以下、図面に従って本発明を適用したカメラを用いて好ましい実施形態について説明する。本発明の好ましい一実施形態に係るカメラは、デジタルカメラである。このカメラは、撮像部を有し、この撮像部によって被写体像を画像データに変換し、この変換された画像データに基づいて、被写体像を本体の背面に配置した表示部にライブビュー表示する。撮影者はライブビュー表示を観察することにより、構図やシャッタチャンスを決定する。レリーズ操作時には、静止画の画像データが記録媒体に記録される。記録媒体に記録された画像データは、再生モードを選択すると、表示部に再生表示することができる。
また、このカメラは、主電源から電源供給されて動作し、撮像部には可変電圧変換部から定電圧が供給され、この定電圧は、設定された動作モード等に応じて、撮像素子のノイズレベルと消費電力のロスが最適となるように制御される。
図1は、本発明の一実施形態に係るカメラの外観斜視図であり、図1(a)は背面側から見た外観斜視図であり、図1(b)は正面側から見た外観斜視図である。
カメラ本体1の上部の略中央には、電子ビューファインダ(Electronic View Finder)(以下、EVFと称す)2が配置されている。EVF2は、内部に小型のEVF表示パネル2c(図2参照)を有し、撮影者はファインダ接眼部2aを介して、EVF表示パネル2cに表示されたライブビュー画像や再生画像等を観察することができる。
またカメラ本体1の上部には、電源釦3、レリーズ釦4、動画記録釦5が配置されている。電源釦は押圧操作を行うことによりカメラをパワーオン状態とし、再度、押圧操作を行うことによりパワーオフ状態にする。なお、電源釦の代わりに電源スイッチ等、他の操作部材を配置するようにしてもよい。
レリーズ釦4が半押し操作されるとカメラ1は撮影準備動作を行い、全押し操作されると撮影動作を指示する。撮影準備状態になると、カメラ1は被写体輝度を測光し、絞り値やシャッタ速度等の露出制御値の演算を行うと共に自動焦点調節(AF)を行う。また、撮影動作時には、撮影準備状態時に演算した露出制御値に従って露出制御を行い、この間、撮像素子によって撮像した静止画の画像データを取得し、記録媒体35に画像データの記録を行う。
動画記録釦5は、動画記録の開始と終了を指示するための操作部材である。すなわち、モードダイヤル8によって動画撮影モードが選択された状態で、動画記録釦5を押圧操作すると、撮像素子によって撮像した動画の画像データを取得し、記録媒体35に画像データの記録を開始する。動画の記録開始後、再度、動画記録釦5が押圧操作されると、動画記録を終了する。なお、動画記録釦5は、レリーズ釦4と兼用してもよく、この場合にはモードダイヤル8やメニュー画面等によって動画記録モードを設定した際に、レリーズ釦4の操作によって動作撮影の開始と終了を行うようにすればよい。
カメラ本体1の背面の右側には、ズーム釦6、表示切替釦7、モードダイヤル8、十字釦9、OK釦10、削除釦11、メニュー釦12が配置されており、これらの操作部材の左側には背面パネル14が配置されている。
ズーム釦8は、レンズ鏡筒18内の撮影レンズ41の焦点距離を調節するための操作部材であり、ワイド(Wide)釦とテレ(Tele)釦を有する。ワイド釦を押圧操作すると撮影レンズ41の焦点距離が広角(短焦点)側に駆動され、テレ釦を押圧操作すると望遠(長焦点)側に駆動される。また、ワイド釦を押圧操作し、ワイド端で停止した後、さらにワイド釦を押圧操作し続けると、マクロモードに切り替わる。テレ釦を押圧操作し、テレ端で停止した後、さらにテレ釦を押圧操作し続けると、電子ズームに切り替わり、さらに画像が拡大される。電子ズームに切り替わると、それまでの光学ズームとは異なり、画像データの一部を切り出し、拡大表示によってズーミングを行う。なお、本実施形態においては、焦点距離をズーム釦によって調整するようにしたが、これに限らず、例えば、回転部材によって焦点距離を調整するようにしてもよい。
表示切替釦7は、EVF2と背面パネル14の切り替えを行う操作部材である。この表示切替釦7を押圧操作するたびに、EVF2と背面パネル14が交互に切り替えられ、ライブビュー画像、再生画像、メニュー画面等が表示される。
モードダイヤル8は、回転可能なダイヤルダイヤルであり、指標(図中の三角マーク)に一致したモードが実行される。このモードとしては、例えば、撮影モード、再生モード、スポーツモード等の露出制御モード、アートフィルタモード、動画撮影モード等、種々のモードが設定可能である。
十字釦9は、メニュー画面等において、カーソル等を上下左右に移動させるための操作部材であり、上下左右をそれぞれ指定するための4つの釦からなる。この4つの釦の略中央にOK釦(確認釦ともいう)10が配置されている。このOK釦10は、メニュー画面等において、十字釦9によって選択された項目を確定するための操作部材である。
削除釦11は、選択された画像データを削除するための操作部材である。この削除は、十字釦9およびOK釦10によって画像を指定した後、削除釦11を押圧操作すると、記録媒体35に記録されている画像データが削除される。
メニュー釦12を操作すると、背面パネル14またはEVF2に、メニュー画面が表示される。撮影者は、メニュー画面を用いて、ストロボ発光モード等、種々の設定を行うことができる。
背面パネル14は、ライブビュー画像、再生画像、メニュー画面等の種々の画像を表示可能である。また、この背面パネル14には、タッチパネル14aが設けられており、撮影者が背面パネル14に表示される画像を見ながらタッチすると、そのタッチ位置に関する情報を出力する。なお、本実施形態では、背面パネルとして、液晶パネルを使用しているが、これに限らず、例えば、有機ELパネル等、他の表示パネルを用いてもよい。また、背面パネル14は、カメラ本体1の背面に配置したが、これに限らず、他の位置に配置しても勿論かまわない。
カメラ本体1の側面には、DC入力端子15が設けられている。DC入力端子15は、外部電源によってカメラ本体1に電源を供給するための端子である。例えば、AC電源をDC電源に変換し、DC電圧の給電を行ってもよい。室内でストロボ撮影等を行う際に使用できる。
カメラ本体1の正面側には、ストロボ16、調光用窓17、レンズ鏡筒18が設けられている。ストロボ16は、補助照明光であり、被写体が暗い場合の自動発光、または撮影者による強制発光等によって発光する。調光用窓17は、ストロボ16の発光時において被写体からの反射光等を測光するために調光センサ24c(図3参照)に反射光等を導くための窓である。ストロボの発光時の発光量を自動制御する場合には、調光センサ24cからの信号に基づいて、制御を行う。
レンズ鏡筒18は、カメラ本体1に着脱自在な交換式レンズ鏡筒であってもよく、またカメラ本体1に固定されたレンズ鏡筒であってもよい。レンズ鏡筒18内には、前述したように撮影レンズ41(図2参照)が配置されている。
次に、図2を用いて、本実施形態における電気的構成について説明する。撮影レンズ41は、前述したように、焦点距離可変のズームレンズであり、この撮影レンズ41の光軸上に、絞り42が配置され、また撮影レンズ41によって被写体像が結像される位置付近にCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ22が配置されている。
絞り42は、撮影レンズ41を通過した被写体光束の光量を、絞り機構42a(図3参照)によって可変する。また、撮影レンズ41のフォーカスレンズは、合焦・変倍制御部36によって光軸方向に移動し、ピント合わせが行われ、撮影レンズ41のズームレンズは、合焦・変倍制御部36によって光軸方向に移動し、ズーミング(変倍)が行われる。
CMOSイメージセンサ22は撮像素子であり、撮影レンズ41によって形成された光学像の撮像を行う。この撮像素子2は、各画素を構成するフォトダイオードが二次元的にマトリックス状に配置されており、各フォトダイオードは受光量に応じた光電変換電流を発生し、この光電変換電流は各フォトダイオードに接続するキャパシタによって電荷蓄積される。この蓄積された電荷は読み出され、ASIC21のA/D変換部21a(図3参照)に出力される。
また、CMOSイメージセンサ22の撮像領域の一部には、光学的に遮光したOB領域22aを有し(図4参照)、このOB領域からの信号もASIC21のA/D変換部21aに出力され、暗電流IOBを検出する。また、CMOSイメージセンサ22は、電子シャッタを有している。CMOSイメージセンサ22と周辺回路は、被写界を撮像し画像データを出力する撮像素子を有する撮像部として機能する。
CMOSイメージセンサ22の近傍に、測温センサ23が配置されている。この測温センサ23は、CMOSイメージセンサ22の環境温度を測定し、測温信号をASIC23に出力する。
センサ類24は、カメラ本体1に加えられた振動やストロボ反射光の測定用のセンサである。センサ類24としては、本実施形態においては、ジャイロ(GYRO)センサ24a、加速度センサ24b、調光センサ24c(図3参照)を有する。ジャイロセンサ24aおよび加速度センサ24bは、手ブレ等によってカメラ本体1に加えられた振動を検出し、検出信号をASIC21に出力する。調光センサ24cは、前述したように、ストロボ16の発光時に調光用窓17を介して反射光等を測光し、測光信号をASIC21に出力する。
EVFパネル表示制御部2bは、ASIC21から表示用の画像データを入力し、EVF表示パネル2cの表示制御を行う。また、ストロボ発光部16aは、ストロボ16の発光部であり、ASIC21からの制御信号に従って、ストロボ発光を行う。スイッチ(SW)部28は、前述の電源釦3、レリーズ釦4、動画記録釦5、ズーム釦6、表示切替釦7、モードダイヤル8、十字釦9、OK釦10、削除釦11、メニュー釦12等の各種操作部材を含み、これらの操作部材の操作状態を検出し、ASIC21に出力する。
電源部29は、電源電池30と接続されており、電源電池30から供給される電源電圧を所定の定電圧に変換し、各回路、例えば、ASIC21、CMOSイメージセンサ22、測温センサ23、センサ類24等に、定電圧を供給する。電源部29、電源電池30およびその周辺回路については、図3を用いて詳述する。
背面パネル表示制御部14bは、ASIC21から表示用の画像データを入力し、背面パネル14の表示制御を行う。また、背面パネル14の前面側には、タッチパネル14aが設けられており、撮影者が背面パネル14上をタッチすると、そのタッチ位置に関する検知信号がASIC21に出力される。
SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)33がASIC21に接続されており、CMOSイメージセンサ22からの画像データ等のデータを一時的に保存する。
フラッシュメモリ34は、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリであり、ASIC21内のCPU(Central Processing Unit)21g(図3参照)の動作用のプログラムや、各種調整値が記憶されている。
記録媒体35は、カメラ本体1に装着自在、または固定された電気的に書き換え可能な不揮発性メモリである。この記録媒体35は、撮影動作時に取得した静止画や動画の画像データを記録し、再生時には、記録された画像データを読み出し可能である。
ASIC21は、A/D変換部21a、画処理部21b、表示制御部21c、メカトロ制御部21d等の各種回路を有しており、CMOSイメージセンサ22からの画像信号の処理や、EVFパネル2bや背面パネル14の表示制御や、撮影レンズ41のピント合わせ等、各種処理を行う。また、ASIC21は、CPU21gを有しており、フラッシュメモリ34に記憶されたプログラムに従って、カメラ本体1の全体制御を行う。
次に、図3を用いて、ASIC21とその周辺回路について詳述する。ASIC21の外部の各回路については、図2に示したものは、同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。ジャイロセンサ24a、加速度センサ24b、および調光センサ24cは、センサ類24内のセンサである。また、WIFI通信部51は、カメラ本体1と外部機器の間で、WiFi(Wireless Fidelity)規格での無線通信を行う。レンズ制御部36aは、合焦・変倍制御部36内に設けられており、撮影レンズ41のフォーカシングおよびズーミングの駆動制御を行う。絞り機構42aは、絞り42の駆動を行う。電源電池30内には、電池測温センサ30aが設けられており、電源電池30の温度を測温し、測温信号をA/D変換部21aに出力する。
ASIC21内には、バス21jが設けられており、このバス21jに、A/D変換部21a、画処理部21b、表示制御部21c、メカトロ制御部21d、USB通信部21e、オーディオ(AUDIO)部21f、CPU21g、メモリI/O21h、I/O部21iが接続されている。バス21jを介して各種データや制御信号のやり取りを行う。
A/D変換部21aは、アナログ信号を入力し、デジタルデータに変換して、バス21jに出力する。入力アナログ信号としては、CMOSイメージセンサ22からの画像信号、測温センサ23からの撮像素子の測温信号、ジャイロセンサ24a、加速度センサ24b、および調光センサ24cからの検知信号、電源電池30からの電池の測温信号がある。
画処理部21bは、バス21jを介して入力したCMOSイメージセンサ22からの画像データの各種画像処理を行い、バス21jに出力する。各種画像処理としては、ライブビュー表示用の画像処理、記録媒体35への記録用画像処理、記録媒体35から読み出した再生用画像処理等がある。また、モードダイヤル8によってアートフィルタモードが設定されている場合には選択されているアートフィルタに応じた画処理も行う。さらに、画処理部21bは、AF制御用にCMOSイメージセンサ22の画像データから高周波成分に応じてコントラスト信号を生成する。
表示制御部21cは、画処理部21bによって処理されたライブビュー画像、再生画像や、またメニュー画像を入力し、EVFパネル表示制御部2b、背面パネル表示制御部14bに出力する。いずれに出力するかは、スイッチ部28およびI/O部21iを介して入力した表示切替釦7の操作状態に応じて決定する。
メカトロ制御部21dは、画処理部21bによって生成されたコントラスト信号に基づいて、撮影レンズ41のフォーカシングレンズがピント位置となるように、レンズ制御部36aを介して駆動制御する。また、スイッチ部28を介して入力したズーム釦6の操作状態に応じて、レンズ制御部36aによって撮影レンズ41のズームレンズの駆動制御を行う。また、メカトロ制御部21dは、CPU21gによって算出された露出制御値(絞り値を含む)(図9のS49参照)に従って絞り機構42を駆動制御する。
USB通信部21eは、カメラ本体1に設けられたUSB端子(不図示)を介して、外部機器と通信を行う。オーディオ部21fは、マイク(不図示)から音声信号を入力し、この音声信号に対して音声処理を行い、静止画や動画の画像データと共に記録媒体35に記録する。また、オーディオ部21fは、記録媒体35に記録された音声信号を処理し、スピーカ(不図示)から音声の再生を行う。
CPU21gは、前述したように、フラッシュメモリ34に記憶されたプログラムに従って、カメラ本体1の全体制御を行う。
メモリI/O部21hは、SDRAM33にデータの書き込みおよび読み出しを行うためのインターフェースである。I/O部21iは、ストロボ発光部16a、記録媒体35、スイッチ部28、電源部29、タッチパネル14aと、バス21jを介して、ASIC21内の各回路とデータの書き込み/読み出し、または制御命令の出力等を行うためのインターフェースである。
次に、図4を用いて、電源部29とその周辺回路について詳述する。電源部29、電源電池30、DC入力端子15の間には、スイッチSW1が配置されている。すなわち、電源部29には固定端子が、また電源電池30とDC入力端子15には可動端子が設けられており、電源電池30またはDC入力端子15のいずれかの直流電源電圧が電源部29に供給される。
電源部29内には、DC/DCコンバータ29a、LDO(Low Drop Out)レギュレータ29b〜29fが設けられている。
DC/DCコンバータ29aは、電源電池30またはDC入力端子15から供給された第1の直流電圧Sig1を、第2の直流電圧Sig2〜Sig4に変換し、LDOレギュレータ29b〜29fに供給する。またDC/DCコンバータ29aは、ASIC21に接続されており、ASIC21の制御命令に従って、動作状態と停止状態に切り替えられ、またDC/DCコンバータ29aの出力先が指定される。すなわち、ASIC21からの指示に従って、1つまたは複数のLDOレギュレータ29b〜29fに第2の直流電圧Sig2〜Sig4が出力される。
なお、第2の直流電圧Sig2〜Sig4は、異なる電圧とするが、同じ電圧でも構わない。また、第2の直流電圧Sig2〜Sig4の少なくとも一部は、図9ないし図14を用いて後述するように、設定された動作モードに応じた電圧とし、ASIC21内のCPU21gからの指示に応じて変化する。
LDOレギュレータ29bには、DC/DCコンバータ29aから第2の直流電圧Sig2を入力し、CMOSイメージセンサ22に直流電圧Sig5を出力する。また、LDOレギュレータ29c、29dには、DC/DCコンバータ29aから第2の直流電圧Sig3を入力し、CMOSイメージセンサ22に直流電圧Sig6、Sig7を出力する。
なお、CMOSイメージセンサ22は、直流電圧Sig5、直流電圧Sig6、直流電圧Sig7が供給されるが、これらの直流電圧のうち、Sig5が供給される回路は、Sig6やSig7が供給される回路に比較しノイズの影響を受けやすい。
また、LDOレギュレータ29eは、DC/DCコンバータ29aから第2の直流電圧Sig4を入力し、測温センサ23、WIFI通信回路51a、センサ類24に直流電圧Sig8を出力する。また、LDOレギュレータ29fも、DC/DCコンバータ29aから第2の直流電圧Sig4を入力し、ASIC21に直流電圧Sig9を出力する。
このように、本実施形態におけるDC/DCコンバータ29aは、ASIC21内のCPU21gからの制御信号に基づいて指示された電圧(直流電圧Sig2〜Sig4)に変換して出力する。また、LDOレギュレータ29b〜29fは、DC/DCコンバータ29aの出力を受けて定電圧をCMOSイメージセンサ22等に供給する。
次に、図5を用いて、撮像素子(CMOSイメージセンサ22)の撮像ノイズ等について説明する。図5(e)は、撮像素子温度と撮像ノイズの関係を示すグラフである。撮像ノイズは、図5(e)に示すように、撮像素子22の温度起因のノイズNThと、LDOレギュレータ29b〜29fに起因する電源起因ノイズNLDOから成る。図5(a)は、撮像素子の温度に対する撮像ノイズの変化を示す。図から分かるように、撮像素子の温度が高くなるに従って、撮像ノイズが増加する。
図5(b)は、LDOレギュレータ29b〜29fの出力ノイズに対する撮像ノイズの変化を示す。図から分かるように、LDOレギュレータの出力ノイズが増加するに従って、撮像ノイズが増加する。
図5(c)は、LDOレギュレータ29b〜29fの入力電位差に対するLDO出力ノイズの変化を示す。図から分かるように、LDO入力電位差が大きくなると、LDO出力ノイズは低下する。
図5(d)は、LDOレギュレータ29b〜29fのLDO入力電位差に対するLDO消費電力の変化を示す。図から分かるように、LDO入力電位差が大きくなると、LDO消費電力も増加する。
このように、撮像素子(COMOSイメージセンサ22)の撮像素子温度が高温になると撮像ノイズは増加する傾向にある(図5(a)参照)。また、LDO出力ノイズが大きい程、撮像ノイズは大きくなり(図5(b)参照)、このLDO出力ノイズは、LDO入力電位差を大きくすると、小さくなる(図5(c)参照)。従って、LDO入力電位差を大きくすることにより、LDO出力ノイズは小さくなり、その結果、撮像ノイズは小さくなる。
撮像素子の環境温度が上昇することによって、撮像ノイズが増加するような状況では、LDO入力電位差を大きくすることによって、撮像素子ノイズを低下させることができる。LDO入力電位差を大きくするには、DC/DCコンバータ29aの出力電圧(Sig2〜Sig4)を大きくすればよい。しかし、LDO入力電位差を大きくすると、図5(e)に示すように、LDO消費電力が増加し、ロス電力となってしまう。
ISO感度、露出補正、シャッタ速度等の露出に係る設定値によっては、撮像ノイズが目立ち易くなることが予想される場合がある。すなわち、ISO感度が高い場合や、マイナスの露出補正が行われる場合や、長秒時シャッタ速度の場合には、被写界が暗い環境での撮影が考えられ、撮像ノイズが表れやすくなってしまう。またノイズリダクションモードが設定されていない場合やストロボ発光モード等の撮影モードが設定されている場合にも、撮像ノイズが表れやすくなってしまう。
そこで、本実施形態においては、露出に係る設定値や設定撮影モード等の動作モードに基づいて、最適となるLDO入力電位差となるように、ASIC21からDC/DCコンバータ29aを制御するようにしている。この結果、撮像ノイズは所定値以下となり、かつLDO消費電力も過大となることを防止できる。
次に、本実施形態の動作を図6ないし図9に示すフローチャートを用いて説明する。これらのフローチャートは、図10ないし図13に示すフローチャートも含めて、CPU21gがフラッシュメモリ34に記憶されたプログラムに従って実行する。
図6に示すフローチャートに入ると、まず、電源がオンか否かを判定する(S1)。これは、電源釦3の操作状態をスイッチ部28によって検出し、これに基づいて判定する。この判定の結果、電源がオフであった場合には、スリープ状態に入る(S3)。スリープ状態では、カメラ本体は低消費電力モードとなり、電源釦3等の特定の操作部材の操作状態のみを検出可能とし、電源釦3等の特定の操作部材が操作された場合にスリープ状態を脱する。
ステップS1における判定の結果、電源がオンであった場合、またはステップS3のスリープ状態を脱すると、電源供給を開始する(S5)。このステップでは、電源部29は、カメラ本体1内の各部に電源を供給する。
電源供給を開始すると、次に、撮影モード、撮影条件、レンズ情報の読み込みを行う(S7)。このステップでは、モードダイヤル8によって設定された撮影モードや、メニュー画面等において設定された撮影条件や、レンズ鏡筒18内の撮影レンズ41に関するレンズ情報等の読み込みを行う。
ステップS7において、撮影モード等の読み込みを行うと、次に、ライブビュー電圧演算・設定を行う(S11)。ここでは、撮像素子としてのCMOSイメージセンサ22やその他の各回路に、LDOレギュレータ29b〜29fから予め決められた定電圧で給電を行う。なお、ステップS7において読み込んだ撮影モードや撮影条件(露出に関する設定値を含む)に基づいて、図9に示すようなフローチャートに従って、LDOレギュレータ29b〜29fから出力する定電圧を可変してもよい。ただし、ノイズ許容レベルは、ライブビュー表示時の方が撮影時よりも高くなるような定電圧でも構わない。
ステップS11においてLV電圧演算・設定を行うと、次に、露光量演算を行う(S13)。このステップでは、CMOSイメージセンサ22からの画像信号に基づいて、被写体輝度を演算し、この被写体輝度に基づいて、ライブビュー表示を行うに適正な明るさとなる電子シャッタ速度等を演算する。
露光量演算を行うと、次に、撮像を開始する(S15)。このステップでは、CMOSイメージセンサ22が撮像を開始し、フレームレートに応じた時間間隔で画像信号の読み出しを行う。
撮像を開始すると、ライブビュー表示を開始する(S17)。このステップでは、CMOSイメージセンサ22から読み出した画像信号に基づいて、背面パネル14またはEVF2にライブビュー画像を表示する。後述するように、ステップS35における判定の結果、電源がオンであれば、ステップS7に戻り、上述の処理を繰り返すので、CMOSイメージセンサ22による撮像を行いライブビュー表示が更新される。
ステップS17においてライブビュー表示を行うと、次に、撮影情報表示を行う(S21)。ここでは、撮影モードや撮影条件等を、背面モニタ14またはEVF2に表示する。
撮影表示を行うと、次に、レリーズ釦が半押しされたか否かを判定する(S23)。ここでは、スイッチ部28によって、レリーズ釦4が半押しされたか否かを判定する。この判定の結果、レリーズ釦が半押しされた場合には、撮影動作を行う(S25)。このステップでは、さらにレリーズ釦4が更に押し込まれ全押しされたか否かを判定し、全押しされた場合には、画像を取得し、記録媒体35に記録する。この撮影動作の詳しい動作については、図8を用いて後述する。
ステップS25において撮影動作を行うと、またはステップS23における判定の結果、レリーズ釦の半押しがなかった場合には、次に、メニュー釦27がオンか否かの判定を行う(S27)。このステップでは、スイッチ部28によって、メニュー釦12が押圧操作されたか否かを判定する。
ステップS27における判定の結果、メニュー釦がオンの場合には、メニュー設定動作を行う(S29)。このステップでは、メニュー画面を背面パネル14等に表示し、十字釦9、OK釦10等の操作に応じて、撮影条件等の変更を行う。
ステップS29においてメニュー設定動作を行うと、またはステップS27における判定の結果、メニュー釦がオンでなかった場合には、次に、モードダイヤル8が再生モードに設定されているか否かを判定する(S31)。このステップでは、スイッチ部28によって、モードダイヤル8の状態を検出し、ダイヤルが再生モードを示しているか否かを判定する。
ステップS31における判定の結果、モードダイヤル8が再生モードに設定されていた場合には、再生動作を行う(S33)。このステップでは、ユーザによって指定された画像の画像データを記録媒体35から読み出し、背面パネル14またはEVF2に再生表示する。
ステップS33において再生動作を行うと、またはステップS31における判定の結果、再生釦がオンでなかった場合には、次に、電源がオンか否かを判定する(S35)。このステップでは、スイッチ部28によって、電源釦3がオン状態か否かを判定する。この判定の結果、電源釦3がオン状態の場合には、ステップS7に戻り、前述の動作を実行する。
ステップS35における判定の結果、電源がオンでなかった場合には、電源供給を停止する(S37)。このステップでは、電源部29は、電源供給を停止する。電源供給を停止すると、ステップS3に戻り、スリープ状態になる。
次に、図8を用いて、ステップS25に示す撮影動作の詳しい動作について説明する。撮影動作に入ると、まず、撮影情報表示をオフにする(S41)。ステップS21において撮影情報を表示しているが、このステップでは、被写体に集中するために、撮影情報の表示を消去する。
撮影情報表示をオフにすると、次に、レリーズ釦が半押しか否かを判定する(S43)。このステップでは、スイッチ部28によってレリーズ釦4の操作状態を判定する。ステップS23においてレリーズ釦4が半押しされたことを検出しているが、このステップでは、レリーズ釦4の半押しが継続されているか否かを判定する。この判定の結果、レリーズ釦4が半押しされていない場合には、撮影動作のフローを終了し、元のフローに戻る。
一方、ステップS43における判定の結果、レリーズ釦が半押しされていた場合には、次に、レリーズ釦が全押しされているか否かを判定する(S45)。ここでは、スイッチ部28によって、レリーズ釦4が半押し状態から更に押し込まれて全押し状態になったか否かを判定する。この判定の結果、レリーズ釦4が全押しされていなかった場合には、ステップS43に戻る。
一方、ステップS45における判定の結果、レリーズ釦が全押しされていた場合には、撮影時電圧設定を行う(S47)。ここでは、ステップS7において読み込んだ撮影モードや撮影条件等に従って、露出に係る設定値に基づいて、撮影時電圧設定を行う。すなわち、ISO感度、被写体輝度、露出補正値、シャッタ速度等の設定値を判定し、またはノイズリダクションモードやストロボ発光モードが設定されているかを判定し、撮影時における許容ノイズレベルとなるLDO入力電位差を求め、このLDO入力電位差となるように、DC/DCコンバータ29aの出力電圧の設定を行う。この撮影時電圧設定の詳しい動作については、図9を用いて後述する。
撮影時電圧設定を行うと、次に、露光量演算を行う(S49)。ここでは、ステップS13(図6参照)において演算した被写体輝度を用いて適正露光となる電子シャッタ速度および絞り値等を演算する。
露光量演算を行うと、次に、静止画撮影を行う(S51)。このステップでは、ステップS49において演算された露出制御値を用いて、電子シャッタ速度および絞り値等で露出制御を行い、CMOSイメージセンサ22への露光が終了すると静止画像の画像信号を読み出す。
静止画撮影を行うと、次に静止画画像処理を行う(S53)。このステップでは、CMOSイメージセンサ22から読み出された静止画像の画像信号を画処理部21bによって画像処理を行う。
静止画画像処理を行うと、次に、静止画記録を行う(S55)。このステップでは、画処理部21bによって画像処理された静止画の画像データを記録媒体35に記録する。静止画記録を行うと、次に、静止画を再生する(S57)。ここでは、ステップS55において記録した静止画を、背面パネル14等に所定時間の間、表示する。
ステップS57において静止画再生を行うと、またはステップS43における判定の結果、レリーズ釦が半押しされていない場合には、元のフローに戻る。
このように、本実施形態のカメラ動作においては、撮影動作時に、露出に係る設定値や設定撮影モード等の動作モードに応じて、撮像ノイズが許容レベル以下となるように、DC/DCコンバータ29aを制御し、LDOレギュレータの入力電圧を変更している(S11、S47参照)。
なお、撮像ノイズが許容レベル以下とするには、図5(b)において、許容レベル以下となるLDO出力ノイズを求め、このLDO出力ノイズに対応するLDO入力電位差を、図5(c)から求めればよい。この際、露出設定値や設定撮影モードに応じて、撮像ノイズが目立ち易い場合には、許容レベルを低くし、一方、撮像ノイズが目立ちにくい場合には、許容レベルを高くし、LDO消費電力を低下するようにすればよい。
次に、図9を用いて、ステップS47(図8参照)における撮影時の電圧設定における動作を説明する。本実施形態においては、動作モードとして、露出に係る設定値と設定撮影モードに着目し、これらの動作モードに基づいて、LDOレギュレータの入力電圧を制御する。
図9に示す撮影時の電圧設定のフローに入ると、まず、ISO感度800未満か否かを判定する(S111)。ISO感度は、メニュー画面等において設定または被写体輝度に応じて自動設定される。この判定の結果、ISO感度が800未満でない場合(ISO感度が800以上)には、電圧設定を高とする(S125)。ISO感度が高感度の場合には、被写体画像にノイズが目立ち易いことから、許容ノイズレベルを小さくし、このためDC/DCコンバータ29aを制御しLDOレギュレータの入力電圧を高くしている。
ステップS111における判定の結果、ISO感度が800未満の場合には、次に、撮影被写体輝度が明るいか否かを判定する(S113)。ステップS49における露出演算の際に使用した被写体輝度を用いて判定する。この判定の結果、撮影被写体が明るくない場合(撮影被写体が暗い場合)には、電圧設定を高とする(S125)。撮影被写体が暗い場合には、被写体画像にノイズが目立ち易いことから、許容ノイズレベルを小さくし、このためDC/DCコンバータ29aを制御しLDOレギュレータの入力電圧を高くしている。
ステップS113における判定の結果、撮影被写体が明るい場合には、次に、露出補正が0またはプラス補正か否かを判定する(S115)。露出補正は、メニュー画面等において設定する。この判定の結果、0またはプラスの露出補正を行っていない場合(マイナス露出補正を行っている場合)には、電圧設定を高とする(S125)。マイナス露出補正を行う場合には、画面が全体に暗くなる方向の補正であり、被写体画像にノイズが目立ち易くなることから、許容ノイズレベルを小さくし、このためDC/DCコンバータ29aを制御しLDOレギュレータの入力電圧を高くしている。
ステップS115における判定の結果、露出補正が0またはプラス補正であった場合には、次に、iAutoで明るいか否かを判定する(S117)。iAutoは、撮影モードの一種であり、自動的に撮影シーンに最適な露出を行う。このステップでは、iAutoが設定されており、しかも撮影被写体が明るいか否かを判定する。この判定の結果、iAutoかつ明るい被写体でない場合には、電圧設定を高とする(S125)。iAuto設定かつ撮影被写体が暗い場合には、被写体画像にノイズが目立ち易いことから、許容ノイズレベルを小さくし、このためDC/DCコンバータ29aを制御しLDOレギュレータの入力電圧を高くしている。
ステップS117における判定の結果、iAuto設定かつ明るい場合には、次に、シャッタスピードが1秒未満か否かを判定する(S119)。シャッタ速度は、ステップS13において演算される。このステップの判定の結果、シャッタスピードが1秒未満でない場合(1秒以上の低速の場合)には、電圧設定を高とする(S125)。シャッタ速度が低速の場合には、撮影被写体が暗く、被写体画像にノイズが目立ち易いことから、許容ノイズレベルを小さくし、このためDC/DCコンバータ29aを制御しLDOレギュレータの入力電圧を高くしている。
ステップS119における判定の結果、シャッタスピードが1秒未満の場合には、次に、ノイズリダクションが設定されているか否かを判定する(S121)。ノイズリダクションは、一旦、撮像を行い第1の画像信号を読み出した後、メカシャッタによって撮像素子を遮光し、この状態で撮像を行い第2の画像信号を読み出し、第1の画像信号から第2の画像信号を減算することにより、ノイズの影響を除去した画像を生成するモードをいう。ノイズリダクションモードは、メニュー画面等において設定する。
ステップS119における判定の結果、ノイズリダクションがオフの場合には、次に、ストロボ発光を行うか否かの判定を行う(S123)。ストロボ16の発光モードは、モードダイヤル8やメニュー画面によって設定可能であり、ストロボ16は、被写体が暗い場合、または手動設定された場合に、発光する。ストロボ発光のする/しないは、ストロボモードがオートの場合には、被写界輝度情報により自動判定した結果であり、一方、ユーザが手動で発光禁止や、強制発光等を設定した結果に応じて、最終的な発光する/しないの判定を行う。
ステップS121における判定の結果、ノイズリダクションがオフであり、かつステップS123における判定の結果、ストロ発光がオンの場合には、電圧設定を高とする(S125)。ストロボ発光するような被写体の場合には暗く、しかもノイズリダクションを行わないことから、被写体画像にノイズが目立ち易い。そこで、許容ノイズレベルを小さくするためにDC/DCコンバータ29aを制御しLDOレギュレータの入力電圧を高くしている。
一方、ステップS121における判定の結果、ノイズリダクションがオンであり、かつステップS123における判定の結果、ストロ発光しない場合には、電圧設定を低とする(S127)。この場合には、被写体は明るく、被写体画像にノイズが目立ちにくい。そこで、許容ノイズレベルが高くても実用上問題がないことから、DC/DCコンバータ29aを制御しLDOレギュレータの入力電圧を低くし、消費電力のロスを小さくしている。
ステップS125またはS127において、LDOレギュレータの入力電圧を設定すると、元のフローに戻る。
このように、本実施形態における撮影時の電圧設定においては、ISO感度、被写体輝度等、撮影条件やノイズリダクションモードやストロボモード等の撮影モードに基づいて、LDOレギュレータの入力電圧を制御している。本実施形態においては、撮像素子(CMOSイメージセンサ22)の撮像ノイズが大きくなるような設定の場合には、DC/DCコンバータ29aを制御しLDOレギュレータの入力電圧を高くして撮像ノイズが目立たなくなるようにしている。一方、撮像素子の撮像ノイズが大きくなるような撮影条件や撮影モードでない場合には、LDOレギュレータの入力電圧を低くし、消費電力のロスを最小限としている。
なお、本実施形態においては、ステップS111における判定用のISOを800とし、またステップS119における判定用のシャッタ速度を1秒としているが、これは例示であり、撮像素子の撮像ノイズとの関係で適宜最適な値を設定すれば良い。また、撮影条件として、ISO感度、被写体輝度、露出補正等を用いたが、これらを全て判定する必要ななく、また別の撮影条件を追加しても勿論かまわない。また、撮影モードとして、ノイズリダクションモードの設定等の有無を用いたが、これらを全て判定する必要ななく、また別の撮影モードを追加しても勿論かまわない。
次に、図10を用いて、ステップS47(図8参照)における撮影時の電圧設定の第1の変形例を説明する。本変形例においては、動作モードとして、撮影後の画像記録に係る設定、すなわち画像圧縮率および画像サイズ等の撮影条件に着目し、この撮影条件に基づいて、LDOレギュレータの入力電圧を制御する。
図10に示す撮影時の電圧設定のフローに入ると、まず、画像圧縮率が所定の画像圧縮率より高いか低いか、またはRAWデータかを判定する(S131)。画像圧縮率等は、メニュー画面等において設定されるので、このステップでは、この設定に基づいて判定する。
ステップS131における判定の結果、画像圧縮率が高い場合には、画像サイズが所定サイズよりも大きいか小さいかを判定する(S133)。画像サイズは、メニュー画面等において設定されるので、このステップでは、この設定に基づいて判定する。
ステップS131における判定の結果、画像圧縮率が低い場合またはRAWデータの場合、またはステップS133における判定の結果、画像サイズが大きい場合には、電圧設定を高とする(S135)。画像圧縮率が低い場合や、RAWデータの場合や、画像サイズが大きい場合には、被写体画像にノイズが目立ち易いことから、許容ノイズレベルを小さくし、このためDC/DCコンバータ29aを制御しLDOレギュレータの入力電圧を高くしている。
一方、ステップS133における判定の結果、画像サイズが小さい場合には、電圧設定を低くする(S137)。この場合には、画像圧縮率は高く、また画像サイズも小さいことから、被写体画像にノイズが目立ちにくい。そこで、許容ノイズレベルは高くても実用上問題がないことから、DC/DCコンバータ29aを制御しLDOレギュレータの入力電圧を低くし、消費電力のロスを小さくしている。
ステップS135またはS137において、LDOレギュレータの入力電圧を設定すると、元のフローに戻る。
このように、本変形例における撮影時の電圧設定においても、画像圧縮率や画像サイズ等の撮影後の画像記録に係る設定に基づいて、LDOレギュレータの入力電圧を制御している。本変形例においても、撮像素子(CMOSイメージセンサ22)の撮像ノイズが大きくなるような設定の場合には、DC/DCコンバータ29aを制御しLDOレギュレータの入力電圧を高くして撮像ノイズが目立たなくなるようにしている。一方、撮像素子の撮像ノイズが大きくなるような撮影条件でない場合には、LDOレギュレータの入力電圧を低くし、消費電力のロスを最小限としている。
なお、ステップS131における判定用の画像圧縮率と、ステップS133における判定用の画像サイズは、撮像素子(CMOSイメージセンサ22)の撮像ノイズが目立つ程度の値とすればよい。また、撮影後の画像記録に係る設定として、画像圧縮率、RAWデータ、画像サイズを用いたが、これらを全て判定する必要ななく、また別の撮影後の画像記録に係る設定を追加してもよく、一部を省略しても勿論かまわない。
次に、図11を用いて、ステップS47(図8参照)における撮影時の電圧設定の第2の変形例を説明する。本変形例においては、動作モードとして、特殊効果処理(アートフィルタ)および撮影モードに着目し、この動作モードに基づいて、LDOレギュレータの入力電圧を制御する。
図11に示す撮影時の電圧設定のフローに入ると、まず、アートフィルタの種類を判定する(S141)。ここでは、アートフィルタは、メニュー画面等において設定するので、この設定に応じて判定する。ラフモノクローム、ジオラマ、ジェントルセピアと、それ以外のアートフィルタかを判定する。ラフモノクロームは、予め作成したノイズパターンを被写体画像に重畳処理を行う。ジオラマは、元画像のAFターゲット等を中心に、中心からの距離に応じて徐々にぼかす処理を行う。ジェントルセピアは、セピア調で全体にぼかす処理を行う。これらの3種類のアートフィルタは、ノイズを重畳させたり、ぼかし処理を行うことから、撮像ノイズが目立たなくなる特性がある。
ステップS141における判定の結果、上述の3種類のアートフィルタでなかった場合には、次に、撮影モードが、夜景、夜景及び人物、ローキー、キャンドル、打ち上げ花火のいずれかの撮影モードか、これらの撮影モード以外かを判定する(S143)。これらの撮影モードは、いずれも暗い被写体の撮影に適している。なお、ローキーは、暗い部分の階調を失うことなく、暗い調子の感じとなるようにした撮影モードである。
ステップS143における判定の結果、撮影モードが、夜景等、上述の5種類であった場合には、電圧設定を高とする(S145)。アートフィルタの特性として撮像ノイズが目立たなくなる処理を行っていない場合や、撮影モードとして暗い被写体を撮影する場合(または暗くする処理の場合)には、被写体画像にノイズが目立ち易いことから、許容ノイズレベルを小さくし、このためDC/DCコンバータ29aを制御しLDOレギュレータの入力電圧を高くしている。
一方、ステップS141における判定の結果、ラフモノクローム等、上述の3種類のアートフィルタが設定されている場合、またはステップS143における判定の結果、その他の撮影モードが設定されていた場合には、電圧設定を低くする(S147)。この場合には、ラフクローム等の撮像ノイズが目立たなくなるアートフィルタが設定されており、また特に暗い被写体等を対象としないその他の撮影モードが設定されていることから、被写体画像にノイズが目立ちにくい。そこで、許容ノイズレベルは高くても実用上問題がないことから、DC/DCコンバータ29aを制御しLDOレギュレータの入力電圧を低くし、消費電力のロスを小さくしている。
ステップS145またはS147において、LDOレギュレータの入力電圧を設定すると、元のフローに戻る。
このように、本変形例における撮影時の電圧設定においても、特殊効果処理(アートフィルタ)や撮影モード等の動作モードに基づいて、LDOレギュレータの入力電圧を制御している。本変形例においても、撮像素子(CMOSイメージセンサ22)の撮像ノイズが大きくなるような動作モードの場合には、DC/DCコンバータ29aを制御しLDOレギュレータの入力電圧を高くして撮像ノイズが目立たなくなるようにしている。一方、撮像素子の撮像ノイズが大きくなるような撮影条件でない場合には、LDOレギュレータの入力電圧を低くし、消費電力のロスを最小限としている。
なお、ステップS131におけるアートフィルタは、ラフモノクローム等の3種類に限られず、また、ステップS143における撮影モードは、夜景モード等の5種類に限られず、画処理によって撮像素子(CMOSイメージセンサ22)の撮像ノイズが目立たなくなるものであればよい。画処理によって撮像素子の撮像ノイズが目立たなくなる特殊効果としては、例えば、白黒処理、セピア調処理、ジオラマ処理等がある。また、これらの動作モードに別の動作モードを追加してもよく、一部を省略しても勿論かまわない。
次に、図12を用いて、ステップS47(図8参照)における撮影時の電圧設定の第3の変形例を説明する。本変形例においては、動作モードとして、画像記録形式に着目し、静止画か動画かに応じて、LDOレギュレータの入力電圧を制御する。
図12に示す撮影時の電圧設定のフローに入ると、まず、静止画か動画かの判定を行う(S151)。通常は静止画モードが設定されており、モードダイヤル8によって動画モードが設定され、この状態で動画記録釦5を押圧操作すると動画モードに切り替わる。このステップでは、モードダイヤル8や動画記録釦5の操作状態に基づいて判定する。
ステップS151における判定の結果、静止画が設定されている場合には、電圧設定を高とする(S153)。静止画の場合には、動画に比較し、被写体画像にノイズが目立ち易いことから、許容ノイズレベルを小さくし、このためDC/DCコンバータ29aを制御しLDOレギュレータの入力電圧を高くしている。
一方、ステップS151における判定の結果、動画が設定されている場合には、電圧設定を低くする(S155)。動画は静止画に比較して、被写体画像にノイズが目立ちにくい。そこで、許容ノイズレベルは高くても実用上問題がないことから、DC/DCコンバータ29aを制御しLDOレギュレータの入力電圧を低くし、消費電力のロスを小さくしている。
このように、本変形例における撮影時の電圧設定においても、静止画および動画の撮影モード等の動作モードに基づいて、LDOレギュレータの入力電圧を制御している。本変形例においても、撮像素子(CMOSイメージセンサ22)の撮像ノイズが大きくなるような画像記録形式の場合には、DC/DCコンバータ29aを制御しLDOレギュレータの入力電圧を高くして撮像ノイズが目立たなくなるようにしている。一方、撮像素子の撮像ノイズが大きくなるような画像記録形式でない場合には、LDOレギュレータの入力電圧を低くし、消費電力のロスを最小限としている。
次に、図13を用いて、ステップS47(図8参照)における撮影時の電圧設定の第5の変形例を説明する。本変形例においては、動作モードとしてズーム範囲に着目し、ズーム範囲が光学ズーム範囲か電子ズーム範囲かに応じて、LDOレギュレータの入力電圧を制御する。
図13に示す撮影時の電圧設定のフローに入ると、まず、ズーム範囲が光学ズーム範囲か電子ズーム範囲を判定する(S161)。ズーム釦6の内のテレ釦を押圧操作し、テレ端で停止した後、さらにテレ釦を押圧操作し続けると、電子ズームに切り替わる。このステップでは、ズーム釦6によって設定されているズーミング範囲に応じて判定する。
ステップS161における判定の結果、電子ズーム範囲にあった場合には、電圧設定を高とする(S163)。電子ズーム範囲にある場合には、画像データのトリミングを行うことから、光学ズームの場合に比較し、被写体画像にノイズが目立ち易い。そこで、許容ノイズレベルを小さくし、このためDC/DCコンバータ29aを制御しLDOレギュレータの入力電圧を高くしている。
一方、ステップS161における判定の結果、光学ズーム範囲にある場合には、電圧設定を低くする(S165)。光学ズーム範囲では電子ズーム範囲に比較して、被写体画像にノイズが目立ちにくい。そこで、許容ノイズレベルは高くても実用上問題がないことから、DC/DCコンバータ29aを制御しLDOレギュレータの入力電圧を低くし、消費電力のロスを小さくしている。
このように、本変形例における撮影時の電圧設定においても、電子ズーム範囲か光学ズーム範囲かに応じて、LDOレギュレータの入力電圧を制御している。本変形例においても、撮像素子(CMOSイメージセンサ22)の撮像ノイズが大きくなるような動作モードの場合には、DC/DCコンバータ29aを制御しLDOレギュレータの入力電圧を高くして撮像ノイズが目立たなくなるようにしている。一方、撮像素子の撮像ノイズが大きくなるような動作モードでない場合には、LDOレギュレータの入力電圧を低くし、消費電力のロスを最小限としている。
上述したように、本発明の一実施形態や各変形例における撮影時の電圧設定においては、ISO感度、被写体輝度、画像圧縮率、画像サイズ、アートフィルタ、撮影モード、静止画・動画、光学ズーム範囲・電子ズーム範囲等の動作モードに基づいて、LDOレギュレータの入力電圧を制御している。このため、撮像素子の撮像ノイズとLDOレギュレータの消費電力のロスが最適とすることができる。
なお、図9ないし図13のフローチャートを用いて説明した撮影時の電圧設定の動作においては、それぞれ類似の動作モードを判定するようにしていた。しかし、これに限らず、種々の動作モードを組み合わせ、LDOレギュレータの電圧設定を行うようにしてもよい。また、LDOレギュレータの電圧設定は、高電圧と低電圧の2種類であったが、これに限らず、3種類以上の電圧を設定できるように、判定レベルを種々設けてもよい。
また、図9ないし図13のフローチャートは、ステップS47(図8参照)における撮影時の電圧設定の動作であったが、ステップS11(図6参照)におけるLV電圧演算・設定においても、応用することができる。この場合には、ノイズ許容レベルとしては、あまり厳しくないレベルのL2とし、これに対応するLDOレギュレータ29bの入力電圧を設定する。記録画像に対するノイズレベルの要求に比較するとライブビュー画像に対するノイズレベルはそれほど厳しくなく、消費電力のロスを小さくする。
以上説明したように、本発明の一実施形態や各変形例においては、主電源(例えば、電源電池30)から電源供給され、制御信号に基づいて指示された電圧に変換して出力する可変電圧変換部(例えば、DC/DCコンバータ29a)と、可変電圧変換部の出力を受けて単一の定電圧信号を上記撮像素子に供給する定電圧部(例えば、LDOレギュレータ29b)と、撮像装置の動作モードを設定する入力部(例えば、モードダイヤル8等)を具備し、入力部で設定された動作モードに応じて定電圧部に入力する電圧値を演算し、可変電圧変換部に出力電圧を指示している(例えば、図8のS47、図9〜図13のフローチャート)。このため、ノイズのために画質が劣化するのを防止することができる。また、撮像素子に供給する定電圧を、ノイズレベルに応じて可変としているため、特定モードに移行したり、CCDクロックを低下させる等、撮影にあたって制限がなされることがないので、使い勝手が悪くならない。
また、本発明の一実施形態や各変形例において、動作モードは、撮影時の露出に係る設定である(図9参照)。このため、撮影時の露出の設定に応じて、撮像ノイズと消費電力のロスを最適化することができる。特に、ISO感度情報(図9のS111)、露出補正情報(図9のS115)、シャッタ速度情報(図9のS119)、ストロボの発光の有無(図9のS123)は、撮像ノイズに影響を与える要素であることから、これらの設定を考慮することにより、撮像ノイズと消費電力のロスをより最適化することができる。
また、本発明の一実施形態や各変形例において、動作モードは、撮影後の特殊効果処理に係る設定である(図11のS141)。このため、特殊効果処理の設定に応じて、撮像ノイズと消費電力のロスを最適化することができる。特に、特殊効果処理として、白黒処理、セピア調処理、ジオラマ処理は、撮像ノイズの影響を受け難い処理であることから、これらの特殊効果処理を考慮することにより、撮像ノイズと消費電力のロスを最適化することができる。
また、本発明の一実施形態や各変形例において、動作モードは、撮影後の画像記録に係る設定である(図10参照)。このため、撮影後の画像記録に係る設定に応じて、撮像ノイズと消費電力のロスを最適化することができる。特に、撮影後の画像処理として、画像サイズや圧縮率は、撮像ノイズの影響を受けやすい処理であることから、この設定を考慮することにより、撮像ノイズと消費電力のロスを最適化することができる。
また、本発明の一実施形態や各変形例において、動作モードは、長秒時撮影時のノイズリダクション効果に係る設定である(図9のS119、S121)。長秒時撮影時にノイズリダクションモードを設定する場合には、撮像ノイズを最小限にしたい場合であり、この設定を考慮することにより、撮像ノイズと消費電力のロスを最適化することができる。
また、本発明の一実施形態や各変形例においては、動作モードは、記録方式に係る設定である(図12参照)。静止画と動画では、許容されるノイズレベルが異なり、一般に、静止画の方が、許容ノイズレベルが低い。この記録方式の設定を考慮することにより、撮像ノイズと消費電力のロスを最適化することができる。
また、本発明の一実施形態や各変形例においては、動作モードは、ズーム範囲に係る設定である(図13参照)。光学ズームと電子ズームでは、ノイズレベルが異なり、電子ズームの方がトリミングを行うために被写体画像のノイズが高くなってしまう。このズーム範囲の設定を考慮することにより、撮像ノイズと消費電力のロスを最適化することができる。
また、本発明の一実施形態や各変形例においては、動作モードは、撮影モードに係る設定である(図11のS143)。このため、撮影モードの設定に応じて、撮像ノイズと消費電力のロスを最適化することができる。特に、夜景モード、夜景&人物モード、ローキーモード、キャンドルモード、打ち上げ花火モードは、いずれも暗い被写体を対象としており、被写体画像のノイズが多くなりやすい。これらの撮影モードの少なくとも1つを考慮することにより、撮像ノイズと消費電力のロスを最適化することができる。
なお、本発明の一実施形態や各変形例においては、定電圧部としてLDOレギュレータ29b〜29fを使用していた。しかし、定電圧部としては、LDOレギュレータに限らず、入力電圧が大きくなると出力ノイズが小さくなる特性を有する定電圧回路であればよい。
また、本発明の一実施形態や各変形例においては、撮像素子としてのCMOSイメージセンサ22にLDOレギュレータ22bから定電圧を供給することを中心に説明したが、測温センサ23、WIFI通信部51a、センサ類24等、環境温度等によってノイズが発生し易くなるような回路やセンサにも、本発明を同様に適用することができる。また、本発明の一実施形態や各変形例においては、ストロボ発光部16aの閃光発光により、撮影時に被写体を照明する補助光を与えていたが、これに限らず、高輝度白色LEDや電球等によって同様の効果をもたらすようにしてもよい。
また、本実施形態においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、ビデオカメラ、ムービーカメラのような動画用のカメラでもよく、さらに、携帯電話、スマートフォーンや携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assist)、ゲーム機器等に内蔵されるカメラでも構わない。いずれにしても、電源等によってノイズが発生しやすくなる機器であれば、本発明を適用することができる。
また、特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず」、「次に」等の順番を表現する言葉を用いて説明したとしても、特に説明していない箇所では、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。