JP6146974B2 - エアゾール式泡状酸化染毛剤組成物 - Google Patents

エアゾール式泡状酸化染毛剤組成物 Download PDF

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Description

本願に係る発明は、酸化染毛剤組成物に関する。詳しくは、エアゾール式泡状酸化染毛剤組成物に関する。
従来、LPG等の噴射剤を用いて泡状に吐出するエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物が知られている。エアゾール式泡状酸化染毛剤組成物は、各剤を原液として噴射剤を充填してエアゾール容器に収容する。
エアゾール式泡状酸化染毛剤組成物は、使用の際、液状やクリーム状の剤型と比べて、エアゾール容器のボタンを押すだけで泡状に吐出可能と操作が簡便である。また、複数回に分けて使用可能とのメリットもある。
エアゾール式泡状酸化染毛剤組成物は、通常、アルカリ剤及び染料成分を配合する第1剤と、酸化剤を配合する第2剤とを構成に含む。そして、第1剤及び第2剤は別々に収容され、使用時に混合する。
下記特許文献1に記載されるように、刺激臭が抑制され、染毛又は脱色処理後の毛髪の手触りが良いエアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物が知られている。当該組成物の好ましい実施形態を採用することで、泡の保形性を良好とし、かつ、毛髪へ塗布した後の泡潰れを早くする、という相反する効果が得られる。
また、下記特許文献2に開示されるエアゾール容器をはじめ、様々なエアゾール容器が知られている。下記特許文献2に開示されるエアゾール容器は同時混合吐出機構を備え、2本の缶とヘッド部とを構成に含み、アルカリ剤を配合する第1剤と酸化剤を配合する第2剤が噴射剤と共に別々の缶に収容されている。エアゾール容器のレバー30dを押圧することにより吐出部30cが外部に導通し、第1剤及び第2剤は、各缶30fから、それぞれステム30j、連通孔30lを経て、混合通路30mに至り、混合され、泡状の剤型で、吐出部30cから吐出される。
特開2010−280579号公報 特開2002−284655号公報
エアゾール式泡状酸化染毛剤組成物の泡は様々な挙動を示しうる。例えば、毛髪に適用すると、シューッとすぐ消泡するタイプや、毛髪全体に泡を適用する操作中にもこもこと嵩が大きくなるタイプが存在した。従来、エアゾール式泡状酸化染毛剤組成物では染めムラがしばしば起こっていた。また、不十分な染毛となってしまう場合もしばしばあった。
エアゾール式泡状酸化染毛剤組成物はきめが細かい泡を複数回に分けて得ることができる。複数回に分けて使用できることはエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物の利点である。しかし、通常、エアゾール容器はその中身を目視できず、吐出した泡の重量を手の感覚で正確に把握することは困難である。複数回に分けてエアゾール容器から吐出して毛髪に塗布する場合、塗布した泡の総重量や総体積を手の感覚で正確に把握することはより一層困難である。
また、酸化染料は発色前は無色である場合が多く、塗布操作の途中で泡が消えてしまうと、どの範囲まで塗布操作を終えたか、どれだけの泡を塗布したか、がわからなくなってしまい染めムラを引き起こす一因となっていた。
塗布操作中にもこもこと泡の嵩が大きくなる場合もどれだけの泡を毛髪上に適用したかが後からわからなくなることがあった。この場合は塗布した泡の重量が一定でも後から泡の嵩が増えるので、しばしば、泡の総重量が結果的に不足して染毛が不十分となった。また、泡の嵩を均等に増やせず、しばしば染めムラが起きた。
以上から、本願発明者は、エアゾール式泡状酸化染毛剤組成物の使用者が「毛髪上の泡の状態を目視して、適切な塗布を行ったと判断する」点に着目した。
従来のエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物は毛髪に塗布して消泡したり、一方で塗布操作中に泡の嵩が大きくなったりする。よって、目視で認識した泡の重量と実際に毛髪に塗布された泡の重量に隔たりがあった。
本願発明者は鋭意研究を重ねた結果、経時的な泡比重の変化を抑制することで、使用者の目視による認識通りにエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物を使用できることを見出した。即ち、使用者の認識と染毛効果を調律する、泡の嵩が増えすぎず、減りすぎず、という適切な範囲が存在することを見出した。
均染性、染毛力及び操作性に優れ、垂れ落ちを良好に抑制したエアゾール式酸化染毛剤組成物を提供することを、本願が解決すべき課題とする。
(第1発明)
上記課題を解決するための本願第1発明の構成は、
複数剤を使用時に吐出して混合するエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物であって、
前記複数剤の混合物の初期泡比重が0.03〜0.18であり、
混合後5分における泡比重と前記初期泡比重から求める泡比重変化率が100%〜150%であるエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物である。
(第2発明)
上記課題を解決するための本願第2発明の構成は、
前記混合物における油性成分の配合量が10質量%以下である第1発明に記載のエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物である。
(第3発明)
上記課題を解決するための本願第3発明の構成は、
前記混合物におけるイオン性界面活性剤の配合量が6質量%以下である第1発明又は第2発明に記載のエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物である。
(第4発明)
上記課題を解決するための本願第4発明の構成は、
前記混合物において、イオン性界面活性剤と固形の高級アルコールの質量比が、イオン性界面活性剤/固形の高級アルコール=0〜3である第1発明〜第3発明のいずれかに記載のエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物である。
本願が開示するエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物は、均染性、染毛力及び操作性に優れ、垂れ落ちを良好に抑制できる。
以下、本願が開示する発明の実施形態を、その最良の実施形態を含めて説明する。
まず、用語の説明をする。本明細書において「毛髪」とは、特に限定されないが、好ましくは頭に生えた状態の毛髪をいう。また、毛髪は、好ましくはヒトの毛髪である。
本明細書において「酸化染毛剤組成物」とは、酸化染料を配合する染毛剤組成物を意味する。噴射剤とともにエアゾール容器に収容し、泡状に吐出して使用するので、エアゾール式泡状酸化染毛剤組成物である。当該エアゾール式泡状酸化染毛剤組成物は複数剤式である。2剤式としても良いし、3剤式以上としても良い。好ましくは、2剤式である。
説明の便宜上、本願が開示する発明の説明において、エアゾール式泡状酸化染毛剤組成物を構成する各剤は噴射剤を含有しないものとして記載する。なお、後述する実施例では、噴射剤を含有しない当該各剤は「原液」と呼び、噴射剤を充填してエアゾール容器に封入される。噴射剤及びエアゾール容器については後述する。
本明細書においてエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物の「混合物」とは、エアゾール式泡状酸化染毛剤組成物を構成する複数剤の混合物を指す。本願が開示するエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物は複数剤が使用時にエアゾール容器から吐出されるため、当該混合物は泡状で毛髪に塗布され、一定時間泡状を維持する。しかし、特に比較例の説明では、毛髪に適用した後の、破泡した混合物を指す場合もある。
複数剤式のエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物は、アルカリ剤を配合する第1剤と酸化剤を配合する第2剤とを含む複数剤を使用直前に混合して染毛処理を行う。本願が開示する発明において当該複数剤の混合方法と毛髪への適用方法は特に限定されないが、好ましくは、
(1)複数剤をエアゾール容器から別々に吐出させた後、毛髪に適用する前に混合する、
(2)複数剤をエアゾール容器から別々に吐出させた後、毛髪に適用する際に混合する、
(3)複数剤をエアゾール容器から別々に吐出させた後、毛髪に適用後に毛髪上で混合する、
(4)エアゾール容器内やヘッド内において複数剤を混合するようにし、当該混合物をエアゾール容器から吐出させた後、毛髪に適用する、
のいずれかである。
吐出させた各剤又は混合物は、いったん手やブラシに取った後、あるいは直接、毛髪に適用することが好ましい。ここで手を用いる場合は、手袋を装着することが好ましい。泡を適用する範囲は、毛髪全体であってもよく、特定の部分のみであってもよい。
〔エアゾール式泡状酸化染毛剤組成物〕
本願は、複数剤を使用時に吐出して混合するエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物であって、前記複数剤の混合物の初期泡比重が0.03〜0.18であり、混合後5分における泡比重と前記初期泡比重から求める泡比重変化率が100%〜150%であるエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物を開示する。
まず、エアゾール式泡状酸化染毛剤組成物の基本的な構成を説明する。
−第1剤−
本願が開示するエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物は、アルカリ剤を配合する第1剤を構成に含む。
第1剤におけるアルカリ剤の配合量は0.5〜20質量%であることが好ましい。また、第1剤のpHは8〜12であることが好ましい。
第1剤の剤型は、エアゾール容器から泡状に吐出できる限り特に限定されない。乳化物、可溶化物等を例示できる。好ましくは、乳化物である。
第1剤はアルカリ剤を配合する。アルカリ剤として、例えば、アンモニア、アンモニウム塩、アルカノールアミン、有機アミン類(2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、グアニジン等)、無機アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等)、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン等)及びそれらの塩等が挙げられる。アルカノールアミンの具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を使用できる。
第1剤は酸化染料を配合する。更に、直接染料を配合しても良い。
酸化染料は、酸化重合によって発色可能な化合物である。酸化染料は特に限定されないが、例えば、染料中間体、カップラー、メラニン前駆物質等が挙げられる。
より具体的には、例えば、酸化染料として、フェニレンジアミン及びその誘導体、フェノール誘導体、アミノフェノール及びその誘導体、ジフェニルアミン及びその誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラゾール誘導体、ピロリジン誘導体、トルエン誘導体、インドール誘導体、ピロール誘導体、並びにイミダゾール誘導体等が挙げられる。
更に具体的には、例えば、染料中間体としては、フェニレンジアミン類(但し、メタフェニレンジアミンを除く。)、アミノフェノール類(但し、メタアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール及びパラメチルアミノフェノールを除く。)、トルイレンジアミン類(但し、トルエン−3,4−ジアミン及びトルエン−2,4−ジアミンを除く。)、ジフェニルアミン類、ジアミノフェニルアミン類、N−フェニルフェニレンジアミン類、ジアミノピリジン類(但し、2,6−ジアミノピリジンを除く)等が挙げられる。
カップラーとしては、ピロガロール、レゾルシン、カテコール、メタアミノフェノール、メタフェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノール、1,2,4−ベンゼントリオール、トルエン−3,4−ジアミン、トルエン−2,4−ジアミン、ハイドロキノン、α−ナフトール、2,6−ジアミノピリジン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、5−アミノオルトクレゾール、パラメチルアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、没食子酸、タンニン酸、没食子酸エチル、没食子酸メチル、没食子酸プロピル、五倍子、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール等が挙げられる。
酸化染料は、酸化重合によって発色可能な化合物の塩を含む概念である。例えば、上記した各化合物の酸付加塩等が挙げられる。好ましくは、有機酸の付加塩、無機酸の付加塩等が挙げられる。
これら酸化染料は単独で配合しても良く、組み合わせて配合しても良い。
直接染料として、例えば、酸性染料、塩基性染料、天然染料、ニトロ染料、分散染料等がある。これら直接染料は単独で配合しても良く、組み合わせて配合しても良い。
上記酸性染料としては、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号の(1)、赤色105号の(1)、赤色106号、赤色227号、赤色230号の(1)、黄色4号、黄色5号、黄色202号の(1)、黄色202号の(2)、黄色203号、だいだい色205号、だいだい色207号、だいだい色402号、緑色3号、緑色204号、緑色401号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色202号、かっ色201号、黒色401号等を例示できる。
上記塩基性染料としては、Basic Blue 3、Basic Blue 6、Basic Blue 7、Basic Blue 9、Basic Blue 26、Basic Blue 41、Basic Blue 47、Basic Blue 99、Basic Brown 4、Basic Brown 16、Basic Brown 17、Basic Green 1、Basic Green 4、Basic Orange 1、Basic Orange 2、Basic Orange 31、Basic Red 1、Basic Red 2、Basic Red 22、Basic Red 46、Basic Red 51、Basic Red 76、Basic Red 118、Basic Violet 1、Basic Violet 3、Basic Violet 4、Basic Violet 10、Basic Violet11:1、Basic Violet 14、Basic Violet 16、Basic Yellow 11、Basic Yellow 28、Basic Yellow 57、Basic Yellow 87等を例示できる。
上記天然染料としては、クチナシ色素、ウコン色素、アナトー色素、銅クロロフィリンナトリウム、パプリカ色素、ラック色素等を例示できる。
上記ニトロ染料としては、4−ニトロ−o−フェニレンジアミン、2−ニトロ−p−フェニレンジアミン、2−アミノ−4−ニトロフェノール、2−アミノ−5−ニトロフェノール、ピクラミン酸、ピクリン酸、及びそれらの塩、HC Blue No.2、HC Blue No.5、HC Blue No.6、HC Blue No.9、HC Blue No.10、HC Blue No.11、HC Blue No.12、HC Blue No.13、HC Orange No.1、HC Orange No.2、HC Orange No.3、HC Red No.1、HC Red No.3、HC Red No.7、HC Red No.10、HC Red No.11、HC Red No.13、HC Red No.14、HC Violet No.1、HC Violet No.2、HC Yellow No.2、HC Yellow No.4、HC Yellow No.5、HC Yellow No.6、HC Yellow No.9、HC Yellow No.10、HC Yellow No.11、HC Yellow No.12、HC Yellow No.13、HC Yellow No.14、HC Yellow No.15等を例示できる。
上記分散染料としては、Disperse Black 9、Disperse Blue 1、Disperse Blue 3、Disperse Blue 7、Disperse Brown 4、Disperse Orange 3、Disperse Red 11、Disperse Red 15、Disperse Red 17、Disperse Violet 1、Disperse Violet 4、Disperse Violet 15等を例示できる。
−第2剤−
本願が開示するエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物は、酸化剤を配合する第2剤を構成に含む。
第2剤における酸化剤の配合量は0.1〜15質量%であることが好ましい。また、第2剤のpHは1〜5であることが好ましい。
第2剤の剤型は、好ましくは乳化物、可溶化物である。より好ましくは、乳化物である。
第2剤は酸化剤を配合する。酸化剤として、例えば、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物等が挙げられる。これらの酸化剤は単独で配合してもよく、二種以上を組み合わせて配合してもよい。これらの酸化剤の中でも、メラニンの分解に優れることから、好ましくは過酸化水素である。
−各剤における他の成分−
上記第1剤及び第2剤を含む複数剤を、本願が開示するエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物は含む。複数剤は上述した成分の他、任意の成分を配合しても良い。例えば、水、ヒドロキシエチルセルロースを含む水溶性ポリマー、高級アルコール、溶剤、界面活性剤、増粘剤、塩基性アミノ酸を除くアミノ酸類、脂肪酸、油性成分、ソルビトール、マルトース等の糖類、パラベン、安息香酸ナトリウム等の防腐成分、EDTA−2Na、ジエチレントリアミン5酢酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸等のキレート成分、フェナセチン、8−ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、フェノキシエタノール、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、タンニン酸等の安定成分、pH調整成分、亜硫酸Na等の酸化防止剤、植物又は生薬抽出物、アスコルビン酸類を含むビタミン類、香料、等から選ばれる1種以上を配合しても良い。また、例えば、「医薬部外品原料規格2006」(薬事日報社)に収載されるものから選ばれる少なくとも一種を配合してもよい。
〔エアゾール式泡状酸化染毛剤組成物を構成する各剤についての好ましい条件〕
本願が開示するエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物は複数剤式で構成される。好ましくは、その複数剤のうちのいずれか1つが、以下の条件の1以上を満たす。複数剤の1つが以下の2以上の条件を満たすことも好ましい。複数剤の2つ以上が以下の条件のいずれか1又は2以上を満たすことも好ましい。以上、各剤と満たす条件の組み合わせは適宜選択可能である。
各剤のいずれか1つ又は2つ以上は、起泡性向上の観点から、非イオン性界面活性剤であるC14以下のポリオキシエチレン(以下、POEとも称する。)アルキルエーテルを配合することが好ましい。当該「C14」は炭素数14を意味し、以下も同様である。吐出直後に限られる場合もあるが、起泡性が大きいと泡比重が小さくなる傾向にある。所望の泡比重を実現する一つの手法として、起泡性の調整がある。
C14以下のPOEアルキルエーテルとして、具体的には、POEラウリルエーテル、POEミリスチルエーテル、を例示できる。当該ポリオキシエチレンの重合数は、2〜30であることが好ましい。C14以下のアルキル基は飽和であることが好ましく、また、直鎖型であることが好ましい。
上記C14以下のPOEアルキルエーテルと、C16以上のPOEアルキルエーテルを併用することがより好ましい。C16以上のPOEアルキルエーテルとして、POEセチルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEベヘニルエーテルを例示できる。当該ポリオキシエチレンの重合数は、2〜50であることが好ましい。C16以上のアルキル基は飽和であることが好ましく、また、直鎖型であることが好ましい。
C14以下のPOEアルキルエーテルと、C16以上のPOEアルキルエーテルを併用する剤における、非イオン性界面活性剤の質量比「C16以上のPOEアルキルエーテル/C14以下のPOEアルキルエーテル」=0.1〜7とすることが好ましい。より好ましくは、0.5〜3である。これらの比率の範囲内であれば、起泡性がより向上する。
各剤における上記C14以下のPOEアルキルエーテルの好ましい配合量は0.1〜10質量%である。各剤における上記C16以上のPOEアルキルエーテルの好ましい配合量は0.1〜10質量%である。
各剤のいずれか1つ又は2つ以上は、起泡性向上の観点から、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれるイオン性界面活性剤のいずれか1種又は2種以上を配合することが好ましい。各剤におけるイオン性界面活性剤の配合量は、好ましくは0.01〜5質量%である。混合物における好ましい条件は後述する。
両性界面活性剤として、カルボベタイン型、アミドベタイン型、スルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ホスホベタイン型、イミダゾリニウム型、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、アミノ酸系両性界面活性剤型、アミンオキサイド型がある。これらの1種又は2種以上を使用可能である。以下の具体例においても同様である。好ましくは、アルキルベタイン型、アミドベタイン型、アルキルアミドベタイン型、イミダゾリニウム型である。
より具体的には、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ウンデシノイル−カルボキシメトキシエチルカルボキシメチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ウンデシルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ウンデシル−N−ヒドロキシエチル−N−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン液、ステアリルジヒドロキシエチルベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルベタインナトリウム、ビス(ステアリル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリン)クロル酢酸錯体、ヤシ油アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ヤシ油アルキル−N−カルボキシエトキシエチル−N−カルボキシエチルイミダゾリニウムジナトリウムヒドロキシド、ヤシ油アルキル−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシエチルイミダゾリニウムジナトリウムヒドロキシド、ヤシ油アルキル−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシエチルイミダゾリニウムジナトリウムラウリル硫酸、ヤシ油アルキルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液、ヤシ油脂肪酸−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸トリエタノールアミン、β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルN−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシメチルイミダゾリニウムジナトリウムドデカノイルサルコシン、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸等を例示できる。
カチオン性界面活性剤は、置換基を有しても良い炭化水素基が窒素原子に結合している、という基本構造を有する。当該置換基どうしが結合して環構造を形成してもよい。通常、当該窒素原子は4級である。当該4級窒素原子はカチオン性であり、通常対イオンが存在する。当該対イオンとして塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、アルキル硫酸イオン、サッカリンを例示できる。前記炭化水素基は直鎖型でも分岐型でもよい。カチオン性界面活性剤の1種又は2種以上を使用してよい。以下の具体例においても同様である。
カチオン性界面活性剤として、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルケニルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ジアルケニルジメチルアンモニウム塩、アルキロイルアミドプロピルジメチルアミン、アルキルピリジニウム塩、ベンザルコニウム塩を例示できる。
具体的には、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化イソステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化オクタデシルトリメチルアンモニウム、塩化ココイルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化イソステアリルラウリルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化γ−グルコンアミドプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、塩化ジ(ポリオキシエチレン)オレイルメチルアンモニウム、塩化ドデシルジメチルエチルアンモニウム、塩化オクチルジヒドロキシエチルメチルアンモニウム、塩化トリ(ポリオキシエチレン)ステアリルアンモニウム、塩化ポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウム、塩化ラウリルジメチル(エチルベンジル)アンモニウム、塩化ベヘン酸アミドプロピル−N,N−ジメチル−N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)アンモニウム、タロウジメチルアンモニオプロピルトリメチルアンモニウムジクロライド、塩化ベンザルコニウムを例示できる。
カチオン性界面活性剤であるC16以下のアルキルトリメチルアンモニウム及びその塩を配合することが好ましい。具体的には、ラウリルトリメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウム及びこれらの塩を例示できる。また、カチオン性界面活性剤におけるC16以下のアルキル基は飽和であることが好ましく、また、直鎖型であることが好ましい。
各剤における上記C16以下のアルキルトリメチルアンモニウム及びその塩の好ましい配合量は0.01〜5質量%である。
アニオン性界面活性剤として、POEラウリル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α−スルホン脂肪酸塩、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステルがある。これらの1種又は2種以上を使用してよい。
これらのアニオン性界面活性剤のアニオン基の対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、トリエタノールアミンを例示できる。
各剤のいずれか1つ又は2つ以上は、油性成分を配合しても良い。油性成分を配合すると、毛髪へうるおい感やツヤが付与できる。各剤における油性成分の配合量は10質量%以下であることが好ましく、0.01〜8質量%であることがより好ましく、0.01〜6質量%であることが更に好ましい。これら好ましい範囲内であると、泡の消泡を抑制し、残りやすくなる。
一方、本願が開示するエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物においては、混合物の好適な泡比重を実現するため、適度な消泡作用を有する成分の配合を希望する場合がある。当該適度な消泡作用を有する成分として、25℃、1気圧で液体の油性成分が好ましい。
また、固体やペースト状の油性成分の配合量を少なくすることが好ましい。
油性成分として、油脂、ロウ、炭化水素、アルキルグリセリルエーテル、エステル、シリコーンがある。これらの1種又は2種以上を使用してよい。以下の具体例においても同様である。本願において、高級アルコールは油性成分ではない。
油脂として、ラノリン、オリーブ油、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、月見草油を例示できる。これらのうち、25℃、1気圧下で液状のものとして、オリーブ油、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、月見草油を例示できる。
ロウとして、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油を例示できる。これらのうち、25℃、1気圧下で液状のものとして、ホホバ油を例示できる。
炭化水素としてパラフィン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ミネラルオイル、スクワラン、ポリブテン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリンを例示できる。これらのうち、25℃、1気圧下で液状のものとして、流動パラフィン、流動イソパラフィン、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ミネラルオイル、スクワランを例示できる。
アルキルグリセリルエーテルとして、バチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、イソステアリルグリセリルエーテルを例示できる。
エステルとして、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、10〜30の炭素数を有する脂肪酸コレステリル/ラノステリル、乳酸セチル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、2−エチルヘキサン酸セチルを例示できる。これらのうち、25℃、1気圧下で液状のものとして、2−エチルヘキサン酸セチル等の分岐型の構造のエステルを例示できる。
シリコーンとして、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン、650〜10,000の平均重合度を有する高重合シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーンを例示できる。これらのうち、25℃、1気圧下で液状のものとして、ジメチコン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン、動粘度10000mm/s以下の高重合シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーンを例示できる。
各剤のいずれか1つ又は2つ以上は、高級アルコールを配合しても良い。高級アルコールとは、炭素数6以上の1価の高級アルコールを言う。当該高級アルコールは直鎖型及び分岐型の高級アルコールを含む概念である。直鎖型及び分岐型高級アルコールを併用しても良い。また、当該高級アルコールは飽和及び不飽和の高級アルコールを含む概念である。これらの1種又は2種以上を使用してよい。以下の具体例においても同様である。
各剤における高級アルコールの配合量は、0.5質量%以上が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましく、0.5〜3質量%が更に好ましく、0.5〜1.5質量%が更に好ましく、0.7〜1.2質量%が更に好ましい。これらの好ましい配合量の範囲内である場合、泡質、染毛力が向上する。
高級アルコールとして、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、2−ヘキシルデカノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベヘニルアルコール、デシルテトラデカノールを例示できる。
各剤のいずれか1つ又は2つ以上は、溶剤を配合しても良い。溶剤として、例えば、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等の炭素数5以下の1価の低級アルコール、ポリオール類やその低級アルキルエーテル類が挙げられる。ポリオール類としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、イソプレングリコール、ソルビトール等が挙げられる。ポリオールの低級アルキルエーテル類としては、前述のポリオールのモノ低級アルキルエーテルやポリ低級アルキルエーテル(例えば、ジ低級アルキルエーテル)などが挙げられる。
各剤における溶剤の配合量は10質量%以下とすることが好ましく、0.01〜8質量%とすることがより好ましい。これらの好ましい範囲内とすることで、染毛力が向上し、剤を乳化状にしやすくなる。
エアゾール式泡状酸化染毛剤組成物が3剤式以上である場合、上記第1剤及び第2剤に該当しない各剤の剤型は限定されない。乳化物、可溶化物等を例示できる。好ましくは、乳化物である。
〔噴射剤〕
本願が開示するエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物には、周知の噴射剤を使用することができる。例えば、LPG、ジメチルエーテル等の液化ガス、炭酸ガス、窒素ガス等の圧縮ガスを例示できる。これらの中でも液化ガスが好ましい。これらの1種又は2種以上を使用できる。
エアゾール容器に収容するエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物を構成する各剤と噴射剤の充填比は、質量比で90:10〜98:2であることが好ましく、92:8〜97:3であることがより好ましい。また、複数剤のいずれか1つの当該混合比を92:8〜97:3とすることも好ましい。
第1剤、第2剤等のエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物を構成する各剤が乳化物である場合、製造の工程から考えて、当該各剤は噴射剤を含まない原液の段階においても、噴射剤を充填した後においても、乳化物である。即ち、噴射剤を充填後に乳化物であれば、当該各剤に該当する原液も乳化物であったと合理的に推定できる。
〔混合物〕
前記第1剤及び第2剤を含む複数剤の混合比は適宜決定可能である。前記第1剤と第2剤の混合比は、第1剤:第2剤=1:5〜5:1が好ましい。
エアゾール式泡状酸化染毛剤組成物を構成する各剤の混合物のpHは7〜12であることが好ましい。
泡比重は、25℃において、泡の質量を体積で割ることにより求められる。単位はg/mlである。「混合後5分における泡比重」は、複数剤を混合後、当該混合物を5分間毛髪に塗布し、5分後に毛髪上に残った泡を採取し、当該採取した泡から求めることができる。初期泡比重の測定及び混合後5分における泡比重の測定の具体的な操作は、後述の実施例における「泡比重測定」を参照できる。
エアゾール式泡状酸化染毛剤組成物を構成する各剤の混合直後の泡比重である初期泡比重(即ち、混合物調製直後の、毛髪に塗布する前の泡比重)は0.03〜0.18である。この範囲を外れると、「塗布のしやすさ」、「垂れ落ちの少なさ」、「均染性」及び「染毛料」をバランスよく向上することができない。初期泡比重が0.03未満の場合、泡の嵩が大きすぎて、毛髪に適用される混合物の総量が不足する。この場合、特に、「塗布のしやすさ」及び「染毛力」の評価が不十分となる。初期泡比重が0.18を超える場合、泡の嵩が小さすぎる。この場合、特に、「塗布のしやすさ」の評価が不十分となる。
初期泡比重は、好ましくは0.04〜0.16であり、より好ましくは0.05〜0.15であり、さらに好ましくは0.05〜0.10である。これら好ましい範囲内であると、「塗布のしやすさ」、「垂れ落ちの少なさ」、「均染性」及び「染毛力」がバランス良く向上する。
混合後5分における泡比重と上記初期泡比重から求める泡比重変化率(%)は「(混合後5分における泡比重÷初期泡比重)×100」で求める。本願が開示するエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物は、泡比重変化率が100%〜150%である。泡比重変化率が当該範囲から外れると、「垂れ落ちの少なさ」、「均染性」及び「染毛力」の評価がバランス良く向上しない。泡比重変化率は、好ましくは105〜145%であり、より好ましくは110〜140%である。これら好ましい範囲内であると、「塗布のしやすさ」、「垂れ落ちの少なさ」、「均染性」及び「染毛力」がバランス良く向上する。
以下、混合物における好ましい条件を更に説明する。以下の説明では、混合物の全量を100質量%として、好ましい配合量を記載する。混合物における特定の成分の配合量は、上述の通り、噴射剤を含まない組成における配合量で説明する。エアゾール式泡状酸化染毛剤組成物を構成する各剤は、通常、別々に収容される。よって、各剤における配合量と各剤の混合比から、混合物における特定の成分の配合量を計算することも可能である。
混合物における油性成分の配合量は15質量%以下であることが好ましい。より好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.05〜8質量%であり、更に好ましくは0.1〜6質量%である。これら好ましい範囲内であると、泡が消泡せずに残りやすくなる。また、「垂れ落ちの少なさ」及び「均染性」がバランス良く向上する。また、油性成分を配合することによりうるおい感の付与やツヤが向上する。
油性成分に該当する成分や好ましい成分は、上述の「エアゾール式泡状酸化染毛剤組成物を構成する各剤についての好ましい条件」と同様である。界面活性剤及び高級アルコールに該当する成分や好ましい成分も同様である。
混合物におけるイオン性界面活性剤の配合量は0.01〜6質量%であることが好ましい。より好ましくは0.05〜5質量%であり、更に好ましくは0.1〜4質量%であり、更に好ましくは0.1〜3質量%である。これら好ましい範囲内であると、「塗布のしやすさ」、「均染性」及び「染毛力」がバランスよく向上する。
混合物における高級アルコールの配合量は0.5〜5質量%であることが好ましい。より好ましくは0.5〜3質量%である。これら好ましい範囲内であると染毛力の向上と泡質の向上が両立できるという利点がある。
更に、混合物は、高級アルコールであるベヘニルアルコールを配合することが好ましい。ベヘニルアルコールを配合することで泡質がもっちりし、泡が残りやすくなる。また、泡質がもっちりすることで、垂れ落ちにくく、泡を伸ばしやすいという利点もある。混合物におけるベヘニルアルコールの好ましい配合量は0.01〜2質量%である。
混合物では、高級アルコールのうち、25℃、1気圧下で固形の高級アルコール(以下、「固形の高級アルコール」と略称する場合がある。)に着目する。25℃、1気圧下で固形の高級アルコールとして、例えば、セチルアルコール(セタノール)、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコールを例示できる。
起泡性の向上及び泡比重の変化率の観点から、混合物におけるイオン性界面活性剤と固形の高級アルコールとの質量比「イオン性界面活性剤/固形の高級アルコール」=0〜3が好ましい。より好ましくは、0.05〜2.8であり、更に好ましくは0.2〜2.5であり、更に好ましくは0.3〜2.0である。
比率の表記の便宜上、混合物における固形の高級アルコールの配合量が0の場合も、「イオン性界面活性剤/固形の高級アルコール=0」と表現する。
〔染毛方法〕
以上の通り、本願は混合物の初期泡比重及び泡比重変化率に着目した染毛方法をも開示する。本願が開示するエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物は、目視による混合物の泡量の把握が容易であり、複数回に分けて泡を毛髪に塗布するという塗布方式に適している。また、泡の嵩が一定範囲に維持されるので泡を自由に操作して所望の染毛効果が得られる。
混合物の初期泡比重が0.03〜0.18であり、混合後5分における泡比重と前記初期泡比重から求める泡比重変化率が100%〜150%という条件を満たす泡状の酸化染毛剤組成物は操作性に優れ、染めムラを抑制でき、使用者が目視により認識する染毛効果が得られる。
〔エアゾール容器〕
本願が開示するエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物は、周知のエアゾール容器に収容可能である。アルカリ剤を配合する第1剤と酸化剤を配合する第2剤とを使用直前に混合する必要があるため、通常、第1剤と第2剤は別々に収容される。第1剤と第2剤は、別々のエアゾール容器に収容されても良い。噴射剤の力により吐出されると、噴射剤が膨張して泡が形成される。
例えば、上記特許文献2に開示されたエアゾール容器を使用できる。当該エアゾール容器は第1剤と第2剤を別々の容器に収容し、ヘッド部から泡状の酸化染毛剤組成物を吐出する。後述する実施例では、このタイプのエアゾール容器を使用する。
また、例えば、1本の缶の中に2つのパウチ及び連結部材を収容し、混合物を泡状に吐出するエアゾール容器も使用できる。内袋を有するエアゾール容器において、内袋の中に各剤と噴射剤(発泡用)を収容し、内袋の外に噴射剤(押出し用)を収容するエアゾール容器も使用できる。
エアゾール容器の材質や内圧は、アルカリ剤、酸化剤、噴射剤の種類やエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物の収容方法に合わせて適宜決定可能である。
以上の通り、エアゾール式泡状酸化染毛剤組成物、並びに噴射剤及びエアゾール容器を構成に含む製品をも本願は開示する。
以下、実施例について記載する。本願が開示するエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物の技術的範囲は、以下の実施例に限定されない。評価結果は、各例に対応して表中に記載してある。
<エアゾール式泡状酸化染毛剤組成物の調製>
〔実施例1〜46〕
表1〜5に示される各成分を配合することにより、実施例1〜46の第1剤用原液及び第2剤用原液を調製した。なお、表1〜5の配合量を示す数値の単位は、質量%である。また、実施例中の精製水の残量とは、各実施例の第1剤用原液及び第2剤用原液を各100質量%として、その残量を意味する。
更に、各実施例の第1剤用原液及び第2剤用原液を特許文献2に記載の同時混合吐出機構を備えたエアゾール容器に噴射剤を充填した状態で50gになるように充填し、それぞれ表1〜5に示される質量比で噴射剤(LPG)を充填して、各実施例の第1剤及び第2剤を調製した。
このエアゾール容器より各実施例の第1剤及び第2剤を吐出させて、実施例1〜46のエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物を得た。
〔比較例1〜4〕
また、表6に示される各成分を配合することにより、比較例1〜4の第1剤用原液及び第2剤用原液を調製した。なお、表6の配合量を示す数値の単位は、質量%である。また、比較例中の精製水の残量とは、各比較例の第1剤用原液及び第2剤用原液を各100質量%として、その残量を意味する。
更に、各比較例の第1剤用原液及び第2剤用原液を特許文献2に記載の同時混合吐出機構を備えたエアゾール容器に噴射剤を充填した状態で50gになるように充填し、それぞれ表6に示される割合で噴射剤(LPG)を充填して、各比較例の第1剤及び第2剤を調製した。
このエアゾール容器より各比較例の第1剤及び第2剤を吐出させて、比較例1〜4のエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物を得た。
<泡比重測定>
実施例1〜46及び比較例1〜4の各組成物を上記エアゾール容器より5gずつ吐出し、手で第1剤と第2剤を混合して30mlの円筒型の計量カップにすりきり一杯に入れた後、泡の質量を測定し、これを体積で割って混合物である泡の初期泡比重とした。
実施例1〜46及び比較例1〜4の各組成物を上記エアゾール容器より15gずつ吐出し、手で第1剤と第2剤を混合したあと、10cmの長さの白毛の人毛毛束(以下、単に「毛束」という)1gに対して全量を5分間、手で塗布し続けた。当該5分間の塗布操作後に毛髪上に残った混合物を30mlの円筒型の計量カップにすりきり一杯に入れた後、泡の質量を測定しこれを体積で割って、5分後の混合物である泡の泡比重(表中では「5分後の泡比重」と表記した。)とした。
なお、測定に使用したエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物は、充填した翌日のものを使用し、よく振って充填後初めて吐出したものを使用した。
<適正塗布量の測定>
実施例1〜46及び比較例1〜4の各組成物を上記エアゾール容器よりトレイ上に6gずつ吐出して混合し、当該トレイ上で毛束3gに対して手で塗布を行った。十分塗布できたと判断したところで、トレイ上から毛束を取り除き、残った混合物の質量を測定した。そして、当初吐出した6gとこの残った混合物の質量とから求めた差を適正塗布量(g)とした。
<下記評価1及び評価2における染毛処理>
実施例1〜46及び比較例1〜4の各組成物を上記エアゾール容器より15g吐出して混合し、30cmの長さの毛束3gに、手を用いて塗布し、その毛束を恒温槽(30℃)で30分間放置した。次いで、毛束に付着した前記組成物を水洗し、その後、毛束をシャンプー及びリンス(コンディショナー)で、それぞれ1回処理した。続いて、その毛束を温風で乾燥した。このようにして、前記組成物を用いて毛束に染毛処理を施した。
<評価1:塗布のしやすさ>
実施例1〜46及び比較例1〜4の各組成物を用いた染毛処理において、塗布操作時における、泡の塊の落下抑制、泡の飛び散り抑制、及び泡の伸びの良さの観点で10名のパネラーが目視で観察し、上記3点の総合評価として塗布がしやすいか否かを評価(官能評価)した。評価基準は、以下の通りである。
5:パネラー10人中「優れる」と答えた人が7人以上
4:パネラー10人中「優れる」と答えた人が5〜6人
3:パネラー10人中「優れる」と答えた人が3〜4人
2:パネラー10人中「優れる」と答えた人が2人
1:パネラー10人中「優れる」と答えた人が1人以下
<評価2:垂れ落ちの少なさ>
実施例1〜46及び比較例1〜4の各組成物を用いた染毛処理において、恒温槽での放置時に、泡が液化するなどした垂れ落ちや泡自体の垂れ落ちを10名のパネラーが目視で観察し、垂れ落ちの少なさを評価(官能評価)した。評価基準は、以下の通りである。
5:パネラー10人中「優れる」と答えた人が7人以上
4:パネラー10人中「優れる」と答えた人が5〜6人
3:パネラー10人中「優れる」と答えた人が3〜4人
2:パネラー10人中「優れる」と答えた人が2人
1:パネラー10人中「優れる」と答えた人が1人以下
<評価3:均染性>
実施例1〜46及び比較例1〜4の各組成物を上記エアゾール容器よりトレイ上に15g吐出して混合し、当該トレイ上で30cmの長さの毛束3gを置いて、先端から末端方向へ10回コーミングするように手を用いて塗布し、その毛束を恒温槽(30℃)で30分間放置した。次いで、毛束に付着した前記組成物を水洗し、その後、毛束をシャンプー及びリンス(コンディショナー)で、それぞれ1回処理した。続いて、その毛束を温風で乾燥した。
その毛束の色ムラの程度を10名のパネラーが目視で観察し、色ムラがあるか否かを評価(官能評価)した。具体的には、「ムラなく染まっている」場合を「5」、「ほぼムラなくが染まっている」場合を「4」、「あまりムラなく染まっている」場合を「3」、「ムラが多い」場合を「2」、「ムラが非常に多い」場合を「1」とした。こうして得られた各評価対象ごとの10名のパネラーの評価の平均点を算出し、平均点に少数点以下の数値がある場合には四捨五入を行って評価を決定した。
<評価4:適正量塗布した際の染毛力>
上記「適正塗布量の測定」において混合物を十分に塗布したと判断された毛束を恒温槽(30℃)で30分間放置した。次いで、毛束に付着した前記組成物を水洗し、その後、毛束をシャンプー及びリンス(コンディショナー)で、それぞれ1回処理した。続いて、その毛束を温風で乾燥した。
その毛束を10名のパネラーが目視で観察し、染毛力が良いか否かを評価(官能評価)した。具体的には、「染毛力が優れている」場合を「5」、「染毛力が幾分優れている」場合を「4」、「染毛力が普通である」場合を「3」、「染毛力がやや劣る」場合を「2」、「染毛力が劣る」場合を「1」とした。こうして得られた各評価対象ごとの10名のパネラーの評価の平均点を算出し、平均点に少数点以下の数値がある場合には四捨五入を行って評価を決定した。
<評価5:起泡性>
実施例1〜46及び比較例1〜4の各組成物を25℃の条件下、平らな板上に上記エアゾール容器より3g吐出した。この吐出直後に泡の嵩高さ(起泡性)をパネラー10名が目視で評価(官能評価)した。
実施例1〜46はいずれも良好な起泡力を発揮した。特に、実施例15及び16は「嵩高い」と評価したパネラーが多く、より優れた起泡性を発揮した。この試験の結果の表中への記載は省略した。
表の記載方式の説明をする。高級アルコールの右側に記載した括弧書は当該高級アルコールの炭素数を示す。界面活性剤のPOEに続く括弧書はPOEの重合数を示す。表には、原液である第1剤及び第2剤の処方(質量%表記)と、原液と噴射剤の充填比が記載してあり、原液と噴射剤の充填比は質量比である。「イオン性SAA」はイオン性界面活性剤を意味する。「固形のOH」は固形の高級アルコールを意味する。「混合物のイオン性SAA/固形OH比」は、混合物におけるイオン性界面活性剤と固形の高級アルコールとの質量比を意味する。アンモニア水、過酸化水素水は%(w/w)である。
〔表1〕
〔表2〕
〔表3〕
〔表4〕
〔表5〕
〔表6〕
泡比重と目視の関係を以下の試験写真を用いて説明する。
〔試験写真〕
試験写真の上段は泡比重変化率が100〜150%の混合物を塗布した試験の写真である。中段は泡比重変化率が150%を超える(消泡処方)の混合物を塗布した試験の写真である。下段は泡比重変化率が100%未満(増泡処方)の混合物を塗布した試験の写真である。
試験写真の左列「適正塗布」は目視で十分と思われる量の混合物を5分間かけて塗布した後の毛髪である。中央列「混合時の泡状態」は第1剤及び第2剤混合直後の泡の状態を示す。右列「塗布後の泡状態」は5分間かけて塗布した後に毛髪上に残った泡を採取して撮影した。
泡比重変化率が100〜150%の混合物は、塗布操作中の泡の嵩が一定範囲に保たれ、毛束全体に均等に混合物を塗布できた。増泡処方及び消泡処方の混合物は、塗布操作中に泡の嵩が増減してしまい、手の運びの跡が残ってしまった。また、塗布操作において毛束の根本と毛先で泡を整えにくかった。
写真の掲載は省略するが、比較例1の混合物は泡の嵩が大きく、目視で適正に塗布したと思われるために必要な重量は少なかった。一方、比較例2の混合物は泡の嵩が小さく、目視で適正に塗布したと思われるために必要な重量は多かった。
以上の試験では、(i)毛髪に塗布する前の泡の初期泡比重、及び、(ii)毛髪への塗布操作を行った後に採取した泡から求めた泡比重から、泡比重変化率を求めた。当該泡比重変化率と良好な効果には相関関係があった。よって、特に、混合後5分における泡の泡比重は、塗布操作を行った毛髪から採取した泡から求めれば十分であると考えられた。
均染性、染毛力及び操作性に優れ、垂れ落ちを良好に抑制できるエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物が提供される。

Claims (2)

  1. 複数剤を使用時に吐出して混合するエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物であって、
    前記複数剤の混合物中に25℃、1気圧下で固形の高級アルコールを0.4〜1.5質量%含有し、更に0.01〜6質量%のイオン性界面活性剤を含有し、更にC14以下のPOEアルキルエーテルとC16以上のPOEアルキルエーテルを併せ含有すると共に、C14以下のPOEアルキルエーテルに対するC16以上のPOEアルキルエーテルの質量比が0.5〜3であり、
    前記複数剤の混合物の初期泡比重が0.03〜0.18であり、
    混合後5分における泡比重と前記初期泡比重から求める泡比重変化率が100%〜150%であるエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物。
  2. 前記混合物における油性成分の配合量が10質量%以下である請求項1に記載のエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物。
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