JP6150122B2 - 合成樹脂製丸形壜体 - Google Patents
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Description
また、減圧吸収パネルは高温充填時における壜体の加圧化に伴う膨出変形を、壜体が歪に変形した感じを与えることなく、また局部的な塑性変形を抑制しながら元の形状へ回復可能に吸収する機能も発揮することもできる。
この上下に配設される短円筒部は、充填ラインでの運搬の際にボトル同士が接触する部位としてライン上でのトラブルをなくす機能を発揮する。
また、胴部に減圧吸収パネルが配設されるなかで、丸形ボトルとしての外観を現出すると云う機能も発揮する。
また近年、この種の壜体では材料コストや省資源の観点から周壁の薄肉化が求められており、薄肉化をさらに進めようとする場合には、当該上部短円筒部における、潰れ変形の抑制、あるいは潰れ変形後の元の形状への復元性を確保することが、課題の一つである。
口筒部とテーパー筒状の肩部と円筒状の胴部を有し、胴部に、複数の減圧吸収パネルを周方向に並列状に陥没形成し、隣接する減圧吸収パネルの間に柱部を残存形成し、胴部の上端部に減圧吸収パネルの上端に隣接して円筒状の上部短円筒部を残存形成した丸形壜体において、
減圧吸収パネルは、周縁部に段部を配設し、段部を介して円筒状の胴部の周壁から段差状に矩形状のパネル部を陥没形成したものとし、周方向に配設された各減圧吸収パネルに対向するように、上部短円筒部の周壁に、突条周リブ片を、少なくともパネル部の全横幅に亘る範囲に、壜体の中心軸方向に沿って周方向に複数並列状に配設する、と云うものである。
上記構成はこの検討結果に基づくものであり、周壁を全体的薄肉化するようにした壜体において、特に上部短円筒部のパネル対向領域を基端とした周壁の局部的な潰れ変形後の元の形状への復元性(以下、復元性と略記する。)を向上して、潰れ変形による周壁の部分的な永久変形性を抑制しようとするものである。
突条周リブ片の配設領域と、周方向に隣接する突条周リブ片の間の突条周リブ片の配設のない非配設領域の接続部における、平断面でみた断面形状の変化を段差状ではなくスムーズに変化させて、配設領域と非配設領域の接続部における外力による応力集中を抑制することができ、当該接続部を起点とした潰れ変形、あるいはこの潰れ変形による周壁の部分的な永久変形を抑制することが可能となる。
また、配設した突条周リブ片を外観上、目立たないようにすることができ、上部短円筒部による、丸形壜体としての特徴の現出を損なうこともない。
なお、潰れ変形後の復元性の向上を考慮すると、突条周リブ片の最大突出量を0.1mm以上とすることが好ましい。
上部短円筒部の、柱部が配設される周方向位置を除く、パネル対向領域に突条周リブ片を断続的に配設することにより、当該パネル対向領域の周壁の局部的な潰れ変形後の復元性を向上させることができ、当該領域を基端とした、潰れ変形による周壁の部分的な永久変形性を抑制することができる。
図1〜図4は本発明の合成樹脂製壜体の一実施例を説明するためのものであり、図1は正面図、図2は図1中のA−A線に沿って示す平断面図、図3は図1中のB−B線に沿って示す突条周リブ片近傍の縦断面図、図4は図1中のC−C線に沿って示す突条周リブ片近傍の平断面図である。
また、下部短円筒部7bには周溝8bを配設し、この短円筒部7bに対する周リブとしての機能を発揮するようにしている。
そしてこのパネル部12は、段部11に連結して周縁部を形成する基面壁12aを有し、この基面壁12aを基端として中央部に縦長矩形状の平坦な頂面を有し壜体1の外方に向けて突出する平坦突出部13を配設したものである。
また、平坦突出部13の頂面には十字状に交差するように縦溝14と横溝15を配設しており、高温充填時における壜体内の加圧化に伴う膨出変形と、冷却後の減圧化に伴う陥没変形が、縦溝14と横溝15の交差点近傍を基端としてパネル部12の周縁部にスムーズに進展するようにしている。
図3に突条周リブ片17の周方向の中央位置の縦断面形状が示されているが、この中央位置における各突条周リブ片17の頂部17tの突出量は0.4mmであり、また各突条周リブ片17の壜体1の中心軸方向の幅は1.0mmである。
そして、この突条周リブ片17は、上記したようにその最大突出量が0.4mm程度であるので、外観上目立つことがなく、上部短円筒部7aで丸形壜体として外観をすっきりと現出することができる。
この表では、上記の突条周リブ片17を配設した実施例の壜体1と、突条周リブ片17を配設しない比較例の壜体について、荷重を60N、70N、80Nの3つのレベルで負荷した際の、上部短円筒部7aの減圧吸収パネル10の左右方向の中央部に対向する周方向位置近傍での凹み変形量(mm)と、荷重を除去した後の残存する変形量(mm)を解析した結果を示している。
ここで残存変形量が0.0mmと云うのは、荷重を除去した後に完全に元の形状に復元していることを示す。
一方、残存変形量をみると、荷重が60Nの場合には両者とも0.0mmであり完全に元の形状に復元しているが、荷重が70Nの場合は実施例の壜体1の方が完全に復元するが、比較例の壜体では1.39mmの凹み変形が残っており、変形の復元性と云う点からは、上部短円筒部7aへの突条周リブ片17の配設効果が確認された。また、荷重が80Nの場合は両者共に変形が完全に復元せずに残るが、実施例の壜体1の方がその残存変形量が小さくこの場合にも突条周リブ片17の配設効果があることが分かる。
上記実施例では、PET樹脂製で280mlの丸形壜体の例を示したが、本願発明の作用効果は他の合成樹脂製のもの、さらに小型あるいは大型の丸形壜体についても十分発揮されるものである。
また、突条周リブ片の、突出量や突出幅等の断面形状、並列本数、そして周設範囲を含む配設態様は、潰れ変形後の復元性や外観性等を考慮して適宜選択して決めることができるものである。
2 ;口筒部
3 ;肩部
4 ;胴部
5 ;底部
6 ;柱部
7a;上部短円筒部
7b;下部短円筒部
8a、8b;周溝
10;減圧吸収パネル
11;段部
12;パネル部
12a;基面壁
13;平坦突出部
14;縦溝
15;横溝
17;突条周リブ片
17t;頂部
Claims (4)
- 口筒部(2)とテーパー筒状の肩部(3)と円筒状の胴部(4)を有し、胴部(4)に、複数の減圧吸収パネル(10)を周方向に並列状に陥没形成し、隣接する減圧吸収パネル(10)の間に柱部(6)を残存形成し、胴部(4)の上端部に前記減圧吸収パネル(10)の上端に隣接して円筒状の上部短円筒部(7a)を残存形成した丸形壜体であって、
減圧吸収パネル(10)は、周縁部に段部(11)を配設し、該段部(11)を介して円筒状の胴部(4)の周壁から段差状に矩形状のパネル部(12)を陥没形成したものとし、周方向に配設された各減圧吸収パネル(10)に対向するように、前記上部短円筒部(7a)の周壁に、突条周リブ片(17)を、少なくとも前記パネル部(12)の全横幅に亘る範囲に、壜体の中心軸方向に沿って周方向に複数並列状に配設したことを特徴とする合成樹脂製丸形壜体。 - 突条周リブ片(17)の頂部(17t)の周方向の曲率半径(Rt)を、上部短円筒部(7a)の半径(R)より小さくし、該突条周リブ片(17)の周方向の中央部で前記頂部(7t)の突出量が最も大きく、両端部に向けて突出量が漸減する構成とした請求項1記載の合成樹脂製丸形壜体。
- 突条周リブ片(17)の頂部(17t)の突出量を0.5mm以下とした請求項1または2記載の合成樹脂製丸形壜体。
- 突条周リブ片(17)の突出基端部の壜体の中心軸方向の幅を2mm以下とした請求項1、2または3記載の合成樹脂製丸形壜体。
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