JP6137074B2 - 印面形成装置及び、印面形成方法 - Google Patents
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Description
ところで、特許文献2に記載の技術にあっては、補助的な加熱量について、トータルの熱量で提案するのみであり、それ以上の詳しい記載はない。
加熱により非多孔質化可能な多孔質の印面材及び当該印面材を着脱可能に保持する保持体を有する印面材ホルダの当該印面材が保持された面に沿う方向に配列された複数の発熱体と、当該複数の発熱体の発熱状態を制御する駆動回路と、が設けられ、当該印面材に印面を形成する印面形成部と、
前記駆動回路に印加する通電信号を補正して、前記印面を形成するための画像データのうちの、非加熱ドットに隣接する加熱ドットに対するドット単位の加熱量を、非加熱ドットに隣接しない加熱ドットに対するドット単位の加熱量よりも減らすように、前記印面形成部の前記駆動回路を制御する制御部と、
を有し、
前記通電信号の補正は、前記画像データのラインごとのドットデータと、当該ドットデータを主走査方向又は副走査方向にプラス1又はマイナス1ずらしたドットデータと、の論理積をとったドットデータに基づくものであることを特徴とする。
加熱により非多孔質化可能な多孔質の印面材を着脱可能に保持する印面材ホルダを、当該印面材に熱を加えて印面を形成する印面形成部に対して、相対的に移動させつつ、当該印面材ホルダの当該印面材が保持された面に沿う方向に配列された複数の発熱体および当該複数の発熱体の発熱状態を制御する駆動回路により当該印面材に当該印面を形成する際に、当該駆動回路に印加する通電信号を補正して、非加熱ドットに隣接する加熱ドットに対するドット単位の加熱量を、非加熱ドットに隣接しない加熱ドットに対するドット単位の加熱量よりも減らすように、当該印面形成部の当該駆動回路を制御する印面形成工程、を有し、
前記通電信号の補正は、前記印面を形成する際のラインごとのドットデータと、当該ドットデータを主走査方向又は副走査方向にプラス1又はマイナス1ずらしたドットデータと、の論理積をとったドットデータに基づくものであることを特徴とする。
とりわけ、画像データに対して適切な補正を施して、サーマルヘッドの発熱体への通電を制御することにより、潰れを抑制した印面を形成することができる。
以下、本発明の実施形態を説明するにあたって、重要な概念・用語の定義を与える。
印面形成装置は、印面材に対して所望のパターンを形成して印面を形成する装置である。本発明にあっては、いわゆるサーマルプリンタを用いることができる。サーマルプリンタは、サーマルヘッドを有し、複数の発熱体及びそれらを駆動する駆動回路(ドライバ)により、個々の発熱体を選択的に加熱することができる。
印面材は、液状のインクを含浸可能な多孔質のスポンジ体からなり加熱により非多孔質化する熱可塑性の部材である。例えば、多孔質エチレン酢酸ビニル・コポリマー(EVA:Ethylene Vinyl Acetate copolymer)を用いることができる。
印面材ホルダは、印面材に対して所望のパターンを形成すべく印面形成装置に通すために用いる治具である。例えば、印面材を印面材ホルダに保持した状態のものが印面形成装置のユーザに供給される。本明細書にあっては、便宜上、印面材ホルダは、印面材と、それを保持する保持体と、を有するものとする。
保持体は、例えば、コートボールからなる厚板紙により構成される。印面形成後、印面材ホルダから印面材を取り出した後は、廃棄される部材である。
印刷は、インクを用いる印刷ではなくて、画像データに応じて、サーマルヘッドの発熱体が選択的に加熱されることにより、印面材の表面を所定の大きさ、すなわちサーマルヘッドの発熱体の大きさに該当するドットごとに、非多孔質化するかしないかの処理をすることを意味する。
通電信号は、サーマルヘッドの駆動回路に与える信号であり、サーマルヘッドを発熱させる電力を印加する信号である。
非加熱ドットは、サーマルヘッドの複数の発熱体のうちの、加熱しないドットをいう。印面形成される印面の画像からみると、インクの通過を許容する部分に該当する。
加熱ドットは、サーマルヘッドの複数の発熱体のうちの、加熱するドットをいう。印面形成される印面の画像から見ると、インクの通過を禁止する部分に該当する。
孤立ドットは、主走査方向における両隣のドットがいずれも加熱ドットであって、且つ、副走査方向における両隣のドットがいずれも加熱ドットである非加熱ドット、すなわち加熱ドットに四方を囲まれた1ドットの非加熱ドットをいう。
マルチパルス方式は、サーマルヘッドの一つの発熱体に印加する通電信号を複数のパルス列で構成する方式をいう。
印刷データは、印面を形成しようとするユーザが所望する印面を印面材の上に形成するためのデータである。サーマルヘッドによる印刷が、インクの通過を禁止する処理であることに留意すると、印刷データは、ユーザが作った印面により押印する印影から見ると、白黒反転及び左右反転した画像データである。
ドットデータは、サーマルヘッドの発熱体の単位ごとに、0か1かの値をとるデータである。
ラインごとのドットデータとは、サーマルヘッドの発熱体の配列された方向に対応してそれらの複数の発熱体に与えるべき、0か1かの情報を並べたものをいう。
論理積は、ここでは、二つのドットデータの積をとることにより、二つとも熱を加えることを意味するデータの場合にのみ熱を加えることとし、いずれか一方(または双方)が熱を加えないことを意味するデータの場合には熱を加えないこととする演算をすることを意味する。
搬送部は、印面材ホルダを搬送する機構部分であり、例えばプラテンローラとそれを動かすステッピングモータとにより構成することができる。
制御部とは、印面形成装置の制御部(CPU:Central Processing Unit)をいう。印面形成装置の制御部は、有線通信(USB(登録商標):Universal Serial Bus)又は無線通信(Wi−Fi(登録商標)(Wireless Fidelity)、Bluetooth(登録商標)、WLAN(登録商標)(Wireless Local Area Network)など)により、パソコン(PC:Personal Computer)、スマートフォン、タブレットコンピュータなどと接続されて、連携して機能することができる。
印面材保持は、印面材が印面材ホルダに保持された状態でユーザに供給される場合には、印面材ホルダを製造する工場においてなされる。
印面形成工程は、印面形成装置のユーザが印面材ホルダを用いて印面形成を実行する際になされる工程である。
本発明の課題は、上述したように印面材を印面材ホルダに保持した状態で印面形成をする印面形成装置、印面形成方法及びプログラムを提供することである。そして、とりわけその場合に、印刷潰れの抑制のため、加熱量をどのように制御するかについてのものである。
以下、本発明に係る印面形成装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
《図1、図2、図3、図4を参照しつつ、印面形成装置(サーマルプリンタ)の機械構成について説明する》
図1は、本発明の実施形態1に係る印面形成装置を印面材ホルダとともに示す概略斜視図である。ここで、図1(a)は、実施形態1に係る印面形成装置の外観斜視図であり、図1(b)は、そのX−Z面(搬送方向を含む鉛直面)における断面構造を示す斜視断面図である。図2は、実施形態1に係る印面形成装置の印面材ホルダの排出口周辺の構造を示す概略図である。ここで、図2(a)は、図1(b)に示したIIA部(本明細書においては、図1(b)中に示したローマ数字の「2」に対応する記号として便宜的に「II」を用い、ローマ数字の「5」に対応する記号として便宜的に「V」を用いる。以下、同様。)における断面構造を示す要部断面図である。図2(b)は、排出口を含む印面形成装置の外観を示す正面図である。図3は、実施形態1に係る印面形成装置に適用される印面形成部の要部を示す斜視図である。図4は、実施形態1に係る印面形成装置に適用される印面形成部の要部構成の平面図及び断面図である。図4(a)は、印面形成部の平面図であり、図4(b)は、そのX−Z面(搬送方向を含む鉛直面)における断面構造を示す概略断面図である。
次に、実施形態1に係るプリンタ1の機能構成、すなわち制御部(CPU)によって制御されて機能する機能構成について説明する。
図5は、実施形態1に係る印面形成装置(プリンタ1)のシステム構成のブロック図である。
図5に示すように、プリンタ1は、中央制御回路2を備え、中央制御回路2には、センサ3、サーマルヘッド4、電源回路5、モータードライバ8、表示画面制御回路47、メモリ制御回路48、UI(ユーザインターフェイス)制御回路49、USB制御回路40、Bluetooth(登録商標)モジュール・無線LANモジュール41を有している。
また、モータードライバ8にはステッピングモータ9が接続され、表示画面制御回路47には表示デバイス43が接続され、USB制御回路40には、PC(パーソナルコンピュータ)44が接続されている。
なお、センサ3は、本例の場合、反射型光学センサで構成されており、印面材ホルダ20に設けられた切欠22aの検出を行う。中央制御回路2は、センサ3からの信号を検出することで、印刷開始位置やメディアサイズなどの検出・通電制御を行う。
また、表示デバイス43、表示画面制御回路47、UI制御回路49、USB通信制御回路(USB通信制御回路)40、又はBluetooth(登録商標)モジュール・無線LANモジュール41等は、必ずしも全てが必要な訳ではない。
メモリ制御回路48は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のデバイスを含み、それらの制御を行っている。表示デバイス43は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置を指し、表示画像制御回路47では、表示デバイス43へのデータ転送等やバックライトの点灯及び消灯等の制御をしている。
また、さまざまな機能を実現するために必要なコンピュータプログラムは、ROM等に格納されており、必要に応じてRAMに書き込まれて参照され、利用される。この印面形成装置は、パソコン(又はスマートフォン)側にドライバソフトおよびアプリケーションプログラムをインストールし、USB接続などにより連携して動作するものである。したがって、印面形成装置内のコンピュータプログラムと、パソコンなどの外部機器にインストールされたコンピュータプログラムと、が連携してさまざまな機能を実現する。
UI(ユーザインターフェイス)制御回路49は、キーボードやマウス、リモコンやボタン、タッチパネル等の入力デバイスからユーザがパソコンなどを介して、又は本印面形成装置(プリンタ)に設けた入力装置を介して入力した情報をもとに、メニュー画面表示等の制御を行う。電源回路5は、電源IC(Integrated Circuit)等からなり、各回路に必要な電源を作り出して供給する。
なお、本システムの構成例では、中央制御回路2から他の回路が受け取るのはデータと信号のみであり、印刷に必要な電力は電源回路5から得ている。因みに、本例の装置では、サーマルヘッド4は、200dpi、すなわち200ドット/25.4mmの解像度(1ドット当たり0.125mmの解像度)で48mmの有効印刷幅を有している。
モータードライバ8は、ステッピングモータ9を駆動する駆動回路であり、中央制御回路2から出力される信号を受け取り、駆動用のパルス信号及び電力をステッピングモータ9に供給する。なお、中央制御回路2から受け取るのは励磁信号のみで、実際の駆動電力は電源回路5から得ている。
本実施形態におけるプリンタ1は、1−2相励磁駆動を採用しており、ギア比は1ライン(0.125mm)当たり16ステップとなるように構成されている。すなわち、1ステップで、0.0078mmの搬送を行う。
なお、制御部2におけるプラテンローラ12による搬送距離の算出を、パルス数に基づいて行わずに他の方法を用いても良い。例えば、プラテンローラ12の回転数をロータリーエンコーダにより検出し、検出された回転数に基づいてプラテンローラ12による搬送距離を算出しても良い。
次に、プリンタ1により印面を形成(製版)する印面材ホルダ20について、図6及び図7を参照しつつ説明する。
図6は、実施形態1に係るプリンタにより印面が形成される印面材ホルダの一例を示す概略図である。図6(a)は、印面材ホルダ20の印面形成側(印面材21を保持する側)を示す平面図である。図6(b)は、図6(a)に示したVIB−VIB線(本明細書においては図6(a)中に示したローマ数字の「6」に対応する記号として便宜的に「VI」を用いる。)に沿った断面構造を示す概略断面図である。図6(c)は、図6(b)に示したVIC部における断面構造を示す要部断面図である。図7は、印面を形成した印面材を貼り付けた押し印の一例を示す概略図である。図7(a)は、印面材側から見た押し印の斜視図であり、図7(b)は、印面材側を底面とした時(押し印として使用する際に紙などに置く時)の押し印の側面図である。
印面材21は、実際に印面となる主面21aを有する。印面材21は、液状のインクを含浸可能な多孔質のスポンジ体、例えば、多孔質エチレン酢酸ビニル・コポリマー(以下、「EVA」と記す。)で構成され、押圧により変形可能となっている。EVAは無数の気泡を有しており、この気泡の中にインクを含浸する。
印面材ホルダ20のうちの、保持体22とフイルム24とは、印面材21の印面形成時に用いられる治具であり、印面形成の終了後には印面材21と分離されて廃棄(又は再利用)される。保持体22は、図6(b)、(c)に示すように、コートボールからなる上部厚板紙22cと下部厚板紙22dとを貼り合わせて構成されている。また、図6(a)に示すように、保持体22の一方の側部(図面右方)に切欠22aが形成されている。ここで、保持体22は、センサ3からの光を高い反射率で反射させるために、その表面が例えば、白色に形成されている。
次に、印面材21に印面を形成する原理について説明する。
印面材21は、EVAで構成されている。EVAは熱可塑性の物性を有するので、例えば70℃〜120℃の熱で加熱すると、熱を加えた箇所は軟化し、一度軟化した箇所は冷えると硬化する。そして、硬化した箇所は気泡部分が埋まり非多孔質化され、その部分はインクを通さなくなる。
本実施形態に係るプリンタ1は、この印面材21(EVA)の特性を利用して、サーマルヘッドでEVAの表面の任意の箇所を約1msecから5msec程度加熱することにより、EVAの表面の任意の箇所を非多孔質化させて、その部分のインクの通過を禁止する。なお、印面材21は、熱裁断機によって予め方形に裁断されている。このため、印面材21の4つの側面(端面)は、いずれも裁断の際に加えられた熱によって非多孔質化されており、インクを通過させない。なお、印面材21の裏面21bも加熱処理が施されており、インクを通過させない。これによって、印面となる主面21a以外の面からインクが滲み出ることを防止している。
次に、本実施形態に係るプリンタ1において、所望の印面を形成する印面形成動作について説明する。なお、以下に示す各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で制御部2(さらに詳しく言えば、ROM)に格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。なお、図5のシステムブロック図に示したように、この印面形成装置(プリンタ1)は、通常はパソコンやスマートフォンなどと連携して動作するものである。ここでは、煩雑な説明となるのを防ぐべく、プリンタ1内における動作に限定して説明する。
プリンタ1の印面形成動作においては、まず、制御部2は、入力操作部6が押圧され、入力操作部6からプリンタ1を起動する信号が入力されると、プリンタ1のイニシャル動作を実行する。プリンタ1のイニシャル動作においては、制御部2は、モータードライバ8に駆動信号を送り、ステッピングモータ9を所定時間回転させる。これにより、プラテンローラ12が所定時間回転し、プリンタ1内に印面材ホルダ20が残っていた場合でも、その印面材ホルダ20が排出口10dからプリンタ1外に排出される。
具体的には、制御部2は、入力された画像データに基づいて、印面材ホルダ20の搬送(ステッピングモータ9の回転)と、サーマルヘッド4の複数の発熱体のいずれを発熱されるかと、を連携させながら制御し、印面材21の画像データに応じた位置を選択的に加熱して、インクの透過部分と非透過部分とを画像データに応じて形成することで、印面を形成する。
EVAは1.5mmの厚さを持つ部材であり、高い弾性と摩擦係数とを有する。このため、EVAをそのままサーマルプリンタに挿入して搬送を行おうとしても、サーマルヘッドとEVAとの摩擦力が大きく、安定した直進性の搬送を行うことが出来ない。つまり、EVAは摩擦力が大きいことと、ゴムのように柔らかいため、たとえサーマルプリンタ側に直進安定性を得るためのガイドが取り付けられていても、搬送中に少しでも曲がりができると、EVA自体が屈曲してしまい、結果的にすぐに斜行が発生する。
上記のEVAの搬送上の困難は、サーマルヘッドが発熱していない非加熱の状態の場合でも起きる現象であるが、サーマルヘッドが発熱した場合、サーマルヘッドは発熱開始後の数ミリ秒で約200度近くまで温度が上がるため、EVA表面を加熱した瞬間に表面が軟化し、軟化した部分にサーマルヘッドが埋まってしまい、EVAの搬送が全く出来なくなってしまうという現象が生じる。
端面ヘッドを用いる方式や、ヘッドを移動駆動するためにキャリッジを組み込む方式の場合は、上記の問題が起きないが、この方式は、機構の大型化と使用部材のコストの大幅な上昇とを招くという不都合がある。
また、印面材21は、上部厚板紙22cの位置決め孔22eで位置固定され、下部厚板紙22dにより下面から保持されると共に上面をフイルム24により被覆されているので印面材ホルダ20に保持された状態のままの形を維持し、X方向、Y方向の外力が加わっても変形しない。
したがって、印面材ホルダ20が搬送される通りに印面材21もまた、それにしたがって搬送される。印面材ホルダ20が直進搬送されれば、印面材21もその通りに直進搬送される。また、フイルム24は、印面材21、つまりEVAの溶融点よりも高い温度に耐熱性を有している。
したがって、サーマルヘッド4の発熱で印面材21の表面が溶融してもフイルム24は溶融しない。つまりフイルムとしての被覆性を失うことはない。また、フイルム24は、サーマルヘッド4との摩擦力は極めて低い。
このため、サーマルヘッド4は、フイルム24の被覆性により、溶融して軟化した印面材21の中に埋没することなく、また、フイルム24との間の低摩擦性により、フイルム24の面に沿って容易に発熱印刷(印面形成)を続けていくことができる。このようにして印面材21への印面形成が完了する。
このように、印刷データを用いてサーマルヘッドでEVA表面を加熱することにより、ユーザ独自の印影を有する印面を形成することができる。印面材に印面形成して出来上がった印面版を印面材ホルダ20から取り出すには、保持体22をミシン目27に沿って折り曲げて、印面材21を引き出すだけでよい。その後、台木52に印面形成後の印面材を貼り付けて、印面を一定時間インクに浸す、又はインクの粘性が高いものであれば、印面に塗布して所定時間放置する。それにより、インクが印面版の内部に含浸する。ユーザは、印面表面の余剰のインク汚れをふき取った後(又は試押しを何度かした後)、持ち手51を指で持って、押印対象物に押し付けると、印面から含浸インクが押し出されて印影が押印される。
さて、本発明に係る印面形成装置(印面形成用サーマルプリンタ)は、印面材(印面形成媒体)として熱可塑性を有する多孔質EVAなどを用いる。
しかしながら、感熱紙への印刷などと異なり、EVAへの印刷の場合は印面材(印面形成媒体)そのものが変質するため、隣接ドットからの影響を受けやすい。
具体的には、加熱ドットと非加熱ドットとが隣接していた場合、非加熱ドット(に接する印面材の多孔質部分)は加熱ドット(に接する印面材の多孔質部分)が熱可塑(熱収縮)を起こす時にその影響を受けてしまい、結果として熱可塑を起こしてしまう(潰れてしまう)。
そこで、本発明では、非加熱ドットと隣接する加熱ドットにおいては、加熱量を若干少なくすることで、非加熱ドット(に接する印面材の多孔質部分)がつぶれてしまうのを抑制する。
熱のかけ方のイメージ図を、図9に示す。図9は、本発明に係る潰れ抑制における熱のかけ方のイメージ図である。図9(a)は、元の画像データ、すなわちユーザが印面形成することを所望する画像データを示す図である。図9(a)に示すように、この画像データでは、真ん中のドット(白い部分)が熱を加えないドット(非加熱ドット)であり、その周囲のドット(黒い部分)がすべて加熱ドットとなっている。図9(b)は、非加熱ドットと隣接する加熱ドットにおいて、ドットの色をグレーで示すことで、加熱量を若干少なくする補正を施した様子を示す図である。図9(b)に示すように、非加熱ドットの左右の隣接するドットでは、そのドット全体について加熱量を少なくしている。また、非加熱ドットの上下に隣接するドットでは、二段階にわたって加熱量を少なくしている様子が示されている。
図9(b)は、イメージ図であって、加熱制御の結果、このような温度勾配が望ましいと考えるイメージを描いたものである。制御の対象となるのは、あくまでもドットごとであり、個々のドットにどのように通電信号を与えるかである。
本明細書において、「加熱ドット」、「非加熱ドット」というときに、定義の項で定義を与えたように、本来的には、非加熱ドットは、サーマルヘッドの複数の発熱体のうちの、加熱しないドットを言い、加熱ドットは、サーマルヘッドの複数の発熱体のうちの、加熱するドットを言う。ここで、「ドット」は、サーマルヘッドの発熱体の単位であって、例えば200dpi(1インチ当たり200ドット)の解像度で設けられている。
発熱体の加熱、非加熱に対応して、印面材の多孔質部分が加熱、非加熱の対象となる。したがって、特に混同を生じない場合には、印面材の多孔質部分のうち、加熱される部分、非加熱の部分について、加熱ドット、非加熱ドットともいうこととする。その観点からすると、非加熱ドットは、印面形成される印面の画像から見て、インクの通過を許容する部分に該当する。また、加熱ドットは、印面形成される印面の画像から見て、インクの通過を禁止する部分に該当する。
印面材側のドット単位は、あくまでもサーマルヘッドの発熱体単位に対応して決められるものである。サーマルヘッドの主走査方向(発熱体の配列方向)については、発熱体の大きさそのもので規定される。サーマルヘッドの副走査方向(印面材ホルダ20の搬送方向)についても発熱体の大きさにより規定されるのは同様であるが、本実施形態にあっては、ステッピングモータ9の16ステップの動作によりプラテンローラ12が印面材ホルダ20を搬送する距離に対応する。ステッピングモータ9の動力をプラテンローラ12に伝えるためのギアボックス(不図示)のギア比は、ステッピングモータ9の16ステップに基づきプラテンローラ12による印面材ホルダ20の動く距離がちょうどサーマルヘッドの発熱体のドットの大きさに合うように決められている。
さらに言うと、印面の画像データが、印面形成装置に与えられる段階にあっては、当該画像データは、サーマルヘッドの一つ一つのドットごとに0か1かのデータである。すなわち、非加熱ドットか加熱ドットかを示すデータである。したがって、当該画像データの一つ一つについても、非加熱ドット、加熱ドット、という呼び方をすることができる。
次に、具体的な実現方法を説明する。
まず、本発明に係る印面形成装置では、サーマルヘッド通電制御にマルチパルス方式を採用している。マルチパルス方式は、サーマルヘッドに加えるエネルギーの印加を複数のパルス列で構成する方式である。通常、マルチパルス方式は階調表現などを行う場合に採用される手法である。本装置は印面形成装置であり、印面は、インクを通すか通さないかのいずれかであって、中間はないので、階調表現は存在しない。
本装置でマルチパルス方式を採用するのは、通電時における発熱体のピーク温度を下げるためである。これは、ピーク温度を下げることで、EVA表面の加熱部分を滑らかな仕上がりにすることが、実験的に確認されているためである。詳しくは、図14を参照しつつ後述する。
また、本装置では、ヘッドに流せる電流に制限があるため、分割印刷方式を採用している。すなわち、1ライン上のヘッドを複数のブロックに分割して駆動できるようになっており、1ドットラインを印刷する際に、各物理ブロック(例えば、64ドットずつのブロック)ごとのドット数をカウントして、設定されている最大駆動ドット数を超えないように、物理ブロックをまとめて論理ブロックを決定する方式(動的分割方式)を採る。
分割数が6〜11(印刷幅によって異なる)と多いため、シングルパルスだと印刷結果にガタが目立ってしまう(特に、細いラインを印刷した場合などに目立つ)。そのガタの発生を最小限に抑えることも、マルチパルス方式を採用した理由である。
また、このパルス数も、サーミスタによって検知されるサーマルヘッド放熱板の温度によって変えている。ここでは温度別の具体的なパルスの数には言及しないが、仮に10パルス固定とする。
つまり、分割数が6であった場合、1ライン当たりの合計通電信号数は、10(パルス)×6(分割)=60(回)となる。実際の通電信号の概略図を、図10に示す。図10に示すように、1パルス目の1分割目、2分割目、3分割目、…、6分割目、2パルス目の1分割目、2分割目、…、6分割目、…、10パルス目の1分割目、…、6分割目という順に、合計60回の通電信号が送られる。この通電信号により各発熱体に電力が印加されて、発熱する。なお、図10に示す通電信号(/STB信号)は、LOWアクティブとして表記している。
さて、本発明では、非加熱ドットに隣接している加熱ドットにおいては、10パルスのうちの任意のパルス数しか通電を行わないものとする(サーミスタ検知温度によって変化する。サーミスタは、環境温度やサーマルヘッドの温度を検知するために搭載されている)。
ここで、隣接のパターンについては、次に示す3種類に分類できる(図11参照)。図11は、隣接パターンの概略図である。
(隣接パターン1)サーマルヘッドの主走査方向に対して、非加熱ドットと加熱ドットとが隣接(副走査方向での隣接は無し)。
(隣接パターン2)サーマルヘッドの副走査方向に対して、非加熱ドットと加熱ドットとが隣接(主走査方向での隣接は無し)。
(隣接パターン3)サーマルヘッドの主走査方向・副走査方向の両方に対して、非加熱ドットと加熱ドットとが隣接。
ここで、サーマルヘッドの主走査方向は、サーマルヘッドの配列方向と同一であり、印面材ホルダの搬送方向とは直交する向きである。また、サーマルヘッドの副走査方向とは、印面材ホルダの搬送方向と同一であり、サーマルヘッドの配列方向とは直交する向きである。
(隣接パターン1)の場合は、たとえば10パルス中に8パルスしか熱をかけない。
(隣接パターン2)の場合は、10パルス中8あるいは9パルスの通電を行うが、非加熱ドットを避けるように通電を行う。
(隣接パターン3)の場合は、(隣接パターン1)と同様になる(10パルス中8パルスの通電となる)。
先補正パルス、主パルス、後補正パルスの概念を用いると、次のように潰れ抑制を実行することができる。
(隣接パターン1)の場合、先補正パルスと後補正パルスとにおいては、非加熱ドットと隣接している加熱ドット(データ的には加熱を行わなければならないドット)に通電を行わない。主パルスでは、通電を行う。
(隣接パターン2)の場合、非加熱ドットをさける様に、先補正パルスあるいは後補正パルスあるいはその両方において、非加熱ドットと隣接している加熱ドットに通電を行わない。主パルスでは、通電を行う。
それでは、この様な印刷データを作成するためのアルゴリズムを説明する(図12参照)。図12は、実施形態1における補正データの作成方法を示す図である。図12において、黒いドットは加熱ドットを示し、白いドットは非加熱ドットを示す。
まず、制御部2は、印刷を行うべき1ライン分の本データ(図12(b)に示す本データ(Nライン目))を、RAM上のバッファに展開する。
次に、制御部2は、本データに対し、本データを右に1ビットシフトしたデータと左に1ビットシフトしたデータとの論理積を取り、これを仮補正データ(図12(d))とする。論理積は、ここでは、二つのドットデータの積をとることにより、二つとも熱を加えることを意味するデータの場合にのみ熱を加えることとし、いずれか一方(または双方)が熱を加えないことを意味するデータの場合には熱を加えないこととする演算をすることを意味する。
上記処理を行った仮補正データ(図12(d))は、本データの主走査方向において、非加熱ドットと隣接している加熱ドットが、非加熱ドットに変換されたデータである。
先補正データ(図12(e))は、1ライン前の本データ(図12(a))と論理積をとっているので、本データ(図12(b))のあるドット(たとえば、n番目のドット)において、1ライン前が非加熱ドットであった場合、先補正データの当該ドット(n番目のドット)は、本データの内容にかかわらず非加熱データとなる。
後補正データも同様である。
ラインごとのドットデータとは、サーマルヘッドの発熱体の配列された方向に対応してそれらの複数の発熱体に与えるべき、0か1かの情報を並べたものをいう。
また、本実施形態における制御では、斜め45度からの影響は考えていない。これは、あるドット(nドット目)が最も熱を受けやすいのは、隣接している通電ドット(n−1ドット目、n+1ドット目)か、前後ラインのnドット目からであり、200dpiクラスのサーマルヘッドでは、斜めからの影響があまり大きくなかったためである。
ただし、解像度が高いヘッド(ドットの小さいヘッド)では、斜め45度からの影響も考えなければならない。
その場合は、たとえばNライン目における、前(後)補正データ作成時に、仮補正データとN−1(N+1)ライン目との論理積だけでなく、N−1(N+1)ライン目を左右にビットシフトしたデータとの論理積も、合わせて取ればよい。
ただし、斜めからの影響は、前後左右と比較して受けにくいので、たとえば前補正データ1(斜めからの影響を考慮)と、前補正データ2(斜めからの影響は考えない。つまり、上記実施形態の制御)を作成し、1パルス目には前補正データ1を、2パルス目には前補正データ2を、3パルス目以降には本データを、……と通電させればよい。
もちろん、後補正データも同様にするべきである。
なお、ここで、10個の信号列の順番は、自然な温度勾配が形成されるようにイメージして決めたものであり、さまざまな温度条件、黒字率(加熱ドットの比率)の組み合わせに基づいて、実験を行った結果に基づいている。実際のドットごとの温度勾配(温度分布)がどのようになっているかは、測定困難である。
図14(a)に示す元の画像データを、図12に示すアルゴリズムにしたがって、補正した結果が、図14(b)に示すデータである。このデータが図13に示すように通電信号となって、サーマルヘッドに印加されて潰れ抑制の制御が実行される。
サーマルヘッドには、温度センサ(サーミスタ)が付いており、環境温度(主にサーマルヘッドの発熱により上昇した温度)をリアルタイムで測定し、それを制御部2に送る。制御部2は、温度と通電時間とを対応させた対応表である通電テーブルを参照して、サーマルヘッド4の駆動回路であるドライバIC4bに制御信号を送り、それに基づいてドライバIC4bがサーマルヘッドに通電信号を送る。サーマルヘッドの環境温度は、黒字率が高い状態が続くなどの稼働状況に従い、リアルタイムで変動するので、制御部2が通電テーブルを参照するのもまた、リアルタイムで頻繁に行われる。
本発明に係る加熱制御は、前後のラインごとのドットデータをビットシフトして論理積を求める補正処理に基づくものであるが、サーマルヘッドの温度変化がリアルタイムで変動するものであることから、本発明に係る補正処理もまた、リアルタイムで行うこととなる。
また、本制御を使用するか否かの判断を、印刷中に動的に判断しても良い。
たとえば、Nライン目を印刷する場合、N−1ライン目・Nライン目・N+1ライン目の加熱ドット数をカウントし、このカウント値が一定値を超えた場合にのみ、本制御を使用するということである。すなわち、黒字率をリアルタイムで算出し、その黒字率が所定値を超えた場合に、本発明に係る補正処理を行うものである。
あるいは、Nライン目の加熱ドット数が一定以上で、かつ、前後も含めた3ラインの加熱ドットの総ドット数が一定数以上のときに、本制御を使用するとしてもよい。(もちろん、前後のみでなく、2ライン前後を考慮しても良い)
さらに、判断パラメータとして、サーミスタ検知温度を加えても良い。
つまり、サーミスタ検知温度が一定以上で、かつ、Nライン目の加熱ドット数が一定以上で、かつ、前後も含めた3ラインの加熱ドットの総ドット数が一定数以上のときに、本制御を使用するとしてもよい。
しかしながら、潰れ制御で最も重要なのは発熱体そのものの蓄熱であり、仮にサーミスタ検出温度が低くても、連続的にベタ黒(加熱部分)が続く箇所があれば、その中に点在する非加熱ドットは、やはり潰れる傾向にあるからである。
特に、印刷メディアが感熱紙などではなく、多孔質樹脂では、この傾向が強くみられる傾向にある(より正確には、印面としてはある程度の微小ドットも再現は可能なのだが、ドットが小さすぎると押印時にインクが染み出てこないため、押印後の印影ベースで判断すると、この傾向が強くみられるということである)。
ただし、サーミスタにて発熱体の温度が精度よく検出できるのであれば、もちろんサーミスタ検知温度のみで、本制御使用の判断を行っても良い。
以上説明した実施形態1に係る印面形成装置において、非加熱ドットに隣接する加熱ドットの熱量を減らすことで、ドット潰れを軽減することが出来る。
上述したように、実施形態1に係る印面形成装置(プリンタ1)は、非加熱ドットに隣接する加熱ドットの熱量を減らすことで、潰れを抑制した印面を形成することができた。しかしながら、実施形態1に係る印面形成装置は、非加熱ドットに隣接する加熱ドットであれば、どのような加熱ドットであっても熱量を減らしていた。そのため、例えば図15(a)に示すような非加熱ドットに囲まれた孤立した加熱ドットに対する加熱量を減らしてしまうと、十分な加熱量を得られなくなることがあった。その結果、例えば誤差拡散画像等、非加熱ドット(インク染み出し部)が多くを占める画像では特に、捺印結果がインクで潰れてしまいがちになるといった課題があった。
(手順1)特定部が、1ラインの本データに対して、主走査方向における孤立ドットのみを0としたデータを作成する。
(手順2)特定部が、上記データに対して、その前後のラインの本データと比較して、手順1で得られたデータで0となっているドットの中で、副走査方向においても孤立しているドットのみを0のまま残す。これにより、孤立ドットを特定する。
(手順3)制御部2が、手順2で特定した孤立ドットに隣接する加熱ドットの熱量を減らす。
次に、特定部は、1ライン分のうちの本データA(m,n)の中で、主走査方向において(つまり、あるmにおいて)孤立していない非加熱ドット、すなわち主走査方向における両隣のドットがいずれも加熱ドットである非加熱ドット以外の非加熱ドットのみを1とするデータA’(m,n)を、下記の(1)式に従って作成する。具体的に図16の例では、本データA(m,n)がデータ列「10101001」である場合、A’(m,n)は、データ列「00000110」と得られる。
A’(m,n) = [{(¬A(m,n)>>1) OR 0x80} AND ¬A(m,n)] OR [{(¬A(m,n)<<1) OR 0x01} AND ¬A(m,n)] …(1)
B(m,n) = {A’(m,n) XOR A(m,n)} …(2)
{A(m,n) AND 0x03} = 0x02 …(3−1)
{A(m,n+1) AND 0x80} = 0x80 …(3−2)
{A(m,n) AND 0xC0} = 0x40 …(4−1)
{A(m,n−1) AND 0x01} = 0x01 …(4−2)
D(m,n) = [¬{C(m,n) OR A(m−1,n)} XOR C(m,n)] OR [¬{C(m,n) OR A(m+1,n)} XOR C(m,n)] …(5)
E(m,n) = [{D(m,n) AND (D(m,n)>>1)} AND {D(m,n) AND (D(m,n)<<1)}] AND A(m,n) …(6)
以上に本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は一例であり、本発明の適用範囲はこれに限られない。すなわち、本発明の実施形態は種々の応用が可能であり、あらゆる実施の形態が本発明の範囲に含まれる。
加熱により非多孔質化可能な多孔質の印面材及び当該印面材を着脱可能に保持する保持体を有する印面材ホルダの当該印面材が保持された面に沿う方向に配列された複数の発熱体と、当該複数の発熱体の発熱状態を制御する駆動回路と、が設けられ、当該印面材に印面を形成する印面形成部と、
前記駆動回路に印加する通電信号を補正して、前記印面を形成するための画像データのうちの、非加熱ドットに隣接する加熱ドットに対するドット単位の加熱量を、非加熱ドットに隣接しない加熱ドットに対するドット単位の加熱量よりも減らすように、前記印面形成部の前記駆動回路を制御する制御部と、
を有する、
ことを特徴とする印面形成装置。
前記駆動回路が前記複数の発熱体を制御するための前記通電信号は、マルチパルス方式の信号であり、前記制御部は複数のパルスに分けられた前記通電信号をパルスごとに制御することにより前記非加熱ドットに隣接する加熱ドットに対するドット単位の加熱量を減らすことを特徴とする付記1に記載の印面形成装置。
前記通電信号の補正は、前記画像データのラインごとのドットデータと、当該ドットデータを主走査方向又は副走査方向にプラス1又はマイナス1ずらしたドットデータと、の論理積をとったドットデータに基づくものであることを特徴とする付記1又は2に記載の印面形成装置。
前記制御部は、前記画像データのラインごとのドットデータ、その前後のいずれかのラインごとのドットデータまたはそれらの組み合わせに基づいた加熱ドットの比率である黒字率が所定値以上である場合に、前記非加熱ドットに隣接する加熱ドットに対するドット単位の加熱量の制御を実行することを特徴とする付記1から3のいずれか1つに記載の印面形成装置。
前記印面形成部は、前記印面形成部周辺の温度を検知する温度センサを有し、
前記制御部は、前記温度センサの検知温度が所定温度以上である場合に、前記非加熱ドットに隣接する加熱ドットに対するドット単位の加熱量の制御を実行することを特徴とする付記1から4のいずれか1つに記載の印面形成装置。
前記制御部は、非加熱ドットのうちの、主走査方向と副走査方向とのうちの少なくともいずれかの方向における両隣のドットがいずれも加熱ドットであるドットを特定する特定部を有し、
前記制御部は、前記通電信号を補正して、前記画像データのうちの、前記特定部が特定した前記非加熱ドットの両隣の加熱ドットに対するドット単位の加熱量を、前記特定部が特定した前記非加熱ドットの両隣の加熱ドット以外の加熱ドットに対するドット単位の加熱量よりも減らすように、前記駆動回路を制御することを特徴とする付記1から5のいずれか1つに記載の印面形成装置。
前記特定部は、非加熱ドットのうちの、前記主走査方向における両隣のドットがいずれも加熱ドットであり、且つ、前記副走査方向における両隣のドットがいずれも加熱ドットであるドットを特定し、
前記制御部は、前記通電信号を補正して、前記画像データのうちの、前記特定部が特定した前記非加熱ドットに隣接する4つの加熱ドットに対するドット単位の加熱量を、前記特定部が特定した前記非加熱ドットに隣接する4つの加熱ドット以外の加熱ドットに対するドット単位の加熱量よりも減らすように、前記駆動回路を制御することを特徴とする付記6に記載の印面形成装置。
加熱により非多孔質化可能な多孔質の印面材を着脱可能に保持する印面材ホルダを、当該印面材に熱を加えて印面を形成する印面形成部に対して、相対的に移動させつつ、当該印面材ホルダの当該印面材が保持された面に沿う方向に配列された複数の発熱体および当該複数の発熱体の発熱状態を制御する駆動回路により当該印面材に当該印面を形成する際に、当該駆動回路に印加する通電信号を補正して、非加熱ドットに隣接する加熱ドットに対するドット単位の加熱量を、非加熱ドットに隣接しない加熱ドットに対するドット単位の加熱量よりも減らすように、当該印面形成部の当該駆動回路を制御する印面形成工程、
を有する、
ことを特徴とする印面形成方法。
前記駆動回路が前記複数の発熱体を制御するための前記通電信号は、マルチパルス方式の信号であり、前記制御部は複数のパルスに分けられた前記通電信号をパルスごとに制御することにより前記非加熱ドットに隣接する加熱ドットに対するドット単位の加熱量を減らすことを特徴とする付記8に記載の印面形成方法。
前記通電信号の補正は、前記印面を形成する際のラインごとのドットデータと、当該ドットデータを主走査方向又は副走査方向にプラス1又はマイナス1ずらしたドットデータと、の論理積をとったドットデータに基づくものであることを特徴とする付記8又は9に記載の印面形成方法。
前記印面を形成する際のラインごとのドットデータ、その前後のいずれかのラインごとのドットデータまたはそれらの組み合わせに基づいた加熱ドットの比率である黒字率が所定値以上である場合に、前記非加熱ドットに隣接する加熱ドットに対するドット単位の加熱量の制御を実行することを特徴とする付記8から10のいずれか1つに記載の印面形成方法。
前記印面形成部に設けられた前記印面形成部周辺の温度を検知する温度センサの検知温度が所定温度以上である場合に、前記非加熱ドットに隣接する加熱ドットに対するドット単位の加熱量の制御を実行することを特徴とする付記8から11のいずれか1つに記載の印面形成方法。
前記印面形成工程は、非加熱ドットのうちの、主走査方向と副走査方向とのうちの少なくともいずれかの方向における両隣のドットがいずれも加熱ドットであるドットを特定する特定工程を有し、
前記印面形成工程では、前記印面材に前記印面を形成する際に、前記通電信号を補正して、前記特定工程で特定した前記非加熱ドットの両隣の加熱ドットに対するドット単位の加熱量を、前記特定工程で特定した前記非加熱ドットの両隣の加熱ドット以外の加熱ドットに対するドット単位の加熱量よりも減らすように、前記駆動回路を制御することを特徴とする付記8から12のいずれか1つに記載の印面形成方法。
前記特定工程では、非加熱ドットのうちの、前記主走査方向における両隣のドットがいずれも加熱ドットであり、且つ、前記副走査方向における両隣のドットがいずれも加熱ドットであるドットを特定し、
前記印面形成工程では、前記印面材に前記印面を形成する際に、前記通電信号を補正して、前記特定工程で特定した前記非加熱ドットに隣接する4つの加熱ドットに対するドット単位の加熱量を、前記特定工程で特定した前記非加熱ドットに隣接する4つの加熱ドット以外の加熱ドットに対するドット単位の加熱量よりも減らすように、前記駆動回路を制御することを特徴とする付記13に記載の印面形成方法。
コンピュータに、
加熱により非多孔質化可能な多孔質の印面材を着脱可能に保持する印面材ホルダを、当該印面材に熱を加えて印面を形成する印面形成部に対して、相対的に移動させつつ、当該印面材ホルダの当該印面材が保持された面に沿う方向に配列された複数の発熱体および当該複数の発熱体の発熱状態を制御する駆動回路により当該印面材に当該印面を形成する際に、当該駆動回路に印加する通電信号を補正して、非加熱ドットに隣接する加熱ドットに対するドット単位の加熱量を、非加熱ドットに隣接しない加熱ドットに対するドット単位の加熱量よりも減らすように、当該印面形成部の当該駆動回路を制御させる、
ことを特徴とするプログラム。
Claims (10)
- 加熱により非多孔質化可能な多孔質の印面材及び当該印面材を着脱可能に保持する保持体を有する印面材ホルダの当該印面材が保持された面に沿う方向に配列された複数の発熱体と、当該複数の発熱体の発熱状態を制御する駆動回路と、が設けられ、当該印面材に印面を形成する印面形成部と、
前記駆動回路に印加する通電信号を補正して、前記印面を形成するための画像データのうちの、非加熱ドットに隣接する加熱ドットに対するドット単位の加熱量を、非加熱ドットに隣接しない加熱ドットに対するドット単位の加熱量よりも減らすように、前記印面形成部の前記駆動回路を制御する制御部と、
を有し、
前記通電信号の補正は、前記画像データのラインごとのドットデータと、当該ドットデータを主走査方向又は副走査方向にプラス1又はマイナス1ずらしたドットデータと、の論理積をとったドットデータに基づくものであることを特徴とする印面形成装置。 - 前記制御部は、前記画像データのラインごとのドットデータ、その前後のいずれかのラインごとのドットデータまたはそれらの組み合わせに基づいた加熱ドットの比率である黒字率が所定値以上である場合に、前記非加熱ドットに隣接する加熱ドットに対するドット単位の加熱量の制御を実行することを特徴とする請求項1に記載の印面形成装置。
- 加熱により非多孔質化可能な多孔質の印面材及び当該印面材を着脱可能に保持する保持体を有する印面材ホルダの当該印面材が保持された面に沿う方向に配列された複数の発熱体と、当該複数の発熱体の発熱状態を制御する駆動回路と、が設けられ、当該印面材に印面を形成する印面形成部と、
前記駆動回路に印加する通電信号を補正して、前記印面を形成するための画像データのうちの、非加熱ドットに隣接する加熱ドットに対するドット単位の加熱量を、非加熱ドットに隣接しない加熱ドットに対するドット単位の加熱量よりも減らすように、前記印面形成部の前記駆動回路を制御する制御部と、
を有し、
前記印面形成部は、前記印面形成部周辺の温度を検知する温度センサを有し、
前記制御部は、前記温度センサの検知温度が所定温度以上である場合に、前記非加熱ドットに隣接する加熱ドットに対するドット単位の加熱量の制御を実行することを特徴とする印面形成装置。 - 加熱により非多孔質化可能な多孔質の印面材及び当該印面材を着脱可能に保持する保持体を有する印面材ホルダの当該印面材が保持された面に沿う方向に配列された複数の発熱体と、当該複数の発熱体の発熱状態を制御する駆動回路と、が設けられ、当該印面材に印面を形成する印面形成部と、
前記駆動回路に印加する通電信号を補正して、前記印面を形成するための画像データのうちの、非加熱ドットに隣接する加熱ドットに対するドット単位の加熱量を、非加熱ドットに隣接しない加熱ドットに対するドット単位の加熱量よりも減らすように、前記印面形成部の前記駆動回路を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、非加熱ドットのうちの、主走査方向と副走査方向とのうちの少なくともいずれかの方向における両隣のドットがいずれも加熱ドットであるドットを特定する特定部を有し、
前記制御部は、前記通電信号を補正して、前記画像データのうちの、前記特定部が特定した前記非加熱ドットの両隣の加熱ドットに対するドット単位の加熱量を、前記特定部が特定した前記非加熱ドットの両隣の加熱ドット以外の加熱ドットに対するドット単位の加熱量よりも減らすように、前記駆動回路を制御することを特徴とする印面形成装置。 - 前記特定部は、非加熱ドットのうちの、前記主走査方向における両隣のドットがいずれも加熱ドットであり、且つ、前記副走査方向における両隣のドットがいずれも加熱ドットであるドットを特定し、
前記制御部は、前記通電信号を補正して、前記画像データのうちの、前記特定部が特定した前記非加熱ドットに隣接する4つの加熱ドットに対するドット単位の加熱量を、前記特定部が特定した前記非加熱ドットに隣接する4つの加熱ドット以外の加熱ドットに対するドット単位の加熱量よりも減らすように、前記駆動回路を制御することを特徴とする請求項4に記載の印面形成装置。 - 加熱により非多孔質化可能な多孔質の印面材を着脱可能に保持する印面材ホルダを、当該印面材に熱を加えて印面を形成する印面形成部に対して、相対的に移動させつつ、当該印面材ホルダの当該印面材が保持された面に沿う方向に配列された複数の発熱体および当該複数の発熱体の発熱状態を制御する駆動回路により当該印面材に当該印面を形成する際に、当該駆動回路に印加する通電信号を補正して、非加熱ドットに隣接する加熱ドットに対するドット単位の加熱量を、非加熱ドットに隣接しない加熱ドットに対するドット単位の加熱量よりも減らすように、当該印面形成部の当該駆動回路を制御する印面形成工程、を有し、
前記通電信号の補正は、前記印面を形成する際のラインごとのドットデータと、当該ドットデータを主走査方向又は副走査方向にプラス1又はマイナス1ずらしたドットデータと、の論理積をとったドットデータに基づくものであることを特徴とする印面形成方法。 - 前記印面を形成する際のラインごとのドットデータ、その前後のいずれかのラインごとのドットデータまたはそれらの組み合わせに基づいた加熱ドットの比率である黒字率が所定値以上である場合に、前記非加熱ドットに隣接する加熱ドットに対するドット単位の加熱量の制御を実行することを特徴とする請求項6に記載の印面形成方法。
- 加熱により非多孔質化可能な多孔質の印面材を着脱可能に保持する印面材ホルダを、当該印面材に熱を加えて印面を形成する印面形成部に対して、相対的に移動させつつ、当該印面材ホルダの当該印面材が保持された面に沿う方向に配列された複数の発熱体および当該複数の発熱体の発熱状態を制御する駆動回路により当該印面材に当該印面を形成する際に、当該駆動回路に印加する通電信号を補正して、非加熱ドットに隣接する加熱ドットに対するドット単位の加熱量を、非加熱ドットに隣接しない加熱ドットに対するドット単位の加熱量よりも減らすように、当該印面形成部の当該駆動回路を制御する印面形成工程、を有し、
前記印面形成部に設けられた前記印面形成部周辺の温度を検知する温度センサの検知温度が所定温度以上である場合に、前記非加熱ドットに隣接する加熱ドットに対するドット単位の加熱量の制御を実行することを特徴とする印面形成方法。 - 加熱により非多孔質化可能な多孔質の印面材を着脱可能に保持する印面材ホルダを、当該印面材に熱を加えて印面を形成する印面形成部に対して、相対的に移動させつつ、当該印面材ホルダの当該印面材が保持された面に沿う方向に配列された複数の発熱体および当該複数の発熱体の発熱状態を制御する駆動回路により当該印面材に当該印面を形成する際に、当該駆動回路に印加する通電信号を補正して、非加熱ドットに隣接する加熱ドットに対するドット単位の加熱量を、非加熱ドットに隣接しない加熱ドットに対するドット単位の加熱量よりも減らすように、当該印面形成部の当該駆動回路を制御する印面形成工程、を有し、
前記印面形成工程は、非加熱ドットのうちの、主走査方向と副走査方向とのうちの少なくともいずれかの方向における両隣のドットがいずれも加熱ドットであるドットを特定する特定工程を有し、
前記印面形成工程では、前記印面材に前記印面を形成する際に、前記通電信号を補正して、前記特定工程で特定した前記非加熱ドットの両隣の加熱ドットに対するドット単位の加熱量を、前記特定工程で特定した前記非加熱ドットの両隣の加熱ドット以外の加熱ドットに対するドット単位の加熱量よりも減らすように、前記駆動回路を制御することを特徴とする印面形成方法。 - 前記特定工程では、非加熱ドットのうちの、前記主走査方向における両隣のドットがいずれも加熱ドットであり、且つ、前記副走査方向における両隣のドットがいずれも加熱ドットであるドットを特定し、
前記印面形成工程では、前記印面材に前記印面を形成する際に、前記通電信号を補正して、前記特定工程で特定した前記非加熱ドットに隣接する4つの加熱ドットに対するドット単位の加熱量を、前記特定工程で特定した前記非加熱ドットに隣接する4つの加熱ドット以外の加熱ドットに対するドット単位の加熱量よりも減らすように、前記駆動回路を制御することを特徴とする請求項9に記載の印面形成方法。
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