JP6263970B2 - 自律走行台車、及び、予定走行経路データのデータ構造 - Google Patents
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Description
本発明の一見地に係る自律走行台車は、予定走行経路を教示する教示走行モードと、予定走行経路を再現しながら自律的に走行する再現走行モードとを実行する自律走行台車である。予定走行経路とは、操作者の操作により走行開始位置から走行終了位置まで走行した際の走行経路のことを言う。
自律走行台車は、台車部と、走行部と、教示部と、曲率算出部と、制御パラメータ調整部と、を備える。
走行部は台車部に搭載される。また、走行部は台車部を走行させる。
教示部は、教示走行モードの実行時にサブゴール点を取得する。そして、教示部は、予定走行経路データをサブゴール点の集合体として記憶する。ここで、サブゴール点とは、走行開始位置から走行終了位置までに台車部が通過した走行環境における位置に関する情報のことを言う。予定走行経路データとは、予定走行経路をサブゴール点の集合体として表現したデータのことを言う。
曲率算出部は、注目曲率半径を算出し記憶する。注目曲率半径とは、部分予定走行経路の注目サブゴール点における曲率半径のことを言う。注目サブゴール点とは、予定走行経路データに含まれる1のサブゴール点のことを言う。部分予定走行経路とは、注目サブゴール点と、注目サブゴール点から見て予定走行経路データの前後に存在する所定の数のサブゴール点と、により形成される予定走行経路のことである。
制御パラメータ調整部は、再現走行モードの実行時に、曲率算出部において算出された注目曲率半径に基づいて、走行部の制御量を決定する制御パラメータを調整する。
そのため、自律走行台車は、再現走行モードの実行時に、教示された予定走行経路を忠実に再現走行可能となる。
これにより、第1主輪と第2主輪を有する対向二輪差動型の走行部を精度よく制御できる。その結果、自律走行台車は、再現走行モードの実行時に、教示された予定走行経路を忠実に再現走行可能となる。
これにより、走行部の第1主輪及び第2主輪の滑りにより、現在位置における台車部(自律走行台車)の位置や姿勢が、本来の位置や姿勢とずれていた場合でも、次の移動目標点においてそのずれを小さくできる。そして、自律走行台車は、予定走行経路の形状(曲がり)に合わせた最適な走行が可能となる。その結果、自律走行台車は、再現走行モードの実行時に、教示された予定走行経路を忠実に再現走行可能となる。
これにより、制御パラメータ調整部は、予定走行経路データから注目曲率半径を抽出して、注目曲率半径に基づいて、各サブゴール点において最適な制御パラメータを決定できる。
また、第1サブゴール点と第2サブゴール点は、注目サブゴール点から所定の距離以上離れているサブゴール点の中で注目サブゴール点に最も近いサブゴール点であってもよい。
これにより、台車部(自律走行台車)の位置及び姿勢を精度よく推定できる。その結果、操作者により教示された予定走行経路を、予定走行経路データとして忠実に再現できる。また、自律走行台車の位置及び姿勢を精度よく推定することにより、自律走行台車が予定走行経路を忠実に走行するように、走行部を適切に制御できる。
予定走行経路データは、サブゴール点座標値集合体記憶領域と、注目曲率半径集合体記憶領域と、により構成されている。サブゴール点座標値記憶領域は、サブゴール点を座標値の集合体として記憶する。注目曲率半径集合体記憶領域は、注目曲率半径を集合体として記憶する。
そして、自律走行台車が予定走行経路データに基づいて予定走行経路を自律的に走行する時に、自律走行台車の走行部の制御量を決定する制御パラメータが、注目曲率半径集合体記憶領域に記憶された注目曲率半径に基づいて調整される。
そのため、自律走行台車は、再現走行モードの実行時に、教示された予定走行経路を忠実に再現走行可能となる。
これにより、自律走行台車は、再現走行モードの実行時に、予定走行経路データに基づき、教示された予定走行経路における姿勢を忠実に再現できる。
(1)自律走行台車の全体構成
まず、本実施形態に係る自律走行台車の全体構成について、図1を用いて説明する。図1は、自律走行台車の全体構成を示す図である。本実施形態の自律走行台車100は、操作者の操作により、走行開始位置から走行終了位置までの所望の予定走行経路を教示する教示走行モードと、予定走行経路を再現しながら走行開始位置から走行終了位置まで自律的に走行する再現走行モードと、を実行する。
自律走行台車100は、台車部1と、走行部2と、検出部3と、操作部5と、制御部7と、を備える。台車部1は、自律走行台車100の本体を構成する。走行部2は、台車部1に搭載されている。走行部2は、台車部1を走行させる。検出部3は、制御部7(後述)に信号送受信可能に接続されている。そして、検出部3は、障害物及び走行経路にある壁などを検出し、障害物及び壁などの位置情報を制御部7に出力する。操作部5は、台車部1の上部後方側に取付部材9を介して固定されている。また、操作部5は、制御部7に信号送受信可能に接続されている。操作部5は、操作者が自律走行台車100に予定走行経路を教示するとき(教示走行モードの実行時)、操作者により操作される。これにより、自律走行台車100の走行モードが教示走行モードの実行時に、自律走行台車100は、操作者による操作部5の操作に基づいて制御される。また、操作部5は、自律走行台車100の各種設定を行う。
また、制御部7は、検出部3から得られる信号(後述)に基づいて、障害物及び壁などの位置情報を把握する。また、制御部7は、障害物及び壁などの位置情報に基づき、移動平面(走行環境)における自律走行台車100の位置を把握する。
なお、自律走行台車100の走行部2、検出部3、操作部5、及び制御部7の構成の詳細については、後述する。
なお、補助輪部8は、台車部1の後方底部に設けられることに限られず、台車部1の重心位置を考慮して台車部1の前方底面に設けられてもよい。
次に、走行部2の構成について図1を用いて詳細に説明する。走行部2は、第1主輪21a、第2主輪21bと、第1モータ23aと、第2モータ23bと、を有する。第1主輪21aは、台車部1の略中央部の前方方向左側に回転可能に設けられている。第2主輪21bは、第1主輪21aに対向するように、台車部1の略中央部の前方方向右側に回転可能に設けられている。
また、第1主輪21a及び第2主輪21bは、それぞれ、第1モータ23a及び第2モータ23bの出力回転軸に接続されている。これにより、第1主輪21aは第1モータ23aの回転に従って回転し、第2主輪21bは第2モータ23bの回転に従って回転する。
第1モータ23a及び第2モータ23bとしては、たとえば、サーボモータ及び/又はブラシレスモータなどの電動モータを用いることができる。
このように、独立に回転速度を制御可能な2つの第1主輪21a及び第2主輪21bを有する走行部2は、「対向二輪差動型の走行部」と呼ばれる。
次に、検出部3の構成について、図1を用いて説明する。検出部3は、自律走行台車100の走行経路周辺の障害物及び壁などを検出し、障害物及び壁などの位置情報を出力する。そのため、検出部3は、前方検出器31と、後方検出器33と、を有する。前方検出器31は、自律走行台車100の前方にある障害物及び壁などを検出する。後方検出器33は、自律走行台車100の後方にある障害物及び壁などを検出する。また、前方検出器31と後方検出器33は、自律走行台車100と障害物及び壁などとの間の距離及び、自律走行台車100から見た障害物及び壁などが存在する方向に関する情報などを含む信号を出力する。これにより、検出部3は、自律走行台車100から見た障害物及び壁などの相対的な位置情報を、制御部7に出力できる。
検出部3の前方検出器31及び後方検出器33としては、例えば、それぞれ少なくとも180°の範囲を照射できるレーザレンジファインダ(Laser Range Finder、LRF)などを用いることができる。
次に、操作部5の構成について、図2を用いて説明する。図2は、操作部5の構成を示す図である。操作部5は、操作ハンドル51a、51bと、設定部53と、表示部55と、インターフェース57と、筐体59と、を備える。
操作ハンドル51a、51bは、それぞれ、筐体59の左右に回動可能に取り付けられている。また、操作ハンドル51a、51bは、インターフェース57と信号送受信可能に接続されている。これにより、操作ハンドル51a、51bの回動量(操作量)及び回動方向は、インターフェース57において電気信号に変換され、制御部7に入力される。そして、制御部7に入力された操作ハンドル51a、51bの回動量及び回動方向に基づき、走行部2の第1モータ23a及び第2モータ23bが制御される。
また、操作ハンドル51aを進行方向への走行速度を指示するための入力インターフェースとし、操作ハンドル51bを操舵角(姿勢角(後述))を指示するための入力インターフェースとしてもよい。
また、操作者は、操作ハンドル51a、51bに適切な外力を加えることによっても、自律走行台車100を操作できる。このとき、例えば、自律走行台車100が前方方向に走行している場合において、操作ハンドル51aに自律走行台車100の進行方向とは逆方向の外力を加えることにより、自律走行台車100を進行方向に対して左方向に方向転換できる。
設定部53は、例えば、自律走行台車100の走行モード及び各種設定などを行うためのスイッチ又は/及びキーボードなどにより構成できる。又は、設定部53は、タッチパネルとして構成され、表示部55と一体に形成されていてもよい。
従って、インターフェース57としては、マイコンボードを用いることができる。マイコンボードは、例えば、操作ハンドル51a、51bの回動量、回転方向、及び設定部53における設定状態を電気信号に変換する信号変換器と、表示部55に情報を表示するための表示部駆動回路と、制御部7と信号を送受信するための通信インターフェースと、を備えている。
I.制御部の全体構成
次に、制御部7の全体構成について図3を用いて説明する。図3は、制御部7の全体構成を示す図である。
なお、制御部7は、CPU(Central Processing Unit)と、ハードディスク装置と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、記憶媒体読み出し装置などにより構成される記憶装置と、信号変換を行うインターフェースなどと、を備えたマイコンシステムなどにより実現できる。また、以下に示す制御部7の各部の機能の一部又は全部は、プログラムとして実現されていてもよい。さらに、当該プログラムは、マイコンボードの記憶装置に記憶されていてもよい。又は、制御部7の各部の機能の一部又は全部は、カスタムICなどにより実現されていてもよい。
制御部7は、教示部71と、位置推定部72と、記憶部73と、曲率算出部74と、モータ駆動部75と、障害物情報取得部76と、切替部77と、を有する。
ここで、自律走行台車100の姿勢は、例えば、図4に示すように、台車部1(自律走行台車100)の中心Cから台車部1の前方方向に伸びる基準軸と、移動座標のx軸とがなす角度である姿勢角θとして定義される。また、本実施形態においては、姿勢角θは図4において反時計回りに増加する。図4は、台車部(自律走行台車)の姿勢角の定義を示す図である。
位置推定部72は、検出部3において取得された自律走行台車100から見た障害物及び壁などの相対的な位置情報を、移動座標上の座標値へと変換する。そして、位置推定部72は、検出部3の前方検出器31及び後方検出器33が検出した障害物及び壁などの位置情報に基づいて、自律走行台車100の周囲の移動平面の地図情報(ローカルマップと呼ぶことにする)を作成する。また、位置推定部72は、移動平面の地図情報(環境地図と呼ぶことにする)を記憶部73に記憶している。そして、位置推定部72は、環境地図とローカルマップとを比較(マップマッチングと呼ぶ)して、自律走行台車100が移動平面のどの位置に存在するか、及び、自律走行台車100の移動平面における姿勢を推定する。
このように、第1モータ23a(第1主輪21a)及び第2モータ23b(第2主輪21b)の回転数に基づいて、位置推定を行うことを「デッドレコニングによる位置推定」とよぶこともある。本実施形態の位置推定部72においては、デッドレコニングによる位置推定を行う際に、第1主輪21a及び第2主輪21bの滑りを考慮した位置推定を行っている。
そして、位置推定部72は、第1主輪21a及び第2主輪21bの滑りを考慮したデッドレコニングによる位置推定結果と、上記のマップマッチングのマッチング結果とを、お互い相補して自律走行台車100の位置推定を行っている。その結果、位置推定部72は、検出部3のみ、又は、第1モータ23a及び第2モータ23bの回転数のみに基づく位置推定よりも、さらに精度のよい位置及び姿勢の推定ができる。
このように、注目サブゴール点から所定の距離以上離れているサブゴール点Pの中で注目サブゴール点に最も近いサブゴール点Pを第1サブゴール点Pfと第2サブゴール点Psとすることにより、ノイズ成分により発生する局所的な経路の凹凸の影響を低減した部分予定走行経路の注目曲率半径Rを算出できる。その結果、より精度よく、注目曲率半径Rに基づいた制御パラメータ値の調整を行える。
注目円の半径rは、例えば、次のようにして算出できる。すなわち、移動座標上の座標(x,y)を通る円を表す式(x−a)2+(y−b)2=r2(a:注目円の中心のx座標値、b:注目円の中心のy座標値、r:注目円の半径)のx及びyに、注目サブゴール点の移動座標上の座標値、第1サブゴール点Pfの座標値、第2サブゴール点Psの座標値を代入して、変数がa、b、rである3つの式を作成し、当該3つの式からなる連立方程式を解くことにより、注目円の半径r(すなわち、注目曲率半径R)を算出できる。
また、モータ駆動部75は、操作部5と信号送受信可能に接続され、教示走行モードの実行時には、操作部5の操作ハンドル51a、51bの回動量及び/又は回動方向に基づき、第1モータ23a及び第2モータ23bを制御する。
一方、再現走行モードの実行時には、モータ駆動部75は、記憶部73に記憶された予定走行経路データ500cに基づいて、第1モータ23a及び第2モータ23bの制御指令を作成する。そして、モータ駆動部75は、作成された制御指令に基づいて、第1モータ23a及び第2モータ23bを制御する。
なお、モータ駆動部75の詳細な構造及び動作については、後述する。
次に、モータ駆動部75の構成について、図5を用いて説明する。図5は、モータ駆動部75の構成を示す図である。
モータ駆動部75は、操作部5と、記憶部73と、切替部77と信号送受信可能に接続されている。また、モータ駆動部75は、第1モータ23a及び第2モータ23bと電気的に接続されている。さらに、モータ駆動部75は、第1モータ23a及び第2モータ23bのそれぞれに備えられたエンコーダ231a、231bと信号送受信可能に接続されている。
モータ駆動部75は、駆動切替部751と、再現走行指令部753と、モータ制御部755と、制御パラメータ調整部757と、を有する。
その結果、駆動切替部751は、教示走行モードの実行時には、操作部5の操作ハンドル51a、51bの回動量及び回動方向を、モータ制御部755(後述)へと入力する。一方、駆動切替部751は、再現走行モードの実行時には、再現走行指令部753(後述)により作成された再現走行指令(後述)をモータ制御部755へと入力する。
再現走行指令部753は、再現走行モードの実行時に、記憶部73に記憶された予定走行経路データ500cに基づいて、モータ制御部755(後述)により第1モータ23a及び第2モータ23bを制御するための再現走行指令を作成する。そして、再現走行指令部753は、再現走行モードの実行時に、再現走行指令をモータ制御部755に出力する。
従って、再現走行指令部753は、位置推定部72と信号送受信可能に接続され、自律走行台車100の現在位置を位置推定部72から取得する。
そして、再現走行指令部753は、受信した制御パラメータKpに基づいて、第1主輪回転速度Va及び第2主輪回転速度Vbを算出する。
このように、注目曲率半径Rに基づいて、第1主輪回転速度Va及び/又は第2主輪回転速度Vbを算出することにより、部分予定走行経路の曲がりに応じた、再現走行指令(第1主輪回転速度Va及び第2主輪回転速度Vb)を算出できる。
なお、再現走行指令部753における再現走行指令算出法は、後ほど詳しく説明する。
モータ制御部755は、教示走行モードの実行時には、駆動切替部751を介して、操作部5の操作ハンドル51a、51bの回動量及び回動方向を入力し、当該回動量及び回動方向に基づいて、第1モータ23a及び第2モータ23bを独立に制御する。一方、再現走行モードの実行時には、モータ制御部755は、駆動切替部751を介して、予定走行経路データ500cに基づいて作成された再現走行指令を入力し、再現走行指令に基づいて、第1モータ23a及び第2モータ23bを制御する。
なお、制御パラメータ調整部757における、制御パラメータKpの決定方法は後ほど詳しく説明する。
次に、本実施形態に係る自律走行台車100の基本動作について、図6Aを用いて説明する。図6Aは、自律走行台車の基本動作を示すフローチャートである。
自律走行台車100においては、まず、教示部71が、予定走行経路データ500aを取得する(ステップS1)。すなわち、操作者が操作部5などを用いて自律走行台車100を操作することにより自律走行台車100が通過した移動座標上の点(座標値)を、教示部71がサブゴール点Pとして取得する。これにより、教示部71は、自律走行台車100に対して、操作者の操作による予定走行経路を教示できる。
この場合、例えば、ステップS1において予定走行経路データ500aを取得後、予定走行経路データ500aを、記憶部73から、例えば、USB(Universal Serial Bus)接続可能な記憶デバイス(例えば、USBメモリー)などに転送し、転送した予定走行経路データ500aを上記の他のコンピュータ端末などにさらに転送して、当該他のコンピュータ端末上にて注目曲率半径Rの算出を行う。
そして、注目曲率半径Rの算出後、注目曲率半径Rと注目サブゴール点Paとを関連づけて、予定走行経路データ500cを上記の他のコンピュータ端末において作成する。そして、作成した予定走行経路データ500cを当該他のコンピュータ端末の記憶部から自律走行台車100の記憶部73に転送する。
これにより、自律走行台車100を動作させつつ、他のコンピュータ端末において注目曲率半径Rの算出を同時に行うといった、効率のよい自律走行台車100の運用が可能となる。
まず、図6AのステップS1における、本実施形態に係る自律走行台車100における予定走行経路データ500aの取得方法について、図6Bを用いて説明する。図6Bは、自律走行台車100における予定走行経路データ500aの取得方法を示すフローチャートである。
まず、予定走行経路データ500aを取得するために、自律走行台車100の走行モードを教示走行モードに設定する(ステップS11)。走行モードの教示走行モードへの切替は、例えば、操作者が操作部5の設定部53を操作することにより、実行される。
設定部53により走行モードが教示走行モードへ切り替えられると、走行モードが教示走行モードとなったことが制御部7の切替部77に通知される。そして、切替部77は、モータ駆動部75の駆動切替部751に対して、駆動切替部751の端子dと端子eとを接続するよう指令する。これにより、操作部5の操作ハンドル51a、51bの回動量及び回動方向に関する信号が、モータ制御部755に入力されるようになる。これにより、操作者は、操作ハンドル51a、51bの回動量及び回動方向などを調整することにより、自律走行台車100を手動操作できる。
走行モードを教示走行モードに設定したタイミングにおいて、教示部71は、教示データ取得時間を測定するためのタイマー(図示せず)を開始する。当該タイマーの機能は、制御部7を構成するコンピュータなどに備わった時計機能又はクロック発生装置などを用いて実現される。
サブゴール点Pを記憶部73に記憶する際、すでにサブゴール点Pが記憶部73に記憶されている場合には、教示部71は、記憶されているサブゴール点Pの末尾に、新たに取得したサブゴール点Pを追加する。このようにして、サブゴール点Pの集合体、すなわち、予定走行経路データ500aが記憶部73に記憶される。
この場合、図7Bに示すように、予定走行経路データ単位500b−kは、サブゴール点座標記憶領域500b−k1と姿勢情報記憶領域500b−k2に加えて、教示データ取得時間を記憶するデータ取得時間記憶領域500b−k3をさらに有する。これにより、サブゴール点Pが、教示走行モードの実行を開始して(すなわち、走行開始位置から走行を開始して)からどのくらい経過して取得された点であるかを記憶できる。図7Bは、データ取得時間記憶領域500b−k3を有する予定走行経路データ単位500b−kのデータ構造を示す図である。
または、操作ハンドル51a、51bの回動量が0(操作されていない)であることを一定時間検知したときに、予定走行経路の教示が終了したと教示部71が判断してもよい。
その他、操作者が自律走行台車100の操作を終了したことを検出する他の手段により、予定走行経路の教示が終了したかどうかを判断できる。
図7Cに示す予定走行経路データ500aは、予定走行経路データ単位500a−kが紙面の上下方向に積み重なって(スタックされて)集合体を形成している。しかし、予定走行経路データ500aにおける予定走行経路データ単位500a−kの配置は、上下方向にスタックされる配置に限られない。
その他、予定走行経路データ500aにおける予定走行経路データ単位500a−kの配置は、制御部7を構成するマイコンシステムにおいて使用可能な電子ファイルフォーマットなどに応じて、適切な配置を選択できる。
次に、図6AのステップS2における、注目曲率半径Rの算出及び記憶方法について、図6Cを用いて説明する。図6Cは、注目曲率半径を算出し記憶する方法を示すフローチャートである。ここでは、予定走行経路データ500aを用いた注目曲率半径Rの算出方法を説明する。
まず、曲率算出部74は、記憶部73に記憶されている予定走行経路データ500a中から1の予定走行経路データ単位500a−kを選択し、予定走行経路データ単位500a−kのサブゴール点座標記憶領域500a−k1に記憶されているサブゴール点Pkの座標値(xk,yk)を注目サブゴール点として設定する(ステップS21)。
今、m番目の予定走行経路データ単位500a−mに含まれるサブゴール点Pm(xm,ym)が注目サブゴール点Pamとして設定されたとする。
本実施形態においては、注目サブゴール点Pamを含んだ3つのサブゴール点Pにより形成される部分予定走行経路の注目曲率半径Rを算出する(後述)。従って、本実施形態においては、曲率算出部74は、あと2つのサブゴール点(第1サブゴール点Pf及び第2サブゴール点Ps)を選択する。本実施形態においては、注目サブゴール点Pamから所定の距離以上離れているサブゴール点Pの中で、注目サブゴール点Pamに最も近いサブゴール点が、第1サブゴール点Pf及び第2サブゴール点Psとして選択される。具体的には、曲率算出部74は、以下のようにして第1サブゴール点Pf及び第2サブゴール点Psを選択する。
ここで、第1サブゴール点Pfとして、予定走行経路データ単位500a−m+uに含まれるサブゴール点Pm+uが選択される理由は、第1サブゴール点Pfは注目サブゴール点Pamよりも進行方向前方に存在するサブゴール点であるからである。
一方、第2サブゴール点Psとして、予定走行経路データ単位500a−m−vに含まれるサブゴール点Pm−vが選択される理由は、第2サブゴール点Psは注目サブゴール点Pamよりも進行方向後方に存在するサブゴール点であるからである。
このようにして、曲率算出部74は、サブゴール点Pm+H(xm+H,ym+H)を第1サブゴール点Pf(m+H)として選択できる。
このようにして、曲率算出部74は、サブゴール点Pm−I(xm−I,ym−I)を第2サブゴール点Ps(m−I)として選択できる。
m+uがサブゴール点数nを超えた場合及びm−vが負値となった場合、曲率算出部74は、部分予定走行経路を直線(すなわち、注目曲率半径を無限大)と見なす。
具体的には、曲率算出部74は、選択された、注目サブゴール点Pam、第1サブゴール点Pf(m+H)、及び第2サブゴール点Ps(m−I)の3つのサブゴール点を通る円(注目円)の半径rmを注目曲率半径Rmとして算出する。
注目円の半径rmの算出方法としては、上記のように、移動座標上の円を表す3つの式からなる連立方程式を解くことにより算出する方法、又は、注目サブゴール点Pamと第1サブゴール点Pf(m+H)を結ぶ線分の垂直二等分線と注目サブゴール点Pamと第2サブゴール点Ps(m−I)を結ぶ線分の垂直二等分線との交点と、注目サブゴール点Pamとの間の距離を算出する方法を用いることができる。
具体的には、曲率算出部74は、注目サブゴール点Pamを含む予定走行経路データ単位500a−mに、算出した注目曲率半径Rm(=注目円の半径rm)を追加して、新たな予定走行経路データ単位500c−m(図7D)を作成する。そして、曲率算出部74は、予定走行経路データ単位500c−mを記憶部73に記憶する。
その結果、新たな予定走行経路データ単位500c−mは、図7Dに示すようなデータ構造を有する予定走行経路データ単位となる。図7Dは新たな(すなわち、注目曲率半径Rmを記憶した)予定走行経路データ単位500c−mのデータ構造を示す図である。すなわち、予定走行経路データ単位500c−mは、サブゴール点座標記憶領域500c−m1と姿勢情報記憶領域500c−m2に加えて、注目曲率半径記憶領域500c−m4をさらに含むデータ構造となる。
全てのサブゴール点に対して注目曲率半径Rを算出していない場合(ステップS25において、「No」の場合)、曲率算出部74は、上記のkをmからm+1に増加して、上記のステップS21に戻る。そして、上記のステップS21〜ステップS24を再び実行する。これにより、次の注目サブゴール点Pa(m+1)における注目曲率半径Rm+1が算出され記憶部73に記憶される。
一方、全てのサブゴール点Pに対して注目曲率半径Rを算出したと判断した場合(ステップS25において、「Yes」の場合)、すなわち、上記のkがnである時、曲率算出部74は、注目曲率半径の算出と記憶を終了する。
次に、図6Aに示したフローチャートのステップS3において、上記ステップにより作成した予定走行経路データ500cに基づいて、自律走行台車100が自律的に走行するときの動作について説明する。
まず、再現走行モードの実行時における自律走行台車100の動作を説明するに際して必要になる、対向二輪差動型の走行部2による自律走行台車100の走行原理の説明を以下に示す。
ここで、図1に示す走行部2のような、対向二輪差動型の走行部2による自律走行台車100(台車部1)の走行原理を説明する。
図8のように、自律走行台車100の車幅(走行部2の第1主輪21aの前方方向に向かう軸方向の中心と第2主輪21bの前方方向に向かう軸方向の中心との距離として定義)をWとする。このとき、自律走行台車100の中心Cから第1主輪21aの中心までの幅、及び、自律走行台車100の中心Cから第2主輪21bの中心までの幅は、それぞれ、W/2(車幅の半分の幅)となる。図8は、自律走行台車の車幅の定義を示す図である。
次に、自律走行台車100が、制御周期Tcの間に図9に示すような走行経路を右旋回したとする。すなわち、自律走行台車100の中心Cが、制御周期Tcの間に、中心曲率半径RCの走行経路を、現在位置P’から次の移動目標点Pi+1まで、旋回角度Θにて移動したとする。
また、外輪側の主輪(図9の場合は第1主輪21a)が移動した軌跡の曲率半径をRout、内輪側の主輪(図9の場合は第2主輪21b)が移動した軌跡の曲率半径をRinとする。図9は、自律走行台車100が走行する走行経路の一例を示す図である。
従って、図9のような右旋回の走行経路を自律走行台車100が走行したときの、中心Cの中心速度VC、外輪側の主輪回転速度Vout、内輪側の主輪回転速度Vinは、それぞれ、以下のように表される。
VC=RC×Θ/Tc
Vout=Rout×Θ/Tc=(RC+W/2)×Θ/Tc=VC+W/2×Θ/Tc
Vin=Rin×Θ/Tc=(RC−W/2)×Θ/Tc=VC−W/2×Θ/Tc
Vout=V1+V2
Vin=V1−V2
ここで、V1=Vc、V2=W/2×Θ/Tcとしている。このように、主輪回転速度Vout及びVinは、それぞれ、V1とV2との和及び差によって表される。ここで、V1及びV2を、それぞれ、第1回転速度V1、第2回転速度V2と定義する。
従って、第1回転速度V1は、自律走行台車100(中心C)の走行速度を決定する走行速度成分であり、第2回転速度V2は、自律走行台車100の内外輪回転差を決定し、自律走行台車100の旋回運動を決定する旋回成分であると定義できる。すなわち、第2回転速度V2は、自律走行台車100の姿勢を制御する速度成分である。
V2=Kp×Vd×Θ
これにより、自律走行台車100の主輪と自律走行台車100が走行中の走行面との間に滑りが生じ、現在位置P’における実際の姿勢角θ’が本来の姿勢角からずれた場合であっても、次の移動目標点Pi+1においては、当該姿勢角のずれを減少できる。
再現走行指令部753の計算負荷などを考慮して、上記のいずれを選択するかを決定できる。
次に、上記に示した式を用いながら、図6AのステップS3における再現走行モードの実行時における自律走行台車100の動作について、図6Dを用いて説明する。図6Dは、再現走行モードの実行時における自律走行台車100の動作を示すフローチャートである。
以下の説明においては、自律走行台車100が、図10に示すように、サブゴール点Pmから次のサブゴール点Pm+1までを走行中である場合を例にとって説明する。図10は、自律走行台車100が現在位置P’からサブゴール点Pm+1まで移動する様子を示す図である。
このように、位置推定部72が、現在位置P’の位置と姿勢角を推定することにより、第1主輪21a及び第2主輪21bの滑りなどの影響を考慮して、精度よく現在位置P’の位置及び姿勢角を推定できる。その結果、予定走行経路データ500cに示された予定走行経路を忠実に走行するように、主輪21a及び21bの回転速度を制御できる。
今、自律走行台車100は、サブゴール点Pmからサブゴール点Pm+1までを走行中であるため、注目曲率半径Rとして、サブゴール点Pmに関連づけられた注目曲率半径Rmが抽出される。
具体的には、制御パラメータ調整部757は、注目曲率半径Rと制御パラメータKpとの関係を表したR−Kpグラフを用いて、最適な制御パラメータKpを決定する。本実施形態においては、図11に示すようなR−Kpグラフを用いて最適なKpを決定する。図11は、本実施形態における、注目曲率半径Rと制御パラメータKpとの関係(R−Kpグラフ)を示す図である。
制御パラメータKpは、例えば、図11に示すR−Kpグラフを用いて、注目曲率半径Rに基づき以下のように決定される。
(i)R≦R1のとき:Kp1(一定値)
(ii)R≧R2のとき:Kp2(Kp1>Kp2)(一定値)
(iii)R1<R<R2のとき:A−B×R
また、制御パラメータKpは、注目曲率半径Rが第1曲率半径値R1よりも小さいときKp1となり、注目曲率半径Rが第2曲率半径値R2よりも大きいときKp2となり、Kp1>Kp2が成立している。すなわち、制御パラメータ調整部757は、注目曲率半径Rが小さく(部分予定走行経路の曲がりが急峻に)なるほど制御パラメータKpを大きくし、注目曲率半径Rが大きく(部分予定走行経路の曲がりが緩やかに)なるほど制御パラメータKpを小さくするよう、制御パラメータKpを決定する。
まず、再現走行指令部753は、予定走行経路データ500cのサブゴール点座標値集合体記憶領域Gsから、サブゴール点Pm+1の座標値(xm+1,ym+1)を読み込む。また、再現走行指令部753は、予定走行経路データ500cの姿勢情報集合体記憶領域Gθに記憶され、サブゴール点Pm+1に関連づけられている姿勢角θm+1を読み出す。
具体的には、まず、再現走行指令部753は、自律走行台車100が現在位置P’からサブゴール点Pm+1まで移動するときの旋回角度Θを算出する。旋回角度Θは、サブゴール点Pm+1における姿勢角θm+1と、ステップS32において推定された現在位置P’における姿勢角θ’との差(姿勢角度差)、すなわち、θm+1−θ’と算出される。
なお、第1回転速度V1は、上記の理論式V1=Vc=RC×Θ/Tcに基づいて算出されてもよい。ここで、Tcは制御周期となる。また、中心曲率半径Rcについては、例えば、次のようにして算出できる。
RC 2={(xm+1−x’)2+(ym+1−y’)2}/(2−2cosΘ)
従って、図4に示した本実施形態における姿勢角θの定義においては、第1主輪回転速度Vaは、第1回転速度V1と第2回転速度V2との差(V1−V2)として表現される。よって、第1主輪回転速度Vaは、以下のように算出される。
Va=V1−Kp×Vd×(θm+1−θ’)
Vb=V1+Kp×Vd×(θm+1−θ’)
V1={(xm+1−x’)2+(ym+1−y’)2}0.5/Tc
その結果、予定走行経路の形状(曲がり)に合わせた最適な走行が可能となる。すなわち、部分予定走行経路の曲がりが急峻である場合には、第1主輪21a及び第2主輪21bは、より早く目標の第1主輪回転速度Va及び第2主輪回転速度Vbに到達できる。一方、部分予定走行経路の曲がりが緩やかである場合には、第1主輪21a及び第2主輪21bが過剰に制御されることを抑制できる。
従って、モータ制御部755から第1モータ23a及び第2モータ23bへ出力される制御量Q1及びQ2は、それぞれ、実際の第1主輪回転速度Va(act)と算出された第1主輪回転速度Vaとの差、及び、第2主輪回転速度Vb(act)と第2主輪回転速度Vbとの差に基づいて決定される。
モータ駆動部75は、例えば、予定走行経路データ500c中の全てのサブゴール点(と姿勢角)を読み出したかどうかを判定することにより、自律走行台車100が走行終了位置に到達したかどうかを確認する。予定走行経路データ500cの全てのサブゴール点を読み出したかどうかは、例えば、再現走行指令部753が、予定走行経路データ500cの電子ファイルの終端を示す識別子(例えば、「エンド・オブ・ファイル」識別子)を読み込んだかどうかにより判定できる。
自律走行台車100が走行終了位置まで到達したと判定された場合(ステップS37において「Yes」の場合)、再現走行モードの実行を停止する。
一方、自律走行台車100が走行終了位置まで到達していないと判定された場合(ステップS37において「No」の場合)、ステップS32〜S36までのステップを繰り返す。
上記第1実施形態の効果は、以下のように記載できる。
自律走行台車100(自律走行台車の一例)は、予定走行経路(予定走行経路の一例)を教示する教示走行モード(教示走行モードの一例)と、予定走行経路を再現しながら自律的に走行する再現走行モード(再現走行モードの一例)とを実行する自律走行台車である。
自律走行台車100は、台車部1(台車部の一例)と、走行部2(走行部の一例)と、教示部71(教示部の一例)と、曲率算出部74(曲率算出部の一例)と、制御パラメータ調整部757(制御パラメータ調整部の一例)と、を備える。
走行部2は、台車部1に搭載される。また、走行部2は、台車部1を走行させる。
教示部71は、教示走行モードの実行時に、サブゴール点Pk(サブゴール点の一例)(k=0,1,2,・・・,m,・・・n)を取得する。そして、教示部71は、予定走行経路データ500a(予定走行経路データの一例)をサブゴール点Pkの集合体として記憶する。
曲率算出部74は、注目曲率半径R(注目曲率半径の一例)を算出し記憶する。制御パラメータ調整部757は、再現走行モードの実行時に、曲率算出部74において算出された注目曲率半径Rに基づいて、走行部2の姿勢角フィードバック制御量(制御量の一例)を決定する制御パラメータKp(制御パラメータの一例)を調整する。
そのため、自律走行台車100は、再現走行モードの実行時に、教示された予定走行経路を忠実に再現走行可能となる。
これにより、第1主輪21aと第2主輪21bを有する対向二輪差動型の走行部2の位置及び姿勢を制御できる。
これにより、走行部2の第1主輪21a及び第2主輪21bの滑りにより、現在位置P’における台車部1(自律走行台車100)の位置及び/又は姿勢が、本来の位置及び/又は姿勢とずれていた場合でも、次の移動目標点Pm+1においてそのずれを小さくできる。
そして、自律走行台車100は、予定走行経路の形状(曲がり)に合わせた最適な走行が可能となる。その結果、自律走行台車100は、再現走行モードの実行時に、教示された予定走行経路を忠実に再現走行可能となる。
これにより、制御パラメータ調整部757は、予定走行経路データ500cから注目曲率半径Rを抽出して、注目曲率半径Rに基づいて、各サブゴール点において最適な制御パラメータKpを決定できる。
また、第1サブゴール点Pf(m+H)と第2サブゴール点Ps(m−I)は、注目サブゴール点Pamから所定の距離(所定の距離の一例)以上離れているサブゴール点Pkの中で注目サブゴール点Pamに最も近いサブゴール点Pkである。
これにより、台車部1(自律走行台車100)の位置及び姿勢を精度よく推定できる。その結果、操作者により教示された予定走行経路を、予定走行経路データ500cとして忠実に再現できる。また、自律走行台車100の位置及び姿勢を精度よく推定することにより、自律走行台車100が予定走行経路を忠実に走行するように、走行部2を精度よく制御できる。
そして、自律走行台車100が予定走行経路データ500cに基づいて予定走行経路を自律的に走行する時に、自律走行台車100の走行部2の姿勢角フィードバック制御量を決定する制御パラメータKpが、注目曲率半径集合体記憶領域GRに記憶された注目曲率半径Rに基づいて決定される。
そのため、自律走行台車100は、再現走行モードの実行時に、教示された予定走行経路を忠実に再現走行可能となる。
これにより、自律走行台車100は、再現走行モードの実行時に、予定走行経路データ500cに基づき、教示された予定走行経路における姿勢を忠実に再現できる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
(A)予定走行経路データの取得についての他の実施形態
上記の第1実施形態においては、予定走行経路データ500a中に含まれるノイズ成分に影響されない部分予定走行経路の注目曲率半径Rを算出するため、第1サブゴール点Pfと第2サブゴール点Psとして、注目サブゴール点Paから所定の距離以上離れているサブゴール点Pの中で注目サブゴール点Paに最も近いサブゴール点Pを選択していた。しかし、それに限られない。
ノイズ成分に影響されない部分予定走行経路の注目曲率半径Rを算出するため、教示走行モード時に取得した予定走行経路データ500aに対して適当なデータ処理を行ってもよい。例えば、注目サブゴール点Paと、注目サブゴール点Paの前後に存在する所定の数のサブゴール点Pとの平均値を算出し、算出された平均値を新たな注目サブゴール点Paとして新たな予定走行経路データ500aを作成してもよい。予定走行経路データ500aに対して、このようなデータ処理を行うことによっても、予定走行経路データ500aに含まれるノイズ成分を取り除ける。
なお、この場合、曲率算出部74は、上記データ処理後の予定走行経路データ500aを用いて注目曲率半径Rを算出する。
上記の第1実施形態においては、曲率算出部74は、注目サブゴール点Paと、第1サブゴール点Pfと、第2サブゴール点Psとを通る注目円の半径rを、注目曲率半径Rとして算出していた。しかし、これに限られない。曲率算出部74は、注目曲率半径として、注目サブゴール点Paと、第1サブゴール点Pfと、第2サブゴール点Psにより形成される三角形の、注目サブゴール点Paにおける角度(注目点角度)を算出し、予定走行経路データ500aに記憶してもよい。この場合、注目点角度が小さいほど、部分予定走行経路の曲がりは急峻となる。
そして、この場合、制御パラメータ調整部757は、注目点角度に基づいて制御パラメータKpを調整する。
このように、曲率算出部74が注目曲率半径として注目点角度を算出することによっても、(サブ)予定走行経路の形状に応じた制御パラメータKpの調整ができる。
上記の第1実施形態の自律走行台車100においては、操作者により教示された予定走行経路をサブゴール点Pの集合体としての予定走行経路データ500a、500cとして保持し、自律走行台車100は予定走行経路データ500cに基づいて自律走行を行っていた。しかし、予定走行経路は、予定走行経路データとして保持されている形態に限られない。
例えば、AGV(Automatic Guided Vehicle、無人搬送車)のように、レールや磁気テープなどにより走行するべき経路(予定走行経路)を示していてもよい。この場合、例えば、磁気テープなどが形成する経路の形状を適当なセンサーなどで検出し、検出された経路の曲がり(曲率半径)に基づいて、AGVなどの台車の車輪の制御量を決定する制御パラメータを調整できる。
1 台車部
2 走行部
21a 第1主輪
21b 第2主輪
23a 第1モータ
231a エンコーダ
23b 第2モータ
231b エンコーダ
3 検出部
31 前方検出器
33 後方検出器
5 操作部
51a、51b 操作ハンドル
53 設定部
55 表示部
57 インターフェース
59 筐体
7 制御部
71 教示部
72 位置推定部
73 記憶部
74 曲率算出部
75 モータ駆動部
751 駆動切替部
753 再現走行指令部
755 モータ制御部
757 制御パラメータ調整部
76 障害物情報取得部
77 切替部
8 補助輪部
8a 補助車輪
8b 補助車輪
9 取付部材
500a、500c 予定走行経路データ
500a−k1、500b−k1、500c−m1 サブゴール点座標値記憶領域
500a−k2、500b−k2、500c−m2 姿勢情報記憶領域
500b−k3 データ取得時間記憶領域
500c−m4 注目曲率半径記憶領域
C 中心
GR 注目曲率半径集合体記憶領域
Gs サブゴール点座標値集合体記憶領域
Gθ 姿勢情報集合体記憶領域
Kp 制御パラメータ
Kp1、Kp2 制御パラメータ値
P、P0、Pi、Pi+1、Pk、Pm、Pm+1、Pn サブゴール点
Pa、Pam 注目サブゴール点
Pf 第1サブゴール点
Ps 第2サブゴール点
P’ 現在位置
Q1、Q2 制御量
R、R0、R1、Rm、Rn 注目曲率半径
R1 第1曲率半径値
R2 第2曲率半径値
RC 中心曲率半径
Rin 内輪側の曲率半径
Rout 外輪側の曲率半径
Tc 制御周期
T 教示データ取得時間
V1 第1回転速度
V2 第2回転速度
Va 第1主輪回転速度
Vb 第2主輪回転速度
VC 中心の移動速度
Vin 内輪側の主輪回転速度
Vout 外輪側の主輪回転速度
W 車幅
d、e、f 端子
r、r0、rm半径
x、x0、x1、xk、xm、xm+1、xnx座標値
y、y0、y1、yk、ym、ym+1、yny座標値
Δv 速度偏差
Θ 旋回角度
θ、θk、θm 姿勢角
Claims (9)
- 操作者の操作により走行開始位置から走行終了位置まで走行した際の走行経路である予定走行経路を教示する教示走行モードと、前記予定走行経路を再現しながら自律的に走行する再現走行モードと、を実行する自律走行台車であって、
台車部と、
台車部に搭載され、第1主輪と、前記第1主輪と対向するように設けられた第2主輪と、を有し、前記台車部を走行させる走行部と、
前記教示走行モードの実行時に、前記走行開始位置から前記走行終了位置までに前記台車部が通過した、走行環境における位置に関する情報であるサブゴール点を取得し、前記予定走行経路を表現する予定走行経路データを前記サブゴール点の集合体として記憶する教示部と、
前記予定走行経路データに含まれる1の前記サブゴール点を注目サブゴール点とし、前記注目サブゴール点と、前記注目サブゴール点から見て前記予定走行経路データの前後に存在する所定の数の前記サブゴール点と、により形成される部分予定走行経路の、前記注目サブゴール点における曲率半径である注目曲率半径を算出し記憶する曲率算出部と、
前記再現走行モードの実行時に、前記曲率算出部において算出された前記注目曲率半径に基づいて、前記走行部の制御量を決定する制御パラメータを調整する制御パラメータ調整部と、
を備え、
前記第1主輪の回転速度である第1主輪回転速度と前記第2主輪の回転速度である第2主輪回転速度は、第1回転速度と第2回転速度とを含み、
前記第2回転速度は、前記制御量に基づき制御される、
自律走行台車。 - 操作者の操作により走行開始位置から走行終了位置まで走行した際の走行経路である予定走行経路を教示する教示走行モードと、前記予定走行経路を再現しながら自律的に走行する再現走行モードと、を実行する自律走行台車であって、
台車部と、
台車部に搭載され、前記台車部を走行させる走行部と、
前記教示走行モードの実行時に、前記走行開始位置から前記走行終了位置までに前記台車部が通過した、走行環境における位置に関する情報であるサブゴール点を取得し、前記予定走行経路を表現する予定走行経路データを前記サブゴール点の集合体として記憶する教示部と、
前記予定走行経路データに含まれる1の前記サブゴール点を注目サブゴール点とし、前記注目サブゴール点と、前記注目サブゴール点から見て前記予定走行経路データの前後に存在する所定の数の前記サブゴール点と、により形成される部分予定走行経路の、前記注目サブゴール点における曲率半径である注目曲率半径を算出し記憶する曲率算出部と、
前記再現走行モードの実行時に、前記曲率算出部において算出された前記注目曲率半径に基づいて、前記走行部の制御量を決定する制御パラメータを調整する制御パラメータ調整部と、
を備え、
前記制御量は、前記台車部の現在の姿勢を表す姿勢角と次の移動目標点における前記台車部の姿勢を表す姿勢角との差である姿勢角度差と、前記制御パラメータとの積に基づいて算出される、
自律走行台車。 - 操作者の操作により走行開始位置から走行終了位置まで走行した際の走行経路である予定走行経路を教示する教示走行モードと、前記予定走行経路を再現しながら自律的に走行する再現走行モードと、を実行する自律走行台車であって、
台車部と、
台車部に搭載され、第1主輪と、前記第1主輪と対向するように設けられた第2主輪と、を有し、前記台車部を走行させる走行部と、
前記教示走行モードの実行時に、前記走行開始位置から前記走行終了位置までに前記台車部が通過した、走行環境における位置に関する情報であるサブゴール点を取得し、前記予定走行経路を表現する予定走行経路データを前記サブゴール点の集合体として記憶する教示部と、
前記予定走行経路データに含まれる1の前記サブゴール点を注目サブゴール点とし、前記注目サブゴール点と、前記注目サブゴール点から見て前記予定走行経路データの前後に存在する所定の数の前記サブゴール点と、により形成される部分予定走行経路の、前記注目サブゴール点における曲率半径である注目曲率半径を算出し記憶する曲率算出部と、
前記再現走行モードの実行時に、前記曲率算出部において算出された前記注目曲率半径に基づいて、前記走行部の制御量を決定する制御パラメータを調整する制御パラメータ調整部と、
を備え、
前記第1主輪の回転速度である第1主輪回転速度と前記第2主輪の回転速度である第2主輪回転速度は、第1回転速度と第2回転速度とを含み、
前記第2回転速度は、前記制御量に基づき制御され、
前記制御量は、前記台車部の現在の姿勢を表す姿勢角と次の移動目標点における前記台車部の姿勢を表す姿勢角との差である姿勢角度差と、前記制御パラメータとの積に基づいて算出される、
自律走行台車。 - 前記予定走行経路データには前記注目曲率半径が前記サブゴール点に関連づけられて記憶されている、請求項1〜3のいずれかに記載の自律走行台車。
- 前記予定走行経路データには、前記サブゴール点における姿勢角が、前記サブゴール点に関連づけられて記憶されている、請求項2〜4のいずれかに記載の自律走行台車。
- 前記部分予定走行経路は、前記注目サブゴール点と、前記注目サブゴール点よりも進行方向前方の前記サブゴール点である第1サブゴール点と、前記注目サブゴール点よりも進行方向後方の前記サブゴール点である第2サブゴール点と、の3点により形成される走行経路であり、
前記第1サブゴール点と前記第2サブゴール点は、前記注目サブゴール点から所定の距離以上離れている前記サブゴール点の中で前記注目サブゴール点に最も近い前記サブゴール点である、請求項1〜5のいずれかに記載の自律走行台車。 - 前記曲率算出部は、前記注目曲率半径として、前記部分予定走行経路に含まれる所定の数の前記サブゴール点を通る円である注目円の半径を算出する、請求項1〜6のいずれかに記載の自律走行台車。
- 前記制御量は所定の制御周期ごとに算出される、請求項1〜7のいずれかに記載の自律走行台車。
- 前記走行環境における前記台車部の前記位置及び/又は姿勢を推定する位置推定部をさらに備える、請求項2〜8のいずれかに記載の自律走行台車。
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