JP6156028B2 - ガス増幅を用いた放射線検出器、及びその製造方法 - Google Patents

ガス増幅を用いた放射線検出器、及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ピクセル型電極によるガス増幅を用いた放射線検出器、及びその製造方法に関する。
ガス増幅を利用した放射線検出器として、従来、ピクセル型の放射線検出器が用いられてきた。この放射線検出器は、例えば両面プリント基板の表面にストリップ状陰極電極が形成されるとともに、裏面に陽極ストリップが形成され、ストリップ状陰極電極には、一定間隔に開口部が形成されるとともに、開口部の中心には背面の陽極ストリップと接続されている円柱状陽極電極、すなわちピクセル電極が形成されたような構成を採っている。
なお、上記放射線検出器は、例えばHeとメタンとの混合ガス中に配置される。また、上記ピクセル電極には例えば+600Vの電圧が印加されている。
上記放射線検出器においては、所定の放射線が前記検出器内に入射すると、前記ガスが電離して電子を生成し、この電子は、上記ストリップ状陰極電極と上記ピクセル電極との間に印加された大電圧、及び上記ピクセル電極の点電極としての形態(形状異方性)に起因して生成される強力な電場によって、電子雪崩増幅を引き起こす。一方、前記電子雪崩増幅によって生じた正イオンは、周囲の前記ストリップ状陰極電極に向けてドリフトする。
この結果、対象となるストリップ状陰極電極及びピクセル電極に、それぞれ正孔と電子とがチャージされる。したがって、このようにして電荷が生成されたストリップ状陰極電極及びピクセル電極の位置を検出することによって、放射線の検出器における入射位置を特定することができ、放射線の検出が可能となる(特許文献1)。
上述した放射線検出器では、ピクセル電極に印加する電圧を大きくすると、生成される電場の強度も増大し、上述した電子雪崩増幅が顕著になるので、ストリップ状陰極電極及びピクセル電極に生成される電荷量が増大して、放射線の感度(ガス増幅率)が向上する。一方、ピクセル電極に印加する電圧を大きくすると、ピクセル電極の形状や雰囲気中の異物に起因した異常放電によって、ピクセル電極を破損してしまう場合がある。また、ピクセル電極に印加する電圧を小さくすると、上述した異常放電は減少するが、上述した電子雪崩増幅の度合いも小さくなり、放射線の検出感度が低下してしまう。
かかる観点より、ピクセル電極に印加する電圧の大きさを調整する代わりに、ピクセル電極を狭小化して、生成する電場の強度を向上させることが試みられている。しかしながら、ピクセル電極はプリント基板内に形成した貫通孔内にビアフィルメッキによって形成するため、ピクセル電極を狭小化するためには、前記貫通孔も狭小化する必要がある。一方、貫通孔を狭小化すると、前記貫通孔内に均一にビアフィルメッキを行うことができず、均一なピクセル電極を形成できずに、前記ピクセル電極において異常放電や絶縁破壊や感度ばらつき(低感度のピクセルが増える恐れ)などの問題が生じる。したがって、前記ピクセル電極の狭小化は、その製造方法に依存して自ずと制限されてしまう(特許文献2)。
この結果、現状では、上記ピクセル型の放射線検出器の感度(ガス増幅率)を十分に向上させることができないという問題があった。
特開2002−6047号 特開2012−13483号
本発明は、十分高い感度(ガス増幅率)を有するピクセル型電極によるガス増幅を用いた放射線検出器、及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成すべく、本発明は、
絶縁部材の第1の面上に形成されるとともに、円形状の複数の開口部を有する第1の電極パターンと、
前記絶縁部材の前記第1の面と相対向する第2の面上に形成されるとともに、前記絶縁部材の前記第2の面から前記第1の面に向けて形成された複数の貫通孔の内壁面それぞれに形成された複数の金属層を有する第2の電極パターンとを具え、
前記複数の金属層の上端部それぞれが前記第1の電極パターンの前記複数の開口部の中心部に露出していることを特徴とする、ガス増幅を用いた放射線検出器に関する。
また、本発明は、
絶縁部材の第1の面上に第1の電極層を形成するとともに、前記絶縁部材の前記第1の面と相対向する第2の面上に第2の電極層を形成する工程と、
前記第1の電極層に対して第1の露光現像処理を施し、前記第1の電極層において複数の加工用開口部を形成する工程と、
前記第1の電極層の前記複数の加工用開口部を介して前記絶縁部材にエネルギー線を照射する、又は感光性フォトリソグラフィを施すことによって、前記絶縁部材の厚さ方向において複数の貫通孔を形成する工程と、
前記複数の貫通孔内にコンフォーマルメッキを施し、前記複数の貫通孔それぞれの内壁面に複数の金属メッキ層を形成する工程と、
前記第1の電極層に対して第2の露光現像処理を施し、前記第1の電極層において前記複数の金属メッキ層それぞれを中心とし、前記複数の金属めっき層それぞれの上端部が露出するようにして円形状の複数の開口部を形成して、第1の電極パターンを形成する工程と、
を具えることを特徴とする、ガス増幅を用いた放射線検出器の製造方法に関する。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を実施した。その結果、従来のピクセル型放射線検出器の感度(ガス増幅率)を十分に向上させることが出来ない原因が、ピクセル電極を構成する上記第2の電極パターンにおける上記凸状部を、放射線検出器を構成する絶縁部材に対して貫通孔を形成した後、この貫通孔内にビアフィルメッキによって形成していることが原因であることを見出した。
一般的にフィルドビアを形成する場合、高アスペクトにするほど空隙の発生やめっき不着等の不具合が生じ易く、均一なピクセル電極を形成できない。したがって、ビアの狭小化を図るのに絶縁部材の厚さも相対的に低下してしまっていた。
その結果、相対向する面に形成された第1の電極パターン及び第2の電極パターンの距離が必然的に近接しまい、ピクセル電極、すなわち第1の電極パターン及び第2の電極パターン間に電圧を印加した際に、絶縁部材の第1の面及び第2の面上に形成された第1の電極パターン及び第2の電極パターン間にも上記絶縁部材を介して電界(電気力線)が生成されることになり、上記電圧に基づく電界(電気力線)が、ピクセル電極と、このピクセル電極が位置する開口部の外周縁に存在する第1の電極パターンとの間に集中しないことが原因であることを見出した。
したがって、本発明では、放射線検出器を構成する絶縁部材に対して貫通孔を形成した後、この貫通孔内に例えばコンフォーマルメッキを行うことにより、貫通孔の内壁面にのみ金属(メッキ)層を形成し、その上端部を上記絶縁部材の上面、すなわち第1の電極パターンの開口部の中心部に露出させるようにしている。このため、上記金属(メッキ)層は従来のようにピクセル電極として機能するとともに、従来のフィルドビアメッキ法を用いた場合のように貫通孔内を充填するように金属(メッキ)層を形成する必要はなく、貫通孔の内壁面にのみ金属(メッキ)層を形成すれば足りることから、上記貫通孔を狭小化させることができ、そのアスペクト比を十分に高くできることができる。
この結果、放射線検出器を構成する絶縁部材の厚さを十分に大きくすることができ、その両面に形成する第1の電極パターン及び第2の電極パターン間の距離を十分に大きくすることができる。したがって、ピクセル電極、すなわち第1の電極パターン及び第2の電極パターン間に電圧を印加した際に、第1の電極パターン及び第2の電極パターン間に生成される電界(電気力線)を抑制することができ、上記電圧に基づく電界(電気力線)を、ピクセル電極と、このピクセル電極が位置する開口部の外周縁に存在する第1の電極パターンとの間に集中させることができる。したがって、上記放射線検出器の感度(ガス増幅率)を向上させることができるようになる。
なお、本発明の一例において、複数の貫通孔の内壁面それぞれに形成した複数の金属層の上端部は、それぞれ複数の貫通孔の開口部から突出して鉛直方向に延在するようにすることができる。この場合、複数の金属層の上端部は横方向に広がることなく狭小化されているので、これら上端部、すなわちピクセル電極と、これらピクセル電極が位置する開口部の外周縁に位置する第1の電極パターンとの間に、より強い電場(電気力線)が形成されるようになるので、放射線検出器の感度(ガス増幅率)をより向上させることができる。
また、本発明の一例において、複数の貫通孔の内壁面それぞれに形成した複数の金属層の上端部は、それぞれ複数の貫通孔の開口部から突出して第1の面上に延在させることができる。この場合、複数の金属層の上端部の、上記第1の面上に延在した部分へ電界を集中させることができるため、孔の加工形状に依存せず、安定な検出が行える。
さらに、本発明の一例において、ピクセル電極を構成する金属層は、貫通孔の内壁面に沿って形成されていることが好ましい。この場合、金属層と貫通孔の内壁面との間に空隙等が生じないため、信頼性の面でも有利である。
なお、本発明の“中心部”とは、製造上の誤差等に起因して、金属層の上端部が第1の電極パターンの開口部の中心部に位置せず、許容される製造誤差の範囲内で上記中心部からずれている場合をも含むものである。
以上説明したように、本発明によれば、十分高い感度(ガス増幅率)を有するピクセル型電極によるガス増幅を用いた放射線検出器、及びその製造方法を提供することができる。
第1の実施形態におけるガス増幅を利用した放射線検出器の概略構成を示す斜視図である。 図1に示す放射線検出器のピクセル電極周辺部分を拡大して示す断面図である。 第2の実施形態におけるガス増幅を利用した放射線検出器の概略構成を示す断面図である。 第1の実施形態の放射線検出器の製造方法における工程図である。 第1の実施形態の放射線検出器の製造方法における工程図である。 第1の実施形態の放射線検出器の製造方法における工程図である。 第1の実施形態の放射線検出器の製造方法における工程図である。 第1の実施形態の放射線検出器の製造方法における工程図である。 第1の実施形態の放射線検出器の製造方法における工程図である。 第2の実施形態の放射線検出器の製造方法における工程図である。 第2の実施形態の放射線検出器の製造方法における工程図である。
以下、本発明の特徴及びその他の利点について、発明を実施するための形態に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態のガス増幅を利用した放射線検出器の概略構成を示す斜視図であり、図2は、図1に示す放射線検出器のピクセル電極周辺部分を拡大して示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態のガス増幅を利用した放射線検出器10は、検出パネル11と、この検出パネル11の上方において相対向するようにして設けられた電極板12とを含んでいる。
図1及び図2に示すように、検出パネル11は、絶縁部材111の主面111A上に形成された、円形状の複数の開口部112Aを有する第1の電極パターン112と、絶縁部材111の裏面111B上に形成された第2の電極パターン113とを含んでいる。第2の電極パターン113は、絶縁部材111を裏面111Bから主面111Aに向けて形成された貫通孔111Hの内壁面に形成された金属層114を有しており、この金属層114の上端部114Aが、第1の電極パターン112の開口部112Aの中心部に露出している。なお、金属層114はピクセル電極を構成する。
また、本実施形態の“中心部”は、製造上の誤差等に起因して、金属層114の上端部114Aが第1の電極パターン112の開口部112Aの中心部に位置せず、許容される製造誤差の範囲内で上記中心部からずれている場合をも含む概念である。
なお、図1に示す放射線検出器10の検出パネル11では、簡略化して、第1の電極パターン112において合計8個の開口部112Aが形成され、4個ずつ2列に配列されるとともに、各開口部112A内に金属層114の上端部114Aが露出し、これによって合計8個の検出電極が形成されるようにしている。しかしながら、検出電極の数及び配列方法は、必要に応じて任意に設定することができる。
本実施形態の放射線検出器10では、以下に説明する製造方法において、放射線検出器10(検出パネル11)を構成する絶縁部材111に対して貫通孔111Hを形成した後、この貫通孔111H内に例えばコンフォーマルメッキを行うことにより、貫通孔111Hの内壁面にのみ金属層114を形成し、その上端部114Aを第1の電極パターン112の開口部112Aの中心部に露出させるようにしている。このため、金属層114はピクセル電極として機能するとともに、従来のフィルドビアメッキ法を用いた場合のように貫通孔111H内を充填するように金属層114を形成する必要がない。すなわち、貫通孔111Hの内壁面にのみ金属層114を形成すれば足りることから、上記貫通孔111Hを狭小化させることができ、そのアスペクト比を十分に高くできることができる。
この結果、放射線検出器10(検出パネル11)を構成する絶縁部材111の厚さを十分に大きくすることができ、その両面に形成する第1の電極パターン112及び第2の電極パターン113間の距離を十分に大きくすることができる。したがって、第1の電極パターン112及び第2の電極パターン113間に電圧を印加した際に、絶縁部材111を介して第1の電極パターン112及び第2の電極パターン113間に生成される電界(電気力線)を抑制することができ、上記電圧に基づく電界(電気力線)を、ピクセル電極として機能する金属層114の上端部114Aと、この上端部114Aが位置する開口部112Aの外周縁に存在する第1の電極パターン112との間に集中させることができる。したがって、放射線検出器10の感度(ガス増幅率)を向上させることができるようになる。
具体的に、絶縁部材111の厚さをt1、貫通孔111Hの直径をd1とした場合に、貫通孔111Hのアスペクト比t1/d1は、1.5以上とすることができ、これによって例えば絶縁部材111の厚さt1を75μm以上とすることができる。したがって、例えば第1の電極パターン112及び第2の電極パターン113間に600V程度の電圧を印加した場合においても、絶縁部材111を介した第1の電極パターン112及び第2の電極パターン112間に生成する電界(電気力線)を抑制することができるので、放射線検出器10の感度(ガス増幅率)を十分に向上させることができる。
なお、貫通孔111Hのアスペクト比t1/d1の上限は特に限定されるものではないが現状の加工技術においては約2程度である。但し、加工技術の進歩に伴ってアスペクト比t1/d1の上限も上昇する。
また、金属層114の厚さd2は例えば1μm以上15μm以下とすることができる。金属層114の厚さd2が上記下限値よりも小さいと、金属層114の表面に層内部に形成されたボイド等が露出してしまい、ピクセル電極の形状不良となって、金属層114がピクセル電極として機能しなくなる場合がある。
また、図2に示すように、本実施形態の放射線検出器10においては、貫通孔111Hの内壁面に形成した金属層114の上端部114Aは、貫通孔111Hの開口部111Sから鉛直方向に突出して延在している。この場合、金属層114の上端部114Aは横方向に広がることなく狭小化されており、その厚さdのまま保持されることになるので、ピクセル電極として機能する金属層114と、金属層114の上端部114Aが位置する開口部112Aの外周縁に位置する第1の電極パターン112との間に、より強い電場(電気力線)が形成されるようになる。この結果、放射線検出器10の感度(ガス増幅率)をより向上させることができる。
なお、金属層114の突出部の高さ(厚さ)t4は、以下に説明する放射線検出器10の製造方法に起因して第1の電極パターン112の厚さt2とほぼ等しくなるが、製造方法を工夫して互いに異なるようにしてもよい。
また、各部位の大きさの一例を示すと、第1の電極パターン112の厚さt2、第2の電極パターン113の厚さt3及び金属層114の突出部の高さt4は、それぞれ5μm〜18μmとすることができる。さらに、開口部112Aの直径D1は、例えば80μm〜300μmとすることができる。
さらに、ピクセル電極を構成する金属層114は、貫通孔111Hの内壁面に対してコンフォーマルに形成されていることが好ましい。この場合、金属層114と貫通孔111Hの内壁面との間に空隙等が生じないため、安定したピクセル形状を形成でき信頼性の面でも有利である。
なお、金属層114を貫通孔111Hの内壁面に対してコンフォーマルに形成するに際しては、例えば以下の説明する製造方法において、コンフォーマルメッキで金属層114を形成する。
(第2の実施形態)
図3は、本実施形態のガス増幅を利用した放射線検出器の概略構成を示す断面図であり、放射線検出器のピクセル電極周辺部分を拡大して示している。
図3に示す本実施形態のガス増幅を利用した放射線検出器20(検出パネル21)は、貫通孔111Hの内壁面に形成した金属層114の上端部114Aを、貫通孔111Hの開口部111Sから突出させて絶縁部材111の主面111Aに延在させるようにしている点で、図2等に示す第1の実施形態の放射線検出器10(検出パネル11)と相違する。したがって、以下では、当該相違点に基づいて本実施形態を説明する。
なお、図1及び図2に示す構成要素と類似あるいは同一の構成要素に対しては同一の参照数字を用いている。
図3に示すように、本実施形態の放射線検出器20は、貫通孔111Hの内壁面に形成した金属層114の上端部114Aを、貫通孔111Hの上記断面領域から絶縁部材111の主面111Aに延在させるようにしているので、金属層114の上端部114Aの、主面111上に延在した部分114Bへ電界を集中させることができるため、孔の加工形状に依存せず、安定な検出が行える。
なお、金属層114の上端部114Aの延在部114Bの大きさ(長さ)は、例えば5μm以上30μm以下とすることができる。延在部114Bの大きさが上記下限値よりも小さいと、上述した孔の加工形状に依存しない電界集中構造を構成することができなくなり、延在部114Bの大きさが上記上限値よりも大きいと、金属層114の上端部114Aが大きくなりすぎて、金属層114がピクセル電極として十分に機能しなくなる場合がある。
また、本実施形態の放射線検出器20においても、放射線検出器20(検出パネル21)を構成する絶縁部材111に対して貫通孔111Hを形成した後、この貫通孔111H内に例えばコンフォーマルメッキを行うことにより、貫通孔111Hの内壁面にのみ金属層114を形成し、その上端部114Aを第1の電極パターン112の開口部112Aの中心部に露出させるようにしている。このため、金属層114はピクセル電極として機能するとともに、従来のフィルドビアメッキ法を用いた場合のように貫通孔111H内を充填するように金属層114を形成する必要がない。すなわち、貫通孔111Hの内壁面にのみ金属層114を形成すれば足りることから、上記貫通孔111Hを狭小化させることができ、そのアスペクト比を十分に高くできることができる。
この結果、放射線検出器20(検出パネル21)を構成する絶縁部材111の厚さを十分に大きくすることができ、その両面に形成する第1の電極パターン112及び第2の電極パターン113間の距離を十分に大きくすることができる。したがって、第1の電極パターン112及び第2の電極パターン113間に電圧を印加した際に、絶縁部材111を介して第1の電極パターン112及び第2の電極パターン113間に生成される電界(電気力線)を抑制することができ、上記電圧に基づく電界(電気力線)を、ピクセル電極として機能する金属層114の上端部114Aと、この上端部114Aが位置する開口部112Aの外周縁に存在する第1の電極パターン112との間に集中させることができる。したがって、放射線検出器20の感度(ガス増幅率)を向上させることができるようになる。
その他の特徴及び利点については第1の実施形態と同様であるので、本実施形態では説明を省略する。
(第3の実施形態)
第1の実施形態の放射線検出器の製造方法について説明する。図4〜図9は、本実施形態の製造方法における工程図である。
最初に、図4に示すように、例えば熱硬化性樹脂のフィルムあるいはシート等からなる絶縁部材111の主面111A及び裏面111Bに、銅などの導電性部材からなる第1の電極層117及び第2の電極層118を形成する。次いで、図5に示すように、第1の電極層117にフォトリソグラフィを施し、第1の電極層117において複数の加工用開口部117Aを形成すると同時に、第2の電極層118をストリップ状として、第2の電極パターン113を形成する(図示せず)。
次いで、図6に示すように、第1の電極層117の複数の加工用開口部117Aを介して絶縁部材111にエネルギー線を照射し、絶縁部材111の厚さ方向において貫通孔111Hを形成する。なお、エネルギー線としては例えばレーザ光線を用いることができ、好ましくは炭酸ガスレーザを用いる。このガスレーザは、その波長特性から絶縁部材111のみに加工を施し、第2の電極層118は加工しない。なお、エネルギー線照射に代えて、感光性フォトリソグラフィを施すことによって貫通孔111Hを形成してもよい。
次いで、図7に示すように、貫通孔111H内にコンフォーマルメッキを施し、貫通孔111Hの内壁面に対して金属(メッキ)層114を形成する。なお、コンフォーマルメッキを施すに先立って、貫通孔111Hの内壁面には、無電解メッキによってメッキ下地膜を形成しておく。次いで、図8に示すように、第1の電極層117上に第1の電極パターン112及び金属層114の上端部114Aの形状に対応したフォトレジストマスク119を形成した後、このフォトレジストマスク119を介して露光現像処理を行う。
その結果、図9に示すように、貫通孔111Hの内壁面に形成した金属層114の上端部114Aは、貫通孔111Hの、絶縁部材111の主面(第1の面)111Aに沿って画定された断面領域内において上方に突出して延在するとともに、金属層114の上端部114Aが中心部に位置する円形状の開口部112Aを形成して、第1の電極パターン112を形成する。
以上のようにして検出パネル11が形成されるので、その後、電極板12等を対向配置し、それらの間に上記混合ガスを充満させ、さらにケーシングを行うことによって目的とする図1等に示すような放射線検出器10を得ることができる。
(第4の実施形態)
第2の実施形態の放射線検出器の製造方法について説明する。図10及び図11は、本実施形態の製造方法における工程図である。
なお、図4〜図9に示す構成要素と類似あるいは同一の構成要素に対しては同一の参照数字を用いている。
最初に、第3の実施形態における図4〜図7に示す工程にしたがって、絶縁部材111の主面111Aに第1の電極層117が形成され、裏面111B上に第2の電極層118が形成されるとともに、絶縁部材111に形成された貫通孔111Hの内壁面上にコンフォーマルメッキによって金属(メッキ)層114が形成されてなる積層体を得る。
次いで、図10に示すように、第1の電極層117上に第1の電極パターン112及び金属層114の延在部14Bを含む上端部114Aの形状に対応したフォトレジストマスク119を形成した後、このフォトレジストマスク119を介して露光現像処理を行う。
その結果、図11に示すように、貫通孔111Hの内壁面に形成した金属層114の上端部114Aは、貫通孔111Hの、絶縁部材111の主面(第1の面)111Aに沿って画定された断面領域内から突出して、絶縁部材111の主面111A上に延在した延在部114Bを有するとともに、金属層114の上端部114Aが中心部に位置する円形状の開口部112Aを形成して、第1の電極パターン112を形成する。
以上のようにして検出パネル21が形成されるので、その後、電極板12等を対向配置し、それらの間に上記混合ガスを充満させ、さらにケーシングを行うことによって目的とする図1等に示すような放射線検出器20を得ることができる。
なお、本実施形態の製造方法では、金属層114の延在部114Bを形成するようにしているので、金属層114上に配設するマスク部の大きさを増大させることができる。したがって、上記マスク部を中心とした第1の電極パターン112の円形状開口部を形成するためのマスク部の位置決めが容易となり、金属層114の上端部114Aを中心とした第1の電極パターン112の円形状開口部112Aの形成が容易になる。
すなわち、金属層114の上端部114Aの、主面111上に延在した部分114Bが、第1の電極パターン112の開口部112Aを形成する際の加工目印として機能するので、開口部112Aの加工(形成)による第1の電極パターン112の形成を容易に行うことができるようになる。
以上、本発明を上記具体例に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記具体例に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいて、あらゆる変形や変更が可能である。
例えば、上述した実施形態では、絶縁部材111を基材として、その両面側に第1の電極パターン112及び第2の電極パターン113を形成するようにしているが、絶縁部材111の強度が不十分で放射線検出器10等の強度が不十分となる場合においては、適宜第2の電極パターン113の下部に支持基材等を配設することができる。この支持基材等は、例えば、図5に示すようにして第2の電極パターン113を形成した後、樹脂製の接着剤等により、第2の電極パターン113を介して絶縁部材111に接着する。
10,20 放射線検出器
11,21 検出パネル
12 電極板
111 絶縁部材
111H 貫通孔
112 第1の電極パターン
112A 第1の電極パターンの円形状開口部
113 第2の電極パターン
114 金属層
114A 金属層の上端部
114B 金属層の延在部

Claims (6)

  1. 絶縁部材の第1の面上に形成されるとともに、円形状の複数の開口部を有する第1の電極パターンと、
    前記絶縁部材の前記第1の面と相対向する第2の面上に形成されるとともに、前記絶縁部材の前記第2の面から前記第1の面に向けて形成された複数の貫通孔の内壁面それぞれに形成された複数の金属層を有する第2の電極パターンとを具え、
    前記複数の金属層の上端部それぞれが前記第1の電極パターンの前記複数の開口部の中心部に露出していることを特徴とする、ガス増幅を用いた放射線検出器。
  2. 前記複数の金属層の上端部は、それぞれ前記複数の貫通孔の開口部から突出して鉛直方向に延在していることを特徴とする、請求項1に記載のガス増幅を用いた放射線検出器。
  3. 前記複数の金属層の上端部は、それぞれ前記複数の貫通孔の開口部から突出して前記第1の面上に延在していることを特徴とする、請求項1に記載のガス増幅を用いた放射線検出器。
  4. 絶縁部材の第1の面上に第1の電極層を形成するとともに、前記絶縁部材の前記第1の面と相対向する第2の面上に第2の電極層を形成する工程と、
    前記第1の電極層に対して第1の露光現像処理を施し、前記第1の電極層において複数の加工用開口部を形成する工程と、
    前記第1の電極層の前記複数の加工用開口部を介して前記絶縁部材にエネルギー線を照射する、又は感光性フォトリソグラフィを施すことによって、前記絶縁部材の厚さ方向において複数の貫通孔を形成する工程と、
    前記複数の貫通孔内にコンフォーマルメッキを施し、前記複数の貫通孔それぞれの内壁面に複数の金属メッキ層を形成する工程と、
    前記第1の電極層に対して第2の露光現像処理を施し、前記第1の電極層において前記複数の金属メッキ層それぞれを中心とし、前記複数の金属めっき層それぞれの上端部が露出するようにして円形状の複数の開口部を形成して、第1の電極パターンを形成する工程と、
    を具えることを特徴とする、ガス増幅を用いた放射線検出器の製造方法。
  5. 前記複数の金属めっき層それぞれの上端部は、前記複数の貫通孔の開口部から突出して鉛直方向に延在するようにしてコンフォーマルメッキを行うことを特徴とする、請求項4に記載のガス増幅を用いた放射線検出器の製造方法。
  6. 前記複数の金属めっき層それぞれの上端部は、前記複数の貫通孔の開口部から突出して前記第1の面上に延在するようにしてコンフォーマルメッキを行うことを特徴とする、請求項5に記載のガス増幅を用いた放射線検出器の製造方法。
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