JP6137030B2 - 燃料噴射弁 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関(以下、「エンジン」という)に燃料を噴射供給する燃料噴射弁に関する。
従来、ハウジングに形成される噴孔を開閉しハウジング内の燃料を噴射する燃料噴射弁が知られている。例えば、特許文献1には、コイルが発生する磁界内に設けられ固定コアとの電磁吸引力によってハウジング内を往復移動する可動コアと、可動コアと一体となって往復移動し噴孔を開閉するニードルと、を備え、ニードルの移動方向に対して垂直に形成される可動コアのコア段差面とニードルの移動方向に対して垂直に形成されるニードルのニードル段差面とによって形成されるダンパ室を有する燃料噴射弁が記載されている。
特開2013−108432号公報
特許文献1に記載の燃料噴射弁では、ダンパ室は、ニードルが弁座に着座したとき慣性力によってニードルから離れようとする可動コアの動きを緩和する。この可動コアの動きを緩和する度合いはダンパ室の容積やダンパ室を形成する内壁の面粗度などによって決定されるため、コア段差面及びニードル段差面は、ニードルが弁座に着座したときのニードルから離れようとする可動コアの動きを所望の程度に緩和するよう高精度に加工される必要がある。しかしながら、特許文献1に記載の燃料噴射弁では、コア段差面はニードルが挿通される可動コアの貫通孔を形成する内壁に形成されるため、高精度の加工が困難である。
本発明の目的は、ニードルが弁座に着座したときニードルから離れようとする可動コアの動きを緩和するダンパ室を容易に形成できる燃料噴射弁を提供することにある。
本発明は、燃料噴射弁であって、ハウジング、ニードル、可動コア、ダンパ室形成部材、固定コア、コイル、第一付勢部材、及び、第二付勢部材を備える。ハウジングは、軸方向の一端に形成され燃料が噴射される噴孔、噴孔の周囲に形成される弁座、及び、噴孔への燃料が流れる燃料通路を有する。ニードルは、ハウジング内に往復移動可能に設けられ、棒状の軸部、軸部の弁座側に形成されるシール部、軸部のシール部とは反対側に形成され軸部より外径が大きいニードル大径部を有し、シール部が弁座から離間または弁座に当接すると噴孔を開閉する。可動コアは、ニードル大径部の外径より内径が大きいコア第一貫通孔を有するコア中内径部、コア中内径部のシール部側に形成されコア第一貫通孔の内径より内径が大きいコア第二貫通孔を有するコア大内径部を有し、コア第一貫通孔にニードル大径部を収容しコア第二貫通孔に軸部が挿通されている状態でニードルに対し軸方向に相対移動可能に設けられる。ダンパ室形成部材は、コア第二貫通孔に収容され、ニードル大径部と軸部との間に形成されるニードル段差面との間に容積可変のダンパ室を形成する。コイルは、通電により可動コアとハウジング内に固定される固定コアとの間に磁気吸引力を発生させ、可動コアをニードルとともに開弁方向に吸引する。第一付勢部材は、大径部のシール部とは反対側に一端が当接し、ニードルを閉弁方向に付勢する。第二付勢部材は、ダンパ室形成部材のシール部側の端面に一端が当接し、ダンパ室形成部材を開弁方向に付勢する。本発明の燃料噴射弁は、ダンパ室形成部材は可動コアとは別部材から構成されることを特徴とする。
本発明の燃料噴射弁では、ニードルが弁座に着座したときニードルから離れようとする可動コアの動き、すなわち、オーバーシュートを緩和するダンパ室は、ニードル大径部と軸部との間に形成されるニードル段差面とダンパ室形成部材のニードル段差面に対向する端面との間に形成される。本発明の燃料噴射弁では、オーバーシュートを緩和する度合いは、ニードル段差面及びダンパ室形成部材の加工精度によって決定される。ここでダンパ室形成部材は、可動コアとは別部材から構成されているため、可動コアの貫通孔を形成する内壁にダンパ室を形成するコア段差面を加工する場合に比べ、容易に高精度の加工を行うことができる。これにより、オーバーシュートを所望の程度に緩和するダンパ室を容易に形成することができる。
本発明の第一実施形態による燃料噴射弁の断面図である。 図1のII部拡大図である。 本発明の第二実施形態による燃料噴射弁の要部断面図である。 本発明の第三実施形態による燃料噴射弁の要部断面図である。
以下、本発明の複数の実施形態について図面に基づいて説明する。
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態による燃料噴射弁1を図1、2に示す。なお、図1、2には、ニードル30が弁座254から離間する方向である開弁方向、及び、ニードル30が弁座254に当接する方向である閉弁方向を図示する。また、図2は、閉弁時のニードル30と可動コア40との位置関係を示す要部断面図であって、ニードル30が弁座254に当接した後の状態を示している。
燃料噴射弁1は、例えば、図示しない直噴式ガソリンエンジンの燃料噴射装置に用いられ、燃料としてのガソリンをエンジンに噴射供給する。燃料噴射弁1は、ハウジング20、ニードル30、可動コア40、「ダンパ室形成部材」としての環状部材45、固定コア48、コイル49、「第一付勢部材」としてのスプリング27、「第二付勢部材」としてのスプリング28などを備える。
ハウジング20は、図1に示すように、第一筒部材21、第二筒部材22、第三筒部材23、及び、噴射ノズル25から構成されている。第一筒部材21、第二筒部材22、及び、第三筒部材23は、いずれも略円筒状に形成され、第一筒部材21、第二筒部材22、第三筒部材23の順に同軸となるよう配置され、互いに接続している。
第一筒部材21及び第三筒部材23は、例えば、フェライト系ステンレス等の磁性材料により形成され、磁気安定化処理が施されている。第一筒部材21及び第三筒部材23は、硬度が比較的低い。一方、第二筒部材22は、例えばオーステナイト系ステンレス等の非磁性材料から形成されている。第二筒部材22の硬度は、第一筒部材21及び第三筒部材23の硬度よりも高い。
噴射ノズル25は、例えば、マルテンサイト系ステンレスなどの金属により有底筒状に形成されている。噴射ノズル25は、第一筒部材21の第二筒部材22とは反対側の端部に設けられている。噴射ノズル25は、第一筒部材21に溶接されている。噴射ノズル25は、所定の硬度を有するよう焼入れ処理が施されている。噴射ノズル25は、噴射部251及び筒部252から形成されている。
噴射部251は、燃料噴射弁1の中心軸CA1を対称軸として線対称に形成されている。燃料噴射弁1では、噴射部251の外壁253は、中心軸CA1の方向に突出するよう形成されている。噴射部251には、ハウジング20の内部と外部とを連通する噴孔26が複数形成されている。噴孔26のハウジング20の内部側の開口である内側開口の縁には環状の弁座254が形成されている。
筒部252は、噴射部251の径方向外側に接続し、噴射部251の外壁253が突出する方向とは反対側に延びるように設けられている。筒部252は、他方の端部が第一筒部材21に接続している。
ニードル30は、例えばマルテンサイト系ステンレス等の金属により形成されている。ニードル30は、所定の硬度を有するよう焼入れ処理が施されている。ニードル30の硬度は、噴射ノズル25の硬度とほぼ同等に設定されている。
ニードル30は、ハウジング20内に収容されている。ニードル30は、軸部31、シール部32、及び、ニードル大径部33などから形成されている。軸部31、シール部32、及び、ニードル大径部33は、一体に形成される。
軸部31は、棒状に形成されている。軸部31のシール部32近傍には、摺接部34が形成されている。摺接部34は、略円筒状に形成され、外壁341の一部が面取りされている。摺接部34は、外壁341の面取りされていない部分が噴射ノズル25の内壁と摺接可能である。これにより、ニードル30は、弁座254側の先端部での往復移動が案内される。軸部31は、シール部32と反対側の端部の内部に中心軸CA1の方向に略平行に形成される流路311、及び、中心軸CA1とは略垂直に形成され流路311と連通する孔312を有する。孔312は、軸部31の内部と外部とを連通する。
シール部32は、軸部31の弁座254側の端部に設けられ、弁座254に当接可能である。ニードル30は、シール部32が弁座254から離間または弁座254に当接することにより噴孔を開閉し、ハウジング20の内部と外部とを連通または遮断する。
ニードル大径部33は、軸部31のシール部32とは反対側に設けられている。ニードル大径部33は、外径が軸部31の外径より大きくなるよう形成されている。ニードル大径部33には、固定コア48の内部と流路311とを連通するニードル貫通孔331が形成されている。
ニードル30は、摺接部34が噴射ノズル25の内壁により支持され、ニードル大径部33が可動コア40を介して第一筒部材21及び第二筒部材22の径方向内側の内壁により支持されている。これにより、ニードル30は、ハウジング20の内部を中心軸CA1の方向に往復移動する。
可動コア40は、例えば、フェライト系ステンレス等の磁性材料により略円筒状に形成されている。可動コア40は、表面に、例えば、クロムめっきが施されている。可動コア40は、磁気安定化処理が施されている。可動コア40の硬度は比較的低く、ハウジング20の第一筒部材21及び第三筒部材23の硬度と概ね同等である。可動コア40は、コア中内径部41及びコア大内径部42から形成されている。コア中内径部41及びコア大内径部42は、一体に形成されている。
コア中内径部41は、略円環状に形成され、可動コア40の固定コア48側に設けられている。コア中内径部41は、中心軸CA1の方向に中心軸を有するコア第一貫通孔411を有する。コア第一貫通孔411には、ニードル大径部33が可動コア40に対して往復移動可能に収容されている。
コア大内径部42は、略円環状に形成され、可動コア40の弁座254側に設けられる。コア大内径部42は、中心軸CA1の方向にコア第一貫通孔411と連通するコア第二貫通孔421を有する。コア第二貫通孔421の内径は、コア第一貫通孔411の内径より大きい。コア第二貫通孔421には、軸部31の一部が可動コア40に対して往復移動可能に収容されているほか、環状部材45が収容されている。
環状部材45は、略円環状に形成され、中心軸CA1の方向に軸部31が挿通される貫通孔を有する。環状部材45の貫通孔は、内径がコア中内径部41のコア第一貫通孔411の内径より小さくなるよう形成されている。環状部材45は、コア第二貫通孔421に圧入及び溶接によって可動コア40に固定されている。環状部材45は、固定コア48側の端面452がコア中内径部41のコア大内径部42側に形成されているコア段差面400に対向するよう設けられている。端面452は、コア第一貫通孔411に収容されているニードル大径部33の弁座254側のニードル段差面332との間に燃料の出入りが可能なダンパ室450を形成する。ダンパ室450の燃料は、ニードル大径部33の径方向外側の外壁333とコア中内径部41のコア第一貫通孔411を形成する第一内壁412との間に形成される隙間や環状部材45の貫通孔を形成する内壁453と軸部31の外壁313との間に形成される隙間を介してダンパ室450に出入りする。
固定コア48は、例えばフェライト系ステンレス等の磁性材料により略円筒状に形成されている。固定コア48は、磁気安定化処理が施されている。固定コア48の硬度は可動コア40の硬度と概ね同等であるが、可動コア40のストッパとしての機能を確保するために表面に例えばクロムめっきを施し、必要な硬度を確保している。固定コア48は、ハウジング20の第三筒部材23と溶接され、ハウジング20の内側に固定されるよう設けられている。
コイル49は、略円筒状に形成され、主に第二筒部材22及び第三筒部材23の径方向外側を囲むよう設けられている。コイル49は、電力が供給されると磁力を生じる。コイル49に磁力が生じるとき、固定コア48、可動コア40、第一筒部材21及び第三筒部材23及びホルダ17に磁気回路が形成される。これにより、固定コア48と可動コア40との間に磁気吸引力が発生し、可動コア40は、固定コア48に吸引される。このとき、環状部材45を介して可動コア40と一体となって往復移動するニードル30は、固定コア48側、すなわち、開弁方向へ移動する。
スプリング27は、一端がニードル大径部33のスプリング当接面334に当接するよう設けられている。スプリング27の他端は、固定コア48の内側に圧入固定されたアジャスティングパイプ11に当接している。スプリング27は、軸方向に伸びる力を有している。これにより、スプリング27は、ニードル30を可動コア40とともに弁座254の方向、すなわち、閉弁方向に付勢している。
スプリング28は、一端が環状部材45の弁座254側の端面454に当接するよう設けられている。スプリング28の他端は、ハウジング20の第一筒部材21の内側に形成された環状のハウジング段差面211に当接している。スプリング28は、軸方向に伸びる力を有している。これにより、スプリング28は可動コア40をニードル30とともに弁座254とは反対の方向、すなわち、開弁方向に付勢している。
本実施形態では、スプリング27の付勢力は、スプリング28の付勢力よりも大きく設定されている。これにより、コイル49に電力が供給されていないとき、シール部32は、弁座254に着座した状態、すなわち、閉弁状態となる。
第三筒部材23の第二筒部材22とは反対側の端部には、略円筒状の燃料導入パイプ12が圧入及び溶接されている。燃料導入パイプ12の内側には、フィルタ13が設けられている。フィルタ13は、燃料導入パイプ12の導入口14から流入した燃料に含まれる異物を捕集する。
燃料導入パイプ12及び第三筒部材23の径方向外側は、樹脂によりモールドされている。当該モールド部分にはコネクタ15が形成されている。コネクタ15には、コイル49に電力を供給するための端子16がインサート成形されている。また、コイル49の径方向外側には、コイル49を覆うよう筒状のホルダ17が設けられている。
導入口14からハウジング20の内部に流入する燃料は、固定コア48の内部、アジャスティングパイプ11の内部、ニードル貫通孔331、軸部31の流路311及び孔312、第一筒部材21と軸部31との間の隙間を流れ、噴射ノズル25の内部に導かれる。また、導入口14から流入する燃料の一部は、固定コア48の内部、アジャスティングパイプ11の内部を通った後、可動コア40の径方向外側に形成される流路401、第一筒部材21と軸部31との間の隙間を流れ、噴射ノズル25の内部に導かれる。すなわち、導入口14から第一筒部材21とニードル30の軸部31との間の隙間までの燃料が流れる空間が噴射ノズル25の内部に燃料を導入する燃料通路18となる。
次に、第1実施形態による燃料噴射弁1の作用について説明する。
コイル49に電力が供給されていないとき、スプリング27とスプリング28との付勢力の差、及び、第一筒部材21の内部の燃料の圧力と外部の圧力との差によってシール部32は弁座254に当接している。これにより、噴孔26は閉じられるため、燃料は外部に噴射されない。このとき、ニードル段差面332は、環状部材45の端面452に当接している。
コイル49に電力が供給されるとコイル49の周囲に磁気回路が形成される。形成された磁気回路によって固定コア48と可動コア40との間に電磁吸引力が発生する。可動コア40は、電磁吸引力によってニードル30と一体となって開弁方向に移動する。これにより、シール部32が弁座254から離間し、燃料通路18の燃料が噴孔26から外部に噴射される。
所定量の燃料を噴射した後、コイル49への電力の供給が停止すると、固定コア48と可動コア40との間の電磁吸引力が消滅する。電磁吸引力が消滅すると、ニードル30と可動コア40とは、スプリング27とスプリング28との付勢力の差によって閉弁方向に移動する。ニードル30が弁座254に着座するとき、可動コア40は慣性力によって閉弁方向にさらに移動しようとする。このとき、ダンパ室450の燃料によって、閉弁時にニードル30から離れようとする可動コア40の動き、すなわち、オーバーシュートを緩和することができる。
従来、閉弁時における可動コアのオーバーシュートを抑制するダンパ室は、ニードルが挿通される可動コアの貫通孔を形成する内壁が有するコア段差面とニードルの外壁が有するニードル段差面との間に形成されている。可動コアのオーバーシュートを確実に抑制するため、ダンパ室の形状や容積及びダンパ室に流出入する燃料の流れに影響を与えるコア段差面及びニードル段差面の面幅、同軸度、面粗度、角形状などを所定の範囲内に入るよう高精度に加工する必要がある。しかしながら、可動コアが有するコア段差面は、ニードルの移動方向に沿って形成される貫通孔の内壁にニードルの移動方向に対して垂直に形成されるため、高精度の加工が困難となる。また、可動コアのオーバーシュートを確実に抑制するために加工精度を上げると、可動コアを加工する工数が増加し、燃料噴射弁の製造コストが増加することとなる。
第一実施形態による燃料噴射弁1では、ニードル大径部33のニードル段差面332、環状部材45の端面452、軸部31の外壁313、及び、コア第一貫通孔411を形成する第一内壁412によってダンパ室450を形成する。この中で端面452を有する環状部材45は、可動コア40とは別部材から構成されているため、可動コアの略中心にダンパ室を形成するコア段差面を形成する場合に比べ、比較的高精度にかつ容易に加工することができる。これにより、燃料噴射弁1では、所望の形状のダンパ室450を容易に形成することができる。
また、所望の形状のダンパ室450を容易に形成することができるため、可動コアを加工する工数を低減することができる。これにより、燃料噴射弁1の製造コストを低減することができる。
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態による燃料噴射弁を図3に基づいて説明する。第二実施形態は、可動コアと環状部材との組付方法が第一実施形態と異なる。なお、第一実施形態と実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
第二実施形態による燃料噴射弁2では、図3に示すように、可動コア40には環状部材55及びスナップリング56が組み付けられている。なお、図3には、ニードル30が弁座254から離間する方向である開弁方向、及び、ニードル30が弁座254に当接する方向である閉弁方向を図示する。また、図3は、閉弁時のニードル30と可動コア40との位置関係を示す要部断面図であって、ニードル30が弁座254に当接した後の状態を示している。
環状部材55は、外径がコア第二貫通孔421の内径よりわずかに小さくなるよう形成されている。スナップリング56は、コア第二貫通孔421を形成する可動コア40の第二内壁422に形成されている窪み423に嵌合している。これにより、環状部材55は、スナップリング56とコア段差面400とによって開閉弁方向の移動が規制されている。一方、環状部材55は、可動コア40の径方向にある程度自由に動くことができる。
第二実施形態による燃料噴射弁2では、燃料噴射弁2の製造時に軸部31の中心軸とニードル大径部33の中心軸とがずれてニードル30が形成されるとき、可動コア40とニードル30とが組み付けられている状態で環状部材55を組み付けても環状部材55が径方向にある程度移動し、ダンパ室550を形成することができる。これにより、第二実施形態は、第一実施形態の効果に加え、ニードル30の製造時におけるロバスト性を向上し、燃料噴射弁2の製造コストをさらに低減することができる。
(第三実施形態)
次に、本発明の第三実施形態による燃料噴射弁を図4に基づいて説明する。第三実施形態は、可動コアの形状が第一実施形態と異なる。なお、第一実施形態と実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
第三実施形態による燃料噴射弁3では、図4に示すように、可動コア60は、コア中内径部61、コア小内径部63、及び、コア大内径部62から形成されている。コア中内径部61、コア小内径部63、及び、コア大内径部62は、一体に形成されている。なお、図4には、ニードル30が弁座254から離間する方向である開弁方向、及び、ニードル30が弁座254に当接する方向である閉弁方向を図示する。また、図4は、閉弁時のニードル30と可動コア60との位置関係を示す要部断面図であって、ニードル30が弁座254に当接した後の状態を示している。
コア中内径部61は、略円環状に形成され、可動コア60の固定コア48側に設けられている。コア中内径部61は、中心軸CA1の方向に中心軸を有しニードル大径部33が収容されるコア第一貫通孔611を有する。
コア大内径部62は、略円環状に形成され、可動コア60の弁座254側に設けられる。コア大内径部62は、コア第一貫通孔611と連通し内径がコア第一貫通孔611の内径より大きいコア第二貫通孔621を有する。コア第二貫通孔621には環状部材45が収容されている。
コア小内径部63は、略円環状に形成されている。コア小内径部63は、コア中内径部61のコア大内径部62側の端部に設けられ、コア第一貫通孔611を形成する第一内壁612から径内方向に突出するよう設けられている。コア小内径部63は、コア第三貫通孔631を有する。コア第三貫通孔631は、内径がコア第一貫通孔611及びコア第二貫通孔621の内径より小さくなるよう形成されている。
環状部材45は、端面452がコア小内径部63の弁座254側に形成されているコア段差面600に対向するよう設けられている。
第三実施形態による燃料噴射弁3では、ニードル大径部33のニードル段差面332、環状部材45の端面452、軸部31の外壁313、及び、コア第三貫通孔631を形成する第三内壁632によってダンパ室650を形成する。このとき、第三内壁632の加工精度はニードル段差面332や端面452の加工精度に比べ低くてもオーバーシュートを所望の程度に緩和することができる。これにより、第三実施形態は、第一実施形態と同じ効果を奏する。
(他の実施形態)
第一実施形態及び第三実施形態では、環状部材は可動コアに圧入及び溶接によって固定されるとした。また、第二実施形態では、環状部材はスナップリングによって可動コアに組み付けられるとした。しかしながら、環状部材の可動コアへの組付方法はこれに限定されない。可動コアとある程度一体となって移動可能なよう組み付けられればよい。
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
1、2、3・・・燃料噴射弁、
20 ・・・ハウジング、
27 ・・・スプリング(第一付勢部材)、
28 ・・・スプリング(第二付勢部材)、
30 ・・・ニードル、
31 ・・・軸部、
32 ・・・シール部、
33 ・・・ニードル大径部、
40 ・・・可動コア、
41 ・・・コア中内径部、
42 ・・・コア大内径部、
45、55 ・・・環状部材(ダンパ室形成部材)、
450、550、650・・・ダンパ室、
48 ・・・固定コア、
49 ・・・コイル。

Claims (3)

  1. 軸方向の一端に形成され燃料が噴射される噴孔(26)、前記噴孔の周囲に形成される弁座(254)、及び、前記噴孔への燃料が流れる燃料通路(18)を有する筒状のハウジング(20)と、
    前記ハウジング内に往復移動可能に設けられ、棒状の軸部(31)、前記軸部の前記弁座側に形成されるシール部(32)、前記軸部の前記シール部とは反対側に形成され前記軸部より外径が大きいニードル大径部(33)を有し、前記シール部が前記弁座から離間または前記弁座に当接すると前記噴孔を開閉するニードル(30)と、
    前記ニードル大径部の外径より内径が大きいコア第一貫通孔(411)を有するコア中内径部(41)、前記コア中内径部の前記シール部側に形成され前記コア第一貫通孔の内径より内径が大きいコア第二貫通孔(421)を有するコア大内径部(42)を有し、前記コア第一貫通孔に前記ニードル大径部を収容し前記コア第二貫通孔に前記軸部が挿通されている状態で前記ニードルに対し軸方向に相対移動可能に設けられる可動コア(40)と、
    前記コア第二貫通孔に収容され、前記ニードル大径部と前記軸部との間に形成されるニードル段差面(332)との間に容積可変のダンパ室(450、440、650)を形成するダンパ室形成部材(45、55)と、
    前記ハウジング内に固定される固定コア(48)と、
    通電により前記可動コアと前記固定コアとの間に磁気吸引力を発生させ、前記可動コアを前記ニードルとともに開弁方向に吸引するコイル(49)と、
    前記ニードル大径部の前記シール部とは反対側に一端が当接し、前記ニードルを閉弁方向に付勢する第一付勢部材(27)と、
    前記ダンパ室形成部材の前記シール部側に一端が当接し、前記ダンパ室形成部材を開弁方向に付勢する第二付勢部材(28)と、
    を備え、
    前記ダンパ室形成部材は、前記可動コアとは別部材から構成されることを特徴とする燃料噴射弁(1、2、3)。
  2. 前記ダンパ室形成部材は、前記可動コアの径方向に移動可能なよう設けられていることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射弁。
  3. 前記可動コアは、前記コア第一貫通孔を形成する第一内壁(612)から前記可動コアの径内方向に突出するよう設けられ前記コア第一貫通孔の内径より内径が小さいコア第三貫通孔(631)を有するコア小内径部(63)を有し、
    前記ダンパ室形成部材は、前記コア第三貫通孔を形成する第三内壁(632)との間にダンパ室(650)を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の燃料噴射弁。


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