JP6156515B2 - 受電装置、送電装置および無線給電システム - Google Patents

受電装置、送電装置および無線給電システム Download PDF

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Description

この出願で言及する実施例は、受電装置、送電装置および無線給電システムに関する。
近年、電源の供給や二次電池の充電を行うために、無線で電力を給電する技術が注目されている。例えば、携帯端末やノートパソコンを始めとした様々な電子機器や家電機器、或いは、電力インフラ機器に対して、無線で電力を給電する無線給電システム(ワイヤレス電力伝送システム)が研究・開発されている。具体的に、携帯電話やスマートフォンといったモバイル電子機器では、無線給電技術の普及が進んでいる。
ところで、数Wクラス以上の電力を、数cm〜数十cm離れた距離で無線伝送する方式としては、送受信装置にコイルを適用した磁界結合方式が一般的である。この磁界による伝送方式としては、例えば、電磁誘導方式、並びに、近年米国MIT(マサチューセッツ工科大学:Massachusetts Institute of Technology)により提案された磁界共鳴方式が知られている。
さらに、電磁誘導方式としては、例えば、WPC(ワイヤレスパワーコンソーシアム:Wireless Power Consortium)により策定されたQi(チー)規格がある。また、磁界共鳴方式としては、例えば、A4WP(アライアンスフォーワイヤレスパワー:Alliance for WirelessPower)によるWiPower規格がある。
このように、送受信装置にコイルを適用した磁界結合方式は、実用化フェーズにある数Wクラスの小型電子機器を始めとして、100W超の家電機器をターゲットとした標準化策定が進められている。また、自動車メーカを中心に電気自動車に対する数kW超の無線給電技術についても開発が進められている。
これらの無線給電システムでは、発熱等の安全性や効率面での条件最適化を目的として、送受電装置間で何らかの通信手段を利用してエネルギー伝送を行うのが一般的である。
すなわち、上述したQi規格では、例えば、受電装置側で負荷への接続をオン/オフさせてエネルギー伝送波形を変調させるインバンド方式が採用されている。また、WiPower規格では、例えば、送受電装置の双方にBluetooth(登録商標)等の通信機器を搭載して情報を双方向でやり取りするアウトバンド方式が採用されている。
なお、本明細書では、主として磁界共鳴(磁界共振)を利用した無線給電(ワイヤレス電力伝送)を例として説明するが、後に詳述する本実施例の適用は、磁界共鳴に限定されず、電界共鳴(電界共振)等を利用した無線給電に対しても適用することができる。
従来、無線で電力を給電する無線給電技術としては、様々な提案がなされている。
特開2013−090483号公報 特開2000−287375号公報 特開2006−006948号公報
Andre KURS et al., "Wireless Power Transfer via Strongly Coupled Magnetic Resonances," SCIENCE Vol.317, pp.83-86, July 6, 2007 Aristeidis KARALIS et al., "Efficient wireless non-radiative mid-range energy transfer," Cornel University Library, arXiv:physics/0611063v2 [physics.optics], (Journal-ref: Annals of Physics, vol.323, No.1, pp.34-48, January 2008)
無線給電技術は、前述した携帯端末を始めとした電子機器や家電機器、或いは、電気自動車等に加え、例えば、数十mWクラスの小型センサや小型デバイスに対するものとしても注目されている。例としては、壁に埋め込まれた各種センサや体内に装着された医療機器等に対して無線で給電するものが挙げられる。
従来、このような壁に埋め込まれたセンサや体内に装着された医療機器等は、例えば、定期的に電池交換を行っているが、設備の運用や人体への負担を考えると、無線給電技術を適用することによるメリットは大きい。
このような壁に埋め込まれたセンサや体内に装着された医療機器等は、特に、受電装置のサイズに関する制約が大きく、例えば、受電装置から通信回路部を削除することができれば、受電装置のサイズや消費電力を低減することができる。
しかしながら、複数の受電装置に対して同時に給電する場合、例えば、個々の受電装置の特性差によって二次電池の充電特性に差が生じるため、受電装置から通信回路部を削除すると、それぞれの受電装置の二次電池を適切に充電することが困難になる。これは、磁界共鳴や電界共鳴を利用した給電(電力伝送)に限定されるものではなく、例えば、電磁誘導や電界誘導を利用して給電を行う場合にも問題になる。
この出願は、上述した課題に鑑み、無線給電システムの簡素化、並びに、受電装置のサイズおよび消費電力を低減することができる受電装置、送電装置および無線給電システムの提供を目的とする。
一実施形態によれば、受電コイルと、二次電池と、負荷抵抗と、開閉器と、受電制御器と、を有する受電装置が提供される。
前記受電コイルは、送電装置からの電力を無線により受け取り、前記二次電池は、前記受電コイルからの電力により充電を行う。前記開閉器は、前記受電コイルに対して、前記二次電池および前記負荷抵抗を切り替え可能に接続する。前記受電制御器は、前記受電コイルによる前記送電装置からの電力供給状態、および、前記二次電池の充電状態に基づいて、前記開閉器を制御する。前記受電制御器は、前記送電装置からの電力により前記二次電池の充電を行う本送電において、前記二次電池が充電可能な場合には、前記受電コイルによる受電電圧を前記二次電池に印加されるように、前記二次電池の充電が完了した場合には、前記受電電圧が前記負荷抵抗および前記二次電池のいずれにも印加されないように、前記開閉器を制御する。
開示の受電装置、送電装置および無線給電システムは、無線給電システムの簡素化、並びに、受電装置のサイズおよび消費電力を低減することができるという効果を奏する。
図1は、無線給電システムの一例を概略的に示すブロック図である。 図2Aは、図1の無線給電システムにおける伝送コイルの変形例を説明するための図(その1)である。 図2Bは、図1の無線給電システムにおける伝送コイルの変形例を説明するための図(その2)である。 図2Cは、図1の無線給電システムにおける伝送コイルの変形例を説明するための図(その3)である。 図3は、無線給電システムを模式的に示すと共に、受電装置の一構成例を示す図である。 図4Aは、無線給電システムのだい1実施例を説明するための図(その1)である。 図4Bは、無線給電システムの第1実施例を説明するための図(その2)である。 図4Cは、無線給電システムの第1実施例を説明するための図(その3)である。 図5は、送電装置側の共振コイルのインピーダンス変化を説明するための図である。 図6は、無線給電システムの第1実施例における受電制御器の例を示すブロック図である。 図7は、無線給電システムの第1実施例における送電装置および受電装置の信号波形を示す図である。 図8は、無線給電システムの第1実施例における送電処理の一例を説明するためのフローチャートである。 図9は、無線給電システムの第2実施例における受電制御器の例を示すブロック図である。 図10は、無線給電システムの第2実施例における送電装置および受電装置の信号波形を示す図である。 図11は、無線給電システムの第2実施例における送電処理の一例を説明するためのフローチャートである。 図12は、無線給電システムの第3実施例における受電装置を説明するための図である。
まず、受電装置、送電装置および無線給電システムの実施例を詳述する前に、無線給電システム(ワイヤレス電力伝送システム)の例を、図1〜図3を参照して説明する。
図1は、無線給電システムの一例を概略的に示すブロック図であり、1つの送電装置および1つの受電装置を示すものである。図1において、参照符号1は送電装置(一次側:送電側)を示し、2は受電装置(二次側:受電側)を示す。
図1に示されるように、送電装置(送電器)1は、ワイヤレス送電部(送電コイル)11、高周波電源部12、送電制御部13および送電通信回路部14を含む。また、受電装置(受電器)2は、ワイヤレス受電部(受電コイル)21、受電回路部(整流部)22、受電制御部23および受電通信回路部24を含む。
ワイヤレス送電部11は、電力供給コイル11bおよび送電共振コイル11aを含み、また、ワイヤレス受電部21は、受電共振コイル21aおよび電力取出コイル21bを含む。
図1に示されるように、送電装置1と受電装置2は、送電共振コイル11aと受電共振コイル21aの間の磁界共鳴(磁界共振)により、送電装置1から受電装置2へエネルギー(電力)の伝送を行う。なお、送電共振コイル11aから受電共振コイル21aへの電力伝送は、磁界共鳴だけでなく電界共鳴(電界共振)等も可能であるが、以下の説明では、主として磁界共鳴を例として説明する。
送電装置1と受電装置2は、送電通信回路部14と受電通信回路部24により、通信(近距離通信)を行う。ここで、送電装置1の送電共振コイル11aと受電装置2の受電共振コイル21aによる電力の伝送距離は、例えば、送電通信回路部14と受電通信回路部24による通信距離よりも短く設定される。
また、送電共振コイル11aおよび受電共振コイル21aによる電力伝送は、送電通信回路部14および受電通信回路部24による通信とは独立した方式(Out-band通信)になっている。
具体的に、送電共振コイル11aおよび受電共振コイル21aによる電力伝送は、例えば、6.78MHzの周波数帯域を使用し、送電通信回路部14および受電通信回路部24による通信は、例えば、2.4GHzの周波数帯域を使用する。
この送電通信回路部14および受電通信回路部24による通信としては、例えば、IEEE 802.11bに準拠するDSSS方式の無線LANやブルートゥース(Bluetooth(登録商標))を利用することができる。
なお、上述した無線給電システムは、例えば、使用する周波数の波長程度の距離の近傍界(near field)において、送電装置1の送電共振コイル11aと、受電装置2の受電共振コイル21aによる磁界共鳴または電界共鳴を利用して電力の伝送を行う。従って、電力伝送範囲(送電圏)PRは、電力伝送に使用する周波数に従って変化する。
高周波電源部12は、電力供給コイル11bに対して電力を供給し、電力供給コイル11bは、その電力供給コイル11bの至近に配設された送電共振コイル11aに対して電磁誘導を利用して電力を供給する。送電共振コイル11aは、受電共振コイル21aとの間に磁場共鳴を生じさせる共振周波数により、受電共振コイル21a(受電装置2)に電力を伝送する。
受電共振コイル21aは、その受電共振コイル21aの至近に配設された電力取出コイル21bに対して電磁誘導を利用して電力を供給する。電力取出コイル21bには受電回路部22が接続され、所定の電力が取り出される。なお、受電回路部22からの電力は、例えば、二次電池25の充電、或いは、受電装置2の回路(負荷)に対する電源出力等として利用される。
ここで、送電装置1の高周波電源部12は、送電制御部13により制御され、また、受電装置2の受電回路部22は、受電制御部23により制御される。そして、送電制御部13および受電制御部23は、例えば、送電通信回路部14および受電通信回路部24を介して接続され、送電装置1から受電装置2への電力伝送の様々な制御を行うようになっている。
図2A〜図2Cは、図1の無線給電システムにおける伝送コイルの変形例を説明するための図である。ここで、図2Aおよび図2Bは、3コイル構成の例を示し、図2Cは、2コイル構成の例を示す。
すなわち、図1に示す無線給電システムでは、ワイヤレス送電部11が電力供給コイル11bおよび送電共振コイル11aを含み、ワイヤレス受電部21が受電共振コイル21aおよび電力取出コイル21bを含んでいる。
これに対して、図2Aの例では、ワイヤレス受電部(受電コイル)21を1つのコイル(受電共振コイル:LC共振器)21aとし、図2Bの例では、ワイヤレス送電部(送電コイル)11を1つのコイル(送電共振コイル:LC共振器)11aとしている。
さらに、図2Cの例では、ワイヤレス受電部(受電コイル)21を1つの受電共振コイル21aとし、さらに、ワイヤレス送電部(送電コイル)11も1つの送電共振コイル11aとしている。なお、図2A〜図2Cは、単なる例であり、様々に変形することができるのはいうまでもない。
図3は、無線給電システムを模式的に示すと共に、受電装置の一構成例を示す図であり、送電共振コイル11a(送電コイル11:送電装置1)により複数の受電装置2に対して電力伝送を行っている様子を示す。
ここで、図3において、受電装置2は、例えば、体内3に装着された医療機器、具体的には、心臓3に装着されたペースメーカを示している。なお、受電装置2としては、壁(3)に埋め込まれた温度センサ、或いは、土壌(3)などに散布される各種センサや微細装置等の様々なものであってもよい。
図3に示されるように、受電装置2は、ワイヤレス受電部(受電コイル)21、受電回路部22、受電制御部23、受電通信回路部24、二次電池25、および、装置部26を有する。
ワイヤレス受電部21は、受電共振コイル21aおよび電力取出コイル21bを含み、受電回路部22は、整流回路22aおよびDC/DCコンバータ22bを含む。装置部26は、ドライバ26aおよびデバイス26bを含む。
ここで、図3に示す受電装置2は、例えば、前述した図1を参照して説明した受電装置に相当するものであり、図3では、図1における受電回路部22が整流回路22aおよびDC/DCコンバータ22bに分けて描かれている。
また、図3に示す受電装置2では、二次電池25の出力電圧が与えられる装置部26(ドライバ26aおよびデバイス26b)が描かれているが実質的には同等のものである。なお、図3の受電装置2における受電通信回路部24は、例えば、図1の送電装置1における送電通信回路部14との間で通信を行うためのものである。
ところで、例えば、体内に装着された医療機器や壁に埋め込まれた各種センサは、人体への負担や設備の運用を考えると、無線給電技術を適用することによるメリットが大きい。このような体内に装着された医療機器等は、特に、受電装置のサイズに関する制約が大きく、また、給電頻度といった運用面を考えると、極力低消費電力であるのが好ましい。
従って、無線給電を可能とした上で、受電装置から通信回路部を簡素化または削除することができれば、受電装置のサイズや消費電力を低減することができる。この消費電力の低減は、例えば、二次電池のサイズを抑えることにも繋がり、より一層好ましいものになる。
なお、例えば、壁に埋め込まれたセンサからのデータを無線回路によりホスト装置へ送信するシステムにおいても、受電処理時に使用する受電通信回路部を削除してデータ送信用の無線回路だけにすれば、サイズや消費電力を低減するメリットは期待できる。
ところで、例えば、複数の受電装置に対して同時に給電する場合、個々の受電装置の特性差によって二次電池が短時間で満充電に達するものとそうでないものが混在することになる。
ここで、二次電池の充電特性の差は、製造上の誤差に起因するものだけではなく、例えば、送電装置と受電装置の相対的な位置関係や送電(給電)効率の違い、或いは、個々の受電装置における消費電力の違いといった様々なものに起因している。
そのため、通信機能がないと、送電装置側が受電装置側の状態を検知して送電条件を適応的に切り替えるのが困難になっている。これは、磁界共鳴や電界共鳴を利用した電力伝送に限定されるものではなく、たとえば、電磁誘導や電界誘導を利用して電力伝送を行う場合にも問題になる。
なお、後述する本実施例の適用は、例えば、送電装置に対して、受電装置の個数および位置が概ね固定された無線給電システムが好ましいが、必ずしもそのような受電装置の個数および位置が決められた無線給電システムに限定されるものではない。
さらに、本実施例が適用される受電装置は、体内に装着された医療機器や壁に埋め込まれたセンサ等に限定されるものではなく、また、必ずしも二次電池を介して装置部を駆動するのに限定されるものでもない。
以下、受電装置、送電装置および無線給電システムの実施例を、添付図面を参照して詳述する。なお、以下に説明する各実施例において、送電コイル(ワイヤレス送電部)11および受電コイル(ワイヤレス受電部)21は、例えば、図2A〜図2Cを参照して説明した様々な構成を適用することができる。
図4A〜図4Cは、無線給電システムの第1実施例を説明するための図である。図4A〜図4Cにおいて、参照符号1は、送電装置を示し、2-1〜2-Nは、受電装置を示し、受電装置2-1〜2-Nは、全て同等の構成とされている。
以下の記載では、簡略化のために、主として、第1受電装置2-1および第N受電装置2-Nに注目して説明する。すなわち、図4Aは、第1受電装置2-1および第N受電装置2-N(例えば、全ての受電装置2-1〜2-N)が通常使用状態、並びに、テスト送電(モード)のときを示す。
また、図4Bは、第1受電装置2-1および第N受電装置2-N(例えば、全ての受電装置2-1〜2-N)が充電状態のときを示す。さらに、図4Cは、第1受電装置2-1が満充電で第N受電装置2-Nが充電状態のとき、例えば、1つの受電装置2-1が満充電になり、他の受電装置2-2が〜2-Nが未だ満充電にはならずに充電状態を継続しているときを示す。
送電装置1は、電力供給コイル11bおよび送電共振コイル11aを含むワイヤレス送電部(送電コイル)11、アンプ15、整合回路16および送電制御器(メモリを含む)17を備える。
各受電装置2(2-1〜2-N)において、スイッチ(開閉器)28は、受電制御器27からのスイッチ制御信号Ssに従って、整流回路22aの出力(受電電圧Vr)を、ダミー負荷抵抗(負荷抵抗)29およびDC/DCコンバータ22bに切り替え可能に接続する。
受電制御器27には、整流回路22aからの受電電圧VrおよびDC/DCコンバータ22bの出力(充電電力:電力信号)Pcを受け取り、スイッチ制御信号Ssによりスイッチ28のスイッチングを制御する。
すなわち、第1実施例の無線給電システムは、各受電装置2(2-1〜2-N)において、整流回路22aとDC/DCコンバータ22bの間に3経路スイッチ28が設けられている。
そして、スイッチ28の切り替えにより、通常時(通常使用状態とテスト送電の初期状態)には、整流回路22aの出力(受電電圧Vr)をダミー負荷抵抗29に接続し、二次電池25を充電する本送電では、整流回路22aの出力をDC/DCコンバータ22bに接続する。
さらに、二次電池25の満充電時には、スイッチ28の切り替えにより、整流回路22aの出力をオープンまたは高インピーダンス抵抗に接続する。すなわち、スイッチ28は、受電制御器27からのスイッチ制御信号Ssにより制御され、各動作フェーズに応じた切り替え処理を行うようになっている。
ここで、受電制御器27は、整流回路22aからの受電電圧VrおよびDC/DCコンバータ22bからの充電電力Pcをモニタし、スイッチ28に対してスイッチ制御信号Ssを出力して制御を行うようになっている。なお、DC/DCコンバータ22bからの充電電力Pcのモニタは、定電圧出力なので実際には電流をモニタすればよい。
受電制御器27は、例えば、受電装置2に設けられたセンサやデバイスの動作制御に使用するものを併用してもよく、また、ダミー負荷抵抗29は、既知の値(例えば、二次電池25の充電時のインピーダンス)に設定すればよい。ただし、例えば、テスト送電において、受電装置2の状態検知に適するように、極端に高い値や低い値に設定するのは避けるのが好ましい。
送電制御器17は、送電コイル11(電力供給コイル11b)の波形を受け取って、アンプ制御信号Saによりアンプ15の出力を制御し、マッチング制御信号Smにより整合回路16の切り替えを制御する。
すなわち、送電制御器17は、電力供給コイル11bの電圧や電流波形をモニタリングし、その結果から得られた入力インピーダンス特性と内部のメモリに格納された情報を参照することで、充電対象となる受電装置2の個数等を判定する機能を有している。以下、図4A〜図4Cを参照して詳述する。
図4Aに示されるように、第1受電装置2-1および第N受電装置2-Nが通常使用状態のとき、各受電装置2(2-1,2-N)において、スイッチ29はダミー負荷抵抗29に接続され、DC/DCコンバータ22bとの接続は遮断されている。
なお、通常使用状態のとき、各受電装置2における二次電池25は、例えば、図3を参照して説明した装置部26(ドライバ26aおよびデバイス26b)に電力を与え、所定の処理が行われる。また、各受電装置2におけるスイッチ29は、通常使用状態とテスト送電の初期状態において、同じ接続状態になっている。
一方、送電装置1は、各受電装置2が通常使用状態のときは停止しており、充電を開始する場合には、まず、テスト送電モードを立ち上げてから本送電(モード)になって、受電装置2に対する電力の伝送(給電)を行う。
すなわち、図4Aに示されるように、送電装置1において、送電制御器17は、アンプ制御信号Saによりアンプ15を制御してテスト送電モード用の電力を、整合回路16を介して送電コイル11(電力供給コイル11b)に与える。
送電コイル11(送電共振コイル11a)からの電力は、N個の受電装置2-1〜2-Nにおける受電コイル21(受電共振コイル21a)に向けて出力される。このテスト送電モードの初期状態において、各受電装置2(2-1,2-N)のスイッチ29はダミー負荷抵抗29に接続され、整流回路22aからの受電電圧Vrはダミー負荷抵抗29に印加される。
送電装置1では、テスト送電モードでテスト送電を開始すると、送電コイル11(電力供給コイル11b)の波形を検出し、インピーダンスをメモリ照合する。すなわち、送電装置1において、送電制御器17は、電力供給コイル11bからのコイル波形信号Fcを受け取り、内蔵メモリを参照することで、受電装置2-1〜2-Nの個数等を認識し、本送電モードを立ち上げて、所定の電力による本送電を開始する。
ここで、ダミー負荷抵抗29は、例えば、二次電池25のインピーダンスに相当するような値に設定される。また、テスト送電時の電力供給コイル11bの波形(電圧波形や電流波形)から求められる入力インピーダンス特性(電圧や電流の振幅またはそれらの位相差等)を検出して内蔵メモリに記録されている特性と照合してもよい。
各受電装置2では、受電制御器27が整流回路22aからの受電電圧Vrを検知してから一定時間経過すると、或いは、受電電圧Vrが所定の閾値電圧を超えると、スイッチ29の接続をダミー負荷抵抗29からDC/DCコンバータ22bに切り替える。
すなわち、図4Bに示されるように、各受電装置2では、スイッチ29の接続をダミー負荷抵抗29からDC/DCコンバータ22bに切り替えて、整流回路22aからの受電電圧VrをDC/DCコンバータ22bに印加する。
このようにして、各受電装置2に対する給電、すなわち、各受電装置2の二次電池25に対する充電が進行すると、例えば、第1受電装置2-1が満充電となり、第N受電装置2-Nが未だ満充電にはならずに充電状態を継続する状態が生じる。
すなわち、図4Cに示されるように、例えば、第1受電装置2-1において、充電電力Pcにより受電制御器27が満充電を検出すると、スイッチ28をオープン(ダミー負荷抵抗29およびDC/DCコンバータ22bのいずれにも接続しない)状態に切り替える。
なお、例えば、第N受電装置2-Nにおいて、充電電力Pcにより受電制御器27が未だ満充電ではないと判定すれば、スイッチ29の接続を維持して整流回路22aからの受電電圧VrをDC/DCコンバータ22bに印加して充電を継続する。
一方、送電装置1において、送電制御器17は、電力供給コイル11bからのコイル波形信号Fcにより波形の変化を検出したらメモリを参照して、例えば、充電対象になる受電装置の数を推定し、アンプ制御信号Saおよびマッチング制御信号Smを制御する。
すなわち、送電制御器17は、アンプ制御信号Saおよびマッチング制御信号Smにより、推定した受電装置の数に適したアンプ15による出力、および、整合回路16の切り替えを制御する。なお、送電装置1は、例えば、推定した受電装置の数が所定数以下になったら、或いは、本送電による充電処理が所定時間経過したら充電処理を停止、すなわち、送電を停止する。
そして、各受電装置2では、例えば、整流回路22aからの受電電圧Vrが検出されなくなったら給電(充電)終了と判断して、スイッチ28の接続をダミー負荷抵抗29に切り替えて通常動作状態に戻る。
このように、本実施例では、本送電を行う前に、受電装置2が二次電池25に相当するインピーダンスを有する校正用のダミー負荷抵抗29に接続した状態でテスト送電を行う。
このテスト送電時の送電コイル11(電力供給コイル11b)の波形から求められる特性(入力インピーダンス等)を検出して、メモリに記録された受電装置の特性と照合する。そして、例えば、テスト送電が一定時間経過した後、受電装置2のスイッチ29の接続を二次電池25側(DC/DCコンバータ22b)に切り替えて本送電を行う。
本送電中に満充電になった場合、受電装置2(2-1)では、スイッチ28を制御して充電経路をオープンにする。このとき、送電装置1では、入力インピーダンス変化に応じて送電コイル11(電力供給コイル11b)の波形が変化する。これより、充電対象になる二次電池25の数(充電を行う受電装置の数)を、メモリを参照することで推定し、送電電力や整合回路の調整および切り替えを適切に行うことができる。
なお、図12を参照して後述するように、スイッチ28を制御して充電経路をオープンにする代わりに、予め抵抗値が既知の高インピーダンス抵抗に接続して、満充電になった受電装置の特定を行うこともできる。
また、本実施例の適用は、例えば、送電装置1に対して、受電装置2(2-1〜2-N)の個数および位置が概ね固定された無線給電システムが好ましいが、必ずしもそのような受電装置の個数および位置が決められた無線給電システムに限定されるものではない。
このように、第1実施例の無線給電システムによれば、受電処理時に使用する受電通信回路部を削除して、無線給電システムの簡素化、並びに、受電装置のサイズおよび消費電力を低減することが可能になる。なお、この効果は、他の実施例でも同様に発揮される。
図5は、送電装置側の共振コイルのインピーダンス変化を説明するための図であり、送電共振コイル11a(送電コイル11,電力供給コイル11b)および受電共振コイル21a(受電コイル21,電力取出コイル21b)を等価回路で示したものである。ここで、入力インピーダンスZinを、送電コイル11の入力口で定義する。
なお、参照符号C1,L1,R1,I1は、送電共振コイル11aにおける等価的な容量,インダクタンス,抵抗,電流の値を示し、C2,L2,R2,I2は、受電共振コイル21aにおける等価的な容量,インダクタンス,抵抗,電流の値を示す。また、参照符号RLは、受電装置2における負荷の値、Vinは、送電共振コイル11aの入力電圧、そして、Mは、送電共振コイル11aと受電共振コイル21a間の伝送効率を示す。
送電共振コイル11aおよび受電共振コイル21a(送受電コイル)に関して回路方程式を立式すると、
(R1+jωL1+1/jωC1)×I1+jωMI2=Vin
jωMI1+(R2+jωL2+1/jωC2+RL)×I2=0
上記の連立方程式からI1が求められるので、以下の式から入力インピーダンスZinを得ることができる。
Zin=Vin/I1=(R1+jωL1+1/jωC1)×I1+(ωM)2/(R2+jωL2+1/jωC2+RL)
従って、送電装置1の内部において、入力電圧Vinと電流I1を計測すれば、インピーダンスZinを求めることができ、例えば、送電制御器17に内蔵したメモリの内容と比較(参照)することで、受電装置2における各種情報を認識することができる。
すなわち、Zinの右辺には、受電装置2側の負荷RLが含まれるため、この値が変化すればZinも変化する。なお、受電コイル21(受電共振コイル21a:受電装置)の個数が増えた場合も、同様に、インピーダンスZinから複数の受電装置2-1〜2-Nにおける各種情報を認識することが可能になる。
図6は、無線給電システムの第1実施例における受電制御器の例を示すブロック図である。図6に示されるように、第1実施例における受電制御器27は、マイクロコントローラ271、デジタル入出力部(DIO)272、アナログ−デジタル変換器(ADC)273、メモリ274およびタイマ275を含む。
ADC273は、整流回路22aからの受電電圧(アナログ値)VrおよびDC/DCコンバータ22bからの充電電力(アナログ値)Pcを受け取ってデジタル値に変換してマイクロコントローラ271に出力する。
マイクロコントローラ271は、メモリ274およびタイマ275から情報を受け取って各種制御を行う。なお、DIO272は、マイクロコントローラ271からの信号を受け取ってスイッチ制御信号Ssをスイッチ28に出力する。
図7は、無線給電システムの第1実施例における送電装置および受電装置の信号波形を示す図である。なお、参照符号Fcは、送電装置1における送電コイル11(電力供給コイル11b)の波形を示し、Vrは、整流回路22aの出力電圧(受電電圧)を示し、Ssは、受電制御器27(マイクロコントローラ271)から出力されるスイッチ制御信号を示す。
第1実施例の無線給電システムにおいて、受電制御器27のマイクロコントローラ271は、ADC273を介して入力される受電電圧Vrをモニタして、テスト送電が開始されてから所定時間(X秒)後に本送電に切り替えるようになっている。
例えば、マイクロコントローラ271は、受電電圧Vrの電圧レベルがV0になったことを検知すると、時間T0からテスト送電が開始されたことを認識し、タイマ275による時間計測を開始する。そして、タイマ275により計測された時間が、所定のX秒を超えると、スイッチ制御信号Ssを制御してスイッチ28を切り替える。
すなわち、整流回路22aからの受電電圧Vrの印加を、ダミー負荷抵抗29からDC/DCコンバータ22bへ切り替えて、二次電池25への充電(本送電)の準備を行う。なお、本送電が開始されると、受電電圧Vrの電圧レベルは、テスト送電のV0から所定の充電電圧V1に変化する。
また、マイクロコントローラ271は、例えば、充電電力Pcをモニタして、二次電池25が満充電になったのを検知したら、受電電圧Vrをダミー負荷抵抗29に印加するように、スイッチ制御信号Ssを制御してスイッチ28を切り替える。
或いは、マイクロコントローラ271は、例えば、受電電圧Vrをモニタして、送電装置1が送電を停止したことを検知したら、受電電圧Vrをダミー負荷抵抗29に印加するように、スイッチ制御信号Ssを制御してスイッチ28を切り替える。
図8は、無線給電システムの第1実施例における送電処理の一例を説明するためのフローチャートである。ここで、受電装置2-1〜2-Nは、すべて同等の処理を行うため、以下の記載では、受電装置2-1に注目して説明を行う。
まず、受電装置2-1(2-1〜2-N)は、通常使用状態の場合、すなわち、二次電池25に蓄えられた電力を使用している場合、スイッチ28はダミー負荷抵抗29に接続されている(ステップST20)。
無線給電処理(充電処理)が開始すると、送電装置1は、本送電(充電)モードにおける本送電を行う前に、受電装置2-1〜2-Nが所定の位置に所定の個数だけ在るかどうかといった確認を行うためのテスト送電モードにおけるテスト送電を行う。
すなわち、テスト送電モードにおいて、送電装置1は、例えば、送電制御器17からの指示によってアンプ15の出力と整合回路16をテスト送電モードの設定にして(ステップST10)、テスト送電を開始する(ステップST11)。
このとき、上述したように、受電装置2-1は、テスト送電時の初期状態としてスイッチ28がダミー負荷抵抗29に接続されているため、送電装置1との間で比較的小電力のテスト送電を行うことが可能になる。
そして、受電装置2-1は、受電制御器27により受電電圧Vrを検出し(ステップST21:YES)、所定の受電電圧(例えば、図7における電圧レベルV0)が予め定められたX秒経過するかどうかを判定する(ステップST22)。
すなわち、受電装置2-1において、所定の受電電圧が検出され(ステップST21:YES)、その状態がX秒経過した(ステップST22:YES)と判定すると、スイッチ28をDC/DCコンバータ22b(二次電池25)に接続する。
送電装置1では、例えば、送電制御器17が電力供給コイル11bのインピーダンスを検出し(ステップST12)、メモリを参照して(ステップST13)検出されたインピーダンス特性から受電装置2-1〜2-Nの確認を行う。
すなわち、送電装置1側において、電力供給コイル11b(ワイヤレス送電部11)の波形をモニタリングしてメモリ情報と参照することで、受電装置2-1〜2-Nが所定の位置に所定の個数だけ在るかどうかの判断を行ってテスト送電を停止する(ステップST14)。
なお、テスト送電では、比較的小電力の送電を行うが、これに対して、DC/DCコンバータ22bを経由して二次電池25へ給電する本送電の場合には、設定出力電圧(V)と負荷(RL)で決まる所定の電力(V2/RL)を給電することになる。
また、仮に、二次電池25が満充電であった場合でも、所定のインピーダンス特性を示すため、送電装置1側でコイルの波形をモニタリングしてメモリ情報を参照することで、受電装置が所定の位置や個数であるかを判断することが容易に行うことができる。
以上において、送電装置1では、テスト送電モードは、例えば、予め決められた時間(X秒)が経過すると本送電モードに移行する。また、受電装置2-1(2-1〜2-N)では、所定の受電電圧が検出された状態がX秒経過した場合にスイッチ28を二次電池25(DC/DCコンバータ22b)に切り替える。
次に、本送電モードにおいて、送電装置1は、テスト送電モードで得られた結果に基づいてアンプ15と整合回路16の設定を行い、所定の電力で送電を開始する(ステップST15)。ここで、送電制御器17は、コイル波形(電力供給コイル11bの波形)のモニタリングを継続して行う。
一方、受電装置2-1では、スイッチ28をDC/DCコンバータ22b(二次電池25)への接続に切り替える。その後、受電制御器27は、DC/DCコンバータ22bの出力電力(充電電力)Pcのモニタリング(ステップST24)および整流回路22aの出力電圧(受電電圧)Vrのモニタリング(ステップST25)を行う。
充電電力Pcのモニタリングにより満充電を検出した場合(ステップST25:YES)には、スイッチ28をオープンとし(ステップST26)、すなわち、スイッチ28をダミー負荷抵抗29にもDC/DCコンバータ22bにも接続しないように切り替える。その後、受電電圧Vrのモニタリング(ステップST27)を行う。
受電電圧Vrのモニタリングにより送電停止を検出した場合(ステップST24,ST27:YES)には、スイッチ28をダミー負荷抵抗29に接続するように切り替え(ステップST20)、初期状態に戻す。
このように、受電制御器27は、DC/DCコンバータ22bの出力電力Pcが所定の値よりも低下し、例えば、二次電池25が満充電付近になったことを検知したら、スイッチをオープン(或いは、高インピーダンス接続)にする。
ここで、受電制御器27は、出力電力Pcにより二次電池25の充電状態の完了を検知するが、この充電状態の完了は、満充電の状態に限定されるものではなく、所定の充電率(例えば、満充電の80%)の充電状態を検知してスイッチ28を切り替えてもよい。なお、これらの処理は、個々の受電装置2-1〜2-Nにおいて独立に行われる。
従って、例えば、二次電池25が満充電になってスイッチをオープンにした受電装置と、スイッチ28をDC/DCコンバータ22bに接続して充電を継続している受電装置とが共存することになる。
このように、受電装置2-1〜2-Nにおいてにおいて、スイッチ28をオープン(或いは、高インピーダンス接続)にすると、送電装置1側では、インピーダンスの変化によってコイル(電力供給コイル11b)の波形に変化が現れる(ステップST17:YES)。
送電制御器17は、その変化した波形とメモリ情報を参照して、満充電になった受電装置(或いは、引き続き充電対象になる受電装置)を推定する(ステップST18)。さらに、送電制御器17は、その推定結果に基づいて、アンプ15の出力と整合回路16の切り替え指示を出力して、本送電設定を変更する(ステップST19)。
なお、満充電によってスイッチ28がオープン(或いは、高インピーダンス接続)になった受電装置2-1〜2-Nでも整流回路22aからの受電電圧Vrを引続きモニタリングしておき、送電停止を検出した場合は送電停止処理に移行する(ステップST16:YES)。
すなわち、送電停止処理において、送電装置1は、例えば、操作者からの停止指示に基づいてアンプ15の出力を中断する。ここで、送電が停止されると、受電装置2-1〜2-Nの整流回路22aから受電電圧Vrは、例えば、零ボルト(0V)付近に低下する。
受電装置2-1〜2-Nの受電制御器27は、受電電圧Vrの低下を検知すると、送電が停止されたと判断し、スイッチ28をダミー負荷抵抗接続に切り替えて初期状態(テスト送電モード)に戻す。
なお、整流回路22aからの受電電圧Vrに関しては、充電時(DC/DCコンバータ22bへの接続)と満充電時(オープンまたは高インピーダンス接続)で値が異なるものの、送電停止時に0V付近に低下することは共通である。そのため、適切な閾値を設定しておけば、上述したように、同様の動作フローであっても問題が生じることはない。
以上により、送電装置1と受電装置2-1〜2-N間に無線通信手段がない場合でも、安定した無線給電を実現することが可能になる。
図9は、無線給電システムの第2実施例における受電制御器の例を示すブロック図であり、図10は、無線給電システムの第2実施例における送電装置および受電装置の信号波形を示す図である。
図9と前述した図6の比較から明らかなように、第2実施例における受電制御器27は、第1実施例のタイマ275の代わりにコンパレータ276を有している。第2実施例の無線給電システムにおいて、受電制御器27のマイクロコントローラ271は、ADC273を介して入力される受電電圧Vrをモニタし、その受電電圧Vrをコンパレータ276で比較する。
すなわち、コンパレータ276により、受電電圧Vrの電圧レベルが、テスト送電の電圧V0から所定の閾値電圧V2を超えて本送電の電圧V1へ変化するのを検知すると、スイッチ制御信号Ssを制御してスイッチ28を切り替える。なお、他の処理は、第1実施例と同様であり、その説明は省略する。
図11は、無線給電システムの第2実施例における送電処理の一例を説明するためのフローチャートである。ここで、図11と前述した図8との比較から明らかなように、送電装置1における処理は、第1実施例および第2実施例で共通である。また、第2実施例の無線給電システムにおいて、各受電装置2-1〜2-Nにおける処理は、第1実施例のステップST22の処理がステップST32に変更されている以外は共通である。
すなわち、受電装置2-1において、受電制御器27により受電電圧Vrを検出し(ステップST21:YES)、その受電電圧Vrの電圧レベルが予め定められた閾値電圧(例えば、図10における閾値電圧V2)を超過するかどうかを判定する(ステップST32)。
すなわち、受電装置2-1において、受電電圧Vrが閾値電圧(V2)を超過した(ステップST32:YES)と判定すると、スイッチ28をDC/DCコンバータ22b(二次電池25)に接続する。なお、他の処理は、図8の処理と同様なので、その説明は省略する。
このように、第2実施例の無線給電システムにおいて、マイクロコントローラ271は、受電電圧Vrの電圧レベルが所定の閾値電圧(V2)を超えると、スイッチ29の接続をダミー負荷抵抗29からDC/DCコンバータ22bに切り替えて本送電の準備を行う。
図12は、無線給電システムの第3実施例における受電装置を説明するための図である。図12に示されるように、第3実施例の無線給電システムにおいて、受電装置2(2-1〜2-N)のスイッチ28は、整流回路22aの出力を、ダミー負荷抵抗29,DC/DCコンバータ22bおよび高インピーダンス抵抗30から選択して接続する。
すなわち、第1実施例では、図4A〜図4Cを参照して説明したように、例えば、二次電池25が満充電になると、スイッチ28をオープン(ダミー負荷抵抗29およびDC/DCコンバータ22bのいずれにも接続しない)状態にしていた。
これに対して、第3実施例では、例えば、二次電池25が満充電になったとき、スイッチ28を切り替えて、整流回路22aからの受電電圧Vrを高インピーダンス抵抗30に印加するようになっている。
ここで、例えば、それぞれの受電装置2-1〜2-Nにおける高インピーダンス抵抗30の値を異なるように設定しておくことで、送電装置1が、満充電になった受電装置を特定することが可能になる。
なお、それぞれの受電装置2-1〜2-Nに設定する高インピーダンス抵抗30は、受電電圧Vrを高インピーダンス抵抗30に印加したとき、送電装置1において検知される送電コイル11(電力供給コイル11b)の波形が識別できるような値に設定される。具体的に、高インピーダンス抵抗(受電装置識別抵抗)30としては、例えば、第1受電装置2-1は1000Ω、第2受電装置2-2は2000Ω、…というように設定することができる。
以上の説明において、主として磁界共鳴を利用した電力の伝送(給電)を例としたが、本実施形態は、電界共鳴を利用した電力伝送、或いは、電磁誘導や電界誘導を利用した電力伝送に対しても適用することができる。
ここに記載されている全ての例および条件的な用語は、読者が、本発明と技術の進展のために発明者により与えられる概念とを理解する際の助けとなるように、教育的な目的を意図したものである。
また、具体的に記載されている上記の例および条件、並びに、本発明の優位性および劣等性を示すことに関する本明細書における例の構成に限定されることなく、解釈されるべきものである。
さらに、本発明の実施例は詳細に説明されているが、本発明の精神および範囲から外れることなく、様々な変更、置換および修正をこれに加えることが可能であると解すべきである。
以上の実施例を含む実施形態に関し、さらに、以下の付記を開示する。
(付記1)
送電装置からの電力を無線により受け取る受電コイルと、
前記受電コイルからの電力により充電を行う二次電池と、
負荷抵抗と、
前記受電コイルに対して、前記二次電池および前記負荷抵抗を切り替え可能に接続する開閉器と、
前記受電コイルによる前記送電装置からの電力供給状態、および、前記二次電池の充電状態に基づいて、前記開閉器を制御する受電制御器と、を有する、
ことを特徴とする受電装置。
(付記2)
前記受電コイルは、前記送電装置からの電力を、磁界共鳴または電界共鳴を利用して無線により受け取る受電共振コイルである、
ことを特徴とする付記1に記載の受電装置。
(付記3)
前記受電制御器は、
前記送電装置からの電力により前記二次電池の充電を行う本送電において、
前記二次電池が充電可能な場合には、前記受電コイルによる受電電圧を前記二次電池に印加されるように、
前記二次電池の充電が完了した場合には、前記受電電圧が前記負荷抵抗および前記二次電池のいずれにも印加されないように、前記開閉器を制御する、
ことを特徴とする付記1または付記2に記載の受電装置。
(付記4)
前記受電制御器は、
前記送電装置からの電力により前記二次電池の充電を行う本送電において、
前記二次電池の充電が完了した場合には、前記受電電圧が、それぞれの受電装置に特有の抵抗値を有する受電装置識別抵抗に印加されるように、前記開閉器を制御する、
ことを特徴とする付記3に記載の受電装置。
(付記5)
前記二次電池の充電が完了した場合は、前記二次電池が満充電になった場合である、
ことを特徴とする付記3または付記4に記載の受電装置。
(付記6)
前記受電制御器は、
前記本送電の前に行うテスト送電の初期状態、および、通常使用状態において、
前記受電電圧が前記負荷抵抗に印加されるように、前記開閉器を制御する、
ことを特徴とする付記3乃至付記5のいずれか1項に記載の受電装置。
(付記7)
前記本送電は、前記テスト送電が開始してから第1時間後に開始され、
前記受電制御器は、
前記受電電圧が、前記テスト送電における第1電圧の状態で前記第1時間だけ経過したら前記本送電を認識し、前記受電電圧が前記二次電池に印加されるように、前記開閉器を制御する、
ことを特徴とする付記3乃至付記6のいずれか1項に記載の受電装置。
(付記8)
前記受電制御器は、
前記テスト送電が開始してからの時間をカウントするタイマと、
前記タイマにより、前記テスト送電が開始してから前記第1時間だけ経過したら、前記受電電圧が前記二次電池に印加されるように、前記開閉器を制御するマイクロコントローラと、を含む、
ことを特徴とする付記7に記載の受電装置。
(付記9)
前記本送電は、前記テスト送電が開始してから第1時間後に開始され、
前記受電制御器は、
前記受電電圧が、前記テスト送電における第1電圧と前記本送電における第2電圧の間の閾値電圧を超えたら前記本送電を認識し、前記受電電圧が前記二次電池に印加されるように、前記開閉器を制御する、
ことを特徴とする付記3乃至付記6のいずれか1項に記載の受電装置。
(付記10)
前記受電制御器は、
前記受電電圧と前記閾値電圧を比較するコンパレータと、
前記コンパレータにより、前記テスト送電が開始してから前記受電電圧が前記閾値電圧を超えたら、前記受電電圧が前記二次電池に印加されるように、前記開閉器を制御するマイクロコントローラと、を含む、
ことを特徴とする付記9に記載の受電装置。
(付記11)
さらに、
前記受電コイルからの電力を整流して前記受電電圧を出力する整流回路と、
前記受電電圧を受け取って前記二次電池を充電する電力信号を生成するDC/DCコンバータと、を有し、
前記開閉器は、前記整流回路と前記DC/DCコンバータの間に設けられる、
ことを特徴とする付記3乃至付記10のいずれか1項に記載の受電装置。
(付記12)
前記マイクロコントローラは、
前記受電電圧および前記電力信号を受け取り、前記開閉器に対して制御信号を出力する、
ことを特徴とする付記11に記載の受電装置。
(付記13)
前記負荷抵抗の抵抗値は、
前記二次電池を充電しているときの抵抗値に基づいて決められる、
ことを特徴とする付記1乃至付記12のいずれか1項に記載の受電装置。
(付記14)
複数の受電装置に対して、電力を無線により伝送する送電コイルを有する送電装置であって、
それぞれの受電装置は、
送電装置からの電力を無線により受け取る受電コイルと、
前記受電コイルからの電力により充電を行う二次電池と、
負荷抵抗と、
前記受電コイルに対して、前記二次電池および前記負荷抵抗を切り替え可能に接続する開閉器と、
前記受電コイルによる前記送電装置からの電力供給状態、および、前記二次電池の充電状態に基づいて、前記開閉器を制御する受電制御器と、を有し、
テスト送電を開始してから第1時間後に本送電を開始し、前記送電コイルからの波形に従って充電対象となる前記受電装置の個数を認識して、前記本送電の条件を制御する送電制御器、を有する、
ことを特徴とする送電装置。
(付記15)
前記送電制御器は、
前記送電コイルのインピーダンス特性を記憶するメモリを含み、
前記送電コイルからの波形を、前記メモリに格納された情報を参照することで、充電対象となる前記受電装置の個数を認識する、
ことを特徴とする付記14に記載の送電装置。
(付記16)
それぞれの前記受電装置は、その受電装置に特有の抵抗値を有する受電装置識別抵抗を有し、
前記受電制御器は、前記二次電池の充電が完了した場合には、前記受電コイルによる受電電圧を、前記受電装置識別抵抗に印加されるように、前記開閉器を制御し、
前記送電制御器は、
前記二次電池の充電が完了した前記受電装置を、その受電装置に特有の抵抗値を有する前記受電装置識別抵抗に基づく、前記送電コイルからの波形変化により特定する、
ことを特徴とする付記14または付記15に記載の送電装置。
(付記17)
送電装置と、
前記送電装置からの電力を無線により受け取る複数の受電装置と、を有する無線給電システムであって、
それぞれの前記受電装置は、
前記送電装置からの電力を無線により受け取る受電コイルと、
前記受電コイルからの電力により充電を行う二次電池と、
負荷抵抗と、
前記受電コイルに対して、前記二次電池および前記負荷抵抗を切り替え可能に接続する開閉器と、
前記受電コイルによる前記送電装置からの電力供給状態、および、前記二次電池の充電状態に基づいて、前記開閉器を制御する受電制御器と、を有し、
前記送電装置は、
前記複数の受電装置に対して、電力を無線により伝送する送電コイルと、
テスト送電を開始してから第1時間後に本送電を開始し、前記送電コイルからの波形に従って充電対象となる前記受電装置の個数を認識して、前記本送電の条件を制御する送電制御器と、を有する、
ことを特徴とする無線給電システム。
1 送電装置(一次側:送電側)
2,2-1〜2-N 受電装置(二次側:受電側)
11 ワイヤレス送電部(送電コイル)
11a 送電共振コイル(LC共振器)
11b 電力供給コイル
12 高周波電源部
13 送電制御部
14 送電通信回路部
15 アンプ(増幅器)
16 整合回路
17 送電制御器(メモリ)
21 ワイヤレス受電部(受電コイル)
21a 受電共振コイル(LC共振器)
21b 電力取出コイル
22 受電回路部
22a 整流回路
22b DC/DCコンバータ
23 受電制御部
24 受電通信回路部
25 二次電池
26 装置部
27 受電制御器
28 スイッチ(開閉器)
29 ダミー負荷抵抗(負荷抵抗)
30 高インピーダンス抵抗(受電装置識別抵抗)
271 マイクロコントローラ
272 デジタル入出力部(DIO)
273 アナログ−デジタル変換器(ADC)
274 メモリ
275 タイマ
276 コンパレータ

Claims (11)

  1. 送電装置からの電力を無線により受け取る受電コイルと、
    前記受電コイルからの電力により充電を行う二次電池と、
    負荷抵抗と、
    前記受電コイルに対して、前記二次電池および前記負荷抵抗を切り替え可能に接続する開閉器と、
    前記受電コイルによる前記送電装置からの電力供給状態、および、前記二次電池の充電状態に基づいて、前記開閉器を制御する受電制御器と、を有し、
    前記受電制御器は、
    前記送電装置からの電力により前記二次電池の充電を行う本送電において、
    前記二次電池が充電可能な場合には、前記受電コイルによる受電電圧を前記二次電池に印加されるように、
    前記二次電池の充電が完了した場合には、前記受電電圧が前記負荷抵抗および前記二次電池のいずれにも印加されないように、前記開閉器を制御する、
    ことを特徴とする受電装置。
  2. 前記受電制御器は、
    前記送電装置からの電力により前記二次電池の充電を行う本送電において、
    前記二次電池の充電が完了した場合には、前記受電電圧が、それぞれの受電装置に特有の抵抗値を有する受電装置識別抵抗に印加されるように、前記開閉器を制御する、
    ことを特徴とする請求項に記載の受電装置。
  3. 前記受電装置識別抵抗は、
    前記受電電圧を前記受電装置識別抵抗に印加したとき、前記送電装置において検知される送電コイルの波形が識別できるような値に設定される、
    ことを特徴とする請求項2に記載の受電装置。
  4. 前記受電制御器は、
    前記本送電の前に行うテスト送電の初期状態、および、通常使用状態において、
    前記受電電圧が前記負荷抵抗に印加されるように、前記開閉器を制御する、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の受電装置。
  5. 前記受電制御器は、
    前記テスト送電が開始してからの時間をカウントするタイマと、
    前記タイマにより、前記テスト送電が開始してから第1時間だけ経過したら、前記受電電圧が前記二次電池に印加されるように、前記開閉器を制御するマイクロコントローラと、を含む、
    ことを特徴とする請求項4に記載の受電装置。
  6. 前記受電制御器は、
    前記受電電圧と閾値電圧を比較するコンパレータと、
    前記コンパレータにより、前記テスト送電が開始してから前記受電電圧が前記閾値電圧を超えたら、前記受電電圧が前記二次電池に印加されるように、前記開閉器を制御するマイクロコントローラと、を含む、
    ことを特徴とする請求項4に記載の受電装置。
  7. さらに、
    前記受電コイルからの電力を整流して前記受電電圧を出力する整流回路と、
    前記受電電圧を受け取って前記二次電池を充電する電力信号を生成するDC/DCコンバータと、を有し、
    前記開閉器は、前記整流回路と前記DC/DCコンバータの間に設けられる、
    ことを特徴とする請求項乃至請求項6のいずれか1項に記載の受電装置。
  8. 複数の受電装置に対して、電力を無線により伝送する送電コイルを有する送電装置であって、
    それぞれの受電装置は、
    送電装置からの電力を無線により受け取る受電コイルと、
    前記受電コイルからの電力により充電を行う二次電池と、
    負荷抵抗と、
    前記受電コイルに対して、前記二次電池および前記負荷抵抗を切り替え可能に接続する開閉器と、
    前記受電コイルによる前記送電装置からの電力供給状態、および、前記二次電池の充電状態に基づいて、前記開閉器を制御する受電制御器と、を有し、
    テスト送電を開始してから第1時間後に本送電を開始し、前記送電コイルからの波形に従って充電対象となる前記受電装置の個数を認識して、前記本送電の条件を制御する送電制御器、を有する、
    ことを特徴とする送電装置。
  9. それぞれの前記受電装置は、その受電装置に特有の抵抗値を有する受電装置識別抵抗を有し、
    前記受電制御器は、前記二次電池の充電が完了した場合には、前記受電コイルによる受電電圧を、前記受電装置識別抵抗に印加されるように、前記開閉器を制御し、
    前記送電制御器は、
    前記二次電池の充電が完了した前記受電装置を、その受電装置に特有の抵抗値を有する前記受電装置識別抵抗に基づく、前記送電コイルからの波形変化により特定する、
    ことを特徴とする請求項8に記載の送電装置。
  10. 前記受電装置識別抵抗は、
    前記受電電圧を前記受電装置識別抵抗に印加したとき、前記送電装置において検知される前記送電コイルの波形が識別できるような値に設定される、
    ことを特徴とする請求項9に記載の送電装置。
  11. 送電装置と、
    前記送電装置からの電力を無線により受け取る複数の受電装置と、を有する無線給電システムであって、
    それぞれの前記受電装置は、
    前記送電装置からの電力を無線により受け取る受電コイルと、
    前記受電コイルからの電力により充電を行う二次電池と、
    負荷抵抗と、
    前記受電コイルに対して、前記二次電池および前記負荷抵抗を切り替え可能に接続する開閉器と、
    前記受電コイルによる前記送電装置からの電力供給状態、および、前記二次電池の充電状態に基づいて、前記開閉器を制御する受電制御器と、を有し、
    前記送電装置は、
    前記複数の受電装置に対して、電力を無線により伝送する送電コイルと、
    テスト送電を開始してから第1時間後に本送電を開始し、前記送電コイルからの波形に従って充電対象となる前記受電装置の個数を認識して、前記本送電の条件を制御する送電制御器と、を有する、
    ことを特徴とする無線給電システム。
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