JP6150087B2 - 精製された活性珪酸液及びシリカゾルの製造方法 - Google Patents
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Description
研磨剤の原料として用いられるシリカゾルの原料となる珪酸アルカリ水溶液は、従来、原料カレットを加熱溶解した直後の粗珪酸アルカリ水溶液に珪藻土等の濾過助剤を加えて濾過して精製することが行われている。また、1nm以上の大きさの粒子が実質的に存在しない珪酸アルカリ水溶液を得る方法として、珪酸アルカリ水溶液の粘度を予め1mPa・s乃至50mPa・sに調節し、これを分画分子量15000以下の限外濾過膜を通過させる方法が開示されている(特許文献1)。
2μm乃至4.0μm、厚さ1nm乃至100nmの平板状の粒子であることを確認し、そしてこの平板状の微小粒子は、研磨剤の原料として用いられるシリカゾルに由来するものであると思われる。
限外濾過により1nm以上の大きさの粒子が存在しないようにする特許文献1記載の方法は濾過速度が著しく遅く、大量生産には不向きであった。
(1)下記測定方法Aに従い計測された、一辺の長さが0.2乃至4.0μm、厚さが1乃至100nmの平板状の微小粒子の存在量が0%乃至30%。
測定方法A:シリカ濃度4質量%で且つ25℃の被観察液30mlを通過させた絶対孔径0.4μmのメンブレン型フィルター(濾過面積4.90cm2)を走査型電子顕微鏡で5000倍に拡大して観察したとき、縦15μm、横20μmの長方形の観察域を1視野とし、該1視野内において上記平板状の微小粒子が1個以上存在したときを1カウントとし、そして視野域が互いに重ならない100視野の総てについて該カウントの有無を決定し、得られたカウント総数を該平板状の微小粒子の存在量(%)とする方法、
第2観点として、前記除去率が60%以上である第1観点に記載の精製された活性珪酸液の製造方法、
第3観点として、前記除去率が70%以上である第1観点に記載の精製された活性珪酸液の製造方法。
第4観点として、前記除去率が80%以上である第1観点に記載の精製された活性珪酸液の製造方法、
第5観点として、前記除去率が90%以上である第1観点に記載の精製された活性珪酸液の製造方法、
第6観点として、前記フィルターが、メンブレン型フィルター、プリーツ型フィルター、デプス型フィルター、糸巻き型フィルター、サーフェース型フィルター、ロール型フィルター、デプスプリーツ型フィルター、珪藻土含有型フィルターからなる群から選ばれる少なくとも1種である第1観点乃至第5観点のいずれか一つに記載の精製された活性珪酸液の製造方法、
第7観点として、前記フィルターが、絶対孔径0.3μm乃至3.0μmのメンブレン型フィルターである第1観点乃至第5観点のいずれか一項に記載の精製された活性珪酸液の製造方法、
第8観点として、前記珪酸アルカリ水溶液のアルカリ成分が、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、ルビジウムイオン及びセシウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1種である第1観点乃至第7観点のいずれか一つに記載の精製された活性珪酸液の製造方法、
第9観点として、第1観点乃至第8観点のいずれか一項に記載の精製された活性珪酸液
をアルカリ性水溶液中に添加し、加熱して、活性珪酸を重合することを特徴とする、以下の条件(2)を満たすシリカゾルの製造方法:
(2)第1観点に記載の測定方法Aに従い計測された、一辺の長さが0.2乃至4.0μm、厚さが1乃至100nmの平板状の微小粒子の存在量が0%乃至30%、
第10観点として、前記アルカリ性水溶液のアルカリ成分が、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アミン及び第4級アンモニウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1種である第9観点に記載のシリカゾルの製造方法、
である。
特に本発明は、第7観点に記載の精製された活性珪酸液の製造方法及び該活性珪酸液からのシリカゾルの製造方法に関する。
本発明により有効に除去される粒子は、一辺の長さが0.2乃至4.0μm、厚さが1乃至100nmの平板状の微小粒子である。
の除去率が50%以上であるフィルターにより濾過するのである。ここで活性珪酸液とは、珪酸及び粒子径3nm未満の珪酸の重合体が共存する水溶液のことである。
Scientific社製標準粒子4009A等を用いることができる。
〔測定方法A〕
シリカ濃度4質量%で且つ25℃の被観察液30mLを通過させた絶対孔径0.4μmのメンブレン型フィルター(濾過面積4.90cm2)を走査型電子顕微鏡で5000倍に拡大して観察したとき、縦15μm、横20μmの長方形の観察域を1視野とし、該1視野内において上記平板状の微小粒子が1個以上存在したときを1カウントとし、そして視野域が互いに重ならない100視野の総てについて該カウントの有無を決定し、得られたカウント総数を該平板状の微小粒子の存在量(%)とする。前記メンブレン型フィルターとしては例えばポリカーボネート製のものを使用することができ、例えば濾過面積4.90cm2、直径25mmのものを使用することができる。例えば日本ミリポア(株)社製アイソポアHTTP−02500を使用することができる。
(2)上記の測定方法Aに従い計測された、一辺の長さが0.2乃至4.0μm、厚さが1乃至100nmの平板状の微小粒子である粒子の存在量が0%乃至30%である。この場合、被観察液は前記シリカゾルである。
用いるフィルターについて、1次粒子径1.0μmの粒子の除去率は以降の方法により測定した。直径1.0μmの単分散ポリスチレンラテックス粒子(JSR社製、STADEX SC−103−S)0.5mlを純水5000mlに分散させた水分散液を準備し、液中パーティクルセンサKS−42C(リオン株式会社製)を用いて1次粒子径1.0μmの粒子数(a)を測定した。また、前記水分散液に使用した純水の粒子数(b)を測定し、ブランク1とした。用いるフィルターで前記水分散液を濾過し、濾過後の水分散液中の1次粒子径1.0μmの粒子数(c)を測定した。また、用いるフィルターは純水のみを予め濾過し、濾過した純水中の粒子数(d)を測定し、ブランク2とした。用いるフィルターの1次粒子径1.0μmの除去率は、下記の式(I)から算出した。
式(I)・・・除去率(%)=[1−[(c−d)/(a−b)]]×100
シリカ濃度4質量%で且つ25℃の被観察液30mlを通過させた絶対孔径0.4μmのポリカーボネート製メンブレン型フィルター(日本ミリポア(株)社製アイソポアHTTP−02500、濾過面積4.90cm2、直径25mm)を走査型電子顕微鏡を用いて5000倍に拡大して観察したとき、縦15μm、横20μmの長方形の観察域を1視野とし、該1視野内において一辺の長さが0.2乃至4.0μm、厚さが1乃至100nmの平板状の微小粒子が1個以上存在したときを1カウントとし、そして視野域が互いに重ならない100視野の総てについて該カウントの有無を決定し、得られたカウント総数
を該平板状の微小粒子の存在量(%)とした。
市販の珪酸ナトリウム水溶液(JIS3号、SiO229.3質量%、Na2O9.5質量%)1000gに純水6325gを添加して希釈した。希釈した珪酸ナトリウム水溶液はSiO24.0質量%、Na2O1.3質量%、比重1.038の物性であった。この珪酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂(アンバーライト(登録商標)120B:ダウ・ケミカル社製)500mLを充填したイオン交換塔に2500g/時の速度で通液し、活性珪酸液を約7200g得た。得られた活性珪酸液の測定条件Aで測定したときの走査型電子顕微鏡で観察される一辺の長さが0.2μm乃至4.0μm、厚さが1nm乃至100nmの平板状の微小粒子の存在量は73%であった。この活性珪酸液について、グラスファイバーと珪藻土を混抄させたポリプロピレン不織布の公称孔径0.5μmのプリーツ型フィルター(ロキテクノ社製PEH−005:1次粒子径1.0μmの粒子の除去率は99.9%、濾過面積0.2m2、フィルター全長250mm)1本を用いて、流量3リットル/分で濾過を行った。濾過後の活性珪酸液を測定方法Aで測定した結果、前記平板状の微小粒子の存在量は1%であった。
濾過に用いるフィルターとして、ポリプロピレン不織布の公称孔径0.5μmのデプス型フィルター(ロキテクノ社製SL−005:1次粒子径1.0μmの粒子の除去率は90%、濾過面積0.3m2、フィルター全長250mm)1本を用いて、流量3リットル/分とした他は、実施例1と同様にしてSiO24.0質量%の活性珪酸液約7200gの濾過を行った。濾過後の活性珪酸液を測定方法Aで測定した結果、前記平板状の微小粒子の存在量は17%であった。
市販の珪酸ナトリウム水溶液(JIS3号、SiO229.3質量%、Na2O9.5質量%)1000gに純水6325gを添加して希釈した。希釈した珪酸ナトリウム水溶液はSiO24.0質量%、Na2O1.3質量%、比重1.038の物性であった。この珪酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂(アンバーライト(登録商標)120B:ダウ・ケミカル社製)500mLを充填したイオン交換塔に2500g/時の速度で通液し、活性珪酸液を約7200g得た。得られた活性珪酸液の測定条件Aで測定したときの走査型電子顕微鏡で観察される一辺の長さが0.2μm乃至4.0μm、厚さが1nm乃至100nmの平板状の微小粒子の存在量は75%であった。この活性珪酸液について、ポリエーテルスルフォン製の絶対孔径0.45μmのメンブレン型フィルター(ロキテクノ社製CES−005:1次粒子径1.0μmの粒子の除去率は100%、濾過面積0.75m2、フィルター全長250mm)1本を用いて、流量3リットル/分で濾過を行った。濾過後の活性珪酸液を測定方法Aで測定した結果、前記平板状の微小粒子の存在量は4%であった。
容積3Lのガラス製セパラブルフラスコに32質量%NaOH水溶液を4.55gと純水379gを添加し、攪拌しながら85℃に加熱した。この加熱されたNaOH水溶液に実施例1で得られた濾過後の活性珪酸液723gを430g/分の速度で添加した後、液温を100℃まで上げ、更に前記実施例1で得られた濾過後の活性珪酸液1879を430g/分の速度で添加した。添加終了後、液温を100℃に保ちながら6時間攪拌を続けた。加熱終了後、冷却し、分画分子量50000の限外濾過膜にて濃縮してシリカゾルを得た。このシリカゾルの物性は比重1.212、pH10.0、粘度3.0、シリカ濃度30.6重量%、透過型電子顕微鏡観察による一次粒子径は10nm乃至40nmであった。得られたシリカゾルを測定方法Aで測定したところ、前記平板状の微小粒子の存在量
は1%であった。
市販の珪酸ナトリウム水溶液(JIS3号、SiO229.3質量%、Na2O9.5質量%)1000gに純水6325gを添加して希釈した。希釈した珪酸ナトリウムはSiO24.0質量%、Na2O1.3質量%、比重1.038の物性であった。得られた珪酸ナトリウム水溶液4000gを陽イオン交換樹脂(アンバーライト(登録商標)120B、ダウ・ケミカル社製)500mLを充填したイオン交換塔に2500g/時の速度で通液し、活性珪酸液を得た。得られた活性珪酸液は比重1.020、pH2.88、SiO23.55質量%で無色透明の液体であった。この活性珪酸液中に含まれる、測定方法Aで測定したときの前記平板状の微小粒子の存在量は78%であった。この活性珪酸液を用いた以外は実施例4に記載の方法でシリカゾルを製造した。このシリカゾルの物性は比重1.212、pH9.9、粘度4.6、シリカ濃度30.5重量%、透過型電子顕微鏡観察による一次粒子径は10nm乃至40nmであった。得られたシリカゾルを測定方法Aで測定したときの前記平板状の微小粒子の存在量は80%であった。
活性珪酸液の濾過に用いるフィルターとして、ポリプロピレン不織布の公称孔径20μmのデプス型フィルター(ロキテクノ社製SL−200:1次粒子径1.0μmの粒子の除去率は20%、濾過面積0.3m2、フィルター全長250mm)1本を用いた以外は実施例1と同様にして行った。濾過後の活性珪酸液を測定方法Aで測定した結果、前記平板状の微小粒子の存在量は70%であった。この活性珪酸液を用いた以外は実施例4に記載の方法でシリカゾルを製造した。このシリカゾルの物性は比重1.211、pH10.0、粘度4.0、シリカ濃度30.4重量%、透過型電子顕微鏡観察による一次粒子径は10nm乃至40nmであった。得られたシリカゾルを測定方法Aで測定したときの前記平板状の微小粒子の存在量は75%であった。
実施例1と同様の方法により得られた活性珪酸液を分画分子量10000のポリスルフォン製限外濾過膜(濾過面積45cm2、直径76mm)を用いて濾過を行った。濾過の最初の5分間の平均流量は濾過面積1m2あたり0.5リットル/分であった。また、濾過開始から100分後の濾過速度は1m2あたり0.2リットル/分に低下した。
Claims (8)
- シリカ濃度を0.5質量%乃至10.0質量%に調整した珪酸アルカリ水溶液を陽イオン交換によってアルカリ成分を除去して活性珪酸液を調製し、この活性珪酸液を1次粒子径1.0μmの粒子の除去率が50%以上である絶対孔径0.3μm乃至3.0μmのメンブレン型フィルターで濾過することを特徴とする、次の条件(1)を満たす精製された活性珪酸液の製造方法:
(1)下記測定方法Aに従い計測された、一辺の長さが0.2乃至4.0μm、厚さが1乃至100nmの平板状の微小粒子の存在量が0%乃至30%。
測定方法A:シリカ濃度4質量%で且つ25℃の被観察液30mlを通過させた絶対孔径0.4μmのメンブレン型フィルター(濾過面積4.90cm2)を走査型電子顕微鏡で5000倍に拡大して観察したとき、縦15μm、横20μmの長方形の観察域を1視野とし、該1視野内において上記平板状の微小粒子が1個以上存在したときを1カウントとし、そして視野域が互いに重ならない100視野の総てについて該カウントの有無を決定し、得られたカウント総数を該平板状の微小粒子の存在量(%)とする方法。 - 前記除去率が60%以上である請求項1に記載の精製された活性珪酸液の製造方法。
- 前記除去率が70%以上である請求項1に記載の精製された活性珪酸液の製造方法。
- 前記除去率が80%以上である請求項1に記載の精製された活性珪酸液の製造方法。
- 前記除去率が90%以上である請求項1に記載の精製された活性珪酸液の製造方法。
- 前記珪酸アルカリ水溶液のアルカリ成分が、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、ルビジウムイオン及びセシウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の精製された活性珪酸液の製造方法。
- 請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の精製された活性珪酸液をアルカリ性水溶液に添加し、加熱して、活性珪酸を重合することを特徴とする、以下の条件(2)を満たすシリカゾルの製造方法:
(2)請求項1に記載の測定方法Aに従い計測された、一辺の長さが0.2乃至4.0μm、厚さが1乃至100nmの平板状の微小粒子の存在量が0%乃至30%。 - 前記アルカリ性水溶液のアルカリ成分が、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アミン及び第4級アンモニウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項7に記載のシリカゾルの製造方法。
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