JP6140021B2 - ピン接合形式の露出型鉄骨柱接合構造 - Google Patents

ピン接合形式の露出型鉄骨柱接合構造 Download PDF

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Description

本発明は、RC造躯体のほぼ全断面を抵抗作用に寄与させて、せん断耐力を向上することが可能であると共に、これによってアンカー部材のせん断性能も十分に発揮させることが可能なピン接合形式の露出型鉄骨柱接合構造に関する。
鉄骨柱を用いる建築物では、鉄骨柱と鉄筋コンクリート(RC)造の基礎との接合構造や鉄骨柱とRC造柱との接合構造として、これらRC造基礎等のRC造躯体上に鉄骨柱の下端部を露出して接合する露出型の接合構造が知られている。
露出型の接合構造のうち、ピン接合形式の接合構造は、必要せん断耐力及び必要引張耐力を確保しつつ、RC造躯体と鉄骨柱との間のモーメント伝達を極力抑えることを目的とした接合方式である。
この種のピン接合形式の露出型鉄骨柱接合構造として、特許文献1が知られている。特許文献1は、曲げ変形の発生を抑制し得ると共に、RC造躯体のコンクリート等の局部的な圧壊も防止し得、さらに、RC造躯体のコンクリート断面の欠損を生じさせることがなくて、十分な引張耐力を確保することが可能なピン接合形式の露出型鉄骨柱接合構造を提供することを課題とし、雄ネジ部が上端部に形成され、雄ネジ部下に軸体部が形成された棒鋼と、棒鋼の軸体部にそれらの側縁同士が当該軸体部を挟んで互いに向かい合わせで接合されるせん断プレート材と、これらせん断プレート材の雄ネジ部側上縁に接合され、これらせん断プレート材同士を相互に連結する拘束プレート材とを備えるアンカー部材を用い、拘束プレート材がRC造柱上面に対し上から当接するように、せん断プレート材を含む軸体部をRC造柱に埋設すると共に、RC造柱上面から突出する棒鋼の雄ネジ部を、鉄骨柱の下端部の中央部分に締結するようにしている。
特開2012−255295号公報
上記背景技術は、棒鋼にせん断プレート材を設けたアンカー部材を用いていて、特に、RC造柱等RC造躯体のコンクリート等の局部的な圧壊を防止することができる。
ピン接合形式の鉄骨柱接合構造では、RC造躯体に埋設するせん断プレート材を、当該RC造躯体のほぼ中央位置に埋設する必要がある。RC造躯体はせん断プレート材と共に、鉄骨柱から伝達されるせん断力に対し抵抗するが、せん断プレート材がRC造躯体のほぼ中央位置に埋設されるため、当該埋設位置を境界としてRC造躯体の半分の断面領域でしか、抵抗することができない。
RC造躯体の半分の断面領域による抵抗作用では、十分なせん断耐力を確保することができず、せん断ひび割れが生じて、RC造躯体はせん断破壊に至ってしまう。せん断破壊に至ると、鉄骨柱とRC造躯体との接合部の耐力が低下し、結局、アンカー部材が有するせん断性能を十分に発揮させることができないという課題があった。
当該課題は、RC造躯体の耐力を大きくするように、その断面を大きくすれば解決できるが、断面を大きくすると、RC造躯体断面をコンパクト化するというピン接合形式そもそものメリットが得られなくなってしまう。また、断面を大きくすることで、コスト増や納まりなどの意匠上の問題が別途生じてしまう。
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、RC造躯体のほぼ全断面を抵抗作用に寄与させて、せん断耐力を向上することが可能であると共に、これによってアンカー部材のせん断性能も十分に発揮させることが可能なピン接合形式の露出型鉄骨柱接合構造を提供することを目的とする。
本発明にかかるピン接合形式の露出型鉄骨柱接合構造は、主筋を埋設して構築した鉄筋コンクリート躯体の上面に、鉄骨柱の下端部の中央部分を回転可能に接合するようにしたピン接合形式の露出型鉄骨柱接合構造において、接合部が上端部に形成された棒状部材と、該棒状部材に、その側方から少なくとも2枚一組で、それらの側縁同士が当該棒状部材を挟んで互いに向かい合わせで接合されるせん断プレート材と、一方の該せん断プレート材から他方の該せん断プレート材に渡して、上記主筋を囲うために設けられる応力伝達部材とを備えたアンカー部材を用い、該アンカー部材を、上記接合部が上記鉄筋コンクリート躯体の上面から突出されるように、かつ上記主筋周辺を含んで上記応力伝達部材と上記せん断プレート材の間が充填されるようにコンクリートを打設して、当該鉄筋コンクリート躯体に埋設し、上記棒状部材の上記接合部に、上記鉄骨柱の下端部の中央部分を接合したことを特徴とする。
前記応力伝達部材は、一方の前記せん断プレート材に一端が接合され、他方の該せん断プレート材に他端が接合されることを特徴とする。
前記応力伝達部材は無端環状に形成され、前記各せん断プレート材に、これらを貫通して設けられることを特徴とする。
前記応力伝達部材は、一方のせん断プレート材から他方のせん断プレート材に渡して設けることに代えて、1枚の前記せん断プレート材の表裏に渡して、前記主筋を囲うために設けられることを特徴とする。
本発明にかかるピン接合形式の露出型鉄骨柱接合構造にあっては、RC造躯体のほぼ全断面を抵抗作用に寄与させて、せん断耐力を向上することができると共に、これによってアンカー部材のせん断性能も十分に発揮させることができる。
本発明にかかるピン接合形式の露出型鉄骨柱接合構造の第1実施形態を示す側断面図である。 図1中、A−A線矢視断面図である。 図1に示すアンカー部材が有する応力伝達部材の配設状態の斜視図である。 図1に示したピン接合形式の露出型鉄骨柱接合構造の接合部にせん断力やモーメントが作用する様子を示す説明図である。 第1実施形態に適用したアンカー部材の変形例を説明する説明図である。 アンカー部材に備えられる応力伝達部材の、他の接合例を示す要部断面図である。 本発明にかかるピン接合形式の露出型鉄骨柱接合構造の第2実施形態を説明する説明図である。 本発明にかかるピン接合形式の露出型鉄骨柱接合構造の第3実施形態を示す、RC造柱の平断面図である。
以下に、本発明にかかるピン接合形式の露出型鉄骨柱接合構造の好適な実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明に係るピン接合形式の露出型鉄骨柱接合構造の第1実施形態を示す側断面図、図2は、図1中、A−A線矢視断面図、図3は、図1に示すアンカー部材が有する応力伝達部材の配設状態の斜視図、図4は、図1に示したピン接合形式の露出型鉄骨柱接合構造の接合部にせん断力やモーメントが作用する様子を示す説明図である。
図1に示すように、第1実施形態に係るピン接合形式の露出型鉄骨柱接合構造は、RC造躯体としてRC造柱1が例示されていて、このRC造柱1上に、中空筒体状の鉄骨柱2を接合する場合が示されている。
RC造柱1は周知のように、柱上下方向の柱主筋3を、柱の周方向に沿う環状配列で複数配筋すると共に、当該環状配列の柱主筋3を柱の周方向に沿って包囲する環状のフープ筋4を柱上下方向に複数段配筋し、これら柱主筋3及びフープ筋4を打設コンクリートCで埋設することで構築される。図示例では、平断面四角形状のRC造柱1が示されているが、多角形状や円形状のRC造柱1であってもよい。
RC造柱1は、基礎上に立ち上げられ、下端部固定のラーメン構造においてモーメントが「ゼロ(0)」となる、階層のおおよそ中間高さ位置まで構築される。鉄骨柱2は、モーメントが「ゼロ」となるRC造柱1上に設置されて、ピン接合形式で接合される。
構造力学的に、ピン接合形式は、RC造柱1に対して鉄骨柱2が回転可能な接合方式であって、この場合、鉄骨柱2の下端部に接合したベースプレート5の中央部分やその近辺のみがRC造柱1の上面1aに対し接合される。
鉄骨柱2は、RC造柱1に、単一のアンカー部材6を用いて接合される。アンカー部材6は、鉄骨柱2との接合部7a周辺を除き、RC造柱1に埋設される。アンカー部材6は主に、真直な棒状部材7と、四角形状で平坦な複数枚のせん断プレート材8と、リング状で平坦な拘束プレート材9と、所定のせん断プレート材8相互間に渡して設けられる応力伝達部材10とから構成される。これらプレート材8,9の形状は一例であって、その他の形状であっても良い。これらプレート材8,9は、鋼板等の金属材によって形成される。
棒状部材7は、例えば丸鋼などの棒鋼で形成される。棒状部材7は、RC造柱1の上下方向に立てて用いられるもので、上端部には接合部7aが形成される。図示例にあっては、接合部7aは雄ネジ部で形成される。接合部7aは、鉄骨柱2下端部のベースプレート5に形成した挿通孔5aに挿入されてナット11が螺着され、これにより棒状部材7が鉄骨柱2と接合される。
棒状部材7と鉄骨柱2の接合は、溶接接合など、他の接合方法で接合しても良い。棒状部材7は、接合部7a下の軸体部7bがRC造柱1に埋設されることにより、接合部7a周辺がRC造柱1の上面1aから突出される。
せん断プレート材8は、接合部7a下方の軸体部7bに接合される。せん断プレート材8は、2枚一組で接合される。せん断プレート材8は図3に示すように、軸体部7bの側方から、軸体部7bに面する側縁8a同士が当該軸体部7bを挟んで互いに向かい合う配置で、軸体部7bに接合される。せん断プレート材8は、複数組接合しても良い。
せん断プレート材8を複数組接合する場合、せん断プレート材8の各組は、棒状部材7周囲に、互いに交差する方向に向けて設けられる。すなわち、複数組のせん断プレート材8は、軸体部7bを中心に、放射状の配列で棒状部材7に接合される。図示例では、二組のせん断プレート材8が、互いに直角に交差する方向に十字状に配設されている。
せん断プレート材8は軸体部7bに溶接接合によって接合される。溶接接合に限らず、ガス圧接など、その他の接合方法を用いても良いことはもちろんである。
リング状の拘束プレート材9は、棒状部材7に接合部7a側から挿入され、図1に示すように複数枚のせん断プレート材8の接合部側上縁8bに接合される。拘束プレート材9は、せん断プレート材8同士を相互に連結する。すなわち、拘束プレート材9は、棒状部材7周りに沿って複数のせん断プレート材8をつなぐ。
拘束プレート材9はせん断プレート材8に溶接接合によって接合される。溶接接合に限らず、ガス圧接など、その他の接合方法を用いても良い。拘束プレート材9は、棒状部材7と接合しても良いが、棒状部材7に生じる引張力が直接、せん断プレート材8や応力伝達部材10に伝達されるように、棒状部材7と接合しない方が好ましい。
拘束プレート材9は図1に示すように、せん断プレート材8を含む軸体部7bをRC造柱1に埋設したとき、RC造柱1の上面1aを押さえ込むために、当該RC造柱1の上面1aに対し上から当接する位置に位置付けられる。詳細には、棒状部材7の軸体部7bは、せん断プレート材8の上縁8bがRC造柱1の上面1aと面一となり、かつせん断プレート材8上縁の拘束プレート材9がRC造柱1の上面1aに上方から被さって接するような位置に埋設される。
アンカー部材6にはさらに、2枚一組のせん断プレート材8の一方から、他方のせん断プレート材8に渡して、鉄筋からなる応力伝達部材10が設けられる。鉄筋であれば、RC造柱1を構築するために打設されるコンクリートCの充填性を良好に確保することができる。鉄筋は、丸鋼でもよいが、異形鉄筋とすれば、打設コンクリートCとの付着性を高く確保することができる。
応力伝達部材10は、鉄筋に限らず、鋼板等の板材であってもよく、また、それらを組み合わせたものでもよい。板材を用いる場合には、コンクリートCの充填性を確保するために、空気孔を形成することが好ましい。
応力伝達部材10は、2枚一組のせん断プレート材8に対し、それらの表裏に配設されて、2本一組で設けられる。これにより、図示した平断面四角形状のRC造柱1の4つの側面1bのうち、互いに反対側に位置する二つの側面1bに対して、応力伝達部材10が配置される。応力伝達部材10の渡し方としては、少なくともいずれかの柱主筋3をせん断プレート材8側へ囲う形態で、せん断プレート材8間に渡される。
本実施形態では、各応力伝達部材10は、各せん断プレート材8から当該せん断プレート材8が面するRC造柱1の側面1bへ向かって真っ直ぐに延びる一対の延出部10aと、RC造柱1の側面1bと柱主筋3との間を通って延出部10aの先端部同士を連結する連結部10bとから、おおよそコ字状の形態で形成される。柱主筋3とこれに近接する連結部10bとは、互いに直接係合するように密接させても、あるいはコンクリートCが充填される隙間を隔てて間接的に係合する、いずれの様態であってもよい。これにより、柱主筋3と応力伝達部材10相互間での応力伝達が確保される。
アンカー部材6が、環状配列で配筋される柱主筋3の内方に配置されることから、延出部10aがせん断プレート材8から真っ直ぐ延びる応力伝達部材10は、RC造柱1の隅角部周辺に配筋される柱主筋3を除き、せん断プレート材8が面するRC造柱1の側面に位置する柱主筋3を囲うように設けられる。
図示例では、応力伝達部材10の各延出部10aの基端部,すなわち応力伝達部材10の両端には、応力伝達部材10を各せん断プレート材8に接合するために、折曲部10cが形成され、一端となる一方の折曲部10cは、一方のせん断プレート材8に、他端となる他方の折曲部10cは、他方のせん断プレート材8に接合される。これら折曲部10cは、フレア溶接によりせん断プレート材8に接合される。
本実施形態では、アンカー部材6には、4枚二組のせん断プレート材8が備えられていて、従って、応力伝達部材10も4本二組で設けられ、互いに方向が交差する十字の配置とされる。これにより、応力伝達部材10は、RC造柱1の4つの側面1bそれぞれに対して配置される。上下に位置が重なる応力伝達部材10同士は、互いに密接させて配置しても、あるいは離して配置しても、どちらでもよい。
応力伝達部材10はさらに、フープ筋4と同様に、RC造柱1の柱上下方向に多段に設けられる。本実施形態では、十字の配置の応力伝達部材10が各フープ筋4の上方に重ねて配置されていて、各フープ筋4の配筋位置周辺におけるRC造柱1の平断面は、これらフープ筋4及び十字配置の応力伝達部材10によって水平全方向でほぼ均等な構造とされている。図示例では、フープ筋4と4本の応力伝達部材10からなる配筋のセットが、3段で設けられている(図1参照)。フープ筋4と応力伝達部材10の関係においても、互いに上下に密接させて配置しても、離して配置しても、どちらであってもよい。
第1実施形態に係るピン接合形式の露出型鉄骨柱接合構造の作用について説明する。RC造柱1を構築する際、柱主筋3及びフープ筋4を配筋し、その周りを包囲して型枠を設置する。このとき、アンカー部材6を図示しない仮止め具などを用いて、接合部7aがRC造柱1の上面1aから上方へ突出され、かつ拘束プレート材9がRC造柱1の上面1aに当接されるように、当該RC造柱1の中心位置に配置する。その後、型枠内部にコンクリートCを打設する。
打設されたコンクリートCは、柱主筋3及びフープ筋4の周りに回り込むと共に、柱主筋4周辺を含んで応力伝達部材10とせん断プレート材8の間にも充填され、これにより棒状部材7を含むアンカー部材6がRC造柱1に埋設される。コンクリートCは、せん断プレート材8と応力伝達部材10の間で拘束される。柱主筋3と応力伝達部材10の連結部10bとの間に隙間がある場合には、この隙間にもコンクリートCが充填される。打設コンクリートCが硬化すると、アンカー部材6の接合部7aがその上面1aから突出されたRC造柱1が構築される。
その後、アンカー部材6の棒状部材7の接合部7aは、上方から建て込まれる鉄骨柱2のベースプレート5のおおよそ中央部分に対し、ナット11を締結することで接合される。これにより、鉄骨柱2の中央部分を、アンカー部材6によりRC造柱1に接合したピン接合形式の露出型鉄骨柱接合構造が完成される。
図4(a)には、鉄骨柱2とRC造柱1との接合部7aにせん断力Qが作用する様子が示され、図4(b)には、モーメントMが作用する様子が示されている。RC造柱1に埋設したアンカー部材6の棒状部材7(接合部7a)に、例えば図4(a)に示すように、図中右方向から左方向にせん断力Qが作用すると、図2に示すように、棒状部材7に接合されているせん断プレート材8のうち、主としてRC造柱1を左半分と右半分の断面領域に分けている2枚一組のせん断プレート材8,8が、このせん断力Qを左半分の断面領域のコンクリートCに伝達する。
バネ性を呈するコンクリートCから反力f1を受けるせん断プレート材8,8によって、RC造柱1の左半分の断面領域で抵抗作用が得られる。それに加えて、抵抗しているせん断プレート材8,8には、RC造柱1の右半分の断面領域で柱主筋3を囲う応力伝達部材10が設けられていて、せん断プレート材8,8が負担する力の一部が応力伝達部材10を介して柱主筋3に伝達され、当該せん断プレート材8,8を境界として、RC造柱1の右半分の断面領域でも、これら柱主筋3や応力伝達部材10による抵抗作用(f2参照)を得ることができ、結果的にRC造柱1の全断面領域で抵抗することができる。
これにより、せん断ひび割れを、左半分の断面領域だけでなく、RC造柱1の全断面に分散させることができ、アンカー部材6のせん断性能を十分に発揮させることが可能となって、接合部7a周りのせん断耐力を向上することができる。また、左半分の断面領域に存在する他方の応力伝達部材10や、他のもう一組のせん断プレート材8及びこれらせん断プレート材8に設けられている応力伝達部材10も、せん断力を負担して抵抗することができ、これによってもRC造柱1のせん断耐力を向上することができる。
特に、応力伝達部材10を互いに交差する方向、例えば十字配置とすれば、RC造柱1の周囲どの方向からせん断力が作用しても、これをせん断プレート材8と協働して負担することができて、全方向性でRC造柱1のせん断耐力を向上することができる。
従ってまた、図4(b)に示すモーメントMが接合部に作用しても、当該接合部7aのせん断耐力が向上しているので、そしてまた、このモーメントMによる接合部7aの回転を、柱主筋3に係合し得る応力伝達部材10及びコンクリートCによる抵抗で拘束することができるので、当該モーメントMに起因して接合部7a周辺に生じるRC造柱1のコンクリートCの圧壊も適切に抑制することができる。
せん断プレート材8の上下方向長さを大きくすることで、応力伝達部材10の負担を少なくすることができるので、好ましい。また、応力伝達部材10を備えることで、せん断プレート材8の板厚や左右方向幅寸法の影響を小さくして、アンカー部材6の高いせん断性能を保証することができる。
図5には、第1実施形態に適用したアンカー部材6の変形例が示されている。図5(a)は、RC造柱1の平断面図であり、図5(b)は、せん断抵抗の様子を示すRC造柱1の平断面図である。この変形例は、応力伝達部材10の両端に折曲部10cを形成せずに、これら両端をせん断プレート材8の表裏に突き合わせ溶接した場合である。このように構成しても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することはもちろんである。
図6は、突き合わせ溶接に代えてボルト接合する場合であり、せん断プレート材8に貫通形成した孔部8cに、当該せん断プレート材8の表側から応力伝達部材10の一端を挿入し、裏側からナット12を締結するようにしていて、このように構成しても良いことはもちろんである。
図7には、第2実施形態に係るピン接合形式の露出型鉄骨柱接合構造が示されている。図7(a)は、RC造柱1の平断面図であり、図7(b)は、せん断抵抗の様子を示すRC造柱1の平断面図である。第1実施形態では、応力伝達部材10をほぼコ字状に形成し、その両端を2枚一組のせん断プレート材8のそれぞれに接合したが、第2実施形態では、応力伝達部材10は無端環状に形成される。
各せん断プレート材8にはそれぞれ、貫通孔8dが形成される。応力伝達部材10は、この貫通孔8dに挿通されて、せん断プレート材8の表裏両側に一連に形成される。具体的には、応力伝達部材10は、コ字状のものを2本用意し、いずれか一方を貫通孔8dに挿通した上で、その付近でこれらを突き合わせ溶接や重ね合わせ溶接等により接合して、無端環状に形成される。
せん断力に対し、第1実施形態では、RC造柱1の右半分の断面領域で柱主筋3を囲う応力伝達部材10が主として抵抗作用を発揮するものであったが、第2実施形態では、応力伝達部材10が、右半分及び左半分の両断面領域に連続していて、左半分の断面領域の柱主筋3にも応力を伝達することができ、RC造柱1の左半分の断面領域でも、これら柱主筋3や応力伝達部材10による抵抗作用(f3参照)を得ることができ、さらに確実にRC造柱1の全断面領域で抵抗することができる。
図8は、第3実施形態に係るピン接合形式の露出型鉄骨柱接合構造を示す、RC造柱1の平断面図である。第3実施形態では、応力伝達部材10は、一方のせん断プレート材8から他方のせん断プレート材8に渡して設ける第1実施形態とは異なり、1枚のせん断プレート材8の表裏に渡して、柱主筋3を囲うために設けられる。要するに、2枚一組のせん断プレート材8の各1枚1枚に、一本ずつ応力伝達部材10が設けられる。
応力伝達部材10は、せん断プレート材8の表に一端が接合され、裏に他端が接合される環状に形成される。図示例にあっては、応力伝達部材10の両端の接合を、折曲部10cをフレア溶接して行うようにしているが、折曲部10cを形成することなく、突き合わせ溶接したり、ボルト接合するようにしてもよい。
第1及び第2実施形態では、せん断力が作用する方向に面する(せん断力の作用方向と直交する)せん断プレート材8で抵抗すると共に、当該せん断プレート材8に設けた応力伝達部材10により力を柱主筋3に伝達するものであったが、第3実施形態では、せん断力が作用する方向に沿う(せん断力の作用方向に平行な)せん断プレート材8に、同様の機能を営む応力伝達部材10が設けられる。
棒状部材7の接合部7aから入力されるせん断力は、いずれかのせん断プレート材8に作用するので、このような構成であっても、柱主筋3に抵抗力を負担させることができ、結果的にRC造柱1の全断面領域でせん断力に抵抗させることができて、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができることは勿論である。
以上の説明では、RC造躯体として、RC造柱1を例示して説明したが、RC造基礎であっても、同様に適用して構成できることは勿論である。RC造躯体の断面が大きい場合には、種々の対策を採用し得るが、上記実施形態では、上記アンカー部材の埋設のみによって構成することができるので、RC造柱1の断面のように断面が小さい場合に有効に機能させることができる。
1 RC造柱
1a RC造柱の上面
2 鉄骨柱
3 柱主筋
5 ベースプレート
6 アンカー部材
7 棒状部材
7a 接合部
8 せん断プレート材
8a せん断プレート材の側縁
10 応力伝達部材
10c 応力伝達部材の折曲部
C コンクリート

Claims (4)

  1. 主筋を埋設して構築した鉄筋コンクリート躯体の上面に、鉄骨柱の下端部の中央部分を回転可能に接合するようにしたピン接合形式の露出型鉄骨柱接合構造において、
    接合部が上端部に形成された棒状部材と、該棒状部材に、その側方から少なくとも2枚一組で、それらの側縁同士が当該棒状部材を挟んで互いに向かい合わせで接合されるせん断プレート材と、一方の該せん断プレート材から他方の該せん断プレート材に渡して、上記主筋を囲うために設けられる応力伝達部材とを備えたアンカー部材を用い、
    該アンカー部材を、上記接合部が上記鉄筋コンクリート躯体の上面から突出されるように、かつ上記主筋周辺を含んで上記応力伝達部材と上記せん断プレート材の間が充填されるようにコンクリートを打設して、当該鉄筋コンクリート躯体に埋設し、
    上記棒状部材の上記接合部に、上記鉄骨柱の下端部の中央部分を接合したことを特徴とするピン接合形式の露出型鉄骨柱接合構造。
  2. 前記応力伝達部材は、一方の前記せん断プレート材に一端が接合され、他方の該せん断プレート材に他端が接合されることを特徴とする請求項1に記載のピン接合形式の露出型鉄骨柱接合構造。
  3. 前記応力伝達部材は無端環状に形成され、前記各せん断プレート材に、これらを貫通して設けられることを特徴とする請求項1に記載のピン接合形式の露出型鉄骨柱接合構造。
  4. 前記応力伝達部材は、一方のせん断プレート材から他方のせん断プレート材に渡して設けることに代えて、1枚の前記せん断プレート材の表裏に渡して、前記主筋を囲うために設けられることを特徴とする請求項1に記載のピン接合形式の露出型鉄骨柱接合構造。
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