JP6139334B2 - 蛍光体およびその製造方法、並びにその蛍光体を用いたledランプ - Google Patents

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Description

本実施形態は、蛍光体およびそれを用いたLEDランプに係り、さらには青色発光ダイオードとそのダイオードからの発光を吸収して緑黄赤色光を発光する蛍光体とを組み合わせて成るLEDランプに係り、特にLEDランプの蛍光体として使用した場合に演色性が優れた発光を放出できる蛍光体およびそれを用いたLEDランプに関するものである。
発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode、以下、LEDチップともいう。)は、電圧を印加すると光源として作用する発光素子であり、二つの半導体の接触面(pn接合)付近での電子と正孔との再結合によって発光する光を利用する発光素子である。この発光素子は小型で電気エネルギーの光への変換効率が高いため、家電製品や照光式操作スイッチ、LED表示器として広く用いられている。
また、フィラメントを用いる電球とは異なり、半導体素子であるために、いわゆる「球切れ」がなく、初期駆動特性に優れ、振動や繰り返しのON/OFF操作にも優れた耐久性を有するため、自動車用ダッシュボードなどの表示装置のバックライトとしても用いられる。特に、太陽光に影響されずに高彩度で鮮やかな色の発光が得られるため、屋外に設置される表示装置、交通用表示装置や信号機等にも、今後その用途が拡大される状況である。
すなわち、発光ダイオードは光を放射する半導体ダイオードであり、電気エネルギーを紫外光または可視光に変換するものである。特に可視光を利用するためにGaP、GaAsP、GaAlAs、GaN、InGaAlPなどの発光材料で形成した発光チップを透明樹脂で封止したLEDランプとしても広く使用されている。また上記発光材料をプリント基板や金属リードの上面に固定し、数字や文字を形どった樹脂ケースで封止したディスプレィ型のLEDランプにも多用されている。
また、発光チップの前表面あるいは前部樹脂中に各種の蛍光体粉末を含有させることにより、放射光の色を適正に調整することも可能である。すなわちLEDランプの発光色は、青色から赤色まで使用用途に応じた可視光領域の発光を再現することが出来る。また、発光ダイオードは半導体素子であるため、長寿命でかつ信頼性が高く、光源として用いた場合には、その故障による交換頻度も低減されることから、携帯通信機器、パーソナルコンピュータ周辺機器、OA機器、家庭用電気機器、オーディオ機器、各種スイッチ、バックライト用光源表示板等の各種表示装置の構成部品として広く使用されている。
しかしながら、最近では上記各種表示装置の利用者の色彩感覚が向上し、各種表示装置においても、微妙な色合いをより高精細に再現できる機能や、LEDランプの均一な外観が要求されるようになってきた。特に白色発光のLEDランプは携帯電話のバックライトや車載用ランプにおいてその需要拡大は顕著であり、将来的には、蛍光灯の代替としての需要が大きく伸長していくことが期待されるため、その白色光の高演色性や均一な外観を求めて種々の技術的改善が試行されている。
さらに2006年7月にEU(欧州連合)において施行されたRoHS規制(電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する指令)では、電気製品等への水銀の使用が禁止されており、近い将来において照明設備においても水銀を使用しない白色発光LEDランプが、水銀蒸気を封入した従来の蛍光灯に置き換わるものと予想される。
現在、実用的に普及しているか、あるいは試行されている白色発光LED(発光装置)としては、青色発光ダイオードと黄色発光蛍光体(YAG)、場合によっては更に赤色蛍光体を組み合わせたタイプの発光装置(タイプ1と呼称する)、紫外線あるいは紫光発光ダイオードと青色、黄色、赤色蛍光体とを組み合わせたタイプの発光装置(タイプ2と呼称する)が存在する。現時点で、タイプ1はタイプ2より高輝度であるという優位性が評価され最も普及している。
上記タイプ1の発光装置の用途で使用されている黄色蛍光体としては、セリウム付活イットリウムアルミン酸塩蛍光体(YAG)、セリウム付活テルビウムアルミン酸塩蛍光体(TAG)、アルカリ土類珪酸塩蛍光体(BOSS)などの蛍光体材料が実用化されている。
上記蛍光体材料のうち、YAG、BOSSについては、発光ダイオードとの組合わせて使用される以前から一般に知られた蛍光体であり、これまでフライングスポットスキャナーや蛍光灯などで使用され、あるいは応用製品への適用が試行されてきた。これらの蛍光体は携帯電話のバックライト用蛍光体として既に実用化されているが、さらに照明装置や自動車のヘッドランプ等への更なる需要の拡大を目指し日々改良がなされている。
上記実用化を目指した改良の成果については下記のような特許文献によって紹介されている。具体的には、上記BOSS蛍光体については、下記特許文献1などに、その改良経緯および結果が開示されている。一方、YAG、TAGなどのアルミン酸塩蛍光体については下記の特許文献2〜21などに改良経緯および結果が開示されている。具体的には蛍光体の基本成分の一部を他種類の元素で置換したり、その置換量を最適化したり、付活剤の種類およびその添加量を調整したりする試みが継続されている。
特許第3749243号公報 特開2006−332692号公報 特開2006−299168号公報 特開2006−41096号公報 特開2005−317985号公報 特開2005−8844号公報 特開2003−179259号公報 特開2002−198573号公報 特開2002−151747号公報 特開平10−36835号公報 特開2006−321974号公報 特開2006−265542号公報 特開2006−213893号公報 特開2006−167946号公報 特開2005−243699号公報 特開2005−150691号公報 特開2004−115304号公報 特開2006−324407号公報 特開2006−253336号公報 特開2005−235847号公報 特開2002−42525号公報
しかしながら、上記の青色発光ダイオードとBOSSあるいはYAG,TAGなどの黄色発光蛍光体とを組み合わせて形成し、輝度特性が優位である従来のタイプ1の白色LEDの問題点は、その放射光(白色光)を構成する赤色発光成分が不足しており、照明用途として用いられた場合に照明対象物の色をより自然なものとして再現する演色性が低くなる欠点があった。そのために、特に自然な色が重要視される物品の販売店舗用の照明装置や物品の色の見分けを要する作業場用の照明装置としては不適になる問題点があり、現在も種々の観点から技術的改良がなされ、特開2009-79094に赤み成分を強化した蛍光体およびそれを用いたLEDランプが開示されている。こうした技術改善により照明として用いたLEDランプの演色性は改善されてきた。しかし一部の市場では高演色性にたいする要求が強く、いっそうの改善が求められているのが現状である。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、特に従来不足しがちであった赤色発光成分に加え、演色性をさらに向上させることができる発光の不足波長域を補う蛍光体を提供すると共に、この蛍光体をLEDランプの蛍光体として使用することにより、演色性が優れた発光を放出できるLEDランプを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の発明者らは各種組成を有する蛍光体を調製し、従来の蛍光体の主成分の一部を他の元素で置換し、その置換元素の種類および置換量が蛍光体の発光特性に及ぼす影響を一連の実験により比較検討した。その結果、特にアルミン酸塩蛍光体であるYAGを構成するアルミニウム成分の一部を所定量のマンガン(Mn)およびけい素(Si)で置換したときに、赤色発光成分が多い蛍光体が得られる一方、アルミニウムの一部をガリウム(Ga)で置換することにより、この蛍光体を、特定の発光ピーク波長を有する青色発光ダイオードと組み合わせることで、従来同等以上の高輝度を有し、さらに演色性が高い白色LEDランプが得られるという知見を得た。本発明は上記知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明に係る蛍光体は、組成が下記化学式
LnMn(Al1−z,Ga5−x−ySi12:Ce
(但し、LnはY,LuおよびGdから選択される少なくとも1種の元素であり、x,y,zは、それぞれ0<x≦2,0<y≦2,0<z<0.7,0.9≦x/y≦1.1なる関係式を満たす係数である。)で表されることを特徴とする。
本発明に係る蛍光体は、従来のYAG系蛍光体の主成分であるアルミニウム成分の一部を所定量のマンガン(Mn)、けい素(Si)およびガリウム(Ga)で置換して構成される。置換されるMnおよびSi成分は蛍光体の発光ピーク波長の長波長発光成分を増やす作用があり、必然的に長波長成分である赤色発光成分が多い黄赤色光を放出する蛍光体が得られる。この蛍光体と青色発光ダイオードを組み合わせた白色LEDランプの場合、その発光スペクトルには500nm近辺に谷間ができ、強度の低い部分が生じてしまう。本発明の発明者らは、このスペクトルの不足部分を少なくすることにより、演色性がさらに向上できる知見をシミュレーションにより得、アルミニウムの一部をGaに置換することにより不足部分を補えることを見出し本発明に至った。即ち、本発明の蛍光体は一種類の蛍光体でありながら緑黄赤成分を均等に含み、高い演色性を提供できるものである。
上記MnおよびSi成分の置換量はそれぞれ原子比で2以下に規定される。このMnおよびSi成分の置換量がそれぞれ原子比で2を越えるように過量になると、YAG系蛍光体の基本結晶構造に歪みを生じて発光特性が却って低下してしまうために、MnおよびSiの置換量はそれぞれ2以下に設定されるが、0.01以上1以下であることがより好ましい。MnおよびSi成分はいずれかを単独で添加した場合にもある程度の発光波長の赤色成分増加効果はあるが、特に両成分を原子比でほぼ等量ずつ併用したときに効果が顕著になる。そのために両者の配合比(x/y)は0.9〜1.1の範囲に規定される。
また、上記Ga成分の置換量はAl成分をある程度置換していれば良いが(0<z)、発光スペクトルにはっきりとした緑色成分の増強を得るためには0.01以上であることが好ましい。0.7以上になると、緑色成分の増強が著しくなり、白色LEDランプとしての効率を低下させることになる。
また、上記蛍光体において、前記Mnの一部をMgで置換することが好ましい。MgはMnと同様にSiと協働して蛍光体の発光ピーク波長を長波長側にシフトする作用を有する場合があるため、Mn量に対して10〜70原子%の範囲で置換しても良い。この置換量が下限未満であるとシフト効果が少ない一方、置換量が上限を超えると、前記と同様に、蛍光体の基本結晶構造に歪みを生じて発光特性が却って低下してしまう。
また、上記蛍光体において、蛍光体粒子の球形度が0.80以上であることが好ましい。半導体発光素子と蛍光体を組み合わせてなる発光装置における蛍光体の多重反射による光エネルギーロスを抑え、高い発光輝度を得ることができる。
また、上記蛍光体の製造方法は、前記蛍光体の原料である蛍光体原料混合物に、反応を促進させる融剤(フラックス)として、フッ化バリウム(BaF)を0.05〜3%、さらに塩化イットリウム(YCl)を0.01〜1%を添加し混合する工程と、混合工程後の混合物を焼成する焼成工程を含むことを特徴とする。本発明の製造方法によれば、さらに球形度の高い蛍光体を得ることが可能となり、より輝度の高いLEDランプを提供できる。
さらに、本発明に係るLEDランプは、発光ピーク波長が430〜470nmである青色発光ダイオードと上記記載の蛍光体とを組合せて成ることを特徴とする。本発明に係るLEDランプによれば、発光ピーク波長が430〜470nmである青色発光ダイオードと、発光ピーク波長が概略570nm以上の長波長発光成分が増え黄赤色の発光を示す蛍光体とを組み合わせて構成されているために、従来不足しがちな赤色発光成分が効果的に補われ、さらに発光スペクトルに従来不足していた500nm近辺の波長成分を増強させられることにより、従来と同等以上の高い輝度と高演色性とを備える白色LEDランプが得られる。
本発明に係る蛍光体およびそれを用いたLEDランプによれば、従来のYAG系蛍光体の主成分であるアルミニウム成分の一部を所定量のマンガン(Mn)およびけい素(Si)の置換により、蛍光体の発光波長の長波長発光成分が増加し、従来不足しがちな赤色発光成分を十分に補える上に、従来の発光不足成分の緑色を補強し緑黄赤色光を放出する蛍光体が得られる。したがって、この蛍光体と所定の発光ピーク波長を有する青色発光ダイオードとを組み合わせて構成しているために、従来と同等以上の高い輝度と高演色性とを兼ね備える白色LEDランプが実現し、一般照明をはじめとして白色光の高輝度および高演色性が要求される応用分野において良質の光源を提供することが可能になる。また、一種類の蛍光体でかかる特性を実現でき、複数の蛍光体を用いる場合よりも製造工程が簡略化される。さらには、蛍光体には水銀を含まず環境保全に適合した製品として需要の伸長が期待されるものである。
本発明の実施形態に係る蛍光体と従来のYAG系蛍光体(2種)との合計3種類の蛍光体の発光スペクトルを対比して示すグラフ。 本発明に係るLEDランプの一実施例の構成を示す断面図。 LEDランプの蛍光体として本発明に係る蛍光体を組み合わせて得られる白色発光LEDランプの発光スペクトルの一例を示すグラフ。
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。
[蛍光体]
本実施形態のLEDランプに用いられる蛍光体の組成は下記化学式で表される。
LnMn(Al1−z,Ga5−x−ySi12:Ce
(但し、LnはY,LuおよびGdから選択される少なくとも1種の元素であり、x,y,およびzは0<x≦2,0<y≦2,0<z<0.7,0.9≦x/y≦1.1なる関係を満たす数である)。すなわち、本発明の蛍光体は、YAG系蛍光体を構成するAl成分の一部をMnおよびSiで共置換し、さらにAlの一部をGaで置換したセリウム(Ce)付活アルミン酸塩蛍光体である。
上記化学式で表わされる蛍光体粉末の平均粒径は、通常1μm以上100μm以下、好ましくは3μm以上80μm以下、さらに好ましくは5μm以上80μm以下、より好ましくは5μm以上40μm以下である。ここで平均粒径とは、コールターカウンター法による測定値であり、体積累積分布の中央値D50を意味する。
図1は、本発明の実施形態に係る1種の蛍光体と、従来のYAG系蛍光体2種との合計3種類の蛍光体の発光スペクトルを対比して示したものである。スペクトル曲線Aは、YAl12:Ceなる組成を有する従来の蛍光体YAGに対応し、スペクトル曲線Bは、従来の蛍光体YAGのAlの一部をMn、Siに置き換えたYMn0.035Al4.93Si0.03512:Ceなる組成を有する蛍光体に対応し、スペクトル曲線Cは、さらにAlの一部をGaに置き換えたYMn0.05(Al0.9,Ga0.14.9Si0.0512:Ceなる組成を有する本実施形態に係る蛍光体に対応するものである。
図1に示す結果から明らかなように、従来のYAl12:Ce(YAG)組成に対し、Al成分に対するMnおよびSiの置換量が増加するに従って従来のCe付活蛍光体の発光スペクトルの他に、Mnの発光と推定されるピーク(波長:580−590nm)が重なるように現われる。従来のCe付活蛍光体の発光ピークは540nm近辺の短波長域に存在するため、かかる長波長光成分が少ないスペクトル形状は従来のYAG蛍光体での解決すべき技術上の課題であり、Mn及びSiの添加により改善されるものである。
ここで、MnイオンはAlイオンを置換すると考えられるがMnイオンは2価であり且つ3価のAlイオンよりそのイオン半径は大きいので、それをバランスする4価でイオン半径の小さいSiイオンの共置換が必要である。
このようなAlをMn及びSiの添加による改善は長波長光成分を増やし、また全体的に波長を長波長側にシフトする傾向にある。このため500nm近辺の短波長成分が不足してしまう。これに対して本実施形態では、スペクトル曲線Cから明らかなように、発光ピークの500nm近辺の短波長成分が増強されるために、発光スペクトルが緑、黄、赤色発光成分が含まれることになり、さらに演色性が優れた質の高い白色LEDランプを提供できることが判明した。
従来から一般には、黄色発光蛍光体の赤色発光成分の補強対策として、YAG(YAl12:Ce)蛍光体を構成するイットリウム(Y)の一部をガドリニウム(Gd)に置換し(Y,Gd)Al12:Ceなる組成を有する蛍光体とすることが実施され製品化もされているが、発光輝度および発光の演色性が共に低下し易い傾向がある。
また、Y(Al,Ga)12:Ceなる組成を有する蛍光体とすることで発光スペクトルを短波長にシフトできることも知られており、これらの蛍光体を混合して使用することにより、緑、黄、赤色発光成分を含むようにすることはある程度できるものの、複数の蛍光体を使用するため、製造工程で色分離に起因すると思われる色ムラが発生し易く、工程もまた煩雑になるのが現状である。
本実施形態に係る蛍光体によれば、単一の蛍光体でありながら発光スペクトルが緑、黄赤色成分を含むように出来、それにより従来と同等以上の効率及び高演色性を実現することが可能になる。
[蛍光体の粒子形状]
本実施形態の蛍光体の粒子形状は、球形に近いものであるほど好ましい。このように粒子形状を球形に近いものとすることで発光装置の発光輝度をさらに向上させることが可能となる。
即ち、半導体発光素子と蛍光体を組み合わせてなる発光装置では、外部に光が取り出される際に、半導体発光素子から出射された光が蛍光体表面で反射されたり、発光した蛍光体から出射された光が他の蛍光体表面で反射されたりして、多重反射を繰り返して、外部に光が取り出される。こうした光の反射現象が生じると、光のエネルギーロスが生じる。
このような光のエネルギーロスを抑える粒子形状として、表面積が小さい球形のものが適している。しかし、蛍光体の粒子形状は、球形とは異なる形状になる場合もあり得る。
そこで、本実施形態では、蛍光体の粒子形状が球形に近いものか否かについて、Wadellの球形度(Ψ)(以下、「球形度」とも言う。)を指標として判断する。
本実施形態の蛍光体の球形度としては、0.80以上であるのが好ましい。また、後述の製造法によれば、さらに球形度を向上させることもできる。
ここで、Wadellの球形度(Ψ)は、実際の粒子の表面積とその粒子と同じ体積を有する球の表面積の比として次式(A1)により定義される。
ψ=(粒子と同じ体積を有する球の表面積)/(実際の粒子の表面積) (A1)
通常、ある体積を持った粒子においては、球形の形状を持った粒子の表面積がもっとも小さい値となる。従ってWadellの球形度(Ψ)は通常の粒子では1以下であり、粒子形状が球形に近づくほど1に近づいていく。
ここで、Wadellの球形度(Ψ)は、次の方法で求められる。
はじめに、粉末の蛍光体の粒度分布をコールターカウンター法で測定する。得られた粒度分布において、ある粒径Diにおける個数頻度をNiとする。ここで、コールターカウンター法とは粒子の体積に応じた電圧変化から粒度を規定する方法であり、粒径Diとは電圧変化で規定された実際の粒子と同体積の球形粒子の直径である。
これらの個数頻度Niおよび粒径Diを用いて粉末蛍光体の比表面積(S)を計算する。比表面積は粉体の表面積をその重量で割った値であり、単位重量当たりの表面積として定義される。
粒径Diの粒子の重量は、(4π/3)×(Di/2)×Ni×ρ(ここでρは粉体の密度である)である。粉体の重量は、この重量を各粒径に対し足し合わせた下記式(A2)で表される。
Σ{(4π/3)×(Di/2)×Ni×ρ} (A2)
また、粒径Di持った粒子の表面積は4π×(Di/2)×Niである。実際の粒子形状は球形ではない場合には、実際の比表面積はWadell球形度(Ψ)で割った値{4π×(Di/2)×Ni}/Ψを各粒径に対し足し合わせたものとなる。
即ち、粉末蛍光体の比表面積(S)は、下記式(A3)で表される。
S=[Σ{4π×(Di/2)×Ni}/Ψ]/[Σ{(4π/3)×(Di/2)×Ni×ρ}]
=(6/ρ/Ψ)×{Σ(Di×Ni)}/{Σ(Di×Ni)} (A3)
実際にはWadell球形度(Ψ)が各粒径に対し少し異なる値になることも考えられるが、粉体全体として球形からのずれとして平均的な値であると解釈することができる。
一方、粉体の粒径を測定する方法としては、通気法(ブレーン法、フィッシャー法等)が知られている。この方法は両端が開放した金属製のチューブに粉体を詰め、その粉体層に空気を通過させ、すなわち通気させ、空気の通過しやすさから粒径を規定するものであり、その粒径は比表面積径(d)と呼ばれる。比表面積径(d)と比表面積(S)とは下記式(A4)の関係がある。
S=6/ρ/d (A4)
従って、Wadell球形度(Ψ)は、粒度分布から計算される比表面積と通気法の粒径から計算される比表面積を比べることにより、下記式(A5)で求めることができる。
Ψ=d×{Σ(Di×Ni)}/{Σ(Di×Ni)} (A5)
粒度分布の粒径は通常粒径範囲として表現されるが、本発明では粒径Diを粒径範囲の中間値とし、精度をあげるために粒径範囲を0.2μm毎とした。粒度分布を対数正規確率紙にプロットすると2本の直線で近似できる。従って、その2本の正規確率分布から0.2μm毎の個数頻度データを容易に得ることができる。
[蛍光体の製造方法]
本実施形態の蛍光体は、各蛍光体原料を混合し、得られた蛍光体原料混合物を低酸素雰囲気中で焼成することにより作成することができる。具体的には以下に示す方法により製造される。
先ず、本実施形態に係る蛍光体原料、酸化イットリウム(Y)、酸化アルミニウム(Al)、炭酸マンガン(MnCO)、酸化けい素(SiO)、酸化ガリウム(Ga)、酸化セリウム(CeO)等を乾式混合して蛍光体原料混合物を調製する。蛍光体原料混合物に、融剤を含む蛍光体原料混合物を100質量%としたときに、フッ化バリウム(BaF)を0.05〜3質量%及び塩化イットリウム(YCl)を0.01〜1質量%添加するのが好ましい。蛍光体原料混合物が、これらの融剤を含むと、得られる蛍光体粉末の球形度を高くすることができる。これらの融剤の配合量が、共に上限値を超えると、蛍光体粒子の異常成長により蛍光体の輝度が低下しやすい。また共に下限値以下では球形度の向上は顕著ではない。蛍光体原料混合物は、別の融剤として、反応促進剤であるフッ化カリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属のフッ化物等を含んでいてもよい。
次に、蛍光体原料混合物は、耐火るつぼに充填される。耐火るつぼとしては、例えば、アルミナるつぼ、カーボンるつぼ等が用いられる。耐火るつぼに充填された蛍光体原料混合物は焼成される。焼成装置は、耐火るつぼが配置される内部の焼成雰囲気の組成、ならびに焼成温度および焼成時間が所定条件に保たれる装置が用いられる。このような焼成装置としては、たとえば、電気炉が用いられる。
焼成雰囲気としては、還元性ガスが用いられる。還元性ガスとしては、例えば、Nガス、Arガス、NとHとの混合ガス等が用いられる。また、還元性ガスが、Nガス、またはNとHとの混合ガスである場合、不活性ガス中のNとHとのモル比率は、N:Hが、通常10:0〜1:9、好ましくは9:1〜3:7である。これら還元性ガスは、焼成装置のチャンバー内で気流を形成させるように流通させると、焼成が均一に行われるため好ましい。
焼成雰囲気である還元性ガスの圧力は、通常0.1MPa(略1atm)〜1.0MPa(略10atm)、好ましくは0.1MPa〜0.5MPaである。焼成雰囲気の圧力が0.1MPa未満であると、焼成前にるつぼに仕込んだ蛍光体原料混合物に比較して、焼成後に得られる蛍光体粉末の組成が蛍光体と異なりやすく、このために蛍光体粉末の発光強度が弱くなるおそれがある。一方、焼成雰囲気の圧力が1.0MPaを超えると、圧力が1.0MPa以下の場合と比較しても焼成条件に特に変化がなく、省エネルギーの観点から好ましくない。
焼成温度は、通常1300℃〜1600℃、好ましくは1400℃〜1550℃である。焼成温度が1300℃〜1600℃の範囲内にあると、短時間の焼成で、結晶構造の欠陥の少ない高品質な単結晶の蛍光体粉末を得ることができる。焼成温度が1300℃未満であると、得られる蛍光体粉末の反応が不足し発光強度が不十分となるおそれがある。一方、焼成温度が1600℃を超えると、蛍光体粒子の異常成長により得られる蛍光体粉末の発光強度が弱くなるおそれがある。
焼成時間は、通常0.5時間〜10時間、好ましくは1時間〜8時間、さらに好ましくは2時間〜5時間である。焼成時間が0.5時間未満である場合または20時間を超える場合は、得られる蛍光体粉末の未反応や異常成長のため蛍光体粉末の発光強度が弱くなるおそれがある。焼成時間は、焼成温度が高い場合は、0.5時間〜10時間の範囲内で短い時間とすることが好ましく、焼成温度が低い場合は、0.5時間〜10時間の範囲内で長い時間とすることが好ましい。
[LEDランプ]
本実施形態に係るLEDランプは、発光ピーク波長が430〜470nmである青色発光ダイオードと一種類以上の本発明の蛍光体とを組み合わせて構成される。LEDランプの具体的な構成としては、例えば図2に示すような断面を有するように構成される。すなわち、LEDランプ1は、ランプ部品を搭載する基板2と、この基板2上に搭載され発光ピーク波長が430〜470nmである青色発光ダイオード(発光素子)3と、この発光ダイオード3の上面側に配置され、本発明に係る蛍光体を樹脂に埋め込んで形成した蛍光体層4と、これらの発光ダイオード3および蛍光体層4から成る発光部を支持する樹脂枠5とを備えて構成される。また、樹脂枠5の上部に配置された電極部6と発光ダイオード3とは、ボンディングワイヤ7によって電気的に接続されている。
上記LEDランプにおいて、電極部6からボンディングワイヤ7を経由して発光ダイオード3に印加された電気エネルギーは発光ダイオード3によって青色光に変換され、それらの光の一部が発光ダイオード3上部に位置する蛍光体層4によって、より長波長の光に変換され、発光ダイオード3から放出される光と蛍光体層4から放出される光との総計として白色光がLEDランプ外へ放出される仕組みになっている。
図3は、図2に示す構成を有するLEDランプの蛍光体として本発明に係る蛍光体を組み合わせて得られる白色発光LEDランプの発光スペクトルの例を示すグラフである。
図3のa、b、cの発光スペクトルは、図1に示した発光スペクトル曲線A、B、Cの蛍光体を用いた白色LEDランプのスペクトルにそれぞれ対応している。図3の発光スペクトルは、電流値20mAを印加し発光ピーク波長が460nmである青色発光ダイオードを発光させると同時に、蛍光体により色度(0.300〜0.350,0.330〜0.380)の白色光に変換したものである。図3に示す発光スペクトルから明らかなように、本発明の蛍光体を用いた白色LEDランプにおいては、従来の蛍光体を用いた場合に比べて590nm近辺の赤色光成分が強く、また500nm近辺の緑色光成分の落ち込みが少ないことが分かる。本願の蛍光体を用いた白色LEDランプは単一の蛍光体である上に、緑色から赤色発光成分までの光をより均等に含むことが出来、これにより照明として用いられる時の白色光の質を表す平均演色指数(Ra)が80以上の優れた特性値が得られるものである。
以下、本発明の実施形態について実施例を参照して、より具体的に説明する。すなわち、各種組成を有する蛍光体粒子を調製し、その蛍光体粒子を図2に示すように樹脂によって埋め込んで蛍光体層を形成した各実施例に係るLEDランプをそれぞれ調製し、その発光特性を評価した。
各実施例に係るLEDランプは、図2に示す横断面形状を有し、発光ダイオード3としてサイズ300μm四方の発光チップを樹脂枠5の凹底部に配置した状態で、20mAの電流値にて発光チップを発光させて、その特性を評価した。発光ダイオード3の発光ピーク波長は約460nmであった。白色LEDランプとしての発光特性は、COMPACT ARRAY SPECTROMETER(型式:CAS―140、Instrument Systems社製)及びMCPD装置(大塚電子社製)を使用して測定した。
ここで各LEDランプの作製方法は次の通りである。すなわち、本発明の蛍光体に、10〜20質量%のシリコーン樹脂を混合し、スラリーを作製した後、発光ダイオード上面側に滴下した。その後、100〜150℃の温度で熱処理し、シリコーン樹脂を硬化せしめて各実施例に係るLEDランプを調製した。なお、前記工程でのスラリーの塗布量については、LEDランプの色度がx=0.30〜0.35、y=0.33〜0.38の範囲に入る様、予め必要な数量の蛍光体を用意しておき、スラリー調合を行うものとする。また各実施例において、蛍光体は本発明の蛍光体のみを使用したが、本発明で規定した蛍光体を含めて2種以上のB,G,R用蛍光体を加えて、前記所定の発光色となるように調製しても良い。
[実施例1]
(蛍光体の作成)
酸化イットリウム(Y)、酸化アルミニウム(Al)、炭酸マンガン(MnCO)、酸化けい素(SiO)、酸化ガリウム(Ga)、酸化セリウム(CeO)を下記表1の実施例1に示す蛍光体組成となるように各所定量を秤量し、ボールミルで1時間混合した後、還元雰囲気下で焼成した。合成した蛍光体を乳鉢で粉砕し、メッシュを通すことにより、セリウム付活イットリウムマンガンアルミノガリウムケイ酸塩(組成式:YMn0.05(Al0.9,Ga0.14.9Si0.0512:Ce)を得た。なお、得られた蛍光体の平均粒径は、8μmであった。
なお、実施例2から実施例11の各蛍光体についても、表1に示す蛍光体組成となるよう各成分比率を適宜変えたこと以外は、実施例1と同様の方法で作成した。
(LEDランプの調製)
蛍光体としてのセリウム付活イットリウムマンガンアルミノガリウムケイ酸塩(組成式:YMn0.05(Al0.9,Ga0.14.9Si0.0512:Ce)をシリコーン樹脂と15質量%の濃度で混合した。このスラリーをあらかじめ所定の発光色度になるよう発光ダイオード上に塗布した後に、温度150℃で熱処理して樹脂を硬化せしめることにより、実施例1に係る白色発光LEDランプを調製した。
[実施例2]
蛍光体としてのセリウム付活イットリウムマンガンアルミノガリウムケイ酸塩(組成式:YMn0.02(Al0.7,Ga0.34.96Si0.0212:Ce)をシリコーン樹脂と15質量%の濃度で混合した。このスラリーをあらかじめ所定の発光色度になるよう発光ダイオード上に塗布した後に、温度150℃で熱処理して樹脂を硬化せしめることにより実施例2に係る白色発光LEDランプを調製した。
[実施例3]
蛍光体としてのセリウム付活イットリウムガドリニウムマンガンアルミノガリウムケイ酸塩(組成式:Y2.5Gd0.5Mn0.05(Al0.8,Ga0.24.9Si0.0512:Ce)をシリコーン樹脂と15質量%の濃度で混合した。このスラリーをあらかじめ所定の発光色度になるよう発光ダイオード上に塗布した後に、温度150℃で熱処理して樹脂を硬化せしめることにより実施例3に係る白色発光LEDランプを調製した。
[実施例4]
黄橙色発光蛍光体としてのセリウム付活ルテチウムマンガンアルミノガリウムケイ酸塩(組成式:LuMn0.1(Al0.9,Ga0.14.8Si0.112:Ce)をシリコーン樹脂と15質量%の濃度で混合した。このスラリーをあらかじめ所定の発光色度になるよう発光ダイオード上に塗布した後に、温度150℃で熱処理して樹脂を硬化せしめることにより実施例4に係る白色発光LEDランプを調製した。
[実施例5]
蛍光体としてのセリウム付活イットリウムルテチウムマンガンアルミノガリウムケイ酸塩(組成式:Y1.5Lu1.5Mn0.07(Al0.7,Ga0.34.86Si0.0712:Ce)をシリコーン樹脂と15質量%の濃度で混合した。このスラリーをあらかじめ所定の発光色度になるよう発光ダイオード上に塗布した後に、温度150℃で熱処理して樹脂を硬化せしめることにより実施例5に係る白色発光LEDランプを調製した。
[実施例6]
蛍光体としてのセリウム付活イットリウムガドリニウムマンガンアルミノガリウムケイ酸塩(組成式:Y2.2Gd0.8Mn0.01(Al0.8,Ga0.24.98Si0.0112:Ce)をシリコーン樹脂と15質量%の濃度で混合した。このスラリーをあらかじめ所定の発光色度になるよう発光ダイオード上に塗布した後に、温度150℃で熱処理して樹脂を硬化せしめることにより、実施例6に係る白色発光LEDランプを調製した。
[実施例7]
蛍光体としてのセリウム付活ルテチウムマンガンアルミノガリウムケイ酸塩(組成式:LuMn0.2(Al0.9,Ga0.14.6Si0.212:Ce)をシリコーン樹脂と15質量%の濃度で混合した。このスラリーをあらかじめ所定の発光色度になるよう発光ダイオード上に塗布した後に、温度150℃で熱処理して樹脂を硬化せしめることにより実施例7に係る白色発光LEDランプを調製した。
[実施例8]
蛍光体としてのセリウム付活イットリウムマンガンアルミノガリウムケイ酸塩(組成式:YMn0.03(Al0.9,Ga0.14.94Si0.0312:Ce)をシリコーン樹脂と15質量%の濃度で混合した。このスラリーをあらかじめ所定の発光色度になるよう発光ダイオード上に塗布した後に、温度150℃で熱処理して樹脂を硬化せしめることにより、実施例8に係る白色発光LEDランプを調製した。
[実施例9]
蛍光体としてのセリウム付活ルテチウムマンガンアルミノガリウムケイ酸塩(組成式:LuMn0.4(Al0.8,Ga0.24.2Si0.412:Ce)をシリコーン樹脂と15質量%の濃度で混合した。このスラリーをあらかじめ所定の発光色度になるよう発光ダイオード上に塗布した後に、温度150℃で熱処理して樹脂を硬化せしめることにより、実施例9に係る白色発光LEDランプを調製した。
[実施例10]
蛍光体としてのセリウム付活イットリウムガドリニウムルテチウムマンガンアルミノガリウムケイ酸塩(組成式:YGd0.5Lu0.5Mn0.02(Al0.9,Ga0.14.96Si0.0212:Ce)をシリコーン樹脂と15質量%の濃度で混合した。このスラリーをあらかじめ所定の発光色度になるよう発光ダイオード上に塗布した後に、温度150℃で熱処理して樹脂を硬化せしめることにより、実施例10に係る白色発光LEDランプを調製した。
[比較例1]〜[比較例10]は[実施例1]〜[実施例10]の蛍光体でガリウム(Ga)を含まない蛍光体をそれぞれ同様の製造方法により白色LEDランプとし比較とした。また、比較例11、比較例12の蛍光体についても実施例1と同様の製造方法で作成した。
[比較例11]
黄色発光蛍光体としてのセリウム付活イットリウムガドリニウムアルミン酸塩(組成式:(Y,Gd)Al12:Ce)をシリコーン樹脂と15質量%の濃度で混合した。次にこのスラリーを発光ダイオード上に塗布した後に、温度150℃で熱処理して樹脂を硬化させることにより、従来構成を有する比較例1に係る白色発光LEDランプを調製した。
[比較例12]
黄色発光蛍光体としてのユーロピウム付活ストロンチウムバリウムオルソケイ酸塩(組成式:(Sr,Ba)SiO:Eu)をシリコーン樹脂と15質量%の濃度で混合した。次にこのスラリーを発光ダイオード上に塗布した後に、温度150℃で熱処理して樹脂を硬化せしめることにより、従来の比較例2に係る白色発光LEDランプを調製した。
上記のように調製した各実施例および比較例に係る白色発光LEDランプについて、20mAの電流を流し点灯させて発光せしめ、その発光の輝度、平均演色指数及び色度を測定した。色度については、各実施例および比較例において前記の通り、x=0.30〜0.35,y=0.33〜0.38の範囲であり、ほぼ同じ値であった。各白色発光LEDランプにおける発光輝度および平均演色指数の測定結果を下記表1に示す。
Figure 0006139334
表1に示す結果から明らかなように、アルミニウム成分の一部を所定量のマンガン(Mn)およびけい素(Si)で、さらにガリウム(Ga)で置換して構成した蛍光体を使用した各実施例に係るLEDランプにおいては、各蛍光体の発光スペクトルにおいて、従来不足しがちな590nm近辺の赤色発光成分および500nm近辺の緑色発光成分を補った緑黄赤色光を放出する蛍光体が得られている。したがって、この蛍光体と所定の発光ピーク波長を有する青色発光ダイオードとを組み合わせて構成しているために、従来と同等以上の輝度と高演色性とを兼ね備える白色LEDランプが得られた。
一方、Al成分の一部をガドリニウム(Gd)で置換した蛍光体を使用した比較例11に係る白色発光LEDランプにおいては、蛍光体における発光ピーク波長の長波長側へのシフト量が不十分であるために、輝度の改善効果は少なく、特に演色性の改善効果が少ないことが分かる。また、黄色発光蛍光体として従来のユーロピウム付活ストロンチウムバリウムオルソケイ酸塩(組成式:(Sr,Ba)SiO:Eu)を使用した比較例12に係る白色発光LEDランプにおいては、けい素成分を含有するにも拘らず長波長光成分が少なく、発光の演色性は低い値に留まることが判明した。
次に本発明に係る蛍光体において必須成分であるMnの一部をMgで置換した蛍光体およびそれを用いたLEDランプの実施例について説明する。
[実施例11]
表2に示すようにMnの一部をMgで置換した組成を有する各種蛍光体を調製し、各蛍光体を実施例1と同様な条件で発光ダイオード3の上面側に樹脂で埋め込んで蛍光体層4を形成することにより、図2に示す構造と同一の構造を有するLEDランプをそれぞれ調製した。そして、調製した各LEDランプについて、実施例1と同一条件で発光特性を測定し、下記表2に示す結果を得た。
Figure 0006139334
表2に示す結果から明らかなように、Al成分に対するMnおよびSi、さらにGaの置換を行うと共に、Mnの一部をMgで置換した蛍光体を用いたLEDランプにおいても、赤色光成分および緑色光成分が効果的に増加させることができ、演色性の改善されることが判明した。
次に、本発明に係る製造方法にて得られた蛍光体およびそれを用いたLEDランプの実施例について説明する。
[実施例12]
蛍光体の組成はYMn0.05(Al0.9,Ga0.14.9Si0.0512:Ceとし、
表3に示すように各種蛍光体を下記製造方法により作成し、各蛍光体を実施例1と同様な条件で発光ダイオード3の上面側に樹脂で埋め込んで蛍光体層4を形成することにより、図2に示す構造と同一の構造を有するLEDランプをそれぞれ調製した。
(蛍光体の作成)
酸化イットリウム(Y)、酸化アルミニウム(Al)、炭酸マンガン(MnCO)、酸化けい素(SiO)、酸化ガリウム(Ga)、酸化セリウム(CeO)、それぞれ秤量し、これらに融剤フッ化バリウム(BaF)、塩化イットリウム(YCl)を表3に示した通り加え、乾式混合して蛍光体原料混合物を調製した。その後、この蛍光体原料混合物をアルミナるつぼに充填した。蛍光体原料混合物が充填されたアルミナるつぼを、電気炉内で、0.1MPa(略1気圧)の還元雰囲気中、1500℃でほぼ同一の粒径となるように2〜6時間焼成したところ、るつぼ中に焼成粉末の塊が得られた。この塊を解砕した後、焼成粉末に焼成粉末の質量の10倍量の純水を加えて10分間攪拌し、ろ過して焼成粉末を得た。この焼成粉末の洗浄操作をさらに4回繰り返し、合計5回洗浄した。
次に、洗浄後の焼成粉末をろ過し、乾燥した後、目開き45ミクロンのナイロンメッシュで篩別し、本発明の焼成粉末を得た。
得られた調製した各LEDランプについて、実施例1と同一条件で発光特性を測定し、下記表3に示す結果を得た。
Figure 0006139334
表3から明らかなとおり、融剤フッ化バリウム(BaF)、塩化イットリウム(YCl)の量が、それぞれ0.05〜3質量%及び0.01〜1質量%なる範囲において球形度が高く、それに応じてLEDの輝度が高い傾向にあった。
以上説明したように、各実施例に係るLEDランプによれば、赤色ならびに緑色発光成分量を高めた各実施例の単一の蛍光体と所定の発光ピーク波長を有する青色発光ダイオードとを組み合わせて構成しているために、従来と同等以上の輝度と高演色性とが実現し、一般照明をはじめとして白色光の高輝度および高演色性が要求される応用分野において良質の光源を提供することが可能になる。しかも蛍光体には水銀を含まず環境に優しい製品として需要の伸長が期待できる。
1 LEDランプ
2 基板
3 発光ダイオード(発光素子、LEDチップ)
4 蛍光体層
5 樹脂枠
6 電極部
7 ボンディングワイヤ

Claims (5)

  1. 組成が下記化学式
    LnMnx(Al1−z,Ga5−x−ySi12:Ce
    (但し、LnはY,LuおよびGdから選択される少なくとも1種の元素であり、x,y,zは、それぞれ0<x≦2,0<y≦2,0<z<0.7,0.9≦x/y≦1.1なる関係式を満たす係数である。)で表されることを特徴とする蛍光体。
  2. 前記Mnの一部をMgで置換したことを特徴とする請求項1記載の蛍光体。
  3. 前記蛍光体の粒子の球形度が0.80以上であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体。
  4. 発光ピーク波長が430〜470nmである青色発光ダイオードと前記請求項1記載の蛍光体とを組合せて成ることを特徴とするLEDランプ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載された蛍光体を製造する蛍光体の製造方法であって、
    前記蛍光体の原料である蛍光体原料混合物に、融剤としてフッ化バリウム(BaF)を0.05〜3質量%及び塩化イットリウム(YCl)を0.01〜1質量%を添加し混合する混合工程と、
    前記混合工程後の混合物を焼成する焼成工程を含むことを特徴とする蛍光体の製造方法。
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