JP6153005B2 - 熱電変換素子及び熱電変換モジュール - Google Patents

熱電変換素子及び熱電変換モジュール Download PDF

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Description

本開示は、熱電変換素子及び熱電変換モジュールに関する。特に、熱膨張緩和層を有する熱電変換素子及び熱電変換モジュールに関する。
熱電変換素子に用いられる熱電変換部は、素子の利用温度域において、物質固有の定数であるゼーベック係数αと比抵抗ρと熱伝導率Kによって表わされる性能指数Z(=α^2/ρK)が大きい材料で形成される。熱電変換部に用いられる一般的な熱電変換材料として、Bi−Te系材料又はPb−Te系材料がある。しかし、これらの熱電変換材料は、脆い性質を有しており、熱電変換部に割れや欠けが生じ易いことが知られている。
これらの脆い熱電変換部の割れや欠けを抑制するための方法として、強度の高い耐熱性絶縁体である石英又はガラス細管の中に、熱電変換材料の溶湯を充填し、そのまま凝固させて熱電変換部とし、所定の長さに切断して素子を得る熱電変換素子の製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この製造方法により、脆い熱電変換部を硬い絶縁体で囲った構造の熱電変換素子が得られる。
国際公開第2012/066788号
しかし、前記従来の方法で製造された熱電変換素子では、出力を大きくするために熱電変換素子に与える温度差を大きくすると、熱電変換部と耐熱性絶縁体の熱膨張の違いにより、熱電変換部が割れて熱電変換素子が故障するという課題を有する。
したがって、本開示は、前記従来の課題を解決するものであり、熱電変換部の割れを抑制し、信頼性の高い熱電変換素子を提供することを目的とする。
本開示に係る熱電変換素子は、
熱を電気に変換する熱電変換部と、
前記熱電変換部を囲う絶縁体と、
を備え、
前記熱電変換部は、熱膨張緩和層を有し、
前記熱膨張緩和層は、空間を形成する内壁と、前記内壁の少なくとも一部に形成された内壁層と、を備え、
前記内壁層は、前記熱電変換部を構成する材料より延性が大きい材料で形成されている


上記の概括的かつ特定の態様は、熱電変換素子、熱電変換モジュール並びに熱電変換素子及び熱電変換モジュールの任意の組み合わせにより実現してもよい。
本開示に係る熱電変換素子によれば、熱電変換部の割れを防ぎ、信頼性の高い熱電変換素子を提供することができる。
本開示の実施の形態1に係る熱電変換素子の構成を示す概略図である。 図1のA−A線に沿って切断した断面図である。 本開示の実施の形態1に係る熱電変換素子における熱膨張緩和層の構成を示す拡大概略図である。 本開示の実施の形態1に係る熱電変換素子の製造方法の工程を示す図である。 本開示の実施の形態1に係る熱電変換素子の製造方法の工程を示す図である。 本開示の実施の形態1に係る熱電変換素子の製造方法の工程を示す図である。 本開示の実施の形態2に係る熱電変換モジュールの構成を示す図である。
本開示の第1の態様に係る熱電変換素子は、
熱を電気に変換する熱電変換部と、
前記熱電変換部を囲う絶縁体と、
を備え、
前記熱電変換部は、熱膨張緩和層を有する。
このような構成により、熱膨張緩和層が熱電変換部の熱膨張を緩和して、熱電変換部が割れることを抑制することができるため、信頼性の高い熱電変換素子を提供することができる。また、熱電変換素子に与える温度差を大きくしても、熱電変換素子が故障することがないため、従来の熱電変換素子に比べて出力を大きくすることができる。
本開示の第2の態様に係る熱電変換素子においては、前記第1の態様における前記熱膨張緩和層は、空間を形成する内壁と、前記内壁の少なくとも一部に形成された内壁層と、を備え、
前記内壁層は、前記熱電変換部を構成する材料より延性が大きい材料で形成されている。
このような構成により、内壁の内部に形成された空間が熱電変換部の熱膨張を緩和しつつ、熱電変換材料より延性の高い材料で形成された内壁層により、熱電変換材料で形成された内壁を鈍化して、空間がき裂として熱電変換部の内部を進展するのを抑制することができる。
本開示の第3の態様に係る熱電変換素子においては、前記第2の態様における前記内壁層は、前記内壁の端部に形成されている。
このような構成により、内壁の端部から空間がき裂として進展することをより確実に抑制することができる。内壁の端部は、き裂が進展しやすい部分であるため、内壁の端部に内壁層が形成されることによって、内壁の端部を鈍化することができる。その結果、内壁の端部から空間がき裂として進展することによる熱電変換部の割れをより確実に抑制し、より信頼性の高い熱電変換素子を提供することができる。
本開示の第4の態様に係る熱電変換素子においては、前記第2又は第3のいずれかの態様における前記内壁層は、前記熱電変換部を構成する材料の成分から形成された純金属相を母相として有している。
このような構成により、熱電変換部を構成する材料の成分から内壁層を形成することができるため、特別な装置などを用いずとも、内壁に内壁層を形成することが可能となる。また、熱電変換部に純金属相が含まれる材料を用いることで、より確実に熱電変換材料よりも延性の高い純金属相を母相とする内壁層を形成することができる。
本開示の第5の態様に係る熱電変換素子においては、前記第2又は第3のいずれかの態様における前記内壁層は、前記熱電変換部を構成する材料の成分から形成された固溶体相を母相として有している。
このような構成により、熱電変換部を構成する材料の成分から内壁層を形成することができるため、特別な装置などを用いずとも、内壁に内壁層を形成することが可能となる。また、熱電変換部に固溶体相が含まれる材料を用いることで、より確実に熱電変換材料よりも延性の高い固溶体相を母相とする内壁層を形成することができる。
本開示の第6の態様に係る熱電変換素子においては、前記第1〜5のいずれかの態様における前記熱電変換部は、前記絶縁体より大きい熱膨張率を有する材料で形成されている。
このような構成により、熱電変換素子が使用時に高温になった際に、熱電変換部の熱膨張を緩和するために熱膨張緩和層の空間が狭まるため、熱電変換部から絶縁体がズレることなく、熱電変換素子の信頼性低下を抑制することができる。
本開示の第7の態様に係る熱電変換素子においては、前記第1〜6のいずれかの態様における前記熱膨張緩和層は、前記熱電変換部を流れる電流の方向に向かって延在する、隙間状の細長い層である。
このような構成により、熱膨張緩和層が熱電変換部を流れる電流の流れを妨げず、かつ、熱電変換部の熱膨張を緩和することができる。その結果、発電効率を低下させず、熱電変換部の割れを抑制することが可能な、信頼性の高い熱電変換素子を提供することができる。
本開示の第8の態様に係る熱電変換素子においては、前記第7の態様における前記熱膨張緩和層の延在方向と前記熱電変換部を流れる前記電流の方向とで成す角度が±30°以内の範囲である。
このような構成により、熱膨張緩和層が熱電変換部を流れる電流の流れを妨げることをより確実に抑制し、かつ、熱電変換部の熱膨張を緩和することができる。その結果、確実に発電効率を低下させず、熱電変換部の割れを抑制することが可能な、信頼性の高い熱電変換素子を提供することができる。
本開示の第9の態様に係る熱電変換素子においては、前記第1〜8のいずれかの態様における前記熱電変換部は、Bi−Te系材料を含んでいる。
このような構成により、熱電変換素子の熱電変換部の割れを抑制するとともに、常温から500Kまでの温度域で高い起電力を得ることができる熱電変換素子を提供することができる。
本開示の第10の態様に係る熱電変換素子においては、前記第2の態様における前記熱電変換部は、Bi−Te系材料を含み、
前記内壁層は、Teを主成分とする相を母相として含んでいる。
このような構成により、熱電変換素子の熱電変換部の割れを抑制するとともに、常温から500Kまでの温度域で高い起電力を得ることができる熱電変換素子を提供することができる。さらに、熱膨張緩和層の内壁層の母相は、Teを主成分としているため、熱電変換材料よりも延性が大きく、空間がき裂として進展することを抑制することができる。
本開示の第11の態様に係る熱電変換素子においては、前記第10の態様における前記内壁層に含まれるTe濃度は、90wt%以上である。
このような構成により、内壁層が熱電変換材料より延性の大きい材料で形成される。その結果、内壁層により内壁を鈍化し、空間がき裂として進展することをより確実に抑制することができ、信頼性の高い熱電変換素子を提供することができる。
本開示の第12の態様に係る熱電変換モジュールは、
熱を電気に変換する熱電変換部と、前記熱電変換部を囲う絶縁体を有し、前記熱電変換部が熱膨張緩和層を含む、複数の熱電変換素子と、
前記複数の熱電変換素子をそれぞれ電気的に接続する複数の電極と、
前記複数の熱電変換素子と前記複数の電極を挟むように対向して配置される第1の基板及び第2の基板と、
を備えている。
このような構成により、熱電変換素子において熱膨張緩和層が熱電変換部の膨張を緩和して熱電変換部の割れを抑制することができるため、信頼性の高い熱電変換モジュールを提供することができる。また、熱電変換モジュールに与える温度差を大きくしても、熱電変換素子が故障することがないため、従来の熱電変換モジュールに比べて出力を大きくすることができる。
(本開示に係る一形態を得るに至った経緯)
前述の「背景技術」の欄で説明したように、従来の熱電変換素子では、熱電変換部の割れ又は欠けを抑制するため、熱電変換部を絶縁体である石英又はガラスで囲う構成としていた。しかし、従来の熱電変換素子の構成では、熱電変換部と絶縁体の熱膨張率が異なる。そのため、従来の熱電変換素子において、出力を大きくするために熱電変換素子のΔT(熱電変換素子の上下面の温度差)を大きくすると、絶縁体と熱電変換部の熱膨張の違いにより熱電変換部が割れ、熱電変換素子が故障するという課題を有していた。
そこで、本発明者らは、熱電変換素子が熱電変換部に熱膨張緩和層を有することにより、熱電変換部の割れを抑制する構成を見出し、本開示に至った。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の全ての図において、同一又は相当部分には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
(実施の形態1)
[熱電変換素子の構成]
本開示の実施の形態1に係る熱電変換素子100の構成について、図1及び図2を用いて説明する。
図1は、本開示の実施の形態1に係る熱電変換素子100の構成を示す概略図である。図1は、熱電変換素子100を上から見た場合を示している。図2は、図1のA−A線に沿って切断した断面図である。
図1及び図2に示すように、実施の形態1の熱電変換素子100は、棒状の熱電変換材料(熱電変換部)101と、熱電変換部101を囲う絶縁体の筒102を備える。また、熱電変換部101は、熱電変換部101の割れを抑制する熱膨張緩和層200を有している。
以下、本開示の実施の形態1に係る熱電変換素子100の構成部品について説明する。
<熱電変換部>
熱電変換部101は、棒状の形状を有する。また、熱電変換部101は、両端に温度差を生じさせると起電力が生じる材料で構成されている。熱電変換部101を構成する材料としては、例えば、Bi−Te(ビスマス−テルル)系材料、Pb−Te(鉛−テルル)系材料、Si−Ge(シリコン−ゲルマニウム)系材料が使用される。これらの材料は、熱電変換素子100の使用時における温度差に応じて選ぶことができる。例えば、温度差が常温から500KまではBi−Te系材料、常温から800KまではPb−Te系材料、常温から1000KまではSi−Ge系材料を選ぶことができる。実施の形態1では、熱電変換部101として、Bi−Te系材料を用いている。
熱電変換部101は、例えば、Bi−Te系材料、Pb−Te系材料、Si−Ge系材料にドーパントを添加することにより、P型の熱電変換素子又はN型の熱電変換材料を得ることができる。Bi−Te系材料において、P型の熱電変換材料を得るためのドーパントとしては、例えば、Sbが用いられる。N型の熱電変換材料を得るためのドーパントとしては、例えば、Seが用いられる。これらのドーパントを添加することによって熱電変換材料は、混晶を形成する。混晶を形成することにより、各種の組成式の熱電変換材料を得ることができる。例えば、添加するドーパントの量を調整して、「Bi0.5Sb1.5Te」又は「BiTe2.7Se0.3」の組成式で表される熱電変換材料を得ることができる。このように、組成式の異なる熱電変換部101を形成することにより、バンドギャップ等の特性を変更することができる。
また、熱電変換部101は、熱膨張緩和層200を有している。この熱膨張緩和層200によって、熱電変換部101の熱膨張を緩和している。
<筒>
筒102は、両端に開口を設けた、中空状の形状を有する。また、筒102は、耐熱性と絶縁性を有する材料で構成されている。筒102は、熱電変換素子100の使用時における高温側の一端の温度、又は熱電変換部101の融点においても溶融せずに、筒102の形状を維持する程度の耐熱性を有している。さらに、筒102は、その内部の熱電変換部101から筒102を介して外部に流れる電流を遮断する絶縁性を有している。このように、筒102は、耐熱性と絶縁性の両方の性質を有しているのがよい。
筒102の内部には、熱電変換部101を充填している。筒102の形状は、例えば、円筒、多角筒、及び角を丸めたR部を有する多角筒等から選ぶことができる。なお、実施の形態1における筒102は、応力が緩和されやすく割れにくいことから、円筒の形状を用いている。筒102の材料としては、例えば、シリカ、アルミナ等の金属酸化物、耐熱ガラス、石英が挙げられる。特に、耐熱性の観点から石英が用いられる。また、コストを考慮すると、石英より耐熱性は劣るが、耐熱ガラスを用いてもよい。
実施の形態1では、熱電変換部101と絶縁体の筒102は、それぞれ熱膨張率が異なる構成である。例えば、熱電変換部101として、Pb−Te系材料を用い、絶縁体である筒102として、アルミナ等の金属酸化物、耐熱ガラス、石英を用いた場合、熱電変換部101と筒102の間に熱膨張率の差が存在する。
熱電変換部101と筒102の熱膨張率の差については、熱電変換部101の熱膨張率が筒102の熱膨張率より大きいのがよい。熱電変換部101の熱膨張率が筒102の熱膨張率より小さい場合、熱電変換素子100の使用時に高温になった際に、熱膨張緩和層200の空間201が拡がり、その影響で熱電変換部101と筒102との位置関係にズレが生じ、熱電変換部101が筒102から露出してしまう可能性がある。熱電変換部101が筒102から露出すると、脆い熱電変換部101が破壊される危険性が高まり、熱電変換素子100としての信頼性が低下する。したがって、熱電変換部101の熱膨張率は、筒102の熱膨張率より大きくするのがよい。
<熱膨張緩和層>
図3は、実施の形態1における熱膨張緩和層200の構成を示す拡大概略図である。
図3に示すように、熱膨張緩和層200は、熱電変換部101の内部に形成されており、熱電変換部101よりも大きい延性を有する。熱膨張緩和層200は、空間201を形成する内壁202と、内壁202の少なくとも一部に形成された脆性でない内壁層203で構成される。内壁202は、熱電変換部101で形成されており、内壁202の内部に空間201を形成している。また、熱膨張緩和層200は、ほぼ空間201で占められており、内壁層203が内壁202の一部又は全体を覆っている。なお、図3においては、例示として、内壁層203が内壁202の端部202aを覆っている場合を示している。
熱膨張緩和層200は、熱電変換部101の割れを抑制する機能を有する。熱膨張緩和層200は、筒102の内部に形成することも可能である。しかし、筒102の内部に熱膨張緩和層200を有する場合、筒102の強度が低下して、熱電変換部101の熱膨張に伴って筒102が変形する。筒102が変形することにより、筒102が有する熱電変換部101の強度を補強する機能が失われて、熱電変換素子100の破壊に繋がる。したがって、熱電変換部101の内部に熱膨張緩和層200を有するのがよい。また、熱膨張緩和層200は、図1及び図2に示すように、複数有していてもよいし、熱電変換部101の熱膨張による割れを抑制できるのであれば1つだけ有していてもよい。
熱膨張緩和層200は、熱電変換部101を流れる電流の方向に向かって延在する細長い層で形成される。細長い層とは、例えば、スリット形状又は隙間状のわずかな空間を有する層である。図2に示すように、熱膨張緩和層200は、熱電変換素子100の高さ方向(熱電変換部101を流れる電流の方向)と熱膨張緩和層200の延在方向(図2における熱膨張緩和層200の長手方向)とのなす角度が±30°以内の範囲で熱電変換部101に形成されることが好ましい。より好ましくは、熱電変換素子100の高さ方向と熱膨張緩和層200の延在方向とのなす角度が±10°以内の範囲である。熱電変換素子100の高さ方向と熱膨張緩和層200の延在方向とのなす角度が±30°より大きい場合は、熱膨張緩和層200が抵抗となり、熱電変換部101を流れる電流の流れを妨げる。その結果、熱電変換素子100の発電効率が低下する。したがって、熱電変換素子100の高さ方向と熱膨張緩和層200の延在方向とのなす角度が±30°以内の範囲で熱膨張緩和層200を形成することで、熱電変換部101を電流が流れる際に、熱膨張緩和層200が抵抗となるのを抑制することができる。その結果、実施の形態1の熱電変換素子100は、熱膨張緩和層200により、発電効率を低下させることなく、熱電変換部101の熱膨張を緩和することができる。なお、熱電変換素子100の高さ方向(熱電変換部101を流れる電流の方向)とは、図2の紙面上下方向である。
熱電変換部101の割れは、熱電変換素子100の幅方向(熱電変換部101を流れる電流の方向に対して垂直方向)の熱膨張に起因している。熱膨張緩和層200は、ほぼ空間201で占められていることから、熱電変換素子100の幅方向への熱電変換部101の熱膨張を緩和することができる。また、熱電変換素子100の高さ方向と熱膨張緩和層200の延在方向とのなす角度が±30°以内の範囲であることが、熱電変換部101の割れの抑制に有効的に機能している。なお、熱電変換素子100の幅方向(熱電変換部101を流れる電流の方向に対して垂直方向)とは、図2の紙面左右方向である。
実施の形態1の熱電変換素子100は、図1に示すように、熱電変換素子100を上から見た場合、熱膨張緩和層200が屈曲している。このように、熱膨張緩和層200が屈曲した形状であっても、実施の形態1の熱電変換素子100では熱電変換部101を流れる電流に影響はない。即ち、熱電変換素子100の高さ方向(熱電変換部101を流れる電流の方向)と熱膨張緩和層200の延在方向(図2における熱膨張緩和層200の長手方向)とのなす角度が±30°以内の範囲であれば、熱膨張緩和層200が屈曲していても問題ない。
内壁層203の母相は、熱電変換部101の母相よりも延性の高い材料で形成されている。例えば、内壁層203は、耐熱性の観点から、主成分が金属である材料で形成されている。延性が高いとは、引張試験を行った際に、材料(サンプル)が破断するまでの伸び量が大きいことである。破断するまでの伸び量とは、引張試験で破断した際のサンプル高さと、引張試験前のサンプル高さとの差の絶対値を、試験前のサンプル高さで除した値を百分率で示したものである。なお、内壁層203の母相とは、内壁層203を構成する相の中で最も広い範囲(体積)で存在している相を意味する。例えば、内壁層203の母相として、Te純金属相が相当する。また、熱電変換部101の母相とは、熱電変換部101を構成する相の中で最も広い範囲(体積)で存在している相を意味する。例えば、熱電変換部101の母相として、Bi−Te金属間化合物相又はPb−Te金属間化合物相が相当する。
以上のように、熱膨張緩和層200の内壁層203の母相は、熱電変換部101の母相より延性が高ければよい。例えば、内壁層203の母相には、破断するまでの伸び量が10%以上の材料であることが好ましい。なお、実施の形態1では、熱電変換部101の母相として伸び量が0.1%未満のBiTe金属間化合物相を用い、内壁層203の母相として伸び量が0.5〜2.0%のTe純金属相を用いた。
内壁層203の延性を熱電変換部101よりも高くするためには、内壁層203の母相のTe濃度を熱電変換部101の母相(熱膨張緩和層200以外の領域)のTe濃度よりも高くする必要がある。例えば、内壁層203の母相のTe濃度が90wt%(wt%は質量百分率)以上であることが好ましい。このような構成により、内壁層203が熱電変換部101よりも高い延性を有することができる。また、内壁層203は、内壁202の端部202aに形成されるのがよい。このように内壁層203を内壁202の端部202aに形成することにより、内壁202の端部202aを鈍化して、熱電変換部101内を空間201がき裂として進展することを抑制することができる。
内壁層203は、例えば、Te純金属相又はTeを主成分(質量百分率が最も大きい成分)としてSe等の他の元素が固溶したTe固溶体相で構成されてもよい。また、内壁層203は、Te純金属層又はTe固溶体相のいずれかを母相として含む、その他の相を含めた2相以上の共晶構造を有していてもよい。さらに、各相の分布は、海島状又は層状であってもよい。
熱電変換部101としてPb−Te系材料を用いる場合、内壁層203の主成分は、Pb又はTeとなる。Pb−Te系材料で構成されるP型熱電変換材料の内壁層203は、Teが主成分であり、Pb−Te系材料で構成されるN型熱電変換材料の内壁層203は、Pbが主成分である。
内壁層203のTe濃度は、例えば、EDS(エネルギー分散型X線分析)によって測定することができる。実施の形態1では、SEM(走査型電子顕微鏡)−EDSを用い、EDSとしてオックスフォード・インストゥルメンツ株式会社製のXactを用いている。
熱電変換部101がBi−Te系材料である場合、熱電変換部101の結晶組織の60%以上の領域において、結晶のC軸が、熱電変換素子100の高さ方向(熱電変換部101を流れる電流の方向)に対して±60〜120°以内の方向であるのが好ましい。このような構成により、熱電変換素子100として高い起電圧を得ることができる。なお、結晶のC軸は、結晶が六方晶系であるので、<0001>方向となる。
結晶組織の方位は、例えば、EBSD法(電子線後方散乱回折法)により測定することができる。結晶方位解析は、1つの熱電変換素子100に含まれる熱電変換部101の結晶組織の支配的な方位が予測できるように、縦断面(熱電変換部101を流れる電流の方向に沿って切断した断面)又は横断面(熱電変換部101を流れる電流の方向と垂直方向に沿って切断した断面)の4分の1以上の領域に対して実施する。実施の形態1では、例えば、TSL社のDigiviewによって結晶方位の測定を行い、OIM Collection Ver.5.3(ソフトウェア)によって結晶方位の解析を行ってもよい。
上記した熱電変換素子100は、以下で説明する製造方法によって製造することができる。
[熱電変換素子の製造方法]
本開示の実施の形態1の熱電変換素子100の製造方法について、図4から図6を用いて説明する。図4から図6は、実施の形態1の熱電変換素子100の製造方法の各工程である。
まず、図4に示すように、準備工程として、耐熱性及び絶縁性を有する管301を準備する。管301の一端には、チューブ302の一端を取り付ける。チューブ302の他端にはシリンダー303を取り付ける。そして、管301の他端を、るつぼ304内の溶融熱電変換材料305に浸す。なお、管301には、ガラス、例えば耐熱ガラス(SiOとBを混合したホウケイ酸ガラスの一種で、熱膨張率は約3×10−6/K程度の材料)を使用してもよい。一般的に知られている耐熱ガラスとして、コーニング社製のパイレックス(登録商標)ガラスがある。実施の形態1では、例えば、全長Lが150mm、内径d1と外径d2がそれぞれ、0.8mm、2mmである管301を使用してもよい。
次に、図5に示すように、充填工程として、シリンダー303を動作することにより、管301の内部に溶融熱電変換材料305を吸引する。そして、管301の内部に溶融熱電変換材料305が充填された状態を保持する。
その後、冷却工程として、管301内の溶融熱電変換材料305を冷却して、溶融熱電変換材料305を凝固させる。
ここで、従来の熱電変換素子の製造方法における冷却工程について説明する。
従来の製造方法では、熱電変換部101として均質な固体を得るために、溶融熱電変換材料305を融点以下の温度まで管301を急冷していた。この方法では、急冷条件によって、空間201の延在方向(図2における熱膨張緩和層200の長手方向)が熱電変換素子100の高さ方向(熱電変換部101を流れる電流の方向)に対して垂直方向となるように、熱膨張緩和層200が形成される。このように形成された熱膨張緩和層200は、熱電変換部101が熱膨張した際に熱膨張緩和の機能を有していない。また、溶融熱電変換材料305を急冷することにより、空間201を形成する内壁202に内壁層203が形成される前に凝固が完了するため、内壁層203が形成されない。
また、従来の別の製造方法では、熱電変換部101にクラックが形成されるのを抑制するために、溶融熱電変換材料305を徐冷していた。この製造方法では、熱電変換部101内に空間201が形成されず、熱膨張緩和層200を形成することができなかった。
次に、実施の形態1の熱電変換素子100の製造方法における冷却工程、特に熱電変換部101に熱膨張緩和層200を形成する方法について説明する。
実施の形態1の熱電変換素子100の製造方法における冷却工程では、溶融熱電変換材料305を内包した管301を、溶融熱電変換材料305が半凝固状態(固体と液体が共存している状態)になるまで炉冷・保持する。その後、図6に示すように、管301が0.05mm/s〜1.0mm/sの速度で冷却機構306の内部を通過するように、矢印307の方向(図6において紙面上方向)に管301を移動させる。このように半凝固状態の溶融熱電変換材料305で充填した管301を冷却機構306で冷却することにより、溶融熱電変換材料305を完全凝固させて、熱膨張緩和層200を内包する熱電変換素子100を形成している。
冷却機構306は、管301の表面温度を10℃程度低下させる機能を有している。この冷却機構306を用いて、半凝固状態の溶融熱電変換材料305を冷却することにより、溶融熱電変換材料305が凝固する際の固体と液体の収縮量の差によって熱電変換部101内に、例えば隙間状の空間201が形成される。また、冷却機構306は、管301に1.7〜6.0℃/mmの温度勾配を形成している。この温度勾配により、熱電変換部101の結晶方位と、熱膨張緩和層200の空間201の延在方向を所望の方向に形成することができる。所望の方向とは、熱電変換部101の結晶のC軸が熱電変換素子100の高さ方向(熱電変換部101を流れる電流の方向)に対して±60〜120°の方向、及び熱膨張緩和層200の空間201の延在方向(図2における熱膨張緩和層200の長手方向)が熱電変換素子100の高さ方向に対して±30°以内の範囲の方向である。
また、管301を0.05mm/s〜1.0mm/sの速度で冷却機構306の内部を通過させることにより、管301内の溶融熱電変換材料305が、2.5〜5.0℃/mmで冷却される。このような速度で溶融熱電変換材料305を冷却することにより、溶融熱電変換材料305を構成する成分のうち融点の高い成分から順に凝固していく。そして、空間201が形成された後、溶融熱電変換材料305が完全に凝固する前の略凝固状態において、空間201を形成する内壁202に、未だ凝固していない成分、例えば、液相のTe又はPbが付着した状態となる。この状態からさらに冷却されることにより、空間201の内壁に付着した液相のTe又はPbが凝固し、Te又はPbを主成分とする内壁層203が内壁202、例えば、内壁202の端部202aに形成される。
溶融熱電変換材料305として、例えば、BiTe系材料を用いることができる。BiTe系材料として、Bi(ビスマス)、Sb(アンチモン)、Se(セレン)のうち1つ以上の元素と、Te(テルル)を用いることができる。ここで、Bi(ビスマス)、Sb(アンチモン)、Se(セレン)、Te(テルル)の4種の元素の濃度を原子組成百分率(atomic%)で示し、これらの4種の元素の濃度の合計を100%とする。実施の形態1の熱電変換素子100の製造方法では、P型熱電変換素子を製造する場合、溶融熱電変換材料305(BiTe系材料)を構成する成分のうちSeとTeの濃度の合計が59.8%以上となるようにしている。このように溶融熱電変換材料305を構成する成分のうちTeを多く含むようにすることにより、空間201の内壁に、Teを主成分とする内壁層203を形成することができる。また、N型熱電変換素子を製造する場合は、溶融熱電変換材料305を構成する成分のうちPbを多く含むようにすることで、Pbを主成分とする内壁層203を、空間201を画成する内壁202に形成することができる。
管301の内部に溶融熱電変換材料305を充填する別の方法として、粉末状にした熱電変換材料を用いてもよい。この方法では、粉末状にした熱電変換材料を管301の内部に入れた後、管301を熱電変換材料の融点以上の温度に加熱して、熱電変換材料を溶融させることにより、溶融熱電変換材料305を管301の内部に充填する。
ここで、研磨、切削等の方法により、管301の短手方向(図4から図6において紙面左右方向)に沿って切断した断面の面積(横断面積)を小さくしてもよい。例えば、回転研磨盤による研磨、センターレス研削による切削によって、管301の横断面積を小さくなるように研磨、切削することができる。管301の横断面積を小さくすることにより、発電時に熱電変換素子100の一端面から他端面への熱伝導を小さくでき、発電量を増加させることができる。なお、実施の形態1では、一例として、管301の形状を円筒とし、管301の内部の熱電変換部101の形状を円柱としている。
最後に、切断工程として、管301を所望の長さに切断することで、熱電変換素子100を形成する。管301の所望の長さとは、0.3〜2.0mmである。
以上のような製造方法によって、実施の形態1の熱電変換素子100を製造することができる。
[効果(熱膨張緩和層)]
本開示の実施の形態1の熱電変換素子100は、熱電変換部101と、絶縁体の筒102を備え、熱電変換部101の内部に熱膨張緩和層200を有する構成である。熱膨張緩和層200は、その内部に空間201を形成する内壁202と、内壁202に形成される内壁層203を有している。このような構成により、熱膨張緩和層200の空間201が熱電変換部101の熱膨張を緩和して熱電変換部101が割れることを抑制できるため、信頼性の高い熱電変換素子100を得ることが可能となる。したがって、熱電変換素子100のΔT(熱電変換素子100の上下面の温度差)を大きくしても、熱電変換素子100が故障しにくいため、従来の熱電変換素子に比べて出力を大きくすることができる。
実施の形態1における熱膨張緩和層200は、熱電変換素子100の高さ方向(熱電変換部101を流れる電流の方向)に向かって延在する、隙間状の細長い層で構成されている。さらに、熱電変換素子100の高さ方向と熱膨張緩和層200の延在方向(図2における熱膨張緩和層200の長手方向)とのなす角度が±30°以内の範囲で熱電変換部101に形成されている。このような構成により、熱膨張緩和層200が抵抗となるのを抑制することができる。したがって、熱電変換素子100の発電効率を低下させることなく、熱膨張緩和層200が熱電変換部101の割れの抑制に有効的に機能する。即ち、実施の形態1の熱電変換素子100では、熱膨張緩和層200によって発電効率を低下させず、熱電変換部101の割れを抑制することができる。
[効果(内壁層)]
実施の形態1における熱膨張緩和層200の内壁層203は、内壁202の一部又は全体を覆うように形成されている。内壁層203は、熱電変換部101を構成する材料より延性の高い材料で形成されている。そのため、内壁層203は、内壁202の内部の空間201がき裂として熱電変換部101を進展するのを抑制する機能を有している。特に、空間201がき裂として進展しやすい内壁202の端部202aに内壁層203を形成することにより、熱膨張時における熱電変換部101の割れを抑制することができる。
実施の形態1における熱膨張緩和層200の内壁層203は、Te純金属相又はTe固溶体相を母相とし、90wt%以上のTe濃度を有している。このような構成により、内壁層203が熱電変換部101よりも高い延性を有することができる。また、内壁層203は、熱電変換部101を構成する材料に含まれる成分から形成することができ、特別な装置を用いずとも、内壁202に内壁層203を形成することができる。
なお、実施の形態1の熱電変換素子100は、熱電変換部101の熱膨張率が絶縁体の筒102の熱膨張率より大きい構成である。反対に、熱電変換部101の熱膨張率が筒102の熱膨張率より小さい構成の場合、熱電変換素子100が使用時に高温になった際に、熱膨張緩和層200の空間201が拡がり、その影響で熱電変換部101と筒102との位置関係にズレが生じ、熱電変換部101が筒102から露出してしまうことが懸念される。熱電変換部101が筒102から露出すると、脆い熱電変換部101が破壊される危険性が高まり、熱電変換素子100としての信頼性が低下する。それに対して、熱電変換部101の熱膨張率が筒102の熱膨張率より大きい構成により、熱電変換素子100が使用時に高温になった際に、熱電変換部101の熱膨張を緩和するために熱膨張緩和層200の空間201が狭まるため、熱電変換部101から筒102がズレず、熱電変換素子100の信頼性低下を抑制することができる。
(実施の形態2)
本開示の実施の形態2に係る熱電変換モジュール400について、図7を用いて説明する。実施の形態2の熱電変換モジュール400は、実施の形態1の熱電変換素子100を複数用いて構成されている。
[熱電変換モジュール]
図7は、実施の形態2に係る熱電変換モジュール400の構成を示す概略図である。なお、図は熱電変換モジュール400を、熱電変換モジュール400の高さ方向(図7において紙面上下方向)に沿って切断した断面図である。
図7に示すように、熱電変換モジュール400は、実施の形態1の熱電変換素子100を複数用いて構成されている。実施の形態2の熱電変換モジュール400は、複数の熱電変換素子100を配列して、熱電変換素子100のそれぞれの端面が、電極401と電気的に接合されている。熱電変換素子100と電極401は、接合材402を介して接合されている。これらの熱電変換素子100と電極401を挟むように、第1の基板403と第2の基板404がそれぞれ対向して配置されている。第1の基板403及び第2の基板404上には、熱電変換素子100を実装する時において位置ずれを抑制するためのレジスト405が設置されている。さらに、実施の形態2の熱電変換モジュール400は、熱電変換部101と電極401の間に下地金属406を有する構成としてもよい。
実施の形態2の熱電変換モジュール400の構成部品について説明する。
<電極>
電極401は、複数の熱電変換素子100におけるそれぞれの熱電変換部101の端面を電気的に接続している。熱電変換素子100は、熱電変換モジュール400内で配列され、電極401によって直列に接続されている。なお、熱電変換素子100は、図示していないが、例えば、P型熱電変換素子とN型熱電変換素子が交互に配置される。電極401を構成する材料としては、例えば、Bi、Cu、Sb、及びInを二以上含む合金が挙げられる。また、電極401は、熱電変換素子100の端面上に蒸着、スパッタ又は溶射等により形成してもよい。なお、実施の形態2の熱電変換モジュール400では、第1の基板403及び第2の基板404上に予め実装された電極401を用いている。
<接合材>
接合材402は、電極401と熱電変換部101を電気的に接合する。接合材402としては、はんだ又はろう材等を用いることができる。例えば、接合材402として、Sn、Pb、Ag、Bi、In、Sb、Auのいずれかを含む単金属又は合金を用いることができる。なお、電極401と熱電変換部101は、接合材402を介して接合してもよいし、接合材402なしで接合してもよい。
<第1の基板、第2の基板>
第1の基板403と第2の基板404は、複数の熱電変換素子100と電極401を挟むように対向して配置されている。第1の基板403と第2の基板404には、電極401を予め実装していてもよい。第1の基板403と第2の基板404は、同じ基板を用いてもよい。
<レジスト>
レジスト405は、第1の基板403と第2の基板404上において、それぞれの熱電変換素子100間に設置される。レジスト405は、熱電変換素子100を実装する際に素子の位置ずれを抑制するために用いられる。なお、実施の形態2では、レジスト405を設けた構成としているが、レジスト405を設けない構成であってもよい。
<下地金属>
下地金属406は、熱電変換部101の端面に設置される。下地金属406は、熱電変換部101と電極401との接合性を高めるため、又は接合材402と電極401からの拡散による熱電変換部101の発電能力の低下を抑制するための金属層である。下地金属406の厚さは、所望の接合性の実現と、モジュールの信頼性の向上の観点から、0.5〜10.0μmであることが好ましい。より好ましくは、下地金属406の厚さが、3.0〜6.0μmである。下地金属406として、例えば、Ni、Mo、Ti、Wのいずれかを含む単金属又は合金を用いることができる。実施の形態2では、下地金属406としてNiを用いている。
実施の形態2における熱電変換素子100は、熱電変換モジュール400の高さ方向における長さ(熱電変換素子100の高さ)は、熱電変換部101の両端に適度な温度差を生じさせる観点から、0.3〜2.0mmの範囲であることが好ましい。熱電変換素子100の高さが、0.3mmより小さい場合又は2.0mmより大きい場合では、適度な温度差を生じさせることができず、発電効率が低下する。
[効果(熱電変換モジュール)]
実施の形態2に係る熱電変換モジュール400は、対向して配置した第1の基板403と第2の基板404の間に実施の形態1の熱電変換素子100を複数配列し、複数の電極401により複数の熱電変換素子100を電気的に接続した構成である。また、実施の形態1の熱電変換素子100は、熱電変換部101に熱膨張緩和層200を有する構成である。このような構成により、熱電変換モジュール400の出力を大きくするためにモジュールのΔT(モジュールの上下面の温度差)を大きくしたとしても、熱電変換部101が割れてモジュールの中の熱電変換素子100が故障することがない。そのため、従来の熱電変換モジュールと比べて出力を大きくすることができ、信頼性の高い熱電変換モジュール400を提供することができる。
本開示によれば、絶縁体に囲まれた熱電変換部が熱膨張緩和層を有することにより、熱膨張による熱電変換部の割れを抑制することができるため、信頼性の高い熱電変換素子を得ることができる。本開示の熱電変換素子は、種々の技術分野で、熱を直接電気に変換することが必要になる場合、及び電気を熱に変換することが必要になる場合、例えば、熱電変換モジュール等に広く適用することが可能である。
100 熱電変換素子
101 熱電変換部
102 筒
200 熱膨張緩和層
201 空間
202 内壁
202a 端部
203 内壁層
301 管
302 チューブ
303 シリンダー
304 るつぼ
305 溶融熱電変換材料
306 冷却機構
307 移動方向
400 熱電変換モジュール
401 電極
402 接合材
403 第1の基板
404 第2の基板
405 レジスト
406 下地金属

Claims (11)

  1. 熱を電気に変換する熱電変換部と、
    前記熱電変換部を囲う絶縁体と、
    を備え、
    前記熱電変換部の内部に、熱膨張緩和層を有し、
    前記熱膨張緩和層は、空間を形成する内壁と、前記内壁の少なくとも一部に形成された内壁層と、を備え、
    前記内壁層は、前記熱電変換部を構成する材料より延性が大きい材料で形成された、熱電変換素子。
  2. 前記内壁層は、前記内壁の端部に形成された、請求項に記載の熱電変換素子。
  3. 前記内壁層は、前記熱電変換部を構成する材料の成分から形成された純金属相を母相として有する、請求項又はに記載の熱電変換素子。
  4. 前記内壁層は、前記熱電変換部を構成する材料の成分から形成された固溶体相を母相として有する、請求項又はに記載の熱電変換素子。
  5. 前記熱電変換部は、前記絶縁体より大きい熱膨張率を有する材料で形成された、請求項1〜のいずれか一項に記載の熱電変換素子。
  6. 前記熱膨張緩和層は、前記熱電変換部を流れる電流の方向に向かって延在する、隙間状の細長い層である、請求項1〜のいずれか一項に記載の熱電変換素子。
  7. 前記熱膨張緩和層の延在方向と前記熱電変換部を流れる前記電流の方向とで成す角度が±30°以内の範囲である、請求項に記載の熱電変換素子。
  8. 前記熱電変換部は、Bi−Te系材料を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の熱電変換素子。
  9. 前記熱電変換部は、Bi−Te系材料を含み、
    前記内壁層は、Teを主成分とする相を母相として含む、請求項に記載の熱電変換素子。
  10. 前記内壁層に含まれるTe濃度は、90wt%以上である、請求項に記載の熱電変換素子。
  11. 数の熱電変換素子と、
    前記複数の熱電変換素子をそれぞれ電気的に接続する複数の電極と、
    前記複数の熱電変換素子と前記複数の電極を挟むように対向して配置される第1の基板及び第2の基板と、
    を備え
    前記複数の熱電変換素子のそれぞれは、
    熱を電気に変換する熱電変換部と、
    前記熱電変換部を囲う絶縁体と、
    を備え、
    前記熱電変換部の内部に、熱膨張緩和層を有し、
    前記熱膨張緩和層は、空間を形成する内壁と、前記内壁の少なくとも一部に形成された内壁層と、を備え、
    前記内壁層は、前記熱電変換部を構成する材料より延性が大きい材料で形成された、熱電変換モジュール。
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