以下、図面を参照して本発明の一の実施の形態について説明する。図1乃至図13は、本実施の形態に係る貨幣入出金機を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態における貨幣入出金機の外観を示す斜視図である。また、図2は、図1に示す貨幣入出金機における硬貨処理ユニットの構成を示す構成図であり、図3は、図2に示す硬貨処理ユニットにおける突起部検出センサの構成を示すA−A矢視図である。また、図4は、図1に示す貨幣入出金機の機能ブロック図である。また、図5乃至図8は、図2に示す硬貨処理ユニットにおける硬貨繰出装置による硬貨の繰出動作を示す図である。また、図9は、図2に示す硬貨処理ユニットにおいて、規制手段が設けられていない場合における、硬貨繰出装置による硬貨の繰出動作を示す図である。また、図10は、図2に示す硬貨処理ユニットにおける押し付け部の構成を示す縦断面図である。また、図11は、図2に示す硬貨処理ユニットにおける振り分け手段の構成の詳細を示す構成図であり、図12は、図11に示す振り分け手段の近傍に設けられた押し付け部の構成および作用を示す縦断面図である。また、図13は、図2に示す硬貨処理ユニットにおける、突起部検出センサおよび回転板位相検出センサによる検出状況および送り込みカムの動作の状況を示すタイムチャートである。
まず、本実施の形態の貨幣入出金機1の全体構成について図1を用いて説明する。図1に示すように、本実施の形態の貨幣入出金機1は、硬貨処理ユニット10および紙幣処理ユニット12を備えており、これらの硬貨処理ユニット10および紙幣処理ユニット12により硬貨や紙幣の入出金処理を行うようになっている。ここで、図1に示すように、硬貨処理ユニット10および紙幣処理ユニット12は左右方向に並べて配置される。また、図1に示すように、貨幣入出金機1の筐体の前面には、硬貨を機体内に投入するための硬貨投入口11および紙幣を機体内に投入するための紙幣投入口13がそれぞれ設けられている。また、図1に示すように、硬貨処理ユニット10および紙幣処理ユニット12の下方には、硬貨や紙幣の収納を行うための収納ユニット14が設けられており、この収納ユニット14には硬貨処理ユニット10および紙幣処理ユニット12から硬貨や紙幣が引き渡されるようになっている。また、図1に示すように、硬貨処理ユニット10および紙幣処理ユニット12の上方において、貨幣入出金機1の筐体の前面にはタッチパネル等からなる操作表示部74が設けられている。
次に、硬貨処理ユニット10の構成の詳細について図2等を用いて説明する。図2に示すように、硬貨処理ユニット10は、硬貨投入口11により機体内に投入された硬貨を貯留する貯留部20と、貯留部20から硬貨を1枚ずつ繰り出す繰出手段22と、繰出手段22によって繰り出された硬貨を1枚ずつ搬送する搬送部40と、を備えている。また、搬送部40には、当該搬送部40により搬送される硬貨の少なくとも金種を識別する識別部50と、搬送部40に沿って複数配置され、識別部50による硬貨の識別結果に基づいて、搬送部40により搬送される硬貨の振り分けを行う振り分け手段60と、を備えている。また、各振り分け手段60に対応して収納部68が複数設けられており、各振り分け手段60により振り分けられた硬貨は、対応する収納部68に収納されるようになっている。
以下、このような硬貨処理ユニット10の各構成要素の詳細について以下に説明する。
前述したように、硬貨処理ユニット10には貯留部20が設けられており、硬貨投入口11により機体内に投入された1または複数の硬貨は貯留部20に貯留されるようになっている。また、貯留部20から硬貨を1枚ずつ繰り出すための繰出手段22は、略水平状態に延びる回転盤24を有しており、この回転盤24は軸24aを中心として図2における反時計回りの方向(図2における矢印方向)に回転するようになっている。貯留部20に貯留された硬貨は、回転盤24の回転によって貯留部20で攪拌されるようになっている。また、図2や図5乃至図9に示すように、回転盤24における外周縁領域24cの表面にはゴム部材が設けられている。そして、貯留部20に貯留された硬貨は、回転盤24の回転による遠心力により外周縁領域24cに向けて移動するとともに、この外周縁領域24cの表面のゴム部材と硬貨との間に生じる摩擦力によって搬送部40へ繰り出されるようになる。
また、図2に示すように、回転盤24の近傍には、当該回転盤24上の硬貨を搬送部40へ送り込むための送り込み手段26が設けられている。図5乃至図9に示すように、送り込み手段26は、軸28aを中心として図5等における時計回りの方向に回転する円板形状の送り込みカム28を有している。図5等に示すように、送り込みカム28の外周縁近傍には3つの突起部30が等間隔で設けられており、送り込みカム28が回転して各突起部30により硬貨が押されることによって、回転盤24から繰り出された硬貨が搬送部40へ送り込まれるようになっている。送り込みカム28の駆動は後述する制御部70により制御されるようになっている。
また、図5等に示すように、回転盤24と搬送部40との間には案内部材32、33がそれぞれ設けられており、回転盤24から繰り出された硬貨は、案内部材32、33の間の領域を通って搬送部40に送り込まれるようになっている。また、案内部材32、33のうち一方の案内部材32の近傍には、回転盤24から繰り出された硬貨が搬送部40へ送られる動作を規制するための規制手段34が設けられている。規制手段34は、軸36を中心として図5等における時計回りおよび反時計回りの両方向に回転する可動部材35を有している。ここで、可動部材35は、図5、図6等に示すような、硬貨を停止させる停止位置と、図7に示すような、送り込み手段26による搬送部40への硬貨の送り込みを許容する許容位置との間で移動自在となっている。
また、可動部材35には、当該可動部材35に力が作用していないときに図5等に示すような停止位置に位置させるよう可動部材35を付勢する、ねじりバネ等の付勢機構36aが設けられている。このような付勢機構36aにより、可動部材35は通常時は図5等に示すような停止位置に維持される。ここで、付勢機構36aにより可動部材35に加えられる力は、繰出手段22の回転盤24による硬貨の繰り出し力よりは大きいが、送り込み手段26の送り込みカム28に設けられた突起部30により硬貨が押される力よりは弱くなっている。このため、繰出手段22の回転盤24により繰り出された硬貨が可動部材35に当接しただけでは、この硬貨は可動部材35により停止させられ、搬送部40の循環ベルト42(後述)へ送られることはない。一方、送り込み手段26の送り込みカム28に設けられた突起部30により硬貨が後方から押されてこの硬貨が可動部材35に当接したときには、この硬貨により可動部材35が押され、軸36を中心として可動部材35は付勢機構36aに抗して図5等における反時計回りの方向に回転し、図7に示すような許容位置まで回転するようになる。送り込み手段26による、回転盤24から搬送部40への硬貨の送り込み動作の詳細については後述する。
図2や図5等に示すように、送り込み手段26の送り込みカム28の近傍には、繰出手段22の回転盤24により繰り出された硬貨を検出する繰出検出センサ38が設けられている。すなわち、繰出手段22の回転盤24により繰り出された硬貨が繰出検出センサ38の位置まで到達したときに、この硬貨が繰出検出センサ38により検出されるようになる。
図14は、繰出検出センサ38の構成を示す概略図である。図14に示すように、繰出検出センサ38は発光部38eおよび受光部38rを有しており、発光部38eから発せられた光は受光部38rにより受けられるようになっている。送り込み手段26の送り込みカム28の近傍の硬貨の通過経路に対して、発光部38eおよび受光部38rのうちの一方が上方側に設けられ、発光部38eおよび受光部38rの他方が下方側に設けられている。これにより、発光部38eと受光部38rとによって硬貨の通過経路が挟まれており、当該通過経路を硬貨が通過するときに、発光部38eから発せられた光は硬貨により遮られて受光部38rに届かないようになる。このことにより、繰出検出センサ38は、繰り出された硬貨の通過(到達)を検出するようになっている。
また、図5等に示すように、案内部材32、33の近傍には押し付け部39が設けられている。このような押し付け部39の構成の詳細について図10を用いて説明する。図10は、図2に示す硬貨処理ユニット10における押し付け部39の構成を示す縦断面図である。図10に示すように、押し付け部39は、ピンチボール39aと、このピンチボール39aに取り付けられたバネ部材39b(圧縮バネ)とを有しており、バネ部材39bの上端部分は固定されるようになっている。より詳細には、図10に示すように、繰出手段22の回転盤24の上方にはカバー部材24bが設けられており、押し付け部39のピンチボール39aおよびバネ部材39bは、カバー部材24bに設けられた貫通穴を貫通するよう設けられている。そして、図10に示すように、ピンチボール39aの下方に硬貨Cが位置していないときには、このピンチボール39aは回転盤24に対してわずかな隙間を隔てて浮くようになっている。一方、回転盤24上の硬貨Cがピンチボール39aの下方の位置に到達したときには、この硬貨Cはバネ部材39bの付勢力により下方に押圧されるようになる。具体的には、回転盤24とピンチボール39aとの間にある硬貨Cは、バネ部材39bの付勢力により例えば100g程度の力で回転盤24に向かって押圧されるようになる。このことにより、回転盤24における外周縁領域24cの表面に設けられたゴム部材と硬貨Cとの間に働く摩擦力が大きくなり、ピンチボール39aによって下方に押圧された硬貨Cに対する回転盤24の繰り出し力が大きくなる。
搬送部40は、図2において反時計回りの方向に循環移動する循環ベルト42(移動部材)を有している。また、図3や図5乃至図9に示すように、循環ベルト42には等間隔でピン等の突起部44が設けられており、送り込み手段26により搬送部40に送り込まれた硬貨は、循環ベルト42に設けられた各突起部44により押されることにより搬送部40の搬送路に沿って1枚ずつ移動するようになる。図2に示すように、循環ベルト42は、プーリ43、46を含む複数のプーリに張架されており、複数のプーリのうち一のプーリに設けられた駆動モータ(図示せず)により当該プーリが回転させられることによって循環ベルト42は図2における反時計回りの方向(図2における矢印方向)に循環移動するようになっている。なお、プーリ43は軸43aを中心として反時計回りの方向に回転するようになっている。また、プーリ46の回転軸には回転板(図示せず)が取り付けられており、この回転板の回転位相が回転板位相検出センサ48(図4参照)により検出されるようになっている。
なお、本実施の形態では、硬貨処理ユニット10の貯留部20、繰出手段22、送り込み手段26、規制手段34、搬送部40等により、硬貨の繰り出しを行う硬貨繰出装置が構成されている。
図2に示すように、搬送部40には、当該搬送部40により搬送される硬貨の金種、真偽、正損等の識別を行う識別部50が設けられている。なお、識別部50の態様はこのようなものに限定されることはなく、搬送部40により搬送される硬貨の少なくとも金種を識別することができるものであればよい。
また、図2に示すように、搬送部40に沿って複数の振り分け手段60(7つの振り分け手段60a〜60g)が配置されており、識別部50による硬貨の識別結果に基づいて、各振り分け手段60により硬貨が金種別に振り分けられるようになっている。また、前述したように、各振り分け手段60に対応して収納部68が複数設けられており、各振り分け手段60により振り分けられた硬貨は、対応する収納部68に収納されるようになっている。
各振り分け手段60の構成の詳細について図11および図12を用いて説明する。図11は、図2に示す硬貨処理ユニット10における振り分け手段60の構成の詳細を示す構成図であり、図12は、図11に示す振り分け手段60aの近傍に設けられた押し付け部66aの構成および作用を示す縦断面図である。図11において、硬貨は搬送部40の循環ベルト42により右方向(図11における矢印方向)に搬送されるようになっている。
以下の説明では、複数の振り分け手段60のうち振り分け手段60a、60bを例として説明する。図11に示すように、振り分け手段60aは、搬送部40の搬送面45に設けられた開口を塞ぐための振り分け板62aと、硬貨検出センサ64aとを有している。そして、この振り分け手段60aに対応する金種の硬貨が硬貨検出センサ64aにより検出されたときに、振り分け板62aが駆動され、この振り分け板62aは搬送部40の搬送面45の開口から上方に開く。このことにより、循環ベルト42に設けられた突起部44により搬送される硬貨は、搬送面45の開口に入り、振り分け手段60aに対応する収納部68に送られるようになる。
図15は、硬貨検出センサ64aの構成を示す概略図である。図15に示すように、硬貨検出センサ64aは発光部64eおよび受光部64rを有しており、発光部64eから発せられた光は受光部64rにより受けられるようになっている。そして、振り分け手段60aの作動時間に対応して予め決定された硬貨の所定の通過位置に対して、発光部64eおよび受光部64rのうちの一方が上方側に設けられ、発光部64eおよび受光部64rの他方が下方側に設けられている。これにより、発光部64eと受光部64rとによって硬貨の所定の通過位置が挟まれており、当該通過位置に硬貨が到達したときに、発光部64eから発せられた光は硬貨により遮られて受光部64eに届かないようになる。このことにより、硬貨検出センサ64aは、硬貨が所定の通過位置に到達したことを検出するようになっている。
ここで、本実施の形態の硬貨検出センサ64aの受光部64rが「硬貨の到達」を検出する受光量のしきい値(その受光量に達しない場合に「硬貨の到達」を識別する)は、繰出検出センサ38の受光部38rが「硬貨の通過」を検出する受光量のしきい値(その受光量に達しない場合に「硬貨の通過」を識別する)よりも、高くなっている。すなわち、硬貨検出センサ64aの受光部64rの検出感度は、繰出検出センサ38の受光部38rの検出感度と比較して、高く(検出し易く)なっている。このことにより、繰出検出センサ38によって硬貨として検出された場合に、当該検出対象が硬貨検出センサ64aにおいて硬貨として検出されない、という不具合を回避することができる(繰出検出センサ38によって硬貨として検出された場合に、当該検出対象は必ず硬貨検出センサ64aにおいても硬貨として検出されることが保証される)。
また、図11に示すように、各振り分け手段60a、60bの近傍には押し付け部66a、66bが設けられている。ここで、振り分け手段60aに対応する押し付け部66aは、硬貨の搬送方向において当該振り分け手段60aの硬貨検出センサ64aよりもわずかに上流側(図11における左側)に配置されている。また、図12に示すように、押し付け部66aは、ピンチボール66pと、このピンチボール66pに取り付けられたバネ部材66q(圧縮バネ)とを有しており、バネ部材66qの上端部分は固定されるようになっている。そして、ピンチボール66pの下方に硬貨が位置していないときには、このピンチボール66pは搬送部40の搬送面45に対してわずかな隙間を隔てて浮くようになっている。一方、循環ベルト42に設けられた突起部44により押されて搬送される硬貨がピンチボール66pの下方の位置に到達したときには、この硬貨によりピンチボール66pが上方に押し上げられ、当該硬貨は搬送面45とピンチボール66pの間の領域を通過するようになる。この際に、この硬貨はバネ部材66qの付勢力により下方に押圧されるようになる。
このような押し付け部66aが設けられていることにより、以下に示すような作用効果を奏することができる。すなわち、図12(a)に示すように、循環ベルト42と硬貨Cとの間に働く摩擦力によって硬貨Cが循環ベルト42と一体的に移動し、この硬貨Cが循環ベルト42の突起部44により後方から押されることなく突起部44から先行してしまった場合でも、図12(b)に示すように、この硬貨Cが押し付け部66aのピンチボール66pに当接したときに、このピンチボール66pにより硬貨Cが停止させられる。そして、図12(c)に示すように、循環ベルト42の突起部44が硬貨Cに追いついてこの硬貨Cが突起部44により図12における右方向に押されると、この硬貨Cによりピンチボール66pが上方に押し上げられ、当該硬貨Cは搬送面45とピンチボール66pの間の領域を通過するようになる。このように、振り分け手段60aに対応して押し付け部66aが設けられていることにより、振り分け手段60aの硬貨検出センサ64aにより硬貨が検出されるときには、この硬貨は循環ベルト42の突起部44により押された状態となり、突起部44から先行することはない。このことにより、振り分け手段60aによる振り分けミスを防止することができる。
また、図2に示すように、硬貨処理ユニット10において、搬送部40の循環ベルト42に設けられた各突起部44の有無を検出する突起部検出センサ52が設けられている。
このような突起部検出センサ52の構成の詳細について図3を用いて説明する。図3は、図2に示す硬貨処理ユニット10における突起部検出センサ52の構成を示すA−A矢視図である。図3に示すように、突起部検出センサ52は発光部52aおよび受光部52bを有しており、発光部52aから発せられた光は受光部52bにより受けられるようになっている。そして、循環ベルト42が図2における反時計回りの方向に循環移動することにより、この循環ベルト42に設けられた突起部44が発光部52aと受光部52bとの間の位置に到達したときに、発光部52aから発せられた光は突起部44により遮られて受光部52bに届かないようになる。このことにより、突起部検出センサ52は、循環ベルト42に突起部44が設けられていること、言い換えると、循環ベルト42から突起部44が欠落していないことを検出する。
また、本実施の形態の貨幣入出金機1では、当該貨幣入出金機1の各構成要素の制御を行う制御部70が設けられている。図4に、本実施の形態の貨幣入出金機1の機能ブロック図を示す。図4に示すように、制御部70には、硬貨処理ユニット10の繰出手段22、送り込み手段26、搬送部40、突起部検出センサ52、識別部50、振り分け手段60、回転板位相検出センサ48等が接続されている。ここで、識別部50による硬貨の識別情報は制御部70に送られるようになっている。また、突起部検出センサ52や回転板位相検出センサ48による検出情報も制御部70に送られるようになっている。また、制御部70は、硬貨処理ユニット10の繰出手段22、送り込み手段26、搬送部40、振り分け手段60等に指令信号を送り、これらの構成要素の制御を行うようになっている。
また、図4に示すように、硬貨処理ユニット10には、各収納部68に収納された硬貨をこれらの収納部68から繰り出して、機体の外部から取り出し可能な位置に搬送する出金手段84が設けられており、この出金手段84も制御部70に接続されている。そして、制御部70は、各収納部68に収納された硬貨を機体外に出金するよう出金手段84を制御するようになっている。
なお、図4に示す制御部70は、紙幣処理ユニット12の各構成要素の制御も行うようになっているが、ここでは説明を省略する。
また、図4に示すように、制御部70には記憶部72、操作表示部74、印字部78、インターフェース80等が接続されている。記憶部72には、貨幣入出金機1の硬貨処理ユニット10や紙幣処理ユニット12による貨幣の処理状況や、硬貨処理ユニット10や紙幣処理ユニット12に収納された硬貨や紙幣の在高等が記憶されるようになっている。
また、本実施の形態では、記憶部72には、突起部検出センサ52による各突起部44の検出情報も記憶されるようになっている。
操作表示部74は、前述したように例えばタッチパネル等からなり、図1に示すように、この操作表示部74は硬貨処理ユニット10および紙幣処理ユニット12の上方において、貨幣入出金機1の筐体の前面に設けられている。操作者は操作表示部74により様々な指令を貨幣入出金機1の制御部70に入力することができるようになっている。また、操作表示部74には、貨幣入出金機1の硬貨処理ユニット10や紙幣処理ユニット12による貨幣の処理状況や、硬貨処理ユニット10や紙幣処理ユニット12に収納された硬貨や紙幣の在高等が表示されるようになっている。
印字部78は例えばプリンタ等からなり、貨幣入出金機1の硬貨処理ユニット10や紙幣処理ユニット12による貨幣の処理状況や、硬貨処理ユニット10や紙幣処理ユニット12に収納された硬貨や紙幣の在高等を印字するようになっている。また、インターフェース80により、制御部70は上位装置等の外部装置82との間で信号の送受信を行うようになっている。
次に、このような構成からなる本実施の形態の貨幣入出金機1、とりわけ硬貨処理ユニット10の動作について説明する。以下に説明する硬貨処理ユニット10の動作は、制御部70が硬貨処理ユニット10の各構成要素を制御することにより行われる。
まず、操作者が硬貨投入口11により1または複数の硬貨を機体内に投入すると、投入された硬貨は硬貨処理ユニット10の貯留部20に貯留される。この際に、貯留部20の下方に配置される回転盤24上に硬貨が集積されるようになる。また、このときに、回転盤24は軸24aを中心として図2における反時計回りの方向に常に回転している。
回転盤24上にある硬貨は、当該回転盤24の回転による遠心力によって回転盤24の外周縁領域24cに向かって移動し、回転盤24の外周縁領域24cに移動した硬貨は案内部材32、33間の領域を通って1枚ずつ繰り出される。そして、繰出検出センサ38が硬貨の通過(到達)を検出すると、送り込み手段26の送り込みカム28は、回転盤24から繰り出された硬貨を受け取って搬送部40の循環ベルト42に送り込む。このような動作について図5乃至図8を用いて詳述する。
図5は、送り込み手段26の送り込みカム28により搬送部40に硬貨が送り込まれる前に当該硬貨が待機しているときの状態を示す図である。より詳細に説明すると、繰出検出センサ38が硬貨の通過(到達)を検出すると共に搬送部40における循環ベルト42に設けられたピン等の突起部44が所定の位置に到達するまでは、送り込み手段26の送り込みカム28は停止した状態となり、繰出手段22の回転盤24から繰り出された硬貨C1、C2、C3は図5に示す位置で待機するようになる。この際に、先頭にある硬貨C1は規制手段34の可動部材35に当接し、この可動部材35によって搬送部40への硬貨C1の送り込みが規制される。
そして、搬送部40における循環ベルト42に設けられた突起部44が所定の位置に到達すると、図6に示すように、送り込みカム28が軸28aを中心として時計回りの方向に回転する。このことにより、送り込みカム28に設けられた突起部30により先頭にある硬貨C1が搬送部40の循環ベルト42に向かって後方から押される。この際に、送り込みカム28は、規制手段34の可動部材35による規制に抗して硬貨C1を搬送部40の循環ベルト42へ送り込むようになる。すなわち、送り込みカム28の突起部30により押された硬貨C1は、可動部材35に設けられたバネ等の付勢機構36aによる力に抗して、可動部材35を押しながら搬送部40の循環ベルト42に向かって移動する。このことにより、図7に示すように、可動部材35は、硬貨を停止させる停止位置(図5および図6参照)から、搬送部40への硬貨の送り込みを許容する許容位置(図7参照)に移動する。そして、図7に示すように硬貨が搬送部40の循環ベルト42に受け渡されると、規制手段34の可動部材35は付勢機構36aによってすぐに停止位置に戻る(図8参照)。このことにより、図8に示すように、規制手段34の可動部材35は、次の硬貨C2が搬送部40の循環ベルト42へ送り込まれることを規制するようになる。また、硬貨C1が搬送部40の循環ベルト42に送り込まれると、送り込み手段26の送り込みカム28は再び停止し、次の硬貨C2を待機させる。また、図8に示すように、回転盤24から搬送部40の循環ベルト42に送り込まれた硬貨C1は、循環ベルト42に設けられた突起部44により押されながら、搬送部40の搬送路に沿って移動するようになる。
もし規制手段34が設けられていない場合には、以下に示すような問題が生じるおそれがある。図9は、規制手段34が設けられていない場合における、繰出手段22の回転盤24から搬送部40への硬貨の繰出動作を示す図である。図9に示すように、規制手段34が設けられていない場合には、送り込み手段26の送り込みカム28が停止状態から回転し始めたときに、先頭にある硬貨C1は、この送り込みカム28に設けられた突起部30bにより後方から押される前に、後続する次の硬貨C2により後方から押されることにより搬送部40の循環ベルト42に向かって移動する。すなわち、先頭にある硬貨C1は、この硬貨C1の前方にある送り込みカム28の突起部30aに接触しながら、次の硬貨C2により後方から押されるようになる。このため、先頭にある硬貨C1が送り込み手段26の送り込みカム28によって搬送部40の循環ベルト42に送り込まれるときに、図9に示すように、次の硬貨C2が先頭にある硬貨C1と接触しながら循環ベルト42に向かって移動するため、送り込みカム28の突起部30bと案内部材32の間の隙間に次の硬貨C2が噛み込んでしまう場合がある。この場合には、送り込みカム28をこれ以上回転駆動させることができなくなって機械エラーが発生してしまう。これに対し、図5乃至図8に示すように規制手段34を設けた場合には、送り込み手段26の送り込みカム28が停止状態から回転し始めても、先頭にある硬貨C1は規制手段34の可動部材35によって搬送部40の循環ベルト42への送り込みが規制される(図5参照)。そして、この先頭にある硬貨C1は、送り込みカム28の突起部30により後方から押されることによってはじめて、規制手段34の規制に抗して搬送部40の循環ベルト42へ送り込まれる。このため、送り込みカム28の突起部30と案内部材32の間の隙間に次の硬貨C2が噛み込んでしまうことはない。
前述したように、案内部材32、33の近傍には押し付け部39が設けられている。このことにより、例えば図5に示すような状態のときには、先頭にある硬貨C1に後続する、次の硬貨C2の上には押し付け部39のピンチボール39aが乗せられ、この硬貨C2はバネ部材39bの付勢力により下方に押圧されるようになる(図10参照)。具体的には、回転盤24とピンチボール39aとの間にある硬貨C2は、バネ部材39bの付勢力により例えば100g程度の力で回転盤24に向かって押圧されるようになる。このことにより、回転盤24における外周縁領域24cの表面に設けられたゴム部材と硬貨C2との間に働く摩擦力が大きくなり、ピンチボール39aによって下方に押圧された硬貨C2に対する回転盤24の繰り出し力が大きくなる。このため、先頭にある硬貨C1が送り込み手段26の送り込みカム28により搬送部40に送り込まれたときに、次の硬貨C2は先頭にある硬貨C1に引き続いて規制手段34の可動部材35に向かって移動するようになる。このようにして、押し付け部39によって次の硬貨C2を回転盤24のゴム部材に押し付けてグリップさせることにより、次の硬貨C2を停滞させずに確実に規制手段34の可動部材35の位置まで送ることができ、繰出手段22の回転盤24から搬送部40への硬貨の繰り出し効率を高めることができる。
送り込み手段26によって搬送部40に送り込まれ、当該搬送部40により搬送される硬貨は、識別部50により金種、真偽、正損等の識別が行われる。識別部50により識別された硬貨は、当該識別部50による識別結果に基づいて、各振り分け手段60により金種毎に振り分けられるようになる。各振り分け手段60により振り分けられた硬貨は各収納部68に金種毎に収納される。
このような動作についてより詳細に説明すると、識別部50により識別が行われた硬貨は、搬送部40の循環ベルト42により引き続き搬送されるが、この硬貨の金種に対応する振り分け手段60(例えば、振り分け手段60a)の硬貨検出センサ64aにより当該硬貨が検出されると、振り分け板62aが駆動され、この振り分け板62aは搬送部40の搬送面45の開口から上方に開く。このことにより、この硬貨は搬送面45の開口に入り、自重により下方に落下することによって、振り分け手段60aに対応する収納部68に送られるようになる。
ここで、硬貨検出センサ64aの受光部64rの検出感度は、繰出検出センサ38の受光部38rの検出感度と比較して甘く(検出し易く)なっているので、繰出検出センサ38によって硬貨として検出された場合に、当該検出対象が硬貨検出センサ64aにおいて硬貨として検出されない、という不具合が回避される。すなわち、繰出検出センサ38によって硬貨として検出された場合に、当該検出対象は必ず硬貨検出センサ64aにおいても硬貨として検出されることが保証される。
このことは、例えば半透明の異物が硬貨処理ユニット10内に混入した場合において効果を発揮する。
例えば玩具の硬貨の中には、半透明の樹脂性であるもの(透明貨)があり、そのような異物が硬貨処理ユニット10内に混入した場合、光学的なセンサである繰出検出センサ38及び硬貨検出センサ64aは、誤検出を生じさせる可能性が高まる。例えば、半透明の異物の通過(ないし到達)でも確実に遮光状態と判別するべく、「硬貨の通過(ないし到達)」を検出する受光量のしきい値(その受光量に達しない場合に「硬貨の到達(ないし到達)」を識別する)を高めに設定しておくと、埃等によって僅かな遮光状態が生じた場合でも「硬貨の通過(ないし到達)」と誤検出してしまう可能性が高まる。一方、「硬貨の通過(ないし到達)」を検出する受光量のしきい値(その受光量に達しない場合に「硬貨の到達(ないし到達)」を識別する)を低めに設定していては、半透明の異物が介在した状態で遮光状態と判別することができない。また、入金時に検出されることなくいずれかの収納部に混入した透明貨が、出金時に払い出されるというトラブルも起こり得る。
しかしながら、本実施の形態によれば、硬貨検出センサ64aの受光部64rの検出感度が繰出検出センサ38の受光部38rの検出感度と比較して甘く(検出し易く)なっているので、繰出検出センサ38によって硬貨として検出されて搬送部40へ送り込まれた場合に、当該検出対象は必ず硬貨検出センサ64aにおいても硬貨として検出され、例えばそれが異物であったとしても(識別部50で異物と判定されたり、何も識別されない場合)、リジェクト硬貨として適切に振り分け処理される。従って、硬貨処理ユニット10において「違算」が生じることが、適切に防止される。
なお、繰出検出センサ38による検出位置を半透明の異物が通過しようとしても、図5を参照しながら前述した通り、繰出検出センサ38が硬貨の通過を検出しない限り、送り込み手段26の送り込みカム28は停止した状態を維持する。すなわち、硬貨の送り込みは行われない。従って、繰出検出センサ38によって硬貨とは判別されない半透明の異物が繰出検出センサ38による検出位置を塞いでいないか否か、タイマーを用いてチェックされることが好ましく、更に、繰出検出センサ38によって硬貨とは判別されない半透明の異物が繰出検出センサ38による検出位置を塞いでいる場合には、送り込み手段26の送り込みカム28が逆転駆動されるようになっていることが好ましい。あるいは、所定の時間に亘って硬貨の繰り出しがなされない場合には、繰出検出センサ38によって硬貨とは判別されない半透明の異物が繰出検出センサ38による検出位置を塞いでいると判断して、自動的に送り込み手段26の送り込みカム28が逆転駆動されるようになっていてもよい。
また、前述したように、硬貨の搬送方向において硬貨検出センサ64aよりもわずかに上流側に押し付け部66aが配置されている。このことにより、循環ベルト42に設けられた突起部44により押されて搬送される硬貨がピンチボール66pの下方の位置に到達したときには、この硬貨によりピンチボール66pが上方に押し上げられ、当該硬貨は搬送面45とピンチボール66pの間の領域を通過するようになる。この際に、この硬貨はバネ部材66qの付勢力により下方に押圧されるようになる。
もしこのような押し付け部66aが設けられていない場合には、搬送部40の搬送面45上で硬貨が循環ベルト42の突起部44により後方から押されることなく、この突起部44から先行してしまったときに、この硬貨は本来よりも早く硬貨検出センサ64aにより検出されてしまい、振り分け板62aが搬送部40の搬送面45の開口から上方に開くタイミングも早くなってしまう。このため、この硬貨の一つ前にある別の硬貨が誤って搬送面45の開口に入ってしまい、振り分けミスが生じるおそれがある。これに対し、押し付け部66aを設けた場合には、図12(a)に示すように、搬送部40の搬送面45上で硬貨Cが循環ベルト42の突起部44により後方から押されることなく、この突起部44から先行してしまった場合でも、図12(b)に示すように、この硬貨Cが押し付け部66aのピンチボール66pに当接したときに、このピンチボール66pにより硬貨Cが停止させられる。そして、図12(c)に示すように、循環ベルト42の突起部44が硬貨Cに追いついてこの硬貨Cが突起部44により図12における右方向に押されると、当該硬貨Cによりピンチボール66pが上方に押し上げられ、この硬貨Cは搬送面45とピンチボール66pの間の領域を通過するようになる。このため、振り分け手段60aの硬貨検出センサ64aにより硬貨が検出されるときには、この硬貨は循環ベルト42の突起部44により押された状態となり、この突起部44から先行することはない。このようにして、振り分け手段60aによる振り分けミスを防止することができる。
また、本実施の形態の硬貨処理ユニット10では、突起部検出センサ52により、搬送部40の循環ベルト42に設けられた各突起部44の有無が検出され、制御部70は、突起部検出センサ52による各突起部44の検出情報に基づいて、送り込み手段26による硬貨の送り込み動作を制御するようになっている。このことについて以下に詳述する。
前述したように、搬送部40の循環ベルト42が図2における反時計回りの方向に循環移動しているときに、この循環ベルト42に設けられた各突起部44の有無が図3に示すような突起部検出センサ52により検出されるようになっている。すなわち、突起部検出センサ52は発光部52aおよび受光部52bを有しており、発光部52aから発せられた光は受光部52bにより受けられるようになっているが、循環ベルト42に設けられた突起部44が発光部52aと受光部52bとの間の位置に到達したときに、発光部52aから発せられた光は突起部44により遮られて受光部52bに届かないようになる。このことにより、突起部検出センサ52は、循環ベルト42に突起部44が設けられていること、言い換えると、循環ベルト42から突起部44が欠落していないことを検出する。
このような循環ベルト42における各突起部44の有無の検出動作は、硬貨処理ユニット10により硬貨の処理を行う前に行われてもいいし、あるいは硬貨処理ユニット10により硬貨の処理を行う最中に行われてもいい。硬貨処理ユニット10により硬貨の処理を行う前に循環ベルト42における各突起部44の有無の検出動作を行う場合には、硬貨の処理を実際に行うときよりも移動速度を小さくしながら循環ベルト42を図2における反時計回りの方向に循環移動させ、この循環ベルト42が1周する間に、突起部検出センサ52によって各突起部44の有無を検出する。突起部検出センサ52による各突起部44の検出情報は記憶部72に記憶される。そして、制御部70は、記憶部72に記憶された各突起部44の検出情報に基づいて、送り込み手段26の送り込みカム28による硬貨の送り込み動作を制御する。ここで、硬貨処理ユニット10により硬貨の処理を行う前に循環ベルト42における各突起部44の有無の検出動作を行う場合には、循環ベルト42の移動速度を遅くすることができるため、突起部検出センサ52が比較的低性能であっても各突起部44の有無を確実に検出することができるようになる。
一方、硬貨処理ユニット10により硬貨の処理を行う最中に循環ベルト42における各突起部44の有無の検出動作を行う場合には、突起部検出センサ52により各突起部44の有無を経時的に(言い換えると、リアルタイムで)検出し、制御部70は、経時的に検出された各突起部44の検出情報に基づいて、送り込み手段26の送り込みカム28による硬貨の送り込み動作を制御する。なお、この場合でも、突起部検出センサ52による各突起部44の検出情報は記憶部72に記憶されるようになっていてもよい。
制御部70による硬貨の送り込み動作の制御方法について、図13を用いて説明する。
図13は、図2に示す硬貨処理ユニット10における、突起部検出センサ52および回転板位相検出センサ48による検出状況および送り込みカム28の動作の状況を示すタイムチャートである。図13に示すように、突起部検出センサ52により循環ベルト42の突起部44が検出された場合には、制御部70は、所定の時間(図13において参照符号Aで示される時間)が経過した後に、送り込み手段26の送り込みカム28を停止状態から作動させ、軸28aを中心として図5等における反時計回りの方向に回転させる。このことにより、送り込みカム28による搬送部40の循環ベルト42への硬貨の送り込み動作が行われる。一方、循環ベルト42から突起部44が抜け落ちてしまい、本来あるべき突起部44が突起部検出センサ52により検出されなかった場合には、制御部70は、送り込み手段26の送り込みカム28を停止状態のまま維持し、搬送部40への硬貨の送り込み動作を行わない。もし循環ベルト42における突起部44が抜け落ちてしまった箇所にも硬貨が送り込まれると、この抜け落ちた箇所を挟むような2つの突起部44の間で2枚の硬貨が連鎖してしまい、循環ベルト42により搬送される硬貨を振り分け手段60により適切に振り分けることができなくなってしまうからである。このように、突起部検出センサ52によって循環ベルト42の突起部44を直接検出することにより、突起部44が循環ベルト42から抜け落ちてしまった場合には、突起部検出センサ52により検出された突起部44の欠落情報をすぐに送り込み手段26の送り込みカム28の動作に反映させることができるようになる。
また、図2に示すような硬貨処理ユニット10では、循環ベルト42を張架するプーリ46の回転軸に取り付けられた回転板(図示せず)の回転位相が回転板位相検出センサ48(図4参照)により検出されるが、図13に示すように、循環ベルト42から突起部44が抜け落ちてしまった場合でも、回転板位相検出センサ48による検出情報には変化がない。このため、回転板位相検出センサ48により回転板の回転位相を検出するだけでは、循環ベルト42から突起部44が抜け落ちてしまった場合に硬貨処理ユニット10において自動的に対応することができず、機械エラーが発生してしまうため、硬貨処理ユニット10全体を止める必要がある。
また、本実施の形態の貨幣入出金機1では、制御部70は、突起部検出センサ52により1または複数の突起部44の欠落が検出されたときに、この情報を出力する出力部としても機能するようになっている。制御部70により出力された情報は、操作表示部74に表示されたり、印字部78により印字されたり、あるいはインターフェース80を介して外部装置82に送信されたりする。制御部70により出力された情報を操作表示部74に表示する場合には、実行中の入金処理に関する情報を操作表示部74に表示しつつ、突起部44が欠落している旨を示す情報を操作表示部74の画面の一部分に表示することにより、両方の情報を操作者に知らせることができる。また、制御部70により出力された情報をインターフェース80を介して外部装置82に送信する場合には、この外部装置82は、貨幣入出金機1が設置される施設内の管理者が操作する端末装置であったり、あるいは当該施設以外の保守センター等に設置される端末装置であったりしてもよい。
以上のように本実施の形態の硬貨処理ユニット10および硬貨処理方法によれば、繰出手段22(具体的には、回転盤24)により繰り出された硬貨が搬送部40へ送られる動作を規制する規制手段34(具体的には、可動部材35)と、繰出手段22によって繰り出された硬貨を受け取って搬送部40へ送り込む送り込み手段26(具体的には、送り込みカム28)とが設けられており、送り込み手段26は、規制手段34による規制に抗して硬貨を搬送部40へ送り込むようになっている。このことにより、送り込み手段26の送り込みカム28が図5に示すような停止状態から回転し始めても、先頭にある硬貨C1は規制手段34の可動部材35によって搬送部40の循環ベルト42への送り込みが規制される。そして、この先頭にある硬貨C1は、図6に示すように、送り込みカム28の突起部30により後方から押されることによってはじめて、規制手段34の規制に抗して搬送部40の循環ベルト42へ送り込まれる。このため、次の硬貨C2が送り込みカム28の突起部30と案内部材32の間の隙間に噛み込んでしまうことはない。このように、貯留部20から搬送部40への硬貨の繰り出しを行う際に、送り込み手段26の送り込みカム28と案内部材32との間で硬貨の噛み込み等のトラブルが発生することを防止することができるため、硬貨の繰出速度を大きくすることができる。
また、本実施の形態の硬貨処理ユニット10においては、規制手段34の可動部材35は、硬貨を停止させる停止位置(図5および図6参照)と、送り込み手段26による搬送部40への硬貨の送り込みを許容する許容位置(図7参照)との間で移動自在となっており、送り込み手段26により搬送部40へ硬貨が送り込まれる際に、可動部材35は硬貨に押されて停止位置から許容位置に移動するようになっている。また、可動部材35には、当該可動部材35に力が作用していないときに停止位置に位置させるよう可動部材35を付勢する、ねじりバネ等の付勢機構36aが設けられている。
また、本実施の形態の硬貨処理ユニット10においては、繰出手段22の回転盤24の外周縁近傍にある硬貨を当該回転盤24に向かって下方に押し付ける押し付け部39が送り込み手段26の送り込みカム28の近傍に設けられている。この場合には、押し付け部39によって次の硬貨C2を回転盤24における外周縁領域24cの表面にあるゴム部材に押し付けてグリップさせることにより、次の硬貨C2を停滞させずに確実に規制手段34の可動部材35の位置まで送ることができ、繰出手段22の回転盤24から搬送部40への硬貨の繰り出し効率を高めることができる。
また、本実施の形態の硬貨処理ユニット10および硬貨処理方法によれば、搬送部40の循環ベルト42(移動部材)に設けられたピン等の各突起部44の有無を検出する突起部検出センサ52が設けられており、制御部70は、突起部検出センサ52による各突起部44の検出情報に基づいて、送り込み手段26の送り込みカム28による硬貨の送り込み動作を制御するようになっている。このことにより、循環ベルト42から突起部44が抜け落ちてしまい、本来あるべき突起部44が突起部検出センサ52により検出されなかった場合には、制御部70は、送り込み手段26の送り込みカム28を停止状態のまま維持し、搬送部40への硬貨の送り込み動作を行わないようになる。このように、循環ベルト42から突起部44が抜け落ちてしまった場合でも、循環ベルト42における突起部44が欠落した箇所には送り込み手段26により硬貨を送り込まないようにすることによって硬貨の処理を続行することができるようになる。このため、搬送部40における硬貨の搬送速度を大きくすることができる。とりわけ、突起部検出センサ52によって循環ベルト42の突起部44を直接検出することにより、突起部44が循環ベルト42から抜け落ちてしまった場合には、突起部検出センサ52により検出された突起部44の欠落情報をすぐに送り込み手段26の送り込みカム28の動作に反映させることができるようになる。
本実施の形態の硬貨処理ユニット10においては、突起部検出センサ52による各突起部44の検出情報を記憶する記憶部72が設けられており、制御部70は、記憶部72に記憶された各突起部44の検出情報に基づいて、送り込み手段26による硬貨の送り込み動作を制御するようになっていてもよい。
また、本実施の形態の硬貨処理ユニット10においては、硬貨処理ユニット10により硬貨の処理を行う前に、搬送部40の循環ベルト42を移動させることによって突起部検出センサ52により各突起部44の有無を前もって検出するようになっていてもよい。この場合には、突起部検出センサ52により各突起部44の有無を前もって検出する際に、硬貨処理ユニット10により実際に硬貨の処理を行うときよりも循環ベルト42の移動速度を小さくしてもよい。
あるいは、本実施の形態の硬貨処理ユニット10においては、硬貨処理ユニット10により硬貨の処理を行う際に、突起部検出センサ52により各突起部44の有無を経時的に(言い換えると、リアルタイムで)検出し、制御部70は、経時的に検出された各突起部44の検出情報に基づいて、送り込み手段26による硬貨の送り込み動作を制御するようになっていてもよい。
また、本実施の形態の硬貨処理ユニット10においては、制御部70は、突起部検出センサ52により1または複数の突起部44の欠落が検出されたときにこの情報を出力する出力部として機能するようになっている。
なお、本実施の形態における硬貨処理ユニット10や硬貨処理方法は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。
例えば、回転盤24等の繰出手段22により繰り出された硬貨が搬送部40へ送られる動作を規制するための規制手段は、図2等に示すような可動部材35が軸36により枢支されるような構成のものに限定されることはない。規制手段として、繰出手段22の回転盤24により繰り出された硬貨を止めたり、繰り出された硬貨の動きの抵抗になったりする作用を奏することができるものであれば、図示されるもの以外の他の構成のものを用いることができる。例えば、規制手段として、案内部材32、33の間の通路の上面に逆転ローラを配置し、このような逆転ローラにより、回転盤24等の繰出手段22により繰り出された硬貨が搬送部40へ送られる動作を規制するようにしてもよい。
また、規制手段34による規制に抗して硬貨を搬送部40へ送り込む送り込み手段は、図2等に示すような3つの突起部30が設けられた送り込みカム28の構成に限定されることはない。送り込み手段として、繰出手段22によって繰り出された硬貨を受け取って、この受け取った硬貨を規制手段34による規制に抗して搬送部40へ送り込むことができるものであれば、図示されるもの以外の他の構成のものを用いることができる。例えば、搬送面の上方に送り込みローラを配置し、間欠的に当該送り込みローラを駆動させるようにしてもよい。
また、搬送部40の循環ベルト42に設けられる各突起部44は、当該循環ベルト42に取り付けられたピンに限定されることはない。他の例として、各突起部44が循環ベルト42と一体的に成形されていたり、あるいは循環ベルト42に板状部材としての突起部44が貼り付けられたりするようになっていてもよい。
また、上述した態様では、プーリ46の回転軸に回転板(図示せず)が設けられており、この回転板の位相が回転板位相検出センサ48により検出されるような例について説明したが、このような回転板や回転板位相検出センサ48の設置を省略してもよい。
また、繰出手段22として、回転盤24以外の構成のもの(例えば、繰出ベルト等)を用いてもよい。また、循環ベルト42の突起部44として、当該循環ベルト42にピンが立設されたような構成のものを用いてもよい。あるいは、突起部44が循環ベルト42と一体成形されていてもよい。更に他の例としては、循環ベルト42の突起部44として、循環ベルト42に個別の突起部材が取り付けられていてもよい。また、搬送部40において移動部材として循環ベルト42を用いる代わりに、チェーン等の、複数の部材を連結したものを移動部材として用いてもよい。
また、押し付け部39として、ピンチボール39aおよびバネ部材39bを含む構成以外のものを用いてもよい。例えば、押し付け部39として、弾性部材で構成された突起を通路の天井面に設けたものを用いてもよい。また、押し付け部66a、66bとして、ピンチボール66pおよびバネ部材66qを含む構成以外のものを用いてもよい。例えば、押し付け部66a、66bとして、弾性部材で構成された突起を通路の天井面に設けたものを用いてもよい。
また、本実施の形態の硬貨処理ユニット10においては、硬貨検出センサ64aの受光部64rの検出感度が繰出検出センサ38の受光部38rの検出感度と比較して高く(検出し易く)なっていたが、受光部64rと受光部38rの性能には差異を設けず、発光部64eと発光部38eの発光量を変えることで、硬貨検出センサ64aの検出感度を繰出検出センサ38の検出感度より高くしておいてもよい。
また、硬貨検出センサ64a及び繰出検出センサ38としては、所定の感度差を実現するものを予め選択して用いてもよいが、いずれか一方または両方に、感度調整可能なセンサを用いることが好ましい。その場合、実際の利用状況に合わせて、各センサの感度を適宜に調整可能となる。
硬貨検出センサ64aと繰出検出センサ38とに所定の感度差を設ける発明は、送り込みカム28を有しない構成においても有効である。例えば、図16に示すように、回転盤24の代わりに繰出ベルト91、送り込みカム28の代わりにソレノイド駆動される停止ピン92、及び、ピン付きの循環ベルト42の代わりに通常のベルト93、を備えた構成においても有効である。図16において、94は逆転ローラである。繰り出された硬貨が繰出検出センサ38に検出され、所定の条件が成立すると、停止ピン92が退避させられて硬貨が搬送部へ送り出される。識別部50によって識別され、対応する硬貨検出センサ64aに検出されると振り分けられる。尚、硬貨検出センサ64aによって検出されない透明貨は、繰出検出センサ38にも検出されないので、停止ピン62が退避せず、搬送部へ送り込まれることは無い。尚、この構成において、「規制手段」は設けられていない。
その他、硬貨の集積部である回転盤24上の領域に、残留物検知センサが設けられることが好ましい。例えば、所定時間に亘って硬貨の繰り出しが行われない状況下で、残留物検知センサが残留物の存在を検知するならば、硬貨として識別されない異物だけが回転盤24上の領域に存在することを意味する。その場合には、異常報知がなされることが好ましい。残留物検知センサとしては、例えば、硬貨の通過経路に対してその側方面から(径方向から)光を照射するタイプの遮光センサが用いられ得る。そのようなタイプの遮光センサは、完全に透明な玩具の硬貨であっても、その存在を判別することができる。
また、以上の説明は貨幣入出金機1についてなされているが、本実施の形態の硬貨処理ユニット10は、図17に示すような硬貨釣銭機にも適用可能である。図17において、符号16は、硬貨払出口を示している。