JP6137697B2 - 車両用動力伝達装置 - Google Patents

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Description

本発明は、駆動源に接続された入力軸の回転を変速して出力軸に伝達する無段変速機と、出力軸および駆動輪間に配置されて前進および後進を切り換えるドグクラッチよりなる前後進切り換え機構とを備える車両用動力伝達装置に関する。
クランク式の無段変速機の下流側にドグクラッチを有する前後進切換機構を配置し、一方向にしか回転できないクランク式の無段変速機の出力軸の回転方向を前後進切換機構で切り換えることで、前進走行および後進走行を可能にした車両用動力伝達装置が、下記特許文献1により公知である。
WO2014/017438A1
ところで、上記特許文献1に記載された車両用動力伝達装置は、本願明細書の[発明を実施するための形態]の欄で詳述するように、出力軸上にワンウェイクラッチを備えるクランク式の無段変速機の特性により、例えばドライブレンジ(「D」レンジ)での走行中に駆動輪が縁石に乗り上げたような場合に、出力軸の下流側の動力伝達経路に蓄積されたトルクを解放することができなくなり、「D」レンジからニュートラルレンジ(「N」レンジ)に切り換えようとしても、ドグクラッチよりなる前後進切換機構のドグ歯が蓄積されたトルクで噛み合ったまま外れなくなり、「D」レンジから抜けなくなる可能性があった。
同様に、リバースレンジ(「R」レンジ)での走行中に駆動輪が縁石に乗り上げたような場合に、「R」レンジから「N」レンジやパーキングレンジ(「P」レンジ)に切り換えようとしても、前後進切換機構のドグ歯が噛み合ったまま外れなくなり、「R」レンジから抜けなくなる可能性があった。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、クランク式の無段変速機の下流に配置されたドグクラッチよりなる前後進切り換え機構がロックして操作不能になる事態を回避することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、駆動源に接続された入力軸の回転を変速して出力軸に伝達する無段変速機と、前記出力軸および駆動輪間に配置されて前進および後進を切り換えるドグクラッチよりなる前後進切り換え機構とを備え、前記無段変速機は、前記入力軸の軸線からの偏心量が可変であって該入力軸と共に回転する入力側支点と、前記出力軸に接続されたワンウェイクラッチと、前記ワンウェイクラッチの入力部材に設けられた出力側支点と、前記入力側支点および前記出力側支点に両端を接続されて往復運動するコネクティングロッドと、前記入力側支点の偏心量を変更する変速アクチュエータとを備え、前記入力側支点、前記出力側支点、前記入力軸および前記出力軸により四節リンクを構成する車両用動力伝達装置であって、前記ワンウェイクラッチのローラをアウター部材およびインナー部材間に噛み込まない非係合位置に保持するローラ保持手段を備え、走行レンジから非走行レンジへの切り換えが指令されたときに、前記変速アクチュエータで前記入力側支点の偏心量を増加させるとともに前記ローラ保持手段を作動し、走行レンジから非走行レンジへの切り換えが完了したときに、前記変速アクチュエータで前記入力側支点の偏心量を減少させるとともに前記ローラ保持手段を作動解除することを特徴とする車両用動力伝達装置が提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記ローラ保持手段は、前記インナー部材と一体に回転して前記ローラの端面に対向する対向部材と、前記対向部材に形成された第1ピン孔と、前記第1ピン孔に摺動自在に嵌合するピンと、前記ピンを前記第1ピン孔から突出する方向に付勢可能なアクチュエータと、前記ローラに形成されて前記ピンが係合可能な第2ピン孔と、前記第2ピン孔に収納されて前記ピンを前記対向部材に向けて付勢可能な弾性体とを備え、前記ローラが非係合位置にあるときに前記第1ピン孔および前記第2ピン孔の周方向位置が重なることを特徴とする車両用動力伝達装置が提案される。
また請求項3に記載された発明によれば、請求項2の構成に加えて、前記ピンの先端および前記第2ピン孔の開口端の少なくとも一方に面取りを施したことを特徴とする車両用動力伝達装置が提案される。
また請求項4に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記ローラ保持手段は、前記インナー部材と一体に回転して前記ローラの端面に対向する対向部材と、前記対向部材に形成された第1ピン孔と、前記第1ピン孔に摺動自在に嵌合するピンと、前記ピンを前記第1ピン孔から突出する方向に付勢可能なアクチュエータと、前記ピンを前記第1ピン孔に収納する方向に付勢可能な弾性体とを備え、前記ピンは前記第1ピン孔から突出したときに前記ローラの外周面に係合して該ローラの噛み込み方向への移動を阻止することを特徴とする車両用動力伝達装置が提案される。
また請求項5に記載された発明によれば、請求項〜請求項4の何れ1項の構成に加えて、前記アクチュエータは、オイルポンプと、前記オイルポンプが発生した油圧を前記第1ピン孔の油室に供給する油路とを備えることを特徴とする車両用動力伝達装置が提案される。
尚、実施の形態の第1出力軸12は本発明の出力軸に対応し、実施の形態の偏心ディスク18は本発明の入力側支点に対応し、実施の形態のピン19cは本発明の出力側支点に対応し、実施の形態のアウター部材22は本発明の入力部材に対応し、実施の形態の第1噛合切換機構35および第2噛合切換機構51は本発明の前後進切換機構に対応し、実施の形態のリターンスプリング77は本発明の弾性部材に対応し、実施の形態のエンジンEは本発明の駆動源に対応する。
請求項1の構成によれば、入力軸と共に入力側支点が偏心回転すると、コネクティングロッドを介してワンウェイクラッチの入力部材が往復揺動し、入力部材が一方向に揺動したときにワンウェイクラッチが係合し、入力部材が他方向に揺動したときにワンウェイクラッチが係合解除することで、出力軸が一方向に回転する。変速アクチュエータで入力側支点の偏心量を変更すると、コネクティングロッドの往復移動のストロークが変化し、それに伴って入力部材の往復揺動のストロークが変化することで変速比が変更される。出力軸の一方向の回転を前後進切り換え機構により切り換えることで、車両は前進および後進が可能になる。
駆動輪が縁石に乗り上げたような場合にワンウェイクラッチの下流側の動力伝達経路にトルクが蓄積されてしまい、ドグクラッチよりなる前後進切り換え機構がロックして操作不能になる可能性があるが、ワンウェイクラッチのローラをアウター部材およびインナー部材間に噛み込まない非係合位置に保持するローラ保持手段を備え、走行レンジから非走行レンジへの切り換えが指令されたときに、変速アクチュエータで入力側支点の偏心量を増加させるとともにローラ保持手段を作動するので、入力側支点の偏心量を増加によりコネクティングロッドを介してアウター部材を回転させてワンウェイクラッチを係合解除し、出力軸の下流の動力伝達経路に蓄積されたトルクを解放するとともに、ローラを非係合位置に保持してそれ以後のトルクの蓄積を防止することで、前後進切り換え機構のロックを未然に防止することができる。そして走行レンジから非走行レンジへの切り換えが完了したときに、変速アクチュエータで入力側支点の偏心量を減少させるとともにローラ保持手段を作動解除するので、非走行レンジへの切り換えが完了した後の無段変速機の作動に影響を及ぼすことがない。
また請求項2の構成によれば、ローラ保持手段は、インナー部材と一体に回転してローラの端面に対向する対向部材と、対向部材に形成された第1ピン孔と、第1ピン孔に摺動自在に嵌合するピンと、ピンを第1ピン孔から突出する方向に付勢可能なアクチュエータと、ローラに形成されてピンが係合可能な第2ピン孔と、第2ピン孔に収納されてピンを対向部材に向けて付勢可能な弾性体とを備え、ローラが非係合位置にあるときに第1ピン孔および第2ピン孔の周方向位置が重なるので、ピンでローラを被係合位置に確実に保持することができる。
また請求項3の構成によれば、ピンの先端および第2ピン孔の開口端の少なくとも一方に面取りを施したので、ピンでローラを確実に保持しながら、ピンを第2ピン孔にスムーズに嵌合することが可能になる。
また請求項4の構成によれば、ローラ保持手段は、インナー部材と一体に回転してローラの端面に対向する対向部材と、対向部材に形成された第1ピン孔と、第1ピン孔に摺動自在に嵌合するピンと、ピンを第1ピン孔から突出する方向に付勢可能なアクチュエータと、ピンを第1ピン孔に収納する方向に付勢可能な弾性体とを備え、ピンは第1ピン孔から突出したときにローラの外周面に係合して該ローラの噛み込み方向への移動を阻止するので、ローラを中実に構成して耐久性を高めながら、ピンでローラを被係合位置に確実に保持することができる。
また請求項5構成によれば、アクチュエータは、オイルポンプと、オイルポンプが発生した油圧を第1ピン孔に供給する油路とを備えるので、簡単な構造でローラ保持手段を確実に作動させることができる。
車両用動力伝達装置のスケルトン図。(第1の実施の形態) 図1の2部詳細図。(第1の実施の形態) 図2の3−3線断面図(OD状態)。(第1の実施の形態) 図2の3−3線断面図(GN状態)。(第1の実施の形態) OD状態での作用説明図。(第1の実施の形態) GN状態での作用説明図。(第1の実施の形態) セレクタ装置およびディファレンシャルギヤのスケルトン図。(第1の実施の形態) セレクタ装置の縦断面図。(第1の実施の形態) 第1、第2噛合切換機構の係合表。(第1の実施の形態) パーキングレンジにおけるトルクフロー図。(第1の実施の形態) リバースレンジにおけるトルクフロー図。(第1の実施の形態) ニュートラルレンジにおけるトルクフロー図。(第1の実施の形態) ドライブレンジにおけるトルクフロー図。(第1の実施の形態) 噛合切換機構にロックが発生する理由の説明図。(第1の実施の形態) ワンウェイクラッチのローラ保持手段の構造を示す図。(第1の実施の形態) ローラ保持手段の作用を説明するフローチャート。(第1の実施の形態) ローラ保持手段の作用説明図。(第1の実施の形態) ワンウェイクラッチのローラ保持手段の構造を示す図。(第2の実施の形態) ワンウェイクラッチのローラ保持手段の構造を示す図。(第3の実施の形態)
第1の実施の形態
以下、図1〜図17に基づいて本発明の第1の実施の形態を説明する。
図1に示すように、エンジンEの駆動力を左右の車軸10,10を介して駆動輪W,Wに伝達する車両用動力伝達装置は、無段変速機Tと、セレクタ装置Sと、ディファレンシャルギヤDとを備える。セレクタ装置Sは、「P」レンジ、「R」レンジ、「N」レンジおよび「D」レンジを切り換え可能である。
次に、図2〜6に基づいて無段変速機Tの構造を説明する。
図2および図3に示すように、本実施の形態の無段変速機Tは同一構造を有する複数個(実施の形態では4個)の変速ユニットU…を軸方向に重ね合わせたもので、それらの変速ユニットU…は平行に配置された共通の入力軸11および共通の第1出力軸12を備えており、入力軸11の回転が減速または増速されて第1出力軸12に伝達される。
以下、代表として一つの変速ユニットUの構造を説明する。エンジンEに接続されて回転する入力軸11は、電動モータのような変速アクチュエータ14の中空の回転軸14aの内部を相対回転自在に貫通する。変速アクチュエータ14のロータ14bは回転軸14aに固定されており、ステータ14cはケーシングに固定される。変速アクチュエータ14の回転軸14aは、入力軸11と同速度で回転可能であり、かつ入力軸11に対して異なる速度で相対回転可能である。
変速アクチュエータ14の回転軸14aを貫通した入力軸11には第1ピニオン15が固定されており、この第1ピニオン15を跨ぐように変速アクチュエータ14の回転軸14aにクランク状のキャリヤ16が接続される。第1ピニオン15と同径の2個の第2ピニオン17,17が、第1ピニオン15と協働して正三角形を構成する位置にそれぞれピニオンピン16a,16aを介して支持されており、これら第1ピニオン15および第2ピニオン17,17に、円板形の偏心ディスク18の内部に偏心して形成されたリングギヤ18aが噛合する。偏心ディスク18の外周面に、コネクティングロッド19のロッド部19aの一端に設けたリング部19bがボールベアリング20を介して相対回転自在に嵌合する。
第1出力軸12の外周に設けられたワンウェイクラッチ21は、コネクティングロッド19のロッド部19aにピン19cを介して枢支されたリング状のアウター部材22と、アウター部材22の内部に配置されて第1出力軸12に固定されたインナー部材23と、アウター部材22の内周の円弧面とインナー部材23の外周の平面との間に形成された楔状の空間に配置されてスプリング24…で付勢されたローラ25…とを備える。
図2から明らかなように、4個の変速ユニットU…はクランク状のキャリヤ16を共有しているが、キャリヤ16に第2ピニオン17,17を介して支持される偏心ディスク18の位相は各々の変速ユニットUで90°ずつ異なっている。例えば、図2において、左端の変速ユニットUの偏心ディスク18は入力軸11に対して図中上方に変位し、左から3番目の変速ユニットUの偏心ディスク18は入力軸11に対して図中下方に変位し、左から2番目および4番目の変速ユニットU,Uの偏心ディスク18,18は上下方向中間に位置している。
次に、図7および図8に基づいて、セレクタ装置SおよびディファレンシャルギヤDの構造を説明する。
セレクタ装置Sは、車軸10の外周に相対回転自在に嵌合する筒状の第1出力軸12に加えて、車軸10の外周に相対回転自在に嵌合する筒状の第2出力軸31と、この第2出力軸31に外周に相対回転自在に嵌合する筒状の第3出力軸32とを備える。第1出力軸12の右端に第1外周スプライン12aが形成される。第2出力軸31の左端に第1接続部材34がスプライン結合33されており、第1接続部材34が軸方向左側かつ径方向外側に延びた先端に第2外周スプライン34aが形成される。第3出力軸32の軸方向左端から径方向外側に延びた位置に第3外周スプライン32aが形成される。尚、第2出力軸31および第1接続部材34を別部材に分割したのは組立性のためであり、第2出力軸31および第1接続部材34を一部材で構成して第2出力軸31に直接第2外周スプライン34aを形成しても良い。
ドグクラッチよりなる第1噛合切換機構35を構成する第1外周スプライン12a、第2外周スプライン34aおよび第3外周スプライン32aは軸方向に整列しており、第2外周スプライン34aおよび第3外周スプライン32aの外径は相互に等しく、かつ第1外周スプライン12aの外径よりも小さくなっている。また第1噛合切換機構35のスリーブ36は、外径が大きい第1内周スプライン36aと、外径が小さい第2内周スプライン36bとを備えており、第1内周スプライン36aは第1外周スプライン12aに常時噛合し、第2内周スプライン36bは第3外周スプライン32aに常時噛合し、第2内周スプライン36bは図8に示す左動時にのみ第2外周スプライン34aに噛合する。つまり、スリーブ36がフォーク37で図8に示す左動状態から右動すると第2内周スプライン36bと第2外周スプライン34aとの噛合が解除される。
尚、ケーシング38と第1出力軸12との間にはボールベアリング39が配置され、ケーシング38と第1接続部材34のフランジ部34bとの間にはニードルベアリング40が配置され、第1接続部材34と第3出力軸32との間にニードルベアリング41が配置される。
遊星歯車機構42は、第1要素としてのサンギヤ43と、第3要素としてのキャリヤ44と、第2要素としてのリングギヤ45と、キャリヤ44にニードルベアリング46を介して相対回転自在に支持された複数のピニオン47…とを備えており、ピニオン47…はサンギヤ43およびリングギヤ45に噛合する。サンギヤ43の左端は第3出力軸32の右端にスプライン結合48され、リングギヤ45は第2出力軸31の右端から径方向外側に延びる第2接続部材49の外周部に接続される。
キャリヤ44の外周部に形成した外周スプライン44aとケーシング50に形成した外周スプライン50aとに、ドグクラッチよりなる第2噛合切換機構51のスリーブ52に形成した内周スプライン52aが噛合する。従って、スリーブ52がフォーク53で図8に示す位置に左動すると、キャリヤ44がケーシング50から切り離され、スリーブ52がフォーク53で図8に示す位置から右動すると、キャリヤ44がケーシング50に結合される。
ディファレンシャルギヤDの外郭を構成するディファレンシャルケース54は、ミッションケース50にボルト55およびベアリングホルダ56により固定したボールベアリング57により回転自在に支持される。ディファレンシャルケース54の左端は第2出力軸31の右端にスプライン結合58される。ディファレンシャルギヤDは、ディファレンシャルケース54に固定したピニオンシャフト59に回転自在に支持した一対のピニオン60,60と、車軸10,10の端部に固設されてピニオン60,60に噛合するサイドギヤ61,61とを備える。
次に、無段変速機Tの一つの変速ユニットUの作用を説明する。
変速アクチュエータ14の回転軸14aを入力軸11に対して相対回転させると、入力軸11の軸線L1まわりにキャリヤ16が回転する。このとき、キャリヤ16の中心O、つまり第1ピニオン15および2個の第2ピニオン17,17が成す正三角形の中心は入力軸11の軸線L1まわりに回転する。
図3および図5は、キャリヤ16の中心Oが第1ピニオン15(つまり入力軸11)に対して第1出力軸12と反対側にある状態を示しており、このとき入力軸11に対する偏心ディスク18の偏心量が最大になって無段変速機TのレシオはOD(オーバードライブ)状態になる。図4および図6は、キャリヤ16の中心Oが第1ピニオン15(つまり入力軸11)に対して第1出力軸12と同じ側にある状態を示しており、このとき入力軸11に対する偏心ディスク18の偏心量が最小になって無段変速機Tのレシオは無限大のGN(ギヤドニュートラル)状態になる。
図5に示すOD状態で、エンジンEで入力軸11を回転させるとともに、入力軸11と同速度で変速アクチュエータ14の回転軸14aを回転させると、入力軸11、回転軸14a、キャリヤ16、第1ピニオン15、2個の第2ピニオン17,17および偏心ディスク18が一体になった状態で、入力軸11を中心に反時計方向(矢印A参照)に偏心回転する。図5(A)から図5(B)を経て図5(C)の状態へと回転する間に、偏心ディスク18の外周にリング部19bをボールベアリング20を介して相対回転自在に支持されたコネクティングロッド19は、そのロッド部19aの先端にピン19cで枢支されたアウター部材22を反時計方向(矢印B参照)に回転させる。図5(A)および図5(C)は、アウター部材22の前記矢印B方向の回転の両端を示している。
このようにしてアウター部材22が矢印B方向に回転すると、ワンウェイクラッチ21のアウター部材22およびインナー部材23間の楔状の空間にローラ25…が噛み込み、アウター部材22の回転がインナー部材23を介して第1出力軸12に伝達されるため、第1出力軸12は反時計方向(矢印C参照)に回転する。
入力軸11および第1ピニオン15が更に回転すると、第1ピニオン15および第2ピニオン17,17にリングギヤ18aを噛合させた偏心ディスク18が反時計方向(矢印A参照)に偏心回転する。図5(C)から図5(D)を経て図5(A)の状態へと回転する間に、偏心ディスク18の外周にリング部19bをボールベアリング20を介して相対回転自在に支持されたコネクティングロッド19は、そのロッド部19aの先端にピン19cで枢支されたアウター部材22を時計方向(矢印B′参照)に回転させる。図5(C)および図5(A)は、アウター部材22の前記矢印B′方向の回転の両端を示している。
このようにしてアウター部材22が矢印B′方向に回転すると、アウター部材22とインナー部材23との間の楔状の空間からローラ25…がスプリング24…を圧縮しながら押し出されることで、アウター部材22がインナー部材23に対してスリップして第1出力軸12は回転しない。
以上のように、アウター部材22が往復回転したとき、アウター部材22の回転方向が反時計方向(矢印B参照)のときだけ第1出力軸12が反時計方向(矢印C参照)に回転するため、第1出力軸12は間欠回転することになる。
図6は、GN状態で無段変速機Tを運転するときの作用を示すものである。このとき、入力軸11の位置は偏心ディスク18の中心に一致しているので、入力軸11に対する偏心ディスク18の偏心量はゼロになる。この状態でエンジンEで入力軸11を回転させるとともに、入力軸11と同速度で変速アクチュエータ14の回転軸14aを回転させると、入力軸11、回転軸14a、キャリヤ16、第1ピニオン15、2個の第2ピニオン17,17および偏心ディスク18が一体になった状態で、入力軸11を中心に反時計方向(矢印A参照)に偏心回転する。しかしながら、偏心ディスク18の偏心量がゼロであるため、コネクティングロッド19の往復運動のストロークもゼロになり、第1出力軸12は回転しない。
従って、変速アクチュエータ14を駆動してキャリヤ16の位置を図3のOD状態と図4のGN状態との間に設定すれば、無限大レシオおよび所定レシオ間の任意のレシオでの運転が可能になる。
無段変速機Tは、並置された4個の変速ユニットU…の偏心ディスク18…の位相が相互に90°ずつずれているため、4個の変速ユニットU…が交互に駆動力を伝達することで、つまり4個のワンウェイクラッチ21…の何れかが必ず係合状態にあることで、第1出力軸12を連続回転させることができる。
次に、「P」レンジ、「R」レンジ、「N」レンジおよび「D」レンジを切り換えるセレクタ装置Sの作用を説明する。
図9および図10に示すように、第1噛合切換機構35のスリーブ36を左動し、第1出力軸12、第2出力軸31および第3出力軸32を一体に結合するとともに、第2噛合切換機構51のスリーブ52を右動して遊星歯車機構42のキャリヤ44をケーシング50に結合すると、「P」レンジが確立する。
「P」レンジでは、ディファレンシャルケース54と一体の第2出力軸31が第2接続部材49を介して遊星歯車機構42のリングギヤ45に結合されるとともに、前記第2出力軸31が第1接続部材34、第1噛合切換機構35および第3出力軸32を介して遊星歯車機構42のサンギヤ43に接続され、更に遊星歯車機構42のキャリヤ44が第2噛合切換機構51を介してケーシング50に結合される。その結果、遊星歯車機構42はロック状態になり、それにディファレンシャルギヤDを介して接続された駆動輪W,Wが回転不能に拘束される。
図9および図11に示すように、第1噛合切換機構35のスリーブ36を右動し、第1出力軸12および第3出力軸32を結合して第2出力軸31を切り離すとともに、第2噛合切換機構51のスリーブ52を右動して遊星歯車機構42のキャリヤ44をケーシング50に結合すると、「R」レンジが確立する。
「R」レンジでは、無段変速機Tから第1出力軸12に出力された駆動力が第1噛合切換機構35→第3出力軸32→サンギヤ43→キャリヤ44→リングギヤ45→第2接続部材49の経路でディファレンシャルケース54に伝達され、同時に遊星歯車機構42において減速されて逆回転となることで、車両を後進走行させることができる。
図9および図12に示すように、第1噛合切換機構35のスリーブ36を右動し、第1出力軸12および第3出力軸32を結合して第2出力軸31を切り離すとともに、第2噛合切換機構51のスリーブ52を左動して遊星歯車機構42のキャリヤ44をケーシング50から切り離すと、「N」レンジが確立する。
「N」レンジでは、遊星歯車機構42のキャリヤ44がケーシング50から切り離されるため、リングギヤ45および第2接続部材49が自由に回転可能になり、かつ第1接続部材34が第1噛合切換機構35から切り離されるため、第2出力軸31が自由に回転可能になり、第2接続部材49および第2出力軸31に接続されたディファレンシャルケース54が自由に回転可能になって駆動輪W,Wが拘束されない状態となる。この状態でエンジンEの駆動力は、無段変速機Tから第1出力軸12→第1噛合切換機構35→第3出力軸32の経路でサンギヤ43に伝達されるが,キャリヤ44が拘束されていないために遊星歯車機構42が空転し、駆動力がディファレンシャルギヤDに伝達されることはない。
図9および図13に示すように、第1噛合切換機構35のスリーブ36を左動し、第1出力軸12、第2出力軸31および第3出力軸32を一体に結合するとともに、第2噛合切換機構51のスリーブ52を左動して遊星歯車機構42のキャリヤ44をケーシング50から切り離すと、「D」レンジが確立する。
「D」レンジでは、遊星歯車機構42のリングギヤ45に第2接続部材49および第2出力軸31を介して接続された第1接続部材34と、遊星歯車機構42のサンギヤ43に接続された第3出力軸32とが第1噛合切換機構35で結合されるため、遊星歯車機構42は一体に回転可能な状態になる。その結果、無段変速機Tから第1出力軸12に出力された駆動力が第1噛合切換機構35→第1接続部材34→第2出力軸31の経路で、あるいは第1噛合切換機構35→第3出力軸32→サンギヤ43→キャリヤ44→リングギヤ45→第2接続部材49の経路でディファレンシャルケース54に伝達され、車両を前進走行させることができる。
以上のように、本実施の形態の変速機Tの第1出力軸12は、ワンウェイクラッチ21…を介して駆動力が伝達されるために前進走行方向にしか回転することができないが、前後進切換機能を有するセレクタ装置Sを第1出力軸12の下流側に配置したことで、後進走行用の電動モータを設けてハイブリッド化することなく、車両を後進走行させることができる。
次に、ドグクラッチよりなる第1噛合切換機構35および第2噛合切換機構51に発生するロックの原因について説明する。
図14(A)に示すように、無段変速機Tがトルクを伝達するとき、コネクティングロッド19に押されたワンウェイクラッチ21のアウター部材22は矢印p方向に回転し、アウター部材22およびインナー部材23間にローラ25が噛み込むことでトルクを伝達する。「D」レンジでの前進走行中に駆動輪W,Wが縁石に乗り上げて止まったような場合、アウター部材22に入力する矢印p方向のトルクによりインナー部材23が矢印q′方向に捩じられ、第1出力軸12から駆動輪W,Wまでの動力伝達経路に配置された各動力伝達部材が弾性変形し、そこにトルクが蓄積される。このトルクの蓄積は、特に第1出力軸12が矢印q′方向に捩じられて弾性変形することにより発生する。
この状態から偏心ディスク18の偏心量εをゼロにして入力軸11から第1出力軸12への駆動力の伝達を停止しても、蓄積されたトルクは解放されずに保持される。則ち、トルクにより矢印q′方向に捩じられて弾性変形した第1出力軸12が元の状態に戻ろうとする復元トルクでインナー部材23が矢印q方向に回転すると、ローラ25はアウター部材22およびインナー部材23間に更に噛み込むため、アウター部材22は矢印p′方向に回転してコネクティングロッド19を入力軸11側に押し出すことになる。
このとき、図14(B)に示すように、偏心ディスク18の偏心量εがゼロであると。矢印r方向に押されたコネクティングロッド19はロックして移動することができず、アウター部材22の矢印p′方向の回転が阻止されて第1出力軸12が元の状態に戻ることができず、蓄積されたトルクは解放されずに保持される。
また図14(C)に示すように、偏心ディスク18が入力軸11に対して偏心量εで偏心している場合、エンジンEと入力軸11とがクラッチ等の手段で切り離されていれば、偏心ディスク18および入力軸11は矢印s方向に回転するが、偏心ディスク18が外死点に達するとそれ以上回転できないため、蓄積されたトルクは完全に解放されずに保持される。
以上、単一の変速ユニットUについて説明したが、実際のように複数の変速ユニットU…が並置されている場合を考察する。図14(D)に示すように、2個の変速ユニットU,Uの2個のコネクティングロッド19,19が矢印r方向に押し出されたとき、一方のコネクティングロッド19により入力軸11は矢印s方向に回転しようとするが、他方のコネクティングロッド19により入力軸11は矢印s′方向に回転しようとするため、それらが相殺して入力軸11は回転することができず、蓄積されたトルクは結局解放されずに保持される。
以上説明した理由により、「D」レンジでの前進走行中に駆動輪W,Wが縁石に乗り上げて止まったような場合、第1出力軸12の下流に蓄積されたトルクは解放されずに保持されることになる。また「R」レンジでの後進走行中に駆動輪W,Wが縁石に乗り上げて止まったような場合にも、同様にして第1出力軸12の下流に蓄積されたトルクは解放されずに保持されることになる。
「D」レンジでは図13に示す動力伝達経路が確立しているため、蓄積されたトルクにより、第1噛合切換機構35のスリーブ36の第1内周スプライン36aが第1出力軸12の第1外周スプライン12aに強く噛み込み、またスリーブ36の第2内周スプライン36bが第1接続部材34の第2外周スプライン34aおよび第3出力軸32の第3外周スプライン32aに強く噛み込むため、スリーブ36が移動不能にロックする可能性がある。このようにしてスリーブ36が移動不能にロックすると、「D」レンジから「N」レンジを経て「R」レンジにシフトし、後進して縁石から離れようとしても、「D」レンジから抜けなくなる可能性がある、
また「R」レンジでは図11に示す動力伝達経路が確立しているため、蓄積されたトルクにより、第1噛合切換機構35のスリーブ36の第1内周スプライン36aが第1出力軸12の第1外周スプライン12aに強く噛み込み、またスリーブ36の第2内周スプライン36bが第3出力軸32の第3外周スプライン32aに強く噛み、更に第2噛合切換機構51のスリーブ52の内周スプライン52aがケーシング50の外周スプライン50aおよびキャリヤ44の外周スプライン44aに強く噛み込むため、スリーブ36,52が移動不能にロックする可能性がある。このようにしてスリーブ36,52が移動不能にロックすると、「R」レンジから「N」レンジを経て「D」レンジにシフトし、前進して縁石から離れようとしても、「R」レンジから抜けなくなる可能性がある。また「R」レンジから「P」レンジにシフトしようとしても、同様に「R」レンジから抜けなくなる可能性がある。
このように、「D」レンジあるいは「R」レンジから抜けなくなる事態を回避するために、本実施の形態では、図15に示すローラ保持手段71でワンウェイクラッチ21の各ローラ25を非係合位置に保持するようになっている。ローラ25の非係合位置とは、ローラ25がアウター部材22およびインナー部材23間に噛み込まない位置であり、好ましくは、ローラ25がアウター部材22およびインナー部材23間に噛み込む直前の待機位置(デイタムポイント)である。
図15に示すように、ワンウェイクラッチ21は第1出力軸12と一体に回転するインナー部材23と、インナー部材23の外周に配置されたアウター部材22と、インナー部材23およびアウター部材22間に配置された複数のローラ25…と、ローラ25…の軸方向両端面に対向してインナー部材23と一体に回転する一対の対向部材72,72とを備える。本実施の形態における対向部材72は、インナー部材23の外周にアウター部材22を複数のボール73…を介して同軸に保持するボールベアリング74のインナーリングである、
相互に対向する対向部材72の一方の端面とローラ25の一方の端面とには、第1ピン孔72aおよび第2ピン孔25aがそれぞれ形成されおり、ローラ25がデイタムポイントにあるとき、第1ピン孔72aおよび第2ピン孔25aの開口部が同一直線上に重なり合うことが可能である。ピン75が摺動自在に嵌合する第1ピン孔72aの底部に形成された油室72bにはオイルポンプ76に接続された油路23aが開口しており、オイルポンプ76から油路23aを介して油室72bに供給される油圧でピン75は第1ピン孔72aから突出する方向に付勢可能である。一方、ローラ25の第2ピン孔25aにはリターンスプリング77が配置されており、第1ピン孔72aから突出して第2ピン孔25aに嵌合したピン75を、第2ピン孔25aから押し出す方向に付勢する。オイルポンプ76、油路23aおよび油室72bは、ローラ保持手段71を作動させるアクチュエータ78を構成する。
次に、図16のフローチャートに基づいてローラ保持手段71の作用を説明する。
先ず、ステップS1で車速がゼロになって車両が停止した状態で、ステップS2で運転者がシフトコラムを走行レンジである「D」レンジあるいは「R」レンジから操作したとき、ステップS3で非走行レンジである「N」レンジあるいは「P」レンジへの移行が完了するまで、ステップS4でアクチュエータ78を駆動して対向部材72の油室72bに油圧を供給するとともに、ステップS5で変速アクチュエータ14を駆動して偏心ディスク18の偏心量εをゼロから増加させる。
この偏心量εの増加により、アイドリング運転するエンジンEによりコネクティングロッド19が往復運動してワンウェイクラッチ21が間欠的に係合することで、アウター部材22およびインナー部材23間に噛み込んでいたローラ25がデイタムポイントに向けて押し出されるため、油圧で付勢されたローラ保持手段71のピン75がローラ25の第2ピン孔25aに係合してローラ25はデイタムポイントに保持される。デイタムポイントに保持されたローラ25はアウター部材22およびインナー部材23間に再度噛み込むことはなく、全てのローラ25…がデイタムポイントに保持されるとインナー部材23はアウター部材22に対して相対回転可能になり、第1出力軸12の下流に蓄積されたトルクが開放される。
その結果、前記ステップ3で非走行レンジである「N」レンジあるいは「P」レンジへの移行が完了すると、ステップS6で対向部材72の油室72bから油圧を抜いてリターンスプリング77の弾発力でピン75をローラ25の第2ピン孔25aから対向部材72の第1ピン孔72aに押し戻してローラ25の保持を解除するとともに、ステップS7で偏心ディスク18の偏心量εをゼロに復帰させる。これにより、第1出力軸12の下流に蓄積されたトルクが開放されて非走行レンジへの切り換えが完了した後に、無段変速機Tの作動に影響が及ぶことが防止される。
上記作用を、図17の作用説明図に基づいて更に詳細に説明する。シフトレンジが「D」レンジあるいは「R」レンジの状態で駆動輪W,Wが縁石に乗り上げたような場合、エンジンEの駆動力がワンウェイクラッチ21を介して伝達される第1出力軸12の下流の動力伝達経路にトルクが蓄積され、第1出力軸12がトルクで所定角度捩じれた状態で、ワンウェイクラッチ24のローラ25がアウター部材22およびインナー部材23間に噛み込んでいる(図17(A)参照)。
ローラ保持手段71の油室72bに油圧を供給してピン75をローラ25の端面に向けて付勢した状態で偏心ディスク18の偏心量εを増加させると、アイドリング運転するエンジンEの駆動力でコネクティングロッド19が往復運動してワンウェイクラッチ21のアウター部材22が往復揺動し、偏心量εの増加に応じてアウター部材22が往復揺動の揺動角が増加する(図17(B)参照)。
アウター部材22が係合解除方向に揺動するとローラ25はデイタムポイントに向けて押し戻され、やがてローラ25がデイタムポイントに達すると、油圧で付勢されたピン75がローラ25の第2ピン孔25aに係合し、ローラ25はデイタムポイントに保持される(図17(C)参照)。
ローラ25が一旦デイタムポイントに保持されると、アウター部材22が係合方向に揺動してもローラ25がアウター部材22およびインナー部材23間に再び噛み込むことはない。エンジン回転数が1000rpmであればコネクティングロッド19は0.06秒毎に1往復するため、1度の機会でピン75が第2ピン孔25aに係合しなくても、短時間のうちに係合を果たすことが可能である。
以上のようにして複数の変速ユニットU…のワンウェイクラッチ21…の全てのローラ25…がデイタムポイントに保持されると、第1出力軸12の捩じれ角が消滅して蓄積されたトルクが開放されるため(図17(D)参照)、第1噛合切換機構35および第2噛合切換機構51のスリーブ36,52が蓄積されたトルクで移動不能にロックするのを防止することができる。
第2の実施の形態
次に、図18に基づいて本発明の第2の実施の形態を説明する。
第2の実施の形態は、ピン75の先端部(ローラ25の端面に対向する部分)に面取り75aを形成し、かつローラ25の第2ピン孔25aの開口部に面取り25bを形成したものである。第1の実施の形態では、ピン75が第2ピン孔25aに係合するには、ピン75の軸線と第2ピン孔25aの軸線とが完全に一致することが必要であるが、第2の実施の形態では、ピン75の面取り75aと第2ピン孔25aの面取り25bとが相互に係合して相手を案内するため(図18(A)および図18(B)参照)、両者の軸線がずれていてもピン75は第2ピン孔25aにスムーズに係合し、係合後にはピン75の外周面が第2ピン孔25aの内周面に接触して両者の軸線が一致する(図18(C)参照)。
以上のように、第2の実施の形態によれば、ピン75を第2ピン孔25aにスムーズに係合することが可能になるだけでなく、アウター部材22およびインナー部材23間に噛み込んだローラ25がデイタムポイントに向けて移動する過程で、ピン75の面取り75aと第2ピン孔25aの面取り25bとが相互に係合してローラ25をデイタムポイントに向けて付勢する荷重が発生し、この荷重でワンウェイクラッチ24を一層確実に係合解除することができる。
第3の実施の形態
次に、図19に基づいて本発明の第3の実施の形態を説明する。
第3の実施の形態は、ローラ25が第2ピン孔25aを備えておらず、ピン75を押し戻すリターンスプリング77は対向部材72の第1ピン孔72aに収納される。ローラ25がデイタムポイントにあるとき、第1ピン孔72aから突出したピン75はローラ25の外周面に当接し、ローラ25の噛み込み方向への移動を阻止し、ローラ25の非係合方向への移動を許容する。
以上のように、第3の実施の形態によれば、ローラ25に第2ピン孔25aを形成する必要がないため、ローラ25の強度が増加して耐久性が向上する。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、無段変速機Tのコネクティングロッド19をプッシュタイプにするかプルタイプにするかは任意に選択可能である。
また実施の形態ではローラ保持手段71がローラ25をデイタムポイントに保持しているが、ローラ25を非係合位置に保持するのであれば必ずしもデイタムポイントである必要はない。
また本発明のアクチュエータは油圧を用いたものに限定されず、ピン75の付勢力を制御可能なものであれば任意の構造のものを採用可能である。
11 入力軸
12 第1出力軸(出力軸)
14 変速アクチュエータ
18 偏心ディスク(入力側支点)
19 コネクティングロッド
19c ピン(出力側支点)
21 ワンウェイクラッチ
22 アウター部材(入力部材)
23 インナー部材
23a 油路
25 ローラ
25a 第2ピン孔
25b 面取り
35 第1噛合切換機構(前後進切換機構)
51 第2噛合切換機構(前後進切換機構)
71 ローラ保持手段
72 対向部材
72a 第1ピン孔
72b 油室
75 ピン
75a 面取り
76 オイルポンプ
77 リターンスプリング(弾性部材)
78 アクチュエータ
E エンジン(駆動源)
T 無段変速機
W 駆動輪
ε 偏心量

Claims (5)

  1. 駆動源(E)に接続された入力軸(11)の回転を変速して出力軸(12)に伝達する無段変速機(T)と、
    前記出力軸(12)および駆動輪(W)間に配置されて前進および後進を切り換えるドグクラッチよりなる前後進切り換え機構(35,51)とを備え、
    前記無段変速機(T)は、
    前記入力軸(11)の軸線からの偏心量(ε)が可変であって該入力軸(11)と共に回転する入力側支点(18)と、
    前記出力軸(12)に接続されたワンウェイクラッチ(21)と、
    前記ワンウェイクラッチ(21)の入力部材(22)に設けられた出力側支点(19c)と、
    前記入力側支点(18)および前記出力側支点(19c)に両端を接続されて往復運動するコネクティングロッド(19)と、
    前記入力側支点(18)の偏心量(ε)を変更する変速アクチュエータ(14)とを備え、
    前記入力側支点(18)、前記出力側支点(19c)、前記入力軸(11)および前記出力軸(12)により四節リンクを構成する車両用動力伝達装置であって、
    前記ワンウェイクラッチ(21)のローラ(25)をアウター部材(22)およびインナー部材(23)間に噛み込まない非係合位置に保持するローラ保持手段(71)を備え、
    走行レンジから非走行レンジへの切り換えが指令されたときに、前記変速アクチュエータ(14)で前記入力側支点(18)の偏心量(ε)を増加させるとともに前記ローラ保持手段(71)を作動し、走行レンジから非走行レンジへの切り換えが完了したときに、前記変速アクチュエータ(14)で前記入力側支点(18)の偏心量(ε)を減少させるとともに前記ローラ保持手段(71)を作動解除することを特徴とする車両用動力伝達装置。
  2. 前記ローラ保持手段(71)は、前記インナー部材(23)と一体に回転して前記ローラ(25)の端面に対向する対向部材(72)と、前記対向部材(72)に形成された第1ピン孔(72a)と、前記第1ピン孔(72a)に摺動自在に嵌合するピン(75)と、前記ピン(75)を前記第1ピン孔(72a)から突出する方向に付勢可能なアクチュエータ(78)と、前記ローラ(25)に形成されて前記ピン(75)が係合可能な第2ピン孔(25a)と、前記第2ピン孔(25a)に収納されて前記ピン(75)を前記対向部材(72)に向けて付勢可能な弾性体(77)とを備え、前記ローラ(25)が非係合位置にあるときに前記第1ピン孔(72a)および前記第2ピン孔(25a)の周方向位置が重なることを特徴とする、請求項1に記載の車両用動力伝達装置。
  3. 前記ピン(75)の先端および前記第2ピン孔(25a)の開口端の少なくとも一方に面取り(75a,25b)を施したことを特徴とする、請求項2に記載の車両用動力伝達装置。
  4. 前記ローラ保持手段(71)は、前記インナー部材(23)と一体に回転して前記ローラ(25)の端面に対向する対向部材(72)と、前記対向部材(72)に形成された第1ピン孔(72a)と、前記第1ピン孔(72a)に摺動自在に嵌合するピン(75)と、前記ピン(75)を前記第1ピン孔(72a)から突出する方向に付勢可能なアクチュエータ(78)と、前記ピン(75)を前記第1ピン孔(72a)に収納する方向に付勢可能な弾性体(77)とを備え、前記ピン(75)は前記第1ピン孔(72a)から突出したときに前記ローラ(25)の外周面に係合して該ローラ(25)の噛み込み方向への移動を阻止することを特徴とする、請求項1に記載の車両用動力伝達装置。
  5. 前記アクチュエータ(78)は、オイルポンプ(76)と、前記オイルポンプ(76)が発生した油圧を前記第1ピン孔(72a)の油室(72b)に供給する油路(23a)とを備えることを特徴とする、請求項〜請求項4の何れ1項に記載の車両用動力伝達装置。
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