JP6145421B2 - 車体後部構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車体後部構造に関する。
従来、リヤシート後方のリヤフロアパネルに隆起部を形成し、この隆起部の下面に設けたリヤクロスメンバを、左右のサイドメンバに接続して剛性を高め、形状が制約される電池パックをリヤシートとリヤフロアパネルとの間に配置し、形状の制約が少ない燃料タンクを隆起部の下方の領域に配置することで、スペースを有効に活用すると共に、車両の衝突などによって車両の側方から荷重が加えられた場合、左右のサイドメンバによって電池パックおよび燃料タンクを保護するようにした車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−29159号公報
しかし、特許文献1によると、燃料タンクを配置するための隆起部をリヤフロアパネルに形成すると共に、複数のリヤクロスメンバを左右のサイドメンバに接続して外部衝撃から燃料タンクや電池パックを保護しているので、部品点数や重量が増加し、製造コストが嵩む問題があった。
本発明の目的は、外部衝撃から保護するための特別な部材を用いることなく、電気デバイス及び燃料タンクを効果的に保護することができる車体後部構造を提供することである。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、
フロントフロアパネル(例えば、後述の実施形態でのフロントフロアパネル5)の後端部から立ち上がるように形成されたキックアップ部(例えば、後述の実施形態でのキックアップ部5a)と、
前記キックアップ部の車体後方に設けられ、車室(例えば、後述の実施形態での車室30)側から電気デバイス収納部(例えば、後述の実施形態での電気デバイス収容体P)が挿入可能な開口部(例えば、後述の実施形態での孔H)を有するリヤフロアパネル(例えば、後述の実施形態でのリヤフロアパネル6)と、
前記リヤフロアパネルの下方に、車体前方から順に前記電気デバイス収納部及び燃料タンク(例えば、後述の実施形態での燃料タンク35)が配置され、
前記電気デバイス収納部及び少なくとも前記燃料タンクの一部は、後部座席(例えば、後述の実施形態での後部座席9)の下方に配置される、車体後部構造であって、
前記電気デバイス収納部の車体後方で、前記リヤフロアパネルの下面に当接して該下面と閉断面(例えば、後述の実施形態での閉断面T)を形成するフロアクロスメンバ(例えば、後述の実施形態でのフロアクロスメンバ17)を備え、
前記フロアクロスメンバは、前記電気デバイス収納部と前記燃料タンクと前記後部座席の座部(例えば、後述の実施形態での座部9a)とで囲まれる空間(例えば、後述の実施形態での空間S3)内に配置され
前記電気デバイス収納部は、電気デバイス(例えば、後述の実施形態での電気デバイスD)を収納して、車室側から挿入可能なように箱状に形成されたケース(例えば、後述の実施形態でのケース1)と、前記ケースの開口を覆う蓋部材(例えば、後述の実施形態での蓋2)とを備え、
前記ケースは、断面略コ字状に形成されて前後一対の前補強部材(例えば、後述の実施形態での補強部材51)及び後補強部材(例えば、後述の実施形態での補強部材52)を収容可能な取付フランジ(例えば、後述の実施形態での上側フランジ部12及び下側フランジ部13)を備え、
前記電気デバイス収納部は、前記取付フランジを介して前記キックアップ部及び前記リヤフロアパネルに締結され、
前記フロアクロスメンバは、前記後補強部材の車体後方に配置され、
前記蓋部材と、前記後補強部材と、前記リヤフロアパネルとが、締結部材により締結されている
また、請求項に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、
前記燃料タンクは、前記後部座席の前記座部に対応する位置に、前記リヤフロアパネルの裏面(例えば、後述の実施形態での裏面6a)に対して第1の空間(例えば、後述の実
施形態での第1の空間S1)を持って隣接配置され、
前記電気デバイス収納部は、前記燃料タンクとの間に第2の空間(例えば、後述の実施形態での第2の空間S2)を持って隣接配置され、
前記第1の空間の前後方向距離(例えば、後述の実施形態での前後方向距離L1)は、前記第2の空間の前後方向距離(例えば、後述の実施形態での前後方向距離L2)より狭く設定され、
前記第2の空間を介して互いに対面する前記電気デバイス収納部と前記燃料タンクの対向面(例えば、後述の実施形態での後面1a、前面35a)は、略平面状である。
また、請求項に記載の発明では、請求項1または請求項に記載の発明において、
前記電気デバイス収納部の底面(例えば、後述の実施形態での底面1b)は、前記フロントフロアパネルの底面(例えば、後述の実施形態での底面5b)及び前記燃料タンクの底面(例えば、後述の実施形態での底面35b)より低い。
また、請求項に記載の発明では、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の発明において、
前記フロアクロスメンバは、前記閉断面が前記後部座席の前記座部の最低面(例えば、後述の実施形態での最低面9b)と高さ方向でオーバーラップするように配置される。
請求項1に記載の発明によれば、フロアクロスメンバが、フロアパネル、特に後部座席の座部近傍の剛性を高め、衝突時における電気デバイスと燃料タンクとの保護部材として機能することで、別途補強手段を備えることなく、電気デバイス及び燃料タンクを保護することができる。
また、電気デバイス収納部の取付フランジに収容された前後一対の補強部材が、電気デバイス収納部と燃料タンクと後部座席の座部とで囲まれる領域の強度を向上させる補強手段として作用して、別途補強手段を備えることなく電気デバイス及び燃料タンクを更に保護することができる。
請求項に記載の発明によれば、車両の後突時に、燃料タンクが第1の空間を移動してフロアパネルの裏面に当接することで衝撃荷重を緩和し、電気デバイス収納部に作用する衝撃力を低減して電気デバイスを保護することができる。また、燃料タンクと電気デバイス収納部(ケース)とを平面同士で当接させて、当接面に作用する面圧を低減させることで電気デバイスと燃料タンクとを確実に保護することができる。
請求項に記載の発明によれば、後部座席下に電気デバイスを配置する場合でも、フロアパネルの底面よりも低い位置に電気デバイス収納部を配置することで、座面高さを大きく変えることなく、且つ、車室内空間と頭上空間とを十分に確保して電気デバイスを配置することができる。
請求項に記載の発明によれば、後部座席の座部からの荷重を、フロアクロスメンバで受けることができ、電気デバイスを保護することができる。

本発明の一実施形態に係る車体後部構造の要部斜視図である。 キックアップ部及びリヤフロアパネル間に設けられた開口部に挿入される前の電気デバイス収容体を左前方から見下ろした斜視図である。 図2に示す電気デバイス収容体のIII−III矢視断面図である。 図3に示すIII−III矢視断面図の部分拡大図であり、(a)は領域K1の部分拡大図であり、(b)は領域K2の部分拡大図である。 図2に示す電気デバイス収容体のV−V矢視断面図のうち、右側のボルト付近の部分拡大図である。 図2に示す電気デバイス収容体のVI―VI矢視断面図である。 電気デバイス収容体を左前方から見下ろした分解斜視図である。 図1に示す車体後部構造の要部断面図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態の車体後部構造では、図1、図2及び図8に示すように、後部座席9(図8参照)の下方のフロアパネルFに設けられた孔Hに電気デバイス収容体Pを配設し、電気デバイス収容体Pの後方、且つ後部座席9の下方(フロアパネルFの下)に燃料タンク35が隣接配置されている。
<電気デバイス収容体の構成>
先ず、電気デバイス収容体Pについて説明する。
図1及び図2に示す電気デバイス収容体Pは、バッテリ、DC/DCコンバータ、インバータ、ECU等の電気デバイスD(図3参照)を収容するものであり、例えば、ハイブリッド車に搭載される。電気デバイス収容体Pは、金属製のフロアパネルF(ボディパネル)に形成された孔Hに上側から嵌め込んだ状態で、このフロアパネルFに締結される。
電気デバイス収容体Pは、図3に示すように、ケース1と、蓋2と、上側シール3と、下側シール4と、補強部材51,52と、カラー61,62と、フレーム部材7と、各種の締結部材(ボルトB1、ナットN1等)と、を備えている。
(ケース)
図3に示すケース1は、ケース本体11と、このケース本体11の側壁11aから外側に延びる環状の上側フランジ部12と、上側フランジ部12よりも下側に配置されケース本体11の側壁11aから外側に延びる環状の下側フランジ部13と、を有している。ケース本体11の側壁11a、上側フランジ部12、及び下側フランジ部13は、平面視において四角枠状を呈している(図7参照。)。
ケース本体11は、上方が開口した箱状(凹状)を呈する樹脂製の部材であり、その外形は直方体状を呈している。ケース本体11は、前記した電気デバイスDを収容可能に構成されている。なお、ケース本体11の側壁11aの内、少なくともケース1がフロアパネルFの孔Hに挿入されたとき、車両後方となる側壁(後面1a)11aは、平面状に形成されている。
なお、車両のフロアパネルF(図2参照)のうち、後部座席9の下側には、ケース本体11の側壁11a(外側面)の形状に対応する矩形状の孔Hが形成されている。ケース本体11は、この孔Hに嵌め込まれた状態でフロアパネルFに締結される。孔Hの周囲には、後記するボルトB1(図4参照)が挿通される挿通孔h1(図4参照)が複数形成されている。また、ケース1がフロアパネルFに取り付けられた状態において、ケース1の底壁と、その下側に設置されているアンダカバー(図示せず)と、は上下方向で離間している。
孔Hは、フロントフロアパネル5の後端部から左右の骨格部材8間に立ち上るように形成されたキックアップ部5aと、リヤフロアパネル6との間に開口する開口部である(図2参照)。
図3に示す上側フランジ部12は、ケース本体11の側壁11aの上端から外側に延びると共に、その外縁付近が上方に延びている。上側フランジ部12は、ケース本体11の側壁11aの全周に亘って環状に設けられている(図7参照)。上側フランジ部12は、後記する蓋2のフランジ21と補強部材51,52とによって上下方向で押圧(圧縮)される。したがって、剛性を確保するために、上側フランジ部12は上下方向において比較的肉厚に形成されている。上側フランジ部12の上端には、縦断面視で下側に凹んだシール溝12vが全周に亘って形成されている(図4、図7参照)。このシール溝12vには、後記する環状の上側シール3が設置される。
図6、図7に示すように、上側フランジ部12は、後記するフレーム部材7を締結するための締結部12aを複数(本実施形態では8個:図7参照)有している。締結部12aは、前記したシール溝12vよりも前後方向において内側に設けられ、電気デバイスDの荷重が作用することを考慮して比較的肉厚に形成されている。締結部12aには、フレーム部材7を固定するためのボルトB2及び円筒状のカラーC2を挿通するための挿通孔h2が上下方向に沿って形成されている。また、締結部12aには、平面視でボルトB2の頭部を囲むように環状の溝12wが形成され、この溝12wにOリングRが設置されている。
その他、上側フランジ部12のうち、後記する蓋2をケース1に固定するボルトB3の挿通孔h3(図5、図7参照)が、シール溝12vよりも外側に複数形成されている。この挿通孔h3には、ボルトB3の相手方となる断面視U字状のナットN3が嵌め込まれている。
図3に示す下側フランジ部13は、ケース本体11のうち上側フランジ部12よりも下側の側壁11aから外側に延びており、この側壁11aの全周に亘って環状に形成されている。つまり、上側フランジ部12と、下側フランジ部13と、ケース本体11の側壁11aと、によって、縦断面視で凹状の溝vが側壁11aの全周に亘って形成されている。この溝vのうち左右方向に沿う箇所には、後記するカラー61,62が溶着された補強部材51,52が嵌め込まれる(図7参照)。なお、上側フランジ部12のうち左右方向でカラー61に対応する部分は、このカラー61に干渉しないように前後方向で内側に凹んでいる(図7参照)。
図3に示すように、下側フランジ部13の外側端部は全周に亘って孔Hの外側に位置しており、その下面には後記する下側シール4が設置(接着)されている。フロアパネルFに対して電気デバイス収容体Pを上側から嵌め込むと、下側フランジ部13がフロアパネルFに係止され、環状の下側シール4が上下方向で圧縮されてフロアパネルFに密着するようになっている。
なお、電気デバイス収容体PがフロアパネルFに設置された状態において、ケース1のうち下側フランジ部13(及び、後記する下側シール4)よりも下側の部分は車室外に臨み、下側フランジ部13よりも上側の部分は車室内に臨んでいる。
(蓋)
蓋2は、箱状を呈するケース本体11の開口を塞ぐものであり、例えば、金属板をプレス加工することで形成される。蓋2には、ケース本体11の開口に対応して略長方形に形成された天井部22と、天井部22の外周縁から一体に垂下する略4角枠状の縦壁23と、縦壁23の下端縁部から全周に亘って水平方向に延びるフランジ21と、が形成されている(図2、図6参照)。
また、天井部22には、天井部22を貫通する吸気口24aを有する吸気パイプ24が、上方に突出して形成されている。吸気パイプ24は、縦壁23より蓋2の中央側(後方)であり、且つ、吸気パイプ24の上端は、天井部22より高い位置に設けられている。天井部22の後部側からは、断面略円弧状の吸気カバー25が、吸気パイプ24の上方を覆うように、前上方に向けて一体的に形成されている。吸気パイプ24及び吸気カバー25は、蓋2において、排気ダクト41(図1、図2参照)を外部に露出させるために車両の右後方に形成された孔htの反対側、即ち、車両の左前方に配置されている。
このフランジ21には、ボルトB1(図4参照)が挿通される挿通孔h4と、ボルトB3(図5参照)が挿通される挿通孔h5と、がそれぞれ複数形成されている。また、その他、蓋2には、排気ダクト41(図1、図2参照)を外部に露出させるための孔ht(図7参照)や、電気デバイスDの配線を引き出すための孔(図示せず)が形成されている。
(上側シール)
図7に示す上側シール3は、上側フランジ部12に形成されたシール溝12v(上側フランジ部12の上面)に設置される環状のシール部材であり、上側フランジ部12と蓋2との間に介在している。なお、ケース1内への浸水を防止して電気デバイスDを保護するために、上側シール3には、後記する下側シール4よりも高いシール性能が要求される。したがって、上側シール3として、下側シール4よりも圧縮に伴う弾性復元力(反力)が大きいものを用いることが好ましい。上側シール3として、例えば、防水性の高いゴム製のOリングやガスケットを用いることが好ましい。
そして、蓋2とフロアパネルFとを締結するボルトB1(図3参照)がナットN1に螺合されることで上側シール3が上下方向で圧縮され、蓋2のフランジ21の下面と、上側フランジ部12の上面と、に密着するようになっている。なお、上側シール3は、圧縮されていない状態において、その上端が後記するカラー61(図4(a)参照)よりも上方に位置している。
(下側シール)
図7に示す下側シール4は、下側フランジ部13の下面に設置(例えば、接着)される環状のシール部材であり、下側フランジ部13とフロアパネルFとの間に介在している。下側シール4として、上側シール3よりも圧縮に伴う弾性復元力が小さい(つまり、柔軟である)エプトシーラー(発泡樹脂)や、シリコン製又はウレタン製のシーラーを用いることが好ましい。これによって、フロアパネルF等の部品公差を下側シール4で吸収しつつ、フロアパネルFの孔Hを介して車室に水が侵入することを防止できる。また、エプトシーラー等は、ゴム製のOリングと比較して安価であるという利点もある。
蓋2とフロアパネルFとを締結するボルトB1(図3参照)がナットN1に螺合されることで、下側シール4が上下方向で圧縮され、下側フランジ部13の下面と、フロアパネルF(孔Hの縁付近)の上面と、に密着するようになっている。なお、下側シール4は、圧縮されていない状態において、その下端が後記するカラー61,62よりも下方に位置している。
(補強部材)
図3に示す補強部材(前補強部材)51,52は、上側フランジ部12と下側フランジ部13とによって挟まれる金属部材であり、左右方向に延びている。上側フランジ部12及び下側フランジ部13は、上記したように平面視において四角枠状を呈しており、補強部材51、52は、四角枠状の一方の対辺(左右方向に沿う対辺)に対応する箇所に設置される。すなわち、図7に示すように、ケース1の前側から一方の補強部材51が嵌め込まれ、ケース1の後側から他方の補強部材(後補強部材)52が嵌め込まれる。
なお、本実施形態では、ケース1のうち前後方向に沿う箇所には補強部材が設置されない。したがって、当該箇所には、ケース1の側壁11aから外側に張り出す補強用のリブ(図示せず)を複数設けることで、剛性を高めるようにすることが好ましい。このリブは、例えば、上側フランジ部12から下側フランジ部13に亘って上下方向に延びている。
図4(a)に示す補強部材51は、例えば、縦断面視でC字状を呈する金属板51a,51bの端部同士を溶着することで形成され、その断面は四角枠状を呈している。補強部材51は、その上下幅が上側フランジ部12と下側フランジ部13との距離に略等しくなっている。図4(b)に示す他方の補強部材52についても同様である。
一方の補強部材51には、後記するカラー61を設置するための孔h6が複数形成されている。図4(b)に示す他方の補強部材52のうち下側の金属板52bには、カラー62を設置するための孔h7が複数形成され、上側の金属板52aにはボルトB1を挿通させるための挿通孔h8が複数形成されている(図7参照)。なお、図3に示す領域K2及び領域K1のうち一方を他方と同様の構成にしてもよい。
また、図6、図7に示すように、上側の金属板52aには、前記したボルトB2を挿通させるための挿通孔h9が複数形成されている。また、上側の金属板52aの下面において挿通孔h9に対応する箇所には、ボルトB2の相手方となるナットN2が予め溶着されている。
(カラー)
図4(a)に示すカラー61は、円筒状を呈する金属部材であり、補強部材51を貫通した状態でこの補強部材51に溶着されている。左右方向に延びる補強部材51に溶着された状態において、カラー61は上下方向に延びている(図7参照)。また、ボルトB1が締結された状態において、カラー61の上端は蓋2のフランジ21の下面に当接し、カラー61の下端はフロアパネルFの上面に当接している。
カラー61は補強部材51に固定(溶着)されているため、カラー61が補強部材51から上側に突出する長さによって、上側シール3を圧縮する程度を調整できる。つまり、カラー61は、その上端が上側フランジ部12の上端よりも僅かに上側に位置しており、蓋2をカラー61に当接させることで上側シール3を適度に圧縮するようになっている。カラー61が補強部材51から上側に突出する長さは、上側シール3の材質や要求されるシール性能を考慮して設定されている。
同様に、カラー61が補強部材51から下側に突出する長さによって、下側シール4を圧維する程度を調整できる。カラー61は、その下端が下側フランジ部13よりも所定距離だけ下側に位置しており、カラー61をフロアパネルFに当接させることで下側シール4を適度に圧縮するようになっている。カラー61が補強部材51から下側に突出する長さは、下側シール4の材質や要求されるシール性能を考慮して設定されている。
図4(b)に示すカラー62については、下側の金属板52bのみを貫通している点を除いて、補強部材51に溶着されたカラー61と同様である。カラー62は、その上端が上側の金属板52aの下面に当接し、その下端がフロアパネルFの上面に当接している。カラー62が補強部材52から下側に突出する長さによって、下側シール4を圧縮する程度を調整できる。
(フレーム部材)
図6に示すフレーム部材7は、上下二段に配置された電気デバイスD(例えば、バッテリパック)をケース1の上側フランジ部12に掛けた状態で保持するための金属部材である。フレーム部材7は、電気デバイスDに締結されるデバイス側締結部71と、上側フランジ部12に締結されるフランジ側締結部72と、を有している。デバイス側締結部71は、上下方向に延びており、フランジ側締結部72は、デバイス側締結部71の上端から上側フランジ部12に向けて前方(または後方)に延びている。
前側のデバイス側締結部71は、ボルトB4及びナットN4を用いて電気デバイスDの前面に締結されている(後側のデバイス側締結部71も同様)。フランジ側締結部72は、その先端が上側フランジ部12の上面に当接した状態で、この上側フランジ部12に締結される。フランジ側締結部72の先端付近には、ボルトB2が挿通される挿通孔h10が形成されている。フランジ側締結部72は、ボルトB2と、補強部材51,52の内壁面(天井面)に溶着されたナットN2と、によって上側フランジ部12及び補強部材51,52に締結される。
なお、上側フランジ部12の締結部12aに設けられた挿通孔h2には円筒状のカラーC2が設置され、このカラーC2を介してボルトB2が挿通される。このように上下方向に延びるカラーC2を設置することで、電気デバイスDの荷重が作用する部分の剛性を高めることができる。
図6に示すように、本実施形態では、一対のフレーム部材7,7が前後で略対称となるように電気デバイスDに固定され、各フレーム部材7を上側フランジ部12に掛けた状態で締結するようにした。なお、実際には左右方向に沿って複数対のフレーム部材7が設置されている。デバイス側締結部71が電気デバイスDに締結され、かつ、フランジ側締結部72が上側フランジ部12に締結された状態において、電気デバイスDはケース本体11の底面から離間している。
(締結部材)
図3に示すボルトB1及びナットN1(締結部材)は、蓋2と、補強部材51,52と、フロアパネルFと、を締結するものである。ボルトB1は、補強部材51に溶着されたカラー61を貫通し、その軸部の下端がフロアパネルFよりも下側に突出している。ボルトB1の軸部のうちフロアパネルFの下側に突出した箇所にナットN1が螺合される。なお、フロアパネルFの下面に予めナットN1を溶着するようにしてもよい。なお、他のボルトB2〜B4、ナットN2〜N4については、詳細な説明を省略する。
<車体後部構造>
図2及び図8を参照して、上記のような構成を有する電気デバイス収容体Pは、キックアップ部5aと、リヤフロアパネル6との間に設けられた開口部である孔Hに、車室30側から挿入され、一対の補強部材51,52を介してフロアパネルFに締結されて後部座席9の下方に組み付けられる。具体的には、電気デバイス収容体Pの前端側は、上側フランジ部12と下側フランジ部13との間の溝vに嵌め込まれた補強部材(前補強部材)51を介して、ボルトB1とナットN1とによりフロントフロアパネル5に締結され、電気デバイス収容体Pの後端側は、溝vに嵌め込まれた補強部材(後補強部材)52を介して、ボルトB1とナットN1とによりリヤフロアパネル6に締結される。
フロントフロアパネル5及びキックアップ部5aの車室30内側は、トリム15により覆われている。即ち、トリム15はフロントフロアパネル5及びキックアップ部5aの車室30内側を覆い、さらに上端部が後部座席9の下面まで延びて、吸気カバー25の上面に接続されている。トリム15には、車室30内の空気を取り入れるための吸気グリル16が設けられている。
後部座席9は、前半部下面が電気デバイス収容体Pの上面、即ち、蓋2及び蓋2に一体形成された吸気カバー25で支持され、座部9a(ヒップポイント)となる後部座席9の後半部下面が、リヤフロアパネル6で支持されている。
電気デバイス収容体Pの後方、且つリヤフロアパネル6の下方(後部座席9の下方)には、電気デバイス収容体Pに隣接して燃料タンク35が固定されている。燃料タンク35と、後部座席9の座部9aが対応するリヤフロアパネル6の裏面6aとの間には、断面視で斜め後方且つ上方に延びる第1の空間S1が設けられている。また、電気デバイス収容体P(ケース1)と、燃料タンク35との間には、第2の空間S2が設けられている。そして、第1の空間S1の前後方向距離L1は、第2の空間S2の前後方向距離L2より小さく設定されている(L1<L2)。
また、第2の空間S2を介して対面するケース1の後面1aと、燃料タンクの前面35aとは、いずれも平面状に形成されている。なお、ケース1の後面1aを平面にするため、ケース本体11に収容されるバッテリの端子(図示せず)は、上向きに配置することが好ましい。
リヤフロアパネル6の下面には、電気デバイス収容体Pと、燃料タンク35と、後部座席9の座部9aとで囲まれる空間S3内に、フロアクロスメンバ17が設けられている。フロアクロスメンバ17は、リヤフロアパネル6の下面に当接し、この下面と協働して閉断面Tを形成する。フロアクロスメンバ17は、後補強部材52より車両後方に位置し、閉断面Tは、後部座席9の座部9aの最低面9bと、高さ方向でオーバーラップしている。
また、電気デバイス収容体P(ケース1)の底面1bは、燃料タンク35の底面35bよりE1だけ低く設定され、フロントフロアパネル5の底面5bよりE2だけ低く設定されている。E1及びE2は同じでもよく、異なっていてもよい。
次に、上記の構成を備えた本実施形態の作用について図8を参照して説明する。
本発明の実施形態である車体後部構造は、電気デバイス収容体Pと、燃料タンク35と、後部座席9の座部9aとで囲まれる空間S3内に、リヤフロアパネル6の下面に当接して閉断面Tを形成するフロアクロスメンバ17が配置されてリヤフロアパネル6の剛性が強化されているので、特別な保護部材を配設することなく、1つのフロアクロスメンバ17により、電気デバイス収容体Pと燃料タンク35とを効率的に保護することができる。また、フロアクロスメンバ17に隣接して、補強部材52がリヤフロアパネル6に締結されているので、この領域におけるリヤフロアパネル6の剛性が更に強化される。
また、万一、後方からの衝突が発生した場合には、先ず、燃料タンク35が、リヤフロアパネル6の裏面6aに当接するまで(前後方向距離L1)前方に移動することで、衝突の衝撃力を吸収する。このとき、燃料タンク35とリヤフロアパネル6の裏面6aとの間の前後方向距離L1は、電気デバイス収容体Pと燃料タンク35との間の前後方向距離L2より小さいので、燃料タンク35とリヤフロアパネル6の裏面6aとが当接した状態でも、電気デバイス収容体Pと燃料タンク35との間には、空間を確保することができ、電気デバイス収容体Pと燃料タンク35との干渉が防止される。
燃料タンク35が更に前方に移動し、燃料タンク35が電気デバイス収容体Pに干渉しても、いずれも平面状に形成されているケース1の後面1aと燃料タンク35の前面35aとが当接することで、ケース1及び燃料タンク35に作用する面圧が低減されるので、電気デバイス収容体P、即ち、バッテリを含む電気デバイスDを保護することができる。また、燃料タンク35の割れによる燃料漏れのリスクが低減する。
以上説明したように、本実施形態に係る車体後部構造によれば、リヤフロアパネル6の下方に、車体前方から順に電気デバイス収容体P及び燃料タンク35が配置され、電気デバイス収容体Pの車体後方には、リヤフロアパネル6の下面に当接して該下面と閉断面Tを形成するフロアクロスメンバ17を備える。フロアクロスメンバ17は、電気デバイス収容体Pと燃料タンク35と後部座席9の座部9aとで囲まれる空間S3内に配置されるので、フロアクロスメンバ17が、リヤフロアパネル6、特に、後部座席9の座部9a近傍の剛性を高め、衝突時における電気デバイスDと燃料タンク35との保護部材として機能することで、別途補強手段を備えることなく、電気デバイスD及び燃料タンク35を保護することができる。
また、電気デバイス収容体Pのケース1は、断面略コ字状に形成されて前後一対の補強部材51,52を収容可能な上側フランジ部12及び下側フランジ部13を備え、電気デバイス収容体Pは、上側及び下側フランジ部12,13介してフロアパネルFに締結され、フロアクロスメンバ17は、補強部材52の車体後方に配置されるので、前後一対の補強部材51,52が、電気デバイス収容体Pと燃料タンク35と後部座席9の座部9aとで囲まれる領域の強度を向上させる補強手段として作用して、別途補強手段を備えることなく電気デバイス収容体P及び燃料タンク35を更に保護することができる。
さらに、燃料タンク35は、リヤフロアパネル6の裏面6aに対して第1の空間S1を持って隣接配置され、電気デバイス収容体Pは、燃料タンク35との間に第2の空間S2を持って隣接配置され、第1の空間S1の前後方向距離L1は、第2の空間S2の前後方向距離L2より狭く設定されるので、車両の後突時に、先ず、燃料タンク35が第1の空間S1を移動してリヤフロアパネル6の裏面6aに当接することで衝撃荷重を緩和し、電気デバイス収容体Pに作用する衝撃力を低減して電気デバイスDを保護することができる。また、第2の空間S2を介して互いに対面する電気デバイス収容体Pの後面1aと燃料タンク35の前面35aは、略平面状であるので、平面同士が当接することで、両面1a,35aに作用する面圧を低減させることができ、電気デバイスDと燃料タンク35とを確実に保護することができる。
また、電気デバイス収容体Pの底面1bは、フロントフロアパネル5の底面5b及び燃料タンク35の底面35bより低いので、座面高さを大きく変えることなく、且つ、車室30内空間と頭上空間とを十分に確保して電気デバイスDを配置することができる。
また、フロアクロスメンバ17は、閉断面Tが後部座席9の座部9aの最低面9bと高さ方向でオーバーラップするように配置されるので、後部座席9の座部9aからの荷重を、フロアクロスメンバ17で受けることができ、電気デバイスDを保護することができる。
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。適用車両としてハイブリッド自動車について説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、例えば、モータのみを駆動源とする電気自動車であってもよい。
1 ケース
1a 後面(対向面)
1b 底面
2 蓋(蓋部材)
5 フロントフロアパネル
5a キックアップ部
5b 底面
6 リヤフロアパネル
6a 裏面
9 後部座席
9a 座部
9b 座部の最低面
12 上側フランジ部(取付フランジ)
13 下側フランジ部(取付フランジ)
17 フロアクロスメンバ
30 車室
35 燃料タンク
35a 前面(対向面)
35b 底面
51 前補強部材(補強部材)
52 後補強部材(補強部材)
L1 第1の空間の前後方向距離
L2 第2の空間の前後方向距離
D 電気デバイス
H 孔(開口部)
P 電気デバイス収容体(電気デバイス収納部)
S1 第1の空間
S2 第2の空間
S3 空間
T 閉断面

Claims (4)

  1. フロントフロアパネルの後端部から立ち上がるように形成されたキックアップ部と、
    前記キックアップ部の車体後方に設けられ、車室側から電気デバイス収納部が挿入可能な開口部を有するリヤフロアパネルと、
    前記リヤフロアパネルの下方に、車体前方から順に前記電気デバイス収納部及び燃料タンクが配置され、
    前記電気デバイス収納部及び少なくとも前記燃料タンクの一部は、後部座席の下方に配置される、車体後部構造であって、
    前記電気デバイス収納部の車体後方で、前記リヤフロアパネルの下面に当接して該下面と閉断面を形成するフロアクロスメンバを備え、
    前記フロアクロスメンバは、前記電気デバイス収納部と前記燃料タンクと前記後部座席の座部とで囲まれる空間内に配置され
    前記電気デバイス収納部は、電気デバイスを収納して、車室側から挿入可能なように箱状に形成されたケースと、前記ケースの開口を覆う蓋部材とを備え、
    前記ケースは、断面略コ字状に形成されて前後一対の前補強部材及び後補強部材を収容可能な取付フランジを備え、
    前記電気デバイス収納部は、前記取付フランジを介して前記キックアップ部及び前記リヤフロアパネルに締結され、
    前記フロアクロスメンバは、前記後補強部材の車体後方に配置され、
    前記蓋部材と、前記後補強部材と、前記リヤフロアパネルとが、締結部材により締結されている、車体後部構造。
  2. 請求項1に記載の車体後部構造であって、
    前記燃料タンクは、前記後部座席の前記座部に対応する位置に、前記リヤフロアパネルの裏面に対して第1の空間を持って隣接配置され、
    前記電気デバイス収納部は、前記燃料タンクとの間に第2の空間を持って隣接配置され、
    前記第1の空間の前後方向距離は、前記第2の空間の前後方向距離より狭く設定され、
    前記第2の空間を介して互いに対面する前記電気デバイス収納部と前記燃料タンクの対向面は、略平面状である、車体後部構造。
  3. 請求項1または請求項に記載の車体後部構造であって、
    前記電気デバイス収納部の底面は、前記フロントフロアパネルの底面及び前記燃料タンクの底面より低い、車体後部構造。
  4. 請求項1から請求項のいずれか1項に記載の車体後部構造であって、
    前記フロアクロスメンバは、前記閉断面が前記後部座席の前記座部の最低面と高さ方向でオーバーラップするように配置される、車体後部構造。
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