JP2015214233A - 電気デバイスの搭載構造 - Google Patents

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高橋 正樹
Masaki Takahashi
正樹 高橋
荻原 泰史
Yasushi Ogiwara
泰史 荻原
優 梅津
Masaru Umezu
優 梅津
謙悟 青木
Kengo Aoki
謙悟 青木
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Abstract

【課題】座席の乗降性に影響を及ぼすことなく、側突により電気デバイスに作用する荷重を軽減して、電気デバイスを保護可能な電気デバイスの搭載構造を提供する。
【解決手段】フロアパネルFが固定される左右一対の骨格部材8間に、電気デバイスDを収納する電気デバイス収容体Pが配置される。電気デバイス収容体Pは、後部座席の下方に配置され、電気デバイス収容体Pの前後には、一対の骨格部材8間の距離L3より短い一対の補強部材51,52が配設され、一対の補強部材51,52を介して蓋がフロアパネルFに締結される。
【選択図】図9

Description

本発明は、電気デバイスの搭載構造に関する。
従来、フロアパネル上に載置されたバッテリの固定手段として、車幅方向両端部がロッカに固定されたフロントフロアクロスメンバ及び後側フレームを配設し、後側フレームとフロアパネルとの間に、リヤシートに着座した乗員の足先等を挿入可能とした隙間が設けられたバッテリ搭載構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−170748号公報
特許文献1によると、バッテリを固定するフロントフロアクロスメンバ及び後側フレームの車幅方向両端部が、車両の骨格部材であるロッカに固定されているため、車体の剛性及び強度は向上する。しかし、軽度の側突時にも、側突による衝撃力が、フロントフロアクロスメンバ及び後側フレームを介して直接バッテリに作用して、バッテリなどに損傷を与える可能性があった。また、後側フレームがロッカにまで延設されているため、後部座席の乗降性が阻害される虞があった。
本発明の目的は、座席の乗降性に影響を及ぼすことなく、側突により電気デバイスに作用する荷重を軽減して、電気デバイスを保護可能な電気デバイスの搭載構造を提供することである。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、
フロアパネル(例えば、後述の実施形態でのフロアパネルF)が固定される左右一対の骨格部材(例えば、後述の実施形態での骨格部材8)間に、電気デバイス(例えば、後述の実施形態での電気デバイスD)を収納するケース(例えば、後述の実施形態でのケース1)及び前記ケースの開口を覆う蓋部材(例えば、後述の実施形態での蓋2)を有する電気デバイス収納部(例えば、後述の実施形態での電気デバイス収容体P)が配置される、電気デバイスの搭載構造であって、
前記電気デバイス収納部は、座席(例えば、後述の実施形態での後部座席9)の下方に配置され、
前記電気デバイス収納部の前後には、前記一対の骨格部材間の距離(例えば、後述の実施形態での骨格部材間の距離L3)より短い一対の補強部材(例えば、後述の実施形態での補強部材51,52)が配設され、
前記一対の補強部材を介して前記蓋部材が前記フロアパネルに締結される。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記電気デバイス収納部は、フロントフロアパネル(例えば、後述の実施形態でのフロントフロアパネル5)の後端部から立ち上がるように形成されたキックアップ部(例えば、後述の実施形態でのキックアップ部5a)と、前記キックアップ部よりも車体後方に設けられたリヤフロアパネル(例えば、後述の実施形態でのリヤフロアパネル6)との間に配置される。
また、請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の発明において、
前記ケースは、前記一対の補強部材を介して前記フロアパネルに取付可能な取付フランジ(例えば、後述の実施形態での上側フランジ部12及び下側フランジ部13)を備え、
前記取付フランジは、前記補強部材の少なくとも一部を前後方向に収納可能な補強部材収納部(例えば、後述の実施形態での溝v)を有し、
前記取付フランジの下面にシール部材(例えば、後述の実施形態での下側シール4)が配設される。
また、請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の発明において、
前記取付フランジは、前記取付フランジに前記一対の補強部材を取り付けるための取付孔(例えば、後述の実施形態での挿通孔h2)と、前記蓋部材を締結するための締結孔(例えば、後述の実施形態での挿通孔h3)と、を有する。
また、請求項5に記載の発明では、請求項3に記載の発明において、
前記電気デバイス収納部は、前記キックアップ部及び前記リヤフロアパネル間に開口された開口部(例えば、後述の実施形態での孔H)に挿入される。
請求項1に記載の発明によれば、骨格部材と電気デバイス収納部及び補強部材との間の空間が側突などによる衝撃を吸収する緩衝領域として作用して、車幅方向から電気デバイス収納部のケースが受ける荷重が緩和される。その結果、電気デバイス収納部のケース内に収納された電気デバイスを車幅方向の衝撃から確実に保護できる。また、補強部材は骨格部材に達していないので、補強部材によって座席の乗降性が阻害されない。
請求項2に記載の発明によれば、尻部(ヒップポイント)を避けた座席(後部座席)の前方側に電気デバイス収納部を搭載して、室内空間に影響を及ぼすことなく乗員性が確保される。
請求項3に記載の発明によれば、取付フランジの強度を向上させてシール性能を高めることができる。また、取付フランジ及び電気デバイスの自重によりシール性能を十分に確保できる。
請求項4に記載の発明によれば、取付フランジに一対の補強部材を取り付けて、蓋部材をケースに取り付けた状態の電気デバイス収納部をフロアパネルに締結することができる。また、取付フランジと補強部材の位置決めを不要として、ケースに対する蓋部材の取り付けが容易となる。
請求項5に記載の発明によれば、剛性のある取付フランジとバッテリの自重により車室外からのシール性を十分に確保できる。
本発明の一実施形態に係る電気デバイスの搭載構造の要部斜視図である。 キックアップ部及びリヤフロアパネル間に設けられた開口部に挿入される前の電気デバイス収容体を左前方から見下ろした斜視図である。 図2に示す電気デバイス収容体のIII−III矢視断面図である。 図3に示すIII−III矢視断面図の部分拡大図であり、(a)は領域K1の部分拡大図であり、(b)は領域K2の部分拡大図である。 図2に示す電気デバイス収容体のV−V矢視断面図のうち、右側のボルト付近の部分拡大図である。 図2に示す電気デバイス収容体のVI―VI矢視断面図である。 電気デバイス収容体を左前方から見下ろした分解斜視図である。 図2に示す電気デバイス収容体のVIII―VIII矢視断面図である。 キックアップ部及びリヤフロアパネル間に設けられた開口部に挿入された電気デバイス収容体から蓋部材を取り外して示す平面図である。 本発明の変形例に係る電気デバイス収容体がミドルフロアに挿入される前の状態を左前方から見下ろした斜視図である。 図10に示す電気デバイス収容体のXI―XI矢視断面図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態の電気デバイスの搭載構造は、図1及び図2に示すように、電気デバイスD(図3参照)を収容する電気デバイス収容体Pが、後部座席9(図8参照)の下方のフロアパネルFに設けられた孔Hに嵌め込まれた状態で、フロアパネルFに締結されている。電気デバイス収容体Pのケース1は、その前後に設けられた補強部材51,52により強度が補強されて、内蔵する電気デバイスDを保護している。
<電気デバイス収容体の構成>
先ず、電気デバイス収容体Pについて説明する。
図1及び図2に示す電気デバイス収容体Pは、バッテリ、DC/DCコンバータ、インバータ、ECU等の電気デバイスD(図3参照)を収容するものであり、例えば、ハイブリッド車に搭載される。電気デバイス収容体Pは、金属製のフロアパネルF(ボディパネル)が固定される左右一対の骨格部材8間であって、後部座席9(図8参照)の下方のフロアパネルFに設けられた開口部(孔H)に上側から嵌め込んだ状態で、このフロアパネルFに締結される。
電気デバイス収容体Pは、図3に示すように、ケース1と、蓋2と、上側シール3と、下側シール4と、補強部材51,52と、カラー61,62と、フレーム部材7と、各種の締結部材(ボルトB1、ナットN1等)と、を備えている。
(ケース)
図3に示すケース1は、ケース本体11と、このケース本体11の側壁11aから外側に延びる環状の上側フランジ部12と、上側フランジ部12よりも下側に配置されケース本体11の側壁11aから外側に延びる環状の下側フランジ部13と、を有している。ケース本体11の側壁11a、上側フランジ部12、及び下側フランジ部13は、平面視において四角枠状を呈している(図7参照)。
ケース本体11は、上方が開口した箱状(凹状)を呈する樹脂製の部材であり、その外形は直方体状を呈している。ケース本体11は、前記した電気デバイスDを収容可能に構成されている。
なお、車両のフロアパネルF(図2参照)のうち、後部座席9の下側には、ケース本体11の側壁11a(外側面)の形状に対応する矩形状の孔Hが形成されている。ケース本体11は、この孔Hに嵌め込まれた状態でフロアパネルFに締結される。孔Hの周囲には、後記するボルトB1(図4参照)が挿通される挿通孔h1(図4参照)が複数形成されている。また、ケース1がフロアパネルFに取り付けられた状態において、ケース1の底壁と、その下側に設置されているアンダカバー(図示せず)と、は上下方向で離間している。
孔Hは、フロントフロアパネル5の後端部から左右の骨格部材8間に立ち上るように形成されたキックアップ部5aと、リヤフロアパネル6との間に開口する開口部である(図2参照)。
図3に示す上側フランジ部12は、ケース本体11の側壁11aの上端から外側に延びると共に、その外縁付近が上方に延びている。上側フランジ部12は、ケース本体11の側壁11aの全周に亘って環状に設けられている(図7参照)。上側フランジ部12は、後記する蓋2のフランジ21と補強部材51,52とによって上下方向で押圧(圧縮)される。したがって、剛性を確保するために、上側フランジ部12は上下方向において比較的肉厚に形成されている。上側フランジ部12の上端には、縦断面視で下側に凹んだシール溝12vが全周に亘って形成されている(図4、図7参照)。このシール溝12vには、後記する環状の上側シール3が設置される。
図6、図7に示すように、上側フランジ部12は、後記するフレーム部材7を締結するための締結部12aを複数(本実施形態では8個:図7参照)有している。締結部12aは、前記したシール溝12vよりも前後方向において内側に設けられ、電気デバイスDの荷重が作用することを考慮して比較的肉厚に形成されている。締結部12aには、フレーム部材7を固定するためのボルトB2及び円筒状のカラーC2を挿通するための挿通孔h2が上下方向に沿って形成されている。また、締結部12aには、平面視でボルトB2の頭部を囲むように環状の溝12wが形成され、この溝12wにOリングRが設置されている。
その他、上側フランジ部12のうち、後記する蓋2をケース1に固定するボルトB3の挿通孔h3(図5、図7参照)が、シール溝12vよりも外側に複数形成されている。この挿通孔h3には、ボルトB3の相手方となる断面視U字状のナットN3が嵌め込まれている。
図3に示す下側フランジ部13は、ケース本体11のうち上側フランジ部12よりも下側の側壁11aから外側に延びており、この側壁11aの全周に亘って環状に形成されている。つまり、上側フランジ部12と、下側フランジ部13と、ケース本体11の側壁11aと、によって、縦断面視で凹状の溝vが側壁11aの全周に亘って形成されている。この溝vのうち左右方向に沿う箇所には、後記するカラー61,62が溶着された補強部材51,52が嵌め込まれる(図7参照)。なお、上側フランジ部12のうち左右方向でカラー61に対応する部分は、このカラー61に干渉しないように前後方向で内側に凹んでいる(図7参照)。
図3に示すように、下側フランジ部13の外側端部は全周に亘って孔Hの外側に位置しており、その下面には後記する下側シール4が設置(接着)されている。フロアパネルFに対して電気デバイス収容体Pを上側から嵌め込むと、下側フランジ部13がフロアパネルFに係止され、環状の下側シール4が上下方向で圧縮されてフロアパネルFに密着するようになっている。
なお、電気デバイス収容体PがフロアパネルFに設置された状態において、ケース1のうち下側フランジ部13(及び、後記する下側シール4)よりも下側の部分は車室外に臨み、下側フランジ部13よりも上側の部分は車室内に臨んでいる。
(蓋)
蓋2は、箱状を呈するケース本体11の開口を塞ぐものであり、例えば、金属板をプレス加工することで形成される。蓋2には、ケース本体11の開口に対応して略長方形に形成された天井部22と、天井部22の外周縁から一体に垂下する略4角枠状の縦壁23と、縦壁23の下端縁部から全周に亘って水平方向に延びるフランジ21と、が形成されている(図2、図6参照)。
また、天井部22には、天井部22を貫通する吸気口24aを有する吸気パイプ24が、上方に突出して形成されている。吸気パイプ24は、縦壁23より蓋2の中央側(後方)であり、且つ、吸気パイプ24の上端は、天井部22より高い位置に設けられている。天井部22の後部側からは、断面略円弧状の吸気カバー25が、吸気パイプ24の上方を覆うように、前上方に向けて一体的に形成されている。吸気パイプ24及び吸気カバー25は、蓋2において、排気ダクト41(図1、図2参照)を外部に露出させるために車両の右後方に形成された孔htの反対側、即ち、車両の左前方に配置されている。
このフランジ21には、ボルトB1(図4参照)が挿通される挿通孔h4と、ボルトB3(図5参照)が挿通される挿通孔h5と、がそれぞれ複数形成されている。また、その他、蓋2には、排気ダクト41(図1、図2参照)を外部に露出させるための孔ht(図7参照)や、電気デバイスDの配線を引き出すための孔(図示せず)が形成されている。
(上側シール)
図7に示す上側シール3は、上側フランジ部12に形成されたシール溝12v(上側フランジ部12の上面)に設置される環状のシール部材であり、上側フランジ部12と蓋2との間に介在している。なお、ケース1内への浸水を防止して電気デバイスDを保護するために、上側シール3には、後記する下側シール4よりも高いシール性能が要求される。したがって、上側シール3として、下側シール4よりも圧縮に伴う弾性復元力(反力)が大きいものを用いることが好ましい。上側シール3として、例えば、防水性の高いゴム製のOリングやガスケットを用いることが好ましい。
そして、蓋2とフロアパネルFとを締結するボルトB1(図3参照)がナットN1に螺合されることで上側シール3が上下方向で圧縮され、蓋2のフランジ21の下面と、上側フランジ部12の上面と、に密着するようになっている。なお、上側シール3は、圧縮されていない状態において、その上端が後記するカラー61(図4(a)参照)よりも上方に位置している。
(下側シール)
図7に示す下側シール4は、下側フランジ部13の下面に設置(例えば、接着)される環状のシール部材であり、下側フランジ部13とフロアパネルFとの間に介在している。下側シール4として、上側シール3よりも圧縮に伴う弾性復元力が小さい(つまり、柔軟である)エプトシーラー(発泡樹脂)や、シリコン製又はウレタン製のシーラーを用いることが好ましい。これによって、フロアパネルF等の部品公差を下側シール4で吸収しつつ、フロアパネルFの孔Hを介して車室に水が侵入することを防止できる。また、エプトシーラー等は、ゴム製のOリングと比較して安価であるという利点もある。
蓋2とフロアパネルFとを締結するボルトB1(図3参照)がナットN1に螺合されることで、下側シール4が上下方向で圧縮され、下側フランジ部13の下面と、フロアパネルF(孔Hの縁付近)の上面と、に密着するようになっている。なお、下側シール4は、圧縮されていない状態において、その下端が後記するカラー61,62よりも下方に位置している。
(補強部材)
図3に示す補強部材51,52は、上側フランジ部12と下側フランジ部13とによって挟まれる金属部材であり、左右方向に延びている。上側フランジ部12及び下側フランジ部13は、上記したように平面視において四角枠状を呈しており、補強部材51,52は、四角枠状の一方の対辺(左右方向に沿う対辺)に対応する箇所に設置される。すなわち、図7に示すように、ケース1の前側から一方の補強部材51が嵌め込まれ、ケース1の後側から他方の補強部材52が嵌め込まれる。
なお、本実施形態では、ケース1のうち前後方向に沿う箇所には補強部材が設置されない。したがって、当該箇所には、ケース1の側壁11aから外側に張り出す補強用のリブ(図示せず)を複数設けることで、剛性を高めるようにすることが好ましい。このリブは、例えば、上側フランジ部12から下側フランジ部13に亘って上下方向に延びている。
図4(a)に示す補強部材51は、例えば、縦断面視でC字状を呈する金属板51a,51bの端部同士を溶着することで形成され、その断面は四角枠状を呈している。補強部材51は、その上下幅が上側フランジ部12と下側フランジ部13との距離に略等しくなっている。図4(b)に示す他方の補強部材52についても同様である。
一方の補強部材51には、後記するカラー61を設置するための孔h6が複数形成されている。図4(b)に示す他方の補強部材52のうち下側の金属板52bには、カラー62を設置するための孔h7が複数形成され、上側の金属板52aにはボルトB1を挿通させるための挿通孔h8が複数形成されている(図7参照)。なお、図3に示す領域K2及び領域K1のうち一方を他方と同様の構成にしてもよい。
また、図6、図7に示すように、上側の金属板52aには、前記したボルトB2を挿通させるための挿通孔h9が複数形成されている。また、上側の金属板52aの下面において挿通孔h9に対応する箇所には、ボルトB2の相手方となるナットN2が予め溶着されている。
(カラー)
図4(a)に示すカラー61は、円筒状を呈する金属部材であり、補強部材51を貫通した状態でこの補強部材51に溶着されている。左右方向に延びる補強部材51に溶着された状態において、カラー61は上下方向に延びている(図7参照)。また、ボルトB1が締結された状態において、カラー61の上端は蓋2のフランジ21の下面に当接し、カラー61の下端はフロアパネルFの上面に当接している。
カラー61は補強部材51に固定(溶着)されているため、カラー61が補強部材51から上側に突出する長さによって、上側シール3を圧縮する程度を調整できる。つまり、カラー61は、その上端が上側フランジ部12の上端よりも僅かに上側に位置しており、蓋2をカラー61に当接させることで上側シール3を適度に圧縮するようになっている。カラー61が補強部材51から上側に突出する長さは、上側シール3の材質や要求されるシール性能を考慮して設定されている。
同様に、カラー61が補強部材51から下側に突出する長さによって、下側シール4を圧維する程度を調整できる。カラー61は、その下端が下側フランジ部13よりも所定距離だけ下側に位置しており、カラー61をフロアパネルFに当接させることで下側シール4を適度に圧縮するようになっている。カラー61が補強部材51から下側に突出する長さは、下側シール4の材質や要求されるシール性能を考慮して設定されている。
図4(b)に示すカラー62については、下側の金属板52bのみを貫通している点を除いて、補強部材51に溶着されたカラー61と同様である。カラー62は、その上端が上側の金属板52aの下面に当接し、その下端がフロアパネルFの上面に当接している。カラー62が補強部材52から下側に突出する長さによって、下側シール4を圧縮する程度を調整できる。
(フレーム部材)
図6に示すフレーム部材7は、上下二段に配置された電気デバイスD(例えば、バッテリパック)をケース1の上側フランジ部12に掛けた状態で保持するための金属部材である。フレーム部材7は、電気デバイスDに締結されるデバイス側締結部71と、上側フランジ部12に締結されるフランジ側締結部72と、を有している。デバイス側締結部71は、上下方向に延びており、フランジ側締結部72は、デバイス側締結部71の上端から上側フランジ部12に向けて前方(または後方)に延びている。
前側のデバイス側締結部71は、ボルトB4及びナットN4を用いて電気デバイスDの前面に締結されている(後側のデバイス側締結部71も同様)。フランジ側締結部72は、その先端が上側フランジ部12の上面に当接した状態で、この上側フランジ部12に締結される。フランジ側締結部72の先端付近には、ボルトB2が挿通される挿通孔h10が形成されている。フランジ側締結部72は、ボルトB2と、補強部材51,52の内壁面(天井面)に溶着されたナットN2と、によって上側フランジ部12及び補強部材51,52に締結される。
なお、上側フランジ部12の締結部12aに設けられた挿通孔h2には円筒状のカラーC2が設置され、このカラーC2を介してボルトB2が挿通される。このように上下方向に延びるカラーC2を設置することで、電気デバイスDの荷重が作用する部分の剛性を高めることができる。
図6に示すように、本実施形態では、一対のフレーム部材7,7が前後で略対称となるように電気デバイスDに固定され、各フレーム部材7を上側フランジ部12に掛けた状態で締結するようにした。なお、実際には左右方向に沿って複数対のフレーム部材7が設置されている。デバイス側締結部71が電気デバイスDに締結され、かつ、フランジ側締結部72が上側フランジ部12に締結された状態において、電気デバイスDはケース本体11の底面から離間している。
(締結部材)
図3に示すボルトB1及びナットN1(締結部材)は、蓋2と、補強部材51,52と、フロアパネルFと、を締結するものである。ボルトB1は、補強部材51に溶着されたカラー61を貫通し、その軸部の下端がフロアパネルFよりも下側に突出している。ボルトB1の軸部のうちフロアパネルFの下側に突出した箇所にナットN1が螺合される。なお、フロアパネルFの下面に予めナットN1を溶着するようにしてもよい。なお、他のボルトB2〜B4、ナットN2〜N4については、詳細な説明を省略する。
<電気デバイスの搭載構造>
図2及び図8を参照して、上記のような構成を有する電気デバイス収容体Pは、キックアップ部5aとリヤフロアパネル6との間に設けられた開口部である孔Hに、車室30側から挿入され、フロアパネルFに締結されて後部座席9の下方に組み付けられる。
具体的には、電気デバイス収容体Pの前端側は、上側フランジ部12と下側フランジ部13との間の溝vに嵌め込まれた補強部材51を介して、ボルトB1とナットN1とによりフロントフロアパネル5に締結され、電気デバイス収容体Pの後端側は、溝vに嵌め込まれた補強部材52を介して、ボルトB1とナットN1とによりリヤフロアパネル6に締結される。
キックアップ部5a及びリヤフロアパネル6の左右両端は、車両前後方向に延設される左右一対の骨格部材8に固定されている。また、リヤフロアパネル6の下面には、補強部材52の後方にフロアクロスメンバ17が設けられている。
図8に示すように、キックアップ部5aの後方に配置された後部座席9は、前半部下面が電気デバイス収容体Pの上面、即ち、蓋2及び蓋2に一体形成された吸気カバー25で支持され、座部(ヒップポイント)となる後部座席9の後半部下面が、リヤフロアパネル6で支持されている。
フロントフロアパネル5及びキックアップ部5aの車室30内側は、上端部が後部座席9の下面と吸気カバー25の上面との間に挟持されたトリム15により覆われている。即ち、トリム15はフロントフロアパネル5及びキックアップ部5aの車室30内側を覆い、さらに上端部が後部座席9の下面まで延びて、吸気カバー25の上面に接続されている。トリム15には、車室30内の空気を取り入れるための吸気グリル16が、蓋2の縦壁23に対向する位置(前方)に設けられている。
図9に示すように、補強部材51の長さ(車幅方向長さ)L1及び補強部材52の長さ(車幅方向長さ)L2は、ケース1内の電気デバイスDが占める領域の車幅方向長さWより長く、且つ、左右一対の骨格部材8間の距離L3よりも短く設定されている。このため、右側の骨格部材8の車室30内側端部8aから補強部材51の右側端部51c又は補強部材52の右側端部52cまでの間、及び左側の骨格部材8の車室30内側端部8bから補強部材51の左側端部51d又は補強部材52の左側端部52dまでの間には、車幅方向の荷重に抗する補強がされていない空間Sが形成されている。したがって、側突などにより骨格部材8が車室30内側に変形しても、この空間Sが衝撃を吸収する緩衝領域となって、電気デバイス収容体Pに作用する荷重が緩和される。その結果、電気デバイス収容体Pのケース1内に収納された電気デバイスDを車幅方向の衝撃から確実に保護できる。また、骨格部材8が車室30内側に変形したときに空間Sを超えて電気デバイス収容体Pに作用する荷重は、補強部材51,52で受けられる。このため、電気デバイスDに作用する荷重を低減でき、側突に対する安全性が高まる。
また、特に、車両前方に位置する補強部材51は、骨格部材8にまで達していないので、後部座席9への乗降性が良好となる。このように、後部座席9への乗降性に影響を与えることなく、側突時に受ける荷重から電気デバイス収容体P内の電気デバイスDを保護できる。
図9に示すように、電気デバイスDを構成するバッテリ18は、複数の平型形状セルが車幅方向に積層されている。バッテリ18の耐荷重性能は、セルの積層方向が最も強いため、側突時の安全性が更に向上する。また、図8に示すように、電気デバイスDは、高さ方向に2段積みされて電気デバイス収容体P内に収容されている。これにより、電気デバイスDの前後方向長さ、即ち、電気デバイス収容体Pの前後方向長さが短縮されて補強部材51,52を狭い間隔で配置することができる。
以上説明したように、本実施形態に係る電気デバイスの搭載構造によれば、フロアパネルFが固定される左右一対の骨格部材8間に、電気デバイスDを収納する電気デバイス収容体Pが配置される。電気デバイス収容体Pは、後部座席9の下方に配置され、電気デバイス収容体Pの前後には、一対の骨格部材8間の距離L3より短い一対の補強部材51,52が配設され、一対の補強部材51,52を介して電気デバイス収容体Pの蓋2がフロアパネルFに締結されるので、骨格部材8と電気デバイス収容体P及び補強部材51,52との間の空間Sが側突などによる衝撃を吸収する緩衝領域として作用して、車幅方向から電気デバイス収容体Pのケース1が受ける荷重が緩和される。その結果、電気デバイス収容体Pのケース1内に収納された電気デバイスDを車幅方向の衝撃から確実に保護できる。また、後部座席9の下方に設けられた補強部材51,52は骨格部材8に達していないので、補強部材51,52によって後部座席9の乗降性が阻害されない。
また、電気デバイス収容体Pは、フロントフロアパネル5の後端部から立ち上り形成されたキックアップ部5aと、キックアップ部5aよりも車体後方に設けられたリヤフロアパネル6との間に配置されるので、尻部(ヒップポイント)を避けた後部座席9の前方側に電気デバイス収容体Pを搭載して、室内空間に影響を及ぼすことなく乗員性が確保される。
更に、ケース1は、一対の補強部材51,52を介してフロアパネルFに取り付け可能な上側フランジ部12及び下側フランジ部13を備える。上側フランジ部12及び下側フランジ部13は、補強部材51,52を前後方向に収納可能な溝vを有し、下側フランジ部13の下面に下側シール4が配設されるので、下側フランジ部13の強度を向上させてシール性能を高めることができる。また、上側フランジ部12、下側フランジ部13及び電気デバイスDの自重によりシール性能を十分に確保できる。
また、上側フランジ部12は、上側フランジ部12と下側フランジ部13との間の溝vに補強部材51,52を取り付けるための挿通孔h2と、蓋2を締結するための挿通孔h3と、を有するので、上側フランジ部12と下側フランジ部13との間の溝vに一対の補強部材51,52を取り付けて、蓋2をケース1に取り付けた状態の電気デバイス収容体PをフロアパネルFに締結することができる。また、上側フランジ部12及び下側フランジ部13と補強部材51,52の位置決めを不要として、ケース1に対する蓋2の取り付けが容易となる。
また、電気デバイス収容体Pは、キックアップ部5a及びリヤフロアパネル6間に開口された孔Hに挿入されるので、剛性のある上側フランジ部12及び下側フランジ部13と電気デバイスDの自重により車室外からのシール性を十分に確保することができる。
<変形例>
図10は、電気デバイス収容体が車室内に配置される変形例の電気デバイス搭載構造の要部斜視図である。図11は、図10に示す電気デバイス収容体のXI―XI矢視断面図である。
本変形例の電気デバイスの搭載構造が、上記説明した実施形態の電気デバイスの搭載構造と異なる点は、電気デバイス収容体Pが車室30内に配置されていることである。また、電気デバイス収容体Pが車室30内に配置されるため、電気デバイス収容体P単体でのシール機構を備えていない。この点以外は上記説明した実施形態と同様であり、図10及び図11において、図2及び図8と共通する構成要素には同じ参照符号が付されている。このため、上記説明した実施形態の電気デバイスの搭載構造と同一又は同等部分には同一符号又は相当符号を付して説明を簡略化又は省略する。
図10及び図11に示すように、本変形例のフロアパネルFは、電気デバイス収容体Pを収容可能な収納空間Gを有し、箱状に形成されたミドルフロア10を備える。ミドルフロア10の上端縁から外側に延びる環状のフランジ部10aは、フロント側がフロントフロアパネル5のキックアップ部5aに溶接されることで一体形成されている。また、フランジ部10aのリア側は、ボルトB1とナットN1とによりリヤフロアパネル6に締結されている。これにより、ミドルフロア10を含むフロアパネルFは所定高さまでの止水構造を有し、収納空間Gに収容された電気デバイス収容体Pは、防水された車室30内に配置された構成となる。
このように、本変形例の電気デバイス収容体Pは車室30内に配置されることから、電気デバイス収容体P単体での防水対策を必要としておらず、実施形態(図2〜図8)において説明した上側シール3及び下側シール4を備えていない。なお、ケース1と蓋2との接合部には、例えば、エプトシール(図示せず)などのシール部材を配設して防塵対策しておくことが好ましい。また、万一、ミドルフロア10内に液体が侵入しても、電気デバイスDは、樹脂製のケース1内に収容されているので、高圧部品への影響が防止されている。
図示は省略するが、上記説明した実施形態の電気デバイスの搭載構造は、本変形例のように、電気デバイス収容体Pが車室30内に配置される場合にも適用することができ、補強部材51の長さL1及び補強部材52の長さL2は、ケース1内の電気デバイスDが占める領域の車幅方向長さWより長く、且つ、左右一対の骨格部材8間の距離L3よりも短く設定されることで、電気デバイス収容体Pのケース1内に収納された電気デバイスDを車幅方向の衝撃から確実に保護できる。また、後部座席9の下方に設けられた補強部材51,52は骨格部材8に達していないので、補強部材51,52によって後部座席9の乗降性が阻害されない。
尚、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。適用車両としてハイブリッド自動車について説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、例えば、モータのみを駆動源とする電気自動車であってもよい。
1 ケース
2 蓋(蓋部材)
3 上側シール(シール部材)
4 下側シール(シール部材)
5 フロントフロアパネル
5a キックアップ部
6 リヤフロアパネル
8 骨格部材
9 後部座席(座席)
12 上側フランジ部(取付フランジ)
13 下側フランジ部(取付フランジ)
51,52 補強部材
D 電気デバイス
F フロアパネル
H 孔(開口部)
h2 挿通孔(取付孔)
h3 挿通孔(締結孔)
L1 前補強部材の長さ
L2 後補強部材の長さ
L3 一対の骨格部材間の距離
P 電気デバイス収容体(電気デバイス収納部)
v 溝(補強部材収納部)

Claims (5)

  1. フロアパネルが固定される左右一対の骨格部材間に、電気デバイスを収納するケース及び前記ケースの開口を覆う蓋部材を有する電気デバイス収納部が配置される、電気デバイスの搭載構造であって、
    前記電気デバイス収納部は、座席の下方に配置され、
    前記電気デバイス収納部の前後には、前記一対の骨格部材間の距離より短い一対の補強部材が配設され、
    前記一対の補強部材を介して前記蓋部材が前記フロアパネルに締結される、電気デバイスの搭載構造。
  2. 請求項1に記載の電気デバイスの搭載構造であって、
    前記電気デバイス収納部は、フロントフロアパネルの後端部から立ち上がるように形成されたキックアップ部と、前記キックアップ部よりも車体後方に設けられたリヤフロアパネルとの間に配置される、電気デバイスの搭載構造。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電気デバイスの搭載構造であって、
    前記ケースは、前記一対の補強部材を介して前記フロアパネルに取付可能な取付フランジを備え、
    前記取付フランジは、前記補強部材の少なくとも一部を前後方向に収納可能な補強部材収納部を有し、
    前記取付フランジの下面にシール部材が配設される、電気デバイスの搭載構造。
  4. 請求項3に記載の電気デバイスの搭載構造であって、
    前記取付フランジは、前記取付フランジに前記一対の補強部材を取り付けるための取付孔と、前記蓋部材を締結するための締結孔と、を有する、電気デバイスの搭載構造。
  5. 請求項3に記載の電気デバイスの搭載構造であって、
    前記電気デバイス収納部は、前記キックアップ部及び前記リヤフロアパネル間に開口された開口部に挿入される、電気デバイスの搭載構造。
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