JP2014022674A - 熱電材料 - Google Patents

熱電材料 Download PDF

Info

Publication number
JP2014022674A
JP2014022674A JP2012162362A JP2012162362A JP2014022674A JP 2014022674 A JP2014022674 A JP 2014022674A JP 2012162362 A JP2012162362 A JP 2012162362A JP 2012162362 A JP2012162362 A JP 2012162362A JP 2014022674 A JP2014022674 A JP 2014022674A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
scattering particles
phonon scattering
thermoelectric material
matrix
thermoelectric
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012162362A
Other languages
English (en)
Inventor
Manabu Nagamura
学 長村
Takahiro Sugioka
隆弘 杉岡
Hiroaki Sato
洋明 佐藤
Jun Saida
潤 齊田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Industries Corp
Original Assignee
Toyota Industries Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Industries Corp filed Critical Toyota Industries Corp
Priority to JP2012162362A priority Critical patent/JP2014022674A/ja
Publication of JP2014022674A publication Critical patent/JP2014022674A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Powder Metallurgy (AREA)

Abstract

【課題】フォノン散乱粒子と空隙の存在とによって熱伝導率κを低減しながら、強度の低下も抑制された熱電材料を提供する。
【解決手段】熱電材料マトリックス中にフォノン散乱粒子が分散している。フォノン散乱粒子は、マトリックスよりも熱膨張率の小さい(30〜96%)材料からなり、該フォノン散乱粒子の周囲に空隙が形成されていることを特徴とする。フォノン散乱粒子としては、平均粒子径が1〜100nmのものが好ましい。空隙率は5〜30vol%が好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱電材料マトリックス中に、フォノン散乱用のフォノン散乱粒子が分散している熱電材料に関する。
熱電変換とは、ゼーベック効果やペルチェ効果を利用して、熱エネルギーと電気エネルギーとを相互に変換することをいう。熱電変換を利用すれば、ゼーベック効果を用いて熱流から電力を取り出したり、ペルチェ効果を用いて材料に電流を流すことで、吸熱現象や発熱現象を起こしたりすることが可能である。熱電変換は直接変換であるため、エネルギー変換の際に余分な廃棄物を排出しない、排熱の有効利用が可能である、及びモータやタービンなどのような可動部がないためメンテナンスフリーである、などの利点を有している。
現在では、上記利点を利用して、センサー素子や光素子、LSI基板などの半導体回路、レーザダイオード等の精密温度制御が要求される分野や、冷蔵庫、ワインセラー、自動車などにも利用されている。さらに、近年のエネルギー問題や環境問題の重大化に伴い、航空、宇宙、建設、地質及び気象観測、医療衛生、マイクロ電子などの領域や、石油化工、冶金、電力工業における廃熱利用など広範な用途への実用化も期待されている。なお、研究室レベルでは種々の熱電材料が開発されているが、現在実用化されている熱電材料としては半導体からなる熱電材料が殆どである。
熱電材料(熱電変換素子)の性能評価には、性能指数Z(K−1)や無次元性能指数ZTが使用される。性能指数Zは、Z=Sσ/κの式により求められる。なお、Sはゼーベック係数を、σは電気伝導率(電気伝導度)を、κは熱伝導率(熱伝導度)をそれぞれ示す。無次元性能指数ZTは、性能指数Zに絶対温度Tを掛けた値である。性能指数Zないし無次元性能指数ZTが高いほど、熱電変換性能が高いことになる。そこで、良好な熱電変換性能を得るには、ゼーベック係数Sおよび電気伝導率σが高く、且つ熱伝導率κが低いことが最も効果的である。
熱伝導率κを低減する手段の一つとして、熱伝導の担い手の一つであるフォノンを散乱させることが有効である。そこで、熱電材料マトリックス中にフォノン散乱用のナノオーダー微粒子(以下、フォノン散乱粒子と称す)を分散させた熱電材料として、例えば下記特許文献1がある。特許文献1では、Bi2Te3からなるマトリックス中に、当該マトリックスと反応せず、且つ熱伝導率の低いシリカ、ジルコニア、チタニア等のセラミックスからなる微粒子をフォノン散乱粒子として分散させている。ここでは、セラミックス粒子を含むスラリーに、塩化ビスマス及び塩化テルルを溶解させたうえで、還元剤を加えてセラミックス粒子上にBi及びTeを還元析出させる、所謂還元法によってフォノン散乱粒子を分散させている。
一方、熱伝導率κを低減する他の手段として、熱電材料マトリックス中に空隙を形成することも有効である。空隙が断熱空間として機能するからである。そこで、熱電材料マトリックス中に空隙が形成された熱電材料としては、下記特許文献2が提案されている。特許文献2では、空孔形成用の高分子ポリマーが混合された原料粉末を、先ずは高分子ポリマーが消失しない温度である程度焼結した後に、続いて高分子ポリマーが熱分解する温度以上に昇温することで高分子ポリマーを熱分解消失させることで、空隙を形成している。
特開2010−10366号公報 WO2005/91393公報
特許文献1では、フォノン散乱粒子を分散させることで熱伝導率κをある程度低下させているが、空隙が形成されていないので熱伝導率κの低減には限界がある。仮に熱膨張率の差を利用して空隙を形成しようとしても、還元法によってセラミックス粒子(フォノン散乱粒子)上にBiやTeを析出させた製法では、焼結時に当該フォノン散乱粒子の周囲に空隙を形成することは困難である。
一方、特許文献2では空隙を形成することで熱伝導率κをある程度低減しているが、フォノン散乱粒子が分散されていないので、やはり熱伝導率κの低減には限界がある。また、特許文献2では、高分子ポリマーを熱分解により気化させることで空隙を形成しているが、この方法では高分子ポリマーを熱分解したガスが膨張し、熱電材料が割れてしまう可能性がある。また、高分子ポリマーを熱分解して形成される空隙は比較的体積が大きくなる傾向にあるので、熱電材料の強度低下にもつながる。
そこで、本発明は上記課題を解決するものであって、フォノン散乱粒子による熱伝導率κの低減効果と、空隙の存在による熱伝導率κの低減効果とを併用しながら、強度の低下も抑制された熱電材料を提供することを目的とする。
そのための手段として、本発明は、熱電材料マトリックス中にフォノン散乱粒子が分散している熱電材料であって、前記フォノン散乱粒子は、前記マトリックスよりも熱膨張率の小さい材料からなり、該フォノン散乱粒子の周囲に空隙が形成されていることを特徴とする。これによれば、フォノン散乱粒子によるフォノン散乱と、空隙による断熱効果とによって、熱電材料の熱伝導率κを低減することができる。その結果、熱電変換性能(性能指数Zないし無次元性能指数ZT)を的確に向上させることができる。また、空隙はマトリックスとフォノン散乱粒子の熱膨張率差によって形成されるので、その体積は小さい。しかも、フォノン散乱粒子の周囲に形成されているので、空隙が偏在することなく微細な空隙が良好に分散した状態となっている。そのため、熱電材料の強度低下を抑制することができる。微細な空隙が分散した状態であれば、全体的な空隙率が同じでも、体積の大きい空隙が少数存在している場合に比べて強度は高くなる。
前記フォノン散乱粒子の熱膨張率は、前記マトリックスの熱膨張率の30〜96%の範囲にあることが好ましい。これにより、上記作用効果を的確に得ることができる。
熱電材料中の空隙率は、5〜30vol%であることが好ましい。空隙率がこの範囲であることで、熱電材料の強度低下を抑制しながら、確実に熱伝導率κを低減することができる。
また、前記フォノン散乱粒子の混合量としては、1〜30vol%であることが好ましい。これにより、確実にフォノンを散乱させながら、空隙率を上記範囲とすることができる。
前記フォノン散乱粒子の平均粒子径は、1〜100nmであることが好ましい。フォノン散乱粒子の平均粒子径がこの範囲となっていることで、確実にフォノン散乱効果を得ることができる。
なお、本発明において数値範囲を示す「○○〜××」とは、その下限及び上限を含む範囲を意味する。したがって、正確に表せば「○○以上××以下」となる。
本発明の熱電材料は、フォノン散乱粒子による熱伝導率κの低減効果と、空隙の存在による熱伝導率κの低減効果とによって熱伝導率κを低減しながら、フォノン散乱粒子の周囲に形成された微細な空隙が分散した状態なので、良好な強度も有している。
熱電材料の断面組織写真である。
以下に、本発明について詳細に説明する。本発明において使用される熱電材料の母材としては、従来から公知の熱電材料を特に制限無く使用することができる。具体的には、Bi−Te系,Mg−Si系,Fe−Si系,Si−Ge系,Pb−Te系,Fe−V−Al系,カルコゲナイド系,スクッテルダイト系,フィルドスクッテルダイト系,炭化ホウ素系などの半導体やセラミックを例示できる。中でも、Bi及びSbからなる群から選択される少なくとも1種の元素と、Te及びSeからなる群から選択される少なくとも1種の元素とを含む半導体が好適なものとして挙げられる。現在実用化されている熱電材料の中でも、室温(約20℃)〜200℃程度の低温域において優れた熱電変換性能を本来的に有しており、高い性能指数Zないし無次元性能指数ZTを期待できるからである。
Bi及びSbからなる群から選択される少なくとも1種の元素と、Te及びSeからなる群から選択される少なくとも1種の元素とを含む半導体は、A23型の金属間化合物となり、Bi又はSbの原子数とTe又はSeの原子数との比が2:3となった(Bi,Sb)2(Te,Se)3と示すことができる。このような半導体としては、Bi−Te系、Bi−Se系、Sb−Te系、Sb−Se系、Bi−Sb−Se系、Sb−Te−Se系、及びBi−Sb−Te−Se系などの類型がある。Bi−Te系には、BiTeのようにBiとTeのみから成るものや、Bi−Sb−Te系やBi−Te−Se系も含まれる。Bi−Sb−Te系はBixSb2-xTe3となり、Bi−Te−Se系はBi2Te3-xSexとなる。BixSb2-xTe3はP型熱電変換材料であり、Bi2Te3-xSexはN型熱電変換材料である。本発明では、P型半導体に対してもN型半導体に対しても同様に熱電性能の向上効果がある。上記各系の半導体には、その他Al,Mn,Fe,Cr,Mo,Ga,Sn,Zn,P,SiなどによってBi,Te,Sb,Seの一部を置換することもできる。このように、構成元素の一部が他の元素で置換されたものも含めた総称として、「系」と表現している。
また、金属間化合物を効率よくN型半導体化するために、I,Cl,Br等のハロゲン元素をドーパントとして添加することもできる。例えば、熱電変換材料の製造工程において、原料粉末に、AgI,CuBr,SbI3,SbCl3,SbBr3,HgBr2等から選ばれる1種又は2種以上の粉末を加えることにより、効率良くN型熱電変換材料とすることができる。これらドーパントの含有量を調整することで、熱電変換材料中のキャリア濃度を調整することができ、その結果、本来的な性能指数Zないし無次元性能指数ZTを高めることが可能となる。ハロゲン元素の含有量は、効率的な半導体化の点で、0.01〜5重量%程度、好ましくは0.05〜4重量%程度とすればよい。
上記に示した各種半導体を熱電材料のマトリックス(母材)としながら、本発明の熱電材料は、さらにフォノン散乱粒子が分散されている。フォノン散乱粒子は、熱伝導の担い手の一つであるフォノンを散乱させることができるナノオーダーの微粒子である。そのうえで、フォノン散乱粒子としては、上記マトリックスよりも熱膨張率の小さい材料を使用する。具体的には、フォノン散乱粒子の熱膨張率がマトリックスの熱膨張率の30〜96%の範囲にある材料を使用する。これにより、熱電材料の焼結時にマトリックスとフォノン散乱粒子との熱膨張率差によってフォノン散乱粒子の周囲に空隙が形成される。フォノン散乱粒子の熱膨張率がマトリックスの熱膨張率に対して96%より大きいと、フォノン散乱粒子の周囲に形成される空隙の量が少なくなり、空隙による熱電特性の向上幅が小さくなる。一方、フォノン散乱粒子の熱膨張率がマトリックスの熱膨張率に対して30%より小さいと、フォノン散乱粒子の周囲に形成される空隙が大きくなり、熱電材料の強度低下につながる。
このようなフォノン散乱粒子としては、例えばSb,SiO,Al,TiO,Bi,ZrO,BC,SiC,Si,CdS,CdSe,CdTe,AlSb,GaP,GaAs,InP,InAs,GaNなどを例示できる。これらのフォノン散乱粒子は、1種のみを単独使用することもできるし、2種以上を混合分散させることもできる。なお、フォノン散乱粒子は、コア粒子の表面が上記に例示した材料によって被覆されたコアシェル粒子とすることもできる。この場合、コアシェル構造を形成できるものである限り、コア粒子の材料は特に限定されない。被膜の膜厚は0.1〜10nm程度とすればよい。
フォノン散乱粒子の平均粒子径は1〜100nmが好ましく、より好ましくは3〜50nm、さらに好ましくは5〜20nmである。フォノン散乱粒子の平均粒子系が1〜100nmの範囲から外れていると、的確にフォノンを散乱させることができないからである。フォノン散乱粒子の混合割合は、熱電材料全量基準で1〜30vol重量%とすればよい。フォノン散乱粒子の混合割合が1vol%未満では、熱伝導率κの低減効果を有効に得られない。一方、フォノン散乱粒子の混合割合が30vol%を超えると、マトリックスの相対割合が低くなるため、熱電材料の絶対的な熱電変換性能が低下してしまう。
なお、フォノン散乱粒子には、マトリックスよりも融点が50℃以上、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上高いものを使用することが好ましい。マトリックスとフォノン散乱粒子との融点が同等であったり、フォノン散乱粒子の方がマトリックスよりも融点が低いと、焼結時にフォノン散乱粒子が溶解してしまうからである。フォノン散乱粒子が溶解してしまうと、フォノンを散乱させることができなくなるばかりか、その周囲に空隙も形成できなくなる。フォノン散乱粒子の融点の上限は特に限定されない。
熱電材料の製造方法は特に限定されることはなく、従来から公知の方法であればよい。先ず、単結晶法や溶製法などによってマトリックス用のインゴットを得る。生産性の観点からは、溶製法が好ましい。例えば、各原料粉末を所定の組成となるように混合してから、高周波溶解やアーク溶解などによって合金化されたインゴットを得ることができる。次いで、得られたマトリックス用のインゴットを粉砕し、必要に応じて分級してからフォノン散乱粒子と混合し、所定形状に焼結してナノコンポジット化された熱電材料(熱電変換素子)を得ることができる。
なお、熱電材料を焼結するに際して、インゴットを粉砕したマトリックス用の粉体の平均粒子径もできるだけ小さいことが好ましい。焼結前のマトリックス用の粉体の粒径が小さいほど、焼結後の結晶粒径も微細になることで、熱伝導率κの低減に有効となるからである。具体的には、焼結前のマトリックス用の粉体の平均粒子径は、30μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下に粉砕しておく。また、マトリックス用の粉体を効率的に微粉末化するためには、微粉砕する前に粗粉砕しておくことが好ましい。インゴットの粗粉砕は、ジョークラッシャ、ハンマー、スタンプミル、ロータミル、ピンミル、カッターミル、コーヒーミル,乳鉢などによって行うことができる。粗粉砕後の微粉砕は、回転ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ウェットミル、ジェットミルなどによって行うことができる。
焼結方法としては、常圧焼結法、加圧焼結法、ホットプレス焼結法、高温等方圧プレス(HIP)焼結法などを採用できる。この場合、焼結前に原料粉末を一軸プレス成形、テープ成形法、熱間押し出し法等によって所定形状に成形しておくことも好ましい。また、放電プラズマ焼結(SPS焼結)によって焼結することもできる。放電プラズマ焼結とは、真空環境(不活性雰囲気)下において、中空筒状の成形型(ダイス)内に充填された粉体を、上下2つの押圧部材(パンチ)によって上下方向から加圧しながら、当該上下のパンチを電極としてパルス直流電流を流して放電プラズマを発生させることで、粉体内部の渦電流によりジュール熱を生成させ、かつ表面を活性化させることにより、短時間で焼結できる技術である。この場合、従来の焼結法よりも低温度で焼結できる、生産性が高い、焼結体の結晶粒が粗大化し難いなどの特徴がある。なお、熱伝導率κを低減させるために結晶粒を微細化すると、電気伝導率σも低減する傾向にあるので、その場合はホットプレス焼結やSPS焼結が好ましい。これにより、結晶が配向されて電気伝導率σの低減を抑制できる。
焼結に際しては、フォノン散乱粒子の融点より少なくとも20℃以上、好ましくは30℃以上、より好ましくは50℃以上低い温度で焼結する。フォノン散乱粒子の融点に近い温度で焼結すると、焼結時にフォノン散乱粒子が溶解する可能性が高くなるからである。フォノン散乱粒子が溶解してしまうと、フォノンを散乱させることができなくなるばかりか、その周囲に空隙も形成できなくなる。焼結温度とフォノン散乱粒子の融点との差の上限は特に限定されないが、焼結温度の下限はマトリックスを的確に焼結できる温度である。
そして、マトリックス用の粉体とフォノン散乱粒子との混合粉体を上記温度範囲で焼結すると、フォノン散乱粒子が溶解することなくマトリックス用の粉体が焼結固化される。このとき、マトリックスとフォノン散乱粒子との間に熱膨張率差があることで、フォノン散乱粒子の周囲に空隙が形成される。これにより、熱電材料の熱伝導率κが低減し、性能指数Zないし無次元性能指数ZTが向上する。当該空隙は、両者の熱膨張率差によって生じたものなので、体積が小さい(直径数μm以下)。しかも、熱電材料中に分散されたフォノン散乱粒子の周囲に形成されているので、良好に分散した状態で存在している。そのため、熱電材料の強度低下も抑制される。
熱電材料中の空隙率は5〜30vol%が好ましい。空隙率が5vol%未満では断熱効果が低くなって、空隙の存在による熱伝導率κの低減効果が低くなる。一方、空隙率が30vol%を超えると、マトリックスの相対割合が低くなって根本的な熱電変換性能が低下するばかりか、熱電材料の強度も低下してしまう。空隙率は、より好ましくは8〜25vol%であり、さらに好ましくは10〜20vol%である。
Bi,Sb,Teの合金インゴットを乳鉢で粗粉砕し、106μmメッシュの篩にかけてマトリックス用の粉体を作製した。次いで、マトリックス用の粉体と、フォノン散乱粒子として平均粒子径50nmのSb粉体(マトリックス粒子に対し10vol%)と分散剤とを投入したアルコールスラリーを作製した。続いて、当該スラリーを遊星ボールミルにて10時間微粉砕混合した。その後、当該スラリーを不活性ガス雰囲気中で室温にて1日間乾燥させた。最後に、乾燥後の混合粉体を、SPS焼結機で350℃、100MPaの条件で5分間焼結し、熱電材料を得た。なお、マトリックスである(BiSb)Teの熱膨張率はおよそ24であり、フォノン散乱粒子であるSbの熱膨張率はおよそ23である。
得られた熱電材料について、断面組織をSEMにより観測した。その断面SEM写真を図1に示す。なお、図1において空隙は黒く現れている。また、各部位の組成を調べるため、X線回折装置によって複数部位のX線スペクトルを測定した。その結果を表1に示す。なお、表1中のスペクトルは、図1に示した部位のスペクトルを示す。
表1の結果から、図1において濃いグレーの部分はSbであることがわかる。なお、X線回折装置のビーム径はSbの粒径より大きいので、スペクトル2,3ではその周囲にあるマトリックス中のSb,Te,Biも拾われている。そのうえで、図1から明らかなように、フォノン散乱粒子としてのSbの周囲に、微細な空隙が形成されていることが確認された。

Claims (5)

  1. 熱電材料マトリックス中にフォノン散乱粒子が分散している熱電材料であって、
    前記フォノン散乱粒子は、前記マトリックスよりも熱膨張率の小さい材料からなり、該フォノン散乱粒子の周囲に空隙が形成されている、熱電材料。
  2. 前記フォノン散乱粒子の熱膨張率が前記マトリックスの熱膨張率の30〜96%の範囲にある、請求項1に記載の熱電材料。
  3. 空隙率が5〜30vol%である、請求項1または請求項2に記載の熱電材料。
  4. 前記フォノン散乱粒子の混合量が1〜30vol%である、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の熱電材料。
  5. 前記フォノン散乱粒子の平均粒子径が1〜100nmである、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の熱電材料。


JP2012162362A 2012-07-23 2012-07-23 熱電材料 Pending JP2014022674A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012162362A JP2014022674A (ja) 2012-07-23 2012-07-23 熱電材料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012162362A JP2014022674A (ja) 2012-07-23 2012-07-23 熱電材料

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014022674A true JP2014022674A (ja) 2014-02-03

Family

ID=50197199

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012162362A Pending JP2014022674A (ja) 2012-07-23 2012-07-23 熱電材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014022674A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014239160A (ja) * 2013-06-07 2014-12-18 パナソニック株式会社 熱電変換素子及び熱電変換モジュール
JP2016066795A (ja) * 2014-09-22 2016-04-28 国立研究開発法人物質・材料研究機構 ケイ素及びテルルをドープしたスクッテルダイト熱電変半導体、その製造方法及びそれを用いた熱電発電素子
KR101632614B1 (ko) * 2014-12-24 2016-06-22 코닝정밀소재 주식회사 유기발광소자용 광추출 기판 제조방법, 유기발광소자용 광추출 기판 및 이를 포함하는 유기발광소자
WO2016105026A1 (ko) * 2014-12-24 2016-06-30 코닝정밀소재 주식회사 유기발광소자용 광추출 기판 제조방법, 유기발광소자용 광추출 기판 및 이를 포함하는 유기발광소자
JP2018516457A (ja) * 2015-04-14 2018-06-21 エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド 熱電素材及びこれを含む熱電素子と熱電モジュール
JP2018523294A (ja) * 2015-07-21 2018-08-16 エルジー・ケム・リミテッド 化合物半導体熱電材料及びその製造方法
JP2018152521A (ja) * 2017-03-14 2018-09-27 国立研究開発法人産業技術総合研究所 熱電変換材料およびその製造方法、熱電発電モジュール、並びにペルチェ冷却器
JP2021015862A (ja) * 2019-07-11 2021-02-12 国立研究開発法人物質・材料研究機構 熱電材料、その製造方法、および、熱電発電素子
CN115521147A (zh) * 2022-09-22 2022-12-27 广西自贸区见炬科技有限公司 一种热电纳米复合材料及其制备方法

Cited By (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014239160A (ja) * 2013-06-07 2014-12-18 パナソニック株式会社 熱電変換素子及び熱電変換モジュール
JP2016066795A (ja) * 2014-09-22 2016-04-28 国立研究開発法人物質・材料研究機構 ケイ素及びテルルをドープしたスクッテルダイト熱電変半導体、その製造方法及びそれを用いた熱電発電素子
US10186685B2 (en) 2014-12-24 2019-01-22 Corning Precision Materials Co., Ltd. Method for manufacturing light extraction substrate for organic light emitting diode, light extraction substrate for organic light emitting diode, and organic light emitting diode comprising same
US10033012B2 (en) 2014-12-24 2018-07-24 Corning Precision Materials Co., Ltd. Method for manufacturing light extraction substrate
WO2016105027A1 (ko) * 2014-12-24 2016-06-30 코닝정밀소재 주식회사 유기발광소자용 광추출 기판 제조방법, 유기발광소자용 광추출 기판 및 이를 포함하는 유기발광소자
KR20160077931A (ko) * 2014-12-24 2016-07-04 코닝정밀소재 주식회사 유기발광소자용 광추출 기판 제조방법, 유기발광소자용 광추출 기판 및 이를 포함하는 유기발광소자
KR101642120B1 (ko) * 2014-12-24 2016-07-22 코닝정밀소재 주식회사 유기발광소자용 광추출 기판 제조방법, 유기발광소자용 광추출 기판 및 이를 포함하는 유기발광소자
CN107112433A (zh) * 2014-12-24 2017-08-29 康宁精密素材株式会社 制造用于有机发光二极管的光提取基底的方法、用于有机发光二极管的光提取基底及包括其的有机发光二极管
CN107112433B (zh) * 2014-12-24 2019-03-29 康宁精密素材株式会社 制造用于有机发光二极管的光提取基底的方法、用于有机发光二极管的光提取基底及包括其的有机发光二极管
WO2016105026A1 (ko) * 2014-12-24 2016-06-30 코닝정밀소재 주식회사 유기발광소자용 광추출 기판 제조방법, 유기발광소자용 광추출 기판 및 이를 포함하는 유기발광소자
KR101632614B1 (ko) * 2014-12-24 2016-06-22 코닝정밀소재 주식회사 유기발광소자용 광추출 기판 제조방법, 유기발광소자용 광추출 기판 및 이를 포함하는 유기발광소자
JP2018516457A (ja) * 2015-04-14 2018-06-21 エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド 熱電素材及びこれを含む熱電素子と熱電モジュール
US10600947B2 (en) 2015-04-14 2020-03-24 Lg Electronics Inc. Thermoelectric materials, and thermoelectric element and thermoelectric module comprising the same
JP2018523294A (ja) * 2015-07-21 2018-08-16 エルジー・ケム・リミテッド 化合物半導体熱電材料及びその製造方法
JP2018152521A (ja) * 2017-03-14 2018-09-27 国立研究開発法人産業技術総合研究所 熱電変換材料およびその製造方法、熱電発電モジュール、並びにペルチェ冷却器
JP2021015862A (ja) * 2019-07-11 2021-02-12 国立研究開発法人物質・材料研究機構 熱電材料、その製造方法、および、熱電発電素子
CN115521147A (zh) * 2022-09-22 2022-12-27 广西自贸区见炬科技有限公司 一种热电纳米复合材料及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2014022674A (ja) 熱電材料
Mun et al. Boundary engineering for the thermoelectric performance of bulk alloys based on bismuth telluride
JP5024393B2 (ja) ナノコンポジット熱電変換材料およびその製造方法
JP5641474B2 (ja) Mg2Si基化合物から成る熱電材料の製造方法
JP2020080417A (ja) 多結晶性マグネシウムシリサイドおよびその利用
JP6599480B2 (ja) 化合物半導体熱電材料及びその製造方法
JP5528873B2 (ja) 複合熱電材料及びその製造方法
TW201903222A (zh) 半導體燒結體、電氣電子構件、以及半導體燒結體的製造方法
JP2013149651A (ja) 熱電材料の製造方法
Zou et al. Size effect of Si O 2 on enhancing thermoelectric properties of Cu1. 8S
JP6189582B2 (ja) ナノコンポジット熱電変換材料の製造方法
JP2013219308A (ja) Bi−Te系熱電材料
KR101405318B1 (ko) 텔루르화 비스무트-셀렌화 인듐 나노복합체 열전 소재 및 그 제조 방법
JP5974821B2 (ja) ナノコンポジット熱電変換材料およびその製造方法
JP2008047806A (ja) クラスレート化合物及び該化合物よりなる熱電変換素子
JP2013235971A (ja) 熱電材料
JP6082663B2 (ja) 熱電変換材料およびその製造方法
JP2013058531A (ja) 熱電変換材料
JP6632218B2 (ja) クラスレート化合物ならびに熱電変換材料およびその製造方法
JP6560061B2 (ja) 熱電変換材料、熱電変換素子、熱電変換モジュールおよび熱電変換材料の製造方法
WO2013108661A1 (ja) 熱電材料
JP6082617B2 (ja) 熱電変換材料およびその製造方法
KR102176471B1 (ko) 열전소자용 열전재료
KR20110092762A (ko) 기계적 합금화에 의한 Mg2Si 열전재료 제조방법 및 이에 의해 제조된 Mg2Si 열전재료
JP2021044424A (ja) 熱電変換材料