JP6098558B2 - 多色スタンプ作製装置、多色スタンプ材、多色スタンプ作製方法及び多色スタンプ材の作製方法 - Google Patents

多色スタンプ作製装置、多色スタンプ材、多色スタンプ作製方法及び多色スタンプ材の作製方法 Download PDF

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本発明は、平面状の印面を作製して多色スタンプを作成する多色スタンプ作製装置、平面状の印面を作製して、多色スタンプとして用いる際にインクを含浸させるために用いる多色スタンプ及び多色スタンプ、多色スタンプの作製方法に関する。
特許文献1には、多孔質スポンジ等の熱可塑性多孔質材料から形成される印材にスタンプの印判を形成するための製版用データを作製するスタンプ製版用データ作成装置が開示されている。すなわち、外部から送信された製版用画像データを用いてスタンプを作製するスタンプ作製装置とその製版用画像データの作製方法について述べられている。
特開2009−21842号公報
特許文献1に記載の技術では、カラー画像は、グレースケール画像(例えば、白黒の256階調)に変換してスタンプを作製するものであった。
本発明は、多色スタンプ(例えば、青、赤、黒の三色)を実現する際に、各色のインクを1つの印面に含浸させるために用いるマスクシートを提供することを目的とする。
本発明の多色スタンプ作製装置は、加熱により非多孔質化可能な多孔質の印面材と複数のマスクシート材とを上面が同一面になるように着脱可能に保持する媒体ホルダの前記印面材と前記複数のマスクシート材が保持された面に沿う方向に配列された複数の発熱体が設けられ、前記印面材と前記複数のマスクシート材に製版を行う製版部と、前記印面材にはスタンプ製版用データに基づいて製版がなされ、前記複数のマスクシート材には複数のインク色毎に対応した各インク色用のマスク製版用データに基づいて製版がなされるよう制御する制御部とを有する。
本発明によれば、多色スタンプ(例えば、青、赤、黒の三色)を実現する際に、各色のインクを1つの印面に含浸させるために用いるマスクシートを提供することができる。
図1(a)は、印面とマスクシートとを重ね合わせた状態を横から見た断面図である。図1(b)は、印面と赤インク用マスクシートとを重ね合わせて赤インクを含浸させる様子を示す図である。 図2(a)は、印面材とマスクシート材とを載せた媒体ホルダを示す断面図である。図2(b)は、印面材とマスクシート材とを載せた媒体ホルダを示す平面図である。 図3(a)は製版用サーマルプリンタの平面図、図3(b)はその側断面図である。 図4は、印面作製のための製版用データを作成するフローチャートである。 図5は、マスク製版用データおよび印面製版用データを作成するフローチャートである。 図6(a)は、印面データとしてユーザが編集した画像を示している。図6(b)は、各色のピクセルを抽出する処理を施す様子を示す図である。図6(c)は、製版用データに余白領域を付加する処理を施す様子を示す図である。図6(d)は、製版用データについて、左右反転又は180度回転の処理を施す様子を示す図である。 図7は印面画像データを示す図である。 図8(a)は、印面作成のための製版用データとマスク製版用データとを並べる並べ方の一例を示す図である。図8(b)は、印面作成のための製版用データとマスク製版用データとを並べる並べ方の変形例を示す図である。
《発明の概要》
熱収縮性を有する多孔質スポンジ(例えば、多孔質EVA)をサーマルヘッドで加熱し、スタンプ作製装置(スタンププリンタ)で平面状の印面を作製することを前提とする。
印面として完成した多孔質スポンジにインクを含浸させる際、スポンジの異なる位置に異なる色のインクを含浸させることで、2色以上の色を用いたスタンプを作製することができる。
2色以上(例えば、青、赤、黒の三色)のインクをスポンジに含浸させる方法として、手でインクの瓶を持って、インクを直接スポンジに滴下して含浸させる方法がある。この場合、複数色のインクが混ざることのないように、スポンジにインクを含浸させることが難しい。特に細かく色が変化しているような印影のスタンプを作成するには繊細な手作業が必要になる。そこで、本発明では、インク含浸の際にインクが混ざることのないように、マスクシートを設ける。そして、このマスクシートは、印面と同様に多孔質スポンジで作製するものとし、印面の作製と同時に一度の通紙(プリンタに印字媒体を通すこと)で印面とマスクシートとを一度に製作することを提案する。
《概念の定義》
本発明において用いる概念を定義する。
印面データは、スタンプの印影となるように編集されたカラー画像データのことである。
製版用データは、スタンプを作製するサーマルヘッドのビットのオンオフに対応する2値画像データである。
主走査方向は、サーマルヘッドのライン(発熱体が並ぶ向き)に対して水平な方向(印字媒体の幅方向)である。
副走査方向は、サーマルヘッドのライン(発熱体が並ぶ向き)に対して垂直な方向(印字媒体の搬送方向)である。
製版用サーマルプリンタは、サーマルヘッドにより印面材に熱を加えることにより印面を製版することに用いるプリンタである。したがって、プリンタではあるが、インクを用いるものではない。そして、本発明にあっては、製版用サーマルプリンタを用いて、マスクシートの製作をも同時に行う。
媒体ホルダは、印字媒体を保持するものである。印面材とマークシート材とを同時に保持して、製版用サーマルプリンタに一度に通紙可能な媒体ホルダを本発明にあっては提供するものである。ここで、通紙とは、プリンタに印字媒体を通して(搬送させて)サーマルヘッドを通過させることをいう。
プリント(印字)は、製版用サーマルプリンタによって、印字媒体上に加熱処理を行い、インクが浸透しない部分とインクが浸透する部分とを製作することをいう。
《スタンプおよびマスク用シートの作成手順》
1 作成したいスタンプの印面データ(カラー、使用できる色はインクの色に限定される)をPC、スマートフォン等で編集・作成する。
2 印面データから、スタンプ製版用データとマスク製版用データをコンピュータプログラム(PCなどのアプリケーションプログラム、PCなどに組み込むデバイスドライバ、またはプリンタ側のファームウェア)を用いて自動で作成する。
3 スタンプ製版用データおよびマスク製版用データに基づいて、スタンプ作製装置(サーマルプリンタ)で製版し、スタンプ用シート(印面)と各インクの色用のマスクシートを作製する。
4 各マスクシートを印面に重ね合わせて密着させ、各色のインクを含浸させる。
以下、図面を参照しつつ実施形態について説明する。
《印面とマスクシートとを重ね合わせた様子》
図1(a)は、印面40の上に赤インク用マスクシート51を重ね合わせて密着させた状態を横から見た断面図である。図1(a)に示すように、サーマルプリンタのサーマルヘッドにより加熱されることによって、潰れてインクが通過できない部分と、潰れずにインクが浸透する部分とが作製される。印面40全体を見ると、赤インク以外のインクを浸透させるべき部分をも含むので、より広い範囲がインクの浸透する部分となっているが、赤インク用マスクシート51を印面40の上に重ね合わせて密着すると、印面40の表面のうち、赤インク以外のインクが浸透すべき部分、本実施形態のように赤、黒、青の3色を使うものとすると、黒インクが浸透すべき部分と青インクが浸透すべき部分は、赤インク用マスクシート51によりマスクされて、上からインクを垂らしても浸透しない。
《赤インクを浸透させる様子》
図1(b)は、印面40と赤インク用マスクシート51とを重ね合わせて赤インク61を含浸させる様子を示す図である。図1(b)に示すように、印面40のうち、青イング、黒インクが浸透すべき部分は、赤インク用マスクシート51によってマスクされているので赤インクが浸透せず、赤インク61が浸透すべき部分にだけ、赤インク61が浸透する。
《媒体ホルダ16と印面材18、マークシート材31、32、33》
図2(a)は、印面材18とマスクシート材31、32、33とを載せた媒体ホルダ16を示す断面図である。図2(b)は、印面材18とマスクシート材31、32、33とを載せた媒体ホルダ16を示す平面図である。
印面40を製版するための印字媒体が印面材18である。赤インク用マスクシート51を製版するための印字媒体が赤インク用マスクシート材31である。黒インク用マスクシート52を製版するための印字媒体が黒インク用マスクシート材32である。青インク用マスクシート53を製版するための印字媒体が青インク用マスクシート材33である。
媒体ホルダ16は、印面材18と、赤インク用マスクシート材31と、黒インク用マスクシート材32と、青インク用マスクシート材33とを一体的に保持し、一度の搬送により製版用サーマルプリンタを通過させて印面形成と、マスクシートの形成とを行うための部材である。媒体ホルダ16の働きにより、印面40とマスクシート51、52、53がずれを起こすことなく位置決めされ、タイミングが調整されて通紙できる。
《厚さの違いと高さ合わせ》
マスクシート材31、32、33は印面材18に比べて厚さが薄いスポンジ(多孔質EVA)を用いる。図2(a)、図2(b)に示すように、印面材18とマスクシート材31、32、33の媒体ホルダ16上での高さを合わせるために、マスクシート材31、32、33の下に高さ合わせ用の紙(上部厚板紙21a)を貼り付ける。高さ合わせ用の紙の代わりにスポンジ等を使用してもよい。図2(a)に示すように、上部厚板紙21aと下部厚板紙21bとを貼り合わせることで、媒体ホルダ16を構成することができる。
《各印字媒体の外側の領域》
印面材18、マスクシート材31、32、33のそれぞれの印字媒体は、図2(b)に示すように、上から見て長方形をしているが、それらの周囲に当たる部分、すなわち各印字媒体の最も外側の領域は、無条件に加熱する部分(余白領域)とする。この領域の大きさは製版時に生じ得るずれに応じて決定する。実際の印面およびマスクシートはその内側の部分を加熱することで作成する。こうすることで、製版時にこの領域の長さまでならば、ずれても実際の印面およびマスクシートが印字媒体の面からはみ出さないようにすることができる。
この一番外側の領域に両面テープを貼りつけて、スタンプ用スポンジとマスク用スポンジを貼り合わせることで、製版後、インク含浸時にスポンジがずれるのを防ぐことができる。両面テープの代わりに糊などを使用してもよい。
《フイルム》
図2(a)、(b)には、描くのを省略したが、印面材18およびマスクシート材31、32、33の表面、すなわちサーマルプリンタのサーマルヘッドに接して加熱される側は、摩擦などの調整のため、フイルムで保護される。このフイルムの素材、機能、作用、効果については、後述する。
《ミシン目》
媒体ホルダ16には、必要な箇所にミシン目が設けられる。製版後の印面40及びマスクシート51、52、53を取り出すのを助けるためである。このミシン目についても後述する。
《切欠部22》
媒体ホルダ16の先端16aに近い一側端には、切欠部22が設けられている。この切欠部22の設けられる位置や長さが、当該媒体ホルダ16に収められた印面材18のサイズ情報、搬送のタイミングなどの情報をプリンタ装置側に知らせることができる。プリンタ側には、切欠部22の情報を読み取るためのセンサ3が設けられている。センサ3については、後述する。
《印面40およびマスクシート51、52、53を製作可能な製版用サーマルプリンタのシステム構成の具体例》
以下、印面40およびマスクシート51、52、53を製作可能な製版用サーマルプリンタ1(以下、単にプリンタ1という)のシステム構成について図3を参照しつつ、説明する。図3(a)は製版用サーマルプリンタ1の平面図、図3(b)はその側断面図である。
プリンタ1は、中央制御回路(不図示)を備え、中央制御回路には、センサ3、サーマルヘッド4、電源回路(不図示)、モータードライバ(不図示)、表示画面制御回路(不図示)、メモリ制御回路(不図示)、USB制御回路(不図示)を有している。
また、モータードライバにはステッピングモータ(不図示)が接続され、USB制御回路には、PC(パーソナルコンピュータ)(不図示)が接続される。PC又はスマートフォンなどが、USB制御回路の代わりに無線通信手段により接続されてもよい。
なお、センサ3は、例えば、反射型光学センサで構成される。
中央制御回路は、システム全体の制御を行う。各回路のほとんどは中央制御回路と接続されるが、バスを通じて各回路同士がデータ通信を行うことも可能である。中央制御回路は、CPU(central processing unit)を含む回路であり、当該CPUが必要に応じてコンピュータプログラムを読み込んで実行することにより、例えば、搬送量検出手段、寸法設定手段、寸法判定手段、位置検出手段、などを実現する。
メモリ制御回路は、ROM(read only memory)やRAM(Random Access Memory)等のデバイスを含み、それらの制御を行う。各種の対応表(対応テーブル)、例えば印面材の寸法とサーマルヘッドへ加える電圧の大きさなどの対応表は、ROM等に格納されており、必要に応じてRAMに書き込まれて参照され、利用される。
電源回路は、電源IC(integrated circuit)等からなり、各回路に必要な電源を作り出して供給している。
サーマルヘッド4は、中央制御回路から出力されたデータと印刷信号を受け取り、ヘッド内部のドライバICにて通電ドットの制御を行い、ヘッドに接している多孔質エチレン酢酸ビニル・コポリマー(EVA)などの印面材に対して印刷(製版又は印字、以下同様)を行う。
本システムの構成例では、中央制御回路から他の回路が受け取るのはデータと信号のみであり、印刷に必要な電力は電源回路から得ている。因みに、本例の装置では、サーマルヘッド4は、200ドット/25.4mmの解像度で48mmの有効印字幅を有している。
モータードライバは、ステッピングモータを駆動する駆動回路であり、中央制御回路から出力される信号を受け取り、駆動用のパルス信号及び電力をステッピングモータに供給する。なお、中央制御回路から受け取るのは励磁信号のみで、実際の駆動電力は電源回路から得る。
中央制御回路は、モータードライバに出力した信号のパルス数を数えることによりステッピングモータをどれだけ回転させたか、つまり媒体ホルダを何mm搬送したかを正確に把握することが出来る。
なお、本例におけるプリンタ1は、1−2相励磁駆動を採用しており、ギア比は1ライン(0.125mm)当たり16ステップとなるように構成されている。すなわち、1ステップで、0.0078mmの搬送を行う。
《媒体ホルダ16を挿入する》
プリンタ1の印字媒体挿入口(製版挿入部)15に媒体ホルダ16が挿入され、その先端16aは、やがて排出口17から外部に出る。媒体ホルダ16には印面材18及びマスクシート材31、32、33が保持されている。
図3(a),(b)は、プリンタ1の印字媒体挿入口15に媒体ホルダ16が挿入された直後の状態を示している。媒体ホルダ16の先端16aは、センサ3の配設位置近傍まで挿入されている。その搬送路の前方にはサーマルヘッド4と、プラテンローラ19が配設されている。
印面材18及びマスクシート材31、32,33を保持する媒体ホルダ16は、印面材18及びマスクシート材31、32,33を位置固定して保持している。なお、プリンタ1における媒体ホルダ16の搬送方向は、図3(a)の上から下、図3(b)の右から左へである。
この媒体ホルダ16は、コートボールから成る2枚の厚板紙(上部厚板紙21a、下部厚板紙21b)を貼り合わせて構成されている。この媒体ホルダ16の一方(図3(a)では左方)の側部のセンサ3が検出する位置に合わせて切欠部22が形成されている。
プリンタ1は、この切欠部22を、一点鎖線で示す検知走査線23に沿って、センサ3を用いて検出することにより、印面材18及びマスクシート材31、32、33の縦横の寸法と、印字(製版、以下同様)開始位置を識別する。
上部厚板紙21aには、印面材18を位置固定するための位置決め孔が設けられている。この位置決め孔に、印面材18が下部を嵌め込まれて位置固定されている。
また、上部厚板紙21aの上部には、マスクシート材31、32、33がたとえば、両面粘着テープにより貼り付けられる。マスクシート材31、32、33は、印面材18よりも厚さが薄いものであるので、位置決め孔を設ける必要がない。マスクシート材と印面材との厚さの違いを、上部厚板紙21aの厚さにより調整することにより、2種類の印字媒体の高さを調整している。
ここで、印面材18の上面は、上部厚板紙21aの上面よりも若干突出するように構成されている。本例において、印面材18の厚さは1.5mmであるが、これに対する上部厚板紙の厚さは、0.79mmとして設計されている。
これは、サーマルヘッド4が、印面材18のEVAを若干潰しながら熱処理(印字、製版)することで、安定した製版制御を可能とするためである。
マスクシート材の厚さは、0.7mmとしている。
下部厚板紙21bは、上部厚板紙21aと外形が同一に形成され、内部全面が平面に形成されている。下部厚板紙21bと上部厚板紙21aとは貼り合せにより一体化され、下部厚板紙21bは、印面材18の下面に接して印面材18を下から保持している。
この下部厚板紙21bには、位置決め孔に沿って、ミシン目が入れられている。ミシン目の上部は、左右が下部厚板紙21bの両側端部まで延びるミシン目を形成している。
《印面材18及びマスクシート材31、32、33》
この媒体ホルダ16に保持される印面材18及びマスクシート材は、インクが含浸可能な多孔質のスポンジ体で構成されている。このスポンジ体の素材としては、例えばエチレン酢酸ビニル・コポリマーが用いられている。
そして、上部厚板紙21aの表面と、上部厚板紙21aの位置決め孔から外部に露出する印面材18及びマスクシート材31、32、33の表面と側面は、フイルム(図2では描くのを省略している)により被覆されている。
フイルムは、PET(Polyethylene Terephthalate)またはポリイミド等を基材として作られており、耐熱性・熱伝導性・表面平滑性を有するものを用いる。耐熱性に関しては、印面材18及びマスクシート材31、32、33の溶融点よりも高い温度に耐熱性を有するものを用いる。
上部厚板紙21aと下部厚板紙21bとは、両面接着シートにより接着されている。
また、フイルムは、媒体ホルダ16の周囲部の表面、つまり印面材18及びマスクシート材31、32、33を嵌め込まれている上部厚板紙21a、位置決め孔の周囲部表面に両面接着シートにより接着されて、媒体ホルダ16の周囲部の表面を被覆している。
フイルムは、さらに、位置決め孔から上部に露出している印面材18及びマスクシート材31、32、33の側面と表面も被覆しているが、接着はされていない。したがって、印面材18の製版が完了した後、下部厚板紙21bを、ミシン目に沿って裏側に折り曲げ、ミシン目に囲まれた部分を上部厚板紙から引き離すと、印面材18及びマスクシート材31、32、33を容易に媒体ホルダ16から取り出すことができる。
《印面製版の原理》
ここで、印面材18及びマスクシート材31、32、33を構成する多孔質EVAの表面をサーマルヘッドで加熱することで、スタンプの印面及びマスクシートを製版する原理を簡単に説明する。まず、多孔質EVA(以下、多孔質EVAを、単にEVAと書く)は無数の気泡を有しているため、インク等の液体をスポンジの様に内部に含浸させることが出来る。
また、EVAは熱可塑性の物性を有するので、例えば70度〜120度の熱で加熱すると、熱を加えた箇所は軟化し、一度軟化した箇所は冷えると硬化する。そして、硬化した箇所は気泡部分が埋まり非多孔質化され、その部分はインク等の液体を通さなくなる。
そこで、この特性を利用して、サーマルヘッドでEVAの表面の任意の箇所を約1ミリ秒から5ミリ秒程度加熱すると、EVAの表面の任意の箇所を非多孔質化させ、その部分のインクの通過を禁止することが出来る。
つまり、作成するスタンプの印影において、「インクを透過させる部分は加熱せず、透過させない部分は加熱する」ということで、印影に応じたインク透過部分を形成することができる。
このサーマルヘッドによる加熱処理の動作を、従来のサーマルプリンタの印字処理の動作に置き換えると、印影を表す印字データの白と黒が反転している。また、印面に対する印影であるので、印字データは、ユーザが作製した印影データの鏡面データである。
この原理を用いて、EVAの表面を所望の印影に従って白黒反転させて選択的に加熱することにより、加熱部分のインク通過を禁止して、印面を製版した後、内部に含浸させたインクを非加熱部分で形成された印影に応じて押し出すことができる。
各マスクシートについても、同様の原理で製版することができる。
具体的には、ユーザが作成・編集した印影データに対し、「白黒反転」と「鏡像反転」の処理をし、さらに余分なインクが染みだすことを防ぐべく加熱マージン用の黒ベタデータを周囲に付加したデータが、最終的にサーマルヘッドに入力する印字データとなる。
この印字データを用いてサーマルヘッドでEVA表面を加熱することにより、ユーザ独自の印影を有する製版を印面材に簡単に行うことが出来る。印面材を製版して出来上がった印面版を媒体ホルダ16から取り出すには、前述したように、下部厚板紙をミシン目に沿って上部厚板紙から引き離すだけでよい。
《媒体ホルダを用い、フイルムにより被覆する》
ところで、EVAは1.5mmの厚さを持つ部材であり、高い弾性と摩擦係数を有する。このため、EVAをそのままサーマルプリンタに挿入して搬送を行おうとしても、サーマルヘッドとEVAとの摩擦力が大きく、安定した直進性の搬送を行うことが出来ない。
つまり、EVAは摩擦力が大きいことと、ゴムのように柔らかいため、たとえサーマルプリンタ側に直進安定性を得るためのガイドが取り付けられていても、搬送中に少しでも曲がりができると、EVA自体が屈曲してしまい、結果的にすぐに斜行が発生する。
上記のEVAの搬送上の困難は、サーマルヘッドが発熱していない非加熱の状態の場合でも起きる現象であるが、サーマルヘッドが発熱した場合、サーマルヘッドは発熱開始後の数ミリ秒で約200度近くまで温度が上がるため、EVA表面を加熱した瞬間に表面が軟化し、軟化した部分にサーマルヘッドが埋まってしまい、EVAの搬送が全く出来なくなってしまうという現象が生じる。
端面ヘッドを用いる方式や、ヘッドを移動駆動するためにキャリッジを組み込む方式の場合は、上記の問題が起きないが、この方式は、機構の大型化と使用部材のコストの大幅な上昇を招くという不都合がある。
本発明においては、機構の大型化とコストの大幅上昇を招くことなく、通常のサーマルヘッドを用いた図3に示したプリンタ1により、上記のように搬送性に難のあるEVAを印面材及びマスクシート材として製版を行うために、図3に示した媒体ホルダ16を用いる。
先ず、媒体ホルダ16の位置決め孔に保持されている印面材18及びマスクシート材31、32、33の四辺は、熱裁断機によって裁断されている。これにより、製版後、内部に含浸されたインクは印面材18及びマスクシート材31、32、33の四辺から滲みでてくることはない。
また、印面材18は、上部厚板紙21aの位置決め孔で位置固定され、下部厚板紙21bにより下面から保持されると共に上面をフイルムにより被覆されているので媒体ホルダ16に保持された状態のまま、どのように外力が加えられても変型できない。
マスクシート材31、32、33もまた、上部厚板紙21aの上に両面粘着テープで固定されているので、媒体ホルダ16に保持された状態でプリンタ1に通紙しても位置ずれすることがない。
したがって、媒体ホルダ16が搬送される通りに印面材18及びマスクシート材31、32、33が搬送される。媒体ホルダ16が直進搬送されれば、印面材18及びマスクシート材31、32、33もその通りに直進搬送される。また、フイルムは、印面材18、つまりEVAの溶融点よりも高い温度に耐熱性を有している。
したがって、サーマルヘッド4の発熱で印面材18及びマスクシート材31、32、33の表面が溶融してもフイルムは溶融しない。つまりフイルムとしての被覆性を失うことはない。また、フイルムは、サーマルヘッド4との摩擦力は極めて低い。
このため、サーマルヘッド4は、フイルムの被覆性により、溶融して軟化した印面材18及びマスクシート材31、32、33の中に埋没することなく、また、フイルムとの間の低摩擦性により、フイルムの面に沿って容易に発熱印字(製版)を続けていくことができる。このようにして印面材18及びマスクシート材31、32,33への製版が完了する。
《印面材18をスタンプ台座に取り付けること》
製版が完了して媒体ホルダ16から取り出された印面材18は、図1、図2に示す印面40となる。印面40は、例えば合成樹脂からなる平板状の印面支持部(不図示)に両面接着シート又は両面粘着シートにより接着又は粘着して固定される。そして、キャップ(不図示)によりカバーして保護される。印面40と印面支持部とは一体となった状態で、スタンプ台座(不図示)に着脱可能に取り付けられる。スタンプ台座は、押印する際にユーザが握る部分を備えた部材である。
《インクの含浸》
印面40に一定時間必要量のインクを浸み込ませておけば、インクが印面40の内部に含浸する。ユーザは、印面40の表面の余剰のインク汚れをふき取った後、スタンプ台座30を手で持って、押印対象物に押し付けると、印面40から含浸インクが押し出されて印影が押印される。
なお、インクの含浸は、スタンプ台座に取り付けた状態で行うことも可能であるが、印面40の表面に存在するインクが重力により下方に浸み込むことを考慮すると、取り外した状態で行うことがより望ましい。例えば、その日の業務に用いる印面40を選んで印面40と印面支持部が一体となった状態のものを机の上に並べてそれぞれにインクを含浸させて、所定時間経過後にスタンプ台座に取り付けて、業務に用いる。
このインクの含浸作業において、多色インク(例えば、赤、黒、青の三色)を用いる場合に、図1で示したように、各色のマスクシートを重ね合わせて密着させて含浸作業を行う。この含浸作業をした後、前述のキャップをして密着状態を保持することにより、数日間から数週間程度、インクの含浸状態を保つことが可能である。
《印面材18及びマスクシート材31、32、33の形状・寸法の多様性について》
図2、図3(a)に示した印面材18及びマスクシート材31、32、33は長方形で、媒体ホルダ16は長方形をしている。しかし、それぞれの形状・寸法は図2、図3(a)のものに限らない。プリンタ1に挿入可能な幅以内であれば、媒体ホルダ16の形状・寸法は任意であり、その媒体ホルダ16に保持できる寸法内であれば印面材18及びマスクシート材31、32、33の形状・寸法は任意である。
《切欠部22とその検出方法について》
このように任意な寸法・形状の印面材18及びマスクシート材31、32、33の大きさと印字開始位置を、プリンタ1の制御部が検出するための媒体ホルダ16の構成が切欠部22である。すなわち、媒体ホルダ16は、切欠部22によって、媒体ホルダ16の挿入方向先端から切欠部22の始端までの長さ(α)、切欠部22の始端から終端までの長さ(β)、切欠部22の終端から印面材18の先端までの長さ(γ)の3通りの値を示す。
印面材18の長さaは、αとの対応表により対応付けることができる。また、印面材18の長さbは、βとの対応表により対応付けることができる。そして、センサ3からサーマルヘッド4までの長さは、対応表によりγに対応させることができ、それにより印字開始タイミングを示すことができる。
プリンタ1は、センサ3を用い、一点鎖線で示す検知走査線23に沿って、媒体ホルダ16の先端部と、切欠部22の始端と終端を検知し、α、βの長さを、ステッピングモータ12のステップ数で計測し、それに基づいて印面材18の縦横の寸法を対応テーブルを参照することにより取得し、またγを取得することにより、対応テーブル参照により印字開始タイミングを取得する。
《プリンタ1の動作について》
以下、プリンタ1の作用を説明する。
プリンタ1に電源が投入され、外部機器であるPC(またはスマートフォン)から印影データが送信されることによってプリンタ1の動作が開始する。
先ず、制御部は、モータドライバを介して、ステッピングモータにパルス信号を供給して回転駆動し、印字媒体挿入口15から媒体ホルダ16が挿入されることを待機する。そして、センサ3による媒体ホルダ16の先端が検出されたか否かを判別し、検出されるまで待機する。
センサ3によって媒体ホルダ16の先端が検出されたならば、ステッピングモータに供給するパルス信号のステップ数の測定を開始する。続いて、制御部は、ステッピングモータを1ステップ分回転させて、その1ステップの回転分だけ媒体ホルダ16を搬送する。
次に、制御部は、切欠部22の切り欠き開始端がセンサ3の位置に到達したか否か判別し、切欠部22の切り欠き開始端(切欠開始部)がセンサ3の位置に到達したことをセンサ3が検出すれば、制御部は、媒体ホルダ16の先端から切欠部22の切り欠き開始端までの搬送距離を、ステッピングモータ12の測定したステップ数に基づいて演算により算出する。この算出結果は、第1搬送距離αとして、メモリ制御回路を介して所定のメモリ装置の記憶領域に格納される。
続いて、制御部は、ステッピングモータのステップ数の測定を0ステップから再開し、ステッピングモータ12を1ステップ回転させて、その1ステップの回転分だけ媒体ホルダ16を搬送する。
次に、制御部は、切欠部22の切り欠き終端がセンサ3の位置に到達したか否か判別し、切欠部22の切り欠き終端がセンサ3の位置に到達したことをセンサ3が検出すれば、制御部は、切欠部22の始端から終端までの搬送距離(切欠部22の長さ)をステッピングモータ12の測定したステップ数に基づいて演算により算出する。この算出結果は、第2搬送距離βとして、メモリ制御回路を介して所定のメモリ装置の記憶領域に格納される。
ここで制御部は、上記メモリ装置に格納した第1搬送距離αを読み出す。そして、予め設定されているαと長さaの対応表に基づいて、印面材18の長さを決定する。
更に、制御部は、上記メモリ装置に格納した第2搬送距離βを読み出す。そして、予め設定されているβと幅bの対応表に基づいて、印面材18の幅を決定する。
そして、制御部は、上記決定した印面材18の長さaと幅bそれぞれから加熱マージン領域を取り除いた長さと幅が、PCから送信された印影データの長さと幅に一致するか否か判別し、一致していれば、印刷を開始する。そして、印刷が完了すれば製版処理を終了する。
上記の印刷処理では、上記第1搬送距離αに第2搬送距離βを足し、定数γを差し引いた距離を、媒体ホルダ16の先端から製版実行位置までの距離として、その製版実行位置から製版を開始する。この製版では、PC14から送信された印影データの前後左右に所定の加熱マージン領域が付加された印刷データが用いられる。
また、判別し決定した印面材18の長さと幅それぞれから加熱マージン領域を取り除いた長さと幅が、PCから送信された印影データの長さと幅に一致していないときは、印刷処理を開始せずに中止して、不一致エラーをUSB制御回路を経由してPCに報知するなどし、直ちに製版処理を終了する。
このように、媒体ホルダ16の切欠部は保持する印面材18の寸法、形状ごとに、固有の情報を持っており、プリンタ1は、その切欠部22が持つ情報から印面材18の寸法、形状を割り出して印字(製版)することが可能であるので、印面40は、正方形のもの、長方形のもの、正三角形のもの、丸いものなど、さまざまな形状、寸法のものが可能である。
《印刷データを自動作成してプリンタに送る方法》
以上、プリンタ1の動作について、おおまかに説明した。次に、多色スタンプを作成する場合、ここでは、赤、黒、青の3つのインクを用いる場合について、マスクシートの製版をも含めた印刷データ(製版データ)の作成手順を説明する。
印面データは、写真などのカラー画像、イラスト、テキスト等で構成された画像とする。
印面データには、スタンプ用のインクの色に対応する色しか用いることができない。インクの色に対応しない色が用いられている画像等を用いて印面データを作成する際には、あらかじめ使用されている色がインクの色に対応する色だけになっているように編集しておく。例えば、図7(図6(a))に示す印面データは黒、赤、青、白(紙の色、すなわちどのインクも用いない)の4色を用いて作成した印面データである。それぞれ、黒が黒いインク、赤が赤いインク、青が青いインク、白はインクが出ない部分に対応する。
製版データの作成および送信は図4に示す流れで行う。図4に示す処理は、あらかじめ編集された印面データを用いて、2値化された製版用データを抽出するものである。
ユーザが印面データを編集する際には、撮影した写真のデータや、イラストデータ、入力したテキストデータを組み合わせて、画像を編集し、多色スタンプに用いようとするインクの色を決めて、どの色をどの部分に用いるかを設定する(ステップ410)。例えば、ユーザがエリアを選択して、当該エリアに用いる色を決められた数色(ここでは、赤、黒、赤、白)の中から決定するという手順を踏んで、この画像編集がなされる。
そのようにしてできた印面データに対して、製版用データ(スタンプ製版用データとマスクシート製版用データ)を抽出する(ステップ420)。この処理については、図5と図6とを参照して後述する。
次に、製版用データに対して余白領域の部分のデータを付加する(ステップ430)。この余白領域の付加は、起こりえる製版ずれなどを吸収するために印面材18及びマスクシート材31、32、33の四辺の周囲に当たる部分をベタ印刷(インクが通過できない部分)とするための処理である。
そして、製版データの並べ方(図8参照)に応じて、製版用データを左右反転、180度回転させる(ステップ440)。印面40とマスクシート51、52、53との重ね合わせの向きについては、図8に示すように、複数のやり方があり得るので、それに対応するために、向きの調整をする処理である。
その後、出来上がった製版用データをサーマルプリンタ1のプリント部に引き渡す(ステップ450)。
《製版データの作成処理をどこで行うか》
ステップ410からステップ450までの処理を、外部機器としてのパソコン(PC)又はスマートフォン側のアプリケーションプログラムで行うことができる。
また、ステップ410の画像編集作業をPC又はスマートフォンのアプリケーションプログラムで行い、ステップ420からステップ440をデバイスドライバで行うこともできる。ここで、デバイスドライバは、PC又はスマートフォンにプリンタを接続するために、そのPCのOS(基本ソフトウェア)との仲立ちをするために組み込まれるプログラムである。
さらにまた、ステップ420からステップ440までの処理の全部又は一部をプリンタのファームウェアで行うこととしてもよい。ここで、プリンタのファームウェアは、プリンタの中央制御回路を構成するCPUが実行するプログラムである。
図5は、図4に示す製版用データ抽出処理をさらに詳しく説明するフローチャートである。
《マスク製版用データの作成》
印面データから色ごとに同じ色のピクセルを抽出する(ステップ510)。抽出した画像データは、インクが出る部分(印面データ内の色が付いている部分、例えば、黒インクのマスク用製版データなら黒い部分)のみが黒で、他の部分は白となっている2値画像データであり、これを各色のマスク用製版データとする。スタンププリンタでの製版の際には、マスク用製版データの白い部分に対応するスポンジの面をサーマルヘッドによって加熱する。
《スタンプ製版用データの作成》
印面データの色の付いているピクセルを抽出する(ステップ520)。抽出した画像データは、インクが出ない部分(印面データ内の白い部分)のみが白で、他の部分は黒となっている2値画像データであり、これをスタンプ用製版データ(印面材18を製版して印面40とするためのデータ)とする。製版用サーマルプリンタ1での製版の際には、スタンプ用製版データの白い部分に対応するスポンジの面をサーマルヘッド4によって加熱する。
《データ処理の図示》
以上、述べたデータ処理について図6を参照しつつ説明する。
図6(a)は、ステップ410でユーザが編集した画像を示している。図6(a)のより詳しい画像が図7に示されている。この画像は、それぞれの領域ごとに、赤(太陽の部分)、黒(空の部分)、青(山の部分)、白(雪の部分)のいずれかの色を持つものとなっている。
図6(b)は、各色のピクセルを抽出する処理を施す様子を示す図である。ユーザが編集した画像から青色のピクセルのみを抽出して、青色インク用のマスクシートを製版するためのデータを作成する。同様に、赤色、黒色についてもマスクシートを製版するデータを作成する。そして、いずれかの色がついているピクセルを抽出することにより、印面製版用のデータを作成する。
図6(c)は、製版用データに余白領域を付加する処理を施す様子を示す図である。抽出した製版用データに対して、余白領域の部分のデータを付加する。これにより起こり得る印面のずれを救済するものである。
図6(d)は、製版用データについて、左右反転又は180度回転の処理を施す様子を示す図である。
印面製版用データとマスク用製版データをサーマルプリンタ1へ送信する順番は、媒体ホルダ16内のスポンジ(印面材18、マスクシート材31、32、33)の並べ方に合わせる。
サーマルヘッドに送るビットのオンオフのデータはこの印面製版用データとマスク用製版データに余白領域部分のデータを加えたものとなっている。
余白領域部分を加える処理と反転・回転処理の順番は入れ替えてもよい。また前述したように、これらの処理は製版用サーマルプリンタ1で行ってもよい。
《スポンジと2値画像データの並べ方》
例として、図7に示す印面データ(冠雪した富士山の山頂付近に太陽がかかった絵)を製版する場合について述べる。この場合、スタンプ用スポンジである印面材1枚とマスク用スポンジであるマスクシート材3枚が必要である。また、使用するインクの色が増減することによりマスクシート材の枚数が増減した場合も同様の方法で並べることができる。
《サーマルヘッドの幅と印面サイズとの関係》
サーマルヘッドの幅に対して、印面サイズが半分以下のときはスポンジを2列以上に並べることができる。この場合は、副走査方向に一列にスポンジを並べる場合よりも製版にかかる時間を短縮できるが、各スポンジの主走査方向の高さを揃えておく必要がある。
すべてのスポンジを副走査方向に対して縦に4枚並べた場合、ヘッドの幅を最大に使うことができる。このときの作成できる印面の幅が、印面サイズの最大値となる。
スタンプ製版用データとマスク製版用データの向きに関して、次に述べる2通りの組み合わせを考えた。この組み合わせは主走査方向に2列以上のスポンジを並べる場合にも応用可能である。
《データの並べ方1》
図8(a)に示すように、スタンプ製版用データとマスク製版用データの向きは、印面データの向きを左右反転した向きとする。この場合、製版時の走査方向と副走査方向のずれがスタンプ用スポンジとマスク用スポンジとで同じ方向になる。したがって、製版時の主走査方向及び副走査方向のずれがともに外側の余白領域の幅以下であるとき、スタンプ用スポンジにマスク用スポンジの四辺が重なるように貼り合わせれば、それぞれのスポンジの印面をぴったりと重ねることができる。インクを含浸させる際には、スタンプ用スポンジの加熱面とマスク用スポンジの非加熱面を合わせるようにする。マスク用スポンジの加熱されていない面を合わせて含浸させるので、マスク用スポンジの非加熱面の方までスポンジが潰れている必要がある。そのためマスク用スポンジへの十分な加熱処理が必要となる。
《データの並べ方2》
図8(b)に示すように、スタンプ製版用データの向きは、印面データの向きを左右反転した向きとする。マスク製版用データの向きは、印面データの向きを180度回転した向きとする。この場合、製版時の主走査方向のずれがスタンプ用スポンジとマスク用スポンジとで同じ方向になる。したがって、副走査方向のずれが外側の余白領域の幅以下であるとき、スポンジの左右の辺を合わせて貼り合わせれば、主走査方向のずれを解消することができる。しかし、副走査方向のずれに関しては、上下の辺を合わせただけでは解消できないため、貼り合わせる際に手動で調整する必要がある。インクを含浸させる際には、スタンプ用スポンジの加熱面とマスク用スポンジの加熱面を合わせるようにする。加熱された面同士を合わせて含浸させるので、マスク用スポンジの非加熱面の方までスポンジがつぶれていなくてもよい。
《インクの含浸方法》
スタンプ製版用データとマスク製版用データを用いて製版した後、図1に示すように、スタンプ用スポンジ(印面40)とマスク用スポンジ(マスクシート51、52、53)を貼り合わせる。マスク用スポンジの上からインクを滴下することで、印面40の印面データの各色に対応する部分だけに目的の色のインクを含浸させることができる。
《発明の要点》
複数色のインクをスタンプ用スポンジ(印面40)に含浸させる際に、マスク用の多孔質スポンジシート(マスクシート51、52、53)を用いることでインクの含浸を容易に行うことができる。マスク用スポンジとして、通常スタンプに用いるスポンジよりも厚さが薄い多孔質スポンジを用いる。印面データの色が付いている所以外に熱をかけて、各色用のマスク用スポンジを作成する。このマスク用スポンジは熱をかけなかった部分だけインクを浸透させる。スタンプシートの上にマスク用スポンジを重ねて、その上からインクを含浸させることで、印面データ上で色がついていた部分にだけ、それぞれのインクをスタンプシートに含浸させることができる。
《発明の効果》
スタンプシート(印面40)に直接インクをたらして含浸させる場合と比べて、より簡単かつ正確に複数色のインクを含浸させることができる。
直接インクを滴下して含浸させる場合では、色の変化が細かくて作成するのが困難だった印面の作成も可能となり、作成できる印面の自由度が上がる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明は特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。例えば、印面40を製版するための装置、方法は、上述のサーマルヘッドを用いたものに限らず、シート状の印面を製版できるものであれば、他の装置、方法を用いても構わない。また、印面材18及びマスクシート材31、32、33の材質はEVAに限らず、シート状の印面を形成できるものであれば他の材質であっても適用可能である。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
加熱により非多孔質化可能な多孔質の印面材とマスクシート材とを高さが同じに着脱可能に保持する媒体ホルダの前記印面材と前記マスクシート材が保持された面に沿う方向に配列された複数の発熱体が設けられ、前記印面材と前記マスクシート材に製版を行う製版部と、
前記製版部に対して、前記媒体ホルダを相対的に移動させる搬送部と、
前記媒体ホルダが前記製版部に対して相対的に移動する際に、前記印面材にはスタンプ製版用データに基づいて製版がなされ、前記マスクシート材にはマスク製版用データに基づいて製版がなされるよう制御する制御部と
を有する多色スタンプ作製装置。
[付記2]
前記制御部は、スタンプの印影となるカラー画像データである印面データに基づいて、前記スタンプ製版用データと、前記マスク製版用データとを抽出する製版用データ抽出手段をさらに有することを特徴とする付記1に記載の多色スタンプ作製装置。
[付記3]
スタンプの印影となるカラー画像データである印面データから特定の色のピクセルを抽出したマスク製版用データに基づいて製版がなされる多色スタンプ用マスクシート。
[付記4]
周囲部分にベタ印刷部分を設けたことを特徴とする付記3記載の多色スタンプ用マスクシート。
[付記5]
印面と同様の形状、素材からなり、前記印面よりも薄いことを特徴とする付記3または4記載の多色スタンプ用マスクシート。
[付記6]
スタンプの印影となるカラー画像データである印面データに基づいて、スタンプ製版用データと、マスク製版用データとを抽出する製版用データ抽出工程と、
前記スタンプ製版用データと、前記マスク製版用データとに基づいて、印面およびマスクシートとを製版する製版工程と、
前記印面の上に前記マスクシートを重ね合わせて、前記マスクシートの上からインクを垂らして前記印面に含浸させるインク含浸工程と
を有する多色スタンプの作製方法。
[付記7]
前記製版工程における前記印面および前記マスクシートの製版は、印面材とマスクシート材とを保持する媒体ホルダを製版装置に一度通すことにより同時になされることを特徴とする付記5に記載の多色スタンプの作製方法。
[付記8]
スタンプの印影となるカラー画像データである印面データから特定の色のピクセルを抽出してマスク製版用データを作成するマスク製版用データ作製工程と、
該マスク製版用データに基づいてマスクシート材に製版するマスク製版工程と
を有する多色スタンプ用マスクシートの作製方法。
[付記9]
前記マスクシート材は、印面材と同一の媒体ホルダに保持されて、前記印面材への印面の製版と同時に、前記マスク製版工程によってマスク製版がなされることを特徴とする付記7記載の多色スタンプ用マスクシートの作製方法。
[付記10]
前記マスクシート材は、前記印面材と同様の形状、素材からなり、該印面材よりも薄いことを特徴とする付記7または9記載の多色スタンプ用マスクシートの作製方法。
平面状の印面に複数種類の色のインクを含浸させて実現する多色スタンプとして利用可能である。
1 製版用サーマルプリンタ(プリンタ)
3 センサ
4 サーマルヘッド
15 印字媒体挿入口(製版挿入部)
16 媒体ホルダ
16a 先端
17 排出口
18 印面材
19 プラテンローラ
21a 上部厚板紙
21b 下部厚板紙
22 切欠部
23 検知走査線
31 赤インク用マスクシート材
32 黒インク用マスクシート材
33 青インク用マスクシート材
40 印面
51 赤インク用マスクシート
52 黒インク用マスクシート
53 青インク用マスクシート
61 赤インク
62 黒インク
63 青インク

Claims (10)

  1. 加熱により非多孔質化可能な多孔質の印面材と複数のマスクシート材とを上面が同一面になるように着脱可能に保持する媒体ホルダの前記印面材と前記複数のマスクシート材が保持された面に沿う方向に配列された複数の発熱体が設けられ、前記印面材と前記複数のマスクシート材に製版を行う製版部と、
    前記印面材にはスタンプ製版用データに基づいて製版がなされ、前記複数のマスクシート材には複数のインク色毎に対応した各インク色用のマスク製版用データに基づいて製版がなされるよう制御する制御部と、
    を有する多色スタンプ作製装置。
  2. 前記制御部は、スタンプの印影となるカラー画像データに基づいて、前記カラー画像データから有色部分を抽出し2値化された前記スタンプ製版用データと、前記カラー画像データから複数色毎にそれぞれの色部分を抽出し2値化された前記各インク色用のマスク製版用データとを取得する製版用データ取得手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の多色スタンプ作製装置。
  3. 加熱により非多孔質化可能な多孔質の印面材と、
    加熱により非多孔質化可能な多孔質材料を有し、スタンプの印影となるカラー画像データから第1の色のピクセルが抽出された第1マスク製版用データに基づいてサーマルプリンタによる製版可能な第1マスクシート材と、
    加熱により非多孔質化可能な多孔質材料を有し、前記カラー画像データから前記第1の色とは異なる第2の色のピクセルが抽出された第2マスク製版用データに基づいて前記サーマルプリンタによる製版可能な第2マスクシート材と、
    前記印面材の上面と前記第1マスクシート材及び前記第2マスクシート材の上面とが同一面になるように前記印面材、前記第1マスクシート材、並びに前記第2マスクシート材を載せている媒体ホルダと、
    を備える多色スタンプ材。
  4. 前記第1マスクシート材及び前記第2マスクシート材は、前記第1マスクシート材及び前記第2マスクシート材の四辺の周囲部分に設けられたインク非透過部分に粘着材を備えることを特徴とする請求項3記載の多色スタンプ材。
  5. 前記第1マスクシート材及び前記第2マスクシート材は、印面と同様の形状、素材からなり、前記印面よりも薄いことを特徴とする請求項3または4記載の多色スタンプ材。
  6. スタンプの印影となるカラー画像データに基づいて、前記カラー画像データから有色部分を抽出し2値化したスタンプ製版用データと、前記カラー画像データから複数色毎にそれぞれの色部分を抽出し2値化した複数のマスク製版用データとを生成する製版用データ生成工程と、
    前記スタンプ製版用データと、前記複数のマスク製版用データとに基づいて、加熱により非多孔質化可能な多孔質材料からなる印面および複数のマスクシートを、それぞれの上面が同一面になるように保持してサーマルプリンタにより製版する製版工程と、
    前記印面の上に前記マスクシートを重ね合わせて、前記マスクシートの上からインクを垂らして前記印面に含浸させる操作を前記複数色毎に複数回行うインク含浸工程と、
    を有する多色スタンプの作製方法。
  7. 前記製版工程における前記印面および前記複数のマスクシートの製版は、印面材と複数のマスクシート材とを保持する媒体ホルダを製版装置に一度通すことにより同時になされることを特徴とする請求項6に記載の多色スタンプの作製方法。
  8. スタンプの印影となるカラー画像データから第1の色のピクセルを抽出し、2値化することで第1マスク製版用データを作成する第1マスク製版用データ作製工程と、
    前記カラー画像データから第1の色と異なる第2の色のピクセルを抽出し、2値化することで第2マスク製版用データを作成する第2マスク製版用データ作製工程と、
    該第1マスク製版用データに基づいて、加熱により非多孔質化可能な多孔質材料からなる第1マスクシート材にサーマルプリンタにより製版し、該第2マスク製版用データに基づいて、加熱により非多孔質化可能な多孔質材料からなる第2マスクシート材にサーマルプリンタにより製版するマスク製版工程と、
    を有する多色スタンプ材の作製方法。
  9. 前記第1マスクシート材及び前記第2マスクシート材は、印面材と同一の媒体ホルダに保持されて、前記印面材への印面の製版と同時に、前記マスク製版工程によってマスク製版がなされることを特徴とする請求項8記載の多色スタンプ材の作製方法。
  10. 前記第1マスクシート材及び前記第2マスクシート材は、前記印面材と同様の形状、素材からなり、該印面材よりも薄いことを特徴とする請求項9記載の多色スタンプ材の作製方法。
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