JP6147283B2 - 浄水カートリッジ及び浄水器 - Google Patents
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Description
図1は、本実施形態に係る浄水カートリッジ1の正面図である。図2は、本実施形態に係る浄水カートリッジ1の断面図である。
浄水カートリッジ1は円筒状である。浄水カートリッジ1は、中芯2と、活性炭成形体3と、不織布4と、封止キャップ5,6と、を備える。
中芯2としては、任意の材料を使用可能であるが、ユーザーが浄水カートリッジ1を実際に使用する際に変形しないことが求められる。このような要求を満たす中芯2の材料としては、多孔質セラミック、多孔質金属フィルタ、硬質不織布等が挙げられる。
活性炭成形体3は、粒子状活性炭を含む。活性炭成形体3は、更にフィブリル繊維やイオン交換性材料を含んでも良い。活性炭成形体を構成する材料は、粒子状あるいは繊維状のみに限定されるものではなく、粒子状材料と繊維状材料が混在していてもよい。活性炭成形体3には、外側から内側に水が通過するのを許容する細孔が形成される。活性炭成形体3の細孔モード径は、15〜30μmである。活性炭成形体3の細孔モード径が、15μm未満の場合には細孔に粒子が詰まりやすいことから浄水カートリッジ1の耐久性が低下する。一方、活性炭成形体3の細孔モード径が、30μmを超える場合には、水道水中の粒子が細孔を通過してしまうことから浄水カートリッジ1の浄化効率が低下する。
ここで、活性炭成形体3に形成される「細孔」とは、活性炭等の材料の粒子間に形成される間隙を指し、活性炭等の材料の粒子内に存在するナノメートルオーダーの細孔ではない。
封止キャップ6は、活性炭成形体3の他端側を覆う。封止キャップ6には、流路20を流通した水が排出される排出口60が形成される。
本実施形態に係る浄水カートリッジ1の製造方法は、混合工程と、吸引成形工程と、乾燥工程と、表面研磨工程と、不織布巻き付け工程と、封止工程と、を備える。
吸引成形工程においては、活性炭成形体3を成形する。図3は、本実施形態に係る浄水カートリッジ1の製造方法における吸引成形工程ついて示す図である。
図4に示した方法では、活性炭成形体3をホルダ81で挟んで中芯2の流路20を中心にして回転させながら、円柱状の砥石82を活性炭成形体3の外周面に接触させつつ回転させる。更に、砥石82を回転させつつ、活性炭成形体3の軸方向に移動させる。これにより、活性炭成形体3の外周面を万遍なく均一に研磨できる。砥石82の粒子の大きさや活性炭成形体3及び砥石82の回転数を適宜設定することによって、活性炭成形体3の外周面の、JIS B0601で規定される算術平均高さPaを調整できる。
封止工程においては、不織布4を巻き付けた活性炭成形体3の一端側に封止キャップ5を、他端側に封止キャップ6を、それぞれ装着する。
上記実施形態では、活性炭成形体3の外周面上に不織布4の配置される浄水カートリッジ1において、活性炭成形体3の外周面の表面粗さを、JIS B0601で規定される算術平均高さPaで15〜100μmとした。
ここで、図5は、浄水カートリッジ1の断面を模式的に示す図である。図5に示すように、不織布4には、水が通過可能な細孔40が形成される。活性炭成形体3の表面は、従来と比べて平滑化されておらず、適度な表面粗さ(算術平均高さPaが15〜100μm)に調整されていることから、活性炭成形体3と不織布4とは、完全には密着せず、若干の隙間を形成する。従って、活性炭成形体3と不織布4との間に隙間が形成されることから、水道水中の粒子10は、水の流れ方向に移動するだけでなく、細孔40を通過した後に不織布4の面方向にも移動して拡散される。このように、浄水カートリッジ1では、活性炭成形体3のろ過面積を広くできることから、粒子10が細孔40の周辺に堆積せずに十分に拡散されるので、目詰まりの発生が抑制される。
例えば、活性炭成形体の細孔モード径を成形体外周面側から内側になるに従って変化させてもよい。また、活性炭成形体を、細孔モード径の異なる2種以上の円筒成形体を組み合わせて構成してもよい。2種以上の円筒成形体を組み合わせる場合には、一の活性炭成形体の内径を、その内側に配置される活性炭成形体の外形よりも大きくし、これらを同心円となるように嵌め合わせて多重円筒とすればよい。
浄水カートリッジは、上記実施形態において説明した方法により製造した(図3及び図4参照)。
まず、水に、粒子径の異なる2種類の粒子状活性炭(クラレケミカル株式会社製の「PGW100MD」及び「PGW20MD」)、非晶質チタノシリケート(BASF社製の「ATS」)及びフィブリル繊維(日本エクスシラン工業株式会社製の「Bi−PUL」)を所定の質量比で混合することで、活性炭スラリー74を得た。活性炭スラリー74は、容器73に投入した。この活性炭スラリー74中に、吸引ポンプ72にホース71を介して接続された、中芯2を投入し、吸引ポンプ72を起動して活性炭スラリー74の吸引を開始した。その結果、湿潤活性炭成形体を得た。そして、得られた湿潤活性炭成形体を120℃に設定した乾燥機に入れて十分乾燥させ、円筒形状の活性炭成形体を得た。なお、中芯2は、SiO2を主成分とした多孔質セラミックによって作製されたものである。
更に、円筒形状の活性炭成形体の一端側及び他端側に封止キャップを装着させ、他端側にもう中心部分が開口した円形状のキャップを装着させることで、浄水カートリッジを得た。
活性炭成形体を作製する際に、活性炭スラリーの成分である粒子状活性炭等の混合比を調整し、活性炭成形体の細孔モード径が表1に示された値となるようにした。また、活性炭成形体の外周面の表面粗さ(JIS B0601で規定される算術平均高さPa)及び不織布の通気抵抗(通気断面積が15cm2で通気流量が10L/分のときの圧力損失)も、表1に示した値となるように調整した。それ以外の工程、条件等については、実施例1と同様の方法にて各浄水カートリッジを得た。
なお、比較例2については、活性炭成形体の外径のばらつきが大きく、不織布をうまく巻き付けることができなかった。
実施例及び比較例の各浄水カートリッジをLIXIL株式会社製の浄水器内蔵水栓「JF−AB461SYX(JW)」に装着し、JIS S3201に基いて目詰まり寿命を評価した。具体的には、JIS S3201で規定されたカオリンを濁り成分(粒子状物質)とした濁度2度の水を、2.5L/分の初期ろ過流量で各浄水カートリッジによって濾過し、濾過流量が初期ろ過流量の1/2に低下するまでの総ろ過水量を目詰まり寿命の指標とした。評価結果を表1に示す。なお、総ろ過水量が1200L以上の浄水カートリッジであれば、一般家庭での使用にも十分耐えることができるだけの、十分に長い目詰まり寿命を有するものと評価できる。比較例5の浄水カートリッジは、浄水カートリッジの基本的な性能である後述の濁り除去性能が大幅に低かったことから、目詰まりを起こす可能性は低いと判断し、目詰まり寿命の評価を行わなかった。
実施例及び比較例の各浄水カートリッジをLIXIL株式会社製の浄水器内蔵水栓「JF−AB461SYX(JW)」に装着し、JIS S3201に基いて濁り除去性能(粒子状物質除去性能)を評価した。なお、濁り除去性能の評価では、JIS S3201で規定されたカオリンを濁り成分(粒子状物質)とした濁度2度の水を試験原水とした。評価では、通水開始後に10分間連続通水した後のろ過水の濁度を測定し、濁度除去率を求めた。評価結果を表1に示す。なお、濁度除去率が80%以上であれば、一般家庭での使用にも十分耐えることができる。
3…活性炭成形体
4…不織布
Claims (2)
- 円筒状の活性炭成形体と、
前記活性炭成形体の外周面上に配置される不織布と、を備え、
前記不織布は、通気断面積が15cm2で通気流量が10L/分のときの圧力損失が10mmH2O以下であり、
前記活性炭成形体の材料の粒子間に形成される間隙である細孔のモード径は、15〜30μmであり、
前記活性炭成形体の外周面の表面粗さは、JIS B0601で規定される算術平均高さPaで50〜100μmであり、
前記活性炭成形体の外周と前記不織布との間に前記活性炭成形体の外周面の表面粗さによって形成された隙間を有し、
前記隙間において、水道水中の粒子は、水の流れ方向及び前記不織布の面方向に移動する浄水カートリッジ。 - 請求項1に記載の浄水カートリッジを備える浄水器。
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