JP2005351078A - 鉄骨鉄筋コンクリート造柱の構築方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】座屈強度を大幅に向上させて高軸力下での使用に耐え得る鉄骨鉄筋コンクリート造柱の構築方法を提供する。
【解決手段】フランジ6を有する鉄骨と、その周囲に配筋した鉄筋を内包する鉄骨鉄筋コンクリート造柱の構築方法において、鉄骨のウェブ1,2に穿孔部4を形成し、この穿孔部4にコ字型に成形したコ型補強筋5を挿通させ、反対側からも穿孔部4にコ型補強筋5を挿通させてコ型補強筋同士を非結合でオーバーラップさせ、そのオーバーラップ部分の中央に鉄骨のウェブ1,2が位置するように配置し、鉄骨のフランジに近接してこのフランジ6を取り囲むようにコ型補強筋5を配筋する工程を含むことを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】フランジ6を有する鉄骨と、その周囲に配筋した鉄筋を内包する鉄骨鉄筋コンクリート造柱の構築方法において、鉄骨のウェブ1,2に穿孔部4を形成し、この穿孔部4にコ字型に成形したコ型補強筋5を挿通させ、反対側からも穿孔部4にコ型補強筋5を挿通させてコ型補強筋同士を非結合でオーバーラップさせ、そのオーバーラップ部分の中央に鉄骨のウェブ1,2が位置するように配置し、鉄骨のフランジに近接してこのフランジ6を取り囲むようにコ型補強筋5を配筋する工程を含むことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は鉄骨鉄筋コンクリート造柱に関し、更に詳細にはよりコンクリートの拘束を高めた鉄骨鉄筋コンクリート造柱の構築方法に関する。
従来の鉄骨鉄筋コンクリート造柱は鉄骨を内蔵しているために、コンクリートを拘束するために使用する補強筋は、この鉄骨を取り囲むようなロ型補強筋のみしか配置できなかった。図5は鉄筋コンクリート柱における従来の鉄筋構造を示し、平板10、11を交差させて十字状に構成するとともに、四方に突出した先端部に夫々平板のフランジ12を一体に設けてなる鉄骨20の周囲に鉄筋を配置するようにしたものである。鉄筋は、鉄骨20の長手方向に平行に配置した主筋14と、この主筋14に直交するよう配置した剪断補強筋13からなっている。主筋14の数はコンクリート柱の規模によって異なるが、図示例では12本であり、一方、剪断補強筋13は特定間隔、例えば10センチメートルおきに配置してある。
このような配筋後、周囲に型枠(図示しない)を配置し内部にコンクリートを打設して鉄骨鉄筋コンクリート造柱とする。ここで鉄筋を配置するのは、コンクリート柱が主に軸方向の荷重に耐えるように鉄骨20とコンクリートとの一体性を確保し、高荷重時の座屈を防止するためのである。このようにして造成された柱は軸圧縮耐力の1/3以下の比較的低軸力下では良好な耐力変形性能を有する。
特開平04−052354号公報
特開昭54−056219号公報
ところが、上述した柱の外周部のみの配筋では、超高層建築物の下層部のような高軸力下にある柱に使用する場合は、鉄筋による補強効果が期待できなかった。すなわちかかる柱の構造は、低層の建造物ではさほど問題にならないが、超高層建造物の下層部のような高軸力下では脆弱的な破壊性状を示し、耐震性能上好ましくない。特に超高層建造物では高強度材料を使用するために、作用する軸力も大きくなり、鉄骨外周のコンクリートの劣化が早まり、地震時等に受ける荷重は柱の座屈を生ずる原因となり得るので、コンクリートを十分に拘束する必要がある。
本発明はかかる従来の問題点を解決するためになされたもので、座屈強度を大幅に向上させて高軸力下での使用に耐え得る鉄骨鉄筋コンクリート造柱の構築方法を提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明の鉄骨鉄筋コンクリート造柱の構築方法では下記の手段を採用した。
すなわち、本発明の鉄骨鉄筋コンクリート造柱の構築方法は、フランジを有する鉄骨と、その周囲に配筋した鉄筋を内包する鉄骨鉄筋コンクリート造柱の構築方法において、
前記鉄骨のウェブに穿孔部を形成し、
この穿孔部にコ字型に成形したコ型補強筋を挿通させ、
反対側からも前記穿孔部に前記コ型補強筋を挿通させてコ型補強筋同士を非結合でオーバーラップさせ、そのオーバーラップ部分の中央に前記鉄骨のウェブが位置するように配置し、
前記鉄骨のフランジに近接してこのフランジを取り囲むように前記コ型補強筋を配筋する工程を含むことを特徴とする。
すなわち、本発明の鉄骨鉄筋コンクリート造柱の構築方法は、フランジを有する鉄骨と、その周囲に配筋した鉄筋を内包する鉄骨鉄筋コンクリート造柱の構築方法において、
前記鉄骨のウェブに穿孔部を形成し、
この穿孔部にコ字型に成形したコ型補強筋を挿通させ、
反対側からも前記穿孔部に前記コ型補強筋を挿通させてコ型補強筋同士を非結合でオーバーラップさせ、そのオーバーラップ部分の中央に前記鉄骨のウェブが位置するように配置し、
前記鉄骨のフランジに近接してこのフランジを取り囲むように前記コ型補強筋を配筋する工程を含むことを特徴とする。
また前記鉄骨が連続する方向に縦鉄筋を配置するとともに、この縦鉄筋を前記コ型補強筋の角部に連結して、コ型補強筋を保持することができる。(鉄骨)一般に、鉄骨鉄筋コンクリート造柱に使用されるのはH鋼やT型鋼等のフランジを備えた鉄骨である。ここでは予め所定位置にコ型補強筋を挿通する穿孔部をウェブに設けたものを使用すれば、現場では鉄筋の挿通作業のみで配筋できる。(コ型補強筋)一般の異径鉄筋をコ字型に曲げたものが好適である。フランジを囲むように配置されたコ型補強筋は、対向するもの同士を重ね定着することができる。
コ型補強筋は、フランジで拘束された柱中心近傍のコンクリート部分に定着されるため、定着性能が良く、溶接をしなくても十分に補強筋としての性能を発揮できる。
またフランジを取り囲むように配筋されるコ字型部分は、その幅がフランジの幅の約1.5倍程度の大きさのものが適当で、フランジとコ型補強筋の距離はあまり離れすぎないことが好ましい。(縦鉄筋)これは、前記コ型補強筋の角部に連結して、コ型補強筋を保持するようにしてもよい。ここで縦鉄筋とは鉄骨のウェブと同等の長さの鉄筋が好適である。
本発明によれば、前記した構成により、コ型補強筋はフランジによって拘束されたコンクリート中に位置し、高軸力下になる程、コンクリートに対して強く定着する。このようにしてコンクリートの拘束力が向上し、高軸荷重時において曲げ応力が発生した場合でも、圧縮側コンクリートの圧壊が防止でき、さらには鉄骨の座屈強度を高めるため柱の強度が大幅に向上する。
以下、本発明の柱の構造を図1から図4に示される実施形態について更に詳細に説明する。
この実施形態は高層建造物のコンクリート柱に応用したもので、図1はその横断面図、図2は縦断面図である。鉄骨3は、鋼板部分であるウェブ1、2を十字状に交差させた形状で一体に構成されており、ウェブ1、2の夫々の先端部にフランジ6が一体に設けられている。
そして、夫々のウェブ1、2における同一高さ位置に2カ所の穿孔部4が、ウェブ1、2の表面に特定間隔をおいて設けてある。これら穿孔部4の穿設位置は図2に示すように、一方のウェブ1に設けられた二つの穿孔部4の穿設位置は同一高さであるが、他方のウェブ2に設けられた二つの穿孔部4の穿設位置とは異なっている。
すなわち、この穿孔部4には複数のコ型補強筋5が挿通されるため、その衝突を防ぐ意味でコ型補強筋5の直径程度の位置差を設けてある。コ型補強筋5は図1に示すように、「コ」字状に形成したもので、その夫々の先端部が穿孔部4に挿通される。さらにコ型補強筋5はウェブ1の表面と裏面から挿通されるとともに、ウェブ2の表面と裏面からも挿通され、相当部分がオーバーラップしている。このようにコ型補強筋5は同一平面上において4本挿通される。このようにして図3に示すように、コ型補強筋5によって各フランジ6が包囲される。同様な構成で穿孔部4は鉄骨ウェブ3の高さ方向に特定間隔で設けられているため図2に示すように、階層的にコ型補強筋5が配置される。
さらにコ型補強筋5の角部に当たるように縦筋7を設けることが好ましい。この縦筋7は鉄骨3に平行に設けられるもので、コ型補強筋5に結束して固定される。ここでは縦鉄筋7は図1に示すように合計8本設けられている。また鉄骨3の長手方向に主筋14を平行に配置し、さらにこの主筋14に直交するよう剪断補強筋13を配置する。この剪断補強筋13は鉄筋を四角形に形成したもので鉄骨3を囲むように配置される。剪断補強筋13とコ型補強筋5の外側部は図1に示すように、一体に添わせてある。
実際には、鉄骨の外周にあるロ型の鉄筋である剪断補強筋13と主筋14を最初に配筋し、その後に所定位置にコ型補強筋5を配筋する。最初にコ型補強筋5を配筋してしまうと、これが剪断補強筋13を配する場合に障害になる。
このような配筋を施した後、鉄骨3の周囲に型枠(図示せず)を配置し内部にコンクリートを打設して鉄骨鉄筋コンクリート造柱8とする。このコンクリート柱8への荷重は下層ほど大きくなるため、その強度配分は下層ほど高く設定する必要がある。そこで、コ型補強筋5の配筋量を下層ほど多く、上層ほど少なくすることで必要な強度を得るようにしたものである。
このような構造の鉄骨鉄筋コンクリート造柱では、図4において矢示F方向に応力が発生した場合(高軸荷重時において)、従来の構成のコンクリート柱では圧縮側コンクリートの圧壊が先に発生する。これは、高い圧縮軸力と曲げに伴う圧縮力が累加して鉄骨鉄筋コンクリート造柱断面外周部のコンクリートに作用するためであるが、本発明ではコ型補強筋5によってコンクリートを十分拘束してコンクリートの強度を高め、コンクリートの損傷を低減している。したがってコンクリートが容易に破壊されることはなく、鉄骨3の座屈も発生しにくいため建造物の耐震性を大幅に向上させることができる。
具体的には、従来の鉄骨鉄筋コンクリート造柱において上下端を固定し、高軸圧縮力下で水平方向の応力を与えた場合、10/1000の変形度で座屈が見られたが、本発明のコンクリート柱では30/1000の変形度ではじめて座屈が見られた。すなわち計算上、一層の高さを4.0mとすれば、従来水平方向で4センチメートルの撓みが限界であったが、本発明では12センチメートルの変形まで耐えることになる。
本発明によれば、高軸荷重時における曲げ応力が発生しても、圧縮側コンクリートの圧壊が有効に防止でき、鉄骨の座屈も生じにくいため、高軸力下の柱としての使用に耐え得る鉄骨鉄筋コンクリート造柱が提供できる。
1、2 ウェブ
3 鉄骨
4 穿孔部
5 コ型補強筋
6 フランジ
7 縦鉄筋
8 コンクリート
3 鉄骨
4 穿孔部
5 コ型補強筋
6 フランジ
7 縦鉄筋
8 コンクリート
Claims (2)
- フランジを有する鉄骨と、その周囲に配筋した鉄筋を内包する鉄骨鉄筋コンクリート造柱の構築方法において、
前記鉄骨のウェブに穿孔部を形成し、
この穿孔部にコ字型に成形したコ型補強筋を挿通させ、
反対側からも前記穿孔部に前記コ型補強筋を挿通させてコ型補強筋同士を非結合でオーバーラップさせ、そのオーバーラップ部分の中央に前記鉄骨のウェブが位置するように配置し、
前記鉄骨のフランジに近接してこのフランジを取り囲むように前記コ型補強筋を配筋する工程を含むことを特徴とする鉄骨鉄筋コンクリート造柱の構築方法。 - 前記鉄骨が連続する方向に縦鉄筋を配置するとともに、
この縦鉄筋を前記コ型補強筋の角部に連結して、
コ型補強筋を保持するように構成した請求項1記載の鉄骨鉄筋コンクリート造柱の構築方法。
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