実施例に係る除雪機について説明する。図1に示されるように、除雪機10は、エンジン15によってオーガ23と、該オーガ23によって集められた雪をシュータ25から周囲に飛ばすブロア24とを駆動するとともに、走行装置14によって自走する形式の自走式作業機である。エンジン15は、エンジンカバー17によって覆われている。
詳しくは、除雪機10の機体11は、走行フレーム12と車体フレーム13とからなる。該走行フレーム12は走行装置14を備えている。該車体フレーム13はエンジン15及び除雪作業部16を備えている。車体フレーム13の後部は、走行フレーム12に上下スイング可能に取り付けられている。該車体フレーム13の前部は、昇降駆動機構18によって昇降(上下スイング)駆動される。
図2に示されるように、該昇降駆動機構18は、シリンダからピストンが進退可能なアクチュエータである。例えば、該アクチュエータは、電動モータ18aにより図示せぬ油圧ポンプを駆動することによって、該油圧ポンプが発生した油圧によりピストンを伸縮させる型式の電動油圧シリンダである。電動モータ18aは、昇降駆動機構18のシリンダの側部に一体に組込んだ、昇降用駆動源である。
該昇降駆動機構18の一端は、走行フレーム12に上下スイング可能に取り付けられている。該昇降駆動機構18の他端は、車体フレーム13に上下スイング可能に取り付けられている。該昇降駆動機構18によって、車体フレーム13、オーガハウジング21及びブロアケース22を昇降(上下スイング)させることができる。
図1に示されるように、除雪作業部16は、オーガハウジング21、該オーガハウジング21の背面と一体のブロアケース22、オーガハウジング21に備えたオーガ23、ブロアケース22に備えたブロア24及びシュータ25からなる。該オーガハウジング21は、後下端にスクレーパ21aを備えている。
エンジン15の動力は、動力伝達系統30によって除雪作業部16に伝えられる。該動力伝達系統30は、オーガクラッチ31、駆動プーリ32、ベルト33及び被動プーリ34からなる。オーガクラッチ31がオンの場合には、エンジン15の動力を駆動プーリ32、ベルト33、被動プーリ34、回転軸35、ギヤケース36、オーガ軸37、オーガ23及びブロア24の順に伝えることにより、該オーガ23を回転させて路上の雪を図面表裏方向に掻き集めることでブロア24に送り込み、ブロア24の遠心力によりシュータ25を通じて雪を投射することができる。
該オーガクラッチ31は、周知の電気式クラッチ機構によって構成、例えば電磁クラッチやモータ駆動式ベルトテンション機構によって構成される。該オーガクラッチ31を電磁クラッチによって構成した場合には、該オーガクラッチ31は、エンジン15の出力軸と駆動プーリ32との間を連結可能に設けられる。また、該オーガクラッチ31を周知のモータ駆動式ベルトテンション機構によって構成した場合には、該オーガクラッチ31は、ベルト33にテンションを付加することが可能なテンショナと、該テンショナを駆動するモータとからなる。
走行装置14は、例えば駆動輪41(ミッション駆動輪41)、遊動輪42及びクローラベルト43を基本要素とするクローラによって構成されている。エンジン15の動力は、走行動力伝達系統44によって走行装置14に伝えられる。該走行動力伝達系統44は、エンジン15の出力軸に取り付けられた駆動プーリ45、ベルト46、被動プーリ47、油圧式無段変速機48及びベルトテンション機構49からなる。該油圧式無段変速機48は、正逆転及び無段変速が可能である。該油圧式無段変速機48の出力軸は、駆動輪41に連結されている。エンジン15の動力を、駆動プーリ45、ベルト46、被動プーリ47、油圧式無段変速機48、駆動輪41、クローラベルト43の順に伝えることにより、該クローラベルト43を回転させて路上を走行することができる。
該駆動輪41の回転方向及び回転速度は、ミッション回転センサ87によって検出される。該ミッション回転センサ87は、例えば油圧式無段変速機48の内部の回転軸のなかの1つの軸の回転方向及び回転速度を検出、又は駆動輪41の回転方向及び回転速度を直接に検出する。
該走行動力伝達系統44のベルトテンション機構49は、周知の構成であって、該ベルト46にテンションを付加することが可能なテンショナによって構成される。該テンショナは、ワイヤケーブルによって走行準備レバー62に連結されている。該走行準備レバー62を握ることにより、テンショナを操作してベルト46にテンションを付加する。この結果、エンジン15の動力を、駆動プーリ45からベルト46によって被動プーリ47に伝えることが可能となる。このようなベルトテンション機構49は、例えば特開2002−349651号公報によって知られている。
除雪機10は、車体フレーム13に、オーガハウジング21及びブロアケース22をローリング可能に取付け、オーガハウジング21及びブロアケース22をローリング駆動機構51(図2参照)によってローリングさせるようにした構成である。
詳しく説明すると、図2に示されるように、車体フレーム13の前端部で軸受52を介して回転支持部53を左右回転可能に支持し、該回転支持部53にブロアケース22の後端部を固定し、さらに、前後に延びる回転軸35を回転支持部53によって左右回転可能に支持することにより、回転軸35を回転中心として、車体フレーム13にオーガハウジング21及びブロアケース22を左右回転可能(ローリング可能)に取付けたものである。
上述のように、走行フレーム12は車体フレーム13を取り付けた構成である。このため、走行フレーム12にオーガハウジング21及びブロアケース22をローリング可能に取付けたことになる。この結果、走行フレーム12に対して、オーガハウジング21は昇降可能且つローリング可能である。
ローリング駆動機構51は、シリンダからピストンが進退可能なアクチュエータである。例えば、該アクチュエータは、電動モータ51aにより図示せぬ油圧ポンプを駆動することにより、該油圧ポンプが発生した油圧によりピストンを伸縮させる型式の電動油圧シリンダである。電動モータ51aは、ローリング駆動機構51のシリンダの側部に一体に組込んだ、ローリング用駆動源である。
該ローリング駆動機構51の一端は、車体フレーム13に左右スイング可能に取り付けられている。該ローリング駆動機構51の他端は、ブロアケース22の背面に左右スイング可能に取り付けられている。オーガハウジング21及びブロアケース22をローリング駆動機構51によってローリングさせることができる。
図1及び図3に示されるように、該車体フレーム13の後部には、操作ハンドル61と走行準備レバー62と操作部63とが設けられている。該操作ハンドル61は、操作部63の後部に位置している平面視略コの字形状のバーハンドルである。作業者は、除雪機10に連れて歩行しながら、該操作ハンドル61によって除雪機10を操作することができる。
該走行準備レバー62は、操作部63の後部に、且つ、操作ハンドル61に沿って位置する平面視略コの字形状の操作部材であり、車体フレーム13に上下スイング可能に取付けられている。該走行準備レバー62は、いわゆるデッドマンレバーと言われており、通常はリターンスプリングの付勢力によってフリー状態にあり、操作ハンドル61と共に作業者に握られているときにはクラッチレバースイッチ62a(図2参照)をオン操作することが可能である。該クラッチレバースイッチ62aがオン状態のときには、オーガスイッチ73をオン操作することにより、オーガクラッチ31(図1参照)がオンとなる。
さらには、該走行準備レバー62を操作ハンドル61と共に握ることにより、ワイヤケーブルを介してベルトテンション機構49を操作して、ベルト46にテンションを付加することが可能である。この結果、エンジン15の動力を、駆動プーリ45からベルト46によって被動プーリ47に伝えることが可能となる。
図2及び図3に示されるように、操作部63はメインスイッチ71、スロットルレバー72、オーガスイッチ73、リセットスイッチ74、リセット表示灯74a、方向速度レバー75、シュータ操作レバー76、オーガハウジングレバー77、オートハイトスイッチ78、オーガアシストスイッチ79を備えている。
メインスイッチ71は、オン操作をすることによりエンジン15を始動させるとともに、オフ操作をすることによりエンジン15を停止させることが可能な手動スイッチであり、例えばロータリスイッチからなる。スロットルレバー72は、エンジン15の回転数を制御するための操作部材である。
オーガスイッチ73(「クラッチ操作スイッチ73」とも言う)は、オーガクラッチ31(図1参照)をオン、オフ切替え操作する手動スイッチであり、例えば押し釦スイッチからなる。走行準備レバー62を握ることによって該クラッチレバースイッチ62aがオン状態のときには、オーガスイッチ73を操作することにより、オーガクラッチ31がオンになり、エンジン15の動力でオーガ23及びブロア24を回転させることができる。該オーガクラッチ31が、モータ駆動式ベルトテンション機構によって構成された場合には、モータを正転させることによって駆動されたテンショナが、ベルト33にテンションを付加する。なお、走行準備レバー62をフリーにするか、又は、オーガスイッチ73を操作することにより、オーガクラッチ31をオフ状態にすることができる。該オーガクラッチ31が、モータ駆動式ベルトテンション機構によって構成された場合には、モータを逆転させることによって、テンショナはベルト33に付加しているテンションを解除する。
リセットスイッチ74(「オーガ原位置自動復帰スイッチ74」とも言う)は、オーガハウジング21の姿勢(位置)を、予め設定されている原点に復帰させるための手動スイッチである。このリセットスイッチ74として、例えば、押し釦スイッチが用いられる。リセットスイッチ74は、押し釦が手で押し込まれている状態でオンになり、手を離すと押し釦が復帰ばねにより押し込み前の位置に自動復帰してオフになる、いわゆる自動復帰式スイッチである。
該原点は、例えば図1に示されるように、オーガハウジング21を水平に配置した状態において、該オーガハウジング21に備えているスクレーパ21aの下端部が、ハイト方向とロール方向の両方で、水平な平坦面Gr(走行路面Gr)に接する位置のことである。
図2及び図3に示されるように、リセット表示灯74aは、リセットスイッチ74のオン動作に連動して点灯し、例えばオーガアシストスイッチ79がオフのときに消灯する。
方向速度レバー75(「前後進速度調節レバー75」とも言う)は、作業者の手により前後に往復操作をすることによって、除雪機10の走行状態を調節する操作部材である。該方向速度レバー75は、中央に起立状態の停止位置Nrから、前方の前進Fr側と後方の後退Rr側とに前後スイング操作が可能である。該方向速度レバー75は、油圧式無段変速機48(図1参照)の変速レバーにリンク機構やワイヤケーブル等の連結機構によって連結されている。該方向速度レバー75によって油圧式無段変速機48を調節することにより、該油圧式無段変速機48の出力軸の回転方向及び回転速度が変わる。
このように、該方向速度レバー75は、除雪機10の走行状態、つまり前進の速度又は後退の速度を調整する、操作部材である。つまり、方向速度レバー75は、走行装置14の走行速度を操作する操作部材である。
該方向速度レバー75が停止位置Nrに位置しているときには、油圧式無段変速機48は中立状態にあり、走行装置14への出力を常に零としている。このため、走行装置14は停止している。油圧式無段変速機48が中立状態にあるので、ミッション回転センサ87は、走行装置14が停止していることを検出する。
該方向速度レバー75を、停止位置Nrから前進Fr側にスイング操作をした場合には、油圧式無段変速機48は該方向速度レバー75のスイング角に従った速度の、前進方向の出力を走行装置14に伝える。この結果、走行装置14は前進する。ミッション回転センサ87は、走行装置14が前進方向に回転していることを検出する。
該方向速度レバー75を、停止位置Nrから後退Rr側にスイング操作をした場合には、油圧式無段変速機48は該方向速度レバー75のスイング角に従った速度の、後進方向の出力を走行装置14に伝える。この結果、走行装置14は後退する。ミッション回転センサ87は、走行装置14が後退方向に回転していることを検出する。
シュータ操作レバー76は、シュータ25(図1参照)の左右向きを変えるための、操作部材である。該シュータ操作レバー76によりシュータ25の上部の上下方向を調節して、掻き上げられた雪の投雪方向を調節することができる。
オーガハウジングレバー77(オーガハウジング姿勢操作レバー77)は、オーガハウジング21の姿勢を変えるための、操作部材である。つまり、オーガハウジングレバー77は、オーガ23で除雪作業時にオーガハウジング21を雪面に合わせて昇降並びにローリングさせるべく、昇降駆動機構18やローリング駆動機構51を操作するための、操作部材である。
オートハイトスイッチ78は、制御部81がオートハイトアップモード及びオートハイトダウンモードの制御を実行するためにオン、オフ切替え操作する手動スイッチであり、例えばロータリスイッチからなる。
図7に示されるように、該オートハイトアップモードは、走行装置14が後退したときに、オーガハウジング21を自動的に所定の上限角βhuまで上昇させるように、昇降駆動機構18を制御する制御モードである。該オートハイトアップモードを実行すれば、走行装置14が後退したときに、オーガハウジング21が雪面に引っかからないように防止することができる。一方、該オートハイトダウンモードは、オーガ23が回転しているときに且つ走行装置14が再び前進したときに、後退する直前のオーガハウジング21の高さ、つまり元の高さまで自動的に戻すように、昇降駆動機構18を制御する制御モードである。オートハイトアップモード及びオートハイトダウンモードでは、オーガハウジング21の現在の高さは、図2に示されるハイト位置センサ85によって検出される傾き角βhrが採用される。
図3に示されるオーガアシストスイッチ79は、制御部81がアシストモードの制御を実行するためにオン、オフ切替え操作する手動スイッチであり、例えばロータリスイッチからなる。該アシストモードでは、オーガハウジング21の現在の高さは、図2に示される加速度センサ83によって検出される加速度αhに基づく傾き角θhが採用される。
該アシストモードは、オートハイトダウンモードの制御を実行するにあたって、後退する直前のオーガハウジング21の高さθminに対して、現在の傾き角θhが離れていれば高速で下降し、近づいたときには低速で下降するように、昇降駆動機構18を制御する制御モードである。
次に、除雪機10の制御系統について説明する。図2に示されるように、除雪機10の制御系統は、制御部81に中心に集約されたものである。該制御部81はメモリ82を内蔵し、このメモリ82に記憶されている各種の情報を適宜読み出して制御する構成である。
さらに、制御部81は、オーガハウジング21に発生した加速度を検出するための加速度センサ83を内蔵している。該加速度センサ83は、例えば、制御部81の他の電子回路等と共に基盤に集積化される。上述のように、車体フレーム13にオーガハウジング21及び操作部63が設けられている。該操作部63の内部には該制御部81が設けられている。このため、加速度センサ83は、オーガハウジング21と共に姿勢が変化し得る。つまり、該加速度センサ83は、オーガハウジング21に直接に設けられている場合と、実質的に同じ構成であり、該オーガハウジング21自体に発生した加速度を検出することが可能である。
該加速度センサ83はX軸、Y軸、及びZ軸という3軸方向の加速度を検出可能な、3軸加速度センサから成る。該3軸加速度センサは、いわゆる半導体加速度センサと称する、一般的なセンサでよい。半導体加速度センサの種類には、例えばピエゾ抵抗型、静電容量型、熱検知型がある。
このような3軸加速度センサは、オーガハウジング21自体に発生した3軸方向の加速度を検出することが可能である。例えばX軸方向の加速度は、オーガハウジング21自体に発生した、鉛直線方向、つまり重力方向の加速度(重力加速度)である。Y軸方向の加速度は、オーガハウジング21自体に発生した、左右の水平方向の加速度である。Z軸方向の加速度は、オーガハウジング21自体に発生した、前後の水平方向の加速度である。
オーガハウジング21自体に発生した加速度を加速度センサ83によって検出し、この検出値に基づいて、重力方向に対するオーガハウジング21自体の傾き角を求めることができる。従って、本発明では、該加速度センサ83のことを、オーガハウジングの重力方向に対する水平状態を検出する水平検出部であると考えることができる。以下、該加速度センサ83のことを、適宜「水平検出部83」と言い換える。
次に、除雪作業部16とオーガハウジングレバー77との関係を、図2に基づいて詳しく説明する。
オーガハウジングレバー77とオーガハウジング姿勢操作用の4つのスイッチ91〜94とによって、ハウジング姿勢操作部100が構成される。オーガハウジングレバー77をスイング操作して、スイッチ素子95〜98を個別にオン作動させることにより、電動モータ18a,51aに電力を供給することができる。各スイッチ素子95〜98は、例えば電界効果トランジスタ(FET)やリレーによって構成される。
オーガハウジングレバー77を前側Frsにスイング操作すると、下降用スイッチ91はオンになる。オン信号を受けた制御部81は下降用スイッチ素子95をオン作動させることで、電動モータ18aに電力を供給して正転させる。これにより、昇降駆動機構18はオーガハウジング21及びブロアケース22を下降させる(矢印Dw方向へ変位させる)。
オーガハウジングレバー77を後側Rrsにスイング操作すると、上昇用スイッチ92はオンになる。オン信号を受けた制御部81は上昇用スイッチ素子96をオン作動させることで、電動モータ18aに電力を供給して逆転させる。これにより、昇降駆動機構18はオーガハウジング21及びブロアケース22を上昇させる(矢印Up方向へ変位させる)。
オーガハウジングレバー77を左側Lesにスイング操作すると、左ローリング用スイッチ93はオンになる。オン信号を受けた制御部81は左ローリング用スイッチ素子97をオン作動させることで、電動モータ51aに電力を供給して正転させる。これにより、ローリング駆動機構51はオーガハウジング21及びブロアケース22を左Leに傾動(ローリング)させる。
オーガハウジングレバー77を右側Risにスイング操作すると、右ローリング用スイッチ94はオンになる。オン信号を受けた制御部81は右ローリング用スイッチ素子98をオン作動させることで、電動モータ51aに電力を供給して逆転させる。これにより、ローリング駆動機構51はオーガハウジング21及びブロアケース22を右Riに傾動(ローリング)させる。
このように、オーガハウジングレバー77を前後にスイング操作することで、電動モータ18aは正逆転し、昇降駆動機構18のピストンを伸縮させる。この結果、オーガハウジング21及びブロアケース22は昇降する。オーガハウジング21の昇降位置については、ハイト位置センサ85によって検出し、その検出信号を制御部81に発するようにした。
また、オーガハウジングレバー77を左右にスイング操作することで、電動モータ51aは正転し、ローリング駆動機構51のピストンを伸縮させる。この結果、オーガハウジング21及びブロアケース22は左右にローリングする。オーガハウジング21のローリング位置については、ローリング位置センサ86によって検出し、その検出信号を制御部81に発するようにした。
ハイト位置センサ85(第1のハウジング傾斜角検出部85)は、走行フレーム12に対するオーガハウジング21の上下方向(ハイト方向)の相対的な傾き角βhrを検出するものであって、例えば防水型の回転式ポテンショメータによって構成される。該ハイト位置センサ85は、車体フレーム13に取り付けられている。
ローリング位置センサ86(第2のハウジング傾斜角検出部86)は、車体フレーム13に対するオーガハウジング21の左右方向の相対的な傾き角βrrを検出するものであって、例えば防水型の回転式ポテンショメータによって構成される。ローリング位置センサ86は、車体フレーム13の前端部に取り付けられている。このことから、次のことがいえる。走行フレーム12に対して車体フレーム13が左右方向に相対的に傾くことはない。従って、ローリング位置センサ86は、走行フレーム12に対するオーガハウジング21の左右方向の相対的な傾き角を検出するものであると、いうことができる。
上述のように、該ハイト位置センサ85は、走行フレーム12に対するオーガハウジング21の上下方向(ハイト方向)の相対的な傾き角βhrを検出する相対角検出部である。以下、該ハイト位置センサ85のことを、適宜「相対角検出部85」という。また、該ローリング位置センサ86は、車体フレーム13に対するオーガハウジング21の左右方向の相対的な傾き角βrrを検出する相対角検出部である。以下、該ローリング位置センサ86のことを、適宜「相対角検出部86」という。
次に、制御部81(図2参照)をマイクロコンピュータによって構成した場合の制御フローについて、図4〜図6に基づき説明する。この制御フローは、例えば次の5つの条件を全て満足したときに制御を開始する。第1条件は、メインスイッチ71がオンであること。第2条件は、クラッチレバースイッチ62aがオン(走行準備レバー62が握られている)であること。第3条件は、オーガクラッチ31がオンであること(オーガ23が回転中であること)。第4条件は、オートハイトスイッチ78がオンであること。第5条件は、オーガアシストスイッチ79がオンであること。
なお、図4〜図6に示される制御フローチャートでは、除雪機10の制御のなかの、オーガハウジング21のオートハイト、アシストモード制御に関するステップのみを説明し、他の制御に関するステップについては省略する。以下、図2及び図3を参照しつつ説明する。
図4は、本発明に係る制御部81の制御フローチャートである。制御部81は制御を開始すると、先ずステップS11において、図2に示されるハウジング姿勢操作部100の4つのスイッチ91〜94の各スイッチ信号を読み込む。この各スイッチ信号によってオーガハウジングレバー77の操作方向が判る。
次に、オーガハウジングレバー77の操作方向が左右以外であるか否かを判断する(ステップS12)。ここで、オーガハウジングレバー77の操作方向が左側Les又は右側Risであると判断した場合には、オーガハウジング21及びブロアケース22を左Le又は右Riにローリングさせる。そして、ステップS16に進む。
ステップS12において、オーガハウジングレバー77の操作方向が左右以外であると判断した場合には、オーガハウジングレバー77の操作方向が上、下、中立のどれであるかを判断する(ステップS13)。ここで、オーガハウジングレバー77の操作方向が上側Frsであると判断した場合には、ステップS14に進み、昇降駆動機構18によってオーガハウジング21及びブロアケース22を上Upに傾動させる(上ハイト駆動する)。
ステップS13において、オーガハウジングレバー77の操作方向が下側Rrsであると判断した場合には、ステップS15に進む。このステップS15では、昇降駆動機構18によってオーガハウジング21及びブロアケース22を下Dwに傾動させる(下ハイト駆動する)。
ステップS14又はステップS15の処理が完了した後に、制御部81は、この制御フローを停止するか否かを判断する(ステップS16)。ここで、次の4つの条件を全て満足した場合には、制御を継続すると判断してステップS11に戻る。第1条件は、メインスイッチ71がオンであること。第2条件は、クラッチレバースイッチ62aがオン(走行準備レバー62が握られている)であること。第3条件は、オーガスイッチ73がオンであること。第4条件は、オートハイトスイッチ78がオンであること。一方、上記4つの条件の少なくとも1つの条件を満足しない場合には、制御を停止すると判断して、一連の制御を終了する。
上記ステップS13において、オーガハウジングレバー77の操作方向が中立であると判断した場合には、ステップS17に進む。このステップS17では、リセットスイッチ74のスイッチ信号を読み込む。
次に、リセットスイッチ74がオンであるか否かを判断する(ステップS18)。ここで、オフ(off)であると判断した場合には、ステップS16に進む。ここで、オン(on)であると判断した場合には、ステップS19に進む。このステップS19では、ミッション回転センサ87の検出信号を読み込む。
次にステップS20では、ミッション回転センサ87の検出信号に基づいて、方向速度レバー75の操作方向を判断する。方向速度レバー75の操作方向が中立位置なら、停止制御であると判断してステップS16に進む。
方向速度レバー75の操作方向が後退方向なら後退走行制御であると判断し、ステップS21に進んでオートハイトアップ制御を実行した後に、ステップS16に進む。ステップS21のオートハイトアップ制御処理を実行するための具体的な制御フローについては、図5で説明する。
方向速度レバー75の操作方向が前進方向なら前進走行制御であると判断し、ステップS22に進む。このステップS22では、オーガスイッチ73のスイッチ信号を読み込み、該オーガスイッチ73がオフであるか否かを判断する。ここで、オフ(off)であると判断した場合には、ステップS23に進んでリセット制御を実行した後に、ステップS16に進む。ステップS23のリセット制御処理を実行するための具体的な制御フローについては、図6で説明する。
一方、ステップS22でオーガスイッチ73がオン(on)であると判断した場合には、ステップS24に進む。このステップS24では、加速度αhから求められたハイト傾き角θhにより、オーガハウジング21の水平制御を実行した後に、ステップS16に進む。
このステップS24を実行する前提条件は、次の3つの条件を全て満足することである。第1条件は、走行方向が前進方向であること(ステップS20で前進)。第2条件は、オーガスイッチ73がオンであること(ステップS22でNO)。第3条件は、オーガアシストスイッチ79がオンであること(アシストモード)。
具体的な制御内容は、先ず、オーガハウジング21のハイト方向(高さ方向)の加速度αhを読み込む。このハイト方向の加速度αhについては、加速度センサ83によって検出された検出値を読み込めばよい。次に、加速度αhから、オーガハウジング21自体のハイト方向の実傾き角θhを求める。該実ハイト傾き角θhは、オーガハウジング21の重力方向に対する実際のハイト傾き角、つまり、水平な接地面Gr(路面Gr)に対するオーガハウジング21の実際のハイト傾き角である。次に、該実ハイト傾き角θhに基づいて、オーガハウジング21の重力方向に対する姿勢、つまり水平状態を判断して、オーガハウジング21が水平となるように、昇降駆動機構18を制御する。
次に、オートハイトアップ制御処理を実行するための具体的な制御フローについて説明する。図5は、制御部81が上記図4に示されるステップS21の「オートハイトアップ制御」を実行するためのサブルーチンである。
オートハイトアップ制御では、ハイト位置センサ85によって検出された傾き角βhrにより、オーガハウジング21のハイト方向の制御を実行する。制御部81は、先ずステップS101において、走行フレーム12に対するオーガハウジング21のハイト方向の相対的な傾き角βhr(現時点における実際のハイト傾き角βhr)を読み込む。該傾き角βhrについては、ハイト位置センサ85の検出信号を読み込めばよい。
次に、ステップS102では、オートハイトアップ制御を実行する否かを判断する。具体的には、次の3つの条件を全て満足したときに、オートハイトアップ制御を実行すると判断する。第1条件は、メインスイッチ71がオンであること。第2条件は、クラッチレバースイッチ62aがオン(走行準備レバー62が握られている)であること。第3条件は、オートハイトスイッチ78がオンであること。
ここで、実行しないと判断した場合には、上昇用スイッチ素子96をオフ作動させることにより、電動モータ18aを停止させて、オーガハウジング21の上昇を停止させた後に(ステップS105)、このサブルーチンを終了し、上記図4に示されるステップS21に進む。一方、ステップS102で実行すると判断した場合には、ステップS103に進む。
ステップS103では、現時点における実際のハイト傾き角βhrが後退時ハイト上限角βhuよりも小さいか否かを判断する。該後退時ハイト上限角βhu(ハイト傾き角の上限値βhu)は、走行装置14の後退時にオーガハウジング21の下端が接地面Grを引き摺ることのない、予め設定された所定の上限角に設定されている。
ここで、βhrがβhuよりも小さいと判断した場合には、上昇用スイッチ素子96をオン作動させることにより、電動モータ18aに電力を供給して逆転させた後に(ステップS104)、ステップS101に戻る。これにより、昇降駆動機構18はオーガハウジング21及びブロアケース22を上昇させる。この上方Upへの駆動は、ステップS103において、実際のハイト傾き角βhrが後退時ハイト上限角βhuまで上昇したと判断するまで続く。
ステップS103において、現時点における実際のハイト傾き角βhrが後退時ハイト上限角βhuまで上昇したと判断した場合には、次に、上昇用スイッチ素子96をオフさせることにより、電動モータ18aを停止させて、オーガハウジング21の上昇を停止させた後に(ステップS105)、このサブルーチンを終了し、上記図4に示されるステップS21に戻る。
次に、リセット制御処理を実行するための具体的な制御フローについて説明する。図6は、制御部81が上記図4に示されるステップS23の「リセット制御」を実行するためのサブルーチンである。
リセット制御では、ハイト位置センサ85によって検出された傾き角βhrと、加速度αhから求められた実ハイト傾き角θhとにより、オーガハウジング21のハイト方向の制御を実行する。制御部81は、先ずステップS201において、オーガハウジング21のハイト方向(高さ方向)の加速度αhを読み込む。このハイト方向の加速度αh(実加速度αh)については、加速度センサ83によって検出された検出値を読み込めばよい。
次に、加速度αhから、オーガハウジング21自体のハイト方向(高さ方向)の実ハイト傾き角θhを求める(ステップS202)。該実ハイト傾き角θhは、オーガハウジング21の重力方向に対する実際のハイト傾き角、つまり、水平な接地面Gr(路面Gr)に対するオーガハウジング21の実際のハイト傾き角である。該実加速度αhに基づいてハイト方向の傾き角θh(以下、実ハイト傾き角θhという。)を求める方法としては、例えば一般的な演算式またはマップによって求めればよい。マップを採用した場合には、加速度αhに対する実ハイト傾き角θhの関係を予め設定して、メモリ82に記憶しておく。
なお、ステップS202では、除雪機10が加速走行中、減速走行中又は旋回中である場合には、加速度αhの値を緩慢に変化させるフィルタ機能を有していることが好ましい。さらに、ステップS202では、実ハイト傾き角θhの値は、生産工場から出荷する前に各除雪機10毎に補正された(零点補正された)基準値によって補正されることが好ましい。該基準値は、メモリ82に記憶される。
次にステップS203では、実ハイト傾き角θhに基づいて、オーガハウジング21の重力方向に対する姿勢、つまり水平状態を判断する。ここで、実ハイト傾き角θhの値が0°であると判断(θh=0°)、つまり水平であると判断した場合にはステップS204に進み、オーガハウジング21の上ハイト方向の制御を実行する。
先ず、ステップS204において、走行フレーム12に対するオーガハウジング21のハイト方向の相対的な傾き角βhr(現時点における実際のハイト傾き角βhr)を読み込む。該傾き角βhrについては、ハイト位置センサ85の検出信号を読み込めばよい。
次に、ステップS205では、現時点における実際のハイト傾き角βhr(相対角度)が0°より小さいか否かを判断する。ここで、βhrが0°よりも小さいと判断した場合には(βhr<0°)、上昇用スイッチ素子96をオン作動させることにより、電動モータ18aに電力を供給して逆転させた後に(ステップS206)、ステップS204に戻る。これにより、昇降駆動機構18はオーガハウジング21及びブロアケース22を上昇させる。この上方Upへの駆動は、ステップS205において、実際のハイト傾き角βhrが0°まで上昇したと判断するまで続く。
ステップS205において、現時点における実際のハイト傾き角βhrが0°まで上昇したと判断した場合には(βhr≧0°又はβhr=0°)、次に、上昇用スイッチ素子96をオフさせることにより、電動モータ18aを停止させて、オーガハウジング21の上昇を停止させた後に(ステップS207)、このサブルーチンを終了し、上記図4に示されるステップS23に戻る。
上記ステップS203において、実ハイト傾き角θhが0°よりも大きい(θh>0°)、つまりオーガハウジング21が前上がり状態であると判断した場合には、ステップS208に進み、該オーガハウジング21の下ハイト方向の制御を実行する。例えば、走行装置14が上り傾斜の路面を走行する場合には、オーガハウジング21が前上がり状態となるので、該オーガハウジング21を水平となるように下降させる。
先ず、ステップS208において、走行フレーム12に対するオーガハウジング21のハイト方向の相対的な傾き角βhr(現時点における実際のハイト傾き角βhr)を読み込む。該傾き角βhrについては、ハイト位置センサ85の検出信号を読み込めばよい。
次に、ステップS209では、現時点における実際のハイト傾き角βhr(相対角度)が0°よりも大きいか否かを判断する。ここで、相対角度βhrが0°よりも大きいと判断した場合には(βhr>0°)、ステップS210に進む。
ステップS210では、再びオーガハウジング21のハイト方向の加速度αhを読み込む。このハイト方向の加速度αhについては、加速度センサ83によって検出された検出値を読み込めばよい。
次に、ステップS211では、加速度αhから、オーガハウジング21自体のハイト方向の実傾き角θh(実ハイト傾き角θh)を求める。該実加速度αhに基づいて実ハイト傾き角θhを求める方法は、上記ステップS202と同じである。また、フィルタ機能及び零点補正についても、上記ステップS202と同じである。
次に、ステップS212では、実ハイト傾き角θhが0°よりも大きい(θh>0°)、つまりオーガハウジング21が前上がり状態であると判断した場合には、ステップS213に進む。
このように、ステップS209で相対角度βhrが0°ではない(βhr>0°)と判断し、且つ、ステップS212でオーガハウジング21が水平ではない(θh>0°)と判断している間は、ステップS208〜S213を繰り返す。つまり、オーガハウジング21を下降させるように昇降駆動機構18を制御する。より具体的には、ステップS213では、下降用スイッチ素子95をオン作動させることにより、電動モータ18aに電力を供給して正転させた後に、ステップS208に戻る。これにより、昇降駆動機構18はオーガハウジング21及びブロアケース22を下降させる。
ステップS209で相対角度βhrが0°まで下降したと判断(βhr≦0°又はβhr=0°)、又は、ステップS212でオーガハウジング21が水平になった(θh≦0°又はθh=0°)と判断した場合には、ステップS214において下降用スイッチ素子95をオフさせることにより、電動モータ18aを停止させて、オーガハウジング21の下降を停止させた後に、このサブルーチンを終了し、上記図4に示されるステップS23に戻る。
以上の説明から明らかなように、制御部81は、オーガハウジング21が水平になるように昇降駆動機構18を制御するとともに(ステップS213)、相対角度βhrが0°になったという第1条件(ステップS209でNOと判断)と、該オーガハウジング21が水平になったという第2条件(ステップS212でNOと判断)との、いずれかを満足したと判断した場合には、該昇降駆動機構18を停止する制御(ステップS214)を実行する。
上記ステップS203において、実ハイト傾き角θhが0°よりも小さい(θh<0°)、つまりオーガハウジング21が前下がり状態であると判断した場合には、ステップS215に進み、該オーガハウジング21の上ハイト方向の制御を実行する。例えば、走行装置14が下り傾斜の路面を走行する場合には、オーガハウジング21が前下がり状態となるので、該オーガハウジング21を水平となるように上昇させる。
先ず、ステップS215において、走行フレーム12に対するオーガハウジング21のハイト方向の相対的な傾き角βhr(現時点における実際のハイト傾き角βhr)を読み込む。該傾き角βhrについては、ハイト位置センサ85の検出信号を読み込めばよい。
次に、ステップS216では、現時点における実際のハイト傾き角βhr(相対角度)が作動上限値βhmよりも小さいか否かを判断する。該作動上限値βhmは、走行フレーム12に対してオーガハウジング21を相対的に上昇させることが可能な、最大の角度に設定されている。ここで、相対角度βhrが作動上限値βhmよりも小さいと判断した場合には(βhr<βhm)、ステップS217に進む。
ステップS217では、再びオーガハウジング21のハイト方向の加速度αhを読み込む。このハイト方向の加速度αhについては、加速度センサ83によって検出された検出値を読み込めばよい。
次に、ステップS218では、加速度αhから、オーガハウジング21自体のハイト方向の実傾き角θh(実ハイト傾き角θh)を求める。該実加速度αhに基づいて実ハイト傾き角θhを求める方法は、上記ステップS202と同じである。また、フィルタ機能及び零点補正についても、上記ステップS202と同じである。
次に、ステップS219では、実ハイト傾き角θhが0°よりも小さい(θh<0°)、つまりオーガハウジング21が前下がり状態であると判断した場合には、ステップS220に進む。
このように、ステップS216で相対角度βhrが作動上限値βhmよりも小さい(βhr<βhm)と判断し、且つ、ステップS219でオーガハウジング21が水平ではない(θh<0°)と判断している間は、ステップS215〜S220を繰り返す。つまり、オーガハウジング21を上昇させるように昇降駆動機構18を制御する。より具体的には、ステップS220では、上昇用スイッチ素子96をオン作動させることにより、電動モータ18aに電力を供給して逆転させた後に、ステップS215に戻る。これにより、昇降駆動機構18はオーガハウジング21及びブロアケース22を上昇させる。
ステップS216で相対角度βhrが作動上限値βhmまで上昇したと判断(βhr=βhm)、又は、ステップS219でオーガハウジング21が水平になった(θh≧0°又はθh=0°)と判断した場合には、ステップS221において上昇用スイッチ素子96をオフさせることにより、電動モータ18aを停止させて、オーガハウジング21の上昇を停止させた後に、このサブルーチンを終了し、上記図4に示されるステップS23に戻る。
以上の説明から明らかなように、制御部81は、オーガハウジング21が水平になるように昇降駆動機構18を制御するとともに(ステップS220)、相対角度βhrが作動上限値βhmまで上昇したという第3条件(ステップS216でNOと判断)と、該オーガハウジング21が水平になったという第2条件(ステップS219でNOと判断)との、いずれかを満足したと判断した場合には、該昇降駆動機構18を停止する制御(ステップS221)を実行する。
以上の説明をまとめると、次のとおりである。図7(a)に示されるように、走行装置14の後退時(白抜き矢印Ba方向への走行時)には、オーガハウジング21は上昇する。該オーガハウジング21が所定の上限角βhuへ上昇した状態を図7(b)に示している。この動作は、制御部81(図2参照)が図4に示されるステップS19〜S21を実行することによって行われる。
オーガスイッチ73(図2参照)がオフで、且つリセットスイッチ74(図2参照)がオンの場合において、図7(b)に示されるように、走行装置14が一旦後退した後に前進(白抜き矢印Fw方向への走行)を開始した場合には、該オーガハウジング21は上限角βhuから下降する。そして、制御部81は、相対角度βhrが零になったか(第1条件)、又は該オーガハウジング21が水平になった、つまり重力方向に対する水平位置(θh=0°)になった場合に(第2条件)、昇降駆動機構18を停止させることによって、該オーガハウジング21の昇降動作を停止させる。この動作は、制御部81(図2参照)が図4に示されるステップS19、S20、S22及びS23を実行することによって行われる。
例えば、走行装置14が上り傾斜の路面Grを走行する場合、つまり前上がり状態の場合には、オーガハウジング21も前上がり状態となる。このため、オーガハウジング21は水平となるように下降する。このときに、オーガハウジング21は、水平状態となる前に上り傾斜面Grに当たることがあり得る。この場合には、オーガハウジング21は相対角度βhrが零になったときに停止する。昇降駆動機構18は、オーガハウジング21を水平状態にするために駆動し続けることがない。路面Grに対して、より確実に走行装置14を接地することができるので、除雪機10の走行性を高めることができる。しかも、除雪機10の耐久性を、より高めることができる。
一方、走行装置14が下り傾斜の路面Grを走行する場合、つまり前下がり状態の場合には、オーガハウジング21も前下がり状態となる。このため、オーガハウジング21は水平となるように上昇し、水平になったときに停止する。
その後、オーガスイッチ73(図2参照)をオン操作することによって、制御部81(図2参照)は、オーガハウジング21が水平になる又は水平状態を維持する、つまり重力方向に対する水平位置(θh=0°)になるように昇降駆動機構18を制御する。この動作は、制御部81が図4に示されるステップS19、S20、S22及びS24を実行することによって行われる。制御部81は、相対角度βhrが零になるようにオーガハウジング21をハイト制御しない。このため、オーガ23による除雪作業時には、オーガハウジング21やスクレーパ21aが路面Grに不必要に食い込まないように、防ぐことができる。
なお、本発明では、制御部81は、ハイト位置センサ85の検出信号を、検出した傾き角βhrの1°当たりの電圧信号として設定し、該1°当たりの電圧信号をメモリ82に予め記憶しておくことが可能である。例えば、オーガハウジング21が10°上昇するときに、ハイト位置センサ85の電圧信号が3ボルトだけ変化することを考える。1°当たりの電圧信号は0.3ボルトである。この数値をメモリ82に予め記憶しておく。
制御部81が、図4に示されるオートハイトモードを実行して、除雪機10が前進走行しつつ除雪作業を行っている場合を考える。例えば、走行装置14が柔らかい積雪面を走行しているときには、該積雪面の硬さの状況が、場所によって著しく異なることがあり得る。走行装置14は、硬い積雪面から柔らかい積雪面へ移動したときには、積雪面に対して、ふいに沈み込むことによって、前後方向へ急に傾き得る。該走行装置14の姿勢が後下がりに傾くと、オーガハウジング21も同方向へ急に傾く。該オーガハウジング21は、水平状態に戻ろうと大きく下降して、走行装置14よりも下がって積雪面に食い込む。この結果、走行装置14は積雪面から浮き上がった場合であっても、走行推進力を十分に確保できることが好ましい。
これに対し、本実施例では、ハイト位置センサ85が検出する傾き角βhrを、1°当たりの電圧信号として設定し、メモリ82に予め記憶しておくことによって、オーガハウジング21の下降可能な範囲に、制限を設けることが可能である。つまり、制御部81は、走行装置14の姿勢がふいに前後方向へ傾いたと判断した場合に、オーガハウジング21を水平状態から予め設定された数°までしか、下降させないように制限を加えることによって、走行装置14の走行推進力を確保できる。