本発明の実施形態を、図面を用いて詳細に説明する。
[装置の全体構成]
図1は、本実施形態における光干渉断層撮影装置の構成を示す図である。本実施形態に係る光干渉断層撮影装置は、波長掃引型の光源からの光を、参照光と被写体を経由する測定光に分割し、これら2つの光束の干渉光から断層画像を得る光干渉断層撮影装置である。実施形態に係る光干渉断層撮影装置は、SS−OCT(Swept Source OCT;以下、OCT)100、走査型検眼鏡(Scanning Laser Ophthalmoscope:以下、SLO)140、前眼部撮像部160、内部固視灯170、制御部200を有する。
内部固視灯170を点灯して被検眼に注視させた状態で、前眼部撮像部160により観察される被検眼の前眼部の画像を用いて、装置のアライメントが行われる。アライメント完了後に、OCT100とSLO140による眼底の撮像が行われる。
<OCT100の構成>
OCT100は、波長掃引型の光源からの光により前記被検眼の前記撮影対象の部位を走査することにより断層画像を撮影する撮影部として機能する。OCT100の構成について説明する。
光源101は、波長を変化させることが可能な波長掃引型光源であり、例えば、中心波長1040nm、バンド幅100nmの光を出射する。光源101から出射された光は、ファイバ102、偏光コントローラ103を介して、ファイバカップラ104に導かれ、光量を測定するファイバ130とOCT測定するファイバ105に分岐される。光源101から出射された光は、ファイバ130を介し、PM(Power Meter)131にてパワーが測定される。ファイバ105を介した光は、第二のファイバカップラ106に導かれる。ファイバカップラ106は光源101からの光が伝送される光路を参照光路と測定光路とに分割する分割部として機能する。これにより光源からの光は、測定光(OCT測定光とも言う)と参照光に分岐される。偏光コントローラ103は、光源101から出射された光の偏光の状態を調整するものであり、直線偏光に調整される。ファイバカップラ104の分岐比は、99:1であり、ファイバカップラ106の分岐比は、90(参照光):10(測定光)である。
ファイバカップラ106で分岐された測定光は、ファイバ118を介してコリメータ117から平行光として出射される。出射された測定光は、眼底Erにおいて測定光を水平方向にスキャンするガルバノミラーから構成されるXスキャナ107、レンズ108、109、眼底Erにおいて測定光を垂直方向にスキャンするガルバノミラーから構成されるYスキャナ110を介し、ダイクロイックミラー111に到達する。Xスキャナ107、Yスキャナ110は、駆動制御部180により制御され、眼底Erで所望の範囲の領域を測定光により走査することができる。ダイクロイックミラー111は、950nm〜1100nmの光を反射し、それ以外の光を透過する特性を有する。
ダイクロイックミラー111により反射された測定光は、レンズ112を介し、ステージ116上に乗ったフォーカスレンズ114に到達する。眼底の網膜層の断層撮影を行う撮影モードの場合、フォーカスレンズ114で測定光は、被検体である眼の前眼部Eaを介し、眼底Erの網膜層にフォーカスされる。眼底Erを照射した測定光は各網膜層で反射・散乱し、上述の光路を経由してファイバカップラ106に戻る。眼底Erからの測定光はファイバカップラ106からファイバ125を介し、ファイバカップラ126に到達する。前眼部の断層撮影を行う撮影モードの場合、フォーカス位置を眼底ではなく前眼部の所定の部位に合わせる。この前眼部へのフォーカス調整は、フォーカスレンズ114の位置を移動させることにより行っても良いが、あるいは専用のレンズ等の光学部材をフォーカスレンズ114の前後の光路に挿入することでフォーカス位置を調整することができる。この場合、光学部材は駆動部により光路に対して挿脱可能である。駆動部は前眼部撮影モードが選択された場合には光学部材を光路に挿入し、眼底撮影モードが選択された場合には光学部材を光路中から退避させる。
一方、ファイバカプラ106で分岐された参照光は、ファイバ119を介してコリメータ120−aから平行光として出射される。出射された参照光は分散補償ガラス121を介し、コヒーレンスゲートステージ122上の参照ミラー123−a、123−bで反射され、コリメータ120−b、ファイバ124を介し、ファイバカップラ126に到達する。
コヒーレンスゲートステージ122は、参照ミラー123−a、123−bの位置を変更する変更部として機能し、係る機能により測定光の光路長と参照光の光路長を調整する。ミラー123は測定光の光路と参照光の光路の光路長が等しくなる位置が撮影対象付近となるように配置される。コヒーレンスゲートステージ122は被検眼の眼軸長の相違等に対応する為、駆動制御部180で制御される。駆動制御部180による制御については後述する。
ファイバカップラ126は参照光路を経由した参照光と測定光路を経由した測定光とを合波する合波部として機能する。これによりファイバカップら126に到達した測定光と参照光は合波されて干渉光となり、ファイバ127、128を経由し、合波された光を検出する光検出器である差動検出器(balanced receiver)129によって干渉信号が電気信号に変換される。変換された電気信号は信号処理部190で解析される。
<SLO140の構成>
SLO140の構成について説明する。
光源141は、半導体レーザであり、本実施例では、例えば、中心波長780nmの光を出射する。光源141から出射された測定光(SLO測定光とも言う)は、ファイバ142を介し、偏光コントローラ145で直線偏光に調整され、コリメータ143から平行光として出射される。出射された測定光は穴あきミラー144の穴あき部を通過し、レンズ155を介し、眼底Erにおいて測定光を水平方向にスキャンするガルバノミラーから構成されるXスキャナ146、レンズ147、148、眼底Erにおいて測定光を垂直方向にスキャンするガルバノミラーから構成されるYスキャナ149を介し、ダイクロイックミラー154に到達する。Xスキャナ146、Yスキャナ149は駆動制御部180により制御され、眼底上で所望の範囲を測定光で走査できる。ダイクロイックミラー154は、760nm〜800nmを反射し、それ以外の光を透過する特性を有する。
ダイクロイックミラー154にて反射された直線偏光の測定光は、ダイクロイックミラー111を透過後、OCT100のOCT測定光と同様の光路を経由し、眼底Erに到達する。
眼底Erを照射したSLO測定光は、眼底Erで反射・散乱され、上述の光学経路をたどり穴あきミラー144に達する。穴あきミラー144で反射された光が、レンズ150を介し、アバランシェフォトダイオード(以下、APD)152で受光され、電気信号に変換されて、信号処理部190で受ける。
ここで、穴あきミラー144の位置は、被検眼の瞳孔位置と共役となっており、眼底Erに照射された測定光が反射・散乱された光のうち、瞳孔周辺部を通った光が、穴あきミラー144によって反射される。
<前眼部撮像部160>
前眼部撮像部160について説明する。
前眼部撮像部160は、波長850nmの照明光を発するLED115−a、115−bから成る照明光源115により前眼部Eaを照射する。前眼部Eaで反射され光は、レンズ114、レンズ112、ダイクロイックミラー111、154を介し、ダイクロイックミラー161に達する。ダイクロイックミラー161は、820nm〜900nmの光を反射し、それ以外の光を透過する特性を有する。ダイクロイックミラー161で反射された光は、レンズ162、163、164を介し、前眼部カメラ165で受光される。前眼部カメラ165で受光された光は、電気信号に変換され、信号処理部190で受ける。
<内部固視灯170>
内部固視灯170について説明する。
内部固視灯170は、表示部171、レンズ172で構成される。表示部171として複数の発光ダイオード(LD)がマトリックス状に配置されたものを用いる。発光ダイオードの点灯位置は、駆動制御部180の制御により撮像したい部位に合わせて変更される。表示部171からの光は、レンズ172を介し、被検眼に導かれる。表示部171から出射される光は520nmで、駆動制御部180により所望のパターンが表示される。
<画像処理>
次に、信号処理部190における画像生成、画像解析について説明する。
<断層画像生成、及び、眼底画像生成>
信号処理部190は、差動検出器129から出力されたそれぞれの干渉信号に対して、一般的な再構成処理を行うことで、断層画像を生成する。
まず、信号処理部190は、干渉信号から固定パターンノイズ除去を行う。固定パターンノイズ除去は検出した複数のAスキャン信号を平均することで固定パターンノイズを抽出し、これを入力した干渉信号から減算することで行われる。
次に、信号処理部190は、有限区間でフーリエ変換した場合にトレードオフの関係となる、深さ分解能とダイナミックレンジを最適化するために、所望の窓関数処理を行う。次に、FFT処理を行う事によって、断層信号を生成する。
<撮影モード切替>
図2の外観図に基づいて、前眼部と後眼部の撮影モードの切り替えについて説明する。図2では光干渉断層撮影装置20が複数の物理的なユニットに分かれて構成されている。OCT−100は可変波長光源を用いることにより長波長の光を撮影に用いることができるため、眼底の網膜のような厚さの小さい対象のみならず、前眼部のような比較的厚さのある対象を撮影するのにも向いている。SS−OCT測定光と参照光の光路差が大きく離れても感度低下を抑制することができるため、この点でも厚みのある対象を撮影するのに向いている。この特性を利用して、SS−OCTにより前眼部と後眼部の両方の撮影が可能である。
図2(a)に示す光干渉断層撮影装置20において208は前眼画像および眼底の2次元像および断層像を取得するための測定光学系である光学ヘッド、207は光学ヘッドをXYZ方向に不図示のモータを用いて移動可能とした移動部であるステージ部である。ステージ部207は被検眼と光干渉断層撮影装置20との距離及び位置関係を変更するアラインメント部として機能する。206は後述の分光器を内蔵するベース部である。209はステージ部の制御部を兼ねるパソコンであり、ステージ部の制御とともに後述する断層画像の構成等を行う。211は被検者情報記憶部と検査セット記憶手段断層撮像用のプログラムなどを記憶するハードディスクである。210は表示部であるモニタであり、212はパソコンへの指示を行う入力部であり、具体的にはキーボードとマウスから構成される。203は顔受けであり、被検者のあごと額とを固定することで、被検者の眼の固定を促す。204は、被検者の額を受けるシリコンゴム部材である。(以下では額当てと呼ぶ)205は被検者の顎を受ける部材で、不図示のアクチュエータにて、Y軸方向に30mmのストロークで動作し、被検眼の高さを調整する。(以下では顎受けと呼ぶ)額受けシリコンゴム部材204の取り付け部の上側筐体内部にホール素子201が取り付けられている。顎を受ける部材205の内部にも、ホール素子202が取り付けられている。ホール素子201および202は、眼科検査装置200の内部に設置された不図示のCPU基板に接続されており、磁気を検知した場合に、検知する仕組みになっている。
なお、ここで述べた被検者の顎を受ける顎受け、あるいは額を受ける額受け(額当て)は本発明における装着部材の一態様であり、これらは少なくともその一方が用いられれば良い。また、これら装着部材は、眼科装置に装着されることにより、眼科装置の焦点を前眼部に対して移動させる作用を有する。
図2(b)は前眼部撮影用のアダプタ部を装着した状態の光干渉断層撮影装置の例である。251は対物レンズ鏡筒部である。252は、焦点位置を被検者256の前眼部へ合わせるための部材である。(以下では前記部材252をアタッチメント額当てと呼ぶ)材質はシリコンゴムで出来ている。255は磁石である。磁石255は、アタッチメント額当て252の内部に組み込まれており、額当て204にかぶせるように顔受け203に装着する。そして脱落しないように不図示の面ファスナーあるいは着脱機構を設けて、顔受け203から脱落しないようにする。額当て204にかぶせるように顔受け203に装着するとホール素子201が磁気に反応し、アタッチメント額当て252が本体へ装着されていることを眼科装置200の内部に設置された不図示のCPUが検知する。253は、焦点位置を被検者256の前眼部へ合わせるための部材である。(以下では前記部材253をアタッチメント顎当てと呼ぶ)材質はシリコンゴムで出来ている。254は磁石である。磁石256は、アタッチメント顎当て253の内部に組み込まれており、顎当て253に被せるように顎受け205に装着する。アタッチメント顎当て253を顎受け205に被せるとホール素子202が磁気に反応し、アタッチメント顎受けが顎受け部へ装着されていることを光干渉断層撮影装置20の内部に設置された不図示のCPUが検知する。271は前眼撮影用レンズが組み込まれた鏡筒である。従って、この場合には装着部材として、対物レンズの前に装着される光学部材も含まれる。対物レンズ鏡筒部251の不図示フィルターネジ部へねじ込んで光干渉断層撮影装置20へ装着している。272は磁石である。磁石272は、鏡筒271のフィルターネジ付近に組み込まれている。273はホール素子である。ホール素子273は、光干渉断層撮影装置20の内部に設置された不図示のCPUに電気的に接続されている。対物レンズ鏡筒部271の不図示フィルターネジ部へねじ込んで光干渉断層撮影装置20へ装着するとホール素子273が、磁石272に反応し、鏡筒271が光干渉断層撮影装置20に取り付けられたことを光干渉断層撮影装置20の内部に設置された不図示のCPUが検知する。以上に述べた前眼撮影用装着部材252、253、271の検知にホール素子の例を示したが、静電容量型の距離センサやスイッチ式のセンサで装着を検知してもよい。
なお、これら眼科装置に装着される装着部材の装着の有無を判定するためのホール素子等のセンサ、および当該センサから得られる信号より実際に装着の有無を判定するCPUあるいはパソコン209における判定用のモジュール領域は協働して前眼部撮影用のアダプタ部材の装着状態を検出する装着検出部として機能する。また、後述する撮影モード選択手段による前眼部撮影モードの選択の有無の判定も実行する。また、本発明の装着部材としては、測定光の光路における対物レンズの被検眼側に装着する光学部材等もその一態様として例示される。装着検出部は着脱の検出を常に監視し、着脱検出の結果は適宜制御部200へと通知され、検出結果の変更があった場合にはそのつど通知される。
上述の構成により、前眼部撮影用のアダプタ部が装着されているか否かを自動的に検出することができる。
<制御部200>
図3に基づいて制御部200の詳細な構成について説明する。
制御部200は、撮影部位に応じた制御方法で参照光と測定光の光路長差(コヒーレンスゲート)を制御するCG(コヒーレンスゲート:Coherence Gate)制御部301を有する。被写体によっては信号の減衰が少なく、コヒーレンスゲートの詳細な調整が不要な場合や、あるいは調整自体が不要な場合がある。この性質を利用して、撮影部位に応じて参照光と測定光の光路長差を制御する方法を変えてCG制御部301で制御することにより、不要な調整に時間を取られることなく、迅速な調整が可能である。
CG制御部301は、第一の撮影部位については予め指定された値となるように前記光路長差を制御し、第二の撮影部位については干渉光の信号に基づいて光路長差を制御する。例えば、第一の撮影部位としての前眼部の撮影の際には、被写体に起因する測定光の減衰が小さいため、コヒーレンスゲートの適切な位置を探索しなくとも良い場合がある。よって予め被検者に応じて記憶された値や標準的な被検者に対して設定された値を用いて光路長差を制御すれば、十分に画質の良い画像が得られる。一方で第二の撮影部位としての眼底(後眼部)を撮影する場合には、信号の減衰が大きいため、また被写体の厚みが比較的小さいため、コヒーレンスゲートの適切な調整が必要となる。この性質を利用してCG制御部301は、前眼部撮影の場合にはコヒーレンスゲートの調整は予め記憶された初期値に光路長差を設定する制御を行うこととする。
一方で後眼部を撮影する際には、CG制御部301はコヒーレンスゲートステージ122を制御して参照ミラー123を移動させながら、適切な光路長差となる位置を探索させる。信号処理部190は部位に応じた制御方法で光路長差が制御された状態で干渉光を検出して得られる電気信号に基づき前記被写体の画像データを生成する。これにより画質の良い後眼部の断層画像を得ることができる。CG制御部301により、迅速な撮影と画質の良い画像の取得を両立することができる。特に、被検眼を撮影する場合、被検者に長時間固視を強いることは負担が大きく、撮影のための調整を短時間化する要請が大きい。調整の省略は係る要請に応えるものである。また、撮影サイクルの短縮化による医療の効率を向上させることができる。
光路長差の探索には、画像情報を用いたフィードバック制御を用いることができる。判定部310は、所定の長さだけ移動させ、移動させた状態で信号処理部190は断層画像を取得し、判定部310は参照光と測定光の光路長差が適切か否かを判定する。CG制御部301はこの処理を繰り返す制御を行うことにより、参照ミラー123の適切な位置、言い換えれば光路長差の適切な位置を探索する。このようにして、後眼部の撮影をする際のCG制御部301による適切な光路長差の探索制御には、信号処理部190から得られた断層画像の情報をフィードバックさせることができる。
ここで判定部310は、光路長差が適切か否かを判定するための基準として、断層画像の輝度値を用いることができる。この場合判定部310は、画像データの画素値の代表値の大きさが特定の閾値以上であるか否かを判定する。断層画像全体の平均値や中央値を当該断層画像の代表値として取得し、かかる代表値が所定の閾値に達するか否かを判定する。代表値を用いることで判定の処理を簡略化しつつ、ノイズの影響を排して精度良く光路長差を設定することができる。
ここで判定部310にはさらに、前眼部撮影の場合で初期値による光路長差の調整が適切であったか否かを判定する機能ももたせることができる。この場合判定部310は、第一の撮影部位について予め指定された値となるように光路長差を制御した場合に、信号処理部190によりにより得られる画像データが特定の基準を満たすか否かを判定する判定する。CG制御手段301は、判定部310により特定の基準を満たさないと判定された場合に、光路長差を順次変更しつつ得られる干渉光の信号に基づいて前記光路長差を制御する。つまり、初期値により調整がうまくいかないと判定された場合にのみ、第二の撮影部位と同様の探索制御を行う。これにより、前眼部撮影の際の光路長差の調整をより確実に行うことができる。
第一の撮影部位(前眼部)についても、第二の撮影部位と同様の調整を行う制御方法を選択することで、より確実な調整が可能となる。第一の撮影部位に対して適用される制御方法は制御設定部303で管理される。撮影部位と制御方法との対応関係はユーザの操作部312を介した入力に応じて適宜設定する。これにより、ユーザの嗜好に応じた調整が可能となる。
光路長差の制御方法として、撮影部位に応じて調整の際の参照ミラー123の移動間隔を変えることで、特に撮影部位の厚みの違いに対応した調整が可能である。ある撮影部位に対しては、CG制御301は、第一の間隔で光路長差を順次変化させながら得られる干渉光の信号に基づいて前記光路長差を決定する制御方法を設定する。別の撮影部位に対しては、CG制御部301は第一の間隔よりも小さい第二の間隔で前記光路長差を順次変化させながら得られる前記干渉光の信号に基づいて前記光路長差を決定する。制御設定部303は、撮影部位の情報に応じていずれかの制御方法を設定する。これにより、詳細な探索がそれほど必要のない部位では探索の間隔を大きくして効率を上げ、詳細な探索が必要な部位では探索間隔を小さくして精度を向上させることができる。
また別の制御方法として、CG制御部301は、特定の撮影部位については粗調整と微調整の2段階の調整により光路長差を制御することができる。この場合、CG制御部301は、特定の間隔(第二の間隔)で前記光路長差を順次変化させながら得られる前記干渉光の信号に基づいて前記光路長差についての特定の範囲を決定するとともに、前記特定の範囲内で前記光路長差を順次変化させながら得られる前記干渉光の信号に基づいて前記光路長差を決定する制御方法と、これは、特に後眼部のように詳細な調整が必要な部位について効率よく光路長差を調整することができる方法である。
更には、前眼部では第一の間隔で粗調整のみをおこない、後眼部では第一の間隔よりも小さい第二の間隔での粗調整と、その上での微調整とを行うこと制御方法がある。これにより、厚みがあり、かつ詳細な調整が不要な場合が多い前眼部には前眼部の特性に応じて効率と精度を両立させた光路長差の制御が可能である。一方で厚みが小さくかつ詳細な調整を要する場合が多い後眼部にはかかる特性を考慮して効率と精度を両立させた光路長差の制御が可能である。
CG制御部301は、前眼部のみならず後眼部についても、あるいはあらゆる撮影部位について光路長差の制御のための初期値を用いることで、光路長差の調整を効率的に行うことができる。この場合CG制御部301は、初期値に対応する位置の近傍から順次参照ミラー123を移動させ、基準を超える画質の画像が得られた場合に光路長差の調整を完了したものとし、この際の参照ミラーに対応する位置を記憶部309に格納する。これにより、探索効率の向上が図れる。
特に、撮影部位や撮影モード毎に初期値を異ならせて保持しておき、撮影部位の情報に応じた初期値を選択することで、部位に応じて迅速な調整が可能となる。例えば、前眼部には詳細な光路長差の調整が不要となる場合があるので、光路長差は標準人眼の前眼部あるいは後眼部について平均値またはそれに近い実験的に得られる値を初期値として保持しておくことができる。このようにすることで撮影部位に応じた初期値が得られる。また、前眼部を撮影した後に後眼部を撮影する連続撮影モードの場合には、別の初期値の持たせ方ができる。前眼部の撮影時、適切に光路長差が設定できた場合、この光路長差は、ワーキングディスタンス等の個人差により標準的な値からずれを含んでいると考えられる。そこで、その次の後眼部の撮影では、このずれを考慮して後眼部のCG調整をする際の初期値をCG制御部301または制御設定部303で標準的な値から補正することが考えられる。これにより、連続撮影をより効率化させることができる。かかる初期値は、記憶部309により撮影部位または撮影モード毎に格納させておくことで再利用が可能である。
その他、被検者に応じて、または被検者と撮影部位の両方に応じて初期値を設定することができる。この場合記憶部309は、被検者毎に、または被検者と撮影部位の両方の情報を関連付けて、前記決定された光路長差を示す値を格納する。これにより、特に同一被検眼を時間間隔を置いて繰り返し撮影する場合の撮影効率を向上させることができる。
初期値は参照光と測定光の光路長差をパラメータとして記憶しておいてもよいが、参照ミラー123やコヒーレンスゲートステージ122の基準位置からのずれ量を記憶しておくことで、これら部材の特性に応じた精度の良い調整が可能である。
制御方法は撮影部位の情報から自動的に設定することができる。撮影部位の情報はユーザからの操作に応じて指定され、部位取得部302により取得される。取得された部位の情報は制御設定部303に入力される。制御設定部303は撮影部位に応じて参照光と前記測定光の光路長差の制御方法を設定する。制御設定部303は記憶部309を参照し、取得された撮影部位に対応するCGの制御方法を取得し、CG制御部301に対して設定を通知する。これにより、CG制御部301は部位に応じた制御方法を選択することができる。
また別の例では、前眼部は厚みが比較的大きいことを利用して、光路長差を変更するための参照ミラーの移動間隔を前眼部の厚みに対応する長さを超えない程度に大きくすることができる。
撮影部位の情報はユーザが操作部を介して設定する撮影モードと関連付けておくことで、ユーザが撮影モードを設定するだけで予め定められた撮影の調整を迅速に実行することができる。操作部312を介して撮影モードを指定する。モード指定部311は操作部からの操作入力を受けて、撮影モードを指定する。ここでいう撮影モードは複数の撮影に関する設定の情報を含んでいる。例えば、前眼部、後眼部、前眼部の角膜、後眼部の視神経乳頭、などといった撮影部位の情報、OCTのデフォルト設定のスキャン位置の情報、ラジアルスキャンかXYスキャンかのスキャン方法の情報、等の情報を含む。部位取得部302は撮影モードの情報を受信し、記憶部のルックアップテーブルを参照して撮影モードに対応する撮影部位の情報を抽出する。
ここで更に、モード指定部311は、複数の撮影部位を連続して撮影するための連続撮影モードを指定することができる。撮影対象が眼部である場合には、たとえば前眼部と後眼部の両方を撮影するための撮影モードがある。この撮影モードでは、前眼部と後眼部の一方の撮影が終了することに応じて他方の撮影準備の少なくとも一部を開始させる。これにより、毎回撮影部位毎に操作部312を介してユーザが撮影モードを指定するための入力操作を行う、というユーザの手間を軽減することができる。
さらにモード指定部311は、前眼部の撮影が終了することに応じて後眼部の撮影モードに遷移する第一のモードと、後眼部の撮影が終了することに応じて前眼部の撮影モードに遷移するモードのいずれかを指定可能である。いずれかの部位での異常を検知してから、他方の部位の画像で詳細に状況を確認する、というように診断状況に応じた撮影シーケンスを採用することが可能になる。
その他、モード指定部は、自動調整をオフにするか否かを示す自動調整モードを指定することができる。
制御部200は、図3に示すとおり前眼部撮影用の光学系を撮影光学系に対して挿入及び退避可能な駆動部を制御する光学系変更部304を備えることができる。光学系変更部304は、前眼部撮影と後眼部撮影とで切り替える際に、水晶体を経由するか否かの差に起因する影響を補正するための不図示の光学系を撮影光路に対して挿入または退避させる制御を行う。これにより、前眼部と後眼部とで撮影部位を切り替える際に、ユーザの手間を軽減させ、撮影効率を向上させる。
その他、制御部200の駆動制御部180は、上述の通りに各部の移動制御を統合的に制御する。制御部200の駆動制御部180は、コヒーレンスゲートステージ122を動かすための制御値を駆動部に送り、コヒーレンスゲートステージ122の位置を制御する。
OCTフォーカス制御部307は波長掃引型の光源からの光のフォーカス位置を制御する。SLOフォーカス制御部308はSLOの測定光のフォーカス位置を制御する。
<セグメンテーション>
解析処理部313は、得られた断層画像から診断上有用な情報を抽出する。例えば、前眼部の断層画像から角膜厚や隅角の大きさを算出する。また、後眼部の断層画像から網膜の各層の抽出処理を行う。解析処理部313は、前述した輝度画像を用いて断層画像のセグメンテーションを行う。この場合、まず、解析処理部313は、処理の対象とする断層画像に対して、メディアンフィルタとSobelフィルタをそれぞれ適用して画像を作成する(以下、メディアン画像、Sobel画像とする)。次に、作成したメディアン画像とSobel画像から、Aスキャン毎にプロファイルを作成する。メディアン画像では輝度値のプロファイル、Sobel画像では勾配のプロファイルとなる。そして、Sobel画像から作成したプロファイル内のピークを検出する。検出したピークの前後やピーク間に対応するメディアン画像のプロファイルを参照することで、網膜層の各領域の境界を抽出する。更に、Aスキャンラインの方向に各層厚をそれぞれ計測し、各層の層厚マップを作成する。
解析処理部313により得られた解析結果は表示制御部191により表示される。
表示制御部191は、信号処理部190で生成された画像や解析結果等を表示部192の表示画面に表示する。表示部192は、表示制御部191の制御の下、後述するように種々の情報を表示する。
また、部位取得部302で取得された部位の情報を表示させる。これにより、複数の調整が自動的に行われる場合、ユーザに対して撮影対象の部位をより強く認識させ、誤撮影の可能性を低減させることができる。
モード指定部311でアラインメント、フォーカス、コヒーレンスゲートの調整の自動調整がオフに指定された場合、表示制御191はこれら調整項目の調整状態の情報を合わせて撮影用の画面に表示させる。ここでいう調整状態とは、各調整項目の調整が完了したか、未完了であるか、ディオプター値等の調整値の値を示す。調整状態の情報は、制御部200で取得する。アラインメント部として機能するステージ部207、図2に示すアダプタ検出部、フォーカス制御部307、CG制御部301のそれぞれからの制御値に基づき調整値の値を取得する。表示される調整状態の例としては、被検眼と前記光干渉断層撮影装置との距離、被検眼と光干渉断層撮影装置との位置関係、フォーカス位置及びコヒーレンスゲート位置、アダプタ検出部により検出されるアダプタ部の装着状態のうち少なくとも複数の調整状態である。複数表示させることとしているのは、調整を順番に行なっていく際に一度調整が終わった項目について被検眼の移動等により調整が失敗状態へと遷移する場合もあるため、複数の調整項目を表示することとしている。特に複数表示させるのは手動調整の場合に効果が大きい。また、制御部200は、信号処理部190からの出力値に基づく判定部310での調整が完了しているか否かの判定結果を取得する。これらにより、撮影に必要な各調整項目についての調整状態を取得する。
また、上述の処理により表示制御部191は、自動で行わないことが設定された場合には、設定に係る調整項目について判定部310により調整が完了していると判定された調整項目について調整が完了した旨の情報を表示させる制御を行う。一方で、自動調整がONになっている場合には、ユーザに対して特に完了した調整項目についての調整状態を通知する意義は薄いため、画面領域の効率的な利用や、情報の見易さの観点から各調整状態が完了した旨の表示は行わない。つまり、表示制御部191は、自動で調整を行わせることが設定された場合には、調整が完了していると判定された調整項目について調整が完了した旨の情報は表示させない。
モード指定部311でアラインメント、フォーカス、コヒーレンスゲートの調整の自動調整がオフに指定された場合、アラインメント部として機能するステージ部207、図2に示すアダプタ検出部、フォーカス制御部307、CG制御部301のそれぞれに対し、制御設定部303は自動調整を行わないよう指示する。制御設定部303はさらに、複数の調整項目について個別に調整を自動で行うか否かを設定することができる。またこの際、調整が自動で行われないように制御しつつ、調整が完了しているか否かの判定自体は終了させずともよい。もちろん制御設定部303からの指示で判定部310に判定処理自体を行わせないように制御することもできる。
その他、表示制御部191は、前眼部撮影用のアダプタ部の装着状態について、着脱に応じて状態を表示させる。ここで、前眼部アダプタの装着の検出に応じて、撮影部位を前眼部であると特定することができる。この場合、部位取得部302は前眼部アダプタが装着された場合には自動的に撮影部位を前眼部とする。または、モード指定部311では前眼部撮影モードが指定されたにも関わらず、アダプタ部の装着が検出される場合がある。このように、ユーザにより指定された部位情報等のモード情報と調整状態が異なる場合には、表示制御部191は警告情報を通知することができる。
またさらに、表示制御部191は、必要な調整が完了し、適切な撮影が可能であるような調整状態でない場合には、撮影対象の部位の情報を表示させ、調整が不十分である場合には、撮影対象の部位の情報を表示させない制御をする。ここで、OCT100により撮影対象の部位の断層画像が撮影できる調整状態であるか否かの判定は判定部310により行う。
図4に、OCT100で撮像され、信号処理部190で生成された断層画像の一例を示す。
図4(A)は正常眼の断層画像であり、図4(B)は近視眼の断層画像であり、網膜色素上皮―脈絡膜境界401と脈絡膜―強膜境界402他の各層境界が撮像されている。図に示すように、広い範囲(図の横方向の大きさが大きいとの意味)での断層画像の撮像と、深さ方向に深い(図の縦方向の大きさが大きいとの意味)断層画像の撮像が可能である。なお、断層画像を表示部192の表示領域に表示する場合、断層画像が無い領域を表示しても意味が無いため、本実施形態では、信号処理部190内のメモリに展開されたデータから断層画像の部分を認識し、表示領域の大きさに合う断層画像を切り出して表示するようにしている。
図4(C)は前眼部モードで被検眼を撮影して得られる前眼部の断層画像の例である。シュレム氏管4010は隅角に開いた小さな複数の孔。前房へ流れてきた房水をここから排出する。角膜4011は外膜を形成している透明な膜で光線の入り口。水晶体とともにレンズの働きをする。前房4012は房水を蓄える働きをする。房水は角膜や水晶体に栄養を与えている透明な液で、毛様体突起で産生され、眼圧を保つ働きをする。瞳孔4013は虹彩の中央にあるまるい穴で、光の入口である。水晶体4014は毛様体と連動してピント合わせをする。虹彩4015は瞳孔散大筋と瞳孔活約筋があり、明暗により眼内に入る光の量を調節する。
毛様体4016は虹彩を固定し、毛様体筋の緊張、弛緩によって水晶体の厚さを変えて網膜に像を結ぶようにピント合わせをする。また房水を産生する。チン小帯(毛様小帯)4017は毛様体と水晶体の間を結び水晶体を支えるはたらきをする。脈絡膜4018は、毛様血管と色素に富み、網膜などへの栄養補給とカメラの暗室の役割をする。後房4019も前房と同じく房水を蓄える。
[処理動作]
図5のフローチャートに従い光干渉断層撮影装置を用いた光干渉断層撮影の制御処理を説明する。
ステップS501では、部位取得部302が撮影対象の部位を取得する。ここで撮影部位の取得は、ユーザが操作部312を操作することによる入力に応じてモード指定部311が指定する撮影モードの情報を参照して取得される。
ステップS502では、撮影に必要な調整処理を行う。被検眼を本装置に配置した状態で、本装置と被検眼のアライメント、測定光のフォーカス位置調整、等を行う。また、CG制御部301が撮影部位に応じた制御方法で前記参照光と前記測定光の光路長差を制御する。これら調整は先述のとおり画像に基づくフィードバック制御を用いた自動調整のみによっても、手動調整のみによってもよい。あるいは自動調整の結果を適宜手動で調整できる構成とすれば、効率的かつユーザの望む状態に調整できる。ステップS502の処理の詳細は後述する。
ステップS503で、調整が完了した状態で撮影指示の待機処理を行う。制御部200は、ユーザが操作部312を操作し、操作部312から撮影指示を示す入力があるまで待機し、入力があった場合には直ちにステップS504に移り、OCT100が波長掃引型の光源からの光により被検眼の前記撮影対象の部位を走査することにより断層画像を撮影する。ステップS505では表示制御部191は撮影により得られた断層画像を表示部192に表示させる。もちろん、撮影時に得られたSLO画像や前眼部画像も合わせて表示させることで、複数の側面から撮影された画像により効率的かつ詳細な診断が可能となる。
ステップS506では、制御部200は、得られた断層画像または画像群に対して解析処理部313による解析指示を待つ。解析の指示は撮影指示と同じくユーザによる操作部312の入力に基づいて行う。指示があった場合、解析処理部313は解析処理を開始する。ここで別の実施形態として、指示によらず解析処理を行うようにする事も可能である。この場合、制御部200でステップS504の撮影処理の終了を検出することに応じて、解析処理部313に解析処理を指示し、ステップS507を実行させる。これにより、特に検診等で決まった解析処理をすることが予め分かっている場合には、余計な操作を排し効率的である。ステップS508で表示制御部191は解析処理の結果を表示部192に表示させる。ステップS506乃至S508の、解析処理の指示から解析処理の表示までの処理は、設定に応じて制御部200が省略することとしてもよい。かかる設定は、解析処理を要しない診断において有用である。
ステップS509で制御部200は再撮影の指示を待機する。操作部312から再撮影を指示する入力があった場合には、制御部200はOCT100に再撮影を指示し、ステップS502へと進む。別の例では、再度調整をやりなおす必要があるか否かを判定部310で判定し、調整が完了していると判定された場合には、ステップS504の撮影処理に遷移することとすれば効率的である。
ステップS510で制御部200は終了指示を待機し終了の指示があった場合には、制御部200は撮影を終了させる。仮に左右眼の切り替えや、被検者が変わる場合には、再度ステップS501からの処理を行うこととなる。
図6のフローチャートに従い実施形態に係る撮影の調整処理の流れを説明する。
ステップS601で制御部200は、前眼部が撮影部位であるか否かを判定する。この処理は先述の通り部位取得部302で得られる部位情報を用いて判定することも、アダプタ検出部による前眼部撮影用のアダプタが装着されているか否かにより判定することもできる。あるいはその両方を用いて判定することでより確実に撮影部位を設定することができる。前眼部撮影と判定された場合にはステップS602に進み、後眼部撮影と判定された場合にはステップS610に進む。
ステップS602で光学系変更部304は、前の撮影の影響等により前眼部撮影用の光学系が撮影光路中に配置されていない場合には、駆動部を制御して光学系を撮影光路中に挿入させる。
ステップS603で表示制御部191は、前眼部撮影用のGUIの表示部192への表示を開始させる。例えば、ステップS501で設定された撮影部位の情報が表示される。表示部192に表示されたGUIは調整や撮影の進行に応じて適宜表示制御部191により表示が変更される。また例えば、制御部200は調整の進行に応じて複数の調整項目についての調整状態を取得する。表示制御部191は被検眼の断層画像を表示させるとともに、取得された複数の調整状態を指定された撮影モードに応じて表示部に表示させる。GUIの詳細は後述する。
ステップS604で制御部200は、前眼部撮影部160に前眼部の撮影を開始させる。前眼部の撮影は、前眼部と光干渉断層撮影装置のアラインメントを手動または自動で調整するために行われる。また、前眼部の断層画像を撮影する際には前眼部の断層撮影位置をユーザが指定するために用いられる。
ステップS605では、アラインメント部として機能するステージ部207を駆動させてアラインメント調整が行われる。手動での調整は操作部312や不図示のジョイスティックによりステージ部207を移動させることで調整される。あるいは、前眼部の画像を用いて制御部200で自動的にアラインメントを行うこととしてもよい。
ステップS6055で判定部310は、アラインメントの調整が完了したか否かを判定する。完了していない判定された場合には、制御部200はステージ部207を駆動して更なる調整を行う。手動で撮影を行う場合には係る判定処理を行わないこととする。
ステップS606でOCT100は、OCTのプレ撮影を開始する。プレ撮影は、本番の撮影前に撮影条件や撮影位置を設定するための撮影である。具体的には、光源101に光を射出させ、XYスキャナを駆動し、差動検出器129で干渉光を検出し、信号処理部190で断層画像を生成する。この時点ではOCT100のフォーカスやコヒーレンスゲートの設定はされていないため、必ずしも目的の断層画像が得られているとは限らない。
ステップS607でOCTフォーカス制御部307は、断層画像の画像信号に基づいてOCTのフォーカス位置を制御する。
ステップS608でCG制御部301は参照光と測定光の光路長差を初期位置に設定する。この処理では、記憶部309に予め設定された撮影部位に対応する初期値を取得し、駆動制御部180を通じてコヒーレンスゲートステージ122を駆動し、参照ミラー123を初期値に対応する初期位置に移動させる。
ステップS609で表示制御部191は、断層画像の信号を表示させる。ここで表示される画像データは、部位に応じて光路長差が制御された状態で干渉光を検出して得られる電気信号に基づき信号処理部190で生成される前記被写体の画像データである。
一方で後眼部撮影の場合、ステップS610では、光学系変更部304は、前の撮影の影響等により前眼部撮影用の光学系が撮影光路中に配置されている場合には、駆動部を制御して光学系を撮影光路から退避させる。
ステップS611で表示制御部191は、後眼部撮影用のGUIの表示部192への表示を開始させる。
ステップS612で制御部200は、ステップS604と同様に前眼部撮影部160に前眼部の撮影を開始させる。
ステップS613では、ステップS605と同様にアラインメント調整がおこなわれる。
ステップS6135で判定部310は、ステップS6055と同様の判定処理が行う。
ステップS614でSLOフォーカス制御部308は、SLOのフォーカス位置を調整して眼底にフォーカスを合わせる。
ステップS615でOCT100は、ステップS606と同様にプレ撮影を開始させる。
ステップS616でOCTフォーカス制御部307は、SLOのフォーカス位置に基づいてOCTのフォーカス位置を設定する。
ステップS617でCG制御部301は、参照光と測定光の光路長差を断層画像の画像信号に基づいて決定する。CG制御部301はコヒーレンスゲートステージ122を制御して参照ミラー123を移動させながら、適切な光路長差となる位置を探索させる。
ステップS618で表示制御部191は、信号処理部190で得られた断層画像の信号を表示させる。
ステップS619で判定部310は、網膜の画像が適切に得られているかを判定する。この判定は、画像の輝度値が閾値以上となっているかを用いて判定する。あるいは、撮影部位に応じたパターンマッチングで適切な断層画像が得られているかを判定することとしてもよい。
ステップS620で制御部200は、SLO画像に基づいて眼底の動きを補償するためのトラッキングをSLO140に開始させる。トラッキングにより得られる眼底の動きの情報は適宜制御部200に入力され、制御部200は動きを補償するようにOCT100及びSLO140のスキャナの位置を移動させる。トラッキングの開始は、S614でSLOのフォーカスが調整され次第開始することとすれば、OCTの調整をより効率的に行うことができる。
図7のフローチャートを用いて、1つの実施形態に係るコヒーレンスゲートの調整処理を説明する。図7に示す制御では、CG制御部301は、前眼部については初期値を設定し、それで基準を満たさない場合にのみ、間隔Dでミラー123を移動させて光路長差を決定する。一方後眼部の撮影の場合には、間隔D’(<D)で光路長差を調整する粗調整を行うとともに、間隔D’’(<D’)で光路長差を調整する微調整を行い、光路長差を決定する。これにより、撮影部位に応じた効率的な調整が可能となる。
ステップS701で前眼部撮影か否かを判定する。この判定はステップS601と同様の処理である。
ステップS702でCG制御部301は記憶部309から前眼部撮影用のCG調整値の初期値を取得する。ここで、記憶部309に記憶された標準厚み情報を考慮した値をステップS605のアラインメント調整時に測定されるワーキングディスタンスに基づいて補正した値を初期値として取得することとすれば、被検者に応じて適切な初期値で調整可能であり、後段のステップS704以下の処理が行われる確率を減らし、調整を効率化することができる。
ステップS703で判定部310は、初期値に応じた位置にミラー123を配置した状態で得られた断層画像を信号処理部190から取得する。そして、断層画像の輝度値が基準を満たすか否かを判定する。基準を満たすと判定された場合には、コヒーレンスゲートの調整が完了する。
ステップS704で設定制御部303は前眼部の標準厚み情報に基づいて光路長差の変更間隔Dを取得する。記憶部309に標準厚み情報を考慮した初期値を予め記憶させておいてもよい。
ステップS705でCG制御部301は、取得された間隔Dでミラー123の位置を順次変更させる。また制御部200は、OCT100はミラー123が各位置にある状態で断層画像を撮影する。
ステップS706で判定部310は、ミラーの各位置に対応する断層画像の輝度値の代表値を得る。CG制御部301はもっとも代表値が大きくなる断層画像に対応するミラー123の位置を特定し、かかる位置にミラー123を移動させる制御をする。
一方で後眼部撮影の場合、ステップS707でCG制御部301は記憶部309から後眼部撮影用のCG調整値の初期値を取得する。
ステップS708で、制御設定部は後眼部の厚み情報に基づいて光路長差の変更間隔D’を取得する。後眼部の厚みは一般に前眼部よりも小さいため変更間隔D’は前眼部撮影の場合の変更間隔Dよりも小さくなる。あるいは、Dが予め決まっている場合には、このDよりも小さい値としてD’を設定してもよい。
ステップS709でCG制御部301は、取得された間隔D’でミラー123の位置を順次変更させる。また制御部200は、OCT100はミラー123が各位置にある状態で断層画像を撮影する。断層画像の取得と並行して判定部310は、ミラーの各位置に対応する断層画像の輝度値の代表値を得る。CG制御部301はもっとも代表値が大きくなる断層画像に対応するミラー123の位置を特定する。
ここで、代表値が予め定められた基準値よりも大きくなった場合には、その時点のミラー123の移動をいったん停止させることもできる。この場合、ステップS708で取得した初期位置の近傍から順にミラーを動かすことで、調整時間を短縮できる。
かかる撮影と判定の並行処理、及び基準値よりも大きい代表値が得られることに応じて調整をいったん停止させる処理は、前眼部撮影の場合の調整に用いることとしても良い。
ステップS710で、かかる位置を基準とした所定範囲を微調整の探索範囲として設定する。係る探索範囲は、ステップS709の粗調整の探索範囲よりも小さい範囲である。よって、この探索範囲を探索するためのミラー123の位置の変更間隔D’’は、変更間隔D’よりも小さい値として制御設定部303により取得される。
ステップS711でCG制御部301は、取得された間隔D’’でミラー123の位置を順次変更させる。また制御部200は、OCT100はミラー123が各位置にある状態で断層画像を撮影する。
ステップS712で判定部310は、ミラーの各位置に対応する断層画像の輝度値の代表値を得る。CG制御部301はもっとも代表値が大きくなる断層画像に対応するミラー123の位置を決定する。
なお、調整後も所定の間隔でコヒーレンスゲート位置の調整を行うことで、調整後から撮影開始までの間における光路長差の変化による画質への影響を低減することができる。
図8のフローチャートを用いて、連続撮影モードが指示された場合の調整処理を説明する。ステップS803乃至S810の各ステップの処理はそれぞれ、図6のステップS604、S605、S606、S607、S608、図5のS503、S504に対応する。また、ステップS813、S814、S816及びS817の各処理は、S614、S616、S503及びS504の各処理に対応している。
ステップS801でモード指定部311はユーザの操作入力に応じて連続撮影モードを指定する。ここで連続撮影モードとは、複数の撮影部位を連続して撮影するための撮影モードである。撮影対象が眼部である場合には、たとえば前眼部と後眼部の両方を撮影するための撮影モードがある。この撮影モードでは、前眼部と後眼部の一方の撮影が終了することに応じて他方の撮影準備の少なくとも一部を開始させる。
ステップS802で表示制御部191は連続撮影のためのGUIの表示制御を開始する。連続撮影の場合には、表示制御部191は、一方の撮影前には該一方の撮影用のGUIを表示させるとともに、一方の撮影が終了することに応じて次の撮影用のGUIへと表示を変更させる。また、いずれの撮影調整中かに関わらず、撮影モードとしては連続撮影モードであることを示す表示をする。あるいは終了済みの撮影部位または撮影モードと、次の未撮影の撮影部位または撮影モードとを表示させることとすれば、複数の撮影、特に3つ以上の撮影を連続して行う場合に撮影の順序をユーザに意識させ、誤撮影の可能性を低減させることができる。
ステップS808でCG制御部301は参照光と測定光の光路長差の調整を行う。調整の結果は制御部200により記憶部309に格納される。
ステップS811で、解析処理部313は撮影済みの前眼部の断層画像に基づいて隅角の解析処理を行う。その他、角膜厚の解析処理を行うこととしてもよい。かかる解析処理は例えば制御部200のGPUを用いて行われる。また信号処理部190は、前眼部の断層撮影の後の後眼部の断層撮影の終了前に、前眼部の断層撮影により得られた断層画像の解析処理を開始する次の撮影と並行して行うことで、撮影から解析処理結果の表示までの遅延時間を短縮させることができる。
ステップS812乃至S815の後眼部の撮影のための調整処理は、ステップS810の撮影の完了に応答した制御部200により自動的に遷移する。なお、連続撮影モードの場合には前眼部のアラインメントはステップS805で終了しているため省略して制御を行う。
ステップS812で、光学系変更部304は撮影の終了に応じてステップS610と同様に光学系を退避させる。
ステップS813で、SLOフォーカス制御部307は撮影の終了に応じてSLO140の測定光のフォーカス位置の調整を開始させる。ステップS814で、OCTフォーカス制御部307は撮影の終了に応じてOCT100の測定光のフォーカス位置の調整を開始させる。後眼部の場合にはOCT100による信号が微弱であるため、SLOフォーカスの位置とOCTのフォーカスレンズの位置の対応関係を示すルックアップテーブルを記憶部309に記憶しておき、SLOのフォーカス情報に基づいてOCTのフォーカス位置を制御する。
ステップS815で、CG制御部301は撮影の終了に応じてCGの調整を行う。ここで、CG制御部301はステップS808で記憶された前眼部撮影時の光路長差の値を記憶部309から取得し、この値を標準的な値と比較する。標準的な値との差分だけ、ステップS815で用いる初期値の値を予め定められた値から変化させる。
ステップS818で、解析処理部313後眼部の断層画像の解析処理を行う。この処理では、網膜の各層の厚みや、黄斑浮腫等の病変の検出処理が行われる。ここで、GPUを使って解析処理を行う場合、ステップS811の解析処理の終了に応じてステップS818の解析処理を行うこととしてもよい。
ステップS819で表示制御部191は得られた断層画像を並べて表示する。並べて表示させることで、例えば糖尿病のように前眼部の隅角と後眼部の網膜層厚のように、両方の部位に以上が現れるような病気の診断の効率を向上させる。ここで画像表示処理を、S811またはS818のいずれかの解析処理が終了する前に行うこととすれば、解析処理の結果が出るまで画像による診断が可能となり、ユーザを無駄に待たせることがない。
ステップS820で、表示制御部191は得られた解析結果を表示部192に表示させる。
かかる処理により、連続撮影を効率的に実行することができる。
図9は前眼部撮影時のGUIの一例を示す図である。表示画面901は、撮影支援情報、撮影の設定情報、または撮影中の画像をリアルタイムで取得して表示する。表示画面901は、表示制御部191の制御により表示部192に表示される。
領域902は、モード指定部311により指定された撮影モードを表示する表示領域である。前眼部撮影モードの場合として、領域902には「前眼部OCT撮影モード」の文字が表示されている。あるいは文字ではなく、眼部の画像に撮影部位を強調して表示させるアイコンで撮影部位を表示させることとしてもよい。
領域903は撮影モードに応じた調整項目に関する調整状態を表示する表示領域である。図9に示すように前眼部撮影モードに特有の調整項目として前眼レンズ及び額当ての調整状態を示す情報が表示されている。
領域907は、複数の撮影モード間で共通の調整項目についての調整状態を表示させる表示領域である。図9ではアラインメントが未完了である旨の文字が表示されている。
領域903、領域907は、領域902とは異なり2重の枠線で囲われている。これは、調整が未完了であることを示すものである。一方で調整が完了している調整項目について完了の旨を表示する場合には、領域902と同様の通常の枠線で囲われる。このように表示制御部191は複数の調整状態について、前眼部の撮影に対する調整が完了した調整項目と完了していない調整項目とを示す表示態様で複数の調整状態を表示させ、未完了の調整項目を強調表示する。このような強調表示により、ユーザに対して調整が未完了である旨を意識させることができる。
さらに、領域907では「Warning」の文字が表示されている。これは、領域902に表示された撮影モードの情報と、調整項目の状態とに齟齬があると表示制御部191により判定された場合に表示される。前眼部撮影であれば、ワーキングディスタンスや光学系を調整するために予め前眼レンズや額当て等のアダプタ部を装着しなければ、位置合わせが正確には行えない。このように、表示制御部191は、複数の調整状態のそれぞれが適合する撮影モードに応じた表示態様で複数の調整状態を表示させ、撮影モードと齟齬がある調整状態については、警告を示す表示を付する。これによりユーザに対して強く調整を促すことができる。
前眼観察領域904は前眼撮影部160によって得られた前眼部の画像905を表示する。
前眼観察領域904の近傍に配置されたアラインメントスライダ906は被検眼に対する光学ヘッドのZ方向の位置をユーザの操作に応じて手動で調整を行うためのGUIである。ユーザが操作部312を介してアラインメントスライダ906を動かすと、動かす方向に応じて駆動制御部180はステージ部207をZ方向に移動させる。前眼観察画面904上の任意の点をマウスでクリックすることで、その点を画面の中心にするよう光学ヘッド208を不図示のXYZテーブルにて移動させ、光学ヘッドと被検眼の位置合わせを行う。
領域908はOCT100により取得された断層画像を確認するための表示領域である。
CGスライダ909はOCT100のコヒーレンスゲートの位置をユーザの操作に応じて手動で調整を行うためのGUIである。ユーザが操作部312を介してCGスライダ909を動かすと、動かす方向に応じてCG制御部301は駆動制御部180を介してコヒーレンスゲートステージ122を駆動し、ミラー123を移動させる。
フォーカススライダ910は、OCT100のフォーカスの位置をユーザの操作に応じて手動で調整を行うためのGUIである。フォーカス調整は、OCTフォーカス制御部307が駆動制御部180を指示し、眼底に対する合焦調整を行うために、フォーカスレンズを図示の方向に移動させる。ユーザが操作部312を介してフォーカススライダ910を動かすと、動かす方向に応じてOCTフォーカス制御部307は駆動制御部180を制御し、フォーカスレンズの位置を変更する。
図10は前眼部撮影時のGUIのその他の例を示す図である。図10に示す状態では、領域907にアラインメントが完了した旨を示す情報が1重の枠線で囲われて表示されている。また領域903に「アダプタ装着済 レンズ挿入済」の文字で、アダプタ部が適切に設定されていることを示す情報が1重の枠線で囲われて表示されている。領域908には前眼部の断層画像が表示されている。線分1003が前眼観察領域904内の前眼部の画像905に重畳される形で表示される。この線分は領域908に表示される断層画像に対応するスキャン位置(撮影範囲)を示す。ユーザは操作部312を介してこの線分の位置を自由に設定可能である。最終的に設定された線分1003の位置で、本撮影のスキャンがなされる設定としてもよい。
図10に示す状態では、判定部310により撮影が可能な状態であるとの判定がなされた状態である。この場合、表示制御部191は、撮影が可能な状態と判定されることに応じて撮影ボタン1002を表示させる。
撮像ボタン1002は各種調整が終了したときに、このボタンを押すことで所望の撮像が行われる。
そのほか、開始ボタン1001を押すことで断層画像のプレ撮影が開始され、領域908に取得した被検眼像がリアルタイムで表示される。
図11は、表示画面901に後眼部撮影モードでの撮影用GUIを表示した場合の画面例である。前述の図9、10と同様の部分については説明を省略する。
領域902には「眼底OCT撮影モード」の文字によりユーザが指定した撮影モードが表示されている。領域903にはOCTのフォーカスが未完である旨の文字が、調整が未完であることを示す二重の枠線で囲われて表示されている。自動調整モードがOFFになっていない場合のGUIが開示されており、この場合、ユーザの操作性や情報の見易さを向上させるために、領域907にはアラインメントの調整が完了した旨の表示はさせない。
図12は後眼部撮影モードでの撮影用GUIの一例を示す図である。
領域1201はSLO140により得られた眼底2次元像を表示する領域である。
図12も図11と同じく、自動調整モードがOFFになっていない場合のGUIが開示されており、この場合、ユーザの操作性や情報の見易さを向上させるために、調整が完了した旨の表示はさせない。更に図12では、眼底の断層画像が表示された状態であり、撮影部位の情報はあえて表示する必要がないため、領域902の表示は画面上からは削除している。
図13は連続撮影が選択された場合の解析処理結果の表示画面の例である。なお同一被検眼について前眼部と後眼部を撮影した場合にもかかる表示画面は利用可能である。
領域1300は前眼部の断層画像を表示する表示領域である。
撮影部160で得られる前眼部の平面画像1301は領域1302に表示される。領域1302では、前眼部の断層画像に対応するスキャン位置を線分1309により点線で示している。見易さの観点から線分の長さとスキャン範囲は厳密には一致しない表示形態としている。もちろん、スキャン範囲に対応する位置のみを実践で示すこととすれば、撮影範囲との対応関係が分かりやすくなる。
領域1304は、解析処理部313で前眼部断層画像を解析して得られた結果のひとつである隅角の大きさのグラフを示している。グラフでは縦軸が隅角の大きさであり、解析で得られた隅角の大きさは、瞳孔を中心とする極座標の角度成分を位置として横軸に取り表している。線分1305は、領域1300で表示される断層画像の撮影位置と対応している。また、領域1302のスキャン位置を示す線分1309と対応している。ユーザは操作部312を操作して、任意に断層画像、線分1309、線分1305の1つの位置を変更することができ、それに応じて残りの画像または線分が連動して対応する位置へと移動する。これにより、断層画像と隅角の値とを比較して参照することができる。
領域1306には後眼部の断層画像が表示される。領域1307にはSLOで撮影された眼底の平面画像が表示される。領域1307の眼底の画像には、特定の層の層厚マップを重畳して表示させることができる。層厚マップの表示有無、及び表示対象とする層はユーザによる操作部312の操作に基づいて表示制御部191が記憶部309の解析結果から適宜選択して表示させる。領域1308には領域1306に表示された断層画像における特定の層の層厚を示すグラフが表示される。このグラフでは、縦軸が層厚、横軸が断層画像のBスキャン方向の位置となっている。領域1307は線分1310により領域1306に表示された断層画像のスキャン位置及び範囲に対応する線分が描画される。領域1307及び領域1308で表示対象となっている層はユーザによる操作部312からの入力に基づいて表示制御部191が選択する。
ユーザが操作部312を介して線分1310の位置、断層画像、表示対象とする層厚、のいずれか1つを操作することで、他の情報が連動して変更する。これにより、スキャン位置、断層画像、層厚マップ、及び特定の断層画像における層厚のグラフを対応関係が保持されたままでの比較が容易に行える。
さらには、前眼部の画像及び解析結果と後眼部の画像及び解析結果をまとめて表示させることで、特定の疾患に対して前眼部側の異常と後眼部側の異常とを統合的に比較することが容易になる。
[表示画面]
図14は、本実施形態における表示部192における表示例である。図14では、2D撮像モードで撮像された断層画像1431が、領域1430に表示されている。
OCT100は、深い撮像領域を持つため、本実施形態では、コヒーレンスゲート位置から所定の深さ(図における縦方向の長さ)の断層画像を切り出して表示している。なお、眼底画像が表示された領域1411の下側に、断層画像の表示領域1431が位置しているが、領域1411を下側とし領域1431を上側として表示しても良い。領域1411の上側の領域または下側の領域1431に断層画像を表示することにより、画角が広い断層画像を縮小することなく表示できるので、断層画像を観察しやすくなる。なお、領域1420には、装置に関する情報、被検者に関する情報等が表示される。
以上説明のように本実施形態によれば、SS−OCT等で取得した広画角の断層画像を効率的に提示することができる。また、予め用意された断層画像の表示領域に断層画像を表示しきれない場合は、領域を拡大して断層画像を表示するため、分解能を落とすことなく断層画像を表示することができる。更に、予め用意された断層画像の表示領域に断層画像を表示しきれない場合は、領域をスクロールして断層画像を表示するため、観察したい部分の断層画像を表示することができる。
例えばSS−OCTでは従来型のOCTに比べて深さ方向の撮影範囲を広くすることができるため、網膜だけでなく例えば前眼部の断層撮影にも利用できる。
図15のフローチャートに従い、自動調整の設定を説明する。
ステップS1501で制御設定部303は、自動調整がオフに指定されているか否かを判定する。自動調整の指定は操作部312からの操作入力に基づきモード指定部311により行われる。自動調整がオフに指定されていると判定された場合には、ステップS1502に進み、オフに指定されていない場合にはS1503に進む。
ステップS1502で、設定制御部303は、自動で行わないことが設定された場合には、設定に係る調整項目について判定部310により調整が完了していると判定された調整項目について調整が完了した旨の情報を表示させる表示モードを設定する制御を行う。設定制御部303は表示モードを表示制御部191に対して設定する。
ステップS1503で、設定制御部303は、調整が完了していると判定された調整項目について調整が完了した旨の情報は表示させない表示モードを設定する。設定制御部303は、表示モードを表示制御部191に対して設定する。ユーザに対して特に完了した調整項目についての調整状態を通知する意義は薄いので、画面領域の効率的な利用や、情報の見易さを向上させる。
モード指定部311でアラインメント、フォーカス、コヒーレンスゲートの調整の自動調整がオフに指定された場合、アラインメント部として機能するステージ部207、図2に示すアダプタ検出部、フォーカス制御部307、CG制御部301のそれぞれに対し、制御設定部303は自動調整を行わないよう指示する。制御設定部303はさらに、複数の調整項目について個別に調整を自動で行うか否かを設定することができる。またこの際、調整が自動で行われないように制御しつつ、調整が完了しているか否かの判定自体は終了させずともよい。もちろん制御設定部303からの指示で判定部310に判定処理自体を行わせないように制御することもできる。
その他、上述の実施形態を適宜組み合わせたものについても、本発明の実施形態に含まれる。あるいは、本発明の一部をプログラムとハードウェアとの協働により実現する場合も本発明の実施形態に含まれる。プログラムによる実施形態では、図5乃至8および15に示す処理に対応するプログラム、ならびに図9乃至14に示す表示画面に対応するプログラムを記憶部309に格納しておき、CPUがRAMに展開し、CPUでプログラムに含まれる指令を実行していくことにより達成される。
上述の実施形態は、本発明の実施形態の例示であり、発明の範囲は上述の実施形態に限定されない。