JP6156246B2 - 固体電解質−電極複合体の製造方法 - Google Patents

固体電解質−電極複合体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6156246B2
JP6156246B2 JP2014089841A JP2014089841A JP6156246B2 JP 6156246 B2 JP6156246 B2 JP 6156246B2 JP 2014089841 A JP2014089841 A JP 2014089841A JP 2014089841 A JP2014089841 A JP 2014089841A JP 6156246 B2 JP6156246 B2 JP 6156246B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solid electrolyte
reduction
hydrogen
layer
cathode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014089841A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015211484A5 (ja
JP2015211484A (ja
Inventor
深田 善樹
善樹 深田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2014089841A priority Critical patent/JP6156246B2/ja
Publication of JP2015211484A publication Critical patent/JP2015211484A/ja
Publication of JP2015211484A5 publication Critical patent/JP2015211484A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6156246B2 publication Critical patent/JP6156246B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Conductive Materials (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)
  • Fuel Cell (AREA)

Description

本発明は、固体電解質と電極との複合体に関する。
固体電解質を利用した熱電変換水素電池が知られている(例えば特許文献1)。
特開2005−033960号公報
上記先行技術が有する課題は、電極と固体電解質との密着性に向上の余地があることである。電極と固体電解質との接着は、機械的強度が不足していると、熱応力や振動で剥離することがある。電極に水素や酸素が供給されると高い圧力が生じるため、この圧力が固体電解質と電極との接着力を上回ると剥離が生じる場合がある。この他、装置の小型化や、低コスト化、省資源化、製造の容易化、使い勝手の向上等が望まれていた。
本発明は、先述した課題の少なくとも一部を解決するためのものであり、以下の形態として実現できる。
(1)本発明の一形態によれば、AB1−X(0≦X≦0.3)からなるペロブスカイト構造を持つ固体電解質の両側に電極が配置され、前記両側の電極の少なくとも一方が水素を吸蔵可能である固体電解質−電極複合体の製造方法が提供される。この製造方法では、130℃以上500℃以下の温度条件かつ水素ガスの存在する雰囲気で、前記ペロブスカイト構造のBサイトの金属が還元されるように前記両側の電極間に電圧を印加し、前記水素を吸蔵可能な電極と前記固体電解質との間に前記Bサイトの金属由来の層を析出させる。この形態によれば、電極と固体電解質との密着性を向上させることができる。
(2)上記形態において、前記電圧の印加を、水素ガスの分圧が10Pa以上100kPa以下の雰囲気において実施する。この形態によれば、水素ガスの分圧が10Pa以上なので、電圧の印加に伴い生成する酸素のイオンが酸素ガス(気泡)に変化することを抑制できる。且つ、水素ガスの分圧が100kPa以下なので、還元反応が進行しないうちに水素が陰極に到達し、陰極が剥離することが抑制される。
本発明は、上記以外の種々の形態でも実現できる。例えば、固体酸化物形燃料電池(SOFC)や水素吸蔵装置等の形態に適用できる。
水素吸蔵装置の概略断面図。 水素吸蔵装置の製造手順を示す工程図。 水素吸蔵装置における反応を示す図。 水素吸蔵装置における反応を示す図。 水素吸蔵装置における反応を示す図。 製造条件の実施例、比較例をテーブルで示す図。 水素吸蔵装置の概略断面図(還元防止層などが無し)。
A:概要
初めに、本実施形態の概要を説明する。本実施形態は、水素吸蔵装置として機能する固体電解質−電極複合体(固体電解質の両側に電極を設けた複合体:以下「複合体」と略す)において、電極と固体電解質との密着性を向上させることを目的とする。この複合体に対し、密着性を向上させたい電極を陰極として、固体電解質を構成する金属元素の還元電位を超える電圧を印加する。電圧印加によって固体電解質の還元反応が起こり、還元析出した金属が電極となじみ、密着性が向上する。
上記の複合体において、還元反応を促進する為に電極と固体電解質の間にイオン化傾向の小さな元素が相対的に多い犠牲還元層を設けるとなお良い。さらに、還元反応の過剰な進行によって起こる固体電解質の堆積変化とそれによる破壊を防止する為に、イオン化傾向の大きい元素が相対的に多い還元防止層を設けるとなお良い。還元防止層でも急速に還元反応が進行したり絶縁破壊が起こったりしない電圧を印加することによって、還元防止層では還元反応の進行が緩慢になり、還元反応の過剰な進行が防止できる。
B:構造
以下、本実施形態の詳細を説明する。図1は、複合体20aの概略断面図である。複合体20aは、上記の複合体の一形態である。複合体20aは、陽極30と、固体電解質膜40と、還元防止層50と、犠牲還元層60と、密着層70と、陰極80とを備える。
雰囲気中の水素分子は、陽極30に水素原子として取り込まれる。取り込まれた水素原子は、固体電解質膜40に接触すると、水素イオンになる。この水素イオンは、陽極30と陰極80とに電位差が存在すると、陰極80に向かって移動する。水素イオンは、固体電解質膜40、還元防止層50、犠牲還元層60、密着層70を通過し、陰極80に到達すると、陰極80に吸蔵される。
陽極30及び陰極80は、パラジウムで構成される。固体電解質膜40は、組成式がAB1−X(0≦X≦0.3)で表されるペロブスカイト構造を持ち、本実施形態では、水素イオンの伝導体であるバリウムジルコネート(BaαZr1−X…組成式S)で構成される。バリウムジルコネートの主成分は、ペロブスカイト構造におけるAサイトの金属であるBa(バリウム)と、ペロブスカイト構造におけるBサイトの金属であるZr(ジルコニウム)とである。組成式Sのαは、理論的には1である。Y(イットリウム)は、ドーパントであり比較的量が少ない。本実施形態では、組成式SのXの値として、一般的な値である0.05〜0.3を採用する。
工業的に作られるバリウムジルコネートは、バリウムが少なくなることが多い。つまり、組成式Sにおけるαが1よりも小さい値になることが多い。以下、バリウムが少なくなることを「バリウムが抜ける」という。バリウムは、アルカリ土類金属であるので、イオン化傾向が大きい。このためバリウムは、反応性が高く、余剰になると大気中の二酸化炭素や水分と反応して析出物を発生させる。よって、バリウムが多少抜けている状態は、都合がよい。その一方で、バリウムが抜けると、その周囲のジルコニウムが還元されやすくなる。ジルコニウムは、バリウムに比べてイオン化傾向が小さい。
還元防止層50は、固体電解質膜40等の他の部位に比べてバリウムの抜けが少ないバリウムジルコネートで構成する。つまり、固体電解質膜40に比べると、イオン化傾向が大きいバリウムが、イオン化傾向の小さいジルコニウムに対して相対的に多くなる。厚さは、3nm〜100nmが好ましく、10nm前後がより好ましい。組成式Sのαは、1より大きくても小さくてもよい。
還元防止層50をスパッタによる積層製膜で作成する場合、還元防止層50においてスパッタ装置のガス圧やパワーを調整すること、及びアルゴン雰囲気ガスの圧力を0.3Paまで低くすることによって、バリウム抜けを少なくできる。なお、アルゴン雰囲気ガスの圧力を1Paまで高くすると、バリウム抜けが多くなってしまう。このアルゴン雰囲気ガスの圧力に関する知見は、発明者らによる実験によって判明した。スパッタターゲットに酸化バリウム(BaO)などを混入させてバリウムの多い層を作ることによって、バリウムを相対的に多くすることもできる。
還元防止層50は、層が薄く、複合体20aの内部にあるために、大気中の二酸化炭素による影響は抑制される。
犠牲還元層60は、還元防止層50とは逆にバリウムが相対的に少ない。つまり、還元防止層50に比べると、イオン化傾向の小さいジルコニウムが、イオン化傾向が大きいバリウムに対して相対的に多くなる。但し、特別な方法でバリウム抜けを多くする必要はない。固体電解質膜40の一般部分と同じ性質の層であってもよい。厚さは、1〜30nmが好ましく、5〜10nmがより好ましい。
密着層70は、金属ジルコニウムの薄膜で形成する。密着層70の厚さは、1〜1000nmが好ましい。よって、犠牲還元層60に比べると、イオン化傾向の小さいジルコニウムが、イオン化傾向が大きいバリウムに対して相対的に多くなる。
上記したバリウムの抜け具合の制御について実験したところ、ガス圧変化とBa/Zrとに強い相関は見られなかった。Ba/Zrとは、BaとZrとの組成比である。但し、ガス圧が高いとバリウム抜けが多くなるという知見があるので、今回の製膜実績の範囲から、犠牲還元層60(電極界面)には高めの0.91Pa、還元防止層50には低めの0.3Paを採用することにした。高めのガス圧では膜質が多孔質傾向になり密着性が良くなる性質がある。よって、この点においても上記ガス圧の値は、密着性向上に有利と考えられる。なお、スパッタの条件を変えることでバリウムの抜け具合を制御する方法については、Sensors and Actuators B 148巻の173〜180項(出版:ELSEVIER (登録商標))にも開示がある。
C:水素吸蔵装置の製造
図2は、水素吸蔵装置20の製造手順を示す工程図である。まず、複合体20aを製造する(工程P11)。工程P11については、「C−1:複合体20aの製造手順」で詳細を説明する。次に、製造した複合体20aをチャンバ内にセットし(工程P12)、チャンバ内を真空引きする(工程P13)。続いて、チャンバ内に水素を封入する(工程P14)。その後、目標温度に達するまで、複合体を加熱および保持する(工程P15)。そして、温度を維持しながら、陰電圧を所定時間、印加する(工程P16)。この一連の手順によって、犠牲還元層60が還元されて陰極80との密着性が向上することによって、水素吸蔵装置20が製造される。つまり、複合体20aが、高圧の水素を吸蔵できる水素吸蔵装置20として機能するようになる。工程P14〜工程P16の諸条件については、後述する実施例、比較例と共に説明する。
C−1:複合体20aの製造手順(工程P11)
本実施形態における複合体20aの製造手順の概要は次の通りである。(1)陰極80を形成、(2)ジルコニウムの薄い層を形成して密着層70を形成、(3)固体電解質膜40の初期において高い雰囲気ガス圧で製膜して犠牲還元層60を形成、(4)雰囲気ガス圧を小さくして還元防止層50を形成、(5)雰囲気ガス圧を中程度として固体電解質膜40の主要部分を形成。なお、この手順においては、アルゴン雰囲気ガスの圧力の制御を実施しなかった。アルゴン雰囲気ガスの圧力を制御する場合の製造手順は、後述する(E−7)。
D:反応の概要
図3,4,5を用いて、工程P16における反応の概要を説明する。水素を含む雰囲気中において、陽極30及び陰極80に電位差を生じさせること(工程P16)によって、図3に示されるように、犠牲還元層60に還元生成物100が生じる。還元生成物100は、Bサイトの金属由来が析出したものであり、具体的には遊離した酸化ジルコニウム(ZrO)や価数の低い酸化ジルコニウム(ZrO)が主である。還元生成物100は、成長する性質を持つ。但し、還元防止層50に達すると、還元が止まり、還元生成物100の成長も止まる。このように還元生成物100が非常に薄い層の段階で還元生成物100の成長が停止するため、固体電解質膜40の破壊は防止される。
還元反応がさらに進むと、図4に示されるように金属的な強還元物200が犠牲還元層60に生じる。強還元物200は、金属ジルコニウム(Zr)や、金属ジルコニウムが僅かに酸化されたZrO等である。
還元反応がさらに進むと、図5に示されるように強還元物200が成長する。密着層70と強還元物200とが同種の金属なので、密着層70と強還元物200とが強く密着する。
さらに、還元の過程で酸素のイオン(例えば酸化物イオン)が生じ、陽極30に向けて移動、固体電解質膜40内に拡散する。この酸素のイオンは、固体電解質膜40内に水素イオンを呼び込む働きをする。この働きは、固体電解質膜40に湿気を含ませることによる効果と同等である。
以下、工程P14〜工程P16の適切な条件を決定するための実施例、比較例について説明する。図6は、これらの実施例、比較例で採用された条件をテーブルによって示す図である。
E−1:実施例1
ガラス基板上に、陰極80としてパラジウム陰極(厚さ200nm)、固体電解質膜40としてバリウムジルコネート(厚さ1000nm)、陽極30としてパラジウム陽極(厚さ10nm)を積層した複合体20aを製作した(工程P11)。
工程P16において印加する電圧値について説明する。還元反応のために必要な理論的な電位差は、以下の通りである。ジルコニウムの標準酸化還元電位は−1.53Vである。水素の酸化反応による標準起電力は1.23Vである。標準酸化還元電位とは、水素と比較した酸化還元電位である。この差を取って、ジルコニウムの還元に必要な電位差が−2.76Vと求まる。
通常、酸化還元反応を起こさせるためには、それより僅かに大きな電圧(過電圧)を掛ける必要がある。よって、2.76〜4V、好ましくは3〜4Vの電圧を印加することで犠牲還元層60が還元される。
工程P16を実行する時間(所定時間)について説明する。還元反応に必要な時間は、電位差と温度とによって大きく異なり、適宜実験して最適値を求めることが好ましい。実施例1では、水素を封入し(工程P14)、温度を300℃(工程P15)、電位差を3V(工程P16)として水素吸蔵装置20を製造した。電位差を3.7Vとした条件でも製造した。これらの場合、数分(例えば6min)で還元生成物100が成長した。
還元反応を終了させた後は、電極間の電位差が2.76Vを超えない範囲(例えば1.5V)で使用すれば、還元反応は進行しないため、長期間にわたって使用が可能である。
実施例1では白濁は生じず、定期的に測定した開放電圧測定は徐々に上昇し、0.2Vに達した。この開放電圧から算出される水素の分圧は1000気圧を超える。つまり、実施例1の場合、陰極80と固体電解質膜40との密着が、この圧力に耐え得ることが確認された。
吸蔵後の水素吸蔵装置20の断面を電子顕微鏡で観察し、蛍光X線による元素分析を実施したところ、陰極80と固体電解質膜40との界面にジルコニウムの多い層が検出された。これは強還元物200として生成した金属層のジルコニウムであると考えられる。この強還元物200と密着層70とが両方ともジルコニウムであるので、密着性が向上すると考えられる。
さらに、実施例1の場合、還元の過程で発生する酸素のイオンによって水が生成し、固体電解質膜40に保持されるため、水分を添加しなくても、固体電解質膜40に水素イオン伝導性が発現する。
E−2:比較例1
工程P15において、複合体20aを水素ガス中で270℃に加熱し、工程P16において、陽極30と陰極80との電位差を2Vに設定して、水素吸蔵装置20を製造した。この条件下においては、吸蔵された水素の圧力で固体電解質膜40が剥離、飛散してしまった。2Vでは還元反応が起こらないからだと考えられる。
E−3:比較例2
工程P15において、複合体20aを水素ガス中で270℃に加熱し、工程P16において、陽極30と陰極80との電位差を15Vに設定して、水素吸蔵装置20を製造した。この場合は、絶縁破壊が起こり、スパークして固体電解質膜40が破壊してしまった。比較例2では、固体電解質膜40の厚みは1μmであった。よって、固体電解質膜40中の電界強度は、15MV/m以下に抑えることが好ましいことがわかる。
E−4:比較例3
工程P16において、陽極30と陰極80との電位差を10Vに設定した。この場合、20min間の電圧印加後、過剰な還元反応によって固体電解質膜40が破壊し、白濁が生じた。この現象は、還元防止層50も還元されたことによると考えられる。
E−5:比較例4
工程P14を実行せず、工程P16において、水素ガスのない雰囲気(真空)で電圧を印加して、水素吸蔵装置20を製造した。この場合、細かい気泡上に陽極30が剥離する現象が起きた。これは、還元によって生じた酸素が、陽極30でガスとして発生し、陽極30を押し剥がしたからと考えられる。
雰囲気に水素ガスが含まれていた条件においてこのような現象が見られないのは、酸素のイオンが陽極付近で水素イオンと結合して水になり、そのまま固体電解質膜40中に保持されたからと考えられる。
E−6:実施例2
工程P14において封入する水素の分圧、並びに、工程P16における所定時間および温度の関係を変化させて、水素吸蔵装置20を製造した。(a)150℃の場合、時間は1hour、水素分圧は100kPaで充分な気泡抑制効果が得られた。(b)270℃の場合、時間は4〜6min、水素分圧は1kPaで充分な気泡抑制効果が得られた。(c)500℃の場合、時間は1min、水素分圧は10Paで充分な気泡抑制効果が得られた。
還元反応の進行速度は、アレニウス則理論に従うと考えられる。よって、温度が高ければ、短時間で反応が完了する。アレニウス則理論によれば、温度の影響は非常に大きく、最適な処理時間は数桁にわたって大きく変化するので、一概には決められない。したがって実験によって適宜決定するのが好ましい。なお、水素分圧が高すぎると、還元反応が充分に進行しないうちに水素が陰極80に供給される。この結果、高い圧力が発生し、陰極80の剥離を招いてしまう。よって、水素分圧は、上記のように小さな値が好ましい。
E−7:実施例3
複合体20aの製造時においてアルゴン雰囲気ガスの圧力を制御して、水素吸蔵装置20を製造した。「C−1:複合体20aの製造手順(工程P11)」として既に説明した製造手順を一部、変更して複合体20aを製造した。変更点は、次の通りである。製造手順の(3)において、アルゴン雰囲気ガスの圧力を0.9Paに設定し、50nmの犠牲還元層60を陰極80上に形成した。製造手順の(4)において、アルゴン雰囲気ガスの圧力を0.3Paに下げて、50nmの還元防止層50を形成した。製造手順の(5)において、アルゴン雰囲気ガスの圧力を0.67Paに設定し、1000nmの固体電解質膜40を形成した。この後、陽極30を形成して、複合体20aを完成させた。
工程P15において温度260℃に加熱し、工程P16においては電圧6Vを20min、印加した。その後、完成した水素吸蔵装置20を用いて水素を吸蔵した。具体的には、印加電圧を2Vに下げて水素ガスを封入し、陰極80に水素を吸蔵させた。この場合、0.3Vに達する開放電圧が得られた。この後、逆電圧を印加しても、固体電解質膜40の剥離は起きなかった。従来、頻繁に発生していた固体電解質膜40の白濁も殆ど起きなかった。この理由は、20minという比較的長い還元処理を施したことで、ジルコニウムの還元による密着が確実に得られたこと、及び、還元防止層50が設けられていることで、還元の進行による固体電解質膜40の破壊が起きなかったことだと考えられる。
E−8:比較例5
陽極30、固体電解質膜40及び陰極80が積層した構造を有する複合体21a(図7)を用いて、水素吸蔵装置21を製造した。つまり、還元防止層50、犠牲還元層60及び密着層70を廃止した水素吸蔵装置を製造した。
工程P14において10kPa(0.01MPa)の窒素を封入し、工程P15において280〜300℃に加熱し、工程P16において3Vを30min、4〜5Vを30min印加した。この場合、水素吸蔵装置21の表面が僅かに白濁し、干渉による色に変化が見られた。白濁は、微小な剥離とクラックとによるものだった。表面の一部をナイフで削った端部には、固体電解質膜40が陰極80に固着している様子が観察できた。微小な剥離は加熱するだけでも発生することがあり、製膜時の不純物が原因と考えられる。干渉色の変化は、Zrの還元で膜厚が変化したことによると考えられる。Zrの析出が起きてPdとの固着が起こっているものと推測できる。
E−9:実施例4
複合体21aを用いて、工程P14において10kPa(0.01MPa)の窒素を封入し、付きのように条件を順番に変更しながら工程P15,工程P16を繰り返した。(1)190℃ 3.8V 1min、(2)215℃ 3.7V 1min、(3)245℃ 3.7V 1min、(4)260℃ 3.8V 2min。この後、(5)水素同位体ガスの分圧を10kPa(0.01MPa)とし、275℃ 3.7V 1minに変更した。このように、(1)〜(5)で合計6min電圧を印加した。
実施例4の水素吸蔵装置20では、開放電圧の測定時に固体電解質膜40の一部が剥離した。固体電解質膜40は結晶性のため密着性が良くなく、還元処理をしない従来の場合では全面が剥離することに比べると、著しく改善された。このように、還元防止層50、犠牲還元層60及び密着層70が無くても、還元処理によって高圧の水素吸蔵が達成された。なお、高圧吸蔵が達成された場合に見られるPd陰極の小穴が発生した。
E−10:実施例5
複合体21aを用い、工程P14において10kPaの水素同位体を封入し、工程P15において270℃に加熱し、工程P16において3〜4Vを30sec印加した。実施例4に比べて印加時間が短いのは、印加の最初から水素同位体雰囲気だったので、陰極80が急激に水素同位体を吸蔵し、短時間でも充分に吸蔵されるからである。部分的に剥離が生じたが、剥がれずに残った部位では良好な吸蔵ができたと考えられる。なお、陰極80に小穴の発生が見られた。
E−11:実施例6
複合体21aを用い、工程P15において260℃に加熱し、工程P16において3〜4Vを1min印加した。実施例6では、極めて高圧の吸蔵が実現されたことが、以下の現象から推測される。陰極80に発生した小穴は、非常に高密度になった。また、開放電圧の測定時に、陰極80の一部がガラス基板から剥離して飛ぶ現象が発生した。この現象は、開放電圧の測定時に印加電圧がほぼゼロになることにより、高圧(GPaオーダー)の水素が発生したため、ガラス基板と陰極80の界面がこの圧力に耐えられなくなったからだと考えられる。つまり、この現象は、固体電解質膜40は剥離しておらず、この圧力に耐えていることを示唆している。
F:他の実施形態
本発明は、本明細書の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現できる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、先述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、先述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことができる。その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除できる。例えば、以下のものが例示される。
実施例における工程P15の温度は、150℃以上に設定したが、130℃〜150℃でもよい。理由は、次の通りである。工程P15において、130℃に達した時点からPd陰極と雰囲気中との水素分圧の差に起因する開放電圧の発生が観測された。これはバリウムジルコネートが130℃以上で固体電解質としての性質を発揮している事を示している。バリウムジルコネートが固体電解質として機能している場合に、先述した処理においてジルコニウムが還元されると考えられるので、バリウムジルコネートにおいては130℃以上で処理を行うのが好ましい。
密着層を廃止してもよい。この場合であっても、ジルコニウム及びパラジウムは金属同士であるので、強還元物と陰極80との密着性が向上すると考えられる。
密着層を廃止した場合、陰極をジルコニウムで構成してもよい。このようにすれば、密着層を廃止しつつ、密着層がある場合と同等の密着性を得ることができる。ジルコニウムによる陰極を採用する場合、陰極の厚さを1〜100nm、より好ましくは3〜50nmに設定すると、陰極の水素透過性を向上させることができる。
固体電解質は、バリウムジルコネートでなくても、その他の種類、例えばバリウムとセリウムとによるものでもよい。
陰極として使用する部位でなくてもよく、例えば陽極に使用する部位であっても、この構造を適用し、さらにその製造段階において負の電圧を印加する処理を実施して密着を向上させた後に陽極として使用に供するという応用に対しても適用できる。
密着層、犠牲還元層、還元防止層、及び高い陰電位を掛ける処理、及びこの処理時に水素ガスを添加することの5つ全てを備えることが必要である訳ではなく、このうちの1つ又は複数の組み合わせだけであっても充分に効果を発揮し得るものである。例えば、犠牲還元層と還元防止層との一方を廃止しても良い。この場合でも、やはり密着性の向上の効果がある。但し、良好な密着が得られる条件と過剰な還元が起きて構造が破壊する条件との間が狭くなるので、適宜、実験によって数値を定めるのが好ましい。
陰極と陽極との両方に本発明を適用できる。
20…水素吸蔵装置
20a…固体電解質−電極複合体
21…水素吸蔵装置
21a…固体電解質−電極複合体
30…陽極
40…固体電解質膜
50…還元防止層
60…犠牲還元層
70…密着層
80…陰極
100…還元生成物
200…強還元物

Claims (3)

  1. AB1−X(0≦X≦0.3)からなるペロブスカイト構造を持つ固体電解質の両側に電極が配置され固体電解質−電極複合体の製造方法であって、
    130℃以上500℃以下の温度条件かつ水素ガスの存在する雰囲気で、前記ペロブスカイト構造におけるBサイトの金属が還元されるように前記両側の電極間に電圧を印加し、前記両側の電極の少なくとも一方と前記固体電解質との間に前記Bサイトの金属由来の層を析出させる、製造方法。
  2. 前記電圧の印加を、水素ガスの分圧が10Pa以上100kPa以下の雰囲気において実施する請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記両側の電極の少なくとも一方が水素を吸蔵可能である、請求項1又は請求項2に記載の製造方法。
JP2014089841A 2014-04-24 2014-04-24 固体電解質−電極複合体の製造方法 Active JP6156246B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014089841A JP6156246B2 (ja) 2014-04-24 2014-04-24 固体電解質−電極複合体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014089841A JP6156246B2 (ja) 2014-04-24 2014-04-24 固体電解質−電極複合体の製造方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2015211484A JP2015211484A (ja) 2015-11-24
JP2015211484A5 JP2015211484A5 (ja) 2016-07-14
JP6156246B2 true JP6156246B2 (ja) 2017-07-05

Family

ID=54613341

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014089841A Active JP6156246B2 (ja) 2014-04-24 2014-04-24 固体電解質−電極複合体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6156246B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB201611953D0 (en) * 2016-07-08 2016-08-24 Univ Court Of The Univ Of St Andrews The Method
US10840543B2 (en) * 2017-03-31 2020-11-17 The Regents Of The University Of Michigan System and method for the formation of facile lithium metal anode interface with a solid state electrolyte

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08278278A (ja) * 1995-04-03 1996-10-22 Tokyo Yogyo Co Ltd 水素センサプローブ及びその製造方法
JP3274356B2 (ja) * 1996-05-13 2002-04-15 株式会社日本製鋼所 水素吸蔵合金を用いた発電方法および装置
JP2005033960A (ja) * 2003-07-10 2005-02-03 Toyota Motor Corp 熱電変換水素電池
JP5061456B2 (ja) * 2005-12-14 2012-10-31 トヨタ自動車株式会社 燃料電池の製造方法
JP2015059224A (ja) * 2013-09-17 2015-03-30 トヨタ自動車株式会社 水素吸蔵装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015211484A (ja) 2015-11-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Achour et al. Role of nitrogen doping at the surface of titanium nitride thin films towards capacitive charge storage enhancement
JP5807218B2 (ja) 光電極およびその製造方法、光電気化学セルおよびそれを用いたエネルギーシステム、並びに水素生成方法
CN113249683B (zh) 高导电耐蚀长寿命max相固溶复合涂层、其制法与应用
JP2008023404A (ja) 水素透過構造体及び燃料電池
JP6156246B2 (ja) 固体電解質−電極複合体の製造方法
JP2015134699A (ja) 酸化物膜およびプロトン伝導デバイス
JP6600300B2 (ja) 固体電解質用多重層配置構成
JP4992522B2 (ja) コンデンサ用電極箔及びそれを用いたコンデンサ
CN106129172B (zh) 一种可调节电荷密度的晶硅太阳能电池表面钝化方法
JP2016026987A (ja) プロトン伝導性酸化物
JP4665866B2 (ja) バルブ金属複合電極箔の製造方法
JP2008130514A (ja) 電解質膜の成膜方法および燃料電池の製造方法
JP6911812B2 (ja) 陽極酸化装置、陽極酸化方法及び陽極酸化装置の陰極の製造方法
JP2006314925A (ja) 水素透過膜およびそれを備えた燃料電池
JP2006286537A (ja) 水素透過構造体、及びその製造方法
KR101447023B1 (ko) 다공성 복합체 박막의 제조방법 및 전극용 다공성 복합체 박막
KR20200037000A (ko) 2차원 물질의 전기적 특성 회복 및 산화 안정성 개선 방법
JP2015059224A (ja) 水素吸蔵装置
TW201605102A (zh) 氫排出膜
TW201812811A (zh) 電解電容器
US3491000A (en) Method of producing vanadium dioxide thin films
JP5138876B2 (ja) 酸化物プロトン導電性膜及びそれを含む水素透過構造体
WO2015194471A1 (ja) 水素排出膜
JP2007117810A (ja) 水素透過膜、及びそれを用いた燃料電池
JP2004016971A (ja) 酸素透過体

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160525

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160525

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170426

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170509

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170522

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6156246

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151