JP6135289B2 - 自律移動体の移動制御装置、自律移動体、及び自律移動体の制御方法 - Google Patents
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Description
特許文献1の自律移動体は、自律移動体の並進に関するポテンシャルと、回転に関するポテンシャルとを用いて、障害物を回避する。
本発明の一見地に係る自律移動体の移動制御装置は、移動部と、障害物を検出する検出部とを備え、予め作成した予定走行経路を再現するように移動する自律移動体の移動制御装置である。
自律移動体の移動制御装置は、演算部と、判断部と、移動制御部と、を備える。演算部は、自律移動体の現在位置と、現在位置から所定の距離を走行した位置である将来位置までの走行経路を表す走行経路情報と、自律移動体を内包した所定の形状を有する自律移動体領域と、に基づいて、現在位置から将来位置までの予想走行軌跡を演算する。判断部は、検出部が検出した障害物と予想走行軌跡とが互いに干渉するか否かを判断する。移動制御部は、判断部において障害物と予想走行軌跡とが干渉しないと判断された場合、演算部により演算された予想走行軌跡を再現するように移動部を制御する移動指令を作成する。
これにより、演算部は、自律移動体の形状や姿勢を考慮してより正確な予想走行軌跡を作成できる。その結果、判断部は、障害物と自律移動体とが互いに干渉するかどうかをより確実に判断できる。
これにより、自律移動体が予定走行経路から多少ずれた位置にあっても、自律移動体は、この位置のずれを補正して予定走行経路を忠実に走行できる。
自律移動体の制御方法は以下のステップを含む。
◎自律移動体の現在位置と、現在位置から所定の距離を走行した位置である将来位置までの走行経路を表す走行経路情報と、自律移動体を内包した所定の形状を有する自律移動体領域と、に基づいて、現在位置から将来位置までの予想走行軌跡を演算するステップ。
◎検出部が検出した障害物と予想走行軌跡とが干渉するか否かを判断するステップ。
◎障害物と予想走行軌跡とが干渉しないと判断された場合、演算された予想走行軌跡を再現するように移動部を制御するステップ。
(1)自律移動体の全体構成
まず、本実施形態に係る自律移動体の全体構成を図1を用いて説明する。図1は、自律移動体の構成を示す図である。本実施形態の自律移動体100は、ユーザにより教示された経路(予定走行経路)を再現しながら、自律して走行可能な移動体である。
自律移動体100は、移動部1と、移動制御装置2と、検出部3と、操作部5と、備える。移動部1は、自律移動体100を移動させる。検出部3は、移動制御装置2に接続されている。そして、検出部3は、障害物S(後述)を検出し、障害物Sの位置情報を移動制御装置2に出力する。操作部5は、自律移動体100の本体7に、取付部材9を介して固定されている。また、操作部5は、移動制御装置2に信号の送受信が可能なように接続されている。操作部5は、ユーザが自律移動体100に予定走行経路を教示する(教示モード)とき、ユーザにより操作される。これにより、自律移動体100の走行モードが教示モードのときに、自律移動体100は、ユーザによる操作部5の操作に基づいて制御される。また、操作部5は、自律移動体100の各種設定を行う。
なお、自律移動体100の前方は、操作部5が取り付けられた側とは反対側であるとする。
また、移動制御装置2は、障害物Sの位置情報を把握する。そして、移動制御装置2は、障害物Sの位置情報に基づき、障害物Sと自律移動体100とが干渉するかどうかを判定する。
なお、自律移動体100の移動部1、移動制御装置2、検出部3、及び操作部5の構成の詳細については、後述する。
なお、移動部1が2以上の車輪を有する場合など、移動部1自体が自律移動体100を安定に走行できる構造を有している場合には、補助輪部8は無くてもよい。
次に、移動部1の構成について図1を用いて詳細に説明する。移動部1は、2つの主輪11a、11bと、2つのモータ13a、13bと、を有する。本実施形態の移動部1においては、それぞれの主輪11a、11bは独立に回転可能である。このような構成の移動部1においては、主輪11aと11bの回転数に差を生じさせることにより、自律移動体100の姿勢(後述)を変化させる。
主輪11a、11bは、それぞれ、モータ13a、13bの出力回転軸に接続されている。これにより、主輪11aはモータ13aの回転に従って回転し、主輪11bはモータ13bの回転に従って回転する。
モータ13a、13bとしては、サーボモータやブラシレスモータなどの電動モータを用いることができる。
次に、検出部3の構成を図1を用いて説明する。検出部3は、自律移動体100の走行経路(図11A)周辺の障害物Sを検出し、障害物Sの位置情報を出力する。そのため、検出部3は、前方検出器31と、後方検出器33と、を有する。前方検出器31は、自律移動体100の前方にある障害物Sを検出する。後方検出器33は、自律移動体100の後方にある障害物Sを検出する。また、前方検出器31と後方検出器33は、自律移動体100と障害物Sとの間の距離や、自律移動体100から見た障害物Sが存在する方向に関する情報などを含む信号を出力する。これにより、検出部3は、自律移動体100からみた障害物Sの相対的な位置情報を、移動制御装置2に出力できる。
検出部3の前方検出器31及び後方検出器33としては、例えば、レーザレンジファインダ(Laser Range Finder、LRF)などを用いることができる。
次に、操作部5の構成を図2を用いて説明する。図2は、操作部5の構成を示した図である。操作部5は、操作ハンドル51a、51bと、設定部53と、表示部55と、インターフェース57と、を備える。
操作ハンドル51a、51bは、それぞれ、操作部5の筐体59の左右に回動可能に取り付けられている。また、操作ハンドル51a、51bは、インターフェース57と接続されている。これにより、操作ハンドル51a、51bの回動量(操作量)は、インターフェース57において電気信号に変換され、移動制御装置2に入力される。
このため、自律移動体100の走行モードが教示モードであるとき、ユーザは、操作ハンドル51a、51bの回動量を適切に調節して、自律移動体100を操作できる。
なお、本実施形態における操作ハンドル51a、51bは、スロットルタイプの操作ハンドルであるがこれに限られない。自律移動体100の用途や操作性などを考慮して、スロットルタイプ以外の操作ハンドル51a、51bを用いることもできる。
従って、インターフェース57としては、操作ハンドル51a、51bの回動量や設定部53における設定状態を電気信号に変換する信号変換器と、表示部55に情報を表示するための表示部駆動回路と、移動制御装置2と信号を送受信するための通信インターフェースと、などを備えたマイコンボードなどを用いることができる。
I.移動制御装置の全体構成
次に、移動部1の移動制御装置2の全体構成について図3を用いて説明する。図3は、移動制御装置2の全体構成を示す図である。
なお、移動制御装置2は、CPU(Central Processing Unit)、ハードディスク装置、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、記憶媒体読み出し装置などの記憶装置、信号変換を行うインターフェースなどを備えたマイコンシステムなどにより、実現できる。また、以下に示す移動制御装置2の各部の機能の一部又は全部は、プログラムとして実現されていてもよい。さらに、当該プログラムは、マイコンボードの記憶装置に記憶されていてもよい。又は、移動制御装置2の各部の機能の一部又は全部は、カスタムICなどにより実現されていてもよい。
移動制御装置2は、教示部21と、自己位置推定部22と、記憶部23と、走行制御部24と、モータドライブ部25と、障害物情報取得部26と、を有する。
自己位置推定部22は、検出部3において取得された自律移動体100からみた障害物Sの相対的な位置情報を、移動座標上の座標値へと変換する。そして、検出部3の前方検出器31及び後方検出器33が検出した障害物Sの位置情報に基づいて、自律移動体100の周囲の移動平面の地図情報(ローカルマップと呼ぶことにする)を作成する。また、自己位置推定部22は、移動平面の地図情報(環境地図と呼ぶことにする)を記憶部23に記憶している。そして、自己位置推定部22は、環境地図とローカルマップとを比較して、自律移動体100が移動平面のどの位置に存在するかを推定する。
さらに、自己位置推定部22は、モータ13a、13bの回転数に基づいても、自律移動体100の位置を推定できるようになっていてもよい。
一方、走行モードが自律走行モードのときは、走行制御部24は、移動部1を制御する移動指令を作成する。そして、走行制御部24は、作成された移動指令に基づいて、モータドライブ部25を制御する。
なお、走行制御部24の詳細な構成及び動作については、後述する。
本実施形態のモータドライブ部25は、2つのモータドライバ25a、25bを有する。モータドライバ25a、25bは、それぞれ、モータ13a、13bに接続されている。これにより、モータドライバ25a、25bは、走行制御部24により作成された移動指令に基づき、モータ13a、13bを、それぞれ独立に制御する。
モータドライバ25a、25bとしては、モータ13a、13bの種類に応じて、適切なモータ駆動装置を用いることができる。
次に、走行制御部24の構成について図4を用いて説明する。図4は、走行制御部24の構成を示す図である。走行制御部24は、演算部241と、判断部243と、移動制御部245と、を有する。
演算部241は、自律移動体100の現在位置と、走行経路情報Tnと、自律移動体領域Aとに基づいて、予想走行軌跡Tを演算する。ここで、予想走行軌跡Tとは、自律移動体100が自律走行モードにおいて走行するときに、自律移動体領域Aが描くと予想される軌跡のことを言う。
自律移動体領域Aを楕円により定義することにより、より少ない演算により、障害物Sと自律移動体100とが互いに干渉するかどうかを判断できる。
なお、上記のように、自律移動体領域Aは自律移動体100の形状に基づいて定義される。そのため、本実施形態においては、自律移動体領域Aは予め定義されて、移動制御装置2の記憶部23に記憶されている。
このように、自律移動体領域Aに異方性を持たせ、走行経路情報Tnに自律移動体100の姿勢情報を含めることにより、演算部241は、自律移動体100の形状や姿勢を考慮してより正確な予想走行軌跡を作成できる。
一方、判断部243において障害物Sと予想走行軌跡とが干渉すると判断された場合、移動制御部245は、障害物Sと自律移動体100との衝突を避ける障害物衝突回避動作を行うための移動指令を作成する。
このような移動指令により、自律移動体100は、障害物Sと自律移動体100とが衝突しない範囲にて、できる限り走行経路を走行できる。これにより、自律移動体100は、障害物Sに衝突することなく、より忠実に走行経路を走行できる。
次に、演算部241の構成の詳細について図7を用いて説明する。図7は演算部241の構成を示す図である。演算部241は、ベース点生成部2411と、回転自律移動体領域生成部2413と、予想走行軌跡生成部2415と、を有する。
ベース点生成部2411は、走行経路情報の位置情報として、走行経路上に複数のベース点Bを生成する。ベース点Bは走行経路上に複数個配置されるものであるので、ベース点は、自律移動体100が現在位置から将来位置まで移動するときの、通過目標点であると言える。
配置したベース点Bに時間に関する情報を関連付けることにより、走行制御部24の移動制御部245は、より単純な演算によりに移動指令を作成できる。また、走行経路情報を離散的な情報(配列)として表現できるので、走行経路情報の構造を単純化できる。
本実施形態においては、ベース点Bにおける自律移動体100の姿勢情報θは、自己位置推定部22が記憶している環境地図とローカルマップとをマッチングさせることにより得られる。つまり、環境地図とローカルマップが一致(マッチング)するために、ローカルマップ、又は、環境地図を回転した回転角から姿勢情報θが得られる。しかし、これに限られず、隣接した2つの第1ベース点と第2ベース点(自律移動体100は、第1ベース点から第2ベース点へと移動するものとする)を結ぶ線と、移動座標のx軸(水平軸)とがなす角度を、第1ベース点における自律移動体100の姿勢情報としてもよい。これにより、より単純な演算で回転自律移動体領域を生成できる。
次に、ベース点生成部2411の構成について図8を用いて説明する。図8はベース点生成部2411の構成を示す図である。ベース点生成部2411は、目標点抽出部2411−1と、目標点選択部2411−3と、算出部2411−5と、ベース点配置部2411−7と、を有する。
目標点抽出部2411−1は、走行目標点のうち、現在位置よりも予定走行経路において前方に存在する所定の数の走行目標点(前方走行目標点という)を抽出する。目標点選択部2411−3は、自律移動体100の現在位置を中心とする所定の半径を有する円C1(図13B)内に含まる前方走行目標点のうち、現在位置から最短の位置にある走行目標点(第1走行目標点P1(図13B)という)と、円C1の外側に存在する前方走行目標点のうち、現在位置から最短の距離にある走行目標点(第2走行目標点P2(図13B)という)を抽出する。
このような構成を有したベース点生成部2411により、自律移動体100が予定走行経路から多少ずれた位置にあっても、自律移動体100は、この位置のずれを補正して、予定走行経路をより忠実に走行できる。
なお、このような構成を有したベース点生成部2411における、具体的なベース点Bの生成方法については、後述する。
I.自律走行動作
次に、自律移動体100の自律走行動作について図9を用いて説明する。図9は、自律移動体100の自律走行動作を示すフローチャートである。
自律移動体100が自律走行モードによる自律走行を開始すると、まず、検出部3が、障害物Sを検出する(ステップS1)。具体的には、検出部3の前方検出器31及び後方検出器33から出力される信号から、障害物情報取得部26が障害物Sの位置情報を取得する。そして、取得した障害物Sの位置情報を記憶部23に記憶する。
このとき、障害物Sの検出と同時に、障害物Sの位置情報に基づいて、自己位置推定部22が、移動座標上における自律移動体100の現在位置(自律移動体100が自律走行を開始する位置の情報に対応)を取得する。そして、自律移動体100の現在位置を記憶部23に記憶する。
そして、障害物Sと予想走行軌跡Tとが互いに干渉しないと判断された場合(ステップS3にて「No」の場合)、移動制御装置2が、予想走行軌跡Tを再現するように移動部1を制御する(ステップS4)。具体的には、移動制御部245が、予想走行軌跡Tを再現するような移動指令を作成する。そして、モータドライブ部25が、移動制御部245において生成された移動指令に基づき、モータ13a、13bを制御する。
これにより、自律移動体100は、障害物Sを回避するための無駄な動作をすることなく、予想走行軌跡T(走行経路)を忠実に走行できる。
このような移動指令により、自律移動体100は、障害物Sと自律移動体100とが衝突しない範囲にて、できる限り走行経路を走行できる。これにより、自律移動体100は、障害物Sに衝突することなく、より忠実に走行経路を走行できる
なお、この場合、ステップS5又はステップS3において、判断部243は、自律移動体領域Aが予想走行軌跡Tのどの位置において障害物Sと干渉するかについての情報を取得する。これにより、走行制御部24は、自律移動体100がどの位置まで障害物Sと衝突することなく移動できるかを把握できる。
以上に述べたように、自律移動体100の移動制御装置2は、図9のステップS3において、自律移動体100と障害物とが衝突するかどうかを、予想走行軌跡と障害物とが互いに干渉するか否かにより判断することにより、その障害物に対して衝突回避行動を取るべきかどうかを判断している。これにより、自律移動体100が障害物に対して回避行動を取るかどうかを、より高い確度で判断できる。その結果、自律移動体100は、無駄な障害物の回避行動を行うことなく、ユーザにより教示された予定走行経路を忠実に走行できる。
II−1.予想走行軌跡生成方法
次に、自律走行動作を示すフローチャート(図9)のステップS2における、予想走行軌跡Tの生成方法について図10〜図11Cを用いて説明する。図10は、予想走行軌跡Tの生成方法を示すフローチャートである。
予想走行軌跡Tの生成を開始すると、演算部241は、まず、自律移動体100の現在位置、予定走行経路、及び自律移動体領域Aを記憶部23から読み出す(ステップS21〜S23)。
ステップS24において生成される走行経路及びベース点を模式的に示した図を図11Aに示す。図11Aにおいて、太い実線にて示されるのが走行経路である。太い実線にて示された走行経路上に配置された8つの丸点がベース点B1、B2、・・・B8である。本実施形態においては、一般的なベース点Bnは、移動座標上の座標値(xn,yn)(n:整数)として表現される。
ここで、ベース点Bnに、自律移動体100が移動を開始してからの経過時間としてtnを関連付ける。そして、経過時間tnを関連付けたベース点Bnを、走行経路情報Tn(n=1〜8)とする。従って、走行経路情報Tnは、この時点において、時間の情報を含めて、(xn,yn,tn)と3次元的な値として表現できる。
ステップS25における、回転自律移動体領域の生成を模式的に示した図を図11Bに示す。図11Bに示すように、ベース点Bnのそれぞれにおいて、自律移動体領域Aの基準軸(自律移動体領域A中の点線矢印)が、移動座標の水平軸(x軸)に対して傾いた角度θnが、ベース点Bnにおける姿勢情報として生成されている。
ステップS26における、予想走行軌跡Tの生成を模式的に示した図を図11Cに示す。図11Cに示すように、ベース点Bnのそれぞれに、対応する回転自律移動体領域を配置することにより、予想走行軌跡Tが生成される。図11Cに示すように、予想走行軌跡Tは、移動座標上において平面状となっている。なぜなら、自律移動体領域Aが、移動座標上において平面状であるからである。なお、図11Cに示すような平面状の予想走行軌跡Tを、移動座標のx及びyの関数として表現すると非常に複雑な式となってしまう。また、予想走行軌跡Tを移動座標の座標値により表現すると、非常に多くの座標値(データ量)を必要とする。
次に、予想走行軌跡Tの生成におけるベース点Bの生成方法を、図12〜図13Eを用いて説明する。図12は、本実施形態における、ベース点生成ステップ(ステップS24)におけるベース点生成方法を示すフローチャートである。
ここでは、図13Aに示すように、自律移動体100の自律移動体領域Aの中心Vの現在位置が予定走行経路からずれている場合について説明する。
ベース点生成部2411がベース点Bの生成を開始すると、まず、目標点抽出部2411−1が、前方走行目標点を所定の数、抽出する(ステップS241)。ここで、前方走行目標点とは、自律移動体100の現在位置よりも進行方向前方に存在する走行目標点のことである。図13Aにおいては、点線にて示した走行目標点P0以外の走行目標点が抽出される。
本実施形態における楕円形の自律移動体領域Aの場合は、所定の半径rは、楕円形の短径Wよりも小さい値とする。所定の半径rを、自律移動体領域Aの中心Vから境界までの距離よりも小さい値とすることにより、自律移動体100が所定の半径rの円C1中の走行目標点を通過したとみなせる。また、自律移動体100は、走行目標点からずれた位置から、より早く走行目標点に復帰できる。これにより、自律移動体100は、走行目標点を忠実に再現した走行経路を忠実に走行できる。
次に、上述の自律走行動作における、障害物Sと予想走行軌跡Tとの干渉の判断方法について、図14〜図15Eを用いて説明する。図14は、障害物Sと予想走行軌跡Tとの干渉の判断方法を示したフローチャートである。図14に示す、障害物Sと予想走行軌跡Tとが干渉するかどうかの判断は、走行経路情報Tnに表現された位置情報(ベース点Bの座標に対応)において、障害物Sが自律移動体領域Aと重なるかどうか判定することにより行う。判断部243は、障害物Sが自律移動体領域Aと重なっていれば、障害物Sと自律移動体領域Aとが互いに干渉していると判断する。すなわち、判断部243は、その場合に、障害物Sと予想走行軌跡Tとが互いに干渉していると判断する。
一方、判断部243は、全てのベース点Bにおいて障害物Sが自律移動体領域Aと重なっていなければ、障害物Sと自律移動体領域Aとは干渉していないと判断する。すなわち、判断部243は、その場合に、障害物Sと予想走行軌跡Tとは互いに干渉していないと判断する。
まず、判断部243は、移動座標を、ベース点Bに配置された自律移動体領域Aの中心Vが原点となるような座標系に変換する(ステップS31)。変換後の座標系を第2移動座標と呼ぶことにする。
距離dが自律移動体領域Aの円の半径よりも大きい場合、すなわち、自律移動体領域Aと障害物Sとが重ならない場合(ステップS34にて「Yes」の場合)には、自律移動体領域Aは障害物Sと干渉しないと判断される。そして、ステップS35に進む。
一方、距離dが自律移動体領域Aの円の半径よりも小さい場合、すなわち、自律移動体領域Aと障害物Sとが重なる場合(ステップS34にて「No」の場合)には、自律移動体領域Aは障害物Sと干渉すると判断される。あるベース点Bにおいて、自律移動体領域Aが障害物Sと干渉すると判断されたら、その時点で、他のベース点における判断を行うことなく。予想走行軌跡Tが障害物Sと干渉すると判断される(ステップS36)。そして、判断部243は、予想走行軌跡Tと障害物Sとの干渉の判定を終了する。
この場合、例えば、自律移動体領域Aと障害物Sとが干渉するベース点Bmよりも、自律移動体100の進行方向において後ろのベース点Bm−1までは減速して移動するなどの障害物衝突回避行動を実行できる。その結果、自律移動体100は、障害物Sに衝突することなく、より忠実に走行経路を走行できる。
ここで、例として、走行経路情報T6(x6,y6,t6,θ6)の位置情報にて表現される座標(ベース点B6とも言い換えられる)における、自律移動体領域Aと障害物S1〜S6との干渉の判断方法について述べることにする。ここで、自律走行動作の障害物検出ステップ(図9のステップS1)において、6つの障害物S1〜S6が、図15Aに示すような位置において検出されたとする。
なお、他の走行経路情報Tnの位置情報にて表現される座標については、以下と同様に説明できるので、省略する。
上記のように移動座標が平行移動されると、障害物S1〜S6も、移動座標上の座標から、x軸方向に−x6、垂直軸(y軸)方向に−y6だけ平行移動されて第2移動座標上に配置される。第2移動座標上の自律移動体領域Aと障害物S1〜S6の配置を図15Cに示す。
上記のように、第2移動座標が時計回りにθ6回転されると、障害物S1〜S6も、第2移動座標の原点の中心を通る法線軸周りに、時計回りにθ6だけ回転されて第3移動座標上に配置される。第3移動座標上における、自律移動体領域Aと障害物S1〜S6の配置を図15Dに示す。
この場合、第3移動座標上の座標のy座標値は、L/W倍(L/Wを伸張率と呼ぶ)されて第4移動座標上に配置される。これにより、第3移動座標上の障害物S1〜S6は、座標値がL/W倍されて、第4移動座標上に配置される。図15Eに、第4移動座標上における、自律移動体領域Aと障害物S1〜S6の配置を示す。なお、図15Eにおいて、障害物S1〜S6の形状が縦長に変形(図15Dにおいては、円から縦長の楕円に変形)されているが、自律移動体領域Aの中心Vと障害物S1〜S6との位置関係は変わらない。
そして、第4移動座標上においては、自律移動体領域Aと障害物S1〜S6との干渉は、距離d1〜d6が、自律移動体領域Aの長径Lよりも大きいかどうかのみで判断できる。なぜなら、第4移動座標上では、自律移動体領域Aは、異方性を有しない半径Lの円として表現されるからである。これにより、より簡単に自律移動体領域Aと障害物Sとの干渉を判断できる。その結果、予想走行軌跡Tと障害物Sとの干渉の判断時間を短縮できる。
あるいは、座標の平行移動、回転、及び伸張/圧縮を行う行列式を記憶部23などに記憶しておいてもよい。この場合、記憶された行列式に適切な値を代入して具体的な数値にて表現された行列式を算出する。そして、具体的な数値にて表現された行列式を用いて、移動座標の座標変換を行った後、自律移動体領域Aから障害物Sまでの距離dを算出する。
以下に、本実施形態における効果について述べる。
自律移動体100の移動制御装置2(自律移動体の移動制御装置の一例)は、移動部1(移動部の一例)と、障害物S(障害物の一例)を検出する検出部3(検出部の一例)とを備え、予め作成した予定走行経路(予定走行経路の一例)を再現するように移動する自律移動体100(自律移動体の一例)の移動制御装置である。
自律移動体100の移動制御装置2は、演算部241(演算部の一例)と、判断部243(演算部の一例)と、移動制御部245(移動制御部の一例)と、を備える。演算部241は、自律移動体100の現在位置と、現在位置から所定の距離を走行した位置である将来位置までの走行経路を表す走行経路情報Tn(走行経路情報の一例)と、自律移動体100を内包した所定の形状を有する自律移動体領域A(自律移動体領域の一例)と、に基づいて、予想走行軌跡T(現在位置から将来位置までの予想走行軌跡の一例)を演算する。判断部243は、検出部3が検出した障害物Sと予想走行軌跡Tとが互いに干渉するか否かを判断する。移動制御部245は、判断部243において障害物Sと予想走行軌跡Tとが干渉しないと判断された場合、演算部241により演算された予想走行軌跡Tを再現するように移動部1を制御する移動指令を作成する。
これにより、演算部241は、自律移動体100の形状や姿勢を考慮してより正確な予想走行軌跡を作成できる。その結果、判断部243は、障害物Sと自律移動体100とが互いに干渉するかどうかをより確実に判断できる。
次に、第2実施形態に係る自律移動体200について説明する。なお、ここでは、第2実施形態に係る自律移動体200の構成のうち、第1実施形態に係る自律移動体100と同じものについての説明は省略する。
第2実施形態においては、ベース点生成部2412におけるベース点の生成方法が、第1実施形態に係る自律移動体100のベース点生成部2411における生成方法と異なる。従って、以下に、第2実施形態に係る自律移動体200のベース点生成部2412の構成と、ベース点生成部2412におけるベース点生成方法について述べる。
まず、第2実施形態に係るベース点生成部2412の構成について、図16を用いて説明する。図16は、第2実施形態に係るベース点生成部2412の構成を示す図である。ベース点生成部2412は、図16に示すように、目標点抽出部2412−1と、目標点選択部2412−3と、算出部2412−5と、ベース点配置部2412−7と、を有する。
そして、第1の円C3の外にある走行目標点のうち、自律移動体200の現在位置に最も近い走行目標点を選択する。さらに、選択された走行目標点のうち、自律移動体200の進行方向前方にある走行目標点を、第1走行目標点P3とする。
ここで、第2半径r2は、自律移動体200と走行目標点とのずれの許容範囲を決定する。また、自律移動体200と走行目標点とのずれを速やかに修正したい場合には、第2半径r2は、なるべく小さな値とすることが好ましい。例えば、図18Bに示す例においては、第2半径r2は、自律移動体200に最も近い前方走行目標点のみが含まれる程度の半径である。
第2実施形態の自律移動体200においては、自律移動体200と走行目標点とのずれの許容範囲や、どの程度速やかに走行目標点とのずれを修正したいかなどに応じて、適切な第2半径r2の値が選択される。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
(A)自律移動体の構成についての他の実施形態
第1実施形態における自律移動体100の移動部1は、2つの主輪11aと11bを有していた。そして、主輪11a、11bのそれぞれが、モータ13a、13bの出力回転軸に回転可能に接続されていた。しかし、主輪及びモータの数は2に限られない。移動部は、2以上の主輪と、主輪のそれぞれに接続される複数のモータとにより構成されていてもよい。自律移動体の用途や、移動の自由度などに応じて、移動部は任意の数の主輪やモータにより構成できる。
1 移動部
11a、11b 主輪
13a、13b モータ
2 移動制御装置
21 教示部
22 自己位置推定部
23 記憶部
24 走行制御部
241 演算部
2411、2412 ベース点生成部
2411−1、2412−1 目標点抽出部
2411−3、2412−3 目標点選択部
2411−5、2412−5 算出部
2411−7、2412−7 ベース点配置部
2413 回転自律移動体領域生成部
2415 予想走行軌跡生成部
243 判断部
245 移動制御部
25 モータドライブ部
25a、25b モータドライバ
26 障害物情報取得部
3 検出部
31 前方検出器
33 後方検出器
5 操作部
51a、51b 操作ハンドル
53 設定部
55 表示部
57 インターフェース
59 筐体
7 本体
8 補助輪部
8a、8b 補助車輪
9 取付部材
A 自律移動体領域
V 自律移動体領域の中心
L 楕円形の自律移動体領域の長径
W 楕円形の自律移動体領域の短径
B ベース点
Bn 一般的なベース点
xn ベース点(走行経路情報)のx座標
yn ベース点(走行経路情報)のy座標
C1 円
C3 第1の円
C4 第2の円
r 円の半径
r1 第1半径
r2 第2半径
P0 選択されない走行目標点
P1、P3 第1走行目標点
P2、P4 第2走行目標点
VP、VP1 仮想走行目標点
P4−V 現在位置と第2走行目標点とを結ぶ線
S 障害物
Sn 障害物
d 障害物と自律移動体領域の中心との間の距離
dn 障害物と自律移動体領域の中心との間の距離
T 予想走行軌跡
Tn 走行経路情報
tn 時間情報
θ 姿勢情報
θn 姿勢情報
R1、R2、R3、R4、R5、R6 走行経路
m 正の整数
n 正の整数
θ 回転角
Claims (9)
- 移動部と、障害物を検出する検出部とを備え、予め作成した予定走行経路を再現するように移動する自律移動体の移動制御装置であって、
前記自律移動体の現在位置と、前記現在位置から所定の距離を走行した位置である将来位置までの走行経路を表す走行経路情報と、前記自律移動体を内包した所定の形状を有する自律移動体領域と、に基づいて、前記現在位置から前記将来位置までの予想走行軌跡を演算する演算部と、
前記検出部が検出した前記障害物と前記予想走行軌跡とが互いに干渉するか否かを判断する、判断部と、
前記判断部において前記障害物と前記予想走行軌跡とが干渉しないと判断された場合、前記演算部により演算された前記予想走行軌跡を再現するように前記移動部を制御する移動指令を作成する移動制御部と、
を備え、
前記演算部は、
前記走行経路情報に含まれる前記自律移動体の前記走行経路における位置情報として、前記走行経路上に複数のベース点を生成するベース点生成部と、
前記走行経路情報に含まれる前記走行経路上における前記自律移動体の姿勢情報として、前記自律移動体領域を、前記移動平面の法線軸周りに回転して回転自律移動体領域を生成する、回転自律移動体領域生成部と、
前記ベース点生成部にて生成された前記ベース点のそれぞれに、前記回転自律移動体領域生成部にて生成された前記回転自律移動体領域を配置することで、前記予想走行軌跡を生成する予想走行軌跡生成部と、
を有する、自律移動体の移動制御装置。 - 前記自律移動体領域の、前記自律移動体の移動平面における形状は異方性を有する、請求項1に記載の自律移動体の移動制御装置。
- 前記自律移動体領域の前記移動平面における形状は楕円である、請求項1に記載の自律移動体の移動制御装置。
- 前記走行経路情報は、前記自律移動体の前記走行経路上における時間情報をさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載の自律移動体の移動制御装置。
- 前記予定走行経路は、複数の走行目標点により構成されており、
前記ベース点生成部は、
前記走行目標点のうち、前記現在位置から、前記現在位置を中心とする第1半径を有する第1の円の外側に存在する前記走行目標点のうち、前記現在位置に最も近く、かつ、前記現在位置よりも進行方向前方に存在する第1走行目標点までの前記走行目標点である前方走行目標点を抽出する目標点抽出部と、
前記現在位置を中心とする第2半径を有する第2の円の外側に存在する前記前方走行目標点のうち、前記現在位置から最短の距離にある第2走行目標点を抽出する目標点選択部と、
前記現在位置と前記第2走行目標点とを結ぶ線と、前記第2の円の円周との交点である仮想走行目標点を算出する算出部と、
前記現在位置と、前記仮想走行目標点と、前記第2走行目標点と、前記第2走行目標点から前記第1走行目標点までの間の前記前方走行目標点とを、前記現在位置に近い順に結んで生成される前記走行経路上に、前記ベース点を所定の間隔にて配置するベース点配置部と、
を備える、請求項1に記載の自律移動体の移動制御装置。 - 前記移動制御部は、前記判断部において前記障害物と前記予想走行軌跡とが干渉すると判断された場合、干渉する位置が前記現在位置から近い距離にあれば、前記自律移動体を停止し、前記現在位置から遠い距離にあれば、前記自律移動体を減速するように、前記移動部を制御する、請求項1〜5のいずれかに記載の自律移動体の移動制御装置。
- 前記移動制御部は、前記判断部において前記障害物と前記予想走行軌跡とが干渉すると判断された場合、前記自律移動体を停止するように前記移動部を制御する、請求項1〜5のいずれかに記載の自律移動体の移動制御装置。
- 移動部と、
障害物を検出する検出部と、
現在位置と、前記現在位置から所定の距離を走行した位置である将来位置までの走行経路を表す走行経路情報と、所定の形状を有する自律移動体領域とに基づいて、前記現在位置から前記将来位置までの予想走行軌跡を演算する演算部と、
前記検出部が検出した障害物と前記予想走行軌跡とが干渉するか否かを判断する、判断部と、
前記判断部において前記障害物と前記予想走行軌跡とが干渉しないと判断された場合、前記演算部により演算された前記予想走行軌跡を再現するように前記移動部を制御する移動指令を作成する移動制御部と、
を備え、
前記演算部は、
前記走行経路情報に含まれる前記走行経路における位置情報として、前記走行経路上に複数のベース点を生成するベース点生成部と、
前記走行経路情報に含まれる前記走行経路上における姿勢情報として、前記自律移動体領域を、前記移動平面の法線軸周りに回転して回転自律移動体領域を生成する、回転自律移動体領域生成部と、
前記ベース点生成部にて生成された前記ベース点のそれぞれに、前記回転自律移動体領域生成部にて生成された前記回転自律移動体領域を配置することで、前記予想走行軌跡を生成する予想走行軌跡生成部と、
を有する、自律移動体。 - 移動部と、障害物を検出する検出部とを備え、予め作成した予定走行経路を再現するように移動する自律移動体の制御方法であって、
前記自律移動体の現在位置と、前記現在位置から所定の距離を走行した位置である将来位置までの走行経路を表す走行経路情報と、前記自律移動体を内包した所定の形状を有する自律移動体領域と、に基づいて、前記現在位置から前記将来位置までの予想走行軌跡を演算するステップと、
前記検出部が検出した前記障害物と前記予想走行軌跡とが互いに干渉するか否かを判断するステップと、
前記障害物と前記予想走行軌跡とが干渉しないと判断された場合、演算された前記予想走行軌跡を再現するように前記移動部を制御するステップと、
を含み、
前記予想走行軌跡を演算するステップは、
前記走行経路情報に含まれる前記自律移動体の前記走行経路における位置情報として、前記走行経路上に複数のベース点を生成するステップと、
前記走行経路情報に含まれる前記走行経路上における前記自律移動体の姿勢情報として、前記自律移動体領域を、前記移動平面の法線軸周りに回転して回転自律移動体領域を生成するステップと、
前記ベース点のそれぞれに前記回転自律移動体領域を配置することで、前記予想走行軌跡を生成するステップと、
を含む、自律移動体の制御方法。
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