JP6152301B2 - 定量方法およびプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、定量方法およびプログラムに関する。
ガスクロマトグラフ質量分析装置は、例えば特許文献1に示すように、試料注入部、分離カラム部、インターフェース部、質量分析部を含んで構成されている。一般的に分析装置の検出器の応答能は一定ではなく、すべての工程で不確かさを生じる。また、分析装置の検出器の応答能は、経時的にも変動しているため、定量には通常、試料測定毎の検量線の作成が要求される。
しかしながら、検量線作成は調製・測定・解析に多大な時間と労力を要するため、迅速な分析を妨げることとなる。このことから、迅速かつ精度の高い定量分析を可能とするための補正方法を構築する必要がある。
例えば、日本薬局方の一般試験法等では、ピーク面積又はピーク高さと標準被検成分量により検量線を作成する絶対検量線、内標準物質のピーク面積またはピーク高さに対する標準被検成分のピーク面積またはピーク高さの比と標準被検成分量により検量線を作成する内標準法が採用されている。これらの検量線を用いて、被検成分量を定量している。
絶対検量線法は一定量を再現性よく注入することが必要とされるが、一般にガスクロマトグラフ質量分析装置では、注入量が少量のため一定量の注入が難しい。そのため、試料の注入量の変動や検出感度の変動に伴う不確かさは、内標準法を採用することで、無視できるとされている。内標準法では、内標準物質と被検成分が常に同じ変動を示すことを前提として、被検成分と内標準物質との比を求めることにより装置の感度変動が相殺されるとされている。
しかしながら、実際には、モニターイオンが異なれば、装置(検出器)の検出感度の変動(経時的な変動、日内変動および日差変動)も異なる。そのため、内標準法を用いても、装置の検出感度の変動を補正して精度の高い定量値を得ることは困難であった。
特開2010−48556号公報
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、装置の検出感度の変動を補正して、精度の高い定量値を得ることができる定量方法およびプログラムを提供することができる。
(1)本発明に係る定量方法は、
クロマトグラフ質量分析装置を用いて複数の内標準物質を含む被検試料を測定して、当該被検試料の被検物質を定量する定量方法であって、
複数の前記内標準物質の各々について、内標準法により作成された検量線に基づいて前記被検試料の前記被検物質の定量値を算出し、複数の前記内標準物質の各々について算出された前記定量値を平均して、第1定量値を算出する工程と、
前記第1定量値を補正するための補正係数を算出する工程と、
前記第1定量値を前記補正係数で補正して、前記被検試料の前記被検物質の第2定量値を算出する工程と、
を含み、
前記検量線を作成するための測定は、標準試料で第1チューニングされたクロマトグラフ質量分析装置を用いて行われ、
前記被検試料の測定は、前記標準試料で第2チューニングされたクロマトグラフ質量分析装置を用いて行われ、
前記補正係数を算出する工程では、
前記第1チューニングの結果得られる前記標準試料の第1マススペクトルから算出された前記被検物質の定量イオンと前記内標準物質の定量イオンとの信号強度比、および前記第2チューニングの結果得られる前記標準試料の第2マススペクトルから算出された前記被検物質の定量イオンと前記内標準物質の定量イオンとの信号強度比に基づいて、前記補正係数を算出する。
このような定量方法によれば、複数の内標準物質を用いることにより、装置の検出感度の変動(経時的な変動、日内変動および日差変動)を精度よく補正することができ、高い定量精度を得ることができる。さらに、このような定量方法によれば、被検試料の被検物質の信号強度と被検試料の内標準物質の信号強度との比を、検量線作成時の状態に合わせることができる。したがって、例えば、検量線作成時の装置と、被検試料を測定したときの装置とが異なっている場合でも、装置間の変動を補正することができる。
(2)本発明に係る定量方法において、
前記第1定量値を算出する工程では、下記式により、前記第1定量値Qaveを算出してもよい。
Figure 0006152301
ただし、Pは前記被検試料の前記被検物質の定量イオンの信号強度であり、P(i=1、2、3、・・・、n)は前記被検試料の前記内標準物質の定量イオンの信号強度であり、Qは前記検量線から算出される前記被検試料の前記被検物質の定量値であり、nは前記被検試料の前記内標準物質の数である。
(3)本発明に係る定量方法において、
前記補正係数を算出する工程では、下記式により、前記補正係数kを算出してもよい。
Figure 0006152301
ただし、Rは前記第1マススペクトルから算出された前記被検物質の定量イオンの信号強度であり、R(i=1、2、3、・・・、n)は前記第1マススペクトルから算出
された前記内標準物質の定量イオンの信号強度であり、Sは前記第2マススペクトルから算出された前記被検物質の定量イオンの信号強度であり、S(i=1、2、3、・・・、n)は前記第2マススペクトルから算出された前記内標準物質の定量イオンの信号強度であり、nは前記内標準物質の数である。
(4)本発明に係る定量方法において、
前記第2定量値を算出する工程では、下記式により、前記第2定量値Mを算出してもよい。
Figure 0006152301
ただし、Qaveは前記第1定量値であり、kは前記補正係数である。
(5)本発明に係る定量方法において、
前記第1チューニングおよび前記第2チューニングは、DFTPPチューニングであってもよい。
(6)本発明に係る定量方法において、
第1定量値を算出する工程では、データベースに登録された前記検量線に基づいて、前記第1定量値を算出してもよい。
(7)本発明に係るプログラムは、
クロマトグラフ質量分析装置を用いて複数の内標準物質を含む被検試料を測定して、当該被検試料の被検物質を定量するプログラムであって、
複数の前記内標準物質の各々について、内標準法により作成された検量線に基づいて前記被検試料の前記被検物質の定量値を算出し、複数の前記内標準物質の各々について算出
された前記定量値を平均して、第1定量値を算出する第1定量値算出部と、
前記第1定量値を補正するための補正係数を算出する補正係数算出部と、
前記第1定量値を前記補正係数で補正して、前記被検試料の前記被検物質の第2定量値を算出する第2定量値算出部としてコンピューターを機能させ、
前記検量線の作成は、標準試料で第1チューニングされたクロマトグラフ質量分析装置を用いて行われ、
前記被検試料の測定は、前記標準試料で第2チューニングされたクロマトグラフ質量分析装置を用いて行われ、
前記補正係数算出部は、
前記第1チューニングの結果得られる前記標準試料の第1マススペクトルから算出された前記被検物質の定量イオンと前記内標準物質の定量イオンとの信号強度比、および前記第2チューニングの結果得られる前記標準試料の第2マススペクトルから算出された前記被検物質の定量イオンと前記内標準物質の定量イオンとの信号強度比に基づいて、前記補正係数を算出する。
このようなプログラムによれば、複数の内標準物質を用いることにより、装置の検出感度の変動を精度よく補正することができ、高い定量精度を得ることができる。さらに、このようなプログラムによれば、被検試料の被検物質の信号強度と被検試料の内標準物質との信号強度との比を、検量線作成時の状態に合わせることができる。したがって、例えば、検量線作成時の装置と、被検試料を測定したときの装置とが異なっている場合でも、装置間の変動を補正することができる。
本実施形態に係るクロマトグラフ質量分析装置の構成例を示す図。 検量線の一例を示すグラフ。 本実施形態に係るクロマトグラフ質量分析装置を用いた被検物質の定量分析工程の一例を示すフローチャート。 データベースを準備する工程の一例を示すフローチャート。 DFTPPのマススペクトルから第1関係式を算出する方法を説明するためのグラフ。 被検試料の測定を行う工程の一例を示すフローチャート。 定量計算部による定量計算処理の一例を示すフローチャート。 DFTPPチューニングにより得られたイオン強度の変動を示すグラフ。 DFTPPのマススペクトルから第1関係式を算出する方法の変形例を説明するためのグラフ。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. クロマトグラフ質量分析装置の構成
まず、本実施形態に係るクロマトグラフ質量分析装置の構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、クロマトグラフ質量分析装置100の構成例を示す図である。
ここで、クロマトグラフ質量分析装置とは、ガスクロマトグラフ(GC)または液体クロマトグラフ(LC)と、質量分析装置(MS)とを接続した装置である。すなわち、クロマトグラフ質量分析装置は、ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC/MS)または液体クロマトグラフ質量分析装置(LC/MS)である。本実施形態では、クロマトグラフ質量分析装置100がガスクロマトグラフ質量分析装置である場合について説明する。
クロマトグラフ質量分析装置100は、図1に示すように、ガスクロマトグラフ部10と、質量分析部20と、インターフェース部30と、定量計算部40と、を含んで構成されている。
クロマトグラフ質量分析装置100において、定量分析の対象となる被検物質を含む試料(以下「被検試料」ともいう)には、複数の内標準物質が添加される。すなわち、被検試料は、被検物質と、複数の内標準物質と、を含む。ここで、内標準物質とは、クロマトグラフ質量分析装置100に対する応答が被検物質と類似し、かつ、被検物質と分離測定可能な物質である。内標準物質としては、例えば、被検物質の安定同位体化合物、被検物質に化学的物理的性質が類似した物質等から選択される。複数の内標準物質は、例えば、互いに保持時間や定量イオンが異なる。複数の内標準物質は、それぞれ所定の濃度で添加される。
ガスクロマトグラフ部10は、試料注入部102と、分離カラム部104と、を有している。試料注入部102には、測定対象となる試料(試料ガス)が注入される。試料注入部102に注入された試料は、キャリアガスによって、分離カラム部104に移動する。
分離カラム部104は、試料に含まれる各成分を時間軸で分離する。分離された試料は、インターフェース部30を介して質量分析部20に導入される。
インターフェース部30は、ガスクロマトグラフ部10と質量分析部20とを接続して
いる。
質量分析部20は、分離された試料の各成分から生成したイオンを、四重極マスフィルター等により質量電荷比に応じて分離し検出する。質量分析部20では、この測定を短い時間間隔で繰り返すことにより、横軸を質量電荷比(m/z)とし、縦軸をイオン強度とするマススペクトルが作成される。また、質量分析部20は、複数のマススペクトルを得て、マススペクトルごとに特定の質量電荷比のピークに着目して、当該質量電荷比のイオン強度を時間軸方向に並べることにより、当該質量電荷比のイオンのマスクロマトグラムを作成する。質量分析部20で作成されたマススペクトルおよびマスクロマトグラムは、例えば、定量計算部40(処理部410)に送られ、記憶部440で記憶される。
クロマトグラフ質量分析装置100では、測定が行われる前に、チューニングが行われる。ここで、チューニングとは、成分の種類や濃度が既知である標準試料(以下「チューニング用標準試料」ともいう)を測定し、得られたマススペクトルに基づいて、クロマトグラフ質量分析装置の質量分解能の調整、感度の調整、および質量数の校正等の少なくとも1つを行うことをいう。
チューニング用標準試料は、例えば、DFTPP(デカフルオロトリフェニルホスフィン)である。チューニングは、例えば、DFTPPチューニングである。なお、チューニング用標準試料は、マススペクトルが既知の物質であれば特に限定されない。
チューニングで得られたチューニング用標準試料のマススペクトルは、例えば、定量計算部40(処理部410)に送られ、記憶部440で記憶される。
定量計算部40は、処理部(CPU)410と、操作部420と、表示部430と、記憶部440と、記録媒体450と、を含んで構成されている。定量計算部40は、例えば、パーソナルコンピューター(PC)などで実現することができる。
操作部420は、ユーザーによる操作に応じた操作信号を取得し、処理部410に送る処理を行う。操作部420は、例えば、ボタン、キー、タッチパネル型ディスプレイ、マイクなどである。
表示部430は、処理部410から入力される表示信号に基づいて、処理部410の処理結果等を文字やグラフその他の情報として表示するものである。例えば、表示部430には、処理部410で算出された定量値が表示される。表示部430は、例えば、CRT、LCD、タッチパネル型ディスプレイなどである。
記憶部440は、処理部410が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。また、記憶部440は、処理部410の作業領域として用いられ、操作部420から入力された操作信号、記録媒体450から読み出されたプログラムやデータ、処理部410が各種プログラムに従って実行した算出結果等を一時的に記憶するためにも使用される。記憶部440には、データベース442が記憶されている。なお、データベース442は、記録媒体450に記録されていてもよい。
データベース442には、定量分析の対象となる物質(被検物質)に関するデータが登録されている。登録されているデータは、例えば、被検物質の構造式、被検物質の保持時間、被検物質の主要なフラグメントイオン(定量イオンおよび確認イオン)、被検物質のマススペクトル、内標準法により作成された被検物質の検量線等である。データベース442には、複数の被検物質に関するデータが登録されている。これらのデータは、被検物質の定性および定量に用いられる。
ここで、定量イオンとは、試料に含まれる被検物質を定量する場合に、当該被検物質を特徴づけるイオンをいう。定量イオンは、例えば、当該被検物質の典型的なマススペクトルにおいて信号強度が最大となるピークに対応したイオンである。また、確認イオンは、定量イオンとは異なる質量電荷比を持つイオンであって、試料に含まれる被検物質を定量する場合に、当該被検物質を特徴づけるイオンである。なお、定量イオンおよび確認イオンは、任意に選択されることができる。
また、データベース442に登録される検量線は、内標準法により作成される。具体的には、既知の濃度の被検物質に既知の濃度の内標準物質が添加された標準試料を測定し、内標準物質と被検物質の信号強度比(被検物質の信号強度/内標準物質の信号強度)と被検物質の濃度との関係を検量線として作成する。図2は、検量線の一例を示すグラフである。図2では、横軸が被検物質の濃度であり、縦軸が被検物質と内標準物質との信号強度比P/P(被検物質の信号強度/内標準物質の信号強度)である。
さらに、データベース442には、検量線作成時のチューニングで得られたチューニング用標準試料のマススペクトル(以下「第1マススペクトル」ともいう)に基づいて作成される質量電荷比と信号強度との関係式(第1関係式)が登録されている。第1関係式は、後述する補正係数kを算出するための第1信号強度Rおよび第2信号強度Rを取得するために用いられる。
ここで、チューニングで得られたチューニング用標準試料のマススペクトルとは、クロマトグラフ質量分析装置がチューニングされた結果得られるチューニング用標準試料のマススペクトルである。
記録媒体450は、各種のアプリケーションプログラムやデータを記憶するための、コンピューター読み取り可能な記録媒体である。また、記録媒体450は、処理部410の処理により生成されたデータのうち、長期的な保存が必要なデータを記録する記録部としても機能するようにしてもよい。記録媒体450は、例えば、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、磁気テープ、メモリー(ROM、フラッシュメモリーなど)により実現することができる。
処理部410は、記憶部440に記憶されているプログラムや記録媒体450に記憶されているプログラムに従って、各種の計算処理を行う。
本実施形態では、処理部410は、記憶部440に記憶されているプログラムを実行することで、以下に説明する第1定量値算出部412、補正係数算出部414、第2定量値算出部416として機能する。あるいは、有線又は無線の通信ネットワークに接続されたサーバーから当該プログラムを受信し、記憶部440や記録媒体450に記憶させて実行するようにしてもよい。ただし、第1定量値算出部412、補正係数算出部414、および第2定量値算出部416の少なくとも一部をハードウェア(専用回路)で実現してもよい。
第1定量値算出部412は、複数の内標準物質の各々について、内標準法により作成された検量線に基づいて、被検試料の被検物質の定量値を算出し、複数の内標準物質の各々について算出された定量値を平均して、被検物質の定量値(第1定量値)を算出する処理を行う。具体的には、第1定量値算出部412は、下記式(1)により被検試料の被検物質の定量値Qaveを算出する処理を行う。
Figure 0006152301
ただし、Pは被検試料の被検物質の定量イオンの信号強度であり、P(i=1、2、3、・・・、n)は被検試料の内標準物質の定量イオンの信号強度であり、Qは内標準法により作成された検量線から算出される被検試料の被検物質の定量値であり、nは被検試料の内標準物質の数である。
ここで、第1定量値算出部412は、定量値Qを算出するにあたり、データベース442に登録された検量線を用いる。また、第1定量値算出部412は、被検物質の定量イオンの信号強度Pおよび内標準物質の定量イオンの信号強度Pを、記憶部440に記録された被検物質の定量イオンのマスクロマトグラム、および内標準物質の定量イオンのマスクロマトグラムから取得する。ここで、被検物質の定量イオンの信号強度Pとは、マスクロマトグラムにおける被検物質の定量イオンのピークの高さ、またはピークの面積をいう。内標準物質の定量イオンの信号強度Pとは、マスクロマトグラムにおける内標準物質の定量イオンのピークの高さ、またはピークの面積をいう。
補正係数算出部414は、第1定量値算出部412で算出された被検物質の定量値Qaveを補正するための補正係数を算出する処理を行う。ここで、当該補正係数は、被検試料を測定したときの装置の状態を、検量線を作成するための標準試料の測定を行ったときの装置の状態に合わせるための係数である。すなわち、当該被検試料の、被検物質と内標準物質との信号強度比を、検量線作成時の被検物質と内標準物質との信号強度比に合わせるための係数である。
補正係数算出部414は、検量線作成時のチューニング(以下「第1チューニング」ともいう)で得られたチューニング用標準試料のマススペクトル(第1マススペクトル)、および、被検試料測定時のチューニング(以下「第2チューニング」ともいう)で得られたチューニング用標準試料のマススペクトル(以下「第2マススペクトル」ともいう)に基づいて、補正係数を算出する処理を行う。具体的には、補正係数算出部414は、第1チューニングで得られた第1マススペクトルから算出された被検物質と内標準物質との信号強度比、および第2チューニングで得られた第2マススペクトルから算出された被検物質と内標準物質との信号強度比に基づいて、補正係数を算出する処理を行う。
より具体的には、補正係数算出部414は、下記式(2)により、補正係数kを算出する処理を行う。
Figure 0006152301
ただし、Rは第1マススペクトルから算出された被検物質の定量イオンの信号強度(第1信号強度)であり、R(i=1、2、3、・・・、n)は第1マススペクトルから算出された内標準物質の定量イオンの信号強度(第2信号強度)であり、Sは第2マススペクトルから算出された被検物質の定量イオンの信号強度(第3信号強度)であり、S
(i=1、2、3、・・・、n)は第2マススペクトルから算出された内標準物質の定量イオンの信号強度(第4信号強度)であり、nは内標準物質の数である。
ここで、第1信号強度Rおよび第2信号強度Rは、補正係数算出部414によってデータベース442に登録された第1関係式から算出される。具体的には、第1信号強度Rは、第1関係式から、被検物質の定量イオンの質量電荷比に相当する信号強度を求めることで得られる。また、第2信号強度Rは、第1関係式から、内標準物質の定量イオンの質量電荷比に相当する信号強度を求めることで得られる。
また、第3信号強度Sおよび第4信号強度Sは、補正係数算出部414によって第2関係式から算出される。第2関係式は、第2マススペクトルに基づいて作成される質量電荷比と信号強度との関係式である。第3信号強度Sは、第2関係式から、被検物質の定量イオンの質量電荷比に相当する信号強度を求めることで得られる。また、第4信号強度Sは、第2関係式から、内標準物質の定量イオンの質量電荷比に相当する信号強度を求めることで得られる。
第2定量値算出部416は、第1定量値算出部412が算出した定量値Qaveを、補正係数算出部414が算出した補正係数kで補正して、被検試料の被検物質の定量値(第2定量値)を算出する処理を行う。
具体的には、第2定量値算出部416は、下記式(3)により、被検試料の被検物質の定量値Mを算出する処理を行う。
Figure 0006152301
また、処理部410は、例えば、算出された被検試料の定量値Mを表示部430に表示する処理を行う。また、処理部410は、測定の結果や計算結果等をデータベース442に登録する処理を行ってもよい。
2. 被検物質の定量方法
次に、クロマトグラフ質量分析装置100を用いた被検物質の定量方法について説明する。図3は、クロマトグラフ質量分析装置100を用いた被検物質の定量分析工程の一例を示すフローチャートである。
図3に示すように、被検物質の定量方法は、データベース442を準備する工程S10と、被検試料を測定する工程S20と、被検物質を定量する工程S30と、を含む。
(1)データベースの準備
まず、データベース442を準備する(S10)。図4は、データベース442を準備する工程の一例を示すフローチャートである。以下、図1および図4を参照しながら、データベース442を準備する工程S10について説明する。
まず、クロマトグラフ質量分析装置100の立ち上げを行う(S100)。
次に、クロマトグラフ質量分析装置100は、ユーザーの操作に応じて、DFTPPチューニング(第1チューニング)を行う(S102)。
次に、第1チューニングされたクロマトグラフ質量分析装置100を用いて、検量線を
作成するための基礎データを取得する測定を行う(S104)。具体的には、まず、既知の濃度の被検物質に、所定の複数の内標準物質を既知の濃度で添加した標準試料の測定を行う。そして、標準試料の被検物質の濃度を段階的に変えて、測定を繰り返し行う。本工程S104は、複数の被検物質がある場合、被検物質ごとに行われる。
次に、基礎データに基づいて、内標準法により検量線を作成する(S106)。具体的には、例えば、処理部410が、工程S104の測定の結果得られたマスクロマトグラムから、被検物質と内標準物質との信号強度比(被検物質の信号強度/内標準物質の信号強度)と、被検物質の濃度との関係を求め、検量線を作成する(図2参照)。
次に、第1チューニングで得られたDFTPPのマススペクトルから第1関係式を算出する(S108)。図5は、DFTPPのマススペクトルから第1関係式を算出する方法を説明するためのグラフである。図5に示すように処理部410は、第1チューニングで得られたDFTPPのマススペクトルのフラグメントイオン(m/z69,131,219,414,502,614)とその信号強度をxy座標(x座標を質量電荷比、y座標を信号強度)にプロットし、質量電荷比と信号強度との関係式(第1関係式)を作成する。処理部410は、例えば、フラグメントイオンの質量電荷比とその信号強度から、最小二乗法等を用いて、第1関係式を作成する。処理部410は、作成された検量線および第1関係式を、データベース442に登録する(S110)。
なお、処理部410は、データベース442に、被検物質の構造式、被検物質の保持時間、被検物質の主要なフラグメントイオン(定量イオンおよび確認イオン)、被検物質のマススペクトルを登録する処理を行ってもよい。
以上の工程により、データベース442を準備することができる。
(2)被検試料の測定
次に、被検試料の測定を行う(S20)。図6は、被検試料の測定を行う工程の一例を示すフローチャートである。以下、図1および図6を参照しながら、被検試料の測定を行う工程S20について説明する。
まず、クロマトグラフ質量分析装置100の立ち上げを行う(S200)。
次に、クロマトグラフ質量分析装置100は、ユーザーの操作に応じて、DFTPPチューニング(第2チューニング)を行う(S202)。質量分析部20は、第2チューニングで得られたチューニング用標準試料の第2マススペクトルを、定量計算部40(処理部410)に送る。処理部410は、第2マススペクトルを記憶部440に記憶させる。
次に、チューニングされたクロマトグラフ質量分析装置100を用いて、被検試料の測定を行う(S204)。これにより、被検試料のマススペクトル、被検物質の定量イオンのマスクロマトグラム、および各内標準物質の定量イオンのマスクロマトグラムが得られる。質量分析部20は、これらのマススペクトルおよびマスクロマトグラムを、定量計算部40(処理部410)に送る。処理部410は、これらのマススペクトルおよびマスクロマトグラムを、記憶部440に記憶させる。
以上の工程により、被検試料の測定を行うことができる。
(3)被検物質の定量
次に、図3に示すように、被検物質の定量を行う(S30)。被検物質の定量は、定量計算部40によって行われる。図7は、定量計算部40による定量計算処理の一例を示す
フローチャートである。以下、図1および図7を参照しながら、被検物質の定量を行う工程S30について説明する。
まず、第1定量値算出部412は、複数の内標準物質の各々について、内標準法により作成された検量線に基づいて被検試料の被検物質の定量値を算出し、当該定量値を平均して、第1定量値Qaveを算出する処理を行う(S300)。
具体的には、第1定量値算出部412は、まず、記憶部440に記憶されている被検試料のマススペクトルから、被検物質の定量イオンの信号強度P、および内標準物質の定量イオンの信号強度Pを取得する処理を行う。次に、複数の内標準物質の各々について、データベース442に登録されている検量線を用いて、被検物質の定量イオンの信号強度P、および内標準物質の定量イオンの信号強度Pから、被検試料の被検物質の定量値Q(P/P)を算出する処理を行う。そして、内標準物質ごとの定量値Q(P/P)を平均して、被検物質の定量値Qaveを算出する処理を行う。すなわち、第1定量値算出部412は、上記式(1)により、被検物質の定量値Qaveを算出する処理を行う。
なお、第1定量値算出部412は、被検試料のマススペクトルを、データベース442を参照して定性し、被検物質を特定してもよい。
次に、補正係数算出部414は、第1チューニングで得られた第1マススペクトルから算出された被検物質と内標準物質との信号強度比(R/R)、および第2チューニングで得られた第2マススペクトルから算出された被検物質と内標準物質の信号強度比(S/S)に基づいて、補正係数kを算出する処理を行う(S302)。
具体的には、補正係数算出部414は、まず、データベース442に登録された第1関係式を用いて、第1信号強度Rおよび第2信号強度Rを算出する処理を行う。具体的には、図5に示すように、補正係数算出部414は、第1関係式を用いて被検物質の定量イオンの質量電荷比から第1信号強度Rを算出する。同様に、補正係数算出部414は、第1関係式を用いて内標準物質の定量イオンの質量電荷比から第2信号強度Rを算出する。次に、第2チューニングで得られたDFTPPの第2マススペクトルから第2関係式を作成する処理を行う。第2関係式を作成する処理は、具体的には、上述した第1関係式を作成する処理(S108、図5参照)と同様であり、第2チューニングで得られたDFTPPのマススペクトルのフラグメントイオン(m/z69,131,219,414,502,614)とその信号強度をxy座標にプロットし、質量電荷比と信号強度との関係式(第2関係式)を作成する。補正係数算出部414は、例えば、フラグメントイオンの質量電荷比とその信号強度から、最小二乗法等を用いて、第2関係式を作成する処理を行う。次に、第2関係式を用いて、第3信号強度Sおよび第4信号強度Sを算出する処理を行う。次に、上記式(2)により、補正係数kを算出する処理を行う。これにより、補正係数kを算出することができる。
次に、第2定量値算出部416は、第1定量値Qaveを補正係数kで補正して、被検試料の被検物質の定量値Mを算出する処理を行う(S304)。具体的には、第2定量値算出部416は、上記式(3)により、定量値Mを算出する処理を行う。
処理部410は、例えば、定量値Mを表示部430に表示させ、処理を終了する。
なお、ここでは、図3に示す、データベース442を準備する工程S10、および被検試料の測定を行う工程S20を、クロマトグラフ質量分析装置100で行う場合について説明したが、データベース442を準備する工程S10と、被検試料の測定を行う工程S
20とを異なるクロマトグラフ質量分析装置で行ってもよい。
以上に説明したように、本実施形態に係る定量方法では、複数の内標準物質の各々について、内標準法により作成された検量線に基づいて、被検試料の被検物質の定量値を算出し、当該定量値を平均して、第1定量値Qaveを算出する。これにより、装置の検出感度の変動を精度よく補正することができ、高い定量精度を得ることができる。ここで、装置の検出感度の変動とは、検出感度の経時的な変動をいい、日内変動および日差変動を含む。装置の検出感度の変動は、モニターイオンや保持時間が異なると、異なる場合がある。そのため、1つの内標準物質で校正を行った場合、装置の検出感度の変動を精度よく補正することは困難である。本実施形態では、複数の内標準物質の各々について定量値を算出し、当該定量値を平均しているため、1つの内標準物質で校正を行った場合と比べて、装置の検出感度の変動を精度よく補正することができる。
また、本実施形態に係る定量方法は、複数の内標準物質の各々について、内標準法により作成された検量線に基づいて被検試料の被検物質の定量値を算出し、当該定量値を平均して、第1定量値Qaveを算出する工程と、第1定量値Qaveを補正するための補正係数kを算出する工程と、第1定量値Qaveを補正係数kで補正して、被検試料の被検物質の第2定量値Mを算出する工程と、を含む。そして、補正係数kは、第1チューニングで得られた第1マススペクトルから算出される被検物質と内標準物質との信号強度比(R/R)、および第2チューニングで得られた第2マススペクトルから算出される被検物質と内標準物質との信号強度比(S/S)に基づいて、補正係数kを算出する。これにより、被検試料を測定したときの装置の状態を、検量線を作成するための標準試料の測定を行ったときの装置の状態に合わせることができる。すなわち、被検試料の被検物質と内標準物質との信号強度比(P/P)を、検量線作成時の被検物質と内標準物質との信号強度比に合わせることができる。したがって、例えば、データベース442を作成するための基礎データを取得した装置と、被検試料の測定を行った装置とが、異なる場合であっても、装置間の変動を補正することができ、高い定量精度を得ることができる。
また、本実施形態に係る定量方法によれば、上述のように装置間の変動を補正することができるため、試料測定ごとに検量線を作成しなくても、あらかじめデータベース442に登録された検量線を用いて、高い定量精度を得ることができる。したがって、高い精度が要求される定量分析においても、精度が高く、かつ、迅速な定量分析を行うことができる。
3. 実施例
被検物質として、多環芳香族炭化水素(PAH)を用いて、定量を行った。
ガスクロマトグラフ質量分析計の内標準物質は、認証標準物質である1,4−bis(trimethylsilyl)benzene−d(BTMSB,純度99.8±0.4w/w%)、diethyl phthalate(DEP, 純度99.98±0.09w/w%)、およびbisphenol−A(純度99.92±0.06w/w%)の3種を選定した。DFTPPチューニングを行った後、PAH18種および内標準物質の一斉分析でPAHに関する基礎データを集積してデータベースを作成した。その後、作成したデータベースの検量線および関係式を用いて被検物質の定量値を算出し、想定濃度に対する定量精度を検証した。
(1)検量線作成
検量線を作成するための標準試料は、PAHを18種混合した標準液と内標準物質を3種混合した標準液とを作製し、それぞれマイクロシリンジで精密にはかり、アセトンで受容した。PAHの検量線は、各内標準物質との相対比により作成した。すなわち、1被検
物質あたり、3本の検量線を作成した。
(2)装置
ガスクロマトグラフ質量分析装置は、Shimadzu GCMS−QP2010 Plusを用いた。
(3)ガスクロマトグラフ測定条件
カラムは、SGE forte GC Capillary Column BPX−5(0.25mm i.d.×30m,0.25μm)、注入方法は、スプリットレス、注入量は1μL、インサートは、片側テーパーウールあり、キャリアガスは、He、カラム温度は、45℃−30℃/min−190℃−2℃/min−200℃−15℃/min−260℃−5℃/min−315℃(10min)である。
(4)質量分析計条件
質量分析装置の測定条件は、イオン化法は、電子イオン化法(EI)、イオン化電圧は、70eV、インターフェース温度は、280℃、イオン源温度は、300℃、測定モードは、スキャンモード、スキャン範囲(m/z)は、50−550、定量イオン(m/z)は、BTMSBが211、DEPが149、bisphenol−Aが213である。
また、PAHの定量イオンは、表7に示す。
(5)装置の変動
図8は、DFTPPチューニングにより得られたイオン強度(ピークの高さ)の変動を示すグラフである。図8のグラフにおいて、縦軸は、各定量イオンの1日目の強度を100としたときの強度の割合、横軸は、経過日数である。
図8のグラフから、同一のチューニングを行っても、定量イオンの強度は、経時的に変化を生じ、同一のマススペクトルが得られないことを確認した。また、モニターイオンが異なれば、ガスクロマトグラフ質量分析計の検出感度のばらつきも異なることを確認した。
(6)装置変動の補正
データベースには、検量線作成時のチューニングにおける被検成分および内標準物質の強度比(R/R)を収載した。被検試料測定時の状態を補正するため、被検試料測定直前のチューニングデータより得られた被検成分および内標準物質の定量イオンの質量電荷比における強度比(S/S)を算出し、データベース中の比(R/R)を試料測定時の比で除したものを補正係数kとした。この補正係数kを、検量線を用いて内標準物質ごとに定量値を求め平均した定量値Qaveに乗じ、定量値M(Mave)とした。
ここでは、被検物質であるPAHの18種(表7参照)のうち、Naphthaleneの定量値Maveを算出する場合について具体的に説明する。
まず、PAH18種および内標準物質3種(BTMSB、DEP、bisphenol−A)を含む被検試料の測定結果から、式(1)を用いて、定量値Qaveを算出した。ここでは、内標準物質を3種類用いているため、式(1)は以下のように表される。
Figure 0006152301
ここで、信号強度Pとして、被検試料の測定結果から得られるNaphthaleneの定量イオン(m/z128)のピーク面積を用いた。また、信号強度Pとして、被検試料の測定結果から得られるBTMSBの定量イオンのピーク面積を用い、信号強度Pとして、被検試料の測定結果から得られるDEPの定量イオンのピーク面積を用い、信号強度Pとして、被検試料の測定結果から得られるbisphenol−Aの定量イオンのピーク面積を用いた。
また、定量値Q(P/P)は、信号強度Pおよび信号強度Pから、内標準法により作成された検量線を用いて算出した。定量値Q(P/P)は、信号強度Pおよび信号強度Pから、内標準法により作成された検量線を用いて算出した。定量値Q(P/P)は、信号強度Pおよび信号強度Pから、内標準法により作成された検量線を用いて算出した。このようにして、被検試料の測定結果から、定量値Qaveを算出した。
下記表1は、定量値Qaveを算出した結果を示している。なお、Naphthaleneの想定濃度は、1mg/Lである。表1に示すように、本実施例では、被検試料の5回の測定を1セットとして5セット行い、1回の測定ごとに定量値Qaveを算出した。そして、1セット(5回)の測定で得られた5つの定量値Qaveを平均して、1セットごとに5回平均の定量値Qave(平均定量値Qave)を算出した。なお、各セットの測定は、異なる日に行った。
Figure 0006152301
次に、式(2)を用いて、補正係数kを算出した。ここでは、式(2)は、下記のように表される。
Figure 0006152301
ここでは、まず、データベースから、検量線作成時のチューニングにおけるNaphthaleneの定量イオンとBTMSBの定量イオンとの強度比R/Rと、検量線作成時のチューニングにおけるNaphthaleneの定量イオンとDEPの定量イオンとの強度比R/Rと、検量線作成時のチューニングにおけるNaphthaleneの定量イオンとbisphenol−Aの定量イオンとの強度比R/Rを取得した。
データベースに収載されている強度比R/Rと、強度比R/Rと、強度比R/Rと、を表2に示す。
Figure 0006152301
なお、強度比R/R、強度比R/R、および強度比R/Rは、検量線作成時のDFTPPチューニングデータから、質量電荷比と信号強度との関係式を求めて算出したものである。
次に、被検試料測定直前のDFTPPチューニングデータから、質量電荷比と信号強度との関係式を求めて、Naphthaleneの定量イオンの信号強度S、BTMSBの定量イオンの信号強度S、DEPの定量イオンの信号強度S、および、bisphenol−Aの定量イオンの信号強度Sを算出した。その結果を表3に示す。なお、DFTPPチューニングは、1セットごとに行い、1セットごとに信号強度S,S,S,Sを算出した。
Figure 0006152301
次に、表3に示す結果から、NaphthaleneとBTMSBの信号強度比S/S、NaphthaleneとDEPの信号強度比S/S、Naphthaleneとbisphenol−Aの信号強度比S/Sを算出した。その結果を、表4に示す。
Figure 0006152301
次に、表2に示す強度比R/R、強度比R/R、および強度比R/Rと、表4に示す強度比S/S、強度比S/S、および強度比S/Sとから、式(2)を用いて、セットごとに補正係数kを算出した。
表5は、セットごとの補正係数kの算出結果を示している。
Figure 0006152301
次に、1セットごとの平均定量値Qave(表1参照)と、補正係数k(表5参照)から、式(3)を用いて、定量値Mを算出する。この結果を表6に示す。
Figure 0006152301
表6に示す結果から、5セットの平均定量値Maveを算出した。その結果、Naphthaleneの平均定量値Mave=0.95であり、相対標準偏差(RSD)は、12.5%であった。
同様にして、被検試料に含まれる他の化合物についても、平均定量値Maveおよび相対標準偏差(RSD)を算出した。その結果を、表7に示す。なお、表7に示す定量値は、平均定量値Maveである。
Figure 0006152301
(7)装置変動の補正の結果
検量線を作成した日とは別の日に、被検試料を測定し、データベースの検量線を用いて定量値Mを算出した。表7から明らかなように、想定濃度と定量値(日の異なる5回の試行の平均、平均定量値Mave)がよく一致している。また、日の異なる5回の試行の相対標準偏差(RSD)も小さく、定量値が想定濃度の20%以内と精確に定量できた測定は18種を5回試行した計90測定のうち93.3%であった。このように、精度の高い定量結果が得られることがわかった。
なお、上述した実施形態は、一例であってこれらに限定されるわけではない。
例えば、上述した実施形態では、図5に示すように、第1チューニングで得られたDFTPPのマススペクトルから、最小二乗法等を用いて、第1関係式を作成したが、第1関係式の算出方法はこれに限定されない。
図9は、DFTPPのマススペクトルから第1関係式を算出する方法の変形例を説明するためのグラフである。図9に示すように、例えば、第1チューニングで得られたDFTPPのマススペクトルのフラグメントイオン(m/z69,131,219,414,502,614)とその信号強度をxy座標(x座標を質量電荷比、y座標を信号強度)にプロットし、プロットされた隣り合う座標間を結ぶ直線を表す式を、第1関係式として用いてもよい。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
10…ガスクロマトグラフ部、20…質量分析部、30…インターフェース部、40…定量計算部、100…クロマトグラフ質量分析装置、102…試料注入部、104…分離カラム部、410…処理部、412…第1定量値算出部、414…補正係数算出部、416…第2定量値算出部、420…操作部、430…表示部、440…記憶部、442…データベース、450…記録媒体

Claims (7)

  1. クロマトグラフ質量分析装置を用いて複数の内標準物質を含む被検試料を測定して、当該被検試料の被検物質を定量する定量方法であって、
    複数の前記内標準物質の各々について、内標準法により作成された検量線に基づいて前記被検試料の前記被検物質の定量値を算出し、複数の前記内標準物質の各々について算出された前記定量値を平均して、第1定量値を算出する工程と、
    前記第1定量値を補正するための補正係数を算出する工程と、
    前記第1定量値を前記補正係数で補正して、前記被検試料の前記被検物質の第2定量値を算出する工程と、
    を含み、
    前記検量線を作成するための測定は、標準試料で第1チューニングされたクロマトグラフ質量分析装置を用いて行われ、
    前記被検試料の測定は、前記標準試料で第2チューニングされたクロマトグラフ質量分析装置を用いて行われ、
    前記補正係数を算出する工程では、
    前記第1チューニングの結果得られる前記標準試料の第1マススペクトルから算出された前記被検物質の定量イオンと前記内標準物質の定量イオンとの信号強度比、および前記第2チューニングの結果得られる前記標準試料の第2マススペクトルから算出された前記被検物質の定量イオンと前記内標準物質の定量イオンとの信号強度比に基づいて、前記補正係数を算出する、定量方法。
  2. 請求項1において、
    前記第1定量値を算出する工程では、下記式により、前記第1定量値Qaveを算出する、定量方法。
    Figure 0006152301
    ただし、Pは前記被検試料の前記被検物質の定量イオンの信号強度であり、P(i=1、2、3、・・・、n)は前記被検試料の前記内標準物質の定量イオンの信号強度であり、Qは前記検量線から算出される前記被検試料の前記被検物質の定量値であり、nは前記被検試料の前記内標準物質の数である。
  3. 請求項1または2において、
    前記補正係数を算出する工程では、下記式により、前記補正係数kを算出する、定量方法。
    Figure 0006152301
    ただし、Rは前記第1マススペクトルから算出された前記被検物質の定量イオンの信号強度であり、R(i=1、2、3、・・・、n)は前記第1マススペクトルから算出された前記内標準物質の定量イオンの信号強度であり、Sは前記第2マススペクトルから算出された前記被検物質の定量イオンの信号強度であり、S(i=1、2、3、・・・、n)は前記第2マススペクトルから算出された前記内標準物質の定量イオンの信号強度であり、nは前記内標準物質の数である。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、
    前記第2定量値を算出する工程では、下記式により、前記第2定量値Mを算出する、定量方法。
    Figure 0006152301
    ただし、Qaveは前記第1定量値であり、kは前記補正係数である。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、
    前記第1チューニングおよび前記第2チューニングは、DFTPPチューニングである、定量方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、
    第1定量値を算出する工程では、データベースに登録された前記検量線に基づいて、前記第1定量値を算出する、定量方法。
  7. クロマトグラフ質量分析装置を用いて複数の内標準物質を含む被検試料を測定して、当該被検試料の被検物質を定量するプログラムであって、
    複数の前記内標準物質の各々について、内標準法により作成された検量線に基づいて前記被検試料の前記被検物質の定量値を算出し、複数の前記内標準物質の各々について算出された前記定量値を平均して、第1定量値を算出する第1定量値算出部と、
    前記第1定量値を補正するための補正係数を算出する補正係数算出部と、
    前記第1定量値を前記補正係数で補正して、前記被検試料の前記被検物質の第2定量値
    を算出する第2定量値算出部としてコンピューターを機能させ、
    前記検量線の作成は、標準試料で第1チューニングされたクロマトグラフ質量分析装置を用いて行われ、
    前記被検試料の測定は、前記標準試料で第2チューニングされたクロマトグラフ質量分析装置を用いて行われ、
    前記補正係数算出部は、
    前記第1チューニングの結果得られる前記標準試料の第1マススペクトルから算出された前記被検物質の定量イオンと前記内標準物質の定量イオンとの信号強度比、および前記第2チューニングの結果得られる前記標準試料の第2マススペクトルから算出された前記被検物質の定量イオンと前記内標準物質の定量イオンとの信号強度比に基づいて、前記補正係数を算出する、プログラム。
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