL1型の規則合金からなる第2磁性結晶粒52aと、第2磁性結晶粒52aの周囲を取り囲む第2非磁性結晶粒界52bとから構成される。第2磁性結晶粒52aは、第1の実施形態の磁性結晶粒50aと同様の材料および構成を有する。
第2非磁性結晶粒界52bは、Ta酸化物、Si酸化物、Ge酸化物、Al酸化物およびTi酸化物からなる群から選択される少なくとも1種の酸化物材料で形成される。第2非磁性結晶粒界52bを第1非磁性結晶粒界51bと異なる材料、もしくは同一の材料であっても構成元素の組成比が異なる材料で形成することによって、磁性結晶粒の再成長を抑制しながら、磁気記録層50全体の膜厚を増大させて、信号再生に必要な磁気モーメント量を確保することが可能となる。第2非磁性結晶粒界52bの材料は、第1非磁性結晶粒界51bと異なる材料とすることが好ましい。
好ましくは、第2磁性層52中の第2磁性結晶粒52aの体積分率が80〜50体積%の範囲内である。対応して、第2磁性層52中の第2非磁性結晶粒界52bの体積分率が20〜50体積%の範囲内である。第2磁性結晶粒52aの体積分率が50体積%以上であることによって、第2磁性層52が高い磁気異方性を有する。また、第2磁性結晶粒52aの体積分率が80体積%以下であることによって、第2磁性結晶粒52a間の分離が十分になされる。
好ましくは、第2磁性層52中の第2磁性結晶粒52aの体積分率を、第1磁性層51中の第1磁性結晶粒51aの体積分率に対して−10〜0%の範囲内とすることができる。体積分率を前述の範囲内とすることによって、第1磁性結晶粒51aから第2磁性結晶粒52aへのエピタキシャル成長を促進すると同時に、第2非磁性結晶粒界52bによる第2磁性結晶粒52aの分離を確実にすることが可能となる。
また、第1磁性結晶粒51aおよび第2磁性結晶粒52aは、同じ構成元素からなることが好ましい。同じ構成元素とすることで第1磁性結晶粒51aから第2磁性結晶粒52aへのエピタキシャル成長が促進され、規則合金の規則度が向上するためである。
第2磁性層52は、好ましくは1〜12nm、典型的には7nmの膜厚を有する。第2磁性層52が1nm以上の膜厚を有することによって、第2磁性結晶粒52aの規則化が十分になされる。また、第2磁性層52が12nm以下の膜厚を有することによって、第2磁性結晶粒52aの分離を確実にすることができる。
本実施形態の磁気記録層50中の各磁性層は、磁性結晶粒のエピタキシャル成長を可能とする、スパッタリング法(DCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法などを含む)、真空蒸着法などの当該技術において知られている任意の方法を用いて形成することができる。各磁性層は、250〜450℃、好ましくは350〜450℃の範囲内の温度に非磁性基板10を加熱した状態で、形成することができる。
以上の構成を採用することによって、第2の実施形態の磁気記録媒体200においては、第1磁性層51の磁性結晶粒51aと第2磁性層52の磁性結晶粒52aとは1対1で柱状成長することとなる。言い換えれば、第2磁性層52の磁性結晶粒52aは、第1磁性層51の磁性結晶粒51aを引き継いで結晶成長することとなる。このようにして、各層における磁性結晶粒の二次成長を抑制することにより、大きな膜厚を有する磁気記録層を得ると同時に、磁性結晶粒中の規則合金の優れた配向および高い磁気異方性定数を有する磁気記録層を実現することが可能となる。結果として、優れた特性を有する磁気記録媒体を得ることができる。
さらに、本発明の磁気記録媒体は、3層以上の磁性層からなる磁気記録層を有してもよい。この場合、シード層と接触する最下層の磁性層は、第2の実施形態の第1磁性層と同様の構成を有し、最下層以外の磁性層は、カーボン、Ta酸化物、Si酸化物、Ge酸化物、Al酸化物およびTi酸化物からなる群から選択される少なくとも1種の材料を含む非磁性結晶粒界を含み、非磁性結晶粒界がその直下の磁性層の非磁性結晶粒界とは異なる材料で構成される点を除いて、第2の実施形態の第2磁性層と同様の構成を有する。たとえば、カーボンを含む非磁性結晶粒界を含む最下層の磁性層の上に形成される下から2番目の磁性層において、非磁性結晶粒界は、Ta酸化物、Si酸化物、Ge酸化物、Al酸化物およびTi酸化物からなる群から選択される少なくとも1種の材料を含む。そして、各層における磁性結晶粒の二次成長を抑制することにより、大きな膜厚を有する磁気記録層を得ると同時に、磁性結晶粒中の規則合金の優れた配向および高い磁気異方性定数を有する磁気記録層を実現することが可能となる。結果として、優れた特性を有する磁気記録媒体を得ることができる。
(実施例1)
表面が平滑な化学強化ガラス基体(HOYA社製N−10ガラス基体)を洗浄し、非磁性基体10を準備した。洗浄後の非磁性基体10を、インライン式のスパッタ装置内に導入した。以下の各構成層の形成を、積層体を大気開放することなしに行った。
Ar雰囲気中で純Taターゲットを用いたDCマグネトロンスパッタリング法により、膜厚5nmのTaからなる密着層20を形成した。次に、Ar雰囲気中で純Crターゲットを用いたDCマグネトロンスパッタリング法により、膜厚20nmのCrからなる下地層30を形成した。
次に、下地層30が形成された積層体を300℃に加熱した状態で、圧力0.02PaのArガス中でMnOターゲットを用いたRFスパッタ法により、膜厚10nmのMnOからなるシード層40を得た。シード層40の形成において、200WのRF電力を用いた。
次に、シード層40が形成された積層体を450℃に加熱した状態で、圧力1.0PaのArガス中でFePt−Cターゲットを用いたDCマグネトロンスパッタリング法により、膜厚4nmのFePt−Cからなる磁気記録層50を得た。磁気記録層50の形成において、25WのDC電力を用いた。用いたFePt−Cターゲット中のFePtおよびCの組成比を、75体積%のFePt磁性結晶粒と、25体積パーセントのC非磁性結晶粒界とを含む磁気記録層50が得られるように調整した。
最後に、Ar雰囲気中でカーボンターゲットを用いたDCマグネトロンスパッタリング法により、膜厚3nmのCからなる保護層60を形成した。
(比較例1)
FePt−Cターゲットに代えてFePtターゲットを用いて、膜厚10nmのFePtからなる磁気記録層50を形成したことを除いて、実施例1の手順を繰り返して、磁気記録媒体を得た。
(評価)
実施例1および比較例1で得られた磁気記録媒体を、Philips社製のX線回折装置を用いて分析した。図4に実施例1の磁気記録媒体のX線回折プロファイルを示す。また、図5に比較例1の磁気記録媒体のX線回折プロファイルを示す。
一般的に、配向制御を行わずにFePtを堆積させると、(111)配向したFePt膜が得られる。また、磁気記録媒体において一般的に用いられるMgO膜上にFePt−Cを堆積させた場合、FePt膜はランダムに成長して、FePt(001)、FePt(002)などの複数の回折ピークが観察される
図4に示した実施例1の磁気記録媒体のX線回折プロファイルにおいて、FePt磁性結晶粒が(110)配向していることを示すFePt(110)の回折ピークが観察された。一方、他の配向の存在を示すFePt(001)、FePt(002)およびFePt(111)の回折ピークは観察されなかった。このことから、実施例1の磁気記録媒体においては、良好な(110)配向を有するFePt磁性結晶粒が得られていることが分かる。
一方、図5に示した比較例1の磁気記録媒体のX線回折プロファイルにおいては、FePt(110)の回折ピークが観察されず、FePt(001)およびFePt(002)の回折ピークが観察された。このことから、実施例1の磁気記録媒体においては、良好な(110)配向を有するFePt磁性結晶粒ではなく、ランダム配向のFePt磁性結晶粒が得られていることが分かる。
以上のように、MnOシード層上にFePt−C磁気記録層を積層することによって、(110)配向したFePt磁性結晶粒を得ることができた。FePt規則合金は、[002]方向に磁化容易軸を有する。FePtの[002]軸は、[110]軸から45度傾斜している。よって、(110)配向したFePt磁性結晶粒は、磁気記録層表面(すなわち磁気記録媒体表面)の垂直方向から45度傾斜した磁化容易軸を有することになる。実施例1の磁気記録媒体の磁化容易軸方向のKuを測定したところ、2.2×10erg/cm(2.2J/cm)という高い値が得られた。したがって、本発明の磁気記録媒体は、L1型規則合金を含み、かつ、高い磁気異方性定数Kuおよび磁気記録層表面の垂直方向から45度傾斜した磁化容易軸を有する磁気記録層を有することができる。
前述の効果は、MnOシード層とFePt磁性層との組み合わせ、あるいは、MgOなどの慣用の材料のシード層とFePt−C磁性層との組み合わせでは得られないものであり、先行技術に基づいて予測することが困難なものである。
100、200 磁気記録媒体
10 非磁性基板
20 密着層
30 下地層
40 シード層
50 磁気記録層
50a 磁性結晶粒
50b 非磁性結晶粒界
51 第1磁性層
51a 第1磁性結晶粒
51b 第1非磁性結晶粒界
52 第2磁性層
52a 第2磁性結晶粒
52b 第2非磁性結晶粒界
60 保護層

Claims (7)

  1. 非磁性基板と、シード層と、前記シード層上に形成された磁気記録層を含み、
    前記シード層は、MnOを含み、
    前記磁気記録層は、1つまたは複数の磁性層からなり、
    前記シード層と接触する磁性層は、(110)配向したL1型規則合金からなる磁性結晶粒と、前記磁性結晶粒を取り囲み、カーボンを含む非磁性結晶粒界とを有するグラニュラー構造を有する
    ことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 前記L1型規則合金は、FeおよびPtを含むことを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 前記L1型規則合金は、Ni、Mn、Cu、Ag、AuおよびCrからなる群から選択される少なくとも1種の元素をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の磁気記録媒体。
  4. 前記磁気記録層は、1つの磁性層からなることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  5. 前記磁気記録層は、複数の磁性層からなり、
    前記シード層と接触しない磁性層は、(110)配向したL1型規則合金からなる磁性結晶粒と、カーボン、Ta酸化物、Si酸化物、Ge酸化物、Al酸化物およびTi酸化物からなる群から選択される少なくとも1種の材料を含み、前記磁性結晶粒を取り囲む非磁性結晶粒界とを有するグラニュラー構造を有し、
    前記複数の磁性層の各層の非磁性結晶粒界は、その直下にある磁性層の非磁性結晶粒界とは異なる材料で形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  6. 前記シード層は(002)配向のMnOを含むことを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  7. 非磁性基板を250〜400℃の範囲内の温度に加熱した状態で、非磁性基板の上に、MnOを含むシード層を形成する工程と、
    非磁性基板を250〜450℃の範囲内の温度に加熱した状態で、前記シード層の上に、1つまたは複数の磁性層からなる磁気記録層を形成する工程と、
    を含み、前記シード層と接触する磁性層は、(110)配向したL1型規則合金からなる磁性結晶粒と、前記磁性結晶粒を取り囲み、カーボンを含む非磁性結晶粒界とを有するグラニュラー構造を有することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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