上述した印刷装置では、用紙をピックアップするピックアップローラと、用紙を搬送する搬送ローラとを別々に駆動することができるため、用紙の頁間距離を制御することができる。しかしながら、上述した印刷装置では、印刷経路のPFローラと搬送経路の中間ローラとがギヤ機構で接続されており、ピックアップローラと搬送ローラとに用紙がニップされている状態では、ピックアップローラでの負荷の変動により、ローラ間で用紙の滑りが発生し、紙送り精度に影響があることがあった。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、印刷媒体の搬送精度の低下をより低減しつつ、印刷媒体の搬送間隔をより短縮することができる印刷装置を提供することを主目的とする。
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の印刷装置は、
印刷媒体を収容する収容部から搬送経路へ前記印刷媒体を供給する供給ローラと、
前記搬送経路に配設され前記供給された印刷媒体を搬送する搬送ローラと、
前記搬送経路の下流に位置し印刷媒体に印刷処理する印刷経路に配設され前記印刷媒体を搬送する印刷ローラと、
前記供給ローラ及び前記搬送ローラを回転させる第1モーターと、
前記印刷ローラを回転させる第2モーターと、
を備えたものである。
この印刷装置では、供給ローラ及び搬送ローラを回転させる第1モーターと、印刷ローラを回転させる第2モーターと、を備えており、搬送経路での印刷媒体の搬送と、印刷経路での印刷媒体の搬送とを独自に実行することができる。例えば、印刷ローラと搬送ローラとが接続されていたり、更に供給ローラが接続されている場合などには、搬送経路での負荷の影響(例えば供給ローラ)などが印刷経路での印刷媒体の搬送に影響する場合がある。ここでは、印刷経路での搬送と、搬送経路での搬送とを分けて行うことができるため、例えば、印刷中に搬送経路での負荷の影響を防止でき、印刷媒体の搬送精度の低下をより低減することができる。また、例えば、搬送経路から印刷媒体が外れたあと、この印刷媒体の方へ次の印刷媒体を搬送することができるため、印刷媒体の搬送間隔をより短縮することができる。このため、安定した搬送と共により高速な印刷を実現することができる。
本発明の印刷装置は、前記印刷経路では印刷搬送速度で前記印刷ローラにより前記印刷媒体の搬送を行うよう前記第2モーターを駆動する印刷搬送と、搬送する印刷媒体の後端位置が前記搬送ローラから外れたあと、次の印刷媒体を前記収容部から前記搬送経路へ供給及び搬送を行うよう前記第1モーターを駆動する追付搬送とを実行する制御部、を備えたものとしてもよい。この構成では、搬送ローラから印刷媒体が外れたあとは自由に供給ローラや搬送ローラを回転可能であるから、先行する印刷媒体の方へ次の印刷媒体を搬送することができるため、印刷媒体の搬送間隔をより短縮することができる。
本発明の印刷装置において、前記制御部は、前記印刷搬送速度よりも速い速度で前記追付搬送を実行するものとしてもよい。こうすれば、より印刷媒体印刷搬送速度よりも速い速度により、印刷媒体同士の距離を縮めやすい。
本発明の印刷装置において、前記制御部は、前記印刷搬送された印刷媒体の後端位置から所定の頁間距離を離れた位置に前記次の印刷媒体の搬送目標位置を設定し、該搬送目標位置を用いて前記追付搬送を実行するものとしてもよい。こうすれば、搬送目標位置を用いて、所定の頁間距離になるように、印刷媒体の搬送間隔をより短縮することができる。
本発明の印刷装置において、前記制御部は、前記印刷搬送時には前記第2モーターの間欠駆動を行い、前記次の印刷媒体の搬送目標位置を前記第2モーターの駆動時に更新し、該搬送目標位置を用いて前記追付搬送を実行するものとしてもよい。こうすれば、先行する印刷媒体に合わせて、より早期のタイミングで印刷媒体の搬送間隔を短縮することができる。このとき、前記制御部は、前記次の印刷媒体が前記搬送目標位置に到達すると、前記第2モーターの間欠駆動に合わて前記第1モーターを間欠駆動するものとしてもよい。こうすれば、次の印刷媒体をそのまま印刷処理に移行することができる。
本発明の印刷装置において、前記制御部は、前記追付搬送中に前記印刷搬送での印刷処理が終了したときには、前記次の印刷媒体の搬送目標位置を前記印刷経路に変更し前記追付搬送を実行するものとしてもよい。こうすれば、先行する印刷媒体の排紙搬送に合わせて、より早期のタイミングで印刷媒体を印刷経路に搬送することができ、より高速な印刷を行うことができる。
本発明の印刷装置において、前記制御部は、前記供給ローラと前記搬送ローラとを回転させ前記印刷媒体の供給及び搬送を実行する第1搬送モードと、前記搬送ローラを回転させ前記印刷媒体の搬送を実行する第2搬送モードと、を切り替えて前記第1モーターを駆動するものとしてもよい。こうすれば、第1搬送モードと第2搬送モードとの切り替えを利用して、印刷媒体をより安定した状態で搬送することができる。また、前記印刷装置は、第1モーターの回転方向に応じて、前記供給ローラと前記搬送ローラとを回転させるか、前記搬送ローラを回転させるかを切り替える切替ギヤ機構を備え、前記制御部は、前記第1モーターの所定方向の回転により前記第1搬送モードを実行し、前記第1モーターの前記所定方向の逆回転により前記第2搬送モードを実行するものとしてもよい。なお、「ローラを回転させ」とは、例えば、このローラを直接駆動回転させる場合のほか、対のローラの駆動回転に伴い従動回転させる場合も含む。また、前記切替ギヤ機構機構は、前記搬送ローラのみを回転させるに際して前記供給ローラを空転させるものとしてもよい。
本発明の印刷装置において、前記制御部は、前記印刷媒体が前記印刷ローラと前記搬送ローラとにニップされているときには、前記第2搬送モードで前記第1モーターを駆動するものとしてもよい。こうすれば、搬送経路側の負荷などが印刷経路側の搬送に影響してしまうことをより低減することができる。
本発明の印刷装置において、前記搬送ローラには、前記印刷媒体を搬送する第1ローラと、前記搬送経路において前記第1ローラの下流側に配設され前記印刷媒体を搬送する第2ローラと、が含まれ、前記制御部は、前記第1ローラと前記第2ローラとで前記印刷媒体をニップするまで前記供給ローラを回転させるものとしてもよい。こうすれば、第2ローラがニップするまで供給ローラを回転するから、印刷媒体は供給ローラ及び第1ローラ、もしくは、第1ローラ及び第2ローラの少なくとも2つのローラにより搬送されるため、印刷媒体をより安定した状態で搬送することができる。このとき、前記収容部には、異なるサイズの印刷媒体を収容可能であり、前記制御部は、前記収容部に収容された印刷媒体の搬送方向の長さが所定値以上であるときには前記第1ローラと前記第2ローラとで前記印刷媒体をニップするまで前記供給ローラを回転させ、前記収容部に収容された印刷媒体の搬送方向の長さが所定値未満であるときには前記第1ローラで前記印刷媒体をニップするまで前記供給ローラを回転させるものとしてもよい。こうすれば、印刷媒体の搬送方向の長さに応じて適切に安定した状態で印刷媒体を搬送することができる。このとき、「所定値」は、前記供給ローラと前記第2ローラとの搬送経路の長さに基づいて定められているものとしてもよい。
本発明の印刷装置は、印刷媒体を収容し、前記搬送経路へ該印刷媒体を供給する増設供給ローラと、前記増設供給ローラを回転駆動する増設モーターと、を備える増設収容部を備え、前記制御部は、前記増設収容部の増設モーターをも駆動し、次の印刷媒体を前記増設収容部から前記搬送経路へ供給及び搬送を行うよう前記増設供給ローラ及び前記第1モーターを駆動する追付搬送を実行するものとしてもよい。こうすれば、増設収容部からの印刷媒体の供給時に、印刷媒体の搬送精度の低下をより低減しつつ、印刷媒体の搬送間隔をより短縮することができる。
このとき、本発明の印刷装置は、前記増設供給ローラ及び前記搬送ローラの間に配設され前記搬送中の印刷媒体を検出する検出器、を備え、前記制御部は、前記増設収容部から前記検出器までは前記増設モーターに基づく搬送ステップ数により前記印刷媒体の位置を推定し、前記検出器に至ったあとは、前記増設モーターに基づく搬送ステップ数と前記第1モーターに基づく搬送ステップ数とにより前記増設モーター及び前記第1モーターを駆動するものとしてもよい。ここで、「増設モーターに基づく搬送ステップ数」とは、増設モーターの駆動ステップ数としてもよいし、増設供給ローラなどのローラの回転ステップ数としてもよい。「第1モーターに基づく搬送ステップ数」とは、第1モーターの駆動ステップ数としてもよいし、搬送ローラなどのローラの回転ステップ数としてもよい。
このとき、前記制御部は、前記検出器と前記搬送される印刷媒体の先端との搬送距離Laと、前記増設モーターによる前記印刷媒体の搬送速度Vaとに基づいて前記印刷媒体の前記検出器までの目標搬送ステップ数を設定し、前記検出器に前記印刷媒体が至ったあとは、前記検出器から前記搬送ローラの第1ニップまでの搬送距離Lbと前記増設モーターによる搬送速度Vaとに基づく搬送ステップ数Snと、前記搬送ローラの第1ニップから搬送目標位置までの搬送距離Ltと前記第1モーターによる搬送速度Vbとに基づく搬送ステップ数Sbとにより目標搬送ステップ数を設定し、前記設定した目標搬送ステップに基づき前記増設モーター及び前記第1モーターを駆動するものとしてもよい。
次に、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は本実施形態であるプリンター10の構成の概略を示す構成図である。図2は、プリンターユニット30の構成の概略を示す構成図である。本実施形態のプリンター10は、プリンター10の全体をコントロールするコントローラー21と、読取原稿を読み取るスキャナーユニット25と、着色剤としてのインクを印刷媒体Pに吐出するプリンターユニット30と、印刷媒体Pを収容する本体給紙カセット56とを備えている。このプリンター10は、スキャナーユニット25とプリンターユニット30とを備え、プリンター機能、スキャナー機能及びコピー機能を有するマルチファンクションプリンターとして構成されている。また、プリンター10は、本体の下部に別の印刷媒体Pを収容可能な増設カセット60を備えている。本体給紙カセット56、増設カセット60には、サイズや種別の異なる印刷媒体Pがそれぞれ収容されている。なお、説明の便宜のため、本体給紙カセット56及び増設カセット60に収容されているものや総称する場合は印刷媒体Pと称し、複数が搬送されている場合は先行するものから順に印刷媒体P1,P2と称するものとする。
コントローラー21は、CPU22を中心とするマイクロプロセッサーとして構成されており、各種処理プログラムを記憶しデータを書き換え可能なフラッシュメモリー23と、一時的にデータを記憶したりデータを保存したりするRAM24とを備えている。このコントローラー21は、印刷処理を実行するようプリンターユニット30を制御すると共に、画像読取処理を実行するようスキャナーユニット25を制御する。このコントローラー21は、スキャナーユニット25、プリンターユニット30などとバス29によって電気的に接続されている。
スキャナーユニット25は、搬送した読取原稿を画像データとして読み取るか、原稿台に載置された読取原稿を画像データとして読み取る読取センサーを備えた周知のイメージスキャナーとして構成されている。読取センサーは、原稿に向かって発光したあとの反射光をレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の各色に分解してスキャンデータとするセンサーである。
プリンターユニット30は、印刷媒体Pへインクを吐出することにより印刷を行う印刷部31と、印刷媒体Pを搬送する搬送部40とを備えたインクジェット方式のカラープリンター機構として構成されている。印刷部31は、キャリッジ軸に移動可能に配設されたキャリッジ32と、インクに圧力をかけノズル34からインク滴を吐出する印刷ヘッド33と、キャリッジベルトによりキャリッジ軸に沿って主走査方向にキャリッジ32を移動させる図示しないキャリッジモーターと、各色のインクを収容しこの収容したインクを印刷ヘッド33へ供給する図示しないインクカートリッジと、を備えている。印刷ヘッド33は、キャリッジ32の下部に設けられており、圧電素子に電圧をかけることによりこの圧電素子を変形させてインクを加圧する方式により、印刷ヘッド33の下面に設けられたノズル34から各色のインクを吐出するものである。印刷ヘッド33には、所定間隔で印刷媒体Pの搬送方向に配列されたノズル列35(図2参照)としてノズル34が形成されている。なお、インクへ圧力をかける機構は、ヒーターの熱による気泡の発生によるものとしてもよい。インクカートリッジは、シアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・ブラック(K)などの各色のインクを個別に収容している。
搬送部40は、図2に示すように、プリンター10の本体下方に配設され印刷媒体Pを収容する本体給紙カセット56から複数のローラ対により搬送経路50、印刷経路38を介して排出トレイ58へ印刷媒体Pを搬送する機構として構成されている。本体給紙カセット56の上方には、印刷媒体Pの供給機構として、本体給紙カセット56から印刷媒体Pをピックアップする供給ローラ41と、重なった印刷媒体Pを分離させる分離ローラ42と、分離ローラ42とローラ対を形成するリタードローラ43とを備えている。搬送経路50には、比較的大きな円筒ローラであり第1駆動モーター51に駆動される中間ローラ44と、中間ローラ44の円筒面に配設された第1〜第3従動ローラ45〜47と、が軸回転可能に配設されている。各従動ローラは、本体給紙カセット56側(搬送経路50の上流側)から順に第1従動ローラ45、第2従動ローラ46及び第3従動ローラ47の順に配設されている。この搬送部40では、中間ローラ44と第1従動ローラ45とでローラ対が形成され、中間ローラ44と第2従動ローラ46とでローラ対が形成され、中間ローラ44と第3従動ローラ47とでローラ対が形成されている。
搬送経路50の下流には、印刷経路38が形成されており、この印刷経路38の上部に印刷ヘッド33が配設されている。この印刷経路38の上流側(搬送経路50側)には、印刷媒体Pを搬送する印刷ローラ48が配設され、印刷経路38の下流側(排紙トレイ58側)には、排紙ローラ49が配設されており、この印刷ローラ48及び排紙ローラ49により搬送された印刷媒体Pに印刷ヘッド33からインクが吐出され印刷処理が施される。この搬送部40では、第1駆動モーター51は、供給ローラ41、分離ローラ42及び中間ローラ44を回転駆動し、第2駆動モーター52は、印刷ローラ48及び排紙ローラ49を回転駆動する。また、第1駆動モーター51は、ワンウェイクラッチと複数のギヤが組み合わされたギヤ機構53(図1参照)を備えている。このギヤ機構53は、供給ローラ41、分離ローラ42及び中間ローラ44を所定の搬送方向にのみ回転させるよう構成されている。また、ギヤ機構53は、第1駆動モーター51の回転方向が正回転であるときには供給ローラ41と分離ローラ42と中間ローラ44とを回転駆動し、第1駆動モーター51の回転方向が逆回転であるときには中間ローラ44のみを回転駆動し供給ローラ41及び分離ローラ42は空転するように切り替え可能に構成されている。このように、搬送部40では、第1駆動モーター51の回転方向を変えることにより、ギヤ機構53を介して、印刷媒体Pの供給及び搬送を実行する第1搬送モードと、印刷媒体Pの搬送のみを実行する第2搬送モードとを切り替え可能になっている。この搬送経路50において、分離ローラ42と第1従動ローラ45との間において、第1従動ローラ45の近傍には、印刷媒体Pを検出する供給センサー54が配設されている。この供給センサー54は、増設カセット60から搬送される印刷媒体Pも検出可能な位置に配設されている。また、第3従動ローラ47と印刷ローラ48との間において、印刷ローラ48の近傍には、搬送された印刷媒体Pを検出する印刷経路センサー55が配設されている。
本体給紙カセット56は、複数種類の印刷媒体を収容可能な収容部である。本体給紙カセット56には、印刷媒体Pの下端に合わせるガイド57が移動可能に配設されている。本体給紙カセット56では、このガイド57の位置により、本体給紙カセット56に収容された印刷媒体P1の搬送方向の長さを検出可能となっている。増設カセット60は、本体給紙カセット56のほかに印刷媒体Pを収容する収容部である。この増設カセット60には、図示しない増設モーター、増設供給ローラ61、分離ローラ62及びリタードローラ63がその上部に配設されており、増設モーターにより増設供給ローラ61及び分離ローラ62が回転駆動される。この増設モーターは、コントローラー21に電気的に接続されており、コントローラー21からの駆動信号に基づいて駆動される。増設カセット60では、本体給紙カセット56と同様に、印刷媒体Pの下端に合わせるガイド67が移動可能に配設されている。
次に、こうして構成された本実施形態のプリンター10の動作、まず、印刷経路38で印刷を実行する処理について説明する。図3は、コントローラー21のCPU22により実行される印刷処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、フラッシュメモリー23に記憶されており、ユーザーが操作パネルを操作し、印刷処理の実行を指示したあと実行される。ここでは、まず、本体給紙カセット56に収容されている印刷媒体Pが印刷対象として指定されている場合について説明する。このルーチンを開始すると、CPU22は、所定の待機位置に印刷媒体Pがあるか否かを判定する(ステップS100)。ここで、待機位置は、例えば、第3従動ローラ47と印刷経路センサー55との間の印刷経路センサー55近傍としてもよいし印刷経路センサー55で印刷媒体Pの先端を検出した位置としてもよい。印刷媒体Pの確認は、印刷経路センサー55での検出としてもよいし、中間ローラ44の駆動ステップ数から求めた搬送量により推定するものとしてもよい。この印刷媒体Pは、後述する搬送処理フラグ制御ルーチンにより、印刷経路センサー55の近傍まで搬送される。待機位置に印刷媒体Pがないときには、CPU22は、そのまま待機し、待機位置に印刷媒体Pがあるときには、所定の頭出し位置へ印刷媒体Pの先端を合わせるよう搬送する頭出し搬送を実行する(ステップS110)。なお、頭出し位置に印刷媒体Pが既にあるときには、この処理を省略する。
次に、CPU22は、次に搬送される印刷媒体Pの搬送目標位置を設定する(ステップS120)。この搬送目標位置は、搬送部40による印刷部31側へ搬送する目標の位置であり、例えば、先行する印刷媒体P1の後端から所定の頁間距離Xを離れた位置に設定されるものとする。この頁間距離Xは、例えば、搬送ずれなどが起きても先行する印刷媒体P1と重ならず、且つできるだけ印刷媒体P1,P2が近くに配置されるような値に経験的に定められている。続いて、キャリッジモータを駆動しキャリッジ32を所定の走査方向に移動させながらノズル34からインク吐出させる印刷処理を実行する(ステップS130)。ここでは、最大で1パスとなる印刷データを取得しこのデータに基づいてノズル34から各色のインクを吐出するものとする。次に、印刷すべき次のパスがあるか否かを判定する(ステップS140)。次のパスがあるときには、印刷ローラ48及び排紙ローラ49を回転させ、印刷媒体P1を間欠的に搬送すると共に、この搬送した距離を用いて次の印刷媒体P2の搬送目標位置を更新し(ステップS150)、ステップS130以降の処理を行う。例えば、1パス(例えば、ノズル列35の長さ)のインク吐出を行い、1パス分の距離、印刷媒体Pを搬送する処理を、次のパスがなくなるまで繰り返す。
一方、ステップS140で次のパスがないときには、CPU22は、現処理中の印刷媒体Pの印刷が終了したものとして、排紙処理を行う(ステップS160)。排紙処理では、連続して印刷ローラ48及び排紙ローラ49が搬送方向に回転するよう第2駆動モーター52を回転駆動するものとした。続いて、印刷すべき次頁があるか否かを判定し(ステップS170)、印刷すべき次頁がないときには、このルーチンを終了する。一方、印刷すべき次頁があるときには、次の印刷媒体P2の搬送目標位置を印刷経路38に変更し(ステップS180)、ステップS100以降の処理を繰り返し実行する。ここでは、印刷経路センサー55により印刷媒体Pを検出可能な待機位置を搬送目標位置に設定するものとする。例えば、印刷媒体Pの後端側に大きな余白がある画像を印刷する場合、後端まで印刷する場合に比して早期に排紙処理が実行される。このような排紙処理がなされたときに、例えば、印刷媒体Pの後端から所定の頁間距離の位置を順番に更新することもあり得るが、ここでは、すぐに待機位置を搬送目標位置とするため、より高速な印刷処理を行うことができる。このように、印刷処理ルーチンでは、次の印刷媒体P2の搬送目標位置を設定しながら、印刷処理を実行する。
次に、搬送経路50での印刷媒体Pの搬送処理について説明する。ここでは、特に、印刷経路38へ印刷媒体P1を搬送すると共に、次の印刷媒体P2を本体給紙カセット56から搬送経路50へ供給及び搬送を行うよう第1駆動モーター51を駆動する追付搬送処理について説明する。図4は、コントローラー21のCPU22により実行される搬送処理フラグ制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、フラッシュメモリー23に記憶されており、ユーザーが操作パネルを操作し、印刷処理の実行を指示したあと、第2駆動モーター52が駆動されるであろう駆動タイミングごとに、上記印刷処理ルーチンと同期して実行される。この印刷ローラ48の駆動タイミングは、後述する図5のタイムチャートで、第2駆動モーター52が+1になるタイミングに合わせた所定間隔に設定されている。
このルーチンを開始すると、CPU22は、追付状態フラグの状態を確認する(ステップS200)。この追付状態フラグFは、RAM24に格納されるフラグであり、現在の搬送経路50での搬送状態が「未実施」、「第1搬送モード」及び「第2搬送モード」のうちいずれかの情報を含むフラグである。ステップS200で、追付状態フラグFに未実施の情報がセットされているときには、先行する印刷媒体P1の下端が搬送ローラの最終ニップを超えているか否かを判定する(ステップS210)。ここでは、搬送ローラの最終ニップとして、中間ローラ44と第3従動ローラ47とのローラ対のニップを超えているか否かを判定するものとする。なお、印刷媒体P1の後端位置は、中間ローラ44や印刷ローラ48の駆動ステップ数によりカウントされRAM24に記憶されているものとする。
先行する印刷媒体P1の下端が搬送ローラの最終ニップを超えていないときには、そのままこのルーチンを終了する。ここで、「印刷媒体P1の下端が最終ニップを超えていないとき」には、印刷媒体P1がまだ第3従動ローラ47まで搬送されていないか、印刷媒体P1が第3従動ローラ47まで搬送されているがその後端が最終ニップまで来ていないか、のいずれかである。説明の便宜のためフローチャートから省略したが、1頁目の印刷媒体Pの搬送では、第1搬送モードを実行したのち第2搬送モードに切り替え、印刷媒体Pを待機位置まで直行させるものとする。具体的には、CPU22は、図示しない搬送処理ルーチンを実行しており、第1搬送モードを実行し、第1駆動モーター51を正回転させ、供給ローラ41、分離ローラ42及び中間ローラ44を回転させ印刷媒体Pを搬送経路50に供給搬送する。このとき、供給ローラ41などの回転ステップ数に応じて印刷媒体Pの先端の位置をカウントする。例えば、印刷媒体Pの搬送方向の長さが、供給ローラ41(又は分離ローラ42)、第1従動ローラ45及び第2従動ローラ46でニップ可能な長さであるときには、中間ローラ44のこの2つのローラ対でニップされたときに第1搬送モードを終了するものとする。また、印刷媒体Pの搬送方向の長さが、供給ローラ41(又は分離ローラ42)及び第1従動ローラ45のみでニップ可能な長さであるときには、中間ローラ44及び第1従動ローラ45の1つのローラ対でニップされたときに第1搬送モードを終了するものとする。なお、この場合、第1従動ローラ45が本発明の第1ローラに相当し、第2従動ローラ46が本発明の第2ローラに相当する。第1搬送モードの終了ののち、第1駆動モーター51を逆回転駆動し、中間ローラ44のみを回転して第2搬送モードを実行し、印刷媒体Pを待機位置まで搬送する。こうすれば、できるだけ多くの搬送ローラ対で印刷媒体Pを供給、搬送するため、リタードローラ43の負荷などの影響をできるだけ低減し、より安定した印刷媒体の搬送を実現することができる。
一方、ステップS210で先行する印刷媒体P1の下端が搬送ローラの最終ニップを超えたときには、追付状態フラグFに第1搬送の情報をセットし(ステップS220)、第1搬送モードを実行し(ステップS230)、このルーチンを終了する。ここで、第1搬送モードの実行は、上述したように、中間ローラ44での1以上のニップ位置まで印刷媒体Pが至るまで、第1駆動モーター51を連続して正回転させ、供給ローラ41、分離ローラ42及び中間ローラ44の回転を継続するものとする。
一方、ステップS200で追付状態フラグFに第1搬送の情報がセットされているときには、第1搬送モードが終了したか否かを判定する(ステップS240)。この判定は、上述したように、中間ローラ44の少なくとも1以上のローラ対で印刷媒体P2がニップされると、第1搬送モードが終了したと判定することができる。第1搬送モードが終了していないときには、第1搬送モードを継続し、そのままこのルーチンを終了する。一方、第1搬送モードが終了したときには、追付状態フラグFに第2搬送の情報をセットし(ステップS250)、搬送目標位置まで第2搬送モードを実行し(ステップS260)、このルーチンを終了する。第2搬送モードの実行は、印刷媒体の先端が、上述した印刷処理ルーチンで設定されている搬送目標位置に至るまで、第1駆動モーター51を連続して逆回転駆動して中間ローラ44の回転を継続するものとする。なお、印刷媒体P2の先端位置は、この中間ローラ44の回転ステップ数などに応じてカウントする。
一方、ステップS200で追付状態フラグFに第2搬送の情報がセットされているときには、第2搬送モードが終了したか否か、即ち、印刷媒体P2が搬送目標位置に到達したか否かを判定する(ステップS270)。この判定は、カウントしている印刷媒体P2の先端位置が、印刷処理ルーチンで設定されている搬送目標位置に達したか否かに基づいて行うことができる。印刷媒体P2が搬送目標位置に到達していないときには、そのままこのルーチンを終了する。即ち、第2搬送モードを継続する。一方、印刷媒体P2が搬送目標位置に到達したときには、追付状態フラグFに未実施の情報をセットし(ステップS280)、印刷処理の搬送とシンクロした搬送処理を実行し(ステップS290)、このルーチンを終了する。即ち、追付搬送において印刷媒体P2が搬送目標位置に到達すると、第2駆動モーター52の間欠駆動に合わて第1駆動モーター51を間欠駆動する。こうすれば、所定の頁間距離Xを維持しながら先行する印刷媒体P1のあとに印刷媒体P2を搬送することができる。なお、追付搬送を行った印刷媒体P2が待機位置に到達したときには、一旦、印刷媒体P2の搬送を停止してもよい。
ここで、追付搬送について、具体例を用いて説明する。図5は、印刷処理及び搬送処理の一例を示すタイミングチャートである。図6は、本体給紙カセット56からの追付搬送処理の説明図であり、図6(a)が印刷媒体P1の供給搬送(第1搬送モード)、図6(b)が印刷媒体P1の待機位置までの搬送(第2搬送モード)である。また、図6(c)が印刷媒体P1の頭出し搬送及び印刷媒体P2の供給搬送(第1搬送モードの追付搬送)、図6(d)が印刷媒体P1の印刷(搬送停止)及び印刷媒体P2の搬送(第2搬送モードの追付搬送)の説明図である。また、図6(e)が印刷媒体P1の印刷搬送及び印刷媒体P2のシンクロ搬送(第2搬送モード)の説明図である。まず、第1駆動モーター51を継続的に正回転させ第1搬送モードを実行し、供給ローラ41、分離ローラ42及び中間ローラ44を回転させ、1頁目の印刷媒体P1の供給搬送を行う(図6(a))。印刷媒体P1が中間ローラ44に1以上ニップされると、第1駆動モーター51を逆回転し第2搬送モードに切り替え、供給ローラ41及び分離ローラ42を空転させると共に中間ローラ44を回転させ、印刷媒体P1を待機位置まで搬送する(図6(b))。また、印刷媒体P1が印刷ローラ48と中間ローラ44とにニップされているときには、第2搬送モードで第1駆動モーター51を駆動する。次に、第2駆動モーター52を駆動し、印刷ローラ48及び印刷媒体P1を回転させ、頭出し位置まで印刷媒体P1搬送する(図6(c))。このとき、図6(c)及び図5に示すように、印刷媒体P1の後端が搬送ローラの最終ニップを外れると(時間t1)、第1駆動モーター51を継続的に正回転させ第1搬送モードを継続的に実行し、印刷媒体P1の後端に追い付くよう印刷媒体P2の供給搬送を開始する(追付搬送)。先行する印刷媒体P1の印刷搬送速度は、間欠的に印刷媒体P1を搬送するため、これに比して追付搬送速度は大きなものとなる。先行する印刷媒体P1の印刷処理が継続されているときに、印刷媒体P2が中間ローラ44に1以上ニップされると、第1駆動モーター51を逆回転し第2搬送モードに切り替え(時間t2)、印刷媒体P1の後端から所定の頁間距離Xを搬送目標位置として、中間ローラ44を回転させる(図6(d))。このとき、印刷媒体P1は間欠的に搬送されているから、連続搬送される印刷媒体P2は、印刷媒体P1の後端に近づく。そして、印刷媒体P2が搬送目標位置に到達すると(時間t3)、第2搬送モードのまま、第2駆動モーター52の駆動とシンクロした搬送を行うよう第1駆動モーター51を駆動する。このように、印刷経路38側と搬送経路50側とで別々に印刷媒体Pを搬送することができ、印刷媒体の頁間距離をできるだけ短縮することができる。
次に、増設カセット60からの追付搬送について説明する。ここでは、コントローラー21は、増設カセット60の増設モーターをも駆動し、次の印刷媒体P2を増設カセット60から搬送経路50へ供給及び搬送を行うよう増設供給ローラ61、分離ローラ62、増設ローラ65及び第1駆動モーター51を駆動する追付搬送を実行する。増設カセット60からの印刷媒体Pの供給は、増設ローラ65による搬送と中間ローラ44による搬送とが行われるが、増設カセット60からは、供給センサー54の検出信号をチェックできない構成となっている。したがって、増設カセット60からの搬送では、増設カセット60から供給センサー54までは増設モーターに基づく搬送ステップ数により印刷媒体P2の位置を推定し、供給センサー54に至ったあとは、増設モーターに基づく搬送ステップ数と第1駆動モーター51に基づく搬送ステップ数とにより増設モーター及び第1駆動モーター51を駆動する。なお、増設モーターに基づく搬送ステップ数は、増設モーターの駆動ステップ数としてもよいし、増設供給ローラ61などのローラの回転ステップ数としてもよい。また、第1駆動モーター51に基づく搬送ステップ数は、第1駆動モーター51の駆動ステップ数としてもよいし、中間ローラ44の回転ステップ数としてもよい。図7は、増設搬送処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。図8は、増設カセット60から印刷媒体P2を搬送する説明図である。増設搬送処理ルーチンは、フラッシュメモリー23に記憶されており、ユーザーが操作パネルを操作し、増設カセット60を指定した印刷処理を指示したあと実行される。
このルーチンを開始すると、CPU22は、増設カセット60の増設モーターによる印刷媒体Pの搬送速度Vaと、搬送される印刷媒体Pの先端から供給センサー54までの搬送距離Laとによる到達時間tで増設モーターの目標搬送ステップ数を設定する(ステップS300)。次に、目標搬送ステップ数に基づき、図示しない増設モーターを回転駆動し、増設供給ローラ61、分離ローラ62及び増設ローラ65を回転させ、その回転ステップ数に基づいて搬送ステップ数(搬送距離)をカウントする(ステップS310)。次に、供給センサー54で印刷媒体Pの先端が検出されたか否かを判定する(ステップS320)。先端が検出されていないときには、印刷媒体Pの先端はまだ供給センサー54まで到達していないものとみなし、ステップS310以降の処理を行う。即ち、増設モーターの回転駆動を継続する。このとき、例えば、印刷媒体Pの搬送方向の長さが、増設供給ローラ61(又は分離ローラ62)、増設ローラ65及び第1従動ローラ45でニップ可能な長さであるときには、増設ローラ65及び第1従動ローラ45の2つのローラ対でニップされたときに増設供給ローラ61及び分離ローラ62の回転を空転に切り替えるものとする。また、印刷媒体Pの搬送方向の長さが、増設供給ローラ61(又は分離ローラ62)及び増設ローラ65のみでニップ可能な長さであるときには、増設ローラ65の1つのローラ対でニップされたときに増設供給ローラ61及び分離ローラ62の回転を空転に切り替えるものとする。なお、この場合、増設ローラ65が本発明の第1ローラに相当し、第1従動ローラ45が本発明の第2ローラに相当する。
一方、ステップS320で印刷媒体Pの先端が検出されたときには、供給センサー54から第1ニップである第1従動ローラ45のニップ点までの搬送距離Lbと増設モーターによる搬送速度Vaとに基づく搬送ステップ数Snと、第1従動ローラ45のニップ点から搬送目標位置までの搬送距離Ltと第1駆動モーター51による搬送速度Vbとに基づく搬送ステップ数Sbとにより目標搬送ステップ数を設定する(ステップS330)。続いて、設定した目標搬送ステップ数に基づき増設モーターと第1駆動モーター51とを回転駆動し、その回転ステップ数に基づいて搬送ステップ数(搬送距離)をカウントする(ステップS340)。そして、搬送ステップが終了したか否かを印刷媒体Pが印刷経路センサー55で検出されたか否かに基づいて判定し(ステップS350)、搬送ステップが終了していないときにはステップS330以降の処理を実行する。このとき、上述した印刷処理ルーチンにより、搬送目標位置が更新されるから、ステップS330で目標搬送ステップ数を更新するのである。ステップS350で搬送ステップが終了したときには、そのままこのルーチンを終了する。このようにすれば、増設カセット60側で印刷媒体Pの先端位置を把握できなくても、より確実に印刷媒体Pの受け渡しを行うことができる。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のコントローラー21が本発明の制御部に相当し、供給ローラ41、分離ローラ42及び増設供給ローラ61、分離ローラ62が供給ローラに相当し、中間ローラ44、第1従動ローラ45、第2従動ローラ46、第3従動ローラ47及び増設ローラ65が搬送ローラに相当し、印刷ローラ48が印刷ローラに相当し、第1駆動モーター51が第1モーターに相当し、第2駆動モーター52が第2モーターに相当する。また、増設供給ローラ61が増設供給ローラに相当し、増設カセット60が増設収容部に相当する。
以上詳述した本実施形態のプリンター10によれば、印刷経路38では間欠搬送する印刷搬送速度で印刷ローラ48及び排紙ローラ49により印刷媒体P1の搬送を行うよう第2駆動モーター52を駆動する印刷搬送と、先行搬送する印刷媒体P1の後端位置が搬送ローラから外れたあと、次の印刷媒体P2を本体給紙カセット56から搬送経路50へ供給及び搬送を行うよう第1駆動モーター51を駆動する追付搬送とを実行する。例えば、印刷ローラ48と搬送ローラ(中間ローラ44)とがギヤなどで接続されていたり、更に供給ローラ41や分離ローラ42がギヤなどで接続されている場合などには、搬送経路50での負荷の影響(例えばリタードローラ43の負荷)などが印刷経路38での印刷媒体の搬送に影響する場合がある。ここでは、第1駆動モーター51は供給ローラ41、分離ローラ42及び中間ローラ44(搬送ローラ)を駆動し、第2駆動モーター52は印刷ローラ48及び排紙ローラ49を駆動する構成をとっており、印刷経路38での搬送と、搬送経路50での搬送とを分けて行うことができるため、例えば、印刷中に搬送経路50での負荷の影響を防止でき、印刷媒体の搬送精度の低下をより低減することができる。また、このような構成では、先行する印刷媒体P1が搬送ローラから外れたあとは自由に供給ローラ41や搬送ローラを回転可能であるから、先行する印刷媒体P1の方へ次の印刷媒体P2を搬送することができ、印刷媒体の搬送間隔をより短縮することができる。このため、安定した搬送と共により高速な印刷を実現することができる。
また、第2駆動モーター52による印刷搬送速度よりも速い追付速度で追付搬送を実行するため、より印刷搬送速度よりも速い速度により、印刷媒体同士の距離を縮めやすい。更に、印刷搬送された印刷媒体P1の後端位置から所定の頁間距離Xを離れた位置に追付搬送の搬送目標位置を設定し、搬送目標位置を用いて追付搬送を実行するため、搬送目標位置を用いて、所定の頁間距離になるように、印刷媒体の搬送間隔をより短縮することができる。更にまた、印刷搬送時には第2駆動モーター52の間欠駆動を行い、追付搬送の印刷媒体P2の搬送目標位置を第2駆動モーター52の駆動時に更新し、この搬送目標位置を用いて追付搬送を実行するため、先行する印刷媒体P1に合わせて、より早期のタイミングで印刷媒体P2の搬送間隔を短縮することができる。このとき、追付搬送において印刷媒体が搬送目標位置に到達すると、第2駆動モーター52の間欠駆動に合わて第1駆動モーター51を間欠駆動するため、次の印刷媒体P2をそのまま印刷処理に移行することができる。そして、追付搬送中に印刷搬送50での印刷処理が終了したときには、追付搬送の印刷媒体P2の搬送目標位置を印刷経路37(供給センサー54位置)に変更し追付搬送を実行するため、先行する印刷媒体P1の排紙搬送に合わせて、より早期のタイミングで印刷媒体P2を印刷経路38に搬送することができ、より高速な印刷を行うことができる。
また、供給ローラ41と中間ローラ44とを回転させ印刷媒体Pの供給及び搬送を実行する第1搬送モードと、中間ローラ44のみを回転させ印刷媒体Pの搬送を実行する第2搬送モードと、を切り替えるため、第1搬送モードと第2搬送モードとの切り替えを利用して、印刷媒体Pをより安定した状態で搬送することができる。更に、第1駆動モーター51の回転方向に応じて、供給ローラ41、分離ローラ42と中間ローラ44とを回転させるか、中間ローラ44のみを回転させるかを切り替えるギヤ機構53を備え、第1駆動モーター51の所定方向の回転により第1搬送モードを実行し、第1駆動モーター51の逆回転により第2搬送モードを実行するため、比較的簡便な構造により、搬送モードを切り替えることができる。更にまた、印刷媒体Pの供給時に、2つのローラ対で印刷媒体Pをニップするまで供給ローラ41や増設供給ローラ61を回転させるため、印刷媒体Pをより安定した状態で搬送することができる。そしてまた、印刷媒体Pの搬送方向の長さが所定値以上であるときには2つのローラ対で印刷媒体をニップするまで供給ローラ41又は増設供給ローラ61を回転させ、印刷媒体Pの搬送方向の長さが所定値未満であるときには1つのローラ対で印刷媒体をニップするまで供給ローラ41又は増設供給ローラ61を回転させる。このため、印刷媒体の搬送方向の長さに応じて適切に安定した状態で印刷媒体を搬送することができる。
また、増設カセット60からの印刷媒体Pの供給時に、印刷媒体Pの搬送精度の低下をより低減しつつ、印刷媒体Pの搬送間隔をより短縮することができる。このとき、増設供給ローラ61及び第1従動ローラ45の間に配設された供給センサー54と印刷媒体Pの先端との搬送距離Laと、増設モーターによる印刷媒体Pの搬送速度Vaとに基づいて印刷媒体Pの供給センサー54までの目標搬送ステップ数を設定する。また、供給センサー54に印刷媒体Pが至ったあとは、供給センサー54から第1従動ローラ45のニップまでの搬送距離Lbと増設モーターによる搬送速度Vaとに基づく搬送ステップ数Snと、第1従動ローラ45のニップから搬送目標位置までの搬送距離Ltと第1駆動モーター51による搬送速度Vbとに基づく搬送ステップ数Sbとにより目標搬送ステップ数を設定する。そして、設定した目標搬送ステップに基づき増設モーターと第1駆動モーター51とを駆動するため、増設カセット60からの印刷媒体Pの供給時に、より確実に増設カセット60から本体側に印刷媒体Pを受け渡すことができる。また、増設カセット60からの印刷媒体Pの供給時に、追付搬送を実行することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、印刷媒体Pの後端位置から所定の頁間距離Xを離れた位置に追付搬送の印刷媒体Pの搬送目標位置を設定し、搬送目標位置を用いて追付搬送を実行するものとしたが、追付搬送による印刷媒体P2が印刷媒体P1に干渉しないものとすれば、特にこれに限定されない。
上述した実施形態では、印刷搬送時には第2駆動モーター52の間欠駆動を行い、追付搬送の印刷媒体Pの搬送目標位置を第2駆動モーター52の駆動時に更新するものとしたが、特にこれに限定されず、ルーチンの繰り返しをこれよりも高い頻度にしてもよいし、これよりも低い頻度にしてもよい。こうしても、印刷媒体Pの搬送精度の低下をより低減しつつ、印刷媒体Pの搬送間隔をより短縮することができる。
上述した実施形態では、追付搬送において印刷媒体P2が搬送目標位置に到達すると、第2駆動モーター52の間欠駆動に合わて第1駆動モーター51を間欠駆動するものとしたが、特にこれに限定されず、第1駆動モーター51を第2駆動モーター52に合わせた駆動を行わなくてもよい。こうしても、印刷媒体Pの搬送精度の低下をより低減しつつ、印刷媒体Pの搬送間隔をより短縮することができる。
上述した実施形態では、追付搬送中に印刷搬送での印刷処理が終了したときには、追付搬送の印刷媒体Pの搬送目標位置を供給センサー54の配置位置に変更するものとしたが、特にこれに限定されず、例えば、印刷経路38側にある位置であれば、搬送経路50の所定位置であってもよいし、待機位置としてもよい。こうしても、印刷媒体Pの搬送精度の低下をより低減しつつ、印刷媒体Pの搬送間隔をより短縮することができる。
上述した実施形態では、第1搬送モードと第2搬送モードとを切り替えるものとしたが、特にこれに限定されず、例えば、供給ローラ41や分離ローラ42をクラッチにより空転させたり、供給ローラ41や分離ローラ42を印刷媒体P上から退避させるものとしてもよい。また、ギヤ機構53を用い、第1駆動モーター51の回転方向により第1搬送モードと第2搬送モードとを切り替えるものとしたが、印刷媒体Pの供給及び搬送を実行することと、搬送のみを実行することとを切り替えるものとすれば、特にこれに限定されない。
上述した実施形態では、増設カセット60を備えるものとしたが、特にこれに限定されず、第2増設カセットなど、他の増設カセットを備えるものとしてもよい。この場合においても、他の増設カセットについても増設カセット60と同様の処理を行うものとすればよい。あるいは、この増設カセット60を省略してもよい。
上述した実施形態では、コントローラー21を備えるものとしたが、これを省略したプリンターユニット30としてもよい。