JP6151287B2 - 車両用制動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両を制動するための車両用制動装置に関する。
例えばハイブリッド車両では、油圧回路を媒介して制動力を発生させる既存のブレーキシステムに加えて、電気回路を媒介して制動力を発生させる、バイ・ワイヤ(By Wire)式のブレーキシステムが採用されている。かかるバイ・ワイヤ式のブレーキシステムでは、運転者によるブレーキペダルの操作量を電気信号に変換して、ESB装置(Electrical Servo Brake:電動サーボブレーキ装置と呼ぶ場合がある。)におけるスレーブシリンダのピストンを駆動するための電動機に与える。すると、この電動機によるピストンの駆動によって倍力された制動液圧がスレーブシリンダに発生する。こうしてスレーブシリンダに発生した制動液圧が、例えばホイールシリンダのディスクキャリパを作動させて制動力を発生させる。
こうしたバイ・ワイヤ式のブレーキシステムにおいて、例えば、車両の制動時に車輪がロック状態に陥った際に、ESB装置の下流側の制動液圧を、ポンプを用いて適時に昇圧する制御を行うABS(Antilock Brake System)機能を有するVSA装置(Vehicle Stability Assist:ただし、VSAは登録商標)を搭載したものが公知である(例えば、特許文献1参照)。
特開2012−101591号公報
しかしながら、特許文献1に係るバイ・ワイヤ式のブレーキシステムでは、VSA装置(以下、“車両挙動安定化支援装置”と呼ぶ場合がある。)の作動中において、車両挙動安定化支援装置に係る作動状態情報の通信異常が生じた際に、制動液圧の昇圧機能を十分に発揮できない事態の発生が懸念される。
本発明は、前記の課題を解決するためになされたものであり、車両挙動安定化支援装置の作動中において、車両挙動安定化支援装置に係る作動状態情報の通信異常が生じた際であっても、制動液圧の昇圧機能を十分に発揮させることが可能な車両用制動装置を提供することを目的とする。
特許文献1に係るバイ・ワイヤ式のブレーキシステムでは、VSA装置の作動に際し、マスタシリンダとスレーブシリンダとの間に設けたマスターカットバルブと呼ばれる電磁弁(第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bに対応)を閉止し、マスタシリンダとスレーブシリンダ間の制動液の流通を遮断した状態で、ESB装置のスレーブシリンダが有するスレーブピストンを駆動し、VSA装置の給液流路に制動液を供給することで、VSA装置の給液流路における制動液圧を予め昇圧する。これにより、VSA装置が有する加圧ポンプを用いた制動液の昇圧性能を確保するようにしている。以下の説明では、VSA装置の給液流路における制動液圧を昇圧させる(ESB装置の制動制御部が行う)制御のことを、与圧制御と呼ぶ。
VSA装置は、自身が作動中であるか、非作動であるかを表す作動状態情報を、例えばCAN(Controller Area Network)等の情報通信媒体を介して、ESB装置の制動制御部宛に送る。前記の与圧制御に際しては、VSA装置は、自身が作動中である旨の作動中情報を、情報通信媒体を介して、ESB装置の制動制御部宛に送る。ここで、VSA装置の作動中に、VSA装置からESB装置の制動制御部への作動状態情報の通信が、何らかの異常により途中で途絶えてしまう事態の発生が懸念される。
かかる場合において、VSA装置に係る作動状態情報の通信異常が生じたタイミングでESB装置が与圧制御を中止すると、その中止以降では、ESB装置は、VSA装置の給液流路における制動液圧を昇圧させることができなくなる。この場合、ESB装置の制動制御部は、マスターカットバルブを開放し、VSA装置は、マスタシリンダから流動抵抗の高いマスターカットバルブを介して制動液を給液することになる。その結果、VSA装置が有する加圧ポンプを用いた制動液圧の昇圧性能を十分に確保することが困難になる。
すなわち、車両挙動安定化支援装置の作動中において、車両挙動安定化支援装置に係る作動状態情報の通信異常が生じた際に、制動液圧の昇圧機能を十分に発揮できない事態の発生が懸念される。
そこで、(1)に係る発明は、車両の制動操作に応じて作動される第1調圧部を有し、当該第1調圧部の作動によって制動液圧を発生させる電動サーボブレーキ装置と、前記車両の挙動を安定化させるための指令情報に応じて作動される第2調圧部を有し、当該第2調圧部の作動によって前記制動液圧を調圧する車両挙動安定化支援装置と、前記車両挙動安定化支援装置に係る作動状態情報を前記電動サーボブレーキ装置宛に通信する際に用いられる情報通信媒体と、前記電動サーボブレーキ装置が前記情報通信媒体を介して前記車両挙動安定化支援装置が作動中である旨の作動中情報の通信を受けている場合に、当該車両挙動安定化支援装置への給液流路における制動液圧を、前記第1調圧部の作動によって昇圧させる与圧制御を行う制動制御部と、を備え、前記制動制御部は、前記与圧制御の実行中に前記作動状態情報を受信しなくなった場合でも、前記与圧制御を継続して行うことを最も主要な特徴とする。
(1)に係る発明によれば、制動制御部は、与圧制御の実行中に車両挙動安定化支援装置に係る作動状態情報を受信しなくなった場合でも、車両挙動安定化支援装置への給液流路における制動液圧を昇圧させる与圧制御を継続して行うため、車両挙動安定化支援装置の作動中において、車両挙動安定化支援装置に係る作動状態情報の通信異常が生じた際であっても、制動液圧の昇圧機能を十分に発揮させることができる。
また、(2)に係る発明は、(1)に係る発明に記載の車両用制動装置であって、前記制動制御部は、前記作動状態情報の通信異常が生じた旨を認識した場合に、前記第1調圧部の作動相関値の変化特性(例えば、第1調圧部の作動に対する制動液圧の昇圧特性)に基づいて、前記与圧制御の終了条件を設定することを特徴とする。
(2)に係る発明によれば、制動制御部は、車両挙動安定化支援装置に係る作動状態情報の通信異常が生じた旨を認識した場合に、第1調圧部の作動相関値の変化特性に基づいて、前記与圧制御の終了条件を設定するため、(1)に係る発明の作用効果に加えて、適切な終了条件を用いて与圧制御を遂行することができる。
また、(3)に係る発明は、(1)に係る発明に記載の車両用制動装置であって、前記制動制御部は、前記作動状態情報の通信異常が生じた旨を認識した場合に、前記第1調圧部の作動相関値が、前記車両挙動安定化支援装置の作動が終了した際の前記作動相関値の大きさに基づいて定められる作動相関閾値に満たない状態で経過した時間が、予め定められる第1所定時間を超えた時点で、前記与圧制御を終了することを特徴とする。
(3)に係る発明によれば、制動制御部は、車両挙動安定化支援装置に係る作動状態情報の通信異常が生じた旨を認識した場合に、第1調圧部の作動相関値が作動相関閾値未満に収束している状態で経過した時間が第1所定時間を超えた時点で、車両挙動安定化支援装置への給液流路における制動液圧を昇圧させる与圧制御を終了するため、(1)に係る発明の作用効果に加えて、より適切な終了条件を用いて与圧制御を遂行することができる。
また、(4)に係る発明は、(3)に係る発明に記載の車両用制動装置であって、前記制動制御部は、前記作動状態情報の通信異常が生じた旨を認識した場合に、前記第1調圧部の作動相関値が前記作動相関閾値未満にならない状態で経過した時間が、予め定められる第2所定時間を超えた時点で、前記与圧制御を終了することを特徴とする。
(4)に係る発明では、制動制御部は、車両挙動安定化支援装置に係る作動状態情報の通信異常が生じた旨を認識した場合に、第1調圧部の作動相関値が作動相関閾値未満にならない状態で経過した時間が、第2所定時間を超えた時点で与圧制御を終了するため、例えば液損変化等が生じて、車両挙動安定化支援装置の作動が終了したにもかかわらず、(3)に係る発明の与圧制御の終了条件を充足しない場合であっても、無駄な与圧制御を的確に終了することができる。
本発明によれば、車両挙動安定化支援装置の作動中において、車両挙動安定化支援装置に係る作動状態情報の通信異常が生じた際であっても、制動液圧の昇圧機能を十分に発揮させることができる。
本発明の実施形態に係る車両用制動装置の概要を表す構成図である。 車両用制動装置が有するESB−ECU及びVSA−ECUの周辺構成を表すブロック図である。 車両用制動装置の動作説明に供するフローチャート図である。 車両用制動装置の動作説明に供するタイムチャート図である。 ESB装置のスレーブシリンダストロークに対するスレーブシリンダの後流側液圧の関係を表す特性線図である。
以下、本発明の実施形態に係る車両用制動装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下に示す図において、共通の機能を有する部材間、又は、相互に対応する機能を有する部材間には、原則として共通の参照符号を付するものとする。また、説明の便宜のため、部材のサイズ及び形状は、変形又は誇張して模式的に表す場合がある。
〔本発明の実施形態に係る車両用制動装置10の概要〕
本発明の実施形態に係る車両用制動装置10は、油圧系統を媒介して制動力を発生させる既存のブレーキシステムに加えて、電気系統を媒介して制動力を発生させる、バイ・ワイヤ(By Wire)式のブレーキシステムを備えている。
車両用制動装置10は、図1に示すように、一次液圧発生装置14と、電動サーボブレーキ装置(ESB装置)16と、車両挙動安定化支援装置(VSA装置)18と、などを備えて構成されている。一次液圧発生装置14、ESB装置16、VSA装置18は、図1に示すように、ブレーキ液(以下、“制動液”という)を通流させる配管チューブ22a〜22fを介して相互に連通接続されている。
一次液圧発生装置14は、運転者がブレーキペダル12を介して入力操作した踏力を制動液圧(一次液圧)に変換する。一次液圧発生装置14は、図1に示すように、マスタシリンダ34、第1遮断弁60a及び第2遮断弁60b、一対の制動液圧センサPm,Pp、並びに、ストロークシミュレータ64を備えて構成されている。
マスタシリンダ34は、ブレーキペダル12を介して入力操作される運転者の踏力を、制動液圧に変換する。第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bは、車両用制動装置10の正常作動時において、マスタシリンダ34と、四つの各車輪を制動するためのディスクブレーキ機構30a〜30d(ホイールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLを含む)との間の連通を遮断することで、ESB装置16が発生する制動液圧を用いてディスクブレーキ機構30a〜30dを作動させる。なお、以下の説明において、ホイールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLを総称するときは、ホイールシリンダ32と呼ぶことにする。
一対の制動液圧センサPm,Ppは、マスタシリンダ34で発生した制動液圧を検出する機能を有する。ストロークシミュレータ64は、例えば、ESB装置16が異常状態に陥った際において、第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bが遮断される一方、第3遮断弁62が開弁された状態で、マスタシリンダ34で生じた制動液圧を吸収する役割を果たす。
ESB装置16は、マスタシリンダ34で発生した制動液圧に応じて、又は、マスタシリンダ34で発生した制動液圧とは無関係に、制動液圧(二次液圧)を発生させる機能を有する。ESB装置16は、図1に示すように、制動モータ72や、第1及び第2のスレーブピストン88a,88bなどを備えて構成されている。制動モータ72は、本発明の“第1調圧部”に相当する。第1及び第2のスレーブピストン88a,88bは、制動モータ72の回転駆動力を受けて制動液圧を発生させる役割を果たす。
VSA装置18は、制動操作時における車輪のロックを防ぐABS機能、加速時等における車輪の空転を防ぐTCS(トラクション・コントロール・システム)機能、及び、旋回時の横すべり等を抑制する機能を有する。こうした諸機能を実現するために、VSA装置18は、ESB装置16で発生した制動液圧を調整することにより、車両の挙動安定化を支援する。VSA装置18は、ESB装置16のスレーブシリンダ35で発生した制動液圧を検出する制動液圧センサPh、制動液を加圧するための加圧ポンプ136、加圧ポンプ136を駆動するためのポンプモータ135などを備えて構成されている。ポンプモータ135は、本発明の“第2調圧部”に相当する。
なお、VSA装置18としては、ABS機能のみを有する構成を採用してもよい。
なお、VSA装置18の作動によってVSA制動液圧を調圧するには、次の手順を採用すればよい。まず、VSA装置18は、その給液経路に設けられたサクションバルブ142を励磁し開弁した状態で、制動モータ135を用いて加圧ポンプ136を駆動する。すると、サクションバルブ142を介して吸入され加圧ポンプ136により加圧された制動液が、レギュレータバルブ116、第1インバルブ120、及び第2インバルブ124にそれぞれ供給される。
VSA装置18は、レギュレータバルブ116を励磁してその開度を調整することで、VSA制動液圧を目標液圧に調圧すると共に、目標液圧に調圧した制動液を、開弁した第1インバルブ120及び第2インバルブ124をそれぞれ介してホイールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLに供給する。これにより、VSA装置18は、運転者がブレーキペダル12を踏んでいない状態でも、四輪の制動力を目標液圧に応じた制動力に制御する。
図1におけるその他の要素については、本発明とは直接的な関係がないので、その説明を省略する。
〔車両用制動装置10の基本動作〕
次に、車両用制動装置10の基本動作について説明する。
車両用制動装置10では、ESB装置16の制御を行う後記のESB−ECU29(図2参照)の正常作動時において、運転者がブレーキペダル12を踏むと、いわゆるバイ・ワイヤ式のブレーキシステムがアクティブになる。
具体的には、正常作動時の車両用制動装置10では、運転者がブレーキペダル12を踏むと、第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bが遮断される一方、第3遮断弁62が開弁された状態で、ESB装置16が発生する制動液圧(二次液圧)を用いてディスクブレーキ機構30a〜30dを作動させる。
このとき、制動液は、マスタシリンダ34から第3遮断弁62を介してストロークシミュレータ64に流れ込む。このため、第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bが遮断されていても、マスタシリンダ34からストロークシミュレータ64への制動液の流れが生じるため、ブレーキペダル12にストロークが生じる。
一方、車両用制動装置10では、例えばESB装置16が異常状態に陥った際において、運転者がブレーキペダル12を踏むと、既存の油圧式のブレーキシステムがアクティブになる。具体的には、異常時の車両用制動装置10では、運転者がブレーキペダル12を踏むと、第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bをそれぞれ開弁状態とし、かつ、第3遮断弁62を閉弁状態として、マスタシリンダ34で発生する制動液圧をディスクブレーキ機構30a〜30dのホイールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLに伝達して、ディスクブレーキ機構30a〜30dを作動させる。
〔車両用制動装置10が有するESB−ECU29及びVSA−ECU31の周辺構成〕
次に、本発明の実施形態に係る車両用制動装置10が有するESB−ECU29及びVSA−ECU31の周辺構成について、図2を参照して説明する。図2は、車両用制動装置10が有するESB−ECU29及びVSA−ECU31の周辺構成を表す説明図である。
ESB−ECU29、及びVSA−ECU31の各間は、図2に示すように、例えばCAN通信媒体(本発明の“情報通信媒体”に相当する)33を介して相互に情報通信可能に接続されている。
CAN通信媒体33とは、車載機器間の情報通信の用途に汎用される多重化されたシリアル通信網である。CAN通信媒体33は、優れたデータ転送速度及びエラー検出能力を有する。ただし、本発明の“情報通信媒体”としては、CAN通信媒体33に限定されない。本発明に係る“情報通信媒体”として、例えば“FlexRay”などを採用してもよい。
〔ESB−ECU29の構成〕
ESB−ECU29には、図2に示すように、入力系統として、イグニッションキースイッチ(以下“IGキースイッチ”と省略する。)121、車速センサ123、ブレーキペダルセンサ125、ホールセンサ127、及び、制動液圧センサPm,Ppがそれぞれ接続されている。
IGキースイッチ121は、車両に搭載された電装部品の各部に、車載バッテリ(不図示)を介して電源を供給する際に操作されるスイッチである。IGキースイッチ121がオン操作されると、ESB−ECU29に電源が供給されて、ESB−ECU29が起動される。
車速センサ123は、車両の走行速度(車速)を検出する機能を有する。車速センサ123で検出された車速に係る情報は、ESB−ECU29へと送られる。
ブレーキペダルセンサ125は、運転者によるブレーキペダルの操作量(ストローク量)及びトルクを検出する機能を有する。ブレーキペダルセンサ125で検出されたブレーキペダルの操作の量及びトルクに係る情報は、ESB−ECU29へと送られる。
ホールセンサ127は、制動モータ72の回転角度(スレーブピストン88a,88bの軸線方向における現在位置情報)を検出する機能を有する。ホールセンサ127で検出された制動モータ72の回転角度に係る情報は、ESB−ECU29へと送られる。
制動液圧センサPm,Ppは、制動液圧系統における第1遮断弁60aの上流側液圧、第2遮断弁60bの下流側液圧をそれぞれ検出する機能を有する。制動液圧センサPm,Ppで検出された制動液圧系統における各部の液圧情報は、ESB−ECU29へと送られる。
一方、ESB−ECU29には、図2に示すように、出力系統として、前記制動モータ72、及び、前記第1〜第3遮断弁60a,60b,62がそれぞれ接続されている。
ESB−ECU29は、図2に示すように、第1の情報取得部71、異常診断部75、及び、第1の制動制御部77を備えて構成されている。
第1の情報取得部71は、IGキースイッチ121のオン・オフ操作に係る情報、車速センサ123で検出される車速に係る情報、ブレーキペダルセンサ125で検出される制動操作の量及びトルクに係る情報、ホールセンサ127で検出される制動モータ72の回転角度情報、及び、制動液圧センサPm,Ppで検出される各部の制動液圧に係る情報などを取得する機能を有する。
また、第1の情報取得部71は、VSA−ECU31からCAN通信媒体33を介して送られてくる、VSA装置18が作動中であるか、非作動であるかを表す作動状態情報、及び制動液圧センサPhで検出される液圧情報を取得する機能を有する。
異常診断部75は、CAN通信媒体33に係るCAN通信異常を診断すると共に、ESB装置16の異常診断を行う機能を有する。具体的には、例えば、異常診断部75は、VSA装置18に係る作動状態情報(VSAステイタス)を受信しなくなった(VSA装置18に係る作動状態情報の通信異常が生じた)場合に、通信異常が生じた旨の診断を下す。
なお、異常診断部75が診断対象とするESB装置16とは、ESB−ECU29それ自体、並びに、ESB−ECU29に接続される入力系センサ類及び出力系機器類を含む概念である。具体的には、例えば、制動モータ72の回転異常によりESB装置16が制動液圧調整機能を発揮できない場合に、異常診断部75は、ESB装置16が異常状態に陥っている旨の診断を下す。
第1の制動制御部77は、基本的には、第1の情報取得部71で取得される制動操作に係る情報や各部の制動液圧に係る情報などに基づいて、ESB装置16で発生する制動液圧が、制動操作に応じた目標制動液圧に追従するように、ホイールシリンダ32に与える制動液圧を制御する機能を有する。
また、第1の制動制御部77は、VSA装置18に係る作動中情報を受信した場合に、第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bを閉止し、マスタシリンダ34とスレーブシリンダ35間の制動液の流通を遮断した状態で、スレーブシリンダ35の第1及び第2のスレーブピストン88a,88bを駆動し、VSA装置18の給液流路に制動液を供給することにより、VSA装置18の給液流路における制動液圧を予め昇圧する与圧制御を行う機能を有する。
また、第1の制動制御部77は、VSA装置18に係る作動状態情報の通信異常が生じた旨を認識した場合でも、与圧制御を継続して行う機能を有する。これについて、詳しくは後記する。
前記ESB−ECU29は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えたマイクロコンピュータにより構成される。このマイクロコンピュータは、ROMに記憶されているプログラムやデータを読み出して実行し、ESB−ECU29が有する、VSA装置18に係る作動状態情報を含む各種の情報取得機能、CAN通信媒体33に係る通信異常診断機能、ESB装置16に係る異常診断機能、与圧制御機能、及び、ホイールシリンダ32に与える制動液圧制御機能を含む各種機能に係る実行制御を行うように動作する。
〔VSA−ECU31の構成〕
VSA−ECU31には、図2に示すように、車輪速度センサ150、アクセルペダルセンサ151、ヨーレイトセンサ152、Gセンサ153、操舵角センサ155、及び、制動液圧センサPhがそれぞれ接続されている。
車輪速度センサ150a〜150dは、各車輪17a〜17d毎の回転速度(車輪速度)をそれぞれ検出する機能を有する。車輪速度センサ150a〜150dでそれぞれ検出される各車輪17a〜17d毎の回転速度に係る情報は、VSA−ECU31へと送られる。
アクセルペダルセンサ151は、運転者によるアクセルペダルの操作量(ストローク量)を検出する機能を有する。アクセルペダルセンサ151で検出されたアクセルペダルの操作量に係る情報は、VSA−ECU31へと送られる。
ヨーレイトセンサ152は、自車両に発生しているヨーレイトを検出する機能を有する。ヨーレイトセンサ152で検出されたヨーレイトに係る情報は、VSA−ECU31へと送られる。
Gセンサ153は、自車両に発生している前後G(前後加速度)及び横G(横加速度)をそれぞれ検出する機能を有する。Gセンサ153で検出された前後G及び横Gに係る情報は、VSA−ECU31へと送られる。
操舵角センサ155は、ステアリングの操舵量や操舵方向を検出する機能を有する。操舵角センサ155で検出されたステアリングの操舵角に係る情報は、VSA−ECU31へと送られる。
制動液圧センサPhは、制動液圧系統のうちVSA装置18の給液経路における制動液圧を検出する機能を有する。制動液圧センサPhで検出されたVSA装置18の給液経路における液圧情報は、ESB−ECU29へと送られる。
一方、VSA−ECU31には、図2に示すように、出力系統として、前記ポンプモータ135が接続されている。
VSA−ECU31は、第2の情報取得部161、スリップ情報演算部163、及び、第2の制動制御部167を備えて構成されている。
第2の情報取得部161は、車輪速度センサ150a〜150dでそれぞれ検出される各車輪17a〜17d毎の回転速度(車輪速度)に係る情報、アクセルペダルセンサ151で検出されるアクセルペダルの加減速操作量に係る情報、ヨーレイトセンサ152で検出される車両に発生しているヨーレイトに係る情報、Gセンサ153で検出される車両に発生している前後G及び横Gに係る情報、操舵角センサ155で検出されるステアリング操舵角に係る情報、及び、制動液圧センサPhで検出されるVSA装置18の給液経路における液圧情報をそれぞれ取得する機能を有する。
また、第2の情報取得部161は、ESB−ECU29からCAN通信媒体33を介して送られてくる、車速センサ123による車速に係る情報を取得する機能を有する。
スリップ情報演算部163は、自車両の走行時に、第2の情報取得部161で取得した車速に係る情報及び各車輪17a〜17d毎の回転速度(車輪速度)に係る情報に基づいて、各車輪17a〜17d毎のスリップ率(スリップ情報)SRを演算により求める機能を有する。スリップ情報演算部163で求められた各車輪17a〜17d毎のスリップ率に係る情報は、第2の制動制御部167において、ABS機能の作動要否を判定する際などに適宜参照される。
第2の制動制御部167は、基本的には、スリップ情報演算部163で求められる各車輪17a〜17d毎のスリップ率に係る情報などに基づいて、ABS機能の作動要否を判定する。この判定の結果、ABS機能が作動要である旨の判定が下された場合、第2の制動制御部167は、各車輪17a〜17dのスリップを抑制するように、VSA装置18による制動液圧調整機能の発揮により各車輪17a〜17d毎の制動制御を行うように動作する。
〔フローチャートに基づく車両用制動装置10の動作説明〕
次に、本発明の実施形態に係る車両用制動装置10の動作について、図3を参照して説明する。図3は、車両用制動装置10の動作説明に供するフローチャート図である。
図3に示すステップS11において、ESB−ECU29は、第1の情報取得部71が、VSA−ECU31からCAN通信媒体33を介して送られてくる、VSA装置18に係る作動状態情報を通じて、VSA装置18が作動中であるか否を判定する。
ステップS11の判定の結果、VSA装置18が非作動である旨の判定が下されると(ステップS11の“No”)、ESB−ECU29は、VSA装置18が作動中である旨の判定が下されるまで、ステップS11の処理を繰り返す。
一方、ステップS11の判定の結果、VSA装置18が作動中である旨の判定が下されると(ステップS11の“Yes”)、ESB−ECU29は、処理の流れを次のステップS12へと進ませる。
ステップS12において、ESB−ECU29の第1の制動制御部77は、与圧制御を実行する。具体的には、ESB−ECU29の第1の制動制御部77は、第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bを閉止し、マスタシリンダ34とスレーブシリンダ35間の制動液の流通を遮断した状態で、スレーブシリンダ35の第1及び第2のスレーブピストン88a,88bを駆動し、VSA装置18の給液流路に制動液を供給することにより、VSA装置18の給液流路における制動液圧を予め昇圧する。
ステップS13において、ESB−ECU29の異常診断部75は、CAN通信媒体33に係るCAN通信異常が生じたか否かを判定する。異常診断部75は、例えば、VSA装置18に係る作動状態情報を受信しなくなった場合に、CAN通信異常が生じた旨の判定を行う。
ステップS13の判定の結果、CAN通信は正常である旨の判定が下されると(ステップS13の“Yes”)、ESB−ECU29は、処理の流れをステップS11に戻し、CAN通信異常が生じた旨の判定が下されるまで、ステップS11以降の処理を繰り返し行わせる。
一方、ステップS13の判定の結果、CAN通信異常が生じた旨の判定が下されると(ステップS13の“No”)、ESB−ECU29は、処理の流れを次のステップS14へと進ませる。
ステップS14において、ESB−ECU29の第1の制動制御部77は、与圧制御の終了条件を、スレーブシリンダストローク(S/Cストローク)に対するスレーブシリンダの後流側液圧特性に基づき設定する。VSA装置18に係る作動状態情報を受信しないのにもかかわらず、与圧制御を継続する際に、いかなるタイミングで与圧制御を終了するかが、無駄な与圧制御を排除するために重要だからである。与圧制御の終了条件について、詳しくは後記する。
ステップS15において、ESB−ECU29の第1の制動制御部77は、与圧制御の終了条件を充足したか否かの判定を行う。
ステップS15の判定の結果、与圧制御の終了条件を充足していない旨の判定が下されると(ステップS15の“No”)、ESB−ECU29は、処理の流れをステップS12に戻し、与圧制御の終了条件を充足した旨の判定が下されるまで、ステップS12〜S15の処理を繰り返し行わせる。
一方、ステップS15の判定の結果、与圧制御の終了条件を充足した旨の判定が下されると(ステップS15の“Yes”)、ESB−ECU29は、一連の処理の流れを終了させる。
〔タイムチャートに基づく車両用制動装置10の動作説明〕
次に、本発明の実施形態に係る車両用制動装置10の動作について、図4及び図5を参照して説明する。図4は、車両用制動装置10の動作説明に供するタイムチャート図である。図5は、ESB装置16のスレーブシリンダストローク(S/Cストローク)に対するスレーブシリンダ35の後流側液圧Phの関係を表す特性線図である。
図4に示す時刻t0〜t1において、図4(a)のVSA作動状態を表す遷移図で示すように、VSA装置18は非作動状態である。このとき、図4(b)のCAN通信状態を表す遷移図で示すように、CAN通信は正常である。
なお、図4に示す時刻t0〜t1において、VSA装置18に係る作動状態を表すVSA作動フラグはオフ(非作動状態)である(図4(c)参照)。スレーブシリンダ35の後流側液圧PhであるESB制動液圧出力特性は“0”を示す(図4(d)参照)。ESB装置16のS/Cストロークも原点位置である“0”を示す(図4(e)参照)。ホイールシリンダ32のキャリパ液圧出力特性も“0”を示す(図4(f)参照)。
図4に示す時刻t1〜t3において、VSA装置18は非作動状態から作動状態に遷移している(図4(a)参照)。このうち、時刻t1〜t2において、CAN通信は正常状態を維持している(図4(b)参照)。
図4に示す時刻t1〜t2において、VSA作動フラグはオン(作動状態)である(図4(c)参照)。ESB制動液圧出力特性は、与圧制御時における要求液圧値である“Pre”を示す(図4(d)参照)。ESB装置16のS/Cストロークは、原点位置から昇圧方向に漸次前進してゆく特性を示す(図4(e)参照)。ホイールシリンダ32のキャリパ液圧出力特性も、S/Cストロークと同様に、漸次昇圧してゆく特性を示す(図4(f)参照)。
図4に示す時刻t2以降において、CAN通信状態は正常状態から異常状態に遷移している(図4(b)参照)。これにより、同時刻t2以降において、ESB装置16は、VSA装置18に係る作動状態情報を受信することができなくなった。そのため、同時刻t2以降において、VSA作動フラグはオフ(不明)となる(図4(c)参照)。ところが、同時刻t2以降において、VSA装置18は、時刻t3に至るまで作動状態を維持している(図4(a)参照)。
そこで、VSA装置18の昇圧機能を十分に確保するために、ESB装置16が有するESB−ECU29の第1の制動制御部77は、前記与圧制御を継続して行う。
これにより、同時刻t2以降において、ESB制動液圧出力特性は、引き続き与圧制御時における要求液圧値である“Pre”を示す(図4(d)参照)。ESB装置16のS/Cストロークは、引き続き昇圧方向に漸次前進した後、減圧方向に漸次後退してゆく特性を示す(図4(e)参照)。ホイールシリンダ32のキャリパ液圧出力特性も、S/Cストロークと同様に、漸次昇圧した後、漸次減圧してゆく特性を示す(図4(f)参照)。
仮に、図4に示す時刻t2以降において、ESB装置16が有するESB−ECU29の第1の制動制御部77が、前記与圧制御を中止したとする。この場合、同時刻t2以降において、ESB制動液圧出力特性は、“0”を示す(図4(d)の点線で示す特性線図を参照)。ESB装置16のS/Cストロークは、急激な減圧方向への後退後、原点位置を維持する特性を示す(図4(e)の点線で示す特性線図を参照)。ホイールシリンダ32のキャリパ液圧出力特性は、同時刻t2時の液圧を維持した後、漸次減圧してゆく特性を示す(図4(f)の点線で示す特性線図を参照)。この場合、VSA装置18は、十分な昇圧機能を確保することができない。
図4に示す例では、時刻t3において、VSA装置18は作動状態から非作動状態に遷移している(図4(a)参照)。しかし、時刻t3において、CAN通信は異常状態に陥ったままである(図4(b)参照)。この場合、ESB装置16はVSA装置18に係る作動状態情報を受信することができない。そのため、ESB装置16は、いかなるタイミングで与圧制御を終了させるかが問題となる。
ここで、ESB装置16のS/Cストロークに対するスレーブシリンダ35の後流側液圧Phの関係特性(以下、“S/Cストローク−後流側液圧特性”と呼ぶ。)は、図5に示すように、通常制動時とVSA制動時とで大きく異なることがわかっている。
通常制動時では、S/Cストローク−後流側液圧特性は、図5に示すように、S/Cストロークの昇圧方向への前進にしたがって後流側液圧Phが昇圧してゆく一方、S/Cストロークの減圧方向への後退にしたがって後流側液圧Phが減圧してゆく関係を示す。
これに対し、VSA制動時では、S/Cストローク−後流側液圧特性は、図5に示すように、基本的に、与圧制御に係る要求液圧値Preを保持する。ただし、S/Cストローク−後流側液圧特性は、VSA装置18の昇圧時にはS/Cストロークが昇圧方向へ前進する一方、VSA装置18の減圧時にはS/Cストロークが減圧方向へ後退してゆく関係を示す。
いま、VSA装置18が非作動状態になったにもかかわらず、ESB装置16が有するESB−ECU29の第1の制動制御部77が前記与圧制御を継続して遂行したとする。この場合、S/Cストローク−後流側液圧特性は、VSA制動時の関係特性から通常制動時の関係特性へと遷移する。その結果、S/Cストロークは、図5に示すように、通常制動時の昇圧側特性線図と与圧制御に係る要求液圧値Preとの交点Aに対応する与圧制御相当の地点S/Cstに収束する。その後、新たな制動要求が生じない限り、S/Cストロークは地点S/Cstを安定的に維持する。
そこで、本実施形態では、ESB−ECU29の第1の制動制御部77は、S/Cストロークが前記地点S/Cstに収束したか否かを判定し、S/Cストロークが与圧制御相当の前記地点S/Cstに収束した旨の判定が下された場合に、VSA装置18が非作動状態になったとみなして、前記与圧制御を終了するようにしている。
要するに、ESB−ECU29の第1の制動制御部77は、VSA装置18の作動中に、VSA装置18に係る作動状態情報の通信異常が生じた旨を認識した場合に、S/Cストローク−後流側液圧の昇圧特性(作動相関値の変化特性)に基づいて、前記与圧制御の終了条件を設定する。なお、S/Cストローク−後流側液圧の昇圧特性は、本発明の“作動相関値の変化特性”に相当する。
具体的には、ESB−ECU29の第1の制動制御部77は、VSA装置18の作動中に、作動状態情報の通信異常が生じた旨を認識した場合に、制動モータ(第1調圧部)72によるS/Cストロークの作動量が、VSA装置18の作動が終了した際の作動量の大きさに基づいて定められる作動量閾値未満に収束している状態で経過した時間が、予め定められる第1所定時間T1を超えた時点で、S/Cストロークが前記地点S/Cstに収束した(VSA装置18が非作動状態になった)とみなして、前記与圧制御を終了する。
この場合、作動量閾値としては、VSA装置18の作動が終了した際のS/Cストロークの作動量と比べてわずかに大きい値を設定すればよい。
なお、前記S/Cストロークの作動量に代えて(又は加えて)、S/Cストロークに対する後流側液圧Ph(S/Cストローク−後流側液圧Ph)を採用してもよい。
すなわち、ESB−ECU29の第1の制動制御部77は、VSA装置18の作動中に、作動状態情報の通信異常が生じた旨を認識した場合に、制動モータ(第1調圧部)72によるS/Cストローク−後流側液圧Phが、VSA装置18の作動が終了した際の制動液圧の大きさ(要求液圧値Pre)に基づいて定められる液圧閾値Pth未満に収束している状態で経過した時間が、予め定められる第1所定時間T1を超えた時点で、S/Cストロークが前記地点S/Cstに収束した(VSA装置18が非作動状態になった)とみなして、前記与圧制御を終了してもよい。
この場合、液圧閾値Pthとしては、VSA装置18の作動が終了した際の制動液圧である要求液圧値Preと比べてわずかに大きい値を設定すればよい。
前記S/Cストロークの作動量、及び、前記S/Cストローク−後流側液圧Phは、本発明の“第1調圧部の作動相関値”に相当する。要するに、第1調圧部の作動相関値とは、制動モータ(第1調圧部)72の作動に対するS/Cストローク量及び制動液圧変化幅の両者を包括して含む概念である。
また、前記作動量閾値、及び、前記液圧閾値Pthは、本発明の“作動相関閾値”に相当する。
図4に戻って説明を続けると、図4の例では、VSA装置18の作動が終了した時刻t3に前記第1所定時間T1を加算した時刻であるt4において、前記与圧制御が終了している。そのため、同時刻t4以降において、ESB制動液圧出力特性は“0”を示す(図4(d)参照)。ESB装置16のS/Cストロークも、原点位置である“0”を示す(図4(e)参照)。ホイールシリンダ32のキャリパ液圧出力特性も、S/Cストロークと同様に“0”を示す(図4(f)参照)。
〔本発明の実施形態に係る車両用制動装置10の作用効果〕
次に、本発明の実施形態に係る車両用制動装置10の作用効果について説明する。
第1の観点(請求項1に対応)に基づく車両用制動装置10は、車両の制動操作に応じて作動される制動モータ(第1調圧部)72を有し、第1調圧部72の作動によって制動液圧を発生させる電動サーボブレーキ装置16と、前記車両の挙動を安定化させるための指令情報に応じて作動されるポンプモータ(第2調圧部)135を有し、ポンプモータ135の作動によって制動液圧を調圧する車両挙動安定化支援装置18と、車両挙動安定化支援装置18に係る作動状態情報を電動サーボブレーキ装置16宛に通信する際に用いられるCAN通信媒体(情報通信媒体)33と、電動サーボブレーキ装置16がCAN通信媒体33を介して車両挙動安定化支援装置18が作動中である旨の作動中情報の通信を受けている場合に、車両挙動安定化支援装置18への給液流路における制動液圧を、制動モータ72の作動によって昇圧させる与圧制御を行う第1の制動制御部(制動制御部)77と、を備える。
第1の制動制御部77は、前記与圧制御の実行中に前記作動状態情報を受信しなくなった場合でも、前記与圧制御を継続して行う。
第1の観点に基づく車両用制動装置10によれば、車両挙動安定化支援装置18の作動中において、車両挙動安定化支援装置18に係る作動状態情報の通信異常が生じた際であっても、制動液圧の昇圧機能を十分に発揮させることができる。
また、第2の観点(請求項2に対応)に基づく車両用制動装置10は、第1の観点に基づく車両用制動装置10であって、第1の制動制御部77は、前記作動状態情報の通信異常が生じた旨を認識した場合に、制動モータ72の作動相関値の変化特性(S/Cストローク−後流側液圧の昇圧特性)に基づいて、前記与圧制御の終了条件を設定する構成を採用してもよい。
第2の観点に基づく車両用制動装置10によれば、第1の観点に基づく車両用制動装置10の作用効果に加えて、適切な終了条件を用いて与圧制御を遂行することができる。
また、第3の観点(請求項3に対応)に基づく車両用制動装置10は、第1の観点に基づく車両用制動装置10であって、第1の制動制御部77は、車両挙動安定化支援装置18に係る作動状態情報の通信異常が生じた旨を認識した場合に、制動モータ72の作動相関値(制動モータ72によるS/Cストロークの作動量、又は、S/Cストローク−後流側液圧Ph)が、作動相関閾値(前記作動量閾値、又は、前記液圧閾値Pth)未満に収束している状態で経過した時間が第1所定時間T1を超えた時点で、前記与圧制御を終了する構成を採用してもよい。
なお、第1所定時間T1としては、S/Cストロークが与圧制御相当の前記地点S/Cstに収束(制動液圧Phが液圧閾値Pth未満に収束)したか否か、換言すれば、VSA装置18が非作動状態になったか否かの判定結果がぶれる、いわゆるハンチング現象が生じないことを考慮して、適宜の時間長を設定すればよい。
第3の観点に基づく車両用制動装置10によれば、第1の観点に基づく車両用制動装置10の作用効果に加えて、より適切な終了条件を用いて与圧制御を遂行することができる。
また、第4の観点(請求項4に対応)に基づく車両用制動装置10は、第3の観点に基づく車両用制動装置10であって、第1の制動制御部77は、前記作動状態情報の通信異常が生じた旨を認識した場合に、制動モータ72の作動相関値(制動モータ72によるS/Cストロークの作動量、又は、S/Cストローク−後流側液圧Ph)が作動相関閾値(前記作動量閾値、又は、前記液圧閾値Pth)未満にならない状態で経過した時間が、予め定められる第2所定時間T2を超えた時点で、前記与圧制御を終了する構成を採用してもよい。
なお、第2所定時間T2としては、S/Cストロークが与圧制御相当の前記地点S/Cstに戻らない(制動液圧Phが液圧閾値Pth未満にならない)状態になったか否かの判定結果がぶれる、ハンチング現象が生じないことを考慮して、適宜の時間長を設定すればよい。
第4の観点に基づく車両用制動装置10によれば、例えば液損変化等が生じて、車両挙動安定化支援装置18の作動が終了したにもかかわらず、第3の観点に基づく車両用制動装置10における前記与圧制御の終了条件を充足しない場合であっても、無駄な与圧制御を的確に終了することができる。
〔その他の実施形態〕
以上説明した複数の実施形態は、本発明の具現化の例を示したものである。したがって、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならない。本発明はその要旨又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形態で実施することができるからである。
例えば、本発明に係る実施形態において、動力源として車輪駆動モータを搭載した電気自動車に対して、本発明の実施形態に係る車両用制動装置10を適用する例をあげて説明したが、本発明はこの例に限定されない。動力源として車輪駆動モータ及びレシプロエンジンを搭載したハイブリッド車両に対して、本発明を適用してもよい。
10 車両用制動装置
16 電動サーボブレーキ装置(ESB装置)
18 車両挙動安定化支援装置(VSA装置)
33 CAN通信媒体(情報通信媒体)
72 制動モータ(第1調圧部)
77 第1の制動制御部(制動制御部)
135 ポンプモータ(第2調圧部)

Claims (4)

  1. 車両の制動操作に応じて作動される第1調圧部を有し、当該第1調圧部の作動によって制動液圧を発生させる電動サーボブレーキ装置と、
    前記車両の挙動を安定化させるための指令情報に応じて作動される第2調圧部を有し、当該第2調圧部の作動によって前記制動液圧を調圧する車両挙動安定化支援装置と、
    前記車両挙動安定化支援装置に係る作動状態情報を前記電動サーボブレーキ装置宛に通信する際に用いられる情報通信媒体と、
    前記電動サーボブレーキ装置が前記情報通信媒体を介して前記車両挙動安定化支援装置が作動中である旨の作動中情報の通信を受けている場合に、当該車両挙動安定化支援装置への給液流路における制動液圧を、前記第1調圧部の作動によって昇圧させる与圧制御を行う制動制御部と、を備え、
    前記制動制御部は、前記与圧制御の実行中に前記作動状態情報を受信しなくなった場合でも、前記与圧制御を継続して行う
    ことを特徴とする車両用制動装置。
  2. 請求項1に記載の車両用制動装置であって、
    前記制動制御部は、前記作動状態情報の通信異常が生じた旨を認識した場合に、前記第1調圧部の作動相関値の変化特性に基づいて、前記与圧制御の終了条件を設定する
    ことを特徴とする車両用制動装置。
  3. 請求項1に記載の車両用制動装置であって、
    前記制動制御部は、前記作動状態情報の通信異常が生じた旨を認識した場合に、前記第1調圧部の作動相関値が、前記車両挙動安定化支援装置の作動が終了した際の前記作動相関値の大きさに基づいて定められる作動相関閾値未満に収束している状態で経過した時間が、予め定められる第1所定時間を超えた時点で、前記与圧制御を終了する
    ことを特徴とする車両用制動装置。
  4. 請求項3に記載の車両用制動装置であって、
    前記制動制御部は、前記作動状態情報の通信異常が生じた旨を認識した場合に、前記第1調圧部の作動相関値が前記作動相関閾値未満にならない状態で経過した時間が、前記与圧制御の最大継続時間に基づいて定められる第2所定時間を超えた時点で、前記与圧制御を終了する
    ことを特徴とする車両用制動装置。
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