JP6152129B2 - 開閉装置の機械式開閉体停止装置 - Google Patents

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本発明は、閉じ移動中の開閉体が障害物に当接したときにこの閉じ移動を機械的に停止させるための開閉装置の機械式開閉体停止装置に係り、例えば、シャッターカーテンが開閉体となっているシャッター装置や、開き戸装置、引戸装置、さらには、オーニング装置や、防煙垂れ幕装置等の各種の開閉装置に利用できるものである。
開閉装置となっていて、シャッターカーテンが上下方向に開閉移動する開閉体となっているシャッター装置では、シャッターカーテンの下方への閉じ移動中に、シャッターカーテンが障害物に当接したときには、シャッターカーテンの閉じ移動を停止させることが求められる。シャッターカーテンの下方への閉じ移動が、例えば、火災発生等の異常事態発生のために行われ、このときに停電になっていることがあるため、障害物に当接したシャッターカーテンの閉じ移動の停止を電気式に行うのではなく、機械式に行えるようにした従来の装置が下記の特許文献1に示されている。
この特許文献1の装置は、開閉体主部となっているカーテン主部と、このカーテン主部に対して可動に設けられたカーテン副部とを含んで構成されたシャッターカーテンが閉じ移動の途中で障害物に当接したときに、この閉じ移動を機械式に停止させるための装置であって、シャッターカーテンを通過してこのシャッターカーテンの開閉方向へ延びる長さを有している紐状体と、この紐状体に対して開閉移動するシャッターカーテンに配置され、シャッターカーテンの閉じ移動中に障害物に当接したカーテン副部がカーテン主部に対して移動することでシャッターカーテンと紐状体とを機械式に結合してシャッターカーテンの閉じ移動を停止させるための機械式結合手段と、を含んで構成されたものとなっている。
特開2008−223459号公報
上記装置では、機械式結合手段がシャッターカーテンに配置されているため、閉じ移動中のシャッターカーテンが障害物に当接したときには、この機械式結合手段により、シャッターカーテンと紐状体とを機械式に結合してシャッターカーテンの閉じ移動を停止させるためには、紐状体の少なくとも一部をシャッターカーテンの内部に収納配設しなければならない。
これによると、シャッター装置を設置現場で施工するときに、紐状体の一部をシャッターカーテンの内部に挿通させるなどの作業を行うことになり、この挿通長さが長い場合には、この作業に多くの手間と時間がかかることになり、このため、シャッターカーテンに対する紐状体の配設作業を容易に行えるようになる工夫が求められる。
本発明の目的は、開閉体に対する紐状体の配設作業を容易に行えるようになる開閉装置の機械式開閉体停止装置を提供するところにある。
本発明に係る開閉装置の機械式開閉体停止装置は、開閉体主部と、この開閉体主部に対して可動に設けられた開閉体副部とを含んで構成された開閉体が閉じ移動の途中で障害物に当接したときに、この閉じ移動を機械式に停止させるための開閉装置の機械式開閉体停止装置であって、前記開閉体を通過してこの開閉体の開閉方向へ延びる長さを有している紐状体と、この紐状体に対して開閉移動する前記開閉体に配置され、前記開閉体の閉じ移動中に前記障害物に当接した前記開閉体副部が前記開閉体主部に対して移動することで前記開閉体と前記紐状体とを機械式に結合して前記開閉体の閉じ移動を停止させるための機械式結合手段と、を含んで構成されている開閉装置の機械式開閉体停止装置において、前記紐状体は、第1紐状部材と、この第1紐状部材に第1紐状部材の長さ方向の途中部で連結され、少なくとも一部が前記開閉体の内部に収納配設されている第2紐状部材とを含む複数の紐状部材により構成されていることを特徴とするものである。
この装置では、紐状体は、第1紐状部材と、この第1紐状部材に第1紐状部材の長さ方向の途中部で連結された第2紐状部材とを含む複数の紐状部材により構成されているため、開閉体に対する紐状体の配設作業を、開閉体に対する第1紐状部材の配設作業と開閉体に対する第2紐状部材の配設作業とのように、複数の配設作業に分けて行えることになり、このため、開閉体に対する紐状体の配設作業に容易に行えるようになる。
また、第2紐状部材の少なくとも一部は開閉体の内部に収納配設されているため、紐状体を開閉体に配置されている機械式結合手段に紐状体を、第2紐状部材において到達させることができ、これにより、閉じ移動中の開閉体が障害物に当接したときに、この機械式結合手段により、開閉体と紐状体とを機械式に結合して開閉体の閉じ移動を停止させることができる。
なお、本発明において、開閉体の閉じ移動中に障害物に当接した開閉体副部が開閉体主部に対して移動することで開閉体と紐状体とを機械式結合手段により機械式に結合して開閉体の閉じ移動を停止させるための原理は、任意であり、この原理は、例えば、紐状体の一端を開閉体に対して不動となった不動部材に連結し、開閉体が紐状体に機械式結合手段により結合されることにより、紐状体に、開閉体が閉じ移動することに対して抵抗する緊張力が生ずることでもよく、あるいは、本発明に係る装置が、開閉体が紐状体に機械式結合手段により結合されることにより作動するブレーキ手段を備えている場合には、このブレーキ手段が、開閉体と紐状体とが機械式結合手段で結合されることでオン作動することにより、開閉体の閉じ移動を停止させることでもよい。
また、上述した紐状部材は、第1紐状部材と、第2紐状部材とにより構成してもよく、あるいは、第1紐状部材と、第2紐状部材と、この第2紐状部材と連結される第3紐状部材とにより構成してもよく、紐状体を構成する紐状部材の個数は、2個でもよく、3個以上でもよい。
さらに、以上の本発明において、第1紐状部材の全部を開閉体の内部に収納配設せずに、第2紐状部材の一部又は全部を開閉体の内部に収納配設してもよく、あるいは、第1紐状部材の前記途中部を開閉体の内部に収納配設し、第2紐状部材の全部を開閉体の内部に収納配設してもよい。
後者によると、第1紐状部材の配置位置から機械式結合手段の配置位置までの距離が長くなっていても、機械式結合手段に紐状体を、全部が開閉体の内部に収納配設されている第2紐状部材により到達させることができる。
なお、上述のように第2紐状部材の一部又は全部を開閉体の内部に収納配設するための作業は、開閉装置が設置現場で施工される前に、例えば、工場において行ってもよく、開閉装置が設置現場で施工されるときに又は施工後に行ってもよい。
また、第1紐状部材の途中部が開閉体の内部に収納配設され、この途中部で第1紐状部材に連結される第2紐状部材の全部が開閉体の内部に収納配設される場合には、開閉体の内部に、第1紐状部材の途中部をこの開閉体の内部に収納配設するときに案内するための案内部を設けることが好ましい。
これによると、第1紐状部材の途中部をこの開閉体の内部に収納配設するための作業を、案内部の案内作用により容易に行えるようになる。
また、開閉体が、この開閉体の幅方向両側の端部が一対のガイド部材に案内されて開閉移動自在となっている場合には、第1紐状部材の少なくとも一部を、一対のガイド部材のうち、一方のガイド部材の内部に収納配設してもよい。
これによると、第1紐状部材の少なくとも一部を、一方のガイド部材により外力から保護することができるようになる。
また、本発明において、第1紐状部材にこの第1紐状部材の長さ方向の途中部で第2紐状部材を連結することは、任意な構造、形式により行うことができ、その一例は、第1紐状部材と第2紐状部材を、同軸的に結合されている2個の回転部材のうち、一方の回転体に第1紐状部材の途中部を掛け回して他方の回転部材に第2紐状部材を掛け回すことにより、連結することである。
このように第1紐状部材にこの第1紐状部材の長さ方向の途中部で第2紐状部材を連結する場合には、第1紐状部材及び前記第2紐状部材はローラチェーンで、2個の回転部材はスプロケットホイールであってもよく、あるいは、第1紐状部材及び前記第2紐状部材はベルトで、2個の回転部材はプーリであってもよく、あるいは、第1紐状部材及び前記第2紐状部材はワイヤーで、2個の回転部材はプーリであってもよい。
また、本発明に係る機械式結合手段は、開閉体の閉じ移動中に障害物に当接した開閉体副部が開閉体主部に対して移動することで開閉体と紐状体とを機械式に結合して開閉体の閉じ移動を停止させることができるものであれば、任意な構造、形式のものでよく、その一例の機械式結合手段は、紐状体に対する開閉体の開閉移動により回転する回転体と、開閉体の閉じ移動中に障害物に当接した開閉体副部が開閉体主部に対して移動することで運動する運動部材とを含んで構成され、この運動部材が回転体の回転を阻止することにより開閉体の閉じ移動を停止させるようにするものである。
本発明に係る機械式結合手段を、このような回転体と運動部材とを含んで構成する場合において、回転体の一例は、ラチェットホイールであり、運動部材の一例は、このラチェットホイールの歯に先端が係合するラチェット部材である。
また、このように回転体をラチェットホイールとし、運動部材を、このラチェットホイールの歯に先端が係合するラチェット部材する場合には、このラチェット部材を揺動中心部を中心として揺動自在とするとともに、このラチェット部材を、ラチェットホイールの回転中心軸の位置に対して一方の側から他方の側へラチェットホイールを避けて延びる長さを有するものとし、開閉体が閉じ移動するときにおけるラチェット部材が配設されている側でのラチェットホイールの回転方向を前記一方の側から前記他方の側への方向とすることにより、ラチェット部材の前記先端が係合するラチェットホイールの歯を前記他方の側の歯としてよい。
これによると、開閉体が閉じ移動するときのラチェットホイールの回転方向は、ラチェット部材が配設されている側では、前記一方の側から前記他方の側への方向となり、開閉体の閉じ移動中に障害物に当接したときに、ラチェット部材の先端が係合するラチェットホイールの歯は前記他方の側の歯になるため、さらに開閉体が閉じ移動しようとすると、ラチェット部材の先端はラチェットホイールの歯に一層深く係合することになり、このため、開閉体の閉じ移動を有効に停止させることができる。
さらに、本発明において、開閉体が上下方向に開閉移動し、この開閉体が、この開閉体の幅方向両側の端部が一対のガイド部材に案内されて開閉移動自在になっていて、開閉体の重量が下向きに作用する第1紐状部材が上下方向に延びている場合には、開閉体の厚さ方向における第1紐状部材の配設位置を、この開閉体の厚さ方向における開閉体重心位置と一致又は略一致する位置としてよい。
これによると、開閉体の重量が下向きに作用する第1紐状部材についての開閉体の厚さ方向における配置位置は、この開閉体の厚さ方向における開閉体重心位置と一致又は略一致する位置となるため、第1紐状部材により重量が支持される開閉体の厚さ方向における重量バランスが良好となり、このため、開閉体が、この開閉体の幅方向両側の端部が一対のガイド部材に案内されて開閉移動するときに、開閉体の幅方向両側の端部がガイド部材に擦れながら移動することを抑制することができる。
以上説明した本発明は、開閉移動する開閉体を有するものであれば、任意な開閉装置に適用することができる。その一例は、シャッターカーテンが開閉体となっているシャッター装置であり、また、本発明は、開き戸装置や、引戸装置、さらには、オーニング装置や、防煙垂れ幕装置等の各種の開閉装置にも適用することができる。
また、本発明をシャッター装置に適用する場合には、このシャッター装置は、通常時にはシャッターカーテンが全開となっていて、火災発生等の異常事態発生時にシャッターカーテンが閉じ移動する防災用シャッター装置でもよく、あるいは、操作装置の操作によりシャッターカーテンが閉じ移動、開き移動、移動停止を行う管理用シャッター装置でもよく、さらには、管理及び防災併用シャッター装置でもよい。
また、本発明がシャッター装置に適用される場合において、シャッターカーテンの少なくとも一部を構成する部材は、スラットでもよく、シートでもよく、パネルでもよく、リンクで連結されたパイプでもよく、ネット等もよく、さらには、これらのうちの少なくとも2個の組み合わせでもよい。
したがって、本発明における前述した開閉体構成部材は、シャッター装置の場合には、スラットでもよく、シートでもよく、パネルでもよく、リンクで連結されたパイプでもよく、ネット等もよく、さらには、これらのうちの少なくとも2個の組み合わせでもよい。
本発明によると、開閉体に対する紐状体の配設作業を容易に行えるようになるという効果を得られる。
図1は、本発明の一実施形態に係る管理及び防災併用開閉装置となっている管理及び防災併用シャッター装置の全体を示す正面図である。 図2は、図1で示されている開閉機の内部構造を示す断面図である。 図3は、図1で示されている左右のガイドレールのうち、緊張力付与手段が内部に配置されている一方のガイドレールの一部を破断して示した正面図である。 図4は、図3のS4−S4線断面図である。 図5は、図3及び図4で示されている緊張力付与手段の分解斜視図である。 図6は、図1のS6−S6線断面図である。 図7は、閉じ移動中のシャッターカーテンが障害物に当接したときを示す図6と同様の図である。 図8は、図1で示されているシャッターカーテンとローラチェーンとを機械式に結合する機械式結合装置を示す正面図である。 図9は、機械式結合装置の内部構造を示す図であって、シャッターカーテンとローラチェーンとが機械式に結合される前の状態を示す正面図である。 図10は、機械式結合装置の内部構造を示す図であって、シャッターカーテンとローラチェーンとが機械式に結合されたときの状態を示す正面図である。 図11は、図9及び図10で示されているラチェット部材についての別実施形態を示す図であって、図10と同様の図のうちの一部を拡大した図である、 図12は、図1で示されているローラチェーンの配置位置が、シャッターカーテンの厚さ方向におけるシャッターカーテン重心位置と一致又は略一致する位置となっていることを示すシャッターカーテンの側面図である。 図13は、図1で示されている左右一対のガイドレールのうち、一方のガイドレールの上部を示す正面図である。 図14は、図13のS14−S14線断面図である。 図15は、図13のS15−S15線断面図である。 図16は、図13で示されている案内ローラと同じく、シャッターカーテンの構成部材であるスラットが許容値以上に横スライドすることを防止するための部材を、もう1本のガイドレールにも設けた実施形態を示す正面図である。 図17は、図1に示されている自動閉鎖装置と遅延装置を拡大して示す正面図である。 図18は、図1に示されている自動閉鎖装置の内部構造を示す平面図である。 図19は、火災が発生したことで自動閉鎖装置のソレノイドが通電、励磁されたときを示す図18と同様の図である。 図20は、自動閉鎖装置のソレノイドの通電、励磁が停止されたときを示す図18と同様の図である。 図21は、閉じ移動中のシャッターカーテンが障害物に当接したときを示す図18と同様の図である。 図22は、図1に示されている遅延装置の内部構造を示す平面図である。 図23は、本実施形態に係るシャッター装置が管理用シャッター装置となっているときに、閉じ移動中のシャッターカーテンが障害物に当接し、図8で示すローラチェーンにシャッターカーテンカーテンの重量による緊張力が作用したときを示す図22と同様の図である。 図24は、本実施形態に係るシャッター装置が防災用シャッター装置となっているときに、火災の発生により、自動閉鎖装置の第1スライド部材の前端が図18のC位置に達したときにおける遅延装置の第2スライド部材の位置を示す図22と同様の図である。 図25は、図24の後に、閉じ移動中のシャッターカーテンが障害物に当接したときを示す図22と同様の図である。 図26は、図25の後に、障害物が除去された後を示す図22と同様の図である。 図27は、本実施形態に係るシャッター装置が防災用シャッター装置となっているときと防災用シャッター装置となっているときの両方において、遅延装置が作動するようにした実施形態を示す図22と同様の図である。 図28は、図8で示されている実施形態の機械式結合装置とは異なる構造となっている機械式結合装置と、U字状に折り返されたロック用ワイヤー部材とが用いられたシャッター装置を示す図1と同様の図である。 図29は、ロック用ワイヤー部材を巻き取り、繰り出すための図28で示されている処理装置を示す正面図である。 図30は、シャッターカーテンとロック用ワイヤー部材を結合する前の機械式結合装置の内部構造を示す正面図である。 図31は、シャッターカーテンとロック用ワイヤー部材を結合した後の機械式結合装置の内部構造を示す正面図である。 図32は、ロック用ワイヤー部材がL字状に折り曲げられた実施形態を示す図1と同様の図である。
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る開閉装置は、開閉体がシャッターカーテンとなっているシャッター装置であって、管理及び防災併用シャッター装置である。すなわち、本実施形態に係るシャッター装置は、火災等の異常事態が発生していない通常時において、シャッターカーテンが、建物等の構造物に設けられている出入口等の空間部を開閉するために、操作装置の操作により開閉移動及び停止の動作を行う管理用シャッター装置としての機能と、火災等の異常事態が発生したときにおいて、防煙等の防災機能を有しているシャッターカーテンが閉じ移動することにより、このシャッターカーテンにより上述の構造物に防災区画を形成するための防災用シャッター装置としての機能と、を有している。
図1には、本実施形態に係るシャッター装置の全体の正面図が示されている。この図1は、開閉移動方向が上下方向になっていて、下向きに閉じ移動するシャッターカーテン1が途中まで閉じたときを示している。シャッターカーテン1で開閉される空間は、建物に形成された出入口2であり、この出入口2は、壁等の左右の建物躯体3と、全閉となったときのシャッターカーテン1の下端部が当たる相手部材となっている床4と、天井部材5とで囲まれている。左右の建物躯体3には、シャッターカーテン1の左右方向の両端部、言い換えると、シャッターカーテン1の幅方向の両端部がスライド自在に挿入された左右一対のガイドレール6が取り付けられており、ガイド部材となっているこれらのガイドレール6に案内されてシャッターカーテン1は上下に開閉移動する。
出入口2に対して天井部材5で仕切られている天井裏空間7には、巻取軸8が水平に配設されており、シャッターカーテン1を巻き取り、繰り出すための部材となっているこの巻取軸8は、天井裏空間7に存在する下がり壁等の構造物躯体に取り付けられている左右一対のブラケット9により回転自在に支持されている。また、左右一対のブラケット9のうち、一方のブラケット9Aには、取付部材10を介して開閉機11が取り付けられ、この開閉機11の駆動軸12は、ローラチェーンとスプロケットホイール等による駆動力伝達手段13を介して巻取軸8に接続されているため、駆動軸12の回転は巻取軸8に伝達される。したがって、開閉機11は、巻取軸8を回転させるための駆動装置となっている。
また、シャッターカーテン1の上端は巻取軸8の外周面に結合されており、シャッターカーテン1における巻取軸8より下側の部分は、天井部材5に配置されているまぐさ14に設けられたスリットを通って天井部材5の下側へ垂下され、さらに、シャッターカーテン1の幅方向の両端部は、巻取軸8の下方において、シャッターカーテン1の幅方向両側に配置されている左右一対のガイドレール6に上述のようにスライド自在に挿入されている。まぐさ14は、シャッターカーテン1の厚さ方向にすき間を明けて互いに対向する2つの部分を有し、このすき間にシャッターカーテン1が上下に挿通されており、したがって、このすき間が上述のスリットとなっている。
図2は、開閉機11の内部構造を示す断面図である。この図2に示されているように、開閉機11は、直流又は交流の電動モータ手段15とブレーキ手段16とが軸方向に並設されたものとなっており、上述の駆動軸12は、電動モータ手段15の回転する回転子15Aの中心に固定配置された回転軸となっている。この駆動軸12におけるブレーキ手段16側の端部には、円盤状のブレーキシュー17が結合されている。ブレーキ手段16には、軸方向に一定距離だけスライド自在となっているブレーキ軸18が設けられ、このブレーキ軸18には、ブレーキシュー17と軸方向に対面するブレーキドラム19が結合されている。通常時のブレーキ軸18及びブレーキドラム19は、ばね20で電動モータ手段15側へ押圧されており、このため、ブレーキシュー17とブレーキドラム19との圧接によりブレーキ手段16はオン作動している。したがって、このときの電動モータ手段15の駆動軸12は、ブレーキ手段16の制動力によって回転しない。
一方、ブレーキ手段16に配置されているソレノイド21に通電されたときには、このソレノイド21の磁力により、ブレーキ軸18及びブレーキドラム19はばね20に抗して電動モータ手段15から離れる方向へスライドする。このため、ブレーキシュー17とブレーキドラム19との圧接が解除され、ブレーキ手段16はオフ作動する。したがって、このときには、電動モータ手段15の駆動軸12は、コイル22への通電により回転できることになる。
図1で示した左右の建物躯体3のうち、一方の建物躯体3Aには、シャッターカーテン1を出入口2に対して上向きに開き移動させることと、下向きに閉じ移動させることと、移動を停止させることとを行わせるための操作装置24が取り付けられている。この操作装置24には、「開」ボタンと、「閉」ボタンと、「停」ボタンとが設けられている。また、開閉機11には、この開閉機11を電気的に制御するための制御装置25が接続されており、この制御装置25は、本実施形態では、前述したブラケット9Aに配置されている。そして、制御装置25は、リレーやスイッチ等で構成された制御回路、あるいは、プログラムにしたがって作動するコンピュータにより構成されている。なお、制御装置25は、ブラケット9Aではなく、例えば、開閉機11等に取り付けてもよい。
さらに、本実施形態のシャッターカーテン1は、シャッターカーテン1の大部分の面積を占めていて、上端が巻取軸8に結合されているカーテン本体1Aと、このカーテン本体1Aの下端部に設けられた座板1Bとを有するものとなっている。本実施形態のカーテン本体1Aは、多数のスラットを上下に連設することによって形成されている。カーテン本体1Aは、本実施形態における開閉体本体となっており、座板1Bは、本実施形態におけるエンド部材となっている。
座板1Bが前述の天井部材5に配置されたまぐさ14の高さ位置に達しているシャッターカーテン1の全開時に、又は、座板1Bが図1に示すようにまぐさ14と床4との間の途中位置に達しているシャッターカーテン1の半閉状態(半開状態)のときに、「閉」ボタンが操作されると、この「閉」ボタンからの信号を受ける制御装置25によりブレーキ手段16のソレノイド21に通電されるため、ブレーキ手段16はオフ作動する。これにより、シャッターカーテン1は、シャッターカーテン1の自重により巻取軸8及び駆動軸12を正回転させて巻取軸8から下向きに繰り出され、これにより閉じ移動したシャッターカーテン1が全閉位置に達すると、この全閉位置を検知した図示しないセンサからの信号を受ける制御装置25により、ソレノイド21への通電は遮断され、ブレーキ手段16はばね20でオン作動に復帰する。また、シャッターカーテン1が全閉となっているときに、又は、座板1Bが図1に示すようにまぐさ14と床4との間の途中位置に達しているシャッターカーテン1の半開状態(半閉状態)のときに、「開」ボタンが操作されると、この「開」ボタンからの信号を受ける制御装置25によりブレーキ手段16のソレノイド21に通電されるため、ブレーキ手段16がオフ作動するとともに、制御装置25により電動モータ手段15のコイル22に通電される。このため、駆動軸12は逆回転し、この回転は前述の駆動力伝達手段13を介して巻取軸8に伝達され、巻取軸8の逆回転により、シャッターカーテン1は巻取軸8に巻き取られて開き移動する。シャッターカーテン1が全開位置に達すると、この全開位置を検知した図示しないセンサからの信号を受ける制御装置25により、ソレノイド21への通電は遮断され、ブレーキ手段16がばね20でオン作動するとともに、制御装置25によりコイル22への通電が遮断される。
また、シャッターカーテン1が自重で閉じ移動している途中で「停」ボタンが操作されると、この「停」ボタンからの信号を受ける制御装置25により、ソレノイド21への通電は遮断されるため、ブレーキ手段16がばね20でオン作動することにより、シャッターカーテン1はその位置で停止する。さらに、シャッターカーテン1が、電動モータ手段15の駆動軸12の逆回転により開き移動している途中で「停」ボタンが操作されると、この「停」ボタンからの信号を受ける制御装置25により、ソレノイド21への通電は遮断されるため、ブレーキ手段16がばね20でオン作動するとともに、制御装置25により、電動モータ手段15のコイル22への通電が遮断されて駆動軸12の逆回転が停止し、これにより、シャッターカーテン1はその位置で停止する。
以上の説明は、本実施形態に係る管理及び防災併用シャッター装置が管理用シャッター装置として用いられている場合であり、この管理用シャッター装置の場合には、上述のように操作装置24が操作されることにより、シャッターカーテン1は閉じ移動、開き移動、移動停止を行う。
なお、上述のように管理用シャッター装置のシャッターカーテン1が、操作装置24の操作により、閉じ移動、開き移動、移動停止を行うときには、図22で示されている後述の遅延装置27に設けられているスイッチ手段159が、図22で説明するように、オフとなっているときである。
また、以上の説明から分かるように、開閉移動するシャッターカーテン1に対して、前述の床4やガイドレール6、まぐさ14等は不動となっているため、これらの床4、ガイドレール6、まぐさ14等は、シャッターカーテン1に対する不動部材となっている。
なお、前述のように正逆回転する巻取軸8に、シャッターカーテン1の閉じ移動中に戻し力が蓄圧されるねじりコイルばねやぜんまいばねによる戻しばねを設けておき、シャッターカーテン1の上向きの開き移動を、この戻しばねに蓄圧された戻し力を補助力として利用して行うようにしてもよい。
図2に示されているとおり、開閉機11には、ブレーキ軸18における電動モータ手段15側とは反対側の端部において、レバー部材31が配置されている。このレバー部材31はブレーキ軸18を貫通したものであって、ブレーキ軸18を境界として区分される第1部分31Aと第2部分31Bとからなる。第1部分31Aには第1屈曲部31Cが形成され、第2部分31Bには第2屈曲部31Dが形成されている。第1部分31AにA方向、すなわち、電動モータ手段15側とは反対側の方向への荷重が作用したときには、第1部分31Aが第2屈曲部31Dを支点としてA方向へ揺動するため、ブレーキ軸18及びブレーキドラム19は、A方向と同じ方向であるA’方向へスライドする。このため、ソレノイド21に通電しなくても、ブレーキ手段16をオフ作動させることができる。
このように第1部分31AにA方向への荷重が作用することは、後述の説明で明らかになるように、図1及び図2に示され、開閉機11に取り付けられている自動閉鎖装置26によって行われる。この自動閉鎖装置26は、シャッターカーテン1を駆動させる駆動装置になっている開閉機11を機械式に制御するための機械式制御装置となっている。
また、第2部分31BにA方向と同じ方向の荷重が作用したときには、第2部分31Bが第1屈曲部31Cを支点としてA方向と同じ方向へ揺動するため、この場合にも、ブレーキ軸18及びブレーキドラム19は、A’方向へスライドする。このため、このときにもソレノイド21に通電しなくても、ブレーキ手段16をオフ作動させることができる。
このように第2部分31BにA方向と同じ方向の荷重を作用させることは、手作業により行うことができる。このため、この実施形態に係る開閉機11は、手操作によってもブレーキ手段16をオフ作動させることができるようになっている。なお、第2部分31Bは、第2屈曲部31Dを残して省略してもよい。
図1に示されているように、自動閉鎖装置26は、開閉機11の上部に載置固定されており、この自動閉鎖装置26の上部には、上述の遅延装置27が載置固定されている。この遅延装置27の機能は、後述の説明で明らかになる。開閉機11は、前述したように、巻取軸8を回転自在に支持する左右のブラケット9のうち、一方のブラケット9Aに取り付けられているため、自動閉鎖装置26と遅延装置27も、開閉機11を介してこのブラケット9Aに取り付けていることになる。
そして、開閉機11を電気的に制御するための装置となっている上述の制御装置25には、図1に示されているように、異常事態である火災の発生を検知するための検知装置となっている火災センサ28が電気的に接続されている。
また、図1に示されているように、左右のガイドレール6のうち、ブラケット9Aと同じ側のガイドレール6Aの内部には、ローラチェーン32が上下に挿入されている。このローラチェーン32は、後述の説明で明らかになるとおり、閉じ移動中のシャッターカーテン1の下側に障害物33が存在し、この障害物33に当接したときのシャッターカーテン1の重量を遅延装置27に伝達するための紐状部材となっている。ローラチェーン32の下端部には、ローラチェーン32に緊張力を付与するための緊張力付与手段34が設けられ、ローラチェーン32を下向きに引っ張っているこの緊張力付与手段34は、ガイドレール6Aの一部を破断した正面図となっている図3に示されている。
図3に示されているように、この緊張力付与手段34は、前述した不動部材となっていて、シャッターカーテン1の開閉移動を案内するガイド部材となっているガイドレール6Aの内部に配置されている。このため、緊張力付与手段34をガイドレール6Aにより外力から保護することができ、緊張力付与手段34の安全性を確保できるようになっている。
また、緊張力付与手段34は、ガイドレール6Aの内面底部に取り付けられたベース体35と、このベース体35に取り付けられた弾性部材となっている板ばね36とを含んで形成されている。ベース体35は、ビス等の止着具37でガイドレール6Aの内面底部に止着されたベース部材38と、このベース部材38にビス等の止着具39により、ガイドレール6Aの深さ方向(シャッターカーテン1の幅方向のうちの外側方向)に延出して取り付けられた延出部材40とを有するものとなっている。そして、止着具39によるベース部材38への延出部材40の止着は、ベース部材38に下向きにV字状に突出して形成された突出部38Aに、延出部材40に下向きにV字状に突出して形成された突出部40Aを載せ、これらの突出部38Aと40Aとを止着具39で止着することにより行われている。
この止着具39が止着する突出部38Aと40Aにおける部分は、ガイドレール6Aの深さ方向に向かって斜め上向きとなっている部分38B,40Bである。
また、板ばね36は、両方の端部36A,36Bが上下となったU字状に折り曲げ形成されており、上側の端部36Aは、ビス等の止着具41で延出部材40の下面に止着されているとともに、下側の端部36Bは、延出部材40と同じ方向へ上側の端部36Aよりも延出している。
図4は、図3のS4−S4線断面図であり、また、図5は、緊張力付与手段34の分解斜視図である。これらの図4及び図5に示されているように、延出部材40の先部には二股部40Cが形成されており、この二股部40Cの開口部40Dに、図4に示されているように、紐状部材となっているローラチェーン32の下端部が挿入されている。また、板ばね36の下側の端部36Bにも二股部36Cが形成されており、延出部材40の二股部40Cの開口部40Dの下側に配設されているこの二股部36Cの開口部36Dにも、ローラチェーン32が挿入されている。しかし、この二股部36Cの開口部36Dの大きさは、延出部材40の二股部40Cの開口部40Dの大きさよりも小さくなっている。このため、ローラチェーン32の構成部材であるリンク32A同士を連結しているピン32Bの両方の端部32Cには、板ばね36の二股部36Cが上から係止している。
板ばね36の下側の端部36Bは、図3及び図5で示すこの板ばね36のU字部36Eの弾性力により、下向きの弾圧力を有している。このため、ローラチェーン32には、弾性部材となっている板ばね36の弾性力による下向きの緊張力が常時作用している。
図6は、図1のS6−S6線断面図であり、この図6には、シャッターカーテン1の前述した座板1Bの内部構造が示されている。シャッターカーテン1は、前述したように、シャッターカーテン1の大部分の面積を占めていて、本実施形態における開閉体本体となっているカーテン本体1Aと、図6に示されているように、このカーテン本体1Aの下端部に設けられ、本実施形態におけるエンド部材となっている座板1Bとを有する。また、座板1Bは、カーテン本体1Aの下部に固定された固定部50Aと、この固定部50Aの下側に配置され、固定部50Aに対して上下方向に移動可能となっている可動部50Bとからなる。
また、本実施形態のシャッターカーテン1は、図6で示されているように、カーテン主部51Aと、カーテン副部51Bとを有し、カーテン主部51Aは、カーテン本体1Aと、座板1Bのうちの固定部50Aとによって構成されており、カーテン副部51Bは、座板1Bのうちの可動部50Bによって構成されている。すなわち、カーテン副部51Bと可動部50Bは、同じである。この可動部50Bは、1個の部材によって形成されており、この1個の部材によって形成されているカーテン副部51Bは、シャッターカーテン1の閉じ側の端部に配置されている。そして、カーテン主部51Aは、本実施形態における開閉体主部となっており、カーテン副部51Bは、本実施形態における開閉体副部となっている。
図6に示されているように、座板1Bの固定部50Aは、共に断面箱型となった内外の部材45,46で形成され、外部材45は、シャッターカーテン1の厚さ方向に分割配置された2個の分割部材45A,45Bで形成されており、これらの分割部材45A,45Bは、これらの分割部材45A,45Bに設けられている立上り部45C、45Dにおいて、カーテン本体1Aの下端部にボルト、ナット等による結合具47で結合されている。また、固定部50Aの下面は開口部48となっており、この開口部48から座板1Bの可動部50Bの立上り部49の上端が固定部50Aの内部空間に挿入され、可動部50Bは固定部50Aに対して上下移動可能となっている。そして、立上り部49の上端には、シャッターカーテン1の厚さ方向外側へ延出する延出部49A,49Bが形成され、これらの延出部49A,49Bが、図6に示されているように、固定部50Aの内部材46の下端に形成された突片部46A,46Bの上面に乗ることにより、固定部50Aに対する可動部50Bの下側への移動限が規定される。
固定部50Aの内部には、シャッターカーテン1の幅方向に延びる支点軸52を中心に上下に揺動自在となった揺動部材53が収納されている。図7で示されているように可動部50Bが固定部50Aに対して上昇したときには、すなわち、下向きに閉じ移動中のシャッターカーテン1が図1で示した障害物33に当接したときには、可動部50Bの立上り部49の延出部49Bが揺動部材53の突出片53Aを押し上げることにより、揺動部材53は支点軸52を中心に上向きに揺動する。また、座板1Bを構成している固定部50Aと可動部50Bは、シャッターカーテン1の幅方向である左右方向へ延びる長さを有しており、揺動部材53も左右方向へ延びる長さを有している。
固定部50A、可動部50B及び揺動部材53は、例えば、アルミ合金製等の押し出し成形品又は引き抜き成形品で形成されている。図1で示した出入口2の左右幅寸法が大きく、このため、固定部50A、可動部50B及び揺動部材53を、それぞれ一本の連続した押し出し成形品又は引き抜き成形品で形成することが困難である場合には、長さ方向(シャッターカーテン1の幅方向)に並べて結合した複数の押し出し成形品又は引き抜き成形品により、固定部50A、可動部50B及び揺動部材53が形成される。
図1に示されているように、シャッターカーテン1の下部には、具体的には、シャッターカーテン1の前述したカーテン主部51Aの部分となっている座板1Bの固定部50Aには、機械式結合装置60が配置されている。この機械式結合装置60は、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物33に当接したときに、シャッターカーテン1と前述したローラチェーン32とを機械式に結合するための装置である。機械式結合装置60は、図8〜図10に示されており、図9及び図10は、機械式結合装置60の内部構造を示す図であって、図9には、シャッターカーテン1とローラチェーン32とが機械式に結合される前の状態が示され、図10には、シャッターカーテン1とローラチェーン32とが機械式に結合されたときの状態が示されている。
機械式結合装置60を座板1Bの固定部50Aを配置するために、座板1Bを形成する固定部50Aと可動部50Bには、前述したガイドレール6Aから離れた位置において、切欠加工により形成された切欠空間部61が設けられている。この空間部61を形成するために、図8には、固定部50Aを形成している前述した内外部材45,46のうち、外部材45の分割部材45Bの切断面62と、内部材46の切断面63と、可動部50Bの切断面64,65とが示されている。また、固定部50Aの内部に収納されている揺動部材53もガイドレール6Aから離れた位置において切欠加工され、この切欠加工による揺動部材53の切断面66が、図8に示されている。一方、外部材45の分割部材45Aのガイドレール6A側の端面67は、このガイドレール6Aの近くまで達している。
機械式結合装置60は、図9及び図10に示されているように、板金の折り曲げ品となっているベース部材70と、このベース部材70に配置されたスプロケットホイールやラチェットホイールにより形成された機械式結合手段71と、この機械式結合手段71をベース部材70と共に覆うための図8のカバー部材72とを含んで構成されている。図9及び図10は、板金の折り曲げ品となっているカバー部材72が取り外されて示されているため、図9及び図10には、機械式結合手段71が露出して示されている。なお、カバー部材72は、ベース部材70と略同じとなっている大きさ及び形状を有している。
図9及び図10に示されているように、ベース部材70は、大きな面積を有する主部70Aと、この主部70Aからガイドレール6Aの内部まで延びている細長の副部70Bと、内部材46の内部に挿入された細長の挿入部70Cとからなる。主部70Aは、外部材45の分割部材45Aにビス等の止着具73Aで止着され、挿入部70Cは、内部材46にビス等の止着具73Bで止着されている。また、副部70Bには、軸74Aを回転中心軸とする第1スプロケットホイール74と、軸75Aを回転中心軸とする第2スプロケットホイール75とが、ガイドレール6Aの内部において、上下に配置されている。また、主部70Aには、ガイドレール6Aの外部において、大径の第3スプロケットホイール76と小径の第4スプロケットホイール77とが軸76Aを同一の回転中心軸として配置され、同軸的に配置されたこれらのスプロケットホイール76と77は結合されているため、一体となって回転する。
ガイドレール6Aの内部に挿入されている前述のローラチェーン32は、第1スプロケットホイール74の下側に掛け回された後に、ガイドレール6Aの外部に導出され、そして、ローラチェーン32は、第3スプロケットホイール76に掛け回されてから、ガイドレール6Aの内部において、第2スプロケットホイール75の上側に掛け回され、ガイドレール6Aの底部の方向へ延びている。そして、ローラチェーン32の下端部は、図3〜図5で説明した緊張力付与手段34に連結されている。
このため、ローラチェーン32は、ガイドレール6Aの内部に挿入されているとともに、シャッターカーテン1の内部を、シャッターカーテン1の閉じ方向となっている上から下へ通過している。
また、図9及び図10に示されているように、ベース部材70の主部70Aには、第5スプロケットホイール78と、外周部に多数の歯79Aが全周に渡って形成されているラチェットホイール79とが軸78Aを同一の回転中心軸として配置され、同軸的に配置されたこれらのスプロケットホイール78とラチェットホイール79は結合されているため、一体となって回転する。第4スプロケットホイール77と第5スプロケットホイール78には無端のローラチェーン80が掛け回されており、このため、第3及び第4スプロケット76,77の回転は、第5スプロケットホイール78を介してラチェットホイール79に伝達される。
さらに、ベース部材70の主部70Aには、軸81Aを揺動中心軸とするラチェット部材81が揺動自在に配置されている。このラチェット部材81には、ラチェットホイール79側の先端において、このラチェットホイール79の歯79Aと係合可能となった係合部81Bが形成されているとともに、軸81Aに対してこの係合部81Bとは反対側の端部81Cは、前述の座板1Bの固定部50Aの内部に揺動自在に配置されている揺動部材53の図6で示す突出片53Aの上方まで延びている。この突出片53Aには押圧部材82が取り付けられ、ラチェット部材81の全体の重心位置は軸81Aの位置と端部81Cとの間に存在するため、通常時のラチェット部材81は、端部81Cの側が下がっていることにより、この端部81Cがこの押圧部材82の上面に乗っている。このときには、図9に示されているように、ラチェット部材81の係合部81Bは、ラチェットホイール79の歯79Aから離れている。
このようにラチェット部材81の係合部81Bがラチェットホイール79の歯79Aから離れているときに、シャッターカーテン1は左右一対のガイドレール6に案内されて移動し、この移動は、ガイドレール6Aの内部に大部分が配置されていて残りの部分がガイドレール6Aの外部に配置されているローラチェーン32により、第1〜第3スプロケットホイール74〜76が回転することによって行われ、すなわち、紐状部材となっているローラチェーン32に対してシャッターカーテン1が移動することにより行われ、第3スプロケットホイール76が回転することにより、第4スプロケットホイール77、ローラチェーン80及び第5スプロケットホイール78を介してラチェットホイール79も回転する。
このときのローラチェーン32は、図3〜図5で説明した前述の緊張力付与手段34によって下向きに引っ張られることにより緊張しており、このローラチェーン32に弛みが生じていないため、第1〜第3スプロケットホイール74〜76は円滑に回転し、これにより、シャッターカーテン1は、左右一対のガイドレール6に案内されて円滑に移動できることになる。
シャッターカーテン1が閉じ移動しているときに、このシャッターカーテン1の閉じ移動方向に、言い換えると、シャッターカーテン1の下方に図1で示した障害物33が存在してときには、シャッターカーテン1の下端部を形成している前述の可動部50Bが障害物33に当接し、この後に、シャッターカーテン1の前述の固定部50Aは、図7に示されているように、可動部50Bに対して下降する。このようにシャッターカーテン1の可動部50Bが障害物33に当接したときの状態が図10で示されており、このときには、図7に示されているように、揺動部材53は支点軸52を中心に上向きに揺動するため、揺動部材53の突出片53Aに取り付けられている押圧部材82により、ラチェット部材81の端部81Cは上向きに押圧されることになる。このため、図10に示されているように、ラチェット部材81の係合部81Bは、軸81Aを中心に下がる揺動を行い、このため、この係合部81Bはラチェットホイール79の歯79Aに係合する。
これにより、ラチェットホイール79は回転することはできず、第1〜第5スプロケットホイール74〜78も回転することはできない。
このようにラチェットホイール79及び第1〜第5スプロケットホイール74〜78が回転できないことにより、シャッターカーテン1は、大部分がガイドレール6Aの内部に挿入されているローラチェーン32と結合されたことになる。このため、ラチェットホイール79及び第1〜第5スプロケットホイール74〜78を含む部材により、シャッターカーテン1とローラチェーン32とを機械式に結合するための前述した機械式結合手段71が形成されていることになる。また、シャッターカーテン1とローラチェーン32とが機械式結合手段71により結合されると、言い換えると、シャッターカーテン1の前述したカーテン主部51Aに配置された機械式結合装置60により結合されると、カーテン副部となっている可動部50Bを除いたシャッターカーテン1の重量、すなわち、カーテン主部51Aの重量がローラチェーン32に作用し、ローラチェーン32には、この重量による下向きの緊張力が作用することになる。これにより、後述で明らかになるように、シャッターカーテン1の閉じ移動は停止する。
また、障害物33が除去されたときには、シャッターカーテン1の固定部50Aに対して可動部50Bは下降し、揺動部材53は支点軸52を中心に下向きに揺動するため、ラチェット部材81は、このラチェット部材81の全体の前述した重心位置により、軸81Aを中心に係合部81Bが上がる揺動を行い、これにより、係合部81Bはラチェットホイール79の歯79Aから分離することになり、カーテン主部51Aの重量がローラチェーン32に作用しなくなる。
なお、本実施形態には、係合部81Bがラチェットホイール79の歯79Aに強固に係合していても、係合部81Bを歯79Aから強制的に分離させることができる強制分離部材83が、図9及び図10に示されているように、押圧部材82又は揺動部材53の突出片53Aに取り付けられている。この強制分離部材83は、ラチェット部材81の端部81Cと上下に対向する部分83Aを有している。障害物33の除去により、シャッターカーテン1の固定部50Aに対して可動部50Bが下降し、揺動部材53が支点軸52を中心に下向きに揺動したときには、強制分離部材83の部分83Aは、ラチェット部材81の端部81Cを下向きに押圧するため、ラチェット部材81に、軸81Aを中心に係合部81Bが上がる揺動を強制的に行わせることができ、これにより、係合部81Bをラチェットホイール79の歯79Aから強制的に分離させることができる。
また、図8〜図10に示されているように、可動部50Bには、ガイドレール6Aの内部まで達する延長部材84が取り付けられている。このため、障害物33の一部又は全部がガイドレール6Aの内部に存在しているときでも、可動部50Bを固定部50Aに対して上昇させることができ、揺動部材53を支点軸52を中心に上向きに揺動させることができる。
前述した機械式結合手段71は、前述したように、図8で示したベース部材70とカバー部材72とで覆われており、このカバー部材72は、図8に示されているように、固定部50Aの内部材46の内部に挿入される挿入部72Aにおいて、内部材46にビス等の止着具85で止着されているとともに、ベース部材70に、このベース部材70に設けられた取付部70Dにおいて、ビス等の止着具86で止着され、また、カバー部材72は、ベース部材70の折り曲げ部70Eにおいても、ビス等の止着具87で止着されている。そして、このカバー部材72には、図9及び図10で示した軸74A,75A,76A,78A,81Aを支持する孔が設けられている。
また、ベース部材70とカバー部材72との間には、前述した第1スプロケットホイール74と第3スプロケットホイール76との間のローラチェーン32の部分32Dと、前述した第3スプロケットホイール76と第2スプロケットホイール75との間のローラチェーン32の部分32Eとを案内するための案内部90,91,92が設けられている。本実施形態に係る案内部90,91は、図9及び図10に示されているように、シャッターカーテン1の厚さ方向の厚さを有するブロック状の部材で形成されており、これらの部材はベース部材70に取り付けられている。また、案内部92は、ベース部材70の前述した副部70Bの下面を折り曲げることにより形成されている。本実施形態のカバー部材72は、図8に示されているように、案内部90にも、ビス等の止着具88で止着されている。
さらに、図8〜図10に示されているように、ベース部材70の副部70Bの先端部には、言い換えると、副部70Bのうち、ガイドレール6Aの最も内部に達する部分には、エンド部93が設けられている。この本実施形態に係るエンド部93は、副部70Bの先端部に取り付けられたブロック状の部材によって形成されている。このエンド部93は、ローラチェーン32及び第1、第2スプロケットホイール74,75よりもガイドレール6Aの内部の奥側に突出した位置に設けられているため、シャッターカーテン1が上下に開閉移動しているときなどにおいて、シャッターカーテン1が外力等によりこのシャッターカーテン1の幅方向外側に過度に移動しようとしたときに、エンド部93がガイドレール6Aの閉鎖されている奥面部94に当接することにより、この過度の移動が防止され、このため、ローラチェーン32及び第1、第2スプロケットホイール74,75がガイドレール6Aの奥面部94に接触することを、エンド部93により防止することができる。この奥面部94は、図3にも示されている。
なお、エンド部93は、板金製のベース部材70の副部70Bの先端を折り曲げ加工することにより形成してもよい。
また、以上の説明から分かるように、ベース部材70と、このベース部材70に配置された第1〜第5スプロケットホイール74〜78やラチェットホイール79等により形成された機械式結合手段71と、この機械式結合手段71をベース部材70と共に覆うカバー部材72とを含んで構成されている機械式結合装置60は、全体として1個のユニットとして形成されている。このため、このユニットのベース部材70を図9で示した止着具73A,73Bにより座板1Bの固定部50Aに止着することにより、機械式結合装置60を容易に座板1Bの固定部50Aを配置することができる。
また、機械式結合装置60は全体として1個のユニットとなっているため、その取り扱いは容易である。
なお、機械式結合装置60を座板1Bの固定部50Aに配置した後に、機械式結合装置60の全体を覆う表面カバー部材を座板1Bに取り付ける。
図11は、図9及び図10で説明したラチェット部材についての別実施形態を示している。この実施形態に係るラチェット部材81’も、全体の重心位置が揺動中心軸81Aの位置と端部81Cとの間に存在するため、通常時のラチェット部材81’は、端部81Cの側が下がっている。また、この実施形態のラチェット部材81’も、図9及び図10で説明したラチェット部材81と同じく、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物33に当接することにより、中心軸81Aを中心に揺動運動を行う運動部材になっているとともに、ラチェットホイール79は、ローラチェーン32に対するシャッターカーテン1の開閉移動により回転する回転体となっている。
そして、この実施形態のラチェット部材81’は、ラチェット部材81’の先端となっている係合部81Aが係合するラチェットホイール79の回転中心軸78Aの位置に対して一方の側から他方の側へ、言い換えると、シャッターカーテン1の幅方向内側から幅方向外側へラチェットホイール79を避けて延びる長さを有しており、ラチェット部材81’はラチェットホイール79を避けるために、このラチェットホイール79の上方において、シャッターカーテン1の幅方向内側から幅方向外側へ延びている。
シャッターカーテン1が閉じ移動するときにおいて、ラチェット部材81’が配設されている側となっている前記ラチェットホイール79の上部の側の回転方向は、図11で示すP方向となる。このP方向は、ラチェット部材81’の上述した延び方向ともなっているシャッターカーテン1の幅方向内側から幅方向外側への方向でもある。この実施形態でも、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物33に当接すると、ラチェット部材81’の先端である係合部81Bは、ラチェットホイール79の歯79Aに係合し、これにより、ラチェットホイール79の回転が止められるため、シャッターカーテン1とローラチェーン32は結合されることになる。
そして、この実施形態では、このようにラチェット部材81’の係合部81Bが係合するラチェットホイール79の歯79Aは、ラチェットホイール79の回転中心軸78Aに対して前述の他方の側の歯79A、言い換えると、ラチェットホイール79の回転中心軸78Aに対してシャッターカーテン1の幅方向外側の歯79Aとなる。
このため、ラチェット部材81’の係合部81Bが歯79Aに係合した後も、障害物33に当接したシャッターカーテンが何らの理由によりさらに閉じ移動しようとすると、ラチェットホイール79はP方向に回転しようとするため、ラチェット部材81’の係合部81Bは歯79Aに一層深く係合することになる。このため、この実施形態によると、シャッターカーテン1の閉じ移動の停止を一層有効に実行させることができる。
また、図12は、前述したローラチェーン32についてのシャッターカーテン1の厚さ方向における配設位置を示している。この図12に示されているように、ローラチェーン32は、シャッターカーテン1の厚さ方向の中央部又は略中央部の位置に配設されている。この位置は、シャッターカーテン1の厚さ方向におけるシャッターカーテン重心位置と一致又は略一致する位置となっている。
ローラチェーン32はシャッターカーテン1に配置されている第1及び第2スプロケットホイール74,75に掛け回されているため、シャッターカーテン1が左右一対のガイドレール6に案内されて上下に開閉移動するときに、ローラチェーン32にはシャッターカーテン1の重量が作用するが、ローラチェーン32についてのシャッターカーテン1の厚さ方向における配設位置は、このシャッターカーテン1の厚さ方向におけるシャッターカーテン重心位置と一致又は略一致する位置となっているため、ローラチェーン32により重量が支持されるシャッターカーテン1の厚さ方向における重量バランスが良好となる。このため、シャッターカーテン1が、このシャッターカーテン1の幅方向両側の端部が一対のガイドレール6に案内されて開閉移動するときに、シャッターカーテン1の幅方向両側の端部がガイドレール6に擦れながら移動することを抑制することができ、これにより、シャッターカーテン1を円滑に開閉移動させることができる。
図13は、前述した左右一対のガイドレール6のうち、ガイドレール6Aの上部を示す正面図である。ガイドレール6Aの上端には、案内ローラ100が軸100Aで回転自在に取り付けられたブラケット101が結合されている。このため、案内ローラ100は、前述の巻取軸8とガイドレール6Aの上端との間に配置されており、この案内ローラ100は、図13のS14−S14線断面図である図14に示されているように、溝100B付きのローラとなっており、この溝100Bに、ガイドレール6Aの上端から上方へ延びるローラチェーン32の上部が挿入されている。
また、ローラチェーン32の上部は、図1で示した巻取軸8を回転自在に支持するための左右一対のブラケット9のうち、前述した開閉機11が配置されている側のブラケット9Aへ案内ローラ100の溝100Bにより案内され、ローラチェーン32の上端は、図13に示されているように、このブラケット9Aに配置されているワイヤー部材102の下端部に、このワイヤー部材102の下端部に設けられたリング部材103を介して連結されている。ワイヤー部材102は、アウターケーブル104の内部にスライド自在に挿通されたインナーケーブルとなっており、アウターケーブル104は、ブラケット9Aに取付部材105で取り付けられて配線されている。この取付部材105は、図1に示されているように、ブラケット9Aに複数個設けられており、それぞれの取付部材105は、図13のS15−S15線断面図である図15に示されているように、断面ハット形状を有しており、それぞれの取付部材105は、ビス等の止着具106でブラケット9Aに止着されている。
図13に示されているように、アウターケーブル104の一方の端部である下端部は結合具107によりブラケット9Aに結合され、また、アウターケーブル104の他方の端部である上端部は、図1に示されていて図17にも示されている前述の遅延装置27の機枠110に結合具111により結合されている。そして、図13に示されているように、ワイヤー部材102の下端部は、アウターケーブル104の下端部から突出しており、この突出した部分に、ローラチェーン32を連結するための上述のリング部材103が設けられている。また、ワイヤー部材102の上端部は、後述するように、遅延装置27の機枠110の内部に挿入されている。
以上の説明から分かるように、閉じ移動中に障害物33と当接したシャッターカーテン1に機械式結合装置60により結合されるローラチェーン32は、このローラチェーン32と同じく紐状部材となっているワイヤー部材102を介して遅延装置27まで延びている。このワイヤー部材102は、上述のように機械式結合装置60によりシャッターカーテン1とローラチェーン32とが結合され、カーテン主部51Aの重量がローラチェーン32に下向きの緊張力として作用したときに、この緊張力を遅延装置27に伝達するための伝達部材となっている。この伝達用ワイヤー部材102は、複数のアウターケーブル104の内部に挿通され、それぞれのアウターケーブル104は、取付部材105よりブラケット9Aに取り付けられているため、伝達用ワイヤー部材102をブラケット9Aに、アウターケーブル104と取付部材105により容易に配線することができる。
なお、後述の説明で明らかになるとおり、遅延装置27は前述の自動閉鎖装置26を介して機械式に開閉機11に連なっている。このため、ローラチェーン32の上端は、ワイヤー部材102、遅延装置27及び自動閉鎖装置26を介して機械式に開閉機11の前述したブレーキ手段16に連なっていることになる。
また、ローラチェーン32をガイドレール6Aの内部に配置する作業は、次のように行われる。シャッターカーテン1の開閉移動を案内するためのガイド部材となっている左右一対のガイドレール6を図1で示す壁等の建物躯体3に配置する前に、ローラチェーン32の上端を、ワイヤー部材102の下端に設けられたリング部材103に連結し、この後に、ローラチェーン32を、シャッターカーテン1の座板1Bの固定部50Aに配置しておいた機械式結合装置60の第1スプロケットホイール74から第3スプロケットホイール76、第2スプロケットホイール75へと掛け回し、下に垂れたローラチェーン32の下端部の近傍を、図3及び図4で示した緊張力付与手段34を構成する部材のうち、図4で説明したように、延出部材40の二股部40Cの開口部40Dと、板ばね36の二股部36Cの開口部36Dとに挿入する。この挿入により、ローラチェーン32の構成部材であるリンク32A同士を連結しているピン32Bの両方の端部32Cに、板ばね36の二股部36Cを上から係止させることができる。
このときの板ばね36は、予め延出部材40に図3で示す止着具41で止着されているが、延出部材40は、緊張力付与手段34を構成するベース部材38にまだ止着されてない。
以上の作業を行った後に、左右一対のガイドレール6をそれぞれの建物躯体3に沿って立て、これらの建物躯体3にガイドレール6を取り付ける作業を行うとともに、この作業時において、シャッターカーテン1の幅方向両端部を、これらのガイドレール6の互いに向かい合う端面に形成された開口部からこれらのガイドレール6の内部に挿入し、また、一方のガイドレール6Aの内面底部に図3で示す止着具37で既に止着しておいたベース部材38に、延出部材40を図3で示す止着具39により止着する。これにより、板ばね36は、延出部材40を介してベース部材38に取り付けられることになり、また、ローラチェーン32の下端部に緊張力付与手段34が連結されることになる。
以上のように本実施形態の板ばね36は、延出部材40を介してベース部材38に取り付けられるため、延出部材40は、板ばね36とベース部材38との間に配設されている中間部材となっている。
また、ベース部材38に延出部材40を止着具39で止着することは、図3及び図5で示すベース部材38に下向きにV字状に突出して形成された突出部38Aに、延出部材40に下向きにV字状に突出して形成された突出部40Aを載せるとともに、これらの突出部38Aと40Aにおけるガイドレール6Aの深さ方向に向かって斜め上向きとなっている部分38Bと40Bとを止着具39で止着することにより行われる。この止着具39は、図3に示されているように、シャッターカーテン1の幅方向の端部を挿入するためにガイドレール6Aに形成されている開口部6Cから挿入される工具30で回転操作等することができるビス等の止着具となっている。
本実施形態では上述したように、板ばね36は、中間部材となっている延出部材40に止着具41で予め取り付けられており、この延出部材40を、前述した不動部材となっているガイドレール6Aの内面底部に既に止着されているベース部材38に、工具30で回転操作等される止着具39により止着することにより、板ばね36をガイドレール6Aの内部に配置してベース部材38に取り付けるようにしているため、板ばね36のガイドレール6Aの内部への配置作業を、延出部材40を、板ばね36とベース部材38との間に設けられる中間部材として活用することにより、簡単かつ有効に行える。
また、延出部材40をベース部材38に止着する止着具39は、ベース部材38及び延出部材40におけるガイドレール6Aの深さ方向に向かって斜め上向きとなっている部分38Bと40Bとを止着するものとなっているため、この止着具39を回転操作等するための工具30を、図3に示されているように、ガイドレール6Aに形成されている上述の開口部6Cから斜め下向きの方向にしてガイドレール6Aの内部に挿入することができる。このため、工具30により、延出部材40をベース部材38に止着具39で止着するための作業を容易に行える。
さらに、ローラチェーン32を上述したように、機械式結合装置60の第1スプロケットホイール74から第3スプロケットホイール76、第2スプロケットホイール75へと掛け回す作業は、機械式結合装置60に図8〜図10で示した案内部90〜92が設けられていたため、これらの案内部90〜92のガイド作用により容易に行うことができる。
なお、ローラチェーン32を第1スプロケットホイール74から第3スプロケットホイール76、第2スプロケットホイール75へと掛け回す作業は、機械式結合装置60のベース部材70に前述のカバー部材72を止着する前に行ってもよく、カバー部材72を止着した後に行ってもよい。
また、本実施形態では、ローラチェーン32は、機械式結合手段71のラチェットホイール79を直接回転させるためのものとなっておらず、このラチェットホイール79とローラチェーン32は、第3スプロケットホイール76と同軸的に結合された第4スプロケットホイール77と、ローラチェーン80と、ラチェットホイール79と同軸的に結合された第5スプロケットホイール78とによって構成されている連結手段を介して連結されている。
また、本実施形態では、ローラチェーン32は第1紐状部材になっているとともに、ローラチェーン80は第2紐状部材となっており、これらの第1紐状部材と第2紐状部材とにより紐状体が構成されている。そして、ローラチェーン32には、第3及び第4スプロケットホイール76,77において、ローラチェーン80が連結されているため、第1紐状部材には、第1紐状部材の長さ方向の途中部において、第2紐状部材が連結されていることになり、第3及び第4スプロケットホイール76,77は、この連結を行うために同軸的に結合された2個の回転部材となっており、第3スプロケットホイール76には、第1紐状部材の途中部が掛け回され、第4スプロケットホイール77には、無端の第2紐状部材が掛け回されていることになる。
また、第1紐状部材の全長のうち、第3スプロケットホイール76に掛け回されている上述の途中部がシャッターカーテン1の内部に収納配置されており、また、第2紐状部材の全部がシャッターカーテン1の内部に収納配設されていることになる。
上述の紐状体は、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物33に当接したときに機械式結合手段71によりシャッターカーテン1と結合されることにより、シャッターカーテン1の自重による緊張力が作用するための部材になっているため、この紐状体を、ガイドレール6Aから機械式結合手段71の構成要素となっているラチェットホイール79まで到達させなければならないが、本実施形態では、この紐状体は、上述したように、ローラチェーン32による第1紐状部材と、ローラチェーン80による第2紐状部材とにより構成されていて、第1紐状部材の途中部がシャッターカーテン1の内部に収納配置され、また、第2紐状部材の全部がシャッターカーテン1の内部に収納配設されているため、シャッターカーテンに配置されている機械式結合手段71のラチェットホイール79の配置位置が、ガイドレール6Aから長い距離となっている遠い位置となっていても、このラチェットホイール79まで紐状体を到達させることができる。
また、紐状体は、上述したように、ローラチェーン32による第1紐状部材と、ローラチェーン80による第2紐状部材とにより構成されているため、この紐状体をシャッターカーテン1に配設する作業を、第1紐状部材をシャッターカーテン1に配設する作業と、第2紐状部材をシャッターカーテン1に配設する作業とに分けて行うことができることになり、このため、紐状体をシャッターカーテン1に配設するための作業を容易に行うことができる。
さらに、第1紐状部材であるローラチェーン32をシャッターカーテン1の内部に通すための作業は、ローラチェーン32をラチェットホイール79まで通すことを行うことなく、実施することができ、ローラチェーン32を、ラチェットホイール79の手前の第3スプロケットホイール76まで通せばよいため、このローラチェーン32の通し作業を容易に行うことができる。
また、このローラチェーン32の通し作業、言い換えると、ローラチェーン32の前述の途中部をシャッターカーテン1の内部に収納配設するための作業は、シャッターカーテン1に設けられている前述した案内部90〜92の案内作用により容易に行うことができる。
さらに、第2紐状部材であるローラチェーン80をシャッターカーテン1の内部に収納配設するための作業は、予めこのローラチェーン80を前述のベース部材70に取り付けられている第4スプロケットホイール77と第5スプロケットホイール78との間に掛け回しておき、この後に、ベース部材70が構成要素となって全体として1個のユニットとなっている機械式結合装置60をシャッターカーテン1に取り付けることにより行うことができるため、ローラチェーン80をシャッターカーテン1の内部に収納配設するための作業も容易に行うことができる。
さらに、前述したように、ガイドレール6Aを図1で示す建物躯体3Aに沿って立て、この建物躯体3Aにガイドレール6Aを取り付けると、ローラチェーン32におけるガイドレール6Aの上端から上方へ延びている部分は、図13に示されているように、ガイドレール6Aにブラケット101を介して取り付けられている案内ローラ100の溝100Bに挿入されることになる。このため、ローラチェーン32を、この案内ローラ100の溝100Bで案内して前述のワイヤー部材102のリング部材103へと自ずと導くことができる。
また、シャッターカーテン1のカーテン本体1Aは、前述したとおり、シャッターカーテン構成部材となっている多数のスラットを上下に連設することによって形成されており、図6には、そのうちの1個のスラット108が示されている。それぞれのスラット108の上下端部にはカール部108Aが形成され、上下に隣接する2個のスラット108同士は、これらのカール部108A同士の係合により連結されている。このため、それぞれのスラット108は、図13の2点鎖線108’で示すようにシャッターカーテン1の幅方向外側にスライド(横スライド)するおそれがある。
しかし、本実施形態では、前述したように、巻取軸8とガイドレール6Aの上端との間には案内ローラ100が配置されており、上述のようにシャッターカーテン1の幅方向外側に横スライドしたスラット108は、シャッターカーテン1の開閉移動時において、案内ローラ100の外周面に当接し、これにより、スラット108は横スライドした方向とは逆方向であるシャッターカーテン1の幅方向内側に押し戻されるため、スラット108が許容値以上に横スライドすること、すなわち、スラット108が過度に横スライドすることを案内ローラ100により防止することができ、また、スラット108が過度に横スライドすることが案内ローラ100で防止されることにより、前述した巻取軸8によりシャッターカーテン1を円滑に巻き取り、繰り出すことができる。
なお、案内ローラ100におけるシャッターカーテン1の幅方向内側の端部は、ガイドレール6Aにおけるシャッターカーテン1の幅方向外側の端部よりもシャッターカーテン1の幅方向内側に突出しているため、上述のようにスラット108が過度に横スライドすることを案内ローラ100により防止することができる。
そして、ローラチェーン32をワイヤー部材102へと案内するための部材となっている本実施形態に係る案内ローラ100は、スラット108が過度に横スライドすることを防止するためのスライド防止部材を兼ねたものとなっており、このため、この兼用化により、コストの低減や構造の簡単化を達成することができる。
また、案内ローラ100の外周面のうち、シャッターカーテン1側に向いている面は、上下両方からシャッターカーテン1の幅方向内側に向かってスラット108を案内するための案内面100Cとなっているため、スラット108がシャッターカーテン1の幅方向外側にスライドした状態でシャッターカーテン1が上方向へ移動しているときでも、また、シャッターカーテン1が下方向へ移動しているときでも、案内面100Cにより、スラット108をシャッターカーテン1の幅方向内側へ戻すことができる。
また、案内ローラ100は軸100Aを中心に回転自在となっているため、スラット108がシャッターカーテン1の幅方向外側にスライドした状態でシャッターカーテン1が上方向へ移動しているときでも、また、シャッターカーテン1が下方向へ移動しているときでも、案内面100Cによりスラット108をシャッターカーテン1の幅方向内側へ戻すことを、案内ローラ100の回転により行うことができることになり、このため、このスラット108の戻しを、案内ローラ100とスラット108との間で摩擦が発生しない又は発生しにくい状態で円滑に行えることになる。
また、本実施形態の案内ローラ100は、ブラケット101によりガイドレール6Aに取り付けられているため、シャッターカーテン1の開閉移動を案内するための部材であるガイドレール6Aは、案内ローラ100を取り付けるための部材としても活用されており、このため、この点でも部材の兼用化が達成されている。
さらに、本実施形態によると、案内ローラ100と、図1で示した緊張力付与手段34との位置関係を適切に設定することにより、ローラチェーン32を、ガイドレール6Aの内部にシャッターカーテン1の開閉移動方向と平行又は略平行の状態にして収納することができ、これにより、シャッターカーテン1の円滑な開閉移動を確保できる。
なお、図13で示されて案内ローラ100の個数は1個であるが、案内ローラを、例えば、シャッターカーテン1におけるスラット108同士の間隔と同じ又は略同じ間隔で上下に複数個配置してもよい。これによると、シャッターカーテン1の開閉移動時にスラット108が過度に横スライドし、この過度の横スライドが1個の案内ローラにより修正された後に、このスラット108が、例えば外力等の作用により、再度過度に横スライドすることがあっても、シャッターカーテン1の開閉移動により、この過度の横スライドを他の案内ローラにより修正することができる。
このように案内ローラ100を上下に複数配置する場合には、それぞれの案内ローラ100の溝100Bの深さを、上側の案内ローラ100ほど深くし、これにより、それぞれの案内ローラ100の溝100Bによりローラチェーン32を案内できるようにすることが好ましい。
また、案内ローラ100の高さ位置は、シャッターカーテン1が全開位置に達したときに、シャッターカーテン1の座板1Bのうち、ガイドレール6Aの内部に挿入されているエンド部93等の部分が、案内ローラ100と干渉しない高さ位置にする。
図16は、左右一対のガイドレール6のうち、ガイドレール6Bの上端と巻取軸8との間にも、スラット108が過度に横スライドすることを防止するためのスライド防止部材を配置した実施形態を示している。このスライド防止部材は、案内ローラ100と同様に、ガイドレール6Bに結合されたブラケット101’に軸100’Aで回転自在に取り付けられたローラ100’となっている。このローラ100’により、それぞれのスラット108が図13のスラット108’とは反対側に過度に横スライドすることを防止することができる。
すなわち、ローラ100’におけるシャッターカーテン1の幅方向内側の端部は、ガイドレール6Bにおけるシャッターカーテン1の幅方向外側の端部よりもシャッターカーテン1の幅方向内側に突出しているため、上述のようにそれぞれのスラットが過度に横スライドすることをローラ100’により防止することができる。
また、ローラ100’の外周面にも、案内ローラ100と同様に、上下両方からシャッターカーテン1の幅方向内側に向かってスラット108を案内するための案内面100’Cが設けられているため、スラット108がシャッターカーテン1の幅方向外側にスライドした状態でシャッターカーテン1が上方向へ移動しているときでも、また、シャッターカーテン1が下方向へ移動しているときでも、この案内面100’Cにより、スラット108をシャッターカーテン1の幅方向内側へ戻すことができる。また、ローラ100’は軸100’Aを中心に回転自在となっているため、スラット108がシャッターカーテン1の幅方向外側にスライドした状態でシャッターカーテン1が上方向へ移動しているときでも、また、シャッターカーテン1が下方向へ移動しているときでも、案内面100’Cによりスラット108をシャッターカーテン1の幅方向内側へ戻すことを、ローラ100’の回転により行うことができ、このため、このローラ100’によるスラット108の戻しも、ローラ100’とスラット108との間で摩擦が発生しない又は発生しにくい状態で円滑に行える。
さらに、ローラ100’は、ブラケット101’によりガイドレール6Bに取り付けられているため、シャッターカーテン1の開閉移動を案内するためのガイドレール6Bは、ローラ100’を取り付けるための部材としても活用されて、部材の兼用化が達成されている。
なお、ローラ100’を、案内ローラ100と同じく、溝付きローラとすることにより、案内ローラ100とローラ100’とを共通化してもよく、これによると、案内ローラ100とは別のローラ100’を用意する必要がなくなるため、部材種類の削減、部材管理の容易化等を実現することができる。
また、図16で示されているローラ100’も、案内ローラ100について説明した上述と同様に、例えば、シャッターカーテン1におけるスラット108同士の間隔と同じ又は略同じ間隔で上下に複数個配置してもよい。このように案内ローラ100及びローラ100’を、例えば、シャッターカーテン1におけるスラット108同士の間隔と同じ又は略同じ間隔で上下に複数個配置しておくことにより、シャッターカーテン1を構成している1個のスラットの過度の横スライドが、1個の案内ローラ100又は1個ローラ100’により修正されたときに、このスラットと前述のカール部で上下に連結されている他のスラットが、カール部で生じている摩擦力で修正方向と同じ方向にスライドしてしまい、このスライド量が過度の量になっても、この過度の横スライドを他の案内ローラ100又は他のローラ100’により修正することができる。
また、本実施形態では、ローラチェーン32の大部分はガイドレール6Aの内部に挿入されているため、本実施形態に係るシャッター装置に予期しない外力が作用しても、このローラチェーン32をこの外力から保護することができる。
さらに、ローラチェーン32は、前述したように、シャッターカーテン1の厚さ方向の中央位置又は略中央位置に配置されている。言い換えると、ローラチェーン32は、シャッターカーテン1の厚さ方向におけるシャッターカーテン重心位置と同じ位置又は略同じ位置に配置されている。このため、前述したように、巻取軸8に吊下げられて閉じ移動しているシャッターカーテン1が障害物33に当接し、シャッターカーテン1とローラチェーン32とが機械式結合装置60で結合されることにより、シャッターカーテン1のカーテン主部51Aの重量がローラチェーン32に作用したときには、このローラチェーン32に、カーテン主部51Aの重量が、シャッターカーテン1の厚さ方向の片寄りがなく又は殆どなく、作用することになる。これにより、カーテン主部51Aの重量に基づく緊張力を、ローラチェーン32及び前述のワイヤー部材102を介して前述の遅延装置27に一層確実に伝達することができる。
図17には、図1で示した自動閉鎖装置26と遅延装置27が拡大して示されている。この図17に示されているように、自動閉鎖装置26の機枠120には、第1スライド部材121が左右の水平方向にスライド自在に貫通して配置され、遅延装置27の前述した機枠110には、第2スライド部材122が左右の水平方向にスライド自在に貫通して配置されている。これらの第1及び第2スライド部材121,122の同じ側の端部は、反転レバー部材123の両端部にピン124A,124Bによるスライド式の連結部で連結され、この反転レバー部材123は、この反転レバー部材123の両端部の間において、遅延装置27の機枠110に設けられたブラケット125にピン126で揺動自在に連結されている。このため、第1スライド部材121と第2スライド部材122のスライド方向は、反転レバー部材123により逆方向となっている。
第1スライド部材121における反転レバー部材123が配置された端部とは反対側の端部(第1スライド部材121の前端121A)には、作動部材130が取り付けられており、また、図2で説明した開閉機11に設けられている前述のレバー部材31の第1部分31Aには、被作動部材131が立設結合されている。第1スライド部材121が被作動部材131の側へスライドしたときには、言い換えると、第2スライド部材122が被作動部材131とは反対側へスライドしたときには、作動部材130は被作動部材131に当接し、これにより、レバー部材31の図2で示した第1部分31AにA方向への荷重が作用するようになっている。
図17に示されているように、本実施形態に係る作動部材130は、第1スライド部材121に軸部が螺入されたボルト132の頭部132Aとなっている。このため、この頭部132Aを回転操作してボルト132を第1スライド部材121のスライド方向に進退させることにより、作動部材130と被作動部材131との間の間隔を適切な寸法に調整できる。この調整を行った後に、ボルト132の軸部に螺合させておいたロックナット133を回転操作し、このロックナット133を第1スライド部材121に圧接させることにより、被作動部材131に対する作動部材130の位置を、適切な位置にして固定できることになる。
図18には、自動閉鎖装置26の機枠120に貫通して配置された第1スライド部材121をスライドさせるための機構などが平面図として示されている。この図18は、自動閉鎖装置26の通常時(火災が発生していないときであって、シャッターカーテン1が障害物に当接していないとき)を示している。第1スライド部材121の外周にはコイルスプリングによるばね140が巻回されており、このばね140により、第1スライド部材121には、図17で示した被作動部材131側への前進力が常時作用している。また、自動閉鎖装置26の機枠120の内部には、ソレノイド141が配置されており、このソレノイド141のプランジャ142には、ばね143のばね力がプランジャ142をソレノイド141から突出させる方向へ常時作用している。また、プランジャ142の先端には、中心軸144Aを中心に回動自在となっているL字形の屈曲レバー部材144の一方の端部がスライド式の連結部144Bで連結されており、トリガーレバー部材となっているこの屈曲レバー部材144の他方の端部には、ローラ145が回転自在に取り付けられている。
このローラ145と対面する第1スライド部材121の部分には凹部121Bが形成されている。この凹部121Bが形成されている第1スライド部材121の部分における第1スライド部材121の後退側の面は、傾斜面121Cとなっている。また、機枠120には、屈曲レバー部材144に中心軸144Aを中心とするB方向への回動力を付与するためのばね146が設けられており、このばね146とプランジャ142のばね143とにより、通常時のローラ145は、図18に示されているように、凹部121Bに嵌合しており、この嵌合により、前述したばね140による第1スライド部材121の前進は止められている。このように凹部121Bに嵌合したローラ145で前進が止められているときにおける第1スライド部材121の前端121Aの位置は、図18で示す3個のC位置、D位置、E位置のうち、最も後退した位置となっているE位置である。
また、機枠120には、スイッチ手段147が配置され、このスイッチ手段147には、ばねでスイッチ手段147から突出する方向へ常時付勢されているアクチュエータ148が設けられている。また、第1スライド部材121には、凹部121Bが形成されている部分とは反対側の部分において、ドグ部材149が取り付けられており、通常時のアクチュエータ148はこのドグ部材149に当接している。
なお、ソレノイド141への通電、非通電は、図1で示した制御装置25で制御され、また、スイッチ手段147は、この制御装置25に接続されている。
図22には、遅延装置27の機枠110に貫通して配置された第2スライド部材122をスライドさせるための機構などが平面図として示されている。この図22は、遅延装置27の通常時(火災が発生していないときであって、シャッターカーテン1が障害物に当接していないとき)を示している。機枠110には、第1及び第2回動部材151,152が上下に配置され、これらの回動部材151,152は、軸151Aを中心に個別に回動自在となった同軸的な部材となっている。下側の第1回動部材151には第1ピン153が固定され、この第1ピン153は、第2スライド部材122に形成された長孔122Aに挿入されており、この長孔122Aの長さ方向は、第2スライド部材122のスライド方向である。また、第1回動部材151には第2ピン154が固定され、この第2ピン154は、上側の第2回動部材152に形成された長孔152Aに挿入され、この長孔152Aは、軸151Aを中心とする円弧状の孔となっている。
そして、第2スライド部材122は、第1回動部材151と第2回動部材152との間に配置されている。
また、機枠110には、第1回動部材151を軸151Aを中心にF方向へ回動付勢するためのコイルスプリングによるばね155と、第2回動部材152を軸151Aを中心に同じくF方向へ回動付勢するためのコイルスプリングによるばね156とが設けられている。さらに、機枠110には、ピン状のストップ部材157が立設されており、ばね156による第2回動部材152のF方向へ回動は、第2回動部材152の外周面に形成された凹部158による第1ストップ部158Aがストップ部材157に当接することにより、図22のように止められている。そして、ばね155による第1回動部材151のF方向へ回動は、第1回動部材151の第2ピン154が、第2回動部材152の長孔152AにおけるF方向の端部に当接することにより、止められている。
なお、ばね156のばね力に比べて図5で示されている緊張力付与手段34の板ばね36のばね力は小さいため、ローラチェーン32やワイヤー部材102を介して第2回動部材152がF方向とは逆方向へ回動することはない。
また、機枠110の内部には、前述したワイヤー部材102の遅延装置27側の端部が挿入され、この端部は、第2回動部材152に連結具152Bで連結されている。さらに、機枠110の内部には、スイッチ手段159と、粘性流体式ダンパーとなっている遅延手段170とが配置されており、スイッチ手段159のアクチュエータ160は、通常時において、第2回動部材152の外周面に形成されている凹部158Cと対向しているため、第2回動部材152の外周面に当接していない。また、第1回動部材151の外周面には、円周方向の一部の長さにおいて、歯部151Bが形成されており、この歯部151Bには、遅延手段170のピニオンギヤ171が噛合している。
なお、遅延装置27のスイッチ手段159も、図1で示した制御装置25に接続されている。
ピニオンギヤ171の回転中心軸171Aには、ワンウエイクラッチを介して遅延手段170の内部に収納された複数のブレードが取り付けられており、第1回動部材151がF方向に回動することにより、ピニオンギヤ171及び中心軸171AがG方向に回転した場合には、ワンウエイクラッチを介してそれぞれのブレードが、遅延手段170の内部に充填されている粘性流体内において回転する。このため、粘性流体の抵抗力により、第1回動部材151はF方向へ低速で回動することになる。一方、第1回動部材151がF方向とは逆のH方向に回動し、ピニオンギヤ171及び中心軸171AがG方向とは逆のI方向に回転した場合には、このI方向への回転は、ワンウエイクラッチの切断作用によりそれぞれのブレードに伝達されない。このため、第1回動部材151は、H方向へ高速で回動することができる。
以上において、第1回動部材151と第2スライド部材122との関係は、第1回動部材151がF方向及びH方向に回動することが、第1回動部材151の第1ピン153により第2スライド部材122が往復スライドすることになる関係になっており、そして、第ワイヤー部材102の進退方向と、F方向及びH方向と、第1スライド部材121の往復スライド方向と、第2スライド部材の往復スライド方向は、それぞれ対応している。
図22で示す火災が発生していない前述の通常時においては、言い換えると、自動閉鎖装置26が図18で示す状態になっているときにおいては、第1回動部材151の第1ピン153は、第2スライド部材122の長孔122Aの長さ方向における両端部の間の中間の位置にある。このときには、スイッチ手段159のアクチュエータ160は、第2回動部材152の外周面に当接しておらず、上述の凹部158Cと対向しているため、スイッチ手段159はオフとなっている。
このように遅延装置27のスイッチ手段159がオフとなっているときに、図1で示した制御装置25は、「開」ボタンと、「閉」ボタンと、「停」ボタンとが設けられている前述の操作装置24による操作により、前述したように、シャッターカーテン1を開き移動、閉じ移動、移動停止させる。そして、このときには、本実施形態に係る管理及び防災併用シャッター装置は、管理用シャッター装置となっている。
本実施形態に係る管理及び防災併用シャッター装置が管理用シャッター装置となっているとき、すなわち、遅延装置27のスイッチ手段159がオフとなっているときに、操作装置24の操作によりシャッターカーテン1が閉じ移動し、この閉じ移動中のシャッターカーテン1が図1で示した障害物33に当接すると、前述したように、機械式結合装置60により、シャッターカーテン1と、ガイドレール6Aの内部に大部分が挿入されている前述のローラチェーン32とが結合される。これにより、シャッターカーテン1のカーテン主部51Aの重量がローラチェーン32に作用するため、このローラチェーン32には、カーテン主部51Aの重量に基づく下向きの緊張力が作用することになる。
図23は、このときの遅延装置27を示している。このときには、ローラチェーン32と連結されているワイヤー部材102には引張力が作用するため、遅延装置27の第2回動部材152は図22のH方向へ回動し、このH方向への回動は、第2回動部材152の凹部158によって形成されている第2ストップ部158Bがストップ部材157に当接することにより、停止する。そして、スイッチ手段159のアクチュエータ160は第2回動部材152の外周面に当接するため、このスイッチ手段159はオンとなる。このようにスイッチ手段159がオンとなると、このスイッチ手段159からの信号が入力する図1の制御装置25は、前述した操作装置24からの操作信号を全部無効とするとともに、図2で示した開閉機11のブレーキ手段16を、制御装置25に設けられているタイマーで設定された短時間だけオン作動(図2で示したソレノイド21への非通電)させた後に、すなわち、シャッターカーテン1の閉じ移動を停止させた後に、オフ作動(ソレノイド21への通電)作動させ、かつ、このオフ作動の後に、制御装置25は、開閉機11の電動モータ手段15の駆動軸12を逆回転(図2で示したコイル22への通電)させる。
これにより、シャッターカーテン1を巻き取り、繰り出すための部材となっている前述の巻取軸8も逆回転し、このため、閉じ移動が停止した後のシャッターカーテン1は、開き移動を行う。言い換えると、障害物33に当接した後のシャッターカーテン1は、反転上昇することになる。この反転上昇は、制御装置25に設けられているタイマーで設定された時間だけ行われ、また、この時間の経過後に、開閉機11のブレーキ手段16は、制御装置25の制御によりオン作動に戻り、これにより、シャッターカーテン1の開き移動は、シャッターカーテン1が障害物33から離れた所定高さ位置で停止する。
これにより、ローラチェーン32に作用していたカーテン主部51Aの重量に基づく下向きの緊張力と、ワイヤー部材102に作用していた引張力とが消滅し、遅延装置27の第2回動部材152は、ばね156により図22のF方向へ回動し、このF方向への回動により、この第2回動部材152は、図22で示したもとの回動位置に戻る。これにより、スイッチ手段159はオフとなり、このスイッチ手段159がオンからオフに切り替えられた信号が入力する制御装置25は、図1で示した操作装置24からの操作信号を有効とする。したがって、この後に操作装置24を操作することにより、前述したように、シャッターカーテン1を開き移動、閉じ移動、移動停止させることが可能となる。
操作装置24の操作によりシャッターカーテン1を閉じ移動させるときまでに障害物33が除去されていないときには、閉じ移動したシャッターカーテン1が再び障害物33に当接するため、遅延装置27は再び図23の状態になり、このシャッターカーテン1は、再度、反転上昇を繰り返す。そして、障害物33が除去された後に、シャッターカーテン1を操作装置24の操作により閉じ移動させたときには、シャッターカーテン1は、前述した説明から明らかなように、全閉位置まで下降する。
なお、上述したように、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物33に当接することでローラチェーン32にカーテン主部51Aの重量に基づく下向きの緊張力が作用し、ワイヤー部材102に引張力が作用することにより、第2回動部材152がH方向に回動したときには、第2回動部材152の長孔152Aに第2ピン154が挿入されている第1回動部材151もH方向に回動し、第1回動部材151に設けられている第1ピン153もH方向に回動する。しかし、H方向に回動する以前の第1ピン153は、図22に示されているように、第2スライド部材122の長孔122Aの長さ方向における両端部の間の中間の位置にあったため、この第1ピン153は、図23に示されているように、長孔122Aの一方の端部(第1スライド部材121の前進方向の端部)122B又はこの端部122Bの近くまで移動するだけである。このため、遅延装置27の第1及び第2回動部材151,152のH方向への回動は、第2スライド部材122、及びこの第2スライド部材122に前述した反転レバー部材123を介して第1スライド部材121が連結されている自動閉鎖装置26に何ら影響を与えることはなく、したがって、この自動閉鎖装置26は、第1及び第2回動部材151,152がH方向へ回動しても、作動(機能)しない。
また、第1及び第2回動部材151,152が、上述したようにH方向に回動するときには、遅延手段170のピニオンギヤ171は、図22のI方向に回動するため、第1及び第2回動部材152は、遅延手段170の前述した粘性流体による影響を受けることなく、H方向に回動する。
また、上述したように、ローラチェーン32の下向きの緊張力とワイヤー部材102の引張力とが消滅し、遅延装置27の第2回動部材152が、ばね156でF方向に回動して図22で示したもとの回動位置に戻ると、第1回動部材151も、ばね155によりF方向に回動して図22で示したもとの回動位置に戻ることになる。このときの第1回動部材151のF方向の回動速度は、遅延装置27の粘性流体の影響により低速となるが、このときのシャッターカーテン1は、上述の反転上昇を行った後に停止しているか、あるいは、操作装置24の操作により閉じ移動、開き移動、移動停止のうちのいずれかを行っているかであるため、何ら問題は生じない。
なお、第2回動部材152のF方向への回動は、遅延装置27の粘性流体の影響を受けることなく、行われるため、スイッチ手段159は早期にオンからオフに切り替えられ、このため、早期に操作装置24を操作することが可能となる。
次に、本実施形態に係る管理及び防災併用シャッター装置が防災用シャッター装置として機能する場合について、説明する。
シャッターカーテン1が全開となって停止しているときに、言い換えると、シャッターカーテン1の図1で示す座板1Bが天井部材5に配置されているまぐさ14の高さ位置に達していて、シャッターカーテン1が停止しているときに、火災が発生すると、この火災を検知するための検知装置となっている図1の火災センサ28からの火災発生信号が制御装置25に入力する。この信号が入力した制御装置25により、図18で示した自動閉鎖装置26のソレノイド141が通電され、このソレノイド141が励磁されるため、このソレノイド141のプランジャ142は、ばね143に抗して後退する。この状態が図19に示されている。プランジャ142が後退すると、屈曲レバー部材144は、中心軸144Aを中心にばね146に抗して図18のB方向とは逆方向に回動することになり、屈曲レバー部材144のローラ145は第1スライド部材121の凹部121Bから脱出する。このため、第1スライド部材121はばね140で前進し、この前進は、第1スライド部材121に設けられているストップ部材121Dの前端が自動閉鎖装置26の機枠120に当接することにより停止する。このときにおける第1スライド部材121の前端121Aの位置は、図22で示した3個のC位置、D位置、E位置のうち、図19に示されているように、最前位置となっているC位置である。
また、第1スライド部材121が前進すると、スイッチ手段147のアクチュエータ148は、第1スライド部材121に取り付けられているドグ部材149への当接から外れるため、スイッチ手段147が作動し、スイッチ手段147からの信号により、制御装置25はソレノイド141への通電を停止する。
このソレノイド141への通電の停止により、プランジャ142はばね143でソレノイド141から突出移動し、屈曲レバー部材144はばね146で中心軸144Aを中心に図18のB方向へ回動する。このときの第1スライド部材121は、この第1スライド部材121の前端121Aが移動限であるC位置まで達した前進限位置まで移動しているため、屈曲レバー部材144のローラ145は、図20に示されているように、第1スライド部材121の前述した傾斜面121Cに当たる。このため、プランジャ142の突出移動、及び中心軸144Aを中心とする屈曲レバー部材144のB方向への回動は、途中で停止する。
以上のようにして自動閉鎖装置26の第1スライド部材121が前進すると、この第1スライド部材121の前端に設けられている作動部材130が、図2で示されている被作動部材131を介して開閉機11のレバー部材31の第1部分31Aを図2のA方向に押圧する。このため、前述したように、この第1部分31Aがレバー部材31の第2屈曲部31Dを支点としてA方向へ揺動することにより、開閉機11のブレーキ手段16のブレーキ軸18及びブレーキドラム19は、A方向と同じ方向であるA’方向へスライドし、これにより、それまでオンとなっていたブレーキ手段16は、オフ作動する。すなわち、ブレーキ手段16は、自動閉鎖装置26の第1スライド部材121が前進のスライド移動を行うことにより、機械式にオフ作動することになる。このブレーキ手段16の機械式のオフ作動により、全開となっていたシャッターカーテン1は、前述した巻取軸8よりも下側の部分の座板1B等の自重により、巻取軸8を回転させながら下向きに閉じ移動することになり、開閉機11の前述した駆動軸12も駆動力伝達手段13を介して自由回転し、シャッターカーテン1が全閉状態まで閉じ移動することにより、このシャッターカーテン1による防災区画が形成されることになる。
なお、火災センサ28から制御装置25に火災発生信号が入力したときには、この制御装置25は、操作装置24からの操作信号を全部無効とするとともに、開閉機11を電気的に制御することを停止する。
そして、以上の説明は、シャッターカーテン1が全開位置に達して停止しているときに、火災センサ28からの火災発生信号が制御装置25に入力した場合であったが、シャッターカーテン1が、図1に示されているように、半開状態(半閉じ状態)で停止しているときに、火災センサ28からの火災発生信号が制御装置25に入力したときにも、制御装置25は、上述の場合と同様に、自動閉鎖装置26のソレノイド141への通電により、自動閉鎖装置26の第1スライド部材121をスライド移動させ、ブレーキ手段16が機械式にオフ作動することにより、シャッターカーテン1は全閉位置まで下降する。
また、図1の火災センサ28からの信号が制御装置25に入力したときが、シャッターカーテン1が自重で閉じ移動中である場合には、制御装置25は、自動閉鎖装置26のソレノイド141への通電により、自動閉鎖装置26の第1スライド部材121をスライド移動させ、これにより、開閉機11のブレーキ手段16は、図2の開閉機11のソレノイド21に通電されていた電気的のオフ状態から機械式のオフ状態に切り替えられること(制御装置25が開閉機11を電気的に制御することを停止すること、及び第1スライド部材121のスライド移動によりブレーキ手段16が機械式にオフになること)になり、これにより、シャッターカーテン1は全閉位置まで下降する。
また、火災センサ28からの信号が制御装置25に入力したときが、シャッターカーテン1が開き移動中である場合には、制御装置25は、開閉機11の電動モータ手段15のコイル22への通電を停止して巻取軸8の前述した逆回転を停止させること(制御装置25が開閉機11を電気的に制御することを停止すること)を行うとともに、自動閉鎖装置26のソレノイド141への通電により、自動閉鎖装置26の第1スライド部材121をスライド移動させ、これにより、開閉機11のブレーキ手段16は機械式のオフ状態となり、シャッターカーテン1は、自重により全閉位置まで下降する。
さらに、シャッターカーテン1が全閉位置に達して停止しているときに、火災センサ28からの信号が制御装置25に入力した場合には、制御装置25は、自動閉鎖装置26のソレノイド141への通電により、自動閉鎖装置26の第1スライド部材121をスライド移動させ、これにより、開閉機11のブレーキ手段16は、機械式のオフ状態となる。
また、本実施形態に係る操作装置24には、火災が発生したことを人が発見した場合に、この人が操作することができる火災ボタンを設けてもよい。この火災ボタンは、火災センサ28と同じく、制御装置25に火災発生信号を入力させるためのものであり、この火災ボタンが操作されることにより、制御装置25は、スイッチ手段147が作動するまでソレノイド141への通電を行い、これにより、シャッターカーテン1を閉じ移動させて全閉状態とする。
そして、本実施形態に係るシャッター装置には、火災が鎮火した後などにおいて、自動閉鎖装置26を図18で示すもとの状態に復帰させための部材が設けられている。この部材は、図18等に示されているように、ワイヤー部材102と同様に金属で形成された又は他の材料で形成された復帰用紐状部材109であり、この復帰用紐状部材109の一端は、自動閉鎖装置26の第1スライド部材121に連結され、この紐状部材109の他端は、例えば、図1に示されているように、まぐさ14の前述のスリットを通して天井部材5の下方へ垂下され、この垂下した端部にリング部材109Aが取り付けられている。このリング部材109Aにより復帰用紐状部材109を引っ張り操作すると、第1スライド部材121は、図19及び図20のC位置まで達していた前端121Aの位置が、図18のE位置まで後退する移動をばね140に抗して行うことになる。これにより、図20で示す状態になっていた屈曲レバー部材144は、ばね146により図18のB方向に回動し、この屈曲レバー部材144のローラ145は、第1スライド部材121の凹部121Bに嵌合する。これにより、自動閉鎖装置26はもとの状態に復帰することになる。
自動閉鎖装置26をもとの状態に復帰させるためには、紐状部材109を用いるのではなく、例えば、操作装置24に復帰ボタンを設けるとともに、自動閉鎖装置26に、この復帰ボタンの操作により制御装置25によって駆動させられる電動モータを配置し、この電動モータで回転するピニオンギヤと噛合するラック部材を第1スライド部材121に取り付けてもよい。これによると、復帰ボタンを操作することで電動モータのピニオンギヤが回転し、この回転が、ラック部材を介して第1スライド部材121のスライド移動に変換され、この第1スライド部材121は、前端121Aの位置が図18のE位置となる後退移動を行うことになる。
しかし、自動閉鎖装置26を図18で示すもとの状態に復帰させるためのものを、図1等で示した復帰用紐状部材109とすると、火災の発生により停電となっている場合でも、この復帰用紐状部材109の操作により、自動閉鎖装置26を機械式にもとの状態に復帰させることができる。
上述したように、第1スライド部材121が、前端121Aの位置がE位置に後退する復帰移動を行うことにより、図2で示す被作動部材131を介して開閉機11のレバー部材31の第1部分31Aに作用していたA方向の押圧荷重が解除されるため、この開閉機11のブレーキ手段16はオフ作動し、これにより、開閉機11も、もとの状態に復帰することになる。
また、火災センサ28からの火災発生信号が制御装置25に入力することにより、図19に示すように、第1スライド部材121の前端121AがC位置に達したときには、図17の反転レバー部材123により、遅延装置27の第2スライド部材122は、図22の位置から図24で示す位置まで後退している。このときには、図24に示されているように、第2スライド部材122は、この第2スライド部材122に形成されている長孔122Aの前述した端部122Bが、遅延装置27の第1回動部材151の第1ピン153に僅かに当たる位置又は第1ピン153と僅かな隙間を明けて対面する位置まで移動している。
そして、火災が鎮火した後などにおいて、自動閉鎖装置26を、上述の復帰用紐状部材109の操作等により、図18で示すもとの状態に復帰させたときには、遅延装置27の第2スライド部材122も、図22で示すもとの位置に前進している。
なお、遅延装置27が図24で示す状態になったときには、この遅延装置27のスイッチ手段159は、図22のときと同じくオフになっているが、火災センサ28から制御装置25に火災発生信号が入力すると、この制御装置25は、前述した操作装置24から制御装置25に入力する全部の信号を無効とするため、火災の発生によりシャッターカーテン1が閉じ移動しているときや全閉位置に停止しているときに、操作装置24を操作しても、シャッターカーテン1の閉じ移動や全閉位置での停止は、継続される。
そして、制御装置25には、火災が鎮火した後などにおいて、制御装置25をもとの状態(火災の発生前の初期状態)に復帰させるためのリセット手段が設けられているため、このリセット手段により制御装置25を初期状態に戻すことができる。
火災の発生によりシャッターカーテン1が閉じ移動しているときに、言い換えると、自動閉鎖装置26が図20の状態になっているとともに、遅延装置27が図24の状態になっているときに、このシャッターカーテン1の下方に障害物33が存在し、シャッターカーテン1がこの障害物33に当接すると、図23の場合と同様に、機械式結合装置60がシャッターカーテン1とローラチェーン32とを結合するため、カーテン主部51Aの重量によりローラチェーン32に下向きの緊張力が作用し、これにより、ワイヤー部材102には引張力が作用する。このため、遅延装置27の第2回動部材152は図22のH方向に回動する。しかし、このときの遅延装置27は図24で示す状態になっているため、第2回動部材152のH方向への回動により、第1回動部材151も、第2回動部材152の長孔152Aと第1回動部材151の第2ピン154とにより、H方向に回動する。また、第2スライド部材122は、第1回動部材151の第1ピン153と第2スライド部材122の長孔122Aにより、前進移動する。この前進移動が行われたときにおける遅延装置27の状態が、図25に示されている。
遅延装置27が図25に示されている状態になるときには、第1及び第2回動部材151,152はH方向に回動するため、前述した遅延手段170のピニオンギヤ171は、図22のI方向に回転し、このI方向にピニオンギヤ171が回転する場合には、前述したように、遅延手段170のワンウエイクラッチの作用により、第1及び第2回動部材151,152は、遅延手段170の内部に充填されている粘性流体の抵抗力の影響を受けることなく、本来の速度でH方向に回動する。
また、遅延装置27が図25に示されている状態になると、この遅延装置27のスイッチ手段159はオンとなるが、このときは、図1の火災センサ28から制御装置25へ火災発生信号が入力しており、この信号の入力のために制御装置25は、前述した管理用シャッター装置として機能しているときの場合と異なり、開閉機11の電動モータ手段15の駆動軸12を逆回転させない。すなわち、シャッターカーテン1は、反転上昇しない。
上述のように、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物33に当接することにより、遅延装置27の第2スライド部材122が図25に示された位置まで前進すると、反転レバー部材123により、自動閉鎖装置26の第1スライド部材121は、前端121Aが図20で示されているC位置から図21で示されているD位置まで移動する後退を行う。これにより、第1スライド部材121の作動部材130で図2の開閉機11のレバー部材31に被作動部材131を介して作用していたA方向の押圧荷重が解除される。このため、開閉機11のブレーキ手段16は、図2で示されている開閉機11のばね20により、オン作動する。
したがって、閉じ移動中に障害物33に当接したシャッターカーテン1は、停止することになる。
なお、第1スライド部材121の前端121Aが図21のD位置まで後退しても、この図21に示されているように、自動閉鎖装置26の屈曲レバー部材144のローラ145は、第1スライド部材121の前述した傾斜面121Cに当接している。
また、本実施形態によると、防災用シャッター装置における閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物33に当接したときに、ローラチェーン32にカーテン主部51Aの重量を下向きの緊張力として作用させることは、上述したように機械式結合装置60がシャッターカーテン1とローラチェーン32とを機械式に結合することにより行われるため、火災の発生で停電となっているときでも、ローラチェーン32にカーテン主部51Aの重量を作用させて、開閉機11のブレーキ手段16をオン作動させることができる。
以上のように開閉機11のブレーキ手段16がオン作動することにより、シャッターカーテン1の閉じ移動が停止し、この停止の後に、障害物33が除去されると、カーテン主部51Aの重量はローラチェーン32に下向きの緊張力として作用しなくなり、この緊張力は消滅するため、遅延装置27の第2回動部材152は、図25の状態からばね156により図22のF方向に回動し、この回動に伴い、第1回動部材151もばね155によりF方向に回動する。この回動が行われた後の状態が図26で示されており、このときの第1及び第2回動部材151,152は、図22で示したもとの回動位置まで戻っている。
そして、これらの第1及び第2回動部材151,152の回動が行われると、自動閉鎖装置26の第1スライド部材121は、ばね140により、この第1スライド部材121の前端121Aが図18で示したC位置まで移動する前進移動を行うことになる。これにより、開閉機11のブレーキ手段16は再びオフ作動する。このため、シャッターカーテン1は自重により閉じ移動を再開し、このシャッターカーテン1は全閉位置まで達する。
また、自動閉鎖装置26の第1スライド部材121が、この第1スライド部材121の前端121Aが図18で示したC位置まで移動する前進移動を行うと、遅延装置27の第2スライド部材122は、反転レバー部材123により図25の位置から後退し、この後退した後の第2スライド部材122も図26で示されている。
なお、この図26で示されている状態は、図24で示されていると状態と同じである。すなわち、図26は、図24で示されている火災発生後のシャッターカーテン1が自重で閉じ移動しているときと同じである。
そして、シャッターカーテン1が全閉位置に達した後に、前述した復帰用紐状部材109により、あるいは、前述したように操作装置24に設けられている復帰ボタンにより、自動閉鎖装置26第1スライド部材121を図18で示したもとの後退位置に復帰させると、反転レバー部材123により、遅延装置27の第2スライド部材122は、図22で示したもとの位置に戻る。
これにより、自動閉鎖装置26及び遅延装置27の全体が、もとの状態(初期状態)に復帰したことになる。
また、本実施形態では、シャッターカーテン1に当接した障害物33が除去され、前述したように、遅延装置27の第1回動部材151がばね155でF方向に回動すると、この遅延装置27に設けられている遅延手段170のピニオンギヤ171は、図22で示したG方向へ回転する。このピニオンギヤ171のG方向への回転時には、前述したように、遅延手段170に設けられているワンウエイクラッチを介してそれぞれのブレードが、遅延手段170の内部に充填されている粘性流体内において回転する。このため、粘性流体の抵抗力により、第1回動部材151はF方向へ低速で回動することになる。
したがって、ばね156でF方向へ回動する第2回動部材152と比較して、ばね155でF方向へ回動する第1回動部材151の回動速度は、低速となる。また、自動閉鎖装置26のばね140により前進方向へ付勢されている第1スライド部材121は、第2スライド部材122の長孔122Aの端部122Bに第1回動部材151の第1ピン153が当接しているため、高速で前進移動することはできず、したがって、この第1スライド部材121の前端121Aが図18で示したC位置まで移動する第1スライド部材121の前進移動は、遅延手段170により遅延作用により、低速で行われることになる。
このため、第1スライド部材121の前端121Aが図18で示したC位置まで移動すること(開閉機1のブレーキ手段16をオフ作動させること)は、障害物33が除去された後に直ちに行われないことになる。したがって、障害物33が除去され、かつ遅延装置27に基づく遅延時間が経過した後に、シャッターカーテン1は閉じ移動を開始することになる。すなわち、遅延装置27は、障害物33が除去された後にシャッターカーテン1が閉じ移動を開始するまでの時間を遅延させるための装置になっている。
このため、本実施形態によると、本実施形態に係るシャッター装置が防災用シャッター装置として機能しているときには、閉じ移動中のシャッターカーテン1が当接した障害物33を除去するための作業を、充分な時間的余裕をもって行うことができる。
図27は、シャッター装置が、防災用シャッター装置として機能しているときと、管理用シャッター装置として機能しているときの両方において、障害物33の除去後におけるシャッターカーテン1の閉じ移動を開始させるまでの時間を遅延させることができる実施形態を示している。この図27では、前述の実施形態における部材、手段等と同じもの又は同じ機能のものには、同一の符号を用いている。
この実施形態に係る遅延装置227に用いられている第2回動部材は、符号252により示されている。このワイヤー部材102の端部が連結されている第2回動部材252にも、ばね156によりF方向への回動力が付与され、また、第2回動部材252には、第1回動部材151の第2ピン154が挿入された長孔252Aが形成されている。
遅延装置227の機枠210には、新たな遅延手段270が配置されている。この実施形態に係るシャッター装置が防災用シャッター装置として機能しているときに、障害物33の除去後におけるシャッターカーテン1の閉じ移動を開始させるまでの時間を遅延させるための前述した遅延手段170は、この実施形態では、第1遅延手段となっている。上記遅延手段270は、この実施形態に係るシャッター装置が管理用シャッター装置として機能しているときに、障害物33の除去後におけるシャッターカーテン1の閉じ移動を開始させるまでの時間を遅延させるための第2遅延手段となっている。第2回動部材252の外周面の一部には、第2遅延手段270のピニオンギヤ271が噛合する歯部252Bが設けられている。
なお、この実施形態において、第2スライド部材122は、第2回動部材252の歯部252B及び第2遅延手段270のピニオンギヤ271の下方を貫通して配置されており、第2遅延手段270は、第2スライド部材122の両側において、スペーサ等を用いて機枠210に一定高さ位置で取り付けられている。
第2遅延手段270は、第1遅延手段170と同様に、粘性流体式ダンパーとなっている。そして、ピニオンギヤ271の回転中心軸271Aには、ワンウエイクラッチを介して第2遅延手段270の内部に収納された複数のブレードが取り付けられており、第2回動部材252がF方向に回動することにより、ピニオンギヤ271及び中心軸271AがK方向に回転した場合には、ワンウエイクラッチを介してそれぞれのブレードが、第2遅延手段270の内部に充填されている粘性流体内において回転する。このため、粘性流体の抵抗力により、第2回動部材252はF方向へ低速で回動することになる。一方、第2回動部材252がF方向とは逆のH方向に回動し、ピニオンギヤ271及び中心軸271AがK方向とは逆のJ方向に回転した場合には、このJ方向への回転は、ワンウエイクラッチの切断作用によりそれぞれのブレードに伝達されない。このため、第2回動部材252は、J方向へ高速で回動することができる。
このため、このシャッター装置のシャッターカーテン1が、操作装置24の操作による制御装置25の制御により開き移動、閉じ移動、移動停止を行う管理用シャッター装置となっているときに、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物33に当接した場合には、図22及び図23で説明したときと同様に、ローラチェーン32の下向きの緊張力とワイヤー部材102の引張力により、第2回動部材252はH方向へ回動し、このときには、第2遅延手段270に、粘性流体による遅延作用は生じない。
そして、この実施形態でも、管理用シャッター装置における閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物33に当接した場合には、スイッチ手段159がオンとなることにより、シャッターカーテン1は反転上昇し、このシャッターカーテン1は、障害物33から離れた所定高さ位置で停止する。このため、前述したローラチェーン32に作用していた下向きの緊張力やワイヤー部材102に作用していた引張力は消滅し、また、第1及び第2回動部材151,252は、ばね155,156によりF方向に回動し、スイッチ手段159はオフに戻ることになる。したがって、この後は、操作装置24の操作による制御装置25の制御により、シャッターカーテン1を開き移動、閉じ移動、移動停止させることが可能となる。
しかし、第2回動部材252がF方向に回動するときには、第2遅延手段270のピニオンギヤ271はK方向に回転するため、第2回動部材252は、第2遅延手段270の粘性流体の抵抗力により、F方向へ低速で回動することになる。このため、スイッチ手段159がオフに戻るまでの時間が、第2遅延手段270の遅延作用のために、前述した実施形態よりも遅れることになる。
すなわち、この実施形態によると、たとえ、スイッチ手段159がオフとなるときまでに障害物33が除去されていても、この除去後であって、スイッチ手段159がオフとなる前に操作装置24の前述した「閉」ボタンが操作されても、制御装置25の制御によりシャッターカーテン1は閉じ移動を開始しないため、このシャッターカーテン1が閉じ移動を開始するまでの時間を、第2遅延手段270により遅延させることができる。
したがって、この実施形態によると、シャッターカーテン1が反転上昇した後に、直ちに障害物33を除去するとともに、操作装置24の「閉」ボタンを操作したとしても、シャッターカーテン1は閉じ移動を開始しないことになるため、シャッターカーテン1の下方を人等が通過するための充分の時間を確保することができる。
なお、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物33に当接することによりスイッチ手段159がオンとなった場合に、シャッターカーテン1を反転上昇させず、スイッチ手段159からの信号により制御装置25が、図2の開閉機11のソレノイド21への通電を停止することにより、その位置でシャッターカーテン1を停止させるようにしてもよい。そして、防災用シャッターの場合と同じく、障害物33が除去されることにより、ローラチェーン32の下向きの緊張力とワイヤー部材102の引張力とが消滅したときに、第2回動部材252のF方向の回動により、スイッチ手段159をオフとし、このオフ信号が入力する制御装置25が開閉機11のソレノイド21に通電することにより、シャッターカーテン1が自重により全閉位置まで閉じ移動するようにしてもよい。
このようにした場合であっても、操作装置24の「閉」ボタンの操作でシャッターカーテン1に閉じ移動を開始させることができるまでの時間を、第2遅延手段270により遅延されることになる。
また、この実施形態において、第2遅延手段270による遅延時間と、第1遅延手段170による遅延時間とを、同じとしてもよく、異ならせてもよい。
このように第2遅延手段270による遅延時間と、第1遅延手段170による遅延時間とを異ならせる場合において、第2遅延手段270による遅延時間を、第1遅延手段170による遅延時間よりも早くすることにより、管理用シャッターの場合において、障害物が除去された後にシャッターカーテンの閉じ移動を開始させるまでの時間を、防災用シャッターの場合における障害物が除去された後にシャッターカーテンの閉じ移動を開始させるまでの時間よりも早くすることができる。また、第2遅延手段270による遅延時間を、第1遅延手段170による遅延時間よりも遅くすることにより、第1回動部材151と第2回動部材152,252とを同じ速度でF方向に回動させるようにすると、管理用シャッターの場合における障害物が除去された後にシャッターカーテンの閉じ移動を開始させるまでの時間と、防災用シャッターの場合における障害物が除去された後にシャッターカーテンの閉じ移動を開始させるまでの時間とを、同じにすることができる。
また、遅延装置に遅延手段170を設けず、遅延手段270だけを設けてもよい。すなわち、シャッター装置が、管理用シャッター装置として機能しているときだけに、障害物の除去後におけるシャッターカーテンの閉じ移動を開始させるまでの時間を遅延させるようにしてもよい。
また、第1回動部材151の第2ピン154と、第2回動部材152,252の長孔152A,252Aとを省略し、これらの代わり、遅延装置27,227にローラチェーン32の下向きの緊張力を入力させるためのワイヤー部材102の端部を可撓性を有する二股状とし、この二股部の一方の端部を第1回動部材151に連結し、他方の端部を第2回動部材151,252に連結してもよい。これによっても前述した作用効果と同様な作用効果を達成することができる。
さらに、遅延装置27,227に、第1回動部材151の回動を検出することができるセンサを設け、このセンサからの信号により、防災用シャッター装置の場合に、シャッターカーテン1が、このシャッターカーテン1の障害物33への当接により、閉じ移動が停止したことや、障害物33の除去後に、シャッターカーテン1が閉じ移動を再開したことをモニター手段によりモニターすることができるようにしてもよい。
図28は、以上説明した実施形態の機械式結合装置60とは異なる構造となっている機械式結合装置360が用いられたシャッター装置を示しており、また、この実施形態では、前述したローラチェーン32に代わる部材として、シャッターカーテン1の表面に沿って配設されたロック用ワイヤー部材332が用いられている。この実施形態に係る機械式結合装置360も、前述の実施形態と同じく、シャッターカーテン1の座板1Bの前述した固定部50Aに配置されている。そして、この機械式結合装置360には、ローラチェーン32と同じく紐状部材となっているロック用ワイヤー部材332の折り返し部332Aが挿入されている。このロック用ワイヤー部材332は、天井部材5に配置されているまぐさ14のスリットから、折り返し部332Aを下端部としてU字状に垂下されており、ロック用ワイヤー部材332の一方の端部は、まぐさ14に配置された処理装置340に接続されている。
図29には、この処理装置340が示されている。処理装置340は、ロック用ワイヤー部材332の一方の端部が結合されたドラム341を有し、処理装置340の機枠340Aに軸341Aを中心に回転自在となって配置されているこのドラム341は、ロック用ワイヤー部材332を巻き取り、繰り出すための部材となっている。ドラム341と結合されている軸341Aには、ぜんまいばね等による戻しばね342の一端が連結され、戻しばね342の他端は、機枠340Aに連結されている。ロック用ワイヤー部材332を繰り出すときのドラム341及び軸341Aの回転により、戻しばね342に戻しばね力が蓄圧され、ロック用ワイヤー部材332に緩みが生じたときに、この戻しばね力で回転するドラム341にロック用ワイヤー部材332は巻き取られる。
そして、図28に示されているように、ロック用ワイヤー部材332の他方の端部は、まぐさ14に配置されたガイドローラ343及びガイドレール6Aの上端に配置されたガイドローラ344を介して、前述した伝達用ワイヤー部材102の下端部に設けられているリング部材103に連結されている。
図30には、機械式結合装置360の内部構造が示されている。この機械式結合装置360は、ケース361の内部に配置された機械式結合手段371を有し、この機械式結合手段371は、ロック用ワイヤー部材332の折り返し部332Aが案内されている左右のローラ372,373と、それぞれが軸374を中心に上下に揺動自在となっている第1及び第2レバー部材381,382と、上側の第1レバー部材381を常時下側へ付勢するための付勢手段となっているばね383と、下側の第2レバー部材382に取り付けられ、このレバー部材382を常時下側へ付勢するための付勢手段となっているウエイト部材384とを含んで構成されている。
また、ケース361には、第1レバー部材381の下側への揺動限を規定するためのストップ部材385が設けられ、第2レバー部材382には下方へ突出した突出部382Aが形成されている。図6で説明したように、シャッターカーテン1の座板1Bの固定部50Aの内部には、支点軸52を中心に上下に揺動自在となった揺動部材53が配置されており、この揺動部材53の突出片53Aには、押圧部材82が取り付けられており、この押圧部材82と第2レバー部材382の突出部382Aとが上下に接触又は対向している。
そして、第1レバー部材381と第2レバー部材382との間にロック用ワイヤー部材332の折り返し部332Aが左右に挿通され、第1レバー部材381と第2レバー部材382には、この折り返し部332Aと上下に対向する摩擦部材386,387が取り付けられている。
図30は、シャッターカーテン1が自重で閉じ移動しているときの機械式結合手段371を示しており、このときのロック用ワイヤー部材332は、図29で示した処理装置340のドラム341が戻しばね342に戻しばね力を蓄圧しながら回転することにより、このドラム341から繰り出されている。また、シャッターカーテン1が開き移動するときには、ロック用ワイヤー部材332に緩みが生ずるため、戻しばね342の戻しばね力により逆方向に回転するドラム341に、ロック用ワイヤー部材332は巻き取られることになる。
図31は、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物33に当接したときの機械式結合手段371を示しており、このときには、下側の第2レバー部材382が、押圧部材82からの上向きの押圧力により軸374を中心に上向きに揺動する。これにより、ロック用ワイヤー部材332の折り返し部332Aは、第1及び第2レバー部材381,382に取り付けられている摩擦部材386,387で上下から挟着されることになり、これにより、ロック用ワイヤー部材332とシャッターカーテン1は、機械式結合手段371により機械式に結合される。
このため、障害物33に当接した後のシャッターカーテン1の前述したカーテン主部51Aの重量が、ロック用ワイヤー部材332のうち、折り返し部332Aよりも前述の伝達用ワイヤー部材102側となっている部分に下向きの緊張力として作用するとともに、伝達用ワイヤー部材102には引張力として作用し、この引張力は、前述したそれぞれの実施形態と同様に、遅延装置27に入力することなる。
図32は、ロック用ワイヤー部材332をU字状に折り返したものとせず、機械式結合装置460の内部において、ロック用ワイヤー部材332をL字状に折り曲げた実施形態を示している。ロック用ワイヤー部材332における伝達用ワイヤー部材102のリング部材103に連結された端部とは反対側の端部は、シャッターカーテン1の座板1Bの固定部50Aに配置された処理装置440へと延びている。この処理装置440は、図29で示した処理装置340と同様に、ロック用ワイヤー部材332の一方の端部が結合されたドラムと、ロック用ワイヤー部材332を巻き取り、繰り出すために軸を中心に回転する部材となっているこのドラムに、戻しばね力を作用させるための戻しばねとを含んで構成されている。戻しばねには、ロック用ワイヤー部材を繰り出すときのドラムの回転により戻しばね力が蓄圧され、ロック用ワイヤー部材に緩みが生じたときに、この戻しばね力で回転するドラムにロック用ワイヤー部材は巻き取られる。
機械式結合装置460の機械式結合手段は、ケースの内部に、図30及び図31で示した機械式結合手段371と同様に、軸を中心に上下に揺動自在となって配置されている第1及び第2レバー部材を有している。そして、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物33に当接したときには、ロック用ワイヤー部材332は、第1及び第2レバー部材に取り付けられている摩擦部材で上下から挟着されることになり、これにより、ロック用ワイヤー部材332とシャッターカーテン1は、機械式結合装置460により機械式に結合される。
以上説明したように本発明において、機械式結合装置は任意な構造のものでよく、また、閉じ移動中のシャッターカーテンが障害物に当接したときに、機械式結合装置でシャッターカーテンと機械式に結合される紐状部材も、ローラチェーンでもよく、ワイヤー部材でもよく、合成樹脂製の紐等でもよい。
本発明は、例えば、シャッターカーテンが開閉体となっているシャッター装置や、開き戸装置、引戸装置、さらには、オーニング装置や、防煙垂れ幕装置等の各種の開閉装置に利用することができる。
1 開閉体であるシャッターカーテン
11 駆動装置である開閉機
16 ブレーキ手段
24 操作装置
25 制御装置
26 機械式制御装置である自動閉鎖装置
32 紐状体を構成する紐状部材であるローラチェーン
33 障害物
51A 開閉体主部であるカーテン主部
51B 開閉体副部であるカーテン副部
71 機械式結合手段
76,77 回転部材であるスプロケットホイール
79 回転体であるラチェットホイール
81 運動部材であるラチェット部材

Claims (9)

  1. 開閉体主部と、この開閉体主部に対して可動に設けられた開閉体副部とを含んで構成された開閉体が閉じ移動の途中で障害物に当接したときに、この閉じ移動を機械式に停止させるための開閉装置の機械式開閉体停止装置であって、
    前記開閉体の閉じ移動を停止させるためのブレーキ手段を有する駆動装置を機械式に制御するための機械式制御装置側から前記開閉体側へと延びている紐状体と、この紐状体に対して開閉移動する前記開閉体に配置され、前記開閉体の閉じ移動中に前記障害物に当接した前記開閉体副部が前記開閉体主部に対して移動することで前記開閉体と前記紐状体とを機械式に結合して前記開閉体の閉じ移動を停止させるための機械式結合手段と、を含んで構成されている開閉装置の機械式開閉体停止装置において、
    前記機械式結合手段は、前記開閉体が移動しているときに回転している回転部材と、この回転部材と共に回転する回転体とを含んで構成されており、
    前記開閉体には、前記開閉体が閉じ移動中に前記障害物に当接したときに運動する運動部材が配置され、この運動を行った前記運動部材が前記回転体に係合することにより、この回転体及び前記回転部材の回転が停止して前記紐状体に作用する緊張力で前記ブレーキ手段をオン作動させて前記開閉体の閉じ移動を停止させ、
    前記紐状体は、第1紐状部材と第2紐状部材とにより構成され、これらの第1紐状部材と第2紐状部材は前記回転部材を介して連動するとともに、前記回転体は前記第2紐状部材により回転することを特徴とする開閉装置の機械式開閉体停止装置。
  2. 請求項1に記載の開閉装置の機械式開閉体停止装置において、前記回転体と前記回転部材は、前記開閉体に設けられているカバー部材により覆われていることを特徴とする開閉装置の機械式開閉体停止装置。
  3. 請求項2に記載の開閉装置の機械式開閉体停止装置において、前記回転体と前記回転部材は、前記開閉体に設けられているベース部材に配置され、このベース部材と前記カバー部材とにより、前記回転体と前記回転部材は覆われていることを特徴とする開閉装置の機械式開閉体停止装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の開閉装置の機械式開閉体停止装置において、前記回転部材と前記回転体は、前記開閉体の幅方向の中央位置からこの幅方向の一方の端部側に片寄った位置に配置されていることを特徴とする開閉装置の機械式開閉体停止装置。
  5. 請求項4に記載の開閉装置の機械式開閉体停止装置において、前記機械式制御装置は、前記開閉体の幅方向の前記中央位置に対してこの幅方向にずれている位置であって、前記開閉体で開閉される空間の上方の位置に配置されており、前記回転部材と前記回転体が配置されている前記開閉体の幅方向の前記中央位置からこの幅方向の一方の端部側に片寄った前記位置とは、前記開閉体の幅方向の前記中央位置に対して前記機械式制御装置がずれている側と同じ側の位置であることを特徴とする開閉装置の機械式開閉体停止装置。
  6. 請求項4又は5に記載の開閉装置の機械式開閉体停止装置において、前記回転部材は、前記回転体よりも前記開閉体の幅方向の前記中央位置から遠い位置に配置されていることを特徴とする開閉装置の機械式開閉体停止装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の開閉装置の機械式開閉体停止装置において、前記運動部材は、前記回転体よりも前記開閉体の幅方向の中央位置に近い位置に配置されていることを特徴とする開閉装置の機械式開閉体停止装置。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の開閉装置の機械式開閉体停止装置において、前記運動部材は、中心軸を中心に揺動運動を行うものとなっていることを特徴とする開閉装置の機械式開閉体停止装置。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の開閉装置の機械式開閉体停止装置において、前記回転体はラチェットホイールであり、前記運動部材はラチェット部材であることを特徴とする開閉装置の機械式開閉体停止装置。
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