以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態の計量装置の一例を示す模式断面図である。また、図2は同計量装置のブロック図である。
この計量装置は、卓上型デジタル秤であり、被計量物が載置される計量皿1、計量皿支持金具2、ロードセル3、ロードセル3を固定支持する支持部4、ステンレスケース5、温度センサ6、湿度センサ7、操作入力部8、表示部9、制御器10、脚部11、A/D変換回路12(図2)、及び加熱機構20等を備えている。
ステンレスケース5は、この計量装置の外装であり、ロードセル3等が収納されている収納容器でもある。このステンレスケース5の内部には、ロードセル3、温度センサ6、湿度センサ7、制御器10、A/D変換回路12及び加熱機構20等が収納されている。ステンレスケース5の下部には脚部11が合計4つ設けられ、いずれも水平位置を調整できるものとなっている。また、この計量装置の前方で上方側に向けて傾斜して操作入力部8及び表示部9が設けられている。
ステンレスケース5の内底にロードセルの支持部4が固定されている。ロードセル3は、その一端が支持部4によって支持されており、その他端に計量皿支持金具2の下部が固定され、計量皿支持金具2の上部に計量皿1が取り付けられている。
ロードセル3は、金属製の弾性体(起歪体)M1と、弾性体M1に装着された4つの歪ゲージG等を有する荷重検出機構とを備えている。弾性体M1は、支持固定される固定部31と、荷重が加えられる可動部32とが水平方向に間隔を隔てて配置され、可動部32が上下のビーム部33,34を介して固定部31に支持されている。すなわち、一方の端部が固定部31、他方の端部が可動部32となっており、これら固定部31及び可動部32は上下2本のビーム部33,34で連結されている。そして、ビーム部33,34には、薄肉の2つの起歪部35が上下対称に合計4つ形成されている。
このように弾性体M1は、ロバーバル構造をしており、計量皿1に載せられる被計量物の重量が荷重として負荷されることにより可動部32が上下方向に変位するよう構成されている。
荷重検出機構は、4つの歪ゲージG等を有し、可動部32の変位に対応する荷重を検出するよう構成されている。4つの歪ゲージGは、弾性体M1の4つの起歪部35に貼付されている。これらの4つの歪みゲージGによって、周知のホイートストンブリッジ回路が構成され、ホイートストンブリッジ回路の出力が荷重検出信号として増幅回路(図示せず)を介して出力され、A/D変換回路12(図2)でデジタル信号に変換されて制御器10へ入力される。すなわち、この荷重検出機構は、4つの歪ゲージGで構成されるホイートストンブリッジ回路及び増幅回路を有している。
温度センサ6は、弾性体M1に取り付けられ、ロードセル3の温度を検出し、制御器10に出力する。温度センサ6としては、例えば、測温抵抗体またはサーミスタ等を用いたセンサを用いることができる。
湿度センサ7は、ロードセル3の近傍に設けられ、ロードセル3の周囲の湿度を検出し、制御器10に出力する。湿度センサ7としては、例えば、抵抗変化型湿度センサまたは静電容量変化型湿度センサ等の電気式湿度センサを用いることができる。
操作入力部8は、図示されない複数のキーやスイッチ等からなっており、これらのキーやスイッチの操作により、この計量装置の操作指令や設定条件等を制御器10に入力する。表示部9は、例えば液晶表示パネルからなっており、制御器10の制御により、少なくとも被計量物の重量(計量値)を表示するように構成されている。また、操作入力部8および表示部9はまとめて一つのタッチパネルとして構成されてもよい。
制御器10は、例えばマイクロコンピュータ等によって構成され、CPU等からなる演算制御部10aと、RAM及びROM等からなる記憶部10bとを有している。演算制御部10aは、そのCPUが記憶部10bに記憶されたCPUの実行プログラムを実行することにより、本計量装置の全体の制御を行う。なお、制御器10は、集中制御する単独の制御器によって構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の制御器によって構成されていてもよい。
制御器10は、操作入力部8からの信号を入力し、その信号に応じた処理を行う。また、制御器10は、ロードセル3からの荷重検出信号をA/D変換回路12を介して入力し、それに対応する計量皿1上の被計量物の重量を算出し、表示部9に表示させる。また、制御器10は、温度センサ6で検出される温度及び湿度センサ7で検出される温度を入力する。また、制御器10は、加熱機構20を制御する。
次に、加熱機構20の一例である加熱機構20Aを図3に示す。
この加熱機構20Aは、直流電圧Vcを供給する直流電源21と、それぞれ一対ずつ並列接続された発熱素子R1,R2,R3と、スイッチSw0,Sw1,Sw2,Sw3とを備え、図3に示すように接続されている。スイッチSw0,Sw1,Sw2,Sw3は制御器10によってオンオフが制御される。なお、図1では、発熱素子R1,R2,R3のみが示されている。また、直流電源21は、A/D変換回路12及び制御器10に使用されるものを共用している。
図1に示すように、発熱素子R1,R2は、それぞれ一対ずつ弾性体M1の両側側面に貼付されている。また、発熱素子R3は、弾性体M1の上下両面に貼付されている。また、図1では、発熱素子R1,R2は、弾性体M1の固定部31に取付けられ、発熱素子R3は、弾性体M1の可動部32に取付けられているが、いずれも固定部31と可動部32のどちらに取付けられてあってもよい。また、発熱素子R1,R2,R3は、伝熱性接着剤を用いて弾性体M1に貼付されている。
各発熱素子R1,R2,R3は、例えば、マイカなどの良伝熱性及び高絶縁性を有する材料に、ニクロム線などの抵抗線を封入して作成した発熱素子である。これら各発熱素子R1,R2,R3には歪みゲージGの抵抗値よりも小さい抵抗値のものを用いている。例えば、歪みゲージGの抵抗値が350Ω程度にあるのに対し、発熱素子R1,R2,R3の抵抗値は、例えば、数10Ω〜100Ω程度である。このように抵抗値の小さい発熱素子R1,R2,R3を用いることにより、供給電圧Vcが小さくても発生する熱量を大きくすることができる。
ここでは、全ての発熱素子R1,R2,R3に抵抗値が同一のものを用いているが、異なるものを用いてもよい。
この加熱機構20Aでは、スイッチSw0がオン状態のときに、スイッチSw1をオンさせると2つの発熱素子R1に通電され、スイッチSw2をオンさせると合計4つの発熱素子R1,R2に通電され、スイッチSw3をオンさせると合計6つの発熱素子R1,R2,R3に通電される。
すなわち、本例のように、全ての発熱素子R1,R2,R3の抵抗値が同一であれば、加熱機構20Aによる単位時間当たりの発熱量は、スイッチSw1をオンした場合と比較して、スイッチSw2をオンした場合には2倍になり、スイッチSw3をオンした場合には3倍になる。このように、オンさせるスイッチSw1〜Sw3を切り替えることにより、通電させる発熱素子の個数を変更し、それにより単位時間当たりの発熱量を変更することができる。なお、以下では、「単位時間当たりの発熱量」のことを、「時間当たり発熱量」と記載する。
次に本計量装置の動作を説明する。なお、制御器10が本計量装置の動作を制御するために必要となる情報等は全て記憶部10bに記憶されており、動作中に記憶すべき情報は全て記憶部10bに記憶される。また、計量皿1に載置される被計量物の重量を計量する計量動作については、周知であり、また、前述の説明からも自明であるので省略し、ここでは加熱機構20Aに関する動作を説明する。
本実施形態では、結露防止モードとそれ以外のモード(非結露防止モード)とを有し、さらに結露防止モードは、自動結露防止モードと手動結露防止モードとに分けられている。これらのモードは、使用者が操作入力部8を操作することにより、制御器10に設定することができる。
まず、結露防止モードが設定されていない場合(言い換えれば、非結露防止モードが設定されている場合)には、制御器10は加熱機構20Aを動作させない。すなわち、制御器10は全てのスイッチSw0,Sw1,Sw2,Sw3をオフ状態(開状態)に維持し、全ての発熱素子R1,R2,R3に発熱を起こさせない。
次に、自動結露防止モードが設定されている場合について説明する。なお、自動結露防止モードが設定される直前は、全てのスイッチSw0,Sw1,Sw2,Sw3はオフ状態である。
自動結露防止モードが設定されると、制御器10はスイッチSw0をオン状態(閉状態)に維持する。さらに制御器10は、温度センサ6の検出温度及び湿度センサ7の検出湿度に基づいて、スイッチSw1,Sw2,Sw3のオンオフを制御することにより、加熱機構20Aによる加熱動作を制御する。この制御の詳細については、さらに図4を参照して説明する。
図4は、加熱機構20Aを用いた場合において、自動結露防止モードが設定された場合の制御器10の動作(処理)の一例を示すフローチャートである。
制御器10には、次のような代表的な複数の気温に対する飽和水蒸気量〔g/m3〕をテーブル(以下、「水蒸気量テーブル」という)として予め記憶部10bに記憶している。飽和水蒸気量は、1m3の空間に存在できる水蒸気の質量である。
0℃・・・4.85〔g/m3〕、 5℃・・・6.79〔g/m3〕、
10℃・・・9.39〔g/m3〕、15℃・・・12.8〔g/m3〕、
20℃・・・17.2〔g/m3〕、25℃・・・23.0〔g/m3〕、
30℃・・・30.3〔g/m3〕、35℃・・・39.6〔g/m3〕、
なお、水蒸気量テーブルは、例えば1℃ごとに飽和水蒸気量が記録されているものでもよい。
制御器10は、自動結露防止モードが設定されると、所定のタイミングで温度センサ6により検出される温度(Tp1)及び湿度センサ7により検出される相対湿度(RH)を、それぞれ温度センサ6及び湿度センサ7から取得する(ステップS1)。
次に、制御器10は、検出された温度Tp1及び湿度RHに基づいて、結露が発生しはじめる露点温度(Td)を算出し、その露点温度Tdに基づいて加熱開始温度(Ta)及び加熱停止切替温度(Tb)を求める(ステップS2)。
このステップS2では、例えば、検出温度Tp1における飽和水蒸気量xを前述の水蒸気量テーブルに基づいて算出し、飽和水蒸気量xに湿度RHを乗算して現在の水蒸気量y〔g/m3〕を算出する。そして、この現在の水蒸気量yが飽和水蒸気量となる温度を水蒸気量テーブルに基づいて算出し、この算出した温度を露点温度Tdとする。ここで、検出温度Tp1における飽和水蒸気量xを算出する際や、露点温度Tdを算出する際に、水蒸気量テーブルに示されていない値については、例えば補間法を用いて算出する。
なお、温度センサ6はロードセル3に取り付けられており、検出温度Tp1はロードセル6の温度であるが、このときロードセル3は加熱されていない状態なので、検出温度Tp1がロードセル3の周囲の温度と等しいとみなして、飽和水蒸気量xを水蒸気量テーブルに基づいて算出するようにしている。
さらに制御器10は、算出した露点温度Tdを用いて、加熱開始温度Ta及び加熱停止切替温度Tbを例えば以下の式により算出する。
Ta=Td+P
Tb=Td+Q
ここで、P,Qは、それぞれ予め設定された値であり、0<P<Qの関係を満足する所定値である。例えば、Pを0.1〜1.0(℃)程度の値、Qを4.0〜6.0(℃)程度の値としてもよい。
次にステップS3では、検出温度Tp1と加熱開始温度Taとを比較し、検出温度Tp1が加熱開始温度Taより大きい(高い)場合は、ステップS1へ戻り、検出温度Tp1が加熱開始温度Ta以下の場合はステップS4へ進む。
ステップS4では、第1加熱動作を開始させる。この第1加熱動作の開始では、制御器10が加熱機構20AのスイッチSw1をオンさせる。これにより、一対の発熱素子R1に電圧Vcが印加され、ロードセル3が加熱される。
次にステップS5では、所定のタイミングで温度センサ6により検出される温度(Tp2)を取得し、その検出温度Tp2を加熱停止切替温度Tbと比較する(ステップS6)。そして、検出温度Tp2が加熱停止切替温度Tb以上になれば、スイッチSw1をオフさせることにより第1加熱動作を終了し(ステップS21)、ステップS1へ戻る。
また、検出温度Tp2が加熱停止切替温度Tb未満の場合には、検出温度Tp2を加熱開始温度Taと比較する(ステップS7)。そして、検出温度Tp2が加熱開始温度Ta以上の場合には、ステップS5へ戻り、検出温度Tp2が加熱開始温度Ta未満の場合にはステップS8へ進む。
ステップS8では、第2加熱動作を開始させる。ここでは、スイッチSw1をオフさせて第1加熱動作を終了するとともに、スイッチSw2をオンさせることにより第2加熱動作を開始させる。これにより、それぞれ一対の発熱素子R1、R2に電圧Vcが印加され、ロードセル3がさらに加熱される。すなわち、ステップS8では、第1加熱動作よりも時間当たり発熱量の大きい第2加熱動作に切り替えられる。
次にステップS9では、所定のタイミングで温度センサ6により検出される温度(Tp3)を取得し、その検出温度Tp3を加熱停止切替温度Tbと比較する(ステップS10)。そして、検出温度Tp3が加熱停止切替温度Tb以上になれば、スイッチSw2をオフさせることにより第2加熱動作を終了し(ステップS22)、ステップS4へ戻り、第1加熱動作が開始される。すなわち、検出温度Tp3が加熱停止切替温度Tb以上になれば、第2加熱動作よりも時間当たり発熱量の小さい第1加熱動作に切り替えられる。
また、検出温度Tp3が加熱停止切替温度Tb未満の場合には、検出温度Tp3を加熱開始温度Taと比較する(ステップS11)。そして、検出温度Tp3が加熱開始温度Ta以上の場合には、ステップS9へ戻り、検出温度Tp3が加熱開始温度Ta未満の場合にはステップS12へ進む。
ステップS12では、第3加熱動作を開始させる。ここでは、スイッチSw2をオフさせて第2加熱動作を終了するとともに、スイッチSw3をオンさせることにより第3加熱動作を開始させる。これにより、それぞれ一対の発熱素子R1、R2、R3に電圧Vcが印加され、ロードセル3がさらに加熱される。すなわち、ステップS12では、第2加熱動作よりも時間当たり発熱量の大きい第3加熱動作に切り替えられる。
次にステップS13では、所定のタイミングで温度センサ6により検出される温度(Tp4)を取得し、その検出温度Tp4を加熱停止切替温度Tbと比較する(ステップS14)。そして、検出温度Tp4が加熱停止切替温度Tb以上になれば、スイッチSw3をオフさせることにより第3加熱動作を終了し(ステップS23)、ステップS8へ戻り、第2加熱動作が開始される。すなわち、検出温度Tp4が加熱停止切替温度Tb以上になれば、第3加熱動作よりも時間当たり発熱量の小さい第2加熱動作に切り替えられる。また、検出温度Tp4が加熱停止切替温度Tb未満の場合には、ステップS13へ戻る。
なお、上記において、制御器10は、所定の時間間隔で、温度センサ6から検出温度を取得する(ステップS1、S5、S9、S13)。
以上のように自動結露防止モードの場合には、温度センサ6の検出温度及び湿度センサ7の検出湿度に基づいて、時間当たり発熱量がロードセル3の結露を防止する上で必要で、かつ、なるべく小さな時間当たり発熱量となるように(すなわち、時間当たり発熱量がロードセル3に結露を生じさせないようにできる発熱量のうちの変更可能な最小の発熱量となるように)、第1〜第3のいずれかの加熱動作が自動的に選択されるので、節電を効率的に行いながらロードセル3に結露が発生することを防止でき、結露による歪みゲージの腐食及び抵抗値の変化を防止し、荷重検出誤差が生じるのを防止することができる。
なお、ここでは、温度センサ6をロードセル3に取り付け、ロードセル3の温度(弾性体M1の温度)を検出するようにしているが、湿度センサ7のように、温度センサ6をロードセル3の近傍に配設し、ロードセル3の周囲の温度を検出するように構成してもよい。この場合、予め、第1加熱動作によりロードセル3の温度が周囲温度より上昇する温度(t1)、第2加熱動作によりロードセル3の温度が周囲温度より上昇する温度(t2)、第3加熱動作によりロードセル3の温度が周囲温度より上昇する温度(t3)をそれぞれ求めて設定しておく。例えば、t1=5(℃)、t2=10(℃)、t3=15(℃)であれば、それらを制御器10に記憶させておく。そして、ステップS6,S7において、加熱停止切替温度Tb、加熱開始温度Taと比較する温度をTp2から(Tp2+t1)に変更し、ステップS10,S11において、加熱停止切替温度Tb、加熱開始温度Taと比較する温度をTp3から(Tp3+t2)に変更し、ステップS14において、加熱停止切替温度Tbと比較する温度をTp4から(Tp4+t3)に変更すればよい。また、この場合、ステップS5、S9、S13において、ロードセル3の周囲の温度を検出する温度センサ6からの検出温度の取得に加え、湿度センサ7から検出湿度を取得し、さらにステップS2のように加熱開始温度Ta及び加熱停止切替温度Tbを求めてそれらを更新するようにしてもよい。
前述のように、加熱開始温度Ta及び加熱停止切替温度Tbを決めるための露点温度Tdは、ロードセル3の周囲の温度及び湿度に基づいて現在の水蒸気量y〔g/m3〕を算出し、それが飽和水蒸気量となる温度として算出しなければならない。また、ステップS3,S6,S7,S10,S11,S14において、加熱開始温度Taあるいは加熱停止切替温度Tbと比較する温度は、ロードセル3の周囲の温度ではなくロードセル3自体の温度でなければならない。したがって、ロードセル3の周囲の温度を検出する温度センサと、ロードセル3自体の温度(弾性体M1の温度)を検出する温度センサとの両方を設けるように構成してもよい。
次に、手動結露防止モードが設定される場合について説明する。なお、手動結露防止モードが設定される直前は、全てのスイッチSw0,Sw1,Sw2,Sw3はオフ状態である。
使用者が操作入力部8を操作することにより手動結露防止モードが設定されると、制御器10はスイッチSw0をオン状態に維持する。
この手動結露防止モードでは、制御器10は温度センサ6及び湿度センサ7からそれぞれ検出温度及び検出湿度を取得することなく、使用者が操作入力部8を操作することにより、各スイッチSw1,Sw2,Sw3のオンオフを行うことができるように構成されている。例えば、前述の第1、第2、第3加熱動作の各々に対応する加熱操作ボタンが操作入力部8に設けられ、使用者がいずれかの加熱操作ボタンを押すことにより、その加熱操作ボタンに対応する第1〜第3のいずれかの加熱動作を制御器10が行うよう構成されている。
また、各々の加熱操作ボタンあるいは各々の加熱操作ボタンの近傍に、各々の加熱動作を行わせるための指標(情報)が記載されている。例えば、計量動作停止中にのみ加熱動作を行わせるものとして、第1加熱動作に対応する加熱操作ボタンの指標を「熱帯夜を除く夏期」とし、第2加熱動作に対応する加熱操作ボタンの指標を「春秋期」とし、第3加熱動作に対応する加熱操作ボタンの指標を「冬期」としてもよい。この指標は、次のことを考慮して決めている。例えば、熱帯夜のように朝晩の気温差が小さいときには、結露が生じにくいので加熱動作を行わせず、それ以外の夏期には、わずかの時間当たり発熱量を与えてロードセル3のわずかの温度上昇でもって結露の発生を防止する。また、冬期には、空気中に含まれる水蒸気量が大きい場合に対応できるように時間当たり発熱量を大きくすることにより、ロードセル3の温度上昇を大きくして結露の発生を防止する。また、春秋期には、夏期と冬期の中間の時間当たり発熱量を与えて結露の発生を防止する。
また、第1加熱動作に対応する加熱操作ボタンの指標を「気温20℃以上」とし、第2加熱動作に対応する加熱操作ボタンの指標を「気温10℃以上」とし、第3加熱動作に対応する加熱操作ボタンの指標を「気温10℃未満」としてもよい。
以上のような指標を設けた場合、使用者は、指標およびその日の天候等を考慮して、計量装置を使用しない夜の間に第1〜第3のいずれかの加熱動作が行われるように、例えば就業時間の終了時に、対応する加熱操作ボタンを押しておけばよい。なお、使用者が加熱動作を不要と考える場合には、当然、加熱操作ボタンを押す必要はなく、また、手動結露防止モードに設定する必要もない。
なお、ここでは、計量動作停止中に加熱動作を行わせるための指標を例示したが、計量動作停止中にのみ加熱動作を行わせるとは限らない。例えば、次々に計量皿1に載せられて計量される被計量物が冷凍食品等の低温の被計量物の場合には、被計量物の温度が計量皿1及び計量皿支持金具2を介してロードセル3に伝わり、ロードセル3の温度がその周囲の温度よりも低温となるので、計量動作中においてもロードセル3に結露が生じないように加熱動作を行わせることが好ましい。
また、各スイッチSw1〜Sw3のオン、オフの状態に対応して点灯、消灯が制御器10によって制御されるランプを設けて、使用者に加熱機構20Aの動作状態を報知するようにしてもよい。このランプには、LEDランプを用いることが節電の点から好ましい。
また、各スイッチSw1〜Sw3のオン、オフの状態を表示部9に表示させるようにして、使用者に加熱機構20Aの動作状態を報知するようにしてもよい。
以上のように手動結露防止モードの場合は、使用者の意思によって第1〜第3加熱動作を選択して加熱機構20Aを動作させることができる。
後述の加熱機構20B(図5)も含め、本実施形態における加熱機構20は、加熱動作時における時間当たり発熱量を変更できるよう構成されているので、時間当たり発熱量がロードセル3に結露を生じさせないようにできる発熱量(ロードセル3の温度が露点温度以下とならないようにできる発熱量)のうちのなるべく小さな発熱量となるように、加熱機構20に加熱動作を行わせることにより節電することができる。
また、加熱機構20に用いる発熱素子は、荷重検出機構に使用されてないので、計量動作中においても加熱動作を行わせることができる。
なお、上記の加熱機構20Aでは、各発熱素子R1,R2,R3はそれぞれの抵抗値が等しいものとし、通電する発熱素子の個数を変更することにより時間当たり発熱量を変更するようにしたが、
(発熱素子R1の抵抗値)>(発熱素子R2の抵抗値)>(発熱素子R3の抵抗値)
として、スイッチSw1をオンしたときには一対の発熱素子R1にのみ通電され、スイッチSw2をオンしたときには一対の発熱素子R2にのみ通電され、スイッチSw3をオンしたときには一対の発熱素子R3にのみ通電されるように回路を構成してもよい。
また、加熱機構20Aでは、一対(2個)ずつの発熱素子を複数組(ここでは3組の場合を例示)設けるようにしたが、これに限らない。例えば、抵抗値の等しい発熱素子を複数設けて、通電する発熱素子の個数を変更することにより時間当たり発熱量を変更するよう構成してもよいし、抵抗値の異なる発熱素子を複数設けて、通電する発熱素子を変更することにより時間当たり発熱量を変更するよう構成してもよい。なお、発熱素子を1個以上設け、必ず全ての発熱素子を同時に通電させ、また同時に通電停止させるようにして、発熱時(加熱動作時)の時間当たり発熱量を変更しないように構成しても、ロードセル3の結露の発生を防止することはできる。
次に、加熱機構20の他の例である加熱機構20Bを図5に示す。なお、図1では、加熱機構20として前述の加熱機構20A(発熱素子R1,R2,R3)が例示されており、図5の加熱機構20Bは示されていない。図5に示される発熱素子R4,R5にも、発熱素子R1〜R3と同様、歪みゲージGの抵抗値よりも小さい抵抗値のものが用いられ、例えば、数10Ω〜100Ω程度の抵抗値である。
この加熱機構20Bは、異なる複数の直流電圧V1,V2(V1<V2)を供給可能な直流電源22と、並列接続された一対の発熱素子R4と、スイッチSw01,Sw02,Sw4,Sw5とを備え、図5に示すように接続されている。スイッチSw01,Sw02,Sw4,Sw5は制御器10によってオンオフが制御される。なお、二点鎖線で示されるスイッチSw6及び一対の発熱素子R5については後述することとし、ここでは、まず、スイッチSw6及び一対の発熱素子R5が設けられていない構成について説明する。
この場合、一対の発熱素子R4は、弾性体M1の固定部31または可動部32に貼付され、例えば図1に示される発熱素子R1,R2,R3のいずれか一対の発熱素子の位置に貼付される。
ここでは、スイッチSw01とスイッチSw02とは連動して同時にオンオフ動作するものであり、スイッチSw01,Sw02がオン状態のときに、スイッチSw4をオンさせると一対の発熱素子R4には直流電圧V1が印加される。また、スイッチSw01,Sw02がオン状態のときに、スイッチSw5をオンさせると一対の発熱素子R4には直流電圧V2が印加される。
すなわち、本例では、直流電圧V1,V2がV1<V2であるため、加熱機構20Bによる時間当たり発熱量は、スイッチSw4をオンさせて一対の発熱素子R4に直流電圧V1を印加した場合と比較して、スイッチSw5をオンさせて一対の発熱素子R4に直流電圧V2を印加した場合の方が大きくなる。このように、オンさせるスイッチSw4、Sw5を切り替えることにより、発熱素子R4への印加電圧を変更し、時間当たり発熱量を変更することができる。
この加熱機構20Bの場合も、加熱機構20Aの場合と同様にして、結露防止モード(自動結露防止モード、手動結露防止モード)と、それ以外のモード(非結露防止モード)とが制御器10に設定される。
まず、結露防止モードが設定されていない場合(言い換えれば、非結露防止モードが設定されている場合)には、制御器10は加熱機構20Bを動作させない。すなわち、制御器10は全てのスイッチSw01,Sw02,Sw4,Sw5をオフ状態(開状態)に維持し、全ての発熱素子R4に発熱を起こさせない。
次に、自動結露防止モードが設定されている場合について説明する。なお、自動結露防止モードが設定される直前は、全てのスイッチSw01,Sw02,Sw4,Sw5はオフ状態である。
自動結露防止モードが設定されると、制御器10はスイッチSw01,Sw02をオン状態に維持する。さらに制御器10は、温度センサ6の検出温度及び湿度センサ7の検出湿度に基づいて、スイッチSw4,Sw5のオンオフを制御することにより、加熱機構20Bによる加熱動作を制御する。
この場合のフローチャートは、例えば、図4において、ステップS11〜S14及びステップS23が無く、ステップS10において、検出温度Tp3が加熱停止切替温度Tb未満の場合にはステップS9へ戻る、というフローチャートになる。また、この場合、第1加熱動作は、スイッチSw4をオンさせることにより行われ、これにより一対の発熱素子R4に直流電圧V1が印加され、ロードセル3が加熱される。また、第2加熱動作は、スイッチSw5をオンさせることにより行われ、これにより一対の発熱素子R4には、直流電圧V1より大きい直流電圧V2が印加され、直流電圧V1が印加される第1加熱動作の場合よりも時間当たり発熱量が大きい発熱によってロードセル3が加熱される。
次に手動結露防止モードが設定された場合について説明する。なお、手動結露防止モードが設定される直前は、全てのスイッチSw01,Sw02,Sw4,Sw5はオフ状態である。
使用者が操作入力部8を操作することにより手動結露防止モードが設定されると、制御器10はスイッチSw01,Sw02をオン状態に維持する。
この手動結露防止モードでは、制御器10は温度センサ6及び湿度センサ7からそれぞれ検出温度及び検出湿度を取得することなく、使用者が操作入力部8を操作することにより、各スイッチSw4,Sw5のオンオフを行うことができるように構成されている。例えば、前述の第1、第2加熱動作の各々に対応する加熱操作ボタンが操作入力部8に設けられ、使用者が加熱操作ボタンを押すことにより、その加熱操作ボタンに対応する第1、第2のいずれかの加熱動作を制御器10が行うよう構成されている。
また、各々の加熱操作ボタンあるいは各々の加熱操作ボタンの近傍に、各々の加熱動作を行わせるための指標(情報)が記載されている。例えば、計量動作停止中にのみ加熱動作を行わせるものとして、第1加熱動作に対応する加熱操作ボタンの指標を「夏期」とし、第2加熱動作に対応する加熱操作ボタンの指標を「冬期」としてもよい。
上記のような指標を設けた場合、使用者は、指標およびその日の天候等を考慮して、計量装置を使用しない夜の間に第1、第2のいずれかの加熱動作が行われるように、例えば就業時間の終了時に、対応する加熱操作ボタンを押しておけばよい。なお、使用者が加熱動作を不要と考える場合には、当然、加熱操作ボタンを押す必要はなく、また、手動結露防止モードに設定する必要もない。
なお、ここでは、計量動作停止中に加熱動作を行わせるための指標を例示したが、計量動作停止中にのみ加熱動作を行わせるとは限らない。加熱機構20Aの場合と同様、被計量物が冷凍食品等の低温の被計量物の場合には、計量動作中においてもロードセル3に結露が生じないように加熱動作を行わせることが好ましい。
また、加熱機構20Aの場合と同様、使用者に加熱機構20Bの動作状態を報知するために、各スイッチSw4,Sw5のオン、オフの状態に対応して点灯、消灯するLEDランプ等のランプを設けてもよいし、各スイッチSw4,Sw5のオン、オフの状態を表示部9に表示させるようにしてもよい。
なお、上記の加熱機構20Bでは、発熱素子R4の印加電圧として、2つの電圧V1,V2を切り替えることにより、時間当たり発熱量を変更するようにしたが、3つ以上の電圧を切り替えるように構成されていてもよい。
また、二点鎖線で示されるように、さらにスイッチSw6及び弾性体M1に貼付された一対の発熱素子R5が設けられていてもよい。この場合、発熱素子R5を発熱素子R4とは異なる抵抗値のものを用い、例えばスイッチSw4〜Sw6を択一的にオンさせることにより、時間当たり発熱量の異なる3つの加熱動作を行わせることができる。また、発熱素子R5を発熱素子R4と同じ抵抗値のものを用いた場合には、スイッチSw4をオンさせる場合と、スイッチSw5をオンさせる場合と、2つのスイッチSw5,Sw6をオンさせる場合と、2つのスイッチSw4,Sw6をオンさせる場合とのそれぞれ時間当たり発熱量の異なる4つの加熱動作を行わせることができる。また、この一対の発熱素子R5にスイッチ(図示せず)を介して電圧V1を印加可能なように接続すれば、時間当たり発熱量の異なる、より多くの加熱動作を行わせることができる。
また、この加熱機構20Bでは、発熱素子へ複数の電圧値の電圧を印加することができるので、発熱素子が1個だけ設けられている場合でも、印加電圧を切り替えることにより発熱時(加熱動作時)の時間当たり発熱量を変更することができる。
以上に述べた各加熱機構20A,20Bの直流電源21,22としては、いずれも電池を用いることができる。また、外部から供給される交流を直流に変換する回路であってもよい。
また、本実施形態における加熱機構20は、例示された加熱機構20A,20Bに限らず、荷重検出機構に使用されない1つ以上の発熱素子を弾性体(例えば弾性体M1)に貼付し、発熱素子による時間当たり発熱量を変更することができるように構成されてあればよい。例えば、加熱機構20Aでは、第1、第2、第3加熱動作のそれぞれの加熱動作における時間当たり発熱量が異なり、加熱機構20Bでは、第1、第2加熱動作のそれぞれの加熱動作における時間当たり発熱量が異なるように構成されている。すなわち、本実施形態における加熱機構20は、加熱機構20A,20Bのように、加熱動作における時間当たり発熱量を複数設定可能であり、これら複数の時間当たり発熱量の中からいずれか1つを選択して加熱動作できるとともに、選択する時間当たり発熱量を変更可能に構成されていてもよい。また、時間当たり発熱量を変更するために、加熱機構20Aでは、通電する発熱素子の個数を変更し、加熱機構20Bでは、発熱素子に印加する電圧を変更するよう構成されているが、これらを組合せるように構成してもよい。また、抵抗値が異なる複数の発熱素子を用いて通電する発熱素子を変更するように構成してもよい。
なお、上記では、歪みゲージ式のロードセル3を用いて説明したが、これに限らない。歪みゲージ式のロードセル3に代えて、例えば、弦振動子あるいは音叉振動子を用いた振動式のロードセルを用いてもよい。
図6は、本発明の実施形態の計量装置に用いられるロードセルの他の構成例を示す図である。
このロードセル3Aは、弦振動子を用いた弦振動式のロードセルであり、ロバーバル構造の弾性体M2に、弦41(弦振動子)の張力が荷重と比例する大きさとなるように弦41を装着している。弦41の張力は、弦41の振動数(周波数)の二乗に比例し、弦41の振動数を測定することにより荷重を算出するように構成されている。
弾性体M2は、その空洞30内に、固定部31の内面から支持台部45が突出しており、この支持台部45上に部材44を介して副弾性体43の一端部が取り付けられている。この副弾性体43はビーム部33,34と平行に配置されている。弾性体M2と副弾性体43とは互いに同一材料または温度係数の等しい材料で形成され、互いの起歪部35,43aに生じる最大曲げ応力が等しくなるよう形成されている。
また、可動部32の内面からの空洞30内に弦取付部46が突出しており、この弦取付部46と副弾性体43との間に弦41が垂直に取り付けられている。弦41と部材44とは同一線膨張係数を有し、弦41の有効長さは部材44の長さと等しく構成されている。この弦41の長さ方向に対して直角に磁界を印加するように永久磁石42が可動部42の内面に取付けられている。
弦41の両端が電気回路(図示せず)に接続され、この電気回路によって弦の振動数(周波数)を測定し、その振動数から弦41の張力及び荷重を算出するように構成されている。
このような構成は、例えば前述の特許文献2に開示されて周知であり、また、弦41の装着構造についても種々変更可能である。
そして、ロードセル3Aに、前述の加熱機構20が取り付けられている。図6では、加熱機構20として、加熱機構20A(発熱素子R1,R2,R3)が例示されているが、図5の加熱機構20Bなどであってもよい。
この加熱機構20によって弾性体M2を加熱することにより、ロードセル3Aに結露が発生することを防止できる。もしもロードセル3Aの弦41に結露が生じると、結露により付着した水分を含む弦41の質量が変化して弦41の固有振動数も変化してしまう。前述のようにロードセル3Aに結露が発生することを防止できるため、結露が生じることに起因する弦41の固有振動数の変化を防止し、荷重検出誤差が生じるのを防止することができる。また、加熱機構20は時間当たり発熱量を変更することができるので、時間当たり発熱量がロードセル3Aに結露を生じさせないようにできる発熱量(ロードセル3Aの温度が露点温度以下とならないようにできる発熱量)のうちのなるべく小さな発熱量となるように、加熱機構20に加熱動作を行わせることにより節電することができる(節電効果)。
また、音叉振動子をロバーバル構造の弾性体に装着した音叉式のロードセルも周知であり、このようなロードセルに、本実施形態における加熱機構20を設けてもよい。この場合も、結露による音叉振動子の固有振動数の変化を防止し、荷重検出誤差が生じるのを防止することができるとともに、前述の節電効果も得られる。
また、本実施形態の計量装置では、結露防止モードとして、自動結露防止モード及び手動結露防止モードの2つのモードから1つのモードを使用者が自由に選択して設定することができるが、上記2つのモードのうちのいずれか1つのモードしか設定できない構成であってもよい。