WO2014076740A1 - 電動乗物用バッテリパック - Google Patents

Abstract

　バッテリパック（２２）は、電動ユーティリティビークルの駆動用電力を蓄電する複数のバッテリと、複数のバッテリを収容するバッテリケース（３０）と、バッテリケース（３０）の外面に設けられ、バッテリを下方から支持する外部枠体（４０）と、を備え、外部枠体（４０）は、バッテリケース（３０）の下面に配置される下方支持部（４０ｂ）と、バッテリケース（３０）の上面に配置される上方支持部（４０ａ）と、この下方支持部（４０ｂ）と上方支持部（４０ａ）とを連結する連結部（４０ｃ）とを有する。これにより、バッテリケース（３０）の厚みを大きくすることなく、バッテリと外部との絶縁性を担保しつつ、バッテリケース（３０）において必要な剛性を確保することができる。

Description

電動乗物用バッテリパック

　本発明は、電気エネルギーにより車両走行用の回転動力を発生させる電動乗物用のバッテリパックに関する。

　近年、環境保護等の観点から、バッテリに蓄えられた電気エネルギーで駆動される電気モータを走行動力源とした電動車両（電動乗物）が開発されている（例えば、特許文献１）。すなわち、特許文献１では、バッテリで駆動される走行モータと、バッテリを充電する発電装置と、走行モータを制御するモータコントローラと、発電装置を制御する発電機制御ＣＰＵとを備えた電動ゴルフカートが記載されている。

特開２００６－１９８０４８号公報

　ところで、上述したような電動乗物のバッテリは、バッテリケース（バッテリ収容容器）内に収められた状態で電動乗物に取り付けられており、このバッテリケースには絶縁性が求められている。このため、バッテリケースは、例えば、絶縁性の合成樹脂を使って形成されている。

　しかしながら、バッテリケースを持ち上げて移動させる場合、バッテリケースはバッテリの自重に対応できるような十分な剛性が求められる。ここでバッテリケースの剛性を高めるためには、バッテリケースの厚みを大きくする構成が考えられるが、バッテリケースの厚みを大きくすると、バッテリケースを取り付けるために、電動乗物内においてより大きな空間が必要となる。

　そこで本発明は、バッテリ収容容器の厚みを大きくすることなく、バッテリと外部との絶縁性を担保しつつ、バッテリ収容容器において必要な剛性を確保することができる電動乗物用バッテリパックを提供することを目的とする。

　本発明に係る電動乗物用バッテリパックは、上記した課題を解決するために、電動乗物の駆動用電力を蓄電する複数のバッテリと、前記複数のバッテリを収容する絶縁樹脂製のバッテリ収容容器と、前記バッテリ収容容器の外面に設けられ、前記バッテリを下方から支持する外部枠体と、を備え、前記外部枠体は、バッテリ収容容器の下面に配置される下方支持部と、バッテリ収容容器の上面に配置される上方支持部と、該下方支持部と該上方支持部とを連結する連結部とを有する。

　上記した構成によると、前記外部枠体は、前記上方支持部が前記連結部を介して前記下方支持部と連結されているため、例えば、前記上方支持部を持ち上げることで、前記下方支持部により下方からバッテリ収容容器を支持して持ち上げることができる。このため、例えば、バッテリの交換等のためバッテリ収容容器の持ち上げ時に該バッテリ収容容器が破損しないようようバッテリ収容容器全体の剛性を過剰に高める必要がない。つまり、バッテリ収容容器の剛性を過剰とする必要がないためバッテリ収容容器の厚みが大きくなることを防ぐことができる。

　また、バッテリ収容容器の外面に外部枠体が設けられているため、絶縁性を担うバッテリ収容容器と、該バッテリ収容容器の支持を担う外部枠体とをそれぞれ別素材で構成することができる。さらには、バッテリ収容容器によって外部枠体とバッテリ（帯電部材）との電気的接触を防ぐことができる。

　したがって、本発明に係る電動乗物用バッテリパックは、バッテリ収容容器の厚みを大きくすることなく、バッテリと外部との絶縁性を担保しつつ、バッテリ収容容器において必要な剛性を確保することができる。

　また、本発明に係る電動乗物用バッテリパックは、上記した構成において、前記外部枠体は、前記上方支持部において、吊り下げ用の吊具を着脱可能に取り付けるための取り付け部を備える構成であってもよい。

　上記した構成によると、取り付け部を備えるため、吊具が不要の場合は、吊具をはずしておくことができる。このため、電動乗物側に吊具を配備しておくためのスペースを確保しておく必要がなく、電動乗物内におけるスペースを有効活用することができる。また、取り付け部を複数備え、適切な位置に配置することで、吊具により安定した状態で電動乗物用バッテリパックを持ち上げることができる。

　また、本発明に係る電動乗物用バッテリパックは、上記した構成において、前記外部枠体は、前記電動乗物の車体フレームに固定するための固定具が取り付けられる固定部を備える構成であってもよい。

　上記した構成によると、外部枠体が固定部を備えるため、外部枠体を介して前記バッテリ収容容器を電動乗物の車体フレームに固定することができる。すなわち、複数のバッテリを収容する前記バッテリ収容容器をじかに電動乗物の車体に固定するのではなく、外部枠体を介して車体フレームに固定される構成である。このため、本発明に係る電動乗物用バッテリパックは、前記固定具を介して及ぼされるバッテリの自重がバッテリ収容容器に直接かかることなく安定して車両に搭載することができる。

　また、本発明に係る電動乗物用バッテリパックは、上記した構成において、前記バッテリ収容容器において、前記外部枠体により覆われていない領域に該バッテリ収容容器内に連通する開口と、該開口を塞ぐ蓋部とが設けられており、前記バッテリ収容容器内における前記開口近傍に、前記バッテリ収容容器内のバッテリからの電力供給を遮断するためのサービスプラグが配置されていてもよい。

　上記した構成によると、前記開口近傍に前記サービスプラグが配置されているため、前記蓋部を取り除けば必要に応じてこのサービスプラグを操作することができる。このため、本発明に係る電動乗物用バッテリパックは、前記外部枠体と前記バッテリ収容容器とを分離することなく必要に応じて、バッテリからの電力供給を遮断することができる。

　また、本発明に係る電動乗物用バッテリパックは、上記した構成において、前記複数のバッテリを集合させた状態で前記バッテリ収容容器内に収容させるための内部枠体を備え、前記内部枠体は、前記複数のバッテリ同士を連結して保持する保持部と、前記保持部によって複数のバッテリが連結されたバッテリ集合体を下方から支持するために該バッテリ集合体の下面に配置されるバッテリ支持部と、を有し、前記バッテリ支持部は、バッテリ収容容器内の底面における複数個所で面接触している構成であってもよい。

　上記した構成によると、前記保持部と前記バッテリ支持部とを有する内部枠体を備えるため、該内部枠体によって複数のバッテリを集合させた状態でバッテリ収容容器内に収容することができる。このため、複数のバッテリのバッテリ収容容器内への収容作業を容易化することができる。

　また、前記内部枠体では、前記バッテリ支持部がバッテリ収容容器内の底面において複数個所で面接触している構成である。このため、バッテリ支持部により支持しているバッテリ集合体の自重を分散させバッテリ収容容器に作用させることができる。

　以上の説明から明らかなように、本発明によれば、バッテリ収容容器の厚みを大きくすることなく、バッテリと外部との絶縁性を担保しつつ、バッテリ収容容器において必要な剛性を確保することができる。

本発明の第１実施形態に係る電動ユーティリティビークルを示す斜視図である。 図１の電動ユーティリティビークルを示す平面図である。 図１に示す電動ユーティリティビークルへのバッテリパックの取り付け状態の一例を示す平面図である。 図１に示す電動ユーティリティビークルへのバッテリパックの取り付け状態の一例を示す斜視図である。 図３および図４に示すバッテリパックから外部枠体を取り外したバッテリケースの外観形状を示す斜視図である。 図３および図４に示すバッテリパックの取り付け構造を示す断面図である。 図３および図４に示すバッテリパックの搬出方法を示す左側面図である。 本実施の形態に係るバッテリアセンブリの一例を示す斜視図である。 図３、４に示すバッテリパックにおいて、バッテリケースに備えられた空気吸入部周辺を示す図である。

　以下、本発明の実施形態に係る電動ユーティリティビークル（電動乗物）１の構成について説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、電動ユーティリティビークル１に搭乗した運転者から見た方向を基準とする。

　（第１実施形態）
　（電動ユーティリティビークルの構成）
　図１は、本発明の第１実施形態に係る電動ユーティリティビークル１を示す斜視図である。図１に示すように、電動ユーティリティビークル１は、内燃機関を備えず、化学反応を用いて電力を供給する電源から回転動力を発生して車輪を駆動する電動乗物である。電動ユーティリティビークル１は、車体２の前部に左右一対の前輪３を備え、後部に左右一対の後輪４を備えている。左右の前輪３の間のフロント空間Ｓ１はボンネット５により上方から覆われている。このフロント空間Ｓ１内にラジエータ１０（図２参照）等が備えられている。ボンネット５の後方である車体前後方向の中央付近には、運転者及び同乗者が着座する横長のシート６が設けられている。車体２には、フロント空間Ｓ１とシート６が配置された搭乗空間Ｓ２とを仕切るダッシュボード７が設けられている。車体２には、車体フレーム２０としてボンネット５の左右両側からシート６の斜め後下方のフロアフレーム１１と該フロアフレーム１１にわたって、シート６が配置された搭乗空間Ｓ２を囲むキャビンフレーム８が設けられている。

　キャビンフレーム８は金属製の円筒パイプであり、搭乗空間Ｓ２の前後左右及び上部を開放するように形成されている。即ち、車体２は、搭乗空間Ｓ２に出入りするためのドアを備えていない。車体２には、搭乗空間Ｓ２の後方において荷台９が設けられている。荷台９は、平面視四角形の底壁と、底壁の四辺から上方に突出する側壁とを有しており、上方に開放されている。荷台９には、後輪４の上方を覆う第１フェンダー１８ａが取り付けられており、フロアフレーム１１には、第１フェンダー１８ａの前側に続く第２フェンダー１８ｂが取り付けられている。荷台９は、手動又は自動で後傾するようにバンク可能である。

　図２は、図１の電動ユーティリティビークル１を示す平面図である。なお、図２は、シート６及び荷台９（図１参照）を取り外した状態を示している。図２に示すように、車体２は、車体フレーム２０としてシート６（図１参照）を下方から支持するシートフレーム１２をさらに有している。シートフレーム１２には、前後に延びる左右一対の車体フレーム２０であるリヤフレーム１３の前端部が接続されており、リヤフレーム１３は、荷台９（図１参照）を下方から支持する。左右のリヤフレーム１３の後側部分は、車幅方向に延びるクロスメンバ１４により互いに接続されている。後輪４には、車幅方向に延びる車軸１６が接続されており、左右の後輪４のハブ１５を左右に連結する連結部材１７が車軸１６の後方で車幅方向に延びている。

　車体２には、後輪４を（四輪駆動時には前輪３も）駆動するためのモータユニット１９と、モータユニット１９を制御するためのインバータ２１等が収容されたコントローラケース６５（バッテリユニット）と、インバータ２１に供給する電力を蓄えたバッテリパック２２とが設けられている。バッテリパック２２は、その車幅方向左側の外面（上面）に外部の充電コネクタ（図示せず）を接続するための充電口２２ａを有している。

　モータユニット１９、インバータ２１、およびバッテリパック２２は、ダッシュボード７よりも後方に設けられている。これらのうちモータユニット１９，インバータ２１は、キャビンフレーム８よりも後方で且つ荷台９（図１参照）で覆われた下方に配置されている。一方、バッテリパック２２は、シート６（図１参照）の下方のシートフレーム１２で囲まれた空間に配置されている。

　なお、本実施の形態に係る電動ユーティリティビークル１では、上述したバッテリパック２２の剛性を高めるための工夫がなされている。バッテリパック２２の構成についての詳細は後述する。

　インバータ２１は、左側のリヤフレーム１３の前部に対して車幅方向外側（本例では左側）に配置されている。モータユニット１９は、バッテリパック２２の後側で且つ車軸１６の前側に配置されている。モータユニット１９は、平面視で左右のリヤフレーム１３の間の領域における車幅方向片側（本例では左側）の部分に配置されており、その駆動軸（図示せず）は車幅方向（本例では右方向）に向けて突出している。なお、モータユニット１９は、ギヤボックス２５を介して動力を後輪へ伝えている。

　（バッテリパックの構成）
　本実施の形態に係るバッテリパック２２の構成について図３から図５を参照して説明する。図３は、図１に示す電動ユーティリティビークル１へのバッテリパック２２の取り付け状態の一例を示す平面図である。図４は、図１に示す電動ユーティリティビークル１へのバッテリパック２２の取り付け状態の一例を示す斜視図である。図５は、図３および図４に示すバッテリパック２２から外部枠体４０を取り外したバッテリケース３０の外観形状を示す斜視図である。

　上述したように、バッテリパック２２は、シート６（図１参照）の下方のシートフレーム１２で囲まれた空間に配置されている。そして、バッテリパック２２の長手方向が電動ユーティリティビークル１の車体２の車幅方向に平行に延びるように配置されている。　バッテリパック２２は、図３および図４に示すように、複数のバッテリ４９（図８参照）をまとめて収容するためのバッテリケース３０と、バッテリケース３０の外面に配置され、バッテリケース３０の吊り下げ時に、このバッテリケース３０を下方から支持する外部枠体４０を備えてなる構成である。

　（バッテリケース）
　バッテリケース３０は、図５に示すように、絶縁性の合成樹脂で形成されたケース本体部３１とケース蓋部３２とから構成される。ケース本体部３１は、上部面が開口しており、その内部にバッテリ４９の収容空間を形成している。ケース本体部３１の開口は、ケース蓋部３２によって塞がれるようになっている。ケース蓋部３２の縁は、ケース本体部３１の開口の縁と重なり合うようになっており、この重なりあった外周の縁部分が図３に示すように複数の締結具３４（例えば、ネジやボルト）によって締結されるようになっている。これにより、ケース蓋部３２をケース本体部３１に対して液密的に固定することができる。

　このように、バッテリケース３０は、ケース蓋部３２を上方からケース本体部３１に被せた上下割り構造となっている。すなわち、ケース蓋部３２の下縁がケース本体部３１の開口外側に配置されている。このため、バッテリケース３０の上方からバッテリケース３０の下方に向かって流れる雨水がケース内に浸入することを防ぐことができる。このように、バッテリケース３０は上下割り構造となっているため、左右割り構造とする場合と比較して、ケース蓋部３２とケース本体部３１との境界部分（接合部分）への被水を低減させることができる。

　また、ケース本体部３１は、図５に示すように、バッテリケース３０の周囲に設けられた他の外部機器と干渉しないように、部分的に凹凸が形成されているが、全体的にみて、上部面が開口した略直方体形状の容器といえる。そして、バッテリケース３０を電動ユーティリティビークル１に取り付けた状態において、ケース本体部３１の右側部にはバッテリケース３０内を冷却する空気を取り入れるための空気吸入部（図３後述の図９参照）３６が形成されている。一方、ケース本体部３１の左側部には、バッテリケース３０内を流通した空気が排出される空気排出部３５（図５参照）が形成されている。すなわち、空気吸入部３６および空気排出部３５は、バッテリケース３０の長手方向両側にそれぞれ配置されている。なお、冷媒としてバッテリケース３０内に供給される空気の流れについては後述する。

　また、ケース本体部３１の底面には、その底面の外周を囲むように下方に窪んだ溝部が形成されている。そして、溝部の一部にバッテリケース３０内に溜まった水分を排出するための排水口が形成されている。

　このように、ケース本体部３１に形成された溝部に排水口が形成されているため、例えば、結露等によりバッテリケース３０内に水滴が生じた場合であっても、この水滴を底面に形成されている溝部内に貯め、排水口から外部に排出させることができる。

　ケース蓋部３２は、図３に示すように、その平面視した形状は略長方形であり、バッテリケース３０を電動ユーティリティビークル１に取り付けた状態において前後方向の寸法よりも左右方向の寸法の方が長くなっている。

　ケース蓋部３２は、左右方向における略中央部分でかつ、後方側には、外部枠体４０が配置されていない領域が形成されており、この領域にプラグ蓋部３３が配置されている。つまり、ケース蓋部３２では、ケース本体部３１内に配置された後述するサービスプラグ（図８参照）５６と対応する位置に略方形の開口が形成されており、この開口を塞ぐために該開口よりも一回り大きな寸法となる略方形のプラグ蓋部３３が取り付けられている。プラグ蓋部３３の外周は、ケース蓋部３２と重なり合うようになっており、この重なりあった外周部分を複数の締結具３７によって螺旋止めすることでケース蓋部３２にプラグ蓋部３３が取り付けられる。このようにプラグ蓋部３３が設けられているため、作業者は、ケース蓋部３２を開けることなくサービスプラグ５６にのみアクセスすることができる。

　また、図３に示すようにバッテリケース３０を電動ユーティリティビークル１に取り付けた状態において、ケース蓋部３２の後方側にある左角近傍には充電口２２ａが設けられている。この充電口２２ａは外部からの電力供給を受けるための受け口であり、バッテリケース３０内に収容されている複数のバッテリ４９と２本の接続コード３８を介して接続されている。このように、ケース蓋部３２の上面に充電口２２ａが配置されているため、バッテリパック２２のバッテリ４９に電力を充電させるために、ケース蓋部３２を取り外す必要がない。

　（外部枠体）
　ところで、バッテリケース３０内に収容される後述するバッテリアセンブリ４８は、約６０Ｋｇの重さとなる。このため、バッテリケース３０の吊り上げ時にこのバッテリアセンブリ４８の重さによりバッテリケース３０が破損しないように、外部枠体４０によりバッテリケース３０を保護するように構成されている。

　ここで、外部枠体４０について詳細に説明する。図３および図４に示すように、外部枠体４０は、バッテリケース３０の上面（ケース蓋部３２の上面）に配置される上方支持部４０ａ、バッテリケース３０の下面（ケース本体部３１の下面）に配置される下方支持部４０ｂ、ならびにこれら上方支持部４０ａと下方支持部４０ｂとを連結する連結部４０ｃから構成されている。外部枠体４０は、例えば、鉄、ステンレス、またはアルミなどの金属から構成される。この外部枠体４０は、連結部４０ｃを介して上方支持部４０ａと下方支持部４０ｂとによってバッテリケース３０を上下方向で挟み込むことで該外部枠体４０によって囲まれた空間内にバッテリケース３０を保持することができる。また、上方支持部４０ａ、下方支持部４０ｂ、および連結部４０ｃによってバッテリケース３０を囲うことによりバッテリケース３０を外部から作用する力から保護することができる。

　上方支持部４０ａは、図３に示すように、主としてバッテリケース３０の長手方向（電動ユーティリティビークル１の左右方向）に平行して延伸した２本の長手棒部材４０ａ１，４０ａ２の間を複数の補強部材４０ａ３が所定間隔で架設された所謂、はしご状形状をしている。なお、上方支持部４０ａでは、２本の長手棒部材４０ａ１，４０ａ２のうち、電動ユーティリティビークル１の後方側に配置される長手棒部材４０ａ２は、厳密には長手方向中間部分で分断されている。そして、この分断されている区間では、長手棒部材４０ａ２と略平行に配置された補助棒部材４０ａ４が、補強部材４０ａ３間に架設されている。なお、上述した長手棒部材４０ａ１、４０ａ２ならびに補強部材４０ａ３は、中空の角材により構成されており、これら各部材が溶接され上方支持部４０ａを形成している。

　ここで２本の長手棒部材４０ａ１，４０ａ２のうち、電動ユーティリティビークル１の後方側に配置される長手棒部材４０ａ２を分断せずそのまま左右方向に延伸させた場合、プラグ蓋部３３上に配置されてしまい、プラグ蓋部３３の開閉を阻害することとなる。そこで、本実施形態に係る上方支持部４０ａは、自身の剛性を損なうことなくプラグ蓋部３３の開閉を阻害しないようにするため、電動ユーティリティビークル１の後方側に配置される長手棒部材４０ａ２の一部の区間を分断させるとともに、補助棒部材４０ａ４が設けられている。

　また、上方支持部４０ａは、長手棒部材４０ａ１，４０ａ２から電動ユーティリティビークル１の前後方向に向かって外側に突出した金属性の突出部材４１を複数備えている。本実施形態では、突出部材４１は、上方支持部４０ａを構成する各長手棒部材４０ａ１，４０ａ２につき２つずつ備えられている。突出部材４１は、バッテリケース３０の上面に沿って長手棒部材４０ａ１，４０ａ２とは略垂直となる方向に延伸している。

　突出部材４１は、後述する取り付け部４３と、その先端部に設けられた第１固定部４２とを有し、第１固定部４２で上方支持部４０ａと連結部４０ｃとが結合されている。つまり、突出部材４１は、図３および図４に示すように、その外縁が上方に立ち上がっており、断面は略コ形状となる。そして、突出部材４１の先端部には、上方に向かって立ち上がった面（第１固定部４２）が形成されている。そして、第１固定部４２と連結部４０ｃの固定部（不図示）とが締結部材４２ａによって着脱可能に締結されている。なお、第１固定部４２と連結部４０ｃとはゴムダンパー（不図示）を介して締結される構成であってもよい。

　このように、第１固定部４２は、シートフレーム１２とバッテリケース３０とが互いに隣接している位置から離れて配置される。このため、車体２にバッテリパッ３０を配置した状態で、作業者はシートフレーム１２によって干渉されることなく第１固定部４２にアクセスすることができる。このように作業者は第１固定部４２へのアクセスが容易となるため、上方支持部４０ａと連結部４０ｃとの着脱作業を効率よく行うことができる。

　また、上方支持部４０ａでは、突出部材４１が左右方向において所定の間隔をあけて、長手棒部材４０ａ１、４０ａ２それぞれから前後方向に突出するように４箇所形成されている。このため、パックを安定して吊り上げることができるとともに、上方支持部４０ａと連結部４０ｃとを連結することができる。

　さらに突出部材４１では、該突出部材４１内において横架するように配置された金属板上に、後述するフック７０ｂを引っ掛けるための取り付け部４３が設けられている。この取り付け部４３にクレーンなどの吊り上げ機器のフック７０ｂを引っ掛けることができるようになっている。なお、突出部材４１において、この取り付け部４３と第１固定部４２とが別々の部材として設けられていてもよいし、共通部品として共用される部材であってもよい。取り付け部４３と第１固定部４２とが共通部品として形成されている場合、部品点数を削減できる点で有利である。

　上方支持部４０ａは、図３に示すように、長手棒部材４０ａ１，４０ａ２の両端部に、バッテリパック２２を取り巻く車体フレーム２０又はそれに固定されたブラケットなどの外部部材との固定に用いる複数の第２固定部４４が設けられている。すなわち、第２固定部４４は、バッテリパック２２の側面に対して垂直の方向（バッテリパック２２を取り巻く車体フレーム２０に固定された外部部材に向かう方向）に突出している。そして、図３に示すように上方支持部４０ａを左右方向で挟み込むように配置された２つのシートフレーム１２に対して第２固定部４４でこの上方指示部４０ａを固定する。なお、これら第２固定部４４は、車体フレーム２０または外部部材に対して、締結部材４４ａにより着脱可能に締結することができる構成となっている。

　このように第２固定部４４を備えるため、バッテリパック２２はより強固に電動ユーティリティビークル１に固定することができる。なお、第２固定部とシートフレーム１２または外部部材との間において隙間などが生じ、電動ユーティリティビークル１の走行時にバッテリパック２２ががたつくことを防ぐために、第２固定部４２とシートフレーム１２または外部部材との間にゴムダンパー（不図示）が配置されていてもよい。

　なお、第２固定部４４は、例えば、外部部材の上面に重なるように配置され、締結部材４４ａにより固定される構成である。このため、バッテリケース３０の下方を、上方支持部４０ａが取り付けられた車体フレーム２０よりも下方に配置させることができる。それゆえ、締結部４４ａを介して上方支持部４０ａと締結される車体フレーム２０の剛性については高める必要があるが、下方支持部４０ｂを支える車体フレーム２０の剛性については低減させることができる。

　また、上方支持部４０ａは、バッテリケース３０よりも上方に配置され、かつ２つの第２固定部４４の間を長手棒部材４０ａ１，４０ａ２それぞれが延設した構造となる。このため、バッテリパック２２の上方にシート６など他部品が配置されても、他部品を長手棒部材４０ａ１，４０ａ２で支持することができるため、他部品の荷重がバッテリケース３０に直接、及ぼされることを防ぐことができる。

　下方支持部４０ｂは、バッテリケース３０の底面と面接触し、バッテリケース３０を下方から支持するものである。下方支持部４０ｂは、バッテリケース３０の底面形状に応じた形状の平板から形成されている。図４に示すように、下方支持部４０ｂは、バッテリケース３０を平面視したとき短辺側となるバッテリケース３０の両側面と接する側の端部それぞれでは、このバッテリケース３０の側面の一部と面接触するように屈曲している。また、下方支持部４０ｂは、バッテリケース３０を平面視したとき長辺側となるバッテリケース３０の両側面では、この側面を部分的に覆うように面接触しながら上方支持部４０ａと連結するように屈曲している。本実施形態では、上述したようにバッテリケース３０の短辺側の両側面ならびに長辺側の両側面それぞれにおいて部分的に面接触している部分を連結部４０ｃと称する。

　連結部４０ｃは、図４に示すようにバッテリケース３０の４つの側面それぞれに沿うように配置された枠状の平板部材である。連結部４０ｃはその上方部分で上方支持部４０ａの第１固定部４２と着脱可能に接合され、下方部分で下方支持部４０ｂとが一体に形成されている。そして、連結部４０ｃは上方支持部４０ａと下方支持部４０ｂとが外れないように両者を連結している。　このため、バッテリパック２２の吊り上げ時には、バッテリケース３０の自重を受けている下方支持部４０ｂを、連結部４０ｃを介して上方支持部４０ａに及ぼされる上向きの力により持ち上げることができる。

　また、連結部４０ｃは、少なくともバッテリケース３０の４つの側面における下方部分を覆っており、外部枠体４０に対してバッテリケース３０が前後左右にずれることを防ぐことができるようになっている。さらにまた、連結部４０ｃは、電動ユーティリティビークル１による加速または減速により、あるいは衝突により車両２において垂直な方向に衝撃が生じる場合であっても、バッテリケース３０が外部枠体４０に対して上下にずれることを防ぐことができるようにもなっている。

　また、図４に示すように、連結部４０によってバッテリケース３０の短辺側の側面を覆う割合よりも、長辺側の側面を覆う割合の方が大きくなるように構成されている。このため、電動ユーティリティビークル１による加速または減速に起因し、バッテリケース３０の長辺側に衝撃が及ぼされたとしてもバッテリケース３０を支持することができる。

　また、外部枠体４０は、上述したように上方支持部４０ａに第１固定部４２および第２固定部４４が設けられている構成である。このように、作業者がアクセスしやすい上方支持部４０ａに第１固定部４２および第２固定部４４を設けるため、外部枠体４０の着脱作業を容易に行なうことができ、バッテリケース３０内に収容されている後述する電装品をメンテナンスすることができる。

　（バッテリパックの取り付け構造）
　次に、図６を参照して、バッテリパック２２の車体２への取り付け構造について説明する。図６は、図３および図４に示すバッテリパック２２の取り付け構造を示す断面図である。図６に示すように、バッテリケース３０の下面（または下方支持部４０ｂの下面）には、ゴム等の弾性材料からなる緩衝材４７が設けられている。図３に示すように、締結部材４４ａを用いて第２固定部４４をブラケット等の外部部材に締結すると、図６に示すように、バッテリケースの下面（または下方支持部４０ｂの下面）とフロアパネル２３の上面との間で緩衝材４７が圧縮される。

　以上のように、バッテリパック２２は、フロアパネル２３上に緩衝材４７を介して取り付けられる。このように取り付けられているバッテリパック２２は、以下のようにして、作業者により搬出することができる。

　（バッテリパックの搬出方法）
　図７を参照してバッテリパック２２の搬出方法について説明する。図７は、図３および図４に示すバッテリパック２２の搬出方法を示す左側面図である。まず、シート６に対するロック機構の設定および解除について説明する。

　シート６は、図７に示すように、複数のＵ字形状の係止部材６２が電動ユーティリティビークル１の左右方向に一定の間隔で、設けられている。そして、各係止部材６２の略半円筒状の部分６２ａがクロスパイプ部６１の外周面に回転自在に係止されている。このような構成において、シート６がシートフレーム１２上に配置された状態では、シート６がロック機構（不図示）によって固定される。このロック機構を解除すると図７に示すように、各係止部材６２を中心としてシート６を上方に回動させる。このようにシート６が移動することにより、バッテリ収容空間Ｓ３が上方に開放され、バッテリ収容空間Ｓ３内にあるバッテリパック２２を上方に取り出すことができるようになる。

　したがって、電動ユーティリティビークル１において、バッテリパック２２を車体外に搬出する場合、図７に示すように、各係止部材６２を中心としてシート６を上方に回動させ、バッテリ収容空間Ｓ３内のバッテリパック２２を上方に向けて露出させる。そして、第２固定部４４と車体フレーム２０とを締結している締結部材４４ａを取り外す。その後、車体２の上方からバッテリパック２２に向けて吊具７０を下降させ、この吊具７０をバッテリパック２２に接続する。つまり、吊具７０のフック７０ｂをバッテリパック２２に設けられた外部枠体４０の取り付け部４３に引っ掛ける。

　続いて、吊具７０でバッテリパック２２を吊り上げ、バッテリ収容空間Ｓ３から持ち上げる。このようにして、作業者は、バッテリパック２２を上方に持ち上げて容易に搬出させることができる。

　逆に、搬出したバッテリパック３０を車体２に取り付ける場合、吊具７０で吊り上げられているバッテリパック２２を降下させ、バッテリパック２２に隣接する車体フレーム２０で第２固定部４４を介してバッテリパック２２の外部枠体４０を支持させる。このとき車体フレーム２０とバッテリパック２２とを締結する外部枠体４０の第２固定部４４は、バッテリケース３０よりも電動ユーティリティビークル１の左右方向に突出している。このため、第２固定部４４を介して外部枠体４０を容易に車体フレーム２０に支持させることができる。そして、このように外部枠体４０を、車体フレーム２０に支持させた状態で、吊具７０を取り付け部４３からはずして、外部枠体４０の第２固定部４４と車体フレーム２０とを固定する固定作業を進めることができる。なお、第２固定部４４は、外部枠体４０の上方支持部４０ａにおける左右方向の端部にそれぞれ複数配置されているため、車体フレーム２０により安定した状態でバッテリパック２２を支持することができる。

　（バッテリアセンブリの構造）
　次に、上記したバッテリケース３０に収容される複数のバッテリ４９から構成されるバッテリアセンブリ４８について図８を参照して説明する。なお、バッテリ４９は、電動ユーティリティビークル１の駆動用電力を蓄電するものであり、例えば、リチウムイオン電池などの二次電池が利用できる。図８は、本実施の形態に係るバッテリアセンブリ４８の一例を示す斜視図である。

　複数のバッテリ４９は、それぞれ単体でバッテリケース３０に収容されているのではなく、図８に示すように、内部枠体５０により固定され、組み立てられた集合体（バッテリアセンブリ４８）の状態で収容されている。

　図８に示すように、各バッテリ４９は略直方体形状の筐体内に収容されている。そして、各バッテリ４９は電気的に直列に接続され、内部枠体５０により所望の形状となるように組み立てられている。本実施形態では、図８に示すように複数連なったバッテリ４９が上段と下段とに分かれた形状となるように組み立てられている。

　内部枠体５０は、複数のバッテリ４９を連結させるためのものであり、図８に示すように、バッテリ下方支持部（バッテリ支持部）５０ａ、連結保持部（保持部）５０ｂ、およびバッテリ上方支持部（保持部）５０ｃを備えてなる構成である。

　バッテリ下方支持部５０ａは、下段において連結されている複数のバッテリ４９の底面に配置され、これらバッテリ４９を下方から支持するものである。図８に示すように、バッテリ下方支持部５０ａは、連結させる複数のバッテリ４９の底面の縁部分に沿って配置された枠体５０ａ１とこの枠体において下方に突出した複数の脚部５０ａ２とから構成されている。このため、バッテリ下方支持部５０ａは、縁部部分に沿って配置された枠体５０ａ１で複数のバッテリ４９をまとめて下から支えることができる。また、バッテリアセンブリ４８のバッテリケース３０への収容時には、バッテリケース３０内の底面において複数の脚部５０ａ２により複数箇所で面接触した状態となる。このため、バッテリ下方支持部５０ａにより支持している複数のバッテリ４９の自重を分散させバッテリケース３０内の底面に及ぼすことができる。

　連結保持部５０ｂは、図８に示すように複数のバッテリ４９において外部に露出している側面に配置される金属製の枠部材である。連結保持部５０ｂは、複数のバッテリ４９をまとめて覆うことで水平方向に配置されたバッテリ４９同士を連結する。さらには、連結保持部５０ｂは、バッテリ下方支持部５０ａとバッテリ上方支持部５０ｃとの間に配置され、これらバッテリ下方支持部５０ａとバッテリ上方支持部５０ｃとで上下方向に配置されたバッテリ４９同士を挟み込んで固定させる。

　連結保持部５０ｂは、大きく分けて上段に配置されているバッテリ４９を覆う枠部材と下段に配置されているバッテリ４９を覆う枠部材とに分離されており、これら枠部材は、互いに複数個所で締結具５１ａによって締結されている。また、連結保持部５０ｂは、下段の枠部材の下方端部でバッテリ下方支持部５０ａと締結具５１ｂによって締結され、上段の枠部材の上方端部でバッテリ上方支持部５０ｃと締結具５１ｃによって締結されている。

　バッテリ上方支持部５０ｃは、上段において連結されている複数のバッテリ４９の上面に配置され、これらバッテリ４９を上方において連結させるものである。図８に示すように、バッテリ上方支持部５０ｃは、連結させる複数のバッテリ４９の上面に配置され、複数の窓が形成された金属製の枠部材である。後述する電装部品等の配置のためにバッテリ上方支持部５０ｃは、異なる寸法の枠部材が複数、組み合わされて構成されている。

　また、本実施形態では、連結された複数のバッテリ４９を下方から支持するバッテリ下方支持部５０ａおよび、連結保持部５０ｂのうち下段に配置されるバッテリ４９の側面に配置される枠部材については、バッテリ４９の自重がかかるため、強度を高めるために、アルミの削りだしにより形成されている。一方、バッテリ上方支持部５０ｃおよび、連結保持部５０ｂのうち上段に配置されるバッテリ４９の側面に配置される枠部材については、バッテリ４９の自重による影響をそれほど受けないため、大きな強度は求められていない。このため、アルミの板金により形成される。

　また、図８に示すように、内部枠体５０と各バッテリ４９との間には、両者の隙間（寸法ずれ）を埋めるために複数のゴムダンパー５２が内部枠体５０（特には連結保持部５０ｂ）のバッテリ４９側の面に取り付けられている。これにより、内部枠体５０内でバッテリ４９が移動してがたつくことを防止することができる。

　また、バッテリアセンブリ４８は、図８に示すように、上述したバッテリ４９以外に様々な電装部品も一塊として扱えるようにバッテリ４９と一緒に組み合わされて配置されている。

　具体的には、図８に示すように、下段において連結されている複数のバッテリ４９の短辺側の側面に漏電センサ５３が取り付けられ、この漏電センサ５３の上方であって、上段において連結されている複数のバッテリ４９の短辺側の側面にバッテリーマネジメントユニット（ＢＭＵ）５４が取り付けられている。

　漏電センサ５３は、バッテリアセンブリ４８において漏電が生じているか否か検知するセンサである。検知結果はＢＭＵ５４に出力される。

　ＢＭＵ５４は、各バッテリ４９と接続されており、各バッテリ４９の状態を監視し、電圧制御や充電状態（ＳＯＣ）の管理などを行う制御回路である。ＢＭＵ５４は、各バッテリ４９の状態を監視し、その情報をモータユニット１９の制御等を行うメインコントロールユニット（不図示）などへ送信する。

　ＢＭＵ５４が取り付けられているバッテリ４９の右側面には、コンタクター５５が取り付けられている。また、図８に示すようにコンタクター５５においてＢＭＵ５４が取り付けられている側とは反対側となる側面と隣接する位置にサービスプラグ５６が設けられている。

　コンタクター５５は、バッテリ４９とインバータ２１との間の給電路に配置され、インバータ２１に向かうバッテリ電力のＯＮ、ＯＦＦを切り替えてモータ負荷の開閉を制御するものである。また、コンタクター５５の上方には上述した接続コード３８が接続される接続端子が設けられている。

　サービスプラグ５６は、点検整備時に取り外すことで、バッテリアセンブリ４８において高電圧を遮断し、作業安全性を確保するものである。

　また、ＢＭＵ５４が取り付けられているバッテリ４９の左側面には、メインヒューズ５７とバッテリアセンブリ４８内を流れる電流値を計測する電流センサ５８とが設けられている。

　以上のように、バッテリアセンブリ４８は、複数のバッテリ４９に加え、漏電センサ５３、ＢＭＵ５４、コンタクター５５、サービスプラグ５６、メインヒューズ５７、および電流センサ５８などの電装部品が一体となるように組み立てられている。このため、本実施の形態に係るバッテリパック２２は、これら電装部品とともにバッテリ４９をバッテリケース３０に収容することができる。なお、バッテリアセンブリ４８として一体に設ける電装部品は上記した部品に限定されるものではない。

　（バッテリケース内の冷却機構）
　次に、上記した図３に加え、図９を参照してバッテリケース３０内の冷却機構について説明する。図９は、上述した図３、４に示すバッテリパック２２において、バッテリケース３０に備えられた空気吸入部３６周辺を示す図である。図９に示すように、上述した図３、４に示すバッテリパック２２において、バッテリケース３０内に空気拡散部５９が収容されている。なお、図９では説明の便宜上、後述するシロッコファン６３から延びる第１パイプ６０をバッテリケース３０から取り外した状態で図示している。

　本実施の形態に係る電動ユーティリティビークル１は、車体フレーム２０が中空の筒形状をしており、空気の取り入れ口（不図示）が形成されている。そして、電動ユーティリティビークル１の走行時にこの取り入れ口から流入した空気が車体フレーム２０内を流通し、バッテリケース３０内へと流入するようになっている。これにより車体フレーム２０内を流通する空気はエアクリーナ６４へと導かれる。図３に示すようにエアクリーナ６４は、シロッコファン６３と接続されており、エアクリーナ６４を通過した空気はシロッコファン６３により第１パイプ６０を介してバッテリパック２２に送出される。

　図９に示すようにバッテリケース３０の右側部の下方には、窪みが形成されており、この窪み部分に空気吸入部３６が形成されている。この空気吸入部３６からは、バッテリケース３０内に収容された空気拡散部５９の空気流入口６６が突出しており、この空気流入口６６と第１パイプ６０とが連結されるように構成されている。

　空気拡散部５９は、バッテリケース３０内へ導いた空気をその内部で拡散させるものであり、１つの空気流入口６６と、複数の異なる方向を向いた面に形成された複数の空気流出口６８とを備えた中空部材である。空気拡散部５９は、例えば、図９に示すように、略三角柱形状をした中空部材である。円筒形状の空気流入口６６が形成されている面を第１側面６７ａとしたとき、第１側面６７ａから見て右側に位置する側面を第２側面６７ｂとし、左側の側面を第３側面６７ｃとする。空気拡散部５９は、これら第１側面６７ａ、第２側面６７ｂ、および第３側面６７ｃに加え、拡散上面６７ｄおよび拡散底面６７ｅの計５つの面により覆われている。これらの面のうち、第１側面６７ａを除く面には、複数の空気流出口６８が孔状に形成されている。そして、空気流入口６６を通じて流入した空気はこれら４つの面それぞれに形成された空気流出口６８から排出されることで、大きく４方向の空気の流れを作ることができる。このため、図８に示すように上下２段に複数のバッテリ４９を連結して組み立てたバッテリアセンブリ４８に対して偏りなく空気を送り込むことができる。したがって、このように拡散させて空気をバッテリケース３０内に送り込むことができるため、効率よくバッテリアセンブリ４８の空気による冷却を行なうことができる。

　バッテリケース３０内に導かれた空気は、空気吸入部３６が設けられている側面とは反対側の側面に形成されている空気排出部３５を通じて、バッテリケース３０外へと導かれる。

　このように、バッテリパック２２およびコントローラケース６５内の熱を奪った空気は車体フレームへと導かれて車体フレーム内を流通し、排出口（不図示）から外部に排出される。

　以上のようにして、本実施の形態に係るバッテリパック２２およびコントローラケース６５は冷却される。

　なお、本実施の形態に係る外部枠体４０は、上記したように上方支持部４０ａと下方支持部４０ｂとを連結部４０ｃにより連結する構造であった。ここで、上方支持部４０ａと連結部４０ｃとは、螺旋止めなどにより着脱可能に接合されている。この場合、外部枠体４０をすべてバッテリケース３０から取り外すことなくケース蓋部３２を取り外すことができる。そして、バッテリケース３０内から収容されているバッテリアセンブリ４８を取り出すことができる。つまり、バッテリアセンブリ４８を容易に、電動ユーティリティビークル１の車体から着脱自在とすることができる。

　なお、上述したように上方支持部４０ａと連結部４０ｃとの接合部を着脱可能とする構成に限定されるものではない。例えば、連結部４０ｃが上下に分離可能な２つの部材で構成されており、この連結部４０ｃを構成する２つの部材が着脱可能となっていてもよい。

　また、本実施の形態に係る電動ユーティリティビークル１は、シート６の下にバッテリパック２２を配置する構成であったがこの構成に限定されるものではない。例えば、荷台下に設けたスペースにバッテリパック２２が配置される構成であってもよい。より具体的には、車体２における左右のリヤフレーム１３の間に形成された空間の前部にバッテリパック２２が配置される。あるいは、バッテリパック２２をシート６の下と荷台下との両方に設けた構成であってもよい。

　また、本実施の形態に係るバッテリパック２２の構成は、例えば、図３に示すような配置に限定されるものではなく、左右逆に各部が配置された構成であってもよい。

　上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び／又は機能の詳細を実質的に変更できる。

　以上のように、本発明に係る電動乗物バッテリパックは、バッテリ収容容器の厚みを大きくすることなく、バッテリと外部との絶縁性を担保しつつ、バッテリ収容容器において必要な剛性を確保することができる効果を有し、この効果の意義を発揮できる電動ユーティリティビークル等に広く適用すると有益である。

　すなわち、比較的重いバッテリを備えるバッテリパックであれば、本発明は好適に適用可能である。例えば、二輪車、トラック、ゴルフカート、小型滑走艇などの乗物に用いられるバッテパックでも適用できる。その他、エンジンとバッテリとを搭載するハイブリッド車でも適用可能である。特に、乗物からバッテリパックを上方に持ち上げ可能な乗物（例えば、屋根が無く上方に開放された乗物）のバッテリパックとして特に好適に用いることができる。

１　　電動ユーティリティビークル（電動乗物）
１２　シートフレーム（車体フレーム）
２２　バッテリパック（バッテリパック）
３０　バッテリケース（バッテリ収容容器）
３３　プラグ蓋部（蓋部）
４０　外部枠体
４０ａ　上方支持部
４０ｂ　下方支持部
４０ｃ　連結部
４１　突出部材（固定部）
４２　第１固定部
４３　取り付け部
４４　第２固定部（固定部）

Claims (5)

1. 　電動乗物の駆動用電力を蓄電する複数のバッテリと、
   　前記複数のバッテリを収容する絶縁樹脂製のバッテリ収容容器と、
   　前記バッテリ収容容器の外面に設けられ、前記バッテリを下方から支持する外部枠体と、を備え、
   　前記外部枠体は、バッテリ収容容器の下面に配置される下方支持部と、バッテリ収容容器の上面に配置される上方支持部と、該下方支持部と該上方支持部とを連結する連結部とを有することを特徴とする電動乗物用バッテリパック。
2. 　前記外部枠体は、前記上方支持部において、吊り下げ用の吊具を着脱可能に取り付けるための取り付け部を備えることを特徴とする請求項１に記載の電動乗物用バッテリパック。
3. 　前記外部枠体は、前記電動乗物の車体フレームに固定するための固定具が取り付けられる固定部を備えることを特徴とする請求項1または２に記載の電動乗物用バッテリパック。
4. 　前記バッテリ収容容器において、前記外部枠体により覆われていない領域に該バッテリ収容容器内に連通する開口と、該開口を塞ぐ蓋部とが設けられており、
   　前記バッテリ収容容器内における前記開口近傍に、前記バッテリ収容容器内のバッテリからの電力供給を遮断するためのサービスプラグが配置されていることを特徴とする請求項１から３のいずれか１項に記載の電動乗物用バッテリパック。
5. 　前記複数のバッテリを集合させた状態で前記バッテリ収容容器内に収容させるための内部枠体を備え、
   　前記内部枠体は、前記複数のバッテリ同士を連結して保持する保持部と、
   　前記保持部によって複数のバッテリが連結されたバッテリ集合体を下方から支持するために該バッテリ集合体の下面に配置されるバッテリ支持部と、を有し、
   　前記バッテリ支持部は、バッテリ収容容器内の底面における複数個所で面接触していることを特徴とする請求項１から４のいずれか１項に記載の電動乗物用バッテリパック。

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